湖水地方と竜の花嫁

 氷のベディヴィア卿を撃破したディアボロスは、グレートブリテン島の湖水地方に上陸する事に成功しました。
 風光明媚な湖水地方は、富裕層の保養地として有名であり、ジェネラル級ドラゴン『氷将竜サグラモール』によって守護されているようです。

 湖水地方には、竜の花嫁の湖と呼ばれる湖が多く存在しており、イギリス各地から集められた『竜の花嫁』達が、最後の時を穏やかに迎える為に滞在する別荘地になっています。

 ドラゴンの生贄である『竜の花嫁』は、命を捧げることで竜鱗兵の『卵』を出現させるのです。
『竜の花嫁』となることは、幻想竜域キングアーサーでは非常に名誉とされており、花嫁の親族はそうして生まれた竜鱗兵を大切に扱うようです。

 別荘地では『竜の花嫁』を楽しませる為に、芸人や料理人などが常に募集されています。
 この芸人や料理人に紛れて『竜の花嫁』と接触して、情報を集めていきましょう。

花嫁の舞は誰がために(作者 のずみりん
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#幻想竜域キングアーサー  #湖水地方と竜の花嫁  #湖水地方 


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●ある旅芸人の終わり
 グレートブリテン島は湖水地方、数ある『竜の花嫁の湖』の街には今日も祝福と歓声が絶えない。
「あぁ、おめでとう。フィナ……お前たちが『芸で身を立てたい』と芸人一座に飛び入りした時はどうしたものかと思ったが、ドラゴン様の心を射止めてしまうとはなぁ」
「ふふ。ありがとう、お父さん。お母さんも……びっくりしたでしょ?」
「当たり前だ!」
 上品な造りの衣装をまとった踊り子は、感激に泣きむせぶ両親の手を取り来訪に感謝を告げた。
「まだ儀式までは時間もあるから、ゆっくりしていって。案内をつけるわ」
 故郷を飛び出したおてんば娘が、栄えある『竜の花嫁』に選ばれた。生末を心配していた両親にとってこれほど名誉で喜ばしいことはない。
 でも、しかし。
「本当によかったの。これで」
「姉さん……まだ言うつもり?」
 使用人たちに両親を頼み、終の棲家へと戻ったフィナは、鏡写しの姉妹に美しい金糸の眉を吊り上げる。
「あなたこそ……竜の花嫁になるのは名誉だけど、だけど……それって死んじゃうのよ!?」
「えぇそうね。知らなかった、なんて言わないわよ」
「終わりなのよ!? あたしたち二人で世界中の人々を笑顔にするんじゃなかったの? こんな所で……ッ」
 憔悴した銀髪を振り乱して叫ぶ少女の唇にフィナの細い指がそっと当てられる。
「そんなことも言ったっけ。でももういいの……忘れて、ラナ」
「忘れて、って!」
「ドラゴン様は私の踊りを見染めてくださったの。二人で色々な街を旅してきたけど、私の旅はここが上がり……そういう運命ってわかったの!」
 とろんと紅潮した顔で言い切ったフィナは有無を言わさず姉を屋敷の門から押し返す。
「フィナ!」
「もう、思い出させないでよ! 姉さんは嫉妬してるだけ、自分が選ばれなかったからって!」
 違う、そんなことはない。
 叫ぼうとした声は、外から突き刺さる冷たい視線にかき消されていった。

●湖水地方にいこう
「氷のベディヴィア卿は倒された! さぁ、グレートブリテン島だ!」
 喜びも露わにシャーロット・アルシェピス(人間の撃竜騎士・g03299)は皆をねぎらうと、ドラゴンたちの本拠地『グレートブリテン島』の地図をバン、と一つ叩いた。
「みんなが頑張ってくれたおかげで、ボクたちはドラゴンの核心に近づきつつある。その一つがこれから向かう『湖水地方』……景勝地として有名な湖沼地帯に作られた『竜の花嫁の湖』なんだ」
 円卓の騎士の一体、ジェネラル級ドラゴン『氷将竜サグラモール』が治める彼の地には、竜の花嫁が命を捧げる前、穏やかに満足して暮らせる別荘地が作られているという。
「集めた情報によると『竜の花嫁』は命を捧げる事で竜鱗兵を生み出す……いわばドラゴンの生贄らしいんだ。人々はドラゴンに見染められることは名誉と考えてて、花嫁の家族や知人も裕福に暮らせるそうだけど……何か様子がおかしいんだよね」
 シャーロットが見たという旅芸人の竜の花嫁は『思い出させないでくれ』といった。
 もしかすると何か暗示や洗脳……感情を曲げるようなことをされているのか?
「とにかくボクたちはまだ竜の花嫁をあまりに知らない……だから潜入して話をまず聞いてみない?」
 シャーロットが言うには、竜の花嫁を楽しませるため、別荘地には近隣の町から芸人たちが集められ、竜の花嫁に捧げる芸術のコンテストが行われているらしい。
 これに紛れて見染めさせれば、竜の花嫁のいる別荘に招かれ……そして信頼を勝ち得れば幻想竜域キングアーサーの中核にも食い込めるかもしれない。

「皆がいく別荘地の花嫁は『フィナ』という旅芸人の踊り子で、歌や踊り、弾き語りといった大道芸を求めてるらしい。ドラゴンと花嫁に名を売る機会という事で、コンテストの競争率はかなり高い。油断禁物だよ」
 芸一つで挑戦するのも手だが、より確実を期すならまず街で情報を集めて、花嫁の好みやコンテストの傾向を調べて置いた方がいいだろう。
 またうまく竜の花嫁の親族に接触できれば、花嫁と接触する時に心をつかむ助けにもなるだろう。
「ボクが見た限りだと、フィナには『ラナ』という姉がいて長く二人で旅芸人を続けてきたみたいだ。ラナは妹が身を捧げるのを疑問に思っていたようだし、接触出来たら有力な手掛かりを得られるかもね」

『竜の花嫁』という制度の重要さは確かなようで、街の外では多くのドラゴンが空を飛びながら地上を観察している。
 派手な動きはできないが、逆に言えばそれほど花嫁は大事ということだ。
「うまく花嫁と接触できれば、情報を得られるのもそうだし、竜の花嫁として命を捧げてしまうフィナたちを助ける事にもつながるはず……頼んだよ、みんな」

●竜の花嫁の湖で
 そこはさながら祭りの賑わいだった。
「さぁよってらっしゃい見てらっしゃい、お代は見てのお帰りだ!」
 仰天の大道芸を披露する旅芸人、ドラゴンをたたえる歌を弾き語る美しい吟遊詩人。
 広げられた帽子やポーチには溢れんばかりの銅貨が積まれ、中には銀貨が混ざる物までいる。
 街を上げても歓楽街という様相は竜の花嫁の無聊を慰める為という建前だが、富裕層向けの観光地としても大いに賑わいを見せているようだ。
「まったく花嫁様、ドラゴン様々ですな!」
「はっはっはっ!」
 人々の顔は明るく、金払いもよく治安も整っている。曇りなき笑顔の町。
 ただその笑顔は竜の花嫁という、独りの犠牲を前提としたものでもあった。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【現の夢】
1
周囲に眠りを誘う歌声が流れ、通常の生物は全て夢現の状態となり、直近の「効果LV×1時間」までの現実に起きた現実を夢だと思い込む。
【託されし願い】
4
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【勝利の凱歌】
4
周囲に、勇気を奮い起こす歌声が響き渡り、ディアボロスと一般人の心に勇気と希望が湧き上がる。効果LVが高ければ高い程、歌声は多くの人に届く。
【プラチナチケット】
2
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【活性治癒】
1
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【植物活性】
1
周囲が、ディアボロスが指定した通常の植物が「効果LV×20倍」の速度で成長し、成長に光や水、栄養を必要としない世界に変わる。
【口福の伝道者】
1
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。

効果2

【ダメージアップ】LV6 / 【ガードアップ】LV5 / 【凌駕率アップ】LV1 / 【ドレイン】LV1 / 【ロストエナジー】LV1

●マスターより

のずみりん
●シナリオの流れについて
 本シナリオではクロノヴェーダとの戦闘が一切ない、いわゆるシティアドベンチャーになります。
(町の外ではドラゴンが下界を見張って旋回していますが、気付かれて戦いになった時点で失敗です)
 シナリオの目標は『竜の花嫁と接触し、竜の花嫁の気持ちに切り込んで生贄に疑問を覚えさせること』となります。
(シナリオ選択肢『竜の花嫁との接触』もご参照ください)
 竜の花嫁と接触するためには『コンテストへの参加』を行い、竜の花嫁が求める芸術を印象付けるのが一番です。
 コンテストで上位を取るためには『街に潜入して情報を得る』、竜の花嫁の心をつかむには『竜の花嫁の家族や恋人との接触』での情報収集が役に立つでしょう。
(いきなり『竜の花嫁との接触』を試みる事も出来ますが、まず成功する事はないので、やめておいた方が無難でしょう)
 段階を踏んで情報を集め、立場を得て進んでいくのが大事です。
50

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


ストロベリー・メイプルホイップ
(アドリブ、連携歓迎!)

お祭りだ!
そろそろ暖かくなってくるし、気分転換にはちょうどいいかな?
まぁしっかりお仕事はこなすけどね!

とりあえずお祭りに参加する為にも、情報収集をするよ!
私のダンスが通用するならいいんだけど、一風変わったのを求められるとちょっと苦しいし!

いろいろ見て回りながら、私も得意なんだ、って町の人たちに誘惑とダンスを試しに見てもらいつつ、いろいろ聞いてみるよ!
必要ならこっそり誘惑の吐息も噴いちゃおう!


コンスタンツ・トパロウル
お上りさんよろしく、キョロキョロしながら街を彷徨き情報収集
機嫌のいい街人から声をかけられたら、
「さっき、ここに着いたばかりだけど賑やかでいいところだね」

等と世間話
誉められて、街人が気を良くしたようなら、街で何があってるのか聞いて、竜の花嫁の話題になったら、竜の花嫁の好みの歌や音楽、踊り……あとは、好きな花や宝石なんかを聞いてみよう

「何でそんなこと聞くかって?
そんなにみんなから慕われてるなら、あやかりたいと思ってね」

とか言って当たり障りなく笑顔で対処

本心では……反吐が出そうだ
暴れられなくて鬱憤溜まりそうだけど、これもドラゴンどもの力を削ぐため

本音が表情や言葉尻に出ないように、友好的に接するよ


●花嫁フィナの街
「お祭りだ!」
 春近くの暖かな陽気の下、ストロベリー・メイプルホイップ(デンジャラスドラゴン・g01346)は昂る気持ちをそのままに声を出した。
「はははっ! お嬢ちゃんたち、竜の花嫁の湖は初めてだな」
「あれ、わかっちゃう? さっきここに着いたばかりだけど、賑やかでいいところだね」
 声をかけてきたのは見回りの巡視。
 年季を感じる緑鱗のドラゴニアンに、コンスタンツ・トパロウル(生き残りの撃竜騎士・g05674)は合わせるように聞いてみる。
「はは、お上りさんによくあることさ。ここはいつでもお祭り騒ぎ……花嫁様が身をささげられる時はもっと盛大になるぞ」
「これ以上に? そりゃあ、すごいわ」
 反吐が出そうな本心を押し殺し、わざとらしいほどにコンスタンツは驚いてみせる。
 もちろん巡視はその心の内に気づくわけもない。素直に誉め言葉と受け取ってくれた様子で、ますますと竜の顎が開いていく。
「だがなぁ、驚いてばかりもいられないぞ。この街の客は目が肥えてるからな、芸人さん」
「うわーやっぱり? 一風変わったのを求められるとちょっと苦しいなぁ」
「街だと何が流行ってるんだい? やっぱ竜の花嫁の好みの歌や音楽、踊りとか?」
 本心と演技を半々に嘆くストロベリー。その様子に巡視が気をよくしたのを見計らい、コンスタンツは踏み込んでみる。
「やっぱ踊りかねぇ。フィナ様は旅芸人だったそうだから、そういう派手な踊りや衣装、わかりやすいもんが好みたぁ聞くが」
「わかりやすい、か。そりゃみんなに慕われそうだし、あやかりたいね」
 言いながら三人が歩を進めた先大きな広場と、その中心で一段高くなったお立ち台。
 周囲にあふれた観客を見るに、ここは芸人たちの登竜門らしい。
「と、俺はまだ見回りでね。おたくらの芸が見られるのを祈ってるぜ」
「ありがとー! わかりやすいのなら私も得意なんだ、やってみるねっ」
 巡視のドラゴニアンに投げキスをして、さっそく挑むのはストロベリーから。
「おいおい、大丈夫?」
「へーきへーき。私、誘惑だけじゃないんだからね!」
 艶めかしい桃色の鱗をくねらせる豊満なバディは思わずコンスタンツも声をかけるが、本人はいたってやる気。
 登壇の喝采へ空から竜の影が覗いたが、気付かれたわけではなさそうだ。
「お連れさんかい? どうだね、景気つけに」
「あー……これも花嫁の?」
「おっ、詳しいね。花嫁様にあやかって、ここじゃそいつを投げるのさ」
 はらはらと見守るコンスタンツが露天商から握らされたのは、ルビーレッドの花びら。
 形を見るに野ばらか何かだろうか? 歌姫好みという花びらをつまんだコンスタンツは銅貨数枚を投げ渡し、手にした幾分かを舞台へとほおった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【現の夢】LV1が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!

ミシェル・ロメ
ドラゴンたちは人間を支配し苦しめる恐ろしい存在のはずなのに、
竜の花嫁になって子を産むことは「栄誉」とされている……
それって、どこか矛盾してないかな?
反逆者扱いが怖くて無理やり言わされている可能性もあるだろうけど、
それだけじゃこの活気は説明できない気がする

以前アイルランド軍への支援を打ち切って彼らを窮地に陥れた商人たちは
ドラゴン勢力の精神操作を受けていたらしいという情報も聞いた
もしかしたら、この街の人々や花嫁も……

それを確かめるために、まずはコンテストに出て花嫁に会う機会を作ろう
街の市場で買い物や世間話をしつつ『花嫁』のフィナさんのことを、
彼女の人となりや、好む芸や音楽の傾向なんかを聞いてみよう


「はーいそこ、今日は我慢禁止! 私と一緒に、たっぷりスッキリしちゃおう!」
『おぉぉぉぉー!』
 登板したストロベリーのグラマラスな肢体が揺れるたび、広場に歓声が湧きあがる。
 だが人々は行儀よく、舞台に上ろうとするもの、『お触り』を試みようとするものなどまるでいない。
 驚くほどの治安。それは客質だけの話ではない。
「ドラゴンたちは人間を支配し苦しめる恐ろしい存在のはずなのに……」
 市場通りから観察するミシェル・ロメ(とわにひびくうた・g04569)はそんな広場の様子にぽつりと声を漏らしていた。
「どうしたんだい、皺なんか寄せしちゃって? 綺麗な顔が台無しじゃない!」
「あぁ、いえ……すいません。『花嫁』のフィナさんのこと、竜の花嫁になるって身を捧げる事ですよね。それなのにこんなに賑わって、活気にあふれているっていうのが、その」
 心配げに声をかけてくれた露店商の中年女性にミシェルは疑問を思い切って投げてみる。
「あはは、面白いことを言うねぇ! でもまぁそうだね、ぼっちゃんの若さじゃ」
 どういうことかと改めて尋ねるミシェルに、露店商は言い含めるように諭してくる。
 その様子にミシェルが直感したのは、かつて自分を拾ってくれた教会の神父様の語り。
「いいかい、ドラゴン様に身を捧げた花嫁は新たなドラゴン様と一つになりアーサー王様に仕えるんだ。そうやっていつまでも見守ってくださるんだよ」
 これは宗教的な慰めだ。
 このグレートブリテンにおいてドラゴンは神であり、人々を護るはずの信仰に彼らは成り代わっている……自身の本拠地だからできる文明文化の改ざんだ。
「そう、ですね……少しわかった気がします」
「無理しなくていいんだよ。花嫁様も、姉君だってずっと悩まれてたんだ、いつか必ず理解できる」
「姉君、ですか?」
 露天商の言葉に、懐に隠れたオラトリオ『リリコ』がぴくりと動いた。
 ミシェルの心が伝わったのだろう、これは大きな手がかりかもしれない。
「あぁ、ずっと一緒に旅芸人をしてきたそうでね。世界を見たい、世界の人に歌と踊りを、って……その熱意にドラゴン様が応えてくれたんだねぇ」
 世界への憧憬、歌と踊り、そして姉。
 印象づいた単語をミシェルは意識して記憶に刻みつけていく。
「僕も……会えばわかるでしょうか」
「姉上にかい? 最近は湖畔をよく独りで歩かれて……そうさね。話せば、互いに楽になれるかもしれないね」
 そして会うべきは花嫁の家族だ。
 露天商に礼と別れを告げ、ミシェルは湖畔への道を探しに歩き出した。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【プラチナチケット】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!

ナイナ・ヴィラネスティズム
準備として武具は不要
客人として恥ずかしくない格好と礼節を弁える
同選択肢の味方との協力可

「この度はフィナ様の花嫁選定、心よりお祝い申し上げますわ」

まずは親類縁者への挨拶回り
かつての令嬢としての教養と行儀を活かして場の空気に溶け込んで打ち解けてみる

ある程度周囲に打ち解ければラナへの接触を試みて「彼女の妹君への想い」に寄り添う形で「どんな夢をお持ちだったか」「それは妹君とやりたかった事か」を問うてみる
フィナ様を愛していらっしゃいますのね・・・顔を見れば一瞬でわかりますわ

聞きたいことを一通り聞けたらラナに「本当はどうしたいか、彼女とまた旅をしたいか」を改めて問う
その願い、私達が託されるといたしましょう


印歌・良空
因習のような陰鬱さを感じますね
生贄なんていつの時代でも下らへんわ…

ううん、暗い顔しとたらあきませんね
街に行くのもいいですけどウチはお姉さんの元に参りましょうか

可能なら復讐者っちことを明かしてお話を伺いたいです

妹さんたちを始めとする花嫁さんたちを助けたいです
そのためにもコンテストでいい成績を出すかフィナさんに気に入られんといけません

やから、フィナさんが好きやったもの、夢、もしくはお姉さんとの想い出…
なんでもいいんで教えてくださいませんか?

ウチがそれを背負って貴方の分まで謳います
彼女の心に少しでも響くもんを謳いたいんです
生きたいっち思えるようなそんな唄を紡ぎたい

やから、どうかお力を貸してください


コンスタンツ・トパロウル
踊りは無理だけど、料理なら少しはできる
忙しそうな料理屋や、竜の花嫁を祝う会場の厨房に行って手伝わせて貰うよ

髪を解いてお仕着せのメイド服等に着替え、料理の下ごしらえを手早く済ませて、配膳やテーブルサービスに回らせて貰おう
そうすれば、花嫁の親族や縁深い人と接触できるだろうしね

料理が足りない?
厨房でこっそり【口福の伝道者】使って増やそう

テーブルサービスの際に、
「おめでとうございます」
「ゆっくりお楽しみください」

等と声を掛け反応をみる
あからさまに不機嫌なら……この人がラナかな

「如何なさいました?」
「お話をお聞きするくらいならできますよ」
「私、新入りですし口は固い方ですから」

等と話し相手になってみよう


●花嫁の姉
 フィナの家族との縁はそう困難なく持つことができました。
「この度はフィナ様の花嫁選定、心よりお祝い申し上げますわ」
 ナイナ・ヴィラネスティズム(凱閃令嬢・g00383)は湖畔を望むレストランの席に、集まったフィナの家族たちへ一礼する。
 竜の花嫁を輩出した家族ともなれば縁を得たい者はごまんといる。その数多ある宴の席の一つに紛れ込むのは『プラチナチケット』の残留効果をすれば容易いことだ。
「この都度はご招待に快諾いただき、誠にありがとうございます。ドラゴン様の御血縁となります皆様と縁をお繋ぎいただき、当家も益々の発展となるでしょう」
「いえいえ、こちらこそ……不肖の娘どもが、こうも立派に育ってくれたとは驚くばかりで」
 かつての令嬢としての教養と行儀を活かしたナイナの完璧な作法に対し、フィナの両親はいかにも平民という気後れ感が漂う。
 フィナが花嫁とならなければ、このような宴に招かれる事など一生なかったに違いない。
「不肖の娘などご謙遜なさらず。フィナ様のご立派なお姿はご両親の賜物ですわ」
「いやいや……私は何もない酒場の主人ですよ。娘たちが飛び出した時は親不孝ものめと恨んだもので、しかし今思えば天啓だったのでしょう。なぁ?」
「えぇ、私は信じていましたよお父さん! あの子たちはドラゴン様のものだって……ねぇ、おほほほ!」
 良くも悪くも小市民という二人の受け答えをテーブル向かいに聞きながら、印歌・良空(沙羅双樹の子護唄・g05874)は美しい乳白色の眉を潜めた。
「生贄なんていつの時代でも下らへんわ」
 みやれば家族だけではない。
 出席者たちの多くがめでたいと祝い、花嫁の門出という死を祝福していた。
「これでご家業もきっと大成なさるでしょう」
「新たな花嫁の旅立ちに華あれ!」
 感じてしまう、因習のような陰鬱さ。だが暗い顔をしてばかりもいられない。
 首を回せば自分以上にそれを感じている人がいるのだから。
「貴方が倖せでありますように……ラナさんですね? そのお顔、如何しました?」
「いえ、大丈夫、何とも……ないです。あっちゃいけない」
 良空が声をかけたのは花嫁によく似た、二つ三つ目年上の壁際の花。
 言い聞かせるように呟いて場を変えようとする花嫁の姉に、そっと一枚の料理皿が差し入れられた。
「おめでとうございます。これはサービスで、お話をお聞きするくらいならできますよ……私、新入りですし口は固い方ですから」
 給仕に扮したコンスタンツ・トパロウル(生き残りの撃竜騎士・g05674)の小さな声に、ラナは両手で顔を覆い、椅子へと崩れ落ちていた。
「あら大丈夫ですの?」
「少々具合が悪いようで……」
「それは大変ですわ。控室の方にお連れして」
 さりげなく間を取るナイナに目くばせし、そっと三人は宴席を下りた。

「こんな事、間違ってる」
 一目が消えるいなや、ラナは開口一番に吐き捨てた。
「こんな、っていうのは花嫁の事ね?」
「そうよ。あんなフィナ、フィナじゃない。いつも自由で、何でも知りたがって、何処でも行きたがって……それが『運命』だとか『旅は終わり』だとか……っ!」
 とめどなく溢れるラナの吐露に、良空は頬につたう涙をそっと拭い抱きとめた。
「大変でしたな……うちらは、何と言えばいいか。妹さんたちを始めとする花嫁さんたちを助けたいのです」
「まぁ似たようなもんさ、大事な物をドラゴンに奪われた。そういうの繰り返さないようにしたい」
 コンスタンツの宣言に、ラナの表情が目まぐるしくうごく。最初は驚き、半信半疑……そして決意。
「うちらはフィナさんに会うため、コンテストでいい成績を出すかフィナさんに気に入られんといけません。なんでもいいんで教えてくださいませんか……生きたいっち思えるようなそんな唄を紡ぎたい」
「歌や踊りは詳しくないけど、やっぱ未知のもの、見たかったもの……かな?」
 良空に促され、考え込むラナはコンスタンツの問いに頷く。
「海……まだ見れてなかった。海の向こうまで行こうって、あんなに楽しそうに話したのに」
「海の向こう……約束、果たしましょう」
 懐かしそうに語るラナを、良空は誓いと共に抱擁する。
 未知の世界への憧憬、海を見る約束。その思い出と約束はきっとフィナの心にも響くはずだ。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【託されし願い】がLV2になった!
【活性治癒】LV1が発生!
【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【ドレイン】LV1が発生!
【凌駕率アップ】LV1が発生!

ミシェル・ロメ
海の向こうに広がる世界への憧れ
世界中の人々を幸せにしたいと願う心
それは僕にも相通じる想い

皮肉にも僕はディアボロスになったことで
その願いの幾許かを叶えられた
新宿御苑の庭園や花屋で、様々な時代や国で
故国フランスでは見たことの無かった珍しい花に触れた
その美しさを、感動を少しでも伝えることが出来るなら

コンテストではバイオリンの弾き語りを披露
日本の胡弓や中国の二胡の演奏をイメージして
晴れ渡る青空、さざめく波、揺蕩う水のような
ゆったりとしたメロディを奏で

クライマックスではリリコに色とりどりの花を降らせて
春告げの桃に桜、香り高きジャスミンにプルメリア

そう、世界はこんなにも色鮮やかな命の輝きに満ちている


●花嫁に伝えたいもの
 海の向こうに広がる世界への憧れ。界中の人々を幸せにしたいと願う心。
 ラナからディアボロスに託されたフィナの心は、ミシェル・ロメ(とわにひびくうた・g04569)にも相通じる想いだった。
「続きましてはミシェル・ロメ様より弾き語り、春告げの花……」
 豪奢な野外劇場のコンテスト会場を登壇し、ミシェルは一礼。
 手にした弓とリュートとも異なる弦楽器の様相に、客席がざわつく。
 その楽器、バイオリンが人類史においてヨーロッパにもたらされるのは千年近く先のことだ。
「僕はディアボロスになったことで、その願いの幾許かを叶えられた……彼女にも、少しでも伝えることができたら」
 新宿御苑の庭園や花屋で、様々な時代や国で触れた、故国フランスでは見たことの無かった珍しい花。
 その美しさと感動をミシェルは込めて、胡弓、二胡……東洋のメロディを加えて弾き語る。
 晴れ渡る青空、さざめく波、揺蕩う水……客席は気づけばしんと静まり返り、ただ耳を傾ける。
「これは花……?」
「いい香りだわ」
 そして再び動かしたのは色鮮やかな命の輝き。オラトリオ『リリコ』が演出する、色とりどりの花びらのシャワーが人々に感動を芽吹かせる。
 春告げの桃に桜、香り高きジャスミンにプルメリア。美しさに目覚めた人々は香りに溜め息を吐き、しみじみと拍手を送っていた。
「あなたも何処かにいるのでしょうか」
 演目を終え、ミシェルは礼を以て感謝を示す。その思いが花嫁の元まで届く事を祈りながら。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【植物活性】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!

印歌・良空
ラナさん、お話してくださってありがとうございます
お約束通り、精一杯謳わしてもらいます

ウチは弾き語りを披露致しましょう
ハープの音色は落ち着いた音で、懐かしさを演出するような奏で方を

「笑顔の華を咲かせたいと 私達は旅をした」

始まりは穏やかに語り掛けるような声で
ラナさんと交わした約束をイメージした歌詞

「海の向こうにも笑顔を届けたいね
まずは一緒に海まで行こう そこでもう一度夢を語り合いたい」

サビではハープの音色を音域を少し高めに
謳う声も明るく伸びやかに、未来とラナさんの願いをのせて

フィナさんにこの歌が、ラナさんとの約束が届きますように
もう一度、海を見に行きたいと彼女の心に少しでも光が燈りますように


「ラナさん、お話してくださってありがとうございます。お約束通り、精一杯謳わしてもらいます」
「ううん、感謝するのはあたしの方。舞台、楽しみにしてる」
 ラナと交わした言葉を思い返した印歌・良空(沙羅双樹の子護唄・g05874)はゆっくりと琥珀色の瞳を開き、ステージから満員の客席を見渡した。
「笑顔の華を咲かせたいと 私達は旅をした」
 ほろり、奏でられる落ち着いた弦の音色。
 良空の手にしたハープはキングアーサーの人々にも馴染み深い楽器で、それゆえ懐かしさを呼び起こす。
「道程は約束」
 奏でるのはラナと交わした約束。穏やかに語り掛ける沙羅双樹の唄声が人々を引き付け、感情を揺さぶっていく。
「海の向こうにも笑顔を届けたいね」
 十分に惹きつけたところで、良空はハープの音色の音域を少し高めに転調。
 謳う声も明るく伸びやかに変えたサビは、未来とラナたち姉妹への願い。
「まずは一緒に海まで行こう そこでもう一度夢を語り合いたい」
 静かな拍手が会場を満たすなか、良空は下ろした顔をもう一度見上げた。
「フィナさんにこの歌が……ラナさんとの約束が届きますように」
 賛辞に紛れ、去っていく小さな足音はフィナ本人か、あるいは彼女の使いの者だろうか?
 どちらにしろ、伝わってくれればいい。
「もう一度、海を見に行きたいと彼女の心に少しでも光が燈りますように」
 小さく呟き、良空は観客と彼方の花嫁の姉妹へ深々と一礼した。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!

エスト・リンフィールド
みんながたくさん……情報を得てくれてる
なら、コンテストでいい成績を出して、フィナさんのところに行けるようにしないと

海か……よし

はずかしいけど……海らしく水色のビキニの水着に、貝パールや青い石のアクセサリを沢山着け、歌唱、ダンスを活かし夏の海を歌って踊ろう


どこまでも青い海
雲のように白い砂

打ち寄せる波飛沫

水平線の先に
何があるんだろう?

行ってみないとわからない
わからないままじゃ終われない

だから旅は終わらない

さあ!
駆け出していこう!


と、夏の日差しに手庇を作ったり
大きな海をイメージし大きく手を広げたり
波みたいに腕を動かしたり
何があるか悩んだり
元気いっぱい駆け出すような動きを入れて


終わったらはずか死しそう


「本日最後の演目は……エスト・リンフィールド様」
「うおおぉぉぉーっ!?」
 静かな空気から一転、エスト・リンフィールド(挙動不審エルフ吟遊詩人系・g05947)が恥じらいの化粧をまといつつ登場するや会場は湧きに湧いた。
「海か……よし」
 良空やコンスタンツが仕入れてくれた情報に応えるべく、エストが選んだのは水着。
 現代でもその造形を衝撃を持って受け入れられたビキニは水色。
 貝やパール、青い石。多種多様なアクセサリを散らした姿はエルフの美貌と共にエキゾチックな色気を放ち、男女問わず客席の人々を虜にした。
「どこまでも青い海、雲のように白い砂、打ち寄せる波飛沫 水平線の先に何があるんだろう?」
 行ってみないとわからない。わからないままじゃ終われない。
 夏の日差しを思わせる手庇、大きく広げた手は大海のイメージ。エストの体が歌と踊りに壮大な世界を描いていく。
「だから旅は終わらない……さあ!」
 悩みの溜めから、元気いっぱいに駆け出していく。
 まだ六世紀の世界にはない、まったく新しいスタイルの歌と踊りが人々を虜にする。
 熱狂的なアンコールに応えてもうワンループ……ブランドの髪に汗を散らし舞台を降りたエストは疲労とは別の理由で真っ赤に悶えていたけれど。
「うわーっ! やっちゃったやっちゃったよぉ!?」
「あ、あのー……」
 ドスンバタンとひとしきり楽屋を転がった後、エストは控えめな声の主に気づき、更に顔を真っ赤にする。
「な、なななな、こ、これは失礼っ。あ、アヤシイ者じゃ、ないよっ?」
「あ、はい。それは勿論……えー私、花嫁様のお世話をさせていただいているものでして」
 幸いというべきか。早々にやってきたチャンスに、エストは理性を取り戻す事ができた。
「それは、もしかして」
「あぁ、噂は御存じでしたか? 主人の花嫁……フィナ様が、興味を持たれておりまして」
「こ、光栄ですっ!」
 早口にならないよう意識しながら、エストは達成感を心に躍らせる。
 またステージを彩ったディアボロスたちにも同様の招待が届いたのは、それから程なくしてだった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【勝利の凱歌】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!

エスト・リンフィールド
コンテストのときの衣装の水着でご挨拶

ご……ご招待いただだ、いただきありがとうごじゃりまひゅ
か、噛んだ……

歌と踊りの話になったら、あれは夏の海をイメージしたものだと話し、
「海の向こうには……何があると思う?」

と、花嫁に尋ねてみる

更に、
「本当はどうなってるか? 自分の目で……見てみたいよね」

と【勝利の凱歌】、【託されし願い】を乗せ、歌うように問いかけてみる
街の人達も、お姉さんも、心のどこかで……『おかしい』、『この子が居なくなるのは辛い』と思ってるのを感じた

旅は終わらない
終わらせることはできるけど

今のあなたは、旅を終わらせようとしてる
犠牲は美しく尊いかもしれない
でも……本当に、それでいいの?


ナイナ・ヴィラネスティズム
服装と立ち居振る舞いは変わらず
言葉と姿勢で礼節を尽くす

(プラチナチケット併用)ラナお姉様からの薦めもありご挨拶に伺いましたの
この度は竜の花嫁に選定された事、篤くお祝い申し上げますわ

竜の花嫁となり家族と別れるフィナの心境をまずは把握、その心を汲む

・・・そうして貴女の旅はこれで終わりになられても後悔はなくて?

未知なるものを知り、聞いて、感じて、己が自由気ままにどこへも行こうとしたかつての貴女の姿が最も尊いものだとお姉様は仰っていましたわ
(ラナから託されし願いを映像として見せる)

一緒に海の向こうまで行こうという約束、覚えていまして?

その上で再度お尋ねいたしますわ
貴女の旅は、良いものでしたかしら?


コンスタンツ・トパロウル
「お客様がたくさんいらっしゃいそうですし、お茶をお持ちしました」
といった感じで、給仕に扮したまま、厨房からお茶と茶菓子を持参し紛れ込む

「この宴が終われば……いよいよ、なのでしょうか」
と、このあとに待ち受ける現実を口にし、花嫁の反応をみる

そのうえで、
「ひとつだけ、わかってることがある
海の向こうには……別の世界がある」
「まあ、いい世界だとは言えないけど……運命を切り開くために戦い、支え合う気概は溢れてる」

と、自分の実体験……新宿に流れ着いたことをもとに話し

「でも、これはあたしの場合
あんただったら……別のなにかを見つけられるかもね」
「さあ、決めるのはフィナ……あんただ」

と【勝利の凱歌】を乗せ語りかけ


●花嫁の心、フィナの思い
「お客様がたくさんいらっしゃいそうですし、お茶をお持ちしました」
「ありがとう……あなたは初めて見る顔ね?」
「えぇまぁ、ちょうど出稼ぎに出てきたばかりで」
 給仕に扮したまま、コンスタンツ・トパロウル(生き残りの撃竜騎士・g05674)は仲間たちと花嫁の対談の席に一礼する。
「この宴が終われば……いよいよ、なのでしょうか」
「そうね。ドラゴン様は満足なさるまでまってくださるというけど、もう待ちきれないくらい」
 シックなドレスをまとうフィナの笑顔は、後ろ暗さを全く感じさせない。あまりに自然で、それゆえに不自然でもあった。
「あぁ、あなたも来たばかりでお仕事がなくなっちゃうわね……そうだ、次の花嫁に紹介状を書いてあげるわ」
「あ、いえ、それは遠慮しようかな。フィナだから来たんだし」
 これから死ぬ人間とは思えない朗らかさ。狂信、あるいは洗脳とはこれほどのものなのだろうか?
 やんわりと誤魔化し、コンスタンツは客人を迎えに玄関へと退室する。
 今日の来訪者は二人。
「ご……ご招待いただだ、いただきありがとうごじゃりまひゅっ」
「あらかわいい!」
 花嫁に捧げる芸術のコンテストで一目を置かれたエスト・リンフィールド(挙動不審エルフ吟遊詩人系・g05947)、それにパトロンの顔で引率したナイナ・ヴィラネスティズム(凱閃令嬢・g00383)
 言うまでもなくディアボロスの仲間であり、フィナの様子を二人は先んじてコンスタンツから説明されていた。
「ラナお姉様からの薦めもありご挨拶に伺いましたの。この度は竜の花嫁に選定された事、篤くお祝い申し上げますわ」
「祝福に感謝いたします……ふふっ、ヴィラネスティズム卿も大変でしょう? 姉さんから言われたんじゃない? 花嫁なんてやめさせろって」
「よくおわかりですね。もちろん、この場に参じました事は私の意志ですけれど」
 かちゃり、とフィナのティーカップが受け皿に音を立てる。
 柔和に言葉をかわしつつ、ナイナは社交界特有の空気を敏感に読み取り当たり障りなく応答する。
 今の彼女にラナの名前はどうやら逆鱗のようだ。的確に突けば崩す足掛かりとなるが、おいそれと話題に出せば場を荒らす、と。
「そんなことより、もっと楽しいお話をしましょう? いいわよね? あなたの踊り、見てみたかったわ!」
「あ、はい。えーとあれは夏の海をイメージしたもので……」
「海! 海を見たことがあるのね! あんなに薄着になれるの!?」
 とにかく花嫁はエネルギッシュで、大胆で、好奇心旺盛だった。
 エストがおずおずと説明した踊りの話に食らいつくや、誰よりも流暢に早口で、新しい話の度に盛り上がりせがむ。今までの落ち着いた様相はなんだったのかというほど、年相応の少女になって。
「本当はどうなってるか? 自分の目で……見てみたいよね」
「あぁ、見てみたいなぁ……!」
 見てみたかった、ではない。
 エストと盛り上がる彼女のの変貌と言葉尻に、ナイナは勝負をかけた。
「見にいけばよろしいでしょう」
「でも……私は、もう」
「未知なるものを知り、聞いて、感じて、己が自由気ままにどこへも行こうとしたかつての貴女の姿が最も尊いものだと、姉様はおっしゃっていましたわ」
 姉という単語にフィナは眉間にしわ寄せるが、反発より早くナイナは二の矢を撃つ。
「一緒に海の向こうまで行こうという約束、覚えていまして?」
「約束……っ」
 音を立ててティーカップが倒れた。
 よろめくフィナの体をコンスタンツが支えに入る。
「大丈夫かい?」
「う、ん……ありがとう。ちょっと昔を思い出しちゃって」
「海の向こうの話?」
 コンスタンツのささやきは自然で、フィナはうん、と頷いて驚いたように顔を見る。
「海の話なら、あたしもひとつだけ、わかってることがある。海の向こうには……別の世界がある」
 自分たちはそこから来たのだと暗に告げたコンスタンツに、フィナは何かを悩む、あるいは拒絶するかのように頭を左右に振った。
「旅は終わらない、終わらせることはできるけど……でも、本当にそれでいいの?」
 問いかけるエストに返事はなく、こぼれた紅茶がテーブルを伝って縁で止まる。
 一瞬だけ『託されし願い』が彼女の家族を描く。
「私は、ドラゴン様に選ばれた、から……」
 その言葉は自分を納得させるようであり、一押しの助けを求めるようでもあった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【勝利の凱歌】がLV3になった!
【託されし願い】がLV4になった!
効果2【ガードアップ】がLV4になった!
【ダメージアップ】がLV5になった!

ミシェル・ロメ
「ドラゴン様に選ばれたから」
「それが名誉なことだから」
フィナさん、あなたは本当に、心からそう思っているのですか?

無礼を承知で言わせてください
僕にはその言葉が「自分の値打ちを他人に決めてもらう」ように思えてなりません

もし『花嫁』に選ばれたのがあなたではなくラナさんだったとしたら
あなたは同じことが言えますか?
栄誉でもなく、ましてや嫉妬でもなく
「大切な人が明日からいなくなる孤独」に耐えられますか?

あなたの人生は「あなた自身で」決めてほしい
あなたの中の「一番大切なもの」を守り抜いてほしい

もし婚礼を断ったことで周囲に咎が及ぶことを恐れているなら
僕たちが必ず力になります
だから心配しないで、悔いのない選択を


印歌・良空
こんにちは、フィナさん
お招きいただいてありがとうございます

ウチの歌、どうやったでしょうか
既にお察しやと思いますがラナさんにお伺いしてお2人の想い出や夢を謳わしていただきました

フィナさん、ウチは建前ではなく貴方の本当のお気持ちを聞きたいです

率直にお伺いいたします
ドラゴンの花嫁になって誰かが亡くなり繫栄する世界をフィナさんおかしいと思わないのですか?
例えば、貴方ではなくラナさんが花嫁となった時、フィナさんは喜んで受け入れられるのでしょうか

もしも、僅かでも受け入れられへんと感じたなら、その感覚を信じてください

改めてお伺いいたします
海の向こうで笑顔を咲かせたいと、ほんに今は思っておられないのですか?


「ウチの歌、どうやったでしょうか」
 言葉をなくしたフィナに、静かに呼びかけたのは印歌・良空(沙羅双樹の子護唄・g05874)だった。
「とても……よくできていたわ。まるで自分自身のことみたい」
「えぇ。既にお察しやと思いますが、ラナさんにお伺いしてお二人の想い出や夢を謳わしていただきました」
 あの時の気配はやはり彼女だったのだろう。
 皮肉を交えた告白に、良空も裏舞台を率直に明かす。
 激情はなく、やはりという穏やかな空気だった。
「本当に、いつも世話焼きなんだから」
「えぇ。そうです。ラナさんはこれまでも、今も、この先もフィナさんの事、思ってはるでしょう」
 率直にお伺いいたします、と前置きしつつ、良空は一気に畳みかける。
「誰かが亡くなり繁栄する世界をフィナさんおかしいと思わないのですか? 例えば、貴方ではなくラナさんが花嫁となった時、フィナさんは喜んで受け入れられるのでしょうか」
「それは、身を捧げた花嫁は新たなドラゴン様と一つになって……ずっと」
「フィナさん、あなたは本当に、心からそう思っているのですか?」
 返されるのは定型的な答え。
 それにミシェル・ロメ(とわにひびくうた・g04569)は思わずと声を挟んでいた。
「無礼を承知で言わせてください。僕にはその言葉が『自分の値打ちを他人に決めてもらう』ように思えてなりません」
「値打ちを、他人に? 私が?」
 一瞬、むっとした顔を覗かせたフィナに、ミシェルは感ありと頷く。
「あなたの人生は『あなた自身で』決めてほしい。あなたの中の『一番大切なもの』を守り抜いてほしい。だから、もう一度お聞きします。もし『花嫁』に選ばれたのがあなたではなくラナさんだったとしたら
あなたは同じことが言えますか?」
 栄誉でもなく、ましてや嫉妬でもなく、『大切な人が明日からいなくなる孤独』に耐えられるのか?
 二度目の問いに、フィナは即答できなかった。
「僅かでも受け入れられへんと感じたなら、その感覚を信じてください……重ねてお伺いいたします。海の向こうで笑顔を咲かせたいと、ほんに今は思っておられないのですか?」
 そして良空の助言が最後の一押しになった。
「思ってないわけ……ないじゃない。私の一番大切なものは、いつだって、でもっ」
 首を振り、とめどなく溢れ出すままにフィナは叫び、涙がこぼれた。
 理性が告げる『仕方がなかった』『今更どうしようもない』諦めの理屈を、湧きだした感情が突き破る。
「っ、はは……これで満足? 残酷よね、あなたたち……このまま諦めて受け入れれば、後悔に苦しむ事なんてなかったのに」
「いいえ」
 まだフィナは全てを知らない。
 ミシェルは泣き腫らす顔に、今こそ手を伸ばした。
「僕たちがいます。もし婚礼を断ったことで周囲に咎が及ぶことを恐れているなら、僕たちが必ず力になります……だから心配しないで、悔いのない選択を」
 その年頃からは考えられないほどの頼もしさと力強さに満ちたミシェル。
 フィナの嗚咽はやがて小さく静まり、そして花嫁は恐る恐る、その手を取った。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【プラチナチケット】がLV2になった!
【勝利の凱歌】がLV4になった!
効果2【ダメージアップ】がLV6になった!
【ガードアップ】がLV5になった!

最終結果:成功

完成日2022年03月17日