リプレイ
金刺・鞆
竜の花嫁……えと、えと、たしか。竜鱗兵を生み出すために、この世のどらごんに嫁ぐ娘子らのこと、でしたか?
異形の子を生む贄となるなどとてもおそろしいことのように思えますが……この世においては、それは誉であるのですね。
なれば、潜入中はそのように振る舞わねば、です。むむん。
さて、闘技大会の調査をする、ですよ!
此度花嫁が選ばれたと聞いて、近隣から祭を見に……もとい、祝いに来たのだと称しましょう。世間話から花嫁のうつくしさ、為人と話題を近づけて、近しいものや花嫁の闘技嗜好などを聞き出せれば僥倖、です。
実行は闘技場の周辺。優勝予想など語らうものらがいれば、その輪の中に混ざって聞き込みを行うのがよろしいかと!
ルウェリン・グウィンリウ
湖水地方――後の人類史だとそう呼ばれているのか。
本来ここはブリトン人の王国、リージットの領地だった筈だけど……もう完全にドラゴンたちに支配されているのが歯痒い。
とにかく、今は目前の出来る事から取り組もう。
◆
街を散策して、酒場のような場所があればそこに入ろう。
主人に適当な飲食物を注文し、色々と質問。
ここで闘技大会が開かれるんだろう?
腕試しに参加するつもりだけど……僕は南部の生まれでね。
この辺りではどういう試合をするのか聞いておきたい。使う武器とかさ。
ついでに竜の花嫁の好みも分かれば教えてよ。
例えば気高い騎士のような振る舞いが好みとかなら、荒っぽい真似して不快にさせたくはないしね。
●
「わぁー、盛り上がっていますね!」
モーラット・コミュの相棒『いぬ』を胸元に抱え、金刺・鞆(虚氏の仔・g03964)は波のように行き交う人々を眺めてはその熱気を肌身で感じ取っていた。
「そのようだな。彼らのお目当てはやはり闘技大会、か」
ルウェリン・グウィンリウ(灯火の騎士・g02040)は、鞆に同意を示しながらも、その金の瞳の奥に浮かぶは憂いの色。
「湖水地方――今はそう呼ばれているのか」
小さくルウェリンが呟いた一言には、歯痒さに似た感情が混じっているように感じられた。
「この方々は、竜の花嫁……えと、えと、どらごんに嫁ぐ娘子ら? の招待を受けるために集まったのですよね? 異形の子を生む贄となるなんて……」
鞆の価値観において、それはとてつもなく恐ろしいもの。しかし一方で、町に集う者達からは悲壮感のようなものは一切感じられなかった。
「振舞いを誤らない様、ともも気を付けなくては、です! むむん」
気合を入れる鞆。
「あなたの言う通りだな、金刺さん。余計な事を考えている暇は、今はない。では、僕は酒場へと向かう事としよう」
「はい、です! ともは闘技場の周辺に行ってみるですよ!」
町の雰囲気を把握し、馴染むための散策を終えた二人は、情報収集のために当たりを付けていた場所へと向かった。
●
「店主、注文を頼む」
「はいよ!」
酒場に入ったルウェリンは、彼の年齢でも頼めそうなものを適当に注文し、席についた。
(「僕が復讐者だというのもあるが、治安も悪くはないんだな」)
入った直後は注目を浴びたが、特に絡んでくるものはいない。
ルウェリンがそれとなく店内に視線を這わせると、店が大盛況なのはもちろん、それ以上に話題が闘技大会一色である事が、耳を澄ませるまでもなく分かった。
注文の品が運ばれて来たのを見計らい、ルウェリンはちょうど闘技大会について熱く語っていた客の元へと近づく。
「ちょっといいかな。ここで闘技大会が開かれるんだろう?」
「おっ? ああ、いいが、あんたは?」
「僕は南部の生まれでね。腕試しに参加するつもりで来たんだ。それもあって、あなた達にこの辺りでの闘技大会ではどういう試合をするのか聞いておきたくてね」
告げながら、ルウェリンは腰に提げた剣を示す。
「おお、あんたも参加者か。まだ若く見えるのにやるもんだな。まぁ、腕試しと言っているが、安心しな。今回の闘技大会では殺しはご法度だ。その点については、お上からあんたにも厳しく言い含められるはずさ」
「そうなんだ、それは良かった」
話を聞くに、非殺傷の強い要望は竜の花嫁から出されているもののようだ。
(「泥臭さく血みどろの戦闘よりは、騎士の類の戦い方が好感度は高そうだ。まさしく『試合』のような」)
その後、流行りの武器を尋ねたルウェリン。
「剣、短剣、槍、弓なんかが主流だな」
「重量武器はあまり使われないのか?」
「制限がある訳じゃないが、見かける頻度は少ないぜ」
その辺りも、竜の花嫁の意向や要望が関係しているのだろう。
(「軽装かつ、盾の類も使わない方が無難みたいだな」)
聞き終えたルウェリンは、情報料代わりに一杯奢った後、酒場を後にした。
●
(「この辺りは特に、闘技大会に参加される方が多いようですね!」)
闘技場の周辺を訪れた鞆は、先程までいた大通りとはまた一味違う雰囲気に目を見開いた。
(「いろんな方の名前を耳に致しますね。この辺りでは有名な方なのでしょうか?!」)
闘技場周辺では、参加者はもちろんの事、参加者のファンや、有志で優勝予想をする者達など、様々な人材が集っている。
(「皆様楽しそうで、竜の花嫁が如何に『誉』として認識されているかが分かります。むぅー」)
命を捧げて竜鱗兵の卵を生み出す糧となる。その阻止のために湖水地方を訪れたとはいえ、鞆の胸中を満たすのは受け入れ難い複雑な感情だ。
「此度、花嫁様が選ばれたとお聞きした、です! 近隣からお祝いに来たのですが、お話をお聞かせ願えませんか?」
しかし鞆はそんな内心を押し隠し、笑顔で闘技場周辺の人々の話に入り込む。
「花嫁様はとてもお美しいと聞いている、です! どらごん様から大きなものを授かった為人であるとも!」
「そうだとも! 竜の花嫁に選定されるなんて、なんとも羨ましいねぇ!」
彼女の幼さもあってか、人々は嬉しそうにあれやこれやと彼女にいろいろと教えてくれた。
「その花嫁様ですが、どのような戦いがお好きなのでしょうか?」
「自分が伝え聞いた所によると、華麗に戦う武人を好むそうだよ。その類だと、闘技大会の優勝候補でもある剣士なんかも有名だねぇ。風の如く戦うと噂されている冒険者さ」
なんでもその優勝候補とやらは、それほど大柄ではないが、しかし自分よりも大柄な相手を技で圧倒し、翻弄するとの事。
「なるほど、です! 華麗な技が大事なのですね!」
筋力よりは、技量。
鞆は教えてくれた者達に感謝を述べ、次の準備に向かうのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
レオアリア・フォルシオン
竜の花嫁ね
わたくしたち撃竜騎士にとっては生贄の象徴……ではあったけど、考えてみれば刻逆の影響もあるのでしょうけど、わたくしって竜の花嫁の詳しい実態を知らないのよね
武道大会ね
わたくしも撃竜騎士として腕には自信があるのよね
大会では高速移動を常に心がけながら、流れるように攻撃を仕掛けていく
その本質は相手の死角を瞬時に見出し、そこから【不意打ち】を仕掛けると同時にすぐさま【一撃離脱】を繰り返す、という技巧
一見すれば姑息に見えるでしょうけど、わたくしの腕前なら見えざる連撃のように繰り出せるわ
……花嫁とは女性にとって晴れの舞台
それが、命を捧げる儀式ではあってはならないわ
●
『竜の花嫁として選ばれたお方、ルナ・エバンズ嬢の心を高ぶらせ、または楽しませるため、此度の闘技大会には大勢の冒険者、武芸者、腕に自信のある人材が集って下さりました!! では早速皆様にご紹介致しましょう! 第一試合に登場するのは――』
――レオアリア・フォルシオン~~~~!!
大勢の観客で埋め尽くされた闘技場内。煽る司会者が名を呼ぶのに合わせ、赤い髪を靡かせたレオアリア・フォルシオン(フォルシオン統一王朝初代皇帝『征龍帝』・g00492)が闘技場に姿を現す。
(「これほどまでに注目度が高いのね。わたくしと同じで、彼らも竜の花嫁の詳しい実態を知らないという事情もあるのでしょうけれど」)
レオアリアにとって、あるいは撃竜騎士にとっての竜の花嫁といえば、まさに生贄の象徴。
しかし竜の花嫁当人や、ごく一部を除いた歓声を上げて見守る大勢にとってそれは、名誉そのものなのだ。
「アナタが私の対戦相手ね」
「そのようだ。手加減はしないぜ?」
「無用よ、わたくしも腕には自信があるから。だから、こちらこそアナタに手加減はしてあげられないわ」
レオアリアの相手は、バリーと名乗る冒険者。
彼女が騎士の礼をすると、バリーも真剣な眼差しを向けて集中する。
やがて開始のゴングが鳴り、すぐにバリーは目を見開く事となる。
そしてそれは観客も同じだったようで、どよめきが起こった。
(「ただの高速移動だけれど、一般の冒険者であるアナタには酷な速さかしら」)
レオアリアが、目にも止まらないスピードを見せたからだ。
「くっ、一体どこに!」
バリーが、レオアリアの姿を求めて顔を振る。
しかしその振ったタイミングに合わせ、バリーの死角からレオアリアの攻撃が幾度も、流れるように襲い掛かった。
「このぉ!」
バリーが即座に攻撃を仕掛けられた方向に向けて剣を薙ぐ。
しかしその時、既にレオアリアの姿はそこにはなく、別に生まれた死角から彼女の攻撃が襲っていた。
(「一見すれば姑息に見えるでしょうけれど――ええ、そうよね。観客やアナタには、まるで見えざる連撃を繰り出したように見えたみたいね」)
次々と迫る嵐のような連撃に、バリーは腰をついてしまう。
レオアリアがバリーに剣を突きつけると、彼は素直に降参を示し、
『第一試合の勝者は、赤髪の女騎士・レオアリア・フォルシオンだああぁぁ~~!!』
司会者の勝利宣言と、観客の怒号に似た歓声が、闘技大会の開幕を華々しく飾るのであった。
成功🔵🔵🔴
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
シル・ウィンディア
パワー型なら何ともならなかったけど、技術・スピードならまだ…
よし、がんばるっ!
対戦相手が出てきたら、まずはぺこりとお辞儀するよ
残留効果にパラドクスは使わずに…
さぁ、始めましょうかっ!!
左手に創世の小剣を持って、ダッシュで接敵するね
正面から斬撃を繰り出すと見せかけて、サイドステップを使ってフェイントを仕掛けるよ
体勢を崩したら、相手の武器を狙って斬撃!
防がれても慌てずに、距離を取っていくね
再度、接近を仕掛けていくよ
今度は、残像を生み出して相手を攪乱してから、相手の武器を両断していくね
スピードに乗せて思いっきり体全体をばねに使って切り裂くよ
さぁ、これでどうかな?
※絡み・アドリブ歓迎です。
●
「わぁー、レオアリアさんさすがだなー!」
シル・ウィンディア(虹色の精霊術士・g01415)が、仲間の躍進に拍手を送っているのも束の間。
『第二試合に登場するは、青き可憐な妖精・シル・ウィンディアァァァァ!!』
「わわっ、私の出番だよ! よし、がんばるっ!」
あれよあれよと自分の出番が訪れ、シルは闘技場に上がり、対戦相手にぺこりとお辞儀をした。
瞬間、その可愛らしい仕草を見ていた観客席から、それだけで大きな拍手が沸き起こる。
シルは、見た目で侮られているなぁと苦笑を浮かべつつも――。
(「……女の人だね。確か、ケイシーさんだっけ」)
お辞儀を返してくれ、加えてシルの姿を見ても油断一つ晒さない対戦相手に視線を向けた。
対戦相手は、短剣を構える盗賊風の冒険者・ケイシー。
(「手練れだね」)
復讐者やクロノヴェーダを基準にしては比べられないが、それでもシルはケイシーが実力者である事を感じ取り、口端に笑みを浮かべる。
集中によって周囲の雑音が消え、間合いを測り合う二人。
「さぁ、始めましょうかっ!!」
均衡を崩したのは、創世の小剣を左手に構え、ダッシュで一気に間合いを詰めたシルの方。
「っ」
正面から接敵するシル。だからこそ、ケイシーが彼女のスピードに驚いているのが良く分かった。
やがてシルが、小剣を振り上げる。
それに対抗し、立ち位置を調整するケイシーが、短剣で応戦しようとした……その刹那!
「もらったよ!」
「なんですって!?」
何の予備動作もなく、瞬時にサイドステップを踏んで見せたシルの動きに反応できず、短剣で振ったケイシーの体勢が崩れる。そのケイシーの表情には、シルの実力が想定以上であると、色濃く表出して見えた。
(「パワーならともかく、技術……特にスピードには自信があるんだよね!」)
相手が態勢を整えるより早く、シルの斬撃がケイシーの短剣を直撃し、武装を弾き飛ばす。
無手となったケイシーは、それでも諦める事無く喰らいついてこようとするが――。
「降参よ。まいったわ」
「こっちこそ、対戦ありがとー!」
シルが残像まで生み出した所で、自分の叶う相手ではないとケイシーは悟ったようだ。
一気に静まり返る闘技場。
『勝者、シル・ウィンディア~~~~~~
!!!!』
「おおおおおおーーーー!!」
だが、勝者としてシルの名がアナウンスされると、万雷の拍手と歓声が押し寄せた。
そこには、可憐な強者へと向ける敬意だけがあった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【エアライド】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
ルウェリン・グウィンリウ
さて、それじゃあ花嫁様に気に入られに行きますか。
◆
得られた情報を元に普段着のまま参加。
得物は木剣のみで挑もう。
対戦相手には一礼と共に名乗りを。
僕の名はルウェリン・グウィンリウ、猛者との出会いに感謝を。
試合が始まれば、相手の出方を見極めてそれを封じるように立ち回る。
目線の向き、肩と拳の動き、足の爪先にかかる体重の変化――。
それらを観察し、どこを狙っていつ仕掛けてくるか読んで剣で抑え込むか、弓相手なら矢を払っていこう。
そして攻撃の手が緩めば、素早く踏み込んで武器を叩き落とし、間髪入れず切っ先を突き付けて降参を呼び掛け。
勝てても驕らず、相手の健闘を賞賛して終えようか。騎士っぽく。
●
『金眼の少年騎士の名は、ルウェリン・グウィンリウ~~~~!!』
司会者の煽り文句を聞き、ルウェリン・グウィンリウ(灯火の騎士・g02040)は顔を上げる。
「さて、花嫁様に気に入られに行きますか」
町で得た情報を元に、着の身着のまま。
携える獲物は、木剣のみ。
闘技場に上がったルウェリンは、そこで対戦相手を目にした。
(「流行りとそう違いはないな。違う点と言えば、剣と弓、どちらも装備している所か」)
まだ若いが、どことなく荒々しさを感じる猟師然とした出で立ちの対戦相手。
「既に紹介に預かったが、僕の名はルウェリン・グウィンリウ、猛者との出会いに感謝を」
ルウェリンは彼に、騎士の礼を。
「おうよ。全力で行かせてもらうぜ?」
先の二戦に波乱に加え、ルウェリンの堂に入った仕草に対戦相手――テオドールも何か感じ入るものがあったのか、油断なく構えた。
やがて、開始のゴングが鳴る。
序盤は、先に二戦と比べれば静かな立ち上がり。
(「まずは相手の出方を見るとしよう。目線の向き、肩と拳の動き、足の爪先にかかる体重の変化――」)
ルウェリンは意図してテオドールの攻めをいなして応対する。
テオドールがどれだけ前に出ようが、退こうが、その全てを木剣で打ち払っていく。
「チィッ!」
テオドールが唐突なバックステップを入れ、熟練の手さばきで弓矢で急襲しようとも、ルウェリンはまるで初めからそう来る事を読んでいたかのように木剣で矢を弾いてしまう。
それはまるで大人と子供の戦い。そして闘技場の誰よりも、斬り合う事で実力差を身に染みて感じ取っているのは、他の誰でもないテオドールだ。
そして、あまりに静かな戦い……否、そうであるからこそ、見ている観衆も両者の実力差に気付く。
「疲労の色が見えるな」
そして、相手の全ての仕掛けを読み切った頃、ルウェリンが素早く踏み込んでテオドールの剣を叩き落す。
「まだっ――」
「まだ、やるのか?」
反射的に弓へ手を伸ばすテオドール。しかしルウェリンはさらに一手先を行き、気づけばその喉元に木剣の切先を突きつけていた。
ルウェリンは、テオドールによる降参のジェスチャーを確認すると、
「いい戦いだった」
そう優しく告げ、背を向けた。
「……ははっ、申し訳ない事をしたかな?」
その際、彼は観客の中に酒場で出会った町の住人らを見つけ、彼らが口をあんぐり開けて仰天している姿を発見し、苦笑を漏らすのであった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV2になった!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
金刺・鞆
調査でわかったことは……花嫁さまは技巧派がお好みで、軽量級の武器だとなおよし、と。
むん。ともでも扱えるのは弓ですが……和弓は、外つ国のそれと異なり重装寄り、です。
流行からは外れてしまいますが、得物は仕掛け扇のみで。暗器は用いずに演じましょう。下手に使ったらその、民間人相手にやりすぎるやもしれませぬゆえね、むむん。
【神速反応】で対戦相手の出方を伺い、最小限の動きで躱し、いなし。水神さまへ舞うのごと、『魅せる』動きを意識しましょう。
観客の反応も覗いつつ、盛り上がりそうな好機があれば閉じた扇を小剣に見立てて相手のくびへ。
降伏するならよし。しないなら……数日寝込むだろう程度の手加減で一撃だけ入れます。
●
『第四試合に登場するは、儚げであどけない童女、金刺・鞆ォォォォォォォ!!』
(「す、すごく注目されています!」)
司会者の煽り、観衆の歓声に背を押されるように闘技場に姿を表した金刺・鞆(虚氏の仔・g03964)は、白い髪に覆われた顔を真っ赤に染めていた。
そんな照れ屋であったり人見知りな一面がより保護欲を誘うのか、歓声は大きくなるばかりだ。
また、注目を浴びている部分は他にもある。
(「得物の仕掛け扇が皆様の興味を惹いているみたい、です。むん、ともでも扱える技巧派の武具は和弓ですが、あれは外つ国のそれと異なり重装寄り。それ意外となると、これしかなかったのです!」)
物珍しい獲物であるのか、鞆の対戦相手も興味津々の様子。
「とも、です」
「ダニエルだ。よろしく頼む」
ともは礼儀正しく一礼し、仕掛け扇を構え――。
(「……むむんっ、もしや! 調査の際にお伺いした、優勝候補の方! 風の如く戦うと噂されていた!」)
対戦相手が、この辺りでの技巧派の頂点と噂されている人物であると気付く。
相手に不足なしと、自然と気合が入る鞆。
周囲の注目度が高まる中、試合が始まる。
だが、試合は序盤、意外な展開を見せた。
(「観客の皆様の反応を見るに、ダニエル様がこのように攻めの一手を繰り出してくるのは珍しいごご様子、ですね」)
ダニエルも実力者だけに鞆の力量を多少は察するものがあったのか、仕留められる前に積極的に攻勢に出てきたのだ。
しかし鞆は、いつもダニエルがそうするように、神速の反応で相手の攻めを躱してはいなす。
普段とはまったく正反対の戦況に、観客席やらも驚いている気配が届いてきた。
(「竜神様へ捧げる舞いの如く、『魅せる』動きで!」)
加速するダニエルの動きに容易に即応し、鞆が柳のようにしなやかに激しい剣戟を捌く。
とはいえ、互いにカウンター主体。
観客の反応を見つつ、機を見て鞆が攻めに転じた。
「――っ」
そのフェイントを交えた動きは、これまで数多の攻撃を風のように受け流してきたダニエルがまったく反応できないもの。小剣に見立てた閉じた扇が、華麗な様で彼の首元に突きつけられる。
「…………参った」
「ありがとうございました!」
降参の合図に、鞆は再度一礼。
(「降伏して下さって良かった、です」)
見守っていた『いぬ』に駆け寄り、自身の勝利を報告する鞆であった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【神速反応】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
アムリタ・アンブロシア
【午睡の月】
◆同行者◆
梵・夜華(g00551)
◆心情◆
武芸の美しさを競う、か。では御照覧あれ。
私はアムリタ・アンブロシア。夜の悉、舞い踊る。
(一般人のフリをしているので、普段の決め台詞は控える)
……これはしたり、まだ真昼だったか。
◆方針◆
同行者とは事前に大まかな作戦は打ち立てている。
パラドクスの【飛翔】の効果を用いて、蝶のように舞い、蜂のように刺す【一撃離脱】を主体とし、敵を夜華へと近づけさせない。
十分に【時間稼ぎ】を行えば、夜華が作戦通りに『星』を降らせてくれると、全幅の信頼を置いて行動する。
数多の星屑が降り頻る中、いさちる繊魄の如き舞いを披露し、観客を血沸き肉躍らせよう。
梵・夜華
【午睡の月】
◆同行者◆
アムリタ・アンブロシア(g00038)
◆心情◆
ふむ、ふむ。アムリタが前に出て、武技を披露してくれる、と。それなら私は、空を彩る星の雨を降らせて魅せよう、かな。余所見厳禁。さぁさ、御覧あれ……星降りの中で舞い踊る彼女を。
◆方針◆
事前に、相方にはパラドクスの効果、味方に害を成す事は無い、星降りに動じないようにと教えておく。アムリタが時間を稼いでくれている間に、魔術知識を用いた高速詠唱でパラドクスを準備し、頃合いを見て発動。発動直後は注意を向けさせるために、言葉に誘惑の力を乗せてみる。なお、アムリタが相手の間合いから離れようとしている時には、砂&風使いで攪乱、助力する。
●
『第五試合は少々趣向を変えまして、ペアを組んでの対戦となります! 登場するは美しき魔術師にして武芸者! アムリタ・アンブロシアと梵・夜華~~~~
!!!!』
番狂わせが続いた闘技大会も五試合目となり、ある種の慣れた雰囲気が漂い始めた闘技場内。
しかしその空気に楔を打ち込むように現れたのは、美しき二人の女性、アムリタ・アンブロシア(竜が欲した月の雫・g00038)と梵・夜華(半醒半睡・g00551)。二人の存在感は闘技場内に熱気を取り戻させ、より過熱させるに相応しいもの。
「ここまで魔術を扱う参加者がいなかったのも、観客に新鮮さを感じさせる一因となっているのだろうな」
リングに上りながら、アムリタが考察する。
「戦闘方法の制限はされていないはず」
夜華が疑問を呈せば、
「まぁそうだな。だが個人で戦うとなれば、普通の魔術師がわざわざ闘技大会に出ようとは思わぬのだろう」
「……私達やクロノヴェーダでもなければ、魔術を行使する前に制圧されるのがオチ、か」
「そういう事だな」
「ふむ、ふむ」
納得した様子の夜華。
ふと相手をみれば、向こうは男女ペア。男は剣を、女は槍を装備している。
「私はアムリタ・アンブロシア。夜の悉、舞い踊る」
「「……え?」」
アムリタが名乗りを上げると、対戦相手のペアが顔を見合わせた。
「……これはしたり、まだ真昼だったか」
空を一度見上げたアムリタは苦笑を浮かべるも、その表情は言葉よりも雄弁にこう告げていた。
――意味は直に分かってもらえる、と。
「アムリタ、事前の作戦通りに」
「うむ、まずは私が時間を稼いでおこう」
やがて、試合開始を告げるゴングが鳴る。
その音を聞きながら、夜華は寝惚け眼で対戦相手を見つめながら思った。
(「大丈夫。あなた達に怪我をさせたりはしないから」)
●
「終焉来たりて星が降る。此処に狂乱と恐慌と狂変の共演を――」
開始直後、高速詠唱を唱えて準備する夜華。
対戦相手の二人は、当然詠唱する夜華を放っておくはずもなく、距離を詰めようと迫ってくる。
「揃って夜華にご執心か? 私も混ぜてもらえねば困るぞ」
そんな相手を押し止めるように、アムリタの武芸が炸裂する。背中の翼で自在に空中を駆ける彼女は、まさに蝶のように舞い、蜂のように――。
「くぅ!」
「彼女強いわ! だけど、間合いを詰めないと勝機もない!」
男女ペアを弾き飛ばしては、一旦離脱して悠々と二人を見下ろした。
(「悪いな、ただ勝利するだけであれば私一人でも容易い。だが、武芸の美しさも披露せねばならない。今暫し付き合ってくれ」)
「やぁ!」
「はぁ!」
対戦相手の全力の奮闘をアムリタは受け止める。
『竜の花嫁』その一時が関係する事案を彼女は見過ごす訳にはいかないゆえに。
――と。
「準備完了」
夜華が簡潔に、詠唱を無事終えた事を周知する。
その身に終滅の気配を纏った彼女の姿は、対戦相手の顔色を青白く変化させ、何とか発動を止めさせようと抵抗を激化させるも、アムリタによって封殺されていた。
(「そう心配しなくても、アムリタのための演出のようなものなのに。……この場で正直に伝える訳にはいかないけれど」)
それほど一般の人々にとって、パラドクスが脅威という証左であろう。
逆説連鎖戦の解釈が、人々にとって理解が困難なように。
「余所見厳禁。さぁさ、御覧あれ……星降りの中で舞い踊る彼女を」
夜華が言葉に誘惑の力を乗せて告げる。
と、男女ペアの動きがピタリと止まった。
男女ペアだけでなく、彼女の声が聞こえた観客も含めて。
瞬間、遥か上空の次元に裂け目が生じ、星の欠片が降り注いでは閃光を瞬かせた。
「……綺麗」
対戦相手の女性が、呆けたように降り注ぐ星を見上げる。
「では改めて。夜の悉、舞い踊る」
アムリタは胸中で「見事だ」そう夜華を賞賛しつつ、星屑の瞬く中で繊魄の如き舞いを披露する。
やがて対戦相手をアムリタが無傷で制圧した頃、闘技場内はとんでもないものを見たという興奮で溢れ返っているのであった。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【飛翔】がLV3になった!
【温熱適応】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!
【命中アップ】がLV4になった!
●
順調に闘技大会を勝ち上がったディアボロス達は、無事にルナ・エバンズが滞在中の別荘へと招待された。
「皆さん、私のために来て下さってありがとうございます!」
別荘では盛大な祝宴が開かれており、ルナは口々に祝いの言葉を投げかけられているようだ。
その表情に現状、陰りの色はない。
直に、ディアボロス達が直接彼女に武芸の一端を披露し、心を掴む事で会話する栄誉を与えられるチャンスも巡ってくるだろう。
同時に、祝宴の場にはルナの両親と、婚約者のサイラスの姿もあった。
ナイナ・ヴィラネスティズム
準備として武具は不要
客人として恥ずかしくない格好と言葉遣いを心がける
「皆々様お初にお目にかかります。私は花嫁修行のため諸国を旅する令嬢ですの。ルナ様が竜の花嫁に選ばれたこと、心よりお祝い申し上げますわ」
まずは親類縁者へ挨拶回りし打ち解けていく
かつての公爵令嬢としての教養と行儀を活かす時ですの
ある程度の挨拶ができたらご家族の方からルナ様について、
例えば「どのような人柄だったか」や「なぜ竜の花嫁に選ばれたか」等を聞いて回り情報収集
婚姻に対して浮かぬ顔をしているであろう家族(狙い目は父親)に家のために竜に嫁ごうとするルナ様への思いも聞いてみましょう
愛する娘をそう易々と嫁に出せるものではなくて?
●
ルナ・エバンズの姿を遠目に見やりながら、ナイナ・ヴィラネスティズム(凱閃令嬢・g00383)はある者の姿を探していた。
(「今持っている情報だけでは、ルナの説得が成功するかは不透明ですわ。ならば――」)
接触するなら、ルナの家族。そう考えたナイナは、ルナの親類縁者を中心に挨拶周りをしながら、目当ての人物に接触する。
(「今こそ、かつての公爵令嬢としての教養と行儀を活かす時ですの」)
その所作は、民の上に立つ者として一片の隙も見られない程に見事なもの。
「皆々様お初にお目にかかります。私は花嫁修行のため諸国を旅する令嬢ですの。ルナ様が竜の花嫁に選ばれたこと、心よりお祝い申し上げますわ」
「おお、ご丁寧な挨拶に感謝します!」
ナイナが淑女の礼を見せると、嬉しそうに表情を綻ばせるルナの家族。
ナイナ達はしばし歓談した後、話題を徐々に竜の花嫁関連のものへ。
「ルナ様は実にお綺麗な方ですわね。お家ではどのような人柄だったのか、興味が湧いてきますわ」
「優しい子でした。こうと決めれば、なかなか譲らない面も持ち合わせていてね」
「まぁ!」
クスリと微笑むナイナ。
(「とはいえ、笑ってばかりもいられませんわね。頑固な一面があるからこその、今なのかもしれませんもの」)
気を取り直し、ナイナが再び問う。
「ルナ様が竜の花嫁に選ばれた経緯というのは、どのようなものだったのでございますか?」
「詳しい経緯は僕達にも分からないのです。ですが、ある日、ドラゴン様から使いがいらしゃって、そこでルナが竜の花嫁に選ばれた、と」
「なるほど。ドラゴン様から使いが……」
会話しながら、ナイナはいよいよ核心へと切り込む。
狙いは、ルナの母に比べて口数の多い、その父。ルナの母が一旦離席したタイミングを狙ってのもの。
「……お父様は竜に嫁ごうとするルナ様の事、どうお思いですの」
その瞬間、ルナの父が言葉に詰まる。
だがナイナは、怯まず続けた。
「愛する娘をそう易々と嫁に出せるものではなくて?」
するとルナの父は、他に人目がない事を確認し、重い口を開いた。
「婚約者のサイラス君と結婚するというのは、彼女が小さい頃からの夢だったんだ。彼の隣で花嫁衣裳を着て、夢を叶えたルナが見たくなかったといえば……嘘になる」
滔々と呟くルナの父。
(「そうした考えに至るのも当然ですわね。まして、その末路は
……。」)
ナイナは話を聞き、ルナを説得する意思を強くするのであった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【託されし願い】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
シル・ウィンディア
さて、闘技は楽しんでもらえたかな?
招かれたのなら行かないとねー。
服装は華美過ぎない衣装で、招かれても恥ずかしくないようにしてと…
わたしは、婚約者のサイラスさんとお話しようか。
ねぇ、お隣いいかな?
そういって、サイラスさんと接触してみるよ
最初は闘技の時のお話とかで警戒心を解いてもらって…
しばらくしてから
ルナさんと竜の花嫁についてって言って
ちょっと外に出ようか?と誘うね
ルナさんってどんな感じの人なの?
とってもかわいい感じだけど。
竜の花嫁ってルナさんを差し出すのって正解なのかな?
あなたのほんとの気持ちを教えて
わたし達は、そのために来たんだから…
人を差し出しての平和だなんて…
そんなの間違ってると思うから
●
(「闘技大会では、観客さん達に楽しんでもらえたみたいで良かった。まぁ、肝心のルナさんにお披露目するのはこれからな訳だけど」)
華美すぎない衣装に身を包み、祝宴に溶け込むシル・ウィンディア(虹色の精霊術士・g01415)。
テーブルに並べられている食事やジュースをつみながら、彼女はルナの家族が仲間と会話している間にルナの婚約者と接触をとる事にした。
早速、婚約者であるサイラスを伺うと――。
(「当然だけど、なんとなく雰囲気が暗いね。……うん、こんな時だからこそ!」)
シルはいつも通り、明るい調子で声をかける。
「ねぇ、お隣いいかな?」
「……ん、ああ、もちろんだよ」
先程からルナに関する事で悩んでいるのか、サイラスの反応は少々鈍い。だが数瞬後にシルへ向けた表情は、優し気なそれ。
「わたしの事知ってるかな? 闘技大会に参加させてもらったんだけど」
「もちろん。僕は婚約者として先に別荘に来ていたから見られなかったけど、ルナが武芸に興味があるのは知っているし、大会が開かれた事も聞いているからね」
シルは闘技大会での出来事を面白可笑しく話し、武芸を嗜んでいるというサイラスも話を興味深そうに聞いてくれる。
「ちょっと外に出ようか?」
そうして話が弾んだ所で、シルは提案した。
サイラスも頷く。それとない空気から、どんな話であるかは察しているようだ。
シルはサイラスを連れてテラスに出て――。
「ルナさんってどんな感じの人なの? とってもかわいい感じだけど」
「気立てもいいし、芯の強い子だよ。……いや、強すぎるくらいかな」
サイラスの後半の口ぶりから、シルはさらに踏み込んでも大丈夫だと判断する。
「竜の花嫁としてルナさんを差し出すのって、正解なのかな? あなたの……サイラスさんの本当の気持ちを教えて欲しいの」
「……それが正しい、名誉なんだって思っていたよ。でも、やっぱり僕はルナを失いたくない。死んでしまうなんて! それに――」
「それに?」
「ルナは僕に謝った。竜の花嫁になるから僕と結婚できないって。僕よりも大事なお役目ができたって。でも、長い付き合いだから分かるんだ。心の奥底では、彼女が僕に未練を感じてるって。だから余計に諦めきれないんだけどね」
その一言を聞き、シルが目を瞑る。
(「ルナさんを差し出して、卵を産ませて犠牲にして……やっぱりそんなの間違ってる!」)
やがてシルは瞳を開き、告げる。
「あなたに話を聞けて良かった!」
と。
大成功🔵🔵🔵
効果1【クリーニング】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
ルウェリン・グウィンリウ
ひとまず招待される資格は得られたかな。
ここからが正念場、油断せずにいこう。
◆
僕は花嫁の母親に接触してみよう。
周囲に人のいないタイミングで接近。
折り目正しく一礼、祝辞ついでに話を聞きたいと持ち掛けてみる。
会話中は【友達催眠】を発動し、隔意なく喋って貰おう。
武芸に興味のあるお嬢さんは珍しいですが、殺傷を禁じる辺りとてもお優しい方とも感じました。
お母上の教育が良かったのでしょう。
あそこまでご立派に育てるのに苦労も多かったと思いますが……喧嘩したり意見の食い違った時などは、どうされていましたか?
それと花嫁に選ばれた際、使者が来たと聞きますが……用件を告げる以外に何か変わった事をしていませんでしたか?
●
(「父親をナイナさんが、婚約者をシルさんが連れ出してくれたみたいだな。僕の目的を果たすのに、これ以上の機会はなさそうだ」)
ルウェリン・グウィンリウ(灯火の騎士・g02040)は油断を心から排除するように大きく息をつくと、祝宴を楽しむ娘の姿を遠目に眺めるルナの母親の元へと歩み寄った。
「ルナ・エバンズさんの竜の花嫁への選定、おめでとうございます。僕は闘技大会に参加させて貰ったルウェリン・グウィンリウ(灯火の騎士・g02040)です」
ルウェリンはルナの母親を前に、折り目正しく一礼を。
「よければルナさんの母親であるあなたにも、後学のためにお話を聞かせてもらいたいのですが」
「歓迎しますよ。ルナのために来て下さってありがとう。ちょうど夫の姿が見えなくて、手持ち無沙汰になっていた所なの」
友達催眠を発動するルウェリンに、ルナの母親はまるで友達のように席を進めてくれる。
「感謝します。……早速ですが、武芸に興味のあるお嬢さんは珍しいと思います。殺傷を禁じる辺り、とてもお優しい方とも感じました。お母上の教育が良かったのでしょう」
「あら、お若いのにお上手ですこと」
謙遜するルナの母親に、ルウェリンが「本心です」と微笑を浮かべる。
「あそこまでご立派に育てるのに苦労も多かったと思いますが……喧嘩したり意見の食い違った時などは、どうされていましたか?」
「そうねぇ。これはルナに譲れない部分があって、ヒートアップした時なんかの場合なんだけれど」
ルナの母親は、そう前置きして話し出す。
「そんな時は静かに話を最後まで聞いて、言いたいことを言わせてあげる事かしら。自分の言いたい事、溜め込んできた事を吐き出せば、あの子はあなたの言う通りに優しい子だから、冷静になれるのよ」
(「なるほど。僕でも参考にできそうな部分もありそうだ」)
ルウェリンは内心で思案しながら、問いを重ねた。
「花嫁に選ばれた際、使者が来たと聞きますが……用件を告げる以外に何か変わった事をしていませんでしたか?」
「うーん、どうかしら。覚えにないわね」
「そうですか。時間を割いてくれて、ありがとうございました」
ルウェリンは再度一礼し、立ち上がる。
その背に――。
「ルナの事、よろしくお願いしますね」
母の愛を感じながら。
成功🔵🔵🔴
効果1【友達催眠】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!
アムリタ・アンブロシア
【午睡の月】
◆同行者◆
梵・夜華(g00551)
◆心情◆
お初にお目にかかる、私はアムリタという旅の武芸者。お目通り頂き、恐悦至極。
さて、ルナ嬢は竜の花嫁に抜擢されたと聞き及んだ。人々は押し並べてそれは名誉だと語っている。
だが、人々は竜の花嫁は名誉だと口にするが、「自分が名誉だと思った理由」については、全くと言って良いほど語らない。
故に、ルナ嬢に問う。竜の花嫁が名誉であると考える、その根拠は如何に?
◆方針◆
私も竜の花嫁だった。故に、盲信する心理も一部の者が気付いた違和感も、どちらも理解できる。
声掛けは夜華が、説得は私が行う。パラドクスを出力を弱めて併用し、感情の揺らぎを誘発して、後は夜華に任せる。
梵・夜華
【午睡の月】
◆同行者◆
アムリタ・アンブロシア(g00038)
◆心情◆
こんにちわ、綺麗な人。御日柄も良く、とても、ねむ……じゃなかった、喜ばしい日だ、ね。これ。どうぞ、魔法で作った氷の花。水の代わりに月光を浴びて育つの。(軽い会話から竜の花嫁の話題に触れ、アムリタにバトンタッチ)
(揺らいだら)聞いてみる?他ならぬ、貴女自身に。来るよ?誰よりも自分を理解し、偽れない貴女が。私達も傍に居る。どうか、その声を聞かせて欲しい。
◆方針◆
声掛けは私が行い、説得はアムリタに任せる。揺らいだら、パラドクス(秘密設定参照)展開。訪れる死の姿と対面させ、説得の言葉に現実味を持たせる。名誉への価値観を崩壊させる試み。
シル・ウィンディア
熱い、大切な想いは預かったから、あとは伝えるだけ…
しっかり、まっすぐに、わたしらしく伝えるよ
服装は先ほどと変わらずに、だね
ルナさん、お招きありがとうございます。
竜の花嫁に選ばれたのって、どんな気持ちなのかなぁ。
まずは、お話を聞くことから始めるよ
一通り聞いたら…
ねぇ、本心は、ほんとにそうなのかな?
街の為に犠牲になるって、街の人達の為にっていう想いから、かな?
でも、あなたを大切に思っている人のことは?
悲しむ人はいるんだ
…サイラスさんに聞いたよ
ルナさん、あなたを失いたくない。
あなたを諦めきれないって、言ってたよ。
だから、改めて聞くね
あなたの心からの声は何て言っているの?
ほんとの想い、ぶつけてほしいな
ナイナ・ヴィラネスティズム
服装と立ち居振る舞いは変わらず
言葉と姿勢で礼節を尽くす
お父様からの薦めにてご挨拶に伺いましたの
お招きいただき光栄にございますわルナ様
まずは竜の花嫁に選ばれた事、お喜び申し上げます
竜の花嫁になりご家族とお別れするルナ様の心境をまずは確かめてみる
その心を一時は汲む
それは・・・本当に貴女が望むことでして?
「心から愛する者の隣で花嫁衣裳を着て、夢を叶えた娘の姿を見たかった」というルナ様のお父様の「託されし願い」として伝える
お父様は貴女の幸せを願っていましたのよ
自分の事以上に、ただひたすらにね
死ぬよりも生きていてほしいという願いは無碍にしてもよいものかしら?
今一度聞きましょう
貴女はどうしたいですの?
金刺・鞆
お初にお目にかかります。えと、えと。辺境から参りました、ともと申します。
しっかりとご挨拶をいたしまして、まずはやはり世間話から。大会はご覧になられたのかとか、祝の席ということならば先の得物である扇にて舞をお見せするのもよいでしょうか?
ゆっくりとお話ができそうならば、竜の花嫁についてルナさまの認識を確認していきましょう。
花嫁、とはドラゴンのお子をつくる、です?
竜とはどのようにお生まれになるのでしょう。花嫁さまはどのようにお助けを?
……ご家族には、もう会えなくなるのでしょうか。サイラスさまは新たな佳きひとを見つけられるでしょうか。
誉れあるお役目といえど……それは、ともにはさびしく思えてしまいます。
ルウェリン・グウィンリウ
さて、いよいよご対面だね。
もうドラゴンの所為で不幸になる人は見たくない。
全力を尽くそう。
◆
ルナさんの前に立てば一礼と共に名乗りを。
その後、剣舞を披露して歓心を得よう。
まず先に彼女を説得する人たちを見守る。
タイミングを見てルナさんに近付き、お母さんの助言に従って彼女の言い分を聞き出そう。
全部吐き出し終えたなら、改めて彼女がどうしたいか、名誉よりも何が自分にとっての幸せか、考えて貰うよ。
もし、花嫁たる事を拒んで家族や恋人に累が及ぶ事を懸念するなら
それこそ心配無用と安心させよう。
大丈夫、僕たちは"交渉"に長けていてね。
アイルランドでもドラゴン達の要求を断って退かせた事がある。
きっと力になれるよ。
●
「お初にお目にかかります。えと、えと。辺境から参りました、ともと申します」
「僕の名はルウェリン・グウィンリウ。あなたに対面でき、光栄です」
幾多の段階を経て、遂に果たした竜の花嫁・ルナ・エバンズとの接触。この機を逃す訳にがいかないと、金刺・鞆(虚氏の仔・g03964)やルウェリン・グウィンリウ(灯火の騎士・g02040)らディアボロスが礼を尽くす。
「別荘地まで来てくれて、ありがとう!」
とはいえ、この機会を心から喜んでいるのは、どうやらディアボロスだけではないようで――。
(「ルナさんも楽しみにしてくれていたみたいだね」)
シル・ウィンディア(虹色の精霊術士・g01415)は頭を垂れつつ、手を打って歓迎を示すルナの様子をチラリと伺った。
(「彼女にとって本当に喜ばしい事であるのなら、この笑顔を崩さずに済むのですけれど」)
恐らくは望み薄。少なからず紛糾するだろう先の展開を思い、ナイナ・ヴィラネスティズム(凱閃令嬢・g00383)が笑顔で祝辞を述べるその裏で、小さく嘆息する。
「そういえば、花嫁さまは、大会をご覧になられたのでしょうか?」
だが、より深く話を聞く前に、まずはルナの心を掴む必要があるだろう。
鞆の問いに、ルナは残念そうに首を横に振る。
「いいえ。私はずっとこの別荘地にいたから、見られなかったの。だから、大会で選ばれた皆さんとこうして会える時を首を長くして待っていたのよ」
「むむん、そうだったのですね! ではでは、せっかくの祝いの席ですので、ともが扇にて舞をお見せしても良いでしょうか?」
「あら、その扇は鞆さんが闘技大会で使用したという得物かしら? 話だけは伺っているわ」
「はい、です!」
扇を手に、一歩前に出る鞆。
「彼女の後で、僕も剣舞を披露します。ルナさんに楽しんで貰えるよう、準備してきたので」
そして、ルウェリンも続く。
「まぁ、それは楽しみだわ!」
余程楽しみにしていたのだろう。申し出を二つ返事で快諾するルナの前で、鞆が舞を、ルウェリンが剣舞を。
それぞれ見事という他にない芸で、ルナの歓心を得るのであった。
●
「素晴らしかったわ!!」
舞と剣舞を披露した後、ディアボロス達は褒美としてルナが主催する茶会に招かれていた。
先ほどまでより、互いの距離が余程近い。
「改めて、お初にお目にかかる、私はアムリタという旅の武芸者。お目通り頂き、恐悦至極」
「こんにちわ、綺麗な人。御日柄も良く、とても、ねむ……じゃなかった、喜ばしい日だ、ね」
だが慌てず騒がず、アムリタ・アンブロシア(竜が欲した月の雫・g00038)と梵・夜華(半醒半睡・g00551)が場を移しての挨拶を交わし、軽い雑談から話を広げる。
「どうぞ、魔法で作った氷の花。水の代わりに月光を浴びて育つの」
「まぁ、ありがとう!」
「私も星を見せてあげたかった。けど、さすがにここじゃ、ね」
「星が降る中で舞い踊ったと聞いているわ。とても美しかったって!」
「あの時のアムリタ、綺麗だった」
夜華が語るそれは、闘技大会での話題を中心に。徐々に竜の花嫁の話題へと移行させていく。
やがて機を見て、夜華がアムリタを伺うと、
「さて、ルナ嬢は竜の花嫁に抜擢されたと聞き及んだ」
一度小さく頷いて、アムリタが切り出す。
「ええ、こうして皆さんに会えたのも、そのおかげね!」
「……かもしれないな」
無邪気に喜ぶルナ。
アムリタが、その様子に複雑な気持ちになりながら、先を続ける。
「そして人々は推し並べて、それを名誉と語っている。だが――」
「……」
ここに至り、ルナの表情に一瞬影が差した。
アムリタが、ただルナを祝福しようと語っている訳でない事に気付いたからだろう。
「人々は竜の花嫁は名誉だと口にするが、『自分が名誉だと思った理由』については全くと言って良いほど語らない」
ルナの警戒の視線と、揺るがぬアムリタの視線が交錯する。
「故に、ルナ嬢に問う。竜の花嫁が名誉であると考える、その根拠は如何に?」
「それは――」
問われたルナが口籠る。答えられるはずがなかった。そんなものは初めから存在しないのだから。
(「そして、今のルナ嬢の心境を一番理解できるのは私だという自負もある」)
だからこそ、アムリタの言葉は力強くもあった。
アムリタは、チラリと傍らに佇むミニドラゴンの『ソーマ』を見遣る。そこから微光が漏れ出し、ルナに想定外の異常が出ていない事を確認した彼女は、後の場を夜華に任せる。
「アムリタの問いに答えられないなら、直接聞いてみる?」
端的に、夜華が告げた。
「えっ?」
答えに窮していたルナが、ようやく口を開く。
「他ならぬ、貴女自身に。来るよ? 誰よりも自分を理解し、偽れない貴女が」
「何を、言って?」
「論より証拠」
瞬間、ルナの総身がビクリと震えた。まるであるはずのない未来の姿と遭遇したかのように。
「見えた? あれこそが、未来のあなたの姿。卵を産んで、そして――」
その先を、夜華は口にできなかった。
ルナが震えていたから。
それは恐怖と、同時に自身に染みついた価値観が侵された怒りに起因するもの。
(「当然だな。すぐには受け入れられまい。それは私も分かっていた事だ」)
アムリタと夜華で生み出した感情の揺らぎ。
ついさっきまでなら、洗脳に近い状態にあったルナは、ディアボロスの話を聞こうともしなかったかもしれない。
(「ごめん。少し怖い思いをさせた、ね。でも、きっと貴女は乗り越えられるはず。私達も傍に居る」)
夜華は、ルナの本心を必ず引き出すと、眠り眼の奥に誓った。
●
「花嫁、とはドラゴンのお子をつくる、です? 竜とはどのようにお生まれになるのでしょう。花嫁さまはどのようにお助けを?」
静まり返る場の空気を変えるべく、意を決して鞆が語り掛ける。
「卵を産んで、この命を捧げるの。生まれたお方に私ができる事は……ないわ。ただ、私の家族が大切に育ててくれるはずよ」
「そうなれば、もうご家族には会えなくなるのでしょうか? サイラスさまは、新たな佳きひとを見つけられるでしょうか」
「サイラスは……ええ、彼ならきっと、見つけられるはずよ」
的確に要点をつき、純真な眼差しで問う鞆から、ルナが僅かの間だけ目を逸らす。
「誉れあるお役目といえど……それは、ともにはさびしく思えてしまいます」
されど鞆は、怯まず踏み込んだ。
するとルナが、「そんなはずがないわ!」そう捻り出すように言葉を吐き出す。
「私は竜の花嫁なの! 名誉な事なの! 命を捧げるのは素晴らしい事なの! 皆がそう言うんだからそうなのよ! だってそうでしょう? 偉大なドラゴン様にそうせよと命じられ、他に何が必要?!」
生まれて以降、ルナにとってそれこそが常識であり、当たり前だった。
竜の花嫁に選定される事は名誉。
だから命を捧げて当然。
だがアムリタと夜華を始めに、ディアボロス達がそうではない可能性を絶えず突きつける。
「疑心を呷る様な事をしないで!」
一息に告げるルナ。
(「強い信仰なくしては耐えられない。貴女は今、そう言っているのと同じですのよ」)
ナイナが痛々しいルナの姿を見て思う。それまで積み上げてきたものが根本から覆る恐怖。ナイナはそれをよく知っている。
(「だが、皆のおかげでようやくルナさんが本心の一端を語ってくれた。追い込む様な真似をして申し訳ないが、現状を脱するには必要な事だ」)
ルウェリンが、ルナの母親の助言に胸中で感謝を。助言があったおかげで、勇み足になりかけた己を律する事ができた。
「そろそろ、ルナさんの本心を聞かせて欲しいな」
ルナの心の奥に挑むなら、今!
黙って話を聞いていたシルが、口を開いた。
「本心、ですって?」
「うん。例えば、私はルナさんが、街の為に犠牲になる、街の人達の為にっていう想いから竜の花嫁を受け入れたんじゃないかって思ってたんだけど、そうじゃなかったんだよね?」
「街の人は関係ない。私にとって……私達にとってそれが名誉だからよ」
「うん、じゃあそれはそれとして――」
シルは手始めに、ルナが語った中で、明確な間違いを指摘する。
それは他でもない。サイラスに関する事だ。
「あなたはさっき、鞆さんのサイラスさんに関する問いかけにこう答えたよね。サイラスさんなら、すぐに新しい恋人を見つけられるって。でも、わたしはそうは思わないかな?」
あれ程、熱い想いを聞いたのだ。大切な想いを。
シルはそれだけは、何がなんでもしっかり、まっすぐに伝えなくてはならない。
「あなたが竜の花嫁としての責務を果たす事で、悲しむ人がいるんだ。……サイラスさんに聞いたよ。ルナさん、あなたを失いたくない。あなたを諦めきれないって、言ってたんだよ」
「サイラスが……そんな事を……」
「もちろん、そう思っているのはサイラスさんだけじゃないよ」
シルの視線が、ナイナとルウェリンに向く。
「その通りですわ。私がこうしてルナ様にご挨拶に伺ったのも、ルナ様のお父様の薦めの影響も多大にありましたから」
「パ、パパが、何か……?」
「ええ。今までお話をお聞きして、ルナ様の心境についてはよく理解致しました。そして、その心をお汲みするために一時は黙っておりましたわ」
だが、これ以上黙っている訳にはいかない。
ナイナにルナの意を完全に受け入れさそうとするなら、ルナは家族が語った本当の願いを容赦なく切り捨てる必要が出てくるだろう。
(「そして、貴女にはそれができないと、そう確信を持つに至りましたわ」)
ナイナが、ルナの父に託された願いを伝える。
「貴女のお父様はこう仰っておりましたの。『心から愛する者の隣で花嫁衣裳を着て、夢を叶えた娘の姿を見たかった』と」
「そ、そんな事、パパは私に一度も……」
「言えなかった、という事でございましょう。私達だからこそ、貴女にお伝えする事ができるのですわ。お父様は貴女の幸せを願っていましたのよ。自分の事以上に、ただひたすらにね」
ポツリと、ルナの頬を涙が伝った。
「さて、改めて聞かせてもらおうか」
ルウェリンが、ルナに近づく。
「ルナさんが、本当はどうしたいのか。今でも家族やサイラスさんよりも、名誉が大事だと思っているかな?」
「…………」
沈黙するルナ。
しかし、ルウェリン達は辛抱強く待った。
「もし、もしだよ? 竜の花嫁を拒んで家族や恋人に累が累が及ぶ事を懸念するなら、僕達が全力で力を貸す。僕達の実力に関しては、説明するまでもないと思っている。心配無用だ」
ルウェリンが、剣を掲げて見せる。
やがて、迷いに迷ったルナが、「大切な人を残して死にたくない、生きていたい!」そう口にした瞬間。
真っ先にアムリタが肩の力を抜き、その肩を夜華がポンと優しく叩く。
他のディアボロスの面々の表情にも、安堵の色が浮かぶ。
「大丈夫、僕たちは"交渉"に長けていてね。アイルランドでもドラゴン達の要求を断って退かせた事があるんだ。きっと力になれるよ」
「ほんとの想い、ぶつけてくれてありがとう」
ルウェリンとシルは、涙を流すルナを時間が許す限り勇気づけ、約束を交わすのであった。
●
「ルナさまのお心に、とも達や、ご家族さまのお気持ちが伝わって本当に良かった、です!」
ルナの説得を成功で終えた鞆達。
鞆の視界に映るルナの表情は、どことなく明るいものとなっている気がした。
「ですが、彼女の変化が今後にどのような影響を及ぼすのかに関しては、まだ未知数というのも確かですわ」
ナイナが、今後の展開を思案する。
「ルナの心を変えられたんだ。他のものだって、変えられるさ」
竜の花嫁や関係者。その安寧や希望を一時だけのものにしないため、アムリタ達ディアボロスは準備を始めるのであった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【照明】LV1が発生!
【未来予測】LV1が発生!
【クリーニング】がLV2になった!
【託されし願い】がLV2になった!
【パラドクス通信】がLV2になった!
【飛翔】がLV4になった!
効果2【反撃アップ】がLV5(最大)になった!
【ダメージアップ】がLV4になった!
【ドレイン】がLV2になった!
【命中アップ】がLV5(最大)になった!