リプレイ
黒城・廉也
アドリブ連携可
ウーパー戦士…凄いインパクト…
でも、あの身のこなしは油断できないッス
調達した小舟で応戦するッス
被弾を避けるため直線的な動きは避け蛇行運転を心がける
また【水源】を川の流れに沿うように水流を出現させ加速することで敵の攻撃タイミングを逸らし敵の体勢が崩れた時に全力魔法のパラドクスで攻撃
敵が小舟を狙い、小舟の損傷が激しい場合敵を引き付け、氷王の献花の氷柱で敵を突き刺し叩き落とす
サーフボードのようなものを奪い戦闘継続
叩き落しても川の流れに阻まれそう等の場合鋼魔鉄線でサーフボードのようなものを絡めとるッスよ
持ち前の軽業で乗りこなすッス
奪い取った後の戦闘は小舟使用時同様被弾避け重視の作戦
高遠・葉月
アレンジ、共闘歓迎。
(サーフボードを新宿島から持ち込みつつ)
サーフィン何かやったことないわ
…まあ、なんとかなるでしょう
味方と共闘しつつ戦闘。
最初は長槍を櫂の様に補助しつつよたよたしてるけどなんとか慣れつつ波に乗る
…サーフボードの方の耐久性の方が心配だわ。
(思案顔)…うん。よし。大丈夫そうじゃないなら大丈夫なヤツ奪えばいいのよ(山賊思考)
ざーっとウーパー戦士の1匹に波に乗りつつ突っこんで【ジャンプ】からの【怪力無双】を載せたナイツグリーヴでパラドクスを込めたドロップキック。
ウーパー戦士の波乗り板を奪って戦闘を継続する。
以降は長槍を振りつつ戦闘し乗り物がヤバくなったら同じ要領で乗り物を奪っていく
シアン・キャンベル
偽りの女神を落とさねばならない、我等には真なる神が不可欠なのだ――秩序よ、平穏よ。
成程――厄介な連中だな。先に奴等を引き付けて道を拓くべきか。サーフボードとやらを用意する。否、目の前に在るではないか。
使い魔を精神攻撃、浄化で退けつつウーパールーパー一体に飛天流星脚(とびげり)だ。落とせたならば残るはサーフボード。これを奪えば問題ないだろう?
あとは『繰り返し』だ。相手が慣れてきて躱されそうなら少しタイミングをズラそう。翅を上手く動かせたら滞空も出来る筈
さて、数を減らす事に集中しようか。私の脚力は貴様等の筋肉に平する。
隙を突かれたら如何するのか。嗚呼、蛆鞭で牽制としよう。貴様の脳髄を改めるのだよ。
●
波打つ川面に木製のカヌーがぐらりぐらりと不安天に揺れる。黒城・廉也(後輩サキュバス・g02175)は櫂を力いっぱい漕いで氾濫するナイル川の濁流に抗っていた。
廉也の操るカヌーの後を3メートルほどの高さの波が追いかけてきている。その波の上にはサーフボードに乗ったウーパー戦士たちの姿があった。
現在、カヌーは濁流となったナイル川を猛スピードで下っている。それを大波の上のウーパー戦士たちが追いかける形だ。
だから進行方向に目を向けている廉也に背後の様子は見えない。そこで廉也はカヌーに同乗しているシアン・キャンベル(妖蟲・g01143)に指示をあおぐ。
「シアンさん! 敵さんの出方はどうッスか?」
「ナイルは汚泥に塗(まみ)れ、間近にかかる偽りの女神の尖兵どもの息が臭くて堪らない。傲慢な愚者に深慮は無いだろう。無知蒙昧(のうきん)の水槍は目の前の餌に飛びつく畜生だ。平穏(ホテプ)に身を委ね、在るべき道を選択せよ」
「了解ッス! 敵が射程内に入って、考え無しに真っ直ぐ水槍を撃ち出してくるんッスね? それなら確かに落ち着いて的を絞らせ無ければかわせそうッス!」
「今ので通じちゃうの!? ま、まぁ……わたしにも言いたいことは何となく分かるけどね」
廉也とシアンのやり取りに、高遠・葉月(猫・g04390)が感心したような呆れたような顔をする。
冒涜系美人のシアンのちょっと個性的なコミュニケーションも仲間には問題なく通じるようだ。
「っと、それよりも……来るわよ、2人とも!」
表情を引き締めた葉月は2人に声を掛けると、手に持った魔力製の長槍を櫂がわりにその場を離れた。
葉月は廉也たちのカヌーに搭乗せずに、新宿島から持参したサーフボードに乗っていた。ただしサーフィンなど一度もやった事は無いようで、長槍でバランスを取りつつ只今サーフィンの練習中といった所だ。
廉也もカヌーを葉月とは反対方向にスライドさせた。
直後、飛んできた水槍が数本、先程までいた場所に突き刺さった。
さらに続けて水槍が飛んでくる。
「そう簡単には当たらないッスよ!」
カヌーがジグザグに蛇行して水槍をかわし続ける。
「だこううんてんなんて、ひきょうなまねをー」
「揺蕩(たゆた)う揺籠は安寧を齎(もた)らす。愚か者共の脳髄は肉が充満しているのだな……嗚呼、それにしても目が廻(まわ)る」
癇癪をおこしたウーパー戦士たちを尻目に、シアンは嘲るように口の端を釣り上げた。
……左右に揺れるカヌーの上で、上半身がブンブンと振れるがままの状態であるが。あと、顔色がいつもにも増して悪い。
「ええーい、つかいまども、やっちまえっぱー」
ウーパー戦士の号令で、彼らの使い魔である大量のウーパールーパーがカヌーへと襲いかかった。
水槍と違い、使い魔たちはカヌーの左右の動きにも惑わされずについてくる。
「これは……ちょっと不味いッスよ」
カヌーを取り囲む使い魔を見て、廉也の頬に冷や汗が垂れる。
ジリジリと包囲を狭めるウーパールーパー。すると、それまでカヌーに腰掛けていたシアンがゆらりと立ち上がった。
「余りの生臭さに息が詰まって仕方がない。早急に換気が必要だよ」
深淵の闇のようなシアンの漆黒の双眸と、彼女の纏う異様な雰囲気が使い魔たちの動きを止める。
「秩序(アザトート)よ平穏(ホテプ)よ——ッ!?」
シアンが何かを言いかけた途端、彼女はぐらりとふらつき、前屈みにうずくまった。
「大丈夫!? シアンさん!」
突然の異変に葉月が声を上げる。
顔を俯いたままのシアンの身体は小刻みに震えていた。
「……ウップ……ゲフッ、ゲフッ」
そして、シアンは大きく嘔吐(えず)いた。
次の瞬間、彼女の口からキラキラと輝くモノがナイルの川面へと落ちていった。
「えっ、もしかして……酔っちゃったの?」
「ま、マジッスか……」
絶句する葉月と廉也。そして、突然の嘔吐にドン引いて、包囲の輪を弱める使い魔たち。
冒涜系美人改め胃弱系ゲロイン。これも『精神攻撃』スキルの高レベル保持者でもあるシアンの隠された個性……なのかもしれない。
●
「ふざけてるんじゃねぇよ、ぱーッ!!!」
頭から真っ赤になった怒りのウーパー戦士たちが、大波の上から飛び降りてくる。
「やっと向かってきたわね。接近戦なら、このわたしが相手になるわ!」
長槍をブンブンと振り回し、葉月がウーパー戦士たちを迎え撃つ。
「ひんじゃくそうな、もやしむすめがー。わがきんにくのさびになるっぱー」
ほっそりとした葉月を見て嘲るウーパー戦士。
だが、飛び込んできたウーパー戦士のパンチを、葉月はガントレットを具現化させた両手で握る槍で、がっしりと受け止めてみせた。
「そのからだで、このきんにくをうけとめた、だとぉー」
「そろそろサーフィンにも慣れてきたからね。こんな油断し切った攻撃、どうって事ないわ!」
葉月の腰まわり程はあるウーパー戦士のマッチョな二の腕の一撃を受け止めても、葉月はビクともしなかった。
葉月の筋力は見た目通りでは無い。
さすがのウーパー戦士もそれを感じ取り、複数人で取り囲んで葉月を攻め立てていった。
葉月とウーパー戦士たちは、波に乗りながら大太刀回りを演じる。一進一退の攻防が続く中、ウーパー戦士がニヤリと笑った。
「どうやらおまえのあしもとはげんかいのようだっぱー」
激戦と激流の中で葉月の足元のサーフボードは壊れかけていた。
勝ち誇るウーパー戦士。しかし、少し俯いていた葉月は顔を上げるとボソリとつぶやいた。
「……うん。よし。大丈夫そうじゃないなら、大丈夫なヤツを奪えばいいのよ」
目をキランと鋭くさせた葉月が足元のサーフボードから飛び上がる。
「このっ!」
目の前のウーパー戦士へ飛び蹴りを喰らわせる。突き出した足に一瞬重厚な甲冑が具現化した。
吹っ飛んだウーパー戦士が着水する。
「さあ、まだまだやれるわよ!」
葉月の足元にはウーパー戦士から強奪したサーフボードがあった。
●
一方のシアンと廉也の周りにもウーパー戦士たちが迫っていた。
被弾しボロボロになったカヌーの上で廉也とシアンは互いに頷きあう。
「ふねごとないるにしずめっ、ぱー!」
頭上からカヌー目掛けて突っ込んでくるウーパー戦士。
シアンと廉也は迷う事なくカヌーから飛び出した。
「そのカヌーはアンタにあげるッス——『氷王の献花(グレイシア・ブルーム)』」
カヌーの床下から水が噴き上がり、カヌーを粉砕しウーパー戦士を包み込んだ。
刹那、水が凍りつきウーパー戦士が閉じ込められた氷柱がナイルの水底へと沈んでいった。
「かわりにこいつは貰っていくッス」
廉也の手が鉄線を巻き取る。鉄線の先には敵が使っていたサーフボードが巻き付いていた。
攻撃の瞬間、廉也が足元から奪い取ったものであった。
ブブブブブと背中の羽を震わせ、手近なウーパー戦士へ飛天流星脚(とびひざげり)を繰り出すシアン。
「無い足元を嘆くより他者から奪えば良い。脳筋(シンプル)な解答に真実は存在する」
シアンの膝がウーパー戦士の顔面にめり込み、気絶した敵がボチャンと水面に落ちた。
「偽りの女神(かば)を落とさねばならない、我等には真なる神が不可欠なのだ――秩序(アザトート)よ、平穏(ホテプ)よ」
奪ったサーフボードの上から、再び身近な敵へと飛び込んでいくシアンであった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【水源】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
【落下耐性】LV1が発生!
効果2【ラストリベンジ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV2が発生!
積商・和沙
ああいうのって、クロノヴェーダの間で流行っているのかしら?
私の故郷にもいたわよね、カボチャだったけど。
さて、まず第一に言っておくわよ。
理数系の私がサーフィンなんてやったことがある訳ないじゃない。
そうよ、アンテナが行けばいいのよ。
空を飛んで、サーフィンをして、電気を出すキャラクターは人気らしいのよ。
アンテナが行けば万事解決・・・な訳ないわね。
初心者にこの荒波は無茶な気がするわ。
とりあえず、サーフボードから落ちないようにバランスを取ってってこんな時に押してきたのはどこのどいつよ。
攻撃だから仕方ないって、人が必死にバランスを取っているってのにやりたい放題して、これでもくらってなさい。
無限爆心撃。
メルサンク・トトメス
アドリブ・連携可
川上に控えるタウエレト・マーを目指してウーパー戦士と戦うよ。
加護を受けている存在はキミたちだけじゃないんだ。それを証明してあげる。
ネフェルトゥム(パラドクス)の加護である神の睡蓮の葉の上を駆け抜けて戦う。
使い魔のウーパールーパーは神の睡蓮に妨害されている。
神の睡蓮は使い魔のウーパールーパーに妨害されている。
さあ、かかっておいでよ。パラドクスなんて小賢しいことなんてしないでさ。
足を止めて殴りあう。
一発殴って一発殴らせるスタイルで殴りあう。
キミ、強いね。ボクも楽しくなってきたよ。
ネリリ・ラヴラン
そもそもウーパールーパーって可愛いのかが疑問だけど、少なくともあの子達は可愛くないのは解るよ。
どうしてクロノヴェーダさん達は時々美的センスが崩壊するのかしら。
空気を抜いて持ち運べる小型のゴムボートを持ち込むよ。
電車の中で膨らませておこうね。漕いで移動しても遅いけど足場にはなるかな。【水面歩行】が借りられるなら波を穏やかにして転倒防止。
狙いは”潰えし願い”を使って水面を含んだ範囲を氷点下にする事だよ。倒せちゃえば一番だけど、温度変化させて氷面を作り出せるかやってみるわ。敵も動き難くしちゃえば条件は互角ね。
【使い魔使役】は期待薄いけどナイルならカバがいたら引っ張って貰おうかな?でも、遅そう…。
●
戦場に到着する新手のウーパーサーファーたちと、援軍のディアボロス。
氾濫するナイル川を舞台に激戦は続いていた。
迫るむさ苦しい筋肉をいなしつつ、積商・和沙(四則演算の数秘術師・g02851)はため息を吐き、隣で戦うネリリ・ラヴラン(★クソザコちゃーむ★・g04086)に少し疲れた顔を向けた。
「こういうのって、クロノヴェーダの間で流行っているのかしらね? 確か私の故郷のTOKYOにもいたわ……カボチャだったけど」
和沙の言う『こういうの』とはマッチョの事のようだ。
ネリリはコテンと首を傾げて少し考え込むと、おもむろに口を開いた。
「うん、クロノヴェーダさん達って、時々美的センスが崩壊するよね。なんでだろ? そもそもウーパールーパーって可愛いのかが疑問だけど、少なくともあの子達は可愛いさの欠片もないよ……」
ゲンナリと顔を顰めるネリリ。視界を埋める真っピンクの筋肉にテンションは駄々下がりであった。
「われらのきんにくにてきはないっぱー」
そんな和沙とネリリの会話に割り込むように筋肉……もとい、ウーパー戦士が飛び込んでくる。
慌てて距離を取ろうとする和沙に対して、ウーパー戦士はあっさりと先回りして、華麗なポージングを決める余裕を見せつけた。
「ちょっとっ、私は理数系なのよ! アンタたちみたいな脳みそまで筋肉の体育会系とは人種が違うの! サーフィンだって今回が初めてなの! ちょっとは手加減しなさいよ!」
「ぎゃーぎゃーへりくついうなっぱー」
強気にわめき散らす和沙にウーパー戦士は呆れた目を向ける。
「そうよ、アンテナにこの場は任せるわ!」
名案とばかりに手をポンと叩き、和沙はモーラット・コミュの『アンテナ』を召喚する。
「いい? 空を飛んだり、サーフィンしたりする電気を出すキャラは人気者なのよ。アンテナは電気を出せるんだから、ここで頑張って、アンテナも波に乗りなさい!」
嫌がるアンテナを敵の前面に押し出そうと和沙は説得を続ける。そんな和沙にウーパー戦士は問答無用でパンチを繰り出した。
「この筋肉ダルマッ!」
和沙は何とか魔力障壁を張って敵の攻撃を受け止める。
だが、不安定な足元のバランスを取るのに必死で反撃など行える状況ではない。
「これだからあたまでっかちはだめだめだっぱー。むねがまったいらなのも、むだにおもいあたまにえいようがいってるせいかー?」
「何ですって!?」
調子に乗ったウーパー戦士の煽りに屈辱で和沙の顔は真っ赤に染まっていった。
●
ピンチに陥っている和沙を間近に、ネリリもまた周囲をウーパー戦士に囲まれていた。
新宿島から持ち込んだゴムボートに乗っているネリリ。
ウーパー戦士の放つ水槍は櫂を漕いで間一髪で避けている。たが、波打つ水面にボートが転覆しないようバランスを取るのに精一杯で、得意の魔法を繰り出す余裕がない。
「ボートの操作をカバさんに任せられたら良かったのに」
ネリリの眉尻が下がる。
『使い魔使役』でナイルの野生のカバを使役しようとしたが、普通の動物は氾濫する川から逃げ出した後のようで今回は何も見つからなかった。
「まあ、ダメ元だったから、仕様がないよね?」
今は戦闘中だと気持ちを切り替える。生来のお気楽さも加味したポジティブ思考で、これから訪れるはずのチャンスを逃すまいとネリリは前に向き直った。
そして——。
「加護を受けている存在はキミたちクロノヴェーダだけじゃないんだ」
そのチャンスは——。
「それを証明してあげる」
すぐに——訪れた。
●
「𓋴𓊪𓂧𓂻𓏻𓋴𓇋𓅓𓈖𓎛𓄡𓂻𓂧𓃀𓃬𓏟𓎼𓂋𓊪𓃬𓀜𓂋𓈖𓎡𓎼𓀜𓋴𓇋𓋴𓈖𓈙𓍿𓅜」
メルサンク・トトメス(𓌸𓋴𓋹𓁐𓅝𓄠𓋴・g03837)の穏やかな言の葉が戦場に響いた。
すると、祈りの姿勢の彼女の足元から放出されたパラドクスによる加護が荒れ狂うナイルを鎮めていく。
彼女を中心に鏡のように平らな水面が広がり、その上に神の睡蓮がゆっくりと花を咲かせていった。
それはどこか厳かで神々しく神秘的な光景であった。
祈りを止めたメルサンクが穏やかな水面に立つ。
「『𓄤𓏏𓍃𓋃』はボクたちの願いを聞き届けたよ。さあ、反撃といこうか」
目を瞬かせるネリリと和沙に向かってメルサンクはニッコリと笑った。
●
メルサンクの駆け出した方向に向かって、揺れる川面は道のように波を鎮めていく。
同時に飛石のように咲いた神の睡蓮の葉の上をメルサンクは素早く駆けていった。
メルサンクは猛スピードでウーパー戦士の放った使い魔の噛みつき攻撃を掻い潜っていく。
「さあ、かかっておいでよ。そんな小賢しいことなんてしないでさ!」
敵の懐に潜り込んだメルサンクがウーパー戦士の顔面にパンチをぶち込んだ。
そしてその場で立ち止まり挑発的な眼差しを目の前の巨漢に向ける。
「今度はそっちの番さ、ボクは避けないよ」
「いいどきょうっぱー!」
意図を理解したウーパー戦士がその拳を振り上げる。
互いに一発殴って、そして一発殴らせる。
先に動けなくなった方が負け。
「キミ、強いね。ボクも楽しくなってきたよ」
敵の拳をおでこで受け止めたメルサンクの目の奥でギラギラとした炎が滾っていた。
●
ネリリは揺れなくなったゴムボートの上に立ち上がる。
そして、呆気に取られるウーパー戦士たちを横目に両手を天に掲げて魔法を行使した。
「『潰えし願い(ブレイン・フリーズ)』!」
目を瞑り、効果範囲を指定する。
魔力を練り、自身を中心にした広範囲を指定。
全力全開の魔力で、周囲に猛吹雪を顕現させた。
「さ、さむいっぱー」
パラドクスの吹雪によって半裸のウーパー戦士たちはガタガタと震え出した。
極寒の吹雪によって、ウーパー戦士のマッチョな筋肉とナイルの川面にもうっすらと氷が張っていく。
「『水面歩行』無しでこの氷の上を歩くのは……うん、ちょっと不安だね」
薄氷の張った水面を確かめて、ネリリはコクリと小さくうなずく。
「でも、敵にダメージはしっかり通ってるみたいだし、あとひと頑張りね!」
急速に極低温化した世界で、脳の筋肉まで縮こませてしまったウーパー戦士たち。
そのヘロヘロな様子を満足そうに見やり、ネリリは追加の魔力をパラドクスに込めていった。
●
「フフフ、足元さえしっかりすれば、いいようにやられたりしないわよ!」
怒りの和沙の背中から魔力の翼が大きく広がった。
形勢が逆転し豹変した和沙を前に、ウーパー戦士たちは目に見えてたじろぐ。
「人が必死にバランスを取っているってのにやりたい放題、そして言いたい放題……あんた達、覚悟はできてるんでしょうね!!」
怒りのマークが浮かび上りそうな程の和沙の声。
ここまで和沙が受けた屈辱が怒りの魔力となって『∞』の循環を開始した。
「誰の胸が薄いですって!!! 『無限爆心撃(インフイニティア・エクスプロージョン
)』!!」
「うぎゃあああああ!?」
全力で放たれた怒りの魔力がウーパー戦士たちを吹き飛ばした。
●
激戦はディアボロスたちの勝利に終わり、ウーパー戦士たちはナイルの川底へと消えていった。
「いやぁ、いい勝負だったよ」
「ちょっと、大丈夫なの!?」
「うわぁ、痛そう……」
顔がパンパンに腫れているメルサンクに和沙とネリリは心配そうに声を掛ける。
「まあこれくらい、少し休めばすぐに回復するよ」
明るく笑うメルサンクに和沙とネリリは肩をすくめた。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【照明】LV1が発生!
【水面歩行】LV1が発生!
【使い魔使役】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV3になった!
シアン・キャンベル
もう二度と乗らない、そう私は自身に誓おう。あと酔い止めの薬は予め服用する。エチケットも忘れない。兎に角――気分の悪さを浄化(花の良い香り)で拭いつつ、奪ったサーフボードで女神(贋物)一直線だ。何、先程よりも波が激しい場合……?
少しくらいの嘔気は我慢だ。私は女神(やつ)の脳天にアイデアを叩き込むまで揺らがない
大丈夫だ――ジャンプを駆使して肉薄、貴様の脳内を晒し給え。夢こそが現、秩序は此処だ――攻撃されそうならサーフボードに戻る
隙を見てネメシスを切る。蝿の目だと余計に悪化しそうだがな
もしも可能であれば罠使いで捕縛を試みる。他の復讐者が戦い易いよう、布石を
さて――河馬の頭蓋の内側は何色だったか
積商・和沙
く、さすが女神を名乗るだけあるわね。
アレと比べられたら私の方が小さいのはしょうがない事よ。
それにこれから大きくなるんだから。
さて、私としたことがすっかり失念していたわ。
飛んではいけないから考えなかったけど、私にはこの魔力の翼があるのよ。
両腕と翼の両方が使える私はサーフィンでバランスを取ることにはアドバンテージがあったってことよ。
女神からの攻撃を躱すほどの芸当を私ができるはずはないから、魔力障壁でしっかり防御することに専念して、超!機械音痴で攻撃よ。
ネリリ・ラヴラン
氷でも、手下さん達を止めるまでは行かなかったし、タウエレトさんなら平気で襲って来そうね…だったら、こっちも動かなくちゃいけないね。
【水面歩行】で波を鎮めた水面上に【水源】で流れを作り直して、ゴムボートを進ませるよ。【ダンス】で鍛えた体幹があれば一応立ってバランスは取れるかな?どのみち素早く動くのは難しいから、遠くから狙うようにするわ。
小細工みたいなのは、おしまいだよ。タウエレトさんっ。
やる事は単純だわ。直接近づいて狙いに行かないで、遠巻きに位置を変えながら皆の攻撃にやり返す時を狙って【高速詠唱】。連続で撃つのは今回考えずに【全力魔法】で”黒の衝撃”を放つわ。
アドリブや連携は歓迎だよ。
ア・ンデレ
アンデレちゃんがきた。
サーフボードにのってきた。
ざぶんざぶん。
アンデレちゃんはパラドクス「龍神変」のこうかで、リューロボロスちゃんのつのがはえて、つのが5ほんになる。
その5ほんのつのからはなたれるエネルギーがはかいこうせんとなって、カバにおそいかかる。
このこうせんのパワーはアンデレちゃんだけのパワーじゃない。
リューロボロスちゃんのパワーものっているんだ。
これぞあいのパワー!
カバがよわってきたら、カバにちかづいていって、5ほんのつのをカバにつきさす。
そしてそのまま、はかいこうせんでとどめだ。
ただでさえつよい、はかいこうせん。
ゼロきょりでくらってたえられるはずがない。
●
「愛し子たちは敗れましたか……」
ナイルの川面。
静かに瞑目していたタウエレト・マーが目を開けば、下流から近づいてくるディアボロスたちの姿が見えた。
ナイルの川底へと沈んでいった彼女の眷属たち。
追い詰められつつあるはずのタウエレト・マーであったがその佇まいに焦った様子はなかった。
「ですが、この女神タウエレトの敵ではありません」
それは彼女が絶対的な存在(エンネアド)であることの自負なのか。
それとも驕りか——。
「その力如何程のものか、見せてご覧なさい……ディアボロス!」
神との戦いの火蓋は切って落とされようとしていた。
●
「わわわっ、これがジェネラル級クロノヴェーダさんの実力なのね!?」
ネリリ・ラヴラン(★クソザコちゃーむ★・g04086)がゴムボートの上でたたらを踏む。
ネリリの視線の先。タウエレト・マーを中心にまるで大蛇が鎌首をもたげたような大波が断続的に発生していた。
ネリリと敵との距離はまだまだ離れている。さらに『水面歩行』の効果によりネリリの足元のゴムボート周辺の水面は平らで波による転覆の心配はなかった。
にも関わらず、大波によって川の水かさは目まぐるしく変化し、ネリリのゴムボートの周りも水面は平らなまま数メートルの激しい上下動を繰り返すような状況であった。
何とかゴムボートの上でバランスを取るネリリの横。
「く、さすが女神を名乗るだけあるわね……」
積商・和沙(四則演算の数秘術師・g02851)が力なく呟く。
ネリリが和沙へ顔を向ければ、気圧されたように顔を強張らせる彼女の姿があった。
様子のおかしな和沙にネリリが何か声をかけようとした途端、和沙の視線は一度自分の胸元に向かい、再びタウエレト・マーへと向けられた。
「アレと比べられたら私の方が小さいのはしょうがないわ……」
和沙の視線の先をよく見ればタウエレト・マーの身体の一点、大波に揺られる胸の豊かな双丘に注がれている。
「それに、これから大きくなるんだから!」
「……和沙ちゃん、気にしてたんだね」
そんな2人のすぐ側で、シアン・キャンベル(妖蟲・g01143)は青白い顔を普段よりもさらに青くしていた。
「過ちて改めざる是を過ちという。私は自身に誓った、既に然るべき手段は講じた、嘔吐袋(エチケット)も忘れない、もう大丈夫だ……ウップ」
酔い止めの薬は飲んだ。
気を紛らす花の良い香り(フローラル)も身につけた。
……にも関わらず脳髄を揺さぶる絶え間ない上下動はシアンの貧弱な胃にダメージを与えてくる。
喉を逆流する憤怒(胃液)を堪え、シアンはエチケット袋をクシャリと握り潰す。
「アンデレちゃんがきた。サーフボードにのってきた」
盛り上がった大波の上。
ア・ンデレ(すごいぞアンデレちゃん・g01601)はデデーンと効果音が鳴る勢いで仁王立ちをしていた。
「ざぶんざぶん」
顔にはニッコニコの笑顔。
効果音を自分の口で言って、サーフボードで波の上から滑り降りて、タウエレト・マーへと向かっていく。
「アレの大きさで勝負は決まらないわ」
「大丈夫だ。私は女神(やつ)の脳天に引導(アイデア)を叩き込むまで揺らがない……ェップ」
和沙とシアンもサーフボードでア・ンデレの後に続く。
「みんな、どんな時もマイペースだよね」
ネリリが思わず苦笑を漏らす。
敵は格上のジェネラル級。
そんな強敵を前にしてもディアボロスたちは緊張することなく、それぞれの自然体で対峙する。
そして、それはネリリにもいえる事。
「小細工みたいなのは、おしまいだよ。全力でぶつかっていくからね」
強敵との戦いを始めた仲間たちを見やり、ネリリもまたいつも通りの顔で魔術の構築を始めた。
●
「アンデレちゃんはしっている。3ぼんつののアンデレちゃんはつよい。5ほんつののアンデレちゃんはもっとつよい」
ア・ンデレの頭の3本の鬼の角。
そして、パラドクス『龍神変(ドラゴントゥゲザー)』を発動したア・ンデレの左右の側頭部から竜のものと思える黒く太い角が生えた。
「はかいこうせん」
身を屈めたア・ンデレが5本の角をタウエレト・マーへと向ける。角がバチバチと明るく光り、発生したエネルギーは一条の光線となり敵へと放出された。
「このこうせんのパワーはアンデレちゃんだけのパワーじゃない。これぞあいのパワー!」
タウエレト・マーへと飛び込んだ光線が弾けて、周囲を白く染め上げる。
「……この程度、どうという事はありません」
白い視界の中で響くタウエレト・マーの声。
光が収まり、反撃とばかりに放たれた一撃がア・ンデレを襲い、水面から噴き上がった水飛沫がア・ンデレの姿を飲み込む。
「たわいも無い……」
そう口にするタウエレト・マーであるが、破壊光線が直撃した肩口は焼け焦げ、うっすらと煙が上がっていた。
それは「この程度」と軽口で済ませる程度のダメージでは無いように見えた。
「強がりは見苦しいわよ!」
すかさず和沙がタウエレト・マーに接近する。ウーパー戦士との戦いでは拙さを見せていた和沙であったが、ここに来てサーフボードを完全に自分のものにしていた。
「私としたことがすっかり失念していたけど、翼で飛べなくてもバランス取りには使えるのよね。このまま突貫するわよ!」
左右に大きく広げた魔力の翼。和沙は体勢を崩す事なく、タウエレト・マーの迎撃の光弾を障壁でガードしながら接近していく。
ダメージを追いながらも至近距離まできた和沙が手の中の『改造スマートフォン』を振りかぶる。
普段は鈍器としての役割を果たす愛用のスマホであるが、今回は一味違った。
「『超!機械音痴(ファクトリアルブレイク)』」
和沙の手によってショートしたスマホから弾け飛んだ電撃がタウエレト・マーの全身を駆け巡る。
痺れで動きの止まったタウエレト・マー。
そこにネメシス形態に変貌したシアンが飛び込んだ。
「貴様の脳内を晒し給え。夢こそが現、秩序(アザトート)は此処だ——」
頭部を蠅の頭へと変化させたシアンが、タウエレト・マーの頭部を両手で抱え込む。
「さて――女神(河馬)の頭蓋の内側は何色だったか」
パラドクス『君の頭の中に蔓延った、冷たくて心地の良いアイデア(シャッガイ)』を発動させて、その精神への冒涜的な攻撃を開始する。
「ッ無礼な!?」
タウエレト・マーが組みついたシアンを振り解く。
その苦しそうな表情から小さくない精神ダメージを負ったことが分かる。
タウエレト・マーはふらつきながらもその両手を天に掲げて、その内なる力を昂らせていく。
「……あなた方に神の裁きを与えましょ——」
そして、その刹那。
「させないわ、タウエレトさんっ!」
水飛沫を上げて飛んできた漆黒の矢がタウエレト・マーを撃ち抜き、爆発四散した。
●
動こうとしたタウエレト・マーに先駆けて、ネリリはパラドクス『黒の衝撃』を放ってみせた。
接近戦を挑む仲間を横目に機をうかがい、ここぞというタイミングを狙った全力の一撃である。
「ッ痛……でも、タウエレトさんにもダメージを与えたはずよね」
すかさず飛んできた反撃にネリリは顔をしかめつつ、タウエレト・マーへと意識を集中させる。
「……なるほど、愛し子たちが敗れたのも納得ですね」
神妙な顔のタウエレト・マーの全身にはネリリの与えた傷が広がっている。
ここまで、彼女へのダメージは着実に積み重ねられていた。
だからなのだろう——。
「貴方達の実力に敬意を示し、この場は引きましょう」
ここで万が一があってはならない。
タウエレト・マーはこの場からの撤退を決意——。
「なにいってんだ、このかば!!」
タウエレト・マーが踵を返そうとした水面からア・ンデレが姿を現し、その5本の角を豊満なお尻に突き刺した。
「このばーかっ!!!」
そして、ゼロ距離からの破壊光線が炸裂した。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【現の夢】LV1が発生!
【操作会得】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
【ラストリベンジ】がLV2になった!
高遠・葉月
アレンジ、共闘歓迎。
さて。波乗りには慣れてきたけれど、遊びに来たわけではないしね。
この場で叩き伏せるのは難しいにしろ痛手は負ってもらうわ。
…………とは言うものの。無理に近づくと波が荒くなりそうね。
近づくのが困難ならこの高波を利用して騙し討ち、ね。
(タウエレト・マーの位置を常に把握。高波が来たら波に乗らず真っ直ぐ並に向かいひゅんと槍を一振りして投擲姿勢。)
「貫けっ!ペネト…レイターッ!」
(発射位置を並で隠しつつ【怪力無双】を載せたパラドクスで攻撃。どぱん、と波を貫いて槍を投げつける)
「ぷわっ。っとと危ない」
(投げた後はどぽんと落水しつつウーパー戦士から奪った波乗り板にしがみついて溺れるのを回避)
黒城・廉也
アドリブ連携歓迎
とりあえず奪ったサーフボードで戦闘継続ッス!
…意外と使いやすいッスね、これ
荒波は大変だけど乗りこなせばその分スピードや回避においてこちらにメリットがあるッス
引き続き、身のこなしを活かした軽業で乗りこなすッス!
万が一叩き落とされそうな時は【水面歩行】に切り替えるッスよ
波に乗りつつチャンスを待つッス
下手に近付くより的確、確実に攻撃を当てる形にしたいっスね
隙を見つけたら全力魔法の誘惑の弾丸を一直線に発射ッス
荒波に阻まれても相手を貫けるほどの威力を込めた弾丸をお見舞いするッス!
●
「この女神タウエレトをここまで虚仮にするとは……」
ア・ンデレの攻撃を何とか凌いだタウエレト・マーは屈辱に顔を顰める。
だが、これ以上の戦闘はリスクが大きくなる。
再びその場から離脱しようとしたタウエレト・マーの顔先を魔力の弾丸が掠めていった。
「おっと、そう簡単に逃しはしないッスよ」
魔力弾の放たれた先。黒城・廉也(後輩サキュバス・g02175)がタウエレト・マーの行く手を遮るようにサーフボードで波間を滑走する。
「そういうこと、この場で叩き伏せるのは難しいにしろ痛手は負ってもらうわ」
廉也とは反対方向、高遠・葉月(猫・g04390)もまた手慣れた様子で波を乗りこなし、タウエレト・マーの逃走の邪魔をする。
廉也と葉月、そして他の仲間たち一丸となった包囲により、タウエレト・マーはディアボロスの追撃を中々振り切る事が出来ない。
時間の経過と共に、それまでどこかに余裕の見えたタウエレト・マーの様子に、苛立ちの色が見え始めた。
「神の怒りを……その身に受けなさい!」
それまでとは違う地の底を這うような低い声がタウエレト・マーの口から漏れ出る。
同時にタウエレト・マーの内部で膨れ上がるパラドクスを感じ、廉也や葉月たちの背中に冷たい汗が流れた。
「ちょっと、コイツはヤバイッスよ!」
「わわわわっ、ちょっと何これぇ!?」
廉也と葉月が慌ててタウエレト・マーから距離を取った瞬間。
タウエレト・マーの手から放たれた激流が彼女の周囲を無差別に飲み込んでいった。
●
叩きこまれた激流が視界を埋め尽くす。
その流れに飲み込まれれば、そのままナイルの川底に引きずりこまれかねない程の一撃。
そうはさせまいと、廉也と葉月は必死に抗った。
そして——激流は下流へと去っていった。
「……流石はジェネラル級ッスね」
ポタポタと前髪から垂れる水滴を気にする余裕もなく、廉也はダメージで震える足腰に喝を入れて、水面の上に立つ。サーフボードは激流に飲み込まれてしまった。
「でも、何とか耐えたわよ!」
同様に水浸しの葉月も、倒れそうになる身体を気力で支えて顔を前に向ける。
「今の攻撃に耐えますか……忌々しい」
大きな波の上に立つタウエレト・マーが廉也と葉月を冷たい視線で見下ろす。
「ですが、貴方たちもここまででしょう」
そう言うと、タウエレト・マーの足元の波が崩れ、その大波が廉也と葉月の方に向かって静かに動き出す。
もはや立っているのもやっとな廉也、踵を返して大波の向こうに消えようとしているタウエレト・マーを見やり、悔しそうに口元を歪める。
「廉也さん……このまま逃すのは何だか癪じゃない?」
葉月の声に廉也が振り向くと、そこには葉月の真剣な顔があった。
葉月は迫る大波を真っ直ぐに見つめていた。
廉也も大波に向き直り、コクリと頷く。
「そうッスね……うん、すっげぇムカつくッス!」
「だよね! だからさ……」
葉月が自らの右手に魔力を集めていく。
集約された魔力は投擲槍を形作っていった。
「了解ッ、最後まで足掻くッスよ!」
廉也が両手を前に突き出す。
左右の指で大きな輪を作り、ありったけの魔力をそこに集中させる。
ドドドという音と共に2人に迫る大波。
だが、2人はその場から微動だにせず、全力で魔力を練り上げていく。
そして——。
「貫けっ! ペネト……レイターッ!!」
「撃ち抜けっ! 『誘惑の弾丸(テンプティング・バレット
)』!!」
葉月が光を放つ魔槍を力一杯ぶん投げる。
廉也が巨大なハートの魔弾を手から撃ち出す。
今の2人の全力で放たれた魔槍と魔弾が大波に飲み込まれて——その波をどぱん、と砕いた。
大波を貫いた二条の魔力の軌跡。
その二条の煌めきは、その先にいたタウエレト・マーへ、まるで吸い込まれるように叩き込まれていった。
●
大波に飲み込まれて、水中へと沈む葉月。
咄嗟に手を伸ばし、何かを掴み水面へと顔を出した。
「ぷわっ、っとと危ない」
葉月が掴んだのはサーフボード。何とかしがみついてほっと息をつく。
「お互い無事で何よりッス」
同じく水面に顔を出していた廉也が疲労困憊な顔でふにゃりと葉月に笑いかける。
「ディアボロス……本当に忌々しい存在ですね」
どこからともなく聞こえた微かな声。
周囲を見回すが、既にタウエレト・マーの姿はなく、荒れ狂っていたナイル川も穏やかな流れを見せていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【怪力無双】がLV2になった!
【友達催眠】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV4になった!
【ダメージアップ】LV1が発生!