蘆屋道満との会談
ディアボロスの活躍により、長岡京を襲っていた大妖怪ヤマタノオロチの軍勢は攻撃を諦めて撤退していきました。
撤退した妖怪達が、再び長岡京に攻め寄せてくるとしても、暫くの時間を稼ぐ事ができたでしょう。
この時間を有効に利用する為、攻略旅団の方針に従い、長岡京の陰陽師達のリーダーへ会談を求めます。
ディアボロスは多くの陰陽師達を救っています。彼らの口添えがあれば、確実に会談を行えるでしょう。
ですが、大挙して押しかけると、不信感を相手に与えてしまう恐れもあります。
会談を成功させる為にも、ディアボロスの参加者は10人程度に抑える必要があるでしょう。
この会談に攻略期限はありませんが、会談方針の決定後に時間をかけ過ぎると、大妖怪ヤマタノオロチの軍勢がディアボロスや陰陽師達に先んじて動く危険性があるようです。
※特殊ルール
この会談は、今後の平安鬼妖地獄変に重大な影響を与える可能性が高いものとなります。
そのため、会談の方針について『2022年2月28日朝8時30分』までの間、
平安鬼妖地獄変攻略旅団で方針を決定するための話し合いおよびアンケートが行われます(団員以外も発言・投票できます)。
参加の際は、これらの話し合い・アンケートの結果を尊重し、プレイングを行ってください。
➡【投票】正義の陰陽師の拠点への訪問
➡【投票】ディアボロスの情報開示
➡【会談】蘆屋道満への質問と提案
・攻略旅団の方針に沿ったプレイングの中から、良い成果を出せるプレイングを採用して、リプレイが執筆されます。
・『2022年2月28日朝8時30分』以前にかけられたプレイングは採用されません。
長岡京の会談~蘆屋道満とディアボロス(作者 質種剰)
#平安鬼妖地獄変
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#長岡京
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#プレイング受付2/28朝8:30~
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#プレイング受付2/28朝8:30~
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●疑念を上回る希望
長岡京。
今となってはただ広いだけが取り柄の、元屋敷と呼ぶのも憚られるような廃屋の母屋で、陰陽師たちが車座に座っている。
「ヤマタノオロチの軍勢は退けたか」
膝を突き合わせている彼らは一様に難しい表情をしていて、場には白湯と柑子だけ。
「けど、すぐに次の軍勢が攻め寄せてくるんと違うか」
般若湯なぞない。否、飲みたくても飲めないのだ。
「それまでに、防衛の準備を整えなくてはならぬ。間に合うかどうか……」
何故なら寄り集まっている陰陽師の中には、軽くない傷を負っている者も少なくない。
「間に合わせるしかないやろ。防衛施設で敵の動きを止めなければ、我らでは、かすり傷すら与えられぬのだから」
それに、飲む余裕もない。
かのヤマタノオロチの軍勢がようやく撤退してくれたとはいえ、防衛戦による被害は少なくない。運び込まれる怪我人の数も未だ途切れないぐらいだ。
ましてや彼らは陰陽寮より逐電した身。酒は飲むよりも傷の消毒に使いたいぐらいの逼迫した状況なのである。
「妖怪から我らを助けてくれた、あの者たちが再び現れてくれれば良いのに……」
陰陽師のひとりが深い溜め息をつく。
「本気の妖怪とも渡り合えるあの力……、あの力こそ、真の陰陽師の力なのかもしれませぬな」
もうひとりも頷いて、天を仰いだ。
すると、今まで沈思黙考していたらしい年嵩の陰陽師が、重々しく口を開く。
「あの者たちが持つ力は妖怪どもと同質と思われてならん。狡猾な敵の罠である可能性も捨てきれまい……」
ディアボロスと妖怪——クロノヴェーダ双方が操る力、パラドクスの特異性について、一切の予備知識無しに見抜く慧眼を持った陰陽師。
彼こそが、蘆屋道満であった。
「だが、儂は、あの者たちを信じたい……と願っておる」
道満は陰陽師たちの緊張に強張る顔を眺めやって、
「滅ぼされた筈の真なる陰陽師が、我らを救うために過去からやってきた……。そう願ってしまうのだ」
他の陰陽師たちを安心させるかのように、繰り返したものだ。
●
ところ変わって新宿駅。
「皆様のご活躍のおかげをもちまして、長岡京の防衛に成功したわ。本当にありがとう」
空・心菜(小少弐の御許・g03176)が、集まったディアボロスたちへ笑顔でそう報告する。
ヤマタノオロチ配下の軍勢は、後退していったらしい、と。
「勿論、妖怪を率いるヤマタノオロチがこのまま諦めるとは思えないから、次は今回以上の戦力を糾合して攻めてきそうだとは思うわ……」
とはいえ、それまでに暫しの猶予を得ることができた。
「この猶予を活かして、攻略旅団から『長岡京の陰陽師の纏め役との会談』が提案されたわ」
長岡京の陰陽師の纏め役は『蘆屋道満』で、長岡京内に建つ廃墟となった貴族の邸を改修し、拠点として使っていることも判明した。
「周囲には多くの正義の陰陽師たちがいるようだけれど、皆様のこれまでのご活躍を思えば、会談を行うこと自体は難しくないはずよ」
重要な会談になるため、攻略旅団でも会談方針の話し合いを行っているので、そちらも確認しながら実際の交渉について考えて欲しい。
「ひとつ気になるのは……クロノヴェーダが支配するディヴィジョンでは、一般人は『クロノヴェーダがそう望まない限り』クロノヴェーダに組織的に反抗することは出来ないはず……なのよね」
たとえディアボロスがレジスタンス活動を行うように説得したとしても、ディアボロスが新宿島に戻れば、排斥力の働きによってその意志は失われてしまう。
「だから、もし、正義の陰陽師たちが組織的にクロノヴェーダに抵抗しているのだとすれば、そこになんらかの秘密があると思うわ……」
勿論、この正義の陰陽師たちの活動自体が『ディアボロスを罠に嵌めるためのクロノヴェーダの策略』である可能性も、否定できない。
一人一人の陰陽師が善の心で動いていても、クロノヴェーダがその善の心を利用して悪を成そうとしている——のかもしれないのだから。
「皆様には、その見極めも含めて会談を成功させて欲しいの。よろしくお願いね」
と、心菜が手を合わせて、具体的な作戦の流れに移る。
「そうね……正義の陰陽師をはるかに超える戦闘力のディアボロスが大挙して押し寄せれば、相手を警戒させてしまうのは間違いないわ」
よって最大で10名程度が、会談を成功させるための限界の人数になるだろう。
「会談にご興味がおありの方は、まずは、攻略旅団の話し合いにご参加なさってくださいね」
実際の交渉は、攻略旅団で決定した内容を踏まえて行うことになる。
「攻略旅団の方針へ反しないように気をつけながら、それ以外のところは現場判断で臨んでいただけたらと」
最初に重要となるのは、訪問する際の格好だろうか。
「交渉事といえば『第一印象』が、非常に大きな影響を与えると申しますものね」
第一印象で交渉の主導権を握った後は、ディアボロス側の情報を開示したり、質問や提案を行って、会談を進めれば良い。
「質問すべき内容が同じであっても、話の持っていき方や話す順番などで、交渉結果が大きく変わっても不思議ではありませんもの」
そこは会談にご参加なさる皆様の腕の見せ所だと、彼女なりに激励する心菜。
「そういえば、長岡京の正義の陰陽師を束ねているという蘆屋道満は、当世の伝説では安倍晴明と争ったとも言われているそうね……」
しかし、平安鬼妖地獄変の蘆屋道満が、史実や伝説とどの程度同じであるかなどは、やはり不明。
「蘆屋道満がディアボロスである皆様の質問へ正直に答えてくれたとしても、彼の持つ情報自体クロノヴェーダに騙されたものという可能性もあるし……クロノヴェーダにとって重要な情報になればなるほど、一般人の蘆屋道満が手に入れている可能性は、低くなるでしょうね」
なればこそ、正義の陰陽師の立場で得られるだろう比較的正しい情報が何かを考えるのが、会談を成功させる早道かもしれない。
「また、会談後立ち去る際には、正義の陰陽師たちへ声を掛けることもできるわ」
指導者層でない正義の陰陽師ひとりひとりに働きかけることで、何か活路が開かれるかもしれない。
「では、会談へご参加なさりたい方は、ひとまず平安鬼妖地獄変攻略旅団へどうぞ。会談の成功を祈ってるわ」
●てんやわんや
さて、母屋の重苦しい雰囲気とは一転、廃屋邸にもかかわらず、廊や細殿は人の往来著しくバタバタしていた。
「戸板が足りませぬ。庭先に回せと仰せです」
「傷に障りますからそろっとお運びくださいまし……」
怪我人を廂へ運び込む者。
「普請場の監督はどうか」
「人足へ充分に手当ても飯も出せぬのでは、作業も思う通りには進まず……いっときも目が離せませぬ」
防衛施設の再建を急ぐ者。
「薬湯をお運びして」
「宿直(とのい)の方へ屯食を」
「漏刻……は無いんだった」
道満へ付き従って出奔したという陰陽師たちに加えて、邸で立ち働く女房、学僧、警備と上へ下への大騒ぎであった。
そんな、邸中の者が走り回っているこの状況もまた、会談の主導権を取る材料……訪問方法などの工夫に使えるかもしれない。
リプレイ
音羽・華楠
いよいよ蘆屋道満さんとの会見ですね。
訪問時の方針は『この時代の格式を重んじて』ということになりましたが……それなら気を付けないといけないことが。
平安鬼妖地獄変の格式が私の故郷の本物の平安時代と同じなら、長岡京に入る方向や蘆屋道満さんの許へ向かう経路も重要になります。
鬼門のように忌まれる方角があるのは皆さんご存じでしょうが、格式を重んじるなら、誰かを訪ねる時に使ってはいけない方角や道順はより細かくなります。
それらを【エアライド】の最適な経路把握効果で見切り、皆さんに伝えましょう。
衣装は陰陽師の正装たる狩衣でお願いします。
陰陽師でも私は見習いでしたから。
着る機会が少なかったので、緊張しますね。
野本・裕樹
※アドリブ・連携歓迎
平安鬼妖地獄変の今後に関わる会談、必ず成功させましょう。
復讐者として、平安に生きる一人として、できる事を。
狩衣、指貫、単。後は烏帽子も。
禁色を使わないように注意すればいいでしょうか。
相手方へ失礼の無いように、周りとは極力合わせます。
私達はディアボロスを名乗っている者達です。
この度は長岡京の陰陽師の纏め役である方との会談を申し込みたく参上しました。
ヤマタノオロチの軍勢が退きましたが、これで終わりでは無い筈。
今の内に話をしておきたいのです、お取次ぎ願えますか?
訪問前や会談前に可能なら相手に断りを入れてから【クリーニング】を。単純な治療以外にも清潔にするのは大切ですから。
●訪い
長岡京の廃屋邸。
「いよいよ蘆屋道満さんとの会見ですね」
音羽・華楠(赫雷の妹狐・g02883)が、皆の緊張を解すかのように八重歯を見せて笑いかければ、
「平安鬼妖地獄変の今後に関わる会談、必ず成功させましょう」
野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)も、自らへ言い聞かせるかのごとく頷く。
(「復讐者として、平安に生きる一人として、できる事を」)
長い金髪と涼やかな緑の瞳が愛らしい裕樹だが、この日の彼女は狩衣、指貫、単と見事なまでの男装。烏帽子で狐耳も隠れてしまっている。
「陰陽師でも私は見習いでしたから着る機会が少なかったので、緊張しますね」
一方、どこか誇らしげに呟く華楠は、陰陽師のいわば仕事着である狩衣に身を包んでいる。
こちらも陰陽師の白い狩衣は神事に使われたことから、格式を充分配慮しているといえよう。
「禁色を使わないように注意すればいいでしょうか」
元よりこのディヴィジョンの出身である裕樹なればこそ、服装の禁忌についてはすぐに思い至った。
時の帝や院、春宮、親王それぞれ、位階に応じて着ることを許された色がある。
それらを総称して、位色にしろ袍の色にしろ、自分より上の色は着てはならないとの戒めをこめて禁色と呼ぶ。
「そうですね。平安鬼妖地獄変の格式が、私たちの故郷の本物の平安時代と同じなら……」
華楠は華楠で、『格式を重んじて訪問する』と決まった方針に背くまいと思案を巡らせて、
「長岡京に入る方向や、拠点の廃屋邸へ向かう経路も重要になるかと思われますね」
陰陽師が占いによって定めた鬼門を避け、吉報方位を通過して邸へ向かうのはどうかと提案した。
鬼門のように忌まれる方角があるのは宮廷文学に出てくる方違えなどからも有名だが、格式を重んじるならば人を訪ねる際に使ってはいけない方角、道順はより細かくなるのだと。
幸いにも華楠自身が陰陽師だから、10人にも及ぶ一行の星回りをそれぞれ読んでエアライドにて空中から忌方を回避できる経路を割り出すまで、全て1人でこなすことができた。
「御免ください」
裕樹が声を投げた先には、こちらも狩衣を纏った門番が。勿論門番にしては身なりが良過ぎて異質である。
「名をお聞かせ願えますかな」
門番を務める陰陽師が問う。殿上人の対比で地下人などと呼ばれる身分の彼らだが、それでも官人、否、元官人に違いはない。
そんな彼らが土の上で膝を伸ばして門番をしている——道満に従って出奔した覚悟の程が伺えよう。
「私達は、ディアボロスを名乗っている者です」
いかにも疲労の色濃い門番たちだったが、ディアボロスと聞いて俄に色めきだつ。
「この度は、長岡京の陰陽師の纏め役である方との会談を申し込みたく、参上しました」
「それはそれは、よくこそおいでくだされました」
「ヤマタノオロチの軍勢が退きましたが、これで終わりでは無い筈。今の内に話をしておきたいのです、お取次ぎ願えますか?」
「承りました。どうぞこちらへ」
案内されて廊を通る最中、ふと口を開く裕樹。
「つかぬことを伺いますが、今日は風呂殿を使われるご予定は」
当時の貴族の風呂といえば簀子敷きの蒸し風呂で、湯浴みも存在自体はするが入浴としては用いられず、儀式的な禊として行う。前者を風呂殿、後者を湯殿と呼ぶ。
「ええ。幸い吉日でございますから」
しかも、風呂に入って良い日が否かを判断するのが、まさに陰陽師の占いだったのである。
「では、怪我人がいらっしゃる間の側まで案内をお願いします。居間全体をすぐに清めることができます」
それは裕樹の、
(「単純な治療以外にも清潔にするのは大切ですから」)
現代ならば当たり前の衛生観念に基づいた提案。
先に断りを入れたのは、綺麗にした体は邪気が入って病になるという信心を平安貴族が持っていて、そのため吉日しか風呂を使わないのを知っていたからだ。
「彼らが床についたままでもできるのですか?」
クリーニングの洗浄範囲は、そこに人がいるなら着ている衣服も物品ゆえに効果が及ぶ。
「はい。調度に被った埃やお召し物の垢を瞬時に取り除くだけですから」
その洗浄力の強さたるや、平安人にとって蒸し風呂以上の実感だろうと、気を遣わずにいられなかったのだ。
そして、眠っている怪我人の様子は長押に吊られた格子でわからないが、門番たちはお陰で狩衣がさっぱりしたし部屋に蒸れこもった悪臭がなくなった、と素直に喜んでくれた。
「本日はどちらからおいでになりましたか?」
幾分か警戒を解いたらしい門番が親しみを込めて訊くのへは、華楠が応じる。
「極力、忌方を避けて参りました。私も式盤や算木の心得はございますから」
「左様で……我々のような、出奔した身に余る御心配り、恐れ入ります。ご貴殿のような尊い方にお越しいただけただけでも嬉しく、命が延びる気がいたします」
門番が感激するのも道理で、身分のある立場のように振る舞うのは、決して相手を威圧するためではない。
身分の高い者を使者として遣わす——あるいは組織の重鎮がわざわざ出向くことは、訪問相手をそれだけ重んじているという、いわば最大級の敬意の表れになるからだ。
なればこそ、ディアボロスを案内する門番も、廊ですれ違う陰陽師や女房たちも皆恭しく頭を下げて、訪問者たちから伺える格の高さに、
(「かような廃屋に隠れ住む逃亡者の如き私たちなのに、よくも人並み以上に扱ってくださるものよ」)
と、内心喜んでいるに違いなかった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【エアライド】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
碧宝珠・愛羅々
御会いできて光栄よ。このような場をありがとう。
ディアボロスについて、最初に知ってもらいたいのは、あたし達が使う不思議な力についてね。この力のせいで、妖怪共と同じって思われてるかもしれないけど、真っ赤な誤解よ。双璧を成す相反する力、妖怪を消し去る現状知る範囲で唯一の力よ。原理は中和して打ち消すだったかしら?あたしも詳しくないのだけど。でもこれだけははっきり言えるわ。あたし達と妖怪は敵対している。今までもこの先もずっとね。
力の一旦を見せる機会があったら【口福の伝道者】をお見せしながら説明するわ。
あたし達は、故郷を妖怪に奪われた復讐者よ。許せないから戦うの。
そして、あなた達の力に成りたいの。
●密かな誘導
門番役の陰陽師らによって、一行は邸の母屋へと通された。
「よくこそ、おいでくだされた……」
既に座していた蘆屋道満が、手をついて恭しく頭を下げる。
「貴殿らがどちらから来られたのかは存じぬが、相当遠くであろうと拝察する」
ディアボロスたちも促されるままに腰を下ろし、それぞれ挨拶を返した。
「御会いできて光栄よ。このような場を設けてくれてありがとう」
碧宝珠・愛羅々(流離いの薬味ハンター・g05086)が早速、話の口火を切る。
「ディアボロスのことで、最初に知ってもらいたいのは、あたし達が使う不思議な力についてね」
「妖怪と互角以上に戦い、討滅しうる術のことですな」
道満が神妙な面持ちで頷いた。
「ええ、パラドクスというの。この力のせいで、妖怪共と同じって思われてるかもしれないけど、真っ赤な誤解よ」
「ふむ……」
愛羅々は気負いの無い様子で続ける。
ディアボロス側が自分たちの情報を提供するにあたって、攻略旅団の相談で『隠し事はするが嘘はつかない』という新規方針に決まった。
答えられない質問を道満がしてこないように話の主導権を握らねばならない、話術の腕が試されるなかなかの難題である。
「確かに傍目には、妖怪の使うパラドクスと双璧を成すように見えるかもしれない……でも実際は妖怪へ対抗するための相反する力、現状知る限りでは妖怪を消し去れる唯一の力よ。原理は中和して打ち消すだったかしら? あたしも詳しくないのだけど」
そんな困難な状況を打破すべく、愛羅々は最初の説明にパラドクスを選んだ。
道満にしても、真の陰陽師だと密かに期待しているならば尚更、『妖怪に対抗できるディアボロス特有の力』への関心は高いはずだと思ったからだろう。
また、妖怪と同質の力なれば敵の罠云々という疑念も早めに払拭してあげたかった。
「でも、これだけははっきり言えるわ。あたし達と妖怪は敵対している。今までもこの先もずっとね」
力強く断言する愛羅々。
「ぱらどくすとやらについては、概ねはわかり申した。儂らも陰陽師ゆえ、多少なりと超常的な術については受け入れられる度量があるつもりだったが、聞けば聞くほど儂らの常識の範囲外らしい」
道満はそう苦笑したが、時間と空間、世界法則を書き換えるパラドクスに対する解釈としては、平安人なりに——全ての理解までは及ばすとも——誤解なく咀嚼してくれたといえよう。
「ひとつお尋ねしたい。貴殿らでいあぼろすは、何故危険を冒してまで妖怪と戦っていられるのか?」
次いで道満がした質問は、まさしく『隠し事はするが嘘はつかず』に答えられるものであった。これぞ、愛羅々が巧みな話術によって誘導した成果である。
「あたし達は、故郷を妖怪に奪われた復讐者よ。許せないから戦うの」
万一、クロノヴェーダへ情報が漏れてしまう危険もあるため、新宿島について秘匿するのは勿論だが、今このディヴィジョンに生きる道満たちの気持ちを考えれば、刻逆や歴史改竄の情報も不必要な動揺を与えかねない。
故に、愛羅々は最終人類史や改竄世界史を全てひっくるめて故郷とぼかしながら、嘘をつくことなく説明した。
「そして、あなた達の力に成りたいの」
そう言って、柑子の皮を剥いて食べるや、同じ物を増やしてみせる愛羅々。
「パラドクスの副次的な効果でこんなこともできるのよ。未知の力を恐れる気持ちはよくわかるけど、結局は使う人次第だと思うわ」
大成功🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
文月・雪人
お礼を伝え改めて挨拶
[観察・情報収集・看破]で興味や理解度見極め反応読みつつ
嘘は交えず説明する
ディアボロスとは何者か
分かり易く私の例を
昔、皆様の多くが生まれるよりも前
私は平安京に暮らしていました
今の様な力はなく
ごく普通の陰陽師
しかし鬼妖に友を全てを奪われて
生死の境を彷徨う事に
そんな私を繋ぎ止めたのは『怒り』の心
時空を超えて目覚めた私は
ディアボロスとなっていました
私達は皆、鬼妖達侵略者への怒りを胸に戦っています
確かに私達の力は鬼妖の力と同質
しかし決して相容れるものではありません
彼らに復讐し
奪われた人の世の平穏を取り戻す事こそが
地域時代を超えて集いし私達の
戦う理由なのですから
許可貰い【活性治癒】も
●全霊熱弁
「でいあぼろすとは貴殿らの言葉で復讐者——ただ妖怪と敵対するのみならず、強い復讐心を糧に戦っていられる……」
蘆屋道満は、愛羅々の説明を噛み砕くように口の中で呟いてから、
「妖怪や鬼を仇と憎む人々は、京の都にもいるであろうが……貴殿らが妖怪と戦えるようになられたのは、辛い体験以外にも何かきっかけがおありであろうか? その故郷を奪われたという一事が重要だとか、妖怪に今も蹂躙されている民との違いが何かあるならば教えてほしい……」
ディアボロスの覚醒のきっかけについてを問うてきた。
これもまた、ディアボロスの拠点などについて訊かれるよりは余程正直に答えられるので、ありがたい質問といえよう。
「突然の訪いにも関わらず、話し合いの申し出に快く応じてくださってありがとう存じます。文月雪人と申します」
先程そう丁寧に挨拶していた文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)もそう思ったのか、心得顔で膝を進める。
愛羅々が口福の伝道者で柑子を増やした時、同じ要領で負傷者の回復にかかる期間を早めることができると言って活性治癒を使う許しもしっかり得ていた。
「ディアボロスとは何者か……分かり易く私がディアボロスとして目覚めた例を挙げてご説明させていただきます」
「よろしくお頼み申す」
道満が頭を下げた。
「今は昔、皆様の多くが生まれるよりも前……私は平安の京に暮らしていました。その頃は今の様な力はなく、ごく普通の陰陽師でした」
おもむろに昔語りを始める雪人。元より平安時代の出身である彼の過去なら、確かに道満も理解しやすいだろう。
「しかし鬼妖に友を……否、友だけでなく全てを奪われて、私自身も生死の境を彷徨うことになりました」
雪人自身は、本当なら歴史改竄についても隠さない方が良いのではと考えていたが、ディアボロスを信頼してもらう目的においては不要な情報かと思い直し、弁舌を奮う。
「そんな私を濁世に繋ぎ止めたのは、まさしく『怒り』の心。時空を超えて目覚めた私はディアボロスとなっていました」
当然ながら、時代を超えた事実だけは伝えても、新宿島の存在は決して洩らさない。
「私たちは皆、鬼妖たち侵略者への怒りを胸に戦っています」
今まで様々な事件解決のために奔走していた雪人の話術は、磨き抜かれている。
「確かに私たちの力は鬼妖の力と同質、しかし決して相容れるものではありません」
ディアボロスの存在と覚醒に必要な要素について、簡潔かつわかりやすく述べたその辣腕たるや見事なものだ。
「彼らに復讐し、奪われた人の世の平穏を取り戻す事こそが、地域時代を超えて集いし私たちの戦う理由なのですから」
雪人はそう穏やかに微笑んで、話を締め括った。
「いかさま、生死の境を彷徨われた……それは、余人にはわからぬ地獄であったろうな。なればこそ強い怒りが世に繋ぎ止めたと……」
道満は道満で、雪人の説明を真摯に理解しようとしている。
「かように凄絶な来し方を有り体に教えてくださったこと、感謝申し上げる……」
そう礼を述べる表情には、純粋な納得だけでなく、ディアボロスたちの戦う理由へ寄り添おうとする惻隠の情すら看て取れた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
神之蛇・幸人
【提案】拠点に運び込まれる怪我人の治療を手伝わせてほしい。可能なら継続的に協力したい。
ディアボロスの情報開示後に提案
まずは名乗り、会談が叶ったことへの感謝を
口下手だし緊張もしてるけど、人を助けたい気持ちは同じはず
パラドクスを使った怪我人の治療や〈活性治癒〉〈クリーニング〉等での
治癒力向上・衛生管理で治療を手助けさせてほしい旨と
残留効果はその場に留まらないと持続しないものも多いため
可能なら継続的に活動させてもらえないかをお願いする
どの国の、どの時代でも。苦しむ人がいるなら助けになりたい
不安な点があれば、おれの身で試しても構いません
ディアボロスを完全には信じられなかったとしても、許しを頂きたいです
●看病算段
会談は順調に進んでいる。
蘆屋道満へディアボロスは味方たり得ると理解してもらえた安堵から、ディアボロスたちの方でも気負いなく提案に移れた。
「おれは神之蛇幸人と言います。その、突然の訪問なのに……道満さんが直々に会っていただけるとは、恐れ入ります。本当にありがとうございます」
と、懸命に言葉を尽くして挨拶するのは神之蛇・幸人(黎明・g00182)。
豊かな黒髪と朝焼け色の三白眼が印象的な陰陽師の少年で、あらゆる命を慈しむ心優しい理想家でもある。
「おれたちからお願いしたいことは……まず、拠点に運び込まれる怪我人の治療を手伝わせていただきたい。できることなら、ぜひとも継続的に協力させてください」
元々内気な性格の幸人は、自分の口下手が思いやられて緊張もしたが、それでも人を助けたい気持ちに嘘はない。
「パラドクスに付随する残留効果……活性治癒やクリーニングと呼んでいる治癒力向上や衛生管理によって、負傷された方々の治療を手助けさせてほしいのです」
道満とて恐らく自分と同じ気持ちのはず、そして他人の命を助けようとする同志ならばその真情が通じるだろうと幸人は確信していた。
「残留効果は、その場に留まらないと持続しないものも多いため、可能ならば継続的に活動させていただけないでしょうか」
幸人の真剣な眼差しが道満を射抜く。
「どの国の、どの時代でも。苦しむ人がいるなら助けになりたいと思います」
道満は道満で、幸人の宣言が本気かどうか見極めようとしてか、彼の視線を真正面から受け止めていた。
「ディアボロスを完全には信じられなかったとしても、どうかお許しを頂きたいです」
深く頭を下げて、提案を終える幸人。
「それはありがたい。貴殿らは使い慣れた力かもしれぬが、儂らからしてみれば、まるでこちらに都合良く遣わされた天の恵みのようで、思わず圧倒されてしまった」
道満は静かに口を開いた。
「治療の手伝いならば、綺麗な水と布も共に用意してもらえると、さらにありがたい。お頼みできますかな」
京の都から離れた廃屋邸である。確かに水の問題は切実だろう。
「勿論です。清潔な布や沸かす必要のない水をご用意できますし、皆さんに安心していただくために敢えて湯冷ましにすることも……他にも不安な点があれば、おれの身で試しても構いません」
「かたじけない。よろしくお頼み申す」
大成功🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】がLV2になった!
効果2【ドレイン】がLV2になった!
八栄・玄才
【質問】目下、陰陽師たち、ないし蘆屋道満が最も危機的状況になる、或いは既にあると懸念している場所は何処?
さて、オレらが何者か、言葉で伝えられることは分かってもらえたと思う
あとは行動で示すとしようか
オレは拳士なんでね
いま、アナタ方の知ってる範囲で一番危機的な状況になってる所やなりそうな所を教えちゃもらえませんか?
ちょっとオレらが出向いて、それを解決しにいってきますわ
色々、質問や提案をさせてもらってるが、まだオレ等と陰陽師さん方とは長くない関係だ
知ってること全部話すのには不安や抵抗があるかもしれない
それは当たり前だ
だからもっと、オレ等が妖怪共の敵で、この世界に生きる人達の味方ってことを示すとしよう
●彼の意識の方向
ディアボロスならではの残留効果を利用しての治療支援。
それは道満にとっても願ってもない提案だったようで、感謝と共に受け入れられた。
(「さて、オレらが何者か、言葉で伝えられることは分かってもらえたと思う」)
八栄・玄才(井の中の雷魔・g00563)は、事が上手く運んでいるのへ内心満足する傍ら、順調なればこそ却って仲間の努力を水泡に帰すようなしくじりをするわけにもいかないと、気を引き締めてもいた。
(「あとは行動で示すとしようか。オレは拳士なんでね」)
元よりプライドが高く相当な自信家の玄才だから、決して失敗のできないタイミングでこそ、本来の実力を遺憾なく発揮できるのかもしれない。いわゆる本番に強いタイプだ。
「いま、アナタ方の知ってる範囲で一番危機的な状況になってる所やなりそうな所を教えちゃもらえませんか?」
そんな彼が問いかけるのは、攻略旅団の方針に則った質問……『目下、陰陽師たち、ないし蘆屋道満が最も危機的状況になる、或いは既にあると懸念している場所は何処?』であった。
「それは、京の都を除いて……ですかな」
「ええ。ちょっとオレらが出向いて、それを解決しにいってきますわ」
道満が思案するのを見て、努めて明るく振る舞い、自信ありげに胸を張る玄才。
(「こうして質問や提案をさせてもらえるようにはなったけど、まだオレ等と陰陽師さん方とは長くない関係だ」)
いくら妖怪と我から敵対する人々の集まりとはいえ、道満や正義の陰陽師たちにディアボロスを心の底から信用してもらうには、まだ時間が必要だろう。
(「知ってること全部話すのには不安や抵抗があるかもしれない……それは当たり前だ」)
今こうしてディアボロスたちの到来やその残留効果の恩恵に与って感激していたとしても、それと情報を提供してくれるかどうかは別問題。
(「だからもっと、オレ等が妖怪共の敵で、この世界に生きる人達の味方ってことを示すとしよう」)
復讐者の行動理念は理屈じゃない。それを相手へわかってもらうためにも、理屈じゃなく行動で表したい……そう玄才は考えていた。
「京の周囲は全て妖怪の勢力圏にあり、外部との連絡も取れてはおらぬ」
続きを促すように黙って道満を見つめる玄才たち。
「畿内は元より、東国や西国の状況も全く掴めておらぬ。恐らくは京の都を超える惨状になっていようが……」
言い差して、深く溜め息をつく道満。
「京の周囲で言うのならば『奈良の都』であろうな」
奈良こそが、彼がかねてより危機的状況だろうと懸念している場所。
「元々、奈良の都の探索を行う予定であったが、妖怪により阻まれ長岡京に追い込まれていたのだ」
自らの目で現状を確かめたくても未だ叶わぬ場所だと、道満は説明した。
大成功🔵🔵🔵
効果1【怪力無双】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
十野・樞
【質問】
陰陽師達を組織し長岡京を防衛するにあたり、それを提案した者はいるのか?
共闘・支援の提案に水を差さぬよう
それが受諾された後に
名乗り挨拶
会談に謝意を述べ
居住まいを正し丁重に
貴殿らが我らについて知らぬ事があったように
我らにも貴殿らにご教示頂きたい事柄がある
故に質問をお許し願いたい
情報収集し実感したが
鬼妖どもの力により民や役人達・貴族達は互いに対して全く関心がない
そのような状況では、個として行動するは兎も角、組織だった対抗等思い付くさえ非常に難儀だろう
だが、貴殿は陰陽師達を束ね、この地を護らんとしておられる
それは如何にして為されたのか
例えば貴殿らに勧告・助力された方などがおられるのだろうか?
●断念した目的
「俺は十野樞。突然の訪問や申し出にさぞや驚かれただろうが、何よりのお心配りに感謝申し上げる」
次いで口を開くのは、十野・樞(division by zero・g03155)。
「貴殿らが我らについて知らぬ事があったように、我らにも貴殿らからご教示頂きたい事柄がある。故に質問をお許し願いたい」
居住まいを正し、丁重に言葉を選ぶ樞の様は、会談の緊張感漂う空気を保っている。
「情報を収集しているうちに改めて実感したが、鬼妖どもの力によって民や役人たち・貴族たちは互いに対して、全く関心がない」
ディアボロスたちは、ディヴィジョンに根ざす排斥力について勿論知ってはいたが……知っているからこそ、今こうして正義の陰陽師たちが群れ固まっている都合の良さにやはり疑問を抱かざるを得ない。
「そのような状況では、個として行動するは兎も角、組織だった対抗など思い付くのさえ非常に難儀するだろう」
とはいえ、まさか道満へ向かって『正義の陰陽師たちの抵抗そのものが、ディアボロスを罠に嵌めるためのクロノヴェーダの策略かもしれない』などと疑いを口にするわけもいかない。
「だが、貴殿は陰陽師たちを束ね、この地を護らんとしておられる。それは如何にして為されたのか」
だから、それはもう慎重に言葉を選んで、道満がいかにしてリーダーシップを発揮できたのかを尋ねた樞。
『陰陽師達を組織し長岡京を防衛するにあたり、それを提案した者はいるのか?』という攻略旅団にて決まった質問の真意は、そんな排斥力を跳ねのけ続けている道満たちの——恐らく本人たちですら知らないであろう——秘密について切り込むものなのだ。
「例えば、貴殿らに勧告・助力された方などがおられるのだろうか?」
道満はゆっくりと首を横に振って、
「儂らは……元はといえば、奈良の陰陽師たちに助けを求めるつもりで、京の都から脱出を図った」
しかし、奈良に向かう途中で妖怪の襲撃に遭い、奈良に向かうのを断念せざるを得なかった……と悔しそうに語る。
「長岡京は、京の前(さき)の都で在り、地相や易占でも防衛に適していたため、撤退後の潜伏場所としたのだ」
「それを決めたのは貴殿が?」
「いや……長岡京がヤマタノオロチの軍勢に襲われた際には、逃げ出そうという意見もあるにはあったが……どのみち逃げる場所も無いため、ここで防衛することを合議によって決断した」
大成功🔵🔵🔵
効果1【書物解読】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
サティニフィア・ネイバーライト
目的
【提案】会談後も連絡を取り合って、共闘関係を築きたい。
目標
会談の内容から目的の提案を通す
心情
道満ら、正義の陰陽師は妖怪相手に戦えねぇ
そしてアタシらと彼らの間にゃまだ信頼関係はまだ築けてねぇ
ならお互いが近付き過ぎない程度に互いの利となる事をすべきだな
会談
礼儀を弁え名乗って話始める
お互いは全く信用していない訳ではないだろうが、背中を預けるにはまだ日が浅過ぎる
なら、お互いの利となる行動をそれぞれさせて貰いたい
京の周囲は全て妖怪の勢力圏と言うならばこちらがその妖怪の網に穴をあけ、その間にそちらが外部への連絡を図るなどと言うのはどうか
妖怪どもの目、こちらへ集めよう
その為に連絡は取り合わせて貰いたい
●最後の提案
会談も佳境に差し掛かって。
(「道満ら、正義の陰陽師は妖怪相手にゃ戦えねぇ。そしてアタシらと彼らの間にゃまだ信頼関係はまだ築けてねぇ」)
サティニフィア・ネイバーライト(スゴ腕情報屋・g00008)は、果たしてどんな提案なら道満も受け入れやすいだろうかと真剣に考えていた。
三つ編みにした金髪とトレードマークのキャスケット帽、黒い悪魔の翼が目を惹くデーモンの少女だ。
(「なら、お互いが近付き過ぎない程度に、互いの利となる事をすべきだな」)
歳より余程大人っぽいサティニフィアは、下手に情に訴えることや相手の窮状を利用するような小細工を避けて、純粋にwin-winな提案をしようと決意する。
「そんじゃ改めまして自己紹介を。アタシはサティニフィア・ネイバーライト、情報屋のサッちゃんだ。宜しく頼むぜ」
まずは礼節を弁えて丁寧に挨拶するサティニフィア。
「こちらこそよろしくお頼み申す」
「お互いにだ、互いを全く信用していない訳ではないだろうが、背中を預けるにはまだ日が浅過ぎる」
情報屋たるもの、口が回らないと飯の種も調達できないのだろう。サティニフィアの話の切り出し方は手慣れていた。
「なら、お互いの利となる行動をそれぞれさせて貰いたい……具体的には、京の周囲が全て妖怪の勢力圏と言うならば、こちらがその妖怪の網に穴を開けて、その間にそちらが外部への連絡を図る……などと言うのはどうか」
もうすっかり、道満たちと共同で奈良の様子を探る——そんな作戦が彼女の頭の中では練られているようだ。
「妖怪どもの目、こちらへ集めよう。その為にも連絡は取り合って貰いたい」
つまりは、攻略旅団で決まった方針のひとつ、『会談後も連絡を取り合って、共闘関係を築きたい』という打診である。
「防衛設備の修復もある故、すぐに動けると確約まではできぬが、共に戦えるならばこちらからお願いしたいくらいだ。連絡はいつでもしてくれて構わぬが、こちらから連絡する手立てはあるのだろうか?」
道満の反応も上々で、陰陽師側からの連絡については、例の『治療の手伝い』で邸を訪れたディアボロス或いは何か別件で動いているディアボロスを見かけたらいつでも伝言を託してくれて構わない……ということに落ち着いたようだ。
大成功🔵🔵🔵
効果1【断末魔動画】LV1が発生!
効果2【ドレイン】がLV3になった!
文月・雪人
【質問】平安京の陰陽寮の陰陽師は鬼や妖怪達と手を組んでいるが、その首謀者は誰か?
道満様は平安京の陰陽寮から追われていると聞きました
若い陰陽師を悪の道に誘い、都の守りを破壊しようとしたと
しかし命を賭し鬼妖と戦う皆様が、悪であるとは思えない
一体何があったのですか?
悪の道なら寧ろ
都の陰陽師の活動の方こそ偽りばかり
鬼妖達は傷一つ負っていなくても
陰陽師に負けた風に逃げ出して
退魔の成果を人々に見せつける
誰かが鬼妖と手を結び、示し合わせているかの様に
都の陰陽師は知らぬ間に鬼妖の手先にまでされていて
放ってはおけません
裏で何が起きているのか、その意図は、首謀者は誰なのか
道満様の知る所をお聞かせいただけませんか?
●共犯意識の有無
新しい情報が幾つか明らかになって、道満たちと共闘の約束もできた。
かように順調な会談ではあったが、ディアボロスたちの中には、未だに晴れぬ疑問を抱えている者もいた。
『平安京の陰陽寮の陰陽師は鬼や妖怪たちと手を組んでいるが、その首謀者は誰か?』
このことである。
「道満様は平安京の陰陽寮から追われていると伺いました」
せっかく何でも——とまではいかなくとも、相手の内情などへ踏み込んで——訊けるチャンスを逃すまいと、文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)が折を見て口を開いた。
「若い陰陽師を悪の道に誘い、都の守りを破壊しようとしたと、しかし命を賭して鬼妖と戦う皆様が、悪であるとは思えない……一体何があったのですか?」
ディアボロスに覚醒してからずっと、平安鬼妖地獄変で起きた数々の事件を熱心に追ってきた雪人だけに、正義の陰陽師事件に端を発する一連のマッチポンプとでも言うべき事態について詳しい。
「悪の道なら寧ろ、都の陰陽師の活動の方こそ偽りばかり……鬼妖たちは傷一つ負っていなくても陰陽師に負けた風に逃げ出して、退魔の成果を人々へ見せつける」
そう。まるで誰かが鬼妖と手を結び、示し合わせているかのように……。
雪人の弁舌が熱を帯びる。
「都の陰陽師は知らぬ間に鬼妖の手先にまでされていて、到底放ってはおけません。裏で何が起きているのか、その意図は、首謀者は誰なのか……道満様の知る所をお聞かせいただけませんか?」
道満は黙って雪人の話を聞いていたが。
「貴殿の推測には、幾分か誤解が混じっているようですな」
と断じた。
「多くの陰陽師は、その絡繰を知らぬまま、本気で京の人々を妖怪から守っているつもりでいるのだ」
陰陽寮の陰陽師たちは正義であるか否かにかかわらず、皆一様に妖怪どもから利用されているに過ぎないし、手を結んでいる自覚のある者はいない、と。
「人に化ける力を持つ妖怪が、恐らくは重要な地位にある者に成り代わっているのであって、陰陽寮の陰陽師が首謀者ということはありえぬよ……」
陰陽寮の者は皆、正義のために妖怪を退治していると信じ込んでいるのだから、誰も裏があるなどと疑いやしない……道満はそう説明したのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】がLV3になった!
効果2【ドレイン】がLV4になった!
淡闇之・春椿
【液体錬成】で、沸かす必要のない水を数日分、瓶や桶に入れておくぞ。
辛いだろうが今しばらくの辛抱だ、必ず吉報を届けよう。
次はどこで会えるかわからないが、進むのは同じ道だ、どこかで交わることもあるだろう。
それまでお元気で。
●
無事に会談を終えた帰り際。
「最後まで手数をかけて申し訳ないが、台盤所……いや、塗籠か何か見せてもらえないか?」
廊を歩きながら、淡闇之・春椿(天駆ける筆の魔女・g05484)が案内役の陰陽師へ声をかけた。
巫女服っぽい意匠を凝らした変形セーラー服が赤いツノにぴったりでよく似合う、金目黒髪の鬼人である。
「中が空っぽでも構いませんのでしたら」
案内役の陰陽師が愛想良く応えた。止むに止まれず長岡京に撤退したという道満の話とも符合する。最初から拠点にするつもりで引き移ったわけでは無いのだから、物置に入れておくほど食糧も余っていないのだろう。
「空の方が都合が良い。案内をお願いしたい」
笑顔で頷いて、さらに付け加える春椿。
「それと邸中から空の桶や盥、水瓶を集めることはできるか? すぐに清められるから、水漏れさえしなければ、どんなに埃を被っていても構わない」
空の塗籠なら、妻戸を閉めて窓も塞いでしまえば、液体錬成を行える冷暗所の条件を満たすだろう。
春椿は集めた桶などをクリーニングで綺麗にしてから、そのひとつを台盤所より拝借した沸き冷ましの水で埋めた。
塗籠の中にびっしりと空の水瓶や盥を並べれば、まるで防ぎようのない雨漏り対策のような風情になったが、これで液体錬成の準備は万端。
「一晩も経てば、空の器全てが水で満ちているはずだ。増える水は、真ん中に置いた湯冷ましの水と同じ物だから沸かし直す必要も無い。貴重な薪を倹約してくれ」
陰陽師や瓶を集めてきた水仕女たちも神妙に頷く。
「かたじけなく存じます」
「何とお礼を申し上げて良いか」
廂の間にて施された裕樹のクリーニングや雪人の活性治癒の効果を間近で見ていた彼らだから、もはや疑う余地もない。
「辛いだろうが今しばらくの辛抱だ、必ず吉報を届けよう」
そんな陰陽師たちを力づけるべく、春椿が真情をこめて言う。
「次はどこで会えるかわからないが、進むのは同じ道だ、どこかで交わることもあるだろう。それまでお元気で」
最後は、邸中の動ける陰陽師と使用人たちが皆正門に集まって、ディアボロスを見送ってくれた。
「ご貴殿方もみすこやかに。でいあぼろすの行く先、歩まれる軌跡そのものが何よりの吉兆となりましょう。我らはそう信じております」
廊の端まで出てきた道満の声が、ディアボロスらの耳を打つ。
互いに励まし合って別れる、それだけでも今回の会談の成功をしみじみと実感できた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【液体錬成】LV1が発生!
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