だぁだぁ! あぶぶぅ~きゃははぁ~!(作者 唐揚げ)
#獣神王朝エジプト
#巨大砂上船スフィンクス最終決戦
#巨大砂上船スフィンクス
#寵愛の少年ファラオ
⊕
「そういうのいいからさ。余怒ってるんだけど平伏してくれる?」
「「「はい」」」
いつものように愛くるしい動き(当社比)で『寵愛の少年ファラオ』を慰めようとしていた『死の愛し子』たちなのだが、ファラオはいつになくブチギレており、普通に平伏させられた。
「ていうかさ、まだ動かないのスフィンクスは! いつまで手間取ってるのさ!!」
「あぶぶぅ……(意訳:完全に停止しているのでまだまだ時間が……)」
「お前その喋り方器用だよね。いやまあそれはよくて、よくないんだけど! この無能! 赤ん坊みたいに何も出来ないんだねお前たちは!」
「「「赤ん坊です」」」
「時々普通に受け答えするのやめてくれる!? 怖いんだけど!? あと今の比喩だから!!」
ファラオは飛び上がって怒った。まだまだ彼の怒りは晴れそうにない。
ともあれ、ファラオはため息をついて玉座に腰掛けると、頬杖を突いて手を振った。
「まあいいや、ディアボロスどもが絶対に近づかないように、迎え撃ってきて。お前たちも行くの!」
「「「ばぶぅ~!(意訳:承知いたしました
!)」」」
2メートル並の大きさの赤子の群れが、でんぐり返しで去る。かなりの恐怖映像だった。
「あいつら役に立つのかな……?」
ファラオも割と不安だった。彼の心労は絶えない。
●新宿駅グランドターミナル
「先輩! 獣神王朝エジプトで暗躍してた、『寵愛の少年ファラオ』っていうジェネラル級マミーのことはご存知ッスか?」
七田・ナナ(エンジョイガール・g05125)は、まずそこから説明を始めた。
「そいつはあちこちのオアシス拠点を、断片の王から与えられた「巨大砂上船スフィンクス」で襲っていたッス。
先輩がたのおかげで、いよいよついにそのスフィンクスを停止させることに成功したんスよ!
これは、ジェネラル級を倒す好機ッス。確実にやっつけるために、先輩がたには陽動をしてもらいたいッス!」
少年ファラオは、スフィンクスのいわば「艦橋」で再起動を待っている。
スフィンクス内部には大量のクロノヴェーダがおり、そこに突撃するのは自殺行為でしかない。
だから別働隊が正面から攻撃を仕掛け、出来るだけ内部の敵を誘き寄せよう、というわけだ。
「やることは簡単ッス。敵を攻撃して、誘き出したトループス級を殲滅する……けど、これはあくまで陽動ッス。
敵が、ウチらの目的を『スフィンクスの破壊』だって誤解するように、ハイパー激しく派手に攻撃してほしいッス!」
陽動部隊の攻撃が派手であればあるほど、潜入作戦は無事に進むはずだ。
逆に言えば、陽動が不十分な場合、潜入組は命の危険がある、ということだ。重要な任務である。
「今回誘き出してほしいのは、『死の愛し子』と呼ばれるトループス級ッス。ハイパーデカい赤ちゃんッス。
もちろん赤ちゃんだからってクロノヴェーダッスから、容赦なく攻撃してくるッスよ。確実に倒してくださいッス!」
まあなにぶんデカブツなので油断することもないだろう。と、ナナは語った。
「寵愛の少年ファラオを倒せれば、このスフィンクスを……えーと、ロカク? 出来るかもしれないッスね。
こいつはハイパーでっかいクロノ・オブジェクトだから、きっと何かに使えるはずッス! 期待ッスね!」
それもこれも、まずはファラオを倒さなければ始まらない。
確実な作戦遂行を祈って、ナナは笑顔でディアボロスたちを送り出した。
●獣神王朝エジプト:巨大砂上船スフィンクス外部
「「「だぁああ~~~」」」
ごろごろと、巨大な赤子の群れがでんぐり返しで転がりだした。かなりの恐怖映像だ。
「あぶぶぅ~(意訳:ディアボロスぶっ殺す!)」
「きゃははぁ!(意訳:我らのファラオの怒りを鎮めるためにも!)」
「しかしファラオも人使い荒いなあ(意訳:きゃっきゃ!)」
トループス級にも、トループス級なりの悲哀があった。一応、士気は高いようだ。
リプレイ
高遠・葉月
アレンジ、共闘歓迎。
「やかましいわ。」
有無も言わさず大槌を魔力生成して【怪力無双】をのせパラドクス載せてアッパースイング。
(は、と我に返る…あ、いけない。心情ね。よし。やりなおし、はい。
ち、ファラオの尖兵ね。赤ん坊の姿であってもあたしは容赦はしない。貴方達を殲滅すればファラオの戦力は落ちるはず。討伐の足掛かりにす「やかましいわ」アッパースイング。
…。なんか見た目ときゃっきゃしてる言動で煽られてる気がするのよね。無意味に俊敏なのも腹立つわ。見た目が赤ん坊なのに母性のぼの字も湧かないし。
ごっすごっすと容赦も慈悲も無く殴打しつつ首を傾げる。
「やかましいわ」
「あぶぶーっ!?(グワーッ!?)」
高遠・葉月(猫・g04390)のアッパースイングが、死の愛し子にクリーンヒット!
「「「ばぶ!?(いきなり殺された
!?)」」」
「はっ」
葉月は我に返った。なんか気がついたら思わず手が出ていたらしい。
こんなことではいけない。こう、なんかシリアスな心情とかを語ったり、ディアボロスの怒りを燃やしたり……。
そういうことをして、カッコよく戦わなければ。これではキレた瞬間手が出るタイプの二昔前のラブコメヒロインだ。
「というわけで、やり直しするわ」
「「「ばぶ!?(やり直し
!?)」」」
「ち、ファラオの尖兵ね。赤ん坊の姿であっても、あたしは容赦しないわよ!」
葉月はマジでやり直すつもりだ。死の愛し子は恐怖した。
「あなたたちを殲滅すれば、ファラオの戦力は落ちるはず。攻略の足がかりにす」
「あぶぶー!(そうはさせないぞディアボロス!)」
「だっだっ!(我らがいる限りスフィンクスには手を出させない!)」
「我々は頑張る! ファラオのために!(きゃははぁ!)」
「やかましいわ」
「アバーッ!?」
「あぶぶーっ!?(またアッパーされたー!?)」
葉月は我慢できなかったようだ。
なんかあまりにもヤバいディアボロスが来たので、愛し子たちも本気になった。
その図体からは想像もできないスピードで動き回り、ガラガラ(仮)を怪力で振るう!
「その見た目にその言動! 煽られてる気がしてムカつくのよ! 母性のぼの字も湧かないし!!」
「「「あぶぶーっ!!(死ねーっディアボロス
!!)」」」
「あとその喋り方! ややこしいのよ!!」
怪力がぶつかりあう。地獄のような光景だった。
成功🔵🔵🔴
効果1【怪力無双】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
河津・或人
*アレンジアドリブ歓迎
赤子…なのか…?
俺より余裕でデカイと恐怖でしかないな
フリージングミサイルで飛沫を凍らせてしまおう
生誕の象徴が死をばら撒くっていう背反の芸術性は割と好きだが
当事者になるなんてたまったもんじゃねぇしな
防ぐだけじゃなくて攻撃も当てていく
その煩い口を塞いでしまえ
中距離同士の技の撃ち合いだが、こちらは進軍するテイなので
退かずに詰めれるときは距離を縮めていくぜ
効くかはわからんが薄着なところへ【冷気の支配者】をキメておこう
敵に効いてる様子が無ければ味方への気候支援程度に
でんぐり返しもできねーぐらい地面穴ぼこにするのもアリだな
●砂漠の夜のように
「……赤子……なの、か?」
河津・或人(エンジェルナンバー・g00444)、この時点で身長179.5cm。
男性としては長身の部類に入る或人ですら、『死の愛し子』の前では見上げざるを得ない。
見た目は赤子のようだ。まあ肌色はチアノーゼ起こしたような青紫だし、口からドバドバ墨みたいな猛毒の液体こぼしてるが、フォルムだけは赤ん坊である。マミーだけど。
だが、その体躯2メートル超。とてもではないが、愛くるしいとは言いがたい。
「俺より余裕でデカいと、恐怖でしかないな。しかも……」
「あぶぶぅー!」
SPIT! 死の愛し子が吐き出した危険な液体を、或人は回避。
墨汁めいた液体が降りかかると、偶然そこをよたよた歩いていたサソリが煙をあげて溶け崩れた!
「こいつは、近づくわけにはいかなさそうだな……そのうるさい口を、塞いでやるぜ」
或人は『Edgeworth-Kuiper Belt【Triton】』を構え、凍結弾を生成、次の飛沫の発射に合わせてフリージングミサイルを放った。
空中で黒い唾液と凍結弾がぶつかりあい、唾液はパキパキと凍りつく。続く二射目が、落下前に唾液を粉砕破壊!
「ばぶ!?」
「生誕の象徴が死をばらまく、っていう背反の芸術性は、嫌いじゃない。けど、当事者になるのは御免だね」
凍結弾が直撃した愛し子は全身が一瞬で凍りつき、そして砕け散った。
飛沫の直撃こそないものの、凍りついたそれらの破片が或人の肌を掠め、わずかに斬り裂く。
見た目にほだされて油断していたら、この程度のダメージでは終わらなかっただろう。まあ油断することもなさそうだが。
「あぶぶー!(意訳:おのれディアボロスめー!)」
「だぁだぁ!(意訳:スフィンクスは壊させないぞ!)」
「なんであいつらの言葉わかるんだ……? つーか、その格好でこれだけ寒くしても効いてないのかよ」
【冷気の支配者】の効果は、あまりないようだ。が、じりじりと焼け付くような太陽光の熱から、味方を護ることが出来るだろう。
(「とにかく前に出て、こちらの目的を誤解させるか。もうすでに勘違いしてるみたいだけどな」)
或人は敵を倒すごとに進軍し、狙いがスフィンクスの破壊であるように誤認させた。
死の愛し子はそれを防ごうと果敢に戦い、そしてフリージングミサイルで砕かれていく。戦力は、徐々に削られつつあった。
成功🔵🔵🔴
効果1【冷気の支配者】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
アンネリーゼ・ゾンマーフェルト
戦域が荒涼とした砂漠で助かるわ
――どれほど破壊を振りまいても、後を気にする必要がないもの
ホバーバイク≪ズィルバーナ・ラーベ≫に【騎乗】
≪多目的ゴーグル≫で目を保護して素早く砂上を移動し
交戦距離まで接近するわ
交戦距離に入ったら
肉薄される前に『#機兵武装 #模造品 #実験運用』を発動よ
多連装ミサイルランチャー≪メテオール・デア・アウスラション≫を生成
迫る敵群をマルチロックして【誘導弾】を【連射】するわ
糸を引くような無数のミサイルの噴煙と、その炸裂は遠目にも目立って、陽動には最適だと思うわ
敵の反撃に対しては
【空中戦】のマニューバを活かしたバイク捌きで回避を試み
そのまま旋回して後退、戦場を離脱するわね
●降り注ぐ砲火
見渡す限りの荒涼とした砂漠。建造物があるとしたら、それは巨大砂上船スフィンクスか、ディアボロスたちが建造した防衛拠点だけだ。
つまり、周りに配慮する必要が一切ない。アンネリーゼ・ゾンマーフェルト(シュタールプロフェート・g06305)のような、広域破壊を得意とするディアボロスにとっては、まさに最適の戦場。
「どれほど破壊を振りまいても、あとを気にする必要がないというのは……助かるわね」
舞い上がる砂粒が、ゴーグル越しの視界を覆う。だがアンネリーゼには、あのチアノーゼを起こしたような不気味な巨体がよく見える。
忌まわしい死の赤子。反自然というべきクロノヴェーダには似合いの見た目だ。ああいうものは……。
「鹵獲武装、起動。出力安定率、許容範囲内……肉薄などさせないわ。吹き飛びなさい」
多連装ミサイルランチャー『メテオール・デア・アウラスラション』生成。
『ズィルバーナ・ラーベ』で疾走しながら、アンネリーゼは無数のミサイルを放った。糸引くような噴煙が、砂漠を駆け抜ける!
「あぶぶぅ!」
まさに「弾幕」と呼ぶべきマルチロックミサイルの雨。対する『死の愛し子』は、不気味な泣き声をあげ、その音波で真空の刃を生み出し、ミサイルを迎撃した。
見えない刃とミサイルがぶつかりあい、そこかしこで爆炎が花開く。さぞかし派手で、目立つことだろう。
「さすがに、無傷とはいかないわね……!」
アンネリーゼは巧みなマニューバで、敵の反撃によるダメージを可能な限り軽減した。
避けきれない真空の刃が、彼女の武装を切り裂き、肌に幾許かの傷跡を残す。だが、所詮は手傷程度のものだ。
「びぇええー!?」
対して死の愛し子は? 迎撃しきれなかったミサイルが直撃、断末魔めいた泣き声を遺し、爆炎に飲まれた!
「中に忍び込んだディアボロスたちは、上手くやってくれるかしら……これだけ派手に陽動したのだから、効果はあるはずだけれど」
アンネリーゼは冷静沈着な兵士だ。それゆえに、功を焦って深追いすることはない。
ダメ押しのミサイルをばらまくと、すぐさま彼女は旋回、砂を舞い上げながら戦域から離脱した。
背後で再び、爆炎が花開く。ぎらつく太陽よりもあかあかと、熱烈に。
成功🔵🔵🔴
効果1【過去視の道案内】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
シャムス・ライラ
仲間と情報共有、連携
砂漠に巨大赤子…
何てシュールなんだ
ともあれ、ファラオとの決戦の為
陽動にも力を入れていこう
【地形の利用】【情報収集】で戦闘に有利な位置取り
上手く音が響く場所に【忍び足】でそっと移動し
子守唄とはいかないが
「日と月の四行詩」を【演奏】
不協和音で敵を【攪乱】【捕縛】しつつ攻撃
これなら仲間が攻撃する隙を作れるのでは
せいぜい派手に琵琶をかき鳴らし
ファラオの危機感を煽って見せよう
真空の刃は【ジャンプ】【一撃離脱】【未来予測】で可能な限り回避
もしくは岩陰等に隠れダメージを軽減
赤子と言えどもその巨体
加えて攻撃するともなれば、手加減する必要もないだろう
アドリブ等歓迎
花塚・夜壱
何だか、妙に活舌の良い赤ん坊が混じってないか?
あぁ、いや…赤ん坊に見えても、クロノヴェーダだから可笑しくはない…のか?
…よし、殴ろう!
見た目がどんなに愛らしくても、油断は禁物だな
集団に向かって、如意棒を高跳び棒代わりに跳躍
その後は如意棒を大きく地面に叩きつけ【衝撃波】を起こす
爆音と舞う砂塵、派手に目立ってくれれば良いが
近距離の赤ん坊には如意棒で【薙ぎ払い】をしたり【強打】を入れたり
囲まれては怖いので、如意棒で宙へ逃げたり【一撃離脱】をくり返す
しかし、これだけの”子守”は骨が折れる…
知り合いのデーモンにも付き合って貰おう
如意棒に海波の様な魔力を纏い、『神去』で攻撃
…砂漠に海波、中々無い光景だな
ジズ・ユルドゥルム
声だけは可愛いのが逆に勘に触るなあの敵どもは。
おい滑舌よく喋るな。擬態しろ擬態を。
しかし、派手な攻撃で陽動か…私の技はあまり派手さが…
待てよ。先程、遠目に見た戦場で「ゲーミング」なる七色の光を放ち戦う御仁が居たな。
ならば砂嵐を七色にしてしまえば派手になるのでは?
古き術と新しき技の邂逅…名付けて…
ゲーミング砂嵐。
私の持てる力(光使い、砂使い、撹乱)を絞り出せば何とかなるだろう。
形状も戦場を縦横無尽に動く竜巻状にして目立たせつつ、
敵を巻き上げて陣形を崩れさせる。囲まれては厄介だ。
貴様らの起こす風はぬるいなぁ!!
本物の赤子のほうがよっぽど力強く泣く!
来い、改竄者ども!私が高い高いしてやろう!
●そしてまたしても戦場は光に包まれた
ジェネラル級討伐のための、大規模な陽動作戦。
スフィンクスの周囲では、あちこちで散発的な戦闘が続いている。
つまり彼方に目をやれば、敵を引きつけようと思い思いの方法でド派手に目立つディアボロスたちが見えるということだ。
(「さきほど、遠目に見えたあの戦場……七色の光を放っていた」)
そんなもんを見てしまったジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)は、見事に悪影響を受けていた。
そう、たしかゲーミングスフィンクス。1677万色(正しくは1677万7216色)に光り輝く、ド派手な陽動。
「……そうか、わかったぞ!」
「待て、ジズ。何がわかったのかはわからないが、なんとなくそれはあまりいい作戦ではない気がするんだ」
言葉に言い表せない不安を覚えた花塚・夜壱(月下鬼人・g00016)は、思わず顔なじみの蛮行を止めてしまった。
「なぜだ夜壱。これなら、私の地味めなパラドクスでも、奴らの注意を惹けるはずなんだ。止めないでくれ」
「いや……その、なんだ。目的に対して真摯なのは、ジズのいいところだと思う。しかしだな、絵面が……」
夜壱は口をもごもごさせた。だってさあ、ねえ? 敵が……ねぇ?
「だぁだぁ!(意訳:ディアボロス、かかってこい!)」
「あぶー!(意訳:我らはファラオとともに!)」
「少しぐらいおやすみほしいんだけどなぁ(意訳:きゃはー!)」
敵が、ねえ? デカブツの赤ん坊ですよ? しかも肌色めちゃ悪い。チアノーゼでも起こしちゃったかな?
「……なんだか、妙に滑舌のいい赤ん坊が混じってないか?」
「そうだぞ、声だけ可愛いのが逆に癪に障るのに、滑舌良く喋ったら擬態すら出来てないぞ。擬態をしろ擬態を」
ふたりは思わずツッコミを入れた。こだわるとこ、そこ?
「いや……赤ん坊に見えても、クロノヴェーダだからおかしくはない……のか?」
夜壱は真剣に悩んだ。彼は妙なところで真面目すぎるきらいがある。
「「「あぶぶぅ~!(意訳:スフィンクスは絶対に壊させん
!)」」」
「「よし、殴ろう!」」
ふたりは顔を見合わせて頷いた。これ以上付き合ってると頭がおかしくなりそうだったので。
「だぁああ~~! びぇええ~~!!」
すると死の愛し子、突然泣き出した! 赤ん坊のふりをしてもいまさら遅い!
いや違う。別に擬態しているわけではなく、これが奴らのパラドクスなのだ。その泣き声は、見えない真空の刃を呼ぶ!
「騒がしいですね。子守唄、というわけではないですが、これなら泣き止みますか?」
さりげなく、音がよく響く位置に移動していたシャムス・ライラ(極夜・g04075)は、琵琶をかき鳴らした。
その調べは無辜の民に希望と安らぎを与え、業深き敵には因果の理で精神を捕縛する、『日と月の四行詩(ルパイヤート)』だ。
「あぶぶぅ!?(意訳:まだディアボロスがいたのか!?)」
「ええ、いますよ。このスフィンクスを破壊するために、私たちは全力を注ぎに来ましたからね」
シャムスはさらに激しく琵琶をかき鳴らし、愛し子たちの不安を煽った。
「そしてあなたたちの大事なファラオも……そうなってしまえば、ただではすまないでしょうね?」
「「「だぁああ~~~!!(意訳:おのれぇ~~~
!!)」」」
愛し子は一斉に泣き出した! なんとも耳障りな大合唱! 真空の刃が乱れ狂い、シャムスの装束を斬り裂く。
地形を生かして回避行動を取ったシャムスは、ダメージを可能な限り最小限に抑えた。いくらか手傷を負ったが、戦闘にはまったく支障がない。
「騒がしさだけは見た目通りですね。しかしその巨体に、人の命をたやすく奪うならば、手加減する必要もない。でしょう?」
シャムスは、ちらりと夜壱とジズを見た。仲間の攻撃チャンスを作るため、彼はあえて撹乱に出たのだ。
「ああ、そうだな。油断は禁物だ、行くぞジズ!」
「うむ。奴らの手ぬるい風なぞよりも、私のゲーミング砂嵐のほうが上だと教えてやろう!」
「「ゲーミング砂嵐??」」
「そうだ! 見ろ、これがゲーミング砂嵐だ!!」
ジズは『アカシアの杖』を振り上げ、サンドストームを発動した。
足元に生まれたつむじが、あっという間に巨大な砂嵐に成長する。そしてそれは……1677万色(正しくは1677万7216色)に輝いている……気が、する!!
「「「ばぶぅ~~~!?(意訳:うおっまぶし
!!)」」」
「これぞ旧き術と新たな技の邂逅だ。さあどうした、本物の赤子のほうが、よっぽど力強く泣くぞ、改竄者ども!」
竜巻のように狂おしく身を捩る砂嵐が、ぎゃあぎゃあ泣いてる死の愛し子をさらい、ずたずたに削り取っていく。
真空の刃がジズの身体を傷つけるが、彼女はその程度で倒れるほどヤワではない!
「……ここまで騒がしい戦場は、初めてかもしれないですね」
「す、すまん! いや俺が謝ることでもないし、クロノヴェーダが悪いのだが、とにかくすまん!」
ギリギリ美形キャラの矜持を守り、カッコよく琵琶を弾くシャムス。なんだか申し訳なくなって、夜壱は謝った。
そうだ、すべてクロノヴェーダが悪い。さあ、クロノヴェーダぶっ殺そう……! というわけで彼も如意棒を手に参戦。
見た目にそぐわない意味わからんスピードで動く愛し子どもを、デーモンの魔力を纏わせた如意棒で叩きのめす!
「ばぶーっ!!(意訳:グワーッ!!)」
舞い踊るような打撃は、如意棒の伸縮自在性によって間合いが掴みがたく、そして幻惑的だ。
砂嵐(光っているように見えなくもない)と激しい琵琶の音色に合わせて踊るさまは、芸術的といえなくもなかった。
あるいは悪夢のような光景である。悪夢のような敵なんだから、仕方ないよね。
「さあ来い改竄者ども、私が高い高いしてやろう!」
「そろそろ、終いのようですね。ファラオの最期を見ずに逝けるのは、幸せかもしれませんよ?」
「「「ばぶぅ~~~!!(意訳:おのれギャーッ
!!)」」」
四行詩の力で精神を束縛された赤子どもは、光り輝く(ように思えなくもない)砂嵐で身体を削り取られていく。
「子守はいい加減うんざりだ。魔力に飲まれて、消えろ!」
そして、夜壱の如意棒が、海波のようにばっさりと死の愛し子を真っ二つにし、飲み込んだ。
ひときわ高く砂嵐が舞い踊り、残骸をさらって天へと消えていく。あとには、何も残らない。
「シュールな敵でしたね。クロノヴェーダも色々のようです」
「そうだな。しかし、私たちの敵ではなかった。そうだろう? 夜壱」
シャムスとジズの言葉に、夜壱はこくりと頷いた。
「ああ。しかし、あの妙に滑舌のいい赤ん坊はなんだったんだろうか……」
「深く考えても仕方ない気がしますよ。ともあれ、我々の仕事はこのあたりかと。一度退いて、様子を見るべきですね」
シャムスの提案に従い、ジズと夜壱はパラドクストレインへと帰還した。
最後にシャムスは、そびえ立つスフィンクスの巨体を振り仰いで、目を眇めた。
「このクロノ・オブジェクトを有効利用出来たなら……我々の大きな力になるかもしれませんね。無事に作戦が上手くいくといいのですが」
それは、潜入したディアボロスたち次第だ。
勝利を祝う琵琶を一節かき鳴らすと、シャムスもまた砂風に紛れるように、姿を消した。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【未来予測】LV1が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
【土壌改良】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV2になった!
【ロストエナジー】がLV2になった!