リプレイ
サティニフィア・ネイバーライト
目的
森の踏破
目標
突破後のクロノヴェーダと戦うための十分な余力を残し目的達成
心情
漸く魏の都たる洛陽への道筋が拓きかけたんだ、こいつは何としてもやり通さねぇとな!
森は不気味だが…だからといって必要な事なら、誰かがやんなきゃ、だろう?
行動
目元にゴーグル、口元にマスク
靴や服の隙間を塞いで一応虫よけ剤を全身に
森の中じゃでけぇ虫だけが脅威じゃねぇからな
一応の用心だ
クロノヴェーダじゃねぇ只の虫にゃ争うだけ損
気配を殺し足音を殺し森を進むぜ
森とは言え洛陽との往来があるならある程度は痕跡があるはずだ
それを探して辿る
戦いを回避できねぇ状況になったら成るべく音を立てねぇようにナイフメインで立ち回るぜ
●
異様な枝葉の樹木の間を縫うように小さな人かげが進んでいた。
ゴーグルにマスク、肌の露出も徹底的に避け、防虫剤も全身に塗布済。まさに完全装備のサティニフィア・ネイバーライト(スゴ腕情報屋・g00008)である。
「かーっ、なんとも気味の悪りぃ森だな」
何度目になる彼女の呟きであろうか。虫の足のような木。マスク越しにも匂う腐臭。この森はともかく不気味で不快であった。
だからといってサティニフィアに踵を返して元の道を帰るつもりは無い。小さな身体をさらに縮こませて、自らの気配を消すように先を進む。
(「ここまで苦労してようやく洛陽への道が拓きかけてんだ……必要な事なら、誰かがやんなきゃ、だろう?」)
——だったらアタシがやってやるさ。
たとえこの地がどんなに不快でも、道なき道を行く少女の歩みは生き生きとしていた。
サティニフィアは闇雲に奥に奥にと森を進んでいるわけではなかった。キョロキョロと地面に首を巡らせながら森を進む。
「やっぱりあった、予想通りだぜ」
彼女が探していたもの。サティニフィアの視線の先には踏み固められた草の痕跡があった。
その痕跡は森の奥地まで続いている。
トループス級の蟲将たちが森から卵を運び出していたとの予知からも、森と外界との往来がある事は予測できた。
ならば彼らが通ったあとも残っているはず。
そして、その先にあるものは——言うまでもない。サティニフィアたちの倒すべき敵であるアヴァタール級がいるはずだ。。
その時、頭上の木から巨大なクワガタ虫が彼女に飛びかかった。
両手に持った良く切れそうなナイフをサティニフィアは目の前で一閃する。真っ二つになったクワガタが地面に落ちた。
「只の虫と争うだけ損、ってな。体力温存の万全の状態で、クソ蟲将どもを叩き潰してやるぜ」
再度身を屈めたサティニフィアは、見つけた痕跡を辿っていった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
ジズ・ユルドゥルム
虫は嫌いな方ではない…むしろ蜘蛛や蜂は好きなくらいだが…。
この森の造形にはさすがに参るな…。
しかし昆虫達は獰猛とはいえ、クロノヴェーダでは無いのなら敵対する理由もない。
周囲に擬態した昆虫がいないか注意深く【観察】し進む。
物音にも気を配り、羽音が聞こえたならすぐに身を潜めよう。
虫達と鉢合わせたら【動物の友】で懐柔できないだろうか。無益な殺生は避けたい。
あわよくば道案内も頼みたい。彼らを通常の動物と呼べるのか分からんが…。
難しければ、我々と彼らの共通言語で分かり合うほかあるまい。
すなわち、暴力で。
昆虫とて力で争うこともある。
多少痛めつけて、私は戦うべき相手ではないと分かってもらうとしよう。
●
「こうも異様な造形が続くのは流石に——」
参るな——と、ジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)は琥珀色の双眸に若干の疲労の色をのぞかせた。
虫の足のような木々の茂る森の中を、かれこれ数時間は歩きづめている。異様な光景に気が休まらないだけでなく、その中に潜んでいるであろう昆虫たちに気を配り続ける。
ジズが感じているのは肉体的な疲労というよりは、むしろ精神的なものであった。
——カサリ。
近くで聞こえた葉音にジズは身を潜める。息を殺してじっとしていれば、カサカサと枝葉を揺らす音が遠くに過ぎていった。
「行ったか」
何度目かの遭遇を無事にやり過ごし、ジズは再び先へと歩き始めた。
彼女にとって虫は嫌悪の対象では無かった。蜘蛛や蜂は好きなくらいであるし、そうでなくてもそこに在るひとつの命である。
クロノヴェーダでは無いのなら、昆虫とわざわざ敵対する理由もなかった。
そうやってジズは昆虫との遭遇を避けて、森を先へ先へと進んでいった。
とはいえ、どんなに避けようとした所で、どうにもならない時はどうにもならないものだ。
「駄目か」
ため息をつくジズ。彼女の前方にある木の幹に巨大カブトムシがしがみついていた。
物音なく出会い頭の遭遇。気がつけばジズはカブトムシと目が合い、お互いを認識してしまっていた。
即座に『動物の友』を発動させてみたが巨大昆虫に効果は無かった。
威嚇するようにカブトムシが羽を広げる。
ジズの瞳はその様をじっと見る。
カブトムシがジズへと一直線に飛びかかる。
「こうなればお互いの共通言語で分かり合うほかあるまい」
生きとし生けるものの唯一の共通言語。
それ即ち——『原始のならわし(ブツリデナグル)』。
「私はお前が戦うべき相手ではないのだ!」
飛んでくるカブトムシをジズは手に持ったアカシアの杖で殴りつける。
衝撃で地面に叩き落とされるカブトムシ。しかし、再び飛びかかろうと羽を広げる。
すかさず近づいたジズがカブトムシの背中をしこたま殴りつけた。
無益な殺生をするつもりはないが、ここで手加減をするつもりもない。
ジズはカブトムシと戦いたくない。
カブトムシはジズと戦いたい。
互いの主張を暴力でもってぶつけ合う事はジズにとって自然な事であった。
「分かってくれたか……」
ジズが杖で殴る手を止める。ボロボロになったカブトムシが茂みの中へと消えていった。
成功🔵🔵🔴
効果1【動物の友】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
桜・姫恋
アドリブ・連携歓迎
うわー、虫がいっぱいいるのか……ちょっと気持ち悪いね……さっさと進んで帰りたいところね
探索には【情報収集】を使い注意深く周りを見ながら進む
巨大昆虫が出てきてもいいように【罠使い】で罠を設置しながら進む。邪魔な草花や巨大昆虫が出てきたら星桜灯月にて切り倒しなるべく物音を立てないようにして進んでいく。
それにしても本当に広いわねー
飛んだら楽なんだろうけどバレちゃいそうよね……
その他使える技能や効果は全て使用する。
近衛・悠
幼馴染二人が調査にいってるんで、俺も手助けが出来れば、と思ってな。
役目上、荒れた土地は見慣れてるつもりだったが、流石にこの森は異様だな。良くない情報も耳にしたし、調べるだけ調べておくか。
軍手とかスコップは出来るだけ準備しておく。効果あるのか不明だが一応【完全視界】使っておく。
【情報収集】【観察】【地形の利用】で周りの地形を観察しながら邪魔な植物は【両断】で切断するか【冷気の支配者】で凍らせておくな。ここは敵地のど真ん中だ。慎重すぎるに越したことは無い。
本当に異様な生態系の森だな。誰が、何の目的でこんな森作り出してるんだろうな。
山田・菜々
もはや、植物と昆虫の見分けがつきにくくなってるっすね。これはちょっと厄介っす。
こういう時は目に頼らず、殺気を感じ取るしかないっすね。
それで隠れてるつもりっすか?殺気が駄々洩れっす。森に擬態して待ち構えてた昆虫をナイフで一刀両断っす。
野生の昆虫なんて、身を隠すすべは持ってても、殺気を隠す術まで持ってるはずないっすからね。そう難しくはないっす。
●
森の奥に進めば進むほど木々は密集し、不気味な枝葉がディアボロスたちの行く手を拒むように生い茂る。
そして、枝葉の合間から姿を見せる昆虫たちの襲撃も次第に激しくなっていった。
桜・姫恋(苺姫・g03043)が愛用の『星桜灯月』を手に、こちらへと飛びかかってくる巨大昆虫の群れに対峙する。
先頭の1匹目へ星桜灯月を縦に一振り。その勢いで華麗にターンし、続く2匹目を横薙ぎに両断する。さらに3匹目、4匹目を一閃、また一閃と斬り捨てていった。
「うわぁ、キリがないわね」
それでもウジャウジャとわいてくる巨大昆虫を前に、姫恋は口元をヒクヒクと釣り上げる。
可愛らしいいつもの表情はどこへやら。わいてくる虫への生理的な気持ち悪さと、呆れの気持ちが半々といった顔だ。
「それだけ親玉のいる所に近づいているってことっすよ」
山田・菜々(正義の味方の味方・g02130)が仲間と自分自身を励ますように状況を述べる。
「確かに……普通の生態系の森ならまだしも、この森はクロノヴェーダが何らかの目的の為に作り出したものだろうからな」
近衛・悠(黄昏のフィラメント・g02300)もコクリとうなずく。
幼馴染の姉妹の報告を聞いて何か自分にも出来る事はないかと、悠はこの森にやってきた。
結果、過酷な土地に慣れている悠から見てもこの森は異様であった。
怪しい木々に巨大昆虫。そして地面から漂う鼻をつく腐臭。
こんな森が自然に出来たものとは考えにくく、状況的にクロノヴェーダが生み出したものに違いないはずだ。
だが、どんな目的で——。
それは悠にも何とも言えないが、きっと碌な目的でない事は間違いないと思えた。
「そこっす」
菜々が頭上の木の枝にナイフを撃ち込む。
ナイフの刃が枝に刺さると枝から何かが剥がれるように落ちていった。
地面を見れば菜々の投げたナイフが背に刺さった巨大昆虫がいた。木の枝に擬態し菜々たちを奇襲しようとしていたのだろう。
「すごーい、よく気付けたわね」
姫恋の感嘆の声に、菜々はニヤリと笑う。
「目で見分けがつかなくても、気配を感じる事は出来るっすよ。デカくても所詮は昆虫っす」
奇襲を受ける前に菜々によって昆虫を始末できた事は上々の結果といえた。
巨大昆虫とディアボロスたちでは実力に大きな開きがある。幾ら数が多くても、不意をつかれない限り、巨大昆虫はディアボロスたちの敵ではないのだ。
「ともかく先へ向かおうか」
悠が前方の茂みを鉈で断ち、先への道を切り開いていく。周囲に異変がないか丁寧に周囲を観察する事はやめない。
(「ここは敵地のど真ん中だ。慎重すぎるに越したことは無い」)
案の定、茂みから飛びかかってきた昆虫を悠は薙ぎ払う。念のために用意した『完全視界』によって、茂みの中でも視界は良好であった。
先を進みつつ、背後から襲ってくる昆虫は姫恋が切り捨てる。昆虫の数は多いが死角に入られない限り姫恋が遅れを取る事はない。
「もういっその事、空を飛んで行った方が楽……でも流石に敵にバレちゃいそうよね」
ここまでの道のりと、次々と襲ってくる巨大昆虫に姫恋は疲れた顔で少しだけ頭上の空へと目を向ける。
姫恋が自分で言った通り。森の上空を空を飛んで進めば、地上からも、そして洛陽からも侵入が丸見えとなり、非常に危険な状況になりそうであった。
「それで隠れてるつもりっすか?」
隠れる巨大昆虫を積極的にナイフで仕留めていく菜々。
菜々は思わぬ奇襲を先に防ぐ事に専念する。
前を悠が、後ろを姫恋が、遊撃手を菜々が。
3人は協力し合い、昆虫たちの襲撃をものともせずに奥へと進んでいった。
そして——。
「ちょっと前から昆虫の襲撃がぴったり無くなったわね?」
明らかな異変に立ち止まった3人。姫恋が訝しむように周囲に目を配る。
すると、前方からガサリガサリと大きな葉音がこちらへと近づいてくる。
同時に感じる気配は巨大昆虫とは別の——。
「どうやらクロノヴェーダのようだな」
「ようやくお出ましっすね」
ディアボロスたちの前に現れたのは、巨大昆虫を盾や武器のように持った蟲将の一団であった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
【修復加速】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【能力値アップ】LV2が発生!
近衛・悠
何かうるさい蟲共が騒いでるな?先に進むのに凄く邪魔だから即刻駆除するか。ただでさえ不快な森を見せられて苛ついているしな。
【観察】【情報収集】で敵の集団の立ち位置を把握し、放電の軌道を予測。放電はそのままリピードペインで返す。そのまま【風使い】【呪詛】【毒使い】【気絶攻撃】を併せて【吹き飛ばし】してやるか。とにかくうるさいんでな。とっとと吹っ飛べ!!
あ、もし近づこうとする敵がいたら【罠使い】【光使い】で作った照明弾で目眩ししてやるか。
山田・菜々
邪魔をするなら容赦はしないっすよ。
地形を利用しながら戦うっすよ。
エアライドで2段ジャンプして上の木の枝につかまり、上空から飛び蹴りをおみまいするっす。
体勢を崩したところに破軍衝っす。
そんな無策な突撃なんて、届くことすらできないっすよ。
●
森の奥からゾロゾロと現れた蟲将たち。
その右腕にはギチギチとハサミを動かす巨大クワガタを。一方の左腕には黒光りすると巨大カブトムシを盾のようにかかげていた。
「虫の襲撃が無くなったのは、コイツらが捕獲したからっすかね?」
山田・菜々(正義の味方の味方・g02130)が呆れ顔で肩をすくめる。
巨大昆虫を装備して菜々たちをギチギチと威嚇してくる蟲将たちは、観察すればするほどシュールな出立ちをしていた。
「蟲共がギチギチと喚くな……」
近衛・悠(黄昏のフィラメント・g02300)が低くひ構えを取り、殺気だった琥珀色の瞳を蟲将たちに向けた。
途端に悠と蟲将たちの間を背筋をゾクリとさせる気配が満たす。
蟲将たちがこちらを包囲すべく左右に広がっていく様子を悠は横目で確認しつつ、その出方を待った。
——キシャァ!
蟲将たちの持つクワガタのハサミの間から紫電が発生し、悠に向かって一斉に稲妻が放たれる。
タイミングを計っていた悠は横に飛んで雷の直撃をさけて、お返しとばかりにリピートベインを発動した。
「とっとと吹っ飛べ!!」
悠を中心に放たれた反撃の雷光が周囲の景色を白く染め上げる。耳をつん裂く音が轟き、紫電が一帯を覆い尽くした。
目を焼くような輝きで蟲将たちの視界は奪われ、雷の衝撃で地面に倒れ伏す。
放電によるツンとした匂いと、地面から立ち登る水煙。
立ち上がった蟲将たちがギシギシと声なき声を上げる。
気がつけば彼らの目の前にいたはずの悠たちが姿を消していた。
●
目眩しを兼ねた悠の攻撃に乗じて、ディアボロスたちは森へと散っていった。
蟲将たちもバラバラになりそれを追いかける。
「あんなひらけた場所で大人数と戦うほど、おいらたちは間抜けじゃないっすよ」
菜々が森の中を素早く移動する。背後には彼女を追う蟲将の姿があった。
一部の蟲将は羽を羽ばたかせて空中を移動し、木々の合間を移動する菜々を追い立てようと頭上より近づいてくる。
菜々が一度振り返る。空中の蟲将と目が合った瞬間、蟲将が一気にスピードを上げ菜々へと突進する。
踵を返した菜々も走る速度を全開まで上げた。
——キシャア!
嘲るような蟲将の鳴く声。菜々を獲物と定め、その背中を追う。
菜々との距離がどんどんと縮まる。嗜虐に満ちた目の蟲将が巨大クワガタのハサミを菜々へと突き出す。
「あらよっと、っす」
その瞬間、菜々が地面を蹴って勢いよく跳躍した。さらに空気を蹴っての2段ジャンプで背の高い木の枝を掴む。
視界から突然菜々が消えて、標的を失った蟲将は前のめりに立ち止まった。
「そんな無策な突撃なんてお見通しっす」
掴んだ枝をしならせて、勢いよく空中に飛び出す菜々。落下の勢いを加えて蟲将の背中に飛び蹴りを叩き込む。
頭から地面に倒れ込む蟲将。
その背中を踏みつけた菜々が衝撃波をともなった拳を胴体に叩き込む。
衝撃波が蟲将の体内を突き抜けて、地面を軽く揺らす。
遅れて体内を破壊された蟲将が口から大量の血を吹き出し、やがて動かなくなった。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【過去視の道案内】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
鬼灯・火怜
アドリブ・連携歓迎
あれがミライが言っていた巨大昆虫で武装したクロノヴェーダだな。
武器防具が生きているという事は自立して襲ってくるのかねぇ?昆虫の不意の攻撃に注意しておくか。
ま、やる事はそう変わらんさ。大まかな方針としては、【鬼神変】で膂力を強化して【硬殻兵突撃】で突撃してくる敵に何か投げつけてあえて防御させ動きが止まった所を兵装ごと【破壊】する勢いで攻撃を叩き込む感じでいくか。
喊声を上げながら突撃してくるから来るから、死角からの攻撃は声を頼りに方向を判断。
向かってくる相手だけを迎え撃って1体1体確実に対応していくぜ。
念の為だ魏軍硬殻兵だけでなく昆虫兵装も破壊しておいた方がよさそうだな。
結島・蘭杏那
この森の中で上空を取ったからと言って有利になるとは限らないわよ?ただの平地なら狙いやすかったかもしれないけど樹が乱立してたら射線も通しにくいでしょう。【残像】、【ダンス】で狙いをつけにくくして、【エアライド】で樹が影になる最適経路を見出しながら上空からの攻撃に身を隠しつつ、【風使い】、【念動力】で別方向にある枝を揺らしてフェイントを掛けるわ。こちらの攻撃のチャンスは簡単ね。相手からの射線が通るということはこちらも通るということ、相手の攻撃を避けた直後に無数の刃物を相手に放つわ。
さてさてこの森ももう少しで越えられそうな気がするわ。頑張って害虫駆除しないとね♪
●
森の中の鬼ごっこ。
鬼に追われる鬼灯・火怜(鬼人の鬼狩人・g05780)が本物の鬼というのは皮肉だが、鬼の少女は追手を背後に森の中を走り抜けていく。
そして木々が倒れ少し開けた場所にたどり着つくと、彼女はおもむろに足を止めた。
「さてと、そんじゃひと暴れるするか」
ゴキリと首を鳴らし右肩をぐるぐると回す。頭の上で無造作にまとめた真っ赤な髪を揺らして後ろへと振り返った。
火怜は決して無策で逃げていた訳ではなかった。単に暴れる場所を吟味していただけだった。
——キシャア!!
木々の間から鬨の声を上げる蟲将が現れ、真っ直ぐに火怜へ突撃してくる。
それをみとめて火怜の口の端が獣のように釣り上がる。体内を巡る鬼の血潮が闘争の匂いを嗅ぎ付け一瞬で沸騰し、全身が熱を帯びた。
「クハッ、ここからは殺しあいだ!!」
金の瞳が獰猛な色を帯びて、火怜の右腕が異形のそれに変化する。
巨腕が側に転がっていた倒木を軽々と掴み、迫る敵目掛けて投げつける。
飛んでくる倒木に蟲将は慌てて盾を構えた。
倒木が盾にぶつかる衝撃を踏ん張って耐える。
「オラァァアアッ!」
火怜の雄叫びと共に、足を止めた蟲将の脳天に、異形の右腕に握られた七尺の金棒が叩き込まれた。
グシャリと間が抜けた音がして、めり込んだ金棒が蟲将の上半身を圧し潰した。
飛び散った血飛沫を拭おうともせずに、火怜は周囲を見渡す。
「次はどいつだ? かかってきなッ!!」
木々の向こうから火怜へと近づく新たな蟲将たちの喊声が響いた。
●
鬱蒼と頭の上に葉の茂る木々の間を結島・蘭杏那(剣の舞姫・g01039)は足を止めずにすり抜けていった。
真っ直ぐにではない。時に迂回をして、蘭杏那はあえて葉の影の落ちる場所を選び進んだ。
空中を飛ぶ蟲将たちからの射線をさえぎり、こちらに狙いを付けさせないためである。
「この森の中で上空を取ったからといって、有利になると本気で思っていたのかしらね?」
頭上から聞こえる羽音に蘭杏那は口元に笑みを浮かべた。
生い茂る葉によってこちらからも相手の姿は見えないが、激しく振動する羽音から敵の苛立ち
が手に取るように分かった。
葉が邪魔をして敵は蘭杏那を目視できない。
——ならば次に敵が取る手段は?
蘭杏那は音を立てないよう静かに立ち止まり、数度腕を振るい、空気の塊を遠くの木の枝にぶつけた。
塊がぶつかった枝がガサリと揺れる。途端に揺れた枝の付近に多数の矢が飛んだ。
しかし、見当違いの攻撃は当然ながら不発に終わる。
目を封じ、耳を封じる。蟲将たちを手玉に取って蘭杏那は森の中を逃げた。
やがて蘭杏那の前方の視界が開ける。木のまばらな場所に辿り着いたのだ。
——キシャシャシャ!!
蘭杏那が顔を上げれば、空を飛ぶ蟲将たちがこちらを見て、勝ち誇ったような声を発していた。
即座に蘭杏那に向かって巨大クワガタ虫を飛ばしてくる。
それを見て、蘭杏那は呆れ顔で笑った。
「馬鹿ね。あなたたちの射線が通るということは、こちらも同じ条件なのよ?」
ここまで蘭杏那にいいようにやられて、焦らされ、怒り、視野が狭まった蟲将たちの攻撃は明らかに精度が悪かった。
蘭杏那が落ち着いて数歩下がればクワガタは次々と地面に突き刺さった。
「戦場で己を見失った者に与えられるのは、敗北と死だけよ」
蘭杏那が片手を上げてパラドクス『無刃の舞(ブレードワークス)』を発動する。
「来い、刃よ!」
空中を飛ぶ蟲将たちのさらに頭上に無数の刀が出現する。
「そして——舞乱れ、切り刻め!!」
刃の雨が敵に降り注ぎ、さらに刃は旋回し、嵐のように蘭杏那に仇なす者たちを容赦なく切り刻んでいった。
●
森のあちこちで聞こえていた戦いの音が止む。
蟲将たちはディアボロスの手により全て葬られたのだ。
「こいつで最後か?」
火怜が異形の腕で掴んだ巨大昆虫を握り潰す。足元には蟲将の死体が転がっていた。
「ずいぶんと派手にやったみたいね」
森の中から蘭杏那が現れ、火怜の周囲の凄惨な骸の山を見て苦笑する。
「そっちこそ、蟲の空中解体ショーが丸見えだったぜ」
ニヤリと笑う火怜に、肩をすくめる蘭杏那。
「この森ももう少しで越えるわ。害虫駆除も最後まで気を抜かず頑張らないとね」
森の奥、さらにその先にあるであろう洛陽の方角へ火怜と蘭杏那は向き直った。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【怪力無双】LV1が発生!
【エアライド】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
【命中アップ】がLV3になった!
結島・蘭杏那
雑兵の次は欠陥品ね。この森での定番ね。もうルーチンワークだわ。それももう少しの辛抱ね。さぁさっさと片付けて洛陽に向かうわよ!
不完全な欠陥品で耐久力がないのならオキナに騎乗して蹂躙よ。あえて後方に死角を作って、伏兵が現れてもオキナの機動力で置き去りにすれば関係ないわ。あとは【残像】、【ダンス】で華麗に動きながら【エアライド】の三段ジャンプも取り入れて縦横無尽に森を駆け巡って欠陥品を踏み潰していくわ。
さてこれで残すところ産卵してるアヴァタール級だけね。産卵でお疲れのところ申し訳ないけど大人しく駆除されてね?
近衛・悠
欠陥品か・・・強いアヴァタールを作るのも大変だろうから、こういう失敗作も出るんだろうな。
でも欠陥があるとはいえ存在自体が兵器のようなものだから残しておく道理もない。この森全体がこの世界にはいらないものだからな。根こそぎ駆除しとくか。
自壊に巻き込まれない範囲を【観察】【戦闘知識】で把握し、立ち位置を調整。【風使い】【吹き飛ばし】で纏めて吹き飛ばしていく。吹き飛ばし損ねた敵は曙の一撃で確実に止めを刺すか。
兵士を増やす手段としては余りにも悪手だな?上層は何考えてんだろうな。
サティニフィア・ネイバーライト
目的
欠陥アヴァタールの排除
目標
陳羣と戦うための余力を残して目的達成
心情
しっかし無理やり卵産ませるたぁどういう事だ?
単純に考えれば戦力増強だが…拠点からやや離れすぎてる気がするぜ
狙いが読めねぇが先ずは目の前の対処が先だな
行動
相手はこちらに対応して不完全でも孵った連中か
その欠陥は十分利用させてもらうぜ
よく観察すればあの首の長さを生かして頭突きしてきてるが、その長さが仇となって不完全じゃ脆過ぎらぁ
しっかり見極めて避けるのに専念し、外して自壊しかけた奴の首にトドメを当ててやれば被害が抑えられそうだな
とは言え油断して被弾しねぇように盾は構えて受け流せるように構えておくぜ
山田・菜々
こんな不完全なものを生んで何が目的なんすね。この陳羣は利用されてるだけみたいっすけど。
欠陥アヴァタールの攻撃はエアライドを使って避けるっすよ。
ええい、厄介っす。こいつらいっきに片づけるっす。
破軍衝の衝撃はでまとめて攻撃するっすよ。
攻撃後、すぐにステップして、他方からの攻撃を受けないように気を付けるっす。
欠陥品とは言え、聞いてたとおり、攻撃力はアヴァタール級みたいっすね。これは気が抜けないっす。
●
森は奥に行くにつれて不気味さを増した。
あたりに生える木には虫の複眼のような果実が連なって、別の木には薄羽を思わせる花が咲き乱れた。
そして、におい。
奥に行けば行くほど、地面から発せられる腐臭はより強くなっていった。
仲間たちを先導するサティニフィア・ネイバーライト(スゴ腕情報屋・g00008)が突如足を止めた。
サティニフィアはその場で仲間たちへと振り返ると、こちらへくるよう手招きをしてみせた。
「ターゲットがこの先にいる。向こうはまだこっちに気づいてねぇな」
そしてサティニフィアは口元に指を当てて、音を立てないようにと仲間たちに示した。
それにうなずいた近衛・悠(黄昏のフィラメント・g02300)は静かに移動を始めた。
190センチ近い身長をほこる大柄な悠であるが、腰を落とし器用に身体を縮こませると、葉擦れの音ひとつ立ずに前へと進んだ。
森の中の暗がりが途切れ、急に前方から光が悠に差し込んだ。
明るさに目を慣れさせて前を見れば、少し先に木々のまばらな開けた土地が広がっていた。
「あれが陳羣っすね」
悠と同じく前方を観察する山田・菜々(正義の味方の味方・g02130)が小さく呟いた。
菜々の視線の先。開けた土地の中央に、巨大な蟻のような下半身を地面に横たえた蟲将の姿が見えた。
たしかに敵はまだこちらの接近に気づいていないようだった。
復讐者たちはヒソヒソと相談を始めた。
「こっからどういう作戦でいくんだ?」
「まずはさっさと周りの欠陥品を排除しましょう。あれを放置するのは危険よ」
サティニフィアが問えば、結島・蘭杏那(剣の舞姫・g01039)は端的に答えた。
蘭杏那の言う『あれ』とは陳羣の周囲に転がる幾つもの卵の事であった。
「あれが襲いかかってくるのは、もうこの森の定番ね……ルーチンワークみたいで嫌になるわ」
顔をしかめる蘭杏那。
同じような作戦に蘭杏那は何度となく携わってきた。この後の展開は飽き飽きするほど、自らの身に染み付いているのだ。
「欠陥があるとはいえ存在自体が兵器のようなものだろうから、残しておく道理もない。先に根こそぎ駆除しとこう」
「そうっす、いっきに片づけるっすよ」
悠と菜々も蘭杏那と同じ見解だった。互いに顔を見合わせてうなずき合う。
「んじゃ、作戦決定だな」
ニヤっとサティニフィアが不敵に笑った。
●
「なっ、ディアボロスの襲撃かっ!?」
突如聞こえた蹄の音に陳羣は目を見開いた。
陳羣の視界には土煙を上げて突っ込んでくる一騎の騎馬——蘭杏那の姿があった。
次の瞬間、陳羣の周囲の卵の殻が音を立てて割れた。卵の中からはねじくれた手足の欠陥品——劣化クロノヴェーダが出現する。
一瞬で陳羣を中心に陣が構築されていった。
だが、無双馬『オキナ』に跨り戦場を疾走する蘭杏那は、全く怯む事なく敵の陣へと突入する。
「さっさと片付けるわよ、オキナ!」
行く手を遮る欠陥品を馬上の蘭杏那は一刀の元に斬り伏せた。
同時に蘭杏那の背後から現れた伏兵が蘭杏那の背中にパラドクスを撃ち込もうと身構える。
「させるかっ!」
鋭い悠の声。構えた伏兵の横合いから強烈なつむじ風が吹き込んだ。
突風によって体勢を崩す伏兵たち。結果、パラドクスは本来よりも一拍遅れて蘭杏那へと向かっていった。
蘭杏那の背後にパラドクスが迫る。
「遅いっ!」
だが、蘭杏那を乗せたオキナはそれを置き去りにするかのように敵陣内を加速し、大地を大きく蹴って空へと跳躍した。
直後、オキナの足元でパラドクスが炸裂する。飛んでくる余波によるダメージは軽微といって良かった。
●
「そう簡単には捕まらないっすよ」
菜々は欠陥品たちの合間をぴょんぴょんと踊るようなステップで飛び回る。
『エアライド』による空中ジャンプを使用したトリッキーな動きは敵を翻弄し、敵の陣の機能を低下させていった。
同じく『エアライド』を駆使して敵陣を縦横無尽に駆け抜ける蘭杏那。
欠陥品たちの目は、派手に動く菜々と蘭杏那の2人に集中していく。
一方で——。
「喰らえ、曙の一撃!」
悠の放った光弾が狙った通りに敵を射抜く。
あっさりと崩壊していく欠陥品からの捨て身の反撃に顔をしかめるも、余裕をもって一体一体確実に欠陥品を始末していく。
また——。
サティニフィアの丸い双眸には、彼女へと迫る蟲の頭部が映っていた。
今の彼女には瞬きさえ許されない。敵の攻撃を見極めるべく眼前の情報に全神経を集中させる。
「よっし、『視え』た!」
コンマ一秒以下のタイミング。
インパクトの瞬間。
それを『見極めた』サティニフィアは小さな身体をそらし手にした盾で敵の頭突きを受け流す。
そして、導き出した弱点を突くべく、もう一方の手に握ったナイフを一閃した。
「その長い首! 本体ならいざ知らず、不完全じゃ脆過ぎらぁ」
長い首を狙った一撃。非力といって良いサティニフィアが振り下ろしたナイフは、それでも大した手応えも無く首を切断し敵の命を絶った。
菜々と蘭杏那が派手に敵を引きつける。
余裕のできた悠とサティニフィアが敵を確実に始末する。
このような形で戦いは進んでいった。
●
残りの敵は3体にまで減っていた。
「これでもくらえっす」
菜々が生き残りのうちの1体の腹へと拳を打ち込む。拳からの衝撃波がその腹部を粉砕し、後ろに抜けた衝撃の余波が、さらに一体を打ち砕いた。
これで残りは1体。
怯えたように慄く最後の1体の頭上に、突然影が差した。
直後、空中から落下してきたオキナの蹄が敵へとめり込む。
その勢いのまま地面に押し潰れた敵はすぐに動かなくなり消滅した。
「欠陥品とは言え、聞いてたとおりの攻撃力でヒヤヒヤしたっすよ」
菜々は周囲を見回し、これ以上敵がいない事を確認して大きく息を吐く。
「しっかし今さらだけども、無理やり卵産ませるたぁどういう事だ?」
サティニフィアの視線の先には、怒りの形相の陳羣の姿があった。
「戦力増強にしては、拠点からやや離れすぎじゃねぇか? 狙いが読めねぇな」
「たしかに、こんな不完全なものを生んで何が目的なんすかね」
「兵士を増やす手段としては余りにも悪手だな」
ふと、復讐者たちに生じた疑問であった。
「まっ、それを考えるのは帰ってからだな。まずは目の前の対処が先ってもんだ」
しかし、サティニフィアは小さく頭を振って、思考を目の前の敵へと戻した。
「さて、産卵でお疲れのところ申し訳ないけど大人しく駆除されてね?」
「き、貴様らァ……ッ!」
十文字槍の切先を怒りに震える陳羣へと向けて、蘭杏那は口元に冷たい笑みを浮かべた。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【スーパーGPS】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
【無鍵空間】LV1が発生!
【エアライド】がLV3になった!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV4になった!
【ガードアップ】がLV2になった!
結島・蘭杏那
さあ残りは陳羣とかいうアヴァタール級ね。この人物って三国志だと何やってたのかしら?有名所はわかるんだけだね〜。
それはさておき最後の駆除を頑張るわよ。あたかも敵の行動を見切って伏兵おいてたというけど、この【エアライド】の四段ジャンプに【壁歩き】よる樹の側面着地のトリッキーな動きを予測出来たのかしら?予測して樹上に伏兵を置いてたらバカなのか天才なのかわからないわね。そんな天才軍師様だったら後世では有名のはずよね。まぁ目で追って死角に出してる感じだから、【残像】と【ダンス】を駆使したフェイントで近づいて【斬撃】と【連撃】で斬り刻むわ!
山田・菜々
それ、はめられたんじゃないっすか?
いずれにせよ、邪魔だから、排除させてもらうっすよ。
復習の刃で方天画戟を召喚。
やっぱり、三國志といえばこれっすよね。
脳天めがけて投げつけるっすよ。
投げた直後に死角からせまる伏兵をナイフで切りつけるっす。それで気配を消したつもりっすか。
おっと、あれでまだ生きてるっすか。さすがアヴァタール級っすね。再び方天画戟を召喚。え?一本とは言ってないっすよ。これ、伝説級の武器でも何本も出せるっすから。
●
戦いの火蓋を切るかのように、無双馬『オキナ』がいななきの声を上げた。
その背に乗るは結島・蘭杏那(剣の舞姫・g01039)。
蘭杏那とオキナはアヴァタール級クロノヴェーダ『陳羣』に向けて颯爽と駆け出した。
「さあ、残りはあなただけ。大人しく駆除されてくれると助かるんだけど?」
「ほざけッ、天下に知られた我が智謀。ディアボロス如きに遅れを取るものか!」
突進してくる蘭杏那を陳羣は憎々し気に睨みつける。
その様子に蘭杏那は冷たい笑みを浮かべて言った。
「あなたって有名人だったの? 陳羣……やっぱり聞いたことないわ。関羽みたいな有名所はわかるんだけどね~」
「な、ななナァァァアア!!」
蘭杏那の挑発とも取れる言葉に、陳羣は泡を飛ばして怒りをあらわにした。
そして、巨大な下半身をたじろぎもせず、否——おそらく移動もままならないのだろう——陳羣は手元で何かの合図を示した。
途端、蘭杏那の死角から矢が次々と飛んでくる。
蘭杏那は馬上で身を逸らし初手の矢を避けると、右手でオキナの手綱を引き、左手に持つ槍で飛んでくる矢を薙ぎ払った。
「周囲には伏兵を潜ませておる。貴様らの攻撃など怖るるに……ッ!?」
動きを止めた蘭杏那に向かって得意気に口を歪めた陳羣であったが、その長い首目掛けて飛んできたナイフに目を見開く。
間一髪でナイフをかわし「チッ」という舌打ちが聞こえた方へ向き直った。
「ドヤってる内にさっさとヤっちまおうと思ったのに……寸前で気付かれたっすか」
投擲のポーズのまま、山田・菜々(正義の味方の味方・g02130)は残念そうな顔で言う。
だが、すぐに気を取り直すと右腕を天に掲げた。
「じゃあ次はとっておきでいくっす。やっぱり、三國志といえばこれっすよね」
菜々が『復讐の刃』で召喚した武器を握りしめる。
菜々の背ほどの大槍。槍の穂の付け根には左右に三日月型の刃が付いていた。
西洋のハルバードと同じように突く、切る、叩く、薙ぐ、払うと多用途に使える武器。
「呂布愛用の方天画戟のコピーっすよ。聞いた事ないっすか?」
「それ、聞いた事あるわ! どこぞのマイナー武将よりもその武器の方がよっぽど有名よね」
菜々の言葉に蘭杏那が手をポンと叩く。
「貴様らァァアアア!!」
陳羣の金切り声が天に響いた。
周囲から矢が雨あられのように降り注ぐ。
「おいらは先に伏兵を始末するっすよ」
「了解、それが終わるまで、敵を引きつけておくわ」
伏兵がいるであろう森の茂みに向かう菜々と、オキナと共に空中に躍り出る蘭杏那。
「全然当たらないわね。自慢の智謀とやらはこの程度かしら?」
矢の雨の中を蘭杏那は潜り抜ける。オキナの蹄は『エアライド』によって空中を力強く蹴り、さらに『壁歩き』によって木々の側面へと着地してみせる。
そうやって上下に左右に、天地を無視し、まさに縦横無尽のトリッキーな動きで狙いを絞らせない。
それに対する陳羣は——。
(「チッ、ちょこまかと……しかし最後に笑うのはこの陳羣の智謀よ」)
必勝の策、我にあり。小さく含み笑いを漏らす。
(「何か考えてるのも、目線でバレバレなのよね」)
敵の伏兵も結局はパラドクスの一種に過ぎない。
蘭杏那にとってはそれは単なる駆け引き、智謀などと勿体つける程でも無い。
蘭杏那は矢の雨をしのぎつつも、敵を冷静に観察し、動きのパターンを読み切っていた。
「これで、最後っす」
菜々が伏兵を方天画戟で薙ぎ払う。パラドクスで呼び出された伏兵は菜々の敵ではなく、あっという間に最後の群れが蹴散らされた。
矢の雨が止み、馬上の蘭杏那が陳羣へと切迫する。
しかし、その瞬間こそが陳羣の策であった。
「伏兵はもう無いとでも思ったかッ!」
蘭杏那の頭上に現れる影。
襲いかかる新たな伏兵が頭上から振り下ろした刃がラーナを両断した——。
……かに見えた。
両断された蘭杏那の姿がかき消える。
「残念、それは残像よ。そう来ると思っていたわ」
オキナの背から飛び出した蘭杏那が陳羣へと肉薄する。
「斬り刻むわよ——『剣の舞(ソードダンス)』」
至近距離での交差。愛用の十文字槍もかなぐり捨てて、蘭杏那は空中で踊るように、敵の目の前で右の手の平を翻した。
——ザッシュ!
陳羣の胸から吹き上がる鮮血。
蘭杏那が繰り出した右手の手刀は蟲将の硬い外骨格を綺麗に切り裂いた。
「グゥワワワワッ!!」
痛みに暴れる陳羣の腕が蘭杏那を引き剥がす。
追撃を止めて慎重に間合いを取る蘭杏那。
直後、苦しむ陳羣に新たな衝撃が走った。
——ドシンッ!
腹部に突き刺さる菜々の方天画戟。
苦悶に顔を歪めて陳羣が菜々へと振り返り、目を見張った。
「なっ……その手にあるのは何だっ!?」
「え? 一本とは言ってないっすよ。パラドクスだから何本でも出せるっす」
菜々の手には新たな方天画戟が握られていた。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【壁歩き】LV1が発生!
【操作会得】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV4になった!
【能力値アップ】がLV5になった!
塞河・みやび
敵は動けない、とはいえ?
動けないなりに色々やってくるようなのじゃ。
なんやかんやで油断は禁物なのじゃ!
つまりみやびちゃんも助太刀するのじゃ。
オーラの弓から誘導する矢を連射して援護するのじゃ~。
この矢はオーラなので、あつあつな火炎オーラや、びりびりな電撃オーラも込めて放てるのじゃ!
でも敵もやられっぱなしではないと思うのじゃ。
逆転の秘策というか、一発やり返すというか?
狙っているかもしれないのじゃ。
よく観察して、何かやりそうなタイミングを看破するのじゃ。
そこで軍師ビームの出番なのじゃ。
オーラの矢を光に変えてビームとして撃つ!
うまくいけば敵の反撃の機会を、こちらの攻撃チャンスに変えられると思うのじゃ!
セシア・ラウナンシー
連携・アドリブ可
私は何も用はない。ただそういう敵が出るというから見に来ただけのようなもの。
見えた、わかっただけでも縁というものは出来るからそれを断ち切る手伝いをしに来ただけ。
「あなた、死ぬわ。もうすぐよ、まぁ苗床で死ぬのかもしれないけど」
運命干渉術式"Ἄτροπος"を使用。
相手の運命の糸を断ち切ることで死を確定させる。
相手からの反撃は一撃離脱、風使いによる目潰し、幸運でなんとか耐えるわ。
耐えたらあとは撤退よ。運命を確定させるのは他の復讐者に任せるわ。
●
深傷を負ったとはいえディアボロスたちが対峙しているのはアヴァタール級クロノヴェーダである。
陳羣の攻撃ひとつひとつの威力は高く、胸や腹から血を流しつつもまだまだ倒れる様子は見えない。
油断をすれば最後に地に伏すのはディアボロスたちかもしれない状況であった。
「こんな時こそ、みやびちゃんの出番なのじゃ」
狐耳の女の子。塞河・みやび(さいかわみやびちゃん・g04329)が場違いに明るい声と共に戦場に現れる。
「見た目からして間違いなく敵は策士なのじゃ。まだまだ色々やってくるに違いあるまい……つまり、なんやかんやで油断は禁物なのじゃ!」
キランと『みやびちゃんアイ』が光る。まん丸で愛らしい琥珀色の瞳である。
そして手元で『みやびちゃんオーラ』をちょいちょいっとこね回し、あっという間に弓矢を作りだした。
「この矢はオーラなので属性付与もお手の物。さらに誘導性能もあるから、みやびちゃんでも安心の命中率。さらにさらに、弓矢なら遠距離から一方的に攻撃できてしまうのじゃ!」
誰にとも分からない解説を始めるみやび。
矢をつがえ属性の異なるそれを次々と放った。
あつあつな火炎オーラ、びりびりな電撃オーラ……などなどの矢が陳羣の巨体に叩き込まれていく。
「みやびちゃんは頭脳派なのじゃ。敵の弱点属性を探し出し、反撃を許さずに、一方的に攻め立てるなど朝飯前なのじゃ。ハメ技万歳なのじゃ!」
苦しむ陳羣にみやびはニヤリと笑う。
しかし、すぐさま陳羣がみやびに向かって放った短刀に顔色を変える。
「そうはさせないわ」
落ち着いた女の声。みやび向かって飛んでいった短刀が空中で弾き落とされる。
遅れてシャッと何かを巻き取る音がして、みやびと陳羣がそちらを向けば、糸を手に絡ませるセシア・ラウナンシー(運命の糸の観察者・g05037)の姿があった。
その手の糸で短刀を叩き落としたのだろう。
「あなたが陳羣ね? 今、『観測』させてもらったわ」
「観測……だと?」
セシアからの視線に陳羣が訝しげに睨み返す。
「ええ、私はただあなたをこうやって『見に』きたのよ。『見えた』『わかった』だけでも縁というものは出来るから。『それ』を断ち切る手伝いをしに来ただけ」
「な、何を……」
セシアの言葉の意味が分からず困惑する陳羣。
「運命の糸が『見えた』わ。そして『わかった』」
「貴様ッ、訳のわからん事をッ!!」
そんな2人のやりとりに、みやびは小さく呟く。
「セシアのセリフから漂う謎の助っ人感がすごいのじゃ……そういうポジションに、みやびちゃんも憧れるのじゃ!!」
セシアの謎の助っ人ムーヴにみやびは感嘆する。
そうとも知らず事態はすすみ、セシアはパラドクスを発動させようと動く。
しかし、それよりも早く陳羣がパラドクスを発動させようとして——みやびが動いた。
「今なのじゃ!」
ここまでのみやびと陳羣の攻防はパラドクスを介さない戦い。そして、クロノヴェーダもディアボロスもパラドクスでない攻撃でダメージを受ける事はない。
いわば本命の攻撃の前のフェイントの応酬のようなものであった。
「『軍師ビーム(マーシャルアーツ
)』!!」
軍師なオーラにより高められた観察眼。そして、ここぞという絶妙なタイミングで放たれるという知的なビーム。
みやびのパラドクスを込めた謎のビームが弓から解き放たれる。
そのビームが長い首を振り回し、パラドクスの頭突きをかましてきた陳羣の頭を撃ち抜いた。
みやびが本当に狙っていたのは敵の策(パラドクス)へのカウンターであった。属性の矢のフェイントを仕掛け、相手のパラドクスの攻撃を引き出し、それを逆手に取るように反撃する。
その過程はセシアの介入で変わってしまったが、ここは結果オーライと言えよう。
勢いを弱めて飛んできた頭突きによって、みやびは吹き飛ばされるが、空中でクルリと回転し綺麗に着地する。
「頭を使う策を練っておると思ったのじゃが、まさか頭(物理)とは、流石のみやびちゃんも驚きなのじゃ」
呆れ返るみやび。
グヌヌと唸る陳羣をセシアが鼻で笑う。
「哀れね……それと、あなた、死ぬわ。もうすぐよ」
運命そのものを見通すかのように、セシアの金の瞳が陳羣を射抜く。
パラドクス『運命干渉術式"Ἄτροπος"(アトロ)』が発動し、陳羣の運命の糸がたち切られていく。
「戯けッ!」
今度はセシアに向けて陳羣は頭突きを繰り出した。
同時にセシアが巻き起こした砂塵が周囲を包み込んだ。
視界を遮られる陳羣。
「私が介入できるのはここまでのようね……他の復讐者があなたの運命を確定させるわ。2度と会う事はないでしょうが、さようなら」
「みやびちゃんも同じく、なのじゃ! さらばじゃ!」
攻撃の手応えはあったはず。
しかし、砂塵がおさまれば、2人の姿は陳羣の視界から消えていた。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【書物解読】LV1が発生!
【未来予測】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV5(最大)になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!
近衛・悠
まあ、知らない内に状況が変わるなんて良くある。アンタが産卵してるところなんて見たくもないんでとっとと消えてくれないか。
俺の価値ね。見定める前にぶちのめすが。【飛翔】【エアライド】で飛び回
りつつ、【罠使い】【光使い】で作り出した閃光弾で目眩し。更に【呪詛】
【毒使い】【気絶攻撃】を併せた【誘導弾】で撃ち抜いてやるか。
まだアヴァタール級が元気なら、【風使い】【吹き飛ばし】で吹っ飛ばしてやる。まあ、俺で仕留め切れなくとも後続の戦友達が何とかしてくれるさ。この気味悪い儀式はとっとと終わりにしないとな。
サティニフィア・ネイバーライト
目的・目標
陳羣の撃破
心情
さって、残るは陳羣だけだな
産卵の為に腹がデカくなって連携もままならねぇとは…まぁ無理やり産まされてる様だが、蟲将をこんな風にできる技術が奴らにはあるって事だ
うまい事やれば逆手に取れる気もするんだが、先ずは奴らの都へ偵察を急ぐのが先か
行動
見た目こそ不格好になったとはいえ本人は意気軒昂の様だ、油断はしねぇ
あちらさんも直接殴ってくるだけが能じゃないようだからな
この場最後となれば全力で行くぜ!
アタシの価値はアタシが決めんだよ、手前ぇの値踏みなんか当てになっか!
奴の分解を掻い潜り闇色の奔流叩き付けてやらぁ!
●
一瞬の事に呆然とする陳羣。
「何を呆けている……アンタのその間抜けな顔も、産卵してるところもこれ以上見たくはないんで、とっとと消えてもらおうか?」
「さっきからじっくりと観察させてもらっていたが……あんた、無様すぎんだろ? まだまだ油断はしねぇが、容赦もしねぇぜ!」
謎の(?)助っ人、みやびとセシアに次いで近衛・悠(黄昏のフィラメント・g02300)とサティニフィア・ネイバーライト(スゴ腕情報屋・g00008)がたたみかけるように、陳羣へと攻撃を繰り出していく。
「敵は1人、連携もなにもできやしねぇ。こっちは連携し放題とくりゃ……勝ち筋は『見えてる』ってもんだ!」
悠をフォローするようにサティニフィアは立ち回る。
ここまでの戦いで互いの連携は確立できた。
これまで仲間が与えてきたダメージの影響もあるのだろう、刻一刻と陳羣は追い詰められているように見えた。
「ま、まだ終らんッ……我が目に光の宿る限り、貴様らの価値を見定め、分解・断裂してくれようぞ!」
息も絶え絶えに陳羣が漏らした言葉に、悠とサティニフィアは眉をひそめる。
それが陳羣の最後の手札なのだろうか。
その懸念を振り切るように、悠は不敵な笑みを見せた。
「俺の価値、ね。だったら見定める前にぶちのめせば良いだけだな!」
勇ましい言葉と共に、それまで見せる事のなかった天使の翼が、悠の左右に広がっていく。
そして、その羽根の色は——深い闇、すなわち漆黒。
天使のものとはまるで思えない。パラドクスで染まった異端の羽根を悠はその背にたずさえていた。
黒い翼が揺れる。フワリと悠の身体が浮き上がり、陳羣の周りを黒い疾風のように翔ける。
同時に悠の手から放たれる魔力弾に込められるのは罠に毒、そして呪詛。
「どうした? 俺の価値とやらは分かったのか?」
漆黒の翼をひるがえし、ありとあらゆる災厄を込めた弾丸を放つ様は、普段の気の良いお兄ちゃんのような悠からは想像し難いだろう。
人はその時その時でまるで別人のように振る舞うものである。その真価を見定めるのは難しいものだ。
悠という人物の価値を見定めるのに、陳羣の怒りと苦渋で濁った瞳では——。
「グヌヌゥゥ……」
不完全なパラドクスでは、悠を分解・分断するには至らない。悠は敵からのダメージを受けてなお、その動きは鈍らなかった。
そして、もう1人。
「ここまでくりゃあ、余力を残す必要もねぇ。全力で行くぜ!!」
ここまでの道程で、サティニフィアは最後の最後のところで力を温存し続けていた。
乱暴な口調とは裏腹に、慎重で用心深い彼女の全力。
それは——。
陳羣のパラドクスを込めた視線を、サティニフィアの『全力』が振り切る。
「アタシの価値はアタシが決めんだよ、手前ぇの値踏みなんか当てになっか!」
サティニフィアの背中、小柄な彼女にお似合いの可愛らしい小ぶりな悪魔の翼。
その翼から膨大なまでの漆黒の魔力が噴き出す。
サティニフィアの背丈を大きく超えて、噴き出した漆黒の翼は広がり、やがて巨大な陳羣の身体を包み込む。
——『Hug In The Darkness(ヤミノホウヨウ)』。
闇色の奔流がアヴァタール級クロノヴェーダ『陳羣』を飲み込み、そして塵に変えた瞬間だった。
●
「これで害虫駆除もひと段落ね……長かったわ」
蘭杏那の呟き。産卵する蟲将の排除は完了した。
復讐者たちは、その先にあるであろう洛陽の方向へと目を向ける。
それは、まだ見ぬ都。
復讐者たちは勝利した。
そして新たな戦いが始まるのだ。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【飛翔】LV1が発生!
【断末魔動画】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【ドレイン】がLV2になった!