リプレイ
アルメア・グラウプナー
「はっはっは、こうして私がこの地に降り立ったのも二度目だな!」
「このダンジョンが一体どこまで続いているのやら…乗りかかった船だ、全てを明らかにしてやろうじゃないか」
・行動
蛙人…別のダンジョンにて私も接触した事がある。
クロノヴェーダに従わされている存在ではあるが、同時に利を見るに敏い者達だ。油断はしないでおこう。
労せずに本丸へと行きたい所なので、まずは彼らとの交渉材料を探そうか。
【飛翔】で建物の上などの【地形を利用】し、彼らの視界に入らない様に移動していき、彼らの様子や独り言、同族同士の会話を【観察】し【情報収集】を行っていこう。
接触しても問題が無さそうなら聞き込みを行う等、【臨機応変】にだな。
「はっはっは、こうして私がこの地に降り立ったのも二度目だな!」
屋久島、竜域ダンジョン第二層。排斥力の消滅した門を潜り抜けたアルメア・グラウプナー(フロイライン=ズィーリオス・g00637)は、モンスター達が暮らす集落へと潜伏していた。
大きな広場と、数軒の簡素な民家、そして採集用の畑と沢。それが集落にあるすべてだ。
「さて、まずは村人の話を集めるとしようか」
飛翔を発動したアルメアは、気配を殺して民家の屋根に飛び乗ると、広場の方へ視線を向ける。
そこで目にしたのは、肩を落として何事かを話し合う、『蛙人』と呼ばれるモンスター達だ。首から笛をぶら下げ、二本足で歩く小さな蛙達の姿は、かつて第一層で目にした者達と同じもの。そんな彼らは、聞き耳を立てるアルメアの存在にも気付いた様子はなく、切羽詰まった様子でひそひそと声を交わしている。
『ドラゴン様、誰ヲ欲シガッテル?』『活キノイイ奴。ソウ言ッテル』『アア……若者達マタ殺サレル……』
話をする程に、蛙人達の空気はどんよりと沈んでいった。
アルメアはそんな彼らの会話を屋根の上から聞きながら、凡その事情を把握する。
(「なるほど。蛙人は、ドラゴン勢力から生贄を差し出せと言われているようだな」)
口ぶりからして、ここのドラゴンや竜鱗兵は日常的に蛙人を虐げているのだろう。
そうしてさらに観察を続けていると、蛙人の一体が首の笛から何かを取り出し、同胞の蛙人達を見回して呟いた。
『カギ、揃ッテイルカ?』
『大丈夫』『他ノ皆モ、揃ッテル』
蛙人達が一様に頷きを返す姿を凝視しながら、アルメアは考えた。
どうやら迷宮のカギは、蛙人の笛に隠してあるらしい。口ぶりからして、カギは一個だけではないようだが――。
(「観察で掴める情報はこのくらいが限度か。あとは、接触して確かめた方が早そうだな」)
相手はクロノヴェーダに従わされている存在ではあるが、同時に利を見るに敏い者達だ。
くれぐれも油断はしないでおこう――アルメアはそう考えながら、ふと広場の向こうへ視線を向ける。
高さ数十メートルにも及ぶ巨大な屋久杉。その根元にある洞、戦場へ繋がる迷路の出入口へと。
「このダンジョンが一体どこまで続いているのやら……乗りかかった船だ、全てを明らかにしてやろうじゃないか」
相手が誰だろうと、道を塞ぐ者は蹴散らしてみせよう――。
そんな決意を胸に抱きながら、アルメアはひとまずの調査を完了するのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
ナイナ・ヴィラネスティズム
WIZ
「通り〜すがり〜のドーナツ屋さんのおな〜り〜♪」
音程を外した牧歌調の歌を口ずさみながらドーナツ屋を装い、集落にて蛙人達との接触を試みる
口福の伝道者でドーナツを増やし、アンケートと称した試食会を開いてみましょう
このドーナツ、なんと蛙の方ならタダで食べられますのよ!
3種のドーナツのいずれかが人気かを調べてみたいのでぜひお越しください!
・・・本当にドーナツ屋が様になってきましたわね
ある程度の接触が適えられたらお客となった蛙人に元気がない理由を尋ねてみる
顔に出ていましたわよ?ほら口角をもっと上げて笑顔の練習しましょ
あら素敵な笑顔ですこと
聞かせていただけますかしら?暗い顔をなされていた理由を
冰室・冷桜
ま、ドンパチしなくていーってんなら大分気も楽ってぇ仕事ですわね
とりま、蛙の人らとお話しましょうーっと
どーゆー設定なら怪しまれんで済むのかしらね
旅人? 探検家?
話しながら様子を伺って、無難な設定で話して【情報収集】していきましょ
家とかにお邪魔してお話できるような【ハウスキーパー】で快適さを上げて、気分をよくしてもらいましょ
お近づきの印にーって感じでお菓子とか手土産に話をしていくわね
なんかやけにくらーい雰囲気ですけど、なんかあったんですかねぇ
なにか大きな事故とか事件でもあったとか?
余所もんのアタシにできることは大してないでしょうけど、愚痴くらいな聞きますよ
ほら、折角なんでこれも食べてください
ソラ・フルーリア
※連携アドリブ歓迎します
竜域ダンジョン、来るのは初めてなのよね!
下層にチャレンジするためにも頑張らなきゃ!
わ、ホントにカエルさんなのね!
皆カエルは嫌いって言うけど、アタシは可愛いと思うのよねー……。
じゃあお年寄りっぽい人、長老みたいな人に【友達催眠】も使って話を聞こうかしら!
もちろん道中で情報収集は欠かさないわよ!
こんにちは! アタシ達は旅人で……あれ、なんだか皆元気ないわね?
暇潰し? ふんふん……じゃあその暇潰しっていうの、アタシ達が行ってあげる!
アタシ達はドラゴンを倒したいし、アナタ達は皆を送り出したくない!
Win-Winでしょ?
大丈夫、アイドルは不滅! ドラゴンなんかに負けないわ!
クラウ・ディークラウ
ん、ほんと、平和そう……けど
苦しさも、一緒に見える……気がする
(集落を見回しつつ、蛙人達の様子も眺めて)
……うん
第一層では、無理に従わされてる、感じだったから
交渉もだけど、普通に話も、してみたい
(武器等はしまってから、ゆっくり近付いて声掛け
怯えや逃走の気配があるようなら、無理に側までは行かず
ここまでならいい? と相手に合わせて距離を取る)
大丈、夫……?
クラウ、この先に進むつもり、だけど
ここのみんな、元気なさそう、だから……気になって、寄り道にきた
(寄れるなら、顔を覗き込んで)
やっぱり、辛そうに見える
……もしかして、いじめられたり、してる?
良かったら、話、聞かせてほしい
力になれる、かも
シャムロック・クローバー
今年もはりきってダンジョン制圧と行くわよ!
いよいよ屋久島ダンジョン第二層……攻略の近道は蛙人の持つカギなのね。
じゃあまずは彼らと接触して、できれば仲良くなりたいところ。
警戒されないよう、友好的に……
「ケロケロ~、こんにちは」
「わたしは通りすがりの森の魔女……ドラゴンとかじゃないってば」
「ずいぶんと暗い顔をしているから気になっちゃって。大丈夫?」
怯えさせてしまったら【勝利の凱歌】でも口ずさんでみましょう。
第一層でも彼らは竜鱗兵に怯えながら働いていたわ。
蛙人はダンジョンに紐付いた存在だから、ドラゴンが怖くても逃げ出せないのね。
いずれダンジョンと共に消えちゃう存在だとしても、さすがにかわいそうねぇ。
●里への訪問者
「よーし、今年もはりきってダンジョン制圧と行くわよ!」
集落の入口へ到着したシャムロック・クローバー(森の魔女(自称)・g00876)は元気一杯に宣言すると、蛙人達が集まる広場を見澄ました。
集落内の状況は、先行したアルメアの情報によって把握済。
次なる自分達の仕事は、迷宮のカギを得る交渉のため、蛙人との接触を行うことだった。
「ん、ほんと、平和そう……けど、苦しさも、一緒に見える……気がする」
クラウ・ディークラウ(遮る灰色・g01961)はシャムロックと同じ景色を眺めながら、集落に漂う暗い空気を感じ取る。
ふと思い出すのは、第一層にいた蛙人の様子だ。
竜鱗兵に無理やり従わされ、労働力として酷使される蛙人達。叶うなら、彼らとは交渉だけでなく、普通に話も出来ると良いのだが……そんなことをクラウは考える。
「竜域ダンジョン、来るのは初めてなのよね! 第三層にチャレンジするためにも頑張らなきゃ!」
「ま、ドンパチしなくていーってんなら大分気も楽ってぇ仕事ですわね」
初挑戦のダンジョン探索に気合いを入れるソラ・フルーリア(歌って踊れる銀の星・g00896)の傍らで、冰室・冷桜(ヒートビート・g00730)は棒つきキャンディ『飴ちゃん』を手に呟いた。
「そういえばアルメアの後にも一人、集落に向かってたわね。蛙人との接触で」
「んー、そうね。予定通りなら、そろそろ合図がある筈だけど――」
冷桜はソラに頷きを返し、広場の方角を見やる。
もしも蛙人が接触に難色を示すようであれば、この飴ちゃんで加勢せねばなるまい。
「無事に成功して欲しいですね、っと。無益な争いは、こっちも望むところじゃないんでね」
「本当ね。うまくいったかしら……あっ」
頷きを返すソラの言葉が、ふいに途切れる。
彼女達の心配が杞憂に終わったことを告げるように、ディアボロスの鼻孔をくすぐるもの。
それは、広場の方から漂って来る、甘い甘いドーナツの香りであった――。
●ドーナツはいかが?
「通り〜すがり〜のドーナツ屋さんのおな〜り〜♪」
沈鬱な空気が漂う集落の広場に、明るい歌が響く。
歌声の主は、ドーナツ屋に扮したナイナ・ヴィラネスティズム(凱閃令嬢・g00383)だ。
音程を外した牧歌調のメロディは、聞く者の心を惹きつけずにはいられない。蛙人もその例外ではなく、彼らの視線は未知の訪問者であるナイナに釘付けとなる。
『誰?』『知ラナイ』『デモ、何ダカ良イ匂イ』
やがて蛙人達の視線は、ナイナの手にしたドーナツへ向けられた。
蛙人達は碌に食事もとっていなかったのか、居並んだ腹が立て続けにグウと鳴る。
「いらっしゃいませ~♪ このドーナツ、なんと今ならタダで食べられますのよ!」
そんな彼らの前で、ドーナツセットをぱくりと頬張るナイナ。
すると口福の伝道者の力によって、食したものと同じ品々が、広場に次々現れた。
ホイップ、オールド、フレンチ……シンプルな三種のドーナツが漂わせる甘い香りは、否応なく食欲を刺激する。
「人気の商品を調べてみたいので、ぜひお気軽にお越しくださいませ!」
『行ッテミル?』『行ッテミヨウ』
そうして蛙人達は、差し出された品を受け取り始めた。
目の前の訪問者が敵ではないと判断したのか、お礼を言いながら舌鼓を打ち始める蛙人達。
ナイナはそんな彼らに笑顔で応じながら、ドーナツが行き渡ったことを確認すると、
(「本当にドーナツ屋が様になってきましたわね……さて」)
接触に成功した合図を、ナイナは仲間達へ送った。
次は蛙人達の警戒を解いて、カギを得る交渉の材料を得ねばならない。
こうして作戦の第一段階は、まずは順調な滑り出しを見せるのだった。
●蛙人との接触
「ケロケロ~、こんにちは」
広場に集う蛙人達へ、最初に声をかけたのはシャムロックだった。
敵意がないことを示すように両手を振りながら、彼女は蛙人達に笑顔を向ける。ナイナのファーストコンタクトで警戒心が解けていたこともあってか、蛙人の表情に殊更怯えた様子は感じられない。
『アノ子達ハ、誰ダ?』『知ラナイ。デモ竜鱗兵ジャナサソウ』
「ん、大丈夫。……危害は、加えないから、安心、して」
クラウは武器をしまい、ゆっくりと蛙人達のいる広場へ入っていった。
蛙人達に逃走するような気配はない。そっと振り返るクラウへシャムロックは頷きを返し、改めて名乗りを上げる。
「わたしは通りすがりの森の魔女……怪しい者じゃないわ。勿論、他の皆もね!」
友好的な態度を崩さず語り掛けるシャムロック。
そんな彼女に対し、蛙人達は敵意こそないものの、いまだ不安の色を隠しきれない様子だ。
敵ではないが、完全に信頼した訳でもない……そんな心情がありありと見て取れる。
(「交渉を行うには、もう少し踏み込んで話す必要がありそうね」)
(「なら、まずは不安を取り除くとしますか。アタシの『飴ちゃん』で」)
冷桜は近くの蛙人に歩み寄ると、おもむろに棒つきキャンディーを差し出した。
安全な食べ物であることを示すように、その一つを自分の口にくわえてみせる。
「どうも、通りすがりの冒険家です。折角なんで食べてください、お近づきの印に」
『……ア、アリガトウ』
冷桜の菓子に興味を引かれたのか、蛙人は飴ちゃんをペロリとなめ始めた。
甘い物を口にして多少緊張がほぐれたのか、蛙人の目尻がゆるむ。
そこへ冷桜は、すかさず話題を振ってみた。
「なんかやけにくらーい雰囲気ですけど、なんかあったんですかねぇ」
『ムム、ソレハ……』
「まあそう気負わずに。余所もんのアタシ達で良ければ、愚痴くらい聞きますよ」
気まずそうに眼を逸らす蛙人に、気軽な口調で告げる冷桜。
ソラはふと、そんな冷桜の話しかける相手を、他の蛙人達が伺うように見つめているのに気づいた。
もしかすると彼は、集落の長のような立場にある者なのかもしれない――そう思い、ソラは身を乗り出す。
「アタシ達、旅をしてるの。多少の荒事にも慣れてるから、力になれるかも!」
『荒事ニ……?』
「そうよ。こう見えて、けっこう強いんだから!」
自信満々に頷きながら友達催眠を発動するも、どうやら効果は見られないようだ。
ダンジョンに創造されたモンスター達は、催眠が有効な一般人には含まれない存在なのだろう。
だが、そんなソラのかけた言葉に、蛙人は僅かに今までと違う反応を見せた。
『旅ノ方々ハ、ソンナニ強イノカ』
そうして視線を他の蛙人に向けると、彼らもまた悩んだ末に頷きを返した。
ドラゴンの強さを知るが故の恐怖と、藁にも縋りたい切羽詰まった思い。そして、目の前の『旅人』達を危険な目に遭わせてしまうことへの罪悪感――そうした感情がない交ぜになった表情を、誰もが浮かべている。
クラウはそんな彼らを見つめながら、自分達がこの地を訪れた理由を話す。
「クラウ達、この先に進むつもり、だけど。ここのみんな、元気なさそう、だから……気になって寄りに来た」
そう言って迷宮の出入口である屋久杉を指さすと、蛙人達は慌てた様子でクラウを止めた。
『トッテモ危ナイ』『アノ先、恐ロシイ竜ガイル』『入ッテモ迷子ニナルダケ』
「私達のことを心配して下さるのですね、嬉しいですわ」
ナイナは笑顔を浮かべ、蛙人達へ言う。
どうやら彼らは、ディアボロスの身を心から案じているようだ。
もう一押しがあれば、彼らを交渉の席に着かせられる――そう判断し、核心となる一言をナイナは切り出した。
「……聞かせていただけますかしら? 暗い顔をなされていた理由を」
「ん。……もしかして、『竜』に、いじめられたり、してる?」
ナイナとクラウの言葉に、蛙人達は口をつぐむ。
それは即ち、彼女達の指摘が図星であったからに他ならないのだろう。
蛙人達が口を閉ざす時間の長さは、そのまま彼らの苦悩と迷いの深さを表すものでもあった。
そんな彼らを、ディアボロス達もまた黙って見つめる。目を逸らすことなく、まっすぐに。
そして――長い長い沈黙が流れた後、村長と呼ばれた蛙人は深い吐息と共に、ゆっくりと口を開く。
『……実ハ……』
村長の口から語られた内容は、果たしてディアボロス達が予想したものと凡そ同じものであった。
迷宮の奥にいるドラゴンと竜鱗兵に、集落の者を連れて来るよう求められたこと。
これまで言いつけに従って出向いた蛙人達は、誰ひとり生きて帰ってこなかったこと。
そして、ドラゴン達の目的が単なる暇潰しにあること……。
「暇潰し? ふんふん……それは酷いわね」
「それで、そんな連中の支配はもうウンザリだ、って訳ですか。……なるほどね」
蛙人の状況を理解し、二度三度頷くソラと冷桜。
いっぽうシャムロックはそんな彼女達の後ろで、そっと蛙人達から目を逸らした。
力を貸すのはいい。ドラゴンを討つのもいい。だがその結果、蛙人達がどうなるか、自分達は知っている。
(「彼らはダンジョンに紐付いた存在。ドラゴンが怖くても、逆らうことも逃げ出すことも出来ないのね……」)
ふとシャムロックは、かつて踏破した第一層で見た景色を思い出す。
竜鱗兵にこき使われ、怯えながら働いていた蛙人達。シャムロック達がこのダンジョンを踏破すれば、ここの蛙人達もその姿を失うのだろう。他のダンジョンに生息していた獣人達が、動物本来の姿に戻ったように。
(「いずれ消えちゃう存在だとしても……何だかかわいそうねぇ」)
だが、たとえ胸が痛んでも、シャムロック達に下がるという選択肢はないのだ。
ダンジョンを奪還し、ドラゴン勢力との戦いに勝利する為に、復讐者達はここへ来たのだから。
ここから先は、迷宮を突破するための交渉を彼らと行わねばならない。ディアボロス達をドラゴンの元へ送ろうと蛙人達に決意させない限り、カギを得ることは難しいだろう。
シャムロックは小さな罪悪感を飲み込んで、改めて蛙人達を見つめる。
(「御免なさいね。あなた達を苦しめるドラゴンは、わたし達が倒してみせるから」)
屋久杉の向こう、第三層入口へと繋がる迷宮。
そのカギを得る為の交渉が、いま幕を開けようとしていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
【ハウスキーパー】LV1が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
【浮遊】LV1が発生!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【凌駕率アップ】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【ラストリベンジ】LV1が発生!
アルメア・グラウプナー
蛙人の望みを叶える事が迷宮を突破する鍵であると同時に、彼らの存在が無くなってしまうトリガーでもある、か。
彼らの心の重荷が無くし、安らかに消えられる態勢を整える事が私達に出来る精一杯の手向けだろうさ。
・行動
さて、まず蛙人には皆と遅れて先程合流した様に装っておこう。
こういう交渉事は体裁を取っ払って本音で話すのが一番だ。そもそも私にはそれしか出来ん。
奥に居るドラゴンが暇潰しの相手とやらを探しているのだろう?
ならば私達がその役目を果たしてやろうじゃないか。何しろ私も『暇潰し』を行うのが大好きであり、そして大得意なのだよ。
貴殿らが先に進める様取り計らうならば、すぐにでも大将へ馳せ参じてやろうじゃないか。
一里塚・燐寧
共闘・アレンジ大歓迎
んふふ、ドラゴンのことをほんとに怖がってるみたいだねぇ
わかるよぉ。でかくて、強くて、顔も怖いもん
そこできみ達に、あたしから良いコトを教えてあげよー
蛙人たちの前に進み出て
驚くほど重厚な骨を切り出して作った剣を見せるよぉ
≪撃砕の重骨剣≫いわゆる竜骸剣の一種だねぇ
「ドラゴンって実は倒せちゃうんだよねぇ。あたし達ならさぁ。
あいつらの骨で作ったこの剣が証拠だよぉ。こんな硬くて分厚い骨、他にないでしょー?」
余裕たっぷりに【演技】しながら言うねぇ
「カギを任せてくれたら、ここのドラゴンも倒しちゃうよぉ」
更に【怪力無双】と【肉体改造】で筋力増強
竜骸剣を軽々と持って強さをアピールしちゃお
冰室・冷桜
ちっと罪悪感はありますが……やらねーわけにはいかないもんで
やることすませましょうか
こー、感情的な?ヤツは他の人らに任せて、利を説きましょうか
ドラゴンさんらのとこに行ったアタシらがそのまま勝てば、あんたたちもアタシたちもどっちもはっぴー
アタシらが負けた時は、迷い込んだ奴らをあんたたちが騙して送り込みました~みてーな感じでご機嫌取りをしなさいな。少なくともこのまま仲間を差し出すよりはちょっとはマシなその場しのぎくれーにはなると思うわよ
つまり、あたしらの話に乗ってもあんたたちはどっちに転んでも得するだけ、おーけー?
ソラ・フルーリア
※連携アドリブ歓迎します
例えこのダンジョンを攻略してカエルさん達が元に戻ってしまうとしても、それが攻略を諦める理由にはならないわ!
どのみちドラゴンは倒さなきゃいけない相手だし、アイドルは皆に希望を与える存在!
此処で引き返すのはアイドルとは呼べないわね!
暇つぶしの相手だったら、「活きの良い奴」が良いんじゃないかしら!
アタシ、結構動けるのよ!
ただ「強いから」っていう一点張りも面白くないし、【ダンス】を披露して活きの良さ(?)をアピールしちゃおうかしら!
さっきカエルさん達がそう言ってたのを、アルメアが聞いてたらしいし!
でも、ただ踊るだけじゃないわ!
きっちりドラゴンも倒して帰ってくるんだから!
シャムロック・クローバー
よぉし、交渉よ、交渉。
蛙人たちとは利害が一致しているんだから、あとは納得してもらうだけ。
実はね、あまり大きな声では言えないけど……。
さっき「通りすがりの森の魔女」と自己紹介したけれど、
その旅の目的は、各地のドラゴンを倒すことなの!
実績もあるのよ、ゾンビみたいなドラゴンや岩のような体のドラゴンもやっつけてやったわ。
ここへも、そのつもりで来たの。
あなた達がドラゴンの味方だったらどうしようかと思ったけど……お願い、力を貸してちょうだい。
蛙人たち、仲間や他者を思いやる気持ちも持ち合わせているのが余計にやるせないけど……。
なおのことドラゴンを倒してこのダンジョンを解放して、全てをあるべき姿に戻さなきゃ!
クラウ・ディークラウ
怖くて、困ってても
クラウたち、心配して、止めようとしてくれた……優しい
そのままだと、罪悪感を持ってしまうの、かな
……できれば、安心して託してもらいたい、ね
(話してくれたことにありがとうを伝えつつ)
みんなの、言う通り……クラウたち、竜と戦うの、初めてじゃない
いつも、倒れずに、倒してきた
体に怪我とかも、残ってない……ね?
(ぴょんぴょん跳ねたり、異常がないことをアピール)
……ほんとなら
もっと早く来れたら、良かった……ごめん、ね
帰って来なかった、人のためにも
あなたたちが、平和に暮らせるよう、がんばりたい、から
信じて、任せてもらえたら、嬉しい
(いつか姿を失うとしても
今を苦しむ理由はないはずだから、と)
●蛙人との交渉
「おほん。実はね、大きな声では言えないけど……」
蛙人達へ最初に話を切り出したのは、シャムロック・クローバー(森の魔女(自称)・g00876)だった。
「わたし、さっき『通りすがりの森の魔女』と自己紹介したけれど。その旅の目的は、ドラゴンを倒すことなの!」
『ドラゴン様ヲ……』『倒ス!?』
「そうよ。その為に、わたし達を迷宮の奥に進ませてくれないかしら?」
シャムロックの告げた言葉は、蛙人達にとって思いも寄らないものだったらしい。
ある者達は絶句し、ある者達はどよめき……彼らの顔に一様に浮かぶのは、まさに衝撃の二文字だ。
ドラゴン達を『倒す』という発想自体、そもそも持っていなかったのだろう――アルメア・グラウプナー(フロイライン=ズィーリオス・g00637)は、蛙人達の様子を観察してそう結論付けた。
「無理もない。ダンジョンに創造された彼らにとって、ドラゴンは神にも等しい存在だろうからな」
「ん。なのに、クラウたち、止めようとしてくれた……優しい」
クラウ・ディークラウ(遮る灰色・g01961)は蛙人達の心境を思い、小さく俯いた。
蛙人がドラゴンや竜鱗兵を恐れていることは一目で分かる。にも拘わらず、迷宮へ進もうとしたクラウ達のことを、彼らは案じてくれた。何も知らせずに通すことに、蛙人達なりの罪悪感があるのだろう――クラウはふと、そう考える。
「……できれば、安心して託してもらいたい、ね」
「うむ。その為には、言葉以外の説得材料が必要になりそうだな」
クラウの言葉に、アルメアは頷きで応じた。
実際、話を聞いた蛙人達の中には、半信半疑の眼でディアボロスを見る者も少なくない。
そんな彼らの様子を眺めて、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)はくすりと笑いを漏らす。
「『お前達はドラゴンの恐ろしさを知らないんだ!』……って感じの表情だねぇ、んふふ」
「しゃーないですよ。相手はパラドクスを使うクロノヴェーダですからねぇ」
冰室・冷桜(ヒートビート・g00730)はそう言って、蛙人達の境遇に同情を示した。
彼らの心にはドラゴンへの畏れが刻まれている。それは恐らく、虐げられ続けたことによって拭い難く染みついた、恐怖の感情から来るものだろう。
「ふむ。まずは、蛙人さんらの恐怖心をどうにかしないとダメっぽい感じですね」
「んふふ、お任せあれ! こういうのは、やっぱり目で見せるのが一番!」
燐寧はそう言って笑うと、おもむろに蛙人達の前へと進み出る。
正体と目的を明かし、要求を伝えることには成功した。
ここから先は言葉でなく、行動で示す時。蛙人達の視線が注がれる中、交渉は次のステージへ進もうとしていた。
●示された力
「蛙人くん! きみ達に、あたしから良いコトを教えてあげよー」
広場の中央に進み出た燐寧は、一振りの大剣を掲げてみせた。
名を『撃砕の重骨剣』――竜の肉体を素材に造られた、燐寧専用の竜骸剣だ。
ドラゴンの首くらいは軽々と刎ねてしまいそうな業物に視線を注ぐ蛙人へ、燐寧は胸を張って告げる。
「重骨剣の素材は竜の骨。つまり、ドラゴンって実は倒せちゃうんだよねぇ!」
その言葉が偽りでないことを示すように燐寧が始めたのは、剣を用いたデモンストレーションだ。
パラドクスの力で飛翔、重厚な竜骸剣を軽々と振るい、戦場に見立てた広場を縦横無尽に駆ける。
そこへ新たにソラ・フルーリア(歌って踊れる銀の星・g00896)も加勢し、演舞は更なる熱気を帯びていく。
「ここからが本番ね。アタシも結構動けるのよ!」
銀髪のポニーテールを揺らし、ダンスに歌唱にとアイドルの技能を活かし、煌びやかなダンスを見せるソラ。
だが、それが単なる踊りでないことは、全身を覆う闘気『シルバースカイ・オーラ』の輝きが雄弁に物語っている。
ソラの肉体が繰り出す一撃は、相手が竜鱗兵だろうとドラゴンだろうと、けして引けを取るまい。
「どう? アタシの踊り、ただ飛び跳ねるだけじゃないわ!」
「迷宮を通してくれたら、ここのドラゴンも倒しちゃうよぉ。だから、任せてくれない?」
ソラと燐寧が、大きな円を描くように広場を駆けまわり始めた。
円の広さはドラゴンが丸々収まる程度だ。そうして二人が円の内側へ武器を振るう度、蛙人達は確かに見た。
恐ろしい竜の肉体をソラの拳が打ち砕き、頑丈な鱗を燐寧の竜骸剣が切り裂く光景を。
『凄イ……』『本当ニ、凄イ……!』
燐寧が剣を振るう度に広場を薙ぐ風圧。そしてソラの全身を覆う闘気がもたらす重圧。
それらを目の当たりにした蛙人達は、ディアボロスの力にただただ圧倒されながら思う。
彼女達は強い。竜鱗兵など比較にもならない。それどころか、あのシャドウドラゴンさえも上回るのでは――。
息をすることも忘れ、眼前の光景を見つめる彼らへ、クラウはそっと語り掛けた。
「さっきは、本当のこと、話してくれて、ありがとう」
『ア……ウン』
呆気に取られたままの蛙人達へ、自分達が幾度もドラゴンを倒してきたことを伝えながら、クラウは思う。
彼らには、他者を思いやる心がある。だとすれば、クラウ達ディアボロスが戦いで傷つくことも当然考える筈だ。
そうして生じる辛さを出来るなら除いてやりたい。たとえ彼らが、いずれ本来の姿を失ってしまうとしても――と。
「今から、クラウも、加勢する、から。……そこで、見てて」
そう言って、クラウは広場へ歩き出す。そこではまさに燐寧とソラの演舞がクライマックスを迎えようとしていた。
二人の息もつかせぬ猛攻に、負けじとドラゴンの繰り出す反撃をクラウは平然と防ぎ、躱してみせる。時に風のように、時に雲のように、敵を翻弄するクラウ。彼女は蛙人達を安心させるように、怪我ひとつない体で広場を飛び跳ねた。
「ん。……そろそろ、良さそう」
「そうね! フィニッシュは任せたわ!」
「しょーがない、死者に鞭打って本気出しちゃおうかなぁ!」
クラウとソラの合図に燐寧が発動したのは『屍体至剛』を模した演技だ。
本物を使い、徒に村を破壊することは望むところではない。
重骨剣が一閃。それを見つめる蛙人の目に映るのは、巨体を両断されて地に伏すドラゴンの最期であった。
●蛙人の答え
燐寧とソラ、そしてクラウの演舞が終わった後も、蛙人達は呆然と広場を見つめていた。
自分達の目にした光景がいまだ信じられないのだろう。
驚愕と衝撃の最中にある今こそ、交渉の好機――そう判断したアルメアは、蛙人の肩をぽんと叩いて言った。
「奥に居るドラゴンが、暇潰しの相手とやらを探しているそうだな?」
『ウ、ウン。探シテル』
「ならば私達がその役目を果たしてやろうじゃないか。実力の程は分かって貰えたと思うが、どうだ?」
アルメアは言う。自分もまた『暇潰し』が大好きであり、そして大得意であること。
迷宮の奥へ進めるよう取り計らってくれるなら、すぐにでもドラゴンの元へ向かう意志があることを。
(「回りくどい言い方は不要だ。体裁を取り繕う必要はないし、私も苦手だしな。そういうのは」)
目的は伝えた。力も示した。
その結果は、蛙人達がディアボロスを見る目に宿る畏敬となって、確かに現れている。
シャムロックは交渉の確かな手応えを感じながら、最後のひと押しを行うことにした。
「わたし達の目的はドラゴンを倒すこと。あなた達の目的は集落のひと達をドラゴンから守ること。どっちの利害も一致しているし、けして損はしない筈よ」
蛙人達はドラゴン勢力に支配される存在、すなわちモンスターだ。
ドラゴンを葬って来たという事実を伝えることは、場合によっては敵意を抱かれる原因にもなりかねない。
だが、それでも、シャムロックは改めてそれを話した。この交渉において隠し事はすべきでないという判断もあったが、それ以上に、彼女がそれだけ蛙人達を信頼している証を示したいという思いもあった。
「あなた達がドラゴンの味方だったらどうしようかと思ったけど……お願い、力を貸してちょうだい」
『ウム、ソウカ……』『ソレナラ、我等モ……』
シャムロックの言葉に、村長を始め、集落のまとめ役と思しき蛙人達が頷きを交わし合う。
それは彼ら蛙人の意志が、ディアボロスへ協力するという結論を決めつつある証左に他ならない。
冷桜はそこで、話をまとめるようにパンと手を打った。
「アタシらがドラゴンさんらに勝てば、あんた達もアタシ達もどっちもはっぴー。ここまではOK?」
揃って首を縦に振る蛙人達へ、冷桜は話を続ける。
自分達は迷宮の奥にいるドラゴンを倒したい。その為に迷宮を通してもらうことは、蛙人達にとっても損はない。
損をしないのなら、互いに得する選択肢の方が良いではないか、と。
「要はWin-Winの関係ね。このまま仲間を差し出すよりは、ちょっとはマシなその場しのぎくれーにはなると思うわよ」
もしも自分達が負けても、竜鱗兵の報復を恐れる必要はない。
その時は、蛙人達がディアボロスを騙して送り込んだとでも言えば、重い責を問われることもないだろう。
冷桜はそう言って、村長の蛙人をまっすぐに見つめる。
「どうですかね。通しちゃくれませんかね?」
そこへ続くのは、アルメアとクラウだ。
「出来るだけ短く、危険の少ない道を進みたいのだ。どうだろうか?」
「帰って来なかった、人のためにも。あなたたちが、平和に暮らせるよう、がんばりたい、から」
自分達を信じて任せて貰えたら嬉しい。蛙人達へそう告げながら、クラウは胸が微かに痛むのを感じる。
本当のことは自分達の心にしまっておけばいい。いま事実を伝えれば、蛙人達は徒に苦しむことになる。
(「いつか今の姿を失うとしても、今を苦しむ理由はないはずだから」)
それから蛙人の村長は、村人達との話し合いを終えると、暫しの間瞑目し――。
頷きを持って、ディアボロス達に応じた。
『ワカッタ。ドウカ頼ム』
村長の目配せに頷いた数人の蛙人達が、『カギ』を収めた笛を手に立ち上がる。
それは正に、ディアボロスの交渉が実を結んだ瞬間であった。
●竜の待つ地へ
交渉を終えたディアボロス達が辿り着いたのは、屋久杉の洞を潜った先に広がる秘密通路だった。
見渡す限り広がるのは、大樹と苔で彩られた一面の緑。
植物のひしめき合う深緑の迷宮には、侵入者を惑わす罠がそこかしこに潜んでいるのだ。
「では、頼めるだろうか?」
『任セテクレ。今、道ヲ開ク』
アルメアに促され、蛙人達が笛から取り出したのは蜻蛉玉に似た宝玉だ。
恐らく、あれが迷宮の道を開く『カギ』なのだろう。
数は全部で五つ。それを蛙人の代表達が掌に乗せて、ダンジョン内に降り注ぐ光へとかざした。
蜻蛉玉が反射する七色の光が、ダンジョンの植物を照らす。同時、ディアボロスの耳が捉えたのは、迷宮に生い茂る大木達が一斉に軋みを上げ始めた音である。
「な、何が起こってるのぉ……?」
「見て、あれ!」
燐寧の横で、ソラが指さしたのは大木の幹から伸びた枝々だった。
屋久杉にも劣らぬ古木達が手を繋ぎ合うように、枝と枝とが絡まり橋に変わっていく。
迷宮の奥へと続く一本道が、今、ディアボロス達の前に開かれようとしているのだ。
「成程ねぇ、天然の通路って訳ですか。これを渡れば、ドラゴンさんらの所に?」
『ソウ。ココカラ先ハ一本道』
冷桜の問いかけに、蛙人達が頷きを返した。
これならば数分で踏破は完了するだろう。降りて来た橋のたもとを踏みしめて、六人は第三層入口へと歩き出す。
交渉は成立し、後はドラゴンを倒すのみ。だが道を進むディアボロス達の心には、僅かに苦いものが残っていた。
「蛙人の望みを叶える事が迷宮を突破する鍵。そして同時に、彼らの存在が無くなってしまうトリガーでもある、か……」
「ええ。でも、それが分かっていても、アタシ達が攻略を諦める理由にはならないわ」
アルメアに頷きを返しながら、ソラはドラゴンへの怒りを漲らせる。
ドラゴン勢力は、いずれ決着をつけねばならない相手だ。たとえ非情に思えても、ここで引き返す気は無い。
「ちっと罪悪感はありますが……やらねーわけにはいかないもんで。やることすませましょうか」
「ああ。せめて彼らの心残りがないよう、安らかに消えられるよう。きっちり連中を仕留めてやろう」
冷桜とアルメアが目を凝らす先には、早くも迷宮の出口と思しき場所が見えて来ていた。
平らに開けたその場所の奥にあるのは、簡素な作りの石段。あの先にあるのが第三層への入口であり、第二層の支配者たるシャドウドラゴンの待つ場所なのだろう。
アルメアは心の迷いを振り払うように、右目の義眼で戦場を凝視する。
「全力で戦い、叩き潰す。それが自分達に出来る精一杯の手向けだろうさ」
「そうね。蛙人たち、仲間や他者を思いやる気持ちも持ち合わせているのが余計にやるせないけど……」
シャムロックはふと集落のあった方角を見やる。
蛙人達の姿は霧に紛れてもう見えない。彼らは今もきっと、願いを託した自分達の身を案じているに違いなかった。
出発の途中で幾度か振り返ったときも、彼らはずっとディアボロスを見送っていたのだから。
(「……ほんとなら、もっと早く来れたら、良かった……ごめん、ね」)
屋久島ダンジョンによって生み出された名もなき蛙人達の顔を思い浮かべ、クラウは静かに俯いた。
彼らとはもう、二度と会うことも、言葉を交わすことも叶わない。
心の中で無言の謝罪を送ったクラウは、再び仲間達と歩き出し――もう、振り返ることはなかった。
●そして、戦いが始まる
石段を上った先には、小さな門が設けられていた。
簡素な作りの、鍵もかかっていない門。
その奥から漂って来る闘気と重圧は、奥に潜むドラゴンの強大さを雄弁に物語っている。
「……いるわね」
「うん。腕が鳴るねー」
シャムロックが、燐寧が、得物を手に突入の準備を終える。
もしも蛙人であったら、反抗の気力など瞬時に消え失せていたに違いない。
だが、今ここに集った者達は違う。六人の復讐者は戦意をむしろ燃え立たせ、今まさに戦いに挑まんとしていた。
「さーて。んじゃひと暴れ行きますかね、っと」
「アイドルの歌と踊り、ドラゴン達の脳裏に刻んでやるわ!」
そこへ続くのは冷桜とソラだ。
二人は重圧を振り払うように闘志を漲らせ、仲間と共に門へと進んでいく。
そして――クラウが小さな頷きをひとつ。
「……ん。行こう」
「いざ、闘争の待つ戦場へ! はーっはっはっは!」
アルメアはこれ以上なく物騒な笑顔を浮かべると、先陣を切って戦場へ繋がる門をぶち破る。
さあ、戦いの始まりだ!
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【友達催眠】がLV2になった!
【怪力無双】LV1が発生!
【通信障害】LV1が発生!
【飛翔】がLV2になった!
【植物活性】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV2になった!
【反撃アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!
【ドレイン】LV2が発生!
ディアボロス達が突入したのは、円形の広大な空間だった。
石畳が敷かれた広場の奥では巨大な門が扉を閉ざし、第三層への侵入を阻んでいる。
そして、そんな門の前には一体の黒いドラゴンと、護衛と思しき竜鱗兵の群れが待ち構えていた。
『む? 蛙人どもが来たかと思えば……』
『侵入者か。迷宮を抜けたということは、蛙人どもの集落も抜けている筈だな』
竜鱗兵の群れは各々が得物を構えながら、侵入者を排除せんと陣形を汲み始める。
訓練された、隙のない動き。そんな彼らが眼に浮かべるのは、ディアボロス達への嘲弄だ。
『蛙人どもめ、足止めも満足に出来んのか。とんだクズどもだ』
『チッ、久々に遊べると思ったのに。おい侵入者ども、簡単に死ぬなよ?』
『最後の一撃は俺がいただこう。この前は、他の奴に首を取られたからな!』
侮りを隠そうともせず、武器を構える竜鱗兵『聖ギルダス騎士団』の者達。
そんな彼らの背後で、支配者たるシャドウドラゴンは無言を保ったままディアボロスを眺めている。
油断や慢心は微塵もない、竜鱗兵のそれとはあまりに対照的な視線を向けながら、竜はただ告げた。
『久々に楽しめそうだ。失望させるな』
果たして、それは何者に向けた言葉だったのか。
問いを投げる間もなく竜鱗兵達が鬨の声を轟かせ、ディアボロスへと殺到してきた――!
アルメア・グラウプナー
「やあやあやあ騎士団の諸君! 暇潰しの相手を探している大将が居ると聞いてね、蛙人の代わりに我々が駆けつけた次第だ」
「ほうほう、その様子からすると――まずは貴殿らが我々の『暇潰し』に付き合ってくれるのかね?」
・行動
いやはや、丁寧なお出迎え痛み入る。ならば私も相応の返礼をしなくてはならないな、ははは!
では…まずその統率された陣形を崩させて貰おう。
開幕メテオールを陣形のど真ん中にぶん投げて隊列を乱し、爆炎が残っている所へ火砲やガトリングでの【砲撃】【制圧射撃】、更にミサイルでの【爆破】【誘導弾】で追い撃ちを掛ける。
基本は射撃戦だが、接近戦時には爆裂鉄球とソードオフに持ち替え【臨機応変】に対応しよう。
ソラ・フルーリア
※連携アドリブ歓迎します
あの口ぶりからすると、カエルさん達は竜鱗兵と戦わされてたのかしら。
ドラゴン勢力の「暇潰し」っていうのも、なかなか悪趣味ね!
失望させるな? ええ、期待しててちょうだい!
まずはアナタお抱えの騎士団を全員倒すところから始めようかしら!
【飛翔】で飛びつつ、「レゾネイト」の【誘導弾】を【連続魔法】で連射して相手を牽制しようかしら!
相手が怯んだら飛翔の勢いそのままに【破軍衝】を手近な敵に撃ち込むわ!
アイドルだからって、非力だとは思わないことね!
敵は【吹き飛ばし】て別の敵にぶつけて、応援や援護射撃も妨害するわよ!
【ダンス】するように動いて敵の注意を引き、味方の援護もしちゃうんだから!
●弾雨と魔術
集落の迷宮を抜けた先、第三層入口前の広場――。
陣形を組んだ竜鱗兵の一団が鬨の声を響かせる。第二層の守護者たるシャドウドラゴンに仕える聖ギルダス騎士団だ。
燃える槍、そして鋭い剣で武装した騎士達は、侵入者たるディアボロスを排除すべく一斉に突撃してきた。
「やあやあやあ騎士団の諸君! 暇潰しの相手を探している大将が居ると聞いてね、我々が駆けつけた次第だ」
そんな敵へ対峙するように進み出たアルメア・グラウプナー(フロイライン=ズィーリオス・g00637)は、堂々と胸を張って名乗りを上げる。
これからお前達が戦う相手は、ただの生贄ではないのだと敵に告げるように。
「ほうほう、その様子からすると――まずは貴殿らが我々の『暇潰し』に付き合ってくれるのかね?」
『「間引き」は兵に任せている。面倒だからな』
竜鱗兵に代わって答えたのは、大将格のシャドウドラゴンだ。
『死にたくなくば足掻いてみせろ。嫌ならば迷宮植物の餌になるが良い……蛙人どものようにな』
「カエルさん達は竜鱗兵とも戦わされてた訳ね。なかなか悪趣味じゃない!」
腸の煮える思いを噛み締め、ソラ・フルーリア(歌って踊れる銀の星・g00896)はシャドウドラゴンを睨みつけた。
あの竜は、自分が狩る側の存在であることを疑っていない。ディアボロスへの傲慢な言動も、それは明らかだろう。
望むところだ、とソラは思う。
「まずはアナタお抱えの騎士団を叩き潰すところからよ。そこで指を咥えて見てるといいわ!」
「うむうむ、丁寧なお出迎え痛み入るよ大将殿。私達も相応の返礼をしなくてはならないな、ははは!」
拳を固めたソラが飛翔を開始すると同時、アルメアは爆裂鉄球『ファイアヴェルク』を振り被った。
真正面からの潰し合い、それこそ彼女の十八番だ。
慣れた動きで重心をずらした肉体が、猛スピードで回転を開始。爆裂鉄球をハンマー投げさながらに投擲する。
炎上させた槍を構えて突進してくる竜鱗兵の群れ、その先頭を駆ける一体めがけて――!
「私から贈る全力のプレゼントだ、見事受け止めてみるんだな!」
爆音が轟く。直撃を浴びた竜鱗兵が砕け散り、敵の陣形に僅かな綻びを生じた。
間隙をこじ開けるように、空中を飛翔するソラが竜鱗兵めがけ突撃する。拡声杖『レゾネイト』を駆使した強襲だ。
連続魔法によって青い杖から発射される誘導弾は青色の光雨となって降り注ぎ、竜鱗兵の陣形をかき乱していく。
「アイドルだからって、非力だとは思わないことね!」
『調子に乗るな、女ァ!!』
だが、対する竜鱗兵も黙って的になる気は無論ない。
抜き放った剣を構えると脚力に物を言わせて跳躍。『竜剣【風】』の斬撃を、応援の兵と共に次々繰り出してきた。
アルメアはそんな敵の動きを凝視しながら、彼らの陣形が徐々に綻びを生じ始めたことを見抜く。
「ふむ。ならば徹底的に崩させてもらうとするか!」
腕部に接続した火砲『シュトラール』の砲口が、竜鱗兵の隊列を捉える。
すべきことは至ってシンプル、爆炎が残る戦場に砲撃を加えてソラの攻撃を支援するのだ。
「はーっはっはっは! どうしたどうした、余所見はいかんぞ騎士団員の諸君!」
哄笑が響くと同時、シュトラールが砲弾を勢いよく発射した。
戦場を彩るのは、炸裂する弾の赤黒い炎だ。竜鱗兵の隊列は乱れに乱れ、戦場は大混戦の様相を呈し始めていた。
ディアボロスの砲弾と魔法が、竜鱗兵の剣と炎槍、そして火矢がパラドクスを帯びて飛び交う。
「さあ一気に攻め込もうか! 劇半は私のミサイルとガトリングが引き受けよう、はーっはっは!」
「任せて。カエルさん達の分まで、思いっきり暴れてやるわ!」
ソラが拳を構えると同時、『シルバースカイ・オーラ』の闘気が両腕を覆い尽くした。
そのまま闘気を拳へと凝縮させながら地上を見やった先には、満身創痍の竜鱗兵達の姿が見える。
同胞を討たれ、度重なる戦闘で深手を負った騎士団員に、しかしソラは一切の慈悲を与えない。
「観念しなさい、お前達。謝っても許さないから!」
『ぐ……ぐおおぉぉぉ!!』
破れかぶれで剣を構える竜鱗兵を、白銀のオーラを込めた破軍衝が立て続けに圧し潰す。
衝撃波の力に耐えきれず、木っ端みじんに砕け散る竜鱗兵。鎧の破片が鈍色の花弁めいて戦場に飛び散った。
「うむ。滑り出しは上々だな、はっはっは!」
「そうね。最後まで油断しないで、必ず勝ち切るわよ!」
いまだ数を残す竜鱗兵の一団を凝視しながら、アルメアとソラは戦闘準備を完了した後続の仲間へと目を向ける。
ドラゴン勢力との戦いはまだ始まったばかり。
シャドウドラゴンを討ち取り第三層の入口を開く為にも、けして敗北は許されないのだ――。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【怪力無双】がLV2になった!
【エアライド】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【ガードアップ】LV1が発生!
ナイナ・ヴィラネスティズム
SPD
同選択肢の味方との連携可
「蛙さん達は里の方へ無事誘導致しましたわ。ドーナツ屋として待っておいて正解でしたの」
戦場へ急いで駆けつけたら敵の位置を捕捉
敵の暇潰しを盛り上げるためにマジックグレネードを敵に向かって投擲・爆破
あら?これで終わりではございませんのよ?
飛翔して空中のアドバンテージを得たらヴィラネスト・アイシクルニードルで爪楊枝サイズの氷柱を上空から降らす(制圧射撃、氷雪使い、貫通撃)
780本もの氷柱にひんやりと貫かれるのは気持ちの良いものでしょう?うん?(精神攻撃)
敵の剣撃にはこちらの妖精刀による斬撃で応対しつつヴィラネスト・アイシクルニードルで返すように反撃
使える効果2は全て使用
シャムロック・クローバー
わっ、さっそく向かってきた!?
まずはこの竜鱗兵たちを大人しくさせなくっちゃ。
まったく、蛙人と違ってトカゲちゃんは慎ましさが無さすぎるわね。
仲間たちは、敵陣形を引っ掻き回す感じに動いてくれるみたい。
じゃあわたしは気配を消して、不意打ちを狙ってみましょうか。
何か身を隠す場所でもあればベターだけど……まぁ視界に入らないようにしたり、なるべく目立たないように潜むわよ。
敵が他所を向いたり隙を見せたところへ、【泥団子投擲】をお見舞いするの!
敵の竜言に対しても、そのおしゃべりなお口の中へ泥団子を投げ込んでやるわ。
あんた達の言葉、正に砂を噛むようだもの!
クラウ・ディークラウ
クラウ、自分が傷付くのは……好きではないけど、平気
でも、優しい人が傷付くのは、嫌い
だから、遊びでも、戦いでも
あなたたちとだと、趣味が合わなくて、楽しくなさそう
(味方の攻勢に合わせて、雲をもやもやと広げて)
連携を乱すなら、クラウも手伝う
ついでに、相手の視界を制限する方向でも、支援してみる、ね
(【古琴之雲】、竜言に反応する形で言葉を投げる)
立派な理由、立派な信念
とってもすごい、誇っちゃおう
でも、なら、気になることは――誰の想いが一番強くて、一番立派?
あなたかな? あなたかな?
きっときっと、当然のように、全会一致で決まるはず
いっせーので、言ってみよう
(言い争いや不和を呼び込むための、『精神攻撃』)
●打倒のとき
竜鱗兵との戦は苛烈さを増していく。
先発の仲間に続き、戦闘準備を完了したシャムロック・クローバー(森の魔女(自称)・g00876)は、加勢する機会を静かに窺っていた。
(「まったく、あのトカゲちゃん達は慎ましさが無さすぎるわね。蛙人と違って」)
ディアボロスの猛攻に押され始めた聖ギルダス騎士団を見澄ましながら、シャムロックは密かに溜息を漏らす。
敵は今頃になって、自分達の相手が想像以上に手強いことを悟ったらしい。生き残った面子で態勢を立て直し、必死に巻き返しを図る気のようだ。
「まずはアイツらを大人しくさせるわよ。親玉との戦いもまだ残ってるし」
「了解ですわ。このまま一気に仕留めますわよ」
ナイナ・ヴィラネスティズム(凱閃令嬢・g00383)は頷きをひとつ、投擲用のマジックグレネードを手に取った。
竜鱗兵との『暇潰し』も盛り上がって来た頃合いだ。このまま連中には、舞台から退場してもらうとしよう――。
「連携を断ち切って各個撃破と参りましょう。私は撹乱を引き受けますわ」
「ん。クラウも手伝う、ね」
クラウ・ディークラウ(遮る灰色・g01961)は右手を雲に変異させながら、戦場の竜鱗兵達に目を向ける。
ドラゴンの配下として蛙人を虐げ続けた兵士達。そんな彼らに対してクラウが抱くのは、徹底的な排除の意思だ。
後に控える竜を討つ為にも、あの連中はここで殲滅せねばならない。
「支援、頑張る、から。……よろしく、ね」
「ええ。これ以上アイツらの好き勝手にはさせないわ!」
「準備は良いですわね? では、行きますわよ!」
クラウとシャムロック、そしてナイナ。
三人のディアボロス達が、抵抗を続ける竜鱗兵を撃破せんと戦場へ駆けていく。
『襲撃だ、応戦しろ!』
『侵入者どもが……! 貴様等、いったい何者だ!』
「ふふっ。通りすがりのドーナツ屋ですわ!」
竜剣【風】の構えを取る騎士団員めがけ、ナイナは笑顔を浮かべて答える。
だが、彼女が竜鱗兵に寄越したのはドーナツよりも危険な代物――マジックグレネードの投擲であった。
「まだまだ弾はございますわ。遠慮なさらず、お受け取り下さいませ!」
魔力を注がれたグレネード弾が綺麗な放物線を描いて、次々と竜鱗兵の頭上めがけ飛んだ。
立て続けに轟く、炸裂の衝撃。魔力を帯びた榴弾が盛大にはじけ飛び、敵陣を混乱の渦へと落とし込む。
土煙の立ち込める中、殺到して来る竜鱗兵の剣を悠々と躱しながら、ナイナは敵を誘うように告げる。
「あら? これで終わりではございませんのよ?」
「ん。……ほら、もう逃げられない」
変異した右手をもやもやと広げ、クラウは周囲を乳色の雲で覆い隠していく。
同時、メーラーデーモン『リーム』の電磁槍から放たれた電波が、竜鱗兵めがけ浴びせかけられる。
標的の心を揺さぶる『古琴之雲』。それを発動せんとした矢先、竜鱗兵の浴びせる竜言がクラウを捉えた。
「……ん、大丈夫だから、ね。リーム」
パラドクスを帯びた正義の言葉に晒されながら、クラウは己が心を奮い立たせる。
自分が傷つくのは、まだ平気だ。だが、あの心優しい蛙人達が傷つくことは断じて嫌だった。
故に思う。あの竜鱗兵達が語る正義は、決して自分と相いれることはないのだと。
「遊びでも、戦いでも。……あなた達とだと、趣味が合わなくて、楽しくなさそう」
そして――古琴之雲が、竜鱗兵の一団を包み込んだ。
なおも響き続ける竜言へ向けて、クラウはゆっくりと言葉を投げる。
「立派な理由、立派な信念。とってもすごい、誇っちゃおう」
クラウの言葉がリームの電波に増幅されて、竜鱗兵達を捉えた。
刹那、竜鱗兵の心に芽生えるのは疑念と不信の心だ。
正義、忠誠、そして自らの命。それらの確信を揺るがす言葉が、さざ波のような歌声に乗って心を浸食していく。
「でも、なら、気になることは――誰の想いが一番強くて、一番立派?」
『ぐっ……』『おい、耳を貸すな!』
例え耳を塞いでも、パラドクスを介した歌声からは逃れられない。
正義の竜言が次第に威勢を失い始める中、歌声はさらに強さを増していった。
クラウの言葉は毒となって竜鱗兵の魂を揺さぶり、逃れようのない死へと到らしめるのだ。
「あなたかな? あなたかな? きっときっと、当然のように、全会一致で決まるはず」
『う、ぐぐ……』『ぐううう……!』
聖ギルダス騎士団の団員達の口から、苦悶の呻きが漏れ始めた。
なおも歌声を紡ぎ続けるクラウはリームに合図を送り、電波の出力をさらに上げる。
そして――竜鱗兵が掲げる正義の重さをはかるように、クラウの口からとどめの一言が紡がれた。
「――いっせーので、言ってみよう」
その言葉に返ってきたのは、竜鱗兵があげる断末魔の絶叫だった。
催眠に陥った兵士が一体、また一体と、崩れ落ちるように倒れ、そのまま絶命していく。
残る敵は僅かだ。ナイナは飛翔の力で飛びあがると、抵抗を続ける敵の一団を狙い定め、引導を渡す一撃を放つ。
「氷針点穴! 襲い来る氷柱の応酬!」
ナイナの周囲を取り囲むように生成されたのは、内包する氷の魔力で生成した氷針だ。
掲げた手を優雅に振り下ろすと同時、数百を数える氷柱が嵐となって一斉に降り注ぐ。
鎧を貫き、肉体を穿つ針の弾幕に、竜鱗兵はろくな反撃もままならない。たちまち針鼠のようになって死に絶えていく騎士団員を見下ろしながら、ナイナは口の端を吊り上げて告げた。
「冷たい針にひんやりと貫かれるのは気持ちの良いものでしょう? うん?」
『おのれ……! これしきで勝ったと思うな、我らはシャドウドラゴン様配下の――』
猛攻を生き延び、最後の生き残りとなった竜鱗兵は、悪あがきとばかりに竜言の正義を投げつけんとする。
だが、その試みが実を結ぶことはなかった。
ナイナの弾幕とクラウの雲に身を隠していたシャムロックが、横合いから攻撃を遮ったからだ。
「随分おしゃべりなお口じゃない。あんた達の砂を噛むような言葉には、これがお似合いよ!」
堂々たるピッチングフォームを構えたシャムロックの手から、必殺の一撃が投擲される。
彼女の必殺技、『泥団子投擲』。砂利をたっぷり含んだ特製の団子が、パラドクスを帯びてまっすぐ飛んで行く。
竜言【誉】を放たんと開かれた、竜鱗兵の大口めがけて――!
「わたしの魔球を受けてみなさい!」
グシャッ、という鈍い直撃音が響いた。
同時、頭蓋を砕かれ絶命した竜鱗兵が斃れ、戦場を静寂が包み込む。
蛙人達の命を弄びディアボロスを軽侮した聖ギルダス騎士団は、全滅という形で代償を支払わされたのである。
「よしっ。これで残るはシャドウドラゴンだけね!」
「ええ。最後の戦い、しっかり勝利したいものですわ」
シャムロックとナイナはそう言って、広場の奥で待つドラゴンへと視線を投げた。
あの大将を討ち取れば、第二層の制覇は完了する。
だが、そんな目論見を阻むように、黒き竜は悠然と彼女達を睥睨した。久々に楽しめそうだ、そう告げるように。
その視線を真正面から受け止めて、クラウは口を開く。
「……通してもらう、よ」
復讐者は止まらない。止まるわけにはいかない。
言葉に秘めたクラウの決意に、シャムロックとナイナもまた頷きで応じるのだった。
●決戦の刻
屋久島の第二層攻略は、こうして佳境を迎えようとしていた。
竜を葬り、ダンジョン制覇への道を開けるか。
はたまた、無謀な挑戦に終わるか。
その鍵を握るのはただ一つ――ディアボロス達の胸に抱く、揺るがぬ意志のみだ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【冷気の支配者】LV1が発生!
【土壌改良】LV1が発生!
【現の夢】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV3が発生!
グランアレグリア・ヴィクトリアマイル
なぜドラゴンが植物兵装を使用できるか。
まぁ…『環境的な側面で使えるようになった』という仮説で行くのであれば
このダンジョンが作用した結果…と予測するべきなんだろうが
逆の可能性はないだろうか?
『ドラゴンが植物兵装を使用している』のではなく『植物がドラゴンを逆に使っている』という事。
まぁ憶測の域でしかないが植物も多種多様。ヤドリギや冬虫夏草のようなパターンもなきにしろあらず…これは戦う前に確認が必要だろう。
しかしこのダンジョン結構土壌がいいな…
●理由
「ひとつ問いたい。お前達ドラゴンが植物兵装を使える理由は何だ?」
グランアレグリア・ヴィクトリアマイル(大歓声・g05879)はそう問いを投げて、眼前のシャドウドラゴンを見た。
ラキ火山しかり、竜域ダンジョンしかり、今までに幾度もディアボロスの行く手を阻んできた植物兵装。
フローラリアと関わりの深いそれらを、なぜドラゴン勢力が使えるのか――ダンジョンの守護者たるシャドウドラゴンなら、疑問の答えを知っている可能性は高い。
「仮説は幾つか考えたが、直接聞くのが手っ取り早そうだからな。それとも知らないのかな?」
『植物兵装を使える理由だと? 妙なことを聞く』
グランアレグリアの投げた問いに、シャドウドラゴンはあっさりと答えを返す。
『決まっているだろう。我等ドラゴンが、フローラリアからダンジョンを奪ったからだ』
(「ふむ……嘘をついている様子はないな。あえて隠す必要もない情報という訳か」)
シャドウドラゴンの回答を聞いて、グランアレグリアはそう判断する。
世界各地のダンジョンは、元はフローラリアの手で造られたものであり、そこに存在した植物兵装も例外ではない。
新たな支配者としてダンジョンを制圧した際、ドラゴン達は植物兵装を鹵獲し、自軍の戦力に組み入れたのだろう。
「俺も仮説は色々考えたが……分かってみれば真相は単純だな」
『気は済んだか? ならば死ぬが良い』
話は終わりとばかり殺気を漲らせるシャドウドラゴン。
空気を震わす重圧に、グランアレグリアは不敵な笑みで応じるのだった。
「回答感謝するよ。礼の代わりだ、ダンジョンは俺達ディアボロスが奪還させて貰おう――お前を倒してな!」
大成功🔵🔵🔵
効果1【土壌改良】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
アルメア・グラウプナー
「つまらんな。こんなんじゃあ暇潰しの内にもなりゃしない。やはり其れ相応の存在が舞台に上がってくれなければ盛り上がりに欠ける」
「なあ、貴殿も観客として見ていてそう思っただろう…大将?」
・行動
ふむ、あの大将殿は姿形こそは龍だが徒手空拳を用いた近接戦闘を得意としているのか、中々に面白く興味深い。
ならば此方も爆裂鉄球とソードオフでの接近戦をメインで挑もうじゃないか。
ソードオフの散弾で【弾幕】を張り動きを牽制しつつ、鉄球で打ち合っていこう。
致命打を与えるチャンスは揺月や宵纏の、此方の懐に入り込もうとする時だ。
その際に攻撃を【忍耐力】で受け止めつつ、負けずに【突撃】【捨て身の一撃】で大喝砕を叩き込もう。
●開幕
竜域ダンジョンの攻略は佳境を迎えていた。
戦闘態勢を取るディアボロスの前方、対峙するのは第二層の守護者シャドウドラゴンだ。
漆黒の鱗が巨躯を覆う、傲慢な暴君。討ち死にした竜鱗兵には目もくれず、竜は悠然と拳を構える。
「やはり相応の存在が舞台に上がってくれなければ、つまらんな。観劇はもう十分だろう、大将殿?」
アルメア・グラウプナー(フロイライン=ズィーリオス・g00637)は、挑発を込めた視線を投げた。
対する竜もまた、刃のような視線を真正面からかち合わせ一歩一歩と距離を詰める。純粋な殺意と、力を振るうことへの喜悦を、その双眸に宿しながら。
「あくまで自分は狩る側だ、という訳だな。――面白い」
アルメアは凝視する視線を向けたまま、爆裂鉄球『ファイアヴェルク』を握る手にグッと力を込めた。
深い呼吸をひとつ、胸を押し付ける重圧を払いのける。
力と力のぶつかり合いは望むところだ。あの竜の巨躯を、思い上がりもろとも粉砕してやらねばなるまい。
「このまま終わる道理もないだろう。派手に行かせてもらおうか!」
踏みしめる足を蹴って、アルメアは間合いへと肉薄した。
無骨な爆裂鉄球が唸りを上げて巨竜の肉体へ迫る。竜は微動だにせず、拳で迎撃の構えだ。
刹那、空気の弾ける衝撃。鉄球が捉えたドラゴンの拳がそのまま勢いを増してアルメアを襲う。装着した追加装甲で瞬時に衝撃を逃しながら、アルメアは口笛を吹いた。
「近接戦闘を得意とするドラゴンか。成程、大口を叩くだけのことはある」
掠っただけで身体の芯まで響く拳は、さながら破城槌のようだ。
見ればシャドウドラゴンは、己が力を溜め込み、その拳に濃密な殺気を込め始めていた。
「ふむ。本気の一撃という訳か」
アルメアは好戦的な笑みを深め、得物を構える。
相手が本気なら、こちらは倍の本気で返すとしよう。
この爆裂鉄球が必殺技、大喝砕『エアフォルク』で――!
「行くぞ!」
突撃からの一動作で、ファイアヴェルクが繰り出された。
鉄球が振り下ろされたのは何もない虚空。だが次の刹那に現れたのは、アルメアを狙って突き出された拳だ。
動きを読み切って初めて可能となる一撃が拳にめり込んだ。渾身の力で振りぬき、爆破。竜が直撃を浴びて呻く。
『ぐ……!』
「はっはっは! その様では拍手は無理かな、大将!」
闘争という名の歌劇は、いつだって大喝采で終わるもの。
アルメアはそう告げるように、決戦の舞台で高らかに笑うのだった。
成功🔵🔵🔴
効果1【隔離眼】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
一里塚・燐寧
共闘・アレンジ大歓迎
啖呵切っちゃった以上、きっちりドラゴンを狩らないとねぇ
ばかでっかい得物の使い方を見せてあげるよぉ!
演武に使った≪撃砕の重骨剣≫から
本命の巨大鎖鋸剣≪テンペスト・レイザー≫に持ち替えて現れるよぉ
出し惜しみするのもめんどくさいからねぇ、最初から全力でいこっかなぁ!
『呪式:慟刻業刃』を発動して敵に向かって走り出すよぉ
飛来する暗器は
急所コースに入ったものは剣で【薙ぎ払い】または【粉砕】
他は【肉体改造】で怯まず筋肉を動かし続けて耐えるよぉ
【精神集中】すれば走馬灯も何のその!
足を止めることなく敵に迫り
巨大な刀身を突き立てて甲殻を叩き割り
内側の脆い肉を回転鋸刃と命を蝕む鬼火で破壊するよぉ
ナイナ・ヴィラネスティズム
SPD
同選択肢の味方との連携可
「弱い者いじめをしているだけの騎士団は揃って落第いたしましたわ。戦いを甘く見過ぎでございませんこと?」
冷気の支配者で周囲に冷気を放ちつつ妖精刀を片手に接敵し斬撃、敵竜の懐でその鱗を切り結ぶ
敵竜の反撃の兆候が見えてきたらエアレイドで空中を蹴っては受け身を取りつつ妖精刀で叩き落とし
見えざる刃がこちらを目掛けて向かうのならば逆に受けてやりますわ
こちらからの反撃にはヴィラネストアーツ
妖精刀を鞘にしまい、切り結んだ箇所に徒手空拳の連打をお見舞いしてあげましょう
〆はニーキックからのフロントキックですの
使える効果2は全て使用
●紫火と黒百合
「流石は第二層を支配するドラゴン……中々にしぶといですわね」
重々しい咆哮が轟く。竜の鉄拳が地を割り、暗器が木々を薙ぎ倒す。
肌をひりつかせる殺気。己が力を遺憾なく振るうシャドウドラゴンの姿に、ナイナ・ヴィラネスティズム(凱閃令嬢・g00383)は嫌悪を滲ませた。
ドラゴンという存在の振るう力、それは彼女の尊厳と祖国さえも奪った忌まわしいものだ。
許す訳にはいかない――この胸甲に描かれた、黒百合の紋様に誓って。
「カノー。力を借りますわよ」
「啖呵切っちゃった以上、きっちり狩らないとねぇ。ばかでっかい得物の使い方を見せてあげるよぉ!」
ナイナは刀に封じた妖精に呼びかけ、冷気の支配者を発動する。
そこへ加勢するように、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は黒光りする巨大鎖鋸剣≪テンペスト・レイザー≫を掲げて陽気に笑った。
鎖鋸剣が唸りを上げ、リミッター解除。『呪式:慟刻業刃』で溢れる呪いが紫色の鬼火さながらに剣を包み込む。
「出し惜しみするのもめんどくさいからねぇ、最初から全力でいこっかなぁ!」
「同感ですわ。愚かなお山の大将に、引導を渡して差し上げましょう!」
呪怨と冷気、クロノヴェーダを屠るパラドクスを刃に宿す二人。
息を合わせて地を蹴り、いざシャドウドラゴンの心臓を抉らんと突撃していく。
先手を取ったナイナは竜の鱗へ妖精刀で斬りかかる。冷気を帯びた刀と斬り結びながらも、敵は余裕を崩さない。
「弱い者いじめをしているだけの騎士団は揃って落第いたしましたわ。戦いを甘く見過ぎでございませんこと?」
『何を言うかと思えば……違うぞ小娘。これは戦いではない、遊びだ』
ナイナの鋭い舌鋒に、シャドウドラゴンは首を傾げた。
物分かりの悪い子供に向かって言い聞かせる、そんな口調で。
『我の退屈を紛らわす、遊び。貴様ら弱者は、その為にだけ存在する』
「なら、なおさら私達に感謝すべきですわね。退屈な日々は、今日限りで終わりますわよ」
『ほう?』
「私達はドラゴンを殺して先へ進む。退屈など永久に感じられないようにして差し上げますわ!」
妖精刀と暗器が散らす火花は一層激しさを増していく。
エアライドで空中を疾駆しながら、なおも苛烈に攻めるナイナ。暗器を放ち続けるシャドウドラゴン。
そこを狙った燐寧は、鎖鋸剣の呪いが蝕む肉体で竜の足元へ肉薄すると、テンペスト・レイザーを振り被る。
「このまま戦ったら、あたしときみ、どっちが先に壊れるんだろうねぇ?」
紫色の呪力を帯びたテンペスト・レイザーの先端が、丸太のような竜の脚にザクリと突き刺さった。
同時、回転を開始する刃は頑丈な鱗を吹き飛ばし、内部の肉を滅茶苦茶に切り裂いていく。強烈な呪力の代償として、肉体を徐々に腐朽させながら。
「まだまだ、これからだよぉ。このっ、このっ、このこのこのこのこのこのっ!!」
燐寧の猛攻は止まらない。かき回し、突き刺し、暗器を叩き落としては再び振るう、まさに捨て身の猛攻である。
攻撃の度に軋む骨肉と、僅かに被弾した暗器の走馬灯を精神集中で耐えながら、燐寧は命蝕む鬼火で竜を焼く。
じわりじわりと蓄積させていくダメージ。それは着実に、シャドウドラゴンから冷静さを奪い始めていた。
『ち、面倒な……!』
「待っていましたわ。この瞬間を……!」
苛立ちを露にするシャドウドラゴンを見澄ましたまま、ナイナは納刀と同時に宙へと跳ぶ。
竜の脚部、亀裂の生じた鱗をまっすぐに狙い定め、発動するのは『ヴィラネストアーツ』のパラドクスだ。
「令嬢制裁! 拳に込めるは怒りの打擲!」
刀の冷気より尚冷たい復讐心を込めた拳が、猛攻の嵐となって炸裂する。
容赦も慈悲もない、鉛のように重い拳の連打。竜のくぐもった呻きが漏れ、衝撃に耐えきれず鱗が砕け散る。
そこを目掛けてナイナは叩き込む。感情と衝動の赴くままに繰り出す怒涛の連続蹴撃を!
「受けなさいな、シャドウドラゴン!」
槍のごときニーキックは、剥き出しになった肉を抉った。
続けて放つフロントキックは、肉の奥にある骨の芯を強かに叩いた。
渾身の一撃を叩き込んだナイナに、燐寧は嬉々として巨大鎖鋸剣を振るいながら笑いかける。
「やるねぇ。この戦い、勝利するのは――」
「ええ。私達ディアボロスで決まり、ですわ!」
燐寧とナイナの勝ち名乗りが、高らかに響き渡る。
戦場に輝くのは、鎖鋸剣の紫火と血濡れの黒百合。
戦いの流れは今まさに、傲慢なるシャドウドラゴンを敗北の濁流にのみ込もうとしていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【罪縛りの鎖】LV1が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV4になった!
【ダメージアップ】がLV4になった!
エルフリーデ・ツファール
※常に煙草吸ってます。
※アドリブ連携、怪我描写歓迎。
※効果2全使用。
魔女も歩けば竜に当たる、ってな。
横入りみたいで気が引けるがその命、灰にさせてもらうぜ。
火力を上げると媒体の煙草が一気に消費されるので最初に新しい分を咥え直しておく。
【ダンス】でも躍るような足捌きで接近、全開にした【オーラ操作】で尻尾を一振りの槍のように捻じり上げて真向から【貫通撃】だ。
反撃はこちらを焼くようだがこれでも【炎使い】、早々焼き付いてやるわけにはいかねェ。
頑張って耐えるとしますか。
「おお、熱い熱い。だがいいのかよ? これじゃあ私を焼き尽くすのにお前の血を全部振り絞っても無理だぜ?」
ソラ・フルーリア
※連携・アドリブ歓迎します
残りはアナタだけよ!
カエルさん達を暇潰しの道具にした報いは受けて貰うんだから!
(ネメシス化により、四肢に赤いヒビのような呪紋が入っていく!)
さっきと同じく「レゾネイト」から【誘導弾】を【連続魔法】で連射して弾幕を張ってやるわ!
効かないのは織り込み済みよ! 味方の攻撃のチャンスになれば幸いね!
そしてアタシも【飛翔】しつつ、【熱狂と湧然の四元光芒!】を【全力魔法】で叩き込むわ!
相手の反撃は【エアライド】で避けたいけど、亡者の幻覚は「シルバースカイ・オーラ」で【吹き飛ばし】たり、【浄化】させてやるわね!
さぁ、此処がアナタのラストステージよ!
第3層に行くために通らせて貰うわ!
クラウ・ディークラウ
あなたはきっと、強い、けど
それだけじゃ、クラウたちには、勝てない
……死ぬかも、なんて
それくらいで諦めると、思うのなら
とってもとっても、甘い、よ
(あやふやな刃も包むように【魔骸連刃】
普段より大きな雲の刃を生成し、突き付ける)
(刃を盾代わりに、接近
防げなくても、僅かなクッションにでもなれば十分と)
……どんなに早くても、痛くても
崩れて、しまいそうでも
足があるうちは、近付ける
手があるうちは、刃を振れる
(とにかく当てることを重視し、『薙ぎ払い』
攻撃食らっても、食らう度に反撃続ける『捨て身の一撃』
広く大胆に薙ぐことで、味方の攻撃への意識を少しでも逸らせたら、とも)
どっちが先に、倒れるか
――我慢くらべ、ね
●影竜、落つ
決戦は終盤に差し掛かりつつあった。
復讐心を胸に戦うディアボロスと、しぶとく暴れるシャドウドラゴン。
そんな戦場へ新たに到着したエルフリーデ・ツファール(紫煙の魔術師・g00713)はケースから煙草を取り出した。
「魔女も歩けば竜に当たる、ってな」
手負いとは言え敵はドラゴン。真っ新な煙草に咥え直し、紫煙で肺を満たす。
彼女が愛用する煙草は、その実、魔術の媒体でもあるのだ。
「横入りみたいで気が引けるがその命、灰にさせてもらうぜ」
『成程……貴様等の力、見くびっていたと認めざるを得んな』
対するシャドウドラゴンは怒りを滲ませ、エルフリーデ達を睥睨する。
浅くない傷を負ってはいるが、その瞳は冷静だ。あらん限りの力をもって逆転を図る気なのだろう。ディアボロスを滅ぼし、強者たることを示す――勝利への執念はなおも失われていない。
その姿を見つめ、クラウ・ディークラウ(遮る灰色・g01961)はぽつりと心の内を漏らす。
「あなたはきっと、強い、けど。それだけじゃ、クラウたちには、勝てない」
魔晶剣『輝かずの刃』。定型を持たぬあやふやな刃を魔骸連刃で包みながら、告げる。
もしも、死の恐怖でこの刃が鈍ると考えているなら、その程度で自分達が諦めると思っているなら。
「……とってもとっても、甘い、よ」
『下らぬ。ならばその甘さとやら、思い知らせて貰おうか!』
シャドウドラゴンは知る由もない。
クラウが突き付ける刃が、普段のそれより大きなことに。それはまるで、彼女の復讐心を体現するようでもあった。
自身の嗜虐心を満たす為だけに、力なき蛙人達を殺し続けた暴君。そんな竜に怒りを抱くのはクラウだけではない。
「残りはアナタだけよ、シャドウドラゴン! カエルさん達を弄んだ報い、受けて貰うんだから!」
ソラ・フルーリア(歌って踊れる銀の星・g00896)の怒りは、今や彼女の体さえも変貌させ始めていた。
四肢に生じる呪紋。それは真っ赤な亀裂にも似て、手を、足を、異形の姿へと変えていく。
クロノヴェーダへの復讐に特化した存在――ネメシス形態へと。
「覚悟しなさい。欠片も残さないわ!」
ソラと、クラウと、エルフリーデ。
復讐心を刃と研ぎ澄ました者達が、竜を討たんと駆けていく。
先頭を行くのはソラ。拡声杖『レゾネイト』で飛翔から仕掛ける誘導弾の嵐を、しかし敵はものともしない。
『無駄なことをする。豆鉄砲など通じると思うか』
「知ってるわ。効かないことくらい、最初から織り込み済みよ!」
ソラの狙いはシャドウドラゴンの目くらまし、すなわち足止めだ。
同時、復讐鬼と化した身体で飛翔を続けながらソラが視線を向ける先、エルフリーデとクラウが竜へと肉薄する。
エルフリーデは躍るような足捌きで、クラウは身長ほどもある魔骸連刃を盾として、竜の肉体を狙い定めながら。
「覚悟しな。抉って焼いて消し炭にしてやるぜ!」
「炎……ん、だいじょぶ、だいじょぶ」
かたや、接近を察知したシャドウドラゴンは無言のまま全身に力を込めた。
全身から湧き出る血液が、蒸発して竜の掌に凝縮する。自身もろとも標的を焼く宵纏のパラドクスだ。
迎撃と同時に焼き尽くす――そんな意図をエルフリーデは悟り、ギシリと煙草を噛み締めた。
「上等。これでも炎使い、早々焼き付いてやるわけにはいかねェ。先に行くぜ、クラウ!」
「ん。任せる、ね」
直後、魔法陣の紙巻と、詰め込んだ薬草がエルフリーデの魔力を高める。
詠唱で発動させる『【牡丹の稲荷】PfingstroseFuchs』が、炎の狐耳となってエルフリーデの頭に現れる。
「獣の野生と赤き炎をこの身に宿せ――」
変異は耳に留まらない。
気づけば腰に生えた九つの尻尾は、オーラ操作で一本の槍さながらに捻じりあげられ、正面から獲物を狙い定める。
今もしぶとく鼓動を続ける、シャドウドラゴンの心臓めがけて――!
「貫け!」
『ぬうぅ!!』
防御のため交差させた竜の両腕を、炎尾の槍が突き破る。
夥しい流血も構わず、心臓を守りながら渾身の力で食い止めるシャドウドラゴン。
反撃とばかり、気化した血がエルフリーデを焦がし、その身と心を苛んでいく。
「おお、熱い熱い。だが……」
限界に達した体温を冷ますように狐の姿を解いたエルフリーデは、肉体を真っ黒に焼かれながら愉快そうに笑う。
「いいのかよ? これじゃあ私を焼き尽くすのにお前の血を全部振り絞っても無理だぜ?」
『言ってくれる……!』
「ん。余所見は、よくない、よ」
クラウは巨大化した刃を、ブンと振るう。
一見無造作に見えて、正確に首を狙いすましたその一撃は、しかしシャドウドラゴンの巨大な拳に受けられた。
雲刃に斬られた拳が血飛沫を散らす。もはや原型さえ定かでない手が、殺気を込めた反撃となってクラウを襲う。
「……!」
クラウは全身の感覚を失うような衝撃に耐えながら、なおも斬り結び続けた。
巨大な魔骸連刃で薙ぎ払い、突き出された拳は刃で弾き、悉く命中した斬撃は着実に竜を切り刻んでいく。
しかし――捨て身の一撃による応酬がもたらすダメージは、クラウの肉体とも無縁ではいられなかった。
全身に生じた打撲傷と、体の内側から生じた傷。口から滴る血を拭う手間も惜しいとばかり、クラウは刃を振るう。
「……どんなに早くても、痛くても……」
足があるうちは近づける。手があるうちは刃を振れる。
どれほど追い詰められようとも、クラウの雲は消えない。刃が毀れることも、折れることもない。
死の恐怖では刃を鈍らせることはない――戦闘前に宣言した言葉を証明するように、攻撃は激しさを増していく。
「どっちが先に、倒れるか――我慢くらべ、ね」
ゆらりと振るう刃が竜の胴を深く薙いだ。
シャドウドラゴンは夥しい血を吐き出すと、ぐらりと地に膝を折り、クラウを見やる。
『ぐ……! ぐううう……!』
その眼には、己以外の存在を弱者と蔑んだ光は、もはやない。
代わりに在るのは、自らの力が通じぬ無念と、これより自分が葬り去られるという確信。
それは、恐怖と呼ばれるものであった。
「さぁ、此処がアナタのラストステージよ! 第三層に行くために通らせて貰うわ!」
飛翔するソラが、戦いの終結を高らかに歌う。
天高く掲げるレゾネイトを媒介に発動した『熱狂と湧然の四元光芒!』、四つの魔法陣の光が凝縮される。
そして――ソラの歌声と共に発射された魔力砲は断末魔をかき消し、第二層の主を跡形も無く消し飛ばすのだった。
●夢の跡
「ふいーっ、お疲れ! これにて任務完了だな!」
エルフリーデは真新しい煙草を口に、勝利の一服を味わった。
第三層への道は開かれ、完全制覇まではあと少しだ。
奪還が完了し、最終人類史へと帰還すれば、ドラゴンが持つ力の一端は確実に失われることだろう。
(「……終わった、よ」)
クラウは蛙人の集落があった方角を見つめ、静かに祈る。
これでもう――彼らが竜に怯えることはない。
今までに犠牲となった蛙人達が安らかに眠れるよう、クラウとソラは小さな墓標を拵えた。
「カエルさん。……アタシ達、行くね」
「ん。お別れ、ね」
そうしてディアボロス達は、第三層へと続く入口へ目を向けながら考える。
制覇が完了した暁には、竜域ダンジョンとなった地も最終人類史へ戻って来るだろうか。
願わくば、その答えが良きものであるように――祈りにも似た想いと共に、第二層の探索は幕を下ろすのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【狐変身】LV1が発生!
【水源】LV1が発生!
【活性治癒】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!
【ラストリベンジ】がLV2になった!
【ドレイン】がLV3になった!