ルーブル美術館の淫魔絵画

 ディアボロスは断頭革命グランダルメの農村部を巡業していた淫魔の音楽隊を撃破し、農村部の民の堕落を防ぎました。
 これによる淫魔勢力の力の低下により、攻略旅団の調査・探索提案である『ルーブル美術館の立ち入り禁止区域の調査』が実行可能になりました。
 ルーブル美術館の立ち入り禁止区域では、淫魔達が淫蕩な『淫魔絵画』の中に怪しげな異空間を造り出し、その内部で安全に淫蕩なエネルギーを生産しているようです。
『淫魔絵画』は、この怪しげな異空間にいる淫魔を撃破しなければ、破壊できません。
 ルーブル美術館の立ち入り禁止区画に忍び込み、淫魔が支配する絵画の中の異空間に踏み込みましょう。淫魔を撃破して汚らわしい絵画を破壊してしまいましょう。

男装騎士と女装令嬢のアルマンド(作者 花々実コノネ
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#断頭革命グランダルメ  #ルーブル美術館の淫魔絵画 


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 くるくると。
 森の中で何組もの男女がダンスを踊っている。
 トループス級『欲望のバイオリニスト』の奏でるヴァイオリンに合わせて、ステップを踏み、回転し。その動きでドレスが花が咲くように広がる。
 華やかな舞踏会の一幕のようだが、踊る者たちの顔は蒼白で苦しげだ。
 よく見れば、鮮やかなドレスを舞わせているのは男性、刺繍のされたコートを翻しているのは女性。ダンスのパートも男女逆だ。
 履きなれぬ靴によろめいて床に倒れた男性を、アレクシアはびしりときつくヴァイオリンの弓で突く。
「足を休めるな!」
 足が折れても、腕がもげても、止まることは許されない。死ぬまで、ではなく、死んでからはじまる永遠のダンス。
「ふふ、素敵。許されざる恋の苦悩の表情……物語そのままだ」
 自らも男装したアレクシアは、うっとりとダンスを眺めた。

 攻略旅団の探索・調査によって、ルーブル美術館の立ち入り禁止地区についての情報が得られた。
 それにより判明したのは、立ち入り禁止地区の内部には、淫魔絵画と呼ばれるクロノ・オブジェクトが存在すること。そして淫魔絵画の内部には、淫魔によって堕落して殺された人々の魂が捕らえられているらしいことだ。
「淫魔絵画の中は、絵に描かれた世界になっていて、淫魔に魂を捕らえられてしまった人たちが、苦しめられてます」
 事件を説明する久住・野乃(六尾のもふ狐・g03512)の表情が曇る。
 淫魔は絵画の中という安全圏で淫蕩なエネルギーを生産できる。淫魔にとっては絶好のシステムだが、人々は殺されたのちもずっと苦しめられ続けることになる。
「絵に捕らわれている人を解放するためには、絵画を破壊しなければなりません。けれど、絵画を破壊するには中にいる淫魔を倒さなければいけないんです」
 捕らわれている人の魂を解放し、安らかに眠ってもらうために、絵の中の淫魔を倒してほしい、それが今回の依頼だ。

 ルーブル美術館は一般に公開されているので、中に入ること自体は簡単だ。
 だが、絵画が展示されている部屋は立ち入り禁止となっている。
 部屋の前の廊下にはロープが張られ、その周辺では2人の淫魔が見張りをしている。ロープを踏み越えようとする人がいれば止め、それでも強行しようとすれば人を呼んで騒ぎとなってしまう。
 なんとかして、騒ぎを起こさずに部屋に侵入しなければならない。
「この区画を警備している2人の淫魔は、あまり仕事熱心ではないので、誰かが話しかけたり、おいしそうなお菓子でも見せたりすれば、そちらに夢中になります。その隙に部屋に侵入してください」
 廊下の突き当りにある部屋に掛けられている絵は1枚。描かれているのはドレスを着た男性と、アビ・ア・ラ・フランセーズ姿の女性が森の中でダンスをする絵だ。許されざる恋をした男女が異性装をして追手から逃れ、やっと2人になれた喜びが表情にあらわれている。
「この絵の中に入るためには、女装・男装した男女が絵の前で、うっとりするようなダンスをする必要があります」
 誰か1組が条件を満たせば、全員が淫魔絵画の中に入ることができるようになる。
 中に入れば、戦闘開始だ。
 取り巻きのトループス級『欲望のバイオリニスト』は、先にさくっと倒しておいても良いし、倒さなくともアヴァタール級を倒せば逃げ去ってゆく。自分から積極的に戦おうとはしないから、放っておくことも可能だ。
 そしてアヴァタール級を倒せば依頼は完了となる。
「ただ、気を付けなければならないことがあります」
 淫魔絵画の中は、絵画の世界となっているため、その絵画のルールが適用される。
 ルールに沿った服装や行動を行えば能力が上昇し、反すれば能力が減少する。
 敵の淫魔たちは、当然、ルールに沿った行動をしてくるので、このルールを無視すると戦闘がかなり不利になってしまう。
「そのルールは、男性は女性らしく、女性は男性らしい言動と服装をすることです。なのでうまく工夫して……あっ、行かないでください。絵に閉じ込められている人の魂を……待ってください~」
 野乃は立ち去ろうとしたディアボロスの服の裾をしっかり掴んだ。

「中に捕らえられた人の魂を救うためにも、この絵画は破壊しなければならないです。なので、えっと、よろしくです」
 絶対に逃すまいと裾を握りしめたまま、野乃はすがるようにディアボロスを見上げるのだった。

 ルーブル美術館のある一角。
 廊下に張られた立ち入り禁止のロープが目に入る位置で、2人の淫魔が立ち話をしている。
「この間、すっごく可愛い焼き菓子を見つけたの」
「え、どんなお菓子?」
 こんな片隅にある立ち入り禁止区域に入ろうとする客はほとんどいない。ごくたまに迷い込んでくる人を追い返すためだけの役割だから、淫魔たちは暇を持て余していた。
 おしゃべりぐらいしかすることがない。たまに夢中になって見張りのことも忘れてしまうが、それでも問題がないくらいな閑職だ。
「どうせこんな場所、来る人もいないのに」
「ねー」
 2人はぼやいて、立ち入り禁止を示す赤いロープを見やるのだった。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
1
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わる。全力で力仕事をするならば「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げる事が可能になる。
【一刀両断】
1
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【照明】
1
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【神速反応】
1
周囲が、ディアボロスの反応速度が上昇する世界に変わる。他の行動を行わず集中している間、反応に必要な時間が「効果LVごとに半減」する。
【託されし願い】
1
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【勝利の凱歌】
2
周囲に、勇気を奮い起こす歌声が響き渡り、ディアボロスと一般人の心に勇気と希望が湧き上がる。効果LVが高ければ高い程、歌声は多くの人に届く。
【友達催眠】
3
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【プラチナチケット】
1
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【エアライド】
3
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【モブオーラ】
1
ディアボロスの行動が周囲の耳目を集めないという世界法則を発生させる。注目されたり話しかけられる確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【平穏結界】
3
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【液体錬成】
1
周囲の通常の液体が、ディアボロスが望めば、8時間冷暗所で安置すると「効果LV×10倍」の量に増殖するようになる。
【建造物分解】
1
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【落下耐性】
3
周囲のディアボロスと、「効果LV×300m半径内」の通常の生物に、どんな高所から落下しても、落下時の衝撃を2mの高さから落下した程度に軽減する能力を与える。
【おいしくなあれ】
1
周囲の食べ物の味が向上する。栄養などはそのまま。効果LVが高いほど美味しくなる。
【クリーニング】
2
周囲が清潔を望む世界となり、ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建造物や物品が、自動的に洗浄殺菌され、清潔な状態になる。

効果2

【能力値アップ】LV4 / 【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV3 / 【ガードアップ】LV5 / 【凌駕率アップ】LV1 / 【フィニッシュ】LV1 / 【反撃アップ】LV2 / 【アクティベイト】LV2 / 【リザレクション】LV1 / 【ラストリベンジ】LV1 / 【先行率アップ】LV1 / 【ドレイン】LV1 / 【ロストエナジー】LV1

●マスターより

花々実コノネ
 人助けです。血の涙を流してでもノリノリでも良いので、さあ、この電車に乗ってしまいましょう。
 ダンスは別にアルマンドでなくても、ワルツでも何でも良いですが、明確に男女の違いがあるダンスに限ります。服装もお好きなもので構いませんが、こちらも明確に男女の違いがあることが条件です。
 戦闘は男性は女性らしく、女性は男性らしくすればするほど、強くなります。服装、言葉遣い、動作など、工夫してみましょう♪

 ①……ディアボロスが絵画の部屋にこっそり忍び込めるように、警備の淫魔の気を引きます。
 ②……絵の前で男女逆転で、うっとりするようなダンスを踊ります。ダンスの補助となる演奏を行うこともできます。
 ③……トループス級はボス戦のときにも邪魔はしてきませんので、倒しても無視しても構いません。
 ④……ボス戦です。
 選択肢の順番は①→②→③→④、または①→②→④です。

 では、ご参加をお待ちしていますー。大丈夫です。きっと、たぶん……。
43

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


リゼット・ノア
アドリブ・連携歓迎

なかなか特殊なことが要求されますね。
入るにあたって、男性用の礼服(タキシード)を着て、髪の毛は編んでまとめて短いように見えるようにしておきます。

せっかく男装していますし、見張りの淫魔も女性のようなので、話かけて注意を引くようにしましょう。
世間話をしつつ【誘惑】で口説いて気を引きながら、「お仕事ご苦労様ですね」と美味しい焼き菓子を色々と勧めて食べてもらうようにしましょう。
ちょうど見張りが入り口を背にするような位置で話をするようにすすめます。彼女たちがお菓子に夢中になっている間を見計らって、目を盗んでこっそり侵入するようにしましょう。


エアハルト・ヴィオレ
この世界の芸術家としていかがわしい芸術が跋扈するのは許せませんね。

元々名家の出ですから、貴婦人の振る舞いは見慣れてます。黒いドレスに金髪の長髪のウィッグに黒い貴婦人風の帽子。顔を見られると性別がバレますので、帽子を目深く被って視線を合わせないように。声を出さずに仕草だけで態度を表すようにします。

淫魔を見かけたら意味ありげに唇に人差し指を当てて意味ありげな微笑で色とりどりのマカロンとマドレーヌを差し出します。この時代の習慣には強いですので、淫魔の相手は引き受けましょう。優雅な仕草を忘れず、ワルツを踊るように振舞います。他の仲間の侵入を援護しますか。私自身の侵入は仲間の侵入を確認してからです。


渕上・澪乃
女装か…よく女性に間違えられることもあるし、身長的にも問題ないと思うからボロを出さなければ何とかなりそう。

事前にドレスとそれに合う靴を用意、メイクやヘアセットも不自然にならない範囲でしておく。
あとはモデルらしく女性になった気分で堂々と歩ければきっと大丈夫。

僕も一応呼び止められた時用にフィナンシェとか彼女たちが好きそうなお菓子は持っていくけど、
他の人達が淫魔たちの気を引いてくれて気付かなさそうであれば、
その間に【エアライド】を使って一気に区画内に入ってしまおうか。
もちろん、その時には足音は極力立てないように注意するよ。


天夜・理星
裾掴んでまで懇願することないんだって。
アタシもどのみち絵画の事件は行かないとって思ってたんだ。

…とは言ったものの。
まずは潜入までに淫魔を引き離す必要がありそうだね。

背は…149。年下に見えるってのを利用して、少年っぽい服装の方が行けるか?
胸は下にサラシを巻いて、で、クールめな白のシャツに青いジーパンか。
髪はまあ、もとから短いから男に見えるようにちょっとボサッと。

演技はアタシも得意。
声を少年っぽく出して、持ち込みで用意していたアイスクリームを差し出して、アタシも時間稼ぎの会話に加わろう。勿論友達催眠もね。
位置は味方に任せて、淫魔が見張りのことを忘れた段階で最後に侵入。

楽しいね、本当に♪


 ルーブル美術館の立ち入り禁止区域へ潜入!
 ……の、その前に。

「なかなか特殊なことが要求されますね」
 リゼット・ノア(Cortège funèbre・g02975)は梳かしつけた長い髪を、編み込み始めた。白く広がっていた髪が、編まれるに従ってまとまってゆく。
 左右の三つ編みをきっちりと頭に巻きつけ、毛先を下に入れ込みながらピンで留めてゆけば、いつも背に揺れていたリゼットの髪はコンパクトにまとまった。
「アタシは髪はこのままでいいかな」
 天夜・理星(復讐の王・g02264)は鏡をのぞき込むと、髪に手を差し込んでくしゃくしゃと崩した。
 胸にサラシを巻いた上に、白いシャツ。細身のブルージーンズという服装は、理星を少年のように見せている。
「裾を掴まれて懇願されるまでもなく、どのみち淫魔絵画の事件は行かないとって思ってたんだよね」
 男装しないと不利になると聞いたときには、どういう依頼なんだと思いはしたが、敵のルールが敷かれた絵画に飛び込むのだから、そういうこともあるのだろう。
 片やリゼットはタキシードに蝶ネクタイをつけ、シルクのポケットチーフはパフドスタイルで。
 互いに服装をチェックすると、いざルーブル美術館へ。

 一方、エアハルト・ヴィオレ(宵闇のエヴァンジル・g03594)もまた、ルーブル美術館潜入の準備を整えていた。
 つつましやかに肌を隠す黒のドレスは長袖のスレンダーライン。喪の装いにならぬようにロイヤルブルーでアクセントがつけられている。
 長い金髪には貴婦人のかぶるような小さな帽子。帽子につけたヴェールが顔の上半分を隠しているため、赤い口唇だけが印象的に目に映る。
「ルーブル美術館にいかがわしい芸術が跋扈するのは許せませんね」
 ましてや淫魔絵画に人々の魂を閉じ込めて永遠に苛むなど、見過ごせない。その絵画を破壊するためならば、女装がどうだと言っていられない。
「そのためにもまずは絵画のある部屋に辿り着くことだね」
 渕上・澪乃(月の番人・g00427)はコンパクトミラーを片手に、メイクの細かな部分をチェックする。
 普段から女性に間違えられることのよくある澪乃だから、いつものままでも問題なさそうではあるが、今回の依頼は絵画のルール……女性の仕草や服装にに沿えば沿うほど有利になる。クロノヴェーダを相手どるなら、出来る限り有利でありたい。
 メイクとヘアセットは自然な雰囲気で。
 チェリーレッドのドレスは軽やかなミディ丈。形はシンプルだが、ベルト部分にだけ凝った装飾がされている洒落たドレスだ。
 メイクを確かめ終えて、澪乃はミラーをぱたりと閉じた。

 用意を終えたディアボロスたちは、ばらばらにルーブル美術館に入った。一般の観覧客に紛れて階段を上り、それぞれに立ち入り禁止区域を目指す。
 目的は、見張りの淫魔の気を引いて、他のディアボロスの潜入を助けること。そして自らも隙を見て立ち入り禁止区域に忍び込むことだ。
 リゼットは周囲の絵を見るそぶりで、見張りの淫魔へと近づいた。
「さすがルーブル美術館というべきでしょうか。どれを見れば良いのか目移りしてしまいますね」
 世間話をしかけると、暇を持て余している淫魔たちはすぐに乗ってきた。
「そうよね。あたしもまだちゃんと見てないものがいっぱいあるわ」
「この周辺のものだけは、見飽きちゃったけど」
 2人の淫魔はそう言って声を立てて笑った。
「お仕事ご苦労様ですね。ちょうどおいしい焼き菓子を買ったところなんですが、よろしければいかがですか?」
 リゼットが袋にいれた焼き菓子を見せると、淫魔たちは目を輝かせてのぞき込んだ。
「いいの?」
「もちろんです」
 答えながらリゼットはさりげなく位置を変え、淫魔が立ち入り禁止区域に背を向けるように誘導する。
「あれ? もう何か食べてるの?」
 そこにやってきた理星が、どうしようかなという様子で手元に視線を落とした。
「警備をがんばってくれているお礼にアイスクリームを持ってきたんだけど、いらないかな。このままだと溶けちゃうけど」
「すぐに食べるわ!」
 慌ててアイスクリームに手を伸ばす淫魔は、もうすでに警備のことなど頭にない。
 その背後を、澪乃は堂々と歩いて立ち入り禁止区域へと向かった。
 モデルをしていた母の立ち姿のように背筋を伸ばして。
 俳優の父のように、普通の観覧者を演じる。
 もしも呼び止められてしまったときの備えとして、焦がしバターたっぷりのフィナンシェも持ってきていたが、リゼットと理星が気を引いている淫魔たちは、こちらを見ようとする様子もない。
 その隙をついて、澪乃はエアライドで立ち入り禁止区域へと飛び込んだ。

 貴婦人たちはどう歩き、どう動いていたか。
 見慣れていたその姿を脳裏に描きながら、エアハルトはゆったりと足を運ぶ。
 動作は優雅に、ワルツを踊るがごとく。
 近づいてくるエアハルトに気付いた淫魔が何かと問うより先に、意味ありげな微笑を浮かべて、口唇に人差し指をあてる。そうしながら、手にしていた籠を淫魔によく見えるように少し傾けると、口唇から放した指先でかかっている布を少し持ち上げた。
 籠の中身は、色とりどりのマカロンとマドレーヌだ。
「きゃー、可愛い!」
 目の端に潜入するディアボロスの姿を捉えながら、エアハルトは通路から少し離れた物陰を指さし、仕草だけであちらで食べませんかと誘う。
 お菓子につられてついてくる淫魔2人を、立ち入り禁止区域への入り口が見えない位置へと誘導してから、エアハルトはおもむろに籠にかかった布を取り去った。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【完全視界】LV1が発生!
【友達催眠】LV2が発生!
【エアライド】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【アクティベイト】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!

リリーツェル・ルルーチェ
ハギト様と

晒を巻いて、上着のある騎士服で着こなしを工夫して誤魔化しましょう。髪は切るのはもったいないので括って纏めます。大丈夫です。少女漫画を見て勉強いたしました。今の私はいうなれば、ベルサイユの百合です……!

さあ、参りましょうか、お姫様。
貴殿の為にご用意させていただいたお菓子ですが、貴殿が望むのであれば、あちらの御仁にも差し上げましょう。
【おいしくなぁれ】の思いを込めたお菓子の入ったバスケットを淫魔に差し上げます。
真心こめておつくり致しましたので、どうぞゆっくり楽しんでくださいね。とキラキライケメンスマイル(当者比)を浮かべ、ハギト様をエスコートしながら颯爽とその場を後にし(奥へ進み)ます。


紅羽・ハギト
リリーツェル君(g04066)と

はあ…女装ですか…こんなものを見て何が楽しいのか…
馬鹿なんですかね、淫魔って
身長はどうにもできないですが、ドレスの上にショールを羽織って体型は誤魔化せるのでは?
リリーツェル君に化粧もしてもらいましたし、もうどうにでもなれです
やるなら完璧にいきましょう!

逆にエスコートされる立場になるとは…いえ、参りましょう
とりあえず見張りをなんとかしないといけないみたいですよ?
こういう輩の口を塞ぐのはいつの世も賄賂と決まっております
あなた、今日は何かお持ちじゃないですか?
おや、お菓子ですか…
一つ、いや二つ自身の口に放り込んでから見張りに渡します
とっても美味、ですよ?(にっこり)


「はあ……女装ですか。馬鹿なんですかね、淫魔って」
 ついぼやいた紅羽・ハギト(秋風一葉・g00932)を、リリーツェル・ルルーチェ(精霊使いの侯爵令嬢・g04066)が、静かに、と制す。
「リップがはみ出てしまいます」
 リリーツェルが真剣な表情で口紅を塗る顔が近くて、ハギトは目を閉じた。そうすると今度は紅筆がくすぐったくてたまらない。だがここで笑ったら、口裂けメイクの完成となってしまうので、我慢一択だ。
「はい、出来上がりです」
 リリーツェルは紅筆を置くと、少し離れてハギトの姿を確かめた。
 柔らかな若草のような緑のドレスは、パニエを使用してふんわりと。
 上半身の体型を隠すために、シフォンのショールをかけて。
 背の高さはどうにもならないが、背があるためにドレスのラインがきれいに出ているのも確かだ。
「こんなものを見て何が楽しいのか……」
 また1つ、ハギトの口からぼやきが漏れるが、リリーツェルのほうは上機嫌だ。
 リリーツェルのほうは晒を巻いて身体のラインを調整した上に、上着のある騎士服を着ている。装飾は多めだが、凛々しいイメージがある服装だ。
「リリーツェル君はとても似合っていますね」
「そうでしょう?」
 リリーツェルは衣装がよく見えるように両腕を広げてみせた。
「このために、少女漫画を見て勉強致しました。今の私はいうなれば、ベルサイユの百合です……!」
 その楽しそうな様子にハギトは悟る。これはもう、どうにでもなれと開き直った者の勝ちだ。
「やるなら完璧に、ですね。行きましょう」
 促すハギトに、リリーツェルはちょっと笑い、
「さあ、参りましょうか、お姫様」
 と手を差し出した。
 エスコートは男装騎士の役目。エスコートされる立場になることには戸惑いがあったが、その思いを振り払ってハギトは頷く。
「参りましょう」

 立ち入り禁止区域への通路はロープでふさがれ、その付近で淫魔が2人、話に花を咲かせている。
「とりあえず見張りをなんとかしないといけないのでしたね。こういう輩の口を塞ぐのはいつの世も賄賂と決まっておりますが……」
 ハギトはちらりとリリーツェルに目をやった。
「貴殿の為にご用意させていただいたものがこちらに」
 リリーツェルが手にしたバスケットをハギトに渡すと、甘い香りが漂う。
「おや、お菓子ですか」
「ええ。貴殿が望むのであれば、あちらの御仁に差し上げましょう」
 きびきびとした動作でリリーツェルは淫魔たちのほうへ行くと、丁重に話しかけた。
「警備の皆様、真心こめておつくりしたお菓子はいかがですか」
 真心、もとい、【おいしくなあれ】がこもっているから、味は一層おいしくなっているはずだ。
「またお菓子? 今日はなんて良い日なのかしら」
 今度はどんなお菓子なのかと身を乗り出す淫魔の前で、ハギトはリリーツェルから預かったバスケットを……渡す前に1つ、ともう1つ追加で自身の口に放り込んだ。
「とっても美味、ですよ?」
 残りをにっこり笑顔で渡す。
「どうぞゆっくり楽しんでくださいね。……ゆっくりと」
 リリーツェルは淫魔たちに向けて、自分ができる最高のキラキライケメンスマイルを浮かべた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【おいしくなあれ】LV1が発生!
【落下耐性】LV1が発生!
効果2【リザレクション】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!

平良・明
有数の美術館の空気だけでもお伝えしたいです
じょそう……万が一の時の為に予行演習です

実は背もそこそこ低いですし、何とかなる、はず
体の線を隠すのがいいとか聞いたことがあります
覚めるような青い色調で統一して、ドレスに、後はてぶくろと
帽子、鍔が広いやつを被れば顔が隠れていい感じでしょう

マリー・アントワネットさんにリスペクトを込め
ジャガイモの花などあしらって

喋ったらバレるので、清々粛々と立ち振る舞い
問われれば微笑みで押し通す
歩き方も静かに美術鑑賞と参りましょう

皆、素がいいからよく似合います

警備は味方が気を引いてくれるなら、後ろを忍び足で通り抜けるか
美味しい匂いのする小包を落として、気を引いたりします


喩・嘉
明に声をかけてもらって足が向いた
グランダルメに来るのは初めてだが
俺の故郷とも、新宿島ともまた違って、色々と興味深いな

女装をするのか
ドレスそのものに馴染みがないから、これを着るだけで女装になるのかどうか分からんが
身長はどうにもならんが、幸い元より髪が長いのでこの世界の女性と比べてもそう違和感はないかな
幸児に褒められると悪い気はしない

見張りに声をかけ、妖艶に見えるように「演技」
持参してきた月餅をすすめてみようか
「異国の地の甘味を手に入れましたのよ。おひとつどうかしら?」
などと

無事潜入に成功したら、五里霧計を使用して【平穏結界】を張ろう


守都・幸児
初めてのディヴィジョンだっ
すごいな、こいつはとんでもなくでかくて立派な屋敷だなあ
いや、城か?はは、とにかくでけえ
ついはしゃいじまうな
色々見て回りてえところだが、潜入するためにはちょいと我慢するぞ

喩嘉と明の姿を見て綺麗だから驚くぞ
皆すごく似合ってるぞっ
女装ってのはよくわかんねえが
服装は装飾の少ねえ白いどれすってやつを着てみる
ああ、狩衣みてえなもんか
これなら動けるな
皆の潜入経路を確保する
仲間が見張りの気を引いてる間に
【平穏結界】で潜入する皆の姿を隠すぞ

そーっとな、そーっと
念のため小石をいくつか拾っておいて
万が一見張りがこっちに気がつきそうになったら
反対方向の暗がりに小石を投げて【時間稼ぎ】をするぞ


杏・紅花
パステルめいた白藍の光沢感のあるコートに、脚にぴったりした白のキュロット。首周りはたっぷりレース!
ミルフィーユプリーツの裾が可愛い〜
フランス貴族の服って、ほんとゼータクに出来てるなあ
髪は巻いて括る
少年貴族風、になるかなあ〜

【モブオーラ】で堂々と正面から潜入
ぶらぶら中を見ながら、目的の部屋を探そお
煌びやかで、おとぎ話の中みたい
絹に錦、たくさんの貴金属
…はっヨダレが…

それらしき部屋を見つけたら、管狐の「天」に見張りのふたりを誘うように踊って注意を逸らしてもらお
大丈夫、天は可愛いから、ほら、頑張って誘ってね
その隙に入っちゃえ!

んふ
いつもの仲間のドレス姿は目が覚めるよう
みんな可愛いよお〜


 ルーブル美術館へ続く道を、人々が行き交っている。
 人々の服装も、道沿いに建つ家も喩・嘉(瑞鳳・g01517)にとっては目新しい。
「グランダルメに来るのは初めてだが、色々と興味深い」
 初めて訪れたこの世界は、喩嘉の故郷とも新宿島ともまた違う。
「あたしは来たことある~。キレーなおねーサンと戦ったよお」
 美術館への到着が待ちきれないように、先頭を歩いていた杏・紅花(金蚕蠱・g00365)が振り返った。
 グランダルメの事件に関わる淫魔は、人の欲望を刺激する魅力的な容姿をしているものも多い。クロノヴェーダの特徴も、ディヴィジョンそれぞれだ。
「明に声をかけてもらわなければ、グランダルメに足を踏み入れることもなかったかもしれないな」
 喩嘉は傍らを歩く平良・明(時折の旅行者・g03461)に視線を向けた。
「なにかのきっかけになれたのなら喜ばしいことです。せっかく来ていただいたのですから、有数の美術館の空気だけでもお伝えしたいですね」
 本当ならば収蔵されている美術品の数々を鑑賞してもらいたいところだが、今回の目的は淫魔絵画。そして潜入の鍵は女装・男装だったりする……。
「けど、皆すごく似合ってるぞ。こんなに綺麗だなんてびっくりだ」
 守都・幸児(迷子鬼・g03876)の手放しの賛辞に、喩嘉はまんざらでもなさそうに自らの身にまとったドレスを眺めた。
 長身を生かしたマーメイドラインのドレスは黒と見紛う濃紫。張りのある生地による裾の広がりが、喩嘉の動作に合わせて魚の尾びれのように優雅にゆらめいた。そのドレスの上に、髪留めをレースに替えた漆黒の髪がつややかにかかっている。
「ドレスそのものに馴染みがないから、これを着るだけで女装になるのかどうか分からんが」
 思ったほど動きにくくはない、と身体を動かしてみる喩嘉に、幸児も同意する。
「確かにこれなら狩衣みてえなもんだな。袖括の緒までついてる」
 ドレスの袖についているリボンを幸児は摘み上げた。
 身体をしめつけない清楚な白いドレスはエンパイアライン。シンプルになりすぎないように袖にたっぷりとボリュームをもたせているが、いざというときに邪魔にならないよう、リボンで留められるようになっている。
「ドレスの中には、息ができなくなるくらい、腰をぎゅううってしめるやつもあるんだよお」
 笑う紅花が着ているのは、パステルめいた白藍の光沢感のあるコートに、脚にぴったりした白のキュロット。首周りには繊細なレースがたっぷりと使われている。
 髪は巻いて括って、少年貴族の出来上がり。
「フランス貴族の服って、ほんとゼータクに出来てるなあ」
 上質な生地は重みがあるから、落ち感もいい感じ。身体を左右に振って、ミルフィーユプリーツの裾が揺れるのを紅花は目を細めて眺めた。上質な布をこんなにたっぷりと使えば生地代がかかるし、レースだって……と金額方面に行きそうになった思考を引き戻して、紅花は明のドレスの腰の部分に目をやった。
「明サンのはぎゅううってしてない?」
「はい、スカート部分が広くなっているので絞っているように見えるかもしれませんが、実際は余裕を持たせています」
 明がまとう目の覚めるような青いドレスは、腰の部分からふんわりと広がるプリンセスラインが華やかだ。肘までの手袋をはめ、頭にはドレスの色とお揃いにしたつばの広い帽子を少し前に傾け気味にかぶっている。
 ぱっとした青の色に目がいくために、着ている明自身はその陰に隠れ、却って注視を逃れられる。
「帽子につけてるのって生花? なんのお花かなあ」
 背伸びしてよく見ようとする紅花のために少し屈みながら、明は答える。
「じゃがいもですよ。マリー・アントワネットさんにリスペクトを込めて」
 マリーの愛した星の形をした紫の花を掲げ、いざ淫魔の潜むルーブル美術館へ。

 ルーブル美術館を初めて見た幸児の第一声は、
「でけぇっ!」
 だった。
「すごいな、こいつはとんでもなくでかくて立派な屋敷だなあ……いや、城か? はは、とにかくでけえ」
 想像していたよりも立派な建物に、幸児のテンションが跳ね上がる。
「良い勘をしていますね。ここは元宮殿だったそうです」
 答えて明は、口唇の前に人差し指を立てる。
「喋ったらバレるので、立ち振る舞いは清々粛々と。歩き方も静かに美術鑑賞と参りましょう」
 ドレスを着ていても、油断すればあっという間に化けの皮が剝がれてしまう。
 口を閉じて、微笑の鎧を身にまとって入口を抜け、目的の部屋へと進んでゆく。
 建物の内部は美術品はもちろんのこと、建物の壁や天井、どこを見ても豪奢で煌びやかで目を奪われる。
 おとぎ話の中みたい、とうっとり歩いていた紅花の目は自然と、ガラスケースの中に収められている展示品に向けられた。びっしりと刺繍が施された絹地、首にかけたら重いのではないかと思うほどの大粒の宝石たちを綴った首飾り……。
「絹に錦、たくさんの貴金属……きらきら~」
「……紅花、これを」
 喩嘉が手巾をそっと差し出した。
「……はっヨダレ!」
 慌てて拭き拭き。男装がというより、貴族風に装った皮が剥げないように、紅花は視線を美術品から引き戻した。

 立ち入り禁止の部屋付近まで行くと、見張りの淫魔は楽しそうに喋って、お菓子をつまんでいた。
 喩嘉はドレスの裾をさばいて見張りへと近寄ると、
「異国の地の甘味を手に入れましたのよ。おひとつどうかしら?」
 囁くように妖艶に、喩嘉は持参してきた月餅を差し出す。
「これなに? 見たことないけど、おいしそう!」
「今日は差し入れだらけね。もう仕事なんて忘れてしまいそう」
 はしゃぐ見張りを横目に、幸児と明はそっとロープをまたぎ越え、立ち入り禁止区域へと侵入を果たした。
 廊下に入ると幸児は残りの仲間の侵入を容易にしようと、平穏結界を発動させておいた。
「天は可愛いから、見張りのふたりも釘付けだよお。がんばって踊って注意をひいてねえ」
 クダギツネの天を見張りのほうへ行かせ、紅花もさっとロープを越えた。
「え、動物?」
「大変、どこから紛れ込んだのかしら」
 美術品が損なわれるのを恐れ、見張りは天を捕まえようと追いかける。
 その隙に喩嘉も立ち入り禁止区域へと滑り込んだ。
 全員が侵入を完了したのを確認すると、幸児は手の中に握りこんでいた小石を投げる。コツンという音に気付いた見張りがそちらを見た一瞬に、紅花は天の召喚を解除してその場から消した。
「あら、いないわ」
「階段のほうに行ったんじゃない? 念のため下にも動物が入ったこと伝えておく?」
「……怒られるかも」
「やめておきましょう。あとは下の階に任せておけばいいわ」
「そうね」
 あっさりとそう決めると、見張りの2人はまた差し入れのお菓子を食べ始めた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【液体錬成】LV1が発生!
【平穏結界】LV2が発生!
【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV2が発生!
【フィニッシュ】LV1が発生!

白水・蛍
アドリブ/連携歓迎

当時の男性の衣装を用意して着込みます。
男性の所作は<伝承知識>でカバー致しましょう。
声は出来る限り低くするように保ちましょう。
ダンスする皆様の傍らで≪妖弓琴≫でダンスの曲を<演奏>します。

参加者たちが気持ちよく踊れるように。絵画のお眼鏡に叶うように。
……我々の本懐を遂げれるように。
この先にいる者への挑戦状ですわね。ある意味。


瀧夜盛・五月姫
天狗さん(雅諒院・基経(g00191))と、一緒に。

洋風の礼服のことは、姫、わからない。
だけど……ちょっと、男性用は、胸、苦しい。
髪はワンテールで、三つ編みにして、束ねよう。
さて、これが、問題の絵画……かな?

曲はベートーヴェン、コントルダンス。
本当は皆で踊る、らしいけど、今回は2人で、ね。
手を結んで、【ダンス】のステップ。
付け焼刃、だけど今日は、姫が、リードする、よ。

その格好……ふふ、不本意かも、だけど、とっても、きれい。
ドレスって、身長、高くても映える、ね?
ん……照れる、とても。

曲が終われば、観衆、一礼。
天狗さん、ありがと。とても、楽しかった……えへ。


雅諒院・基経
瀧夜盛・五月姫さん(g00544)と協力する。
ややジャポニズムが入ったローブ・ア・ラ・フランセーズを来て、かなり全力で女装を行う。
声は可能な限り出さないように、しかし出すときは裏声で。
ううむ、こういった服は正直わからないのだが…依頼のためだ仕方なし!
ふむ…これが件の絵画か…なるほど?

曲はベートーヴェン、コントルダンス。
正直こういうのはあまり手慣れていない…すまない瀧夜盛さん、リードをお願いするよ。

あはは…綺麗と言ってもらえると悪い気はしないものだ。
瀧夜盛さんも凛々しく、男顔負けだとも。

曲が終われば同じく瀟洒に礼をする。
あぁ、構わないとも、…少し恥ずかしいがね。


リリーツェル・ルルーチェ
ハギト様と

心情、言動:
シークレットブーツで身長をあげてあるので何とかリードは可能そうですね。さあ、本格的な社交ダンスですよ。
女性の立方はこうです。真似して下さい。と、腰を剃りしなやかなたち姿を見せます。ぎこちなくも彼がそのポーズを取れたら自分はシュッとたって彼を迎えに行き、しっかりと体をホールドします。

さあ、行きますわよ。ハギト様。

行動:
せっかくの社交ダンスですから、踊るのはスローフォックストロット……決まった足型をくるくると回るように踊るまさにスタンダードオブスタンダードの社交ダンス。圧倒的なリードでハギト様を優雅に舞う花のように踊らせてみせます。ダンスの基本は男が額縁で女が花ですから……!


紅羽・ハギト
リリーツェル君(g04066)と

問題の絵はこちらですか
禁断の恋はいつの時代も俗世から逃げるしかないのですね
まあ、そんなことはどうでも良いのです
問題なのはダンス…

貴族社会で嗜んでいる身とはいえ、流石に女性パートなんて踊ったことはないですから…
リリーツェル君は大丈夫でしょうか?
言われるがままにポーズを取ってみたら、私の心配も余所にとてもやる気ですね?!
…あ、はい、行きましょう

オーソドックスな社交ダンス…
しかし…
ちょっと…
待って……
この私がステップを踏まされているとは…
くっ…あなた…やりますね…!

抵抗しようにも今の彼女には成す術もなく…
お陰でダンスは完璧ですが、心中は非常に複雑です
……これは悔しい


 見張りの淫魔の目を掻い潜り、ディアボロスたちは廊下の突き当りにある部屋へと侵入を果たした。
「さて、これが、問題の絵画……かな?」
 結構な広さがある部屋にも関わらず、かかっている絵は1枚きり。瀧夜盛・五月姫(無自覚な復讐鬼・g00544)は絵の近くまで行くと、背伸びして顔を近づけた。その背に、ひとつ結びを三つ編みにした髪が垂れている。
 絵画の背景は森。
 アビ・ア・ラ・フランセーズ姿の女性がドレスを着た男性を、どこかいたずらっぽい表情で引き寄せ、ダンスを始めようというところ。逃避行の成功にほっと表情を緩めた2人のまなざしが、熱く絡み合う。
「禁断の恋はいつの時代も俗世から逃げるしかないのですね」
「ハギト様?」
 紅羽・ハギト(秋風一葉・g00932)の呟きが聞き取れずに、リリーツェル・ルルーチェ(精霊使いの侯爵令嬢・g04066)が問いかける。
「いえ……まあ、そんなことはどうでも良いのです。問題なのはダンスです」
 もちろんハギトにダンスの嗜みはあるのだが、それはあくまで男性パート。女性の足形など踊ったことがない。リリーツェルとて、男性のパートは馴染みないだろうから、本当に踊れるのかと、ハギトの脳裏に不安が湧いてくる。
「ハギト様、女性は胸から上をそらして立つのです。いいですか、こうです」
「こう……?」
 リリーツェルがしなやかなに胸を反らし女性の立ち姿を取って見せるのを、ハギトがぎこちなく真似た、と見るや。
 リリーツェルはしゅっと迎えに行って、しっかりとホールドした。ぐいと腰を引き寄せて構える。
「あ、それでは手が逆です。右手を取って、左手は私の腕に。頭を起こしてはいけませんよ」
 手を伸ばしてハギトの頭の位置を直し、リリーツェルはふんふんと頷く。
「やっぱり、シークレットブーツで身長をあげて正解でしたね。これなら何とかリードは可能そうです」
 ハギトの心配を余所に、リリーツェルはやる気満々だ。
「何を踊られますか?」
 妖弓琴の調子を確かめていた白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)が尋ねる。
 蛍が身に着けているのは、華美ではないが仕立ての良いアビ・ア・ラ・フランセーズ。紺地に明るい青の刺繍がされたアビと袖口からのぞく白のフリルが、爽やかな対照を見せていた。
 絵に入るための条件を満たせなければ、クロノヴェーダの元へたどり着くことができないから、尋ねる声もいつもより低く抑え、所作にも気を配っている。
「踊るのはスローフォックストロット……まさにスタンダードオブスタンダードの社交ダンスですね」
 リリーツェルが答えたのは、ワルツなどと違って拍の終わりに両足を揃えない、流れるようにゆったりと動き続けるダンスの名前だ。
「速さはどのくらいでしょうか」
 蛍はリリーツェルと打ち合わせて演奏曲を決めると、妖弓琴を爪弾いた。
「行きますわよ。ハギト様」
「……あ、はい、行きましょう」
 押され気味に返事をすると、ハギトはリリーツェルのリードに合わせて踊り始めた。普段はリードする側だから勝手が違う……けれど。
「……待って……ちょっと……」
 すぅとリリーツェルが足を進めると、ハギトの身体は自然と動く。いや、リリーツェルの思いのままに動かされている。
「この私がステップを踏まされているとは……」
「さあハギト様、私のリードで、優雅に舞う花のように踊るのです」
「くっ……あなた、やりますね!」
 ダンスは男性役のリードに従うのが鉄則。抵抗など出来はしない。
 悔しがるハギトを、リリーツェルは軽々と踊らせるのだった。

「姫たちも、踊る?」
 五月姫の視線を受けて、雅諒院・基経(はぐれ者の元天狗・g00191)は声を出さずに頷いた。
 基経の衣装は、ややジャポニズムが入ったローブ・ア・ラ・フランセーズ。腰の部分がきゅっと締まり、そこから左右にスカートが張りだしている。マリー・アントワネットと聞いて、この形のドレスを思い浮かべる者も多いだろう。
 依頼のためだから仕方がないが、正直こういう服は分からない。言われるままに着せられて、飾り付けられたらこうなった。基経としては、かなり全力の女装だ。
「ちょっと、胸、苦しい」
 五月姫も基経に合わせて、アビ・ア・ラ・フランセーズを着ているが、男性用の服だから胸元に余裕がない。かといって胸が苦しくないようにしようと思うと、今度は服がだぶだぶで、袖口から手が出なくなってしまうから、どこかで妥協するしかない。
「お2人はコントルダンスをされるんでしたね」
 蛍の確認に、五月姫はこくりと頷く。
「そう。ヴェートーベン、作曲してる」
 本来は男性と女性がずらりと並んで踊るのだが、今回は2人で。
「こういうのはあまり手慣れていない……すまない瀧夜盛さん、リードをお願いするよ」
「ん、付け焼刃、だけど、今日は、姫が、リードする、よ」
 任せて、と五月姫は基経の手を取った。
「天狗さん、その恰好……」
「やっぱり変か?」
「ううん、不本意かも、だけど、とっても、きれい。ドレスって、身長、高くても映える、ね?」
 デザインは華麗だが、落ち着いた青磁色のドレスは基経によく似合っている。リボンの代わりに蝶結びされた組紐から、長めの房が垂れていた。
「あはは……綺麗と言ってもらえると悪い気はしないものだ。瀧夜盛さんの男装は凛々しいな。男顔負けだ」
「ん……」
 普段言われることのない、凛々しいという誉め言葉に五月姫は照れた。
 2人の準備が出来たのを見計らい、蛍がコントルダンスの曲を奏で始める。
 ゆったりとした動きで、右へ左へステップし、優雅に回転。古風だがどこか可愛らしい雰囲気のダンスだ。
 五月姫を中心として、基経をぐるりと1周歩かせる。簡単そうに見えるけれど、五月姫のリードが肝心だ。取った手を引っ張ったら基経のバランスを崩してしまう。かといって、基経の歩くのに任せすぎてはきれいな円とならない。
 丁寧に。けれど態度には余裕をみせて。
 2人が気持ちよく踊れるようにと、蛍も演奏でフォローする。
(「この先にいる者への挑戦状ですわね。ある意味」)
 淫魔絵画のお眼鏡に叶うように。
 絵画の中への進入路を開き、本懐を遂げれらるように。
 これは侵入システムを突破するための、一種の戦いだ。
 踊り終えると、五月姫は一礼、基経はカーテシー。
「天狗さん、ありがと。とても、楽しかった……」
 五月姫がはにかんで笑ったそのとき。
 絵から一筋の光の道が差した。

 ――ようこそ、淫魔絵画の世界へ。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【プラチナチケット】LV1が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【落下耐性】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
【凌駕率アップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV3になった!
【能力値アップ】がLV2になった!

 光の道に足を踏み入れると、周囲の景色が一変する。
 森の木々に囲まれた広場のような場所。
 華やかな衣装で、辛そうに踊り続ける人々。
 侵入者に気付いた『欲望のバイオリニスト』が演奏をやめ、アレクシアも入ってきたディアボロスに目を見開いた。
「ここに入ってくるだなんて……」
 驚きの表情は怒りに変わる。
 ここでは男女逆転していればいるほど、能力が上がる。逆もまたしかり。
「許さんぞ」
 アレクシアは男性らしいふるまいを心がけながら、ディアボロスを睨みつけた。
リゼット・ノア
…絵の中だと雄々しく振舞わないといけないみたいですね。

ならばこのパラドクスを使用しましょう。
大軍を率いて戦うパラドクス…これなら男らしく見えるでしょうか。
妖精や自動人形を率いて先頭に立って突撃します。

Assaut!Envahir l’ennemi!!(突撃!敵を蹂躙せよ!!)

味方を鼓舞するように(実際には効果はないでしょうが)力強く号令を発します。防御を捨てて攻撃に特化し、荒々しく戦いましょう。

そういえば相手の「欲望のバイオリニスト」は女性らしく振舞っている…だからこそあまり積極的に戦おうとしないのでしょうか。
これを蹂躙して倒すのは、あまり男らしくないでしょうか…?


 乗り込んできたディアボロスたちに、アレクシアはひるまず対峙する。
 それと対照的に、欲望のバイオリニストは落ち着きなく視線をさまよわせ、逃げようか、アレクシアに従ってディアボロスを迎え撃とうか、迷う様子だった。
 えんじ色のドレスをつまんでおろおろしている欲望のバイオリニストたちは、見ようによっては愛らしい。
「もしかして、女性らしく振舞うために、あまり積極的に戦おうとしていないのでしょうか……」
 だとすれば、それを蹂躙して倒すのは、あまり男らしくはないのではないかと、リゼット・ノア(Cortège funèbre・g02975)は懸念した。
 だが、彼らとてクロノヴェーダ。生かしておいて良いことなどない。
 リゼットは心を決めて進み出た。
『私は一人であって独りにあらず。戦場にただ一人で立つも、幾千幾万の盟友と共に在りて、ただ一人で軍と為る』
 唱えるはUn soldat égal à mille。
 呼び出した自動人形と黒い妖精で戦陣を組み、リゼットはその先頭に立った。
 雄々しく掲げた手を強く振り下ろし、そして命ず。
『Assaut! Envahir l’ennemi!!(突撃! 敵を蹂躙せよ!!)』
 背に軍勢を率い、リゼットは欲望のバイオリニストへと突撃する。
 防御をかなぐり捨てた全力での進撃が、クロノヴェーダを押し倒す。
「あ~れ~」
 欲望のバイオリニストは悲鳴をあげながら、バイオリンで甘い音色を奏でた。その旋律は、やはりこんなことは男らしくないのではないかと、リゼットを揺さぶる。
 心を絞られるようなその衝動に耐えきると、
「獅子、兎を搏つ!」
 闘争心をかき消されぬよう、リゼットは力強く拳を振り上げ、欲望のバイオリニスト目掛けて荒々しく突っ込んでゆくのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【エアライド】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV2になった!

白水・蛍
アドリブ・連携歓迎

……さて、さて。後は貴殿だけですか。
では、いきますか。
どれほど強くとも、我々には勝てないという事を思い知らせてあげましょう。
男性の所作は<伝承知識>でカバー。
<歌唱・演奏>で音の魔力をぶつける際は低い声を心がけよう。

誘惑は【勝利の凱歌】で勇気づけて、精神を高揚させて無効化させよう。
無意味だよ。そんなものは。

更に機を見て【パラドクス】使用。英雄たるその御業をこの身に降ろし、一撃を!

その他<一撃離脱・両断・風使い>で躍るように剣戟を相手と共に。
他に仲間もいるんだ。共に力を合わせて戦おう。


渕上・澪乃
※アドリブ、連携歓迎

確かここでは服装だけじゃなくて振舞も異性らしくするといいんだっけ。
それなら僕も“私”として振舞わないとね。

歩く所作から表情まで女性らしい『演技』を心がけて、声も普段から高めではあるんだけどワントーン高くすれば大丈夫かな。
ドレスで戦ったことはないから少し動きづらくはあるけど、ヒールなら普段から履いているし問題ないもの。

誘惑の音や香りなんて気に掛ける暇もないぐらいここを冷気で冷やして。
「蒼月」で斬りつける時はダンスを踊るようなステップで近付いて、舞うような斬撃をお見舞いしてあげようかしら?なんてね。


エアハルト・ヴィオレ
・・・・私もバイオリン奏者なんですよ。女装中なので口にはしませんが、バイオリンを悪の道に使用する輩には強い怒りを感じます。

バイオリン奏者の意地と誇りと共に。アレクシア、貴女を断罪させて頂きます。

【観察】【戦闘知識】で敵の動きを観察、【ダンス】【残像】で華麗なステップで弓の攻撃を回避。弓を人を害する武器にする敵に向かって心底嘲りの笑みを唇に浮かべます。

余裕の動きで突然【光使い】で目くらまし。追撃で【両断】【連撃】を併せたレボルシオスラッシュで攻撃し、【風使い】【吹き飛ばし】でダメ押しします。

音楽家の名誉を汚す輩は容赦しません。全ての音楽を愛する人達の為に。


「さてさて。ここまでかなり手間をかけさせられましたが、後は貴殿を倒せば良いだけですか」
 男装して潜入し、淫魔絵画への扉を開くという手順を踏んで、やっとアヴァタール級のところまで到達できた。白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)は『ブレイドハープ―詠唱―』を身体の前に掲げると、勝利の凱歌を響かせた。
 ディアボロスの心に勇気が湧き上がる。
「こんなところまで邪魔しに来るだなんて……」
 淫魔絵画の中に現れたディアボロスたちに、アレクシアは憤りを隠さなかった。自分好みの世界で、安全にエネルギーを生産していたところへ突然踏み込まれたのだから、それも当然か。
「どけ、邪魔だ」
 ダンスを止めて立ち尽くしている男女を、アレクシアはバイオリンの弓で乱暴に押しのけた。
「……」
 その弓の扱いぶりに、エアハルト・ヴィオレ(宵闇のエヴァンジル・g03594)の青い瞳に、怒りが燃え上がる。
 バイオリン奏者であるエアハルトにとって、バイオリンを悪の道に利用するアレクシアは許しがたい。ましてや、バイオリンの音を左右する弓そのもので誰かを払うなど、言語道断だ。
 エアハルトの押し殺した怒りに気付かぬまま、アレクシアはバイオリンの弓をディアボロスへと突き付けた。
「無事にここから出られると思うな」
 怒りの形相を向けつつも、アレクシアは明らかに男性らしい動作を心がけている。
 クロノヴェーダであっても、絵画の中のルールは等しく適用されるのだろう。
(「それなら僕も、“私”として振舞わないとね」)
 渕上・澪乃(月の番人・g00427)は身に着けたチェリーレッドのドレスに視線をやると、自らの役どころを確認する。
 クロノヴェーダと戦う女性、舞台は淫魔絵画の中、1テイクのみのワンシーンワンカット。撮り直しはあり得ない。
 澪乃は踊るようなステップでアレクシアに近づいていった。
 確かに絵の中に入ったはずなのに、足下の感触は土。その上を澪乃のヒールが踏んでゆく。普段からヒールを履いているから、澪乃の歩きに不安定さは見られない。
 踏み出した足でくるりと回転すれば、ドレスのスカートが華やかに咲く。
 軽やかなステップで、アレクシアとすれ違う、その瞬間。澪乃はすらりと蒼月を抜き放ざま、アレクシアへとパラドクス『月華美刃』で斬りつけた。
 動作は舞うように。
 けれど威力は居合切りの鋭さで、アレクシアを刻む。
 月の魔力がこめられた剣に身を裂かれながらも、アレクシアは狂おしい程激しくバイオリンを弾き鳴らした。
 音色に呼応して地面から生え伸びた茨が、澪乃に巻き付き、きつく締め付けてくるのを、身を回転させてふりほどく。
「どれほど強くとも、我々には勝てないという事を思い知らせてあげましょう」
 蛍はいつもより音程を下げて伝承詩を歌う。
 愛しい姫君を守るため、悪に立ち向かう騎士のサーガ。
 それに対抗して、アレクシアはゆったりとバイオリンを鳴らした。バイオリンの音にのり、真紅の薔薇の花と甘い香りが蛍に届けられ、戦意をくじきにかかる。
「私は惑わされたりしない。必ずや悪を滅ぼしてみせる」
 悪の誘惑を跳ねのけた物語の騎士のように、蛍はアビ・ア・ラ・フランセーズを翻し、アレクシアへと迫ると。
「英雄たる御業をその身で受けるが良い」
 大きくブレイドハープを振りかぶり、アレクシアに華麗な一撃をみまった。
 その隙にエアハルトはアレクシアの間近へと駆ける。
(「バイオリン奏者の意地と誇りと共に。アレクシア、貴女を断罪させて頂きます」)
 エアハルトに気付いたアレクシアは、騎士が貴婦人をダンスに誘うように優雅に手を差し出し……その下でもう一方の手に持ったバイオリンの弓を、エアハルトの腹部めがけて突き出した。
 ぎりぎりのところで弓をかわしたエアハルトは、心底からの嘲りの笑みをヴェールからのぞく口唇に浮かべる。
 人の耳を楽しませるべきバイオリン。その弓を人を害する武器に使用するとは。
「音楽家の名誉を汚す輩は容赦しません。全ての音楽を愛する人達の為に」
 性別を隠した囁き声。隠しきれない音楽への想い。
 エアハルトは信念の剣をアレクシアへと振り下ろした。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【勝利の凱歌】LV2が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV4になった!
【命中アップ】がLV3になった!
【ラストリベンジ】LV1が発生!

平良・明
絵の中に入るというのはなかなか面白い体験です

なんかめちゃくちゃいい感じの衣装はそのまま
音楽に合わせて微笑み、優雅に舞いましょう

この技は、不思議な事に
私の感覚では、いつもと変わらず動いているつもりなのですが
見られる所によると、とても速く動いて見えるらしいのです
踊るがままに淫魔の頬にするりと手を寄せて、頚椎を透かし切る

可愛らしいお人形さん、折角の踊りのお誘いでしたのに、もう倒れてしまうとは情けない

ぺろり
次のおあいては貴方?とれとも貴女?


杏・紅花
んわ〜すごい、絵の中って不思議!華やか!!

オトコらしくすれば強くなれるの?
西洋の作法は知らない、あたしの知るオトコらしさは武将だから
ダンスは知らんが舞闘ならばできるぞっ
正々堂々正面から行くとしようっ

推して参る!
精神集中することで、敵の精神攻撃に立ち向かう
誘惑の歌は耐えて、かつ敵の隙をついて素早く動けるように

じゃきんと伸ばした鉤爪構えて小細工無しに正面から突撃、と見せかけて
やっぱりあた…「俺」は奇襲が得意なので
宙返りして背中から御免っ

はっはっは〜立ち向かうものあらば喜んで相手になろうっ!


アドリブ、連携歓迎っ


「ここが絵の中の世界ですか……なかなか面白いですね」
 平良・明(時折の旅行者・g03461)は興味深く周囲を見渡した。入り方が分からなければ、ただの壁に掛けられた絵画でしかない。その中にこうしてエネルギーを生み出すシステムを組み込むとは、敵ながら巧妙だ。
 鬱蒼と茂る森の木々はこの季節でも美しい緑を保っている。
 その中にあるダンスをするのにちょうど良く開けた広場は、何人もの靴に踏まれても枯れることのない草に覆われていた。
「んわ〜すごい、絵の中って不思議! 華やか!!」
 飛び跳ねたくなるのを、杏・紅花(金蚕蠱・g00365)はぐっとこらえた。
 男らしくすれば強くなり、本来の性別らしくすれば弱くなる。この場のルールから考えて、いつもの動作は封印しておいたほうが良さそうだ。
「オトコらしさかあ」
 どうしようかと考えたわずかな間に、明はすでに前に出ている。
 紅花を追い抜いたその口元には微笑。
 青のドレスがシンデレラのダンスシーンのごとくに広がった。
『ときむすび』
 明の血脈を流れる時が減速する。
 ワルツの速度でターンするだけ。そんな自身の感覚とは裏腹に、周囲から見た明の動きは高速スピンターン。
 欲望のバイオリニストが慌てて奏でる鳥籠のカプリース。
 身動きを封じようとしてくる旋律を振り払い、明は踊るがままに淫魔の頬にするりと手を寄せて、
「可愛らしいお人形さん」
 優しい手つきで頚椎を透かし切った。
「折角の踊りのお誘いでしたのに、もう倒れてしまうとは情けない――次のお相手は貴方? それとも貴女?」
 倒した敵を放り出し、明はぺろりと口唇を舐める。
「あた……俺もやるっ」
 紅花が男らしいと言われて浮かぶ像は、武将。
 西洋のダンスは知らないから、舞闘で勝負だ。
 普段はたっぷりした袖の中に忍ばせている鉤爪を、紅花はじゃきんと音を立てて構えた。
 すでに逃げ腰の欲望のバイオリニストに、見せつけるように鉤爪を向け。
 一騎打ちを仕掛ける武将のように、正々堂々正面から。
「推して参る!」
 駆ければ靡く、ミルフィーユプリーツ。
 キュロットの足さばきも軽く。
 欲望のバイオリニストが弾く誘惑のセレナーデを心に入れぬよう、甘い旋律に抗い耐える。
 小細工無しの正面から、まっすぐに突撃。
 ……と見せかけて、直前で跳ねて宙返り。相手の背後にすたっと降り立つと。
「背中から御免っ」
 得意な奇襲で紅花はクロノヴェーダの頸を抉った。
「はっはっは〜立ち向かうものあらば喜んで相手になろうっ!」
 腕を組んで仁王立ち。高笑いをする紅花は、武将……に見えただろうか。
 欲望のバイオリニストたちは、その問いに答える間もなく、ばったばったと倒されてゆくのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【クリーニング】がLV2になった!
【神速反応】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【命中アップ】がLV4になった!

リリーツェル・ルルーチェ
ハギト様と

良いでしょう。
では、戦場のダンスをまい踊りましょうか。姫。

レイピアを抜きハギト様と共にエアライドで戦場を舞踊ります。
先駆けは私が。妖精たちと共にアレクシアに刃を突き立てます。避けられようが当たろうがその先で華麗に着地して、続いて飛んでくるハギト様を受け止めてすかさずクルリとホールドしてターン。体制を建て直し飛びかかり、もう一撃を狙います。
姫と騎士と、妖精の華麗なるワルツ……味わっていただきますよ?


紅羽・ハギト
リリー様(g04066)と

ふふふ…先程のダンスで屈辱を味わったわたくしはもう何だかどうでも良くなりましてよ?
口調もこれでいかが?!ですわ!
普段のリリー様も顔負けですわよ!
……今、悪役令嬢と言ったのはどなたですの?
ぶった斬りますわよ…!

ドレス、思った以上に動きにくいですわね…
となれば、地面からの茨に注意しつつ【エアライド】で舞うように移動ですわ
攻撃の隙を作るために【飛翔】も駆使して翻弄する様に動き回ってみますわね
あら?ダンスの続きですか?
良いですわよ、受けて立ちますわ!
リリー様とタイミングを合わせて共に攻撃を仕掛けましょう

こんなお馬鹿な空間を作った淫魔さんは許せませんのよ…!覚悟、なのですわ!


 ダンスによって導かれた絵画の中。
 欲望のバイオリニストは倒され、哀れなる死者の魂たちは寄り添い震え。
 あとはアレクシアを倒すのみ。
「参りましょうか」
 凛々しく誘いかけるリリーツェル・ルルーチェ(精霊使いの侯爵令嬢・g04066)に、紅羽・ハギト(秋風一葉・g00932)はずいと前に出た。
「よろしくてよ」
 その変貌ぶりに、リリーツェルはぎょっとしたようにハギトを見る。
「ハギト様……?」
「ふふふ……先程のダンスで屈辱を味わったわたくしはもう何だかどうでも良くなりましてよ? 口調もこれでいかが!? ですわ! 普段のリリー様も顔負けですわよ!」
 吹っ切れた。
 あるいは振り切った。
 お嬢様というよりは悪役令嬢と化したハギトに戸惑ったのもつかの間、
「では、戦場のダンスを舞い踊るとしましょう。姫」
 リリーツェルはにっこり笑ってレイピアを抜き放った。
「妖精よ、我に力を!」
 アレクシアへ、妖精と連携したフェアリーコンボを見舞う。
 ハギトもドレスにややもたつきながらも、小太刀『紅蓮』で斬りかかる。
 アレクシアは弓を素早く動かして、バイオリンの音色を響かせた。激しい演奏が心を奪い、その隙に地面から伸びた茨で2人を締め上げる。
「ドレス、思った以上に動きにくいですわね……」
 茨に裾を引っかけたハギトは、ドレスの裾をたくし上げた。衣装のボリュームが普段と違いすぎて、感覚が混乱する。
 走ってはいられないと、ハギトはエアライドで空中を跳ねて移動しては、アレクシアへと攻撃した。
「ハギト様、ダンスの続きをしませんか?」
 リリーツェルが意味ありげにハギトに微笑むのに、
「良いですわよ、受けて立ちますわ!」
 決闘の申し出を受けるように、ハギトは答える。
「上等!」
 いざ、とリリーツェルは裁劍を掲げた。持ち手に施した術式を発動し、召喚した妖精を引き連れ、正面からアレクシアに刃を突き立てる。
 絡みついてくる茨をリリーツェルが切り払う間に、ハギトがぶわっとドレスのスカートを膨らませながら空中から飛び降り、アレクシアに紅蓮をふるう。
 茨を避けて後ろに跳ねたハギトを、リリーツェルは抱き止めてしっかりとホールドした。そのまま華麗にターンを決める。
「あはははは」
「ふふふふふ」
 それはまさに、男装騎士と女装令嬢の浪漫あふれるダンス。
「姫と騎士と、妖精の華麗なるワルツを味わっていただきますよ」
 体勢を立て直したリリーツェルは、ふたたびアレクシアへと向かう。
「……こんなお馬鹿な空間を作った淫魔さんは許せませんのよ。覚悟、なのですわ!」
 令嬢は騎士を追うように駆け、アレクシアへと飛びかかるのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【エアライド】がLV3になった!
【落下耐性】がLV3になった!
効果2【命中アップ】がLV5(最大)になった!
【能力値アップ】がLV3になった!

喩・嘉
この国自体も幻想的だと思ったが
一連の出来事に、ここの景色、まるで夢の中に迷い込んだようだ
たおやかな振る舞いに言葉遣いも【演技】し徹底する

しかし、こうなってしまえば……あとは戦うだけね
そうでしょう?

普段から裾の長い漢服で戦っている
ドレスでの戦闘は何の支障もない
そもそも……私の戦いは動く必要すらないのだから

あなたも良い香りがするのね
でも、私の香りに敵うかしら?

アレクシアの精神攻撃に対抗し「馥郁香計」で精神に作用する香りを放つ
敵の放った香りを上書きして仲間を力づけ
敵を虚脱状態へと導く香り
そこで生み出した隙は、仲間が生かしてくれるわ


守都・幸児
へえ、これが絵の中か
綺麗な場所じゃねえか
…おっと、俺は喋らねえほうが良さそうだ

黙りながら考える
こういうときの言葉や所作はよく知らねえんだよなあ
どうしたもんか

…そうだな
まだ、変わっちまう前の平安の世界で
神様に捧げる舞いってのを見たことがある
綺麗だったな
その舞いを【記憶術】で思い出しながら舞ってみよう
「破」の闇を髪に纏って
長い黒髪みてえに見せる
ああ、舞ってみたら案外馴染むもんだなあ
体が軽い
舞いながら敵に近付いて
髪から闇の雷を解き放って【不意打ち】するぞ

敵が香りを放ってきても
馴染みのある喩嘉の香りに集中する
悪いな、俺はこの香りのほうが好きなんだ
言葉には出来ねえから
口の前に人差し指を立てて笑ってやるよ


平良・明
そろそろネタが割れそうなのでぱっぱと終わらせましょう
喩嘉さんが喋るなら、私は微笑む口元に人差し指をあてて、沈黙は花

衣装の装飾からジャカイモの花びらを摘み取り、両の掌に包み込み
花の香と馥郁香計の香りを吸い込む、私の吐息は花吹雪
オカリナを吹くように口元に寄せ、息を吹き込み
馬鈴薯の花びらを弾丸にして敵を貫きます

神楽踏む遠鳴りに、薔薇を裂き散らして飛べ、紫の花白い花

……これは疲れる
でも、言葉と衣装が変わっても私たちの連携に敵うものですか
解放される魂に、左様なら。


 緑には一片の枯れ葉もなく、木漏れ日はあくまでもやさしく。
 作り物じみた、いや作り物の世界であるが故にこの場所の景色は美しい。
「へぇ、これが絵の中か」
 感心しかけて、守都・幸児(迷子鬼・g03876)は口を閉じた。女性らしい口調でないことを理由に、弱体化される危険を避けるためだ。
(「女性らしい言葉や所作はよく知らねえんだよなあ……」)
 さてどうしたものかと、幸児は思案を巡らせながら仲間の様子を窺い見た。
 平良・明(時折の旅行者・g03461)は幸児と同じく言葉を発しないことにしたようで、沈黙は花、とばかりに微笑む口元に人差し指をあてている。
 喩・嘉(瑞鳳・g01517)は絵の中の世界を興味深く眺めていたが、やがてドレスの裾をさばいてアレクシアに向き直った。普段から裾の長い漢服で戦っている喩嘉にとっては、ドレスの長さは苦にならない。
「夢の中に迷い込んだような世界は確かに幻想的ね。でもこうなってしまえば、あとは戦うだけ……そうでしょう?」
 問いかけの形を取ってはいても、それは喩嘉からの宣言、あるいは宣戦布告。それをアレクシアは真っ向から受けた。
「絵画の世界を冒涜する輩は、このアレクシアが叩き伏せる!」
 語気の荒さと裏腹に、アレクシアが奏ではじめたのはゆるやかなワルツ。
 騎士と令嬢が踊るのにふさわしい、落ち着いた中にも喜びが溢れる曲は、音色だけでなく、深紅の薔薇の花と甘く切ない香りを伴ってディアボロスたちの心をくじきにかかる。
「あなたも良い香りがするのね。でも、私の香りに敵うかしら?」
 喩嘉がさらりとドレスを揺らすと、薔薇の香りに別の香が混ざりこんだ。
 どこからともなく漂う馥郁たる香り。強く、酔わせるように、馥郁香計がアレクシアの放った香をむしばみ返す。
 馥郁香計の放つ香りに、幸児はふと過去の一場面を思い出した。
 舞台を飾る花。
 その前で神に舞を捧げる少女。
 それは変わってしまう前の世界で、幸児が見た風景。
 あれは確か……。
 記憶をたどりながら、幸児はとんと足を踏み出し、手を掲げる。
 西洋のダンスは出来なくとも、舞なら出来る。
 大げさな動作はなく、一挙手一投足を丁寧に。
 傾げた首。流れる黒髪。
 思い起こす幸児の鬼の両腕が砕けて割れて。迸った闇の雷が髪のように広がった。
(「ああ、舞ってみたら案外馴染むもんだなあ」)
 舞いながらアレクシアに近づき、幸児は闇の髪から雷を解き放つ。
 雷に打たれて息を詰まらせたアレクシアは、のけぞりながらもバイオリンを奏でた。戦いなどやめて、この絵の中でダンス三昧の日々を送ろうと誘いかける。
 幸児は馴染みのある喩嘉の香りに意識を集中させて、強まる薔薇の香を締め出しにかかった。
 自分の演奏がはかばかしい効果を出せないことに苛立つアレクシアに向けて、
(「悪いな、俺は喩嘉の香りのほうが好きなんだ」)
 言葉にはできない代わり、幸児は口の前に人差し指を立てて笑ってやった。
 ホームグラウンドだと思っていた絵の中で苦戦を強いられて、アレクシアからは余裕が消えてゆく。弓を操る手の動きも荒れがちだ。
 明は衣装につけていたジャガイモの花を摘み取ると、両の掌に包み込んだ。そのまま顔に近づければ、ほのかに素朴な香を感じる。
 ジャガイモの花の香りと馥郁香計の香りを肺に満たし、ほんの一瞬、明は動きを止めた。
(「私の吐息は花吹雪」)
 オカリナを吹くように口元に寄せた手に息を吹き込めば、世界に時を折り込まれた花びらが、弾丸となってアレクシアを撃ち抜いた。
「神楽踏む遠鳴りに、薔薇を裂き散らして飛べ、紫の花白い花」
 声は出さず、明は口の動きだけでそう告げる。
 アレクシアの薔薇を圧して場を支配する馥郁たる香りと、場を清めるがごとき舞。その力を受けて敵を貫く花。
 言葉が変わっても、衣装が変わっても。仲間たちの連携は変わることはないのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】がLV3になった!
【平穏結界】がLV3になった!
【照明】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】がLV2になった!
【ガードアップ】がLV5になった!
【反撃アップ】がLV2になった!

天夜・理星
…ああ、そうだねえ。
“オレ”は少年で、“キミ”もカッコいい男のバイオリニスト。
楽しいね、あべこべもさ♪

二つ、紳士らしく行こう。
一つ目。ダンスのような動きがあるなら、オレも少年で紳士ってことにしよう。
一緒に踊ってしまうことも出来るんじゃないかな?
男性パート主導は勿論オレね♪

二つ目。一切の防御を行わない。
優しさで鞭を受け入れるのも、少年で紳士の務めだよ。

但し弓が突き刺さった瞬間、グラップル技能で敵の腰を支え逃げ場を無くす。
そして、強打、破壊に技能を繋げる形でパラドクスを発動。
1発でいい。
思いっ切り至近距離で、その顔面ごと演奏を永遠に終わらせてあげよう。

…どう?
王様の振る舞い、気に入ってもらえた?


瀧夜盛・五月姫
アドリブ、連携、歓迎、だよ。

さて、絵画の中、入ることでした。
詰まるところ、あとは、あなただけ、ということだね。クロノヴェーダ。

変幻自在な型を構え、【ダッシュ】で接近。
バイオリンの弓は【薙ぎ払い】、【フェイント】【残像】を交えつつ、小手を、放とう。(【斬撃】)
隙あらば、もうひとつ、あなたの脇腹にパラドクス。
――【ただ現に 漂ひ給ふは 姫の末つ方】
体、2つに分かつ、よ。

……ま、まあ。不謹慎、だけど、姫は楽しかったから、ね。
機会をくれたの、感謝する、けど。
だけど、いつまでも、あなたたちに踊らされ続けるの、癪だから、ね。


「詰まるところ、あとは、あなただけ、ということだね。クロノヴェーダ」
 瀧夜盛・五月姫(無自覚な復讐鬼・g00544)は静かにアレクシアに告げた。
「何なのよ、もう……」
 髪を払おうとした手が空を切り、アレクシアははっとして素に戻りかけていた気分を引き締めると、低く作った声を出した。
「なぜ絵画を破壊しようとするのか、俺には理解できない。この世界は実に素晴らしい。そうは思わないか?」
 アレクシアに問われ、五月姫はちょっと視線をさまよわせる。
「……ま、まあ。不謹慎、だけど、姫は楽しかった、よ」
 普段ならあり得ない衣装とシチュエーションでダンスをするのは、正直楽しかった。こんなことでもなければ、異性装などしなさそうな相手とであればなおのこと。
「機会をくれたの、感謝する」
 そこは認めようと口に出し、けど、と五月姫は続ける。
「だけど、いつまでも、あなたたちに踊らされ続けるの、癪だから、ね」
 あの経験は面白かったと笑って言えるように、ここで終止符を打つ。
「踊らない奴はいらない。俺のバイオリンの前に倒れろ」
 まとめた髪は乱れ、蓄積されたダメージは大きいけれど、アレクシアはバイオリンを構えた。
「ああ、そうだねえ。“オレ”は少年で、“キミ”もカッコいい男のバイオリニスト。楽しいね、あべこべもさ♪」
 腰に手を当てて、天夜・理星(復讐の王・g02264)は少年の顔で笑う。
「そうだなぁ、ダンスのような動きがあるなら、オレも少年で紳士ってことにしよう」
 遊びを持ちかけるように言って、理星は踊る足取りで近づいてくるアレクシアに手を差し出した。
「お嬢様、お手をどうぞ」
「わた……俺は令嬢ではない! 騎士だ!」
「なんとつれない」
 当然自分が男性パートでリードしようとしていた理星は、残念とばかりに両手を広げた。
 その理星の背後から飛び出した五月姫が、大薙刀を振りかぶる。反撃しようと突き出したアレクシアの弓をかすらせるだけに留め、素早く切り替え放つ小手。変幻自在な型は五月姫の攻撃を読ませない。
 小手を放った勢いでアレクシアの横を通り過ぎ、振り返った五月姫は呼吸を深く整え、次の攻撃に備えた。
「こっちには来ないのかい?」
 理星はアレクシアを誘う。アレクシアは警戒しながら周囲でステップを踏んでいたが、理星が一瞬見せた隙に、全身で押し込むようにバイオリンの弓を突き入れてきた。それを一切の防御なしで理星は受け、左手をアレクシアの腰に回した。
「鞭を受け入れるのも、少年で紳士の務めだよ」
 言葉は優しく、腰を支える腕の拘束はきつく。
 心に満ちる感情の波“刻源”を限界まで集め、理星はアレクシアの顔面ど真ん中に右ストレートを叩き込んだ。その顔面ごと演奏を永遠に終わらせるために。
 理星が腕を解くと、顔を両手で押さえたアレクシアの膝が崩れる。そこに。
「――ただ現に 漂ひ給ふは 姫の末つ方」
 五月姫のパラドクス『我流薙刀術 脇構え』。アレクシアが最期の力で突いた弓に傷つけられながらも、五月姫は大薙刀でアレクシアの脇腹を断ち切った。
「どう? 王様の振る舞い、気に入ってもらえた?」
 完全にこと切れたアレクシアを見下ろして、理星は昂然と笑った。


 アレクシアは倒され、絵画は破壊され。
 閉じ込められていた死者の魂は解き放たれた。
 騒ぎになる前にそっとルーブル美術館から抜け出すと、ディアボロスたちはパラドクストレインに乗り込んだのだった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【建造物分解】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【能力値アップ】がLV4になった!

最終結果:成功

完成日2022年01月25日