リプレイ
マルケト・キサウェ
折角ですしお参りしていきましょう。
(昔の記憶が無いのもあって)あまり信仰心が厚い方という訳でも無いんですが、恒例行事みたいなものらしいですからね。
千代田区の東京大神宮に伺います。ここの主祭神は天照皇大神。初日の出代わりに太陽神を参拝するという寸法です。
願い事は……うーん、少し悩みますね。記憶喪失の件については実の所あまり急ぐことでも無いかな、という気になっていますし。
『怪我なく過ごせますように』とかにしましょうか。いやまあ今から戦いに行く身ではありますけど。重傷を負うようなことが無ければいいな、くらいの気持ちで。
ついでですし、身体健勝のお守りも欲しい所です。新円使えますかね?
よーし、やるぞー。
●過去でなく今を願う
「ここが東京大神宮、ですか」
赤く染められていない、木造そのままの色の大きな鳥居を見上げて、マルケト・キサウェ(docta ignorantia・g03412)は石段を登り出した。
鳥居の下を通って、神門も潜り抜ける。
すぐ目の前に、厳かな拝殿が佇んでいた。
「確かに、人が少ないですね。恒例行事みたいなものらしい、と聞いたのですが……」
――千代田区、東京大神宮。
此処に祀られている主祭神が天照皇大神と言う、最終人類史に残る日本神話において太陽神とされる神である事くらいは、マルケトも調べてきている
他にも数柱の神が祀られ、かつては縁結びのご利益があると知られていた神社だが、千代田区が最終人類史に戻ったばかりとあっては、境内の人の姿もまばらであった。
「まあ、折角ですし、初日の出代わりにお参りしていきましょう」
話に聞いた、嘗てのこの場所の初詣の雰囲気とは異なるのだろうと思われる空気を感じながら、マルケトは参道の端を歩いて行った。
「願い事は……うーん」
拝殿の前に立っていざお参り、と言う段になって、マルケトは悩んでしまう。
何をお願いしたものか、と。
マルケトには過去の――新宿島に漂着する以前の記憶が殆どない。記憶の欠落を補うと言う目的はあるのだが、実の所、あまり急ぐ事でもないかな、という気になっているのが本音だ。
(「そもそも、あまり信仰心が厚い方という訳でも無いんですよね」)
それも記憶がないのもあるかもしれないが。さりとて、神頼みしてまで記憶を――と言う気には、どうにもならなかった。
「『怪我なく過ごせますように』とかにしましょうか。いやまあ、今から戦いに行く身ではありますけど」
結局、そんな無難と言うか目先の願いを口にして、マルケトは立て札の作法に則って賽銭を入れ、頭を下げて掌を打ち合わす。
重傷を負うようなことが無ければいいな、くらいの軽い願掛けとして。
そのくらいの方が神様も叶えてくれるかもしれない。
まだこの世界に、神と呼べる存在がいるのなら。
「身体健勝のお守りも貰えましたし……よーし、やるぞー」
お参りを終えたマルケトは、気持ちを新たに新宿駅へ向かっていった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
冰室・冷桜
ま、こういう時だからこそーてのはあるかしらね
お仕事の前に景気付けって感じでお参りしてきましょうか
んで、アタシが行くのは新宿区の神社、と
やっぱなんかこう、ここが一番御利益ありそうですし
賑わってないとやっぱ寂しいわねーと思いつつ、だいふくも召喚して一緒にお参り
今回のお仕事が無事に終わりますよーにと、一年無事に過ごせますよーにと、そんな感じの願いごとを
屋台の類はなさそうだけど、おみくじくらいはやってるのかしらね
ついでに運試し、してきましょうか
●新宿十二社
冰室・冷桜(ヒートビート・g00730)は新宿駅の西口から外に出るとそのまま、新宿の街中を歩いていた。
新宿。
高層ビルが建ち並び、かつては東京都内でも有数の大都会として知られていた街の中にも、神社の類はちゃんと存在する。それも1つや2つではない。結構な数の神社が、新宿区内にあるのだ。
「やっぱなんかこう、新宿のが一番御利益ありそうですし」
ほんの少し前までは、この新宿が最終人類史に残った唯一の地だった。
冷桜はそこになんとなく、御利益があるように感じていた。
都庁の西にある公園の中を少し行けば、木立の向こうに熊野神社の石造りの鳥居が見えて来た。
(「賑わってないと、やっぱ寂しいわねー」)
鳥居の向こうの境内は屋台のひとつもなく、冷桜は胸中で呟く。
数人の参拝客がいるくらいで、シンと静まり返っていた。
ここは元々、正月の時期は境内にはあまり屋台が並ばないらしいが、この分では通りの方に出ても変わらないだろう。
そうと聞いてはいても、この静けさは少し寂しいものだ。
まあそれはそれで、誰に気兼ねする必要もない。
「おいで、だいふく」
冷桜はメーラーデーモンのだいふくを喚び出すと、並んで境内の端を歩き出した。
神社に、デーモン。
人によっては、それはどうなのか、と思うかもしれない組み合わせだが、冷桜は気にした風もなかった。
それを言ったら今はもう、冷桜自身だってデーモンになってしまっているのだ。そんな事を気にしていたら、キリがない。
それに、ここの祭神は櫛御気野大神と伊邪那美大神。
片方は黄泉の神としての性質も持っている。デーモンとて受け入れてくれる筈だ。
「今回のお仕事が無事に終わりますよーに。一年、無事に過ごせますよーに」
賽銭を入れて、頭を二度下げ、パンパンと二度手を打って願いを口走る冷桜に倣って、だいふくもペチペチと蹄を打ち鳴らしていた。
「おみくじくらいはやってるのかしらね?」
お参りを終えた後は、ついでの運試し。
冷桜とだいふく、それぞれに引いた結果は――中吉と大吉だった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【通信障害】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
グレン・ゲンジ
初詣かー、とりあえず駅から一番近い神社でも行くかな
いつもの神社(文京区)は行けねーしな…
あー、出店とかねーのかよ、結構楽しみなんだけどな
ま…お参りするか…
てか…あんま人いねーな…
みんな…やっぱ、余裕ねーのか…?
…世界を…もっと、取り戻せますように…
…駅に行くか
●新宿総鎮守
「初詣かー……」
初詣をしてきてもいい――と言われても、グレン・ゲンジ(狂刃のスレイヤー・g01052)がまだ人間だった頃に初詣に行っていた『いつもの神社』があるのは、文京区。まだこの最終人類史に取り戻していない地域であった。
「とりあえず駅から一番近い神社でも行くかな」
行き先に困って新宿駅構内を歩いていたグレンは、ふと目に着いた駅周辺地図に視線を向ける。
「……此処にするか」
地図で見つけたその神社を目指し、グレンは新宿駅東口へと向かっていった。
花園神社。
歌舞伎町の少し東側にあり、新宿総鎮守として新宿の街の守り神と祀られている。
かつては年間を通してお祭りの多い神社としても知られていたのだが、そんな花園神社でも、鳥居の中にも外にも、出店の類は出ていなかった。
「あー、出店とかねーのかよ。結構楽しみなんだけどな」
そう聞いてはいたけれど。グレンの中に僅かにあった出店への期待は、何処か物寂しい風景を吹き抜ける冬の風に流されていた。
「てか……あんま人いねーな……」
人影もまばらな周囲に視線を巡らせながら、グレンは境内を歩いていく。馴染みのある場所ではなかったが、参拝客自体、花園神社としてはとても少ないと言って良いのではなかろうか。
「みんな……やっぱ、余裕ねーのか……?」
グレンの言う余裕の無さは、出店がない一因ではあるだろう。
失われていた23区の内、6区は取り戻した。先日は住民達も手伝ってくれたクリスマスのイベントもあった。けれども、まだまだ元通りと言うにはほど遠い。
そんな事を考えていると、拝殿の前に辿り着いていた。
「ま……お参りするか……」
二度頭を下げ、パンパンッと二度手を打ち鳴らす。
「……世界を……もっと、取り戻せますように……」
それは願いと言うよりは、誓いと言った方が正しいかもしれない。
グレンはそれを、自分達の手で為すつもりなのだから。
大成功🔵🔵🔵
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テクトラム・ギベリオ
朝日が眩しい。…陽の光はいつもと同じだがやはり新年は神聖な気分になるな。
オベリスクや儀式の事も気になるが、案内人が勧めるのであれば言葉に甘えようか。ハツモウデと言う文化も気になる。
さて何か太陽と関係がある場所が良いが…アマテラス?この地の太陽の神か。
決まったな。では挨拶しに参ろうか、毛玉。
千代田区の東京大神宮と言うジンジャに向かう。
聖地に毛玉…サーヴァントを連れても大丈夫なのだろうか?一応隠れてなさい。
参拝客を遠目に見つつ、作法を見よう見まねで行う。
まずは新年の挨拶を行い、平和とそれを護れる力を遠い国の太陽神に祈願する。
●太陽に願うは
「ハツモウデ……か。案内人が進めるのであれば、言葉に甘えようか」
新宿駅のホームを離れたテクトラム・ギベリオ(砂漠の少数民族・g01318)は、一先ず駅の外へ向かって歩いていた。
獣神王朝エジプトのオベリスクや儀式の事も気になるが、ハツモウデなる未知の文化も気になっている。
間に合うと言うのなら、その文化、身を以て味わってみよう。
「朝日が眩しい」
そう思って駅を一歩出たテクトラムは、差し込む冬の日差しの眩しさに、思わず目を細くしていた。
「……陽の光はいつもと同じだが、やはり新年は神聖な気分になるな」
変わらない筈の日差しも、どこか違う気がする。
「……そうか。太陽か。何か太陽と関係がある場所が良い」
その日差しから、テクトラムは初詣の行き先の指針を得ていた。
そしてしばらくの後。
テクトラムの姿は、千代田区の東京大神宮にあった。
「すまないが、良いか?」
「はい、なんでしょう?」
「このジンジャが、アマテラス?という、この地の太陽の神を祀った聖地で相違ないか?」
「そうですよ。此処の主祭神は天照皇大神です」
参拝を終えて来たらしい着物姿の女性に声をかけ、テクトラムはここが目指した神社で間違いないのを確かめる。
「では挨拶しに参ろうか、毛玉」
そしていつもの様に、スフィンクスに声をかけて石段に足をかけたところで――。
「ん?」
テクトラムは気づいた。
真っ白でまんまるふわっふわな、まるで綿菓子の様なスフィンクス『毛玉』を、いつもの様に連れてきていた事に。
「聖地に毛玉……サーヴァントを連れても大丈夫なのだろうか?」
ふと過る、そんな疑問。
「毛玉。一応、隠れてなさい」
特に問題はなかっただろうが、テクトラムは、念の為に毛玉を隠れさせてから、歩みを再開した。
まばらな参拝客に倣い、石畳の端を歩いて拝殿に向かう。見様見真似で賽銭を入れ、賽銭箱の近くの立て札に絵で描かれた様に、二礼二拍一礼の順で参拝する。
(「遠い国の太陽神よ……新年の挨拶に伺った。どうか平和と、それを護れる力を私に」)
声に出さずに祈願を終え、テクトラムの初めての初詣は終わったのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【託されし願い】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
湯泉・あそび
ふふふーあそびだよー!
現状残ってる★0.5を握りしめて参加したいよー!
では千代田区を詣でよう
お正月ならば初詣をせねばならぬのじゃ、じゃ。
そういうものなのは知っているよ!
気持ちよく晴れた空は新年を迎えるにぴったりの天気だといえるね。ね!
なんだか意味もなく浮かれた気分になったりするんじゃないか。
このテンションはきっとそういうものなんだ!
よーしよし、いっけーあそびの500円!
賽銭箱めがけてぶん投げーる!
なんとか礼なんとか拍手だ。
完璧だ、決まった……。(と本人が思っているのは確か)
ああ、願い事だ、よいお年を!
じゃないな、えーと、良き年になりますよう、今年もよろしくお願いしますだ!
●2022初ぶん投げ
「お正月ならば初詣をせねばならぬのじゃ、じゃ!」
神社の鳥居を前にして、湯泉・あそび(道の化・g04842)は、なんだか浮かれた気分になっていた。なんでこんなにも浮かれているのか、自分でも良くわからない。
お正月だから?
空が気持ちよく晴れているから?
新年を迎えるのに、ぴったりの天気だから?
そのどれもが、あそびの気持ちと足取りを弾ませている理由でありそうで、どれも違うようにも思える。
「なんだか意味もなく浮かれた気分になったりするんじゃないかな。お正月だからね!」
お正月と言えば初詣。そういうものなのは、知っている。
だからきっと、この気持ちもそういうものなのだ。
浮かれた気分そのままに、あそびは古い鳥居を潜っていった。
そんな弾む足取りで、あそびが初詣に訪れたのは千代田区は東京大神宮。
他のディアボロスも何人か訪れている神社の石段を、あそびは勢い良く駆け上がっていく。神門を通り抜け、境内も駆け抜けて。あっという間に、あそびは拝殿の前に辿り着いていた。
「よーしよし、いっけーあそびの500円!」
ずっと握り締めていた硬貨を、あそびが勢い良くぶん投げる。
あそびの手を離れた硬貨が放物線を描いて賽銭箱に吸い込まれ――チャリーンッという音が響いた。
「この後は、何とか礼何とか拍手」
すぐそこの立て札通りに、見よう見まねで二礼二拍一礼。
「完璧だ、決まった……」
賽銭箱の前で顔を上げたあそびは、満足げに胸を張る。
だが残念ながら、あそびは肝心な事をすっかり忘れていた。
「ああ!? 願い事だ!」
これではただ、お賽銭投げただけだ。
「よいお年を! ……じゃないな、えーと……」
願い事を考えていなかった事に今更気づいたあそびは、賽銭箱に背を向けて、腕を組んで考え出す。人が少なくて良かった。
「うん。これだな!」
やがて、頭の中に願い事が浮かんだあそびは、再び拝殿に向き直って――。
「良き年になりますよう、今年もよろしくお願いしますだ!」
その願いが、境内に大きく響き渡った。
大成功🔵🔵🔵
効果1【怪力無双】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
メルサンク・トトメス
【エジプト勢】
𓆣𓂋𓇋𓁛(日の出の神ケプリ)を崇めた後、飯田橋にあるという𓂋𓂝𓇳𓏺𓁛(ラー)を祀る東京大神宮に集合
ラーじゃなくて天照大神?
政治の都合でインドの神様と習合してたのに、政治の都合で習合を取り止めて、それでも祟られなかったんでしょう(【歴史知識】)
スサノオとセトが同じ神でも驚かないよ
キモノ着用
呉服屋のお薦めに従った結果、成人式の黒ギャルな見た目
下着のラインは出ていない。ノーパン。ていうか、パンツない世界の人だし
髪飾りありがとう
これには指輪みたいに特別な意味が?
新宿島で発行された電子通貨でお賽銭を支払う
エジプトを改竄世界史(ディヴィジョン)から取り戻せますように
逆叉・オルカ
【エジプト勢】
アドリブ歓迎、ツッコミ役
あけましておめでとう
神を頼る性格ではないが挨拶くらいはしておこう。ってわけで初詣
エジプト関係の知り合いが来てるので俺は案内役に
俺は紺の和服
皆も素敵だ。なかなか似合ってるよ
ベズヴィルドの素顔も新鮮だ
で、ライラの仮面は誰に勧められたんだ?
…あ(文化差を思い出し
あんたらは(下着も)着ろぉ!
今年も良い年になると良いな。
言いながら道案内。礼儀作法も教えるよ。
東京大神宮の神は太陽の化身、天照で…
歴史知識もあるので解説する
多神教はあっているが混ざると凄いことに…混ぜすぎだ!
記憶喪失だが、日本の神社は懐かしい…不思議な感じだ
では、今年も頑張るかな
記憶も歴史も取り戻す為にね
ラズロル・ロンド
【エジプト勢】に参加
プターハ君の勧めで白着物に金刺繍の羽織に黒袴姿
少し派手すぎくない?
と言いつつ異国の衣装が珍しく楽しい
尻尾を首に巻きお詣りに向かうよ
あけましておめでとう〜
皆着物姿が決まってるね
シャムス君そのお面本当に付けるの?
メルサンク君の着物姿には思わず感嘆を
女の子だ!かわいいのは間違いないっ!
…あの呉服屋、ヤンチャだな
ナディア君はもぅ本当に美しい。
オルカ君の観光案内を聞き東京大神宮へ
へぇ、日本も多神教で親近感を覚えるよ〜
ええっと、こちらの作法は
小銭を箱に入れて鐘を鳴らしニ礼ニ拍手で両手を合わせ
エンネアド信仰を崩す手掛かりが見つかりますようにと
一礼をしておしまい
決意を新たにやる気が出るね!
シャムス・ライラ
【エジプト勢】で東京大神宮で初詣
民族衣装『着物』皆でレンタル
色柄は一般的な物を
諜報員故顔出しは不可という事で
火男面も…
つけますよ、勿論?
目立つ事なくこのミッション、やり遂げて見せる!
背の高いプターハ殿の影に隠れ…なぜ目をそらす?
人目はもふもふ尻尾のラズ殿がひいてくれるでしょう
晴れ着姿が新鮮なメルサンク殿とナディア殿とも合流
エジプトの装束ともまた違った華やかさですね
眼福です
オルカ殿の案内と解説付きで参拝
成程、日本も多神教の国なのですね
それにしても北風が身に染みます
こうスースーするというか
ここは「祈る」場所
気持ちも新たに
出会いに感謝し
歴史の奪還と
これからの皆の無事を祈っておきましょう
アドリブ等歓迎
プターハ・カデューシアス
【エジプト勢】
明けましておめでとうございます
本年もよろしくお願いします
信頼する仲間に挨拶
呉服屋の厚意でお借りした羽織袴でお参り
仲間の晴れ姿に感嘆
ラズロル様はとても馴染んでますね。
シャムス様は…ええ(目を逸らし)
ナディア様、大変艶やかです!
メルサンク様には、この髪飾りも素敵ですよ…と差し出して
(滅多に見られない振り袖姿を飾り立てたい爺心)
指輪の意味は無いです!
通報とかしないで下さいね、逆叉様!?
焦ります
逆叉様の案内で東京大神宮へ初詣
説明を興味深く聞き入り
仲間の所作に合わせ異国の神にお参り
今年こそ。我がエジプトの土地と歴史を取り返すための決意を!
我らを迎え入れてくれた、懐深き日本の神に表明致します
ナディア・ベズヴィルド
【エジプト勢】
長い髪を結いあげて、牡丹の髪飾り
着物は白から黒のグラデーションの生地に白、薄紫の牡丹で彩られていて寒さ対策にショールも用意
フェイスベールは今回外しておきましょう
これが日本の正装…。動きにくいですが…とても綺麗で背筋がピッと伸びます
あけましておめでとうございます、皆さまの着物姿とても素敵ですね
とてもよく似合っております(仲の良い面々を微笑ましく眺めながら)
太古より祈りの場の厳かさはどの時代でも変わらないものですね
ラズさんに倣って、小銭を入れて二礼二拍手を
早く正常な歴史を取り戻せますように…。
●まずは服装から
初詣に着物を着る。
それは江戸時代の頃の、着衣始と言う行事に端を発すると言う。当時は、新年三箇日に新しい着物を着始めるものであったと言う。
閑話休題。
折角だから、着物で初詣に行こう。
という様な事を最初に言い出したのは、誰だったのだろうか。
ともあれ、【エジプト勢】の6人は着物のレンタルをしている呉服屋を訪れた。
「少し派手すぎくない?」
白着物と黒袴。上から金刺繍の羽織を羽織ったラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)が、姿見の前で首を傾げる。
「そんな事ないですよ、ラズロル様。とても馴染んでます」
ラズロルにその組み合わせを勧めたプターハ・カデューシアス(エジプトの龍人・g03560)も、中が白で上を袴が群青の羽織袴姿になっている。
「二人とも、なかなか似合ってるよ」
ラズロルとプターハをそう評した逆叉・オルカ(オルキヌスの語り部・g00294)は、紺色でまとめたシンプルな和服に着替えていた。羽織だけ上から羽織っている。
「そうか。それなら良かった」
内心、初めての異国の衣装に珍しく楽しい気分になっていたラズロルは、長い尾を襟巻の様に首元に巻き付けた。
ここまでは、何も問題はない。
そう。ここまでは。
「……で、ライラのソレは誰に勧められたんだ?」
オルカがシャムス・ライラ(極夜・g04075)に視線を向ける。服装事態は、シャムスも問題ないのだ。黒地に白で麻の葉の割付紋様を入れた、一般的な着物。
だがそこに、何故か火男(ひょっとこ)面を合わせようとしている。
あの、口を尖らせて曲げたような顔の作りのお面である。
「自分で選んだのですが、何か?」
オルカに答えるシャムスは、真顔であった。
「シャムス君、そのお面本当に付けるの?」
「つけますよ、勿論? 諜報員故、顔出しは不可ですから」
まさかと言いたげなラズロルにも当然の様に返し、シャムスはすちゃっと、火男面を装着した。
「この初詣のミッション、目立つ事なくやり遂げて見せましょう。この上、背の高いプターハ殿の陰に隠れれば……プターハ殿、なぜ目を逸らす?」
「シャムス様は……ええ」
何故と言われても、プターハも目を逸らすしか出来ない。
(「どこからツッコめばいいのかなぁ……」)
ツッコミ役になるのは覚悟していたオルカだが、これにはさすがに困っていた。
「うん? なにそのお面」
「お待たせしました」
そこに、着付けに時間がかかっていた女性2人が姿を現した。
「呉服屋のお薦めに従ったんだけど、どうかな?」
メルサンク・トトメス(𓌸𓋴𓋹𓁐𓅝𓄠𓋴・g03837)は、お勧めされたと言う赤地に色とりどりの大きな菊柄と言う振袖姿。
「かわいいのは間違いないっ! しかしこの呉服屋、中々にヤンチャだな」
「こういうの、黒ギャルって言うんだっけ?」
随分派手なお勧めをしたものだと感心するラズロルに、メルサンクはその場でくるりと回ってみせる。これはこれで、本人気に入っているのだろう。
「これが日本の正装……。動きにくいですが……とても綺麗で背筋がピッと伸びます」
一方、ナディア・ベズヴィルド(黄昏のグランデヴィナ・g00246)は、白から黒のグラデーション生地を白と薄紫の牡丹の花柄で彩られた振袖に、ショールを重ねていた。
メルサンクの冒険心のある着付けとは対照的に、伝統的というか、着物らしい着付けに仕上がっている。
「ナディア様、大変艶やかです!」
「うん、ナディア君はもぅ本当に美しい」
プターハとラズロルから、ナディアに向けられる賛辞。
「皆さまの着物姿も、とても素敵ですね。よく似合っております」
ナディアが返して来た賛辞に、うんうんと頷く火男なシャムス。
「2人の晴れ着姿は新鮮ですね。普段のエジプトの装束ともまた違った華やかさで、眼福です」
火男面の口からも、メルサンクとナディアに対するシャムスの賛辞が飛び出してくる。「うん、2人とも素敵だ。ベズヴィルドの素顔も新鮮だし」
「この服装に、フェイスベールは合わないかと思いまして……」
オルカの言葉に頷くナディアの顔は、普段、下半分程を覆っているベールがなく、普段は降ろしている長い髪も後ろで結い上げ、着物の柄に合わせた牡丹の髪飾りが添えられていた。
「メルサンク様。この髪飾りも素敵ですよ……」
それを見たプターハは辺りに視線を巡らせ、拳大より大きな赤い花飾りのついた髪飾りを見つけて、メルサンクに差し出した。
「ありがとう」
鏡の前で、勧められるままに髪飾りを付けて貰うメルサンク。
プターハが髪飾りを勧めたのは、めったに見られないであろうメルサンクの振袖姿をただ飾り立てたいと言う、ただの爺心。他意はない。
「これには指輪みたいに特別な意味が?」
「指輪の意味は無いです!」
しかしメルサンクの思わぬ返しに、プターハは大いに慌てる事になった。
「通報とかしないで下さいね、逆叉様!?」
「いやまあ、通報しようにも治安維持する方だからね?」
焦ってそんな事を口走るプターハに、オルカは苦笑交じりに返していた。
●最近は和装用と言うものもあるそうですよ?
何はともあれ、着付けは終わった。
若干一名、変なのもいるが、華やかな装いになった【エジプト勢】の6人は、呉服屋を出て決めていた神社へ向かい――。
「それにしても北風が身に染みます。こうスースーするというか」
「ああ、わかる。そんな感じだよね」
歩き出して数分もしない内に、シャムスが呟いた言葉にメルサンクが頷いた。
(「……?」)
それに、先頭を歩くオルカがどういう事かと内心、首を傾げていた。
シャムスは確かに、普段の装いからすれば着物の方が隙間は多いかもしれない。しかしメルサンクの場合、普段のエジプトの頃の装いより布面積は増えてそうなのだが。
「……あ」
オルカが思い至ったのは、出身時代の違い故の文化の差。
と言う事はもしかして、ナディアが動きにくいと言っていたのは、帯の締め付けとかそういう問題だけでは無かったりもするのだろうか。
「……」
特に寒そうにも見えないナディアの様子からでは、何とも判断が付かない。
(「いや、これは流石に追及できん……」)
「まあうん、パンツない世界の人だし」
オルカが色々飲み込もうとしたその時、後ろのメルサンクの口からあまりにあけすけな言葉が飛び出して来た。
「あんたらは着ろぉ! 確か200年程度の違いだからぁ!」
下着も――という部分を呑み込んだオルカのツッコミの声が、往来に響き渡った。
●エジプト勢、東京大神宮に集う
なんて一幕がありつつ、到着したのは東京大神宮。
「じゃあ、皆。此処からは道の端を歩こう」
その鳥居の前で、オルカが他の5人に告げる。
案内役と解説役を兼ねて、オルカはここでも先頭を歩いていた。
「鳥居は参道の入口で、参道の真ん中は神の通り道だとされているんだ」
オルカは神を頼る性格ではないが、挨拶くらいはしておこうと訪れたのだ。このくらいの礼儀作法は、通しておくべきだろう。
「成程。確かに、この先は空気が少し違う気が致します」
その言葉に、ナディアが鳥居の先を見て頷いた。
「日本の神社ってのは、大抵、祀られてる神は複数なんだ。ここ東京大神宮もそうなんだけど、その一柱が太陽の化身とされる、天照で……」
「成程、日本も多神教の国なのですね」
「親近感を覚えるよ」
オルカの解説に、シャムスとラズロルが頷く。
「興味深いのですが……シャムス様? 背後に隠れるのはやめて頂きたいのですが」
「……」
プターハのお願いには、無言が答え。
(「人目はもふもふ尻尾のラズ殿がひいてくれるでしょう」)
ラズロルも、知らない内にシャムスの目立たないミッションに巻き込まれていた。
「ここが𓂋𓂝𓇳𓏺𓁛(ラー)を祀る神社……」
「ラーじゃなくて、天照だね」
一方、エジプトの太陽神と混ぜてるメルサンクに、オルカが笑って返す。
「でも天照大神って、政治の都合でインドの神様と習合してたのに、政治の都合で習合を取り止めて、それでも祟られなかったんでしょう?」
しかし、メルサンクから鋭い切り返しが返って来た。
「それはまあ。多神教だからって混ざると凄いことになるからね……」
「𓆣𓂋𓇋𓁛(日の出の神ケプリ)も、ラーの一形態とされてるとかあるしね。だからボクは、スサノオとセトが同じ神でも驚かないよ」
「それは混ぜすぎだ!」
此処に来る前に崇めていた神の名を出しつつ、さらにしれっとエジプトの神と混ぜてくるメルサンクに、オルカがツッコミ返す。
そうこうしている内に、一行は神門を潜って拝殿の前まで来ていた。
「ここだよ。ここで、賽銭入れてお祈りする」
足を止め、オルカが後ろの仲間を振り向く。
「ここが『祈る』場所ですか」
「太古より、祈りの場の厳かさは、どの時代でも変わらないものですね」
「確かに。ただ古いだけの場ではないものを感じますね」
流石に神前とあってか、お面を外したシャムスの言葉に、ナディアとプターハも何かを感じて深く頷いていた。
(「記憶喪失だが、日本の神社は懐かしい……不思議な感じだ」)
3人が感じる厳かさと、オルカが感じた不思議な懐かしさは、同じものであったのか、非なるものであったのか。
「ええっと、こちらの作法は……小銭を箱に入れて、鈴を鳴らし、ニ礼ニ拍手で両手を合わせ、でいいかな?」
「鈴を鳴らすのはあれば、だね。あとは当たってる」
ラズロルの確認に、オルカが頷き返す。
「小銭? 新宿島で発行された電子通貨で払うのは……?」
「払えなくはないでしょう。ですが折角ですから、これをどうぞ」
首を傾げたメルサンクの手に、プターハが小銭を乗せた。多分、また爺心がくすぐられたのだろう。
そして――。
チャリチャリンッと。6人が同時に投げた小銭が賽銭箱に落ちた音が重なって響く。
それからまずは、二度、頭を下げてから、二回手を打ち鳴らし、そのまま両手を併せてもう一礼。
それぞれの願いは、それぞれに胸の中で。
――エジプトを改竄世界史(ディヴィジョン)から取り戻せますように。
メルサンクは世界の奪還を。
――今年も頑張るかな。記憶も歴史も取り戻す為にね。
オルカは世界と、失った記憶に対する誓いを。
――エンネアド信仰を崩す手掛かりが見つかりますように。
ラズロルは狂った信仰を止める為。
――歴史の奪還と、これからの皆の無事を。
シャムスは出会いの感謝と共に。
――今年こそ。我がエジプトの土地と歴史を取り返すための決意を!
プターハは自分達を迎え入れてくれた、懐深き異国の神に感謝と決意を。
――早く正常な歴史を取り戻せますように……。
ナディアも正しい歴史の奪還を。
「いいね、こういうの。決意が新たになって、やる気が出るね!」
「気持ちも新たになりますね」
祈り終えたラズロルの言葉に、シャムスが頷く。
「さて、それじゃあ帰――」
帰ろうと言いかけて、オルカはふと気づいた。
着物だなんだとあって、肝心な事をこの6人で言っていなかったと。
「あけましておめでとう」
「ああ、そう言えば……言いそびれていました。あけましておめでとうございます」
すぐに反応してナディアが深々と礼をすれば、ショールの端がふわりと舞った。
「あ、言ってなかったか。おめでとう」
こくりと頷いたメルサンクの頭で、髪飾りがシャラリと揺れる。
「着物やなんやで、忘れてたね。あけましておめでとう~」
緩めていた狐の尾を再び巻き付け、ラズロルが笑う。
「おめでとうございます」
シャムスは再び、火男の面をつけていた。
「明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします」
そんなシャムスに背後に回られないようにしつつ、プターハが深く頭を下げる。
今度こそ、帰ろう。
そして舞台は、獣神王朝エジプトへ――。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【強運の加護】LV2が発生!
【モブオーラ】LV1が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
【飛翔】がLV2になった!
【傀儡】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】がLV3になった!
【リザレクション】LV1が発生!
【フィニッシュ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!
【反撃アップ】がLV2になった!
メルサンク・トトメス
闇に紛れて棺を持ったリターナーを【追跡】する。
プロフェッサーは空から追跡をサポート。
使える残留効果は何でも使う。
死者の家の中を覗く。行けそうなら侵入。
神殿関係者がすべてクロノヴェーダに置き換わっているのみたいなので、自分がただのエジプトの神官だった頃の手続きと比較して【観察】する。
会話の内容は【風使い】で聞き耳を立てる。
地下にも何かありそうなので、スフィンクスの【偵察】をあてにして忍び込む(【忍び足】)。
何なら押し込むことも視野に入れる(【グラップル】【気絶攻撃】)。
魔眼を駆使してクロノオブジェクトやクロノヴェーダを判別。
ラズロル・ロンド
完全視界で視界良好
葬式から出てくるリターナーを隠れ追うよ
前の家とは違う場所?
中で鉢合わせないよう注意し
僕が目指すは死者の家の地下
嗅ぎ慣れない匂いは…腐臭か、お香か
消臭に調香はミイラ作りの基本だし
地下はミイラの保管庫か…エンネアドの儀式場か…
ミイラ作りは70日かかるらしいし保管所は必要だろう
忍び足で地下に入れたら様子を観察
隠れる場所も目星を付け
ミイラも確認
起きそうかな?
魔術知識、情報収集で見る
気配を察したら体格のいいミイラの影に隠れる
お隣失礼するよ
嘗ては僕もここに並んでたのかなー…なんて思うとゾッとしつつも
今は仕事と頭を振りバレずに逃げ出す算段を考え実行しよう
エンネアドが居たらバレ無いよう即退却
逆叉・オルカ
死者の家、か…興味深いな
家に辿り着くために尾行
モブオーラを使い距離を取りこっそり追う
暗闇で見失わないよう、武器改造や発明で眼鏡やスマホは暗視対応に
防寒着着る
家についたらリターナーの様子に注意
…ここの人たち正気だよね?
家で何をしているか記録した物がないか看破、情報収集
見つけたらスマホに記録&歴史知識で読む
リターナーと鉢合わせそうな場合
物陰に隠れるか傀儡で相手を操るなどして死角を作り移動
臨機応変に対応
できれば地下室も調査
怪しい道具は魔術知識、操作会得で調べる
…蘇った者が敵の命令に逆らえない理由も此処を調べたらわかるかな?
儀式でも行なっている?
死体には動じない勇気
強運の加護も使う
※アドリブ、連携歓迎
●死者の家へ
その日、獣神王朝エジプトのとある村では、来客が途絶えない家があった。
いずれの来客も、手に花や食べ物を携えている。
陽が沈みかける頃には来客も途絶えたが、完全に夜の帳が下りた頃合いになって、最後の来客が現れた。
大きな棺を担いだ、4人組のリターナー達である。
「最後の晩餐は終えましたかな?」
「……どうぞ」
家人に招き入れられ、4人組の姿は棺と共に家の中へと消える。
ややあって、棺と共に出て来た。現れた時よりも重そうに棺を担いでいるのは、その重量が変わったと言う事なのだろう。
「兄をお願い致します。どうか立派なリターナーに……」
「任されよ」
家人に別れを告げ、リターナー4人は棺と共に去っていく。
「ようやくか。すっかり身体が冷えてしまった」
物陰に隠れ潜んでいた逆叉・オルカ(オルキヌスの語り部・g00294)は、夜の砂漠の冷え込みに防寒着を着てきて良かったと思いながら、4人組に気づかれないよう、距離を取って動き出した。
「どこにあるのか、バッチリ見させてもらうよ」
同じく動き出したラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)の目には、夜陰の中で離れていても、4人組の姿が【完全視界】によってはっきりと見えている。
「プロフェッサーに、空からも追わせている」
メルサンク・トトメス(𓌸𓋴𓋹𓁐𓅝𓄠𓋴・g03837)は、スフィンクスの『プロフェッサー』を飛ばして違う視点も得ている。
そうして尾行する事、数十分。4人組は他の建物から離れた村外れにポツンとある建物へ、棺を担いだまま入って行った。
そこが『死者の家』で間違いないだろう。
すぐに中に入りたい所だが、それで4人組と鉢合わせしては元の木阿弥。
3人はしばらく時間を置いてから、建物に入っていく。
「ここが死者の家、か……興味深いな」
死者の家に踏み入ってオルカが最初に感じたのは、嗅ぎなれない香りであった。
「はて。何の香りだろう」
「……幾つかの香料を混ぜたものだろうね。消臭に調香はミイラ作りの基本だし」
首を傾げるオルカに、ラズロルが返す。彼が前に調べた死者の家でも、似たような香りが漂っていた。後の世でキフィと呼ばれるものに近いものか。
入ってすぐの部屋からは、3方向に別室へ続いている。
「向こうか」
特に香りが強く感じる方向へ、メルサンクが進んでいく。オルカもその後に続いて、ラズロルは1人、別のものを探しに向かった。
●ミイラ作り
進むにつれて香りが強くなり、メルサンクとオルカの前にゆらゆらと揺れる灯りが見えて来た。
陰から顔を覗かせると、行灯の様な油を使った灯りに照らされた大きな部屋で、4人組が棺から出した遺体に纏わされていた装束を脱がしていると事だった。
「あれは遺体を洗ってるのかな?」
「ミイラにする前には、洗うもの」
浴槽の様なものに入れて洗い始めるのを見て小声で訊ねるオルカに、メルサンクも小声で返す。
時間をかけて丹念に洗浄された遺体は、手術台の様な石台に横たえられた。そのすぐ隣に、大きな4つの壺が置かれてる。
そして4人組が遺体を囲むと、1人が腹に刃を突き立てた。
ドロリとした血が、石台の上を流れて縁から落ちていく。
(「あれは……クロノ・オブジェクト?」)
屈んで息を顰めるメルサンクの視線は、石台の方に向けられていた。単なる作業台ではなく、何らかの儀式台の様なものであると思われる。大きな力は感じないが、クロノ・オブジェクトの一種であるように見えた。
(「何か作業記録の様なものがあればと思ったけれど……」)
一方、オルカはあちこちに視線を巡らせていた。しかし探すものは見つからず、そうしている内に、4人組の1人が、顔色ひとつ変えずに切り開いた腹の中に手を入れる瞬間を目撃してしまう。
「……ここの人たち正気だよね?」
「……おそらく」
思わず呟いたオルカに、メルサンクは曖昧に頷いた。
メルサンクが唯のエジプトの神官であった頃の知識と比較しても、ミイラ作りで内臓を取り出すのは、おかしい事ではない。それはオルカも分かってはいる。
彼らが何者かに操られている様な様子もない。
そもそも、エンネアド――クロノヴェーダが神として実在しているのを人々が受け入れているこのディヴィジョンで、何を正気とすればいいものか。
そうしている内に、肝臓と思しき臓器が取り出されていた。
未だ血の滴るそれは、何やら儀式めいた複雑な手順を経て、横にある4つの壺の内、ヒトを模した『イムセティ』に納められる。
「……行こう」
そこまで見た所で、メルサンクが腰を上げた。
「あの様子だと、作業は夜明けまでかかる」
「そうだね。地下室も調べておきたいし」
メルサンクの言葉に頷いて、オルカも音を立てないよう踵を返す。最初の部屋に戻ってみると、別行動をとっていたラズロルが、何やら得意顔で待っていた。
●暗闇の中で
「暗いから気を付けて」
先に調べていたラズロルの先導で、3人は地下に降りていく。上の作業部屋よりも広い空間には灯りがなく、真っ暗だった。しかし【完全視界】のお陰で、壁に幾つもの穴があるのが見える。
穴の中には、メルサンクとオルカが見て来た工程を経た後であろうミイラが、幾つも安置されているのも。
「ミイラの保管庫か、エンネアドの儀式場か……と思ってたけど、保管庫みたいだね」
前者の可能性が高いだろうと、ラズロルは予想していた。
ミイラ作りには70日ほどかかると言う。作成途中のミイラが、こうして安置されているのは古代エジプトでは普通の事だ。
「この数は……」
「多くない?」
「うん、予想外」
呻くようなメルサンクとオルカの呟きに、ラズロルも同意を示す。壁の穴は優に100以上あるのがわかる。そのほとんどに、ミイラが安置されているのだ。
(「嘗ては僕もここに並んでたのかなー……」)
そんなゾッとする考えを振り払って、ラズロルは他にも見つけていた事を2人に伝えるべく、小さく息を吸い込んだ。
「でも、もっと驚く事がある。静かにしててみればわかるよ」
ラズロルがそう言うので、2人は息を顰めてみる。すると、壁の方からゴソゴソと微かな物音が聞こえて来るではないか。
「「……!」」
音を頼りに穴の中を確認したメルサンクとオルカが、思わず息を呑む。
ミイラが僅かに動いていた。いや。それをミイラと呼んで良いのだろうか。半身はカラカラに乾いているのに、半身では肌は皮膚が再生しつつあるではないか。
「数週間か数ヶ月かわからないけれど、起きそうだよね。ミイラじゃなく、リターナーとして」
驚く2人に、既に確かめていたラズロルが小声で囁く。
「どうすればこんな……儀式でも行なっている?」
怪しい道具はなさそうだけど、とオルカが首を捻る。
「上でのミイラ作りが、儀式と言えば儀式の様だったけど……」
メルサンクも眉根を寄せる。
ミイラ作りの全ての工程を、確認出来たわけではない。仮に今から作業場に戻って残りの工程を可能な限り確認したとしても、これからの数日か数十日かの間に、この地下で何があるのかは調べ切れない。
全てを知るには、時間が足りない。
「……潮時、かな」
オルカの言葉に、メルサンクとラズロルが黙って頷いた。
死者の家が単なるミイラ作成所兼保管庫ではなく、ミイラがリターナーに変貌する場所であると確かめられただけでも、収穫なのだから。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【照明】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
【操作会得】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!
【能力値アップ】がLV3になった!
冰室・冷桜
さてさて、験担ぎも無事に終えましたし、お仕事の時間といきますか
目立たないようにローブを羽織って、顔とかを隠しつつ【モブオーラ】も使用して巡礼者の人らに紛れましょう
んで、【友達催眠】を使って世間話の体で巡礼者さんらとお話して【情報収集】
田舎からでてきましたぁみたいな感じで作法とか注意しないといけないこととかさりげなく聞きつつ、聞けた話の通りに振る舞いましょう
……ついでにここのオベリスクがちゃんと二つあった時にお祈りしたことありますぅとかって探りも入れておきましょ
無事にお祈りできそうになったら、警備している奴さん等の配置を怪しまれん程度にチラ見して次に備えますか
シャムス・ライラ
仲間と情報共有、連携
事前に【情報収集】
仲間と【パラドクス通信】
紛れ込んだ経験者から知識を教授頂き
祈る者達の様子、服装等を良く観察
溶け込めるよう合わせる
準備が整ったら、田舎者の巡礼者を装い
【友達催眠】【モブオーラ】等も必要に応じ利用して現地人に紛れ込む
あのぉ、ここに並べば良いんでしょうか
信心の心を忘れちゃならんてうちの親が
難しい事はよっくわかりませんけど
人懐こく、かつ自然に
可能なら会話からでも【情報収集】
危険は【未来予測】【強運の加護】で回避
作法等教わる傍ら
世間話でこの辺りでの事件、変化等も聞ければ幸い
目立たぬよう
大人しく恭しく敵の指示にも従い
内部情報を取得
後続の仲間に役立てるよう
アドリブ等歓迎
ナディア・ベズヴィルド
フードを被り、目立つ耳と尻尾は隠しておきましょう
【モブオーラ】でさらに人目につかぬように、極力目立たぬように
周囲に配置されている見張りの人員がいるか確認しつつ、近くにいる巡礼者さんには【友達催眠】を使い世話話でも
中々巡礼叶わず、やっとこの度祈りの場に来ることが叶ったのです。
初めてなものですので、お祈りするにあたって所作など何かありますか?
等、軽く話して。流れでどちらから来たのか、テーベも行った事がないけど貴方はありますか?と何となし探ってみる
もしテーベから来たのなら賑わっているのか。商売をするにはやはりいい場所かついでに聞いてみる(将来的に商売人を装って潜入しやすいとか分かれば動きやすいかと)
●最後尾はこちら
ルクソール神殿の前では、お祈りの順番を待つ巡礼者達が朝も早くから並んでいた。既にかなりの列になっている。
「あのぉ、ここに並べば良いんでしょうか」
その最後尾にいる男の背中に、シャムス・ライラ(極夜・g04075)が声をかけた。
「ああ、そうだよ。君は、この神殿は初めてなのかい?」
「そうなんです。信心の心を忘れちゃならんて、うちの親が。難しい事は、よっくわかりませんけど」
振り向いてくれた男を訝しませたりしないよう、シャムスは田舎者を装いながら相槌を打つ。
「そうかそうか。良い親御さんじゃないか」
感心したように頷いてから、男はシャムスの後ろに視線を向ける。
「君達も初めてなのかい?」
「そうなんですぅ。田舎からでてきましたぁ」
「中々巡礼叶わず、やっとこの度、祈りの場に来ることが叶ったのです」
男の問いかけに、冰室・冷桜(ヒートビート・g00730)とナディア・ベズヴィルド(黄昏のグランデヴィナ・g00246)が、揃って頷いた。
男が3人を同郷と思ったのは、冷桜とナディアがローブやフードを被って似たような恰好をしていたからだろう。
敢えて、そう思われるように仕向けたのだ。
3人がお祈りする人々に混ざるに当たり考えたカバーは、『初めて巡礼に来た、或いは巡礼に不慣れな田舎者』と近しいものであった。ならば全くの他人同士ではなく、同じ所から来たと言う事にしても、不自然ではない筈だ。砂漠を渡るのは楽な事ではない。複数人で巡礼に訪れる者も、少なくないだろうから。
「初めてなものですので、よろしければ色々と教えて頂けないでしょうか」
「構わないよ。順番が来るまで、まだしばらくかかりそうだしね。こう見えて、ワシは2日に一度はお祈りに来ているんだ。何でも聞いてくれ」
さらに【友達催眠】も使っている甲斐もあり、教えを請うナディアの言葉を男は疑う事無く受け入れた。むしろ、お祈りの回数を得意気に言って来る。
「お祈りするにあたって、所作など何かありますか?」
「私も、作法とか注意しないといけない事とか、聞きたいですぅ」
「難しい事は何もないさ」
ナディアと冷桜が重ねた問いに、男は笑って返す。
「神殿の中には入れないから、神殿の前で跪いて深く頭を垂れる。後は神が応えて頂くまで祈り続けるだけだよ」
「神が応える……とは?」
「あれが見えるかい?」
首を傾げるシャムスに、男は指をひとつ立てた腕をルクソール神殿の方に向ける。その指先は、神殿の前に1基だけある、オベリスクを指していた。
「祈りに応えて貰えるとね、神々しく光り輝くんだよ! オベリスクが!」
彼の中では、オベリスクが光ると言う現象は、そういうものになっているようだ。
「そうなんですねぇ。私、ここのオベリスクがちゃんと二つあった時に、お祈りしたことありますぅ」
オベリスクの話が出たので、冷桜は少し探りを入れてみる事にした。
だが――冷桜は言ってから、しまった、と思っていた。巡礼の作法や注意を訊いておきながら、以前にお祈りした事があると言うのは、矛盾している。
「そうか! その時、神は応えてくれたかね
!?!?!?」
しかし男が気にしたのは、冷桜の祈りにオベリスクが輝いたか否かであった。しかも何だか、圧が強くなっている様な。
「え? えぇっとぉ……まだ小さかったので、よく覚えてなくってぇ……」
「そうか! でも大丈夫だ!」
若干しどろもどろになりかけた冷桜の頭に、ローブの上から男の手が置かれる。
「久しぶりのお祈りでも、神はきっと応えてくださる筈だ!」
ワシワシと冷桜の頭を撫でる力も、なんだか強い。
もしかしなくても、この人、かなり敬虔な巡礼者なのではなかろうか。
「初めての私でも、応えて貰えますかね?」
「大丈夫!」
自信なさそうに振る舞うシャムスの肩に、男の両手がガシッと乗せられる。
「神々は寛大だからね。皆と同じ様に3時間ほど祈れば、初めてでも応えて下さるに違いないよ」
やっぱり、すっごい、力説された。
今は早朝。まだすごく暑いと言うほどではない。だが、これから昼に向けて気温は上がっていくだろう。
そんな中、砂漠の神殿の前で、3時間のお祈り。
(「苦行でしかないような……」)
ゆさゆさと男に揺さぶられながら、喉元まで出かかった言葉をシャムスは飲み込む。
(「……うっかり撫でられたり、揺さぶられないようにしましょう」)
男の圧に晒された2人の様子に、ナディアは胸中でそう誓っていた。
ナディアの場合、フードを被っているのは単に目立たない様にと言うだけでなく、目立つ耳と尾を隠す意味もあるのだから。
●近づく距離
順番を待つ間、男との話はお祈り以外の事へ発展していた。
「実は、テーベもまだ行った事がないのです」
「なんだって。そりゃ勿体ない」
「貴方はありますか?」
「勿論だとも。テーベはここから近いからな」
ナディアの言葉に、男は一度目を丸くし、続けて力強く頷いた。
どうやら、ルクソール神殿とテーベの位置関係は、大きく変わっていると言う事はなさそうだが――。
「やはり、賑わっていますか? テーベで商いを出来たらと思っておりまして……」
「そりゃあいいんじゃないか。テーベは繁栄しているからな!」
近い将来、テーベに潜入する日の為に更に探りを入れるナディアに、男は疑う事無く答えてくれる。
「テーベに行っても大丈夫ですか? この辺りで、事件があったりは……」
「事件?」
続けてシャムスが発した問いに、男が意外そうな顔になった。
「事件など起こる筈がないだろう。このエジプトは神々が御座すのだから!」
彼はどこまでも、神を信じていた。
それは、他の巡礼者でも同じであろう。こうして神殿に祈りに参じている人々は、このエジプトに神がいるという事を受け入れている人々が大半の筈だ。
「……」
それもあって、ナディアは彼の言葉を、額面通りに受け取れずにいた。こちらを騙そうとしている様な素振りはないが、さりとて、それで言葉の全てが真実であると言う事にはならない。
――正しい情報を知らないのだから、判別のしようがない。
言葉の中にある情報の真偽を見極める術があれば良いのだが、そうでなければ、一般人との会話の中で確かで有益な情報を得るのは難しかった。
「多いね……奴さんも、巡礼者も」
そこに、シャムスとナディアにだけ聞こえる様に、冷桜が小声で囁く。敬虔な巡礼者である彼と話をしていたお陰か、怪しまれる事なく、ルクソール神殿に近づけていた。
怪しまれない様に視線を巡らせれば、白い豹頭のエンネアドがオベリスクの周りを固めているのが見えた。更にその周りには、祈り続ける多くの巡礼者の姿も。
「3時間でしたか。彼らはまだしばらく祈り続けるでしょうね」
「どうしたものかなぁ……」
ナディアの言葉に、冷桜は内心頭を抱えたくなっていた。
祈りを捧げる彼らを、クロノヴェーダが意図して殺す事はないだろうが、戦闘に巻き込まない配慮はすべきか。
「取り敢えず、他の皆に状況を伝えておきますね」
これ以上近づいて、警備の敵に気づかれる前に。シャムスの手の中に、パラドクス通信の通信機が現れた。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【通信障害】がLV2になった!
【未来予測】LV1が発生!
【使い魔使役】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV4になった!
【ダメージアップ】がLV3になった!
【能力値アップ】がLV4になった!
ラズロル・ロンド
モブオーラで列から離れ
距離を置いたオベリスク正面に立ちモブオーラ解除
目立つよう朗々と口上を述べる
「我は信仰を喰い物に卑しくも居座る偽神に仇なす者!オベリスクはぶっ壊す!」
早々にネメシス化で演出はバッチリだろ?
食い縛った口から青い炎が漏れ出すと頭脚腕が狐半獣人化
風使いで自分を中心にただの風を送り巡礼者へ危機感を煽り逃げる暇を
パラドクスの砂の海嘯でオベリスク周りの雪豹を押し流し信徒の居ない場所に一塊にする
破壊者に攻撃を仕掛そうな奴から楔で足止めを
破壊が始まるまでは敵を引き付け攻撃し数減らしに専念
多少の怪我は厭わず
破壊の舞台が整うよう尽力
プターハ君とナディア君にディフェンスを
息のあった連携で敵を屠る
プターハ・カデューシアス
【パラドクス通信】で破壊の仲間とも連携し
破壊とトループス戦、同時進行で進めましょう。
私達は雌豹の相手を
挑発的な女性は嫌いではありませんが、敵となれば別。退場願います!
破壊に赴く仲間に手出しはさせません。
ラズロル様、派手に登場なさったようですし
勢いで悪役を買って出ますか
「我々を邪魔するモノは偽神の仲間と見なす。死にたくなければ、
立ち去れ!」
と警告
巡礼者に避難を促します
居残るなら彼らの足下に向かって技を
敵はオベリスクを背にさせるよう注意を引いた上で
群れめがけて凍結弾を撃ち込みましょう
破壊の邪魔をしに行く者を優先し攻撃
ラズロル様、ナディア様と息の合った連携を心がけ
二人へのPOW技にはディフェンスを
ナディア・ベズヴィルド
オベリスク破壊の邪魔はさせません
あらあら…皆さま口上がお上手ですね、追従すべきかしら
「われらの邪魔をしようものなら容赦はしない。偽神を奉ずる者は老若男女問わず ――殺す」
巡礼者たちに【殺気】を向けて言葉を放とう
貴女たち(雪豹)も尻尾を巻いて逃げてもいいのですよ?
く、ふふ…なんて、あり得ないわね(思い切り挑発をして注意をこちらに向ける)
さあ、殺戮の舞台の幕開け。最期まで踊っていられるのは誰でしょう
敵に囲まれぬように戦況を見ながら
仲間とうまく連携を取りながら『砂礫の終止符』で一体一体確実に仕留めて数を減らしていくように動くよう立ち回ろう
仲間へのWIZ技にはディフェンス
●Side:雪豹神群――三人の狩人
(「……そろそろ、ね」)
お祈りの順を待つ巡礼者の中で、ナディア・ベズヴィルド(黄昏のグランデヴィナ・g00246)は胸中で呟いていた。
視線の先には、巡礼者達を改めている雪豹神群が見える。このまま待っていれば、遠からず気づかれるだろう。
「おい、あんた。どこへ行くんだ!」
その時、列の後ろの方から咎めるような声が響いた。
ナディアが振り向けば、ラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)が列を離れて歩き出している。
その腕が、脚が。長い尾と同じ体毛に覆われていた。
「お、おい。あれ見ろよ……」
「あれは一体……」
モブオーラを解除した上に、奇異なる行動と奇異なる変化。
気づいた巡礼者達の視線と声を無視して、ラズロルは砂の上で足を止める。
「我は信仰を喰い物に卑しくも居座る偽神に仇なす者!」
ネメシス化による半獣人化で頭部も狐獣人と化したラズロルは、口から青い炎を漏らして気勢を上げた。
「オベリスクはぶっ壊す!」
正面に見据えるオベリスクを指差して、ラズロルは声を響かせる。同時に自分を中心に風を起こし、周囲の巡礼者達の危機感を煽ろうとする。
その隣に、空から誰かが降って来た。
「我々を邪魔するモノは偽神の仲間と見なす。死にたくなければ、立ち去れ!」
腰の翼を広げて降り立ったプターハ・カデューシアス(エジプトの龍人・g03560)は、精一杯悪そうな顔を巡礼者達に向けて言い放つ。
「派手だねぇ」
「ラズロル様が派手に登場なさったので、勢いに乗ったまでです」
風に消える程度の小声で告げるラズロルに、プターハも囁き声で返す。
「あらあら……皆さま口上がお上手ですね」
2人の様子に、ナディアはベールの下で小さな笑みを浮かべる。
「偽神……?」
「何を言っているんだ?」
けれども、ナディアに聞こえる巡礼者達の反応は芳しくなかった。彼らの中では、このエジプトでは神は実在するものなのだ。ましてや、此処に実物がいるのだ。
本物だと信じている存在が見える場で、それを偽物と言うだけでは――。
「……追従すべきかしら」
「鎖出すから、適当に利用して」
思案するナディアの背に、冷桜の声が届く。その意を察したナディアは、軽く手を振って返し、列から離れていった。
「やめた方がいい。関わり合いにならん方が……」
しかしそこに、止める声がかかる。
まだナディアを巡礼者だと信じているから、止めようとしたのだろう。そんな彼の――いや、周囲の巡礼者全ての頭上に、幾つもの鎖が忽然と現れた。
他のディアボロスが発動した【罪縛りの鎖】が、巡礼者達に巻き付いていく。
「あら大変。それは偽神を奉ずるものへの、神の怒りね」
ラズロルとプターハの近くで足を止め、ナディアは巡礼者達に振り向き告げる。
「われらの邪魔をしようものなら容赦はしない。偽神を奉ずる者は老若男女問わず――殺す」
言葉だけで危機感を煽れないのならば、現象を。さらに殺意を込めたナディアの言葉に、巡礼者達もシンと静まり返る。
「そこまでよ!」
「偽神などと、宣ってくれたものね」
けれどもその静寂は、雪豹神群によって破られるのであった。
●砂漠の墓標
「貴女たちも尻尾を巻いて逃げてもいいのですよ?」
「貴様……!」
挑発的なナディアの言葉に、雪豹神群達の尾が、ぶわっと膨らむ。
「く、ふふ……なんて、あり得ないわね」
その怒りを見てなお、ナディアは挑発的な言葉を重ねた。
注意を向けるという意味もあるが、こう見えてナディアは争いを好む面もある。その気質が顔を出しているのかもしれない。
「さあ、殺戮の舞台の幕開け。最期まで踊っていられるのは誰でしょう?」
「貴様、どこまでも……」
「ならば、最初に倒してやるわ」
ナディアの言葉に牙を剥き爪を露わに、雪豹神群が砂を蹴る。
その瞬間、ラズロルが足元の砂に手をついていた。
「ゆけ砂の海嘯 我が意のままに」
直後、雪豹神群の背後で砂がうねって暴れ出す。
「何ッ!?」
驚く雪豹神群の4体を、海嘯の如く押し寄せた砂が飲み込み、神殿と巡礼者から遠ざかる方へ押し流していく。
「破壊組の皆様、どうぞ!」
プターハが通信機に向けて告げれば、ドンッとオベリスクの方から衝撃音が響いた。
「他に仲間が!?」
「謀るとは……よくも!」
攻撃を受けオベリスクが輝き出すのを見て、踵を返そうとする雪豹神群。けれどラズロルが砂を操りうねらせた事で生まれた陥没が、足を止めさせる。
「――砂塵の楔 貫き縫い留めその身を晒せ」
その僅かな逡巡で、ラズロルは詠唱の続きを唱え終えていた。
――砂塵海嘯の楔。
ラズロルのその術は、砂を海嘯が如く操るだけで終わりではない。舞い上げられた砂は、空中で再び集いて楔と変わる。
「ぐぁっ!?」
「これは……砂っ!?」
降り注ぐ砂が矢の様に雪豹神群の手足を貫き、砂漠に縫い留める。
「半狐風情め……!」
「おや。半獣はそちらもでしょうに。自分達を棚に上げて、言いますな、雌豹」
牙と怒りを剥き出しにする雪豹神群に、プターハも注意を引こうと、嘲るような笑みを浮かべて告げる。
「まあ、挑発的な女性は嫌いではありませんが、敵となれば別――」
プターハが言いかけたそこに、再びドンッとオベリスクの方で響く衝撃音。
「貴様の相手をしている暇など――」
「いいえ、して貰いますよ。仲間に手出しはさせません」
オベリスクの方に向かおうとする雪豹神群に向けて、プターハはカデューシアスを向ける。家伝の杖を模して作ったそれには、新たな機能が増えていた。
「貴様! その杖に何をしたの!」
その1つが、雪豹神群も驚いた凍結弾精製装置。
プターハは答えの代わりに、フリージングミサイルを放った。着弾と同時に、砂が凍る。
封じられていた冷気が一気に広がって、氷に雪豹神群が飲み込まれていく。
「そ、そんな……」
「私達が……凍るなど……」
手足に纏わせた氷を武器とする雪豹神群は、氷に対する耐性を持つのだろう。けれどもプターハが放った冷気は、その耐性を上回っていた。それだけの事だ。
「ならばこいつらを先に殺――」
「もがれた手足よ我が前に 流れた血潮よ我が前に」
ナディアが詞を唱え、風の力を封じた宝珠を掲げる。
ザァッ!
砂が勢い良く舞い上がって渦を巻き、極々小さな砂嵐となる。雪豹神群の1人が、その中に囚われた。
砂礫の終止符――サンドストーム。
「歌うように空を裂き 奏でるように地を揺らす 砂礫は刃となり骸に刻まん!」
ナディアが唱え終わると、砂嵐はその激しさを増した。
渦巻く嵐と砂礫が、雪豹の皮膚を裂き、肉を削り取っていく。
――ぎっ……ぁぁぁぁぁ!
雪豹神群が上げた苦悶の呻きは、風の音に遮られ外に届かない。その内に砂が血を浴びて、嵐が朱く色づく。その鮮やかな色が、激しさを物語る。
そして砂嵐が収まった後には、雪豹神群だったものの骨だけが遺されていた。
「まず1匹。さあ、次は――誰?」
「……」
怪しく微笑むナディアに、雪豹神群は答えられない。向けられたしなやかな指先が、刃に思えていた。
「まさか、臆したとは言わないわよね?」
「ガッァァァァッ!」
ナディアの挑発に獣じみた咆哮を上げ、雪豹神群の1人が砂を蹴る。
「メッキが剥がれたね」
「所詮、偽神ですな」
この場の勝利をほぼ確信し、ラズロルとプターハは砂の海嘯と凍結弾を同時に放った。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【完全視界】がLV2になった!
【冷気の支配者】LV1が発生!
【土壌改良】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV5になった!
【ロストエナジー】LV2が発生!
冰室・冷桜
さーて、お仕事本番といきますか
ゆーて、ドンパチは勘弁ですからね
こっそり、こっそりと
アタシ自身は巡礼者の人らに紛れつつ、だいふくを【召喚】
あんだけ熱心なら余程のことがなきゃばれんでしょ、多分
んでもって、人に紛れさせてだいふくを大回りでオベリスクを攻撃そうな位置まで移動するよう指示を出して
お仲間さんらの攻撃やらなんやらで気が逸れた瞬間を狙って一撃どかんとぶちかまさせましょう
巡礼者の人らは巻き込まんように気をつけつつ、いざってー時は【罪縛りの鎖】で無理矢理にでも動かしてフォローしましょうか
●Side:オベリスク――鎖が縛るは誰が罪か
(「ドンパチは勘弁ですからね。アタシはこっそりと、やらせて貰いますよ」)
巡礼者の列に紛れたまま、冰室・冷桜(ヒートビート・g00730)はローブの陰にこっそりと、メーラーデーモンのだいふくを喚び出した。
「だいふく。ゆっくり大回りでいいわ。敵に見つからないようにオベリスクに近づいて、どかんと一撃ぶちかましてきなさい」
冷桜の指示にコクリと頷いて、だいふくはトテトテと巡礼者の列から離れて行く。
(「あんだけ熱心なんだ。余程のことがなきゃばれんでしょ……多分」)
だいふくを見送る冷桜の耳に、何やらざわめきが聞こえて来た。
「我は信仰を喰い物に卑しくも居座る偽神に仇なす者!」
「我々を邪魔するモノは偽神の仲間と見なす。死にたくなければ、立ち去れ!」
見れば他のディアボロス達が、オベリスクを正面に見据えて、張り上げた声を響かせている。雪豹神群の注意を引きつつ、巡礼者達も脅しているようだ。
「偽神だって?」
「神々が偽物だと言うのか」
「何を言っているんだ……?」
けれども、冷桜に聞こえて来る声は、『偽神』という言葉を疑うようなものばかりであった。
(「これは……鎖で無理矢理にでも黙らせましょうか」)
その様子に、冷桜は胸中で呟く。
けれどその為には、だいふくの一撃が必要だ。
(「だいふくセット! ゴー!」)
冷桜の思念を受けて、だいふくはまだ少しあった距離を一気に詰め、電波を帯びた槍をオベリスクに飛び掛かる。
「……?」
「今のは?」
だいふくの一撃は、雪豹神群の虚を突いて、オベリスクに届いていた。
オベリスクはびくともしていないが――これで残留効果が使える。
「……追従すべきかしら」
「鎖出すから、適当に利用して」
思案している様子のナディアに短く告げれば、手で了解と返って来る。列から離れていくのを見送りながら、冷桜は【罪縛りの鎖】を発動した。
ゆらゆらと蠢く多数の鎖が、巡礼者達の頭上に現れる。
(「絡みつけ」)
冷桜の意を受けて、鎖は生き物の様に自ら動いて、巡礼者達の身体に絡みついていく。
「これって……神の祟りとかそう言うの?」
ダメ押しで呟いた一言は、外から浴びせられた殺気混じりの言葉と相まって、巡礼者達に強い動揺を与えていた。
成功🔵🔵🔴
効果1【罪縛りの鎖】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV3になった!
メルサンク・トトメス
【パラドクス通信】で連絡を取り合い、タイミングを合わせて破壊活動に入るね
他のディアボロスが注意を引いてくれている間にオベリスクを破壊する
オベリスクを破壊する機会はそうそう作れないから、ボクは防御を捨てて全力を尽くす
プロフェッサー(スフィンクス)、守り(【時間稼ぎ】)は任せたよ
【構造物分解】を乗せてもなお壊れぬオベリスクの破壊に、セトの加護を願う
唸れ、𓋞𓎃オベリスクブレイカー
そして他のディアボロスさんたちとタイミングを合わせて攻撃する
迂闊に近づいてくるクロノヴェーダがいたら巻き込むよ
暴風と暴力の中に飛び込んでくる方が悪いよね
時間が許す限り、何度でも叩く(【破壊】)からね!
アドリブ、連携可
リオーネ・クア
※アドリブ、連携歓迎
【パラドクス通信】で連絡が入ったらオベリスクに向かう
『魔骸連刃』を使ってオベリスクを全力で攻撃するよ
以前喰らった黒色のアークデーモンに腕と脚を変異させてそこに刃を生やす
そして全身を使ってひたすらオベリスクに斬りかかる
共にオベリスクを攻撃する人達の動きを見て連携も効果的だって気付く
他の人が攻撃したところへ追撃したり、連続攻撃したり、大技を撃つ人のためにオベリスクから一時的に離れたり工夫しようかな
敵に攻撃されたって気にするものか
攻撃されるかもしれないと考えたら怖いけどそもそも心配はしてないよ
仲間達が妨害者の足止めはしてくれるって信じてるから
グレン・ゲンジ
※アドリブや連携は歓迎だぜ
仲間とパラドクス通信で合流、連携して壊しにかかるぜ
俺は潜入とかできねーし、細かい事はよくわからねー!だがようやく出番だって事だけはわかったぜ!
破壊と粉砕なら俺に任せろ!大金棒に怒りと念動力を込めて、全力でぶっ叩きまくってやるぜ!
氷で殴られようと氷漬けにされようと、仲間が戦ってる限り攻撃をやめるつもりはねえ!全ては力づくで解決してやるぜ!
足止めしてくれる仲間も、一緒に破壊してくれる仲間もいるんだ。俺はもう、一人で逃げはしないぜ!
●Side:オベリスク――敵に背を向けてでも
『破壊組の皆様、どうぞ!』
「了解。時間が許す限り、叩いてくるからね!」
パラドクス通信で届いたプターハの声に返して、メルサンク・トトメス(𓌸𓋴𓋹𓁐𓅝𓄠𓋴・g03837)は砂を蹴って飛び出した。
「ようやく出番だって事だな!」
ほぼ同時に、グレン・ゲンジ(狂刃のスレイヤー・g01052)も待ってましたと勢い良く立ち上がる。
「俺も手を貸すよ」
オベリスクへ駆けるグレンの後ろには、リオーネ・クア(ひつじの悪魔・g01176)が続いていた。
雪豹神群の大半が注意を逸らされ、距離も離れている。巡礼者達も、多くが鎖に絡みつかれている。3人は誰に止められる事無く、あっさりとオベリスクの前まで到達した。
攻撃の口火を切ったのは、グレンだ。
「俺は細かい事はよくわからねー! だが破壊と粉砕なら任せろ!」
赤い目を爛々と輝かせ、グレンは大金棒を振りかぶる。
トゲトゲしい、痛そうな金棒。鬼も竜も機械も、敵を打ち砕く為の得物にグレンが乗せるは、その胸に燻り続ける怒りと、魂の衝動を変えた念動力。
「ぶっ壊れろ!」
吠える様に言い放ち、グレンは大金棒をオベリスクに叩きつけた。
ドンッと大きな音が響いて、衝撃で空気が震える。
けれど――それだけだった。
グレンが使ったのは、デストロイスマッシュ。そこに込められた念動力は、並の建物なら打ち砕いている筈なのに。
クロノ・オブジェクトであるオベリスクは、びくともしていない。
「……マジか」
「構造物分解を乗せても、なお壊れないんだよね」
流石に驚くグレンの後ろで、以前にもオベリスクを攻撃した事のあるメルサンクが溜息交じりに呟く。いつになったら、この巨大石碑は壊れるのか。
「なら、重ねる――魔骸連刃」
2人の後ろで、リオーネの腕と脚が黒く変異し始めていた。それは、リオーネが以前喰らった、黒いアークデーモンの四肢。
変異した腕と脚から禍々しくも鋭利な刃を生やし、リオーネはオベリスクに砂を蹴って飛び掛かった。
「!」
ヒュッと言う刃が風を切る音が、幾重にも重なって響く。
変異していない全身も使って、リオーネが重ねて叩き込んだ悪魔の刃の四連撃。
しかしそれも――。
「届いた……僅かだけど」
リオーネが最後に振るった右腕の刃。その先にあるオベリスクの壁面に、小さな亀裂が生まれていた。
そこは最初に、グレンが一撃を叩き込んだ所にも近い。
「𓊪𓍯𓏲𓄇𓏺𓎡𓊃𓃀𓏏𓃀𓎡𓌪𓂧𓅓𓎼𓂝𓊪𓀠𓎛𓄡𓇋𓀜𓈖𓂧𓃬𓄇𓎼𓂋𓊪𓃬𓀜」
それを見たメルサンクが、朗々と謳うように声を響かせた。
それは何とも形容しがたい音の響き。その声は、言葉は、加護を願うもの。
砂嵐、暴風、破壊、神殺しの神―― 𓇓𓏲𓏏𓄡𓃩𓀭(セト)。
果たして、本当に神が応えてくれたのか。
メルサンクの掌中に、砂を孕んだ風が集いて渦を巻く。
「唸れ、𓋞𓎃オベリスクブレイカー」
あらゆる障害を突き破る為の、暴風と破壊の力を握った拳に纏わせて。メルサンクは小さな亀裂の上から、更に一撃、思いきり叩き込んだ。
ドンッと響いた音の後に、ピシッと小さな音が鳴る。極々小さかった亀裂が、オベリスクの上へ走って幾らか伸びていた。
一撃目は、無傷に見えた。
二撃目は、小さな亀裂を刻んだ。
三撃目で、亀裂がその大きさを増した。
ダメージが通っていないわけではなく、重ねれば効果も出ている。
「連続攻撃は、多少なり効果があるのかな」
「場所とタイミングを合わせて、攻撃すると良いかも」
「つまり、交互に全力でぶっ叩きまくってやればいいって事だな! やってやるぜ!」
リオーネとメルサンクが頷き合い、一拍遅れて、グレンも頷く。
だが――。
「そこまでにして頂きましょうか!」
3人が二度目の攻撃を加えようと身構えた所に、怒りの籠った声が背後に聞こえた。
「っ! プロフェッサー!」
「ゴッドフィスト!」
メルサンクが守りを任せていたスフィンクスのプロフェッサーが、白い毛に覆われた両拳の振り下ろしの一撃によって、砂の上に叩き落とされる。
「っっっ!」
魂を直接殴られたような衝撃に、メルサンクが思わず膝をついていた。
「「シャァッ」」
間髪入れずに振り下ろされた氷の爪が、リオーネとグレンの背に深い傷を付ける。
「この知識の神ヘジュ・ウルを出し抜けると思いましたかな?」
現れたのは白猿――或いは狒々か――のエンネアド、『ヘジュ・ウル』だ。更にどこから連れて来たのか、2体の雪豹神群をも従えている。
「これ以上、オベリスクをやらせは――む?」
やらせはしない。
そう続けようとしたヘジュ・ウルの言葉が、途切れた。
「攻撃されたって気にするものか」
「氷で殴られようと氷漬けにされようと、攻撃をやめるつもりはねえ! 俺はもう、一人で逃げはしないぜ!」
リオーネもグレンも取り合わず、それどころかヘジュ・ウルに傷ついた背を向けて、オベリスクに向き直って見せたのだ。
「近づいて来るなら……暴風と暴力の中に巻き込んでやるからね」
立ち上がったメルサンクも、やはりヘジュ・ウルに背を向ける。
「無駄な事を。そこまでしたとて、たった3人でオベリスクを壊せるものですか。このヘジュ・ウルに背を向けた事を、後悔させてあげましょう! やれ!」
ヘジュ・ウルが拳を固め、雪豹神群が腕に氷を纏わせる。
だが――ヘジュ・ウルがどこからか雪豹神群を連れて来た様に、ディアボロス達も、これで全員ではない。
「お手伝いしに来ました!!」
元気の良い声と共に、空から3人、新たなディアボロスが降って来た。
「なんですと!?」
予期せぬ3人の登場に、ヘジュ・ウルも、雪豹神群も驚いていた。驚いてる間に、3体まとめて吹っ飛ばされていた。
「うん。来てくれるって、信じていたよ」
「こちらはお任せを。しっかり食い止めて見せますので」
「ああ、アヴァタール級の牽制は任せてくれ」
リオーネの声に2人――永遠と悠が応えて、吹っ飛ばした敵の方へ向かっていく。
「さて。それじゃあ、続きと行こうか」
「やろう。オベリスクを破壊する機会はそうそう作れないから」
「全ては力づくで解決してやるぜ!」
邪魔する者がいなくなった3人は、改めてオベリスクに向き直り――再び連続で、攻撃を重ねていった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【建造物分解】LV2が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!
【ドレイン】LV1が発生!
有栖川宮・永久
オベリスク依頼も縁が深くなったし、お手伝いしに来ました!!邪魔者はとっとと蹴散らそう!!あ、皆カッコいいセリフ言ってる!!私も言ってみよう!!「調子に乗るのもここまでだよ!!終わりにしようか!!」
後方から追撃する形になると思うので、【飛翔】で敵軍の方へ。敵の攻撃が届かない範囲で【風使い】【吹き飛ばし】で敵の群れを引っ掻き回す。接近出来る隙を見つけたら上から奇襲して【残像】【ダンス】でひらひら飛び回って【攪乱】しながら疾風の一閃で攻撃。更に【ジャンプ】【ダッシュ】【グラップル】で必殺のジャンプキックで飛び込んで更に攪乱だ!!
皆が頑張ってるんだから、私も全力を尽くさなきゃ!!この一戦、頂くよ!!
●Side:雪豹神群――燦爛なる必殺
「くぅっ!」
「おのれ……!」
空からの急襲に吹っ飛ばされた雪豹神群が、分厚い氷を纏わせた両腕を砂に突き立てて体勢を立て直す。
「あ、頑張られちゃうか。じゃあ、邪魔者は、とっとと蹴散らそう!」
「それはこちらの台詞ね!」
「人間風情が……!」
それを見てふわりと舞い降りた有栖川宮・永久(燦爛のアンフィニ・g01120)に、獣の敵意が向けられる。
「……」
永久はそれを、無言で受け流していた。
いよいよ真剣になった――と、雪豹神群も思っただろう。
実は、違う。
(「そう言えば、皆カッコいいセリフ言ってたね。私も言ってみよう!!」)
パラドクス通信で聞こえていたやり取りを思い出して、カッコいいセリフ、を考えていただけだったりする。
そしてそれは、すぐに永久の脳裏に閃いた。
「「フシャーッ!」」
「調子に乗るのもここまでだよ!! 終わりにしようか!!」
猫の威嚇のような声を上げて飛びかかって来た雪豹神群達を、大きく後ろに跳び退って避けると同時に、永久は高らかに言い放つ。
「この、小娘……!」
「調子に乗っているのはどちらよ!」
「あれ?」
カッコよく決めたつもりだったのに。雪豹神群達が尻尾をぶわっと膨らませて激怒する様子に、永久は不思議そうに目を瞬かせる。
「まあいいや。皆も頑張ってるんだから、私も全力を尽くさなきゃ!!」
あっさりと意識を切り替えて、永久は『燦爛の剣』と『風霊の剣』を手に身構えた。
「行くよ!! とりあえず必殺の一撃!!」
疾風の一閃。
踏み込んで、突っ込んで、二刀で斬る。言葉にしてしまえばたったそれだけの、単純でそれ故に疾い一撃。
「なっ!?」
「ぐぁっ」
防御も考えずに突っ込んでそうな危なっかしさもあったが、その楽天的な思い切りの良さが功を奏して、永久の斬撃は雪豹神群を吹っ飛ばしていた。
「――からの、必殺のジャンプキック!!」
空中に打ち上げられた雪豹神群は、跳躍した永久の蹴りをまともにくらい、成す術なく砂地に蹴り落とされる。
そして、そのままピクリとも動かなかった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【強運の加護】がLV3になった!
効果2【アヴォイド】がLV4になった!
有栖川宮・永遠
幼なじみで従者の悠(g02300)と参加
ルクソール関連も家族総出で取り組んできたのでお手伝いしに参りました。本懐、遂げたいしですね。先陣はお任せを。しっかり食い止めて見せますので。
作戦立てて攻撃は敵だけの技だと思わないことです。【観察】【情報収集】【未来予測】で敵の動きと立ち位置を把握、【高速詠唱】で【結界術】を展開、【連続魔法】で雷霆の一撃で攻撃。更に【風使い】【吹き飛ばし】で敵の体勢崩しを狙います。
私と悠の役目は後続の皆様の為の牽制ですので、敵の決定的な隙を【看破】したら、後続の戦友の皆様に【パラドクス通信】で連絡。
この程度の攻勢とは思わない事です。皆さまの力あれば、貴方の最後は間近です。
近衛・悠
幼なじみで主人である永遠(g00976)と参加
気づいてみたら俺達家族もルクソールには縁が深くなったな。思い入れもあるし、一生懸命取り組んできた人達も良く知ってる。努力が報われるように手伝うか。ああ、アヴァタール級の牽制は任せてくれ。
後衛の永遠の攻撃が通るように敢えて正面から行く。【未来予測】【残像】で敵の攻撃を凌ぎ、陽炎の進撃で攻撃。追撃で【毒使い】【呪詛】【気絶攻撃】を併せた【斬撃】で少しでも敵の動きを制限しとくか。永遠と俺の役目は後続の為に戦況を整えておくことだからな。
俺達の攻撃は始まりに過ぎないぜ?戦友達の意志は強いからな。お前の命も残りわずかだ。せいぜい覚悟しておくんだな。
●Side:ヘジュ・ウル――主と従者と言う家族
――調子に乗るのもここまでだよ!! 終わりにしようか!!
――この、小娘……!
――調子に乗っているのはどちらよ!
離れた所から響いて来る、敵の火に油を注いでそうな妹の声に、有栖川宮・永遠(玲瓏のエテルネル・g00976)は、出そうになった溜息を呑み込んだ。
「お仲間が心配ですか?」
そんな永遠の様子を不安の表れと見たのだろう。ヘジュ・ウルが、煽るような言葉を吐いてくる。
「動揺させる気か? 永久なら大丈夫だ」
「ええ。負ける心配はしていません」
近衛・悠(黄昏のフィラメント・g02300)は、その意図をあっさり見透かしていた。永遠も、その程度で揺るぎはしない。
「仕方がない。では、君達を倒して、オベリスクを守りに行くとしましょう」
「オベリスクの元には、戻らせないさ」
ヘジュ・ウルに挑発的に告げて、悠は背中の翼を広げて飛び出した。
一方、永遠はその場を動かず結界を広げ詠唱を開始する。
「書物よ!」
それを見たヘジュ・ウルは、腰に吊るしていた書物――巻物を手に取って広げた。ヘジュ・ウルがそこに魔力を注ぐと、書物はピシッとした状態で固定される。
「真っすぐ突っ込んで来るとは愚かな。我が書物の餌食としてやりましょう!」
そして、まるで剣の様に書物を掲げて、振り下ろした。
「無策に突っ込んじゃいない。まあ、こういう芸当も出来る訳さ」
――陽炎の進撃。
自身の身体に秘められた陰の魔力を、悠は己の身体と周囲に巡らせる。
そして刃となったヘジュ・ウル書物が届く直前、悠の姿がぐにゃりと揺らいだ。
「むぅ?」
突如、まるで砂漠に浮かぶ蜃気楼の様に揺らいだ悠の姿に驚きながら、ヘジュ・ウルはそのまま書物を振り下ろす。
しかしその一撃は空を切り、逆に踏み込んだ悠の拳はヘジュ・ウルを捉えていた。
「なんですとっ!」
驚くヘジュ・ウルの前から、悠が横に飛び退く。
その後ろでは、永遠が指に挟んだ符を構えていた。
「出でよ雷霆!! 敵を滅せ!!」
立て続けに閃く雷光。
雷霆の一撃――の連続魔法。
進む道を邪魔する者は許さない――と言う永遠の意志を乗せて真横に迸った激しい雷の連撃が、ヘジュ・ウルを吹き飛ばす。
「ぐうっ……1人で突っ込んできたのは、詠唱の時間を稼ぐ為でしたか」
「それが判った所で、1人でどうする気だ?」
雷撃をまともに浴びて砂に膝をついたヘジュ・ウルに、悠が告げる。その姿は、まだ陰の魔力で陽炎と揺らいでいた。
「ふっ……この知識の神ヘジュ・ウルを見くびらないで頂きたいものですな。貴様のその揺らぎの攻略方法は、既に閃いていますとも!」
「やれるものなら、やってみな」
何故か自信に満ちているヘジュ・ウルに向かって、悠が再び向かっていく。
両者の距離が、再び近くなり――。
「揺らいでいるだけで、そこにいるのなら! こうすれば良いのです!」
そしてヘジュ・ウルは、魔力で刃と変えたままの書物を、今度は無茶苦茶に振り回し始めた。動きを見切れないなら、無差別に攻撃するまで、と言う事か。
「っと」
拳を突き出しかけていた悠が、咄嗟に足を止めて距離を取る。
その腕に、浅い切り傷が付いていた。あのまま距離を詰めていれば、今度は恐らく相打ちになっていた。
だが――。
「出でよ雷霆!!」
「うがぁっ!?」
再び迸った雷撃が、容赦なくヘジュ・ウルを撃つ。
永遠の詠唱の時間を稼ぐという悠の目的は、達成できているのだ。
「……こいつ、知識の神を自称する割りに脳筋気味じゃないか?」
「攻撃は強力ですが性格的に絡め手が有効と思われる――とでも、通信しておきましょう」
ちょっぴり焦げて膝をついているヘジュ・ウルを見やり悠が零した呟きに、永遠が通信機を片手に頷き合う。
「ふ、ふふふ……今度こそ閃きましたよ!」
などと言いながら、ヘジュ・ウルが勢い良く立ち上がった。
「たった2人でこのヘジュ・ウルに勝てるなどと言う思い上がり、すぐに正して――」
「この程度の攻勢とは思わない事です」
懲りずに得意気なヘジュ・ウルの言葉を、永遠がぴしゃりと遮る。
「私と悠の役目は後続の皆様の為の牽制です」
「俺達の攻撃は始まりに過ぎないぜ?」
永遠と悠は、敢えてヘジュ・ウルに告げる。自分達は先鋒だと。
「皆さまの力あれば、貴方の最後は間近です」
「戦友達の意志は強いからな。お前の命も残り僅かだ。せいぜい覚悟しておくんだな」
「詭弁を――」
2人の言葉を、ヘジュ・ウルは否定しようとする。
しかしその姿は、突如発生した霧に隠された――。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【パラドクス通信】がLV2になった!
【神速反応】LV1が発生!
効果2【ダブル】がLV2になった!
【命中アップ】LV1が発生!
マルケト・キサウェ
他の所は手が足りていそうかな……?
無事に帰るまでが破壊活動(&調査活動)です!敵のリーダーを倒し、皆で一緒に帰りましょうね!
《倫敦の鐘を鳴らすべく》を使います。
敵にのみ見通せない白霧を発生させつつ接敵し(わたくしたちは【完全視界】で見通せる形)、ナイフ等による斬撃をお見舞いする目論見です。
敵は中々パワフルな攻撃をしてくる様子ですが、要は当たらなければいいだけのことです!……まあ、あくまでも理想の話ですけど。
体力もありそうなので、わたくし自身が決定打を与えられない可能性も高そうですが……まあ、他の方々もいらっしゃいますしね。あくまでも〈撹乱〉を主目的として、やれることを精一杯やっていきましょう。
●Side:ヘジュ・ウル――五里霧中
「これは……霧、ですか?」
突如白く染まった世界の中で、ヘジュ・ウルは困惑を隠しきれずにいた。
砂漠にも、霧が出る事はなくはない。
けれども、腕を伸ばしたその先すらも白に隠され見通せない程に濃い霧となると、話は別であろう。
「霧の夜にはご用心──いやまあ、夜じゃないですけど」
「っっ!」
その声が聞こえると同時に、ヘジュ・ウルの背中に痛みが走る。
「そこですか!」
しかしヘジュ・ウルが後ろを振り向きざまに振り回した拳は、空を切った。そこにはもう、誰もいない。
けれども、霧の中には潜んでいる。
この霧を起こした張本人、マルケト・キサウェ(docta ignorantia・g03412)が。
倫敦の鐘を鳴らすべく――ウェンディゴ。
霧の都、倫敦。
今はまだ最終人類史から失われたままのかの都市では、足元すら見えない程の霧が立ち込めた事があったという。
マルケトが発生させたかの都市が如き濃霧は、敵対者にのみ悪影響を及ぼすもの。
霧に潜んだマルケトの姿は、ヘジュ・ウルからだけ見えない。マルケトが動く音や気配すら霧に覆われ、ヘジュ・ウルにはうまく感じ取れない。
この霧の中であれば、マルケトは一方的に攻撃する事が出来る。
決して姿を見せずに旅人を背後から脅すという精霊の様に。或いは、かの霧の都市を脅かしたと言う切り裂き魔の様に。
『絡め手が有効そうですよ』
マルケトに霧を使わせたのは、通信機から届いたその一言。
(「敵は中々パワフルな攻撃をしてくる様子ですが、要は当たらなければいいだけのことです!」)
霧の中でカランビットナイフを構え、ヘジュ・ウルの背中をザクザク突き刺しながら、マルケトは胸中で呟く。
「ゴッドフィスト!」
「!!」
屈んだ頭上をヘジュ・ウルの拳が轟と過ぎて、マルケトは思わず息を呑んだ。
(「……まあ、あくまでも理想の話ですけど」)
ヘジュ・ウルの攻撃自体は、霧にも阻まれない。気を付けていれば、まぐれ当たりなど早々起こりはしないだろうが――。
(「まあ、他の方々もいらっしゃいますしね。別に、わたくし自身が自身が決定打を与えられなくとも構わないでしょう! 無事に帰るまでが破壊&調査活動です!」)
――皆で一緒に新宿島に帰る為に。
意識を切り替え、マルケトはヘジュ・ウルの拳が届かないように位置を変えながら、隙を突いてナイフで切り付け続けた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【完全視界】がLV3になった!
効果2【ロストエナジー】がLV4になった!
逆叉・オルカ
ネメシスの姿
さて。こちらの神にも挨拶といこうか
最も、あんたらは偽物の神にはこちらの言葉がお似合いだがな
「死ぬ前の、別れの言葉は決まったか?」
日本もエジプトも、神も死ぬ、と神話が語るのだから面白いものだ
信仰に肥えた偽の神を、冥界(オルキヌス)へと誘おう
氷冥弾で攻撃
ダメージアップに貫通撃も使い、攻撃媒体の書物ごと敵を射抜く
相手の動きを見抜きつつ、こちらも容赦のない攻撃を
それでも反撃するなら受けて立ってやろうじゃないか
いづれあんたらの本体も死に伏す時が来るだろう
死後の世界でいい思いをしたいなら、本物の神にでも祈っておけよ
その想いが通じるものかは見ものだがな
さて、そろそろ終わりとしよう
ーーさようなら
シャムス・ライラ
【パラドクス通信】で仲間と情報共有、連携
【地形の利用】で戦闘に有利な位置取り
仲間の戦闘から敵の【情報収取】
足止めに乗じて【飛翔】で速やかに接敵
偽りの月と紛い物の神は消えゆくが定め
瑠璃の地平より来たれ
白き暁を呼ぶ者
日の隼よ
【光使い】として暁の光で偽りの月をかき消す
【未来予測】で相手の出方を読みながら
うねるような変則的な軌道で【攪乱】しながら隼=光弾の【貫通撃】
同時にネメシスモードで仲間と狙いを合わせ、挟撃しつつ【捨て身の一撃】を
その魂を天秤にかけたら、どのように傾くものか
己の罪業を省み、慄くが良い
仲間のダメージは【活性治癒】で癒せれば
それにしてもオベリスク、あの輝きは気になるが…
アドリブ等歓迎
●Side:ヘジュ・ウル――暁光羽撃き、氷華咲き誇る
「死ぬ前の、別れの言葉は決まったか?」
霧の中から声が響いて来る。
「死ぬ前? 随分と不敬な物言いですね。このヘジュ・ウルに、神に対して」
「本物の神なら、それなりの作法で挨拶するんだがな。偽物の神には、この言葉がお似合いだろう?」
苛立たし気なヘジュ・ウルに飄々と返す声は、逆叉・オルカ(オルキヌスの語り部・g00294)のものだ。
その姿は髭を生やした老人になっていた。それがオルカのネメシス形態であり、記憶を失う前の彼自身の本来の姿。
失われた記憶が蘇らずとも、何故かオルカはその確信があった。
「勝ったつもりですか? この知識の神ヘジュ・ウルに!」
オルカの声に、ヘジュ・ウルが力強く返す。
まだ、諦めていないのか。
「偽りの月よ!」
ヘジュ・ウルが手を空に掲げると、まだ青かった空が夜空と同じ黒に覆い隠され、美しくも禍々しい月が現れる。
それが偽りの月であるのは、誰の目にも明らかだった。
あまりにも、大きく見え過ぎている。
「霧ごと月に焼かれるがいいでしょう!」
「無駄ですよ」
自慢気なヘジュ・ウルに、シャムス・ライラ(極夜・g04075)の淡々とした声が返って来た。
「偽りの月と紛い物の神は消えゆくが定め――」
シャムスは古びた護符をそっと握り、真っすぐに掲げた。
護符に刻まれたるは、隼の紋章。
「瑠璃の地平より来たれ、
白き暁を呼ぶ者、
日の隼よ」
シャムスが唱えた直後、黒に覆われた空に――眩い光が生まれた。
暁の一片。
それは夜明けの輝き。
闇を吹き払う暁の白光をひとつに束ねて、日の隼とする術。
「白き暁の光よ。偽りの月をかき消せ」
シャムスの意を受け日の隼が煌々と輝きながら空を昇り、空を多く黒をその光で塗り替えながら、偽りの月へとぶつかる。
「光の隼? ラーでも気取ったつもりですか! 人間如きが!」
シャムスの隼を粉砕しようと、ヘジュ・ウルも吠えて偽りの月を輝かせる。
空でぶつかり合う、暁光と月光。
けれども、均衡は長く続かなかった。
「夜は明けるものですよ」
「馬鹿なっ!」
少しずつ、シャムスの暁光が偽りの月の方へ迫っていく。姿こそ変わっていないが、シャムスもネメシス形態になっている。その力が無くば、結果は違ったかもしれない。
「面白いものだ。日本もエジプトも、神も死ぬ、と神話が語るのだから」
そしてこの空での押し合いは、オルカに悠々と準備する時間を与えていた。
その手に握るは、鯱印の拳銃型のガジェット。
データ粒子化していた氷結銃は、具現化すると同時に作り出された特殊な銃弾が、その弾倉に込められている。
「信仰に肥えた偽の神を、冥界――オルキヌス――へと誘おう」
オルカはゆっくりと銃を構え、ヘジュ・ウルに照準を合わせる。
「……氷の中で眠れ」
氷冥弾――メメント・モリ。
対象の因果を捻じ曲げ、寿命を削り奪う、氷の魔弾。
「っ……がぁぁぁっ」
撃ち抜かれたヘジュ・ウルの半身が、華と咲いた紅い氷に封じ込められる。
同時に、空では月の輝きが弱まり、シャムスの日の隼が偽りの月を貫いていた。割れた硝子が落ちる様に、空を覆っていた夜の黒が剥がれ落ちて消えていく。
シャムスが片腕を伸ばすと、日の隼が空から音もなく降りて来た。
「その魂を天秤にかけたら、どのように傾くものか。己の罪業を省み、慄くが良い」
「ラーの、次は、アヌビス気取り、ですか……気に、入らない、です、ね」
冷たく告げるシャムスに、ヘジュ・ウルはまだ動く片腕をばたつかせながら返す。けれど半ばを紅氷に封じられた状態では、ヘジュ・ウルの手が書物に届く事はなかった。
「いづれあんたらの本体も死に伏す時が来るだろう」
その額に、オルカが銃口を突き付ける。
流石にその距離になれば、オルカの姿はヘジュ・ウルにも見えていた。
「死後の世界でいい思いをしたいなら、本物の神にでも祈っておけよ。その想いが通じるものかは見ものだがな」
「余計な……お世話……ですね」
「そうかい。じゃあ、終わりとしよう――さようなら」
そして、オルカの指が引き金を弾いた。
●帰還の時
「今更ですけど」
「ん?」
「こちらで良かったのですか?」
「ああ、オベリスク?」
紅い氷華の前で、シャムスの問いにオルカが返す。
「いいんだ。そっちはトトメスに譲った。こちらも大事だったからな」
丁度その時、オベリスクの方からドンッと言う音が聞こえてきて、オベリスクが輝き出していた。
「あの輝きは気になりますが……」
「気になるなぁ……」
輝くオベリスクを眺め、シャムスとオルカはしみじみと呟く。
けれども、今回はここまで。
ルクソール神殿とオベリスクを警備するクロノヴェーダは絶えない。新たな敵が、また現れるだろう。その前に帰らなければ。
オベリスクの破壊に近づいたと信じて、2人は破壊に当たっていた仲間を迎えに行った。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【託されし願い】がLV2になった!
【活性治癒】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV6になった!
【ドレイン】がLV2になった!