神田川渡河作戦

 文京区関口地区の南側を制圧したディアボロスは、新宿区と文京区を隔てる『江戸川橋』を通り、文京区への侵攻を行おうとします。
 しかし、文京区の守りの要である『神田川』の結界において、文京区の軍勢が立ちふさがりました。
 この軍勢は、第一次東京奪還戦の援軍として急遽編成されつつも実戦に間に合わなかった者達でした。

 文京区の支配者であるジェネラル級大天使『統治者』アルケーは、配下のジェネラル級大天使『『終末の音』トランぺッター』に、『関口地区』の奪還を命じたのです。
『終末の音』トランぺッターは、大天使ヘルヴィム捜索の指揮を取っていた大天使で、『TOKYOカテドラル』から、高らかに歌い上げるラッパの音で配下の軍勢を支援しています。

 攻略期限までに『16』シナリオ以上成功した場合、ディアボロスは神田川の渡河に成功。
『TOKYOカテドラル』の攻略が可能になると共に、文京区の中心部への足掛かりを得られます。
 攻略期限までにシナリオ成功数が『8~15』の場合、神田川の渡河には失敗しますが、関口地区は敵に奪還されません。
 攻略期限までのシナリオ成功数が『7~0』の場合、関口地区は敵に奪還され、文京区の攻略が不可能になります。

 また、シナリオが成功していても、『大群のトループス』の選択肢をクリアせずに完結したシナリオが4以上あった場合、関口地区の防衛が完全にはならず、関口地区の一部を敵に奪還されてしまいます。

神田川黙示録(作者 ツヅキ
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#TOKYOエゼキエル戦争  #神田川渡河作戦  #『終末の音』トランぺッター  #文京区 


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 礼拝堂の高い天井を飛翔する大天使たちを人々は恍惚のまなざしで見つめている。いずれも美しく、優雅に翼をはばたかせて飛ぶ姿は否が応でも信者たちの信仰心を高め、熱心な祈りを引き出すのだ。
「ああ、大天使さま……どうかお告げを」
「大天使さま!!」
 やがて、荘厳なるラッパの音色が信者たちの願いに応えた。
「大天使ヘルヴィムの子らよ、お聞きなさい」
 白い衣を纏った大天使が黄金のラッパを手にして歌うように告げる。それは信者である人々にとっては絶対的なる言葉であり、従うべき命令でもあった。
「我らが大天使ヘルヴィムから賜りし土地を侵略した者たちに天誅を下さねばなりません。その者たちはディアボロス。彼らを文京区から退け、奪われた関口地区の一部を取り戻すのです……!」

「関口地区の南側が制圧できたことで、文京区への進攻の足がかりができたね」
 中山・ネフ(NN・g03318)はしかし、また別の問題が発生したのだと言った。
「動きを見せたのは文京区の支配者である『統治者』アルケーよ。第一次東京奪還戦の時に千代田区のカマエル軍の応援用に編成されていたにも関わらず、投入が間に合わなかったこの舞台を江戸川駅に投入してきたの」
 その目的は、関口地区南側の奪還である。
 これを許せば一度は手にした文京区への突破口が失われ、状況が後戻りしてしまう。何としても食い止めたいところだとネフも頷いた。
「しかも、敵軍の背後にはジェネラル級大天使の援護がついているみたいなの。ラッパの音がしたら気を付けて。どこからともなくもたらされる災厄が戦況に影響を与えてくるよ」

 戦場となるのは神田川にかかる江戸川橋とその周辺地域。
 敵軍を率いるアヴァタール級の『月光の慈眼・サラカエル』は死者を蘇らせて操る術師タイプの大天使であり、軍勢の最後方から大量のトループス級たちに指示を与える姿が予知されている。
「この指揮官を倒せば今回の戦闘自体は勝利となるけれど、排除しきれなかったトループス級の数が多い場合は彼らの手によって関口地区の南側の一部が陥落してしまう危険性も否めない。できるだけ、トループス級も倒してもらえる? 大変だけど、そのほうが安心だから」
 やること自体は簡単なのだとネフは言った。
「とにかく、クロノヴェーダの大群を倒して倒して、倒しまくるだけ。敵の軍勢は指揮官であるサラカエルとそれを守る護衛と関口地区の南側へ侵攻するための軍勢に別れているみたいだけど、どうせ全部倒すなら同じことだもの。『統治者』アルケーの差し向けたこの軍勢を打ち破って神田川を渡河できればディアボロスの勝利、それを阻止して関口地区の南側を奪還できればクロノヴェーダ側の勝利というわけよ」
 問題は、どこからともなく鳴り響くラッパの存在だ。こちらから使用者に手出しはできず、それがもたらす現象に対して対処していくしかない。
「ラッパの音色を合図として、天から大量の雹と火が降り注いでくるの。対抗するにはパラドクスの力が要るよ。うまく対応して、トランぺッターの介入を退けて」
 そう、とネフは頷く。
「ラッパの主は『終末の音』トランぺッター。『統治者』アルケーに従い、大天使ヘルヴィムの捜索に力を注いでいるジェネラル級の大天使よ」

 どうやら、文京区の大天使たちは『新宿島』に興味を持っているような素振りがある。特に『統治者』アルケーは以前から新宿海の探索を進めており、今回の進攻はそうした事情も絡んでいるのかもしれない。
「おそらくだけど、ラッパの音は文京区にある『TOKYOカテドラル』から聞こえてくるみたい。ほら、あそこはクロノヴェーダにとっての重要拠点だから」
 いずれはそこへ攻め入る時が来るだろう。
「その日のためにも、この戦いは負けられない。準備ができたなら、出発しようか」

 神田川周辺はものものしい気配に包まれていた。大量のクロノヴェーダ軍勢を率いるのは、目を描いた布で顔を隠したサラカエルである。
「そろそろ刻限ですね」
 サラカエルが天を仰いだその時、高らかなるラッパの音色が鳴り響いた。
「見なさい、空より降り注ぐ雹と火を。あれこそは私たちが滅ぼすべき敵に下されし裁きの現象……お前たちはただ前へ進むのです。関口地区の南側を奪還し、文京区を完全なる形で取り戻すために」
「……はい、わかりました」
 生気のない返事が改造兵たちの間から上がった。電気を纏わせたケーブルが羽衣のように宙を舞い、激しい火花が周囲に爆ぜた。
「ディアボロスたちに……天誅を」


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
1
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【傀儡】
1
周囲に、ディアボロスのみが操作できる傀儡の糸を出現させる。この糸を操作する事で「効果LV×1体」の通常の生物の体を操ることが出来る。
【飛翔】
2
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わる。全力で力仕事をするならば「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げる事が可能になる。
【悲劇感知】
2
「効果LV×1時間」以内に悲劇が発生する場合、発生する場所に、ディアボロスだけに聞こえる悲劇の内容を示唆する悲しみの歌が流れるようになる。
【フライトドローン】
1
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【神速反応】
1
周囲が、ディアボロスの反応速度が上昇する世界に変わる。他の行動を行わず集中している間、反応に必要な時間が「効果LVごとに半減」する。
【腐食】
1
周囲が腐食の霧に包まれる。霧はディアボロスが指定した「効果LV×10kg」の物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)だけを急激に腐食させていく。
【罪縛りの鎖】
1
周囲に生き物のように動く「鎖つきの枷」が多数出現する。枷はディアボロスが命じれば指定した通常の生物を捕らえ、「効果LV×2時間」の間、移動と行動を封じる。
【勝利の凱歌】
1
周囲に、勇気を奮い起こす歌声が響き渡り、ディアボロスと一般人の心に勇気と希望が湧き上がる。効果LVが高ければ高い程、歌声は多くの人に届く。
【避難勧告】
2
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【友達催眠】
1
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【セルフクラフト】
1
周囲が、ディアボロスが、一辺が1mの「コンクリートの立方体」を最大「効果LV×1個」まで組み合わせた壁を出現させられる世界に変わる。
【隔離眼】
1
ディアボロスが、目視した「効果LV×100kg」までの物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)を安全な異空間に隔離可能になる。解除すると、物品は元の場所に戻る。
【エアライド】
2
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【熱波の支配者】
1
ディアボロスが熱波を自在に操る世界になり、「効果LV×1.4km半径内」の気温を、「効果LV×14度」まで上昇可能になる。解除すると気温は元に戻る。
【冷気の支配者】
3
ディアボロスが冷気を自在に操る世界になり、「効果LV×1km半径内」の気温を、最大で「効果LV×10度」低下可能になる(解除すると気温は元に戻る)。ディアボロスが望む場合、クロノヴェーダ種族「アルタン・ウルク」の移動速度を「効果LV×10%」低下させると共に、「アルタン・ウルク」以外の生物に気温の低下による影響を及ぼさない。
【断末魔動画】
1
原型の残った死体の周囲に、死ぬ直前の「効果LV×1分」に死者が見た情景が動画として表示される世界になる。この映像はディアボロスだけに見える。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【活性治癒】
3
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【建造物分解】
1
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【操作会得】
3
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【ハウスキーパー】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建物に守護霊を宿らせる。守護霊が宿った建物では、「効果LV日」の間、外部条件に関わらず快適に生活できる。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【クリーニング】
1
周囲が清潔を望む世界となり、ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建造物や物品が、自動的に洗浄殺菌され、清潔な状態になる。
【通信障害】
1
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)及びアルタン・ウルク個体間の遠距離情報伝達が不可能な世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV2 / 【命中アップ】LV4 / 【ダメージアップ】LV8 / 【ガードアップ】LV1 / 【反撃アップ】LV2 / 【ラストリベンジ】LV1 / 【先行率アップ】LV3 / 【ドレイン】LV5(最大) / 【ダブル】LV3 / 【ロストエナジー】LV7

●マスターより

ツヅキ
 敵は江戸川橋周辺に布陣しており、関口地区南側の奪還と文京区へのディアボロスの侵攻阻止を目的として戦いを挑んできます。

●敵の布陣
 前衛から中衛には侵攻目的の改造兵が多く、後衛になるにつれて指揮官・サラカエルの護衛にあたるガーゴイルガンナーが増えてきます。 
 サラカエルは最後方にいるため、他の敵を減らす前に戦いを挑む場合は攻撃が当てづらくなります。

●ラッパの音色
 自軍が危機に陥った場合に鳴り響くことが多いようです。ディアボロスのみを標的とした雹と火が降り注ぎ、対策がなかった場合にはかなりの痛手を負うかもしれません。

 ジェネラル級大天使の支援があること、大量のトループス級をできるだけ撃破することが推奨されているために判定は少し難しめになることをあらかじめお伝えしておきます。
105

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


シル・ウィンディア
超長距離支援とか、中々めんどくさいことを…
敵を叩きたいけど、まずは援護射撃と行きますかっ!

飛翔で敵陣の上を飛翔して様子見
音が聞こえたら、上を見上げてから
結界術で強化した精霊結界で防御っ!

対地攻撃が、わたしの方を向いたら広域に飛翔で逃げつつ
出来るだけ広域に、砲火が少なくるように移動

そのまま、残像を生みつつ飛翔で移動していくね
高速詠唱を行い、好きをできるだけ減らしてからの
精霊乱舞連弾っ!

対地攻撃なら、こっちは、対空攻撃っ!
連続魔法で魔力弾を連射して、手数で勝負するよっ!
全部落とせなくても、味方の密集している地点を重視して撃っていくね。

さて、これだけやったら少しは…
あとは、地上を殲滅させないとねっ!


クィト・メリトモナカアイス
【ヨアケ】
全部倒す。
んむ。わかりやすくてよき。

……? 奪われた土地を取り返しただけなのに天誅とはいったい。
話が通じないし後で殴ろう。

「モナカ」砲撃型を呼び出して「フリージングミサイル」。降り注ぐ火に狙いを定めて撃ち落とす。これこそだんどーだんげーげきミサイル。
我に直接当たりそうなものは「モナカ」反撃型で察知して黄金猫拳打棒で叩き落とす。

血の混じった雹はフリージングミサイルの効き目がいまいちそうだし他の人に任せる。
もし周囲が多少火で燃えても【冷気の支配者】で熱を和らげる。


桜・姫恋
連携・アドリブ歓迎
【ヨアケ】で参加

「なんかまた、厄介なのが出たみたいね?」
というか何で私達が天誅受けなきゃいけないのよ!!

【飛翔】にて飛び回りながら念の為に自身には【結界術】にて自身を包み込み攻撃を食らっても大丈夫なようにしつつなるべく避ける。パラドクス【星舞】にて敵の雹や火に向けて魔弾を放ち相殺していく。

ピンチになったときには【一撃離脱】を使い距離を取り地上へ降り地上から撃ち落としていく。

まぁ、所詮クロノヴェーダと私達には対話なんて無理なのよ。
だからこそ私達は私達の歴史を取り戻すために戦うしかないものね。
倒して倒して倒しまくるまで!


飛鳥・遊里
事前準備:可変バイク【ギガント】をパワードアーマーで装着。後に、空戦装甲【ウェルテクス】を装備

数が多い上に、範囲まで広いと来てる。取りこぼしを少しでもなくすために、俺はエアカバーに入る

『飛鳥遊里、ギガント空戦装備で出るぞ!』

【マルチウェポンデバイス】をガトリング砲に変形させて、【ウェルテクス】高機動形態で、高高度で雹と炎の迎撃開始

ガトリング砲と【ラウンドビットアタック】で、全方位に弾幕を形成しながら飛び回り、かたっぱしから目標を撃ち落とす

ビットの半分は攻撃に、もう半分はシールドを発振して守備と迎撃を兼ねて機体周りに展開

とにかく、一瞬たりとも止まれない。ここは男の意地の見せ所だ!


眉立・人鳥
アドリブ・絡み歓迎
【ヨアケ】で参加だ

まァ、何が来ようとやる事は変わらねェ……ぶっ潰して喰らい尽くす
それだけだ

まずはトランペッターの災厄とやらを何とかする
念のためWhite Flipperedを着用しておくぜ

大量の雹と火か、だったらこっちは大量の光の槍を降らせてやろうじゃねぇの
多少のダメージは活性治癒でなんとかする
姫恋が遊撃、クィトちゃんが火に集中するなら雹の方メインで行くか
光槍の貫通撃と爆破による爆風でまとめて処理してやるよ!

被弾がヤバそうな味方には上手く魔力糸をくくりつけて俺の背後まで引き寄せる。治癒付きな俺の方がまだ盾になれるはずだ

だろ、話が通じねぇのばっかなんだよ。俺も殴る、そして喰う


「あらまあ、ぞろぞろとご苦労さまなことねっ!」
 思わずシル・ウィンディア(虹色の精霊術士・g01415)の口をついたのはクロノヴェーダ軍勢の執念に対する呆れも同然の言葉であった。魔力で編まれた翼で空中に浮かぶシルには神田川流域に布陣する大量のトループス群の全貌がありありと確認できる。
「さすがに数が多いな。それに戦場の範囲まで広いと来ている。これは、取りこぼすわけにはいかないぞ――飛鳥遊里、ギガント空戦装備で出る!」
 飛鳥・遊里(リサイクラー・g00512)が現場まで乗り付けた大型装甲バイクが急停止するのと同時にパワードアーマーに可変してその身に纏われる。空戦用武装装甲システムである『ギガント』起動で空中戦能力を得た遊里は竜巻のように空へと舞い上がり、偵察するような旋回を繰り返した。
「なんかまた、厄介なのが出たみたいね?」
 肩を竦める桜・姫恋(苺姫・g03043)の姿もまた空中に在った。翼を羽ばたかせながら不服そうに腕と足を組み、しなやかな尾の先をくゆらせながら曰く。
「天誅ですって? 何で私達が? 納得のいく説明をしてちょうだい!」
「話、通じてない気しかしない」
 猫耳と尻尾のついた浮遊球形ガジェットをふわふわと遊ばせているのはクィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)だ。
「奪われた土地を取り返したら盗人扱い。んむ、殴ってよし」
「ほんとよ、勝手に悪党にされちゃたまらないわ。あいつらを倒しまくる準備はいい?」
「はいよ」
 眉立・人鳥(鳥好き兄ちゃん・g02854)はさてとばかりに軽く両手を打ち鳴らしたのを合図として、その身の裡へ宿る裁きの光を発露する。
「どこから来る? まァ、何がどう来ようとやる事は変わらねェわけだが……」
 ラッパの音色に先んじて、ディアボロスとクロノヴェーダ軍勢の戦いが幕を開けた。透き通るような精霊の翼で上空を様子見していたシルがはっと背後を振り返って鋭い声を発する。
「これは……」
「ラッパの音色!」
 急旋回した遊里の機体が高機動形態に移行しつつ迎え撃つのは空を赤く染める雹と火の――流星群と表す者もいるだろう。あるいは焼夷弾のような兵器を連想するかもしれない。
「これは、なんて大量のっ!」
 シルは速やかに能う限りの力で精霊結界を展開、後ろ向きに飛翔して攻撃を引き付けるように距離を取った。生み出された残像を雹の一つがかき消して、その威力を見せつける。逃げながら詠唱を紡ぎ、それらが地上へと降り注ぐ前に相殺すべく放つのは四色からなる属性連弾――シルの正面に描かれた魔法陣が炎と水と風と大地の気を纏い、それぞれの加護を受けた無数の魔弾を乱れ撃った。
「く……ッ」
 雹火と魔弾が激突した瞬間、物凄い反発力が発生してシルの体は吹き飛ばされそうになる。
「なんて、破壊力っ!」
「させるものかよ!」
 遊里の武装が一斉に開放され、ガトリング弾と同時に射出されたビットが360°オールレンジで弾幕を張り巡らせた。片っ端から目標を撃ち落とすべく、ひっきりなしに鳴り響く銃声とビーム音。まったくしぶとい。遊里は雹火の耐久力に舌を巻いた。
 一、二発当たっても砕けてその数を増やすだけで更に追撃しなければ無力化できない。
「これは相当に手数を使わせられるぞ」
「上等よっ! 最悪でも、味方の密集地点だけは守り抜いてみせるんだからっ!」
 シルは流し目で地上を確認する。まだ戦闘は始まったばかりであり、ディアボロスは敵の前衛を務める改造兵と交戦中。
(「――あそこ」)
 最も受ける攻撃が激しくなるのは、やはり前線ラインだ。
「あそこには、落とさせないっ!」
 潔く迸る魔弾が急降下、地上へ着弾する直前の雹火を対空防御するような形で迎え撃つ。ぎりぎりで役目を果たせなかった雹火が恨みがましく爆ぜながら消え失せた。
「モナカ」
 クィトの命令に反応して、浮遊していたガジェットが中からにょきっと砲台を突き出した。ぐっ、と砲塔の角度を上げて、ドンッ――とミサイルを放つ。クィトは弾道弾迎撃ミサイルよろしく、細かく指示を出しながら確実に撃ち落としてゆくのだった。
「次、あれ。次、それ。雹は人任せ。火のみ、ろっくおん」
 反撃型のモナカが警告音を発したので、表情一つ変えないまま――それどころか、ほとんどそちらの方向を見もしないまま可憐な肉球型の打棒で攻撃を払い除ける。
「全部倒す」
 うむ、と満足そうに頷いた。
「わかりやすくてよき」
「そういう心構えでいた方がな、単純でいいぜ。ぶっ潰す、喰らい尽くす。どうせそれだけなんだ。俺が戦場でやることなんざ――」
 防弾マントを翻し、
「いつだって、決まってやがるんだ」
 人鳥の頭上で眩い光の輝きが満ちる。裁きの追撃者の御名において過たずに貫き通すだろう。狙うはクィトに任された雹の方だ。
「いけ!」
 穂先をそろえた光の槍が雹よりも上層から展翅する楔のように降り注ぐ。中心部を穿たれた途端、雹は力を封じ込められたかのように生気を失って萎んだ。そうやって威力と勢いを奪ってから纏めて爆発。吹きすさぶ爆風でその周囲にあった雹ごと一気に押し返す。
「はッ……」
 爆風をやり過ごし、敵の傲慢さに呆れんばかりで人鳥が吐き捨てる。
「せっかくのラッパを凌がれて、少しは客観的に物を考える気になったか? ……無駄か。ならもう話はやめだ。姫恋!」
「もう射程に捉え済み! 残りはまとめて粉々よ」
 戦場の空を征く姫恋は、器用に雹火の合間を飛び回ることで直撃を躱し続けていた。時折、顔の近くを掠めてゆくものに向かって怒る声がする。
「っと、危ないじゃない! 結界がなかったらヤバかったわ……私に喧嘩を売ったこと、後悔させてあげる!」
 それは瞬く星を象りし魔弾の乱舞。姫恋を中心に放たれた星々のダンスはまばらに残った雹火を正面から相殺して共に爆ぜるのだった。
「ふう、俺が盾にならなくても何とかなりそうだな」
 いざという時のために用意していた魔力糸が人鳥の手元できらりと光る。姫恋は無事に地上へ降り、再び降り注ぐ雹火を睨むように見上げた。
「何度だって撃ち落としてやるわよ。所詮、クロノヴェーダと私達には対話なんて無理なんだから。私達は私達の歴史を取り戻すために戦うの」
 上空では激しい空中戦が再展開。遊里はビットの半数を守備に当て、流れ弾の処理をそちらに任せた。ビットに迎撃された雹火が空中で霧散し、赤く染まっていた空に一瞬の晴れ間が戻る。一瞬たちとも止まれない、気が抜けない。
 意地の見せ所だ、と遊里は腹をくくった。
「なんとしても食い止めるぞ!」
「ええ!」
 シルが叫ぶ。
「さすがに、これだけやったら少しは効いたんじゃない……っ!?」
 周囲はクィトが操る冷気によって炎の熱が和らぐことで、無為に延焼するのを防ごうとする狙いがあった。しゅうしゅうと水蒸気の立ち込める地上の戦いもディアボロス側が押しているようだ。
「いけるか、いけるな」
 殴るという意思と喰らうという欲求が人鳥の中でひとつの形を取り始める。
「クィトちゃん、敵をぶん殴る時は俺にも半分分けてくれ」
「んむ。山分け」
「倒して倒して倒しまくるわよ!」
 クィトが頷き、姫恋が高らかに告げた。
「トランぺッター、あなたの災厄は私たちによって打ち払われたわ。わざわざTOKYOカテドラルから支援したのにお生憎さまね!」
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【飛翔】LV2が発生!
【冷気の支配者】LV1が発生!
【操作会得】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV2が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!

ルキア・アダマント
関口地区を抑えられたんだね。
奪還戦も大勝利だったんだもの、きっと流れはディアボロス側にあるのね。
ここを足がかりに神田川を渡って、文京区も最終人類史に取り戻さなくっちゃ。

まずは目の前に現れた敵を、やっつけてやっつけて、やっつければいいのね。
大勢でかかってくるなら、【契約召喚】した私の悪魔がまとめて相手をするわ。
さぁ、あなたの魔法で大天使の軍勢を跳ね飛ばしてやりなさい。

ラッパの音には敏感になっておいた方がいいよね。
雹とか火とか、仲間が撃ち落としてくれるかもしれないけど、こぼれ球にも気をつけなくちゃ。
敵をやっつけたり、攻撃を躱したりした後は油断に繋がりやすいもの。
気を緩めないようにしなきゃね。


エヴァ・フルトクヴィスト
ヨハネの黙示録というお話と一致する攻撃ですね……。
確かに大天使からすれば、私達ディアボロスは異教の徒となるのでしょう。

ですが、奪還戦が改めて教えてくれました。
人々は心の底ではこの異常な状態を終わらせてほしいと願っていると。
為ればこそ、私達は戦い抗いますよ。時の侵略者達に全力で!!

通信で仲間と連携を密に。
雷を使う相手ですか、私の魔法とどちらかが上か勝負ですよ!
相手の動きを観察し、高速詠唱で雷で雷の弾丸を吹き飛ばしたり、
電撃使いとして雷対応の結界術でダメージを軽減しつつ。
牽制も兼ねて投げたドローイングナイフから召喚した雷で、相手への貫通撃を狙いますよ!

ここで軍勢を確実削って、憂いなく攻め込む為に!


水月・瑠音
あーもー、喇叭の音がほんとに鬱陶しい
幸いあの雑音の相手は他の人がやってくれてるみたいだし
それならとっとと雑兵共を吹っ飛ばすとしましょうかね

やる事は至極単純。【潰嵐】で片っ端から爆砕するだけ
大群の相手するならこれぐらい派手な方が丁度いいでしょう?
あと【パラドクス通信】使わせてもらって、仲間との連携はしっかりとるよ
派手にやり過ぎて味方巻き込むといけないし

反撃は右手の魔砲を魔銃『風沙』に持ち替えて、ケーブルに散弾の【弾幕】浴びせて【破壊】する
まぁ壊すまでいかなくても接触直前に撃てば多少避ける隙はできるでしょう。……たぶん
避けきれなさそうなのは魔剣『涜神』で【斬撃】加えて斬るなり軌道逸らすなりして対処


東雲・朱音
他の復讐者との連携、アドリブはご自由に。

あの戦争で、いくつかの地区を取りもどせた。
けど、これはまだ始まり。アタシたちの東京を、世界を取り戻す第一歩なの。
邪魔は、させないわ。

トループス級を駆逐すればいいのね?分かりやすくて助かるわ。
『牡丹一花』
相手は電気を使ってくるようね、厄介な。
近くの鉄柱やガードレールを炎を付与した剣で焼き斬って。自分の周りの地面に数本刺しておくわ。アース代わりよ。
敵の攻撃がアースに持っていかれた隙をついて、接近。一撃で仕留めないと。

ふぅ。それにしても振ってくる雹と炎はやっかいね。焼き払えばいいけど、どうしても一手必要になるし。他の復讐者がなんとかしてくれればいいけど。


一里塚・燐寧
操り人形を沢山持ち出して、自分は後ろでふんぞり返ってさぁ
分身まで、サラカエルの腐った性根は完コピみたいだねぇ
……ムカつくぅ

『テンペスト・レイザー』を手にして敵の大群へと【突撃】し
しっかり助走をつけた『屠竜技:地砕きの剛剣』で攻撃するねぇ
「あの最悪天使の繰り糸から、あたしが解き放ったげるよぉ!」

地を抉る斬撃によって放つのは
【粉砕】されたアスファルト片を砂塵と共に巻き上げる衝撃波
これで敵の視界を【攪乱】しながら群れを切り崩していくよぉ

この時に【通信障害】も発生するから、あわよくば
敵の「危機」がトランぺッターに伝わるのを予防したいなぁ
敵の通信方法は今の所謎だけどねぇ

共闘・アレンジ大歓迎。よろしくー


ラキア・ムーン
ふーむ文京区のジェネラル級は既に配下にジェネラル級が居るのか
なるほど、少し攻略には骨が要りそうだな
しかしまあ、ラッパの音が厄介だ
ま、それは仲間に任せて私はトループス級の対処に回ろう
しかし、これだけの大群が奪還戦に投入されなくて助かった…と考えるべきかな

《RE》Incarnationを構えて戦闘態勢を取る
『ダッシュ』して『突撃』
改造兵に対して槍での近接戦闘を仕掛けて『グラップル』で組み付く
そうして敵と肉薄しながら、あわよくば同士討ちになるよう盾に利用する形で立ち回りながら【Call:Flame_Gust】起動
精製した炎の塊を周囲の敵にぶつけてトループス級の数を減らしていこう
全く数が多いのは厄介だ


四葩・ショウ
……ようやく、
ようやく、取り返したんだ

ーーわたし達の東京を、大地を!
どんなに一部だって、違わない

だから
もう一度貴方達にうばわれるなんて、そんなこと
絶対に、させない

ひきぬいたレイピアを手に
軍勢へと駆けよう
【エアライド】と『地形の利用』を使って
有利な移動経路を選びながらすすむ

敵が多いから
孤立しないよう気をつけ
防御はなるべく茨の棘の『結界術』で凌ぎ
『斬撃』と『貫通撃』を使い分けて、攻撃
統率を乱すように動いて、『撹乱』しよう

囲まれそうになるなら、
誰かが孤立しそうなら、
「MICHAEL」で一掃を
わたし達が優勢になるならより一層、
ラッパの音色に気をつける

高らかにひびくその音色に
ハッと、顔をあげて
ーーくる


ブラッディ・アロ
アドリブ・連携歓迎

感情を持たない改造兵?
恐れと疲れを知らないと言えば、余の戦士は負けませんよ!

《血の要塞》
血の戦士たちを【召喚】して臨時の拠点を築く
他の人が安全な場所に戻るための経路を確保します
【セルフクラフト】を使用して他の仲間に掩体と隠蔽を提供する

血の戦士たちに命令して改造兵を引き留める
仲間が敵を攻撃しやすくする
雹や炎は仲間に任せろ

血の戦士たちは黙って主人の命令を実行している
彼らが通った所は血が絨毯のように大地を覆った

ハ――ハハハ!
せっかく取り戻した世界を、おまえたちにもう一度奪われるわけがない!
かかってこい!


 巨大鎖鋸剣を地面に突き立て、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は不機嫌そうに細めた視線を軍勢に向けるのだった。
「……ムカつくぅ」
 何が、と問われたならば個人的な因縁だと答えるだろう。あいつ――サラカエルの腐った性根を完全コピーしたかのようなアヴァタール級が軍勢の最後方でふんぞり返っているところを想像しただけで腹が立つ。
「ふーむ、文京区のジェネラル級の配下にも同じジェネラル級が居るとはな。なるほど、これは少し骨が要りそうな戦いの場面と見える」
 呟いたのは突撃槍を構え、いつでも進撃できる準備を整えたラキア・ムーン(月夜の残滓・g00195)だ。これだけの大群が奪還戦に投入されなかったという事実はディアボロスにとっての幸いであり、またクロノヴェーダにとっての誤算であったに違いない。
「まったく、次から次へと新手を繰り出す奴だよ。文京区の支配者とやらは」
「せっかく関口地区を抑えて、奪還戦にも勝利したんだもの。流れはもっていかせないよ」
 ルキア・アダマント(金時計に刻む記憶・g04840)はゆっくりと前を見据え、アークデーモンの封じられた懐中時計を掌に開いた。
「さぁ、存分に暴れていいのよ」
 ――契約召喚。
 黒くて長い外套を頭から被ったような姿の悪魔がゆらりと現れ、長い影を揺らめかせながらルキアを庇うように歩み出る。
「ここを足がかりに神田川を渡って、文京区も最終人類史に取り戻すの。そのために、敵をやっつけて」
 ルキアの言葉自体が力になるかのように、彼の魔力は満ちてゆく。ほとんど同時に四葩・ショウ(Leaden heart・g00878)が凛としたよく通る声を張り上げた。
「敵が動いた!」
 それ以上の時を待たず、ショウは引き抜いたレイピアを手に駆け出した。やっとのことで東京を取り戻したという事実がショウを鼓舞する。
 ――わたし達の東京、その大地。たとえ一部であろうと、真実この手で成し得たことなのだから。
「させるものか」
 敵の改造兵も捨て身でなだれ込んでくる。ショウは地形を見つつ、エアライドで敵の頭上を飛び越えて橋の橋梁に降り立った。ここからなら戦況をよく見渡せる。二度と奪わせないため、そして取り戻したものを守るためにこのレイピアは振るわれるのだ。
「まったく、これじゃ数だけで押し切られてしまいそうなくらいね。でも――!」
 東雲・朱音(焔魔・g06077)の炎を纏わせた剣が一閃した直後、周囲の鉄柱やガードレールといったどこにでもあるような公共物が残骸となって崩れ落ちた。
「どこを狙っている!」
 敵のケーブルが躍りかかるのを横目に、朱音は手早くそれらの残骸を地面へと突き刺しながら戦場を移動する。
「じきにわかるわ」
「!?」
 朱音はわざと残骸の背後へ回り込み、電気の流れが“そちら”へ向かうように誘導。まさかそれがアース代わりを果たすなどとは思ってもみなかった改造兵が驚愕した隙を突き、燃える直剣を突き刺してまずは一人目を斬り捨てた。
「あーもー、ラッパの音がほんとに鬱陶しい」
 水月・瑠音(魔銃の奏者・g02254)は呆れたように肩を竦め、魔銃『氷雨』から絶え間のない弾幕を敵陣へと浴びせ続けた。
「なッ……」
 着弾と同時に爆発する魔力弾は特別製で、爆風による殺傷性の方が本領発揮というやつだった。敵の数が多いこのような戦場では特に威力を発揮する。
「大軍相手には、これくらい派手な方が丁度いいでしょう?」
「だが、じきにトランぺッター様の雹火が貴様らに降り注ぐだろう……」
「じきに?」
 瑠音は不思議そうに尋ねた。
「それっていつのこと?」
「え……」
 改造兵が聞き返した時、空が――血塗れた雹と燃える火群によって赤く染まりつつあった空にて幾つもの爆発が巻き起こる。巨大な魔法陣が無数の魔弾を生み出し、光の槍が降り注ぐ光景は地上からでもよく見えた。
「仲間たちのトランぺッター対策が功を奏しているのね!」
 ブラッディ・アロ(鮮血ノ王・g05921)は勝気に笑い、血の要塞を発動する。召喚されるは血の戦士、彼らの手によって掘られた塹壕は敵の攻撃から仲間を守るための掩体あるいは攻撃を仕掛ける際に身を隠すための盾を齎すのだった。
「恐れと疲れを知らないと言うのなら、余の戦士だって負けてはいませんよ!」
 血の戦士たちは敵の端末から爆ぜる雷球が直撃するのも構わず、倒れた同胞を踏み越えてより大きな波となって立ち塞がった。
「雹や炎は仲間に任せろ、おまえたちはただ前へ、進め! 進め!」
 ブラッディの判断は正解であった。もしもこれだけの数の敵と乱戦状態の戦場で頭上からの遊撃にまで気を取られていたらまず不覚を取ったのに違いない。
「――くる」
 再び、ラッパの音が響き渡った。はっとして顔を上げたショウは有難く掩体を利用しながら茨の棘で己の身を護る。ライフル弾に引き千切られた茨が宙を舞う中を、ショウの刃が目にも止まらぬ速さで迸る。見えるわけがない。突と斬、変幻自在の剣閃を改造兵が見切る間もなく陣形が突き崩されてゆく。
「あ……」
 体勢を崩した改造兵に迫るのは、ルキアの悪魔が紡いだ魔法陣より放射される攻性魔法。呑み込まれ、あとはもう何もわからないままに破壊し尽くされる。
「まさしく、ヨハネの黙示録を思わせる光景ですね……」
 空を染める雹火を見上げ、エヴァ・フルトクヴィスト(星鏡のヴォルヴァ・g01561)は最後の審判の日に起こるという予言を連想せずにはいられなかった。彼ら大天使からすればディアボロスは異教の徒であり、聖戦によって取り戻すべき大義を信じてやまないのは頷ける。だが、理解できることとそれを許すことは全く違うことだ。
「……いきましょう。時の侵略者達に抗い戦うために、全力で!!」
 エヴァはマントを翻し、魔杖を掲げる。
「私たちは人々の願いを叶えるため、あなた達に布告します。この異常な状態を終わらせ、正常なる刻の流れを取り戻してみせると!」
 全てあの奪還戦が教えてくれたことであった。あの戦争によって取り戻し得た地区がある。まだ敵の手にある地区もある。
「これはまだ始まりよ。アタシたちの東京を、世界を取り戻すための第一歩なの。邪魔するというのなら、蹴散らしてあげる」
 とにかく敵は数で押してくる。一瞬も気が抜けない乱戦を捌き、一体ずつ相手取る朱音の視界を雹と火の群れが掠めた。厄介な支援だが、それを払うのに手数を無駄には出来ない。
「信じてるわよ」
 空で戦う仲間たちに全てを任せ、己はひたすらにこの剣を振るおう。
「ちッ!」
 こちらの注意がトランぺッターの雹火に逸れることを期待していた改造兵は思い通りにいかぬ憤りを叩き付けようとする。構えたライフの銃口で迸る雷に対抗すべく、エヴァは高速で雷の槌を紡ぎあげた。
「どちらが上か勝負ですよ!」
「――ああッ!?」
 撃ち出した直後の弾丸をエヴァの雷によって吹き飛ばされた数人が武器を取り落として悲鳴を上げる。すぐさま別の改造兵が狙い撃つが、展開した結界と互いに打ち消し合うような形で激しい火花が迸った。
「敵の一角に穴が開きました!」
「よし、突っ込むぞ」
「どいた、どいたぁ」
 ラキアがダッシュで突撃し、燐寧の巨大鎖鋸剣が砂塵を上げながらアスファルトを抉り砕く。深々と刃を突き立てられた道路が瞬く間に粉砕され、大量の破片と塵が改造兵たちの視界を奪ったのだった。
「これは……」
「くっ、視界不良!」
 燐寧はぐっ、とつま先をアスファルトに押し付けて跳躍するような助走を取った。敵陣深くまで切り込み、再び地面を抉り取る。
「あの最悪天使の繰り糸から、あたしが解き放ったげるよぉ!」
 砂塵を孕んだ衝撃波が改造兵の横っ面を強かに打った。目が眩むほどの砂塵に紛れ、ラキアの脚が敵の足元に絡みついて引きずり倒す。
「あッ」
 別の敵のケーブルが盾にした改造兵に直撃し、同士討ちを誘発。ラキアは掴んでいた体を通して感電する前に突き放し、新たな改造兵を組み伏せて次の囮に仕立て上げる。
「これで敵の通信はしづらくなったはずだけど、どぉかな~?」
 もしもトランぺッターが現地軍と連絡を取り合っていたとすれば、送受信は不可能になったはず。燐寧は耳を澄ませてみるが、依然ラッパの音は鳴り響いた。
「やっぱ無理かー」
 仲間が地上ぎりぎりで撃ち落とす雹の爆発から逃れつつの嘆息。つまり、トランぺッターがこちらの危機を知るために誰かが連絡や報告を送っているわけではないということだ。
「そぉゆう見えないとこからちくちくいたぶるやり方、卑怯者のサラカエルとは気が合いそうだなぁ……ほんと、ムカムカぁ」
 改造兵は捨て駒なのだ。ショウは自らを取り囲む敵の、あまりにも機械的な動きに柳眉をひそめる。特攻――そんな言葉すら脳裏を過った。
「でも同情は、しない」
 包囲が完了するよりも先に唱える名を『MICHAEL』。鳴らした指の音はまるで手品のような剣舞の幕が開く合図で、12の硝子剣を従えたショウの独壇場を照覧あれ。
「ぐッ」
「ああッ!」
 目前に敵には鋭い刺突、背後から迫る者には半身を翻しつつ逆手で斬り捨てた。またしても鳴り響くラッパの音にショウは再び空を見る。
 まるで世界の終わりが来たかのように赤い空。迎え撃つ仲間たちがいなければ、あれらは勢力を保ったままにこの地上へと降り注いだのだ。
「あのラッパの相手をしてくれてる人たちには感謝ね。おかげで、こちらは雑兵共を吹っ飛ばすことに専念できる……ッ」
 瑠音は散弾銃型の武装を右手に持ち替え、パラドクス通信で周囲にいる仲間への退避を求めた。
「敵のケーブル攻撃に対する弾幕を張るよ」
「では、それにあわせてこちらも牽制を!」
 エヴァは勇ましく告げ、指に挟んだダガーを敵の眼前へと擲つ。それは中空で雷を召喚する媒体として魔法を発動、分岐した三叉の槌によって敵の胸元を貫いたのだ。
「がッ――」
 いくら敵の数が多かろうと、確実に削り取っていけば勝機は見える。斃れる味方に進路を塞がれ、一瞬の間隙ができたところへと瑠音の制圧射撃が最大火力で注ぎ込まれた。
「諦めるな、攻撃は最大の防御だ」
「とか言って、全然的が外れてるよ」
 瑠音の周囲に浮かぶ魔剣が躍りかかるコードを跳ね除け、盾の如く機能する。駄目押しを受けた改造兵たちの進軍が遂にに止まった。
「ハ―――ハハハ! よくやったぞ、血の戦士たちよ。お前たちは主人の命令を確かに遂行したのだ!!」
 まさに、血の戦士たちが通った道は真っ赤な血の絨毯が敷かれたかの如き色彩を大地へと刻み付けたのである。ブラッディは彼らの先頭に立ち、最後方にいる敵指揮官にまで伝わるような大声で叫んだ。
「せっかく取り戻した世界を、おまえたちにもう一度奪われてなどやるものか! いくらでもかかってこい! 何度でも敗北を味わわせてやろう!」
「……言ってくれますね」
 ガーゴイルガンナーを前後左右に侍らせ、万一の際には盾にする心算のサラカエルはここまで聞こえるブラッディの大声にため息をついた。
「しかし、こちらが劣勢であるのも確かです。少し、計画を早めるべきかもしれません」
「ん?」
 敵の動きに気付いたラキアが首を傾げる。凝縮された炎の魔力から精製された炎球のような塊を同時に生み出した突風によって敵に叩き込むという力業で確実に敵の数を減らしていた矢先のことだった。
「ガーゴイルガンナーが動き出した、だと?」
 それと同時に空もだいぶ明るさを取り戻し始めている。ルキアは身構えたまま、決して気を抜かず、天を仰いで仲間たちの活躍が功を奏したことを知ったのだった。本来であれば、敵の危機に際して鳴り響くはずのラッパ――否、確かに鳴り響いてはいたにも関わらず、その雹火はほとんど地上へ降り注ぐ前に撃墜されたのである。
 ルキアはこぼれ球の火種を魔力障壁で払い除け、戦場を見渡した。

 改造兵のほとんどは壊滅し、僅かに残った手負いの者だけが江戸川橋のたもとに集結しているのが見て取れた。代わりに前へ進み出たのがガーゴイルガンナーの群れ――否、部隊といった方が正確かもしれない。
「遊びは終わりです」
 サラカエルの唇がゆっくりと動き、発砲の許可を与える。
「――撃て」
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【友達催眠】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
【熱波の支配者】LV1が発生!
【通信障害】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
【セルフクラフト】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!
【ダブル】がLV2になった!
【ロストエナジー】がLV2になった!
【反撃アップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!

桜・姫恋
絡み・アドリブ歓迎
【ヨアケ】で参加

クィトと人鳥は引き続き宜しくね?

「さて、トランペッターの方はどうにかしたし、私達も敵の数を減らしていかないとね」

先手必勝と称して【月舞】で敵陣へ舞うように突っ込んでいき確実に弾を撃ち込んでいく。

クィトは援護ありがとう。
無理はしないわよ?でもまぁ、たまには前戦で戦いたくなるのわ仕方ないでしょ?【飛翔】や【結界術】を使い敵の攻撃を避けながら戦う
ふふ、フォローありがとうね♪

折角取り戻したのにまた奪われるなんてもうごめんよ。こちらも本気で行くわよ?


クィト・メリトモナカアイス
【ヨアケ】
んむ。よろしく。我も頑張る。
たくさんいたのも他の人たちが減らしてくれた。
後はあの目隠ししたのと周りのだけ。

それじゃあ我は援護する。モナカ射撃型、うちおとせー。
【フライトドローン】として呼び出したモナカの上に座って、上空に舞い上がった敵と空中戦。「射撃のスコティッシュフォールド」で撃ち落とす。

撃破まではできないときも急降下してるところを狙えば下で戦ってる姫恋と人鳥への攻撃はしにくくなるはず。そうなったら後は二人に任せる。

んむ。ここはもう我らの土地……ちょっと違う?
まぁいいか。とりあえず全員しばき倒して追い返す。


眉立・人鳥
アドリブ・絡み歓迎
引き続きの【ヨアケ】参戦だ

ああ、頼りにしてるぜ!

うるさいのは何とかした、一気に突破するぞ
代行者の魔力を限界まで引き出す……
使える効果も全てだ

上はクィトちゃんに任せて遊撃に入ろう
突っ込むのはいいが、あんま無理すんじゃねぇぞ姫恋
しゃーねェ、フォローはしてやるよ!

魔力糸で主に姫恋を狙ってるやつを捕縛、少しでも遅延すりゃ何とか出来んだろ
更に行動阻害、味方の攻撃範囲に誘導を狙う

俺がやるのは姫恋の撃ち漏らしと、クィトちゃんが撃ち落としたやつだ
不意打ち気味に失礼 
魔力光の貫通撃と、飛翔を併用した踏み込みからの斬撃でまとめて薙ぎ払う!

そういう事だ、さっさと出てって貰うぜ
嫌なら喰われて貰おうか


シル・ウィンディア
ガンナーってことは、長距離攻撃型か…
懐に潜り込めば何とかなりそうなんだけどなぁ…。
ま、悩むより、やってみますかっ!!

引き続き飛翔で空中戦モードっ!
敵の射撃は、残像を生み出した空中戦機動で回避を行うね
そのまま、ジグザグでフェイントを入れつつ攪乱していくよ

敵がパラドクスを使用したら、直撃を避けるように結界術で強化した精霊結界で防御
そのまま、カウンターで左手の創世の小剣で吹き飛ばしを試みるね

さぁ、防いだよ
次は、こっちから…

飛翔でそのまま接近してから
高速詠唱で隙を減らしての光精瞬殺剣ッ!
短距離でも、瞬間移動できるこれならっ!
不意を突いて切り裂いていくね

攻撃後は、そのまま飛翔で離脱
あとは、本命だけだね


飛鳥・遊里
事前準備:可変バイク【ギガント】をパワードアーマーで装着。後に、空戦装甲【ウェルテクス】を装備

第一のラッパを迎撃した勢いを駆って、【ウェルテクス】高機動形態で敵の陣形に突撃

コキュートス・キャノンをモード3で起動。敵中を高速で縫うように飛びながら、凍結弾の機雷を散布していく。外周から円を描くように、徐々に敵の陣形を狭めていくようにだ。さながら、冷気の檻だな

凍結弾の結界が完成したら、【マルチウェポンデバイス】をガトリング砲に変形させて、結界の外から掃射

何もしなければ蜂の巣、けれど下手に回避すれば凍結弾機雷に触れてたちまち氷像だ。コキュートスの名は伊達じゃないぞ

『一匹残らず、地表に墜ちてもらおうか』


水月・瑠音
敵射線上に魔砲『雷火』を召喚し、魔砲を盾代わりにして初撃を凌ぐ
全く、随分元気なご挨拶ですことで
それなら此方も“とっておきの挨拶”を返してやらなきゃいけないよなァ!

初撃凌いだ後はすぐ魔銃『風沙』を魔砲『雷火』に持ち替え怨嗟集約開始
怨雷の砲撃準備を始める
準備整うまでは魔銃『氷雨』から誘導弾を連射、味方の援護がてら敵の回避行動を妨害してやろう

怨雷の砲撃準備整っても一旦砲撃保留
反撃のうち魔弾はセルフクラフトでコンクリの壁出して射線を切る
ぶち抜かれたとしても威力も速度もがた落ちしているはず。ならば避けるのはそう難くない
突撃についてはむしろ好都合だ。勢いよく此方に突っ込んでくる的を怨雷で撃ち滅ぼしてやる


エヴァ・フルトクヴィスト
部隊を入れ替えましたか。
そして今までのが遊びだったとは……、などというと思ったのですか。
寧ろ、わざわざ前に出て来てくれて感謝ですね。
こちらからおびき出す手間が省けました!

通信で皆さんとやり取りしつつ。
召喚で呼んだ妖精さん達を統率しつつ、こちらも飛翔。
相手の動きを観察し、スピードの緩急やエアライドを使用して軌道を変則的に変えての回避したり。
妖精さん達の魔法弾や自身の斬撃で吹き飛ばしたりして、仲間への支援。
勇気を以って妖精さん達と共に急降下してきた敵へのカウンターと臨機応変に。

配下に任せた結果が護衛が居なくなった貴方の状況ですが。
まさか、彼らはただの飾り、私がいれば十分などという訳無いですよね?


菱神・桐梧
アドリブ連携大好き

これ以上出遅れんのもつまらねえ
俺も一枚噛ませてもらうぜ
せいぜい楽しませてくれよ、雑兵ども!

ふらふら飛ばれちゃ面倒くせえ
距離のあるやつと飛んでるのは鎖分銅を投擲して叩き落とす

落として飛び込めばどうにでもなるな
【ブラスト・チャージ】で一気に距離詰めて
仕掛けていくぜ
派手に立ち回ってんだ、しっかり警戒して囲んでくれ
大太刀にハンマーぶん回して薙ぎ倒してやるからよ!
逃げる奴は追い詰めてぶっ潰す

射撃しながら突っ込んでくる奴はハンマーを盾に凌いでおいて、とっ捕まえてぶん殴る

まだまだ足りねえぞ!
もっと本気出して掛かってきやがれ!


ブラッディ・アロ
アドリブ・連携歓迎

進軍!
盾を振り上げてくれ!
進め!彼らを踏みつぶせ!

血の戦士たちは盾を身の前に掲げて突撃した
彼らの目的は敵の陣形を混乱させ火力を引きつけることである
ディアボロス側が敵を攻撃しやすくする

呪いの魔弾が当たっても血の戦士たちは歩みを止めない
彼らは敵を捕らえ、武器で突き刺す。
彼らは敵を引き留め、味方の魔法の炎に飲み込まれる。

おい、サラカエルよ、お前はすぐに孤立無援になるぞ


ラキア・ムーン
さて、次…か
数が多いと厄介だ
これが戦争に投入されなかっただけマシと考えるべきだが
兎も角、まずは取り巻きから始末させて貰おう
折角得た文京区攻略への足掛かりだ、ここで失う訳にはいかんのでな

飛翔し槍を構えて『突撃』
最大速度、一気に距離を詰める
まずは槍による牽制でガーゴイルガンナーに攻撃を繰り返して敵の混乱を誘おう
敵の部隊に乱れが生じたら此方も本格的に仕掛けよう
【Call:Tornado_Edge】起動
竜巻を発生させて斬り刻む
私もガーゴイルガンナーに対して突撃して発生させた竜巻に『吹き飛ばし』て効果範囲に入れて行こう
敵の攻撃は『臨機応変』に飛翔の速度を出して回避するか、槍で受け止めるか見極めるとしよう


 しゃらくさい、とばかりにまず飛び出したのは桜・姫恋(苺姫・g03043)であった。目的はとにかく敵の数を減らすこと。勇ましい突撃とは裏腹な月の如き洗練された舞と共に乱れ撃つリボルバーの弾丸が、吸い込まれるようにガーゴイルガンナーを撃ち据えた。
「後れを取るな!」
「いや、別の方向からも弾が……うわッ!?」
 モナカ射撃型に搭乗したクィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は機銃で撃ち落とした敵を見下ろして、「んむ」と満足そうに頷いた。
「調子は上々。さあ、うちおとせー」
「うわあッ」
 あっという間に戦場上空はクィトのばら撒く弾幕によって逃げ場がなくなり、敵の追撃を振り切った姫恋は感謝を込めて可愛らしいウインク。
「援護ありがとね、クィト!」
「あんま無理すんじゃねぇぞ姫恋」
 眉立・人鳥(鳥好き兄ちゃん・g02854)の伸ばす指先から浮遊する糸――魔力で縒られたそれがガーゴイルガンナーの腕に絡みつき、姫恋から強引に狙いを逸らした。
「くッ――」
「そらよ」
 ぐい、っと引っ張ってクィトの射程内へ誘導してやれば、瞬く間に蜂の巣だ。
「ふふ、フォローありがとうね♪」
「こっちこそ、頼りにしてるぜ。背中は任せろ!」
 限界まで引き出された代行者の魔力が人鳥の全身からたちのぼる陽炎めいたオーラとなった直後、光線状に集約して放たれる。クィトの機銃によって態勢を崩していたガーゴイルガンナーは眼前に迫るそれに為す術なく貫かれる他なかった。
「よくも!」
 まさか、反撃に出た直後を狙われているとは敵も思わなかったのだろう。急降下体制に入った途端、クィトが機銃を広範囲にばらまいた。
「あとはよろしく」
 すちゃ、と敬礼。
「まかせてちょうだい!」
「腕の見せ所だぜ」
 人鳥はここだ、というタイミングで魔力光を射出。破邪の塊で貫かれた敵は相反する力を叩き込まれた影響ですぐには動けない。
 そこを――斬り捨てる。
 すかさず飛翔、ほとんど空を翔けるも同様の踏み込みによって敵群に飛び込んだ人鳥の宝剣が二体を纏めて薙ぎ払った。
「たまには前線で戦いたくなるのって、やっぱり性分なのかしらね?」
 銃弾の真上をすり抜けるように飛び、姫恋は真剣な顔になる。一瞬で距離を詰め、敵の顎に下から突きつけたリボルバーを笑顔で撃ち放ちながら告げた。
「せっかく取り戻したものをまた奪われるほどお間抜けさんじゃないの。わかった?」
 跳ね返った血飛沫を拭う暇もなく、両手を広げて舞い踊る。戦場は姫恋にとって舞台も同然であった。まるで月のように、その存在に敵すらも惹き付けられる。
「んむんむ、よし」
 クィトは地上を眺めた。最初はあれだけいた敵の軍勢もわりかし減ったようだ。他の人たちが頑張ってくれたおかげだなと感謝しつつ、モナカを操縦しながら攻撃を続ける。
「ここはもう我らの土地……ちょっと違う? まぁいいか」 
 スイッチオンで機銃掃射。迸る弾幕をまともに受けたガーゴイルガンナーが錐もみしながら墜落、人鳥に斬られて真っ二つにされた模様。弾むように反応してやる気を見せるモナカに、クィトが言った。
「とりあえず全員しばき倒して追い返すまで、付き合うのだ。あの目隠ししたのに一泡吹かせてやる」
 
 サラカエルは仰々しく肩を竦めるような仕草をして、自らを警護するガーゴイルガンナーの隊長格を叱責した。
「なぜ、拮抗状態にあるのです? もっと激しく攻め立てなさい」
「はっ! 攻撃を集中させろ、敵の前面から切り崩すのだ!」

 あれは石化を誘発する呪詛の弾だ、と即座に判断した水月・瑠音(魔銃の奏者・g02254)は魔砲『雷火』を即座に召喚。橋の袂を塞ぐように置いたそれが身代わりとなって冷たく硬く変り果てる中で、直ちに次の武装を構えた。
「まったく、随分元気なご挨拶ですこと」
「ふん、いい度胸だ。進軍! 盾を振り上げてくれ!」
 ブラッディ・アロ(鮮血ノ王・g05921)が高々と掲げた手の動きに合わせ、血の戦士たちが盾を体の前に構えて突撃の準備を行う。
 半分石化しながらも、雷火の砲撃に必要な部分は生きているようだ。瑠音が構えると、すぐに周囲からエネルギー源となる怨嗟吸収が開始。昏い気のようなものが雷火を中心とした渦状になって引き寄せられ始めた。
「させはせん!」
 突撃するための姿勢を取るガーゴイルガンナーには構わず、ブラッディは掲げた手を勢いよく振り下ろした。
「進め! 彼らを踏みつぶせ!」
 瑠音の発射準備が整うまでの時間を稼ぐが如く、一斉に進軍を開始した血の戦士たちの歩みは力強く不退転なものであった。
「撃て、撃て!!」
 石化の呪詛弾を受け、斃れた戦士の後ろから新たな戦士が進み出る。ごくりと敵が息を呑む気配が伝わった。突撃してきた敵は相討ちも覚悟で捕獲し、無理やり槍や剣で突き刺してゆく。
「なんという……これではいくら撃っても意味がないではないか」
 それは血の行軍だ。
 斃されることを承知の上で、橋上を征く。逃れようと足掻く敵を瑠音の魔銃『氷雨』から迸る誘導弾が撃ち倒して邪魔をした。体勢を崩されたところを戦士に射られ、血の海にまたひとりと沈む。
「さてと、あとは頃合いだけだが――」
 セルフクラフトで作り出したコンクリの壁に阻まれ、敵の弾丸は瑠音の脇を逸れるばかりだ。もはや相手のパターンは把握しつつある、ということ。
「“とっておきの挨拶”を返してやるんだ、最高のタイミングでぶちかましてやらないとなァ!」
「――なッ」
 瑠音が動いたのは、敵が勢いよく翼を開いて突撃したまさにその瞬間。雷火のエネルギー充填は満了、貯めこんだ人々の怨憎の残滓をここぞというタイミングで解き放つ。
「ひ……、な、なんだこれは――!?」
「呪詛を扱う者が情けないな」
 自分まで呪いに蝕まれつつも、瑠音は何ということはなしに祟られて怯える者らを眺めやった。
「挨拶代わりだ、受け取れ」
「ああッ……――」
 呪いに呑まれ、苦悶しながら消滅してゆくガーゴイルガンナー。逃げられぬように両脇を押さえつけているのはブラッディの戦士たちだ。彼らもまた、呪いに汚染されて頽れながらも最期まで敵と戦い続けるのであった。
「おい、サラカエルよ。お前はすぐに孤立無援になるぞ」
 ブラッディの勇壮なる叫びを聞いたサラカエルは微かに呟いた。

「……戯言を」
「しかし、押されているのは事実です。このままでは――うッ」
 進言するガーゴイルガンナーの喉元に杖を突き付け、サラカエルは低く告げる。
「役目を果たしなさい」
「は……はッ!」

「うーん、長距離攻撃型のガンナー相手か……無策で突っ込んだら蜂の巣だよね。懐に潜り込めばなんとかなりそうなんだけどなぁ……」
 ならば、とシル・ウィンディア(虹色の精霊術士・g01415)は空中戦で挑みかかる。迫る弾丸をぎりぎりで躱して、急旋回。残像と予測不能な軌道に惑わされ、まともには当たらない。
「機動力なら負けないよッ!」
「ぐぬ……!」
 さらには、高軌道形態で援軍に駆けつける飛鳥・遊里(リサイクラー・g00512)の凍結弾機雷が戦場に投下されていった。機体に積んだ機雷を、遊里は外周から円を描くように散布する。さながら、冷気の檻といったところか。前後左右を機雷群に囲まれたガーゴイルガンナーは身動きを封じ込められたも同然であった。
「機雷設置完了」
 遊里はいったん急上昇して戦場上空から全体を見渡せる位置を取る。そしてマルチウェポンデバイスをガトリング砲に変形、仕掛ける好機を待った。
「くそ、やられる前にやる!」
 ガーゴイルガンナー達が一斉に石化の呪詛弾を放つ。待ってましたとばかりに、シルは結界術で強化した精霊結界で弾丸を跳ね除けた。
「いくよっ!」
 そのまま、カウンターの要領で左手に構えた創世の小剣を翻す。直撃を受けた敵が吹き飛び、陣形が乱れたのを遊里は見逃さなかった。
「一斉掃射を行う! 一匹残らず、地表に墜ちてもらおうか」
 それは敵に二択を迫る攻撃であった。
「ぐ――ッ」
 躱せば機雷に当たり、そのままなら蜂の巣だ。ガーゴイルガンナーのうち、ある者は前者を選び、ある者は後者を選んだ。
「くう……ッ!」
 必死に急所を庇い、弾丸に耐える者。
「ああッ」
 氷像となってそのまま活動を停止してしまった者。
 そして――シルの剣が瞬いた。弾幕と機雷に翻弄される敵群のすぐ間近に突如として現れたシルは彼らの虚を突いて輝く剣閃を見舞ったのである。
「――ふぅ」
 再び上空へと舞い上がり、切り裂いて倒した戦果を数えた。
「これでかなり減ったかな?」
「ええ、あとは護衛役の一隊が残るだけですね」
 パラドクス通信を繋ぎ、エヴァ・フルトクヴィスト(星鏡のヴォルヴァ・g01561)は戦況の把握に努める。ディアボロスは敵部隊の入れ替えに見事対応し、またしても数多くのトループス級を葬ったのだ。
「今までのが遊びだったとは……、などという言葉を期待しているのだとしたらお生憎様です。むしろ感謝しているくらいですよ!」
 おびき出す手間が省けたとばかりに、エヴァは妖精を引き連れて飛翔する。空からの侵攻と同時に、地上では菱神・桐梧(喧嘩屋・g05613)が武者震いしながら突撃の時を待ちわびていた。
「やっと出番か」
 軽く膝を曲げ伸ばし、不敵に笑う。
「せっかくだから俺も一枚噛ませてもらうぜ。せいぜい楽しませてくれよ、雑兵ども!」
 挨拶代わりに投げ飛ばした鎖分銅が直撃する手ごたえに奮い立ち、思いっきり地上に向かって叩き落してやった。ここからは俺の独壇場だ――弾丸が放たれる中を問答無用で突撃、ハンマーで薙ぎ倒した相手を大太刀で突き刺す。
「おらおらぁッ! 全部俺が相手してやらァ、かかってこいよ!!」
「くッ!!」
「はん!」
 無駄だと言わんばかりに、桐梧はガーゴイルガンナーの弾丸をハンマーで食い止めた。にやりと笑ってそのまま歩み寄ると、気圧されたように敵が呻く。
「う……く……ッ」
「へへッ、捕まえたぜ」
 胸倉を掴み、力いっぱいの拳で殴り倒した。
「なぜだ、これだけの軍勢でどうして勝てない?」
 思わずこぼれた疑問に答えたのはラキア・ムーン(月夜の残滓・g00195)である。彼らがそう考えるのも無理はあるまい。もしも戦争に投入されていれば、戦局が変わってしまったかもしれないほどの大群だ。これをもってすれば目的の土地を奪還できると奴らも当然思ったことだろう。
「折角得た文京区攻略への足掛かりをここで失う程、愚かではなかったということだ。我々ディアボロスを舐めてもらっては困るのでな」
 まるで騎士が誓いを立てるかのように槍を構えたラキアは、最大速度にて一気に敵陣へと迫る。もはやあれだけいた改造兵のほとんどが斃れ、ガーゴイルガンナーにおいても僅か数体が残るのみ。
「速い――!」
「さあ、ついてこれるか? 私の動きに」
 ラキアは牽制するように槍を繰り出し、敵をばらばらになるよう誘導して陣形を崩してしまった。ほぐれて秩序を失った敵群の合間をエヴァが縦横無尽に飛び回ってさらに攪乱する。
「妖精さん、いってください!」
 敵の急降下を急角度の三角跳びで躱し、妖精の魔法弾を撃たせて敵の手元を狂わせた。そこへ踏み込んだ桐梧のハンマーが勢いよく旋回して敵を打ち砕く。
「まだまだ足りねえぞ! もっと本気出して掛かってきやがれ!」
 挑発に乗った相手の爪が振り下ろされるより早く、エヴァの操る対の短剣が閃いた。吹き飛ばした先にはラキアの発動した風の術式が巨大な竜巻となって渦巻いている。
「このトルネードエッジからは逃れられんぞ!」
 瞬く間にガーゴイルガンナーの身体が竜巻に巻き込まれて消えた。
「貴様ッ!」
 我を忘れて飛びかかる別のガーゴイルガンナーからラキアはひらりと中空を翔り飛び、そのまま槍を薙ぎ払って竜巻のただ中へと叩き込んでしまう。しばらくは聞こえていた悲鳴も、時期に止んだ。
「これで全部か?」
「そのようですね」
 エヴァは頷き、帽子の陰からサラカエルを見つめる。
「配下に任せた結果がこの状況ですが……まさか、彼らはただの飾り、私がいれば十分などという訳無いですよね」

 護衛すらも失い、いまや最後方どころか最前線にその身を晒したサラカエルは杖を弄びながら静かに言葉を紡いだ。
「……仕方ありませんね。認めましょう、今回の戦においてはあなた方の方が一枚上手だったことを。ならば、私のやるべきことはひとつだけです」
 サラカエルの腰かける三日月型の玉座が薄っすらと輝き始める。まるで光に集まる虫のように現れた死者の軍勢が彼女の背後に群がって、低く掠れた怨嗟の声を上げた。
「あなた方をひとりでも多く道連れにして逝くこと。ほら、私の“眼”を御覧なさい。あなた方の過ちを思い知らせてあげましょう……!」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【士気高揚】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
【避難勧告】がLV2になった!
【神速反応】LV1が発生!
【冷気の支配者】がLV2になった!
【悲劇感知】LV1が発生!
【エアライド】がLV2になった!
【隔離眼】LV1が発生!
【ハウスキーパー】LV1が発生!
【腐食】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV8になった!
【先行率アップ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV4になった!
【ロストエナジー】がLV4になった!
【ダブル】がLV3になった!

飛鳥・遊里
事前準備:可変バイク【ギガント】をパワードアーマーで装着

さて、後はアンタだけのようだ。一応聞くけど、まだやるか?

まあ、答えなんて決まってるだろうけどな。そして、その答えがどうであろうと、俺たちの対応も変わることはない

【マルチウェポンデバイス】をバスターライフルに変形、プラズマ・バスターをモード1で起動

小細工無用だ、一気呵成に吹っ飛ばす
【シールドビット・デバイス】を広域展開して、射撃中の隙をカバー
次弾のチャージが終わり次第即座に砲撃、一息だって入れさせやしない

…そうか、死者の傀儡達がいたんだったな
砲撃でまとめて薙ぎ払い、せめて一瞬で蒸発させる
すまないな、俺に出来る救いと言ったらこれぐらいなんだ…


ルキア・アダマント
あとはサラカエルをやっつけるだけだね。
あんなに大勢引き連れていたけど、あっという間に一人になっちゃったわ。
本人も負けを認めているようだし、このままおとなしく消えてもらえないかな。

『眼』を見ろ、ですって。……布のこと?
悪あがきもほどほどにしてほしいよね。
でもそれなら……さぁ、もう一仕事よ、私の悪魔。
あの『眼』の奥まで睨みつけておやりなさい。
布の下がどんな表情なのかわからないけど……蛇に睨まれた蛙みたいな顔にさせちゃうのよ。

レーザーや大鎌でも、視線を断ち切ることはできないわ。
それにあんなに大きな武器、振るえばできる隙も大きくなるはず。
上手く躱せれば、より大きなダメージを与えられるんじゃないかな。


桜・姫恋
絡み・アドリブ歓迎

【ヨアケ】で引き続き参加。

さて、残るはあなただけよ?

過去の過ちって何かしら?記憶ないからわからないけどあなた達のいいようにさせないっていうのだけは確かね。

《氷雪舞》にて敵の頭上に氷の塊を出現させそこから敵に向かって雪の結晶の幻覚魔法のかかった氷の礫が敵へと降り注ぐようにする。

氷塊に気づかせないために【氷雪使い】で敵の足元に氷を生成し、敵の注意をそちらへ。

私達が負けるわけないのよ!!
近接組が近づけるように【飛翔】で飛びながら【冷気の支配者】で急激に気温を下げ【風の使い】と《氷雪舞》を合わせてサラカエルに向けて吹雪を起こさせ視界を奪う。
みんなあとは頼んだよ!


シル・ウィンディア
天使様、あとはあなただけだから。
覚悟してもらうよっ!!

過去の過ちって言われても、わたし記憶がないしなぁ…
でも、無い記憶の底から、こみあげてくるものはなんだろ。
悲しみ?怯え??
…でも……。わたしは、それも乗り越えていくんだ
何気なしに、聖光石のアミュレットを握って…

うん、大丈夫。
この暖かさがあるから、わたしは戦えるっ!

自分を取り戻したら、飛翔で上空へ飛んで空中戦
ネメシスモードも開放して、背中に光の翼を発現させるよ

あなたは踏み込みすぎたんだ
触れていけないものを見たから
…覚悟はいいよね

詠唱しつつ、敵の動きを観察して隙や体勢を崩したら
全力魔法の六芒星精霊収束砲っ!
わたしの新しい力、その身で味わってっ!!


眉立・人鳥
アドリブ・絡み歓迎
引き続きの【ヨアケ】参戦だ

お前に言われるまでもねェ……俺の過ちこそが闘う理由だって事を
冥土の土産に教えてやるよ

ドローン展開。レーザーの的を絞らせないよう、ドローンに射出した魔力糸とエアライドで立体機動しつつ獄炎の悪魔の魔力塊を投擲、爆破して気を引きながら接近だ
姫恋の氷塊には気づかせねェ……幻術にかかったなら、その喉笛に喰らいつくッ!
大鎌の攻撃が来るようなら、神速反応で対応
活性治癒と捕縛で喰らい尽くすまで離さねェ……!
山分けって事だったな、こっちも味わえ!
クィトの繰り出す生者瞰下す轢る獅子に向けて、そのまま押し込むぜ

お前の力も俺の復讐の糧にさせて貰うぞ、月光天使


クィト・メリトモナカアイス
【ヨアケ】

? 見ろと言われても見えない。(眼を見ろと言われたのに対して)

人が動いてる。
我は。そういうのは好きくない。
追い返すまでしばき倒すつもりだったけどやっぱりやめ。
汝は返さず。

人鳥、姫恋と連携してまずは操られてる人達を突破する。
人鳥の魔力塊に投擲に合わせて我も「モナカ」爆撃型で爆撃する。
姫恋の吹雪で視界を奪った隙に突撃型、斬撃型で道を切り開いて【エアライド】でサラカエルまでの移動経路を見つけて人の集団を跳び越えていく。

たどり着いたら「生者瞰下す轢る獅子」。逆手に持ち替えた黄金猫拳打棒で刺し貫く。

汝の名は語られず、刻まれず。
汝に帰る処はない。


アンゼリカ・レンブラント
『TOKYOカテドラル』に攻め込むためにも、
ここでサラカエルに負ける訳にはいかないぞ!
敵も消えているようだし、覚悟だよっ!

仲間と合わせ【突撃】し、パラドクスの光拳で
殴りかかるっ!
【粉砕】の一撃を叩き込んだ後は、

そのまま前線を担い【グラップル】で押さえて
仲間の攻撃を命中させる、フェイントを使い相手の隙を誘うなど
パワフルに臨機応変に動いていこう

相手の攻撃には、なんだか和装の少女とか見えるかな
記憶のない私だけど、心に重いものが――
でもここで止まるもんか!
苦しむ人々の事を想い、【勇気】を溢れさせ足を止めないよ

惑いを払うように【呼吸法】で力を整え
渾身の《断罪スクリューブロウ》だ!
これで、どうだぁーーっ!


一里塚・燐寧
やっほー、本物のサラカエルちゃん見てるぅ?
今から分身ちゃんをズタズタのバラバラにしちゃいまーす
目を覆うなら今の内だよぉ。あ、最初から覆ってるかぁ!あっはっは~

『呪式:慟哭業刃』を発動
呪詛の鬼火を纏わせた巨大鎖鋸剣『テンペスト・レイザー』を手に
【残像】が生じる程の速さで走り
立ち塞がる死者の群れを【解体】してサラカエルに迫るよぉ
きみ達の分もあのクソ天使をギタギタにしたげるから、ゆっくり休んでねぇ

敵の群れを割ってサラカエルの目前に現れたら
『テンペスト・レイザー』を突き立て
多少の反撃は顧みない【捨て身の一撃】でガリガリと削り斬るよぉ
……絶対楽には死なせないよ、クソ天使!

共闘・アレンジ大歓迎。よろしくー


エヴァ・フルトクヴィスト
眼を見て、幻影を見ますよ。
救えなかった人々や仲間であろう者達の守ると約束は?
何故生き残っているとの怨嗟の声が。

邪眼を浄化と治癒活性で治療、
魂に刻まれた怒りが殺気となってサラカエルへ。
守るべき人々、仲間もその記憶も奪ったのはお前達だろうに!!
残りし残滓であり、関係性はもう忘却の彼方為れど。
彼らを穢すな!私の罪を過ちを知った風に語るな!

光の槍を高速詠唱で複数生み出しつつ、
通信で仲間と連絡を取りつつ放って攪乱したり、吹き飛ばして支援したり。
相手に隙があれば勇気を以って仕掛けて、
光の槍でダメージを更に突いて貫通の一撃を。

もう一人も逝かせません。そして貴方の過ちを識れ。
我らの怒り、その根源はお前達だ!!


菱神・桐梧
アドリブ連携大好き

過ちだぁ?
こちとら清く正しく喧嘩してんだ
身に覚えが無えな

亡者どもにいちいち構ってられるか、大太刀でぶった斬りながら【突撃】だ

瓦礫や亡者を盾にしつつ
レーザーは【ダッシュ】で細かく掻い潜りながら肉薄して殴りにいく

なんか狙ってるみてえだなァ、一つ斬らせてみるか
わざと大振りの一撃を放ち、隙を見せてカウンターのパラドクス【ペインフル・アヴェンジ】を発動

捕まえたのはお互い様だ、
痛えのは俺か、お前か。どっちだろうな?
試してみようぜ!
ガラ空きの土手っ腹に【捨て身の一撃】、ぶち込んでやるよ!

古傷抉るような真似は止めときな。
痛い目見るぜ?


水月・瑠音
死体弄びとは随分悪趣味な大天使様もいたものだね
偉そうな口上述べる前に先ずはお前の所業を見直せよ

邪魔な死体達は魔銃『氷雨』から【誘導弾】を【連射】、【制圧射撃】を仕掛けて一掃
無為に死体を傷つけるような真似はしたくはないんだけど、この状況じゃそうも言ってられないし
元になった人達には悪いが片っ端から【破壊】させてもらうよ

サラカエルには【翻刃】で攻撃
魔剣『涜神』のうち6本はわざとギリギリ外れるように投射
後に投げる7本と合わせて前後から挟撃する形を狙う

避けたと思った魔剣に貫かれて隙が出来てくれれば上々
間抜け面晒してる間に誰かが追撃してくれれば尚良しだ


ブラッディ・アロ
はは!いよいよ終盤か。
これからは、指揮も、部下も、計略も、一切不要だ。
必要なのは、純粋な力と破壊だけ

血の戦士は血に戻り始め、その血はアロの周囲に集まり、彼女を外界から遮断した。
血の壁が散った時、幼い少女の姿は消え、代わりに凶暴な笑みを浮かべる戦士が現れた

これからは暴力の時間だ

戦略も計画もありません
目標に向かって突き進んで、邪魔なものをバラバラにしていくだけ


四葩・ショウ
旅立つなら、おひとりでどうぞ、天使さま
連れていかせたり、しない
誰も!

【飛翔】して、一気に近付いて
【貫通撃】をしかけよう

"ショウちゃん!"
ーー……■■?

ああ、無邪気に笑う、あの子(妹)の姿
あの日のままの姿で
いつもの笑顔で
"いじめちゃダメ!"
"どうして、こんな事するの?"……なんて
手を伸ばして駆けてくるのを
ふるえるこの手を伸ばして、
ほんとうは抱きしめたかった
……でも、

硝子のレイピアを一閃、横へ凪ぐ
……ごめんね、でも
この復讐が誰に責められたって、過ちだって
どんな事をしてでも、取り戻したいんだ
わたしは、間違ってない
復讐神の力で
知らず髪の毛先が白焔と燃え

真っ直ぐ翔て捕まえたなら
「Lilium」で、貫いて


 いよいよ終盤とあって、ブラッディ・アロ(鮮血ノ王・g05921)は勇ましい笑い声を戦場に鳴り響かせた。望むところだとその瞳が告げている。
「これは……」
 ブラッディが召喚し、敵を蹂躙した血の戦士たちが液体へと戻り始めるのをサラカエルも視た。
「そう、これが戦士たちの招待だ。そして暴力の時間が始まる」
 いつしかブラッディの全身は血で覆われ、外界の様子は何も伝わらなくなった。胎内で成長する赤子のように、血の壁から吸収した力を己のものに変えたブラッディが文字通りに“生誕”する。
「ハッハァ!! 覚悟しろよ、サラカエル」
 血の壁が弾け、飛び出したブラッディはもはや幼い少女ではなく狂暴なる戦士そのものであった。当然、サラカエルに逃げるという選択肢はあり得ない。
「それがアンタの答えか?」
 飛鳥・遊里(リサイクラー・g00512)の手元でバスターライフに変形したマルチウェポンデバイスがブラッディと挟み撃つ形でバスターライフル化、動力炉がフル回転してプラズマエネルギーを高めてゆく。
「一応聞いておこう。まだやる気はあるのか、とな」
「ふふ。私の答えなどご存じなのでしょう? 見ればわかります」
「ああ、そうだな」
 返答を敢えて言葉にする必要はなかった。モード1、強力無比なる砲撃がサラカエル目指して迸る。とっさに杖を翳すも、あまりにも激しいプラズマエネルギーは無傷で耐えきれるものではなかった。
「く……!」
「もらったぞ!!」
 ブラッディの拳が唸り、腕輪を身に着けた手元がサラカエルを強かに打ち据える。
「ッ……おのれ……」
 サラカエルの玉座より降り注ぐレザーにも怯まず、ブラッディは再び接近して暴れ狂った。
「はは! 杖じゃなくて鎌だったんだな、それッ!!」
 素手で鎌の刃を攫み止め、にやりと笑う。その間に遊里の次弾がチャージ完了し、再びサラカエルを撃ち据えた。
「一息だって入れさせやしないさ」
「少しは楽しませてくれそうですね」
 一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は大きく手を振り上げる。サラカエルに――ではない。どこかでこの戦いを見ているかもしれない、“本物”のサラカエルに宣戦布告したのだ。
「やっほー、本物のサラカエルちゃん見てるぅ? 今から分身ちゃんとズタズタのバラバラにしちゃいまーす」
 耳に手を当て、燐寧は「うんうん」と頷いた。
「返事がないってことはやっちゃってもいいってことだよねぇ」
「――お待ちなさい」
 目の前のサラカエルが突っ込むが、用があるのはお前じゃないとばかりに無視してテンペスト・レイザーを起動。唸りを上げて回転する鎖鋸剣が紫色の鬼火を纏っていつでも斬りかかれる状態に切り替わった。
「目を覆うなら今の内だよぉ。あ、最初から覆ってるかぁ! あっはっは~」
「いい加減に……」
「はいはい」
 直後、燐寧は風よりも早く死者の群れを突っ切っている。怨嗟の声を上げ、次々に襲いかかるそれらを一瞬で解体してしまう。
「ゆっくり休んでねぇ」
 片目を閉じて、冥福を祈りつつ――前へ。
「止めるのです!」
「させるかよ」
 まるで波涛のように押し寄せる死者をシールドビット・デバイスによって阻む遊里。ビットにへばりつき、齧ってでも破壊を試みる死者を悼みながらも砲撃のトリガーを引いた。
 一瞬にして、塵も残さず蒸発する。
「すまないな、俺に出来る救いと言ったら他には何もないんだ……」
 割れた道を突き進み、燐寧がサラカエルの目前に姿を現した。
「いくよぉ」
 鎖鋸が纏う鬼火の呪いが、毒が、何もかもを腐り朽ちさせる業刃がその身を深々と削り取るだろうから。燐寧は渾身の力でそれを突き立てる。
「ッ……」
 とっさにサラカエルが反撃に出るが、燐寧は構わず攻撃だけを続けた。鎌に斬られた傷口から血が噴き出す。そんなのどうでもいい、と更に回転数を上げた。
「貴様、なぜそこまで……!?」
「分身の分際で煩いんだよなぁ、クソ天使!」
 燐寧は間近で睨みつける。
「楽に死ねると思わないでよねぇ……あたしもテンペスト・レイザーも、まだまだやる気なんだからさぁ……!」

「んー……」
 桜・姫恋(苺姫・g03043)は唇に指先を当て、軽く考え込んでから小首を傾げる。
「過去の過ち、ねえ。記憶がないとはいえ……全っ然思い当たらないわ」
 言い終えると同時に、サラカエルを中心に敵群一体の足元が氷結によって凍り付いた。心当たりがあろうがなかろうが、相手の好きにさせてやるつもりなど姫恋にはさらさらなかったのである。
「ふふ、この程度の氷で死者の足を止めることなど不可能ですよ」
 眉立・人鳥(鳥好き兄ちゃん・g02854)はサラカエルの玉座に再びレーザーの光が集まるのを見て、手に巻き付けた魔力糸をぐいっと引っ張った。
「当てられるもんなら当ててみな……!」
 まるでワイヤーのようにドローンへ繋げた魔力糸を軸にエアライドを組み合わせて戦場を立体的に飛び回る。
「小癪な」
 人鳥の投擲した魔力塊がレーザーを相殺し、残るそれを間一髪で潜り抜けた。目標の前に立ちはだかる死者の群れはクィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)が引き受ける。
「眼? 見ろと言われても見えない」
 クィトはサラカエルの言葉には耳も貸さず、爆撃型のモナカを先行させて一気に爆弾を投下した。ひとつ爆ぜるごとに大穴が空き、死者たちの群れに欠けが生まれる。
「私の“眼”はこれです」
 サラカエルは自分の顔を覆う布を示し、欠けた分の死者を再び呼び出した。
「我は。そういうのは好きくない」
「それはそれは。どうやら、私たちは気が合わないようですね」
「別に合いたくもない」
 会話を続け、クィトはサラカエルの気を引き付けた。頭上から降り注ぐ氷の礫はしかし、雪の結晶の幻覚魔法によって美しく舞う煌めきにしか見えなかったであろう。
「これは――!?」
 実際に直撃を受けて初めて、サラカエルは罠に嵌ったことに気が付いた。戦場上空に氷塊が出現している。姫恋の密やかなる仕業であった。瞬く間に氷の礫と化して、敵群に降り注ぐ。
「今更気づいても遅いわよ!!」
 飛翔を続ける姫恋が巻き起こす吹雪が上層より激しく吹き下ろし、周囲の気温を一気に下げた。特に雪風の激しいサラカエル周辺は真っ白に染まった状態である。
「くッ、視界が――」
 素早く懐へ飛び込んだ人鳥の手元で、餓えた獣のような鳴き声がした。
「お前に言われるまでもねェ、俺の過ちこそが闘う理由だって事を冥土の土産に教えてやるぜ!」
「がッ……」
 人鳥の左腕が巨大な怪物と化してサラカエルの喉笛に喰らいついた。血が飛び散り、骨を砕かんとする鈍い音が伝わる。
「う、ぐ――」
「おっと」
 振り回された大鎌の刃を、身を逸らして躱す。ぎっちりと噛み付いた牙は捕縛の効果で離れる気配すら感じられない。残るモナカも次々と飛び出し、刃での切り裂きや体当たりで吹雪をものともせずに死者の群れを跳ね除けた。クィトはモナカから飛び降りて空中をエアライドで駆ける。打棒を逆手に持ち替え、最後の跳躍と同時に柄の先を突き出した。
 気が変わったのだ。追い返すまでしばき倒すつもりだったのは過去の話で、いまはもう返す気などさらさらない。
「ふたりとも、やっちゃって!」
 姫恋の吹雪が更にサラカエルを激しく取り巻いた。
「いくぜ、クィト! 山分けだ!」
 思いっきり、振り回すような格好で人鳥は喰らいついたサラカエルの身体をクィトに向かって突き出すように押し込んだ。
「お前の力も俺の復讐の糧にさせて貰うぞ、月光天使」
 ごくりと、怪物が美味そうに喉を鳴らす。
「なッ……」
 サラカエルの胸から、貫いた柄の先が突き出していた。背中から深々とクィトが串刺したのである。
「汝の名は語られず、刻まれず」
 だから、帰る処は――ない。
 
「旅立つなら、おひとりでどうぞ。天使さま?」
 四葩・ショウ(Leaden heart・g00878)は飛翔する。空を飛ぶのは天使の専売特許に非ずと言わんばかりに優雅に、激しく。
「どこからでもいらっしゃい」
 待ち構えるサラカエルの“眼”が妖しく光った。
 ――"ショウちゃん!"。
「え?」
 ――……■■?
「まさか――」
 ショウは愕然と眼を見開いた。
 無邪気に笑う、あの子――妹――の姿がそこにあった。あの日の姿のままで、いつもの笑顔で。いじめてはいけないと、なぜこんな事をするのかと交わしたやり取り。
 駆けてくる、手を伸ばしてこの腕に飛び込んでくる。ショウは震える手を伸ばして――けれど、思い止まるようにその指先をきつく握りしめた。
「これは――」
 エヴァ・フルトクヴィスト(星鏡のヴォルヴァ・g01561)は布に描かれた“眼”を通じて救えなかった人々や仲間であったろう者達の幻影を――彼らに責め苛まれるという幻を体験する。
 ――守ると言ったくせに。
 ――なぜ、お前だけが生き残っている?
 まさしく、サラカエルの攻撃は幻覚を視た者に悔恨の感情を植え付けて戦意を喪わせるための卑怯な精神操作であった。
「なんだろう、こみ上げてくるこの感情……」
 シル・ウィンディア(虹色の精霊術士・g01415)は胸に手を当て、痛むように疼く感覚に首を傾げる。記憶のないこの身がどうして、こんな悲しみとも怯えともつかない何かを感じているのだろう。無意識のうちにシルは聖光石のアミュレットを握りしめる。
「……うん、大丈夫。わたしは乗り越えるよ、そして戦うんだっ!」
 シルはさらに高く、背に負った光の翼を羽ばたかせて舞い上がる。復讐心を揺らがせるための策略はむしろ、ネメシスとしての本性を呼び覚ます方向へ作用したのだ。
「矛先を、逸らすな」
 ぽつりとエヴァの口からこぼれた言葉。それをきっかけにあふれ出た浄化の気が幻覚ごと穢れを洗い流すように周囲を満たしてゆく。
「守るべき人々、仲間もその記憶も奪ったのはお前達だろうに!!」
 それらを穢された怒りが心底からエヴァを突き動かした。例え残滓であろうと、その関係性が忘却の彼方にあろうとも――。
「私の罪を、過ちを知った風に語るな!」
 エヴァの唇が紡ぐのは、嘆きではなく敵を葬り去るための呪文。トネリコの枝よ、いまここに権限いて生命の輝きを示し給え。
「くッ」
 こんなはずではなかったとサラカエルがほぞを噛む。
「なぜ、悔恨に押しつぶされないのです。復讐とは後悔と表裏一体なるもののはず……少し手を加えてやるだけで、その怒りは己へと向かって自壊するはずなのに……」
「それは、取り戻したいから」
 ショウのレイピアが一閃し、幻影ごとサラカエルを真横に斬った。
「……ごめんね」
 悲しそうな瞳で消えてゆく“あの子”に胸が押しつぶされそうになるけれど、でも。
「この復讐が誰に責められたって、過ちだって……どんな事をしてでも、取り戻したいんだ。この、わたしの手で!」
 まるで白焔の如く、ショウの髪の先が揺らめいた。
「まずいですね……」
 己の作戦の失敗を悟ったサラカエルは居心地の悪さを誤魔化すように身じろいだ。シルは容赦なく、全力で精霊たちの助力を求める。
「あなたは踏み込みすぎたんだ。触れてはいけないものを見た覚悟は……できてるよね、天使様? あとはあなたを倒せば終わりだよっ!!」
 覚悟、とシルは描き終えた魔法陣から極大の精霊砲を引きずり出した。同時に背中の翼が展開して砲撃の反動を抑える。
「どこへ逃げる気だ?」
「はッ――」
 エヴァの放つ光槍に吹き飛ばされ、サラカエルは玉座ごと後ろの塀に叩きつけられた。
「く……」
 態勢を立て直そうにも、瞬く間に迸る槍の穂先が行き場を先読みしたかのように突き刺さって逃げ場を塞いでしまう。
「私が敵の足を止めましょう」
「了解っ!」
 パラドクス通信を通じて、シルが頷いた。ショウが真っすぐに――ひたむきに、空を翔ける。胸にかざす指先が引き抜く、ただ一輪の白きスピアが如き輝き。
 その名を、Lilium。
「捕まえた」
 サラカエルは己を貫くそれを、信じられないといった顔で見つめた。ショウが引き抜き、飛び退くのと入れ替わりで今度はエヴァの光槍が同じ場所を穿つように突き抜ける。玉座の三日月へ縫い留められるような格好で、磔に。
「もう一人も逝かせません」
 エヴァは罪の所在を示すようにサラカエルと指さした。
「お前たちこそが、我らが怒りの根源。今こそ、貴方の過ちを識れ……!」
 ここぞ、とシルは精霊収束砲の引き金となる最後の呪文を唱え切った。六芒星から放たれる最大規模の魔砲がサラカエルを捉え、呑み込んだ。
「わたしの新しい力、その身で味わってっ!!」
「あ、ああ……ッ……!!」
 掠れた悲鳴すらも、すぐに聞こえなくなる。戦場は深く抉られ、爆ぜた後の残滓のような魔力の揺らめきが陽炎のように直撃跡から立ち上っていた。

「この程度で……ッ」
 サラカエルは態勢を立て直す時間を稼ぐため、自らの周囲を死者の群れで埋め尽くす。水月・瑠音(魔銃の奏者・g02254)はつまらなさそうにそれを見つめ、構えた魔銃『氷雨』からばら撒いた弾で瞬く間に一掃するのだった。
「死体は弄ぶもんじゃないよ、悪趣味な大天使様? 偉そうな口上述べる前に、先ずはお前の所業を見直すことだな」
 悪いな、と微かに呟いてとにかく時間をかけないように片っ端から吹き飛ばす。菱神・桐梧(喧嘩屋・g05613)は手負いの死者を大太刀で邪魔だと言わんばかりに薙ぎ倒し、一気に突撃した。
「こちとら清く正しく喧嘩してんだ。過ちだなんだと身に覚えのねぇ難癖つけられる筋合いはねぇぜ!」
 その時、サラカエルの玉座がエネルギーを溜め込むように一瞬だけ明るく輝いた。とっさに桐梧は瓦礫の影に飛び込んで難を逃れる。
「ちッ、らああッ!」
 手近にいた死者の襟首を掴み、強引に盾にして更に迫った。足先に神経を集中させ、ぎりぎりまで引き付けてから真下を潜るように躱す。あるいは左右にジグザグと跳んで翻弄し、とにかく動きまくって狙いを散らした。
「止まりなさい……!」
 再び、迸る無数のレーザー光。ルキア・アダマント(金時計に刻む記憶・g04840)は自分を守るように立ちはだかる悪魔にこう尋ねた。
「さっきあの大天使が言っていたこと、聞いてた? “眼”を見ろ、ですって……あの布に描かれた絵のことらしいわ」
 ルキアは悪足掻きする敵に横目を向け、呆れたように肩を竦める。あれほど大勢引き連れていたにも関わらず、サラカエルはもはや最後の一人であった。
「このままおとなしく消えてもらえないかな。改造兵もガンナーも、死者すらいなくなった後のあなたに何ができると言うの?」
「戯言を」
「そう、強がりなのね」
 ならば、思い知らせてやるべきだろう。ルキアはそっと悪魔の袖を引き、耳元で何かを囁いた。
「さぁ、もう一仕事よ、私の悪魔。簡単なことだわ。あの“眼”の奥まで睨みつけておやりなさい」
 影のような悪魔がルキアの元を離れ、サラカエルに向き合う。同時に突撃していたアンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)はその身に纏う光の力を握りしめた拳ひとつへと集約させ、渾身の力で振り抜いた。
「覚悟だよ、サラカエルっ!」
「ぐッ――」
 受け止めた鎌の柄に亀裂が走る。アンゼリカはそのままサラカエルの四肢を固め、身動きが取れないように抑え込んだ。
「さあ、今だよっ!」
「な……」
 ルキアの悪魔に睨まれたサラカエルが不自然に動きを止める。アンゼリカの肘が首を絞め、顔を背けられないように固定した。
「ぐ――」
 そう、視線だけは断ち切ることができない。
「それはあなたが一番知っていることじゃなくて? 邪視使いの大天使」
「おのれ!」
 狙いもなにもなく、憤りのままに乱れ撃たれたレーザーはルキアを逸れて背後の建物を撃ち砕くばかりだ。次の大鎌も、焦りからか振りが雑になっている。
「いけそうだね」
「ああ、一つ誘ってみるか」
 桐梧は一際大きく跳躍し、背負うほどに大きく振り被った大太刀を一文字に斬り下ろした。
「愚かな!」
 玉座を後退させて躱したサラカエルは、獲ったと錯覚したに違いない。よもや、降り注ぐレーザーを逆に力と変えて逆襲を狙うつもりだとは思いもよらなかったろう。
「そこ……!」
 ルキアもじっと大鎌の軌跡を見つめ、振り抜いた直後を狙って悪魔に命じた。影のような長身がサラカエルの眼前に立ちはだかり、深淵のような赤い瞳で覗き込む。
「ッ――」
 さすがのサラカエルも、刹那、背筋が凍り付くほどの眼差しであった。
「さあ、捕まえたのはお互い様……痛えのは俺か、お前か。どっちだろうな?」
 試してみようぜ、と桐梧が笑う。
 そして必殺の一撃をサラカエルの鳩尾へと叩き込んだ。
「ぐ、はッ……」
「そうだ、ひとつだけ言っとくわ」
 桐梧は低く呟いた。
「古傷抉るような真似は止めときな。こんな風にな、自業自得で痛い目見るぜ?」
 すかさず、アンゼリカは息を整えて最後の攻撃を繰り出すための構えを取る。はっとしたサラカエルが大鎌で防御に入るが、それはフェイントに過ぎない。
「本命はこっち――」
「無駄です!」
 布越しの邪視がアンゼリカの心に揺さぶりをかけた。あれは和装の少女だろうか。見覚えがない姿を見た瞬間、確かにアンゼリカの胸が締め付けられるような何かを訴えた。
「……でも、止まったりするもんか」
 重くなる身体に鞭打ってくれたのは勇気だった。
「苦しむ人々がいる、失ったものを取り戻したいと願い人々がいる。そのためなら、私はッ――」
「無駄だと言っているでしょう!」
「はいはい、その言葉そっくりそのまま返してやるわ」
 瑠音の投擲する魔剣がサラカエルに向かって迸る。当然、サラカエルは回避するだろう。だがそこにアンゼリカの拳が迫っていたとしたら、結果はどうなるだろうか?
「これで、どうだぁーーっ!」
 光の拳は最大級の想いを乗せ、サラカエルの胴体を激しく撃ち上げた。
「かは……ッ」
 しかも、攻撃はまだ終わらなかった。先ほど躱したと思っていた魔剣が今度は背後からサラカエルを襲ったのである。
「な、なぜ? さっき、躱したはずなのに……ッ」
「残念。本数を数えてみろよ。躱したのは6本、貫いたのは7本。翻刃はな、全部で13本あるんだ。そら、間抜け面晒してる間に追撃がくる」
「は……――」
 その時、もう片方の拳をアンゼリカが突き上げた。今度こそ、サラカエルを光の渦が呑み込んで消滅へと誘う。玉座が砕け、大鎌が影も形もなく消失。サラカエル自身もその存在を残すような物は何も見当たらなかった。
 この勝利によって、江戸川橋周辺に布陣したクロノヴェーダ軍勢の一角は消滅。神田川渡河作戦にとって大きな一歩となったのであった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【操作会得】がLV3になった!
【完全視界】LV1が発生!
【冷気の支配者】がLV3になった!
【クリーニング】LV1が発生!
【断末魔動画】LV1が発生!
【傀儡】LV1が発生!
【悲劇感知】がLV2になった!
【罪縛りの鎖】LV1が発生!
【活性治癒】がLV3になった!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV3になった!
【ロストエナジー】がLV7になった!
【ドレイン】がLV5(最大)になった!
【反撃アップ】がLV2になった!
【ラストリベンジ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV2が発生!

最終結果:成功

完成日2021年12月31日