クリスマスケーキパーティ~隠し味は『感謝』(作者 森高兼
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#最終人類史(新宿島)  #新宿島のクリスマスパーティ  #クリスマス2021 

●魅惑の甘いもの
 クリスマスパーティの話を聞きに来たディアボロス達を、朝日奈・ココ(サンライトブレイド・g03292)は満面の笑みで迎えてくれた。上機嫌の理由は『第一次東京奪還戦』に完全勝利した余韻だけじゃなく、子供好きで小さな子達に少し前まで囲まれていたおかげらしい。
「途中に人と会わなかったかしら?」
 現在は特に注目の的になっちゃうこと必至のディアボロスで、皆の中にも住民達に足止めされた者がいるだろうか。
「皆、ディアボロスに深く感謝しているみたいね」
 そんなディアボロスに……人々は改めて感謝の意を示したいそうだ。各所でクリスマスパーティの開催が予定されている。
「あたしが主催するパーティでは、クリスマスケーキのバイキングを行うことにしたわ」
 此度の大戦で疲れた心身を癒すのに、甘いものは丁度いいかも?

●2種のケーキ
 用意されるのはパティシエ達が腕を振るうケーキと、子供達が無邪気に作るケーキ。
 ココが子供達のケーキについて笑顔のまま補足してくる。
「あたしや他の人達がちゃんと子供達を見守るよ。味は心配しないで。子供達の自由な飾りつけとかに期待してね」
 パーティの主旨は新宿島の人々がディアボロスに感謝を伝えることだけど。
「子供達に頼まれたら、ケーキを一緒に楽しく作ると良いかも」
 お菓子作りのプロであるパティシエ顔負けの腕を持つディアボロスは――そうそういないはずだ。
「パティシエの人達はパーティの最後でカットして皆に配る大型ケーキも作るわ」
 もしも手伝えるディアボロスがいれば、大作の予感がする。
「大きなケーキをカットしたい人は希望を出してね。希望者が現れなかった時はあたしがカットするよ」

●凱旋のディアボロス達へ
 少年2人がそれぞれのボウルに投入された生クリームを乱雑に泡立てていく。
「オレはうまくできるぞ!」
「ボクのほうがきれいにできるよ!」
「つくるのは、おめでたいケーキなんだからね。ケンカしちゃダメよ」
 少女は2人と同い年そうなのに、腰に手を当ててお姉さんっぽく喧嘩を止めた。
 その子供達のやりとりを微笑ましく思って眺めていたココが、先程から難しい顔のパティシエ達に尋ねる。
「ケーキは何段にするつもりでしょうか?」
 服装に似合わず歴戦の戦士のような表情を浮かべているパティシエ達。
「無難な選択では3段だが」
「今回はいつものクリスマスケーキと違う」
「限界に挑戦してみよう」
「キリ良く10段なんてどうだろうか?」
 厨房とはパティシエの戦場だ。相談が始まってしまうと、もはや口を挟める雰囲気じゃない。
「……最後にカットすることは忘れないでくださいね」
 ココは相当こだわりつつあるパティシエ達に微苦笑を返すことしかできないのだった。



 新宿島で行われるクリスマスパーティーに参加します。
 時先案内人と新宿島の人々が、ディアボロスへの感謝を込めて、いろいろ準備してくれたようですので、思いっきり楽しみましょう。

 開催されるクリスマスパーティーの内容などは、オープニングの情報を確認してください。


特殊ルール この選択肢には、特殊ルールはありません。
👑60 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
1
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【飛翔】
1
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【強運の加護】
1
幸運の加護により、周囲が黄金に輝きだす。運以外の要素が絡まない行動において、ディアボロスに悪い結果が出る可能性が「効果LVごとに半減」する。
【友達催眠】
1
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【熱波の支配者】
1
ディアボロスが熱波を自在に操る世界になり、「効果LV×1.4km半径内」の気温を、「効果LV×14度」まで上昇可能になる。解除すると気温は元に戻る。
【エイティーン】
1
周囲が、ディアボロスが18歳から「効果LV×6+18」歳までの、任意の年齢の姿に変身出来る世界に変わる。
【土壌改良】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の地面を、植物が育ちやすい土壌に変える。この変化はディアボロスが去った後も継続する。
【書物解読】
1
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。
【口福の伝道者】
4
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。
【ハウスキーパー】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建物に守護霊を宿らせる。守護霊が宿った建物では、「効果LV日」の間、外部条件に関わらず快適に生活できる。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV3 / 【命中アップ】LV2 / 【ガードアップ】LV3 / 【凌駕率アップ】LV1 / 【反撃アップ】LV1 / 【アクティベイト】LV1 / 【先行率アップ】LV1 / 【アヴォイド】LV1 / 【ロストエナジー】LV2

●マスターより

森高兼
 森高兼です。
 よろしくお願いします。

 今回はクリスマスパーティをする平和なシナリオです。

『選択肢1:新宿島のクリスマス』
 クリスマスケーキとは言いつつも、クリスマスに作るケーキというだけで何でも構いません。

 基本的な種類のケーキはパティシエの方々が作ってくれます。

 子供達が作るケーキの形は……きっと、想像通り?
 どんな形になるかはお楽しみ!

『選択肢2:クリスマス・クライマックス!』
 パーティの締めくくりで大型ケーキをカットします。

 カット希望のプレイングがあれば、シナリオのラストを飾ることになるでしょう。
 ウエディングケーキの入刀みたいになりそうなので、予行演習したいペアにお勧めかもしれません。

 それっぽくイラストで刀を構えているものの、ココがカットする際は普通のナイフを使います。
 でも、希望者がディアボロスの妙技でカットするのはアリかも!

 ココがケーキを切る際にかけ声をするだけのプレイングでもシナリオを完結にできるため、ありがたいです。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしています。
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このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


長内・ゆうき
恋人の【めでるちゃん(g01218)】と一緒に参加
・心境
ケーキ入刀を目的で来たけど、子供たちがケーキをつくる姿に胸を打たれちゃった…。
公園を管理している身としては、やっぱり子供の頑張りを応援するよ
それにめでるちゃんをわたしがリードしてあげたい!

・ケーキ作り
うんうん、ケーキ作るんだぁ。
任せて、人並み程度にはお母さんに教えられてるから!

もちろん手伝うけど、基本的には子供たちをのを見守りながらフォローに回るよ。失敗しなければ、自分でつくった!って実感が何よりも美味しい調味料だからね。

不慣れで、ちょっと不揃いな見た目や味付けでも、絶対いっぱい褒めたいな。
みんなが笑顔のクリスマスが最高だもの。


蕩々・愛々
【ゆうきちゃん(g01491)】と

こんなに感謝されながらパーティー参加するの初めて。なんか照れるねこれ
てかそもそもクリスマスが初めてだしなー。いっぱい楽しもうねーゆうきちゃん!

お、ケーキ一緒に作る?いいよー。こう見えても我、料理は得意だよ
ケーキは作り慣れてないけども……ゆうきちゃんできる?

子供はけっこう好きだしなんか懐いてくれてるのなら楽しくケーキ作りできると思う
そしてすごいケーキを作ってゆうきちゃんにもすごーい!って言ってもらう。完璧な作戦!

まー、いかにも自家製!って感じのケーキにはなるよねそりゃー
でも子供達とゆうきちゃんと楽しく作れたしいいか
うん。美味しい。素敵なプレゼントありがとね君達


 バイキングを行う会場に沢山のケーキを並べるため、スタッフ達は厨房を忙しなく行ったり来たりしていた。スタッフの一員でもある子供達は奥にいるのだろう。
 会場が芳醇なケーキの香りに満たされている。ディアボロス達の整えた環境で育てられた最高品質の小麦などがふんだんに使われているようだ。
 最初に会場へと足を運んだのは蕩々・愛々(貌の無いファラオ・g01218)と長内・ゆうき(幼馴染系ヒロイン・g01491)だった。
 多忙につき声はかけてこないスタッフ達の熱い視線を感じ取って、愛々が小さく笑って呟く。
「こんなに感謝されながらパーティー参加するの初めて」
 主催者のココは2人を見かけると、イベント説明の時と同様の笑みで歩み寄ってきた。
「ようこそ」
「なんか照れるね……これ。てか、そもそもクリスマスが初めてだしなー」
 別の時代と国から新宿島に流れ着いた愛々で、色々なものをいいとこ取りする日本文化にはいつも驚かされている。
「めでるちゃんと一緒に子供たちとケーキ作りするよ」
 お互いに想い合う女性2人でケーキ入刀に興味があったけど、紹介されていた子供達の姿に胸を打たれたゆうき。とある公園を管理する身として、普段どこかの公園で無邪気に遊ぶ子供達の頑張りを応援しないわけにいかない。
 大好きなゆうきに向かって、愛々は明るく笑いかけた。
「いっぱい楽しもうねー。ゆうきちゃん!」
「うんうん」
 ゆうきが愛々に強めで頷いてみせる。
(「わたしがめでるちゃんをリードしてあげたい!」)
「こちらにどうぞ」
 愛々の前に出るとココについていった。スタッフの女性とすれ違い際、何かを察して舌をペロッと出すウインク交じりの笑顔でサムズアップされたけど、それは見なかったことにしよう。
 厨房に着いたら、例の子供達は2人の所に群がってきた。服のネームプレートはスタッフの証だ!
 元気が名は体を表すと証明するように目を輝かせて大きな声を上げてくる。
「ディアボロスのねーちゃんたちがきた!」
「まずは、あいさつだよ。こんばんは!」
 ケーキ作りで大雑把だった甘太は、案外と礼儀正しくてぺこりとお辞儀してきた。
 その挨拶に続いた後、智代が2人を見上げると小首を傾げて尋ねてくる。
「わたしたちといっしょにクリスマスケーキをつくってくれますか?」
「こう見えても我、料理は得意だよ」
 愛々は由緒正しい血筋の者らしく威風堂々の態度ながらも智代に優しく微笑みかけた。
「ケーキは作り慣れてないけども……ゆうきちゃん、できる?」
「任せて。人並み程度にはお母さんに教えられてるから!」
 先程より気合い十分であって、ゆうきが3人に振り分けられている調理スペースに向かう。基本フォローに回って見守るだけで、何でもかんでも世話を焼いたりはしないつもりだ。
(「失敗しなければ、自分でつくったって実感が何よりも美味しい調味料になるよね」)
 定番の白いクリスマスケーキを作りたいという3人のため、大事な土台のスポンジケーキは手伝っても良いだろう。
「ねぇねぇ。おねえちゃんたちって」
 2人の関係や幼稚園の先生と将来結婚したい等々のヒソヒソ話をゆうきとしつつ、土台になるスポンジケーキをしっかりと完成させたおませな智代。
「クリームはボクがやる!」
 寡黙かつ強面な父親がパティシエとのことで、母親似と思われる甘太はなかなかの腕前にて土台に生クリームを塗った。上に生クリームを絞ったのは集中力が切れた彼に懐いてもらえた愛々である。
 そして最後に、元気が生クリームで綺麗にコーティングされた土台の側面へと豪快にイチゴを突っ込んでいく。
「どーん! どーん! どーん!」
 クリスマスケーキの側面で先端から真ん中までを覗かせるイチゴは……まるで装填されたミサイルだった。
 ゆうきはクリスマスケーキの前に立つと、思い切り褒めてやりたくて全力で拍手した。
「とっても良くできているよ」
「ボク、がんばったよ!」
「いっしょにつくってくれて、ありがとう!」
 大袈裟なくらいの拍手を受けると喜んでくれた甘太と智代が、ゆうきの側にやってきてバンザイした。
 作ったケーキをゆうきにすごいと言わせる作戦を立てていた愛々。その計画は成功だろうか?
「まー……いかにも自家製って感じのケーキにはなるよね。そりゃー」
 それはそれとして、ゆうきや子供達と楽しいケーキ作りができて満足だった。
 元気がクリスマスケーキの側面のイチゴをつかんで、屈ませた愛々の口元に伸ばしてくる。
「イチゴはっしゃー!」
 強引には食べさせられることなく、愛々は元気の願いに応じて頬張った。立派なイチゴの甘酸っぱさと生クリームの甘さのバランスに花丸を付けられる。
「うん。美味しい。素敵なプレゼントありがとね、君達」
「へへっ!」
 その後、ゆうきにイチゴを食べさせてもらって彼女にも食べさせてあげたのは言うまでもない。
 皆が笑顔の素敵なクリスマスパーティは始まったばかりだ。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【熱波の支配者】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!

神田川・憐音
ルナ(g00277)と一緒にケーキ作るよ

アドリブ歓迎

スポンジはそらいっぱい焼いてきたよ
子供がデコするなら尚更いっぱいいるでしょ?
ほらクリーム塗った塗った
……慣れない内はクリーム厚すぎでデカいね
塗ってる内に段々ちょうど良いサイズになってウケる
いっそ縦に積んで10段ケーキに負けない立派なの作ろっか
そう絶妙なバランスで積むのは特級厨師の腕の見せ所だね
……ってイチゴしかないとか、あんたちゃんと探したの?
こんな高く積んだケーキにイチゴ乗せたらそら立派なウェディングケーキよ
まあルナとあたしでケーキ入刀なら冗談で済むか
―――いやめっちゃ子供達に祝福されてんですけど!?
子供の手前否定も出来ないし何か悔しい


ルナ・カンダチュラ
憐音様(g02680)と共にケーキ作りのお手伝い

アドリブ歓迎

ケーキは沢山あればある程良い筈
ということで沢山作ります…が
憐音様、このスポンジの量について聞いても宜しくて?
余りにも多すぎでは無いですか?
(と言いながらも、疑問を持たずスポンジにクリームを塗りたくるマシンになっていた)

ま、まあ、大きなケーキと思うことにしてフルーツを…
何故イチゴしかありませんの?
これではまるでウエディングケーキ…

誰も結婚する人などいらっしゃらないですよ
こんなに積み上げて…仕方ありませんね、切り分けましょうか

え、ケーキ入刀だなんてそんな馬鹿な
私達が祝われる側?
…強く否定すると子供の夢を壊しそう、口を噤みます


 クリスマスケーキは『ブッシュ・ド・ノエル』という丸太を模ったものなどもあったりするけど。ホールタイプを作る時はやっぱりスポンジケーキが欠かせないはずだろう。
 神田川・憐音(天地を揺さぶる情動・g02680)がスポンジケーキ入りの箱を大量に抱えて会場に足を踏み入れる。
「そら、いっぱい焼いてきたよ」
「憐音様……そのスポンジの量について聞いても宜しくて?」
 確かに沢山のケーキを作るつもりとはいえ、ルナ・カンダチュラ(呪毒・g00277)は物には限度があると憐音に言いたげで妖艶に微笑んだ。怒っているのか、呆れているのか。
「子供がデコするならいっぱい、いるでしょ」
 にやりと微かに歯を見せて笑ってさらりと言い切った憐音。駆け寄ってきた子供達に配布しても――減る気配が無い!
「ほらほら、クリーム塗った塗った」
 憐音に促されるとテンション大爆発しちゃった子供達が、通常より数倍の量で形なんて気にせずに生クリームを塗り始めた。ボウルの中身が瞬く間に消えていく。
「余りにも多すぎではないですか」
 そう言いながらも疑問を持たずにスポンジケーキへとクリームを塗りたくるマシン化しているルナであった。
「……慣れない内はクリーム厚すぎでデカくなるね。塗ってる内に段々ちょうど良いサイズになっててウケる」
 誰のケーキのことでウケていたかはさておき、憐音がおかしそうに笑うのを止めて閃いた顔をする。
「いっそ縦に積んで10段ケーキに負けない立派なの作ろっか」
 料理やお菓子作りの際こそ『特級厨師』の腕の見せ所だと、クリームの塗られたスポンジケーキを限界まで段重ねにしてやった。崩れそうで崩れない絶妙な重ね方である。
 ルナは憐音の妙技に圧倒されていた。
「ま、まあ、大きなケーキと思うことにしましょう」
 次の工程がフルーツの盛りつけで持ってきた果実を憐音と照らし合わせる。左にイチゴ、右にイチゴとイチゴ尽くしだ。
「何故イチゴしかありませんの?」
「イチゴしかないとか、あんたちゃんと探したの?」
「あのー……店長からです」
 何やらイチゴ好きと勘違いしてお裾分けを指示されたバイトの男子が、雅な美女とギャルな美少女を相手に緊張の様子で高級イチゴを置いて足早に去っていった。
 無駄にするわけにもいかないから、高く積み上げたケーキをイチゴパラダイスにしよう。
 出来上がった豪華な赤と白のクリスマスケーキを、ルナはまじまじと眺めてみた。
「これではまるでウエディングケーキ……こんなに積み上げて、仕方ありませんね」
「あたしとルナでケーキ入刀するなら冗談で済むか」
「こんなに積み上げて、仕方ありませんね」
 あくまでクリスマスケーキとして切り分けるべくケーキナイフを手に取る。その時、ようやく子供達の注目を浴びていたことに気づいた。
「おねえちゃんたち、けっこんするのー?」
「わーい、おめでとー!」
(「え? 私達が祝われている?」)
 否定すると子供達の夢を壊すかもしれない以上、口をつぐむしかない。
 憐音も純粋な子供達に否定できなくて、謎の悔しさに顔を引きつらせた愛想笑いを浮かべる。
(「――いや、めっちゃ祝福されてんですけど!?」)
(「そんな馬鹿な」)
 下手に顔を見合わせると子供達の誤解が深まりかねないため、さりげなく憐音と目で会話したルナ。
 そんな2人に助け舟を出そうと、ココが子供達を呼び集めてくる。
「皆、こっちでも大きなケーキを作っているわ。おいで」
「いくー!」
「わたしもー!」
「……よし」
「今がチャンスですの」
 思いがけないピンチを乗り越えたところで、子供達がクリームを塗ったスポンジケーキも含まれているクリスマスケーキをまたまた誤解を招いてしまう前に急ピッチにて切り分ける憐音とルナなのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!

姫乃・葵
※即席連携、アドリブアレンジお任せ

ケーキ食べに来ましたー!
えへへ、僕甘いもの好きー
プロの人のケーキも美味しそうだけど、子供たちのも美味しそうだよね
甘いものはベツバラです
一切れずつ両方たべるー!
え、かたち?
心こもってればなんでも美味しいから大丈夫だよ!

その前にまずは完成させなきゃかな
任せて、僕お菓子作りはトクイなんだ!

主に甘味への偏りがある【料理】スキルを駆使して
子供たちのケーキ作りお手伝いしようかな
いっしょに意見出しあったり
たまに味見してアドバイスしてあげたり
褒めたり褒めたり褒めたり(基本褒めるしかしない)

うん、いい感じ
これならきっと食べた皆が喜んでくれるよ
飾りは子供達におまかせ
がんばってね!


 女の子と見間違う程に可愛らしい姫乃・葵(青の純真・g01627)は、ニコニコ笑顔で会場を訪れた。
「えへへ、僕甘いもの好きー」
 無垢なる可愛さは色々と超越していて、ココが温かい眼差しで葵に話しかけてくる。
「遠慮しないで食べていってね」
「一切れずつ食べるー!」
 会場では子供と作るケーキが人気だけど、ケーキに込めた思いは大人だって変わらない。葵が待ちに待ったディアボロスのお客様第一号ということになる。
 砂糖菓子が乗ったブッシュ・ド・ノエルを一切れ、雪のように純白のショートケーキを一切れ、山盛りのフルーツケーキを一切れ、それぞれ味わっていった葵。
 手頃な一切れとて食べ応えがあるプロの味を堪能した後は子供達とケーキ作りで、通りかかったバイトの女子に訊く。
「キッチンあっちだよね」
「ケーキを作るの? お腹は大丈夫?」
「甘いものはベツバラだよ」
「なるほどね!」
 バイトの女子は葵の別腹発言に納得の表情となって厨房まで案内してくれた。
 子供スタッフの輪に入らずに1人の内気そうな少年を見かけた葵が、近寄っても離れなかった優斗の顔を覗き込む。
「どうしたのー?」
「ボ、ボクね。ケーキをつくるのしっぱいしないか、しんぱいなんだ」
 仲間外れにされているわけじゃないけど、他の子供達に上手く溶け込めていないらしい。
「心こもってれば、なんでも美味しいから大丈夫だよ!」
「ボク……がんばってみる」
 振り上げる勇気の出なかった両拳を、優斗はそっと握り締めていた。
 葵が優斗を和ませる柔らかな笑みを浮かべると、そのままでは落ちる服の袖を握って彼の代わりに腕を上げる。
「僕お菓子作りはトクイなんだ! どんなケーキにしよう」
「……チョコレートケーキがいい」
 甘いものならお任せあれの『料理』スキルを優斗のために駆使する時だ。オススメした市販のチョコの湯煎を彼が終わらせると褒めて、スポンジケーキを焼き上げたら、また褒めてあげた。チョコクリームを塗った直後にも褒めていく。
「いい感じ。これならきっと、食べた皆が喜んでくれるよ。がんばってね! 飾りのフルーツは何かな?」
「バナナをならべるよ!」
 葵に褒めたてられたおかげか、のびのびとした良い声が出てきた優斗。この出会いを機にちょっぴりでいいから彼の内気が改善されると嬉しいところである。
「あおちゃんも、ならべてほしいな」
「うん!」
 葵は雑談中に教えていたあだ名で優斗に呼ばれて、ほのぼのと2人仲良くチョコレートケーキを作り上げた。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【口福の伝道者】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!

ネリリ・ラヴラン
【巣古杜】で一緒に。

ねぇ、はーちゃん(葉月)。あれあれ、凄く可愛いよ!
パティシエさん達の作るケーキは見た目も凝っていそうで、食べる前から大騒ぎしてるわ。
寧ろ食べるのが勿体ないかもね。でも皆が美味しそうに食べてたら、結局食べちゃうかな?

目の見張るのはやっぱり本職さんのでも、子供達の作ったケーキだって違う魅力があるね。
少し歪だったりしても、頑張ってくれた感じがして、とても素敵だわ。

お席で、お友達の様子に気づいても、声はかけずに見ているよ。
とても幸せそうなお顔に、わたしまで嬉しくなるね。

別に隠すことじゃないよ?わたしも、大好きだもの。
そう呟いて、屈託のない笑みを返すよ。

アドリブ大好き。


高遠・葉月
【巣古杜】
アレンジ歓迎

ネリリに歩いてついて歩く
はしゃぐネリリに不愛想に相槌を打ちながらネリリが好奇心のままどっかにふらふらしないか注意してる
とはいえ大好きなケーキや煌びやかなツリーを見る目はきらきらしてる。ネリリが振り返ったらきりっとしてよう
パティシエの鮮やかなケーキをひょいひょいとトレイに。子供たちの不格好だけど一生懸命作ったと思しきケーキはくすりと笑って他の人の分も合わせて確保

ツリーの電飾とかが見れる席か静かな場所を確保してケーキを食べましょう
ケーキを食べてると顔がゆるっゆるに
…甘いの好きなのよ。いいでしょ別に。
顔赤くしながら子供達が作ったケーキも食べるよう促す


 ネリリ・ラヴラン(★クソザコちゃーむ★・g04086)と高遠・葉月(猫・g04390)は旅団『巣古杜』の仲間同士で会場にやってきた。
 パティシエ達の意匠を凝らしたケーキの数々に、ネリリが食べる前からトレイを持ったままはしゃいで大騒ぎする。
「ねぇ、はーちゃん。あれあれ、凄く可愛いよ!」
 指差した先にはデフォルメされたシロクマの顔であるケーキが並んでいた。このテーブルのケーキはどれもこれも動物がモチーフになっている。
「そうなの」
 無愛想に相槌を打った高遠・葉月(猫・g04390)は、ケーキに目が無いネリリの後ろを歩いて彼女に注意を払っていた。隙を見て――ホントは大好物のケーキや煌びやかなクリスマスツリーを目にして瞳をキラキラさせる。
(「猫のケーキもあるのね」)
 葉月の心をつかんだのはコタツより頭をひょっこりと出している白猫のケーキだった。猫の種類や出る部位は各ケーキで異なっていて実に芸が細かい。
「!」
 いきなりネリリが振り返ってくると、ガン見を中断してキリッと真顔に切り替えた。
「何?」
「このエリアは可愛いケーキがいっぱいだねっ」
 会場を見回って気に入ったケーキを各自のトレイに敷き詰めていく。
 子供が一生懸命に作ったと思しきチョコレートケーキを発見した葉月が、ネリリの隣でクスッと笑った。彼女に素の反応がバレるのは……時間の問題だろうか?
 2人はライトアップされたツリーが目を引く場所ながらも比較的に静かな席を確保した。
 シロクマのケーキと睨めっこするネリリ。食べるのがもったいない気分になって、どうしてもケーキにフォークを伸ばせなかった。
(「皆は美味しそうに食べている」)
 粒チョコが表現する円らな目に『食べてくれないの?』と訴えかけられている気がしてから、ようやく手をつける。
 葉月は厳選したケーキに舌鼓を打って頬がゆるゆるとなっていた。食べ終わると真顔に戻っても遅いわけで、決定的瞬間を目撃できたはずなのに声をかけてこなかったネリリに、赤面するとムスッとした顔にてぼやく。
「……甘いの好きなのよ。いいでしょ、別に」
 とっても幸せそうだった葉月の表情を思い出すと、ネリリが嬉々として屈託の無い笑みを浮かべた。
「別に隠すことじゃないよ? わたしも、大好きだもの」 
「それより、まだ子供達が作ったケーキを食べてないよね?」
「最後のお楽しみだよ」
 思わず目を見張っちゃう出来のケーキは、やっぱりパティシエのものだ。でも、子供達のケーキには妥協できぬ本職の者だからこそ引き出せない趣がある。
 2人は子供達の気持ちが一杯詰まったケーキもたいらげて、いざ……『おかわり』をすることにした!
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【エイティーン】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!

喩・嘉
【瑞鳳占房】の仲間とケーキを食べに来た

俺は料理全般不得手でな
食べる専門で……と思ったが、茶だけは淹れようか
紅茶と中国茶を用意

身近にいなかったのもあって
実は子供の対応は苦手なんだ
朔夜、リアと紅花の子供の扱いに感心する
翡翠も意外と懐かれるんだな
ただ、見ている分には微笑ましくて可愛いよな
などと明と話し

幸児に味見させてもらったクリームは美味しくて笑顔になるな
うん、よく出来てる。と褒めて

出されたケーキはどれも美味しく食べる
随時、幸児にもすすめて
嬉しそうな様子を見るとこちらも嬉しい

ケーキを楽しみながら、会場の飾り付けにも目を奪われる
クリスマスとは美しいものなんだな
一部だけだが、東京を取り返せてよかった


平良・明
【瑞鳳占房】
とりあえず皆について来ましたが
こういう場で、私のやる事は特になく、困ります

喩嘉さんの隣で、手持ち無沙汰にケーキを作る子ども達を観察して
私は苦手というわけではないですが、包囲されると困ります

おそらくこの小さな生物達は
泡だて器が魔法の杖とか英傑の剣に見えていて
自分は最強の生き物だとでも思っているのでしょう
皆々、実際最強です

旨いものや美しいものを作ろうとかそれ以前に
チョコペンとかカラースプレーとかを振り回して
ハチャメチャに楽しんでいる
そんなもの、旨くない
わけがないじゃないですか
でもなんか、このクリーム少ししょっぱい気がするし、息が苦しい

ちょっと外行って休みます

皆で帰ってきたんだ……


孫・リア
【瑞鳳占房】

料理やお菓子を作った事あるけど、この時代のお菓子……ケーキは初めてね……
だけど皆で協力すればきっと美味しいケーキが作れるはず!とケーキの作り方を教わりながら子供達と皆でクリームを混ぜたりするわよ!

むっ……意外と重労働ね、子供達も大丈夫?疲れたら休憩しながらやろうねーって皆に声かけながらクリームを混ぜていって……


えっ?3段?10段?……そ、そんなに高く作れちゃうだケーキって……凄いわね…、けどもし段数の希望が言えたらせっかくだし思い切って10段を希望しちゃおうかな?

だんだん完成に近づくケーキを見てたらきっとワクワクが止まらなくなるわね!
きっと物凄く美味しいはずよ!

【アドリブ歓迎】


杏・紅花
【瑞鳳占房】

おちびちゃーん!一緒にケーキ作ろっ!
小さい子たち誘ってケーキを作る
スポンジを型抜きして、1口サイズケーキをたっくさん!
じゃんっミルクムースとチョコで、パンダのカップケーキ🐼
幸児サンの作るクリーム、ピンとツノが立っておいしそ〜
喩嘉サンと明サンとこに群がるおちびちゃんたちは、困ってるようなら回収しとこかな?

作るのも好きだけど、食べるのはもっと好き!
喩嘉サンの中国茶を頂きながら
リアサン、朔夜ちゃん、翡翠サンが作ったやつ、それぞれ個性が出るねえ〜
どれもめちゃくちゃおいしそう〜

ココに居られること
こうしておいしいのが食べられること
全部に感謝しながら、いーっぱい食べる!


守都・幸児
【瑞鳳占房】
はは、くりすますってのはすごい祭りだな
都に星が落ちてきたみてえだ

俺はケーキってもんは最近知ったんだが
あれはとんでもなく美味え甘味だな
特にクリームってとこが美味いんだ
俺の手は鬼の手だから細かい事は出来ねえが
皆が手伝ってるとこ見て興味がわいてくる
クリームを混ぜるくらいなら出来るかな
ちょいとだけやってみるぞ

やってみたら楽しくて
たくさん作りすぎちまったから
子供たちが使った残りのクリームを貰って
見てる喩嘉と明に持ってって味見してもらう
喩嘉クリーム好きだって言ってたし
なあなあ、これ俺が混ぜたんだっ

喩嘉にすすめて貰ったもんをもぐもぐしながら
子供たちと皆の作ったケーキも頬張るぞ
どれもすごく美味えっ


吉水・翡翠
【瑞鳳占房】の皆さんと一緒に
アドリブ/連携歓迎

子供達と一緒にケーキ作りましょうか。
クリーム混ぜたり、スポンジは……うーん、作りたいです? と聞いてから作りますか。そうじゃなかったら市販品で。
子供たちがクリーム作る飲みつつチョコクリームとか細かいところは自分でやりますかね。
で、果物もいっぱい用意して、一緒にデコレーションしましょう。
よし、完成ですね。

じゃあ、カットして、盛り付けて、一緒にいただきます。
子供達と作ったケーキは皆さんにも配って、食べましょう。いただきますと手を合わせ。

こうやって平和にすごせるのも
全員で頑張った証拠ですから。
本当に、よかった。
少し休んで、次もまた頑張りましょう。


神代・朔夜
【瑞鳳占房】
和菓子は元の時代で作るのをひっそりと手伝ったことが何度かあるのですが、
洋菓子は初めてなので上手く出来るか少し不安ではありますが、
そこは周りの子ども達に教えてもらいながらやってみましょう

なるほど、この白いのを混ぜてから塗っていけばいいのですね
混ぜるのは得意なので任せてください
この腕だと混ぜたり塗ったりは出来るのですが、最後の飾り付けといった細かい作業は苦手なのですよね……
やってみます?なんて子供達に聞いてそのままお任せしてみましょう

出来上がったら喩嘉さんと明さんのところへ持って行って食べてもらいましょう
皆様のお口に合うといいのですが……


 旅団『瑞鳳占房』の面々は総勢7名で参加する団体様である。
 絢爛たる電飾で明るいクリスマスツリーの前に立って、守都・幸児(迷子鬼・g03876)は無邪気に笑った。
「はは、くりすますってのはすごい祭りだな。都に星が落ちてきたみてえだ」
 大っぴらに語ることではないものの、暗闇は苦手だ。現代は夜間もまぶしいくらいで幸児にとって心地良い。
「ケーキってもんは、最近知ったんだが……あれはとんでもなく美味え甘味だな。特にクリームってとこが美味いんだ」
「和菓子は元の時代で作るのをひっそりと手伝ったことが何度かありますの」
 神代・朔夜(桜花爛漫・g00582)が鬼人仲間である幸児に本音を語る。
「ですが、洋菓子は初めてなので上手く出来るか少し不安ですわ」
「私も料理やお菓子を作った事あるけど、この時代のお菓子――ケーキは初めてね……」
 それでも皆が協力すれば、美味しいケーキになると信じて止まない孫・リア(勇武と炎を胸に秘めて・g03550)だった。
 メンバーの中にはディヴィジョン出身者も多く、できる者だけに頼りっぱなしだと負担になる。場合によってはケーキ作りに詳しい子供に教えてもらいながらの調理になるだろうか。
 平良・明(時折の旅行者・g03461)が皆を静かに追うように最後尾を歩く。
(「とりあえず、皆についてきましたが……」)
 現代地球出身とはいえ、ケーキ作りに関しては戦力外ゆえにやる事が特に無さそうで悩んでいた。皆の邪魔にならない所で大人しく観戦していれば大丈夫かもしれない。
 大所帯で厨房に到着すると、杏・紅花(金蚕蠱・g00365)はケーキ作りの力になってくれるという子供スタッフのクレアに出会えた。お言葉に甘えて彼女の手助けを得る上で、号令をかけて他の子供達を誘う。
「おちびちゃーん! 一緒にケーキ作ろっ!」
「ディアボロスの皆さんにワガママを言わないでね」
 吉水・翡翠(道求める陰陽師・g01824)が結局やんちゃな子達も交えてケーキ作りを開始と――その前に確かめておきたいことがあった。それはクリームの土台になるスポンジケーキについてである。
「スポンジ……作りたいです?」
「つくる!」
「それじゃあ、私達とディアボロスの皆さんで作りましょう」
 声で美形の翡翠を女性と間違えてこなかったクレアは、指示通りに動く素直な子達を彼と相談して半分のグループに分けてきた。
「あたしは1口サイズのケーキを作るかな」
 皆とは別途で沢山のスポンジケーキを型抜きしていく紅花。クマの顔っぽい形なのは判るけど、その詳細はまだ内緒だ!
 そして、ケーキ作りにおいて肝心のクリームを忘れちゃいけない。
 朔夜が生クリームの入ったボウルを抱える。
「この腕だと細かい作業は苦手なのですよね……。混ぜるのは得意なので任せてください」
「おう! こうするんだぜ。まぜたこれをスポンジにぬるんだ!」
「なるほど」
 ディアボロスに親しみを持っていて鬼の腕を全然怖がらない翔に倣って生クリームをかき混ぜてみせた。鬼人の朔夜を細身の女性と侮るなかれ、コツをつかんで力仕事はお手の物にて順調に泡立てていく。
「白いのを混ぜてから黄色いのに塗っていけばいいのですね」
 繊細な作業が難しいのは幸児も同じで、単純な生クリームの泡立てには興味が沸いていた。朔夜が可能なら彼だって可能のはずだろう。
「ちょいとだけ、やってみるか」
 明日香が大柄の幸児に子犬のように人懐っこく接してくる。
「まぜまぜたのしいよ♪」
「そうかそうか」
 料理全般が不得手につき本日は食べる専門のつもりだった喩・嘉(瑞鳳・g01517)は、茶を淹れることを思いついた。
(「用意しておくといいだろう」)
 大人のスタッフに飲み物の品揃えを確認すると、ケーキに合う紅茶だけに限らず……嘉にとって馴染み深い中国茶まであるらしい。作業中に喉が渇いた時にでも飲めると良さそうだ。
 中国茶を淹れている嘉を見やって、リアが朗らかに子供達へと告げる。
「生クリームの泡立ては意外と重労働よ。疲れたら、喩嘉殿にお茶を貰って休憩しながらやろうねー」
「「はーい!」」
 明は厨房の端で手持ち無沙汰に子供達を観察していた。物珍しくて中国茶をせがんできた子供達から解放された嘉を労う。
「お疲れ様です。喩嘉さん」
 自分用に淹れておいた中国茶を飲みつつ、嘉が子供達に振り回されない引率の先生みたいである仲間達に感心した。
「身近にいなかったのもあって、実は……子供の対応は苦手なんだ」
「私は苦手というわけではないですが、包囲されると困ってしまいます」
「見ている分には微笑ましくて可愛いよな」
 そんな話をした後、体力の有り余っている子供というものに思考を巡らせる明。
(「おそらくこの小さな生物達は、泡だて器が『魔法の杖』とか『英傑の剣』に見えていて……自分は最強の生き物だとでも思っているのでしょう」)
 パワフルな子供達は紛れもなく勇者あるいは魔王と称しても過言じゃない。
 リアはスポンジケーキとクリームの準備ができると、厨房の奥で奮闘するパティシエ達に感化されてケーキの段数に希望を述べることにした。
「せっかくだし思い切って10段のケーキにしちゃうのはどうかな?」
 物は試しで挑戦して――すぐに無理と悟る。素人が踏み入れてはいけない領域だった。
 頑張って作ったクリスマスケーキが今にも厨房の床に散乱しそうだ。それを面白がる子供達どころか、ぽかんと口を開けて茫然としちゃっている。
「自分の出番ですかね」
 不安定に重なった危ういケーキを無事に分離させた翡翠は、作っていたチョコクリームのボウルを子供達に差し出した。
 改めて子供達がスポンジケーキにクリームを塗る中、幸児が存外楽しくて作り過ぎた絶対余るクリームを嘉と明に味見してもらうべく2つの器を運ぶ。
「なあなあ、これ俺が混ぜたんだっ」
「うん、よく出来てる」
 これまでに食べたクリームの美味しさで一二を争うようなものをいただいた嘉。そう感じたのは、こだわり抜かれた材料の品質に加えて、何気なく言ったクリーム好きという話を幸児が覚えていてくれたからだろうか?
 その2人の隣で、明は子供達の餌食(?)になってしまっていた。やんちゃパワーには戸惑うしかない。
「…………」
 紅手が明および今一度子供達に翻弄されるかもしれない嘉に助け舟を出すため、余裕で完全に手の隠れる袖のとても長い服にて器用にボウルを掲げてみせる。
「まだまだ残ってる幸児サンのクリーム、ピンとツノが立っておいしそ〜」
「ほんとかー?」
「なめてみてー!」
 クリームの効果は絶大で少々やんちゃな子供達をあっさりと釣れた。
 10段に断念して3つとなっていたケーキが、いよいよ仕上げの段階に突入する。
 スポンジケーキにクリームを上手に塗り終えると、朔夜は力加減が難しい自分の役目が済んで手を止めた。
「飾りつけ、やってみます?」
「オレがクリームしぼるぜ!」
「わたしもしぼるー!」
 丁度やる気になった翔と明日香に飾りつけの全てを一任してケーキが完成に近づいていく。
 完成目前のケーキはもう1つあって、年甲斐もなく子供達に同調してワクワクが止まらないリア。
「きっと、物凄く美味しいはずよ!」
「もちろん!」
「ぜっぴんにするんだ!」
 紅花は1口サイズのスポンジケーキによってカップケーキを焼いていた。
「じゃんっ」
 ミルクムースとチョコで白黒に彩って完成させるものは、手の中に納まるパンダのカップケーキだ。
「パンダさんだー」
 豊富な種類の果物を持参していた翡翠が、好きな果物を望む数だけクレア達に配る。
「それでは一緒にデコレーションしましょう」
「頑張ります!」
 クレアの提案でシロップ漬けの梨を間に挟んだスポンジケーキの上に様々な果物が配置された。ケーキに造詣が深い彼女と共に見栄えなどを微調整していく。
「よし、完成ですね」
 3つとも完成して会場のテーブルに並べられると、各クリスマスケーキを目に焼きつける皆。
 紅花に至っては力作のクリスマスケーキを間近で観賞している。
「リアサン、朔夜ちゃん、翡翠サンが作ったやつ、それぞれ個性が出るねえ〜。どれもめちゃくちゃおいしそう〜」
 早々に待ち切れなくなってきた者達のため、翡翠はケーキを丁寧にはカットしてお皿に盛りつけていった。全員へと渡ったところで手を合わせる。
「いただきます」
「「いただきます!」」
 紅花が嘉の中国茶をお供に選り取り見取りのケーキを食した。
「あたしは作るのも好きだけど、食べるのはもっと好き!」
(「喩嘉さんと明さん、皆様のお口に合うといいのですが……」)
 最初に飾りつけが子供達のケーキを2人に食べてもらう予定となっていて、朔夜の表情はどことなく硬い。
 仲間達と子供達のケーキをもぐもぐと完食したら、今度は嘉に勧めてもらったケーキを頬張る幸児。
「どれもすごく美味えっ」
「そうだな」
 ケーキは幸児の舌を大層唸らせているようで、嘉がにこやかな彼に心から嬉しそうな顔を向ける。受け取った朔夜のケーキを食べた後、笑顔のままで表情は変化しなかった。それはケーキが会心の出来だったことを彼女に確信させた。
「最高ね!」
「おいしい♪」
「もう1こー」
 リアや子供達の声も響いてきて一安心の朔夜である。
(「良かったですわ」)
 明はクリームが少しだけしょっぱい気がして……ふと息が苦しくなってきた。その原因は朔夜の知らぬ間に子供達が何かを失敗しちゃったせいか、あるいは別に理由が存在するというのか。
「ちょっと外で休んできます」
 外の冷たく澄んだ空気を吸い込むと、クリスマスを満喫している仲間達を窓より見つめた。
(「皆で帰ってきたんだ……」)
 派手なクリスマス仕様の会場に目を奪われながら、嘉が幸児に貰ったおかわりのケーキを口にする。
「クリスマスとは美しいものなんだな」
「こうやって平和に過ごせるのも、全員で頑張った証拠です。本当に、よかった」
 翡翠の言う通り、のんびりとクリスマスができているのは――東京を一部取り返した成果によるものだ。
「少し休んで、次もまた頑張りましょう」
 再び戦いに明け暮れる日々を前にしっかりと英気を養っておく。それが今のディアボロスのするべきことだろう。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】LV1が発生!
【口福の伝道者】がLV4になった!
【士気高揚】LV1が発生!
【強運の加護】LV1が発生!
【書物解読】LV1が発生!
【ハウスキーパー】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!
【凌駕率アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV3になった!
【ガードアップ】がLV3になった!
【アヴォイド】LV1が発生!
【命中アップ】がLV2になった!

綾小路・桜 (サポート)
キャラを一言で言えば「優しい剣道部の先輩」タイプの女の子です。
現代日本出身で実家はちょっと良い所のお嬢様。なので立ち振る舞いは良好です。
失ってしまった日常を取り戻した気持ちは勿論ありますが、変わってしまった過去への冒険に少しワクワクしている気持ちもあります。

戦い方は武器に風と魔力を纏わせてそのまま殴打したり魔力を衝撃波として飛ばしたりするスタイル。
どちらかと言えばサポートに主眼を置いており、自分の攻撃を当てるよりもあえて攻撃を敵に避けさせ、その隙をより有効な攻撃を行えそうな人に突いて貰うように立ち回るタイプです。

その他諸々はお任せ。


 パティシエ達の究極11段ケーキは会場の中央に設置された。当初の計画より1段多いのは……勝手にライバル認定した者がいるからかもしれない。
 やがて宴もたけなわでクリスマスケーキのバイキングが終わりに近づいていく。
 綾小路・桜(人間の妖精騎士・g03314)は戦勝ムードにおいても気合いの入る格好の道着姿で、鮮やかなイルミネーションに照らされる街を歩いていた。
「桜さん!」
 所用で会場から外に出ていたココが、桜の元に慌ただしく走ってくる。
「いきなり呼び止めてごめんね」
「トラブルでしょうか、朝日奈さん」
「これから、すごく大きなケーキを切るのよ。1人だと大変だから、あなたの手を借りたいわ」
 ちょっと良い所のお嬢様らしい穏やかな立ち振る舞いで一礼する桜。
「私で宜しければ、お力を貸します」
「ありがとう」
 切り方を誤ると台無しになってしまって責任重大のため、ココと桜は凛々しい表情でクリスマスケーキと対峙した。2人が身構えて合図を送るように頷き合う。
「いくよ」
「はい」
 全神経を集中させてケーキナイフを素早く通した。切られた多数のケーキが宙を舞う――というのは理想の演出で、普通に1つずつ順番に配っていく。
 人々を代表するように結束したパティシエ達の特別なケーキを締めとして、クリスマスパーティは終了を迎えた。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【土壌改良】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV2になった!

最終結果:成功

完成日2021年12月28日

新宿島のクリスマスパーティ

 第一次東京奪還戦に勝利した事で、新宿島の人達は、大きく盛り上がっています。
 そして、クリスマス直前の勝利を讃え、祝う為、盛大なクリスマスパーティを行おうと提案してくれたようです。
 この新宿の人々の心意気に応えようと、時先案内人たちが、様々なクリスマスパーティを企画しているようです。
 様々な趣向をこらしたクリスマスパーティに参加して、素晴らしい聖夜を過ごしてみましょう。

 新宿島の住民達は、時先案内人と共に、ディアボロスを楽しませる為のパーティの準備を手伝ってくれています。
 彼らは自分が楽しむのでは無く、ディアボロスを楽しませる事を希望してくれましたので、彼らの心意気を無駄にしないように、全力で楽しみましょう。

 その上で、新宿島の人達を楽しませる余興をするのも良いかもしれません。

 このシナリオはクリスマスパーティを扱う2章シナリオです。

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🔒
#最終人類史(新宿島)
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#新宿島のクリスマスパーティ
🔒
#クリスマス2021


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選択肢『新宿島のクリスマス』のルール

 新宿島で行われるクリスマスパーティーに参加します。
 時先案内人と新宿島の人々が、ディアボロスへの感謝を込めて、いろいろ準備してくれたようですので、思いっきり楽しみましょう。

 開催されるクリスマスパーティーの内容などは、オープニングの情報を確認してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『クリスマス・クライマックス!』のルール

 楽しかった新宿島のクリスマスパーティが、クライマックスを迎えます。

 クリスマスパーティを締めくくる挨拶やイベント等を行って、パーティを締めくくりましょう!
 最後に、ディアボロスからパーティの準備をしてくれた新宿島の人々に感謝を込めたイベントなどを行っても良いかもしれませんね。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。
 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、シナリオは成功で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。