ゾルダート秘密工場からの脱出

 機械化ドイツ帝国の秘密工場の一つに、貧民街の人間達を捕らえてサイボーグ化している工場があるようです。
 この工場では、脳まで機械化する事で、手っ取り早くトループス級のゾルダートを量産しているようです。
 情報が得られたのは、末端の秘密工場ですが、背後にはかなり大掛かりな組織が存在しているかもしれません。
 この、秘密工場を支配するクロノヴェーダを撃破し、囚われた人々を救出してください。

機械じかけの獣たちはうたう(作者 荒井真
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#機械化ドイツ帝国  #ゾルダート秘密工場からの脱出 


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#ゾルダート秘密工場からの脱出


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 少女が粘つく眼を開けると、眼前には煌々と照りつけるライト。そして、ビクともしない四肢。彼女を固定しているのは無機質なビニール製のベッドだ。
 そのベッドから伸びている金属製の手錠のようなもので身体は完全に固定され、四肢は大の字に広げられている。
 所狭しと並んでいるよくわからない血なまぐさい機械の山がその異常さを引き立てる。
 身体は痛いようで、何も感じない曖昧な感覚だ。
「おはよう、よく眠れたかなぁ? じゃあ、次は脳みそをいじっちゃいましょうね」
 側には手足がドリルと化した異形の人影が立つ。彼女はねっとりとした声色で言うと、異形の腕を怯える少女の眼前へと近づける。
「ひっ……」
「うふふ、いい顔……」
「い、いやああああ!」
 少女の懇願の声はドリルから発せられた轟音によってかき消された。


「うん……皆よく集まってくれたわ。実は機械化ドイツ帝国の都市にある貧民街から人がさらわれる事件が多発しているの。目的はクロノヴェーダの命令に忠実に従う兵士、つまりゾルダートに作り替える事みたいね」
 グレーテル・ベッカー(人間のレジスタンス諜報員・g01436)はパラドクストレインの発着ホームで集まったディアボロス達を満足そうに見回す。
「続けるわね。敵は貧民街のならず者を使って、特定の条件にあった人物を拉致、秘密工場に連れて行ったあと、工場長……クロノヴェーダ自らが機械化手術を行ってるみたいなの。お願いしたいのは、そのクロノヴェーダの撃破とさらわれた人たちの救出よ」
 そう言うとグレーテルは、今回の作戦について話し始めた。

「ただ、問題があって秘密工場は巧妙に隠されている上に、一種のフェイルセーフみたいなものかしら。工場長撃破と連動して施設は自爆してしまうみたいなの。それも猶予は殆どないわ」
 冷水のような緊張がディアボロスたちに走る。
「秘密工場に潜入したら、拉致されている人達の脱出準備を整えつつ、クロノヴェーダを撃破ね。当然だけど工場で生産された下級のゾルダートも警備しているはずだから、こちらの対応もお願い。スピードと連携が鍵になりそうね」

 再度、グレーテルはディアボロスたちを見回す。
「今回が初めての戦いって人が多いと思うけど、みんなならきっとうまく行けるわ。どうか兵士に改造されてしまう前に、助けて出してあげて」
 そう締めくくると、彼女はディアボロスたちを笑顔で見送った。


 貧民街の薄暗い路地で男二人がヒソヒソと小声で会話をしている。
「しっかし、何だよこの条件。『女なら生足、男なら眼鏡か目隠れを希望』って」
 手にした紙をひらひらさせながら男の一人がもうひとりの男に話しかける。
「黙ってろ。まだ今日のノルマが残ってんだよ。余計な詮索するとろくな事にならん。ほれ、行くぞ」
 そうばっさりと会話を打ち切ると、ターゲットを探すために男たちは路地裏の奥へと薄暗闇へと消えていった。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【フライトドローン】
1
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【動物の友】
1
周囲の通常の動物がディアボロスになつき、意志の疎通が可能になる。効果LVが高い程、知能が高まり、友好的になる。
【エアライド】
2
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【熱波の支配者】
1
ディアボロスが熱波を自在に操る世界になり、「効果LV×1.4km半径内」の気温を、「効果LV×14度」まで上昇可能になる。解除すると気温は元に戻る。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【モブオーラ】
2
ディアボロスの行動が周囲の耳目を集めないという世界法則を発生させる。注目されたり話しかけられる確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【スーパーGPS】
1
周囲のディアボロスが見るあらゆる「地図」に、現在位置を表示する機能が追加される。効果LVが高ければ高い程、より詳細な位置を特定できる。
【使い魔使役】
1
周囲が、ディアボロスが「効果LV×1体」の通常の動物を使い魔にして操れる世界に変わる。使い魔が見聞きした内容を知り、指示を出す事もできる。
【操作会得】
2
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。

効果2

【能力値アップ】LV2 / 【命中アップ】LV2 / 【ダメージアップ】LV1 / 【ガードアップ】LV2 / 【フィニッシュ】LV2 / 【反撃アップ】LV1 / 【先行率アップ】LV1 / 【アヴォイド】LV1 / 【ロストエナジー】LV1

●マスターより

荒井真
 どうも、はじめまして! な方もそうでない方もよろしくおねがいします。  マスターの荒井 真(あらい まこと)です。
 初シナリオとなる今回は、秘密工場への潜入、拉致された人達の救助、トループス級の対処、クロノヴェーダ撃破となります。

●秘密工場への潜入
 少し触れてますが女性陣は生足、男性陣は目隠れ、もしくは眼鏡(伊達メガネ可)でうまくならず者たちを誘い出せるようです。もし、対象者が見当たらない場合、無差別に拉致しようとします。
 ただし、あまり派手に動きすぎたり、公序良俗に反する場合は近寄ることすらないでしょう。
 秘密工場の場所さえわかれば、内側の味方と外の味方で連携するのもいいかもしれません。

●拉致された人達の救助
 ボスのクロノヴェーダ撃破完了までに完了させる必要があります。うまく連携して助け出してください。
 拉致された人達は男女10人で、皆さんの言うことには従ってくれるでしょう。

●トループス級の対処
 ある程度の知性と意思はあるようですが、戦闘には活かすことは有りません。連携なども取れないようなので、ディアボロスである皆さんの敵ではないようです。
 ただし、足を止めてからの射撃を得意とするようですので、ご注意ください。
 プレイングによっては戦闘を回避することは可能ですが、失敗した場合はボス戦での戦闘時に現れます。

●クロノヴェーダ撃破(アヴァタール級)
 ボスであるトルナード・ヘクセとの戦闘。トループス級の対処に失敗した場合、この戦闘に現れ、戦闘が不利になります。
 上空からのドリル攻撃が得意なようなのでご注意ください。
 
 それでは、皆様からのプレイングを心よりお待ちしております。
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


千川・宙夜
「……くそ、まんまと眼鏡かよ(自前の銀縁フレームの丸メガネをくいっと上げ)」
敵の好みに合致しているのがなんだか癪だ(ひねくれ者ゆえぶつくさ)

怪しまれぬよう武器であり仮の相方でもあるピエロ型の操り人形は鞄に隠し、ドイツの貧民らしく見えるよう用意した煤けた服を纏い、酒瓶を片手に酔いどれ演技をしながら貧困外の路地を歩くよ

付け狙ってくるならず者の存在に気付いたら、むしろこっちから酔ったふりして近づいてってぶつかってやろう
逆に条件に合う一般人が攫われそうだったら、絡んで行って逃げる隙を作りつつ、こっちが攫われるように仕向けてやろう



「……くそ、まんまと眼鏡かよ」
 そう一人で毒づきながら、自前の銀縁フレームの丸メガネを指で摘みながらくいっ、と軽く上げるのは千川・宙夜(ヨアケゾラ・g02626)。
(敵の好みに合致しているのが、ああ……くそ、なんだか癪だぜ)
 芸人……という出身ではあるが、その表情に愛想の欠片も見えず、ひねくれ者特有の愚痴が湯水のように溢れ出てくる。
 だが、そんな心の中の荒れ模様とは裏腹に事前の作戦通り、貧民街の住人らしく煤けた服を纏い、酒瓶片手にフラフラとほの暗い路地裏を練り歩く。
 売れなかったとはいえ、やはり芸能人という世界に身を置いていたためだろうか。その演技は中々どうして堂に入っており、ぱっと見ではわからない。
 そして、前方から歩いてくる黒い人影にもとっくに気がついている。
「おい、とま……おわっ!」
 当然ながらそのまま止まる宙夜ではない。酔った演技の勢いそのままで男の一人にぶつかり、巻き込むように地面へと倒れ込む。
「こ、この酔っぱらいが……!」
 倒れ込んだ男が怒声を上げるが、宙夜は意に介さず、うめき声を上げる演技をし続けだけ。
「まあ、いい。お前はそいつを例の場所に連れて行け」
「は? 一人で?!」
 地面でもつれる二人を見下ろしながらもうひとりの男が、冷たく命令を下す。立ち上がるのが難しい程の酔っぱらいならば、逃げられる心配はないと踏んだためだろう。
「チッ……」 
 一瞬の間があったが、結局は逆らえないようだ。倒れた男は舌打ち一つし、宙夜に肩を貸す。そして、のろのろと緩慢な動きで立ち上がった。
 だが、彼らは気がついていたのだろうか。
 アルコールの匂いがしないことに。
 宙夜は間抜けな二人組みに、心の中でシニカルに笑みを浮かべ、目的地へと向かう。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【操作会得】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!

リリア・ヘイセイル
助けられる人がいるなら、1人でも多く助けたいです。

服装は、貧民街でも違和感ないようシンプルで少し傷んだのにします、が、……生足、生足かあ……。
……いえ、諜報員の面目躍如です。がんばります。……膝丈スカートでも、大丈夫ですよね?

うっかり奥に迷いこんでしまった、みたいな感じでうろうろします。
拐い役に会えたら、場の雰囲気に合わせて演技しますね。気絶したふりとかもありかも。
可能な範囲で、他の人のために目印として白い小石でも、落とそうかな。

誰かが拐われている等、拐い役が獲物を探している素振りがなければこっそりと後を着けますね。
工場では少しでも多く情報を集めて、後の作戦がうまく行くようにしないと、ですね。



 時折、辺りを見回しながら、ほの暗い路地裏を歩く女性が一人。
 美しい金色の髪と鮮やかな青い瞳が、この路地裏特有のジメジメとした重い空気をどこか遠くへと押しやっているようだ。
 リリア・ヘイセイル(インソムニア・g02288)は、同じ作戦を引き受けた仲間である宙夜の事を思う。
(千川さんならきっと成功しているはず)
「それにしても……生足、生足かあ……」 
 心のなかでため息一つ。
 一度立ち止まり、自らの服装を改めて見直す。貧民街でも違和感のなくシンプル、そして少し傷んだ服装で、貧民街に上手く溶け込んでいる。
 むむむ、と唸りながら履いている膝丈のスカートの先端を指先で軽くつまんだ。膝丈のスカートながらも、そこからは美しい絹のように色白い脚が伸びている。
「……いえ、諜報員の面目躍如です。がんばります」
 そう小さく気合を入れ直すと、目の前にある路地の曲がり角に来たときだった。ドン、という重い音にぶつかる。明らかに人と判る感触。
 と同時にリリアの腹部に軽い衝撃が走る。
 男が思い切り腹を殴りつけ気絶させようとしたのだ。が、悲しいかな、彼女には殆ど効いていない。
 「うっ……」
 当然ながらリリアはに気がついていた。すでに曲がり角には人の影が薄っすらと生えていたからだ。
 とはいえチャンスと、リリアはうめき声を一つ上げて、仰向けに倒れた。
 そして、手慣れた様子で小柄な彼女を脇に抱えると、歩き始める。時折、リリアは薄目で様子を探ったり、予め用意しておいた白く小さな小石を、気づかれぬよう他の仲間達への道標として、落としていく。
 気絶していると思い込んでる為か、男がその様子に気がつくことはない。
 やがて、都市部の喧騒は消えていく。
 リリアがうっすらと目を開けると、場所は開け、そこには2階建て程度の大きさの廃病院が、こじんまりと佇んでいた。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!

ラウム・マルファス
目印があってくれて助かったヨ。見張りとかいるだろうし、外で騒いで囮になろウ。手持ちのドローンは情報収集用に換装して2階の窓付近へ飛ばすヨ。
「すみません、すーみーまーせーン」
正面側の外から大声で呼んでみるヨ
「ここに来ればお金くれるって言われたんですケド。入っていーカイ?ダメ?」
「誰にって言われても、知らない人だヨ」
「じゃー騒がないから、とりあえずお金ちょーダイ。研究材料買わなきゃいけないカラ」
注意がこっちに向いたら2階のドローンからリリアへ情報を渡そウ。ついでにフライトドローンも出して、怪我人の運搬に使って貰うヨ
上手くいった頃には追い出そうとするかボクも捕まえようとするだろうから、全力で逃げるヨ



(目印があってくれて助かったヨ)
 リリアが残した目印をたどりながらラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)は肩をすくめ、おどけた調子でほくそ笑む。
 不気味に静まり返った廃病院。コンクリート製の壁面はところどころ剥がれ落ちており、窓枠のガラスもいくつか砕けている。
「さテ……」
 敷地をまたぐと、すぐ目の前に入り口である木製のドア。ボロボロに朽ちた廃病院であるが、この扉だけやけに新しい。その上、泥などの堆積物も見られない。
 手持ちのドローンは既に有線接続されたカメラ機材を搭載し、情報収集用に換装済みである。
「すみません、すーみーまーせーン」
 ラウムはわざと大声で叫ぶ。さらに大げさな音が出るようにノックもしてみる。だが、即座に返ってくるものも、人の現れる様子もない。
 見張りを立てれば人目につきやすくなる。それを嫌ってか、もしくは手持ちの戦力によほどの自信があるのか。
 (……なるほどネ) 
 人の気配がなさ過ぎる。この場合は後者だろう。そうラウムは結論づけた。
 とはいえ、やるべきことは変わらない。
「ここに来ればお金くれるって言われたんですケド。入っていーカイ? ダメ?」
 再度、強めにノック。さらに大声を上げる。
「じゃー騒がないから、とりあえずお金ちょーダイ。研究材料買わなきゃいけないカラ。誰にって言われても、知らない人だヨ」
 メチャクチャな論理を展開しながら、ダメ押しのノック……の前にドン、とけたたましい音を立てドアが激しく揺れた。それからガリガリと扉をかきむしるような音。
「グゥゥゥ……」
 扉の向こうから低い唸り声……いや、その声は人と機械のノイズが入り混じったようなうめき声と言うべきか。
 囮の成功を確信したラウムは、ドローンを飛ばす。人を乗せるくらいのサイズの為、侵入口は慎重に探さなければならない。気味の悪いうめき声を聞きながらも冷静に操作する。
 やがて、二階の一角に、窓ガラスが大きく割れている箇所を見つけると、そこからドローンを侵入させることに成功させた。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!

クロエ・マイネリーヴェ
歪んでしまったドイツ帝国、私の故郷。
その非道は止まることを知らないようだ…おのれ。
民よ、もう少しだけ待っていてほしい。

拉致が横行している地域で身を隠しつつ、
人攫いの現場を確認し奴らの後をついていく。
「いけるな、フランツ。」
匂いを覚えろ、私を奴らの施設へ案内してくれ。【追跡】

施設への侵入後、まず優先すべきは脱出の為の露払いだ。
私が囮になり機械の番犬共に奇襲、炎の剣で焼き切る。【火炎使い】
番犬は一体ではないのだろう、集まるならそれでいい。影に隠れていたフランツに犬笛で合図を出す。
仕留めろ、その砲で一体ずつ確実にな。

見たかドイツよ、機械なんぞより私の相棒の方が優秀だぞ。



 ラウムがドローンを二階に侵入させると同時に、クロエ・マイネリーヴェ(帝都のクロエ・g03850)が、その白い髪をたなびかせながら窓ガラスを砕き、小柄な身体を滑り込ませる。
 砕けたガラスが、かすかな明かりがキラキラと反射し、否が応でも彼女の姿を際立たせる。
 パンツァーハウンド『フランツ』により、他の仲間達同様にこの廃病院の場所は突き止めてある。後は拉致された人達を脱出させるための露払いに徹するのみ。
 狙い通り飛び込んだ先は、入口のドアに殺到している敵集団の横合い。それも完璧のタイミング。クロエの鋭い眼光が捉えたのは一体のアイゼンヴォルフ。
「ふっ……!」
 短く息を吐きだし、直剣『ブレンホルズ』を一閃させる。怒りを体現したような斬撃と炎が全身を炙り、アイゼンヴォルフを派手に吹き吹き飛ばした。
 その様子を感情の見えない瞳で追う他のトループス級。
「歪んでしまったドイツ帝国、私の故郷。その非道は止まることを知らないようだ……おのれ」
 眼前に武器を垂直に構える。燃える剣身が彼女の白い肌を照らす。それは怒りと決意を込めた祈りのよう。
「民よ、もう少しだけ待っていてほしい」
 そうつぶやくと同時に、ようやく動揺から回復しつつあるのか、ジリジリと距離を詰める敵集団。その数は十数体。
「ギギ……グガァッ!」
 先程の奇襲の際に一撃与えたアイゼンヴォルフがノイズ混じりの人間のような咆哮を上げ、背中の砲をクロエに向ける。
 だが、彼女は動じない。
「いけるな、フランツ。仕留めろ、その砲で一体ずつ確実にな」
 同時に砲声がクロエの背後から響き、空気を震わせた。放たれた砲弾は、射撃体勢に入っていた敵の眉間に命中し頭蓋を砕く。
「見たかドイツよ、機械なんぞより私の相棒の方が優秀だぞ」
 そう誇らしげにつぶやく彼女の足元には、割れた窓から飛び込んできたフランツ。
「ガァァァ!」
 戦端が開かれる。
 機械じかけの獣たちは雄叫びを上げると、バラバラに射撃を開始した。その中にクロエはフランツと共に臆することなく突撃していった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【動物の友】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!

リリア・ヘイセイル
ラウムさん達が見張りさんを引き付けてくれる間に、捕らわれている人を助けに行きます。

近くにいてくれるといいんですけど。
ドローンの情報がお借りできたら、早そうです。

大きな音や声を出してくれているので、音に近い場所は避けて動きます。

「あの、助けにきました。……大丈夫ですか?」
「先導します。静かに慌てず、ついてきてくださいね」

動けない方がいれば、元気な方に肩を貸してもらうなど、スムーズに脱出できるよう気を配ります。
基本的には戦闘を避けて、見つからないように進みましょう。
どうしても敵を避けられない場合は、私が囮になっている間に逃げてもらいます。

脱出できたら、ラウムさんのドローンに合図しますね。


藤永・えみり
復讐者としての依頼……緊張しますけど。普通の人たちを改造なんて許せません。やれる事をやるまでです。

他の復讐者の皆さんが一般人に紛れて潜入したり、陽動をしてくださっている様ですから……私はガジェット【蜃気楼】を稼働。光学迷彩の残留効果を展開して潜入し、監視を排除して脱出ルートを確保します。必要ならば、捕まった人たちの前に姿を見せて避難誘導も行い、脱出を助けます。
「……驚かせてごめんなさい。あなた方を助けに来ました。脱出経路の見張りは片付けてあります。ドローンも来ていますから、逃げてください」

ある程度目処が付いたら、ドローン等に任せて、陽動も兼ねつつ、クロノヴェーダの掃討に向かいます。



作戦により拉致されることに成功したリリア・ヘイセイル(インソムニア・g02288)の眼前には、情報通り男女10人が、多少広いだけの無機質なコンクリート製の部屋に押し込められていた。
 諦めているのか、うなだれた者もいれば、怯えきって泣いている者もいるようだ。
「あの、助けにきました。……大丈夫ですか?」
 かがみ込み、なるべく小声でリリアは囚われの身となっている全員に聞こえるように語りかける。
「おおっ」
「よ、良かった……助かった……」
 囚われた人々から歓喜の声が、希望とともに立ち上がった。
 その様子を柔らかい笑みでリリアは返すと、けが人が居ないかどうかを確認する。改造手術を行うにあたって肉体的なダメージは、良くないのだろうか、数名衰弱しているようだが、どうやら全員無事のようだ。
「後は脱出ですね」
 リリアは小さくつぶやくと、部屋を見回す。場所は地下室。一応、電気は来ているようだが明かりは天井についている一灯のみで薄暗い。出入り口は一箇所で、そこは格子のついた鉄製のドアが立ちはだかっている。
 無意識に耳に着けている赤いイヤリングに指をそっと這わせ、さて……と、思考を回していると、ゆっくりと鉄製のドアが開く。
 一瞬、囚われの人達から息を呑む声が上がる。
「……驚かせてごめんなさい。あなた方を助けに来ました。脱出経路はクリアです。ドローンも来ていますから、逃げてください」
 そこにはいつの間にか藤永・えみり(ヴンダー・カンマー・g01322)の姿。それはさながら蜃気楼のようにも見えたかもしれない。
 えみりがここに来たとき、誘拐犯であったならず者たちの姿は既になく、部屋の鍵も入口近くの壁に掛けてあるだけという雑なものだった。
「リリアさん、先導をお願いします。殿は私が」
「お願いします、えみりさん」
 幼いながらも自信に溢れた表情を見せるえみりに、安心して後方を任せるリリア。
「先導します。静かに慌てず、ついてきてくださいね」
 彼女の声に囚われた人達は、移動を開始する。降って湧いた希望に、取り乱さないのは、まだ幼く見えるえみりと小柄なリリアが落ち着いているからだろう。
 特に苦もなく地下から抜け出す。えみりは漆黒の金属脚を器用に動かし音を立てずに、後方を確認しながら歩く。
 少し離れた場所からは、剣戟やら爆発音が騒々しく空気と彼女たちの鼓膜を震わせる。
 戦闘を避け、しばらく進んでいくと、二階へと進む階段の踊り場にドローンが浮いていた。仲間が送り込んだものだ。リリアはドローンから情報を得ると、えみりに向き直る。
「二階が手薄なようです。非常階段も見えたとあるので、そちらに向かいましょう」
「わかりました。後もう少しです、皆さん」
 えみりは後方から一般人たちを励ます。
 二階にたどり着くと、外へとつながっている階段はすぐに見つかった。未だ、足元では激しい戦闘音が聞こえてくるが、仲間たちが上手く引きつけてくれているようだ。こちらのフロアには、寂れた病院そのままの姿。えみりたち以外に動くものは居ない。
 リリアがドローンに合図すると、囚われた人達は一人、また一人と階段を慎重に下っていく。ボロボロの見た目だが、なんとか持ちそうだ。
 皆、彼女たちディアボロスに感謝しているのだろう。ありがとうと言うものや、泣きながら感謝を伝えるものもいた。
 そんな様子をえみりとリリアは静かな笑みを浮かべ見送る。
 そして、最後の一人が階段を駆け下りたのを見送ると、えみりはいまだ戦闘の続いてる病院内に振り返った。
「……普通の人たちを改造するなんて許せません」
 小さな手のひらをグッ、と握り込む。その表情は決意。 
「やれる事をやるまでです」
 えみりはリリアと頷きあうと、戦場へと駆け出していった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【エアライド】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!

御門・風花
物静かで人形のような少女。
感情を奪われているため、無表情で相手を見通すような瞳が特徴。

ディアボロスたちが被害者達を施設から脱出させるまで、騒ぎを起こし敵を引き付けて時間稼ぎをする。

脱出してるルートとは反対側から突入し敵トループスを誘き出す。
「作戦開始」
敵を同士討ちさせるように、火器が飛び交う戦場を敵の間をすり抜ける様に駆けまわります。
「こっちだよ」
避けづらい小さな弾丸は全身に気(オーラ)の障壁を纏い弾く
「無駄」
大きな砲弾は【破軍衝】気を集中させた拳や裏拳でガードすると同時に衝撃波で軌道を逸らす。
「破軍衝」
回避や防御に専念しつつ、隙を見て敵に【破軍衝】を叩き込み、衝撃波で内部から破砕。
「遅い」



「作戦開始」
 御門・風花(静謐の凶鳥・g01985)がトループス級『アイゼンヴォルフ』の合間に切り込む。他の仲間達と同様に、派手に暴れて敵を引き付け、時間稼ぎをする作戦だ。
 無表情ながらも、その瞳には強い意志が宿っているのが判る。そして。
「遅い」
 短い言葉にもどこか昂ぶった感情と強い意志が見て取れる。鋭い言葉とともに発動した破軍衝が、近場にいたアイゼンヴォルフを捉える。
 風花の人形のような姿から想像もできないほど、重く力強い踏み込みが床を叩く。続いて、同時に放たれた拳が敵の脇腹にめり込み、発生した衝撃波が敵を打ち据える。
「グギャァッ」
 ノイズ混じりの人と獣が混じり合ったような悲鳴を上げるアイゼンヴォルフ。どうにか倒れることだけはを耐え切ったようだ。そして、反撃ととばかりに背中の砲塔を回転させ、風花を捉えると同時に発砲する。
 煙と獣のような轟音を砲口から上げ、誘導弾が放たれた。放たれた砲弾は複雑な軌跡を描いた後、風花の右肩を叩く。
「……っ」
 重い痛みが、肩から全身に回るが、まだ倒れるようなダメージではない。受けた勢いそのままに、右足を軸に一回転。何事もなかったように、再び先程のアイゼンヴォルフと相対する。
「無駄」
 事も無げに風花はつぶやくと、再び踏みこみ、跳躍する。空中でアイゼンヴォルフと目が合う。相変わらず、その四つの目からは感情が読み取れない。
「破軍衝」
 背中から拳を叩きつけた。金属の重い感触が拳を通して伝わってくる。だが、ためらうことなく拳で撃ち抜く。同時に放たれた衝撃波が敵の背中から床へと突き抜けた。
「グ……ギ……」
 アイゼンヴォルフは金属同士が擦れ合うような声を上げた後、床へ倒れ込み……そのまま動かなくなる。
「次」
 トループス級の数は確実に減ってきている。
「こっちだよ」
 そう風花は確信すると、まだ残っている敵へ疾走した。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【エアライド】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!

一ノ瀬・綾音
友達のエレナさん(g00090)と一緒に行くよ。

さてと、囮はうまくいってるようだし、綾音ちゃんたちはこの機械たちを破壊すればいいんだよね。
じゃあ、遠慮なくいかせてもらうよ!

多分相手は一気に綾音ちゃんたちを集団で取り囲むと思うから、相手が囲んで距離を詰めたあたりで綾音ちゃんは【フライトドローン】で綾音ちゃんを空中に連れてってもらおうかな。空中を使えば距離の心配はなくなるからね。
その後は空から角度を調整してエレナさんに当たらないように気をつけながらアイスエイジブリザードで一気にまとめて攻撃する!
取り囲みはターゲットを逃がしたら終わりなんだよ?まとめてクールダウンしちゃえ!


エレナ・バークリー
同行:綾音ちゃん(g00868)

秘密工場の警備はやっぱり人外を使いますか。
鋼の狼と言えど、狼は狼。故郷ではよく訓練相手にしたものです。
本物とどう違うか確かめさせてもらいます。

相手の誘導弾を斬り捨て、「勇気」をもって「突撃」して、敵の四肢が動かない間に頭部を屠竜撃で叩き落とし「一撃離脱」しましょう。
なるべく敵を引き付け、一箇所に固まるよう誘導します。
【命中アップ】の力で当てやすくなれば。

綾音ちゃんは、空から魔法ですね。
なら、彼女に砲門を向けている個体を優先的に叩く!
私の大切な友達に傷一つ付けさせません!
アイスエイジブリザードが発動の瞬間に効果範囲から飛び退きます。

身動き出来ない敵を順に叩き壊し。



 クロエと風花の一撃が、アイゼンヴォルフたちを一体、また一体と屠り、着実に数を減らしていく。
 その光景を見ながら、一ノ瀬・綾音(綺羅星の如く・g00868)とエレナ・バークリー(アブソリュートウィッシュ・g00090)の二人は、お互い背中合わせで敵陣の真っ只中に居た。
 残りの数は少なくなっているが、アイゼンヴォルフたちは彼女たちを取り囲み、ググゥ……と唸り声を上げている。不利な状況ではあるが、綾音とエレナに焦りもなければ気負いもない。
「囮はうまくいってるようだし、綾音ちゃんたちはこの機械たちを破壊すればいいんだよね」
「ええ。……思えば、鋼の狼と言えど、狼は狼。故郷ではよく訓練相手にしたものです」
 エレナは言い終わると同時に、相棒とも言える両手剣クレイモアを肩に担ぎ上げる。言葉はいらない。背中越しにお互いうなずき合うと、彼女たちは行動に打って出る。
「じゃあ、遠慮なくいかせてもらうよ!」
 綾音は元気よくそう告げると、跳躍する。
 タン、と軽い音を立て、長い緑色の髪がふわりと浮く。伸ばした手の先には、出現したフライトドローン。指先を引っ掛け、そこを支点に空中で一回転するし、ドローンの上部に柔らかく着地する。
 流石に飛ぶとは予想してなかったのか、アイゼンヴォルフたちの動きが一瞬止まった。綾音とっては十分な時間だ。
「取り囲みはターゲットを逃がしたら終わりなんだよ?」
 『力』のこもった言葉と同時に、アイスエイジブリザードが発動する。収束した吹雪が指向性を持ち、トループス級数体を巻き込み吹き荒れた。
「さて、本物の狼と、どう違うか確かめさせてもらいます」
 トレンチコートの裾をはためかせながら、エレナが突進する。クレイモアは大上段。勢いは殺さず、頭部にそのまま振り下ろした。
 屠竜撃が発動し、鈍い金属音を響かせる。刃から両肩までしびれ突き抜けるが、彼女にとってはどうということはない。アイゼンヴォルフの金属でできた頭部を切断、いや叩き落とす。そして、まだ勢いは止まらない。ひと動作で剣は空を切り、横合いに居た敵の切り裂く。
 がらん、と金属音を立て、二体ともそのまま動かなくなる。
 ようやく綾音の初撃から立ち直ったのか、アイゼンヴォルフがその金属でできたあぎとを大きく開け、彼女めがけて飛びかかろうとする。だが、その飛びかかりが実行されることはなかった。
 エレナのカウンターが決まり、クレイモアの刃が脇腹から鈍い光を放ちながら飛び出している。
「ありがとう! エレナさん」
「私の大切な友達に傷一つ付けさせません!」
 見れば、既に敵の数は二体。綾音とエレナが再度、うなずきあう。
「まとめてクールダウンしちゃえ!」
「これで……終わりです」
 再度吹き荒れるアイスエイジブリザード。そして、屠竜撃が発動し、もはやともし火と化したアイゼンヴォルフたちを、完膚なきまでに、叩き壊した。
「ギギィ……ガ……アッ」 
 金属の擦れるような音を立て、最後の敵が動きを止める。だが、エレナも綾音も戦闘の態勢を解くことはない。
 周囲に動くものはない。
 いや、廊下の薄闇の向こうから、ガリガリと床と何かが駆動する音を立てながらやってくる異形の人影。
「ああ……もう。まさか全滅するなんてねぇ。はぁ、また最初から、かぁ」
 やけに粘着質でけだるげな調子でつぶやく異形。ドリルとかした脚で、倒れたアイゼンヴォルフの一体を蹴飛ばす。
これがアヴァタール級トルナード・ヘクセとディアボロスたちは確信する。
 この凄惨な事件、最後の障害へと手が届くところまでやってきた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【使い魔使役】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】LV1が発生!

カール・リーツ
いきなり親玉と出くわすとはな
ツイているのかいないのか……
味方の位置が遠くないことは音で分かる
これも強化された聴覚のおかげだな
俺にとっては、忌々しいだけの力だけどよ

……さてと待たせたな、
まずは俺が相手だ!

空を飛ぶってのが厄介だ
上空に逃れられたら、こっちは手も足も出せない
だが俺だって生身の人間とは違う
ダッシュ技能とアクセラレイターで駆けまわり、
射撃の照準を定めさせない

焦れて急降下してきたらチャンスだ
アクセルダッシュで助走をつけジャンプ、
フライトドローンを足場にして更に高く
空中で迎撃
そのまま掴んで地べたに叩きつけてやる!

味方の足音は徐々に近づいて来ている
到着するまで、もう少し俺に付き合ってもらうぜ!



(まさか、親玉と一対一とはな……ツイているのかいないのか)
 心のなかで盛大にため息を吐くカール・リーツ(鋼鉄の鼓動・g01763)。
「あら……攻撃してこないのぉ?」
 異形の人影、トルナード・ヘクセがやけに粘ついた声と笑みでカールを挑発する。
「いやいや、待たせたな。じゃあ」
 その挑発に闘志をむき出しした獰猛な笑みで返す。
「まずは俺が相手だ!」
 溜め込んだ闘志を吐き出した瞬間、トルナード・ヘクセの眼前からカールがかき消えた。荒れたリノリウム張りの廊下がひび割れる。
 廊下、壁を蹴りつけ、三次元的な機動を取りながら更に加速。暴力的な加速に身体が軋む。
「むぅ……これは」
 敵の狙いが、縦横無尽に動き回るカールに定まらない。
「目を回すなよ!」
 彼がそう言い終わる頃には、既に懐。それは闘志を塊にしたかのような弾丸のようだ。敵の口角が引きつっているのを視界の隅に捉えたが、躊躇なくその異形の体を吹き飛ばした。
 空気が圧縮され弾けたような轟音が廃病院の廊下に響く。
「ぐっ……がっ」
 爆音とともにトルナード・ヘクセは壁にめり込み、ひび割れが壁面に走る。そして、コンクリートの破片とホコリが舞い上がった。
「……ちょっと甘く見すぎてたわぁ」
 金属の軋む音を立てながら身体を起こす。
「じゃぁ、今度はこちらから」
 同時に背面にあるノズルから、けたたましい音とともに煙を吹き出し、ふわりと宙に浮く。
(空を飛ぶってのが厄介だ。上空に逃れられたら、こっちは手も足も出せない)
 だが、カールとて対策をしていない訳がない。跳躍する。
「うふふ……無駄よぉ」
 異形の腕が甲高い音を立て回転し始める。同時にトルナード・ヘクセは突進し、二人が交差する。
「ぐっ……! けどな……!」
 カールが顔をしかめる。ドリルが彼の脇腹を削りとっていた。だが、傷は浅い。そして、再度、荒々しい笑みを敵に見せてやる。
 彼の足元にはフライトドローン。それを足場にする。
「立ち止まっている暇はない!」
「なん」
 驚愕は途中で断ち切られた。アクセルダッシュが発動し、空中から地上へと敵を叩きつけたのだ。
 今の一撃は確実にダメージになったのだろう。トルナード・ヘクセはうめき声を上げながらゆっくりと立ち上がる。
 だが、まだ油断はできない。カールは身体を斜めに構え、始まったばかりの戦いに備えた。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【スーパーGPS】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!

リリア・ヘイセイル
無事に捕まっていた人を助け出せましたね。
これで一安心です。さあ、反撃のお手伝いに行きましょう。

戦う音を目指して病院内を進んだら、トルナード・へクセに行き当たりました。
できるだけ気配を殺して、死角からヒット&アウェイを心がけます。
とりあえず、狙われたら注意を引きつつ逃げまわって攪乱。注意がそれたら背後をとる、を徹底します。
空中へ逃げられた場合、自分が狙われているようならやっぱり回避に専念。
ほかの方へと攻撃が向かう場合には、エアライドで背後をとれないか試します。
敵が撃ち落とされた場合には、連携して攻撃をしますね。

【院内にいる他のディアボロスが撤退するか、合流するまで、倒さないように気を付けます】


藤永・えみり
救出作業は完了……後はトループス級とアヴァタール級を倒すだけ、ですね。

ここは……トルナード・ヘクセの撃破に向かいます。
空中戦を得意とするタイプ……機動力で後れを取るつもりはありませんけど、3次元の軌道は厄介ですね。
でも、空中からの急降下攻撃……逆に言えば、必ず近づいてくるってことです。他の復讐者の方たちと連携しつつ、後の先を狙います。
使うパラドックスは戦術機動パッケージコード008。全身を瞬間最大出力でリニア加速して最大最速の一撃を加えるものです。。
これを、相手の突撃に合わせて使います。
急降下のドリルの一撃よりも速く、銃剣の連撃からの近距離射撃を一気に叩きこんでかたを付けます!


クロエ・マイネリーヴェ
妙な注文を付けて人探しをしていたようだな
何をする気だったかは聞かん
聞かずとも、私の『怒り』は強く燃えている

奴を撹乱する、数の利を活かすぞ
私とフランツは二手に分かれ、光線を警戒し常に走り続ける。【ダッシュ】
銃で顔、目を狙い牽制
犬笛で合図を出し背後からもフランツに砲撃をさせる
機械化しようと奴の視界は限られる、冷静さを失わせろ

しかし本命は奴の目が慣れてきた時
ここまで地を走り回るだけの私が、上へ跳ぶ。【エアライド】
それも一度ではなく二度、二度めは空を蹴り奴目掛けて急降下
思考誘導も戦略だ、引き籠りの魔女には分からないか

燃える剣を突き刺し、内から焼き尽くす。【火炎使い】
「その命を灯せ。これで幕引きだ。」



「救出作業は完了……次は私が」
 藤永・えみり(ヴンダー・カンマー・g01322)が、カールの横合いから飛び出していく。
(空中戦を得意とするタイプ……機動力で後れを取るつもりはありませんけど、3次元の軌道は厄介ですね)
「……中々やるじゃないのぉ」
 トルナード・ヘクセ が、再度背面のジェットノズルから、白煙を上げながら上昇する。
(でも、空中からの急降下攻撃……逆に言えば、必ず近づいてくるってことです)
「ならば……っ!」
 えみりの漆黒の金属脚が廊下の壁面を蹴りつける。その瞬間、サイボーグ化された身体と意思、ガジェット群が一本の糸でつながったかのように完全同期を果たす。
 蹴りつけた壁面から青い閃光が走り、莫大な電力が磁場を形成する。金色のポニーテールがふわりと揺れた、と思われた時、彼女の姿は雷光と共に消え去った。
「戦術機動パッケージ・コード008――起動します!」
 肺に溜まった空気を一気に吐き出す。電磁力がえみりの全身を駆動させ、膨大な大電力が周囲の空気を熱していく。遅れて積もった砂埃と雷光が後を追うように走る。
「けど、同じ手は食わないわよぉ……!」
 先程、彼女の仲間であったディアボロスからもらった手痛い一撃を警戒しながら突撃するトルナード・ヘクセ。
 やがて異形の影と少女の影、二つの影が再度交差、することはなかった。
「がぁっ?!」
 トルナード・ヘクセが顔面から墜落する。
「そうはさせませんよ!」
 エアライドを駆使し、敵の背面に回ったリリア・ヘイセイル(インソムニア・g02288)の放ったアサシネイトキリングは強烈な一撃を敵背面に浴びせ、背面装甲を粉砕したのだ。
 機械化されていても痛覚はまだあるのだろうか。激痛に顔を歪ませながら素早く立ち上がろうとするが、まともに動けない上にもう遅い。
「しまっ」
 眼前には、えみりの高振動ナイフの放つ刃。電磁加速とそれに伴う電撃付与された一撃が敵の腹部に炸裂する。まともに喰らい、そして吹き飛ぶ。
「ぐっ……ぅ、こ、このっ、ふざけるなあああああ!」
 全身のひび割れた装甲をきしませながら、立ち上がり激高するトルナード・ヘクセ。その表情と声に先程までの余裕や粘着質な言動は怒りに塗りつぶされていた。
 より一層、機械化された赤く光るを激しく灯らせながら、再度飛翔。
「ふっ……!」
 息を短く吐きながら、リリアはエアライド、または壁を蹴りつけながら縦横無尽に駆け回る。サラサラと流れるような金髪をなびかせながら、動き回るその姿は舞踏にも見えるかもしれない。
 だが、回避しきれなかった一撃が彼女の腕を引き裂く。
「ぐっ……!」
 戦闘不能になるような傷ではないが、焼け付くような痛みと溢れ出る赤い血がリリアの白い肌を染めていく。だが、彼女は焦らない。青い瞳はトルナード・ヘクセの機械化された赤く光る目を捉えて離さない。
「……?」
 攻撃が来ないことに疑問に思いつつも敵がドリルを構えた時だった。
「クロエさん、いまです!」
「任せてもらおう」
 横合いからクロエ・マイネリーヴェ(帝都のクロエ・g03850)の刃のごとく鋭い返答。それと同時に彼女の手にしていた小型の軽機関銃『ベロイヒテン』が火を吹く。
 乾いた音とともに吐き出された弾丸が、トルナード・ヘクセの顔面に命中した。火花を散らし、閃光が走る。ダメージ、とまでは行かないまでも十分に注意を引きつけることは出来ただろう。
「妙な注文を付けて人探しをしていたようだな。何をする気だったかは聞かん」
 クロエは剣身を燃やす直剣『ブレンホルズ』を抜剣し、剣先をトルナード・ヘクセへと突きつける。
「ああ、言わなくともいい。聞かずとも、私の『怒り』は強く燃えている」
 言うと同時に、右へダッシュ、次は左、後方と縦横無尽に、鋭く駆け巡る。そして時折、攻撃を浴びせ、確実に敵を術中に落とし込んでいく。
「こ、この、ちょこまかと!」
 激高したトルナード・ヘクセが声を荒げ、機械化された頭部、ゴーグル状の赤い目が激しく光ったかと思うとレーザー光線で、クロエの周辺を薙ぐ。
「……っ」
 焼ける匂いと針を指したような鋭い痛みが彼女を襲うが、動じない。
(……機械化しようと奴の視界は限られる。そして、本命は)
 跳躍するクロエ。さらにエアライドで空中を蹴りつけ、跳ぶ。今まで平面での撹乱に終止していたが、突然、目標が空中に飛んだことで、トルナード・ヘクセの注意がわずかにそれる。そして、その一瞬はディアボロスたちにとって十分すぎる時間だ。
「戦術機動パッケージ・コード008……これで――」
 注意がそらされ、がら空きとなった背面へ、えみりの一撃が突き刺さった。敵の背面ユニットは完全に砕かれ、周囲に熱せられた金属片が散乱する。
「終わりです!」
 さらに前のめりになったトルナード・ヘクセの死角から、リリアの完全に気配を遮断したアサシネイトキリングが直撃する。その一撃はひび割れた前部装甲を砕き、機械化された身体の内部が露出する。
「ガァッ……アアア!」
 敵がノイズ混じりの悲鳴を上げる。
「思考誘導も戦略だ、引き籠りの魔女には分からないか」
 跳躍したクロエがエアライドで急降下する。燃える剣身を水平に構えながら。
「その命を灯せ。これで幕引きだ」
 音もなく『ブレンホルズ』がリリアの破壊した胸部装甲、その内部へと突き立てた。ヒュー、ヒューとトルナード・ヘクセが金属が擦れるような声を上げながら、クロエを振り払おとする。だが。
「悔いるには遅い――灯せ」
 目を閉じる。クロエの内に渦巻く怒りが、燃える剣身が、轟炎と化す。小さな火種は炎となり、辺り一面を灼熱とオレンジの輝きで舐め尽くす。それは、さながら戦場の情景。命を終わらせるもの。
「ギイ……ィ……ア」
 まるで機械と獣が混じり合ったような断末魔。それは先のアイゼンヴォルフたちのようで。
 やがて炎が収束し、戦場の情景は消える。だが周囲が熱せられた影響か、いまだひりつくような空気となっている。
 炎の中心に居たトルナード・ヘクセの右腕は焼け落ち、左足は今にも取れそうだ。ゆらり、とその異形が揺れた。そして、ガシャン、と大きな音を立てながら崩れ落ちると……そのまま動かなくなった。
「終わりましたね」
 リリアが小さくつぶやき、仲間たちがうなずいた時だった。バキン、と何か決定的なものが砕ける音が廃病院全体を駆け巡った。


 ディアボロスたちが、病院の窓をぶち割りながら飛び出してくる。それと同時に、廃病院が自重で一階から潰れていき、そして二階もまるで豆腐のように潰れていく。
 爆発は地下と建物を支える柱だったのだろう。まるで大地に飲み込まれるのように、砂埃を上げ病院の形をしたものは消えていく。
 やがて粉塵が舞い散った後に残ったのは瓦礫の山。
「帰ろうか」
「ええ」
 誰ともなしに声が上がり、ディアボロスたちは、次の戦いに向けて帰還する。
 あとに残る瓦礫はまるで、誰かを弔う墓標のようにその身を静かに、ひっそりと横たえるだけだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【モブオーラ】がLV2になった!
【操作会得】がLV2になった!
【熱波の支配者】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】がLV2になった!
【先行率アップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2021年09月05日