リプレイ
メルサンク・トトメス
アドリブ、連携可
巡礼者の衣装をしっかり【観察】し、同じ衣装、同じ装飾を身に着ける
他の巡礼者と違う部分があれば話をして確認する
他の仲間とも【パラドクス通信】で連絡を取り合いながら相互チェックをしたい
オベリスク破壊の時にタイミングを合わせることもできるしね
祈りを捧げたらテーベに行くという体で、テーベの情報も仕入れておきたいな。(【情報収集】)
オベリスクが輝いて見えるね。反対側のオベリスクのない台座も少し輝いて見えるけど、そう見えるのはボクらだけ?一般人にもそう見える?
オベリスクのない台座もクロノ・オブジェクトなのかな?(【看破】)
簡単に壊れたらクロノ・オブジェクトじゃないってことでいいかな(脳筋)
神殿の入口に向け、信仰深き者たちが列をなして進んでいく。
彼らは整然と歩みながら、神殿に足を踏み入れる瞬間を心待ちにしているようだった。
「ここで祈りを捧げたら、テーベに行くつもりなんだ」
さんざめく人々の中で。
紛れ込んだメルサンク・トトメス(𓌸𓋴𓋹𓁐𓅝𓄠𓋴・g03837)が、折よく話しかけてきた婦人にそう応えていた。
復讐者たる彼女の褐色の肌や深緑の瞳、そして美少年にも見える中性的な容貌が注目を集めるようなことはなく、交わす会話もまた、人声の中に紛れて聞き咎められる心配はない。
「テーベ、賑やかなところみたいねぇ」
ワンピースのような白の衣服を纏った婦人は、メルサンクに対し、巡礼する者として共感めいた感情を抱いたようだ。
「私たちもしっかりお祈りをしましょう」
「ああ」
婦人はメルサンクに笑顔を向けると、夫であろう、前を行く連れの若い男に言った。
観察したところ、二人はこの世界でもよく見かける一般的な民と見て良さそうだった。
(「やっぱり目立った情報はないか……でも今のところ順調そうだね」)
他愛のない話に興じる素振りを見せながら、メルサンクは二人だけではなく、周囲の状況さえも窺う。
人々はゆっくりと前進していき、神殿入口の鷲使いも、頭上を飛び交う鷲のウカーブも変わった様子はない。
「あれがオベリスク……なんだか輝いて見えるね」
ある程度まで近づいた時、向かって左手にそびえたつオベリスクに視線を向けながらメルサンクは言った。
周りの巡礼者たちも神秘的な光を帯びた方尖柱を見上げ、中には有難そうに拝む者さえいる。
「右側の台座も輝いてるんだね」
「え? ああ、あれね」
婦人がメルサンクの視線の先を、同じように見やった。
白く輝くオベリスクの対面――本来建っていた筈のもう片方のオベリスクは、土台を残して消失している。
「台座、か。神々しい光だな」
前を行く男が口を開いた。
見えているらしい――となれば、他の一般人にも視認できているのだろう。
(「なるほどね……」)
内心で頷いたメルサンクは、二人の視線が逸れた隙にパラドクス通信用の小型通信機を素早く操作する。
――簡単に壊れたらクロノ・オブジェクトじゃないってことでいいかな。
脳筋的な考えを巡らせながら、彼女はオベリスクに一歩また一歩と近づいていくのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
逆叉・オルカ
オベリスクか…。破壊はもちろんだけど、好奇心もある。
まずは潜入だな。少しでも謎を解き明かしたい
神殿に行く前に『情報収集』
拝礼のために田舎から初めて来ました……という建前で
町の信仰者から事前に礼法を習っておく(見た目は子供
服も信仰に見合うものを
仲間とも事前に情報交換できたら良いな
潜入時
神殿までは言葉少なに、丁寧に規律を守り、礼を弁え、目立たぬように巡礼者に混じるとしよう
臨機応変に周囲に溶け込む努力を
…でも何故これだけ襲撃を受けても信仰者は通い続けるのか?
もし日本だったら指名手配もされてそうだが…
気にする様子もないなら記憶でも操作されてるのかな?
目立たないよう気をつけながら、そこも軽く調べたいかな
「田舎から出て来たんです。一度、拝礼してみたくて」
これからルクソール神殿に赴くと言う逆叉・オルカ(オルキヌスの語り部・g00294)に、日に焼けた壮年が感嘆した。
「遠路はるばるとはなぁ。見上げたものだ」
腰布(シェンティ)を巻いた男の出で立ちはこの時代によく見られるもので、生成りの上掛けのようなものを羽織っているほかには特に目立った装身具の類も見当たらない。
「なにか守るべき礼法はありますか?」
男は首を横に振ると白い歯を見せて笑い、それから自らの心臓のあたりを拳で叩いて見せた。
「いやなに、神を信じる心さえあればそれが一番だろう。あとは周りの人間に合わせていればいい」
オルカはさも得心したように頷いて見せたのだが、内心では飽くまで冷静に、会話に見切りをつけていた。
蒼海のように透き通る双眸の奥に智慧を秘めて、彼は男に礼を告げた。
そこでオルカはメルサンクが呼び出したパラドクス通信機を、手の中で確認する。
通信によれば、今のところ際立った情報こそないものの、全てが順調に運んでいるようだった。
亜麻糸で織られた服を用意したオルカは、やがて神殿へと赴く信仰者の列に紛れ込んだ。
目立たぬよう、余計な言葉も口にせず静々と歩みを進める。
時折、横目で周囲に視線を配り、情報収集も忘れない。
周囲に溶け込むオルカの試みには無駄がなく、押さえるべきところをしっかり押さえていると言えた。
上空を飛び交う鷲のウカーブも、神殿前で監視する鷲使いのナスルも、紛れ込んだ彼に気付いた様子はない。
(「まだ信仰者が訪れるのか。これだけ襲撃を受けても……」)
神殿へと歩む老若男女に目立った特徴はないが、オルカからすればこれだけの人が集まっていることさえ異様だ。
記憶でも操作されているのだろうか――考える彼の周囲の人間は、いよいよ目前に迫る神殿をじっと見たり、呟くように祈りの文句を唱えたりしていた。少なくとも何かに警戒したり怯えたりといった様子は窺えない。
「さてと……いよいよだな」
神殿入口、向かって左側にそびえるオベリスクを、オルカが鋭く見据える。
露見せずに接近できたのは、まさに彼の理知と冷静さの賜物だった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【操作会得】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
シアン・キャンベル
我等が神に祈りを。
我等が神の寵愛に。
この身この心を捧げよう。
嗚呼――見守られる現に感謝しつつ此度も喜ばしく文言(く)を垂れるのだ――素晴らしき哉、嬉しくて嬉しくて、頭が揺れる。
私は異端を許しはしないが、その為の『演技』をする事に関しては得意だと言えよう。何故ならば秩序、平穏の輪郭は脳を示している儘に。
神に対する祈りと共に植物の愛しさを捧げよう――勿論、全ては布石、次に備える術だがな。
神よ――此度は私の肉と骨、何方を選ぶのか、応え給え。死骸を食むよりも新鮮な内、齧る事こそが味わいと解せる。
五体投地――何度も何度も、頭を地面にうちつける。このめまいは神よ、アナタの為に晒す真実で御座います――。
改竄された歴史の上にそびえる神殿、そこに如何なる神が座しているのだとしても。
敬神の民は神域に足を踏み入れる栄誉に陶然としながら、その歩みを止めることはない。
偉大なる神。それが偽りのものとは露知らず、人々は列を成し、また或る者は神殿を前に跪いていた。
無論、信仰者の群れに潜む復讐者たちがその外見で見咎められることはなく、民衆の中に混じって拝跪する『彼女』に不審の目を向ける者もまたいなかった。……少なくとも、今のところは。
「我等が神に祈りを。我等が神の寵愛に。この身この心を捧げよう」
恭しく告げながら、シアン・キャンベル(妖蟲・g01143)は文字通り地面に額突く。
彼女は異端を許さない。
彼女は偽神を認めない。
曰く――彼女が信仰するのは平穏(ホテプ)、もしくは秩序(アザトート)。
他を許さぬがゆえ篤信の演技は造作もないのだ。秩序、平穏の輪郭は脳を示している儘に。
「素晴らしき哉、嬉しくて嬉しくて、頭が揺れる」
その昏き宙(ソラ)のような双眸に神殿を映し、艷やかで蠱惑的な髪に包まれた頭が、眩暈を覚えたように揺れ動いた。
(「嗚呼――見守られる現に感謝しつつ此度も喜ばしく文言(く)を垂れるのだ」)
絶対なる存在を信ずるが故か、彼女の『礼拝』は恐ろしいほど真に迫っている。
「神よ――此度は私の肉と骨、何方を選ぶのか、応え給え」
アメン神は満たされり(アメン・ホテプ)……史実に於いてその名と所縁の深い神殿を前にシアンは跪く。
「死骸を食むよりも新鮮な内、齧る事こそが味わいと解せる」
遂には五体投地すると、彼女はその頭を乾いた地面に打ちつけ始めた――何度も何度も。
頭蓋に響かせ、脳髄を痺れさせるように――何度も、何度も。
それを目の当たりにすれば、信心深き者たちさえ毒気に当てられたように呆然としてしまう。
頭上を飛ぶ怪鳥めいたマミーどもが騒ぎ、神殿入口に立つ鷲使いも流石に懐疑に目を細めた。
(「神に対する祈りと共に植物の愛しさを捧げよう――勿論、全ては布石、次に備える術だがな」)
危険度の高い試みとも言えたが、注目を集めたことで、他の復讐者たちがオベリスクに近付きやすくなったとすれば……あながち無茶なだけの行動とも言えない。
叩頭しながら祝詞とも呪言ともつかぬ言葉を紡ぐ妖蟲(シャン)。
ふらふらと頭を揺らし、ゆらゆらと大気に声を揺蕩わせて。
「このめまいは神よ、アナタの為に晒す真実で御座います――」
成功🔵🔵🔴
効果1【植物活性】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
マルケト・キサウェ
あれが件のオベリスクという奴ですか。
(最終人類史にあったとされる物を)図鑑等で見知ってはいましたが、やはり実物は違いますね。圧巻です。
……まあ、壊すとなると気後れはありますが。地道に試行を重ねることが大事です、やっていきましょう。
まずは状況を整えます。
先に潜入した方々に引き入れて頂いた後、《タフィーは嘘つき》を使用。警備役たちに気づかれないよう<忍び足>で一般巡礼者の方々の側に近付き、今からここで一悶着起こるのでそれとなく避難してください、とお願いします。
クロノヴェーダを厚く信仰しているご様子ですが、相手は人間。きっと話せばわかって頂けるはずです。そう、話せばわかる……(目がぐるぐるし始める)
「あれが件のオベリスクという奴ですか」
神殿から少々離れた地点で、マルケト・キサウェ(docta ignorantia・g03412)は、小手をかざしながら、屹立するオベリスクを眺めていた。本来の人類史上のものを図鑑で見たことはあったが――改竄された歴史上にそびえ立つ方尖柱は神秘的な光を纏い、識っているオベリスクとはやはり異なっている。
「やはり実物は違いますね。圧巻です」
遠目にオベリスクを観察した後、マルケトはその翠緑の瞳に決意を湛えて、神殿へと近づいていった。
(「……壊すとなると気後れはありますが。地道に試行を重ねることが大事です」)
神殿前に集まった巡礼者たちの間に動揺が広がりつつあることを、彼女は見逃さない。
先に潜入したシアン・キャンベルの振る舞いに、人々が不審な目を向けてざわついているのだ。
(「今がチャンスですね」)
クロノヴェーダの注意も逸れていたため、忍び足で行けば人々の中に紛れるのは容易であった。
「なんだ、あれは……」
「なんと……冒涜的な……」
口々に言い合う巡礼者たちの一群に近づいていくと、マルケトは声をかけた。
「お話しましょう!」
巡礼者たちは振り返って怪訝な顔をする――そう、彼らは声に『反応した』のだ。
マルケトは丁寧で落ち着いたな物腰のまま、小声で語りかけた。
「この様子だと、多分、一悶着あると思います」
確かに頭上を飛び交う鷲のウカーブも、神殿入口に立つ鷲使いのナスルも、共に張り詰めた気配を放ち始めている。
「巻き込まれたら大変です。一旦避難したほうが良さそうですよ」
マルケトの言葉が人々の鼓膜を震わせ、頭蓋に響き渡った。
(「きっと話せばわかって頂けるはずです。そう、話せばわかる……」)
話しながらなにやら目がぐるぐるし始めるマルケト。
それを目にした人々の目も同じようにぐるぐるし始めた。
タフィーは嘘つき――彼女のパラドクスが、巡礼者たちの心にさざなみをたて、影響を及ぼしているのだ。
「君がそう言うのであれば……騒動に巻き込まれてはたまらんからな」
「そうよね……なんだか怖いし」
味方の生じさせた状況、それに乗じたマルケトの機転が、見事に功を奏したのだ。
数名がその場を離れようとすると、周囲の人々も少しずつ神殿から距離を取り始める。
(「これで被害は抑えられそうですね」)
マルケトは頷くと、人々の間をすり抜けるようにして、オベリスクに近づいて行くのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【友達催眠】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!
マルケト・キサウェ
攻撃開始です!
とは言ったものの、どちらかと言えばわたくし大規模破壊は苦手な方でして……他の方がオベリスクへの攻撃に専念出来るよう、補佐目的で立ち回りましょうか。
《斯卡布羅の市へ行くのなら》を使い、周辺に幻惑の霧を発生させると共に複数体の幻影を出現させ、敵群を撹乱します。
幻影を囮にし、屍鷲を何体か倒したい所です。
ただ、相手は空を飛びますし、加えて入口付近に居た敵は見るからに風を用いて攻撃しそうな風貌。
実際の所どれだけこの目眩しが有効かは定かではありませんが……仮に吹き飛ばされようとも、霧は【ロストエナジー】に変じて残留し続けます。吹き荒れる瘴気があれば、多少なりとも敵の動きを阻害出来るはずです。
「攻撃開始です!」
復讐者たちがオベリスクに攻撃を始めるのを見て、マルケト・キサウェ(docta ignorantia・g03412)は小型拳銃の銃把を握り締めた。
恐るべき事態の到来に、巡礼者たちが悲鳴をあげて逃げていく。
これが前触れなしのことであれば恐慌に陥って怪我人が出たかも知れなかったが――マルケトの働きかけにより、既に逃げようとしていた人々である。将棋倒しになることもなければ、戦闘に巻き込まれることもない。
(「大丈夫そうですね」)
これで心置きなく戦闘に専念できる。小さく頷き、マルケトは頭上を見上げた。
――聖域を穢すものは殺せ!
――八つ裂きだ、八つ裂きだ!
上空を旋回する鷲のウカーブが、醜い声で喚き立てている。
「邪魔はさせません!」
決然と告げたマルケトだが、大集団を相手取っての大立ち回りや大規模破壊は、実のところ余り得意ではない。
それゆえ彼女は、オベリスクに攻撃を仕掛ける復讐者たちを支援すべく、行動を開始した。
(「視界を塞げば時間稼ぎくらいできるはず……」)
おぞましい翼の音をたてて飛び交うウカーブ。
その歪な体躯を、不意に濃霧が包み込んだ。
斯卡布羅の市へ行くのなら――パラドクスにより生じた幻惑の霧に取り巻かれ、屍の鷲どもが呻き声をあげて態勢を崩す。
およそ空を飛ぶものは大気の状態に左右されるものだ。
ある種の編隊飛行をするとなれば、視覚は特に、行動の要になる。
「これで自由には飛べませんよね」
マルケトの効果的な妨害により仲間を見失ったウカーブの群れは、次の瞬間、霧の中に屠るべき少女の姿を捉えた。
――見つけたぞ、見つけたぞ!
急降下攻撃を仕掛けたウカーブの鋭い鉤爪が、マルケトを文字通りに引き裂く。
しかし。
――なんだ、なぜ手応えがない!?
屍の鷲たちが霧の中で似たような声を木霊させる。
「さて、本物はどれでしょう?」
鈴を鳴らすような澄んだ声が幻惑するように響き渡った。
幻影に翻弄されて、鉤爪が『本物』に届くことはない。
それだけではなく、霧に混じった死を齎す瘴気は、屍鷲の群れを徐々に蝕んでいく。
「少しでも数を減らしたいところですね」
惑う屍の鷲どもに彼女が突きつけたのは、小型拳銃の銃口だった。
霧の中に乱反射するマズルフラッシュ。
弾丸がウカーブの翼の付け根に直撃して悲鳴をあげさせる。
「さあ、この調子で行きましょう!」
次々急降下してくる屍の鷲に狙いを定め、マルケトが立て続けに銃声を響かせた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【現の夢】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
リリア・ヘイセイル
(サポート)
私にできることがあって、誰かが助かるなら、気の進まないことにでも真摯に取り組みますね。
(物静かで穏やかな性格で、基本的には丁寧な口調で話します。)
戦闘よりは工作や避難誘導など、裏方の作業が好きです。
戦いになれば、からめ手……ですとか、撹乱して手数で勝負する、ことが多いです。
パラドクスは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他のディアボロスに迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせいたします。どうぞよろしくおねがいします!
包帯を巻かれた鷲が、呪いめいた言葉を喚き散らしながら飛び交っている。
屍体が奇妙に捻じ曲げられたような、鳥の形をしたマミーの群れ――地に無数の影を落とす鷲のウカーブを、リリア・ヘイセイル(インソムニア・g02288)はどこか眠たげな、茫洋たるその青の瞳に映していた。
「私にできることがあって、誰かが助かるなら……」
けたたましい喚き声を放つ敵の群れが復讐者に襲いかかっているとなれば……すべきことは決まっている。
「撹乱、できるでしょうか」
と、同じ戦場で戦う復讐者――マルケト・キサウェのパラドクスにより湧いた濃霧が、不意に戦場を取り巻いた。
まるで夢幻の世界のように塗り替えられた景色の中で、リリアは敵の影を見失うことなく。
黒い小型拳銃の銃把を細指で握ると、跳び回る鷲のウカーブに狙いを定めた。
――聖域を破壊するものに死を!
――呪いあれ! 災いあれ!
ウカーブの群れが喚くように放つのは、聞く者の精神を毒する呪わしき禍言だ。
音は霧の中を伝播してリリアの鼓膜を震わせ、彼女は片手で耳を塞ぐようにしながらそれに耐える。
――ここで屍になれ!
――苦しみながら息絶えよ!
霧中に響き渡る呪詛の声。
それはまるで悪夢のようで――。
「一度は死んだ身ですけれど、無為に斃れるわけにもいきませんので」
リリアが身を翻した瞬間、鉤爪を伸ばしたウカーブがそこに突っ込んできた。
「拳銃でも……当たりどころによってはきっと痛いですよ」
精神を苛まれていると確信したウカーブたちの、それは致命的な誤算だった。
眉一つ動かさずに、リリアは引き金を引く。
人間の肩の痕跡を残しているようなウカーブの翼の付け根めがけて、容赦なく弾丸が送り込まれ、屍肉を穿つ。
小気味の良い発砲音がテンポよく響き渡る。
霧の中で踊るようにステップを踏むリリア――その手の中の拳銃が火を噴き、屍の鷲が次々に地に墜ちた。
成功🔵🔵🔴
効果1【罪縛りの鎖】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV2になった!
逆叉・オルカ
アドリブ、連携歓迎
オベリスクの破壊と分析を最優先
重傷は覚悟の上だ
…これが噂の結界装置か
【操作会得】を応用しオベリスクの仕組みを把握
オベリスクを直接操作できればよいが…無理でも仕組みを知る事でシステムの弱点を知りたい
修復や自己防衛モードへの切り替えをできなくするか
オベリスクへのエネルギー供給を阻害できれば今後の破壊も有利となると思う
その為にどこを壊すべきか…
分析には情報収集、魔術知識、看破も使用
…オベリスクの製作者名もわからないかな?
弱点は仲間に知らせてから
復讐の刃で攻撃を行う
敵の攻撃はモーラットに戦艦を操らせて対応、時間稼ぎ
宙を泳いでこい、モ助
武器改造で武器をオベリスク破壊に最適化しておく
『神域を穢す不届き者め。神の裁きの前に潰え去るがいい!』
厳格な態度で信仰者たちを見定めていた鷲使いのナスルが、復讐者を前に、怒気を含んだ声を響かせた。
不快な鳴き声をあげて鷲のウカーブが頭上を飛び交っている。
先程までの厳かな空気は瞬く間に吹き払われ、辺りは殺伐とした戦場へと一変していた。
「危険だろうが、やってみる価値はあるな」
そのただ中に身を置いても、逆叉・オルカ(オルキヌスの語り部・g00294)の心は、凪いだ海原のように静かだった。
復讐者たちが鷲のウカーブを打ち払っている間に、彼はいち早くオベリスクへと駆け出す。
「こっちは任せて、オルカさん」
手が届く程にまで近づいた彼のその真横で、メルサンクがスフィンクスのプロフェッサーと連携して、襲い来るウカーブの群れを食い止めていた。
だが勿論、敵は怪鳥めいたマミーだけではない。
『滅び去れい……!』
重々しい言葉と共にナスルの放った鷲のミイラどもが、オルカめがけて翔び、新たな死者を作ろうと襲いかかる。
「宙を泳いでこい、モ助」
その直前――横合いから『何か』が陽光を浴びて輝きながら飛び込んできた。
全長1.5m、シャチの姿をしたモーラット専用鯱型特殊戦艦――それに座乗したモ助が身を挺してオルカを救けたのだ。
「きゅぴ!」
凛々しい顔をしたモ助が、特別に誂えられた座席の中で鯱型戦艦を操る。
装甲を抉られて煙を噴きながらも、戦艦は懸命に虚空を泳ぐ。
心強い味方が作り出した時間を逃さすまいと、オルカはオベリスクに手をかざした。
(「修復機能、エネルギー供給……仕組みを把握できれば阻害もできる筈だ」)
神秘的な輝きを放つオベリスク――オルカは自らの魔術知識と持てる技術を総動員して、その分析にかかる。
(「外面は修復されているが……ダメージが蓄積しているのは確かか」)
尚も全霊を傾けるオルカだが、解析はまるで深き海に潜る行為にも似て、困難を極めた。
オベリスクの損傷度から脆くなっている箇所を何とか看破してのけた彼は、復讐者たちにそれを伝えた。
だが次の戦いにそれが活きるかと言えば――甚だ怪しい。
「っ、そう簡単には行かないか……!」
虚空に召喚した無数のナイフが、鋸めいた両刃を光らせる。
指を振るオルカの動作に合わせてオベリスクへと殺到する刃。
傷を負う覚悟で突っ込んだオルカとモ助の勇敢さが功を奏し――深々と突き刺さったナイフがオベリスクに罅を入れた。
成功🔵🔵🔴
効果1【操作会得】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
メルサンク・トトメス
【②選択者をディフェンス】
「プロフェッサー、オベリスクがない方の台座で好きなだけ爪研ぎしていいからね」(【挑発】)
スフィンクスの爪研ぎで傷一つ付かないなら、こっちの台座もクロノ・オブジェクトだと思っていいよね(【観察】【看破】)
空を飛べるから有利だと思った?
ボクがこのオベリスクを質にしている限り、飛んでいても降りてこなくちゃいけないんだ(【戦闘知識】)
もちろん盾にもするよ(【地形の利用】)
急降下攻撃に対して、対空砲火のようにイシスの雷撃の銛(パラドクス)を打ち上げる。何回でも放ち続けるよ(【連続魔法】)
銛で落ちてきたウカーブはプロフェッサーが止めを差す。
「オルカさん、自爆命令できそう?」
「プロフェッサー、そっちの台座で好きなだけ爪研ぎしていいからね」
瞳に理知的な光を湛えたスフィンクスのプロフェッサーが、柔らかそうな前足から鋭利な爪を飛び出させた。
戦闘開始直後、軽やかに神殿入口まで駆けたメルサンク・トトメス(𓌸𓋴𓋹𓁐𓅝𓄠𓋴・g03837)は、今やオベリスクの台座の前に立って襲い来る敵を逆に迎え撃っているのだ。
――グギギィ! なんと不敬な!
――やめさせろ、やめさせろ!
騒ぎ立てるウカーブもまた超常の力を持つマミーだ。
狼狽した様子ながらも鉤爪を光らせて瞬時に急降下してくる。
だが読んでいたプロフェッサーは乾いた地面を蹴ると、台座の周りで機敏に敵を翻弄し始めた。
「空を飛べるから有利だと思った?」
耳障りな翼の音をたてながら殺到してくるウカーブに、メルサンクは蔑視にも似た冷たい視線を浴びせていた。
彼女とプロフェッサー、二つの攻撃目標のために、屍の鷲はその群れを分散させねばならず――加えて。
(「ボクがこのオベリスクを質にしている限り、飛んでいても降りてこなくちゃいけないんだ!」)
群れによる急降下攻撃というものは、開けた戦場で獲物を狩る時にこそ、その真価を発揮するものだ。
メルサンクがオベリスクを盾にしてしまえば、ウカーブの攻撃はどうしても精彩を欠くことになる。
空飛ぶ敵とその戦闘方法を推し量って翻弄するメルサンクとスフィンクスの戦い振りは、実に見事なものだった。
「数を揃えても無意味だね。オベリスクの護り、それでいいのかな?」
挑発されたウカーブの群れは、彼女とプロフェッサーに多くの戦力を振り分けてしまった。
他の復讐者も、随分戦いやすくなっている。
「オルカさん、自爆命令できそう……?」
「難しいな。複雑過ぎる」
――小賢しい、小賢しいぞ!
――まずはお前たちから仕留めてやる!
ウカーブの群れが上空で宙返りを打つと二手に分かれ、恐るべき勢いで左右から襲いかかる。
『𓋴𓊪𓂧𓂻𓏼𓊪𓂋𓂧𓈎𓋴𓏏𓋴𓀁𓂧𓃀𓃬𓏟𓂧𓈖𓎼𓎡𓏏𓄡𓇋𓂟𓅓𓆓𓍿𓏏𓋴𓎡𓏛𓎡𓅱𓋴𓈎𓇋𓈙𓀁』
手にした杖から迸った電撃――イシスの雷が、宙を裂くように奔って屍人の鷲どもを貫いた。
「プロフェッサー、お願い」
思慮深きパートナーがひと鳴きして、落ちてきたウカーブに止めを刺すべく飛びかかった。
メルサンクとプロフェッサーが息を合わせ、屍の鷲を一挙に屠っていく。
大成功🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】がLV2になった!
効果2【ダブル】がLV2になった!
ヒルデガルド・シグルズスン
(サポート)
『守護者の尊厳を喪ったが、騎士の矜持は失しておらぬ。』
ドラゴニアンの撃竜騎士×無双武人、20歳の女です。
普段の口調は「誇り高き竜の女騎士(私、貴殿、~である、だ、~であろう、~であるか?)」、あわてた時は「ポンコツっぷりを呈する(私、貴殿、~である、だ、~であろう、~であるか?)」です。
パラドクスは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他のディアボロスに迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
ルクソール神殿の入口にそびえ立つオベリスクは神々しい光を放ち、復讐者の立て続けの攻撃にも耐え続けていた。
厳重な警備の中、此処まで辿り着いた以上、いま、この好機を逃すわけにはいかない。
更なる攻撃が求められていた時、戦場に現れたのは、白銀の甲冑に身を包んだ勇壮なるドラゴニアンの撃竜騎士――即ち、ヒルデガルド・シグルズスン(流浪の撃竜騎士・g00941)だった。
「狙いはオベリスクか。いざ、推して参る!」
鋭利な長柄の切っ先をエジプトの陽光に輝かせ、赤竜の翼で大気を衝ちながら彼女は疾駆する。
その金色の瞳に映るのは神殿の前に屹立する、光り輝くオベリスクだ。
――新手だ、新手が来たぞ!
――止めろ、奴を止めろ!
鷲のような姿に成り果て、包帯で全身を巻かれた鷲のウカーブが、猛突進するヒルデガルドを阻もうと急降下する。
鋭い鉤爪で八つ裂きにしようと迫り来る異形の鷲。
だが、ちらと視線を送った撃竜騎士――その美しくも凛々しい顔に浮かんだのは、不敵なる笑みだった。
「その程度の数で、この私を止めようというのか? 笑わせるなッ!」
口の端を歪めたヒルデガルドが怒声一喝、手にした愛用の武器で虚空に弧を描き、走りながらもウカーブを打ち払う!
それはまさに、敵地めがけて勇敢に突き進む騎士の突撃であり、烈々たる闘志を燃え上がらせる赤竜の暴威そのものだ。
「あれを壊せば良いのだろう? 任せておけ!」
驚くべきことにウカーブを次々に打ち払うその攻撃動作さえ、彼女にとって全力ではない。
本当に穿つべきは、目前にそそりたつオベリスク。
喰らいつくのは今。
その牙を突き立てるのは、この時をおいて他にない!
「貫く! そこだッ!!」
突進の勢いをも利用して槍を突き出すことによる渾身の破鎧衝が、オベリスクの中心を穿ち抜いた!
成功🔵🔵🔴
効果1【平穏結界】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
シアン・キャンベル
神よ――嗚呼、我等が神意よ。
その美しく、艶やかで荘厳な夢幻を如何か奈落に晒し給え。
いたむ頭を押さえつつも成すべきは星喰らう蛆虫の召喚か。
成程――気付くのが早い、とても良い神の遣いと言うべきか。たとえ内臓をブチ撒けても、私は破壊活動を止めやしない。
先程も説いた通り、皮も肉も骨も神の為に酷使すべきだ。カオスが啼く儘に放置など赦されない事柄よ。そろそろ偽りの信仰から目を覚ますが良い、ふわついた心に避難と呼ばれる現実を――さあ、崩れるのだ。
バベルの真似事も出来ない贋作を何故おそれると言うのか。脳髄がはみ出たところで私の在り方が殺されるなど有り得ない。腹が減った、つまり異質な光景を正す腹なのだよ。
「神よ――嗚呼、我等が神意(プロビデンス)よ。その美しく、艶やかで荘厳な夢幻を如何か奈落に晒し給え」
ゆらと立ち上がった女、シアン・キャンベル(妖蟲・g01143)は詠唱めいた言葉を口にしながら、鷲使いのマミーをその瞳に映していた――吸い込まれるようなその昏き瞳に。砂塵に揺れる服は空を翔び肉を喰む蠱の翅めいて、さらりと揺らめく髪を風に任せながら、彼女は毀すべきモノと対峙していた。
『聖域を穢す涜神の罪人よ。我と我が眷属が裁きを加えん』
重々しく死を宣告する鷲使いのナスル。
「成程――気付くのが早い、とても良い神の遣いと言うべきか」
血を滲ませる額を圧えながらも、魔的な力を発散するシアン。その総身から溢れ出る不可視かつおぞましき気配に、飛び交う鷲のウカーブがギャアギャアと叫びをあげた。
「先程も説いた通り、皮も肉も骨も神の為に酷使すべきだ。カオスが啼く儘に放置など赦されない事柄よ」
ふわりとその翅めいた服が揺れたかと思うと、水に油を落としたかの如く、何もない空間に穴が開いた。
蠢くものが顔を覗かせる。
白き『幼虫』――そう呼ぶには余りにも醜怪かつ巨大な化物。
シアンが忌々しい蛆虫と評するモノが、いま、虚空に……!
信仰者たちが避難できたのは幸いだ。それは目にした者の正気を甚だしく損なう光景だった。
爆発的な成長を遂げた蛆虫が、産まれ落ちるように、乾いた大地に転げて地響きを立てる。
刹那、凄まじい勢いでオベリスクめがけ突っ込んでいった。
『なんと醜悪な』
飛翔した鷲使いのナスルが両腕の翼から弾丸めいた羽根を放つが、巨大な蛆虫は血を噴きながらも止まらない。
「そろそろ偽りの信仰から目を覚ますが良い、ふわついた心に避難と呼ばれる現実を――さあ、崩れるのだ」
呪詛をわめくウカーブどもに取り巻かれたシアンが、鉤爪に切り裂かれる。
遣い手を狙うのは正攻法と言っても良いはずだった。
だがそれは、相手が痛みや肉体の欠損に動じる者であれば――の話だ。
「バベルの真似事も出来ない贋作を何故おそれると言うのか。脳髄がはみ出たところで私の在り方が殺されるなど有り得ない」
巨大な蛆虫が遂にオベリスクに衝突し、身をよじるようにして暴れ狂い、大打撃を与える。
如何に外見を修復しても、それは拭いようのないダメージだった。
「腹が減った、つまり異質な光景を正す腹なのだよ」
総身を血潮に彩りながら、口の端を歪めるようにしてシアンが嗤う――。
大成功🔵🔵🔵
効果1【避難勧告】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
『聖域を侵し、あまつさえ毀損する愚か者どもよ。その罪の深さを思い知らさん』
手勢である屍の鷲を喪っても、鷲使いのナスルの堂々たる物言いは揺るぎなく。
その青き眼光で復讐者たちを射抜くように見据えていた。
オベリスクに加えられたダメージは、この戦場に挑んだ復讐者たちにとって十分なもの。
ナスルの重々しい声には、神域をこうまで愚弄した者への怒りが籠められていた。
『天空を司る神、偉大なるホルス神よ。我に加護あり給え』
何処からともなく猛禽の羽音が聞こえてくる。
鷲使いのナスルが翼を纏わせた片腕を掲げ、復讐者たちを迎え撃つ――!
メルサンク・トトメス
へえ。そういう上から目線の物言いをするんだ
「人類の歴史を侵し、あまつさえ改竄するクロノヴェーダ。奪われし者の怒りを思い知れ」
八つ当たり的にもう一発オベリスクを殴る素振りを見せる(【挑発】【精神攻撃】)
ナスルが止めに入らなければ、そのままオベリスクを殴る(【破壊】)。何なら壊れるまで殴る
ナスルが無数の鷲のミイラを召喚して止めに入ると思うので、【残像】とそこに群がる無数の鷲のミイラを目晦ましに利用し(【計略】)、ホルスの加護を得て(パラドクス)空から(【飛翔】)逆襲する。懐に入って殴る(【グラップル】)
オベリスクは盾として活用する(【地形の利用】)
「このディヴィジョンは、ボクらが取り戻す!」
逆叉・オルカ
アドリブ、連携歓迎
ネメシスで行くか
仲間に対しディフェンスを行う
さっきは守ってもらったからな
多少の恩返しはさせて貰おう
「どんな罪でも背負ってやろう。元よりそのつもりで来ている。偽りの神に抗う覚悟もーー命を奪う覚悟も、承知の上でな」
敵の行動や弱点を看破しながら、的確に狙い打ってゆく
使うのは氷冥弾
貫通撃で鷲ごと本体を撃つ
氷の花に閉じ込めて敵の動きを封じてみよう
凍てつき、そして死に眠れ
臨機応変に立ち回り、自分の負傷は厭わない
「今は砂漠も、ナイル川も、テーベの街もあんたらのものかも知れない。だが、いずれは俺たちが奪い返す。このディヴィジョンごとな」
一度は朽ちた命だろうが、敵の生命を今再び、冥界へと誘おう
マルケト・キサウェ
配下を無尽蔵に召喚してくるのも厄介ではありますが、主なる脅威はあの翼に依るものである様子。
翼に損傷を与えれば多少なりとも動きを鈍らせられるでしょうか?
小口径の拳銃弾では少し心許ないですし、接近攻撃を仕掛けたい所です。
他の方々も交戦している上、再び鷲のミイラが喚ばれたりするのならかなりの混戦状態になるはず。隙を見て《巴比倫までは何マイル?》を使い、影の中に文字通りの意味で“沈み”、そのまま影伝いに移動して攻撃網を掻い潜りつつ密かに敵へと近づきます。
背後まで周り込めれば<不意打ち>のチャンス。
鎌めいた形状をしたアイスアックスを翼目掛けて突き刺し、そのまま引き裂くようにして<斬撃>を見舞いましょう!
シアン・キャンベル
頭が痛いな――冒涜的が冒涜的たる所以を貴様等は全く理解出来ていない。いや、別にぶつけ過ぎた云々の所為ではないのだ。決して忌々しい貴様、この病的は八つ当たりではない
触れる触れないは正気か狂気かの『人の定まり』でしかないが、嗚呼、浴び続けるのは『よくない』ものだ
翅を無闇矢鱈と震わせるのは『退ける』為で有り、確実に脳髄を啜る為よ
貴様の内側には如何様なアイデアが詰まっている、随分と凝り固まった汁気だな――晒し給えよ。生命を削ぐのは此方も得意なのだ、木乃伊に『それ』が滓でも有るとは思えないが
さあ、愈々大詰めだ、貴様は復讐の熱量、受け止める肉体(うつわ)の持ち主か――?
「へえ。そういう上から目線の物言いをするんだ」
尊大な鷲使いの言葉に、メルサンク・トトメス(𓌸𓋴𓋹𓁐𓅝𓄠𓋴・g03837)は目を細めた。
天空神を信奉すると宣う居丈高なマミーの言動そのものが、赦し難い虚飾に他ならない。アンク杖を掴む手に力を籠めながら、時間神官たるメルサンクは討つべき敵を見据え、そして告げた。
「人類の歴史を侵し、あまつさえ改竄するクロノヴェーダ。奪われし者の怒りを思い知れ」
ナスルの片目が眇められる。
それは先程の鷲使いの物言いに対する――否、クロノヴェーダそのものに対する、痛烈な意趣返しだった。
「どんな罪でも背負ってやろう。元よりそのつもりで来ている」
凛とした少年の声を響かせて逆叉・オルカ(オルキヌスの語り部・g00294)がナスルと対峙する。
風に運ばれてきた砂塵がベールのように、復讐者とクロノヴェーダの間を吹き過ぎる。
「偽りの神に抗う覚悟も――命を奪う覚悟も、承知の上でな」
転瞬、響く声に明らかな変化が生じ、鷲使いのナスルは驚きに目を見張った。
『ヌゥ……!?』
砂の紗幕が消えた後――そこに立つオルカは老境に至った紳士然として、二つの瞳が年齢を感じさせぬ瑞々しくも底知れぬ光を湛えていた。白髭を蓄えた顔貌は重ねた年輪を現していたが、目に宿る涼やかな海の色は紛れもなくオルカのもの。
『如何なる業を用いようとも、我が神――ホルスの力に敵うこと能わず』
口調を乱さぬまま、重々しいその語気で相手を威圧するナスル。
復讐者の身に生じた変化、その脅威に気付かぬ鷲使いではなく、神を讃えながら無数の羽音を生じさせていた。
『見よ我が眷属を。死を運ぶ荒鷲が汝らを包まん』
空を覆うほどの鷲のミイラが召喚されると、腕を振り下ろすナスルの仕草に応じて、それらが急降下を仕掛ける。
(「さて、多少の恩返しはさせて貰おう」)
狙い通りと踏んだオルカが、降下してくる鷲の群れを引きつけるように地を駆ける。
その身のこなし、その疾さはとても老人のそれとは思えない。死の鷲が数を以って包囲しようと攻めかかる。
「無尽蔵に召喚してくるのは厄介ではありますが……主なる脅威はあの翼に依るものである様子」
屍の猛禽を行使する恐るべき鷲使いを、マルケト・キサウェ(docta ignorantia・g03412)は注視していた。
数え切れぬほどの鷲の群れも危険ではあるが、それに圧倒されてしまえば、肝心のナスルを捉えることはできない。
「……あの翼を狙えば、多少なりとも動きを鈍らせられるでしょうか?」
すぐさま決断すると、マルケトは精神を集中させた。
空で喚く鷲の群れが、暗雲のように地面に影を落としていた。
影踏みさながらにその暗がりを踏んで、彼女は力を行使する。巴比倫までは何マイル? 影がまるで水面のように揺らめき、暗がりにブーツの先を浸したマルケトが、とぷんと一気に体を沈み込ませた。
戦場のただ中で、少女は忽然と姿を消したのだ。
「オベリスクを護りたいんじゃないの?」
絶妙なタイミングでメルサンクが挑発の言葉を口にしたため、鷲使いは消え失せたマルケトにまで注意が届かない。
ウカーブとの戦いでオベリスクに近接していたメルサンクは、当然、その罅割れた石柱を間合いにおさめていた。
『ヌゥ……尚も罪を重ねんとするか!』
微塵の容赦もなくアンク杖を振り被ろうとする復讐者を、ナスルが放置できる筈もない。
召喚された鷲のミイラが翼の音もけたたましく妨害に入るのを、メルサンクはその深き緑の瞳に映していた。
おぞましき死鳥が大挙して押し寄せ、その小柄を覆い尽くすかと見えた時、
「さっきは守ってもらったからな」
「オルカさん」
メルサンクと鷲の群れの間に割って入るようにしてオルカが立ち回る。
『構わん、全てを喰らい尽くせ。涜神の愚か者を欠片も残すな』
忠実な屍の鷲に命令を下したその時。
不意に響き渡った言葉に、ナスルは怖気を感じたように背後を振り向いた。
「頭が痛いな――冒涜的が冒涜的たる所以を貴様等は全く理解出来ていない」
瞠目するナスルを前に、冷然と言ったのはシアン・キャンベル(妖蟲・g01143)だった。
痛みに頭を圧さえ、復讐者たちを鳥葬しようと目論む猛禽の群れには目もくれずに。
『なん、だと……』
「いや、別にぶつけ過ぎた云々の所為ではないのだ。決して忌々しい貴様、この病的は八つ当たりではない」
独言めいたその口調は、眼前の鷲使いの肺腑を抉るようでありながらも、茫洋として捉えどころがない。
頭蓋に響かせるような言葉さえ、敵の精神を蝕み、惑乱させる性質を帯びているのか。
「触れる触れないは正気か狂気かの『人の定まり』でしかないが、嗚呼、浴び続けるのは『よくない』ものだ」
翅が震え、空を衝つ翅音が神経を侵す。
『それ以上、戯言で神域を穢すな。五月蝿き侵入者よ。砂塵の中で朽ち果てよ』
木霊する言葉や翅音をかき消そうとするかのように、ナスルは両腕を振るって猛然と翼を羽ばたかせた。
二対の翼が旋風を呼ぶと、何処からともなく砂が舞い上がり、砂嵐と化してシアンに襲いかかる。
烈々たる風が孕んだ砂の一粒一粒が恐るべき呪いを放ち、暴風に閉じ込められた敵対者を呪殺せんと牙を剥くのだ。
死の風よ、狂え――轟々と吹きすさび、視界さえ覆うような嵐に取り巻かれてシアンの姿が見えなくなる。
ナスルは此処までの戦いに多少なりとも手応えを覚えていた。
如何に超常の力を持つ者とて、死の恐れを知らぬ鷲どもに狙われた者がただでは済むまい。
そして呪いを撒き散らす砂嵐にひとたび取り巻かれてしまえば、それもまた逃れようもない。
屍の鷲は肉体を千々に引き裂き。
無数の砂つぶてに心身を穿たれた者は狂死の末路を辿るだろう。
その筈だった。
「随分と凝り固まった汁気だな――晒し給えよ。生命を削ぐのは此方も得意なのだ」
『な、ッ……!?』
翅が震える。
翅音が響く。
鼓膜を震わせ脳髄を侵す音をたてて妖翅が振動する。
「木乃伊に『それ』が滓でも有るとは思えないが」
ナスルの胸に兆したのは、驚愕、疑念――そして恐怖であった。
精神汚染によって意識を侵食された鷲使いは、自ら生じさせた竜巻にシアンが取り巻かれるのを『幻視』していたのだ。
翅を鳴らして翔んだシアンは、ナスルの背後に迫っていた。
「さあ、愈々大詰めだ、貴様は復讐の熱量、受け止める肉体(うつわ)の持ち主か――?」
蛆鞭(ドール)が蠢き、鷲使いが叫び声を上げる。
「翼がお留守ですよ?」
鈴を鳴らすようなマルケトの、声。
振り上げたナスルの腕、そこに結いつけられたような翼が、不意に閃いたアイスアックスに切り裂かれていた。
その名が示す以上に鎌めいた形をした武器は、影伝いに背後を突いたマルケトの手で振るわれて翼に穴を穿つ。ぐいと引き寄せるような動作に呼応して布地でも乱雑に裂くように翼を引き裂いた。
『ガ、ッ……!? 貴様……ッ!』
「やっぱり、思ったとおりです。大事な翼でしょうから」
立て続けに振るわれるアイスアックスが、もう片方の羽にも引っかかり、同じように引き裂く。
ナスルの体躯を鑑みてもかなり大きな面積を持つ翼ゆえ、ここまで近づけば狙いをつけるのは容易い。
「これだけの鷲を操るのは流石の鷲使いと言ったところだが、注意散漫でもあるな」
群れをなして飛ぶ鷲のミイラを引きつけて戦場を駆け回るオルカは、流石に無傷ではいられない。
だが、両腕で首や目をガードしながら出来る限りを引き受け続ける彼に、屍の鷲は明らかに攻めあぐねていた。
まるで仕留めようとした海獣(えもの)が、予想よりずっと獰猛であったかのように。
『何……!?』
その時、気配を察したナスルが振り向いて驚愕に目を見開いた。
『𓋴𓊪𓂧𓂻𓏺𓉔𓈙𓆃𓂝𓅱𓇋𓂧𓂻𓇋𓏏𓎼𓎡𓂋𓂧𓍿𓆃𓐍𓍿𓋴𓈖𓀜𓋴𓈖𓏏𓋴𓎡𓎣』
偉大なる神の片目たる太陽を背にした時間神官――メルサンクがアンク杖を振り被って急降下してきたのだ。
「お前のような者が神の名を口にするな」
最古の神、偉大なる天空神、即ちホルスの加護を得た時間神官はこの時を逃さない。
『グ、オォォォッ……!!』
ナスルが翼を絡ませた両腕で杖をガードするが、余りの衝撃に地面に亀裂が入る。
凄まじい疾さで飛び回り、翻弄し、懐に入って猛烈な打撃を叩き込むメルサンク。
その戦い振りは、さながら神の化身たる隼そのものだ。
『視えぬ……捉えきれぬだと……!?』
残像を生じさせながら飛ぶメルサンクに、鷲使いは為す術もない。
「このディヴィジョンは、ボクらが取り戻す!」
凛乎とした宣言の後、横薙ぎに振り被ったひときわ強烈な一撃が、ナスルの巨体を吹き飛ばす!
「一度は朽ちた命だろうが、その生命を今再び、冥界へと誘おう」
オルカの軽く掲げた掌に水の粒子めいた何かが集合すると、次の瞬間、美しき弾丸と化した。
鯱印の拳銃型ガジェットにそれを装填し、引き金を引く。
「凍てつき、そして死に眠れ」
立て続けに放たれた氷冥弾が、屍の鷲に着弾するや紅色の氷の華に閉じ込めた。
凄惨かつ美しき光景の現出――無論、容赦のない弾丸は刮目したナスルをも逃さない。
『なんという業か……』
魅入られたようにその青き眼を光らせたナスル、その胸にも氷冥弾が着弾する。
「今は砂漠も、ナイル川も、テーベの街もあんたらのものかも知れない。だが」
汝、死を忘れるることなかれ――死から蘇ったと云う強大なるマミーは、此処に再びの死を突きつけられることとなった。
全身が氷結していくかのように紅き氷の花に閉じ込められるナスル。
「いずれは俺たちが奪い返す。このディヴィジョンごとな」
美しくも物凄まじい氷像(オブジェ)が屹立したかと思うと、それが激しい音をたてて砕け散った。
乾いた風が散華した亡骸を運んでいく。
オベリスクに大きなダメージを与えた復讐者たちは、一陣の風のように、戦場を後にするのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
【現の夢】がLV2になった!
効果2【アヴォイド】LV2が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!
【ロストエナジー】がLV3になった!