樊城の戦い:魏

 『魏』の拠点、樊城には、首都・許都から、続々と援軍が集まり、『蜀』のジェネラル級クロノヴェーダ・関羽の侵攻に備えているようです。
 『蜀』の関羽の軍勢に対しては、別のディアボロスが大乱戦の阻止に動いているのですが、その作戦が成功したとしても『魏』の大群が樊城に集結していれば、『魏』が『蜀』に攻め込む大乱戦が発生してしまいます。
 大戦乱を阻止する為に、計略を用いて『魏』の援軍が樊城に到達するのを阻止してください。

曹純軍を解体せよ(作者 君島世界
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●曹純の軍勢
 なびく大軍旗に、魏の一文字。
 軍団の足音低く、遠くへ轟く。
 大中心、軍馬の鞍上、蒼に鎧う将軍がいた。
「ぬう……!」
 将の名を『曹純』。背負う大剣にも冴える知略にも、名の知られた剛の者。
 その曹純が、腕を組み苛々としている様は、周囲をとめどなく圧していた。
「遅いっ! あまりに遅いぞ我が軍は!
 これしきの行程をたやすく踏破できずに、関羽との戦を闘えるものか!」
「――おそれながら!」
 馬の足元に、軍師が跪いて言う。
「こたびの戦は数が重要。道ながらの徴兵もありますが、軍団に限らず、膨らめば膨らむほど動きは鈍るというもの。
 どうかご寛恕を、我が君。破れた袋からこぼれる米は、烏を呼びまする……!」
「…………」
 曹純は聡い。名言を避けた軍師の真意を、たちどころに知る。
「次の木陰にて、補給を許す」
 その命令は、ただちに全軍へと通達された。
「補給ー! 補給の許しが出たぞー!」

●時先案内人『孫・浩然』
「ディレンマ、じゃな。数を集めねばならぬという義務と、集まれば鈍するという難点。
 精鋭を率いることもあるあの曹純が、弱兵をわんさか連れて来るというのは――」
 老紳士は、そこで目を細める。
「――実はものすっごいピンチじゃ。
 もし樊城にそのまま到着し、兵が大戦を経験でもしてみい。曹純めは、武人としてだけ見るなら中々のもの。貧弱の見本だったボクが見違えるような魏武マッチョ、じゃて。
 強兵の増加はそのまま、強力なクロノヴェーダトループスの増加にもつながる。
 おお、ところで名乗り遅れたがわしの名は孫・浩然。大戦乱群蟲三国志の世より参った武闘家じゃ。よろしくの」
 大戦乱群蟲三国志――。
 魏・蜀・呉、三勢力のクロノヴェーダが互いに争い合い、大戦乱を引き起こしているディビジョンだ。
「さて、それら三勢力の一角『魏』の大軍が、大陸の中央にある『荊州』の北部へと移動しているようじゃ。
 おそらくは、荊州を守る蜀の将軍『関羽』との戦に備えてのこと。
 この関羽の方は、別のディアボロスが対応しておる。おぬしらは、集結しつつある魏軍の軍勢を妨害し、起こりうる大戦乱を未然に防いでほしい。
 喧嘩両成敗……とも違うが、魏も蜀もここで十分に叩いておく必要がある。お若いの、ここはひとつ力をあわせ、奴等をキャン言わせに行こうではないか。の?」

 魏の大軍は、そのほとんどが一般人の雑兵だ。
 かれら同士が多数集まり、殺し合うような戦を起こすことで、世に大戦乱を引き起こすのがクロノヴェーダたちの狙いだ。
 それを防ぐために、まずは一般人の雑兵の中に紛れ込んでほしい。
 その後、内部に流言飛語を流すなどして軍勢を混乱させ、撤退させるように動こう。
 指揮系統が混乱すれば、敵の中枢であるクロノヴェーダの指揮官と精鋭部隊への攻撃が行えるようになるので、戦いを挑みこれらを撃破する。
 指揮官が倒されれば、敵軍は行動不能になるだろう。
 流言飛語の工作がうまく行けば、例えば本来の目的地とは別の箇所に向かう者が現れたり、雑兵が離散したりと、武力によらない軍勢の消滅が狙えるかもしれない。

「というよりアレじゃな。一般人、けして倒しちゃならんぞ。うむ。
 言い切るが、全員が全員、こんな戦など元より望んじゃおらん。
 望んじゃおらんが、戦争の恐ろしいところというのは――ふむ。
 ……その面構え、わしの説教など無用と見える。いい目をしておる。
 ならば行け。わしが連れて行く。この――パラドクストレインでな」

●大軍団の末端にて
「――れーい! 補給命令ー! 全隊その場で行軍停止せよ!」
 砂塵とともに去りゆく伝令のその声に、雑兵たちはどっとその場にくずおれた。
「や、やっとかよ……あの大将、夜明け前から昼過ぎまで歩かせるなんて何……を」
 口を滑らせた短髪の青年の口元を、傷の多い男が制す。
「やめとけ。誰が聞いてるかわからんぞ」
「す、すんません……でも、僕らずっと飲まず食わずですよ? 畑の仕事だってこんなぶっ通しじゃ働きませんよ。収穫以外は」
「収穫……か」
 男は、ふと暗い目をした。青年は彼のたそがれの意味がわからず、どっと寝そべる。
「あ゛ー木陰の地面冷たくてきもちー。これで水の一杯……いや三杯くらい……」
「ここで水と言い出すのが、お前のいいところだぞ」
「なんスかそれ。あ、茶の方がいいスか親孝行スか」
 青年は身を起こす。何気なく、故郷の方を向いた。
「……親孝行、してえなあ……なんでこんなこと、オレ……」
「……」
 男は、その軽口を咎めなかった。
 懐から軍糧の干し肉を取り出し、苦々しく噛み砕く。
 今日もまた命を繋いだという、それだけの安堵があった。


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POW  蜀漢義侠剣

技能:オーラ操作/両断/呼吸法 (各6LV)

「しょくかんぎきょうけん」。蜀の軍師が開発したという独自の呼吸法から、大岩をも断ち切る強烈な斬撃を放ちます。
(元パラドクス:森羅万象断)

SPD  千丈蟻堤斬

技能:両断/精神集中/勇気 (各6LV)

「せんじょうぎていざん」。大きな長い堤防をも断ち切り崩すという、強烈な斬撃を繰り出します。
(元パラドクス:斬妖閃)

WIZ  蟻巣岩窟陣

技能:拠点構築/塹壕掘り/忍耐力 (各6LV)

「ぎそうがんくつじん」。戦場に突如として岩塊を出現させ、素早く自軍の拠点を築きつつ、出現させた岩を投げつけて攻撃します。
(元パラドクス:インスタントトーチカ)

特殊ルール この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。
👑7 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
1
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【傀儡】
1
周囲に、ディアボロスのみが操作できる傀儡の糸を出現させる。この糸を操作する事で「効果LV×1体」の通常の生物の体を操ることが出来る。
【飛翔】
1
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わり、「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げて運搬可能になる(ただし移動を伴う残留効果は特記なき限り併用できない)。
【強運の加護】
1
幸運の加護により、周囲が黄金に輝きだす。運以外の要素が絡まない行動において、ディアボロスに悪い結果が出る可能性が「効果LVごとに半減」する。
【腐食】
2
周囲が腐食の霧に包まれる。霧はディアボロスが指定した「効果LV×10kg」の物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)だけを急激に腐食させていく。
【友達催眠】
1
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【モブオーラ】
1
ディアボロスの行動が周囲の耳目を集めないという世界法則を発生させる。注目されたり話しかけられる確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【スーパーGPS】
2
周囲のディアボロスが見るあらゆる「地図」に、現在位置を表示する機能が追加される。効果LVが高ければ高い程、より詳細な位置を特定できる。
【無鍵空間】
1
周囲が、ディアボロスが鍵やパスワードなどを「60÷効果LV」分をかければ自由に解除できる世界に変わる。
【活性治癒】
1
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【建造物分解】
1
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【口福の伝道者】
2
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV3 / 【ダメージアップ】LV4 / 【ガードアップ】LV2 / 【フィニッシュ】LV1 / 【反撃アップ】LV3 / 【アクティベイト】LV1 / 【ドレイン】LV1 / 【アヴォイド】LV1

●マスターより

君島世界
 こんにちは、はじめまして。
 マスターの君島世界です。
 今回は、大戦乱群蟲三国志での戦いです。計略を以て軍を分け、武略を以て将を射る、まさしく『三国志!』な展開が味わえるシナリオです。
 皆様のプレイングを心待ちにしております。
16

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


東禅寺・征緖
なるほどね、イヤ~な噂話をしてやる気を無くしちゃえばいいのね
任せて任せて、噂話とか作り話は得意な方なの
他の皆が楽に動けるように頑張らなくちゃ

一般人の集団に混じってお喋り好きそうな子を探すわ
噂の火を燃え広げる人にしなきゃ

お疲れ様、飲まず食わずだと干乾びちゃうわね
話し掛けて相手の愚痴の一つや二つを聞いておきましょ

さすがに皆堪えてるみたいで隙を見て逃げ出そうって話をしてる人も居るみたい
本当よ!その理由もただの不満じゃないの
思ったより兵は集まらないから、下っ端のアタシ達を精鋭部隊の肉壁にして
強行突破するなんて話も出始めたからよ

死を待つよりも逃げ延びてラッキーの方が希望あるわね
じゃ、アタシも支度しなきゃ


 魏軍三々五々の中から東禅寺・征緖(シスタースノーコード・g01483)が見出したのは、年若い青年で伍された一団だった。
 座り込みこそしているが、見たところ始終活発に会話を交わしている。この状況下で『話す元気』があるというのは、征緖の作戦にとって実に好都合だ。
「はーい♪ お疲れ様、飲まず食わずだと干乾びちゃうわねー」
「ああ、そーだな……」
「あらら本当にお疲れみたい。大丈夫? お水、分けたげましょうか?」
 顔を覗き込む征緖に、別の青年が応える。
「ああ、やめとけやめとけ。大将はこの行軍で、兵の素質ってのを見極めるって話だぜ」
「他人から施しを受けるようなヤツは……ッてな」
「へえぇ……」
 噂の下地は、すでに存在していたらしい。
 征緖は内心の笑みを隠す。
「やっぱり皆、堪えてるみたいね。そういう噂、アタシも聞いたことあるわ」
 征緖はその場に座り込む。四人の視線がこちらを向いた。
「アタシの聞いた噂は、もっとすごいの。これは『あっち』の方で聞いたんだけど――」
 ごくり。
 顔寄せ合って内緒話をする、四人の喉が唾を飲み込んで鳴る。
「その『素質』ってヤツで、不合格になっちゃった兵は……」
「……まさか?」
「そのマ・サ・カ。そういう兵を精鋭部隊の肉壁にして、強行突破するなんて話も出始めてるって!」
「ほ、ほんとかよ……!」
 頬杖で寝ていた青年が、がばっと身を起こす。征緖がそれを制し、より深刻そうな表情を浮かべた。
「ここだけの話だから内緒にしてね。……隙を見て、逃げ出そうって話をしてる人も居るみたい。
 見た感じ、あなたも本当はヤバそうね……アタシもよ」
「マジかー。っべえな俺、飯くれるってんで付いてきたけどさあ」
「飯ごときで殺されちゃたまんねえぜ……!」
「ねー」
 青年のうち二三人は、征緖の言を信じ逃げる気になったのか、きょろきょろと周囲を伺っている。
 征緖はすっくと立つと、一団それぞれの目を見た。
「じゃ、アタシは支度してくるわ。
 ……みんな。ここで死を待つよりも、逃げ延びてラッキーの方が希望あるわよ。ね?」
「……………………!」
 決意が、生存への執着が、ほのかに確かに灯りはじめている。誰も彼もに。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【強運の加護】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!

アリィ・ミュルミーク
兵のみなさまこーんにちは!補給兵のアリィにございます!
アリィもこのとおり!力自慢の虫兵でございますからして!
物資を運ぶお仕事での帯同、という設定での侵入なのですが……
見たところ、お腹が空いていらっしゃる方ばかり!?いけません!

ささ!特級厨師の腕のみせどころ、即席で作り上げたご飯にございます!
もちろん、軍のトップ方針とは違う"わるいこと"ですので
蟻兵さんにはナイショですよ!見回りを避けてふるまいます!
お腹が空いていると正しい判断もできなくなっちゃいます!
まずはお腹を満たして、それから皆さんで先のことを考えましょう!


 荷馬の列を覗くと、中にひときわ高く、目を引く行李の山がある。
 縦に四列。両腕と頭、加えて背負いかごにまでそれらを保持しているのは、潜入済のアリィ・ミュルミーク(とくていがいらいさん・g00372)であった。
「よっ、ほっ……あ、どうでしょう、御者様? アリィにはまだまだ積めますよ!」
 まばゆい笑顔が、さわやかな汗に輝く。
「アリィはこのとおり! 力自慢の虫兵でございますからして!」
「はっはっは、そりゃあ有り難いが、さすがにもう積むのに背が届かないよ」
「でしたら次は、しゃがむのではなく腹ばいに――」
 と言ったところで、行軍停止の報が走る。
 御者たちは馬を休ませ、アリィも荷を平らに置き、周囲を見回した。
「んー……」
「アリィちゃん、なにか気になることでも?」
「ええ。お仲間……ですもの」
「ふむ?」
 そう答えるアリィの、眼は余程真剣だ。アリィは特級厨師である。
 疲れ伏し、とくに空腹にあえぐ人々を、放ってはおけない。
「あの、御者様」
「ああ。いいって、こいつらの世話と荷の管理は俺に任せろ。ありがとな」
「すいません、きっと戻ります!」
 糧食の荷を、許しを得て取る。走りながら封を解き、愛用の大包丁をきらめかせた。
「兵のみなさまこーんにちは! 人足あらため臨時補給兵のアリィにございます!」
 疲れた疑問符を浮かべた幾人かが、アリィの名乗りに目を向ける。
 そこにあったのは飛ぶ皿、跳ねる少女。宙を舞う……食材!
「特級厨師の、腕のみせどころ!」
 ――シャン!
 清麗たる刃音! 切り分けられた食材は、ひとつがふたつ、ふたつがよっつ、よっつがすなわち幾百へ!
 カカカカンと兵たちの掌に乗せられた皿に、すると幾千の饅頭が乗せられていく!
「どうぞめしあがれ。即席で作り上げたお料理にございます!」
 アリィの神技に目を取られていた者も、間を持たず饅頭へと視線を注ぐ。
「ぐ、しかしこれが『上』の課す試練ではないという証拠は――ええい!」
 男は迷ったが、アリィの特製饅頭の魅力には逆らえず、一口を啄む。
 その表情が――とろけた。
 残りを一気に『飲み込んだ』男に、リリィは一杯の水を差し出して、言う。
「ああ、そんなに急がないで。お腹が空いていると、正しい判断ができなくなっちゃいます!
 まずはお腹を満たして、それから皆さんで――」
 微笑んだ
「――先のことを考えましょう! いろいろ!」
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!

ノナメ・クロス
少しでも嘘が広まりやすくなるように、信頼を得ておこうかな

ボロボロの布で全身を覆えば、多少は目立たなくなるかな
兵の人達は疲れてるし、お腹も空いてるんだよね
…何日も飲まず食わずは、私も嫌だな。そんな風に考えてたら、本当にお腹空いてきた…
枯れた草でもお花でも、何でもいい。なければ、バッグからお花をもぐもぐ
周囲には驚かれるかもしれないけど、それだけお腹が空いてる事が伝われば問題ないかな
ここで頑張ったら、美味しいもの食べられるって聞いたから…私も頑張らなきゃ
って感じに呟いて、同士である事をアピールしてみるよ


 枯れた木にごちゃごちゃと、粗末な槍がいくつも立てかけられている。
 日陰を作らぬその木に、寄り添って立つのは、物言わぬ道具と、それらの見張り番だけである。
 見張り番の名はノナメ・クロス(星の子・g00031)と言った。
「ねらいどおり、信頼されてるってことだと思……思うことにしよう。うん」
 実際自分も何度か道具を見張ってもらってたこともあるし。今度は自分の番ってだけで。
 ちらりと、同じ隊の仲間たちを見る。向こうの木陰でじっと座り、その姿勢で昼寝をしているらしい。
「(余計な体力は、使いたくないって言ってたもんね)」
 同感だ。ただでさえ休憩時間は少なく短く、その上飲まず食わずなのだから――本当に辛いのだろう。
 道具番を頼まざるを得なかった、あの男性の申し訳無さそうな顔が頭に浮かぶ。
 貧乏くじを引いたノナメを見る時の、ひとかけらの勇気とそれを許さない理性の混じった、あわれむ瞳が。
「やさしいひとたちだよね。私はだいじょうぶだって、言ってるのにさ」
 ノナメは干からびた草を唇に当て、吹いたが笛のように鳴りはしなかった。
 なので舌先でそれを歯上に引き込み、気付けの苦味を飲み込んで、口直しを探しに鞄を探る。
「…………本当にお腹空いてきたかも」
 ここよりも乾いた土地での道すがらに摘んでおいた、ツユクサの花。
 なんとなくの気分で、萼をくわえてチューチュー吸っていると、仲間が一人、その様子に気づいたようだ。
 声をかけられる。
「――なんだノナメ。そんなに腹、減ってるのか?」
「んー、そうでもあるような、そんなでもないような」
「無理すんなよ――なんて、僕が言える話でもないけど」
「気にしないで、寝てなよ。きっともうひと頑張りだからさ」
「ああ……そうだな。これを超えれば、きっと……」
 きっと、大掛かりな補給が施され、この飢えと乾きから開放される。
 ――というのは、ノナメが仕込んだ『ウソ』だ。
 仲間のフリをし、取り入り、信頼を得た。ウソを効果的に信じ込ませた。
「うん、きっと――」
 ならば、ディアボロスとしてのノナメがするべきは、何か。
「(――本当にしてみせる)」
 それを思い、ノナメは心を一つに固めていく。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!

杏・紅花
戦いなんて、普通に生きたいひとたちには必要ないもん
無駄に死ぬなんてさせないんだから!

狐の晦を発動、天を憑依させて忍び足で周囲を探る
疲れてる人たちも多いみたいだし、上官に見つからないようにみんなうまくサボってる場所があるんじゃないかな
または、すっごく疲れてれば休むのに必死でこっちに気づかないかも
そういう人の側で自分も疲弊しきって休みに来てた風によそおう
うまくいったらディアボロスのみんなが入りやすいように、知り合いだから信用してる、みたいな顔で自然ととけ込めるように話しかけてみたり

どんな話にもついていけるように、聞き耳をたてておくことも忘れないようにしないとね


 魏の上等兵が二人、放棄された民家の近辺をけだるげに見回っている。
 戦禍の痕は古く、塀は崩れ、金目のものは持ち出されたか風化したか。
 ゆえに拠点としての価値は低く、『とりあえず』の任務を帯びた彼らに、必要以上の警戒心はない。
 そんなだから――いや、仮令そうでなかったとしても、杏・紅花(金蚕蠱・g00365)の存在は見落としただろう。
「(楽勝だね……♪)」
 囮代わりの小石を、紅花は投げずにしまい込む。兵らが去ったのを確認すると、踵を返した。
「もういいよ、天」
 紅花の呟きに、憑依していたクダギツネの天がそっと身体から抜け出す。
 くくるぅ、と小さく甘えて、主の懐に滑り込んだ。
「あの二人、どこに目つけてんのかしらねー。あんなに日陰の『濃い』ところ、絶対誰か休んでるに決まってんじゃん」
 んー、と背伸びをして、忍び足にこわばった筋肉を緩める。
 ここからは、普通に。普通の人間がする忍び足で、民家の門をくぐった。
「お邪魔しまーす……?」
 返事はない。代わりに、品定めするような視線が暗闇から流れてくるのに気づく。気づかないふりをする。
「どなたか……どなたも、いらっしゃいませんよね……? ちょっとだけ、ちょっとだけお借りしまーすー……」
「――居るけど」
「ひゃんっっっ!」
 ……びっくり、した。上手く、びっくりした演技が、できたと思う。
 心臓バクバク(演技)で声のした方を見ると、傷だらけで大柄な女性が、ピシッとした抱拳礼を向けている。
「ごめんごめん、びっくりさせるつもりはなかったんだよ。あんたもおサボりかい?」
「あ、はい……ということは、貴女も?」
「ふふ。ボンクラとはいえ兵を二人もごまかせるんだ、中々やるようだが、おサボりなら歓迎さ」
 屈託なく笑う女傑の、表情に陰りはない。紅花は、目の前の相手には安心できると、確信した。
「で、『他』には? アンタみたいなのが、隊伍も組まず戦場に来る訳がない。
 いや……なるほどそうか。この戦争、負けさせてくれるか」
「!」
 話が早い――尋常ではなく。
 何の手助けもなく上等兵の目を盗み、堂々と勝手に休息を取るような女だ。一般人とはいえ、只者ではない。
「……そのための協力を、お願いしたいんだけどさ。いい?」
「いいも何も、アタシ『たち』はここで寝てればいいんだろ? こんなに楽な話はないさ」
 わーいトントン拍子で話が進むぅー。
 軍の中で『はぐれもの』を探すという紅花の狙いは、どうやら大アタリだったようだ――!
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!

羅・雪羽
戦いに慣れぬ者が戦場に出た所で結果は目に見えている
彼等も望まぬのであれば、この戦いは避けなくてはなるまい

護衛を排除しなければ、その先の敵にも届くまい
此方は、私達に任せて貰おう

往くぞ、蓮風

無双馬『蓮風』に騎乗し、戦騎疾駆にて仕掛ける
付近の敵2体になぎ払いを併せて斬り払う
敵の攻撃は威力から考え、なるべく回避を優先
攻撃後はその場には留まらず、敵から距離を置いて攻撃を避けて再び仕掛ける
離し切れなかった際にはその場で敵の攻撃を凌いで反撃
狙う対象は同じ敵にして確実に数を減らせるように行動


 無双の馬に蹴立てられた砂煙が、炎の如く立ち上る。
 荒い呼吸の速度がはるか先の気を割き、馬上の羅・雪羽(嵐雪刹主・g00998)の、戦う心を凍えさせる。
 静止した覚悟の心――凍えてなお、熱く。
「ハアアアアァァァァッ!」
 この槍を、突き立てる先は何か。何か。何処に居るか。
 瞬きを忘れた瞼は、涙ならぬ涙に潤う。
 ――何処に居るか!
 雪羽が見る、凡そ人間は、払うべきそれではない。
 望まずにここにいる、力なき者たちだ。
 吾が槍の切っ先にいてはならぬ者たちだ。
 だから……私を見てときめくな、雑兵よ。私は手柄に非ず、大将首に非ず、敵に非ず!
「そこをどけェえええええええええええ!」
 無双馬『蓮風』は、主の意に応え、襲歩をより遠くへと飛ばす。
 人馬一体、その果てに、両者は同時に『見つけた』。
 しかし即座に『見つけられる』。蜀軍剣蟻兵……彼我に自ずと、戦争の道が開いた。
 両端より踏み入る者の片方を滅ぼし方法を生かす、決着の路!
「(敵は2体……)」
 自分がまるで、目と腕だけの生き物になったようだ。脚と胴は、蓮風のもの。
「(二撃にて決する!)」
 それで良しと、全身が答えた。踏み込んで、貫き通す。
 通った。
「ぎしゃああああぁぁぁぁ!?」
 バンッ!
 貫通炸裂音が通り過ぎた雪羽に遅れて届く。殺気が間もなく、振り返る首を袈裟懸けに撫でた。
 喉笛を知らず守ろうとする左手を、意志の力で下に落とす。
「キキキキキ襲見事! 褒美に、我ガ必殺の千丈蟻堤斬にて、真っ二つに咲カせて進ぜよう!」
 愛馬のたてがみを撫でた。
「往くぞ、蓮風」
 敵はこちらの手の内を見ている。胸のすくような会心の一撃だった。
 それを、己自身を超える。可能な気がした。
「見キキキったァ!」
 彼方、敵は既に剣を振り始めていた。速い? いや、あれが正解。
 信じられぬことだが、私たちの速度は瞬く間にあの剣に届き、しかし両断されるものだ。
「なんだ、それなら」
 加速すればいいだけのことだ。加速したエネルギーを全て、重さに変える!
 届き、しかし断たれぬもの。それが私たちの槍。支える者の多い、重たい槍。
 ガギギャアアァァアァアアアアン!
「――斬れるものなら、斬ってみるといい」
 蜀軍剣蟻兵は、勝利を確信した首と、青ざめた首なし身体の、真っ二つに咲いていた。
「『私たち』の槍を」
 鞍下、蓮風が、遠くのどこかへと、視線を投げかけている。
 見えぬ仲間に感謝を伝えるべく。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【スーパーGPS】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!

パキラ・ミー
新宿島から竹管で持込んだ水を片手に末端の軍の中に紛れ込むのだ
聞こえたのだよ、この暑いのに何にも飲んでないのだな?
ミーも水しかないともいうのだけども(竹管を揺らし
お題はここまでのお話で良いのだよ
実は少し前にミーの村でも兵のかき集めがあってだな
にーさまが連れて行かれたのだが、帰って来ないのだよ
あれから(指を折るも、やがて沈痛な面持ちで黙り込み
(他所から聞こえる不安を煽る言葉に怯えるように
今日もいっぱい人がいるね
どこから誰を集めたのか、覚えてる人居るのかな
今いなくなっても、具体的にどこの村の誰かなんて、分かるものかな
前の軍隊、にーさまも「誰も」帰って来なかったのだよ?
このまま行っちゃって――いいの?


 歩くたびにちゃぷちゃぷと鳴く太めの竹管を、なだめて少女は大路を行く。
 彼女の名はパキラ・ミー(我楽多の星・g01204)。すれ違う上等兵の視線を意にも介さず、まるで夏の幻のように丁字路へ消えていくものだから、上等兵は頭を振り、ぼんやりと巡回に戻るのだ。
 ――ぴくり。
 パキラのタレ気味の耳が、ふと、探していた声を見つけて浮かぶ。
「きこえた……! きこえたよ!」
 方向転換に揺れて、しっぽが大きく弧を描いた。
「水をお探しの声が聞こえたよ!」
 きゅ、と竹管を両手で握る。
「うあー……?」
 ずざざざざと効果音付きで止まるパキラの前には、土塀にもたれかかる妙齢の女性が一人。
「聞こえたのだよ、この暑いのに何にも飲んでないのだな?」
「……くれ、るの……?」
「そうじゃなきゃミーは止まらないよ」
 女性は左右を見回し、迷って、やがておずおずと、パキラの手にある竹管を握る。
 パキラが栓を外すと、顎から下を零すように、女性は水にかぶり付いた。
 ――さて。極限状況から落ち着くと、人はなぜか自分語りをしたくなるもので。
「アンタみたいな小さな娘がねェ……うちの息子と似たような齢じゃないのさ」
「おとこのこが?」
 女性は空を見上げ、半ば自嘲的に(こんな小さな娘にねェ)、訥々。
「いい暮らしをさせてやりたくてさァ。
 ……この部隊なら女でも参加できるって聞いて。旦那はその、体弱いし」
 パキラは思ったままに応える。
「おかあさん、なんだね」
「よしなよ、お転婆のまんま大きくなったじゃじゃ馬さ……さて」
「――行くの?」
「行くさ、だって――」
 パキラは女性の目を見た。あきらめに濁った目を。
 女性はパキラの瞳を見た。幾千の言葉の浮かぶ瞳を。
 その中の一つが、唇から溢れる。
「ミーの村でも、兵のかき集めがあってだな。
 にーさまが連れて行かれたのだが、帰って来ないのだよ」
 嘘はない、と女性は思った。子供のつく嘘はわかりやすいものだ。でも、これは……。
「(この子が指折り数える仕草には、真実しか無いじゃないか)」
 なにか体が硬直する思いがして、話に聞き入ってしまう。
「あれからずいぶんして、それでも前の軍隊から、にーさまも、『誰も』、帰って来なかったのだよ?
 このまま行っちゃって――いいの?」
「良くないさ、けど」
 という自分の答えに、女性ははっとした。
 けど。その言葉の先にあるものが、大切なものを置き去りにするための陳腐な言い訳だと、気づいたのだ。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【友達催眠】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!

ディナミーナ・クィンティルラ
アドリブ、連携は歓迎です

まずは味方の手引きもお借りして、いち民兵に扮して潜入します
メイド服じゃないのは残念だけど、この衣装はなかなか素敵ですね
おっと、お仕事お仕事……

他の兵や指揮官に見つからないようこっそりと、【神蝕呪刃】の霧で兵達の武器だけを【腐食】させます
食料は絶対腐らせませんよ!
その後一般人たちに接触、以下のような噂を流します

私、聞いてしまいました。この隊は別働隊が動くための陽動、捨て駒であると
その証拠に、私達には粗悪な武器しか支給されていません
このままでは確実に全員犬死にです。どうかこの事を他の人にも伝えて、皆で逃げてください!


 ――放棄された武器庫。その中に、他よりすこしだけ質の良い装束が残っている。
 色あざやかでほつれもなく、剣も量産品にしてはそこそこのもの。
 拾い上げてディナミーナ・クィンティルラ(はらぺこダメイド・g00658)は、ふむ、とうなずいた。
「メイド服じゃないのは残念だけどね」
 襦を帯で止めると、やはりというかなんというか、制服を着たようで気分が上がる。
「さて、お仕事お仕事。次の巡回が来る前に……」
 刀の名は『蟠蛇』。その翠緑の輝きが、重さを持つ瓦斯が如く、武器庫の床を這い広がっていく。
 壁際に積み上げられた剣に触れると、見る間に染みが湧き、ぼろぼろに腐食されていった。
「よしっ」
 みずからの仕事に満足したディナミーナである。
 それからいくつかの槍と剣を手土産にひっつかみ、道すがらに巡回兵の首筋をトンってやってから、目をつけていた集会に駆け込んだ。
「き、聞いてくださ~~~~い!」
「おっ、ついに武器の補給か! 待ってたぜ、こっち来いよ姉ちゃん!」
「それどころじゃないんですう~~~~!」
 ディナミーナの様子に、なんだなんだと他の雑兵も視線を寄せる。十分に注目が集まったところで――。
 ――彼女は、すべての武器を手放した。
 ガッシャーーーーン!!!
「んな……!?」
 ガラスの砕けるような音とともに、それらの刃は粉々になった。
 あるいはぐにゃりと曲がり、折れ、金属疲労では説明できない破壊が、わずかな落下のみで訪れる。
「んだ、そりゃ? そういう作り、なのか……」
「いえ、いえ! 今さっきあの武器庫から持ち出してきたばかりの、間違いなく未使用品です!」
 ディナミーナは己を落ち着ける演技のために、大きく息を吸った。
「聞いて下さい。さっき、指揮官様たちのひどい話を耳にしたんです……!
 この隊は、最初から見捨てる予定だって。隊は別働隊が動くための陽動、捨て駒であるとも。
 その証拠に、私達には支給されるのは、このような――」
「――腐ってやがる、のか? うちのボロ鍋だって、こンな壊れ方しないぜ!」
「信じられん……が、この女が嘘をついているとも……」
 疑う男に、ディナミーナは近距離視線で訴える。
「このままでは、確実に全員、犬死にです。どうかこの事を他の人にも伝えて、皆で逃げてください……!」
「犬死に……か。確かに、な。こんな武器じゃ……」
「では」
 ――男たちは頷いて、遠くを見た。
 その眼差しに、算段がめまぐるしく流れていくのを感じる。
 逃亡の算段。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【腐食】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!

 この時代の空は高い。いや、空が低い時代のほうこそ稀なのか。
 見えないにしろ見えるにしろ、世界には大きな塔のようなものが建っていて、そこから下界を見下ろし、時に見下し、意のままにすることを支配と言う。支配者とはそれをする人種だ。
 見上げつけ睨みつける気概があるのなら話は別だが――。
 ――あまりにも多くの人間が、その遠すぎる高さからの重圧に喘いでいる。
山岡・栄一
どんな世界も時代も一緒やな、割を食うんは一番下っ端の人間や。
俺は一般人兵に紛れ込んで噂とか流そうと思うわ。
これで好きな場所に帰れる人達が増えてくれるとええなぁ。

「なぁ、敵さんの兵はめっちゃ栄養のある美味いもんを食わせてもらって体力気力満々でやってくるらしいで。待遇もめっちゃええらしいわ。こんなん食ってるらしい」
【美味三昧砲】で作ったおにぎりを温かいお茶と共に差し出し、怪しまれないように自分が先に一口食べる。中の具はこの人達が好きそうな郷土の物を予想して作ったもの。
「それに俺らを精鋭部隊の肉壁にして強行突破する作戦があるって噂聞いたわ。この軍めっちゃヤバイし皆で逃げへんか?」


「どんな世界も時代も一緒やな、割を食うんは一番下っ端の人間や……」
 山岡・栄一(人間のリアライズペインター・g00962)は、砂まみれの小石を蹴った。
 蹴飛ばした先に、数人の男が身を寄せ合っている。服の差し色が同じことから、同郷の人間と知れた。
「よっしゃ。……よっしゃ!」
 栄一は落ちた感情を、無理矢理にアゲる。辛気臭いのは一旦棚上げだ。
 だから、笑った。
「なあ! ナアナアナアナアちょいと耳貸しいや! 損はさせへんから」
「――?」
 戸惑いの視線だ。それはしょうがない。拒絶の意志がないのをこれ幸いに、栄一は彼らの横に座る。
「なんだ、食い物の増量か? それともついに戦争開始か? どっちにしろ」
「ちゃうちゃうチャウチャウ。敵さん。敵さんごっつヤバいんやて、そういう話。
 敵さんの兵はな、めっちゃ栄養のあって、しかも美味いもんを食わせてもらって、体力気力満々でやってくるらしいで」
 言いながら、栄一は鞄に手を入れた。美味三昧砲、発動――!
「待遇もめっちゃええらしいわ。こんなん食ってるらしい。見てみいこれ」
 取り出したのは、竹皮に包まれたおにぎりだ。
 透き通った粒ぞろいの米のひとつひとつに、適量の塩が輝いて、まるで宝石のようにきらめく。
「敵さんトコに出回ってるってブツや。ウマそやろ? 実際ウマいで、これ……あんぐ」
 ……ごくり。見ている者たちの喉が鳴る。
「ほれ、こっちゃ自分らの分や。遠慮せずもらっときい」
「いいのか?」
「ええってええって。で、話の続きやけどな。
 うちの大将、こんっなウマいもん食っとる敵さん相手に、どんな作戦立てとるか知っとるか?」
「ぶぉんなふぁくへんは?」
「食うかしゃべるかどっちかにせな。まあ話は簡単や、理解できへんけどな。
 俺らを精鋭部隊の肉壁にして、強行突破する作戦だってハナシ、聞いたわ」
 栄一の言に、男たちの目に活気の炎が灯った。
「んぐ……その噂なら、私も聞いたことが……!」
「俺も、俺もだ! あっちのほうじゃ部隊ひとつまるまる逃げたって!」
「さっきまで腹減って動けなかったが、今のオレたちなら……!」
 パァン!
 栄一は膝を叩き、視線を集める。力強い視線だ。生きるための力だ。
「なら! 話は決まりやな! 逃げるで、今のうちや!」
「おおッ!」
 ――それを、自分が与えられたのだ。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【口福の伝道者】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!

アッシュ・シレスティアル
心情
仲間が一足先に戦い始めたようだな。
他の人も一般人に逃走を促してるだろうから、俺も精鋭らの気が一般人の方に向かないようにしっかり暴れるとするぜ。

戦闘
「さぁ俺の相手もしてもらうぜ!」
翼を用いて上空から急接近し【ブーストスマッシュ】を打ち込む。

「そんな斬撃じゃ俺は止められないぜ。」
【地形の利用】を用いるために周りの状況に目を配って不利にならないように立ち回り、ヒット&アウェイの戦法をとる。
回避と接近をしやすくするために木々の間を縫うように移動する。

「どうしたどうした、俺はまだまだ戦えるぜ?」
挑発するように振舞って一般人が無事逃走できるように相手の意識をひきつけることも怠らないぜ。

※アドリブ歓迎


 人の波が、動く。はじめは砂遊びのようにそろそろと、やがて堤防崩す海嘯となって。
 その、流れに逆らって。
 アッシュ・シレスティアル(蒼き疾風の復讐者・g01219)が、堂々と敵兵に真向かっていた。
「そこをどケケケケケッ! ひ弱な人間ごトトトトきがガァッ!」
 がちがちと顎牙を打ち鳴らし、蜀軍剣蟻兵がアッシュを指差す。
「どけ? 俺をどかして、どうするっていうんだ?」
「知れたこと! 逃げる弱兵どもの首並べ、我が大将の許しを請うまでよ!」
「できない。できないし、させない」
 指を差し返す。相打ち合う殺気が、中間地点にわだかまる。
「だから一つ、やってもらいたいことがあるんだ。さあ――」
 手のひらを返し、上に向け、四指をこちらに曲げる。挑発のジェスチャーだ。
「――俺の相手をしてもらうぜ!」
 ドンッッ!
 地を蹴る。大跳躍、と同時の開翼。日を透かさぬライトブルーの力場が、青空に溶ける。
「よカろうッ!」
 蜀軍剣蟻兵は半身に構えた。腰を落とし、左に剣握る2本の腕をがちゃがちゃと振る。
「コおおおおおォッ!」
 アッシュは、敵の右の盾越しに、かれの周囲の砂が異常な渦を巻くのを見た。話に聞く呼吸法――。
「正面カら来いッ!」
 あからさまな誘いだが……メリットはこちらにもある。
 正面に自分を捉えている限り、敵の攻撃が一般人に向くことはないのだから。
「やってみせろ!」
 翼を強く羽ばたかせ、再度の加速を掛ける。駆ける。
「ブースト・スマッシュ!!」
「一念通岩、蜀漢義侠剣!」
 かたや、内部破壊を旨とする必壊の拳。
 かたや、接触即断を誇る必斬の剣。
 矛盾ならぬ矛矛の激突。その、泡の弾けるより短い時間の中で、アッシュは確かに告げる。
「そんな斬撃じゃ、俺は止められないぜ……!」
 ……ピシッ!
 剣にヒビが走った。雷鳴のように、それは蜀軍剣蟻兵の腕にまで逆上る。
 そして心臓、脳、下肢にまでも。
「ま、さカ……! 我ガ国の無敵の呼吸法が、こんなッ!」
 ――バシャン!
 と、蜀軍剣蟻兵が弾けた様を、アッシュは拳を握った残心で見届ける。
 流す血が垂れ落ちて土に解けた。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!

青沢・屏
●目的
敵を撃破

●心情(セリフとしても使えできる)
神算軍師の出身地として、この場所での戦、ちょっと綺麗勝ちたい欲しい。

●行動
颯爽と敵の前に現れ、大言を吐いて挑発する。
同時に敵の注意力をこちらに引き寄せて、一般人のために時間を稼ぎます。
「軍師一人です。ここであなたたちの終わりの様子を教えます。 」

イグジストハッキング使う。
敵を攻撃しながら自分たちを強化する。
「時代の違う技法だが、虫にも未来の軍師の技を見せてやろう。」

行動の合間にできるだけ敵の情報を集めて、相手ですから、情報が多ければ多いほど良いです。

(アレンジアドリブ大歓迎)


 集団戦争の大勢を決めるのはなにか。
 将の首を取ることでも、補給路を断つことでもない。
 ――その情報を知らしめることだ。
 恐怖を植え付けることだ。敗北の恐怖、死の恐怖。
 兵よ、情報をこそ恐れよ。
 誰よりも神速に近い情報の伝播速度を恐れよ――。
 ここに一人の神算軍師が立つ。名を、青沢・屏(コーヒーアーティスト・g00202)といった。
「神算軍師たちの時代に」
 屏は微笑んでいる。
「我ありと刻みましょう。なによりも綺麗に」
「ほう」
 そんな彼を左右から囲む、大柄の蜀軍剣蟻兵、2体。
「蒙昧を吐クのガお前の詭道と見える」
「生憎、我ガ軍に軍師は足りている。お前などは、手慰みに斬り殺して呉れよう」
「軍師?」
 羽扇に寛ぎながら、屏は大剣の下で怯えもなく言う。
「いいえ、私は神算軍師です。お前違えのなきよう」
「……ク、はははははは! それはなんとも無様な遺言よッ!」
 腹だけで笑う、その蜀軍剣蟻兵に、屏の扇ぐ涼風が届いた。
「ええ、全くです。そして一つお教えしましょう。
 即ち『あなたにとってこの風は猛毒です』。確かにお教えしましたので、私はこれで」
 何を言うのか、この人間は。そして我に背中を向けるとは、なんたる無礼よ。
 蜀軍剣蟻兵は、去り行く屏の細い肩を握り潰そうとして、唐突に死んだ。
 唐突に死んだ。唐突に死んだ。唐突に死んだ……!?
「は――?」
 生き残った方は、眼前で異常ななにかが起こったことを理解した。
 しかしその『なにか』が『なに』なのかを、理解できない。
「それもそうでしょう。これは時代の違う技法。情報の神速を極めた、人智の埒外。
 兵よ、情報をこそ恐れよ。
 誰よりも神速に近い情報の伝播速度を恐れよ」
 そして屏が羽扇を掲げるのを、反射的に恐れた。
「う、おおおおおおッ! 死ねッ、軍師!」
 何百何千と繰り出した、頼るべき技術である『蟻巣岩窟陣』にて、目の前の未知に蓋をするべし。
「なるほど、闘争が逃走を上回りますか。良い兵でした」
 でした? なぜ過去形を? まさか……?
 俺はもう死んでいるのか? 知らないうちに俺も、あいつの受けた毒を?
「いえ」
 と言って、屏は蜀軍剣蟻兵の胸を突いた。
 ――ダイレクトハッキング。気分的なものかも知れないが、リモートよりこちらのほうが『効く』。
「あなたの迷い、『それ』こそが詭道です」
 そうカ。
 蜀軍剣蟻兵は、納得して眠りについた。目覚めのない眠りだ。
「(眠りにつくとわからずに死んだ、あいつよりも余程マシだ――)」
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【無鍵空間】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!

無堂・理央
駆けつけてみれば、大勢はこっちが有利なようだね。
そのまま押し切れるようにお手伝いするよ。


無双馬『クロフサ』に跨って突撃ー!
【ダッシュ】で一気に間合いを詰めて、馬上槍で一撃見舞えば、【一撃離脱】とばかりに突き抜ける。
突き抜けたら突入方向を変えて再び【ダッシュ】【一撃離脱】の突き抜けで戦場を駆け巡りながら、敵をボロボロにしてあげる!

甲豹騎は全部別個体だけど、今までの曹純戦で見てきたから慣れたもの。
突撃してくるタイミングでクロフサに跳躍して貰って、そのまま踏みつけ!
蹄で逆【蹂躙】で潰したり出来れば良いけど、甲豹騎を倒し切れそうになければ、踏みつけたらそのまま駆け抜けて敵本体を狙いに行くよ!


羅・雪羽
残すは曹純を討つのみ
着実に戦力を減らしてきたからこその好機、逃す訳にはいかぬ

往くぞ、蓮風

蓮風に騎乗し、戦覇横掃で攻撃
偃月刀のなぎ払いによる斬撃で広範囲に攻撃を仕掛けて回避をし難くさせる
攻撃後は一撃離脱
敵の大剣による攻撃に警戒し、速やかに敵から離れておく
戦闘知識より奴の一振りを此方で受け止めるのは困難と判断
大剣が届かない距離まで離れた後、隙を見て再び接近して攻撃を仕掛ける
この戦法を繰り返して敵の体力を削る
接近時に敵から攻撃が来るようであれば偃月刀ではなく槍にてフェイントを仕掛けて反撃


東禅寺・征緖
なるほどなるほど、あいつがリーダーって訳ね
一緒に居た兵士ちゃん達も無事に逃げられたようだし
そろそろ体を動かさなきゃね!

大金棒を使って鬼神変でドーンとやっちゃうわよ
あなた、力にとっても自信があるみたい
奇遇よね、アタシもなの!楽しく力比べといこうじゃない!

その大剣を壊しちゃうくらい鬼神変は粉砕と破壊を込めて
アタシの金棒とあなたの大剣、どっちも耐えられるといいわねぇ
敵からの攻撃はせいぜい得物で防ぐ程度
攻撃を外されたりしても大丈夫
地形を利用して地面を打ち砕いて礫を飛ばしちゃうわよん!

力と力の勝負、そこには身分も種族も知恵も要らない
己が肉体こそが全てを証明してくれる
単純だからこそ楽しいのよ


「曹純ーーーーーー!」
 戦場の起伏は溶け、集中線となって、ただひとりの敵に向かう。
 敵将、曹純。向けて、羅・雪羽(嵐雪刹主・g00998)は疾駆している。
「来い、我が敵よ!」
 ズシンッッッ!
 曹純の膂力の高まりが、重圧となって地を揺らした。暴虐にして精緻、人形の嵐を思わせる圧。
 雪羽はもう一度、己を奮い立たせた。全てをこの一合へ預ける、覚悟。
 ――往くぞ、蓮風。
 偃月刀が鳴く。雪羽もまた、ともすれば吹き飛ばされそうな真向かいの疾走風を携えた、人形の嵐。
「否……吹雪ける人馬の大嵐か……!」
 曹純が、そう笑っている。
「面白い! 残留効果、これほどのものか!」
 雪羽もきっと感じているのだろう。仲間の見せた奮戦、進撃、応援――。
「――着実に戦力を減らしてきたからこその好機、逃す訳にはいかぬ!」
 眼前に偃月刀を振り抜く。その刃の軌跡から、世界が『澄んだ』。
「なればこそ! 打倒して踏み超える意味ぞある!」
 その世界に、曹純の異形体が紛れ込む。
 構わず、大ぶりに偃月刀を返す。地平線を平行に薙いだ。
 ギャキィーーーーーー……ン…………――――――ッッッッ!
 すれ違いの大嵐の交錯に一拍遅れて、力そのものが耐えきれずに暴爆する。
 無音。無陰。巻き上がる砂のカーテンを、ひとつのシルエットが抜けていく。
 かろうじてそれは、雪羽の姿をしているような……。
「ヒュウ♪」
 その痕跡、立ち込める漠砂煙に、東禅寺・征緖(シスタースノーコード・g01483)は躊躇なく飛び込んだ。
 ブオッ!
「っっっとうに楽しそうじゃないの♪ アタシも混ぜなさいよ『曹純ッ』!」
 跳躍した、足場のない姿勢での打擲。曹純はその死に体の一撃を一瞥し。
 全力で受けた。
「ぬうううううううおおおおおおッッッ!」
 ビシ……ビシィ……ズドォ!
 物理法則を無視したかのような、征緖の大金棒による一撃が。
 受けた曹純の、足裏の地面をまず砕いた。力の拮抗がずれ、曹純の外骨格を軋ませる。
「あなた、力にとっても自信があるみたいネ。
 奇遇よねアタシもなの! 楽しく力比べといこうじゃない!」
「自信では、自信などではない! これは義務だ! 我が望んで背負った義務だ!
 貴様らを踏み越えこの地に大戦乱を引き起こす! 物見遊山で踏み込むような――」
 ズゴオオォォォォ!
 曹純が後ろ足を踏んだ。すり鉢状の、蟻地獄にも似たクレーターが、新しく開く。
「――覚悟の足りぬ者には届かぬ力だ!」
「(あ、やっば)」
 ドンッ!
 地の底から蒼穹を貫く、一条の暴力帯が発生する。
 危うく直撃を逃れ、しかし滅茶苦茶に打ち据えられ、力なく空を漂う征緖――を!
 かれの手を空中で掴む者がある!
「……あら」
 見よ! 羅・雪羽の、その勇姿を!
「一撃離脱は私の得意でね。君もそうだろう?」
 知れ! 東禅寺・征緖が、なおも灯す闘志の輝きを!
「それじゃあそういうことにしようかしら!」
 ……一方。二人とは正反対側。別働の無堂・理央(現代の騎兵?娘・g00846)が、やんやと声を上げた。
「ねー! 一撃離脱ならボクも得意なんだけどー!? ねーぇ!?」
 しかしへんじがない。……まあ大丈夫だろうきっと。ボクはボクの仕事をするのが第一だ。
「そう、仕事は一つ、でもやることはたくさん! クロフサ、突撃ー!」
 理央は号令を出し、しかし鞭は入れない。
「(この子は賢いから……わかるよね、どうすればいいかなんてことは)」
 ――あの曹純はアヴァタール級だ。個体差こそ激しいが、逆を言えば、似た部分があるということ。
 考えを巡らせると同時に、目の前の距離が、巨大なカブトムシ『甲豹騎』で埋め尽くされた。
 それらは一斉に跳んだ。こちらの気分をザワザワさせるような腹と、脚と、口吻が見えた。
「そうだ、引きちぎれ甲豹騎! 正面から当たるな、立体で攻めろ!」
「っ、そう来るか……でも、怖くない。怖くない!」
 理央は、クロフサを応援しない。信じている。
「ブフウゥーッ……!」
 この子が最適解を見つけていると信じている!
「クロフサ、クロフサ! やるんだね!? ……いいよ、やっちゃえっ」
 そして、クロフサ『も』跳んだ。高く、高く。
 翅持つ甲虫である甲豹騎よりも高く!
 ドゥッ!
「シキャアアアアアアア!」
 硬い前翅を蹴り、それを蹂躙し次の甲豹騎へ。地を埋めつくすそれらを、空に敷かれた専用路の如く!
「あはっ♪ クロフサ、やるね! じゃあボクも!」
 頭上で馬上槍を、ヘリコプターのように回す理央。その傍らに、今……!
「私もだ!」
「アタシもよ。あちょっとお馬さんのお尻にシ・ツ・レ・イー」
「あー! いるんじゃないかあ! なんだよ、返事もしないで!」
 仲間たちが並び立つ! ――三者三様、武器を構え。
「これも作戦(アドリブ)の一つよ、文句は後で聞くわ」
「やれることを、する――それだけだがな」
「んー……いいよ、向こうで聞いたげる。『あいつの向こうで』!」
 そして愈々――さあ音に聞け!
「つうううううらあああああぬうううううけえええええええええええええ!!!!!!!」
「ッッッッッ!!!!!!」
 理央たちが、そして理央が世を貫く槍となって!
 曹純の脇腹を刳り抜けた、その快音をッ!
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【スーパーGPS】がLV2になった!
【士気高揚】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV3になった!

杏・紅花
【赤い熊】
連携、アドリブ歓迎です!

みんなをこき使って戦乱を起こすなんて、不届きモノっ!忠だか義だか知らんけど、これ以上はさせないんだからっ

初撃は不意打ちを狙って、臨機応変にその場にある石や木片を投げつける

基本攻撃はワイヤーソーで捕縛+鉤爪で切り裂く

ディナちゃんとノナメちゃんの攻撃が入りやすいように、【管狐影縛法】で敵の動きを封じれないかやってみるよ

敵の甲豹騎はジャンプとノナメちゃんの【飛翔】を組み合わせて回避
飛んできた甲豹騎には、空中から踵落としで反撃
【ダメージアップ】と【反撃アップ】でうまくいくといいな


ディナミーナ・クィンティルラ
【赤い熊】
連携、アドリブは歓迎です

貴方の行軍もここまでです!
二振りの刀を抜き、敢えて正面から対峙
呼吸法で全身に気を巡らせ、速さを活かして撹乱しつつ戦います

紅花様の攻撃に合わせて敵に斬りかかって注意を引き、続く紅花様の攻撃を補助します

自分に注意を引いたら、間合いを取り正面からの組み合いを避け、自分を狙わせ続けます
ノナメ様の射線にギリギリまで被り続け、敵に死角を作ります
隙ができたら、死角から一気に距離を詰めて両断

ネメシス形態は銀色の髪、爪と牙が伸び、金色の瞳が別の生物かのように輝く
有効打を与え辛い場合に使用し、上げた速度で一気呵成に攻め立てます
もう誰も追いつかせませんよ


ノナメ・クロス
【赤い熊】連携OK

あとは、この人を倒せばいいんだね
あの大きな剣、とっても強そう
でも、私の剣も負けないよ。二つあるんだもの。にとーりゅー、だもの
紅花、ディナミーナ、頑張ろうね

私はお空から狙うよ
これだけ飛べば、流石にあの剣は届きにくいもんね
そこから双翼魔弾を飛ばして、魔弾と一緒に飛び回るよ
私は正面から、魔弾は横から突っ込ませるよ
どちらか防がれても、もう片方は当たるはずだから、ね
空中戦の得意な私に叩き斬られるか、魔弾の呪詛に蝕まれるの、どっちがいいかな
両方受け止められたとしても、構わない
だって、私だけじゃないから。動きを止めている間に、二人に任せればいいもの
いざとなったら、お空から私が庇うからね


「くはあァ……っ!」
 ずん、と片膝をつく曹純。大剣を持つ右手に、しかし衰えはなく、むしろより脈々と、力を蓄えているように見えた。
 傷を負えども、なお危うい。この戦、追い詰めてからが本番と言えた。
「面白い! これも忠義の試練か! 面白い――ッ!」
 その猛将の間合いが、目で見えるようだ。むきだしの闘志を前に、ディナミーナ・クィンティルラ(はらぺこダメイド・g00658)は、境界線を踏み越えた。
「曹純。貴方の行軍もここまでです」
 スラァと抜いた二振りの刀が、漂う妖気を割って開く。鋭角の道標。
「(動かぬのはカウンター狙い……)」
 が、構わぬ。ディナミーナは直進した。
 横や上には仲間がいる。彼女たちが私の布石であるように、私は彼女たちの布石なのだ!
「ふウーーゥッ!」
 呼吸一拍、即、無呼吸の踏み込み。刹那、体を大きく見せる、大上段からの振り下ろし。
「なんの!」
 曹純は、低い姿勢からのタックルで、ディナミーナの鳩尾を下から突き上げようとした。
 その、脚が伸び切った瞬間を狙って。
「紅花様!」
「走れ、紅九嬪『搦』!」
 杏・紅花(金蚕蠱・g00365)が、横合いからの奇襲を仕掛けた。
 ズバババババババッ!
 石畳を切り裂きつつ、紅花のワイヤーソーが地を駆ける。後脚、外骨格の隙間に、細刃が絡みついた。
「それしきの刃で!」
「うん、ぜーんぜん斬れる気がしない……けど!
 天! 道はできたよ!」
「クククッ、くくるぅ!」
 搦が張る一本道を、クダギツネ『天』が沿って走る。太陽は曹純を挟んで向こう側、ゆえに影はこちらへ伸びていた。
 曹純が対応を迫られるその瞬間に、ディナミーナは無闇に斬りかからない。
「(こちらに斬りかからせるか、紅花様の対応をさせるか、選択はギリギリまで迷わせる)」
 どちらが『先』なのか、という二者択一。
 2つの選択肢が曹純の中ではっきりしていけばいくほど――第3の選択肢の重さが増すのだから!
「ッ! 直上――!」
 曹純も、それに気づいた。見上げこそしないが、頭上。
 ノナメ・クロス(星の子・g00031)が、逆飛びに落ちてくる!
「おや、気づかれた。さすがだねー」
 錐揉み回転で飛翔するノナメは、左右に魔弾を発射した。自分はそのまま、魔弾は螺旋に迂回させる。
「行くよ、紅花、ディナミーナ……これで決着を付ける」
 ノナメは開いた手に二刀を持つ。それらの切っ先に飛行機雲が現れた――。
「頑張ろうね」
「うん!」
「はい!」
 ――が、なぜか周囲を囲む木や石によって、散らされる。
 なぜこんな所に、と思うが、考えてみれば答えは一つ。紅花だ。
 抜け目なく彼女が投げ上げていた、雑多な物品群だ。ノナメも魔弾も邪魔はせず、ただ曹純の視野だけを撹乱する。
「👍」
「👍」
 アイコンタクトを交わした紅花は、ワイヤーソーの引きを少しだけ緩めた。
「!?」
 曹純は自らの力によって、一歩、前に進まされる。そこには当然、ディナミーナがいた。
「いらっしゃいませ。そして、ごきげんよう……♪」
 笑顔がすれ違う。ひゅう、という乾いた風が、曹純の首筋と大腿を撫でた。
 ――ずぱんっ。
 甲殻に隠された肉が、傷口を開いた音だ。更に耳をすませば、じくじくという、呪詛の染みる音も聞こえてくるだろう。
「小癪……では貴様から死ねい!」
 ギ、と音を立てる殺意の視線が、ディナミーナの後頭部を貫く。追って大剣が、物理的にそうしようとするところを。
「グルウルルルルル!」
「…………!」
 クダギツネ『天』が、曹純の影に噛み付いていた。突き込みが、延髄の寸前で止まる。
 ディナミーナは涼風に寛いだ。
「お、余裕だね」
「別れは告げましたので」
 パキィ……ッ!
 届かぬ剣を、降り来たノナメが二刀で叩き折る。
 着地した少女が、ふと曹純の方を見ると、かれの目は怒りで満ち溢れていた。
 その、激烈な情念が、こびりつく。
「……そんな目で見ないでよね」
 努めて感情を廃した言葉で、目の前の敵に言い含める。
「こうするって決めてたんだから」
 ノナメは指で銃のかたちをつくり、心で引き金を引く。
「ばあんっ」
 遅れて飛来した追跡魔弾が、左右から曹純の全身を食った。
 食い尽くした。
「……ふっ」
 決め顔で指先のイマジナリー硝煙を吹き消すノナメに、すると紅花が後ろから抱きついてくる。
「好! やったね、ノナメおねーサン!」
「おー」
「👍」
「👍」
 今度はゼロ距離でコンタクトを交わし、するとそこに、ディナミーナも同じく親指を上げて参加した。
「👍――で、よろしいのでしょうか、紅花様、ディナミーナ様」
「おっけ! うん、助かったよ、とても!」
「おー、お疲れ様ーディナミーナ。じゃ、そろそろ帰ろうか」
「そうですわね……」
 と、ディナミーナは、周囲の遠くを見回した。ノナメも紅花も、同じくそうした。
 懐かしの我が家へと帰る、世の佳き人たちの後ろ姿が見えた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【傀儡】LV1が発生!
【腐食】がLV2になった!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV4になった!

最終結果:成功

完成日2021年09月20日