地獄変第二幕『呪われた連歌』

【!期限延長により状況が困難になっています!】
 ディアボロスの活躍により、京の都を騒がせていた『数え歌殺人事件』は無事に解決する事が出来ました。
 しかし地獄変の事件はまだ終わりではありません。
 京の都では『この歌を送られた相手は、3日以内に返歌を作って、別人に送らなければ呪われて死ぬ』という、『呪われた連歌』事件が耳目を集め始めています。
 3日以内に返歌を送らなかった場合、或いは、既に、この呪いの歌を送った事がある相手に歌を送ってしまうと、体が腐り落ちて死んでしまうというのです。

 歌会などを通じて、呪いの歌を受け取ってしまった被害者に接触し、ディアボロス宛に返歌を送ってもらっいましょう。
 ディアボロスが歌の返歌を『事件を起こしているクロノヴェーダ』に送り付けて撃破する事が出来れば、『呪われた連歌』の呪いを打ち破ることが出来るでしょう。

それにつけても 推しは尊し(作者 唐揚げ
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#平安鬼妖地獄変  #地獄変第二幕『呪われた連歌』  #地獄変 


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「冴え暮れる/雪気の空に/月満ちて……」
 さびさびとした声が、冬の叙情を歌を吟ずる。
 歌人達は目を閉じて、脳裏にしらじらとした満月を浮かべていた。

「……それにつけても、推しは尊し」
 えっあれ下の句おかしくない?
「「「まことそれなに尽きておじゃる」」」
 他の連中の反応もおかしくない!?
「いやあ、やはり猿山猿吉殿の歌には風情がありますなあ」
「まったくまったく。冬の寒々とした空に輝く満月が、眼に浮かび申した」
「特に下の句がよい。前の歌の下の句はなんでしたかな?」
「「「それにつけても、推しは尊し」」」
 間。
「「「いとをかし……」」」
 なんか浸っていた。なんだこいつら。ていうかクロノヴェーダの名前もあからさますぎる。
「ご好評なようでなによりウキ」
 あからさまな猿顔な上に口調も猿だこれ!

「ところで……盛部野・幕賀院殿でしたかな?」
「ど、どうも……」
 互いの推し(つまり宮中のやんごとなき女人がたである)を語り合うオタ……歌人どもと違って、
 明らかに物語的に大して意味のなさそうな名前の人物は、なにやら青い顔をしていた。
「本日はご気分が優れぬようですなウキ。何かございましたかなウキ?」
「いえ、その……」
 幕賀院は何事かを口にしかけ、頭を振る。
「ははあ、わかりましたウキ」
「! ち、違……」
「推しが見つからなくて寂しいウキね」
「いやそれはホントに違います」
 真顔で否定した。

 猿山はそんな幕賀院の様子に、影でほくそ笑んだ。
(「ウッキッキ、私が送った呪いの連歌の送り主が見つからないみたいウキねえ……」)
 そう、幕賀院の心を痛めているのは、実は猿山……と名乗るクロノヴェーダの仕業なのだ。
 それをわかっていて、素知らぬ顔で振る舞うとは……なんたる外道か!
「よければ推しになりそうな女人をお教えするウキ」
「いやだからそうじゃないです」
 猿山はしょんぼりした。

●新宿駅グランドターミナル
「……っていう、ウチが前もって勉強してた平安の歌会とは全然違う予知が見えたんスけど」
 七田・ナナ(エンジョイガール・g05125)は困った顔をしている。
「こ、これもクロノヴェーダの改竄ってことなんスか? ていうかそもそも『推し』ってなんスか?」
 まずはそこからだった。

 例にもよって、ディアボロス達から説明されたナナ。納得した様子で深く頷いている。
「なるほど……つまりクロノヴェーダの頭がハイパーヤベーってことはわかったッス」
 100%なんら間違っていない理解だった。

 それはさておいて、どうやら今回は『平安鬼妖地獄変』の京の都が舞台のようだ。
「呪いの連歌といって、これを受け取った人は3日以内にその歌の返歌を送らないと、身体が腐って死ぬらしいッス。
 しかもその相手は、呪いの連歌を受け取っていない別人だといけな……あれこれチェーンなんとかじゃないッスか?」
 その通り。いわば平安時代版呪いのチェーンメールというやつだ。
「でもこの被害者の人は、いい人みたいッス。誰かに呪いをわかってて渡すなんて、躊躇して当然ッスからね。
 このままだと身体が腐り落ちて死んじゃうッス。そうなったら、京の人達が恐怖してクロノヴェーダの力が増すッス!」
 つまりこの仕事は、ただアヴァタール級を倒せば八方丸く収まる、というわけではないのだ。
「だから先輩がたには、被害者の人に接触して、呪いの歌を先輩がたに送ってもらいたいッス。
 その上で歌をクロノヴェーダに叩き返せば、呪いの連鎖も解ける。あとはバーン! とやっつけるだけッス!」
 と、ナナは拳を斜めに突き出した。

 では実際に、どのように振る舞えばいいのか。
 ナナによると、問題のクロノヴェーダ『ましら』は、正体を隠して歌の師匠として活動しているらしい。
「それがウチの見た、『推し』? を語り合う歌会ッス。なんで平安時代にそんな概念伝わってんスかね?」
 多分クロノヴェーダが局所的に流行らせたのだろう。多分。
「相手は歌の師匠として活動してる間は、警戒とかしないッスから、うまく溶け込めば正体はバレないッス。
 だからそこでまずは、悩んでる被害者の人を見つけて、呪いの歌を送ってもらえるよう説得してほしいッス。
 え? どう、って……そりゃアレッスよ、推しを語り合ってるんだから、先輩がたも推せばいいんスよ!
 ウチなら、先輩がたのハイパーカッケーところを歌にしてみせるッスね! そうすれば完全に溶け込めるッス!」
 ナナも、ようやく推しの概念がわかってきたらしい。自慢気に旨を張った。
 なんとも頭のおかしな歌会だが、深く考えたら負けだ。この際なので、推しへの愛を強く語ろう。

「クロノヴェーダ……猿山って名乗ってるみたいッスけど、こいつは歌会の行われた屋敷にいることはわかってるッス。
 被害者の人から呪いの歌を送ってもらえたら、あとは直接呪いの返歌を叩きつけてぶっ倒すだけ、ッスね。
 居場所はわかってるんで、いきなり叩くことも出来るッスけど、そうすると被害者の人は死んじゃうッス……」
 ナナは悲しげだ。クロノヴェーダの目的から見ても、これは最後の手段と考えるべきだろう。

「ウチもせっかくなんで歌について調べてみたんスけど、ハイパー難しいッスね、短歌って!!」
 ナナは知恵熱が出そうな顔で唸る。
「ていうかそもそも、下の句が全部『それにつけても/推しは尊し』な歌って歌として成立してんスかね?
 まあそんな歌しか詠んでないクロノヴェーダなんで、先輩がたも返歌はテキトーでいいと思うッス!」
 挙げ句、歌人の方が聞いたら軽くキレそうなことを言う始末だ。

「それじゃあ先輩、行って……あ! そーだッス!」
 いよいよ出発というところで、ナナはメモ帳を取り出すとスッと目を閉じた。
「先輩の/背中にかける/ファイトのエール……」
 沈黙が場を包んだ。
「どーッスか? ウチの応援の歌ッス! ファイトッス、先輩!」
 いやそれ俳句じゃねえかしかも字余りだろ、というツッコミがあったかどうかは定かではない。

●平安鬼妖地獄変:幕賀院の屋敷
「うう……一体どうすればいいんだ……」
 顔もなんだかぼんやりしてる幕賀院は、呪いの歌を前に頭を悩ませていた。
 もちろん、呪いの歌の効果は彼も噂で聞いている。だからこそ良心の呵責で歌を返せないのだ。

 ちなみに、その呪いの歌の内容はと。
『我が推しや/ああ我が推しや/我が推しや/それにつけても/推しは尊し』
 中身もクソもなかった。

「なんで、猿山殿と同じ下の句が使われているのだ? ああ、わからない……!」
 こいつもポンコツだった。


→クリア済み選択肢の詳細を見る


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
1
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わり、「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げて運搬可能になる(ただし移動を伴う残留効果は特記なき限り併用できない)。
【悲劇感知】
1
「効果LV×1時間」以内に悲劇が発生する場合、発生する場所に、ディアボロスだけに聞こえる悲劇の内容を示唆する悲しみの歌が流れるようになる。
【強運の加護】
1
幸運の加護により、周囲が黄金に輝きだす。運以外の要素が絡まない行動において、ディアボロスに悪い結果が出る可能性が「効果LVごとに半減」する。
【託されし願い】
1
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【友達催眠】
2
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【プラチナチケット】
2
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【隔離眼】
1
ディアボロスが、目視した「効果LV×100kg」までの物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)を安全な異空間に隔離可能になる。解除すると、物品は元の場所に戻る。
【モブオーラ】
1
ディアボロスの行動が周囲の耳目を集めないという世界法則を発生させる。注目されたり話しかけられる確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【修復加速】
1
周囲が、破壊された建造物や物品の修復が容易に行える世界に変わる。修復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」する。
【書物解読】
1
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。
【口福の伝道者】
2
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【命中アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV7 / 【凌駕率アップ】LV2 / 【フィニッシュ】LV1 / 【アクティベイト】LV1 / 【リザレクション】LV1 / 【先行率アップ】LV1 / 【ロストエナジー】LV1

●マスターより

唐揚げ
 ここまで読んでいただければまあいちいち言うこたないと思うんですが、ネタシナリオです。
 推しへの愛を歌に綴るなり、ひたすらツッコミを入れるなり、気楽にやっちゃってください。

 なお、OPでも触れられている通り、呪いを解かずに『ましら』を倒すと幕賀院は腐って死にます。
 そうすると、ネタシナリオなんですが京の方々はなんだかんだマジでビビって震え上がります。恐いし。
 なんとかして頑張って、呪いの連歌を叩きつけてぶっ倒せばハッピーエンドです。やったぜ!

 じゃあ、皆さんの推しへの愛を綴った歌、お待ちしてるッス!
198

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


リナフローリィ・エレオノール
アアドリブOK

だってボクは(見た目だけは和服を着ているから)和の人(妖狐)だから歌を詠んだり作ったりとか出来るはず
でもちゃんとした作り方も聞いておきたいかな
しっかりした歌が出来たら呪いも祝いになるかな

お腹空いた
あぁお腹が空いた…
今日のご飯はなんだろな

(あ、そうじゃない歌だよ歌…)

それにつけてもおやつは…―――

(ぐぅぅぅぅ)

餃子…

(なんとなしに歌のようになっていて聞いてる人からは『え?なに??これ歌?マジで?』ってなるかもしれないならないかもしれない)

え、なに?
サル並み?何が?
失敬なボクは狐だよ!
それに今のは歌じゃないよ!
違う違う!ボクはもっと雅な歌を…!
やだー!そんな目で見るなー!


●字余りどころの話しではない
 見た目だけなら、完璧である。
 和服着てるし、和の人……ていうか妖狐だし(妖狐は和なのか? それは置いておこう)。
(「だから歌を詠んだり作ったりも出来る。よし!」)
 リナフローリィ・エレオノール(偽物ワールズエンド・g03639)は、それだけで参加を即決した。
 一応学ぶつもりはあったが、一番大事なものが足りていなかった。
 それが何かって? 言わぬが花って言葉もありまして……。

 で、問題の歌会場。
 来る前は「しっかりした歌ができたらいいな、呪いを祝いに変えたいな」とか考えていたリナフローリィだが。
「お腹空いた……」
 空腹に負けていた。
 意気込みすぎたせいなのか、今日はご飯を抜いてきてしまったらしい。
 一回気づくともうダメだ。空腹はずーっと頭の隅に、というかお腹に居座り続ける。つらい。
「次はそちらの方でおじゃるウキ」
 なお、猿山は気付いていない。こいつ口調雑すぎないか?
「……」
「そちらの方? 歌を詠んでほしいウキ。さっきのウキの講習を参考に……」
「……お腹空いた」
「「「え?」」」
「あぁ、お腹が空いた……」
 無駄にさびさびとした声でつぶやくリナフローリィ。
「今日のご飯は、なんだろな……」
 ハッ。そこでリナフローリィは我に返る。自らに集まる視線!
(「ってそうじゃない、歌だよ歌! えーっと、えーっと」)
 リナフローリィ、ここで下の句のことを思い出す。あまりにも印象に残っていたのだろう。
「そ、それにつけても」
 しどろもどろになりながら言った。その時、お腹の虫がぐぅ~っ、と鳴る。
「…………おやつは、餃子」

 間。

「え? 今の何?」
「あれ歌?」
「マジでおじゃるか?」
 ざわざわ。歌人達はあまりの自由律(※俳句です)な短歌に混乱していた。
「ウキ……ウキャーキャキャ! その歌はちょっと、いやだいぶ」
「猿並ですなあ」
「ウキーッ!?」
「えっなんで猿山殿が怒るんでおじゃるか!?」
 話がややこしくなっていた。
「ち、違うよ! ボクは狐だし、今のは歌じゃないよ! 違うよ、もっと雅な……!」
「「「うんうん」」」
「やだー! そんな目で見るなー!!」
 動物園の珍獣を見るような扱いだったという。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【書物解読】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!

狭間・ならく
なンて?(なンて???)
(推しって何)(何も分からん)

まァ、宮中で話題の女人とかがいるのまでは分からんでもない。つまりこう……別に恋仲になりたいわけでもねーけど気になる誰か……みたいな感じか?
(歌会ね)(公式の席でないなら狩衣でいっか)(それなりの香を焚きしめればあとは【プラチナチケット】で誤魔化せるだろ)“お久しぶり、今日もお邪魔するぜ”

……。
渡り川 雨も降らねば 漕ぎ出せるに
(つーまんね。『行くは良い良い、帰る道なし』。会いに行っても帰れやしない)


●推し……それは概念……
「なンて?」
 時先案内人の説明を聞いている時から。
 トレインの中で話し合っている間も。
 そして今も、狭間・ならく(【嘘】・g03437)はこれしか言っていない。
「推し? え? 何? なンて???」
 そもそも推しという概念が、ならくにはピンとこなかった。
 どうやら彼女に推しは居ないらしい。あるいは、居ても推しという概念として、認識していない。
 概念を理解してたとしてもこんな声は出る? そもそも平安時代に使う言葉じゃねえ? それはそう。
「なンもわからん……ようは宮中で話題の女人とかか……?」
 ならくは嘘つきなのだが、こんな仕事(※一応クロノヴェーダの暴虐です)にも真摯に励む。
 なお、この手のイカれた歌会は初めてではない。イカれた歌会が複数存在するって何?

 とりあえず、ならくはラフな狩衣に香を焚きしめ、残留効果も利用し無理なく溶け込んだ。
「お久しぶり、今日もお邪魔するぜ?」
「おお、これはこれは……(あれ? 誰だろ)」
「今日も推しを語り合いましょうぞ(あれ? 誰だろ)」
「推しの尊さに垣根はありませぬからな(あれ? 誰だろ)」
 残留効果のせいもあるが、そもそも歌会に参加してる連中全員ポンコツという疑いがあった。

 しかし、歌会に潜り込んだのはいいが、ならくにはひとつ大きな問題があった。
(「推しがよくわかンねェから歌詠めねえ」)
 そう、歌が考えつかないのである! 一応考えようとしているあたりやっぱりこの人真面目だ!
「え~……"庭先に しんしん積もる 白雪な"」
「「「それにつけても、推しは尊し……」」」
 なぜかお決まりの下の句を唱和し、意味深にニヤニヤ笑って頷きあう貴族達。なんだこいつら。そもそも歌の完成度がガバガバだ。
(「あれ? アタシ難しく考えすぎじゃね?」)
 ならくもここに至って、ようやく気付いた。

 そこでならく、思いついた言葉をそのままするりと詠み上げる。
「渡り川/雨も降らねば/漕ぎ出せるに……」
「「「……」」」
(「つーまんね」)
 そんな心はおくびにも出さず。
「"行くは良いよい/帰る道なし"」
「「「おお……」」」
 貴族達はどよめいた。会いに行っても帰れやしない、帰るつもりにもならない……そんな感傷を描いた歌だ。
「すごい完成度の歌が来ましたな」
「推しを語らぬことで推すとは……」
「推しという言葉が入ってないあたりがすごいですぞ」
(「推しってなンなんだよ……」)
 あとこいつら本当に歌人か? ならくは心底疑問に思った。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【プラチナチケット】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!

赤上・イズル
■アドリブ・絡み歓迎

うむり…俺は刻逆前に学校(中学校)で百人一首ちょっと習ったくらいのレベルです
あと春はふとももとか

間違ってるよ!と言わんばかりにモーラットのマリコさんにツッコミを後頭部に受けつつ歌会へ参加
借りてきた一応それなりに見える格好の衣装を持ち込んで着替えてみた

ここで被害者を探せばいいのですね

パラドクス効果の【悲劇感知】を発動させてみて被害者を探してみる
それに加え該当者は恐らく挙動不審であったり顔色が悪いと思われるのでそういった人物などを見つける

何か話しかけられてたら「風流です」とか「良きかな」とか適当な言葉を合わせる


●春はふともも、夏はへそ、秋は二の腕……
「そして、そう……"冬は首筋"……でしたかね」
 キリッ。赤上・イズル(陽炎の刃・g04960)は真面目な顔でわけのわからないことを言っていた。
 義務教育の敗北である。清少納言も草葉の陰で泣いてるんじゃなかろうか。
 マリコさんのツッコミが後頭部に炸裂した。だが、イズルはいい顔をしていた。なぜなら彼の性癖でもあったから。

 完全に歌会に溶け込んでいる(※これはこのシナリオ内はともかく世間一般的には多分褒め言葉ではない)イズルは、その格好のおかげも相まって、誰にも怪しまれはしなかった。
 それどころか、彼が↑のようなノリで、歌というかただパトスを炸裂させただけのトンチキな歌らしき何かを詠むと、
「わかる」
「それなでおじゃる」
「まろはお尻もよいものだと思いけり」
 と、賛同ばかりが飛んできた。こいつら大丈夫かな?
「ウッキッキ。あなたの推しは特定の誰かではなく、そういうところというわけウキね。それもまた推しウキ」
「あれ? これ、俺が女性のそういうところばかり見てる変態みたいに思われてませんか??」
 しかも当のクロノヴェーダにまで褒められた。イズルはなんか、自分のイメージが致命的に崩れてるような気がしてならなかった。でも春はふとももとか言ってたら……ね!?

 まあそんなわけで、誰もイズルを疑いはしていなかったのである。
 名誉なのかどうかはともかく、イズルの被害者探しは残留効果のおかげもあって滞りなく進んだ。
「……あの人ですか」
 明らかにきょろきょろと落ち着かない様子で、しかも顔色の悪い幕賀院は、イズルから見ても露骨に浮いている。
「……体調が悪いのですか? 顔色が優れないようですが」
「えっ。あ、いえ、そっそんなことは。ところであなたの歌は素晴らしいですね。ふとももがお好きなんですか?」
「風流です。……あっいや違います別にそこまで好きというわけでは」
「風流なんですね」
「いえだからそういうわけでは」
 誤解は深まっていた。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【悲劇感知】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!

シャーリー・ラフォルス
★アドリブ、絡み歓迎

推し(ガタッ
Fooo!ご主人様の事を歌うべし、と天のお達しでございますね!
「青と白、ご主人様が、美しい、わが心には、貴方様のみ」
どやぁ~(なお、彼女の知能は非常に低い、多分ゴリラ並)
「最高のできっ!推し活、貴方のために、捧げるは、砲撃の音、わたくしの愛」
notリアル恋愛、Yes疑似恋愛ッ!
現実ではしないけど、妄想という疑似空間で恋愛をドキドキなメモリーをエンジョイするなら……OKでございます(サムズアップ)
「推し活というのは、好きな偶像へ己の心を捧げる活動なのでございます。つまり、愛を綴る恋文に似たモノでございます」
ご主人様の空気になりたい……シーツをたまには嗅ぎたいッ!


●うわぁ急にノリノリになるな!
 推し。
 その言葉は、シャーリー・ラフォルス(軍人メイド長・g05277)にとってただ一人のことだけを指す。
「青と白/ご主人様が/美しい……わが心には/あなた様のみ」
「「「……」」」
 静まり返る歌人(ルビ:オタク)達。シャーリーはドヤ顔である。
 言ってはなんだが、彼女の知能はかなり低かった。なんならゴリラといい勝負かもしれない。
 いや、それはゴリラに失礼ではなかろうか? あっもしかしてこの仕事に参加したのは猿相手だからとかそういう!?
(「ふっ、どうやら皆様、わたくしの風雅さに恐れをなしているようでございますね……」)
 マジでドヤっていた。これがまともな歌会なら助走をつけて殴られていそうである。

 しかし!
「尊き……」
「やはり推しは最高でありける」
「主人の尊さがよくわかるでおじゃるな~」
 これはまともな歌会ではないし、参加者は全員ポンコツというかアレだった!(多分犠牲者以外)
「そう、そうなのでございます! あっもうひとつ出来ました!」
 シャーリーはノリノリで、新しい歌をしたためる。
「推し活/あなたのために/捧げるは……砲撃の音/わたくしの愛」
「「「おお……」」」
 そのどよめきの理由、何? って感じだが、シャーリーの笑顔は輝いている。
「そう、NOTリアル恋愛、YES疑似恋愛ッ!」
「現実ではしないが、妄想するのは自由と」
「恋愛という胸がいとをかしな(※ドキドキ的なことを言いたいらしい)気持ちがよく歌い上げておられるでありける」
「内心の自由というものがあるでおじゃるな。推しは触れず近づかず楽しむもの、わかるでおじゃる」
「で、ございましょう? ああ、最高の出来の歌がふたつも出来るなんてっ!」
 シャーリーは両手を胸の前で合わせ、キラキラとした瞳で彼方を見やった。こんなに同志がいるなんて!
「推し活というのは、好きな偶像へ己の心を捧げる活動……そう、愛を綴る恋文に似たモノでございます」
「「「わかる~」」」
「ご主人様の空気になりたい……シーツをたまには嗅ぎたいッ!!」
「「「それな~」」」
 あれっこれダメな共鳴反応起こしてない!?
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【隔離眼】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!

八百陣・葵漆
※ましらの宿敵主

身の丈5mの大猿だよ?
いくら正体を隠してもそれに気づかないなんて
この歌人達の目は揃いも揃って節穴揃いなのかな?(ジト目)

とりあえず、歌人の装いをして歌会に紛れ込もうか

新宿等に流れ着いてから歴史を調べて
いろいろと推しは出来たのだけど……
ええと、この時代だとまだ武田信玄はおろか
楠木正成や源義経も生まれてないんだよねえ

そうすると、孔明や司馬懿とか
三国志の軍師について語ろうかな

死して尚 その軍略は 冴え渡る それにつけても 推しは尊し
(死せる孔明生ける仲達を走らす)

しかしあまりに酷い状態だと
いろいろ突っ込んでしまいそうだね

それで不審がられたら
【虚言八百】&【友達催眠】で対応するよ


●こんなネタシナリオですみません……
「……ここにいる歌人達の目は、揃いも揃って節穴揃いなのかは……」
 八百陣・葵漆(勝利こそが正義・g01007)は、推しがどうこう語り合う、平安時代とは思えないノリの歌人どもをジト目で睨む。
 彼らは気付いていない。むくつけき巨体の猿がウキウキ言ってようが、なんならバナナ貪ってても気付かないまである。
 だが、それがクロノヴェーダなのだ。そう、この狂った光景も、奴らの改竄によって生み出された悲しき侵略の現状!
 ……って書いたら、シリアスな空気になりません? ダメ? そっか、そうですね。はい。

 それはさておき、葵漆にも推しというのはいるらしかった。
「でもなあ、この時代だとまだ、武田信玄も楠木正成も、源義経も生まれてないんだよねえ……」
 さすがは根っからの軍師、挙げた推しはどれもこれも軍師的な意味で推せる猛将・英雄ばかりである。
 しかし鎌倉時代はまだまだ先だ。となると、葵漆の得意分野(という表現もかなりズレてる気がするが)な三国志に絞るべきだろうか……?

 と、こんな感じで、葵漆は歌をしたためると詠み上げた。
「死してなお/その軍略は/冴え渡る。……それにつけても/推しは尊し」
「「「おお……」」」
 どよめきが生まれた。この下の句めちゃめちゃ便利だな。
「なるほど、軍師推し。そういうのもあるんでおじゃるな!」
「我々女人の話しかしてないでありける」
「推しにも様々……概念が広いであり申すなあ」
「いや、それはそれで不健全極まりないからね?」
 さすがの葵漆も、ツッコミを入れざるを得なかった。
 だがパラドクスの残留効果など必要なかった。なぜなら!
「ためになる見識ウキなぁ~」
「……君まで感心するの!?」
 権謀術数を巡らせるまでもなく、当のクロノヴェーダまでうんうん頷いてたからである。やっぱ猿だから、ほら、ね!?
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!

菅原・小梅
◆行動
此度も香を焚き詰めた水干装束を纏い
【プラチナチケット】を使い貴族『子息』として歌会に参加致しましたが
『推し』について語るとは面妖な…

私ですか?
故人ではありますが…『在原業平』様ですね
あの方は尊い生まれではありながらも…
(四半刻(約三十分)程、特有の早口で超得意な話題について語り続ける)
まぁ、観賞用としては素晴らしい色男ですけれど伴侶には向いてない御方だったと思いますね。
(注:彼女は忘れてますが男装中です)

折角なので一首読みましょう。

『有明の、笑いよ響け、野分月、鳴り物うちて、平に願わん』

気付きましたか?
頭文字を続けて読むと……(笑顔)
此処まで『推し』の尊さについて語れれば満足ですね、はい


●すごいちゃんとした歌人がいらっしゃった!
「……推しについて語るとは、なんとも面妖な」
 香を焚き詰めた水干装束を纏い、貴族の『子息』に扮した菅原・小梅(紅姫・g00596)。
 残留効果もあり、誰にもまったく怪しまれていないのだが、そもそもこの歌会で怪しまれるような人間いるか? ってくらい、トンチキな空気が漂っていた。
 そう、これもクロノヴェーダのせいだ。健全な歌会を邪悪に染め上げるなんて、許せないぜ!

「そこな方。推しは誰でおじゃるか?」
「おじゃる……ああいえ、私ですか」
 コテコテな歌人の口調に困惑しつつ、小梅はしばし思案した。
「故人ではありますが、『在原業平』様でしょうか」
「えっ」
「え?」
「女人ではないのでおじゃるか!?」
「え??」
 まずそこでびっくりされたことに驚く小梅。この歌会やっぱ不健全じゃねえ?
「まあ、それは置いておきましょう。それより業平様のお話です」
「あ、はいでおじゃる」
 小梅はこほんと咳払いすると、一拍置いてから語り始めた。
「あの方は尊い生まれながらでありながらも"体貌閑麗、放縦にして拘わらず"との通り、その美貌と才の赴くまま奔放に生きていた自由なお方。だからこそ、あれほどまでの素晴らしい歌を生み出せたのでしょう。"善く倭歌を作る"とはこれまさしくですね。ちなみに私が好きな歌としましては主に」
「え、あ、え!? ちょ、ちょちょ早い早い! めっちゃ語り早いでおじゃる!!」
 小梅、止まらない! というかそもそも聞いていない!

「……まぁ、観賞用としては素晴らしい色男ですけれど、伴侶には向いていないお方だったと思いますね」
「あ、はい」
 実に四半刻、歌人がげっそりするのもお構いなしに語り尽くした小梅、すっきりした様子である。
「と、ここで一首浮かびました」
 ぐったりしてる歌人をよそに、小梅はさらさらと筆を走らせる。
「有明の/笑いよ響け/野分月/鳴り物うちて/平に願わん」
「「「おお……」」」
 すごい歌らしい歌が来たので、ポンコツ歌人達は普通に唸った。
「むっ!」
「気付きましたか?」
 なにやらピンときたらしい猿野郎の反応に、小梅は目を細めた。
「猿山殿、一体何に気付いたのでありけるか?」
「頭文字を続けて読むと……これは、在原業平殿の名前に!」
「「「おおっ!」」」
「ええ、満足です。すっきりしました」
 小梅は笑顔だった。
「もうしばらく推しの話はいいでおじゃる……」
 語りにつきあわされた歌人は、ぐったりしていた。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【プラチナチケット】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!

アイネリス・レナリィ
アドリブ絡み歓迎

推しの概念も理解できないポンコツに眼鏡が最強って事を教えてやりますよ。お任せ下さい。

この時代に合う衣装を借用出来ればそれを着ていきましょう。
無理なら堂々と行きます。眼鏡掛けてますから大丈夫。

幕賀院さんの所へ。
早速ですが呪いの歌を送って下さい。
なあに眼鏡にかかれば呪いなぞ眼鏡拭きで掃除される塵以下のようなモノ。
なので後の事は心配ありません。

では猿山殿お覚悟。

『余は眼鏡/そなたも眼鏡/みな眼鏡/眼鏡を掛けよ/眼鏡は真理』

どうです。神々しすぎて呪いが消し飛びそうですよね。
理星さん(g02264)、この世に眼鏡を差し置いて推す物などありませんよ?
いや、このチョコミントの波動、強い……!


天夜・理星
OK、そういうことね理解した。
まっぜってー♫

歌会への道を拓くのは他の皆に任せた。
アタシはいい感じにやるから、呪いをこっちに。

推しって色々…あの、アイネリスさん?
あなた眼鏡推しすごいn…眼鏡を差し置いて??
スケールでっか。神々しすぎぃ…

アオイさんもいい感じ…チョコミント好きだねー。アタシも好きだよ、いつからツッコミ役なったんだアタシ。

まあアタシの和歌も聞きなよ。
この和歌はね、私の推しの……

アアアアアキレそう!!(?)
推しの顔名前まで刻逆に奪われてんの!! マジないわー!!
あ、呪いだけに。なんつって。じゃないよもう!

『推しはそう みんなが推しで 推し推しで つまりはみんな 友達の推し』

どうよ!!


アオイ・ダイアログ
やっはろー♪
お悩みですね、見せてもらえます?

ふむ、推しを推そうという歌ですか
ですがこれは稚拙に過ぎますね、何を推したいかまるで表現出来ていません
あ、この歌貰いますね

そもそも女人などと限定するのは愚の骨頂、推しとは須らく推しに成り得る素養を持つのであってつまり人に限る必要はないんです!
そんな私の詠んだ歌はこれです!

『冴え渡る/香の麗しき/氷菓子/チョコミントや/天の甘露か』

どうです、なんと素晴らしい歌だと震えるでしょう🎵
チョコミントの前にあらゆる呪いは平伏すると思い知って下さい!

アイネリスさんも素晴らしい眼鏡愛ですね♪
理星さんもいいスケール感です♪
さあ、一緒に熨斗つけて返歌してあげましょう🎵


薬袋・透
十二単で貴族女性に変装し乗り込む(内心:熱い、重い、動きにくい)

なにこの、なに?良くあれで通せたわね?名前も口調もキャラ付けもまんまじゃない、ツッコミが追い付かないのだけど。そもそもツッコミは僕の担当でもないし。
とりあえず推し……自分の好きなものを題詠に一句詠めばいいのかしら?

「鈍色の、冷たく硬い、その手にも、昔と同じ、温もりを知る」

推し、という一言では片付けられない大事な半身の歌よ。

さあ、覚悟は良いかしら?お猿さん?
アドリブ絡み歓迎


●トンチキにはトンチキで対抗するんだよ!
 ディアボロス達の活躍(?)により、歌会への潜入(??)は無事に果たされた。
 すでに幕賀院の目星もついており、あとは彼からどうにかして呪いの歌を送ってもらい、そして返歌をクロノヴェーダ……というか猿に叩きつけるのみである。

 しかし、幕賀院は善良な人物だ。ただの説得では動かない。
 そしてさらに言うと、この歌会はやや、だいぶ、いやかなりイカれており、まともなノリでは脳が破壊される。
 そう、これもクロノヴェーダも恐ろしき陰謀……すべてはましらの思うがまま……!!

 なのかどうかはさておき、ディアボロス達に憂いはなかった。
 なぜなら……歌を送られに来た者達も、大概狂っていたからである。
「幕賀院さん。あなたは呪いの歌を送られていますね?」
「な、なぜそのことを!」
 アイネリス・レナリィ(黒鉄の魔女・g01781)は、かちゃりと眼鏡の弦を押し上げる。
「当然です。この眼鏡に、見通せないものはありません」
 キリッ。アイネリスは本気で言っていた。レンズがギラリと光っているあたり、マジの大マジだ。
 そう、眼鏡を極めた人は、己の雰囲気に応じて、自在に眼鏡を光らせることが出来るのである。これは常識!!
「アイネリスさん、すごい自信だね……眼鏡は別に根拠にならないと思うんだけどね」
 ノリノリで混ざりに来た天夜・理星(復讐の王・g02264)も、やむなくツッコミに回らざるを得ないほどの覇気だ。
 だが、そもそもこんな仕事(ルビ:シナリオ)にノリノリで混ざりに来るあたり、理星も大概な方である。
「お悩みはわかりますよ、幕賀院さん。でも安心してください、私達は呪いのプロなので!」
 と、アオイ・ダイアログ(響き合う言霊の繰り手・g02687)も、謎の自信に満ち溢れた表情で言い切る。
 まあ間違ってはいないのだが、それでも幕賀院は困惑するばかりだった。

「……いやあの、あんな雑な変装で通してた猿もアレだけど、みんな馴染みすぎじゃない???」
 十二単で貴族女性になりすました薬袋・透(無彩の魔女の系譜・g02087)も、思わず3人のノリにツッコミを入れた。
 敵もトンチキなら味方もトンチキである。ツッコミが追いつかねえ。でもまあツッコミは自分担当じゃないんだが。
「なあに問題あありません。眼鏡にかかれば、呪いなぞ眼鏡拭きで掃除される塵以下のようなモノ。わかりますね幕賀院さん」
「アイネリスさん、その説明で何がわかると思ったの??」
 理星、いつにないアイネリスの気迫に若干困惑している。
「とにかく眼鏡を推したいってことは、歌を詠むまでもなくわかるわね……」
「私はチョコミント推しですよ! そう、女人に限らないんですよ推しは!」
 困惑に理解を示す透に対し、アオイはアオイでなんか別の方面の力説を始めた。
「何かに限定するなど愚の骨頂、推しとは森羅万象すべてが推しになりえる要素を持つのであって、つまり人に限る必要はありません!」
「ええ、アオイさん、おっしゃるとおりです。つまり眼鏡こそが至高なんです。眼鏡をさしおいて推すものなど、私にとってこの世にはありません」
「うん、アタシいつからツッコミ役になったんだろうね? スケールでっかすぎるね??」
「と、とりあえず、自分の好きなものを題詠に一首詠めばいいのよね。ここまでの熱意がなくても。ね!」
 透は無理やり話をまとめた。幕賀院が混乱していたからである。

「どこのどなたかは存じまぜんが、あなたがたがそうおっしゃるなら……」
 幕賀院は根負けし、一同に呪いの歌を送る。それを見たディアボロス達は、あまりのずさんな歌の中身に辟易した。
「稚拙に過ぎますね。これでは何を推したいかまるで表現出来ていませんよ!」
「眼鏡を推していない。その時点で大減点です」
「眼鏡にこだわるねアイネリスさん! いや推すってそうなんだろうけどね!?」
「やっぱり名前も口調もキャラ付けもそのまんまの猿じゃ、このへんが限界なのね……」
 透は味わい深い顔になったが、すぐに切り替える。
「とにかく、各々で返歌を叩きつけましょう。この勢いなら、もう考える時間を取るまでもないでしょうし」
「そ、そうだね。なんならもう出来上がってる二人がいるしね……?」
「眼鏡!」
「チョコミント!」
「……歌になるのかしらね、あのパトスは……」
 透は遠い目をした。だが熱意だけは、アイネリスもアオイも他の追従を許さないぐらい迸っていた。

 ……一方、猿山の屋敷!
「ウッキッキ、あの様子ではいよいよ呪いの効果で腐り落ちると見えたウキ、ウーキッキッキ!」
 幕賀院の狼狽ぶりから、計画の成功を確信し、ひとり勝ち誇る猿。その身体は、すごくデカい。
 こんなザルな計画が通ってしまうあたり、実はもとからポンコツ揃いだったんじゃなかろうか、この歌会。
「そこまでです!」
「歌、返しにきたよー♪」
「推すということの本質を教えてあげます!」
「よく露見しないと思ってるわねあなた!」
「!?」
 そこへさっそうと現れたディアボロス達に、猿山は驚愕した!
「な、何を突然!? ここは私の屋敷ウキよ! 帰るウキ!」
「いいえ、帰りません。あなたに呪いの返歌を叩きつけに来たのですから」
 キリッ。アイネリスはここぞとばかりに眼鏡の弦を押し上げ、レンズを……光らせた!
「光ってる! すごい眼鏡光ってるよアイネリスさん! それ自力でなんとかなるものなの!?」
「素晴らしい眼鏡愛が迸ってますね♪でも私も負けませんよ~♪」
「じゃあ、多分一番まともであろう僕から行くわね」
「あれっアタシも二人と同じ枠に入れられてる!?」
 透からの扱いになぜかびっくりする理星だが、それはさておき透はばばん! と歌を突きつけた!

「鈍色の/冷たく硬い/その手にも/昔と同じ/ぬくもりを知る」
「「「おお……!」」」
 まともだ。本当にまともな、歌らしい歌が繰り出された!
「推し、なんて一言では片付けられない、大事な半身の歌よ。でも、僕にとっては、これこそが推しでしょうね」
 透はにこりと笑った。その顔は、まだ雰囲気がかろうじてまともなうちに、それなりにまともな歌を出せた達成感に溢れていた。
「では、次は私です。その意気に負けぬ眼鏡への愛、お見せしましょう」
「いや目的変わってないかしら……?」
 透のツッコミをよそに、アイネリスは歌を突きつけた!
「余は眼鏡/そなたも眼鏡/みな眼鏡/眼鏡を掛けよ/眼鏡は真理」
「「「……!?!」」」
 歌? 歌かこれ!? 眼鏡しか書いてない! いや、だが眼鏡推しとしては正解……なのか!?
「余って誰!? 散文詩並に前後のつながりがないわ!」
「いや、でもたしかにこれは神々しいまでの眼鏡愛……! 呪いなんて吹き飛びそうだよ!」
「素晴らしいですね、アイネリスさん♪じゃあ、私の返歌も受け取ってください!」
 続けてアオイが突き出した歌は!
「冴え渡る/香の麗しき/氷菓子/チョコミントや/天の甘露か」
「「「おお~!」」」
 こちらは歌らしい歌になっていた。でもまあ題材はチョコミントなんだけども。
「どうです、なんと素晴らしい歌だと震えるでしょう♪ チョコミントの前に、あらゆる呪いは平伏するんです!」
「このチョコミントの波動、強い……っ! やりますねアオイさん!」
「いやチョコミントの波動って何かしら!? 思いの丈はすごいと僕も思うけど!」
「この流れでアタシも推すの? いや、アオイさんのもいい感じだし、アタシもチョコミント好きだけどさ……」
 理星、困惑しつつもきちんと歌はしたためていた。

 ……が、理星、プルプルと震え始める。
「理星さん……?」
 怪訝な顔をするアイネリス。するとその時、理星はくわっと目を見開いた!
「アアアアアキレそう!!!!」
「「「!?」」」
 突然のブチギレ状態! 三人はビビる!
「ウキィ!?」
 猿山もビビる!
「推しの顔も名前も刻逆に奪われてんの! マジないわー!!」
「「「ああ……」」」
 なんたることか。ここにもクロノヴェーダの邪悪な侵略の爪痕が残されていたのだ。
 君は、それを許せるか! いや、許せるはずがない! そういうノリで戦闘に持ち込もう!
「あ、呪いだけに。なんつって。じゃないよもう!!」
「錯乱のあまりセルフツッコミまで!?」
 アオイはその怒りの深さを知り、震え上がった。こういう認識の仕方もどうなんだ。
「とにかく、アタシのはこれ!!」
 代わりに理星が突き出した歌は……!
「推しはそう/みんなが推しで/推し推しで/つまりはみんな/友達の推し」
「いやこれ私の歌とそこまで変わらん気がするウキ」
「うるせえ喰らえこのエテ公ーッ!!」
「グワーッ!?」
 スパーン! 理星は怒りのままに歌を叩きつけた!
「よし、これで呪いは問題ないですね。あとは奴を倒すまでです(眼鏡チャキッ)」
「この流れで無効化される呪いもどうなのかしら……とにかく、覚悟してもらうわよお猿さん!」
「チョコミントアイスの恐ろしさを教えてあげます♪」
 ぐだぐだのまま、戦闘へとなだれ込むディアボロス達だった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】LV1が発生!
【友達催眠】がLV2になった!
【口福の伝道者】LV1が発生!
【強運の加護】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!
【凌駕率アップ】LV1が発生!
【リザレクション】LV1が発生!

天夜・理星
いけね、あまりに赦せないもんでついゴリ押ししちゃった。
…ま、絶対取り戻すんで、そこは大丈夫。

アタシたちは復讐者だ。ね、アイネリスs…
なに??? なんか歌ってますねあなた?

仕方ない、アオイs…
あ、ダメだこっちもチョコミントだった。アタシ変わらず胃痛ポジだわ。

…よし、分かった。ごめん嘘、分かんない。
黄の焦燥、六聖剣。
聖剣の力を解放して、雷をまずぶちかまそうね。そして、一気に敵を貫通撃、電撃使い、突撃の技能で刺し貫く。
とびかかられる時には、ダッシュと一撃離脱の技能で避けるよ。

でもまあ、ほんと、楽しいねえ…♪
前もこんな風に、昔のお友達に振り回されたっけ…。

…将来新宿に国作る時どーしよマジで。


アオイ・ダイアログ
戦闘中だろうとちょこまかと傍で捲し立てますよ
向こうの攻撃はササっと避けます

そうですねアイネリスさん、やりましょうか
理星さん、考えるより感じた方が早いんですよ🎵

さてさてチョコミントの素晴らしさは理解出来ましたか? それではチョコミントを食べましょう🎵
怪我したら、チョコミントを食べれば怪我だってイチコロですよ?とずずいっと

チョコミント食べますよね? どうしてチョコミントを食べないんですか? チョコミント食べないとか人生損してますよ?
チョコミント食えーっ!(口にパフェを叩き込む)

……あ、これ違うやつでした、てへ🎵

あれ、生きてますか?


アイネリス・レナリィ
アドリブ絡み歓迎

理星さんアオイさん、このすっとこどっこいにチョコミントと眼鏡
ついでに復讐者の恐ろしさを叩き込みますよ。

(「め・が・ね」だけのアカペラで口ずさみながら舞い降りる眼鏡【飛翔】【歌唱】)
眼鏡に召されるか、眼鏡の元へ送られるか好きな方を選びなさい
そして眼鏡の眷属に加えてやろうぞ

人質などと罰当たりな真似を
人質を【観察】、本物であれば突然ましらの背後を指差し気を引き【不意打ち】
偽物なら直ちに突撃

かっとばせー、め・が・ね!
この【グラスマッシュ】で引導を渡します
まず足を眼鏡にし、倒れこんだ所で
顔面がッ!眼鏡になるまで殴るのをやめませんッ!【浄化】

その穢れを清め眼鏡に至るのです。メーガネ。


●復讐者って書いてオタクと読む……ってコト!?
「いけね、あまりに赦せないもんでついゴリ押ししちゃった」
 てへぺろ☆みたいなかる~い調子なので、天夜・理星(復讐の王・g02264)は絶対に反省していない。間違いない。
「そう、赦せませんね。なぜなら奴は、眼鏡のよさを理解していない」
「チョコミントもね! そのへん教えてあげなきゃ!」
 アイネリス・レナリィ(黒鉄の魔女・g01781)とアオイ・ダイアログ(響き合う言霊の繰り手・g02687)は相変わらずだ。
 相変わらずって言うと、まるで普段から気が狂っているように思えますが、普段はカッコいい方々なんですよね。
 ……そうですよね? これが平常運転じゃ、ないですよね??

「ウキーッ!! 私のことをナメるなウキーッ!!」
 ましら、キレた! ぶちぶちと装束を引き裂き(そう、一応服を着ていたのだ。デケえんだけど)パンプアップ!
 そしてどんどことドラミングして牙をむき出す! あれこれゴリラじゃない?
「ナメているのはそちらです、このすっとこどっこい(眼鏡チャキッ)
 さあ理星さんアオイさん、奴にチョコミントと眼鏡、ついでに復讐者の恐ろしさを叩き込みますよ」
「そうだねアイネリスさん、やりましょうか! 理星さん、考えるより感じろ、ですよ! ついてきて!」
「うん、いやそれついでにするのはどうなんだろうね。ていうかアタシこれ相変わらず胃痛ポジだね?」
 ご理解いただけているようでなによりです。

 め・が・ね。め・が・ね、め・が・ね!
 どこからか鳴り響く謎のアカペラ。あっこれアイネリスが口ずさんでる!
「私は思い出になどなりません。眼鏡は過去・現在・未来、すべてにおいて最高の一品だから!」
 なんとなく天使の翼を片方だけ生やしていそうなノリだが、アイネリスは別に天使ではないしデーモンでもない。
「なに? なんて??? ていうかその歌なに???」
「チョコミントもお忘れなく♪ こうやってずっと傍で啓蒙(ルビ:いやがらせ)し続けますからね♪」
「おいこいつらやべーウキ! お前もやべーウキか!?」
「アタシ一緒にしないでくれる!? いやアイネリスさんもアオイさんも普段はまともだからね、普段は!」
 なんでクロノヴェーダ相手にフォローしなきゃならんのだ。理星は頭を抱えたくなった。

「おっと、そうはさせんウキ!」
 しかしここでましらが取り出したのは……!
「あ、あれは一体!?」
 理星、律儀に驚き役をする。ありがとうございます。
「歌会で集めた、貴族どもの推しに対する想いを込めた歌ウキ! 推しは違えど同じ推す者として、お前達は攻撃できな」
「めっがーに! めっがーぬ! めっがーねー!!」
「グワーッ!?」
「普通に攻撃したーッ!?」
 SMAAASH!! 黒鉄のメイスの、眼鏡っぽい突起部分がましらの後頭部を直撃! 容赦なしだ! 理星は驚愕!
「眼鏡に召されるか、眼鏡のもとへ送られるか、好きな方を選びなさい。そして眼鏡の眷属に加えてやろうぞ」
「アイエエエ狂人!」
「ところでチョコミント食べますよね? どうしてチョコミントを食べないんですか? チョコミントなんですよ?」
「アイエエエこっちにも狂人!」
 ましらは震え上がった。狂人サラウンドシステム(物理)は脳をすみやかに破壊する!
「ここまで敵が可哀想になったの初めてかもしんないな、別に可哀想じゃないけど……」
 さすがの理星も憐れみを抱いた。いやふたりとも、いい人だし普段はまともなんですよ! 多分!!
「まずは足を眼鏡にします! そして顔面が眼鏡になるまでッ! 殴るのをやめませんッ!!」
「アバーッ!?」
「チョコミント食べないとか人生損してますよ? チョコミント食えーっ!!」
「モゴゴゴーッ!?」
 向こう脛痛打! 倒れ込んだところにパフェを叩き込む蛮行! そして冷たさに悶えていると頭部にグラスマッシュ!
 かまいたちでもここまでしねえぞというリンチぶりである。そもそもこの三人組に薬を塗る概念はなかった。
「……よし、わかった。いやごめん嘘、わかんない。でも攻撃すればいいってことはわかるッ!」
 理星、『聖剣解放/黄:焦震鳴燥』を使用、バチバチとほとばしる雷のエネルギーを、ましらに叩きつける!
「グワーッ!?」
 飛びかかる暇もない! だって間近でチョコミントASMR(Attack Smash Mount Revengeの略称)されているうえに、メガネメガネやかましい狂人が殴打をし続けているからだ!
「うーん、楽しいねえ。前もこんなふうに、昔のお友達に振り回されたっけ……」
「チョコミントチョコミントチョコミントチョコミント」
「メガネメガネメガネメガネメガネメガネ」
「た、助けてウキ! 助けてウキーッ!!」
「あー、懐かしいなあ」
 理星はスルーした。だって、敵を助ける理由はないから!
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【避難勧告】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
【口福の伝道者】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV6になった!
【凌駕率アップ】がLV2になった!

八百陣・葵漆
……何はともあれ、呪いは消滅したみたいだね
それじゃあ、猿山猿吉―――ましらをサクッと倒して、この事件を解決してしまおうか

人質を取ろうとしているけど、所詮は猿知恵、そうすることは予想していたよ
君が掴んだのは『絡繰り兵器』の人形さ
事前に事情を話して逃げて貰い、代わりに人形をそれっぽく置いておいたんだよ
<計略>

その人形の中身だけど……爆弾がぎっしり詰まっているよ
そして、染み出た接着剤で貼り付いて、手放すことも出来はしないからね
僕の『伏兵の一刺し』、受けるがいいよ<爆破>


赤上・イズル
■アドリブ・絡み歓迎

たしかに推しを奪われて推しの歌を歌わされるのは苦痛でしょう
我らディアボロスの悲願はクロノヴェーダを倒し(推しも含め)奪われたすべてを取り返す事
それでこそ本当の春が来ることでしょう…多分

いやまぁでも俺、ふとももとかへそとか二の腕とか首筋とかうなじとか背中とか性癖ではありませんが(増えてる)
再び軽快なマリコさんのツッコミが入るも刀を構え戦闘態勢に入る

推しを奪われた者達の想いを今この刀に込めて…!
(託された記憶はないけどまぁいいか)
適当な事を言っても恥ずかしくない【勇気】を持って刀に雷を惑わせパラドクス【雷轟】を放つ

…おかしい…唐揚げさんにカッコ良いリプレイ書いて貰いたかったのに


シャーリー・ラフォルス
★アドリブ、連携歓迎

はー、推し活は仕事の間にする癒しとして最&高でございます
リコリス菓子が今日も今日とて美味しい!
あら?
あれは仲間でしょうか??
非常に毛深い、この寒さでは寒さ知らずで良いですね(もぐもぐ
なるほど?
推しへの歌を送った元凶ですと?
推しFooo!!(反復横跳び)
仲間、同志!
言葉が通じなくともボディランゲージ&魂(soul)が通じればOK!
「うほほほっ!うほっ!……あれ?あれはゴリラではなく、映画のデカイ猿の様でございますね」
リコリス菓子を食べながら宇宙猫状態
「くっ!これが敵の作戦でございますね!」
パラドクス使用、スマホでぶん殴るか銃でバーン
「ご主人様、最ッ高↑」
ペンライトぶんぶん!!


●いやもう本当にすみませんこんなシナリオで
「……うん、なにはともあれ、呪いは消滅したようでよかったよ」
 八百陣・葵漆(勝利こそが正義・g01007)は虚無の顔で頷いた。
 だって、こんなに狂ったましらを見たことがないから。
 でもほら、アヴァタール級って個々の差異がでかいからね! こういうこともあるんですよ!
 あとついでにいうと、葵漆が虚無の顔をしていたのは、ましら以上に狂っているディアボロス達が大半だったからである。

 具体的に言うと。
「たしかに推しを奪われて推しの歌を歌わされるのは苦痛でしょう。
 我らディアボロスの悲願は、クロノヴェーダを倒し、奪われたすべてを取り返すこと……。
 つまりそれは、推しも含めて! それでこそ本当の春(?)が来るんです! ……多分!!」
 と、なにやら力説する赤上・イズル(陽炎の刃・g04960)と。
「Fooo! 推しFooo!! 仲間、同志! 推し活、最高でございますよね! 仕事の間の癒やしに最適!
 その毛皮も素敵でございますよ! この寒さでは寒さ知らずで実によろしいでございます! Fooo!!」
 なぜかましらのことを"同志"扱いして、なぜかリコリス菓子を片手に高速反復横とびしている、シャーリー・ラフォルス(軍人メイド長・g05277)のことである。
 いやまあこの一つ前のリプレイで戦ってた三人組も(主にそのうちの二人が)大概狂っていたので、やっぱこれほぼ全員じゃん!

「ウキキーッ!? お前ら狂ってるウキ! お前も推しに狂ってるウキか!?」
「僕を一緒にしないでくれるかな!? だいたいあんなザルな方法で歌会開いておいて何を自分を棚に上げてるんだお前は!」
 葵漆は普通に怒った。そらまあそうである。
「そんな怒ることはないでしょう。歌会に参加したということは、あなたにも推しがいるんですから」
「い、いやまあ、それはそうだけどさ……」
 まさかのイズルからの冷静な指摘に、葵漆はキョドった。図星を突かれたとかではなく、明らかに"向こう側"の方々にまともなことを言われた驚きである。
「恥ずかしがらなくともよいのでございます。そう、推しがどなたであれ、推すという行為は人類文明の到達点。
 いわば人類が生み出した文化の極みというやつでございます。推しはいいね……でございます」
「フォローされたいわけじゃないんだけどなあ!?」
 わかるわかるよ、みたいな顔で頷くシャーリー。葵漆は色々言いたいことをこらえた。無限に終わらなさそうだから。
「そもそも、俺は別に、ふとももとかへそとか二の腕とか首筋とかうなじとか背中とか、そこまで性癖というわけでもなグワーッ!」
 なんか言い出したイズルの後頭部を叩くモーラットのマリコさん!
「ところでそこな同志の方! うほほほっ! うほ! うーほほほー!」
 ボディランゲージと魂(Soul)で対話を試みるシャーリー。狂ってるのかな?(多分そう、おそらくそう)
「お前私のことバカにしてるウキか!? 歌会参加してたなら私が喋れることわかってるはずだろウキ!?」
「え? いたんでございますかあそこに」
「あの雑な変装が通用してるディアボロスが居たー!?」
 葵漆も思わずツッコミ役になってしまうほどだ! いやすいません本当……。
 なお、シャーリーはマジでましらの存在が頭から抜けていたらしく、リコリス菓子を手にしたまま宇宙猫状態である。

「と、とにかくお前ら皆殺しウキ! 見ろウキ! このために用意していた人質をーッ!」
 なんたる邪悪! ましらは襲撃に備えて、歌会に参加していた別の歌人を囚えていたのだ!
 なお、その人の名前は、持舞之・文分忠と言う。名前からしてモブだ。
「くっ、推しを奪うどころか人質を取るなんて! 赦せないですね……!」
「そんな! 同志だと思っていたのに、まさか敵だったとは!! でございます」
「君達本当に戦う気ある?? いやまあそれはさておき」
 こほん。慌てる二人をよそに、葵漆は口元を軍配羽扇で隠し、余裕の笑みを見せた。
「すでにその手は読んでいたよ。そこにいるのは人質じゃない、僕が用意しておいたからくり人形さ」
「な、何ーッ!?」
 ましら、普通に出し抜かれる! そう、真面目な戦いになれば、葵漆の軍略とその用意周到さは他の追随を許さない。
 こんなネタシナリオで振るわれるのがもったいないぐらいに、彼女の頭脳は明晰なのだ!
「ちなみに接着剤もつけておいたから剥がれないよ」
「バ、バカなウキーッ!?」
「よし、今こそ推しに奪われた者達の想いをこの刀に込めて! 行きます!!」
 ここぞとばかりにシリアスモードに戻った(戻れてない)イズルは九字を切り、御仏の力を以て雷めいた気を刀身にまとわせた。
 ディアボロスの怒りは奪われた者達の怒り。彼の両手に人々の無念と正しき怒りが籠る! 託された記憶はないが!
「喰らえ! これが何を言っても恥ずかしくない勇気を込めた雷轟だーッ!!」
「グワーッ!?」
 ガガァン!! と稲妻が轟いた! ましらの腹を真一文字に切り裂く剣閃!
「どうやらここは、わたくしも真面目に続くべきでございますね。いえわたくし、徹頭徹尾真面目でございますが」
 キリッ。シャーリーはカッコいいマジな表情で武器を構える。そう……スマホを! スマホを!?
「喰らえスマホの角攻撃ーッ!!」
「アバーッ!?」
 どこが真面目なんだ! スマホの角の痛いところでこめかみをガツンだ!
「ご主人最高、最ッ高↑ Fooo!!」
 そしてペンライトをぶんぶん振り出した。なんらかの病を抱えておられる?
「お、おのれお前らーッ! 私をナメるなウキー!」
「おや、まだ息があるんだね。まあそれも予測済みだけど」
 葵漆は軍配羽扇でからくり人形を指し示した。
「僕の伏兵の一刺し、受けたまえ。爆弾、起爆!」
「え――」
 カ ッ !

 爆炎が庭にまで吹き出した。
「これにて一件落着、だね。まったく、あんなましらもいるとは……」
 からくり人形に仕込まれた爆弾で綺麗サッパリ吹き飛んだましら。その焦げ跡を見て、葵漆はふうと嘆息した。
「なんとかなりましたね! ……最後はカッコよく決められましたよね?」
「ご主人様の素晴らしさをあまねく人々に伝えたいでございます! Foooo~!!」
 葵漆は隣を見ないようにした。あと、イズルの質問もスルーした。答えるのは残酷だから……。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【修復加速】LV1が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV7になった!
【フィニッシュ】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2021年12月16日