リプレイ
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
俺は2つの目的の組合わせには反対だな
復讐者は強化なしでも未来を掴める
いずれは一般人に戻る事を独立するよう研究を続けたい
『格』とは「時間への干渉力」の差ではないか
人、復讐者、永遠存在を隔てる差だ
復讐心を晴らしパラドクスの力を失えば、人に戻れないか
「愛せよ」
観測者は言った
俺は早くに縁の地を奪還し、もうずっと復讐心を失っていて
復讐を託された人々のため戦い続けた
今こそ、俺は愛そう
巨大画布や宙に絵を描く
筆先に力を注ぎ、飛翔し不眠不休でパラドクスの絵を描き続けるよ
今、刻逆を巡る戦いは終わった
帰還を祝い、平和な未来を祈り
色彩と黄金の花々を植えるように描き
老若男女の輪
祝福し歌う花冠の天使達
最終人類史の人々に託された復讐に感謝し、愛に変えて発露し、世界へ手放そう
侵略者達も赦そう
微笑み、平和の歌を口ずさみ
力を失うまで描き続ける
俺は未来の可能性のため「復讐」を放棄する
暴走対策は予め復讐者に頼み、PDを放ち力を相殺する
地獄変で結界を張るか横須賀製の装甲板で囲む
他者にも同様に
俺も役目を果たしたら、必ず人間に戻るよ
●
――無人の南極に辿り着いた所で。
(「正直に言えば、だ……」)
Das TOR Der Gedächtnisseを左手に構え、その背の蒼穹の翼で南極大陸を飛翔しながら。
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)が軽く頭を横に振る。
エトヴァは2つの目的の組み合わせには反対していた。
元々、復讐者は此処での急激な強化が無くとも、未来を掴む事が出来る可能性がある事は、既に示唆されている。
だからこそ力を持たない『一般人』に戻る方法に関しては、今回の『超強化』を得るための実験とは以て異なるものであろうと心底思う。
――只、そもそも……。
(「……それこそどんな手を使ってでも一刻も早く一般人に戻りたい、という仲間達もいるだろうな……」)
それは主義主張の問題であり、本人たちの紛う事無き『意志』
そう言う『意志』を持つ者達の気持ちも又、尊重せねばならないと言う話にも繋がるだろう。
――いずれにせよ。
「説明にあった『格』とは、『時間への干渉力』の差ではないか?」
――それは、人と、ディアボロスと、永遠存在(イデアロゴス)を隔てる差。
であれば復讐心を晴らしパラドクスの力を失えば、人に戻ることが出来ないか?
――然し、エトヴァ達は知っている筈だ。
復讐心を無くしても尚、パラドクスの力を使う事が出来る『理性』によって全てを決める存在――イデアロゴスの事を。
――その上で。
「……愛せよ、か」
それはこの地に嘗て存在した絶滅人類史のディアボロス達……『観測者』の言葉。
そんな『観測者』達の助言、一般人への『愛』を自らの胸に刻んで。
「……今こそ俺は、俺達に復讐を託した人々を愛し、その想いを籠めて――」
――空中に絵を描き出そう。
そう粛々と構えたDas TOR Der Gedächtnisseで空中に無数の絵を描き出す。
「俺は早くに縁の地たるウィーンを奪還している」
そう言う意味では、何処かで復讐心を失っている様にも思える自分自身。
けれども、不条理に奪われた地を取り戻す事を託されたディアボロスの一員として戦い続けることが出来たのは、その根幹に『復讐心』を持っているからだ。
『復讐心』を長い時を克己して尚、それでも合理的に物事を考え、パラドクスの力を喪わなかった者達が『イデアロゴス』である。
――だから。
「パラドクスと言う力を自らの意志で捨てる方法があればいいのだけれども……」
既に、刻逆を巡る戦いは終わったのだ。
故に全世界に奪還され、現在『帰還』する人々のそれを祝い、平和な未来を祈り、Das TOR Der Gedächtnisseを以て、老若男女が輪になって集まる絵を。
そして、そんな人々を祝福し、歌う花冠の天使達を。
そんな老若男女の全人類と、花冠の天使達を美しく彩る色彩の風景画を、黄金の花々を添える様に微笑みながら描き出すエトヴァ。
――侵略者達をも赦す想いを乗せて。
パラドクスで描き、平和の歌を口ずさみ続けるエトヴァであったが……。
――ディアボロスとしての『復讐心』を原動力としたパラドクス能力を失う事は、決してなく……又、永遠撃滅術式が発動した時程の力を得る事は出来なかった。
愛では、刻逆決戦の時の様なディアボロスとしての力を極限まで放つ事はできず、自らに宿るこの力が失われる事もない。
念の為に周囲を横須賀製の装甲版で囲み、何かがあった時に対する備えをしながらエトヴァがそっと頭を振る。
「……どうやら、俺のアプローチの方法では、駄目の様だな」
――何時か、必ず人間に戻る意思を胸に秘めながら。
そう悄然とした口調で呟くエトヴァのそれが、無人の南極と共に来たディアボロス達の間を静かに流れていった。
善戦🔵🔵🔴🔴
効果1【液体錬成】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
四葩・ショウ
【ディアボロスの力を失い一般人になる】
なんらかの方法で一般人になったから
不死性が喪われてディアボロスが全滅したのかな
巨大神像の神像を持ち込んで
もしもの時にはエネルギーを蓄えられるように
もし、膨大なエネルギーを
復讐者の『核』を取り出す、
或いは『使い果たす』くらいの何かが必要なら
思いつくのはネメシス形態、かな
ネメシス形態の検証データも参考にして
肉体を、精神を追い込んでネメシス形態へなれる位、
変身してなおそれ以上を⋯⋯っていうのが理想だけど
ここで出来る限りを、だね
極限まで正当な怒りを、復讐心を高め続けて
『家族』を二度と奪われたくないって希いを
人類への愛を、復讐心へと
それこそ
怒りのすべてを燃やし尽くしてみたら、どう?
パラドクスの刃を自分に向ける
失敗したって、流れ着くだけ
どれだけ熾烈を究めようとも
どんな顚末を迎えようとも
——きっと、無駄にはならない
やり遂げてみせるさ、未來のためだもの
ディアボロスじゃなくなったら
わたしは何者に⋯⋯なるのかな
(ただの四葩・硝子に戻れる、だなんて。あまい夢はみないけど)
ラウム・マルファス
人間に戻るために、ディアボロスの力を追い出さないといけないんだネ
メテオの力を考えれば、試し撃ちでも地軸に影響が出る可能性があるから、単純な放出は反対するヨ
それに実戦で敵に撃つにしても、敵の目の前で人間に戻ったら即死するだろウ
敵は1体じゃないだろうし、環境にも耐えれナイ
というわけで、追い出した力は安全な場所で何かに貯めて、他のディアボロスに託しタイ
エネルギー自体はケーブル経由で神像の心臓に送れる可能性は高いと思ウ
ネメシス実験で、逆ルートは出来ていたしネ
貯蔵の候補は地獄変だけど、必要ならクロノ・オブジェクト開発を進めても良いと思ウ
宇宙での戦いは今まで以上にエネルギーが必要だしネ
肝心の力だけど……死ぬ可能性があると言われた事件の報告や、重傷になった経験を踏まえて『存在の力』とその否定、と仮説を立てル
クロノヴェーダを人間に戻すときも同じだよネ
ディアボロスの自分を否定し、人間の自分を想起しながら神像の心臓へチャージするってコト
壊れると困るからゆっくりネ
いつか人として死にたいけど、今じゃないんだよネ
●
――結局の所。
「何はともあれ、ボク達が人間に戻る為には、ディアボロスの力を追い出さないといけないんだネ」
エトヴァの行った『愛』による自らの力の放棄の失敗を確認しながら、ふむ、と考え込む様に顎に指を当てたラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)が、Rewriterの奥底の青い瞳を光らせながら呟くのに。
「そうだね。……もしかして、何らかの方法で一般人になったから、不死性が喪われてディアボロスが全滅したのかな」
そう考えこむ表情を浮かべるラウムに返していた四葩・ショウ(After the Rain・g00878)がごそごそと自らの懐を探り取り出したのは、巨大神像の心臓。
それを見たラウムが、ふむ、と1つ首肯した。
「用意が良いネ、四葩。ボクも同じようなことは出来ないカナ、と考えていた所だヨ」
告げるラウムのそれにそうだね、と静かにショウが首肯で返す。
「もしわたし達が莫大なエネルギーを放出できるとして、そのエネルギーの蓄積先があった方が良いと思ったからね」
「そうだネ。メテオの力を考えれば、例え試し撃ちでも地軸に影響が出る可能性があるから、単純に放出する訳にはいかないからネ。実戦で敵に撃つにしても、敵の目前で人間に戻ったら即死するだろうしネ」
ならば、予め追い出した力を安全な場所で何かに貯めて、他のディアボロスに託す事が出来ないか。
それがラウムの推測であり、そのエネルギーを放出する方法として思い付くのは……。
「やっぱり、ネメシス形態かな」
呟くショウのそれに確かにネ、とラウムもショウの思考に一つ同意する。
――今回の実験にある超強化の為の膨大なエネルギーにして、復讐者の『核』を取り出す、或いは『使い果たす』位の何かと言えば……。
「わたし達の肉体を、精神を追い込んでネメシス形態になれる位、変身してそれ以上を……と言う事が出来るのであれば……」
――出来得る可能性があるのではないか。
そのショウの呟きに。
「そうだネ。エネルギー自体はケーブル経由で神像の心臓に送れる可能性が高いし、その逆ルートは出来ていた訳だしネ」
そう、ラウムが首肯するのを確認しながら、じゃあ、とショウが静かに首肯を行い。
(「……肉体を、精神を追い込んでネメシス形態になって……その先にある何かをわたしが見つけられる様に……」)
――その復讐心の糧となるものが、ショウにはある。
――それは、『家族』を二度と奪われたくないと言う希いであり。
――人類への『愛』であり。
それらの……至極真っ当な想いを復讐心へと変えて。
――それこそ。
「……怒りの全てを燃やし尽くしてみたら……」
――どう?
そう小さく誰に共なく呟き、ショウは静かに自らの誓いを口遊む。
――やり遂げてみせるさ。
――それが、未來のためだもの。
その想いと共に、腰の雨雫のフルーレ――絶対に、もうもうなにも奪わせない、誓いの証たる硝子製のレイピアの切っ先で、自らの体を貫いた。
――瞬間。
凄まじいまでの力の奔流がネメシス形態のその先に見えかけた。
――どれだけ熾烈を究めようとも、どんな顛末を迎えようとも……。
自らの意志で自らの命を燃やす事で、切り開くことが出来る何かがあるのだと。
その意志は――決して無駄にはならないのだと、信じているから。
そうして、ショウがネメシス形態と化した上で、自らの身に雨雫のフルーレを突き刺し、ネメシス形態の更なる先にある何かにその手を届かせようとしたところで。
「……そこまでだヨ、四葩!」
そう咄嗟にラウムの呼びかけて来たのを耳にして、ショウが南極の現実に意識を戻す。
(「……極限まで正当な怒りを、復讐心を高め続けて、燃やし尽くすつもりだったけれども……」)
――けれども、失敗したって、流れ着くだけ、と言う僅かな理性が掴みかけた取っ掛かりになる何かに引きずり込まれかける自分に制動をかけていた。
只……でも。
「きみにも、感じられた? わたしが掴みかけたもの」
それは、今までのネメシス形態では決して感じ取る事の出来なかったものだ。
けれども、『永遠撃滅術式』を体験した今ならば、はっきりとネメシス形態の先に、強い力があるのだと直観出来た。
その直観を共有しようと問いかけるショウのそれに、そうだネ、とラウムが静かに首肯した。
「四葩から、ボクが感じたのは、凄まじいエネルギーの奔流だったヨ。只……残念ながら、巨大神像の心臓にその力を蓄える事は出来なかったけれどもネ」
――その意味する所は、恐らく。
「多分、四葩から排出されたエネルギーは、ディアボロスとしてのボク達の力……このままディアボロスとして生き続ければやがて辿り着くことが出来る力の前借の結果生まれてきたのダロウネ。要するにボク達ディアボロスと言う『存在』が『潜在的に持っているエネルギー』を代償として使っているのダロウ」
――それはつまり、『ディアボロスの力』と言う名の、『寿命』の前借。
『ディアボロスの力』と言う名の蝋燭に油をかけて、一瞬で盛大に燃やし尽くしている、とでも言えばいいのであろうか。
当然、蝋燭が燃え尽きればそこには何も残らない。
だが、ディアボロスは種族こそ様々だが……それだけの『ディアボロスの力』と言う蝋燭を宿していた器である以上、蝋燭が燃え尽きたとしても、器……一般人としての自分と言う存在は残る。
「結局の所、言い方は如何しても悪くなってしまうけれども。『ディアボロスの力』と言う蝋燭にして『存在の力』が消えた後には、それを使い尽くした人が一般人になるだけ、と言う事になるのだろうネ。……流石にこのエネルギーを蓄えることが出来るクロノ・オブジェクトを作れるのかどうかは分からないけれどもネ」
と簡潔に纏めるラウムのそれに。
「……そうだね」
と、ショウが静かに首肯した。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【託されし願い】LV1が発生!
【強運の加護】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
ベアトリクス・ライスター
【ディアボロスの力を失い一般人になる】
私は一般人に戻りたくて仕方がないぞ
故郷に婚約者もいるしな
崇高な理想もいいが、私は私欲100%でやる
復讐心を託されてディアボロスになったから、復讐心を爆発させる
できたらネメシス形態に変身。愛車のバイクと合体して黒づくめのライダーだ
『強い復讐心』を持つよ
宇宙戦争やってたディアボロスぐらい濃厚に連鎖する復讐心を引き出す
私は、イデアロゴスに復讐する
私は許さない。絶滅人類史をめちゃくちゃにして、刻逆を引き起こして、私たちが覚醒する羽目になった
宇宙の彼方まで飛んでってワンパン喰らわせてやる
バイクで加速し宇宙へ向かって【飛翔】で飛びだしSKY-HIGH
憎い・憎い・許さない!
私の日常を壊したから倍返しだ。家族と婚約者の日常も壊したから8倍返しだ
絶滅人類史60億人分で120億倍、最終人類史の分も倍返しで240億倍
どこまでも復讐心を燃やし使い果たして
燃え尽きて空っぽになれたら人間に戻れるかな
私が正気を失ったら、死なないぐらいに遠慮なく殴ってくれ
宇宙も見れたし、私は満足だ
●
――と、そこで。
「まあ、力云々がどうなるなんてのは、私にとっては如何でも良いんだ。そう言うのは青髪の色男や銀髪の色男や他の皆に任せる! 私はどんな手段であれ、一般人に戻りたくて戻りたくて仕方ないんだからな!」
そんなラウム達が得た知見を聞きながら燃える様に紅い髪の妖狐、ベアトリクス・ライスター(スカーレットレイライン・g11365)が首肯している。
「私には故郷に婚約者もいるからな。崇高な思想も良いが、私は私欲100%でやってやる! 要するに復讐心を託されてディアボロスになったのならば、後は、只、その復讐心を爆発させてやればいいだけだからな!」
その咆哮と、共に。
ネメシス形態と化したベアトリクスが、自らの胸中に更に深く、激しく復讐心を爆発させていく。
――そう……。
500年先の未来で、宇宙戦争をやっていた自分達ディアボロス程に濃厚に連鎖する復讐心を自らの内に宿らせながら。
「私は、イデアロゴスに復讐する」
そう、自らの復讐心を高めるために暗示の言の葉を紡ぐベアトリクス。
「私は、許さない」
――絶滅人類史を滅茶苦茶にして、刻逆を引き起こして、私達が復讐する羽目になった全ての諸悪の根源を。
――そんな、諸悪の根源のいるこの宇宙の彼方に飛んでいき。
「絶対にワンパンぶちかましてやる!」
――Sense of Wonderを加速させて、宇宙へ向かって飛び出さんばかりの勢いで。
Sense of Wonderを蹴り飛ばす様にして南極の空から宇宙に向かわんとする。
(「憎い・憎い・許さない……!」)
――私の日常を壊したのだから倍返しだ。
――私の家族と婚約者の日常も壊したから8倍返しだ。
――絶滅人類史60億人分で120億倍、最終人類史の分も倍返しで240億倍。
――その爆発的なまでの復讐心を、ベアトリクスが全身に迸らせた……その時。
(「この感覚……この力……は……!」)
――あの刻逆決戦で自分達が味わった――あれに等しい。
その刹那、だった。
――轟!
と言う凄まじい轟音が南極を揺るがした。
それは先にエトヴァが用意した横須賀製の装甲板を容易く破壊し、ベアトリクスの尋常ならざる様子に気が付いたディアボロス達の全身に悪寒を走らせる。
――間違いなく、ベアトリクスは暴走していた。
そしてその力はとてもではないがディアボロス、と呼ぶことは出来ない。
寧ろ、今ベアトリクスが纏う気配と圧倒的な力は、刻逆決戦の折のアル・カポネやアイザック・アシモフ……イデアロゴスと化した彼等のそれに勝るとも劣らない。
「あああああああああ……!」
正気を失い暴走したベアトリクスが、まるで、是が最後になるかも知れないと言う様に――笑う。
――死なないぐらいに遠慮なく殴ってくれ。宇宙も見れたし、私はもう満足しているから。
その笑みが消えた、次の瞬間には。
――暴走し、イデアロゴスと同格に等しい力を得たベアトリクスが、その力の奔流に流される様に周囲へと攻撃を開始した。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
●
――轟!
圧倒的な迄の力の奔流が、無人の南極を揺るがしている。
その中心にいるのは、ベアトリクス・ライスター。
そのネメシス形態のその先の、イデアロゴスにも匹敵する圧倒的な力を、彼女は制御する術を持たない。
けれども、そんな暴走している状態の彼女をそのままにすることも、当然乍ら不可能だ。
そもそも、現在の彼女に意識の様なものがあるのかどうかすら分からない。
だが……それでも。
彼女の暴走を止めることが、今、ディアボロス達に出来る唯一の事であろう。
これは、逆説連鎖戦ではない。
――そう。
ディアボロス達とイデアロゴス並みの力を持つ彼女との――戦いだ。
*MS追記:現在ベアトリクスさんは、準イデアロゴス級の力を発揮していますが、100万$紙幣等を使えば対抗が可能です。
何卒、宜しくお願い申し上げます。
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
見事だ。その意志に敬意を払い、全力で救出に当たる
暴走は想定していたが……凄まじいな
ネメシス化し力を底上げ
位置に応じて飛翔で追い
100万$紙幣のエネルギーをのせPD攻撃を放つ
『存在の力』が溢れているなら、全部発散しきるまで戦いに付き合う
タワーシールドを構え臨戦態勢
ベアトリクスさんに、力を戦いで使いきってもらう
彼女の様子を観察し、攻撃、そして反撃
救出に効果的な動きを見極め、行動をそちらに寄せる
積極的な攻撃が有効なら、攻撃に紙幣エネルギーを集中させ
彼女が自発的に力を放つ方が有効なら、急所への直撃を避け盾やコートで防御重視、耐え続けて動き回る的となる
激しい力量差なら紙幣は防御での使用も試す
彼女に消耗の様子が見えてきたら
最後は自身で力を使いきれるように俺は防御を
呼びかけを続ける
貴女には思い描いた生活があるのだろう
戻って、「一般人に戻る」願いを叶えてくれ!
俺も、それを願ってる
復讐は俺達に任せて、終わりにしよう
俺達が未来を作るから
己も実験の一部として全力を尽くす
この方法には「止める側」が必要になるから
ベアトリクス・ライスター
意識を保つように足掻く
手加減できなきゃゴメン
色男も美女も片っ端から巻き込んじゃうよ
狙いはなるたけ外せるように頑張る
でも私、思い出せるはずだ
あんたらはイデアロゴスじゃないってこと。これからの未来を作ってくれるディアボロスだ
私はどう転んでも、500年後の戦いからフェードアウト
そんなら私は私の道を真っ直ぐ走る
私欲を思い出そう
愛車走らせてさ、風を切って地球と一体になる感覚
世界の匂いが飛び込んでくるんだ
故郷に帰ってさ、婚約者連れ出してまた旅に出よう
私のタイヤの下にある地続きの道が、夢に消えないように手繰り寄せる
私はエクスプローラーだ
道なき道の一番前を突っ切ってやるのさ
後に続く人がいるなら、風通しよくしてやろうじゃん
復讐心の行く先は・・・
イデアロゴスに復讐するのは仲間がやってくれる
故郷を取り返して私の戦いは終わった
この力はもうなくたっていい
私はそれでいいし、それがいいんだ
戦いで力を消費しながら、ディアボロスの力を追い出すために今の状態からできることを探そう
ディアボロスであったことは・・・ありがとう
音羽・華楠
この結果への私見はありますが――
今は暴走したベアトリクスさんを止めるのが先ですね。
100万$紙幣を……この場に無いのならパラドクストレインで急いで持ってきて、使用。
アル・カポネREDやアシモフ級なら、手加減する余裕は無いですね……。
――申し訳ないですが、全力で行きます!
如何に準イデアロゴス級になってても、能力による得手不得手、保有する技能、使えるパラドクスは元のベアトリクスさんに準じるはずです。
なら、彼女の得意分野のSPDで攻めるのは悪手。
私はWIZで仕掛けましょう!
《雷幻想・邪眼》!!
ベアトリクスさんは、今は正気を失ってるようですし、行動の指針は単純かと。
……直近の復讐者や、直前に攻撃してきた相手に向かうんじゃないでしょうか?
それを先読みし、彼女の死角、認識外から攻撃を仕掛けます。
向こうの攻撃、反撃は、可能な限り防具で受けるよう試み、急所を避けるように身を捻ります。
特に、腕などを犠牲にしても頭部への被弾は回避。
私の《邪眼》は最低限、片目があれば放てるので。
継戦能力の維持の観点からも。
ラウム・マルファス
結局こうなったカァ
ベアトリクスは死なせナイ
力を使いつくす必要があるなら、付き合おウ
死ぬつもりはないケド、重傷は覚悟するヨ
「ベアトリクス、意識を強く持っテ。今のままだと、キミ自身の手で婚約者を殺すことになるヨ」
飛翔で可能な限り上を取り続けるヨ
攻撃が地面や海に当たれば被害が計り知れナイ
神像の心臓にあるエネルギーや100万$紙幣の力を借りて、能力アップ・ガードアップ・反撃アップ・アヴォイドをフル活用
回避と防御に徹するヨ
致命的なものは氷龍の盾で防ぎ、どうしても相手の体勢を崩す必要があるとき以外はこちらから攻撃はしナイ
彼女も残留効果を使えるだろうから、警戒するヨ
戦闘中は彼女の力を解析し続けル
力を使い果たした瞬間に攻撃が当たれば、彼女は死ぬだろウ
彼女にも他の人にも、そうさせるわけにはいかナイ
いざというときには、ベアトリクスをディフェンスできるようにしておくヨ
寒冷適応と活性治癒も使っておこウ
もしベアトリクスが人間に戻ったら、全力で手当てしよウ
ディアボロス同士の争い……こういう経緯のものも、あったのカナ
ラズロル・ロンド
とてつもない力だ
時間干渉力の前借りか…
イデアロゴス化が格上げなら
500年後にはこの力を維持する事も可能か?
今は彼女を戻すのが先だ
パラドクスで応戦し呼び掛けを試みよう
トレインで運べるだけの100万$紙幣を持込み仲間と共有
火を付け力を解放し彼女の時間干渉力を打消し僕らの力を高める
攻撃をいなし暴風を操りセト・ダフジーロンで応戦
魔力障壁で防御を硬め致命傷を避け
攻撃をまともに受けないよう常に移動
仲間と庇い合い死角を補う
攻撃を相殺し、ベアトリクス君を呼ぼう
君が頼んだんだろう
正気を失ったら、遠慮なく殴ってくれって
だから僕らは全力で君を止める
今度は君が戻って来る番だ!
君には帰る場所がある、夢がある!婚約者が居る!
力を出し切り、意地でも帰って来るんだ
ベアトリクス君っ!
何度でも名を呼び
彼女が語った目的を思い出させよう
人として生きる目的を!
力を失えたなら、もう戦わなくていい
帰りたい、その意思を貫くんだ!
彼女が人として生きる願いが届くことを心から願い
激戦を応戦し抜く
最後の瞬間は風を爽やかな息吹へ
頼む、生きてくれ
真紅堂・乎乎那
彼女に死なれたら実験は失敗だろう。
逆に、生きて一般人に戻って貰えたなら幸先の良いスタートってワケだな。
……こんな運命には復讐してやらなくちゃあな!
復讐心は十分再燃した。ネメシス形態になったら
何処からともなく魔術的長剣『ハートブレイカー』を抜き放つ。
『埋火』の名にかけて。彼女の命の灯火を消さずに、
そのディアボロスのみを灰にしてやる……!
突撃だ。
目には目を、覚悟には覚悟をだな。ただし戦い続ける覚悟だ。
致命傷はハートブレイカーでガードして避け
『終末のセラフィックボム』を撃ち込む。
100万$紙幣も使わせて貰おう。
Fortuneという単語には運命の他に富や金という意味があるが、
この金で運命を切り開けると良いな。
アンゼリカ・レンブラント
救援機動力で現地へ
100万$紙幣を持てるだけ持参
戦闘で使用し動きについていきます
友と動きを合わせ暴走するベアトリクスさんと相対
【ガードアップ】で護りの力を高めつつ
攻撃を受けますね
とにかく初めてのケース
ベアトリクスさんの状態には注意し、
仲間と逐次情報を周知
声をかけながら攻撃は様子見て
防御に回ったほうが力を発散させられるなら回避に専念
足を使い相手の注意を逸らし動いていきます
100万$紙幣が余っていれば防御に用い致命打を防ぎたいです
頑張って、ベアトリクスさん。
故郷に婚約者さん、いるんですよね!
もう少しです、同じ時を歩めますッ!
大丈夫、必ず戻せますから
復讐者の選択を広げた偉大な勇者として。
未来でも貴女を紹介させてくださいッ!
あの時オリジンに約束した
ディアボロスも一般人も関係なく、全員が手を携えられる、光の未来
それが仲間を犠牲にして進むものでいいはずがないです
戻ってきて。お願いですからぁッ
倒れそうな仲間がいれば、ディフェンス指定は躊躇わず行います
攻撃でベアトリクスさんの命を奪わないよう細心の注意を
●
――その爆発の奔流に自らの用意した横須賀製の装甲板と一緒に吹き飛ばされながらも。
「……見事だ、ベアトリクスさん」
そう思わず、と言う様にエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)が嘆息を零しながら、左手にΝέμεσις―αを、右手にΝέμεσις―βを構え、更に右腕に白銀の光を帯びた白のタワーシールドEdelweissを通して青き双眸をそっと瞑る。
――αは、皇帝を貫き、愛する者を取り戻す為。
――βは、ただ一つの目的を成す為に。
その確固たる誓いの籠められた闇に咲き誇り、閃きたる復讐の華と炎纏う其れは、紛う事無き自らのディアボロスの力の象徴。
――その双銃に更なる力を、想いを籠める様に。
次に目を開いたその瞬間、その姿を見る見る内に白き衣を纏わせ、その背の碧き1対の双翼を2対の美しく光り輝く碧翼へと変えてネメシス形態へ移行しながら、暴走した光に阻まれる様にして今は視認できないベアトリクス・ライスター(スカーレットレイライン・g11365)――即ち、この爆発の中心点へとその双眸を細めて鋭く見つめていた。
「結局、こうなったカァ」
先程の考察と検証の先にあるであろう未来の可能性の1つとして想定していたのであろう。
Rewriter――それは、事象を書き換え物質を変換する、悪魔の魔法が宿ったメガネ――の奥底に光る青き瞳を鋭く細めながら、何処か達観の面持ちでそう嘆息を吐いたのは、ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)
――手加減は……。
自らの意識の激しい明滅を起こしながらも、そんな色男達の様子を視界に納めながらも出来ない、と口にする事すらも儘ならぬ暴走光の向こう側で呟くベアトリクスのそれが風に乗って消えていくのを感じながらも。
「とてつもない、力だな……。これが、時間干渉力の前借りなのか……」
その爆発に目を焼かれぬ様、咄嗟に自らの顔に手を翳した彼女と同じ妖狐である、ラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)がその紫の瞳を見張りながらも暴走の光による被害を少しでも抑えんと、周囲の風を制御するべく右手を翳す。
その力は、100万$紙幣を燃やしても尚、自分を何度も撃ち抜き重傷を負わせたアル・カポネREDのそれとほぼ同格。
其れがどれ程、暴走したベアトリクスが強い事の証明なのかを理解しながらも尚、一歩も退く様子を見せぬラズロルの言の葉に、だが、と軽く前置きをしたのは真紅堂・乎乎那(埋火の魔創剣士・g02399)だ。
「だからと言って、此処で彼女に死なれたら実験は失敗だ。逆に、生きて一般人に戻って貰えたなら……ある意味で幸先の良いスタートって言う事も出来るわけだ」
――何故なら、此処で『一般人』と化している筈のベアトリクスを救う事が出来るのであれば。
是が正しく『ディアボロスの力』を使い尽くした果てに何が残るのかという確かな証明にもなりえるのだから。
「……色々とこの結果への私見はありますが――」
――先ずは。
「うん、その通りだね、華楠君。先ずはこの力の暴走を止めて、彼女を取り戻すことが先決だ」
その音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)の呟きに、同意する様にラズロルが首肯する。
(「とは言え、今の状況ですと、新宿島に引き返して100万$紙幣を大量に持ち込む程の時間があるのでしょうか……」)
それは、刻逆決戦の折、ラズロルを後退させた後に、アル・カポネREDと直接対峙した華楠だから思える事でもあろう。
そもそも、今のベアトリクスの力の奔流による暴走から目を放している暇があるのかどうか、と言う事でもある――けれども。
「皆さん! 100万$紙幣、持てるだけ持ってきましたよ!」
――そんな快活で明るい声が、華楠の懸念を吹き飛ばす黄金の太陽の輝きの様に聞こえたのは。
その華楠の背後から姿を現したのは、青い瞳に、金のツインテールの少女。
それは、先日の刻逆決戦の折に。
何度も、オリジン・イデアロゴスと500年後の未来までに幾度か、オリジン・イデアロゴスに降伏勧告をしたとしてその名を呼ばれた少女、アンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)だ。
その手に猛り狂う黄金の獅子のオーラを纏ったDay Braek of Leoを構える少女が持てる限り大量の100万$紙幣をラズロル達の分も合わせて持ち込んで来てくれていたのに気が付き、ありがとう、とネメシス形態と化しているエトヴァが首肯して。
そのまま100万$紙幣を携えて更なる自らの強化を図りながら、彼女の、とベアトリクスが暴走した光の向こうを見て静かに続けた。
「……その意志に敬意を払い、俺達が全力で救出にあたろう」
「そうだネ。ベアトリクスは死なせナイヨ。そして……きっと、彼女のディアボロスの力を使い尽くさせる必要もあるだろうから、ボクも最後まで付き合うヨ、エトヴァ」
そう首肯するラウムのそれに、そうだね、と首肯で静かに返すエトヴァ。
――銀髪と青髪の色男、と実際に覚悟を決めて暴走を選んだベアトリクスにその未来を託された者達の筆頭格。
そんな彼等の内に宿された託されし願いと共に、エトヴァがΝέμεσις―αとΝέμεσις―βにネメシスの纏う青い炎を纏った弾丸をシリンダーに送り込むのを確認しながら。
「……こんな運命だからこそ、尚更復讐してやらなくちゃあな!」
その、ある意味では自分達を徒に翻弄する運命そのものへの復讐心を糧にして。
100万$紙幣をアンゼリカに渡され、再燃した復讐心から見る見る内に自らのその背に漆黒の悪魔の如き翼を生やさせ、その両手2本の、熱い血潮を炎に変換する魔術的火炎放射器――その形は長剣そのもの――たる『ハートブレイカー』を構え乍ら確固たる意志と共にそう咆哮する乎乎那のそれに。
「ああっ、そうだな、乎乎那君! 僕達の手で必ず、ベアトリクス君を取り戻そう!」
それに応える様に叫びを返したラズロルがアンゼリカが持ち込んで来てくれた100万$紙幣を受け取り。
それらを惜しむことなく火を点けて燃やしてその力を解放し、周囲のベアトリクスの暴走に引き込まれる様に荒れ狂う風を沈める様にその手で魔術を編み上げるのに頷いて。
「はい! ベアトリクスさんは……私達の手で必ず救い出しましょう!」
その自らの両手で握りしめた大剣の黄金の獅子の如き咆哮と共に。
告げるアンゼリカの合図を聞きながら……。
『ああああああああああっ!』
全身を巡る圧倒的な力の奔流に咆哮を上げながら。
ベアトリクスが朦朧とする意識の中でも尚、『一般人』として生きる事を願い、その想いを託されたエトヴァ達のベアトリクス救出の戦いが、今、確かに始まった。
●
――外し、たい。
狙いは……なるだけ……。
でも――何の為に?
暴走する力の奔流に飲み込まれて朦朧とする意識の中で自らの心の裡に育まれる、このよく分からない想いに翻弄されながら。
自らと一体化したよく見れば傷だらけの真紅のSense of Wonderを駆り、暴走する力を撒き散らしながら、南極を蹂躙する暴走したベアトリクス。
そのまるで宇宙から飛来する真紅の隕石の如き軌跡を描いた圧倒的な迄の力の奔流を上瀬のして叩きつけて来るベアトリクスのそれに。
「ベアトリクス、意志を強く持って。今の儘だと、キミ自身の手で婚約者を殺す事になるヨ」
そう呼びかけながら戦場に存在する残留効果の全てを発動させて、Rewriterの万物の事象を書き換える力を最大限に解放するラウムが。
暴走し、突進して来るベアトリクスのその突進の出力、破壊力、状況の全てを必死に解析しつつ、漆黒の翼で戦場を疾駆しながら、その手に魔力を籠めて、透き通った薄氷の盾を召喚する。
それは致命的な攻撃を防ぐ為の手段ではあるのだが……あまりにも圧倒的な力の奔流の直撃は、ラウムの全身を容赦なく打ち据える程に、圧倒的に、強い。
その真紅の乗騎の突進に文字通りその身を打ち据えられる様に轢かれて全身に激しい痛みが駆け巡るのを感じながらラウムがそれでも、大丈夫、という様に飄々と笑みを浮かべた。
――その真紅の乗騎と共に走る力の奔流に全身が泡立つ様な何かを感じながら。
「ラウムさん!」
叫んだエトヴァが追随する様にバサリ、と二対と化した双翼を羽ばたかせてラウムを追い、白銀の光を帯びたEdelweissを翳してその暴走光に目を射抜かれるのを避けながら、Νέμεσις―αとΝέμεσις―βの引金を引く。
そのエトヴァの翳した銃口から、撃ち出されたのは青き流星の如き煌めきと共に撃ち出された弾丸。
――その攻撃が狙う急所は……。
「その力を尽くさせる為にも、出来る限りの攻撃をいなしつつ、少しでもその力を削ぐ手助けをするよ、エトヴァ君! 君が狙うべきは……恐らく彼女のパラドクスの力の根源となるあの愛機のタイヤだ!」
そうラズロルが告げながら、エトヴァとラウムの機動力を、そしてエトヴァの放った銃弾の弾速を向上させるかの如くベアトリクスが巻き起こす荒れ狂う風に干渉するべく気が晴れる様な爽やかな風を叩きつける。
――この場に彼女を殺してでも止めたい、と言う者は、一人もいない。
実験のその先に、確かな未来の一欠片を……否、何よりも。
「どんなに初めてのケースであったとしても……わたし達は、仲間を見捨てたりなんてしませんっ! ベアトリクスさんは、絶対に助け出しますからっ!」
そのラズロルの発動させた爽やかな風に乗る様に。
跳躍したアンゼリカが告げながら、黄金の獅子のオーラを纏ったDay Braek of Leoに自らの体重とベアトリクスを救いたい、と言う想いを乗せて、下段からその大剣を振り上げた。
振り上げられた大剣から放たれた黄金色の斬撃が、エトヴァの100万$紙幣の力を借りた銃撃を受けても尚、決して止まる事の無いSense of Wonderの本体とベアトリクスを、ラウム達が吹っ飛ばされた暴走の光ごと、叩き切る。
「――申し訳ないですが、全力で行きます!」
そのアンゼリカの動きに呼応する様に。
謝罪しながら華楠が、陰陽木行に属する雷の術に二階堂平法の秘技・心の一報を組み合わせ、妖精達の補助でパラドクスへと昇華させたそれをそのオレンジの瞳を光らせて発動させる。
「本当は、その力を吐くい尽くすその時まで只管にその攻撃を受け続けた方が良いのかも知れませんが……それでは、幾ら100万$紙幣を燃やし続けても私達が耐え切れなくなりかねないですし……!」
――何よりも。
「あなたに、私達の声を――あなたが我を忘れて忘れてしまったあなたの願いを……届ける事も出来ませんから……!」
そう、すまなそうに言の葉を紡ぎ。
真正面からベアトリクスに立ち向かうエトヴァにラウム、アンゼリカを援護する邪眼を解放し、ベアトリクスの力を少しでも削がんとする華楠。
そうして華楠が視線を媒介に、ベアトリクスに正気を取り戻させる様にその神経に干渉。
一瞬、酩酊したかの様に微かにビクン、と体を弓なりに反らしたベアトリクスに向けて。
「『埋火』のその名にかけて。キミの命の灯火を消す事無く、そのディアボロスの力のみを灰にして見せる……!」
――それが、『埋火』の魔創剣士たる、己が矜持。
その矜持と共に大地を蹴った乎乎那が、エトヴァ達の間隙を拭う様に『ハートブレイカー』十文字に構えてその暴走する光の中心に突撃し。
『うあああああっ!』
空中で踊る様に愛騎を借りながら叩きつける様にエトヴァに撃ち抜かれても尚、勢いの衰えぬ車輪による連続蹴りに何とか耐えながら。
「この金で……キミの運命を切り開く!」
乎乎那が叫びと共に自らの周囲に召喚した天使の羽根と光輪を持つ白い球体『天使爆弾』を四体、自らの周囲に展開してそこから一斉に爆裂光線を発射。
撃ち出されたそれがラズロルが僅かに奪い取った荒れ狂う暴走の奔流で吹き荒れた風に煽られる様に爆発を巻き起こし、ベアトリクスの体を微かに揺るがせたのを見て。
「……今なら、ボク達の声も……エトヴァ!」
その僅かに傾いだベアトリクスの青い瞳の中に、ほんの僅かな何かを余すことなく読み取ったラウムが自らと共に最初に戦場に羽ばたいたエトヴァへと呟く。
――その瞬間には、ものの見事なハンドリングで操作されたベアトリクスのSense of Wonderによる体当たりが凍龍の盾を正しく叩き割り、ラウムの全身に叩きつけられていた――けれども。
「ベアトリクスさん!」
その観察を続けていたラウムが見出した僅かな隙に希望を託し、エトヴァが叫ぶ。
「貴女には思い描いた生活があるのだろう。ならば戻って、『一般人に戻る』願いを叶えてくれ! 俺も……いや、俺達も……!」
「願っているんだ!」
――いや、それ以上に。
「その暴走する力の奔流に乗せて、君自身が僕達に頼んだのだろう! 正気を失ったら、遠慮なく殴ってくれって! だから、僕らは全力で君を止める! だから今度は、君の番なんだ! 君が……『一般人』として、僕達の所に戻って来る!」
その、ラズロルの続けた魂の叫びに機械的に、反射的に。
その真紅の愛機の車輪を全力で回転させて、ラズロルを轢き潰さんと……。
(「……なんで?」)
――そんなことをしなくちゃいけない。
いや、当然だ。目の前の彼等は準イデアロゴス級とでも言うべき、復讐すべきそんな存在。
ならば、ディアボロスとして『一般人』をまるで物の様に扱い、あっさりと見捨てる様な……自分達の大切な想いを、復讐心を悪と見做すイデアロゴスを決して許しては……。
――本当に?
確かに目前彼等は、イデアロゴスだけあって圧倒的な力を……自分と相対できるだけの力を発揮している。
けれども、彼等は本当に……。
(「……イデアロゴス……?」)
――混濁する意識の中で、微かに胸中に宿された疑念にベアトリクスがその手で握る愛車のハンドリングを微かに誤る。
その誤謬が――愛機の車輪へと伝わり、僅かなズレを起こして、ラズロルの腕部を轢いて夥しい出血を周囲に撒き散らさせた……けれども。
「くっ……!」
それでも、不退転の決意を示すラズロルを本能的に危険と察したか、ベアトリクスの意志とは無関係に愛機による体当たりを……。
「故郷に婚約者さんもいて……帰るべき場所のあるベアトリクスさんに、ロンドさん達を殺させるなんて、そんな事はさせませんっ!」
そう叫んでそのベアトリクスのまるで戦場の時が止まったかの様にラズロルに向けて放たれたそれに割って入ったのは全身に気高き黄金の獅子のオーラを纏ったアンゼリカ。
100万$紙幣の力を遠慮なく防御に回してその車輪による連撃を、自らの割れた腹筋と黄金色のオーラで受け止めながら必死で叫ぶ。
「ベアトリクスさん、大丈夫です! もう少しです、このままいけば、その婚約者さんと同じ時を歩めますっ! だから、絶対に諦めないでくださいっ!」
「そうだ! 君には帰る場所がある、夢がある! 婚約者がいる! だから……力を出し切り、意地でも帰って来るんだ、ベアトリクス君!」
アンゼリカに庇われる事で。
辛うじて倒れるのを免れたラズロルが畳みかける様に叫びながら、吹き荒れさせたのは気が晴れる様な爽やかな風。
荒れ狂うベアトリクスの暴威を少しでも減退させる為に100万$紙幣の力を借りて放つ其れが、ベアトリクスの頬を優しく撫でていく。
――そうだ、違う。
(「……あんた達は……イデアロゴス、何かじゃ……ない」)
――これからの未来を作ってくれる、ディアボロスだ。
そして私は、この力の全てを使い尽くす事で、どう転んでも500年後の戦いからはフェードアウトする事になる。
『……だ……ったら……』
そう、微かにくぐもった声で。
呻く様にかすれた声で呟くベアトリクスの声と共に、全力で戦場を――否、まるで自分が地球そのものと化したかの様に、戦場を愛機で疾駆するベアトリクス。
暴走の度合いそのものは確かに強め、ベアトリクスが現在、暴走させている『ディアボロスの力』の消費を蝋燭にガソリンを蒔いたかの様に勢いよく燃え上がらせてはいるけれども。
「……それでいいんだヨ、ベアトリクス」
その更に威力を強めたベアトリクスの状態をRewriterで解析しながらラウムが首肯した。
「ボク達の攻撃で君に絶対に止めを刺さず、君がその力を使い尽くすまで全力で戦い抜ク。……それで、ベアトリクスが一般人に戻れるのであれば……」
「ああ、そうだ。この戦いを乗り越える事さえ出来れば、きっと君は復讐に身を委ねた戦いから身を引くことが出来る」
そうラウムの言葉を引き取る様に告げたのは、100万$紙幣を防御に回し、自身への被害を少しでも減らそうとするエトヴァだった。
――元々、この実験には反対だった――けれども。
(「それでも……是が今後、多くの犠牲を払う様な、ディアボロスの『一般人』化の方法を探る貴重な手がかりとする為にも……!」)
「君が『一般人』に戻った後の未来は、俺達ディアボロスが必ず作る! だから……必ず戻って来てくれ……ベアトリクスさん!」
そのエトヴァの確固たる誓いをまるで鏡の様に映し出すかの様に。
――その手の双銃から青い炎纏う輝ける軌跡を描いた銃撃が、ベアトリクスの両腕を撃ち抜いた。
●
――あんたらが、そう思ってくれるのであれば……。
私は……その私欲を思い出し、私欲の儘に自由に走ろう。
暴走する力を制御する事は不可能だけれども……それでも、使い尽くす為に、それが最善であると言うのならば――。
そんな、ベアトリクスの無意識の中の意識。
エトヴァに両の腕を撃ち抜かれても尚、暴走したベアトリクスには致命打にはなりえない。
だからこそ、彼女はその優しく爽やかな風と一体化する様に愛機を空で走らせる。
それはまるで、南極に描かれる真紅のオーロラ。
その眩いオーロラの如き輝きと共に放たれた愚直な迄の突進を……。
「受けきって見せるよ。それがキミのディアボロスの力のみを灰にする事が出来るのであれば……!」
真正面から受け止める様にハートブレイカーを交差させて、エトヴァを庇う様に前に出た乎乎那が受け止めながら、お返しとばかりに悪魔の巣から『天使爆弾』を4体展開。
その真正面からの体当たりに凄まじい衝撃を受けて、一気に大地まで落下して地面に叩きつけられ、ゴホッ、と衝撃に口から血を吐き捨てながらも、乎乎那は自らが展開した天使爆弾の爆破を止めない。
そこから撃ち出された爆裂光線で撃ち抜かれながらも尚、続けざまにドリフトさせて、止まる事無き連続体当たりを敢行するベアトリクスの様子を見て。
「やはり完全にその力を使い尽くさせるしか、この戦いを収束させる術はありませんか……。であれば最後まで私もお付き合いしましょう!」
そう叫んだ華楠が上空でエトヴァ達とまるで舞踊の様な戦いを続けるベアトリクスの認識外から……。
「一文字、八文字、十文字――だるまさんがーこーろんだ!!」
叫びと共に自らのオレンジの瞳の邪眼を発動させて、ベアトリクスを……否、その暴走による威力を少しでも削がんとする華楠。
その華楠の邪眼を受けて、微かにその威力を弱めながらも尚、その力の放出の止まぬベアトリクスに向けて。
「お願いですっ! 復讐者の選択を広げた偉大な勇者として、未来でもあなたを紹介させて頂く為にもっ! 必ず戻って来てください、ベアトリクスさん!」
叫んだアンゼリカがDay Break of Leoの重みに自らの体重と救いたいと言う想いの限りを籠めて100万$紙幣を燃え上がらせながら、大剣を袈裟に一閃。
放たれたその斬撃が空中でドリフトして咄嗟にEdelweissに白銀の火を灯してその攻撃を受け止めるエトヴァや解析を続け乍ら激しい打撲傷を負ったラウム、そして乎乎那への暴走したベアトリクスの追撃を警戒してその射線に割って入りながら、太陽と月の魔障手甲に魔力を籠めて、月と太陽の光輝を思わせる障壁を張り巡らしたラズロルを蹴打していたベアトリクスに確かな斬撃を与えていた。
そのアンゼリカからのダメージが、ベアトリクスの脳裏に更なる光景を思い浮かべさせる。
――それは、この気が晴れる様な爽やかな風と共に勢いよく鼻腔を擽っていく、世界の匂い。
そこからは沢山の匂いが飛び込んで来るけれども――けれども、是からも『一般人』として大切にしたいものは――。
――故郷で、私の帰りを待っている婚約者と一緒に連れ立って旅に出たい――。
その今まで何処かセピア色を思わせる風景の中で夢想していたそんな願いが私欲が、ベアトリクスの脳裏を過っていく。
――タイヤの下にある地続きの道を、タイヤで踏みしめて一緒に進んでいくあの幸福。
愛する婚約者と共に普通の、平凡な人生を送りたいと言う――本当の宝物。
「少しだけ力の勢いが弱まってきているネ」
その、ベアトリクスの瞳に微かに戻りつつある理性と、使われ続けて来たからであろう。
周囲にベアトリクスが無差別に撒き散らしていた『ディアボロスの力』の勢いが減じられつつあるのをラウムのRewriterは具に捕らえ、確認し続けていた。
最も、そう口で説明するのは簡単だが、実際にはそう容易い話ではない。
飛翔し続けながらのこの激しい戦いでの消耗は明らかに尋常ではないのだ。
「ですがっ……! それでもわたし達は最後まで諦めませんっ! そうでしょう、ラウムさん!」
その解析を続けていたラウムがぐらりと傾いだその瞬間に。
すかさず肉薄する様に突貫して来たベアトリクスの体当たりからラウムを庇う様に割って入り、黄金の獅子のオーラを結界として張り巡らしてDay Braek of Leoを構えてその体当たりを受け止めたアンゼリカが叫ぶ。
「うん、そうだね、アンゼリカ君! ベアトリクス君っ!」
その一撃を受けて、ハー、ハー、と激しく息を荒げさせながらも、尚、不退転の誓いを青い瞳に称えたアンゼリカのそれに、仲間達を庇う事でその負傷の蓄積を分散させていたラズロルが同意し、同じく息を荒げさせながらも咆哮する。
「ベアトリクス君! 君には、人として生きる目的を果たして欲しい! これで力が失われるならば、もう戦わなくていい。帰りたい、その意思を貫くんだ!」
息こそ荒いが、それでも彼女の誓いを、決意を、覚悟を最大限に尊重したい。
只、その意思だけでとうに限界を超えている筈の体を凌駕させて意識を維持したラズロルが、勢いの確実に弱まりつつあるベアトリクスに向けて叫び。
「そうだ、ベアトリクスさん。貴方には、貴女の願いが、想いが、俺達に見せてくれた覚悟がある! その覚悟を俺達は決して無駄にはしない! だから、その力を最後まで俺達の中にもある、そのディアボロスとしての力を使い尽くしてくれ!」
先の華楠の邪眼のお陰で、自らの張り巡らした白の結界を100万$紙幣で強化する事で辛うじて倒れる事無く空中を舞い続けていたエトヴァがラズロルの言葉に同意しながら、双銃に籠められた誓いと共に、青き炎を纏う弾丸を発射。
撃ち出されたその弾丸が、ベアトリクスの足を撃ち抜き、その放出し続ける力が反撃のパラドクスで自分達に与えた負傷と共に癒されるのが見えるが……。
「……だからこそ、私達はキミの戦いを捨てる覚悟に、そんなキミ達を守り続ける為に戦い続ける覚悟を以て相対するんだ!」
「ですので……あなたにはあなたの願い通りに『一般人』として私達の所に帰って来て貰います!」
叫んだ乎乎那が幾度目になるか分からないが、召喚した『天使爆弾』から爆裂光線を発射して、続けざまにベアトリクスを射抜き、ベアトリクスの視認外から、続けざまに華楠が邪眼を発動させて、ベアトリクスの電気信号を止めて、一時的に麻痺させる。
――嗚呼、そうだ。
(「私は、エクスプローラー……」)
――私のタイヤの下にある地続きの道が、夢に消えるのを良しとせず……道なき道の一番先を、後に続く人達の為に突っ切ってやると決めた……『一般人』だ。
――だったら。
(「後に続く人達の為に……風通し良くしてやるのが……一番じゃん……!」)
そんなベアトリクスの意志と願い。
それが彼女の中の『ディアボロスの力』の全てを自らの意志で出し尽くす為の原動力となり得るのだから。
――とは言え、その制御自体は……。
「制御の事なんて、今は、考えなくても良いんですっ!」
そのベアトリクスの様子を見て取ったのか。
彼女の愛機が激しいスピンを起こしながら体当たりを叩きつけて来るのを受け止めて、口から血を吐き捨てながらも、アンゼリカがきっぱりと叫ぶ。
そのアンゼリカの背に庇われていたラウムが、Rewriterでの解析を続け乍ら、そうだネと首肯した。
「後少し、後少しで、そのディアボロスとしての力をベアトリクスは使い切れる。……そんな感じが、ボクにはするネ」
そのラウムの言の葉に。
「ええ……後一息……そんな感じが私にもしていますよ、マルファスさん!」
告げた華楠が邪眼を発動させてその動きを神経の一部を麻痺させる事で、ベアトリクスの動きを止めるのを。『ディアボロスの力』が無理矢理修復し、その力を消耗させている様子を確認しながら華楠が首肯し。
「Fortuneと言う単語には、運命の他に富や金と言う意味もあるが……この金でキミの運命を切り開いて見せるよ、ベアトリクス!」
そう叫んだ乎乎那が100万$紙幣を燃やして力に変えた天使爆弾から激しい爆裂光線を乱射してベアトリクスの体を……否、暴走するその力を射抜き。
「この結果は、ベアトリクス君、君が人として生きる願いから生じているものだ! だから、ベアトリクス君が切り開いてくれたその願いを、道から得たものを、僕達が必ずこれから先の未来に役立たせて見せるから! ――だから、ベアトリクス君は……!」
そうラズロルが喉も枯れよとばかりに最後の力を振り絞り。
その願いを、ベアトリクスの想いを、生きて帰って来てくれと言う願いと共に、爽やかな風を勢いよく戦場に吹き荒れさせ、力を吐くい尽くしつつあるベアトリクスの体を撫でていく。
その優しく爽やかな風の中に微かに潜む夢の様に暖かな匂いに鼻腔を擽られたのであろうか。
――そんなラズロルに向けて暴走しているベアトリクスが全力で体当たりを叩きつけようと。
「ですが……未だ……!」
した、その瞬間に。
ラズロルを庇う様に立ちはだかったのは、アンゼリカ。
その体当たりを全身で受けた今までで最大の痛みにはじけ飛びそうになる意識を凌駕で繋ぎ止めたのは――約束だ。
――ディアボロスも一般人も関係なく、全員が手を携えられる、光の未来。
でもそれは、仲間を犠牲にして進むもので良い筈がない。
――だから。
「お願い……ですから……戻って……きて……っ! それが……わたし……たち、の……!」
そう、アンゼリカが叫びながら。
突進して来たベアトリクスをDay Braek of Leoを地面に落として、がっし、と戦姫闘拳『Shine Fist』を装備して拳撃の威力を上げた両手で全力で掴み、ベアトリクスの動きを抑えようとし。
「……ベアトリクス君……それ、が……!」
そのアンゼリカの背に庇われたラズロルがその助けたいと言う希いと共に、ベアトリクスを抑えるアンゼリカを支える様にその両手でその背を支えた――刹那。
「願いであり……誓いなんだよ……ベアトリクスさん!」
――バサリ、と。
二対の青翼を翻す様に羽ばたかせて、アンゼリカに掴まれたベアトリクスの頭上をエトヴァが舞いながら。
――その双銃の引金を静かに引いた。
是が、復讐だと言うのであれば、今、向けられている復讐心は――きっと、乎乎那の言う様に、こんな理不尽で、逃れられぬ運命に対してなのであろう。
でも……その、理不尽な運命を。
「撃ち抜き、焼き払う事が出来るのも又……俺達の内に宿る強い復讐の華炎である事が出来ないのは、ある意味では皮肉な話だが……」
――今の俺は、実験の一部。
『止める側』が必要な『一般人』に戻る方法を実行する為の実験体。
――そんな、エトヴァ達がベアトリクスに託された願いと共に撃ち出された青い炎を纏った二発の弾丸が。
ベアトリクスを撃ち抜き――。
●
――何か、ぽっかりと大きな穴が開いた気がした。
まるで、今までの自分が自分ではなくなっていく様な、そんな、感覚。
――こんな私の、復讐心の行く先は……。
「……ううん、もう、良いんだ」
――イデアロゴスに復讐するのは……仲間達がやってくれる。
――だって……そう。
「故郷を取り返して、私の戦いは終わったんだ」
――だから、この力はもうなくたっていい。
仲間達が言ってくれた様に、故郷の婚約者と共に人並みの生活を送って……一緒に愛車で世界を駆け巡る事が出来さえすれば、それで……。
「……私はいいし、其れが良いんだ……」
――多分、何となく、だけれども。
ディアボロスの力を追い出した自分は、もう妖狐ではなくなっている様な、そんな気がする。
でも――それも、もう、良い事だ。
――だから。
「ディアボロスであったこと……本当に、ありがとう……」
そう、誰に共なく呟いて。
遠のく意識の向こうから差し込む様な、温かな光は――。
●
「……ラウムさん! ベアトリクスさんは……!?」
――スタリ、と。
エトヴァに撃ち抜かれたベアトリクスを両手で抱きかかえる様にして大地に降り立ったラウムに思わず、そう声をかけたのは華楠だった。
「……帰れたのかい、ラウムさん」
そのラウムの隣に降り立ったのは、ラズロルとアンゼリカを抱えたエトヴァ。
仲間達を庇い続け、ベアトリクスの心を揺さぶる叫びをあげ続けた2人は、寧ろこの戦いが終わる最後まで意識を保ち続けることが出来たのが不思議な程の重傷だった。
そんな夫々に気遣う様な表情をラウムと彼が抱えるベアトリクスに向ける中で。
「……その様子だと、無事に運命は切り開けたみたいだね、キミ」
そんなラウムの表情をいち早く洞察した乎乎那だけが口の端に笑みを称えてラウムに軽く目配せを送るのに。
「うん、ベアトリクスは未だ気は失っているけれども、脈もあるし、怪我も治したから無事だヨ。間違いなく一般人に戻っているネ」
そう確信をもって告げながらベアトリクスが南極の寒さにやられぬ様、寒冷適応と活性治癒を発動させつつ降下しながら全力で手当てを行ったラウムが何処か安堵の笑みを浮かべている。
それからラウムが未だ、意識を失った儘のベアトリクスの姿を見せると……。
「……! 尻尾が無くなり、耳も狐耳では無く、人間に戻っていますね……是は……」
その『種族:人間』としか言う事の出来ない姿を見せるベアトリクスの様子を観察した華楠の言の葉に、多分、とラウムが続ける。
「ディアボロスのネメシス化の影響が失われた結果だろうネ。つまり妖狐であること自体が、ベアトリクスにとっては、ディアボロスであることそのものだった。でも、その特徴が完全に失われて、身体的に完全に只の一般人になっていると言う事は――」
――彼女が、『一般人』として救出された、と言う事の何よりの証拠ダロウネ。
そう締めくくる様に告げるラウムの言の葉に。
「……一先ず、今回の実験は、成功した、と言う事になるんだね」
そうそっと呟くエトヴァのそれに、そうだネ、とラウムが応えながら。
(「……ディアボロス同士の争いには……こういう経緯のものも、あったのカナ」)
そう内心で思いつつも、ベアトリクスが無事に一般人として帰って来た、というその事実に。
「……お帰りなさい、ベアトリクスさん」
そう華楠が優しく告げるのに、意識を失っている筈のベアトリクスの表情が柔らかくなった様な――そんな気がした。
『ラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)は重傷を負った』
『アンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)は重傷を負った』
――ベアトリクス・ライスター、『一般人』として……救出、成功。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【託されし願い】がLV2になった!
【スーパーGPS】LV1が発生!
【防空体制】LV1が発生!
【無鍵空間】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
【防衛ライン】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV3が発生!
【反撃アップ】がLV2になった!
【能力値アップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
ルール選定の提案をする
必要ならすり合わせを
1.一般人に戻る安全な方法の研究を継続
今回の手法よりも穏やかに、実行者や周囲への影響を抑える形の手法を確立したい
安全性担保の目的で、放出されたエネルギーをクロノ・オブジェクト等で貯蔵や減殺する方向性も含めて継続研究とする
2.「本人の意志の尊重」「安全確保」を基軸に、一般人化への制度を整備
・まず、安全な方法が確立されるまで、「暫定措置」として保留を推奨
・一般人化は本人の申告制とし、必ず暴走を止めるのに十分なディアボロスが立ち会う
・本人が生死を賭すリスクを理解した上で選択する
・南極の基地などに中立の専門組織を置き、一般人化を試みる前に申告と報告を義務付ける(有事の安全対策、研究の共有のため)
・暫定の実地場所は、無人の土地、南極、海上、宇宙空間など、被害を極力抑えられる場所から選定
3.「一般人に戻る」目的外での利用の禁止
ディアボロスが力のリソースとして扱われたり、一般人に戻る事が強要されてはならない
一般人化と、力を得ることは、目的の上で固く分離すること
ラウム・マルファス
誰も死なずに人間に戻れて良かっタ
ただ、この危険な手段を『確立できた』と言いたくナイ
再現性と安全性は大切ダ
まず地球上で行うことは禁止
宇宙……ISSからも少し離した位置に実験場を作り、研究を続けタイ
オベリスクを置けば簡単に行き来もできるだろウ
最低限、放出する力に耐えられる設備は必要ダ
そのうえで、協力者含め死ぬ可能性を覚悟するなら、止める権利はボクには無いと思ウ
ボク自身は、安全に力をエネルギーに変える方法を研究しタイ
黄金アンクやパラドクス封じの手段、紙幣の詳細も研究して、安全に力を抑え込みたいネ
地獄変や円卓の間、神像ケーブルも研究して、エネルギーを回収する手段を模索しよウ
クロノオブジェクト改造計画とも共同研究できる部分はあるだろうし、設備自体をクロノオブジェクトとして設計することも検討するヨ
身体感覚の変化や、精神的な強化が無くなった影響に対応する施設も必要だネ
言葉も通じなくなるしサ
50年でも500年でも、ちゃんと確立できるまで研究しよウ
限りなく不可能に近くても、それを可能にしてきたんダ
今も、ネ
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一般人と化して意識を取り戻したベアトリクスの南極からの移動措置や、アンゼリカやラズロルの様な重傷者の手当て等の事後処理を一通り済ませたその上で。
「誰も死なずに人間に戻れて、本当に良かっタ」
新宿にある会議室の1つを借りて、今後の方針を纏めるべく集まったディアボロス達の話を纏め乍ら、ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)がそっと安堵の息を漏らすのに。
「ああ、そうだね。本当に誰も死ぬ事無く、ベアトリクスさんも一般人として過ごすことが出来る様になって良かったと俺も思うよ、ラウムさん」
他のディアボロスや一般人となったベアトリクス達の意見を聴収して、今後の方針を纏めて報告する書類を整えていたエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)がそう首肯する。
勿論、この部屋を借り受けているのは偶然でも何でもない。
今回の実験結果を基にして今後の方針……今回の方法で、ディアボロスがディアボロスの力を失って一般人になるやり方についての取り扱いの方針や、是からの事を周知するための資料を作る為だ。
――正直に言えば。
「今回の様なこんな危険な方法で、ディアボロスを一般人に戻す手段が『確立できた』とは言いたくないからネ」
Rewriterを掛け直しつつ、そっと顎に手を当てて考える様に小首を傾げて嘆息を零すラウムのそれは、何もラウムだけの想いではない。
他にも一緒にこの実験に参加したディアボロス達や、本当に一般人になった本人ですらすんなりとした手段ではない、と言う程のものだった。
――つまり、今回の実験そのものは成功ではあるのだけれども。
「でも、相応のリスクを伴うもの、だよネ」
だからこそ、今後この方法による一般人化と言う手段そのものをも禁止した方が良いのではないかと言う意見も出ていて。
「その全面的に禁止したい、と言う意見にはそもそも、永遠撃滅術の研究とディアボロスの一般人化の研究を組み合わせること自体に反対していた俺も吝かではないのだが……」
――けれども。
「一度成功した以上、それだけのリスクを犯してでも今直ぐ一般人に戻りたい、と言うディアボロスもいるだろうな……とも思える様になったんだ」
そもそもそれだけの覚悟があるディアボロス達の想いを、自由意志を無碍にする事は出来ないのだから。
そんなエトヴァの想いに同意する様に首肯しながら、Rewriterの奥の黒目を光らせたラウムが続けた。
「それに、再現性と安全性は大切でもあるしネ。となると、只、ボク達が禁止する、と言うのも違う気がするネ」
告げるラウムのそれを引き取る様にだから、と言の葉を紡ぎつつ、エトヴァが自分の手元で纏めている報告書を確認し。
「此処は、今回の方法を用いたディアボロスから一般人に戻る方法の事も含めて、一度ルール化した方が良いと俺は思っている」
――そのルールのもっと足るものとして挙げられるもの、それが。
「1つ目の、一般人にも戻る安全な方法の研究の継続だね」
そのエトヴァの最初の提案に反対する者はいなかった。
具体的な内容としては、今回の手法よりも穏やかに、実行者や周囲への影響を抑えるための手法を確立し、その上で。
「安全性担保の目的で、放出されたエネルギーをクロノ・オブジェクト等で貯蔵や減殺する方向も含めての継続研究を行うのが自然だろう」
実際問題として、今回の実験結果を経て、既に安全に『ディアボロスが一般人になる』為の方法やその時に出力される大規模なエネルギーについてのアプローチの方法についても具体的な意見も出てき始めている位だから、研究継続は尚更必要な事だ。
――又、一方で。
「エトヴァもさっき言っていたけれども、ディアボロスが一般人になる方法が判明した以上、この方法を使って一般人に今すぐにでも戻りたい、と言う人々は一定数いるだろうネ。だから、やはりそこもルールとして明記はしておいた方が良いだろうネ」
そう告げるラウムのそれにその為に、とエトヴァが小さく首肯を1つ。
「『本人の意思の尊重』と、『安全確保』を基軸に、一般人化への精度の整備を2つ目のルールとして明確に定めておこう。最も、暫定措置として、だけれどね」
――その具体的な暫定措置は。
「一般人化は本人の申告制とした上で、現場には必ず暴走を止めるのに十分なディアボロスが立ち会う事と、本人が生死を賭すリスクを理解した上で選択する事だ」
そうルールに纏めながらのエトヴァのそれに、そうだネ、とラウムが首肯した。
「協力者含め、死ぬ可能性を覚悟するなら、ボク達に止める権利は無いだろうしネ。でも、研究も続けタイから、其処は申告した当人とそれを抑えられるだけのディアボロス達が集まる事が前提になるネ。その上で、その為の実験場を宇宙……ISSからも少し話した位置に作るのが良いだろうネ。少なくとも最悪の場合、大きな被害が出うる地球上であの手段を行うのは避けタイ」
オベリスクを置けば、簡単に行き来も出来るだろうし、最低限、放出される力に耐えられるだけの設備も合わせて用意する必要はあるダロウ。
と研究者として、周囲の安全に配慮した提案を付け加えるラウムのそれに、そうだね、とエトヴァが首肯した上で。
「その自己申告の手続きの為に、南極の基地等に中立の専門組織を置いて、一般人化を試みる前の申告と報告は義務付けよう。有事の安全対策や、研究の共有の為にも必要だからね」
そのエトヴァの言の葉に、そうだネ、とラウムが首肯して話を続ける。
「実際、ボク自身も安全にディアボロスの力をエネルギーに変える方法は研究しタイ。その為に、嫌がるディアボロスを無理矢理……なんて言うのは本末転倒だとは思うけれどもネ。でも、黄金アンクやパラドクス封じの手段、紙幣の詳細を研究して、安全に力を抑え込む為にも、自己申告で一般人化する実験に参加した皆のデータが公開されているのとされていないのでは、全然違うからネ」
その為には地獄変や円卓の間、神像ケーブルの研究によるエネルギーを回収する手段の模索も必要だろうとラウムは思う。
この辺りは、クロノ・オブジェクト改造計画などとも共同研究できる部分もある筈である為、いっその事、この一般人に戻る事を選んだディアボロス達が実際にそれを行う設備自体をクロノ・オブジェクトとして設計できないかどうかの検討も始めている位だ。
そんな、ラウムの様子に一つ頷き、エトヴァがただ、と続けた。
「とは言え、その設備を直ぐに作り出せるかどうかは分からないから、暫定の実地場所としては、エトヴァさんの言う通り宇宙の様な被害を極力抑えられる場所にする事は必須だね」
――また。
「忘れてはいけない事だけれども。今回のこの一般人に戻る方法は、あくまでも、『一般人に戻る』目的以外での利用は禁止は必須だ。ディアボロス自身が力のリソースとして扱われたり、一般人に戻る事を強要されるのは問題外だからね」
――その様な事を強要すれば、其れは人権にも反する事になる。
勿論、ラウムの言う様に自分の意志で戻りたいと願い、実際にそれを試みたディアボロス達のデータの結果を研究の結果として共有する事迄は否定しないけれども。
「そうだネ。後、実際に身体感覚の変化や、精神的な強化が無くなった影響に対応する為の施設の用意は必要だろうネ。一般人に戻れば、言葉も通じなくなるからサ」
そう締めくくる様に告げるラウムのそれに、そうだね、とエトヴァが呟き、下記の3つの項目をルールとして纏めていく。
――ディアボロスの力を一瞬で使い尽くして、一般人と化する方法の今後の取り扱いについて。
1.一般人に戻る安全な方法の研究の継続。
2.この手段で実際に一般人に戻る為には、『本人の意思尊重』、『安全確保』を基軸とした、一般人化制度を成立。
3.今回の実験と同様の事は、『一般人に戻る』目的外での利用を禁止する。
そう箇条書きで纏められたエトヴァのRewriterの奥の青い瞳で捉えながら、ラウムがそっと息を吐く。
「……50年でも、500年でも、ちゃんと確立できるまで研究しよウ」
――だって、今までも。
「限りなく不可能に近くても、ボク達はそれを可能にしてきたんだからネ」
――今も、ネ。
それが、今回の実験結果を基にした、永遠撃滅術式と一般人に戻る方法の研究の締めの言の葉となった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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