ニューヨーク上陸、ブロンクスの戦い
ロング・アイランド湾水中戦を制した事で、ニューヨーク州ブロンクス区への上陸作戦が可能になりました。
ブロンクス区には、大金の報酬によって集められた、貧困層や移民の若者などの一般人(『ブロンクス・ヤンキース』)が、空想科学の武器を装備させられ、ディアボロスに対する肉壁とされているようです。
彼らは一般人である為、ディアボロスが逆説連鎖戦で反撃するのなら一方的に撃破可能ですが、反撃により命を落とす可能性が高いでしょう。
逆説連鎖戦で反撃せず無抵抗に攻撃を受けるのであれば、空想科学の武器の威力により、ディアボロスでもダメージを避けられません。
敵が、ディアボロスが『一般人を守る』という習性を利用して足止めをしている事は間違いありません。
ブロンクス・ヤンキース達にうまく対応し、一気に、ブロンクス区を制する事が出来れば、ニューヨークの中心地である『マンハッタン』に雪崩れ込み、アル・カポネ不在のコーサノストラの中枢を一撃する事が可能になるでしょう。
!特殊ルール!『マンハッタン決戦』
『ニューヨーク上陸、ブロンクスの戦い』の成功数により、ニューヨークを守るジェネラル級ワイズガイとの『マンハッタン決戦』が可能になります。
『マンハッタン決戦』は、完結シナリオが一定以上になった場合に、段階的に公開されます。
(1)4シナリオ成功:石油王『ジョン・ロックフェラー』と決戦を行ないます。
ジョン・ロックフェラーは、大金をばらまき、貧困層や移民の若者を集めて、肉壁とする作戦を行ったジェネラル級ワイズガイです。
(2)6シナリオ成功:鉄鋼王『アンドリュー・カーネギー』と決戦を行います。
アンドリュー・カーネギーは、コーサノストラの産業基盤を担当する有力なジェネラル級であるようです。
(3)12シナリオ成功:発明王『トーマス・エジソン』と決戦を行います。
トーマス・エジソンは、アル・カポネの腹心であり、地上に残ったワイズガイを統括し、更に、衛星軌道上の巨大UFO『アルカトラズ』に戦力を合流させるための準備を行っています。
決戦を行わなかったジェネラル級については、『ニューヨーク上陸、ブロンクスの戦い』の作戦終了後に、別途対応する事になるでしょう。
ニューヨーク上陸……命の選択を(作者 瀬和璃羽)
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●ロング・アイランド湾突破
その報告は、新宿駅に居たディアボロスたちを騒めかせる。
それは、ニューヨークへ向け海路で向かっていたディアボロスたちが、ロング・アイランド湾を突破したと言うニュース。
伝言板の前に立つ海戦装姫の時先案内人、大泊・鈴夜もその報告に驚き、そして続く事件に顔を曇らせた。
「皆さん、良いニュースと悪いニュースです」
そう集まったディアボロスたちに切り出した鈴夜は、まず良いニュースを話し出す。
「皆さんもご存知の通り、海より進んだディアボロス隊によりニューヨークへの道が開けました」
ディアボロスたちが辿り着く先は、ニューヨーク州のブロンクス区。
ここを突破すれば、ニューヨーク州の中心である『マンハッタン』へと辿り着き、そして空想科学コーサノストラの王たちに決戦を挑むことが出来る。
非常に喜ばしいニュースである。
では、悪いニュースとは?
湧き立つディアボロスたちを前に、鈴夜は感知した光景を話し出す。
それは、ブロンクス区に設置された人の壁……そう、肉壁であった。
「ブロンクス区の一般人による集団、ブロンクス・ヤンキース。主に小学生の高学年から、高校生くらいまでの未成年者によるグループです。彼らは所謂ギャングの予備軍と呼ばれるはぐれ者たちなのですが、高額の報酬に釣られ、空想科学製の武器を持ち、上陸したディアボロスに対し攻撃を仕掛けてきます」
相手はクロノヴェーダではない一般人。但し、ディアボロスを傷付けることが出来る空想科学による武器を持つ。
攻撃されても、一般人相手であれば逆説連鎖戦を発動させれば、一瞬で沈黙させられる。
そう、文字通り『沈黙』させられるのだ。
「……彼らを救うのであれば、攻撃を受けながら、反撃せずに交渉や説得を行い、自らの意思で退いて貰わねばなりません。しかし、時間を掛けることは許されません。あまりにも時間を掛けた場合、マンハッタン決戦を挑むチャンスを失う可能性があります」
時間をかければブロンクス・ヤンキースを救えるかも知れないが、負傷もするし、決戦を挑めなくなるかも知れない。
相手は未成年と言えどもギャング予備軍、まっとうな人生を歩む者ではない。
ディアボロスに、命の選択が突き付けられた。
悩むディアボロスに対し、鈴夜は参考になるかは分かりませんが……と、前置きしたうえで、口を開く。
「今回、周囲にはワイズガイの姿はありません。恐らく、一般人だけで立ち向かわせた方が、ディアボロスには効果的……と判断したのでしょう」
実際、効果的ではあったのだが、逆に言えば監視する者はいない、と言うことだ。
「あとは、皆さんの判断にお任せ致します……どうぞ、よろしくお願い致します」
そう鈴夜は頭を下げると、パラドクストレインの入線するホームへと向け、案内を始めるのであった。
●ブロンクスの子どもたち
ニューヨーク州、ブロンクス区……倉庫街の一角に、子どもたちが集まっている。
勿論、まっとうな子どもではない。移民やスラムの子どもたちであり、生活のためにスリや盗みを行っている。
そして、将来的には彼らを庇護するギャングの元へと下り、末端の構成員となる運命の子どもたち。
だが、そんな子どもたちに、ロックフェラーは救いを与える。
人生の大逆転が出来る高額の報酬。条件は、用意された武器を手に、ブロンクスに迫るディアボロスを迎撃するだけ。
『ヒューッ! すげークールじゃん!』
用意されたトランクを子どもたちが開けると、そこには見たこともないデザインの銃が並べられていた。
『これで、ディアボロスって奴を撃てばいいんだね? そうすれば、弟たちを助けられる……やってやるよ!』
男勝りの赤毛の少女が銃を掴むと、近くにあったドラム缶に向かい引き金を引く。
すると銃口から光線が放たれ、ドラム缶は爆発炎上……その威力に、子どもたちは歓声を上げた。
『報酬、忘れるんじゃないよ! さあ、みんな、武器を取りな!』
赤毛の少女に率いられ、武器を手にしたブロンクス・ヤンキースは、ディアボロスを迎撃するため出撃するのであった。
リプレイ
三間・勲
(連携アドリブ歓迎)
奪還と共に消えてしまう世界だとしても、人々には最後まで苦痛を感じる事なく過ごして欲しい…その気持ちは戦い始めた時から変わりません
僕には月並みな事しか言えませんが、真摯に呼びかけましょう
パラドクス不使用、正面から攻撃を受け、反撃はしません
後の会話に支障が出ないよう胸や頭部は「氷盾」で守りつつ
一般人の攻撃では倒れない事を視覚的に理解させるように立ち続けましょう
攻撃が止んだタイミングで落ち着かせるように声をかけます
貴方達の雇い主は酷い方ですね…
本当に貴方達の将来を考えているのなら、このような仕事を任せるはずがありません
僕達が敵だなんて、とんでもない!
ディアボロスの皆さんはカナダを中心に、現地の方々に向けて職業訓練をしたり、健全な働き口を提供してきました
貴方達の雇い主は武器を与えるだけの余裕があるのに、何故同じようにしないのでしょうか?
どうか武器を下ろして下さい、まだ引き返せます
手を汚さずに得たお金で食べるご飯の方が、貴方や大切な家族、友達を幸せにできるはずです
●赤き髪の怒り
ニューヨーク州ブロンクス区。
マンハッタンに至るため、通過しなくてはならない場所。
だが、上陸したディアボロスたちを迎えたのは、赤毛の少女が率いる一団であった。
『あれがディアボロス……なんだ、まだ子どもじゃないか』
まるで現代で売られている玩具のような光線銃で武装した彼女たちは、三間・勲(漁火・g10186)に向けて銃口を向ける。
『こちらの言葉が通じるのかは知らないが……一応言っておく。金目の物を置いて、さっさと帰りな! じゃないと……』
そう言うと、少女は光線銃の引き金を引く。
放たれた光芒は、勲の隣にあった木に命中し、幹を折り爆発、炎上させた。
「(確かに、聞いていた通り、この威力なら、例えディアボロスの身体と言えど負傷は免れません……ですが、例え奪還と共に消えてしまう世界だとしても、その世界に住む人々には、最後まで苦痛を感じる事なく過ごして欲しい……その気持ちは戦い始めた時から変わりません)」
そう決意を新たにした勲は、氷盾を構え急所を護ると、少女たちの一団に一歩ずつ近付いていく。
赤毛の少女はため息を吐くと、右手を上げる……同時に、彼を取り囲むように広がった少年少女の集団が、光線銃を次から次へと撃ち放った。
ビームの雨が降りしきり、爆発の煙で辺りが見えなくなる。
少女は再び手をあげると、それを見た子どもたちはトリガーから指を放し、煙が晴れるのを待つ。
……そこには、氷盾を支えに立つ、ボロボロの勲の姿があった。
『それで、帰る気になったかい?』
少女の問いかけに、勲は口を開く。
「貴方たちの雇い主は酷い方ですね……本当に貴方たちの将来を考えているのなら、このような仕事を任せるはずがありません。僕たちが敵だなんて、とんでもない!」
一瞬、少女の片眉が動いた気がした。
だが、勲はそれを無視し、続きを話す。
それは、彼女たちに訴える真摯な叫び。
「僕たちディアボロスは、カナダを中心に、現地の方々に向けて職業訓練をしたり、健全な働き口を提供してきました。貴方たちの雇い主は武器を与えるだけの余裕があるのに、何故同じようにしないのでしょうか?」
これまでの活動を伝え、ワイズガイたちの非道を説く。
だが……それは、底辺に生きる者には、届かない言葉。
「どうか武器を下ろして下さい、まだ引き返せます。手を汚さずに得たお金で食べるご飯の方が、貴方や大切な家族、友達を幸せにできるはずです!」
真っ直ぐで純粋な瞳で訴える勲。
だが、赤毛の少女は、赤い瞳に怒りを宿すと、彼の元へと歩く。
『あんた、肌もふっくらとして、髪も艶やかで、喰うに困ったことないんだろうね……泥のスープを飲んだことは? 腐ったパンを食べたことは? 僅かな食事を盗んだために、棍棒で死ぬまで殴られたことは?』
少女は勲にそう告げると、光線銃のグリップで彼のこめかみを殴る。
空想科学の武器であっても、想定されていない攻撃のため、ディアボロスの勲にはダメージ一つ入らない。
しかし、その言葉は、続く言葉と共に彼の心を傷付ける。
『あんたたちが言うことが本当だったとして、ボクたちは何時それで食べられる? 自分の名前すら書けないここの住民が、みんなそこで働けるのかい? そしてそれが叶うのは明日? 明後日? ……そんな未来の話しは望んでない、ボクたちには、今日のパンが必要なんだ!』
怒りと共にそう告げると、赤毛の少女は勲の額を撃ち抜く。
彼女のその怒りは、ここに居た全員の心だと、一団は倒れた勲に向けて光線を放つ。
全身に走る痛みのなか、勲は明日が無い、今日を生きるに精一杯の少女が流す涙を見た気がした。
失敗🔴🔴🔴🔴
レイラ・イグラーナ
クロノヴェーダに苦しめられる人民の皆様をお救いすることと何ら変わりはございません。
例え消えてしまう命であろうと……私たちが今のために生き足掻くように、今を生きる人民の皆様のために力を尽くしましょう。
反撃を行わず攻撃を受けながら、銃による攻撃が飛んできた方角を探ります。
方角が分かったならそちらに向かい、赤毛の少女のグループと対峙します。
なるほど、報酬が必要な理由がおありなのですね。
それではいかがでしょう。
私たちと取引をいたしませんか?
見逃して頂ければ、必要なお金(いつもの偽札)をお渡しします。
その武器があっても私たちを討てるから分からず……また、ワイズガイが素直に皆様にそのような大金を支払うでしょうか?
ワイズガイの後払いへ疑念を植え付けつつ、目の前のお金と取引で、こちらにつくよう唆します。
私たちも急ぎです。お互い損のない取引かと思いますが。
西堂・千衛蔵
家族が流行り病で死んで、古寺にいた武装集団に拾われるまでの自分はこんなだったな
あの頃自分が師に教わった事を伝える時間など無いが
「できることはやってみるか」
【アイテムポケット】に最終人類史製の金を詰め込んで行く
攻撃は「鬼火」で受け流す
「今、殺す気で、撃ったか!?」
ネメシス形態になる時と同様の気合で復讐心を高め、殺気を籠めて餓鬼共を睨む
『これ以上撃ったら反撃されるかも』と思わせる
撃つ手を止めさせたら穏当な説得をする人の話が一段落するのを待つ
「お前らも人殺しになりたいわけじゃあるまい
スリや盗みで死ぬまで殴られて、何で人を撃って無事で済むと思った?
それにどんなに力があろうが、撃ったらそれを理由に撃たれておかしくないんだ」
「……一度だけ言うぜ
ロックフェラーが約束した報酬と同額で、その武器を買い取る」
交渉が成立したら金は渡す
「首尾を報告する事になっている相手の所には、戻ってはならない
服を変えて散髪して風呂に入れば、そのまま変装になるだろう
1ヶ月程街を離れるか、身を隠すんだ
その間に、話をつけておくよ」
ラウム・マルファス
見つからないようにしつつ、白パンを口福の伝道者で増やすヨ
増やす直前で声を掛けよウ
「お腹が空いてるんだネ。じゃあとりあえず食べてから話そうカ」
攻撃が来たら氷龍の盾で防御
400人分だから多少吹き飛んでも大丈夫だと思うケド、残るといいナァ
毒を疑われるなら増えたものも少し食べて見せよウ
「ディアボロスを倒すとお金がもらえるんだよね、知ってるヨ。で、支払いはいつで、払ってもらえる保証はあるのカナ?キミたち、それまで生きれるカイ?多分2週間くらいは、際限無く来るヨ?それにディアボロスだって実力行使するからネ?」
イバラの冠で適当なゴミを壊して見せよウ
銃の買い取りを交渉。金額は相場の1.5倍くらイ。
株式会社のお金なら買えるハズ
「勲も言っていたけど、こっちに工場を出してみんな雇うことも考えよウ。字が書けなかったり、数の数えれない労働者もいるから大丈夫。掃除も宣伝も情報も、キミたちの力が必要になるからネ」
お金がもっと必要そうなら、契約料って名目で言い値を払っておこウ
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
子供達を体のいい捨て駒にするつもりか…
一般人への攻撃、反撃はしない
銃口の向きや腕の動きを観察し、急所は避けるように強化コートや魔力障壁でガード
……望んでしている訳ではないよな
生活のため、家族のために動いているんだろう
だけど、俺も仲間を傷つけられるのは嫌だな
あなたにも守るべき者がいるなら、わかるよな?
赤毛の少女を見据え伝える
取引をしよう
俺達は、ここを通してほしいだけなんだ
君達と敵対はしない
偽札を詰めた鞄を見せる(取引は仲間と合わせる)
他に、パンと菓子、栄養のある保存食
読み書きと計算を自習できる文房具とテキスト
全部渡すよ
これは施しではない
俺達の通行料であり、君達が自分の足で立つための投資だ
衣食住を確保し、皆の為に教師を雇うのもいい
君達が、ギャングの下を去り
人殺しも盗みもせずに、自らの足で立つ事ができるなら
その姿を、同じような境遇の者に見せることができるなら
それが巡り巡って俺達と社会の利益になるんだ
これから、死に物狂いで努力するのは君達だ
(その先にはきっと、仲間の言葉を実感する日も来るといい)
●明日への取引
ディアボロスに向け、空想科学の銃で武装した赤毛の少女が率いるブロンクス・ヤンキースの攻撃が続く。
彼女たちを説得し、倒さずにブロンクス区を突破することを選んだディアボロスたちは、建物や物陰に隠れ、一方的な攻撃を耐えるしかなかった。
「家族が流行り病で死んで、古寺にいた武装集団に拾われるまでの自分は、こんなだったな……できることはやってみるか」
ふと、自分の過去と彼らの境遇を重ね、助けねばと決意した西堂・千衛蔵(竜燈鬼・g01901)は、身体を炎のオーラ……鬼火で覆うと、隠れていた物陰から身を晒す。
『出て来たな……撃て、撃つんだ!』
赤毛の少女が声を上げると、千衛蔵に攻撃が集中する。
眉間を捉えた一発が彼の首を後ろに弾き、子どもたちは歓声を上げて勝ち誇る。
しかし、直後に響く低い声に、彼ら彼女らの攻撃が止まる。
「……今、殺す気で、撃ったな!?」
低く、殺気の籠った響く声。ゾクり、と背中から汗を垂らす子どもたちは、殺されるかも、と言う恐怖心に駆られ、震えながら再び千衛蔵へと銃口を向ける。
「これ以上攻撃すれば死が待っている、と分かりましたか……危機感知は鈍っていないようでなによりです。それでは如何でしょう、私たちと取引をいたしませんか?」
攻撃が再開されようとしたその刹那、レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)が声を上げる。
彼女が発した声へと、リーダーである赤毛の少女が向いたことで、レイラはこの賭けに勝ったと確信しつつ、話しを続ける。
「皆様、私たちを見逃して頂ければ、必要な分のお金をお渡し致します。その武器があっても私たちを討てるから分からず……いえ、討てないと分かった今こそ、お互いに損のない取引をしたいものです」
……それに、ワイズガイが素直に皆様にそのような大金を支払うでしょうか? そう続けて告げたレイラの言葉は、悲しいかな搾取に慣れ切ったブロンクス・ヤンキースの子どもたちにはよく響いた。
報酬の約束をし、働き、裏切られる……この華やかな街の裏側では、よくある話であった。
動揺が広がる彼らに向かい、千衛蔵がドスの利いた声で告げる。
「お前たちは良く知っているだろう? どんなに力があろうが、撃ったらそれを理由に撃たれておかしくないんだ……一度だけ言うぜ。ロックフェラーが約束した報酬と同額で、その武器を買い取る。即金で、だ」
異空間に収納出来る【アイテムポケット】を開いた千衛蔵は、中からドル札の札束が詰まったトランクを取り出すと赤毛の少女へと投げる。
少女は足元に滑って来たトランクを警戒しながら開けると、詰め込まれたドル札の輝きに息を飲む。
勿論、このドル札は偽札……だが、最終人類史の技術で作ったドル札のため、本物より本物の偽札であった。
『……ダメだ。依頼人はこの街の支配者たちだ。あんたたちが勝つ保証がない状態で、裏切りは出来ない』
例え、裏切られても、この街に住む以上は仕方がない……ただ、それを裏切るなら担保が必要。
信頼か、保証か、金か……チームを率いるリーダーとして、赤毛の少女はそれを譲れなかった。
「ディアボロスを倒すとお金がもらえるんだよね、知ってるヨ。多分二週間くらいは、際限無く来るヨ? それにディアボロスだって実力行使するからネ? キミたちはそれまで生きれるカイ?」
ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)はそう告げると、ブロンクス・ヤンキースへと向け脚を進める。
彼らが銃口を向けるなか、赤毛の少女の前まで来た彼は、両手に持っていたトランクを差し出す。
「彼らが約束した報酬の1.5倍出すんダヨ。それと、今日のパンもネ」
そう告げると、ラウムは【口福の伝道者】でパンを増やしてみせた。
突然現れた最終人類史のふっくらとした焼きたての白パンに、空腹、いや飢餓状態であった年少者が飛びつく。
『お、おいっ! 毒が入っているかも知れないんだぞ!?』
赤毛の少女が止めるが、子どもたちは我先にとパンを頬張る。
ニッコリと微笑むラウムは、毒は入ってないヨと自分も一つ食べ、そして更に【口福の伝道者】の効果でパンを増やした。
「改めて取引をしよう。俺たちは、ここを通してほしいだけなんだ。君たちと敵対はしない」
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)が、その他の援助物資……菓子や保存食、英語のドリルと言った物を鞄から取り出しながら告げる。
その量に、まだ悩む赤毛の少女へと向け、エトヴァは優しく、そして厳しく告げる。
「全部渡すよ。ただ、これは施しではない。俺たちディアボロスの通行料であり、君たちが自分の足で立つための投資だ」
『投資……?』
何を言われているのか理解が出来ず、首を傾げる少年少女たちに、彼は遠い目をして話す。
「この金で衣食住を確保し、皆の為に教師を雇うのもいい。君たちがギャングの下を去り、人殺しも盗みもせずに、自らの足で立つ事ができるなら……その姿を、同じような境遇の者に見せることができるなら、それが巡り巡って俺たちと社会の利益になるんだ。これから、死に物狂いで努力するのは君たちだ」
現実味がないのか、まだ理解が出来ない赤毛の少女であったが、差し出された大金は嘘ではない。
約束していた金額を越える即金の金に大量の食料。
学習は置いておくとして、チームを率いる少女には、依頼人を裏切るだけの十分な理由が出来た。
『ボクたちが裏切ったとして……あんたたち、本当に勝てるのかい?』
それは確認。依頼者を裏切ると言うことは、彼らが勝ち残ればこの街に戻って来れないと言うこと。
汚く不衛生な場所とは言え、このスラムで育った彼女たちにとって、縄張りは幼くても勝ち取った大切な場所であった。
「そうだな、約束は出来ないが……自分たちがここに来たことが証拠だ。服を変えて散髪して風呂に入れば、そのまま変装になるだろう。一ヶ月程街を離れるか、身を隠すんだ。その間に、全て話をつけておくよ」
彼らは風呂にも碌に入れないストリート・チルドレン。
リーダーである赤毛の少女も、女の子なのに髪はバサバサ、服はボロボロ。肌は焼け、蚤や虱が湧き、それでも生きるために必死であったことがよく分かる姿であった。
そんな彼女の頭を千衛蔵は撫でると、一カ月だと指を立てる。
「ボクたちが勝利したら、こっちに工場を出してみんな雇うことも考えよウ。これまでの街でも、字が書けなかったり、数の数えれない労働者もいるから大丈夫。掃除も宣伝も情報も、キミたちの力が必要になるからネ」
ラウムが札束が入ったカバンを少女に握らせ、しゃがみ込み視線の高さを合わせると笑顔を見せる。
『もし、それが出来るなら……さっきの奴に謝っておいて。だが、今は謝らない……一カ月、ボクたちは生きてみせるから、裏切りを後悔させないようにしてよね』
集団の命を預かるリーダーとしての瞳で、少女はディアボロスたちにそう答える。
「……望んでしている訳ではない。今回も生活のため、仲間のために動いていたんだろう。だけど、俺も仲間を傷つけられるのは嫌だな。あなたにも守るべき者がいるなら、わかるよな?」
エトヴァの言葉に赤毛の少女は頷くと、玩具にしか見えない空想科学製の銃を足元に置く。
その行動に倣うように、ストリート・チルドレンの集団であるブロンクス・ヤンキースの面々は銃を置き、代わりにパンを取る。
「子どもたちには生きるためのお金と食料を、私たちには安全を……お互い損のない、非常に良い取引でした。あとは、私たちが今を生きる皆様のために、力を尽くすのみですね」
取引はまとまった……そうポンと手を打つレイラは、視線を少女たちから奥に見えるマンハッタンへと向ける。
そこには、子どもたちを唆し、武器を持たせたロックフェラーを始めとするワイズガイたちが居る。
「宇宙へは、行かせません……ここで倒させて頂きます」
怒りに燃える彼女の言葉。
安全にブロンクス区を突破出来るようになった今、マンハッタン決戦は、近かった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【建物復元】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【口福の伝道者】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!
【凌駕率アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!