モフィンクスのぼうけん(作者 蘇我真)
#獣神王朝エジプト
#岩窟墳墓迷宮のリターナー
#攻略期限延長
⊕
●墓を守るモノたち
岩窟古墳、明らかに人の手が加わった洞窟内部では松明の炎が揺らめいていた。
「この墳墓迷宮に、神をも恐れぬ輩が侵入しようとしている」
2つの松明の間に作られた大きな岩戸。その向こうから威厳のある低い声が聞こえてきた。
「侵入者は神の命令だと偽って、墓守であるお前達を騙して、この迷宮を穢そうとしているのだ」
その大岩戸の両脇にて、片膝立ちで静かに声を聞いているのはリターナーの男達だった。
皆精鋭、墓守としてこの神の護衛として取り立てられた者達が10人ほど控えている。
「お前達には、我が力の一部を与える」
神の言葉を僅かなりとも聞き漏らすまじと傾注する墓守たち。
「その力を使い、侵入者を撃退して見せるのだ」
その言葉が終わるか終わらぬかのうちに、幾人かの墓守の身体が白い光に包まれていく。
「お、おお……」
「な、なんだこれは……」
白い光が収束し、白い鱗がぽつぽつと腕や額、足などに浮かび上がってくる。
臀部からは白い鰐の尾がわずかながら顕現してもいた。
「これこそ、我らが神タウエレトより力を授かった聖なる証……!」
敬虔な神の信徒である彼らはそう確信し、興奮気味にまくしたてる。
「神の敵は我らの敵!」
「侵入者に死を!」
自らがトループス級『白鰐神群』へと変貌しつつあるとなど露程にも思わず、鰐の尾を振るわせながら意気揚々と出撃していく。
「お、おい……大丈夫なのか?」
一方、覚醒しなかった墓守たちは突然の事に顔を見合わせる。
「俺はまだ何も起きてない……信心が足りなかったのかな」
「これで侵入者を倒せるんだろうか……」
不安気だが、すぐに腹は決まった。
「覚醒したやつらに倒してもらうしかないよ……」
「こうなっちゃったからには……な」
未覚醒の墓守達は頷き合い、半覚醒の面々を追いかけるのだった。
●新宿駅ターミナルにて
「つまり……マッチポンプってコト!?」
カマル・サディーク(人間の王墓守護者・g03220)は今回の事件を端的にそう表現した。
「クロノヴェーダは侵入者が来たって墓守のリターナーを煽ってるんだけど、その侵入者も実は同じクロノヴェーダがウソの話を吹き込んだ冒険者リターナーなんだ」
争わせるのはそれぞれ優秀な能力を持ったリターナーたち。
儀式として彼らを殺し合わせることで、クロノヴェーダとして覚醒させる狙いなのだった。
「今のところ、リターナー達は半覚醒って感じだけど……何もしなかったらみんな死んで、蘇ったリターナーは完全にトループス級になっちゃうだろうな」
半覚醒のリターナーは姿形はほぼ変わらないまま、クロノヴェーダの力を振るうことができる。
カマルが見た墓守の面々も、そのままでは殺し合いが終わったときには完全な白鰐神群へと変貌していることだろう。
「みんながパラドクストレインでお墓前に着くのは冒険者パーティーが入ってから30分くらい経ったころになると思う」
冒険者側リターナーの数は4名。墓守側よりは少ないが全員クロノヴェーダに半覚醒している。戦闘力でいえばほぼ互角になるだろう。
「お墓は元々自然にできた洞窟に人の手を加えてる。中には毒を持つ蝙蝠や蛇、蠍がウヨウヨしてるぞ。ディアボロスの敵じゃないけど」
人が作った扉も文明レベル的に簡素なものなので、ディアボロスならば力づくでも突破が可能だろう。
「まずはお墓出入り口近くにある痕跡を追って、冒険者パーティーを発見するのがいいと思う。30分くらいの遅れ、足跡とか見つければディアボロスならすぐ追いつけるはずだし」
勿論、迷宮を探索していれば墓守側のリターナーとも遭遇する事になる。
「どっちに当たったとしても戦うことになるだろうな。敵だと認識されるだろうし、救うためには一度倒す必要もあるし」
だが、彼らはまだ半覚醒の状態だ。クロノヴェーダへの覚醒を拒否してくれれば、撃破後にリターナーとして救出することも可能だとカマルは告げた。
「そしてボクが予兆を見た、あの一番奥の石扉。あの向こうに、この儀式を考えた悪いやつがいる。そいつを倒せばクエスト成功だ」
半覚醒したリターナー達をどちらもとっちめつつ、墳墓を攻略して最奥にいるボスを倒す。
カマルはシンプルにそうまとめると、ディアボロス達へと頭を下げた。
「副葬品目当ての墓荒らしとかもそうだけど、お墓にある一番の宝は亡くなった人に決まってる。お墓で悪だくみをするやつはぶっ飛ばしてくれ」
ミイラ作りを生業としていただけあって、カマルは柳眉を逆立てるのだった。
●冒険に挑むものたち
「よいしょ、よいしょっ」
「ふーっ」
彼ら4人のすぐ後ろには悠久の流れを湛えるナイル川があった。
小舟が川岸の木に係留されており、目の前には洞窟がぽっかりと口を開けている。
「ここに神様のお宝があるんだ……」
「盗賊も……」
「ハーッ!」
「フゥン……」
彼らはキョロキョロとあたりを見回し、参拝者用の松明をもふもふの手で取った。
そうして、恐ろしい岩窟墳墓迷宮へと足を踏み入れたのだった。
「ワッ! さ、サソリッ!!」
「お、落ち着いて、神様からもらった力だ!」
彼らはつぶらな瞳を目の前のサソリへ向ける。
「「「ヤーッ!」」」
目から放たれる光線がサソリを蒸発させた。
「や、やった! いける、いけるよッ!」
「この調子で行くぞ、オーッ!!!」
覚醒が進んだ彼ら冒険者側のリターナーは最早疑問にも思わない。
目から光線が出たり、己の等身が縮んで半分モフィンクスと化していることに……。
リプレイ
アストリッド・ヴァルトシュタイン
「ひとさまのお墓に踏み入るのも若干気がとがめるのでありますが……。
なるべく荒らさないよう、細心の注意を払いつつ進むとしましょう」
ひとまずはどちらかに遭遇する事を優先であります。
先行した探索者たちの足跡や落とし物など痕跡を「情報収集」し追跡、「忍び足」にて気配を殺して慎重に進み、「偵察」して後続の復讐者に向けた迷宮内の地形情報なども道標を兼ねたメモ書きで残していくのであります。……このまま放置するとただのゴミになってしまいますゆえ、拾って読み終えたメモはどうか始末してほしいのであります!
半覚醒した人たちとうっかり遭遇したならば、とりあえずてかげんしたすごいパンチで正気に戻してあげねば。
コロン・ルヴィン
※ アドリブ&他の方との連携歓迎
先に人が入っているって事はカマルさんも言ってたけど足跡とかあるはずそれを追跡する。
後はありそうなのは毒を持った生き物を倒して進んでるのであればその残骸とかかな。
スズと探しながら進もう。
相手が交戦的だったら出来ないかもだけど動物の友で蝙蝠や蛇に誰か通らなかったか聞いてみる。
ちゃんと出会えたなら説得しなくちゃね。
私達に攻撃しようとしてる人達の体とか見てみて。
明らかに普通じゃないでしょ?
確かに私もそうだけど迷宮を穢されて怒るのは分かるわ。
でも命をとって解決、な酷い神様より外にはもっと素敵な神様がいるわ。
お願い、こんなところで命を捨てないで。
●モフィンクスたちを追って
「ひとさまのお墓に踏み入るのも若干気がとがめるのでありますが……」
アストリッド・ヴァルトシュタイン(Löwenzahn・g04015)は目の前でぽっかりと口を開く墳墓迷宮の入り口を見て、そう呟いていた。入り口の両脇に飾られた灯火が彼女の碧眼を爛々と照らしている。
「毒のある生き物がうようよしてるって、お墓参りしづらそうよね」
コロン・ルヴィン(砂風鈴・g04379)は視線を下に向ける。
蒸発したサソリの残骸と、ビームの痕が地面に刻まれていた。
「なるべく荒らさないよう、細心の注意を払いつつ進むとしましょう」
その他に、てんてんと小さい足跡が洞窟の奥に続いている。
まだモフィンクスにはなりきっていないはずだが、その足跡はやはり通常の人間と比べると明らかに小さい。
「そうね。スズも行きましょう」
コロンはアストリッドと自らのサーヴァントであるパンツァーハウンドに呼びかけ、探索を開始する。
忍び足で気配を殺して慎重に進むアストリッド。しばらく行くと三叉路へと差し掛かった。
足跡は真ん中へと続いている。
「ふむふむ……」
「休憩でもしたのかしら……」
更にそこには果物の芯や種が転がっている。芯には齧った痕があり、コロンはこれを食べた者は猫のような口をしているのではと推測する。
「少なくとも犬ではないわね」
そう告げて、傍らでスンスンと食べ差しを嗅ぐパンツァーハウンドを見た。
「こちらは真っすぐ行きます。ゴミにならないよう処分してください……と」
その間にアストリッドはメモを書き、そのメモに重しの石を乗せて三叉路の部分に目立つよう残しておく。
「これで墓守側の人たちが別の道を調べてくれるといいのでありますが……」
今回起こるリターナーの同士討ちを防ぐため、ディアボロス達たちは分担して迷宮探索に当たることにした。
「ええ、書置きには充分でしょ」
書置きはリターナー側に見つかる可能性もあるが、彼らが読めるとも思えない。最悪書置きを排除されるかもしれないが、その時はその時だ。
「行きましょう。早く追いつかないと」
真ん中の道を進む2人と1頭。
「墓守側はどうしてるでありましょうか……」
声を潜め、進み続ける。
「それは後で考えた方がいいかもしれないわね」
そう答えるコロンの目には、4匹のモフィンクスになりかけたリターナー達が、背後から迫る彼女達に気づいて振り返る様子が映っていた。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【建造物分解】LV1が発生!
【動物の友】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
「ワッ! 後ろ!」
「と、盗賊だッ!!」
モフィンクスっぽいリターナー達は背後からの追跡者(ディアボロス)に怯えながらも戦う姿勢を見せる。
彼らを元に戻すために説得しながら攻撃してもいいし、問答無用に倒してしまってもいい。
ジズ・ユルドゥルム
…死者の眠る場所で騒ぎを起こすのは気が進まないが、そうも言っていられないようだな。
冒険者側の捜索は既に仲間があたっているようだ。私は墓守側を重点的に探すとしよう。
毒性生物とはいえ、生き物を無闇に殺すのは避けたい。
蝙蝠や蛇達を【動物の友】で味方につけられないか試み、
味方にできたならば、墓守側パーティを見ていないか質問。可能なら先導を頼む。
私自身も地面や壁の痕跡、周囲の匂い、反響する音などに注意を払いながら捜索しよう。(観察、追跡)
捜索し終えた部屋や道には、迷わないように色のついた石を置いておこう。
リターナー達を救える余地があるのならば、
なっちゃったからには…もう…
などと諦めるわけにはいかないな。
フィーナ・ユグドラシア
死者の眠りを妨げる上に自作自演ですか。色々な意味で許せません。何としても止めましょう。
墓守側に対処するなら目立つ必要がありそうですし、『陽炎』を使用して光の精霊達を召喚、探索中も同行させます。予備としてランタンも用意。
まず周囲を精霊の光で照らして探索者側の足跡を捜索。足跡を見つけたら追跡開始です。
道中は足跡追跡を優先し、途中の生物は敵対的な物だけ排除。
罠はなさそうですが、怪しい所があれば慎重に確認します。
目標を発見したら、距離がある内に戦闘準備。
接触したら、まずは自分達の姿に疑問を持ってもらいますか。
自分が自分でなくなることが貴方達の望みですか、と。
応戦するのはその後です。
※アドリブ、連携ok
●墓守side
一方その頃、先ほどの三叉路では。
「ふむ、これは……冒険者側の捜索班は真ん中の道に行ったようだな」
ジズ・ユルドゥルム(一つ星・g02140)が残されたメモを回収していた。
「でしたら私達は別の道へ行った方が良さそうですね」
そう告げるフィーナ・ユグドラシア(望郷の探求者・g02439)の顔の横には光の精霊がいた。
精霊の力を利用しての完全視界、それに加えて予備のランタンも用意してきている。
別にフィーナ達が進む分には完全視界があるのだから光源は必要ないのだが……。
「そちらで騒いで、見つけてもらいましょう」
彼女達の目的はこの墳墓を守る者達だ。
冒険者側は物音や明かりがあればあの性質上驚いたり逃げたりしそうだが、墓守側は逆だろう。
効率よく墓守側と接触するためのフィーナの工夫だった。
「よし、じゃあ左に行くか」
ジズは三叉路の左、片隅に目印として色のついた石を置く。
そうして進み始める二人。
左の道はまだ誰も訪れていなかったのか、蛇がうろついていた。
「落ち着け。無益な殺生はしたくない」
ジズが動物の友の残留効果で語りかけると、舌を出し、鎌首をもたげて威嚇していた蛇も大人しくなった。
意思の疎通を完璧に測れるほどではないが、少なくとも敵意がないことは伝わったようだ。
「よし、いい子だ」
落ち着いたと思った蛇が、踵を返すようにあらぬ方向を向く。
その先からは、複数の松明の明かりが近づいてきていた。
「侵入者だ!」
「捕らえろ! いや、殺せ!」
墓守のリターナーだった者達だ。
白い鱗が肌や顔にぽつぽつと浮き上がっている。そして白い鰐の尾が太く長く垂れ下がっており、覚醒が進行しているのが見て取れた。
「待ってください! あなた達のその姿、おかしいと思わないのですか?」
フィーナが呼び掛ける。
「え……?」
鰐男たちは、そこで初めて自分たちの姿が異形めいていることに気づいたようだった。
「いつの間に、俺は……」
「いや、これも神より与えられし権能では……」
「あなた達はあなたの信じる神によって作り替えられているんです。自分でも気づかないうちに他の何かに」
フィーナは鰐男たちへと呼び掛ける。
「自分が自分でなくなることがあなた達の望みですか?」
ジズもまたフィーナに続いた。
「今ならまだ引き返せる。諦める必要はない」
「うぅ、俺は……俺はっ!」
鰐男達は困惑しながらも襲い掛かってくる。
その表情、ためらいがちな仕草からフィーナ達の説得に効果があったのは確かなようだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【動物の友】がLV2になった!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【能力値アップ】LV1が発生!
シアン・キャンベル
貴様等の信仰心は神に届かず、獣じみた姿と化したのか。否、神と呼ばれる存在が神ではなく、真面な権能を揮えなかった結果だろう。考えを改めてよくよく考えると良い。素敵なアイデアが本性を暴いてくれる筈よ――もしも咀嚼出来ないので在れば仕方がない、私との殴り合いだ。否、掬い遭いか
落ち着いて脳内を見せ給えよ。その形を自らで変形させた場合、嗚呼、神とやらの醜悪さが、反芻(マッチポンプ)が見出される。さて、そろそろ解るか?
死者は死者の姿の儘、在るべきなのだよ
貴様等は騙されている。貴様等は唆されている。貴様等は思考を止めている
――働かせるが好い
●VS墓守側
「貴様等の信仰心は神に届かず、獣じみた姿と化したのか?」
そう問いかけたのはシアン・キャンベル(妖蟲・g01143)だった。
「いいや――」
「否、貴様等の篤き信仰は確かに神に届いた。然るにその姿は貴様らの神が紛い物なる証左だろう」
鰐男達が否定するより先にシアン自身が否定する。
反語法。彼女の舌は滔々と言の葉を紡ぎ出し、彼らの精神を冒涜する。
「貴様、我らが神を愚弄するか!」
「頭が痛い……こいつの言葉に耳を傾けるな!」
鰐男達はシアンのパラドクスによる精神攻撃だと気づいた、というより半ば本能的な自衛行動で攻撃に移る。
「くらえぃっ!」
水塊衝。一瞬にして生み出された巨大な水の塊をシアンへと投げつける。
「殴り合いをご所望か。私の言葉を咀嚼できず、反芻もできない。全く哀れな家畜となり果てるか」
シアンはそれを避けようともしない。襲い来る水と衝撃も彼女の弁舌を止めるには至らない。
「落ち着いて脳内を見せ給えよ。その頭蓋を自ら割り、葉に刻まれた脈を曝け出し給え。それは恐れと辱めと、密やかな快感を与えるだろう」
水に濡れた前髪がべったりと額に貼りつく。それにも構わず、シアンは唇を震わし続ける。力を持った言葉は鰐男の耳から頭部へ届き、脳を蹂躙していく。
「貴様等は騙されている。貴様等は唆されている。貴様等は思考を止めている――働かせるが好い」
鰐男は呻くように、吐き捨てた。
「そうかもしれないが……お前の言葉を全て信じる気にもなれない!」
「フッ……フフフ……」
シアンはその返答が妙に気に入ったようで、微かに嗤ったのだった。
「働いてきたじゃないか」
成功🔵🔵🔴
効果1【現の夢】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
フィーナ・ユグドラシア
※アドリブ、連携ok
何とか話を聞いて貰えそうですが、説得と同時に落ち着かせないといけませんね。戦いは躊躇いませんが、最後まで救出も諦めません。
全員が変化している訳でないなら、本当にこれが神の力か疑問に思う人もいるはずです。その人達にも呼び掛けます。
戦闘では『聖槍』を使用。上手く説得出来れば、対象の偽りの姿を消し飛ばすように投げつけますが、説得中は水の塊の迎撃に止めます。
貴方達が護りたいものは、神から与えられたものたけなのですか?
神から与えられた力で何かを護ったとして、そこに貴方達の意思はあるのですか?
思い出して下さい、貴方達の本当に護りたいものが何なのかを。
自分のために、何より仲間達のために。
「貴方達が護りたいものは、神から与えられたものたけなのですか?」
フィーナ・ユグドラシア(望郷の探求者・g02439)がそう投げかけたのは、鰐男と化した墓守だけではない。
まだ半覚醒にも至っていないリターナー達にも同じ問いかけをしていた。
「神から与えられた力で何かを護ったとして、そこに貴方達の意思はあるのですか?」
「お、俺達は神の為に尽くし、神の為に死ぬ……それだけだ!」
そう抗弁するリターナーもいたが、語勢は弱い。
「その結果、自分が自分でないものに作り替えられたとしてもですか?」
「ぐっ……」
フィーナの問いかけに言葉が詰まる。やはり目の前で異形へと変貌した仲間が気になるようだった。
「思い出して下さい、貴方達の本当に護りたいものが何なのかを」
「護りたいもの……」
それは人によって違う。ある者は家族だったり、またある者は名誉だったりするだろう。
「……殺してくれ」
鰐男の口から出たのはそのような言葉だった。
「何を……」
戸惑うフィーナ。もちろんトループス級からリターナーに戻す為には一度撃破する必要がある。
だが、その言葉の真意を聞くまでは手を下したくないという思いもあった。
「俺には神も、家族も大切だ。また元の姿に生まれ変わりたい……それで死んだのならば、それもまた神のご意思だ」
多少捨て鉢ではあるが、それでも戻りたいという意思を感じる。
ならば、とフィーナはまなじりを決する。
「暁光の審判をここに、苦難に癒やしを、悪意に裁きを……!」
手加減せず、苦しむ暇もなくひと思いに。
光の槍で鰐男達を貫くのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
コロン・ルヴィン
※ アドリブ&他の方との連携歓迎
どうも、貴方達の邪魔をしに来たわ。
よろしくね。
話を聞いてくれるまでは攻撃を避けながら立ち回るわ。
反撃は加減をしながらね。
説得がダメだった場合はぐっと自分の気持ちを抑え込んで倒す、倒したくないな。
貴方達、今の自分の姿がどんなのか分かってるの?
貴方達が何を言われて此処に来たのかわからないけど自分の意思でもっと動いてみてはどうかしら。
誰かの命を奪えなんて神様、酷いと思わない。
救えって言ってくれる神様もいるんだって。
信じるならそっちの方がきっと楽しいよ。
●VS冒険者側
「どうも、貴方達の邪魔をしに来たわ。よろしくね」
ちいさくなりかけたいきものへ、コロン・ルヴィン(砂風鈴・g04379)はそう挨拶した。
「新手だよ!」
「フゥン」
問答無用で1匹の目からビームが放たれる。
地面から天井まで舐めるように浮き上がってくるそれを、コロンは横っ飛びでやり過ごした。
「貴方達、今の自分の姿がどんなのか分かってるの?」
「?」
反撃せず、言葉をなげかけるコロン。モフィンクスになりかけた面々は構わずビームを乱射する。
「貴方達が何を言われて此処に来たのかわからないけど自分の意思でもっと動いてみてはどうかしら」
避けたり、ガードしたりしながら言葉を投げ続けること数分して。
「こ、こいつ、攻撃してこないよ?」
ようやくコロンに敵意が無いことに気づいたらしく、半モフィンクスの手が止まった。
「敵じゃないのかも……」
まともに会話できそうな1匹に狙いを定め、コロンは説得を行う。
「誰かの命を奪えなんて神様、酷いと思わない?」
ウンウン、と横の半モフィンクスが頷いた。
「わァ……イヤ、イヤーッ……!」
「ワッ、泣いちゃった……!」
目からビームではなく涙を流す半モフィンクス。
「救えって言ってくれる神様もいるんだって。信じるならそっちの方がきっと楽しいよ」
大成功🔵🔵🔵
効果1【土壌改良】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV2になった!
アストリッド・ヴァルトシュタイン
自分たちは盗賊ではないのでありますが。
探索者の皆様方、ご自身の姿がなんだかちいさくてかわ……おかしくなっている事には気付きませんか。いえ、一緒に行動する仲間の姿の変化に気付いていない時点で、この手の説得は望み薄かも……。
……ならば説得するよりも先に、無力化するべきか。
行動不能になれば、嫌でも此方の話を聞くしかありません。
必要以上の怪我をさせぬ様、武器は用いず素手にて。
この拳は決して憎悪で振るうものではありません……!
ウオオオーッ! なんとかなれーッ!!
敵の動きを【観察】、動きの癖や間合等の【情報収集】したら、衝撃波を掻い潜り【グラップル】にて掴み、絶妙の手加減をしたすごいパンチで無力化を狙う。
「あ、その方向で良かったのでありますね」
その光景を見ながらアストリッド・ヴァルトシュタイン(Löwenzahn・g04015)は拍子抜けしたように呟いた。
「クロノヴェーダの常識改変も指摘すればなんとかなることもある、って感じでありますかね……いやーでも排斥力とかあるしなあ、やっぱり望み薄かも」
そこまで呟いてから、アストリッドは分析は後にしてひとまず彼らを元に戻すことにする。
「手加減するつもりだったでありますが、この様子なら長い間痛い思いをさせるよりは……」
目指すは全力での一撃撃破。握りこんだ拳をアッパー気味に天へと突きあげる。
「ウオオオーッ! なんとかなれーッ!!」
「ワーッ!!!」
ここは地中だが、青空に浮かぶ白雲さえつかめそうな一撃。
半モフィンクスの面々は一撃で倒され、地へと伏していく。
「このおじさんたちが、ヤダッとか言ってたでありますか
…………」
頭身も人のそれに戻り、素足から生えたすね毛を見せつけられたところで、アストリッドもまた現実に引き戻されたような感覚を覚えるのだった。
成功🔵🔵🔴
効果1【建造物分解】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
墓守も冒険者もリターナーに戻すべく撃破した。
残るは墓地の最奥、大岩戸の奥を根城とする唆(そそのか)しの元凶、アヴァタール級のタウエレトのみである。
彼を倒し、この同士討ちの悲劇ばかりを産む儀式を止める必要があった。
ジズ・ユルドゥルム
さて。自ら手を下さない偽神に、報いを与える時だな。
変異していない墓守側の人間から、最奥の扉の場所を聞き出しておこう。
偽神は墳墓で起きている事態を知ることもなく、新たな従僕が誕生するのを待ちわびているだろうか。
だが、従僕は来ない。来るのは腹の底に怒りを抱えた復讐者だ。
奴はもう終わり…ってコトだ。
奴が事態を把握する前に、
槍状に変形させた「サンドストーム」を撃ち込んで先手を取ろう。
水流攻撃は、【砂使い】で土嚢のように砂の壁を作ることで勢いを殺す。
人々を唆し、嘘を真実と信じさせ、自らの手は汚さずに人の生命を脅かす…。
お前のような手合いと戦う時は、俄然戦意が高揚するよ。
生命を軽んじた報いを受けるがいい。
フィーナ・ユグドラシア
※アドリブ、連携ok
さて、多くの人の命を弄ぶ元凶を倒し、この儀式を止めませんとね。
リターナーさん達には、安静にして貰えれば活性治癒が働くでしょうが、念のため安全な場所に退避して貰うとして……。
最奥の場所を確認したら行きましょう。
最奥到着後、扉を開ける前に『聖槍』を準備し、敵の不意打ちに備えます。
突入後、まず中の状況を確認しつつ敵を確認。
出来れば先手を取って出鼻を挫きたいですが、後手に回るようなら無理せずに回避行動です。
戦闘では『聖槍』の投擲で応戦。急所が分かればそこを狙います。
敵の水流は、戦場に盾代わりになりそうな地形があれば、そこに隠れて水流をやり過ごすのも手ですが、なるべく回避に努めます。
コロン・ルヴィン
※ アドリブ&他の方との連携歓迎
貴方かな、命をとって来いなんて言っちゃう酷い神様は。
あの人達、泣いていたのよ。
あの人達のこと何も考えてあげてないのね。
墓守さんの方に行ってた人も無事だった様で何より。
みんなでお仕置きね。
逃げるなんて野暮な事はしないだろうけど念のため退路になりそうなところをスズと陣取って立ち向かうわ。
侵入者は撃退なんでしょ?やってみせてよね!
攻撃は壱風。
伊達に風使い極めてないのよ。
私の自慢の風で貴方の変な液体ごと貫いて見せるわ。
誘導弾からうまく逃げれるかしら。
さぁ、頑張って頑張って!
アストリッド・ヴァルトシュタイン
モフィンクスたちの変化前の姿は地味にショックだったであります。
……例え本物の神様であろうとも許される行いではなし。ならばいっそ為してしまうか、神殺し。いえ、所詮は神を僭称する紛い物。さしたる誉れにもなりますまいが。せめて貴方を討つ事で、その在り方を歪められた人々の慰めとしましょう。
敵と適度に距離を保って敵の動きをよくよく【観察】、間合いや癖などを【情報収集】。大振りのハンマーを掻い潜りつつ小銃による乱射で牽制し接近。【グラップル】で組み付き、巨体では腕が回らず取り除きにくい死角に、虎の子の収束手榴弾を引っ掛け私自身は飛び退る。……存分に【破壊】致しましょう。
……なんとも汚い花火でありますな。
「…………」
ジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)は眼前に展開された大岩戸を睨みつけていた。
覚醒しなかった墓守側のリターナーから聞き出して到着した迷宮墳墓の最奥。
敵のいなくなったダンジョンはやすやすと奥深くまで到達できる。
「今でも偽神はこの奥で、新たな従僕が誕生するのを待ちわびているのだろうな」
「偽神……確かに、そうかもね。あんな信者に酷いことする神様なんて……」
コロン・ルヴィン(砂風鈴・g04379)もジズの言葉に同意する。
「この○○○○○○において神であり、その実、神を僭称するクロノヴェーダ……言うなれば擬態型でありますね」
アストリッド・ヴァルトシュタイン(Löwenzahn・g04015)は覚悟を決める。
「たとえ本物の神様であろうとも、許される行いではなし……」
神をも殺す覚悟を。
「いつでも、準備はできてます」
フィーナ・ユグドラシア(望郷の探求者・g02439)はパラドクスの用意をする。生み出した聖槍をいつでも投擲できる体勢だ。
「では……ここは僭越ながら自分が開けさせていただくであります」
各人、先制の一撃を叩き込むと見てアストリッドが大岩戸を引き開く。
「建造物分解でもできればよかったでありますがっ……!」
重い岩戸を引きながらボヤくアストリッド。この岩戸を分解することはタウエレトが同意しないだろう。
岩を引きずり開けたそこ、深淵めいた暗闇から、重く鈍い声がした。
「この扉を開けるほどに成長したか、新たなる我が下僕よ」
「誰が下僕だ」
ジズがサンドストームを巻き起こす。生み出した砂嵐をコロンの壱風が集めて、指向性を持たせる。
そうして宣戦布告代わりに、大岩戸の隙間へ矢のような砂嵐を叩き込んだ。
「伊達に風使い極めてないわよ」
「貴様はもう終わり……ってコトだ」
「…………」
返事はない。
その代わりに、岩戸の隙間から水があふれ出してきた。
氾濫するナイルの流れのように、全てを押し流そうとする。
ジズは砂を集めて土塁のように堤防を作ろうとするが、水流の勢いに押し込まれた。
「悪意に裁きを……!」
完全視界で扉の中、漆黒の闇を見渡したフィーナが光の槍を投擲する。
命中し、まばゆい光を発する聖槍。扉の奥がどうなっているかを浮かびあがらせる。
そこは石を切り拓いて造った広間になっており、大岩戸以外に出入り口は見当たらない。
本来ならば王侯貴族クラスの者が埋葬される空間に、このタウエレトは居座っていた。
「くっ……!」
フィーナの攻撃を受けたことで水流の勢いが更に増す。痛みすら感じる激流に翻弄されながら、まずは大岩戸の中にまでたどり着きたい。
「いい加減にするであります!」
アストリッドの小銃が火を吹く。支援射撃が何発かタウエレトの盾を穿つ。
水流の勢いが弱まった隙を見計らい、岩戸の隙間をすり抜け、至近距離へと侵入する。
そこにはハンマーを振り上げて待ち構えるタウエレトの姿があった。
水流の勢いが弱まったのは、このハンマーを手にしたからだ。
泥で動きづらい足元を気にせず、アストリッドは前方へと跳ぶ。
巨大では腕が回らず、死角の多い懐へと飛び込む。そしてすれ違いざまに一撃を食らわせた。
爆発的な威力。装甲の一部が弾け飛び、泥も爆発四散する。
「……なんとも汚い花火でありますな」
手の甲で目に入ろうとする泥を拭いながら、終いにはそう呟くのだった。
「……貴様ら、何者だ?」
ディアボロス達の姿を認め、誰何するタウエレト。
「何者でもいいでしょう。そうね、ひとつ言えるのは……」
コロンは首を振る。
「あの人達、泣いてたのよ」
「ふむ……話は見えぬが、素体として不適格だったということだな」
タウエレトの言葉に、コロンはただ嘆息した。
「あの人達のこと、何も考えてあげてないのね」
「手駒を気に掛ける必要などあるまい」
「多くの人の命を弄んで、この期に及んでその言葉ですか……」
フィーナもまた、怒気を孕んだ瞳でタウエレトを見据える。
「みんなでお仕置きね」
「はい……!」
そして、コロンの言葉に首肯するのだった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【土壌改良】がLV2になった!
【活性治癒】がLV2になった!
【エイティーン】LV1が発生!
【建造物分解】がLV3になった!
効果2【ロストエナジー】がLV3になった!
【ドレイン】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV3になった!
シアン・キャンベル
此処まで旧臭く莫迦みたいな面だとは想像以上だった。故に貴様の脳髄は喰らうに値せず蛆どもの餌と見做すのが相応だ
星を喰らえ蛆虫、奴の悉くは脂質(よけいなもの)だ――やる事は単純明快、涙でも濁流でも胃袋(ぜんどう)に収めれば好い
シンプルな暴虐行為だ、ダメージアップを活かして突撃し命(それ)の欠片も残してはいけない。おや、こぼれた三分の一のタンパクではないか、味見程度はしておこう
それでも倒れないならば『予め作っておいた罠』の起動だ、古典的な面には同じく古典的(おとしあな)で問題ないだろう。巨体がはまって抜け出せないと視える、なんと間抜けな頭(おつむ)か
河馬を後ろから唱えれば冒涜的、平穏を乱す嘘は絶えよ
「此処まで旧臭く莫迦みたいな面だとは想像以上だった」
シアン・キャンベル(妖蟲・g01143)は端的にタウエレトを罵倒する。
「鶏鳴狗盗の輩は河馬として捉えるにも価しないであろう」
「減らず口を! その頭をかち割り、黙らせてやろう!」
タウエレトはカバを思わせる強い膂力でハンマーをひと思いに振り下ろす。
槌がシアンの脳天へと叩きつけられる。破砕音。微かに漏れるうめき声。
砕けたのはシアンの額と、タウエレトの腕だ。
「シンプルな暴虐行為だ」
それはタウエレトの攻撃への評であり、同時に自らの繰り出したパラドクスの説明でもあった。
異常成長した蛆虫を召喚し、タウエレトの腕、顔、腹、足……ありとあらゆる部位を喰らいつくさせる。
「うっ、がっ……! ぐぁぁあぁぁっ!」
蛆虫は肉を齧り、骨を砕く。その全てを破壊し尽くさんとする。
全身を襲う痛みにタウエレトはもはや立っていられない。うめき声は叫び声へと拡大する。
ひっくり返り、芋虫のようにのたうちまわるばかりだ。
「河馬を後ろから唱えた姿という訳だな。なるほど冒涜的だ」
脳天から流れる自らの血を舌で掬い取り、シアンは眉ひとつ動かさず宣告した。
「平穏を乱す嘘は絶えよ」
成功🔵🔵🔴
効果1【避難勧告】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!
フィーナ・ユグドラシア
※アドリブ、連携ok
流石にそうそう簡単には倒れてくれませんか。
でも、私は徒に多くの人の命を弄ぶ儀式は止めると決めました。ですから、貴方をここで倒して、死者への鎮魂歌としましょう。
射撃戦でも良いですが、ここはより確実に行きましょう。
まず『精霊の手』で自己強化、それから接近して相手の急所を狙います。
これまでの攻撃で装甲が壊れた所や傷になった箇所なら、より効果が高いはず。そこを狙って細剣で刺し貫きます。
もし接近前に相手が攻撃するようなら、両手の精霊を魔力弾として投擲し迎撃。それと同時に液体に触れぬよう注意して動きましょう。地形は利用出来なさそうなので、純粋に横飛びで回避するだけになりそうですが……。
「流石にそうそう簡単には倒れてくれませんか」
フィーナ・ユグドラシア(望郷の探求者・g02439)は息も絶え絶えになりながらも、なおも抵抗しようとするタウエレトに対し細剣を向けた。
「倒れるのは……貴様らの方よ……」
手負いの輩が最も危険だと知っている。虫の息といえども油断はせず、掲げられた盾から放たれる液体を凝視する。
「精霊達よ、どうか、私に力を貸して……!」
自らの魔力を糧として、両手に精霊を宿す。そして液体に向け、精霊を解き放った。
暗い墳墓内を仄かに照らす精霊の残滓が、液体を飲み込み、打ち破り、タウエレトへと向かう。
「ぐ、うっ!!」
精霊の体当たりを受けてタウエレトがのけぞる。降り注ぐ液体から逃れるのと接近戦で確実に仕留める為に強く前へと踏み込んでいく。
「私はいたずらに多くの人の命を弄ぶ儀式は止めると決めました」
浮いた顎と首の間へ、間断なく細剣を刺し入れた。
「ぐ、ああぁ……」
息が抜ける。
発声器官を貫かれ、声も出せずに悶えるタウエレト。
「ですから、貴方をここで倒して、死者への鎮魂歌としましょう」
それは同士討ちで殺され、覚醒に至らず息絶えた物言えぬリターナー達の怨嗟の声にも似ていた。
喉から首裏までを刺し貫いていた細剣の刃が引き抜かれる。どう、とタウエレトの巨体が倒れ世界が僅かに揺れる。
それは忌まわしき儀式が終焉を告げた瞬間だった。
成功🔵🔵🔴
効果1【操作会得】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!