砂漠の民を生かす為に(作者 泰月
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#獣神王朝エジプト  #オアシスを捨てて 

●これはまだ、防げる未来の惨劇
「ぐっ――ああぁぁぁっ!」
 砂漠に悲鳴と、紅い飛沫が上がる。
 男の腕を喰いちぎったのは、白い鰐。鰐とナイル川の神セベク配下のトループス級のエンネアドである。
 まるで水中を泳ぐように空を飛び交う白鰐の群れによって、オアシスに生きる人々が老若男女の区別なく、蹂躙されていく。
「水辺なら白鰐神群だと思ってセベクから借りて来たけど……所詮、信仰無き者ねえ。ワタクシがハンマーを振るうまでもないわ」
 そんな惨劇を眺めるは、カバ頭の川神タウエレトを名乗るエンネアド。
 本来なら川や水の神である筈の存在によって、オアシスの泉が紅く染まっていく。

●最初の時先案内
「お待ちしておりました」
 ディアボロス達がパラドクストレインのひとつに乗り込むと、長い黒髪の少女が座席から立ち上がり、深々と頭を下げた。
「私はライラ・バルターグ。時先案内人の一人です。いずれ、ゆるりとご挨拶させて頂く機会もありましょう。今はこのパラドクストレインの行き先である、『獣神王朝エジプト』で起きる事件についてお話します」
 顔を上げたライラ・バルターグ(人間の時間神官・g03371)は、見た目よりも大人びた話し口調で、自己紹介もそこそこに本題を切り出した。
「かのディヴィジョンには、クロノヴェーダの支配地域の中でも、古代エジプトの神を信仰しない人々がいます。砂漠のオアシスに生きる、砂漠の民と呼ばれる人々です」
 クロノヴェーダにとって、自分達を信仰しない砂漠の民は目障りな存在なのだろう。彼らを滅ぼす為の軍勢が動き出し、遠からず彼らは滅ぼされる。
「砂漠の民に勝ち目はありません。軍勢の規模が余りに違い過ぎるのです」
 ディアボロスが加勢すれば、一時的な勝利は可能だろう。だが、それでは解決にはならない。ディアボロスも現地に留まれない以上、彼らが生き延びるには、オアシスを出て砂漠の更に奥地へ逃るしかない。

「皆様に現地でして頂きたい事は、まずはオアシスの集落に潜入する事です」
 これは難しくない。城壁などがあるわけでもない。余所者である事は隠しきれないだろうが、砂漠を渡る商人などを装えば良いだろう。
「次に、オアシスを捨てて逃げるよう、砂漠の民を説得してください。これは……簡単ではないと思います。砂漠に生きる者にとって、オアシスは大事ですから」
 オアシスは貴重な水源だ。砂漠の民にとっては、故郷でもある。
 それを捨てろと言うのは、容易な決断ではない。
 誰をどう説得するか、という部分が鍵となろう。
「また、彼らを説得している間にも敵は行軍を続けています」
 カバ頭の川神タウエレトと、率いるはナイル川の神セベク配下の白鰐の群れ。
 エンネアドの先遣隊よりも早くオアシスに到着できるのは間違いないが、説得に時間がかかれば、襲撃が始まるかもしれない。外への警戒も必要だ。
 或いは、襲撃を利用して砂漠の民に危機を実感させると言うのも、決断を促すのに有効かもしれない。
「いずれにせよ、川の神を名乗りながら泉を汚さんとする神など、遠慮なく撃破してください」
 戦い続ける必要はない。先遣隊を倒せば、砂漠の民の為の時間稼ぎは充分だ。

「時間稼ぎしか出来ない、と思いますか? 私も、時先案内人のお役目がなければそう思ったかもしれません。ですが、砂漠の民が生き延びる事が、未来に希望を繋ぐ事になる筈なのです」
 まだどんな未来に繋がるのかは、伝えるライラにも判らない。
「私はそう信じます。皆様の勝利も」
 それでもそう信じて、そして今は戦えない、己の分も託すように、ライラはディアボロス達を見上げて告げた。

●アッバスの予感
「……」
 オアシスの泉の畔で、アッバスは一人、黙考していた。
 このオアシスの集落の、長の様な立場にいる男だ。
(「神を信仰せぬ我らに、いつ矛先が向くやもしれぬ」)
 流れの商人達から聞いた王朝側の様子から胸中に生じた予感を、しかし、アッバスは集落の誰にも言えずにいた。
 神々の矛先を逃れるなら、砂漠の奥に向かうしかない。だがそれは、過酷な砂漠の旅に出ると言う事だ。
「……いっそ、泉が枯れでもすれば、決心出来るのだがな」
 予感が杞憂であれと願い、アッバスは小声で一人呟いていた。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【水源】
2
周囲に、清らかな川の流れを出現させる。この川からは、10秒間に「効果LVトン」の飲用可能な水をくみ上げる事が出来る。
【飛翔】
2
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【強運の加護】
1
幸運の加護により、周囲が黄金に輝きだす。運以外の要素が絡まない行動において、ディアボロスに悪い結果が出る可能性が「効果LVごとに半減」する。
【照明】
1
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【託されし願い】
1
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【友達催眠】
1
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【プラチナチケット】
1
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【熱波の支配者】
1
ディアボロスが熱波を自在に操る世界になり、「効果LV×1.4km半径内」の気温を、「効果LV×14度」まで上昇可能になる。解除すると気温は元に戻る。
【土壌改良】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の地面を、植物が育ちやすい土壌に変える。この変化はディアボロスが去った後も継続する。
【温熱適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が、気温摂氏80度までの暑さなら快適に過ごせる世界に変わる。
【落下耐性】
1
周囲のディアボロスと、「効果LV×300m半径内」の通常の生物に、どんな高所から落下しても、落下時の衝撃を2mの高さから落下した程度に軽減する能力を与える。
【書物解読】
1
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。
【通信障害】
1
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)及びアルタン・ウルク個体間の遠距離情報伝達が不可能な世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【命中アップ】LV2 / 【ダメージアップ】LV3 / 【ガードアップ】LV1 / 【反撃アップ】LV4 / 【アクティベイト】LV1 / 【ラストリベンジ】LV1 / 【アヴォイド】LV1 / 【ロストエナジー】LV2

●マスターより

泰月
 泰月(たいげつ)です。
 ついにチェインパラドクスのシナリオ始動です。
 こちらでも、よろしくお願いします。

 今回は『獣神王朝エジプト』で、オアシスに住む砂漠の民を巡る事件となります。

 さて、幾つかOPの補足を書いておきます。

 パラドクストレインの到着地点ですが、砂漠です。
 砂漠の真ん中です。
 オアシスに直行したりしません。目立つじゃないですか。
 だから、オアシスに潜入するような選択肢②があるのです。
 他の選択肢は、①が砂漠の民の説得、③④がクロノヴェーダの先遣隊の撃破となります。
 OPに記載した内容に相当する選択肢を選んで、それぞれにプレイングをかけて頂く事になります。ですが、シナリオの成功条件となる選択肢は、④の【アヴァタール級との決戦『タウエレト』】だけです。
 他の選択肢を無視して4番の選択肢だけを全員で選んで🔵が👑に達する事でも、それはそれで、シナリオ成功になります。
 但し他の選択肢の🔵が成功に届いていない場合、それらの選択肢は『クリアしていない』と言う事になり、それなりの影響が出ます。
 選択肢を全てクリアしていくのなら、④の成功条件を満たす前に、他の選択肢をクリアしておく必要がある、と言う事です。
 全ての選択肢をクリアするのか。
 それとも、敢えてクリアしない選択肢を出すのか。
 どういう形で事件が決着するかは、皆さん次第となっております。

 ではでは、よろしければご参加下さい。

 ※8/24に新型コロナワクチン2回目接種予定です。副反応次第では、執筆期間ギリギリまで使わせていただく事になるかもしれません。
86

このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


ワーズ・ディアハルト
まず頭から後ろに日除けとして白くて長い布を被って、見た目から商人らしい格好を演出して、砂漠を渡っている商人だと装い集落に侵入しよう。
出来れば人目付かずに歌って、現れたパラドクスの英雄は『自分の護衛』だとしておけば、残留効果とで一石二鳥だろう。不慣れ感については「商家の家業を継ごうとしている、歌しか知らない若坊で分からん事だらけでな」とでも言えばいい。
調べたい事は、まず『砂漠の民の数』と『敵軍勢の数』。特に前者。これからの行動の基軸になる。次に『今の食料備蓄』。他にディアボロスではない商人から『ここから奥地に向かった先、最短で休息が出来る場所はどこか』を聞こう。これが聞ければ移動が楽になるはず。


●歌える商人として
「よう。同業だろう?」
 オアシスの集落に入り込んだワーズ・ディアハルト(守護者・g02389)に、頭部に白布を巻いた男が声をかけて来た。ワーズも同様に、長い白布を被っている。日除けも兼ねてだったが、ちゃんと流れの商人と見える恰好になっているようだ。
「で、お前は何を売って……って、何もないじゃねえか」
 物々交換でもしようと思ったのか、商人は無遠慮にワーズに近づいてきて、その荷物の少なさに目を丸くする。
「今はまだ、これだけだ」
 その様子に苦笑しながら、ワーズは魔楽器を手に取り深く息を吸い込んだ。

「~~♪」

 ヒロイックシンフォニー。
 雄々しき楽曲によって幻影の「英雄」を創造するパラドクスの楽曲のみを、ワーズは砂漠のオアシスに響かせた。
「はぁ……商人なのに上手いもんだな」
「まあな。とは言え、歌しか知らない若僧でわからん事だらけでな。今後の商売の為に、まずはこのオアシスを知ろうと思って来たんだ」
 感嘆の溜息を零す商人に、ワーズはディアボロスとしての魂胆は隠し、あくまで若い商人として訪れた目的を告げる。
「お前さん、他の集落にも行こうってのか。なら、南西にしとくんだな。幾つか小さなオアシスがある」
 商人は特にワーズを疑う事も無く、答えはあっさりと返って来た。
「南西だな。ありがとう」
「こっちにいると思う」
「あれって、歌だったのかしら?」
「絶対、誰か歌ってたって」
 商人に礼を述べていると、女性の声が近づいてくる。ワーズが声の方に視線を向ければ、砂漠の民の女性が数人、連れ立って歩いてきた。どうやら、風に乗って流れたワーズの歌声に、興味を惹かれたようだ。
「ねえ、さっきの歌、お兄さんでしょ?」
「おお。この兄ちゃんだ。上手いぜ」
 女性達の様子に何かを察したか、商人はそう答えるなり、そそくさとその場から後退っていく。
(「す、素早い……」)
「さっきの歌、もう一回歌って欲しい」
「他の歌はないの?」
「あるが……」
 商人の動きに内心舌を巻いている内に、ワーズは砂漠の民の女性陣に囲まれ、もう2,3曲歌う羽目になる。
 だがその結果、歌で気を良くした女性達から、話を聞く事が出来た。
 住人は100人に満たない程度で、節約すれば一週間程度の備蓄はあるという。砂漠の民がこのオアシスを出た後の行動の基軸となる幾つかの情報は得られたのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【プラチナチケット】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!

結島・詩葉芭
「目印のないお出かけは、とても不安です。たびのしょう人さんに、他のオアシスがありそうなばしょをきいてみます。もしくは、どこか山があるところはしりませんか。ちかに水があると、しんじゅくとうでしらべてきました」
 事件についてこう感じ、クロノヴェーダを赦さずディアボロスとして解決を目指します。

「②街に潜入して情報を得る」に挑戦し、有効そうであればパラドクス「青龍水計」を使って、お礼に水を提供します。
 他のディアボロスが有利になるように行動し、連携できそうなら、作戦の足りない部分を補う形で助力します。
 最大の目的は、この事件の解決で、そのためならばある程度の怪我や些細な失敗はやむを得ないものとします。


●道しるべを刻む
「あの兄ちゃん、しばらく歌わされるな」
 ワーズが砂漠の民の女性達に囲まれる前にその場を離れた、流れの商人。
「ちょっと、まってください」
 その腰布を、小さな手が掴んで止めた。
「たびのしょう人さんですよね」
「お、おう。なんだ、お使いかぁ?」
 ワーズのパラドクスの残留効果もあり、商人は結島・詩葉芭(インセクティアの神算軍師・g02796)の前で、すんなりと足を止めた。
「他のオアシスがあるのは、どこですか? さっき『なん西』って言ってたのがきこえましたけど、『なん西』だけでは広すぎます」
「お、おう……そうか」
 捲し立てる詩葉芭に、商人は困った様に頷く。
「けどな。どこって言われてもな……」
 商人とて、情報を隠しているわけではない。砂漠に道があるわけでもなく、強い風や砂嵐で地形が変わる事もある。正確な場所を教えるのが、難しいのだ。
「とにかくだな……ちょっと、こっち来い」
 考えた末、商人は詩葉芭の手を引いて集落の外まで歩いて行った。
「こっちだ。この集落からなら、この場所から出て進めばいい」
 結局、商人が詩葉芭に伝えたのは、集落からの凡その方向であった。これはこれで、砂漠の民が集落を出ると決断した際の方向を示すには使える情報であろう。
「では、もう一つしつもんです。この方向で、どこかに山があるところはしりませんか?」
 この詩葉芭の問いの意図は、山そのものよりも、その地下にある水脈だ。
 オアシスとは、地下水脈より湧き出た泉を中心とした緑地帯。平地より降水量が多い山に出来る地下水脈が、周辺のオアシスになる可能性がある。
「山? ……見たような気もするが、正確な場所はわからねえなぁ」
 商人の答えはやはり不確かではあったが、これ以上の情報は望めないだろう。
 可能性があるというだけでも、収穫だ。
「そうですか。ありがとうございます。お水をどうぞ」
 詩葉芭は商人にぺこりと頭を下げ、羽扇を取り出し身構える。
「せいりゅう水けい」
 詩葉芭が商人の言う南西に扇を振り下ろすと、その前方に突如、膨大な水流が発生した。
「な、な、な……」
「目印のないお出かけは、とても不安ですから」
 突然の事に言葉を失う商人に、詩葉芭はさらりと告げる。本来なら敵軍を呑み込み押し流すパラドクスの水流を、詩葉芭は目印と砂漠に刻んだのだ。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【水源】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!

伊斗浜・蘭華
神の名を語るどこまでも恥知らずな異教徒どもが集落を襲うと、いけませんね。いけませんいけません。迷える子羊達を救うのも聖女たる私の使命と言っても過言ではありません。
というわけで私も勧誘活動と洒落込みましょう。
そこのご婦人、あなたは神を信じますか?すごい嫌そうな顔で一瞥した後無言で早足で去ろうとしないで下さい。(聖女は回りこんだ!)
いえいえ、私は真なる神様の聖女。あなた方が恐れる異教徒どもとは無関係ですよ。そう、いわば世界の救世主であり創造主。ちょちょちょ、他の人に助けを求めようとしないで下さい。
ほら、よく話を聞きましょう?(パラドクス使用)

ではこの街の話を聴きましょう。後そこの入信書類にサインを


●聖女とは
 一方、その頃――。
「神の名を語り、集落を襲うなんて、どこまでも恥知らずな異教徒どもですね」
 オアシスに潜入した伊斗浜・蘭華(悪霊憑きの聖女・g00580)は、集落を滅ぼしに来るクロノヴェーダに対して憤慨していた。
「いけませんね。いけません、いけません。迷える子羊達を救うのも聖女たる私の使命と言っても、過言ではありませんね」
 そう決意を固める蘭華の前方には、こちらに歩いてくる砂漠の民の女性が1人。

「そこのご婦人、あなたは神を信じますか?」

 そして、蘭華は笑顔で不審者になった。
「……」
「あ、無言で早足で去ろうとしないで下さい!」
 砂漠の民の女性が、すごい嫌そうな顔で踵を返すも、蘭華はズザァッと砂を蹴散らし回り込む。
「な、なんですかあな――」
「私は真なる神様の聖女です」
 流石に声を上げた女性に対して、蘭華は食い気味に聖女を名乗る。
「え? あ、王朝生まれの方ですか? 私達、神様とか信じないので……」
 だが砂漠の民の女性は、ますます蘭華を怪しんだ。元々、この獣神王朝エジプトに置いて神々を信仰していないのが砂漠の民なのだ。これで、蘭華を怪しむなと言う方が難しいだろう。
「あなた方が恐れる異教徒どもとは無関係ですよ。そう、いわば世界の救世主であり創造主!」
「だ、だれかー! 族長ー!!」
 幾ら目を背けてもグイグイと視線を向けて来る蘭華に、ついに女性は声を張り上げる。
「ちょちょちょ、他の人に助けを求めようとしないで下さい」
 これには蘭華も慌てて、女性を宥めようとする。
 同時に、最後の手段に出た。
「ほら、よく話を聞きましょう?」
 みょんみょんみょん。
 蘭華の頭上から放たれる、謎の後光。
 蘭華曰く神のありがたさを諭す為の威光と言う名の洗脳系パラドクスの光が、砂漠の民の女性に浴びせられる。
「いいですか? この集落の話をして下さい。例えば、さっき呼ぼうとしてた族長の事とか……あとこの書類にサインを」
「族長ですか。アッバスさんは、三代目の族長です。2年前、彼のお父さんから後を継いで……あ、丁度そこに本人が」
「誰か呼んだかな?」
 目がぽわんとなりつつ、蘭華に答える女性が指で示した先には、何やら厳めしい感じの砂漠の民の男性が立っているではないか。
 経緯はどうあれ、族長を引っ張り出す事に成功したのである。
 なお、サインは女性が字を書けなかった。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【友達催眠】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!

エーブリム・ボウマン
オーケー、良いロケーションだ
残念ながら監督も脚本もねぇが、天然のモンスターパニックができるな
オレは皆も知っての通り、派手な絵が好みでね
監督の真似事は苦手だが……シーン1、戦闘機を壊す事で迫る魔物の強さを迫力満点に見せつけ、主役を輝かせるためのシーン、アクション!

説得目的の人がオアシスに入ったのを見届けてから行動を開始
先遣隊を探し、召喚した爆撃機で攻撃を仕掛けます
地面がぬかるんでも関係なく敵を攻撃出来る相性差で、少しでも保てるといいなあ

この攻撃の目的は「敵が迫っている」事を示して他の説得組の説得の後押しをするため
そのため、説得目的の人が出るまでは待機

あと、派手な絵を撮るためでもあります


結島・詩葉芭
「オアシスを出ることをきめるの、きっとすごくたいへんなことです。せっとくの、じかんをかせぎます」
 事件についてこう感じ、クロノヴェーダを赦さずディアボロスとして解決を目指します。

「……いきます」
 白鰐神群の「白鰐神の尾撃(POW)」に対し、パラドクス「馬大頭乃翅化(オニヤンマノウカ)」を使うことで、【飛翔】により仲間の足が捕られるのを防ぎます。
 撃破できそうな敵を優先して攻撃し、敵の数を減らしていきます。
 他のディアボロスと連携して戦える場合は、可能ならば、援護します。
 勝利のため、ある程度のダメージはやむを得ないものとしますが、他のディアボロスを不利にするような行動はしません。


●防衛のレッドライン
 パラドクストレインを降りた多くのディアボロスがオアシスを目指す中、エーブリム・ボウマン(人間の映画俳優・g01569)はひとり、砂漠で足を止めていた。
 やがて、砂漠の熱で揺らぐ空気の向こうに、白い群れが見えて来る。
 空を飛ぶ、鰐の群れが。
「オーケー、良いロケーションだ」
 容赦なく照り付ける砂漠の日差しを浴びながら、エーブリムは笑みを浮かべた。
「天然のモンスターパニックができるな」
 鰐が空を飛ぶなんて、映画の題材にぴったりではないか。
「監督の真似事は苦手だが……オレは皆も知っての通り、派手な絵が好みでね」
 監督もいなければ、脚本もない。
 だが、それがどうしたと言うのだ。最終人類史だったなら、監督・脚本・俳優のマルチキャストなんて、珍しくはなかった。

「シーン1、戦闘機を壊す事で迫る魔物の強さを迫力満点に見せつけ、主役を輝かせるためのシーン、アクション!」

 カチンコ代わりにパチンと指を鳴らせば、それらはエーブリムの遥か頭上に忽然と現れた。この時代のエジプトに存在する筈のない戦闘機が。
 EverybodyFlight。
 パラドクスによって召喚された戦闘機が編隊を組んで飛び、その翼から白鰐神群にミサイルを撃ち込んでいく。
 ドッドォーンッ!
 立て続けにミサイルが着弾し、爆発音が響く。爆発と衝撃で舞い上がった砂で、白鰐の群れが一瞬見えなくなる。
「やったかっ!?」
 そんなお約束をエーブリムが口走った直後、砂の中から飛び出してきた白鰐の一体がギュルンッと回転しながら尻尾を叩きつけ、1機の翼が打ち砕かれた。
「オーケー、オーケー。これでいいのさ」
 墜落した戦闘機が爆発しても、エーブリムは笑みを絶やさない。
 モンスターパニックものでの戦闘機の類の役は、こういうものだ。カマセになる事こそが花――そういう存在も、エンターテイメントには必要だ。
 それに、戦闘機ならば白鰐神群がいくら砂漠をぬかるみに変えても影響はない。幾ら反撃を受けても、構わず攻撃を続けることが出来る。
「グォォォゥ」
「あ、ばれた?」
 何度もミサイルを浴びる内に、白鰐神群も術者に気づいたのだろう。白鰐神群の数体がエーブリムに飛び掛かる。

 ――そこに、砂を蹴る重たい音が響いて来た。

 結島・詩葉芭(インセクティアの神算軍師・g02796)は、オアシスの外で目印となる清流を作った後、すぐさま来た方向へと戻っていた。
 その途中で響いた爆音で戦いが始まったと気づいて、詩葉芭は無双馬を急がせる。
「……いきます」
 そして戦場が見えた所で、詩葉芭無双馬の鞍上で立ち上がった。
 馬大頭乃翅化――オニヤンマノウカ。
 黒と黄色が交互に渦巻くオーラを纏った詩葉芭は、馬より速い速度で空を翔び、エーブリムに尾を叩きつけた白鰐の1体に突っ込んだ。
 白鰐が奇襲に気づいたとしても、目にも止まらぬ速度で飛んでくる詩葉芭を避ける事は敵わなかっただろう。
 空中でひっくり返って落ち行く白鰐の腹を蹴って、詩葉芭は再び空を舞い、別の白鰐の背後に回り込んで、横腹に一撃を叩き込む。
「グォゥ!」
「っ!」
 直後、詩葉芭の背中に白鰐の尾撃が入る。だが次の瞬間には、詩葉芭はその白鰐の背後に逆に回り込んで、砂漠に叩き落していた。
 飛行能力を得た詩葉芭には、白鰐が作った地面のぬかるみも関係ない。
「ヒュウ」
 新たなディアボロスの登場に、エーブリムは目を輝かせる。
 ああ、これでもっと、派手な画が撮れそうだ――と。
「いいね。カンフーアクションも混ぜて行こうか!」
「……よくわかりませんが……えんごします」
 映画人としての欲を隠しきれていないエーブリムの近くに、詩葉芭がふわりと浮かんで止まる。
「オアシスを出ることをきめるの、きっとすごくたいへんなことです。わたしも、せっとくの、じかんをかせぎます」
 詩葉芭がオアシスに戻らなかったのは、砂漠の民の説得を他のディアロボロスに任せ、その時間を稼ぐため。それは最初から砂漠に留まったエーブリムも同じ目的だ。
「ああ。敵が迫っている事を示す為にも、派手に戦おうか」
 加えて、エーブリムは『敵が迫っている』と言う事を砂漠の民に知らしめ、説得の後押しをすると言う目的もあった。派手に攻撃して派手にやられる戦闘機を召喚したのは、ただ単に派手な画を撮りたかったと言うだけではない。
 2人の防衛戦は続く。
 後ろにあるオアシスで、説得がうまく行くと信じて。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【避難勧告】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV2になった!

空条・イブリタ
「確かに、この広い砂漠でオアシスを捨てて逃げることは難しいです……でも、逃げた先に新たなオアシスがあるならば、話は別なのではないですか?」

パラドクスの効果1である【水源】を用いて新たなオアシスを生み出し、そこに避難できることを示唆しながら説得します。
故郷事態にへの思い入れがある人も少なくないと思いますが、逃げた先で生活できる保障が無ければ逃げることもままならないですからね。

(同じように避難先を整えるプレイングをされた方がいる場合は協力してより良い住環境を目指します)


冰室・冷桜
さぁって、どうっすかなー
ここで見捨てるのも当然後味悪いし……奴さんらが来るまでそう時間もないだろうし、やってみるだけやってみますかね

流石にオアシスの泉に異変でも起きりゃ、逃げるのにも踏ん切りがつく……といいんだけど
こういう荒っぽいのはキャラじゃないけど、手段は選んでられねーってことで。こういうのなら被害を気にする必要もないでしょ

だいふくに見張りをしてもらいながら、泉の片隅、人目のつかないとこで腕を泉に浸けるわ
そう簡単に干上がったりはしないでしょうけど……物は試しってね……!
【朱腕】を水中で全力発動、特大の炎を泉の中でぶっぱなすわ
少しでも泉に異変が起きたりすれば、それで泉への不安を煽れないかしら


セティ・アーセファ
旅の占い師を装って砂漠の民に近付くよ。
長にお話があることを伝えて、アッバスさんの所まで案内してもらって説得開始!
まずは、色んなところを巡ってきたけど、敵の軍勢がこちらへ向かっているのを見たって伝えよう。できるだけ切迫した感じで!
それから占い師の特技を生かして、砂漠の奥の水源を占ってウインドオーブに映し出せるか試してみよう。
仲間が水源の生成に成功してれば、そこを映し出すよ。
それでも決心できなさそうなら、見つからないように泉へ向かって、サンドストームで泉を枯らしてしまおう。
さすがにひとりで枯らせない気がするから、仲間にも手伝ってほしいな……。
ちょっと手荒だけど、何としてでもみんなを守らなきゃ!


リゲル・ルッタ
エジプト……こんなふうに、戻って来られるんだ、ね(見渡し)
この暑さも、この渇きも、……懐かしい
水への、オアシスへの、渇望も

他の復讐者の方が整えた新しい水源へまず向かう
僕にできるのは、これくらいだ、から
新しい水源の周囲を【温熱適応】でより過ごしやすい場所に

次に襲撃されるオアシスに向かって
出逢う人々に「新しいオアシスが見つかったんだって、ね」と噂を流布しつつ
アッバスさんのところへ

故郷を捨てる、なんて
僕だって、嫌だ
この世界に帰れるなら、帰りたい、けど

ねぇ、聡いひと
あなたは正しい
逃げて欲しいん、だ
どうしても

常に僕らが護り続けることは、できない、から
今できることは、なんでも手伝う、から
生きる道を、選んで


●逡巡の理由
「ほう。外からの客人か。何の用かな?」
 蘭華の布教活動の末に登場したアッバスは、顔付きこそ厳めしいものの、穏やかな声音でディアボロス達に視線を向けた。
 ワーズの歌の残留効果もあり、こちらに警戒心は抱いていないようだ。
「大変、大変だよー!」
 そんなアッバスに、セティ・アーセファ(風はどこまでも・g01460)が焦った様子でバタバタと駆け寄っていく。
「わたし、セティ。旅の占い師なんだけど、ここまで来る途中で、白い鰐の群れがこのオアシスに向かっているのを見たんだ!」
 危機感を抱かせようと、セティは早口で捲し立てる。
「白い鰐? まさか……」
 ドドーンッ!
 そこに響いた爆音がアッバスの声を消して、少し遅れてオアシスの外で大量の砂が噴き上がった。
「わたしが見た時より、近づいてるよ! 早く皆に逃げるように言わないと!」
 それがエーブリムがオアシスの外で戦っている影響だと知りながら、セティは全てをクロノヴェーダの仕業の様にして、アッバスを急き立てる。
「あれが王朝からの刺客の前触れだとしたら、確かにここも危ないか……」
「アッバス様、一体何事ですか」
「何か知っているのですか?」
「……むう。あまりにも急だが……何と皆に言ったものか」
 音と砂に気づいて駆けつけて来た砂漠の民に訊ねられ、アッバスは眉間に皺を寄せる
「言いにくいよね。故郷を捨てる、なんて」
 言葉に悩むアッバスに、リゲル・ルッタ(墓守・g03709)が声をかける。
「僕だって、嫌だ。でも……今は逃げて欲しいん、だ」
 リゲルはじっとアッバスを見つめ、言葉を続ける。
「ねぇ、聡いひと。あなたは、こうなる可能性を予想していた筈。だから、考えていたんじゃないかな? このオアシスに危機が迫った時の行き先を」
 リゲルの言葉に、アッバスは無言で頷く。
「だがオアシスの場所を知っているわけではない。南西に行けばあると言う話を聞いた事があるだけだ。そこまで何日掛かるかも、わからない……こんな事になるなら、せめて水をもっと汲んでおけば」
「ああ、成程。お水の心配ですか」
 アッバスが漏らした不安に、空条・イブリタ(サキュバスの時間神官・g01904)が、パンッと両手を打ち鳴らす。
「では、他の水源があれば、話は別なのではないですか?」
「そうだが……そんな水源、この周囲には……」
「まあ、騙されたと思って付いてきてください。確かに、この広い砂漠でオアシスを捨てて逃げることは難しいですからね……」
 イブリタはアッバスと集まっていた砂漠の民に、水を入れられるものを持ってオアシスの南西に集まるように告げた。
 そこには、オアシスの外に生み出されていた清流がある。

●旅立ちの泉
「な、なんだ、この川は……」
「こんなの、今朝までなかったよな?」
「ワジか? しかしそれも覚えが……」
 覚えのない清流に驚く砂漠の民に微笑みながら、イブリタはその先へと向かっていく。その後には、リゲルとセティも続いていた。
 やがて、イブリタは清流の終わりで足を止める。
「疾く流れよ、滅びの時は来たれり」
 イブリタが前に出した両手の間に、黄金の輝きが生まれた。

 黄金の錫杖――アーク・セプター。

 虚空より召喚せし王の権威を象徴する錫杖が、更なる水流が作り出す。
 イブリタは、その流れを川のように真っすぐではなく、ぐるりと円を描くようにして、流れの先は円の中心へと向かわせた。ものの数秒で、渦巻く泉が作られる。
「先ほど歩いてきた川と、この泉。どちらも、幾らでも水を汲む事が出来ます。ワタシ達が去ればただの水になってしまいますが、今は持てるのならば、何日分の水だろうと汲む事が出来るのです」
 常識ではあり得ない事を、さも当然のようにイブリタは告げる。
 本当は10秒あたりに汲み上げられる水量の限界はあるのだが、人力で汲める量がその限界を越える事はないだろう。
「旅に十分な水を用意できるなら、新たなオアシスを見つけられる可能性は高まるのではないですか?」
「それは……確かに」
 イブリタの言葉に、アッバスは頷いて、付いてきた砂漠の民と共に、動物の皮で作ったらしい水筒に水を汲み始めた。

●炎、急を告げる
 一方その頃。
「あの音は一体……」
「ただ事じゃないよな……」
「逃げた方が良いのかしら……」
 アッバスと十数人が外に出て行ったオアシスでは、残る砂漠の民が、揃いも揃って不安げな表情を浮かべていた。
 先ほどから何度か聞こえている爆音はまだ響いているし、砂も噴き上がっている。
 青空が広がっているのに、空には赤い光が明滅してもいた。
「さぁって、どうっすかなー」
 緊張感に包まれたオアシスで、冰室・冷桜(ヒートビート・g00730)は泉の周囲を歩いていた。
「奴さんらが来るまでそう時間もないだろうとは思ってたけど、思った以上に早いじゃないのよ」
 答える声のないぼやきが、冷桜の口から零れる。
 だが、他のディアボロスが防衛戦を始めたのなら、好都合だ。
 冷桜も手段を選ばずに動くことが出来る。砂漠の民が敵の接近を知った今なら、オアシスの泉にどんな異変が起きても、敵のせいに出来るだろうから。
「こういう荒っぽいのはキャラじゃないんだけど、やってみるだけやってみますかね。だいふく、見張っといてね」
 周囲に砂漠の民がいないのを確認し、冷桜はメーラーデーモンのだいふくに見張りを任せ、アームカバーをしてない方の腕を泉に浸けた。
「流石にオアシスの泉に異変でも起きりゃ、逃げるのにも踏ん切りがつく……といいんだけど」
 この状況で泉に異変が起きれば、砂漠の民たちの不安を煽る事も出来るだろう。
 その異変が最初に起きたのは、冷桜が泉に浸けた腕の方だった。

 ――朱腕。

 二の腕の辺りから水の中の指先に向けて、赤い炎が燃え上がる。それは冷桜が宿したアークデーモン「焼却の悪魔」の力の一端。
 使い手の身体すら焼く悪魔の炎。
「っ……!」
 内側から焦がされる痛みに耐え、冷桜は炎を掌に集めていく。
(「そう簡単に干上がったりはしないでしょうけど……こういうのなら被害を気にする必要もないでしょうし……物は試しってね……!」)
「灼けとけ」
 溜めて集めた特大の炎を、冷桜は水中で解き放つ。
 赤い炎が泉を割って、轟と噴き上がった。熱せられた泉の一部が蒸気となって、辺りがサウナの様な熱気に包まれる。
「なんだ、今のは」
「泉に何が起きたんだ!?」
「敵が泉に何かしたのかもねぇ」
 ざわつく砂漠の民たちがオアシスから逃げる方向により傾くよう、冷桜は彼らの会話にしれっと敵のせいにした。
 焼け焦げた掌を隠して。

●最後の一押し
 再び、オアシスの南西。
「凄いぞ! 本当にこの水、全然減らない!」
「しかも……うまい!」
 残留効果の水源の水量と水質に、砂漠の民が興奮した声を上げる。
「本当は――新たなオアシスを作れれば良かったのですが」
 そんな彼らの背中に、イブリタの胸中には残念さがあった。
 この水源とて、ディアボロスが去った後は、干上がればそれまでだ。ワジ――水無川のようだと砂漠の民が感じたのは、ある意味で的を得ている。
 砂漠の民の中には、故郷のオアシス自体に思い入れがある人も少なくないだろう。だからこそ、逃げた先で新たな生活を送れる保証を、彼らに作ってあげる事が出来れば――そこまでして上げられれば、どれだけ良かった事か。
「僕らにできるのは、これくらいだ、から、ね」
 同意するようにイブリタに頷いて、リゲルは光を降り注がせる。
 サンシャインブレイク。
 陽光が、周囲を砂漠の暑さでも快適に過ごせる空間へと変えていく。この快適さも、効果範囲にディアボロスがいなければ続かない。
 砂漠の民の旅立ちの、一時の手助けにはなるが、それまでだ。
 それでも、リゲルは彼らに生きる道を選んで欲しいから。
 今出来る事がそれまでなら、それをするだけだ。
「民の半数がここで水を汲み、残りは集落で荷を纏めれば……行けるか?」
「ねぇ、聡いひと」
 まだ決断しきれないアッバスに、リゲルが声をかける。
 リゲルの出身は、この獣神王朝エジプトだ。
 帰れるなら、帰りたい。この砂漠の暑さも、渇きも。水への、オアシスへの、渇望も。こうして帰ってみれば、すべてが懐かしく思えたから。
「あなたは正しい。その迷いも、含めて」
 だからリゲルは、仲間を思うが故のアッバスの慎重さを肯定した。
「だけど今は、逃げて。常に僕らが護り続けることは、できない、から。今できることは、なんでも手伝う、から」
「きっと大丈夫だよ」
 リゲルに続いて、セティも声を上げる。
 両手の間に、ウインドオーブを漂わせて。
「占ったんだ。見えるよ、砂漠の奥の水源に辿り着いてる皆の様子が」
 ウインドオーブにそんな力はない筈だが、まるでそこに未来が映っているかのように、セティはアッバスに告げる。
「だけど、わたしが占ったのは今日旅立った場合の未来。明日になったら、どうなるかわからないよ? 今は、何としてでもみんなを守らなきゃ!」
 セティがそう告げた時、元のオアシスで巨大な炎が噴き上がった。見れば、その空は赤い光が明滅している。
「オアシスが……」
「数人ここに残ってくれ。私は集落に戻って、皆に旅立ちの準備を告げて来る!」
 アッバスはついに、オアシスを捨てる決意を固めた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【水源】がLV2になった!
【熱波の支配者】LV1が発生!
【土壌改良】LV1が発生!
【温熱適応】LV1が発生!
効果2【ラストリベンジ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV2が発生!
【命中アップ】LV1が発生!

●幕間――砂漠の民
「皆、どうか落ち着いて聞いて欲しい! このオアシスを出る!」
 オアシスに戻ったアッバスの言葉は、彼自身の懸念からすれば、嘘のようにあっさりと砂漠の民たちに受け入れられた。
 明滅する赤い光と危機感を煽る音、そして泉で上がった炎。
 それらもあって、砂漠の民はほぼ全員、オアシスから逃げる気になっていたのだ。
 その後の彼らの動きは、早かった。
 ラクダやロバを飼っている者は、ロバ数頭を残し、あとは持てるだけの水袋と水筒を持って、ディアボロスによって南西に作られた川と泉へ向かい水を確保する。
 あとは、残る全員で集落を片付け、荷が出来たものから泉へ向かう。
 この分担と段取りが出来てしまえば、そう時間もかからず準備は終わるだろう。

 砂漠の民に避難を促すと言う役目は果たした。
 あとは、クロノヴェーダの先遣隊――まだ半数ほどが残っている白鰐神群とタウエレトを撃破すれば、彼らの旅路を邪魔する者はいなくなる。
坂登・悠日理
惺音g03409と

カバってこんな大きさだったっけ?
ビビる内心を押し隠し

神様って守るものじゃないのか
何もかも捻じ曲げて
許せないな
惺音行こう

にやりと笑い
任せろ

レオお前は前出ろ
いやいや大丈夫だよ
お前強いんだろ?
俺はほら頭脳労働専門だから
それに
敵は水でお前は雷だろ
相性抜群だぜ
単純に振り下ろしてるだけだ
見ろ
避けられる

言葉で攪乱
意識こちらに向けさせる
少しでも惺音を守りたい
久しぶりに会った幼馴染に
子供の頃みたいに弱いとこ見せたくない
自信たっぷりに笑い

けど惺音には適わないな

信仰だって
聞いて呆れる
信じて貰えるような事したか?
自然と溢れるもんだろ
敬意とかそういう物って
台無しにしてんじゃないよバカ
あ、カバか
槍投擲


森瀧・惺音
ゆぅ君g04140と

信仰が無い分、理不尽には抗えるし
信じるか否かは自分で決められる
…貴方は信仰に値しないのだと思うよ

今は時間稼ぎでも
砂漠の民が生き残れる様に
行こう、ゆぅ君
…って、相変わらずだね

何かを傷付けるのも、この力も、怖いけれど
…砂漠の民も、ゆぅ君も、守るんだ

ゆぅ君をディフェンスする
魔力の障壁や水の妨害等で

えと…相手は水とハンマーか
風や水って発生地点はあまり力は無くて
助走みたいに距離や集合で威力が増すと思うから
接近戦に持ち込むよ

魔力を光にして短剣の形状で持ち
斬り付けては横に跳ねて距離を取るよ
水が生まれる度に斬ったり
光弾を撃ち、衝撃で水を散らして勢いを削ぐね

分かった隙は周りにも伝えておくっす


●幼馴染
「レオ、お前は前出ろ。いやいや、大丈夫だよ。お前強いんだろ?」
 砂丘の上で、坂登・悠日理(叡智の眼・g04140)とメーラーデーモンのレオが、何やらちょっと揉めている。
 砂丘の下にいるのはエンネアド――タウエレト。
「俺? 俺はほら、頭脳労働専門だから」
(「……カバってこんな大きさだったっけ?」)
 その巨体に震える内心を押し隠す悠日理と、それを感じ取るサーヴァントのやり取りは、いつ終わるのだろう。
「行こう、ゆぅ君」
 森瀧・惺音(眠れる森の魔女・g03409)が、眠そうな声で割り込んだ。
 袖を引かれて悠日理が顔を向ければ、愁いを帯びた惺音の瞳が、じっと見て来る。
「ああ。行こう、惺音」
(「……相変わらずだね」)
 にやりと笑って頷く悠日理に、惺音は曖昧な記憶に残る子供の頃の面影を見る。心の中ではビビっている時ほど、悠日理はああやって自信たっぷりに笑うのだ。

●それぞれの守りたいもの
「そらよ」
「ほほほ! 攻撃なら、このくらいやりなさいな」
 レオとお揃いの電磁槍を使った悠日理の一突きを分厚い盾で防いで、タウエレトが大きなハンマーを片手で軽々と振り上げる。
「見ろ。避けられる」
 その振り下ろしを、悠日理はレオに見せる余裕をもってひらりと避けた。
「やるわねぇ。まだ滅びてなかっただけあるわ」
「滅ぼす滅ぼすって、神様って守るものじゃないのか」
「信仰なき者を滅ぼすのも、神の役目よ」
 歴史好きの悠日理なら、神が滅ぼす様な神話もあるのは知っているだろう。
「何もかも捻じ曲げて、挙句に滅ぼすなんて。許せないな」
 だからこそ、信仰の有無だけで滅ぼすと嗜虐的な笑みを浮かべるタウエレトに、悠日理は眉をしかめる。
「生意気なのよ!」
 苛立たし気に悠日理に向かうタウエレトに、横から光弾がぶつかった。
(「……砂漠の民も、ゆぅ君も、守るんだ」)
「なに? 先に滅ぼされたいの?」
 身体ごと向き直って来たタウエレトに、惺音は魔力の光を短剣の様な形に変えて、距離を詰めていく。
(「風や水って発生地点はあまり力は無くて、助走みたいに距離や集合で威力が増すと思うから接近戦で……?」)
 ふと、惺音の胸中をよぎる違和感。
 何かを読み違えている気がする。
 直後にタウエレトが放った膨大な水流の勢いは、初速から最高速度で惺音の予想を上回っていた。

(「ああ……そうか」)
 吹っ飛ばされて宙を舞いながら、惺音は違和感の理由を悟っていた。
(「私が、私の力を怖がってるから」)
 まだ、怖いのだ。何かを傷付けるのも、この力も。それでも守りたいから、戦う事を選んだけれど。自分の力すらも恐れていては――。
 砂漠に叩きつけられた衝撃が、惺音を思考から引き戻す。
「――けほっ、けほっ」
「惺音!」
「ゆぅく……だいじょ、ぶ……砂、入った、だけ」
 慌てて駆け寄る悠日理に、惺音は途切れ途切れに無事を伝えた。水流の直撃自体は、咄嗟に広げた魔力障壁で軽減している。
「それに……もう判った」
 未だ惺音の胸中で燻る恐怖はまだ、消えないけれど。
 タウエレトの動きの癖と、その隙は、もう判った。
「あっちがそう動くなら、私はこうするまで。ゆぅ君、あのね……」
 後半はタウエレトに聞こえないよう、惺音は小声で悠日理に囁く。
「わかった。任せろ」
 頷いて、悠日理はタウエレトに向き直る。
 守りたいのは、悠日理も同じだ。少しでも惺音を守りたい。子供の頃みたいに、惺音に弱いところを見せたくない。
 ――そう思っていたのに、先に守られた。
(「惺音には敵わないな」)
 苦笑を自信に満ちた笑みで隠して、悠日理は砂を蹴った。

「ふん。信仰心のない人間の癖に、粘るじゃない」
「信仰だって? 聞いて呆れる」
 苛立たし気なタウエレトの言葉を、悠日理が鼻で笑って切り捨てる。
「信じて貰えるような事したか?」
「いいえ。神は存在するだけで信仰されるものなのよ?」
「違うだろ」
 タウエレトに向けて言い放ちながら、悠日理は砂を蹴って反転する。
「自然と溢れるもんだろ。敬意とかそういう物って」
「信仰が無ければ理解もないようね」
「信仰が無い分、理不尽には抗えるし」
 悠日理の言葉にカバ口から大きな溜息を零すタウエレトに、惺音も遠くから告げる。
「信じるか否かは自分で決められる。……貴方は信仰に値しないのだと思うよ」
「自分で台無しにしてんじゃないよバカ。あ、カバか」
「この――っっっ」
 惺音が淡々と、悠日理が嘲る様に重ねた言葉に、タウエレトが鼻息を荒くし――その動きがピタリと止まった。
 背中に、レオの雷槍が突き刺さっていた。
 悠日理達がタウエレトを怒らせるようなことを言っていたのは、注意を自分達に向けてレオをこっそり背後に回らせるため。
「……やっぱり。あなたは大きすぎる。前には強いけど、背中に死角がある」
 それが、惺音が詩歌洞察で見い出した、タウエレトの巨体に生じる隙。
「隙は後ろっすよ!」
 惺音は今日一番、声を張り上げそれを端的に伝える。
 周りに集まった、他のディアボロス達に向けて。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【通信障害】LV1が発生!
【書物解読】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!
【命中アップ】がLV2になった!

伊斗浜・蘭華
民達のほうはもう大丈夫そうですね。では私はワニを駆逐しましょう。
というか白鰐神ですか。ワニが神を騙るなど不遜を通り越して逆に笑えますね(無表情)
足元は砂漠、いまいち動き難いので飛翔で少しだけ足元を浮かし走り、飛び回り翻弄しつつ戦いましょう。
左手にはカラミティ、右手には磔の釘を持ち、カラミティには属性弾丸Cを装填。自称川の神の配下ならよく凍ることでしょう。
飛びつつ磔の釘を投げる等行い牽制をした後
着地時の隙に大口を開けて狙われるようなら
その大口にカラミティを突き刺し動きを止めましょう(パラドクス使用)
神託を下します。「腹減ってんならこれでも喰らっとけ」

(アレンジアドリブ大歓迎!)


●神託とは
(「砂漠の民は、もう大丈夫そうですね」)
 オアシスを離れる準備を始めた彼らと別れ、伊斗浜・蘭華(悪霊憑きの聖女・g00580)は砂漠に繰り出した。
 エーブリムと詩葉芭が戦う音を頼りに砂漠を進めば、2人の向こうに、空に浮かぶ白い鰐の群れが見えて来る。
「白鰐神ですか」
 呟く蘭華の顔から、すんっ、と表情が消えた。
 鰐とナイル川の神セベク配下の、小神エンネアド。
 小神だろうが、神は神。
「……本当ですね。ワニが神を騙るなど不遜を通り越して逆に笑えますね」
 何かに答えるように呟きながら、全く笑っていない顔で、蘭華は左手にショットガン『カラミティ』を構える。
「自称川の神の配下なら、よく凍ることでしょう」
 装填したのは、氷の力を持つ属性弾丸C。
「さあ。駆逐してやります」
 仲間の残した残留効果に乗って、蘭華は砂ではなく砂の少し上の空間を蹴って、滑るように飛び出した。
「グォゥ!」
 大きく口を開け、空中を泳ぐように迫る白鰐を、避ける。
 群れを掻い潜って避け続ける内に、蘭華は見えた。白鰐が大きく開けた口の奥に、そこを撃てと示すように輝く光が。
「そこですね! わかりました、神様!」
 残留効果の攻撃を導く光は、蘭華の脳内では神の御業に変換されていた。
 無表情から一転して目を輝かせ、蘭華は磔の釘を構えた右手を、白鰐が閉じようとしている口の中に、躊躇なく突っ込んだ。
 ガキンッ!
 磔の釘がつっかえとなって白鰐の口が閉じかけで止まった瞬間、蘭華は右手を抜いて左手のカラミティの銃口をゴリッと捻じ込む。
「神託を下します――腹減ってんならこれでも喰らっとけ」
 ありがたみが行方不明な神託を告げると同時に、蘭華の指が引き金をひく。
 ゼロ距離で放たれたショットシェル。
 着弾地点周囲をガチガチに凍らせる属性弾丸Cの氷の力が、白鰐の体内で広がって、その身体を一気に凍らせていく。
 パリィィィィンッ!
 そして、一拍遅れて伝播した射撃の衝撃で、凍った白鰐があっさりと砕け散った。
「はい、神様!」
 砂漠に氷片が飛び散る中、蘭華にだけは何かが見えているようだ。
 きっと、ニッコリ笑った神様が。
「ええ、勿論です! もっともっともっともっともっと、ワニをぶっ殺しますね!」
 反撃の牙を身体に受けようとも、白鰐神群を駆逐しきるまで。
 蘭華の断罪は終わらない。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【託されし願い】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!

ワーズ・ディアハルト
半数、といったところか。多いな……
残留効果【飛翔】で、上空に陣取って状況を観察
説得は上手く行った気配がする。だが、かといって此処の放置も出来んだろう。…この先遣隊が、後で砂漠の民の追撃隊に変わるだけだ

敵さん方からの反撃と、大怪我は避けたいところだが……正直、今は多数を可能な限り潰すしかない。止むを得ないところだな
よし、思考もまとまった! ――始めよう。

上空から自パラドクス発動。無数の光輪の刃を、降りそそぐように敵に叩き付けていく
他のディアボロスがいれば、そちらの敵側へも援護として攻撃を。
相手の反撃は【空中戦】の慣れで回避、かわしきれないものについては、光輪で相殺狙いでダメージを削ぎつつ…祈る!


●天の光輪
 黄昏色に変わりつつある砂漠の空に、ワーズ・ディアハルト(守護者・g02389)が翼を広げていた。
「半数、と言ったところか。まだ多いな……」
 見下ろす砂漠には、白鰐の姿がまだまだ残っているのが見て取れる。
(「敵さん方からの反撃と、大怪我は避けたいところだが……」)
 戦場に残る残留効果で得られる限界高度でも、絶対的な優位にはなり得ない。
 今は断罪に勤しむ蘭華に気を取られて、白鰐神群は空に敵がいると気づいていない様子だが、ワーズが攻撃を放てば流石に気づくだろう。
 そして、ワーズの攻撃が届くのならば、敵の反撃もまた届き得ると言う事だ。
(「だが、此処を放置は出来んだろう」)
 それでも今は戦うしかないと、ワーズは杖を握る手に力を籠める。
 この先遣隊を逃せば、そのまま砂漠の民の追撃隊に変わってしまう。それは、折角うまく行った砂漠の民の説得が、水泡に帰すことになる。
「今は多数を可能な限り潰すしかない。止むを得ないところだな」
 まとまった思考を口に出してみれば、ワーズはそれが自分の中で意外な程に、ストン、とはまるのを感じた。きっと、答えは最初から決まっていたのだ。

「よし――始めよう」
 バサリと羽音を鳴らし、ワーズは天使の翼を羽ばたかせる。この背中の翼は、ただ空を飛び、高みから見下ろす為にあるのではない。
 先端に十字をあしらった杖を掲げれば、広げた翼から、空に光が広がった。
 光は空で渦を巻き、集い、輪を作る。
「行け」
 ワーズが杖を振り下ろせば、光輪が空から砂漠に放たれる。
「グォォッッ?」
 上からは予想もしていなかったのだろう。叩きつける雨が如く降り注ぐリングスラッシャーに、白鰐が数体、反応する暇もなく斬り裂かれる。
「グォゥ!」
 だが白鰐の一体がワーズに気づけば、水塊が、砂漠から空に向かった放たれた。
「っと! もう来たか!」
 大きく翼を羽ばたかせ、ワーズは空中で身を翻す。空中戦には、少しは慣れているつもりだ。少なくとも、鰐よりは。
「それでも――やはり、躱しきれないか」
 翼を掠めた水塊で崩れそうになった体勢を立て直し、ワーズは翼から光を広げる。
 光が地に降り、水が空に昇る。
 動く白鰐神群がいなくなるまで続いた、常識ではあり得ないその光景は。まさにディアボロスとクロノヴェーダの戦いだ。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!

リゲル・ルッタ
確かに、神には敬いと畏れを抱いて信仰するものだ、けど
禍を与える神も、居るものだ、けど
信仰されずに逆恨みするノような神は、廃れていく定めだ、よ

行こう、ネア
僕は身を護る術はない、けど
きみを護る、よ
もし僕が敵の水流に呑まれて吹き飛ばされても、
ネアは高く飛んで逃れて、可能なら光を敵の目に
昔から河は氾濫するものだ、から
惑わされて、敵の攻撃の矛先を
敵自身に変えられたら、重畳、かな

僕は墓守
死後の復活を護る者
でもアナタ達の復活は守護範囲外だ、な
以前はどうやら、負けてしまったらしい、けど(それで故郷から弾き出されたようだ、けど)
次は負けない
僕は、この世界を護る、よ

ありがとう、ネア
って、戦いが終ったら伝えよう


結島・詩葉芭
「みらいまで、うばわせません」
事件についてこう感じ、クロノヴェーダを赦さずディアボロスとして解決を目指します

タウエレトの「タウエレトの涙(SPD)」に対し、パラドクス「飛天流星脚」を使うことで

周囲を【飛翔】で飛び回り攪乱
冷気には【熱波の支配者】で対抗
隙を見て死角へ回り込み、頭上へ上着+羽扇を投げて囮にし飛んだと見せかけ
脇から懐へ潜り込み不意打ち、ジャンプして蹴り上げます

自分のパラドクスと敵の攻撃方法の特性を考慮して戦います
他のディアボロスと連携して戦える場合は、可能ならば、援護します
勝利のため、ある程度のダメージはやむを得ないものとしますが、他のディアボロスを不利にするような行動はしません


エーブリム・ボウマン
さて、無事に避難も終わったしオレもカンフーと行くか
よう、カバの姫さん
アンタをエスコートしにきたぜ。地獄までな
…アクション!

エフェクトは十分
オレはさっきのワニとのバトルで結構傷を負ってる
なら、初回らしくちょっと無茶をした絵を撮るのも悪くねえ

ラストリベンジと反撃アップでキメるか
仲間の内、誰か一人をディフェンスしつつ戦うぜ!

さっき戦闘機でブチ倒したワニの体をスイングして叩きつけたりして立ち回るぜ!

あるいはジャンプ中等で敵の攻撃を避けきれない仲間を掴んで
その体をブンと振ってタウエレトへ投げるのもいいかもな!
(ディフェンス&反撃演出)

派手な絵が撮れりゃ、オレは満足さ
後は任せた(サムズアップ


●集う三人
 ――隙は後ろっすよ!
 惺音が砂漠に張り上げた声を、聴いていた。
 悠日理のメーラーデーモンが、そこを突くのも見た。
「ねらわない手はないですね」
 先行した2人によって示された死角を意識しながら、結島・詩葉芭(インセクティアの神算軍師・g02796)はタウエレトの横に回ろうと砂上を駆ける。
「背後か……とりあえず行こう、ネア」
 それをどう利用するか思案しながら、リゲル・ルッタ(墓守・g03709)も、スフィンクスの『ネア』を伴い、タウエレトへと距離を詰める。
「隙ひとつ見つけた程度で、神であるワタクシに勝てるかしらねぇ!」
「よう、カバの姫さん」
 吠えるタウエレトの正面に、砂の坂を滑り降りたエーブリム・ボウマン(人間の映画俳優・g01569)が進み出る。
「アンタをエスコートしにきたぜ。地獄までな」
「ふんっ。地獄に行くのはワタクシではなくアナタの……って、なによそれ」
 エーブリムの言葉を鼻で笑いかけたところで、タウエレトは何かに気づいて驚き、目を丸くした。
「そんなもので何を」
「――アクション!」
「ぶっ!」
 驚くタウエレトの顔に、エーブリムは脇に抱えていた『そんなもの』をフルスイングで叩きつけた。
「少しは効いたか? オレもカンフーといきたくて拾って来た、クロコダイルだ」
 鰐が落ちている筈がない。
 エーブリム自身が倒した白鰐神群を利用した、ストリートストライクだ。
「よくもセベクに借りた白鰐を……」
「てか、クロコダイルでいいのか? アリゲーターじゃないよな」
 怒りに肩を震わせ立ち上がるタウエレトを無視して、エーブリムは白鰐のワニとしての分類を気にして、しげしげと見つめる。
「いいえ、それよりも許せないのは、人間ごときが小神を玩具にすると言う不遜。神を畏れも敬いもしない罪。その贖いには、アナタ達をぶち殺してから集落を滅ぼしても、猶足りないわね!」
「確かに、神には敬いと畏れを抱いて信仰するものだ、けど」
 激しい怒りに吠え猛るタウエレトに、対照的な程に静かにリゲルが告げる。
「禍を与える神も、居るものだ、けど」
 肩に乗ったネアの広げた翼から放たれる光が届く距離で足を止めて、リゲルは淡々と続ける。
「信仰されずに逆恨みするような神は、廃れていく定めだ、よ」
「ホホホ。神の怒りを逆恨みとは、アナタも不遜ねぇ」
 諭すように告げたリゲルに、タウエレトが血走った眼を向ける。ネアが放つリドルウェーブは精神を惑わす力があるが、ブチ切れたタウエレトの怒りは鎮まりそうにない。
「2人まとめて叩きつぶっ」
 ハンマーを振り上げたタウエレトの言葉が、衝撃でかき消えた。
「三人です」
 後頭部に跳び蹴りを叩き込んだ詩葉芭が、タウエレトの背後に飛び降りる。
「かれらのみらいまで、うばわせません」
 タウエレトの返事を待たず、詩葉芭は馬大頭の翅を広げて再び空に飛び上がる。
「どいつもこいつも……ワタクシを虚仮にして、タダでは済まさないわよぉ!」
 遠のく詩葉芭を見上げ、タウエレトが怒りに肩を震わせた。

●川神を超える時
「ふんっ!」
 タウエレトのハンマーが、白い身体を粉砕する。
「一撃か……! 皆がぶった切ったり凍らせて砕いたりしたから、原型留めてるクロコダイル探すの、結構大変だったんだぜ! まあオレも爆発させたけど!」
 半身を砕かれ、色々なものを撒き散らすようになってしまった白鰐を投げ捨てて、エーブリムはもう1体持ってきた白鰐をタウエレトに叩きつける。
「アナタ、どこまでもワタクシを怒らせてくれるわねぇ!」
「たんきはそんきですよ」
 エーブリムに向かってハンマーを振り上げるタウエレトの背後で、ズザァッと砂を蹴る音と詩葉芭の声が聞こえる。
「そうそう何度も同じ手はくらわないわよぉ!」
 巨体にしては素早く振り返ったタウエレトの目の前で、何かが空に跳び上がった。
「上ね!」
 それに釣られて、タウエレトが盾を空に向ける。
 盾から放たれた液体が当たったのは、詩葉芭が空に投げた、羽扇と上着で作った即席の囮だ。
「いえ、下です」
 逆に屈んでいた詩葉芭は、その隙にタウエレトの懐に潜り込んだ。
「はっ!」
 跳び上がると同時に、インセクティアの強靭な脚でタウエレトの顎を蹴りあげて、そのまま空まで飛んでいく。自らも残した残留効果の飛翔能力を駆使し、詩葉芭は空中を飛び回る。
「まるで羽虫ね……まとめて押し流してやるわ!」
「させない」
 水を放たんとするタウエレトに、リゲルが鞭を振るう。
「僕は墓守。死後の復活を護る者」
「王墓を守る墓守が、神に逆らうと言うのね」
「そうだよ。アナタ達は守護範囲外だ、な」
 タウエレトの怒りの視線を、リゲルは静かに受け流す。
「以前はどうやら、負けてしまったらしい、けど」
「何を言っているのかわからないわね。負けたなら、大人しく負けてなさい!」
 吠えるタウエレトは、リゲルが直接負けた相手ではないのだろう。だとしても、負けられない。
「次は負けない。もう、負けない。僕は、この世界を護る、よ」
「なら、耐えてみなさいな!」
 タウエレトが川の神の力を解き放つ。生まれた膨大な水流が、ナイルの氾濫を思わせる勢いでリゲルを呑み込み隠してしまう。
 水流が収まり消えた後、タウエレトの前にリゲルの姿は残っていなかった。
「口ほどにもないわね」
 ふんっ、と鼻を鳴らすタウエレト。
 息を吐いたそこに、詩葉芭が後ろから狙っていた。翅を震わせ、一気に飛び掛かる。
「言ったわよねぇ! 何度も同じ手をくらわないって」
「っ!?」
 しかしタウエレトは、身体を少しずらしただけでその攻撃を避けてみせた。逆に、がら空きになった詩葉芭の背中に、盾を向ける。
「いいねぇ! 最後にラスボスが盛り返す! 派手な画になりそうだぜ!」
 放たれた奇妙な液体が届く直前、割って入ったエーブリムが遮った。
「派手な絵が撮れりゃ、オレは満足さ」
 身体の体温が急速に奪われていく中、エーブリムはまだ動く片腕を伸ばして、詩葉芭の足首を掴む。
「後は任せた」
 そして、エーブリムは詩葉芭をぶん投げた。
「何を!?」
 驚くタウエレトに、頭上から光が降り注ぐ。
 リゲルのネアが翼から放つ、リドルウェーブ。
 タウエレトが水を放つ前、もっと良く見ていれば、リゲルの肩にネアがいない事に気づいただろう。高く飛んだネアからタウエレトの目を逸らす為、リゲルは敢えて水流を避けなかったのだ。
「ぐっ……この、鬱陶しい」
 重ねた光に精神を惑わされ、タウエレトの動きが止まる。
 そこに、詩葉芭が舞い戻る。
 飛天流星脚。業の名の通りに、流星の如く。投げられた勢いも載せた詩葉芭の渾身の蹴りが、タウエレトの後頭部に突き刺さった。
「……こ、んな……ことが……」
 タウエレトの巨体がぐらりと崩れ、砂の上に倒れる。
「い、良い気に……ならないこと、ね……ワタクシより……強いエンネアドが……この世界が、神のものである事は、覆ら……な……」
 言い終える前に、タウエレトの瞳から光が消える。
 それきり、このタウエレトが動くことはなかった。
「ありがとう、ネア」
 戦いの終わりを感じて降りて来たスフィンクスを、ずぶ濡れのリゲルが労う。

 気づけば、空の色は完全に変わっていた。
 あれほどジリジリと砂漠を温めていた太陽は、西の地平線の向こうに沈んでいる。
 先遣隊は全て倒せた。その事実は、いずれは他のクロノッヴェーダの知るところになるかもしれない。だとしても、それはしばらく先の事になる。その頃には、砂漠の民は砂漠の奥地の何処かで、新たなオアシスにいるだろう。
 帰りのパラドクストレインが、もうすぐやって来る。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【照明】LV1が発生!
【落下耐性】LV1が発生!
【強運の加護】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV4になった!
【能力値アップ】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2021年08月31日

オアシスを捨てて

 マミーやリターナーの軍勢によってオアシスに追い詰められて滅ぼされようとしている砂漠の民がいます。
 ディアボロスが戦う事で、侵攻を遅らせる事は可能ですが、長期間このオアシスをディアボロスが守り続ける事はできません。
 マミーやリターナーの軍勢が来る前に、オアシスを捨てて逃げ出すように説得をしましょう。
 彼らが逃げ出す事を受け入れてくれた後は、彼らが逃げ出す時間を稼ぐためにクロノヴェーダを撃破してください。
 先行部隊の指揮官(👿)を撃破する事ができれば、砂漠の民が逃げる為の時間を稼ぐ事が可能です。

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#獣神王朝エジプト
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#オアシスを捨てて


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選択肢『故郷を捨てて』のルール

 クロノヴェーダの襲撃により町が滅びるなどの状況で、人々に故郷を捨てて逃げ出すように説得します。
 この決断を受け入れてもらえなければ、一般人に相応の死傷者が出てしまいますが、故郷を捨てる事に強い抵抗を示す人も多いため、説得は難しいかもしれません。
 決断をしてもらう内容や、交渉相手などは、オープニングやリプレイで確認してください。
 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『街に潜入して情報を得る』のルール

 街に潜入して必要な情報を得ます。
 情報は必ずしも必要ではありませんが、情報がある事で、後の行動の成功率が大きく上昇する場合があります。
 潜入する街の情報や、必要とする情報の種類、情報を得る為のヒントなどは、オープニング及びリプレイを参照してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾一般人を襲うトループス級『白鰐神群』のルール

 周囲の一般人を襲撃するトループス級クロノヴェーダ(👾)と戦闘を行います。
 放置すると村や町を破壊したり一般人を虐殺してしまうので、被害が拡大する恐れがあるでしょう。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👿アヴァタール級との決戦『タウエレト』のルール

 事件の首魁である、アヴァタール級クロノヴェーダ(👿)と戦います。
 👿を撃破する事で、この事件を成功で完結させ、クロノヴェーダの作戦を阻止する事が可能です。
 敵指揮官を撃破した時点で、撃破していないクロノヴェーダは撤退してしまいます。
 また、救出対象などが設定されている場合も、シナリオ成功時までに救出している必要があるので、注意が必要です。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「1体」出現します。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※このボスの宿敵主は「シメオン・グランツ」です。
※クロノヴェーダには、同じ外見を持つ複数の個体が存在しますが、それぞれ別々のクロノヴェーダで、他の個体の記憶などは持っておらず、個体ごとに性格なども異なっています。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。