ワイルドカード杯、ネメシス闘技大会開催

 ワイルドカードの提案により、ネメシス闘技大会を開催します。
 この闘技大会の目的は、勝敗を競うのでは無く、自らの『ネメシス及び復讐心と向き合う』事となります。
 自分の復讐心の原点を見つめ、その思いを言葉にしネメシス形態の姿を引き出した上で、闘技大会の試合を行いましょう。
 当日参加できるディアボロスが参加しますが、自由参加ですので、予選を通過する為には『よりネメシス化の力を引き出す為の行動』を行う必要があるでしょう。

秘めたる力を解き放て~開催、ネメシス闘技大会!(作者 坂本ピエロギ
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#最終人類史(新宿島)  #ワイルドカード杯、ネメシス闘技大会開催  #ネメシス形態  #闘技大会 


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●新宿駅グランドターミナル
「やあ皆。ネメシス闘技大会の話は、もう聞いたかな?」
 リュカ・アルページュ(人間のサウンドソルジャー・g01327)は、集合した復讐者たちを前にそう告げた。
 攻略旅団ワイルド・カードの提案で開催が実現した、復讐者の一大イベント――それがネメシス闘技大会。開催場所である東京ドームのパンフレットが希望者に行き渡ったことを確かめると、リュカは早速説明を開始する。
「大会の目的は、ディアボロスが『自身のネメシス及び復讐心と向き合う』こと。ネメシス形態に変身して、全力を尽くして勝利を目指すイベントだよ!」
 通常の作戦と異なり、この大会では復讐者たちは最初からネメシスへの変身が可能となっている。
 変身の方法は、大会の目的である『己のネメシス及び復讐心と向き合う』こと。より深く己のそれらと向き合うほど、より強い力を引き出すことが出来るのだ。
「皆がディアボロスとして戦う、復讐心の原点……それをどんな形で力に代えるかは自由に決められる。心の中で誓う形でもいいし、或いは、覚悟や意志を人々に伝える形でも構わない」
 この大会における勝敗は、いかにネメシスの力を引き出せたかで決まる。逆に言えば、通常の戦闘で求められる戦闘能力や立ち回り等はさほど重視されないことを付け加え、リュカは更に説明を続けた。

「次は、大会の概要についてだね。パンフレットにもある通り、このイベントは東京ドームで行われるよ」
 参加は自由となっており、現状で参加が決定しているのは有志の復讐者が数百人ほど。暴走などが発生する事態を想定し、一般人の観客はいない。
「参加者は会場入りした後、戦闘開始と同時にネメシスを発動。対戦相手と勝敗を競うんだ」
 この勝負は、逆説連鎖戦の戦場で、ネメシスの力を最大限に引き出した復讐者同士が戦う形となる。
 それ故、戦闘が長引くことは無い。より具体的に言えば――勝負は『一撃』で決着するだろう。
 駆け引きや戦法、相手に合わせた戦い方を考えるのではなく、いかに自身の力を引き出せたかどうか。そこに全力を尽くすことが勝利への近道となる筈だ。
 競う相手は、他者では無く自分自身。
 いわば修行の一環として参加してみるのも良いかも知れない――そう告げて、リュカは作戦の説明を終えた。

「再来月には、リグ・ヴェーダで大きな動きがあると予測されている。その他のディヴィジョンも、油断ならない強敵ばかりだけど……」
 それでも、と一旦言葉を切って、リュカは改めて信頼を秘めた眼差しを向ける。
 未だ各地に残る強力なクロノヴェーダ勢力、更には、その先に待つであろう真の敵――彼らとの戦いを勝ち抜く上で、この大会で自身の力と向き合うことには大きな意味がある筈だ。いかに強力なネメシスの力も、それを使いこなすのは畢竟一人一人の心に他ならないのだから。
「さあ、それじゃあ出発だ。皆の活躍する姿、最後まで見てるからね!」
 かくしてリュカは微笑みを浮かべ、時空間移動列車の発車準備を完了する。
 行先は最終人類史、東京ドーム。
 復讐心と復讐神、己が力を以て臨む復讐者たちの闘技大会が、今始まろうとしていた。


→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
2
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わり、「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げて運搬可能になる(ただし移動を伴う残留効果は特記なき限り併用できない)。
【悲劇感知】
1
「効果LV×1時間」以内に悲劇が発生する場合、発生する場所に、ディアボロスだけに聞こえる悲劇の内容を示唆する悲しみの歌が流れるようになる。
【一刀両断】
3
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【フライトドローン】
1
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【罪縛りの鎖】
1
周囲に生き物のように動く「鎖つきの枷」が多数出現する。枷はディアボロスが命じれば指定した通常の生物を捕らえ、「効果LV×2時間」の間、移動と行動を封じる。
【浮遊】
1
周囲が、ディアボロスが浮遊できる世界に変わる。浮遊中は手を繋いだ「効果LV×3体」までの一般人を連れ、空中を歩く程度の速度で移動できる。
【託されし願い】
1
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【動物の友】
1
周囲の通常の動物がディアボロスになつき、意志の疎通が可能になる。効果LVが高い程、知能が高まり、友好的になる。
【プラチナチケット】
1
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【熱波の支配者】
4
ディアボロスが熱波を自在に操る世界になり、「効果LV×1.4km半径内」の気温を、「効果LV×14度」まで上昇可能になる。解除すると気温は元に戻る。
【冷気の支配者】
1
ディアボロスが冷気を自在に操る世界になり、「効果LV×1km半径内」の気温を、最大で「効果LV×10度」低下可能になる(解除すると気温は元に戻る)。ディアボロスが望む場合、クロノヴェーダ種族「アルタン・ウルク」の移動速度を「効果LV×10%」低下させると共に、「アルタン・ウルク」以外の生物に気温の低下による影響を及ぼさない。
【モブオーラ】
1
ディアボロスの行動が周囲の耳目を集めないという世界法則を発生させる。注目されたり話しかけられる確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【断末魔動画】
1
原型の残った死体の周囲に、死ぬ直前の「効果LV×1分」に死者が見た情景が動画として表示される世界になる。この映像はディアボロスだけに見える。
【エイティーン】
3
周囲が、ディアボロスが18歳から「効果LV×6+18」歳までの、任意の年齢の姿に変身出来る世界に変わる。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【植物活性】
1
周囲が、ディアボロスが指定した通常の植物が「効果LV×20倍」の速度で成長し、成長に光や水、栄養を必要としない世界に変わる。
【液体錬成】
1
周囲の通常の液体が、ディアボロスが望めば、8時間冷暗所で安置すると「効果LV×10倍」の量に増殖するようになる。
【水面走行】
1
周囲の水面が凪ぎ、ディアボロスが地上と同様に走行や戦闘を行えるようになる。ディアボロスと手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人も同行可能。
【温熱適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が、気温摂氏80度までの暑さなら快適に過ごせる世界に変わる。
【操作会得】
1
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【口福の伝道者】
1
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。
【おいしくなあれ】
1
周囲の食べ物の味が向上する。栄養などはそのまま。効果LVが高いほど美味しくなる。
【アイテムポケット】
2
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV4 / 【命中アップ】LV4 / 【ダメージアップ】LV8 / 【ガードアップ】LV3 / 【フィニッシュ】LV1 / 【反撃アップ】LV3 / 【リザレクション】LV3(最大) / 【ラストリベンジ】LV1 / 【先行率アップ】LV2 / 【ドレイン】LV1 / 【ロストエナジー】LV3

●マスターより

坂本ピエロギ
 坂本ピエロギです。今回はネメシス闘技大会のシナリオをお送りします。
 本シナリオは特殊ルールで進行する為、ご参加の際は選択肢及び解説の内容を必ずご確認下さい。
 以下、詳細となります。

🌏現地情報🌏
 東京ドーム(最終人類史)

✏概要✏
 本シナリオの舞台『ネメシス闘技大会』では、数百人規模の復讐者による試合が行われます。
 参加したPCはその中の予選を突破したメンバーとして、上位の試合に挑みます(①)。
 攻略旅団の提案による限定ルールにより、参加者は最初からネメシス形態に変身可能です。

 試合では、『自分の復讐心の原点』や『ネメシスに込めた思い』などを披露し、ネメシスに変身。パラドクスをぶつけ合う形で勝敗を競います。
 自分自身と深く向き合う程、得られる戦闘力も上昇します。
 PCが持つ『復讐の理由や思い』、『ネメシスの設定』などを交え、素敵なシーンを演出しましょう!

❣特殊ルール❣
・本シナリオのリプレイでは、『ネメシスに変身するシーン』が重点的に描写されます。
・対戦相手を指定することは出来ません。
・参加者多数の場合、👑を超過する人数の採用を行う可能性があります。
・ネメシス形態のイラストがないPCも参加可能です(変身後の姿をプレイングにご記載下さい)。

 執筆は2/12の8:30より実施。また、リプレイ公開日程についてはマスターページで告知を行います。
 それでは、皆様のご参加をお待ちしています。
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


 東京都文京区、東京ドーム。
 新宿駅から電車で十分ほどの距離に位置する大型球場では、今、史上初となる一大イベントが催されていた。
 そこに集うのは、ネメシスに変化した数百人の復讐者たち。自身の限界まで引き出した力を以て、極限の激戦を繰り広げる闘士たちだった。

 彼らの目的はただ一つ、自身のネメシスと復讐心に向き合うこと。
 刻逆の先に待つ『真の敵』に関係するとの情報もあるネメシス形態――復讐者ならば誰もが行使可能な力に、正面から向き合おうと言うのだ。
 試合は全てトーナメント形式で行われ、本選に進む資格を得られる者は全部で32名。
 復讐者たちが繰り広げる予選は順調に進み、いよいよ最後の1人を決めるのみとなっていた。

「さあ、予選最終試合の始まりだ! この激戦を制したディアボロスが、本選の第1回戦へ進む最後の一人だよ!」

 いつの間に潜り込んだか、場内の放送席よりリュカの声が響く。
 大会に参加する復讐者たちの歓声が東京ドームに木霊する中、試合会場に進み出たのは、2人。
 獅子堂・崇とア・ンデレだった。
 互いに礼を交わした後、彼らは無言で戦闘態勢を取る。

 このワイルドカード杯は、両者がネメシスとなって戦うもの。
 その勝負は、例外なく一瞬で決着する。
 果たして、勝利を手にするのは何方か。復讐者たちが固唾を飲んで見守る中、予選の最終試合が始まるのだった。
ア・ンデレ
「私にもっと力があれば。
あの日、家族を、喰らいつくしてあげることができたでしょう。」

家族が次々とクロノヴェーダになっていった。
私はそれを喰らい、デーモンイーターとなった。
あの悪魔に喰らわれる前に、喰らってあげたかった。
でも、喰らいつくせなかった。

喰らうこととは、交わることだ。
喰らった家族は私と交わり、私と共に生きている。
この力はすべて、喰らい交わることで、もらった力だ。

私は喰らいつくすことのできなかった家族を取り戻すために、クロノヴェーダを喰らい、力をつけてきた。
その途中で、友達がたくさんできて、取り戻したいものもたくさんできた。

このネメシス形態を私は、喰らうものの姿と呼んでいる。
体は光でできていて、指のような触手から全てを吸い取り喰らうこととができる。
空間すらも、喰らうことができる。
私はこの力で、全てを喰らいつくして、全てを取り戻したい。

(ですます調の丁寧な喋り方。友達でも容赦なく殺すつもりで戦う。勝つことにこだわり負けることは死ぬことと考える。勝つためならばどんな手段でも厭わない。)


●予選最終試合:獅子堂・崇 VS ア・ンデレ 
 割れんばかりの大歓声が、東京ドームを包む。
 予選の最終試合を迎え、場内の熱気は止まるところを知らない。この勝負を制する者が、本選に進む最後の一人とあれば、それも当然のことだろう。
 そんな歓声の降り注ぐ中、ア・ンデレ(すごいぞアンデレちゃん・g01601)は訥々と言葉を紡ぎ始めた。
「……家族が次々とクロノヴェーダに変じ。私はそれを喰らい、デーモンイーターとなりました」
 己と向き合いながら語るのは、一瞬にして喪われた、家族との暖かい絆。
 かつて復讐者として覚醒した時の記憶を、アンデレは今も鮮明に思い出せる。次々とクロノヴェーダに変じていった家族の姿を記憶から掘り返しながら、彼女は思う。
 自分にもっと力があれば。あの日、家族を喰らい尽くしてやれたのに――と。

「私は、喰らってあげたかった。あの悪魔に喰らわれる前に」
 天を仰ぎ、そう呟くアンデレの声には悲しみの色が滲む。
 彼女にとって、自身と向き合うことは、魂に撃ち込まれた楔を見つめることと同義だ。だが、それで尚アンデレの復讐心は鎮まるところを知らず、じわりと熱を帯び始めていた。
「なのに、その願いは叶いませんでした。そう……叶わなかったのです」
 固く握りしめた自信の拳を、鬼人の少女はじっと見つめる。
 アンデレにとって、喰らうことは即ち交わること。今の彼女を構成する力は、敵を喰らい交わることで得たものだ。復讐者である彼女の戦いは、常に喰らうことと繋がっていた。そう――全ては、あの日喪われてしまった家族を、自分自身のやり方で取り戻す為に。

「その途中で友達が沢山出来ました。それだけではありません。取り戻したいものも、沢山出来ました」
 言葉を紡ぐアンデレの全身が、ふいに眩い輝きに包まれた。
 光の塊となったシルエットは、全身を無数の触手で構成する、人ならざる者の姿。それこそが、彼女が発動したネメシスの姿に他ならない。
 今や彼女は、パラドクスで空間すらも喰らうことが可能だ。
 それほどの力を以て、一体何を望むのか? そんな自問に、返す答えは決まっていた。
「私はこの力で、全てを喰らいつくして、全てを取り戻したい」
 一言一句を刻むような口調で、アンデレが言う。迷いの消えた心を表すように、その声は不思議と穏やかなものだった。

 そうして変身を遂げたアンデレは、肉体を構成する触手を次々に翳し始めた。
 自身の精神を、「喰らうこと」の渇望が染め上げていく。五感で認識する全てを捕食の対象と認識しながら、彼女の意識は勝利だけに向けられていた。
「手加減はしません。私の全てを、ぶつけさせて貰います」
「ああ。俺も、全力で行かせて貰うぞ!」
 アンデレと崇、二人の視線がパラドクスを帯びて交錯する。
 刹那、光の触手と燃える拳が、世界の理を書き換えて飛び交い――場内に響いたのは、正拳突きの拳風だった。

 かくして試合は、互いの一撃で決着を見た。
 全力で戦った反動で膝をついたアンデレは、試合の結果を暫し噛み締めた後、勝者となった崇と礼を交わし合う。
「……ありがとうございました。本選、頑張って下さい」
「こちらこそ。いい勝負だったぜ」
 激闘の果て、ノーサイドで試合を締め括ったアンデレと崇を観客席の拍手と喝采が包む。
 かくして予選は幕を下ろし、本選へ進出したのは32名の復讐者たち。
 数多のネメシスが競い合う闘技大会、その第1回戦が幕を開けようとしていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【おいしくなあれ】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!

 予選の最終試合が終了し、東京ドームの熱気はいよいよ盛り上がりを見せていた。
 本選参加者は、総勢32名。
 その全員がトーナメント形式で勝敗を競い、最後に勝ち残った者が優勝者となる。

 本選は、全部で5回に分けて行われる。
 第1回戦、第2回戦、準々決勝と準決勝、そして決勝。
 次の第2回戦へ進出が可能となるのは、第1回戦を制した16名の選手だ。

「さあ、それでは対戦カードを発表するよ!」

 場内にリュカのアナウンスが流れると同時、電光掲示板に対戦相手の名前が次々と表示されていく。
 その場の全員の視線が注がれる中、全16試合の組み合わせが表示された。

●ワイルドカード杯 第1回戦
・第1試合 :月下部・小雪    vs 獅子堂・崇
・第2試合 :安藤・優      vs アンゼリカ・レンブラント
・第3試合 :音羽・華楠     vs ラウム・マルファス
・第4試合 :ジズ・ユルドゥルム vs ワシリーサ・ヴォレシア
・第5試合 :シル・ウィンディア vs イシュア・アルミゴス
・第6試合 :四葩・ショウ    vs 麗・まほろば
・第7試合 :捌碁・秋果     vs 八栄・玄才
・第8試合 :八雲・譲二     vs クィト・メリトモナカアイス
・第9試合 :野本・裕樹     vs レオアリア・フォルシオン
・第10試合:瀬鍔・頼門     vs 一里塚・燐寧
・第11試合:リオーネ・クア   vs 括毘・漸
・第12試合:真紅堂・乎乎那   vs ソレイユ・クラーヴィア
・第13試合:凍雲・雪那     vs ガンドラ・ブラッディア
・第14試合:桜之宮・春風    vs リューロボロス・リンドラゴ
・第15試合:一ノ瀬・綾音    vs ルィツァーリ・ペルーンスィン
・第16試合:文月・雪人     vs 伏見・逸

 観客席のあちこちから、大きな歓声が沸き上がる。
 声の源は、予選に参加した数百名の復讐者たちだ。本選進出者たちの勇姿へ、彼らは口々にエールを送る。
 熱気を帯びていく東京ドームの空気。それは数百数千の言葉よりも雄弁に、参加者たちの魂を揺さぶった。

 己と向き合い、勝負に挑み、その果てに彼らは何を掴むのか。
 その答えは、もうじき明らかとなるだろう。
 ネメシス闘技大会ワイルドカード杯、第1回戦。本選へ辿り着いた復讐者たちの試合が、今始まる――!
獅子堂・崇
アドリブ歓迎

復讐心の原点か。新宿以外が消えてしまってよくわからないことになって、家族や友達がほとんどいなくなったと知ったことに端を発するんだろう。だが、俺の場合は気付いたらディアボロスに覚醒していたから、多分どこかのディビジョンに似たようなことを考えながら消えていった人たちがいて、その人たちから色々な想いを託されたんだろうな。
俺はこの復讐心というやつが自分だけのものだとは思わない。だからといって他の皆より劣るとも思わない。

(ネメシス形態に変身。手足から炎のように念動力が溢れる)
この姿は俺自身の力を信じることができないから発現したものだろう。自分が培ってきた武術だけで戦えないと思ったから念動力に頼ろうとして出力を上げすぎた。威力はあるだろうが武術家としては未熟そのものだな。九州に帰って墓参りに行ってきたけど師匠や教えてくれた皆に申し訳が立たないな。

だからこの一戦は念動力に最も頼らないただ俺に出来る最速の一撃を繰り出す。この一撃は俺が次に進むための決意表明だ。勝ち負けは関係ない。


●第1試合:月下部・小雪 vs 獅子堂・崇
 熱気に包まれた試合場を、男は静かに踏みしめていた。
 いよいよ開始された本選の空気は、予選とは段違いに熱い。自分自身に向き合い、仲間たちと鎬を削るには、最上の舞台と言えるだろう。
「……復讐心の原点か」
 小さく呟きを洩らしつつ、男――獅子堂・崇(破界拳・g06749)は復讐者たる自身の過去を顧みる。
 覚醒にあたり、崇自身は特別な出来事に遭遇した訳では無い。強いて言えば、新宿以外の大地が消え、家族や友達の殆どがいなくなったことに端を発しているのだろう。復讐者となった切欠を、彼はそう考えていた。

(「刻逆が世界を襲った、あの日……数多のディヴィジョンに分割され、消滅した数え切れない人々がいた。彼らから、俺は色々な思いを託されたんだろうな」)
 己の抱く復讐心を見つめながら、崇はそう結論付ける。
 刻逆で消滅した人々から託された想い――それは即ち、自分一人だけの復讐心ではないということ。だが同時に、彼は確信している。そうして得た心が、他の仲間たちの抱えるそれに決して劣るものではないことを。
「――ネメシス、発動」
 内より湧き上がる復讐心が、崇の肉体に変化を齎していく。
 姿形は、一見すれば普段の彼と変わらない。だが、手足より溢れる炎の如き念動力を帯びた彼は、今や自身の力が飛躍的に上昇したことを雄弁に物語るものだ。

(「……出力が高すぎるか。武術家としては未熟そのものだな」)
 念動力の溢れ出る手足を見下ろし、崇は無言で眉を寄せた。
 己の力を信じられず、培ってきた武術だけで戦えないと思い、それは念動力に頼ろうとして辿り着いた姿。威力こそ申し分なくても、それは彼にとって自らの至らなさを常に突き付けられる姿に等しい。
「……九州の墓参りには行けたけど、師匠や皆に申し訳が立たないな」
 恩師や知人の顔が、崇の脳裏に現れては消えて行く。
 彼らと過ごした日々、教わった技術。それらは紛れも無く、今の崇を形作るものだった。
 果たして自分は、復讐者としてどう戦うべきなのか――暫し自問した末、彼は己が四肢にゆっくりと力を込め始める。自身が見出した決意を、今こそ示すように。

 取った構えは、彼が幾度も無く繰り返して来た技に、忠実に沿ったものだった。
 空手の基本にして、格闘技最速と言われる刻み突き。そこへアレンジを加えて昇華させた『我流破界拳・風烈』こそ、この大会で彼が用いると決めた必殺の一撃だった。
「この一撃は俺が次に進むための決意表明だ。勝ち負けは関係ない」
 今できる、最速の一撃を繰り出す。
 念動力には頼らず、一人の武術家として、迷いを捨てた心と共に彼は力強く踏み込む。
「俺の我流破界拳――見切れると思うな!」
 さながら一陣の風と化した彼の動きは、何者にも見切ることは叶わない。
 不完全な己を抱え、それでも自身の全てを賭して。裂帛の叫びと共に、崇の手より、いま必殺の拳が放たれた。

 パラドクスの輝きが席巻する試合場で、崇が軽やかに宙を舞う。
 時間にも物理にも制約されない空間に、対する小雪の放った不可視の魔刃が乱れ飛ぶ。
 瞬間、正拳突きが小雪を強かに打ち、そして魔刃が崇を捉え――崇の膝から、静かに力が抜けた。
「まだ、修業が足りんか。だが……」
 この試合を通じて、自分は確かに“次”への一歩を踏み出した。
 掴んだものを零さぬように両拳を無言で握り締め、崇は結果を噛み締める。
 この戦いを通じて得た全てを糧に、俺は先へ進んでいこう。その想いを、深く胸に刻みながら。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【浮遊】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!

安藤・優
戦う理由はあるけれど、僕の『復讐心の原点』ってなんだろう?
みんなに聞こえるように自問自答しつつ上手い事まとめられるよう努力する

いままでずっと戦える力があったから戦って来た

過去や未来、大切なモノを奪われて、取り戻そう抗い、けれど成し得なかった誰かの代わりに――これが僕の戦う理由

無慈悲に奪われ、抗う事すら許されず、燃え尽きた命が遺した想い、朽ち果てた命が託した願い――それは僕のじゃない、名も無き誰かの『復讐心の原点』だ

そんな想いを、そんな願いを、そんな怒りを代行する――僕の力は、その為の力だ!

ネメシスは真の敵に由来する力だけど、力そのものに善悪は存在しない、ただ使う者の心だけがそれを決めるんじゃないかな。
僕のネメシス形態は沢山の人達の感情を纏う、だからこそ感情任せに異形になったりせずに自分の意思で人の姿をしてるんだ。

僕達が本来持つ怒りや復讐心は、吹けば消え去る程にか弱いものだろう。
けれどそんな小さな感情も、幾千、幾万、幾億と集めて束ねれば…借り物でも、強大な敵を討ち倒せるだけの力になるんだ!


●第2試合:安藤・優 vs アンゼリカ・レンブラント
 自身の復讐心の原点は何か。安藤・優(名も無き誰かの代表者・g00472)にとって、それは頭を悩ます問いだった。
 過去、未来、大切なモノ――それら悉くをクロノヴェーダに奪われた人々の為、復讐者の力を行使して戦うことは自問するまでもない事柄だったからだ。
「けれど……ディアボロスとして戦う以上、ここは避けて通れない。そういう時期が来たということなんだろうね」
 半ば自分を納得させるように呟いて、優は静かに自身に問いかける。
 己の中に抱える想い、復讐者として戦う理由。いずれ来るであろう大きな戦いに向け、それらと今一度向き合う為に。

 最初に優が自問したのは、自身の戦う理由だった。
「クロノヴェーダに奪われたものを取り戻そうとして、成し得なかった誰かの代わりに――これが僕の戦う理由」
 そこから優は、更に思考を深めていく。
 無慈悲に奪われ、抗うことすら許されず、燃え尽きた命が遺した想い、朽ち果てた命が託した願い――それらは果たして、誰のものか?
「そう。僕のじゃない、名も無き誰かの『復讐心の原点』だ」
 優の思考は、尚も途切れず続く。
 では、それを前に、自分は復讐者として何を選択したのか?
「そんな想いを、そんな願いを、そんな怒りを代行する――僕の力は、その為の力だ!」
 力及ばずクロノヴェーダに敗れた者たちに代わり、奪われたものを取り戻す為。
 自身が扱う力の認識に応えるように、優の体が変貌を始めた。漆黒のコートを羽織る、ネメシスの姿へと。

「ネメシス……真の敵に由来するとされる力……か」
 変貌を遂げて全身に充溢する力を感じながら、優は呟く。
 ネメシスとなった復讐者が行使するパラドクスは、強大なクロノヴェーダすら容易に圧倒し得る。だが、今までもこれからも、その力に呑まれず戦える確信は、優の中で微塵も揺らぐことは無い。

 ――力そのものに善悪は存在しない。ただ使う者の心だけがそれを決める。そして……。
 ――想いを託してくれた人々の心がある限り、僕が道を違えることは無い!

 優自身を含め、人がひとりで為せることは多くない。本来持つ怒りや復讐心も、吹けば消え去る程にか弱いものだろう。
 だがそんな小さな感情も、束ねれば計り知れない力となる。例えそれが、他者に託された借りものであったとしてもだ。

 優の掲げる一振りの剣が、眩い煌きを宿す。
 それは時を遡り紡がれた、幾多の想いと絆が為す光。星震の如き輝きに至った願いの力は、今や蒼空のように澄み渡り、『蒼空刻星剣』のパラドクスに変じていく。
 運命に抗う力を以て、立ちはだかる困難を乗り越える。それが、自身に向き合った優の導いた答え。
「刻告げる剣閃よ――歪められし過去を断ち、未来への道を切り拓け!」
 願いと想いを力に代えた一閃が、優の手より放たれる。
 その一撃はどこまでも鋭く、そして純粋に世界を蒼く染め上げて、アンゼリカの光剣と火花を散らした。

 蒼と金、二色の輝きが激突する。
 互いの全てを凝縮した力が刹那の時間をせめぎ合い、場内を金色の光が満たした瞬間。それが決着の合図だった。
「……! ……――っ!!」
 優は半ば力ずくで息を整えると、渦巻く感情を鎮めるように強く口を結んだ。
 これが今の全力であり、その結果。それを静かに受け入れた優は、静かにアンゼリカと礼を交わす。
 強くなってみせる。人々の為に、もっともっと――ひとつの死闘を経て、少年は自身に誓うのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【プラチナチケット】LV1が発生!
効果2【リザレクション】LV1が発生!

ラウム・マルファス
ヘルヴィムの一件以来、ネメシスとは何かって考えてタ
真の敵の力と同じものだとして、南極の彼の言葉やディヴィジョンの状況を考えるなら、『もしも』の可能性を引き出して被せるようなモノなんじゃないカナ

「ボクはボク自身が嫌いダ。弱くて何も護れない、勇敢であることも虚勢を張ることも出来ないボクが嫌いダ。エゼキエルで家族を失い、弟を護れず共にディアボロスになっタ。ボクの復讐心の原点は、ボク自身に向いたものダ」
「でもいろんな世界を見て、そこで生きる人を知っタ。人間のときのボクなら生き延びれないような状況で、泣いて絶望してる人を見タ。でも、希望を持ち続ける人もたくさん居タ。地獄みたいな環境で、小さな幸せを見つけて笑ってる人が居タ」
「ディアボロスであるボクよりも、ずっと強いナ、って思ったんダ。だからせめて護りたいと、できれば共に歩みたいと願っタ。人間をおびやかす相手を赦せないと思っタ。それがボクの、今の復讐心ダ」

ネメシスはきっと何にでもなれるんだロウ
でもボクのネメシスはボク自身の姿
強くて弱い、人間の姿サ


●第3試合:音羽・華楠 vs ラウム・マルファス
 生命の危機に陥った際に変身可能となる姿、ネメシス。
 今まで数多の戦場において、復讐者たちの危機を救って来た未知なる力を、ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)はヘルヴィムとの邂逅以来考え続けていた。
「仮に、それが『真の敵』の力と同じものとするなら。『もしも』の可能性を引き出し、被せるようなモノじゃないカナ」
 かつて絶滅人類史で言葉を交わした観測者の言葉、更にはディヴィジョンの状況。それらを複合し、考察して辿り着いた、それが現時点におけるラウムの見解だ。
 とは言え、これはあくまで仮説に過ぎないこともまた、十分に承知している。
 今回の大会での戦いを通じ、何らかの形で検証を進められれば良いのだが――研究者としての好奇心を滾らせ、彼は試合に臨もうとしていた。

 厳粛な空気に満ちた試合場で、ラウムは静かに呼吸を整えた。
 極限まで高めた集中力が、彼を周囲の歓声から遠ざけていく。そして否応なく向き合った自分自身の姿に、思わず浮かんだのは苦笑だった。
「弱くて何も護れない、勇敢であることも虚勢を張ることも出来ない男。ボクが嫌う、ボク自身の姿ダ」
 かつてエゼキエル戦争で家族を喪い、弟を護れず、共に復讐者となった日のことは今でも忘れられない。
 彼の心に根差す復讐心の原点――それは他でもない、自分自身に向けられたものなのだ。

「でも。いろんな世界を見て、そこで生きる人を知っタ」
 そうして目を閉じれば、脳裏には今まで歩んできた日々が鮮明に蘇る。
 覚醒前であれば生存など覚束ない状況で、泣いて絶望している人がいた。
 希望を持ち続けている人々も大勢いた。
 地獄のような環境で小さな幸せを見つけ、笑っている人がいた。
 彼らの生きる姿を思い返しながら、ラウムは思う。復讐者である自分より、彼らはずっと強かったと。
「せめて護りたいと、できれば共に歩みたいと願っタ。脅かす相手を赦せないと思っタ。それがボクの、今の復讐心ダ」
 溢れ出す膨大な力を感じながら、ラウムは対戦相手と対峙する。
 常と変わらぬ自分自身――強くて弱い人間の姿を、自らのネメシスの姿として。

 天に翳す太極扇より、凍気で出来た鳳凰が姿を現した。
 発動した『吉兆:鳳凰の舞』によって、漆黒の鳳凰が開戦を告げるように対戦相手の華楠へ飛翔していく。
 そうして――刹那の間に、互いのパラドクスが交錯し。自身の両足がゆっくりと地面に崩れ落ちる感覚に、ラウムは勝敗の結果を悟った。
「どうやら、届かなかったようだネ。……けれど、自分を見つめ直す良い機会だったヨ」
「こちらこそ。良い試合をありがとうございました」
 華楠に微笑みを返し、ラウムはゆっくりと立ち上がる。
 勝利は逃したが悪い気分では無い。体力も多少は回復し、歩いて戻るくらいは出来そうだ。
 闘技大会はまだ始まったばかり。続く試合を観戦しつつ、仮説をじっくりと考察しよう。そう考えるラウムの眼は、溢れんばかりの探求心と好奇心を再び取り戻していた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!

ワシリーサ・ヴォレシア
アレンジ等歓迎


心情
自身のネメシス体、そして復讐心に向き合うかあ
私のネメシス体は私を乗っ取ってたクロノヴェーダ、吸血船イワンワシリーの原典に由来する姿だけど……先ずは其処から見つめなおさないとかな


変身後の姿
炎の人型を従え幽鬼の様な気配を纏いながら輝く霧を漂わせた状態
霧で生気を吸い取り己を薪とした炎の刃で敵を切る


私は船が好きだった
父様が、船乗りで戦死した顔も知らないお爺様が海を、船を愛してて屋敷には小さな船や船のパーツが沢山あった
父様は領主で忙しく兄様や母様は幼い頃馬車の事故で亡くなって私は何時も寂しかった
だから其れを紛らわせてくれる船が海が大好きだった

けど館にあった物に何か厄介なのがあったのか私に素養があったのか私はクロノヴェーダに体を乗っ取られた

そして皆に助けられ今こうして復讐者として此処にいる


身体を乗っ取られた事もあったけど其れでも私は変わらず今も船も海も大好きで、そんな大好きな海が血に穢されるのが嫌!
復讐心とは違うかもだけど其れが此の身を焼き尽くしてでも貫く理由で此の姿は其の証だよ!


●第4試合:ジズ・ユルドゥルム vs ワシリーサ・ヴォレシア
 かつての日々で思い出すのは、屋敷にあった小さな船たち。かつて父と、船乗りで戦死した顔も知らない祖父が愛した、船や船のパーツは、ワシリーサ・ヴォレシア(船好き少女・g09690)にとって楽しい思い出の象徴だった。
 幼少の頃に兄と母を馬車の事故で喪ってから、家族は父親ただひとり。そんな父も領主と言う職務に忙しく、娘と過ごせる時間はそう多くは無い。
 だからこそ、ワシリーサは船を愛した。
 どこまでも広がる大海と、そこを進む船。それは彼女の寂寞を紛らわせてくれる、何よりの友だったから。

(「けれど何の運命の悪戯か、私はクロノヴェーダに体を乗っ取られた。そして皆に助けられ、こうして此処にいる」)
 館にあった物に何か厄介なものがあったのか、はたまた自分自身、何らかの素養があったのか。
 ただひとつ明らかなのは、自分が復讐者に覚醒したという事実だった。
 今この瞬間まで、歩んできた道は決して平坦では無かった。時空間移動列車で世界中を駆け巡り、数え切れない強敵と死闘を繰り広げ、そうして辿り着いた今を噛み締めながら、ワシリーサは今一度自分に問う。かつて船を、海を愛した心は、もう喪われてしまったのだろうか?
 答えは、むろん否だ。
「私は今も、船も海も大好き。そして……船が、海が、家族との楽しい思い出が……血に穢されるのは嫌!」
 胸に抱くこの想いは、復讐心とは違うかもしれない。
 だが、これはワシリーサという復讐者の少女を形作る、紛れも無き純粋な想い。自身の身を焼き尽くしてでも貫く、確かな理由なのだった。

「此の姿は其の証。ネメシスの姿だよ!」
 高まる決意に応えるように、ワシリーサの身体が変化していく。
 炎の人型を従え、輝く霧を漂わせる幽鬼の如き姿。かつて彼女の身体を乗っ取ったクロノヴェーダ、吸血船イワンワシリーの原典に由来する姿へと。
 そうして若き少女は、自身の身体を構成する霧を、周囲に散布し始めた。
 相手の攻撃に呼応する形で炎の刃を叩き込む、『イワンワシリーの焼失』。それが、彼女の駆使するパラドクスだ。
「此の輝く霧は『私』自身、そして此の炎は『私』を焼き尽くした炎! 食らって貰うよ!」
 張り詰める空気を、紅蓮に燃える一閃が切り裂いた。
 霧で生気を吸い取り、己を薪として放つ、それはワシリーサ必殺の炎刃。
 己と向き合い導き出した答えを胸に、少女に最早迷いの色は無い。

 そうして――対峙する二人のパラドクスが、戦場を席巻した次の瞬間。
 戦いは、一撃で幕を下ろした。
 全てを振り絞り、再び元の姿に戻ったワシリーサが、ゆっくりとその場に膝をつく。それが決着だった。
「残念、力及ばずか。けど、自分の中の大事なものを見いだせたよ」
「……君の家族との思い出が、これからも輝きと共に在らんことを。良い勝負だった」
 そう言ってジズが差し出した手を取り、ワシリーサは降り注ぐ拍手の中を帰っていく。
 未だ続く戦いの果てに奪還された世界、そこに彼女が愛する船と、青い大海原が待つことを夢見ながら。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【熱波の支配者】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!

イシュア・アルミゴス
僕の復讐心の原点か。
それは守るべきものを守れなかった、その無力さへの怒りだね。

一族は代々守護を使命としてきた。僕もそのつもりだった。
けれどクロノヴェーダの襲撃が来た時、僕は何も守れなかった。
一族も、使命も、大切な場所も、全部失った。
守護者として生きてきた意味が、あの日全て消えたんだ。

そして僕は逃げた。
守れなかった事実から、責任から、何もかもから逃げたんだ。
使命を放棄した男だ。でもね、戦う事だけは選んだよ。何も守れなかった男の最後の意地として。

もう二度と誰かの大切なものを奪わせない。
過去は変えられないけれど、これからの未来は変えられる。
復讐とは僕にとって再挑戦なんだ。

セルケトの制限を解除。バイオスーツが黄金に輝き守護星蟲の姿へ変身していく。
セルケトテイルを腕に結合させて完全形態へ。

この姿こそが僕の覚悟だ。守護者として失った全てを、この力で取り戻す。
もう無力な自分には戻らない。逃げた男だからこそ、今度こそ守り抜いてみせる。
僕の復讐は誰かを傷つける為じゃない。誰も傷つけさせない為の力なんだよ。


●第5試合:シル・ウィンディア vs イシュア・アルミゴス
 自分が抱える復讐心の原点を問われれば、イシュア・アルミゴス(守護星蟲・g00954)は迷わずこう答える。
 それは、守るべきものを守れなかった、自身の無力さに対する怒りだと。

「……一族は代々守護を使命としてきた。僕もそのつもりだった」
 復讐者として覚醒する前、獣神王朝エジプトでの日々をイシュアはそう振り返る。
 同時に蘇るのは、忘れようのない記憶。クロノヴェーダの襲撃で全てを失った過去のことだ。それは今なお、彼の心に消えない傷となって刻まれている。
「一族も、使命も、大切な場所も、全部失った。守護者として生きてきた意味が、あの日全て消えたんだ。そして……」
 一旦言葉を切り、イシュアが無言で拳を握った。
 これは口に出したい話ではない。だが、己と向き合う為には決して避けて通れない。
 暫しの間を置いて、彼は言う。
 あの時、自分は逃げた。守れなかったという事実から、責任から、何もかもから――と。

「僕は使命を放棄した男だ。でもね、戦うことだけは選んだよ。何も守れなかった男の最後の意地として」
 獣神王朝エジプトを奪還し、数々のディヴィジョンを帰還させた。
 それでも尚、クロノヴェーダとの戦いに身を投じ続けるのは何故か。その問いに対し、イシュアは迷わずこう答える。
 もう二度と、誰かの大切なものを奪わせない。それこそが、自身の戦う理由。
「過去は変えられないけれど、これからの未来は変えられる。復讐とは僕にとって再挑戦なんだ」
 制限を解除した『セルケトテイル』に同調し、イシュアのバイオスーツが黄金の輝きを放ち始める。彼の五体が、守護星蟲の姿へと変身していく。
 腕部にセルケトテイルを結合させ、変身完了。
 太陽の如き輝きを放つ蟲型の守護者――イシュアが辿り着いた、完全形態のネメシスだった。
「この姿こそが僕の覚悟だ。守護者として失った全てを、この力で取り戻す。もう無力な自分には戻らない」
 かつて逃げた過去と、今度こそ守り抜く覚悟。その両者を背負い、イシュアはパラドクスを展開していく。
 この胸に抱く復讐は、誰かを傷つける為ではない。誰も傷つけさせない、その為の力だ。

 極限まで高まるイシュアの復讐心に、セルケトテイルが共鳴する。
 搭載された電撃発生機構より溢れる電撃を全身に纏い、発動するのは『砂漠轟く蠍の怒り』の一撃だ。復讐者としての自分の全てを込めた渾身の一撃を、彼はいま解き放つ。
 逆説連鎖戦、開始。
「――激しくいくよ」
 次の瞬間、繰り出す一条の雷が、シルの魔砲と真っ向から激突する。
 刹那にも満たない時間の中、極限まで凝縮された力がパラドクスの光を散らし、そして――。
 静かによろめき、そして地面に膝をついたのは、イシュアだった。
「あいたたた。……残念」
 勝負の結果を噛み締めて、イシュアが言う。
 無念は残るが悔いはない。この大会で得た答えは、これからの戦いで、きっと支えとなるだろうから。
 対戦相手のシルと礼を交わし、試合を後にするイシュア。その姿は敗れてなお、色褪せない輝きに満ちていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【操作会得】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!

麗・まほろば
ネメシス化して、軍人たる堂々とした姿でまほろばは立つよ

私の復讐の原点は、クロノヴェーダに侵された祖父(お祖父ちゃん)の雪辱をすすぐことにあった
敵がどれだけ強大であろうと、自ら海へ立ち、艦隊旗艦として同胞たちを率い、立ち向かった祖父は私にとっての英雄だ
そして私はその遺志を引き継ぎ、この最終人類史という国と民たちを護ることこそが私の使命であり義務である!

【超々々々弩級戦艦級海戦装『紀伊』】を展開!
全門装填。標的、目前のディアボロス!

東京湾海戦にて私が皆に呼びかけた言葉を今一度、観衆に繰り返そう

『クロノヴェーダは恐ろしい。それを私は否定しない
だが、悪辣非道を以て支配せんとする侵入者には拒絶しなければならない!』

皆から我々への【託されし願い】が続く限り、私はこの逆説連鎖戦に荒る波を砕き、そして最終人類史の未来を護って見せよう!

大丈夫! まほろばがみーんな! 護るから!
どーんと、まかせてよ!!

全門斉射!
沈っめぇぇぇえ!


●第6試合:四葩・ショウ vs 麗・まほろば
 古今、人類の歴史において、英雄と呼ばれる者は数多存在する。
 前人未踏の偉業を成し遂げた者、長き戦乱を平定した者――何を以て英雄と呼ぶかは人によって変わるだろう。
 麗・まほろば(まほろばは超々々々弩級戦艦ですっ!・g09815)にも、英雄と呼ぶ存在はいる。それはかつて、海を戦場にクロノヴェーダと戦い続けた、彼女の祖父だった。

 試合場であるグラウンドを囲む観客席から、選手を応援する幾重幾百の声が木霊する。
 席に座るのは、予選に参加した者たちや、知己たる本選参加者の活躍する姿を見ようと訪れた者たち。その全員が、人類の為に戦う復讐者たちだ。
 そんな彼らの視線を浴びながら、まほろばは堂々と試合場に立つ。彼女のネメシス、堂々たる軍人の姿だった。
(「クロノヴェーダに侵されたお祖父ちゃんの雪辱をすすぐこと。それが、私の復讐の原点だ」)
 強大な敵にも臆すること無く、自ら海に立った祖父。
 艦隊旗艦として同胞たちを率い、立ち向かったその姿は、正にまほろばにとっての英雄だった。
 今は亡き彼の遺志を引き継いで、最終人類史を、そこに生きる民たちを護ること。それこそが、自身の使命であり義務だとまほろばは言う。
「クロノヴェーダは恐ろしい。それを私は否定しない。だが、悪辣非道を以て支配せんとする侵入者は、拒絶しなければならない!」
 かつて東京湾海戦で呼びかけた言葉を、まほろばは観衆に向けて繰り返す。
 人々が託す願いの続く限り、諦めることは無い。逆説連鎖戦に荒るる波を砕き、最終人類史の未来を護ること――それが、英雄の意志を継ぐ者としての決意だ。

「大丈夫! まほろばがみーんな! 護るから! どーんと、まかせてよ!!」
 最終人類史に生きる全ての人々に向けて、まほろばは言う。
 その覚悟を示すのは、彼女の体に紋章めいて輝き浮かぶ無数の回路。それは『超々々々弩級戦艦級海戦装「紀伊」』の発動準備が完了したことを示す証であり、同時に、決戦に挑む最終形態でもあった。
 そして――対戦相手のショウが準備を終えると同時、両者のパラドクスは世界の理を書き換えていく。
「全門斉射! 沈っめぇぇぇえ!」
 強大な敵に抗い、人々を護る。
 不退転の覚悟と不動の想いを胸に仕掛ける艦砲の一斉射撃が、空気を揺さぶる衝撃と共に東京ドームを包み込む。
 まほろばの砲撃と、ショウの歌声。互いの全てを賭けたパラドクスが鎬を削り合い、火花を散らし。
 そうして、ただ一度の攻防の果て、決着の時は訪れた。

 ドームの空気が静寂に包まれる中、小さな音が響く。
 それは力を使い果たしたまほろばが地に崩れ落ちたことを示す音であり、同時に、試合が終了した瞬間だった。
「~~っっ!! 次はもっと強くなってみせるよ!」
「いい勝負をありがとう。おなじディアボロスとして、その強さが頼もしい」
 膝を叱咤して立ち上がったまほろばは、対戦相手のショウと健闘を称え合うと、背筋を正して勝負の場を去っていく。
 たとえ勝利は掴めずとも、英雄である祖父に恥じることの無いように。
 注がれる拍手と歓声に漲る力を感じながら、彼女の瞳はまっすぐに未来を見つめていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【水面走行】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!

捌碁・秋果
ネメシス形態にチェンジ
豪奢なドレス、赤葡萄の髪飾り、えぐい高さのヒール。淫魔な見た目も相俟って悪の女性幹部っぽいけど、私は気に入っていましてよ
おおん?衣装に引っ張られて口調も大分お淑やかになっていますわ

メガホン型拡声器を使用。皆、私の覚悟をお聞きなさい!
ビ~ジュビジュビジュビジュ!(笑い声)
私、捌碁秋果は!刻逆により奪われた美術館および作品たちを取り戻すために戦っていますわ!
大地の帰還と共にそれらは多数戻ってきましたが、まだ足りない、完全じゃない。全て奪還する!

(あの日、シテ島でロベスピエールに言われた言葉を反芻する
『他者を排してまでもそれを望むならば』
…私は、他種族の命と自分の好きなものを天秤にかけた。家族でも友人でもない、美術品という「私の好きなもの」を取り戻すために積極的に命を奪っている。
ごめん。でも、どうしても譲れないんだ)

刻逆前のように、国外の美術館と提携するような大規模な企画展が催される日がくるまで。私は戦い続けますわ!

メガホンを放り、パラドクスを使用。相手に半券を飛ばす


●第7試合:捌碁・秋果 vs 八栄・玄才
 復讐者たちが鎬を削り合うネメシス闘技大会。新たな試合の開始と同時、場内に颯爽と現れた一人の女性に、観客の視線は釘付けとなった。
 豪奢なドレスと、赤葡萄の髪飾り。カツカツと高い音を刻む、高いヒール。
 悪の女性幹部を思わせるその姿は、ネメシスに変身した捌碁・秋果(見果てぬ秋・g06403)だ。ふてぶてしさを感じる仕草で居並ぶ観客を一瞥すると、彼女はメガホン型拡声器を手に告げる。

「ビ~ジュビジュビジュビジュ! 皆、私の覚悟をお聞きなさい!」
 美麗な出で立ちとは裏腹の奇怪な笑い声に、観客席のあちこちで転ぶ観客たち。そんな彼らに向かって、秋果は畳み掛けるように告げる。自分が復讐者として戦い続ける、その理由を。
「私、捌碁秋果は! 刻逆により奪われた美術館および作品たちを取り戻すために戦っていますわ!」
 淑やかさと不敵さをそのままに、紡がれる言葉はどこまでも純粋なもの。
 繰り広げられた幾多の奪還戦によって、望むものの多くは取り戻された。
 だが、それでも満足ではないと秋果は言う。自分が復讐者として戦う理由は、失われてはいないと言う。
「まだ足りない、完全じゃない。全て奪還する!」
 世界中の美術館を、作品を、再び最終人類史に。その願いを叶える時まで、秋果は戦い続けると決めている。

 会場の空気が、水を打ったように静まり返った。
 秋果と玄才、対峙する両者の空間が、逆説連鎖戦の前触れを示すパラドクスの光で輝き始める。
 勝負が始まるのは、もう間もなくだ。精神の集中と共に鈍化していく時間の中、秋果が脳裏で反芻するのは、かつてシテ島でロベスピエールに言われた言葉だった。
(「『他者を排してまでもそれを望むならば』……そう。私は、他種族の命と自分の好きなものを天秤にかけた」)
 己の抱える業と向き合いながら、秋果は思う。
 自分が戦う理由は、言わばエゴに根差したものだ。家族でも友人でもない、美術品という秋果の好きなものを取り戻す――その為に、積極的に命を奪っている。
(「……ごめん。でも、どうしても譲れないんだ」)
 復讐者として戦う限り、これからも自分は奪い続けるのだろうと思った。
 同時に、ここで歩みを止める選択肢も存在しないことも知っていた。
 思い描く夢に向けて、邁進し、突き進む。その為ならば、時には命を奪うことも厭わない。自身と向き合い得られた答えを胸に刻み、そして――秋果のパラドクスは発動された。

 戦闘開始を告げるように、秋果のメガホンが放物線を描いて宙を飛ぶ。
 同時、虚空に召喚された大量の紙吹雪が、『キリサキチケット』の力で大蛇さながら蜷局を撒いて舞い始めた。その全身を構成するのは、術者たる秋果の思い出が詰まった美術館、企画展、その他諸々の半券だ。
 美術を愛する彼女の全てを賭した一撃が、対戦相手である玄才の繰り出す掌底と交錯、そして一瞬の空白が生まれ――。
「――痛ったぁぁぁぁぁ……っ!!」
 被弾してよろめく頭に音を立ててぶつかったメガホンを、秋果は最後の力を振り絞ってキャッチする。
 勝利を掴むことは、叶わなかったようだ。だが、それは決して、復讐者としての敗北を意味するものではない。描いた夢を叶えるまで、彼女の戦いが終わる事は無いのだ。
「私は戦い続けますわ! 刻逆前のように、国外の美術館と提携するような大規模な企画展が催される日がくるまで!」
 戦いを称える万雷の拍手が降り注ぐ中、色褪せることの無い情熱を瞳に宿して秋果は言う。
 この戦いを通じて向き合った自分自身と、極限まで引き出した力。それらがいずれ、新たな戦で最終人類史を奪還する一助となることを願いながら。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【完全視界】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!

八雲・譲二
※アドリブ歓迎
思えば遠くへ来たものだ
ただの料理人だった俺がなぁ…

家族を、故郷を奪われた俺の復讐はまだ終わってない
全大地の奪還と人々の帰還が成っても、奪われている間に経過した時間は戻らない。戦いに焼かれた記憶も消えない。敵を叩き斬る感覚も、この手はすっかり覚えちまった
…そうだ、復讐心の原点は『奪われたこと』じゃない
だから取り戻せば済むわけじゃない
「よくもこんな経験をさせやがって」という怒り
『刻逆の起きた世界』を経験させられた事、それ自体に対する憤怒が、俺の復讐心の原点だ!

ネメシス形態発動。白い翼の大天使
この翼は恐らくTOKYOエゼキエル側の『俺』に憑依合体した大天使の、つまり弟一家を奪った憎むべき奴等のもの
だからこそ俺はこの力を己が血肉とし、使いこなす
毒を喰らわば皿まで。その覚悟を決めたのが、より天使らしさを増したこの姿

料理人…、否!
特級厨師、参る!
美味三昧砲!!

勝てなかった時は素直に「参った!」と降参しよう
自分を見つめ直せて、仲間の想いも直に知れた
それだけで、参加した意義は充分あったよ。


●第8試合:八雲・譲二 vs クィト・メリトモナカアイス
 数多あるディヴィジョンを最終人類史に奪還し。歴史と大地を奪った断片の王たちに勝利を重ね。
 そうして辿り着いた今を、八雲・譲二(武闘派カフェマスター・g08603)は静かに噛み締めていた。
「思えば遠くへ来たものだ。ただの料理人だった俺がなぁ……」
 東京ドームの所在地である文京区を挙げるまでも無く、今や世界は着々とかつての姿を取り戻しつつある。残る大地の奪還と人々の帰還、それらはもはや夢物語などではなくなった。
 だが、同時に譲二は理解している。奪還が成ったとしても、奪われている間に過ぎた時間は二度と戻らないことを。

「家族を、故郷を奪われた俺の復讐はまだ終わってない。戦いに焼かれた記憶も消えない。……敵を叩き斬る感覚も、この手はすっかり覚えちまった」
 自分の両手をじっと見つめ、譲二は復讐者として過ごして来た日々に想いを巡らせる。
 数多くのクロノヴェーダを相手に、戦い続けて来た自分。その復讐心の原点は、果たして何か? 残された大地を奪還し、人々が帰還すれば、今も胸を焦がし続けるこの想いは消えるのか?
 悩むまでも無い、答えは否だ。
 何故ならば――自身が抱える復讐心の原点は、“奪われた”ことに起因するものではないのだから。

「そう、俺は許せない。怒りが、憤怒が、俺の復讐心の原点だ!」
 己と向き合った果てに見出した答えを、譲二は静かに噛み締める。
 彼に理不尽を強い続け、刻逆の起きた世界を経験させた、運命に対する純粋な怒り。それを自覚した時、彼の身体が自然とネメシスのそれに変化していく。
 背に広がった大天使の白翼に、譲二は胸のざわめく想いを感じた。
 無理も無い。姿形は美しいが、そこに纏わる因縁は彼にとって決して軽いものでは無いのだ。
(「こいつは恐らく、エゼキエル側の『俺』に憑依合体した大天使……つまり弟一家を奪った憎むべき奴等のものだ」)
 そんな力を、しかし譲二は排することはしない。
 即ち、己が血肉とし、使いこなす。毒を喰らわば皿までの覚悟と共に、彼は力を解き放った。

「料理人……、否! 特級厨師、参る!」
 美味によって高めた闘気を込めて、譲二が放つは『美味三昧砲』のパラドクス。
 ネメシスの姿で放つ全力の一撃が、クィトの繰り出す黄金猫拳打棒の一閃と交錯し、そして――。
「……!! …………完敗、だな」
 決着を告げるアナウンスが響く中、譲二は降参の言葉をクィトに送る。
 この戦いを通じて見つめ直せた自分。そして、予選と本選を通じて知れた仲間たちの想い。それらを知れただけでも、数え切れないほどのものを得ることが出来たと、心の底から思えた。
「ありがとう。参加した意義は充分あったよ」
「んむ、我も思いは同じ。あの勝負、少しでも運命の悪戯があったなら。敗れていたのは我だったかもしれぬ」
 かくして、二人の復讐者による激戦は、握手によって幕を下ろす。
 未だ止まぬ大歓声がドームに響き続ける中、第1回戦は折り返しを迎えようとしていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!

野本・裕樹
試合観戦だけのつもりでしたが自分自身との向き合い、挑戦させていただきたいと思います。
せっかくの東京ドーム、野球殿堂博物館で大打者が特訓に使ったという日本刀も鑑賞したいですけれど……そんな余裕は無いかもですね。

私の復讐は『師匠』の為、ですね。
『師匠』は私の命を救い、名前と生きる術を与えてくれた人です。
どこの誰とも分からない私のような者を救ってくれる優しい人……それを奪った妖怪が赦せません。

私のネメシス形態は元の姿から身長が伸び半透明のキツネの尾が一本増えたものです。

身長は『師匠』から頂いた《妖刀『鐵喰』》をより十全に扱う為。
半透明のキツネの尾は妖狐であった『師匠』の尾が具現化されたもの、私には何よりも心強い存在です。

そして何よりも私が『師匠』に近い姿となる事で、私も何処かの誰かの未来の為に頑張れる人になれるように。
『師匠』への恩返しであり、クロノヴェーダへの怨返し。
その為の復讐であれば……私にとって復讐に適した姿、これこそがネメシス形態です。

《鉄蝕閃》、征きます――!


●第9試合:野本・裕樹 vs レオアリア・フォルシオン
「せっかくの東京ドーム、野球殿堂博物館で大打者が特訓に使ったという日本刀も鑑賞したいですけれど……」
 そんな余裕は無いかもですねと、野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)は冗談めいた様子で独りごちた。
 当初は試合を観戦するだけの予定だったが、この催しは自分自身と向き合う良い機会。一人の挑戦者として、彼女はこの場に立っている。
 参加した以上は、優勝目指して戦うのみだ。裕樹は静かに深呼吸を一つ、内なる復讐心と向き合い始めた。

 復讐者として何の為に戦うのか。この問いに対し、裕樹は答えを迷うことは無かった。
(「私の復讐。それは『師匠』の為です」)
 瞑目し、精神を研ぎ澄ました裕樹の脳裏に、今は亡き者の姿が鮮明に描き出される。
 かつて裕樹の命を救い、名前と生きる術を与えてくれた存在。どこの誰とも分からぬ彼女を救ってくれた『師匠』の優しさは、復讐者である自分を語る上で避けて通れない。
 だからこそ、同時に裕樹は思う。そんな存在を奪った妖怪のことを、自分は決して赦せないと。

「……『恩』と『怨』。それが、私の戦う理由」
 紡ぐ言葉に応えるように、裕樹の身体が静かに変化を開始した。
 妖刀『鐵喰』を十全に扱えるように、その身は僅かに背丈が伸び。妖狐だった『師匠』の尾を具現化した半透明の狐尾は、彼女にとって何よりも心強い。
 そんな己の姿を見遣り、裕樹は静かに微笑んだ。
 『師匠』に近い姿となることで、自分も何処かの誰かの未来の為に頑張れる人になれるように。願いを込めたネメシスは、まさに自分に相応しい。
「『師匠』への恩返しであり、クロノヴェーダへの怨返し。その為の復讐であれば……」
 開放された鐵喰が、みるみる刀身を巨大化させていく。
 超重量と化した妖刀と、それを扱うネメシスの肉体。極限まで高めた両者の力と共に、裕樹はパラドクスを発動した。

「《鉄蝕閃》、征きます――!」
 全身を覆うオーラを操作し、呼吸法で肉体を更に強化する。
 そうして裕樹が跳躍と共に振り下ろすのは、並の人間には持ち上げることも叶わない超重量と化した妖刀だ。同時、それを地上より迎え撃つレオアリアの聖剣が、炎を帯びて一閃する。
 大地を揺るがす衝撃と、熱風が会場を包み――暫しの静寂の後にアナウンスが告げたのは、レオアリアの勝利だった。
「……今の自分の全てを出し切れました。悔いはありません」
 試合終了の礼を交わし、結果を静かに噛み締めて、裕樹はふっと息を吐き出した。
 この戦いで得た経験は、きっと大きな糧となる。
 恩と怨、内に抱える二つの想い。それらを返せる時が戦いの果てに来ることを、彼女は静かに願うのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【エイティーン】LV1が発生!
効果2【リザレクション】がLV2になった!

瀬鍔・頼門
互いにネメシス形態の力。向き合うには良い機会だ

来い、鞍馬安綱
妖刀の鯉口を解放するように切れば妖力が燃え上がるように体を包む
妖炎は徐々に甲冑の形を為し、最後に体の中心から発する光と共に一歩踏み出し、ネメシス形態の甲冑姿に。

パラドクスは【石清水ノ託閃】を使う
太刀を霞の位に構え、解放した妖刀の力が最も高くなる瞬間を狙い、妖力に呑まれぬよう甲冑と共に耐え抑えて集中し機を図る
この甲冑の堅牢さは妖刀を制御するための大きな枷の意味もある

鞍馬の天狗が佩いたとされる伯耆安綱の作刀の太刀。その死地を求める魔性は復讐者としての私の戦意と相性も良かった
恩ある都を取り戻す為に、あの無念を晴らす為にと
ネメシスの力はより強き敵と組み討つ力を得られ戦ってこれた。だがこのままこれだけで真の敵とやらに通用するだろうか

この場だからこそ私は人々に託す願いも込めよう
この甲冑のように、力の在り方振るい方を御し、恐怖なく圧政なき平穏なりし光ある歩みを。

妖力が限界に達した瞬間に己の中の願いも闘気に重ねて【石清水ノ託閃】を突き放つ


●第10試合:瀬鍔・頼門 vs 一里塚・燐寧
 ネメシスの力を解放し、全力で闘技を競い合う。東京ドームを舞台とするワイルドカード杯の催しに、瀬鍔・頼門(あかとき闢く忌刀舎人・g07120)は大いなる血の滾りを覚えていた。
「試合とは言え、互いにネメシス形態での全力勝負。向き合うには良い機会だ」
 クロノヴェーダとの戦いは、いよいよ佳境を迎えつつある。戴冠の戦の先に待つであろう『真の敵』との戦いに向け、己を見つめ直す意味は大きい筈だ。
「――来い、鞍馬安綱」
 妖刀の鯉口を切り、妖力を解放。迸る妖炎で全身を包み、頼門は己が身を変じさせていく。
 炎は甲冑へ姿を為していく中、体の中心より発する光と共に一歩を踏み出せば、彼の姿は甲冑を纏うネメシスとなった。

 昂る闘志が、パラドクスの光に変じて頼門の手元へ収束する。
 光はやがて妖刀を覆う剣気となり、一撃必殺の太刀に変じた。
(「……やはり、ネメシスとなれば妖力も桁違いだな。呑まれぬよう、気を付けねば」)
 頼門は太刀を霞の位に構え、静かに精神を統一し始めた。
 彼が行使する妖力は、強大であるほど制御に集中を必要とする。綱渡りにも等しい極限の状況下、頼門は枷としての意味を併せ持つ甲冑と共に、神経を研ぎ澄ましていく。
(「伯耆安綱の作刀の太刀……その死地を求める魔性は、復讐者としての私の戦意と相性も良かった」)
 鞍馬の天狗が佩いたと伝わる太刀に想いを馳せながら、頼門はかつての己を顧みる。
 恩ある都を取り戻す為、あの無念を晴らす為――強き敵と組み打つ時、自分はネメシスの力に幾度助けられたことだろう。だが、同時に彼は思うのだ。

 ――ネメシス形態は、真の敵……刻逆の先に待つ存在と関係するとの情報もある。
 ――ならば、このままこれだけで、私の力は真の敵とやらに通用するだろうか?

 僅かに生じる迷いを振り払い、頼門が研ぎ澄ました力は、今や限界にまで到達しつつあった。
 この戦いの果て、待つ存在の正体は未だ分からない。だが、相手がいかなる強敵だろうと負ける訳にはいかない。それだけは確かだった。
(「この甲冑のように、力の在り方振るい方を御し、恐怖なく圧政なき平穏なりし光ある歩みを」)
 そして――甲冑を介して伝わる妖力が、限界に達した次の刹那。頼門は、発動した『石清水ノ託閃』を突き放つ。
 人々に託す願いと、闘気に重ねた想い。
 復讐者としての己が全てを注いだそれらを、刃よりもなお鋭い剣気と成して。

「我が心中の八幡座より清水を徹す…!」
 頼門の放つ剣気の光が一閃し、燐寧の鎖鋸剣と火花を散らす。
 刺突と斬撃、両者の繰り出すパラドクスが一瞬の間に交錯し――鎖鋸剣の鋭刃が、頼門の甲冑を袈裟に斬り裂く。それが、決着の瞬間だった。
「……見事。この試合、あなたの勝ちです」
「ありがと。お互い、もっともっと強くなれるといいよねぇ」
 頼門と燐寧は笑みを交わし合い、互いの戦いぶりを称えた。
 全力勝負が決した今、彼らは共に戦う者同士だ。
 正体の知れない真の敵と、ネメシス。謎を秘めた力と共に、復讐者たちの闘技大会は進んでいく。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!

括毘・漸
『己のネメシス及び復讐心と向き合う』ですか…激しい戦いの中では、ネメシス形態は大事なパワーアップですからね、発動できれば戦いに大きく作用しますからね…まっ、ここではそんな細かいことは置いといて、自分の力の全身全霊の全力を出せばいいんですよね?
なら、話は簡単です。

目の前にいる奴をぶっ飛ばす!これだけです!

これだけだと復讐心にはなりませんからね…ボクの復讐心としては―『絶対的な悪を討ち倒し、奪われたものを取り返す』ことです。
戦う理由はその時その場所で変われど、その核となる復讐心は変わらずです。

さぁて、やりましょうか。

強靭な巨躯の肉体を持つ狂犬の姿のネメシス形態へと変貌し、四肢に備わる爪を地面へと突き立てながら、四肢に力を込める。

困難を討ち倒し、目指すべき先へと進むこの一撃…貰ってけ!

空気を轟かせる咆哮を上げながら、四肢に込めた力を解き放ち、駆け抜ける。
駆ける、駆ける、駆ける。
駆ける度に身体に集う熱を腕へと、爪へと流し込み、その熱を一気に放ち【夕暮落とし】を発動させ、熱と共に爪を振り下ろす。


●第11試合:リオーネ・クア vs 括毘・漸
 己のネメシス、そして復讐心と向き合い、切磋琢磨の戦いを繰り広げる。旅団提案で実現したネメシス闘技大会の舞台を、括毘・漸(影歩む野良犬・g07394)は踏みしめた。
 ネメシス形態は復讐者の飛躍的な強化を為さしめる力であり、行使することで戦いの行方を大きく左右する。今後、激化が予想される敵勢力との戦いに向けて、自身の力を把握しておく重要性は言わずもがなだが――そうした話は漸にとって、言わば些事に過ぎない。
「自分の力の全身全霊の全力を出せばいいんですよね? なら、話は簡単です」
 濃密な戦意を全身に充溢させながら、漸の顔に好戦的な笑みが浮かぶ。
 この大会における彼のスタンスは、ある意味非常に明快なもの。即ち、目の前にいる奴をぶっ飛ばす――これだけだ。

 対戦相手のリオーネと対峙した漸は、自身の抱える復讐心と向き合い、その力を引き出していく。
 戦う理由はその時その場所で変わる彼だが、核となる心は常に不動だ。
 即ち、絶対的な悪を討ち倒し、奪われたものを取り返すこと。未だ奪還の果たされない大地と、そこに跋扈する者共への怒りを滾らせ、漸はネメシスへを発動した。
 肉体が大きく膨れ上がり、巨躯の狂犬へと変化する。両手両脚に生じた鋭い爪を深々と地面へ突き立て、取った態勢は獲物に飛び掛かる肉食獣のそれだ。
 そして――あらん限りの力を四肢に込め、鋭利な眼光を向け。漸は火蓋を切る一言を放つ。

「さぁて、やりましょうか」

 漸の咆哮が、ドームの空気を震わせた。
 同時、四肢に込めた力を一気に解放。リオーネめがけ、砲弾めいた勢いで一直線に肉薄する。爪痕を刻んだ地面は、彼が身体に宿した膨大な熱量を物語るように、黒い焦げ跡が残されていた。
 駆けて、駆けて、駆けて――駆ける度に身体に集う熱を、腕部と爪へと流し込む。並の者が触れたなら、それだけで蒸発しそうな熱量で標的を消し飛ばす、それは『夕暮落とし』のパラドクスだ。
「困難を討ち倒し、目指すべき先へと進むこの一撃……貰ってけ!」
 夥しい熱を帯びた爪が、橙色の軌跡を描いて振り下ろされる。
 空間すらも焼き焦がす必殺の一撃は、リオーネが発射した赤い魔弾とかち合い、そして、
「――っ!!」
 パラドクスを介したせめぎ合いの果て、漸の肉体が衝撃にぐらりと揺らぐ。
 同時、場内のアナウンスがリオーネの勝利を告げ――試合は決着を迎えたのだった。

 呼吸を整え、体力が回復したことを確かめると、漸はリオーネと礼を交わして試合場を後にする。
 相手も本選へ進んだ復讐者だけあって、確かな実力を持つ相手だった。
 この一戦で得た結果は、クロノヴェーダとの戦いで必ず糧となる筈。目指す先へ進む漸の歩みは、けして止まること無く。彼の眼には、困難を切り拓く確かな意思が満ちていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【熱波の支配者】がLV2になった!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!

真紅堂・乎乎那
鏡の前に立ち、自分自身と向き合う時が来たか。
私は、私の魔術の研究成果を奪って殺した男を探しているワケだが……。
ヤツは見つからなかった。その存在を感じる事さえ無かった。
私の記憶が狂っているのか……?

いや、ならば『刻逆』の力を完全に手に入れて徹底的に調べてやるまでだな……。
ククク……コイツは……研究のし甲斐がある。
コイツは憎しみだ。燃え尽きた、灰に埋もれて消えた様に見えても消える事の無い感情。
炭と煤のドレスを身に纏う。これが『埋火』の魔女だ。
……本来なら全身炭の甲冑で覆うところだが、パラドクスの前に防御力は意味が無いからな……。

『デモニックボムDX』。私ごと呑み込んで爆破しろ。
未来は、私の様にならなかった者が決めれば良いさ。
新たな生命のための灰と化す!


●第12試合:真紅堂・乎乎那 vs ソレイユ・クラーヴィア
「鏡の前に立ち、自分自身と向き合う時が来たか。“あの男”は、果たして何処にいるのだろうな……」
 試合の場に進み出た真紅堂・乎乎那(埋火の魔創剣士・g02399)は、観客席から降り注ぐ歓声を浴びながら、心中に浮かぶ微かな疑念を払拭できずにいた。
 乎乎那の魔術の研究成果を奪い、殺した男。彼女が復讐者として探し求める存在は、未だ見つかっていない。
 否――見つかっていない、という表現は些か語弊があろう。何故なら、その存在の僅かな痕跡の手掛かりすら、未だ掴めていないのだから。

 ――まさか、私の記憶が狂っているのか……?
 ――いや、調べるなら徹底的にやるまで。『刻逆』の力を完全に手に入れてな……。

 自身が復讐者として戦う理由を、乎乎那は否応なく自覚する。口の端を吊り上げ、含み笑いを洩らし。込み上げてくるのは心底愉快な笑いだった。
「ククク……コイツは……研究のし甲斐がある」
 物騒な笑顔で胸に手を当てた乎乎那は、内に秘めたる感情を抗うことなく受け入れる。
 感情の名は、憎しみというものだった。燃え尽き、灰に埋もれて消えたように見えても、決して消えることの無いもの。己と向き合い確かめた想いは、気づけば炭と煤のドレスに変じ、乎乎那の身を包んでいく。
「これが、私のネメシス。『埋火』の魔女だ」
 憎悪を薪に復讐心を燃やし、探し求める存在を追い続ける。
 そう、魔女は歩むことを止めはしない。その先に待つのが、たとえ破滅だとしても。

 対戦相手のソレイユと対峙する乎乎那に、躊躇いは一切無かった。
 試合開始と同時、彼女が発動するのは『デモニックボムDX』。召喚した巨大悪魔爆弾で、標的を爆破するパラドクスだ。中央部に大口がついた飛行爆弾を従えた乎乎那は、そのままソレイユめがけて一直線に突撃していく。一切の保身を排した、それは正に捨て身の攻撃だった。
「未来は、私の様にならなかった者が決めれば良いさ。新たな生命のための灰と化すなら本望だ!」
 自分自身すら爆弾に呑まれる覚悟で繰り出した攻撃は、しかし、荘厳な旋律と共に降り注ぐ光に阻まれた。
 福音を齎す聖光が、炭と煤のドレスを纏った乎乎那を包む。
 そして次の刹那、悪魔爆弾は彼女を呑み込むこと無く炸裂し――決着を告げる号砲さながら、派手な轟音と衝撃を以て東京ドームを激しく揺さぶった。

「ふぅ……成程な。それなりに収穫はあった」
 大の字で倒れた体勢から跳び起きて、乎乎那は肩の塵をさっと払う。
 試合を終えた身で、語ることは無い。ソレイユに退出の合図を送り、彼女はそのまま戦いの場から去っていく。戻り際に、駄目を承知で観客席を見回すも――予想できてはいたものの、探し求める男の姿はない。
(「やれやれ。本当に、何処にいるのやら」)
 果たして、“あの男”に出会える日は来るのだろうか。それとも――。
 終わることなく続く、復讐者としての道程。その一歩を、乎乎那は再び歩み始めた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!

ガンドラ・ブラッディア
己が復讐、その原点。
かつて我輩が、生きた世界。そこに息衝く、多くの生命。
大自然の香りも、動物たちも、笑顔溢れる、人々の営みも……好きだったそれらが、総て奪われた怒り。
共に笑う事も、悲しい事も……すれ違う事も、あったのだ。
そう在った世界の、何もかもを失う無力。取り戻す為の復讐を、する以外あるものか!

ネメシス形態は、呪いを宿した、巨躯の黒竜。
後天的に、宿したこの呪いは、かつての人々が、我輩に託した希望、祈り、無念、怒り、怨嗟。
好きな人々の、多くの想いに、応えて救うは、竜としての責務。それは今や、我輩の世界だけに、留まるものでは無い。
故にだろう。我輩の3つある、ネメシスの形態は…
護る精神故に、騎士の姿。
道を斬り拓く、剣の姿。
……そして、中心に竜在り。
ドラゴンとは、人々が抱く、強種の幻想。
呪いとなってまで、人々は我輩の、背を押すのだから、それを最強の剣とし、想いを乗せて、共に道を斬り拓く、ドラゴンとなろう。
なればこそ、いつものように、咆哮と共に、我輩は叫ぶのだ。
”全ては世の、平和が為”……!!


●第13試合:凍雲・雪那 vs ガンドラ・ブラッディア
 第1回戦は後半戦を迎え、場内に満ちる空気はいよいよ熱い。
 10名を越える復讐者が第2回戦へ駒を進める中、残る試合はあと4つ。その1つに、ガンドラ・ブラッディア(黒矛・g03101)は臨もうとしていた。

「己が復讐、その原点。……問うまでも、無いことだ」
 重く、迷い無き声と共にガンドラは言葉を紡ぐ。
 怒りの感情と共に脳裏に蘇るのは、自身が復讐者に覚醒した過去だった。
 かつて彼女が在った世界と、そこに息衝く多くの生命。その記憶は、今も鮮明に思い出せる。
 大自然の香りと、そこに生きる動物たち。笑顔溢れる、人々の営み……大事なそれらがクロノヴェーダに奪われた記憶は、忘れようにも忘れられるものではない。
「共に笑う事も、悲しい事も……すれ違うことも、あったのだ」
 在りし世界の全てを失った無力を噛み締めながら、ガンドラは言う。
 世界の多くが奪還された今も、復讐は終わっていない。奪われたものを取り戻すまで、自分の戦いは終わらないと。

 試合場に、呪詛の呻きが木霊した。
 その源は、ガンドラが自身に宿した数多の意志だ。希望、祈り、無念、怒り、怨嗟――かつての人々が彼女に託した想いであり、呪いの一つ一つを、ガンドラは拒むこと無く受け入れる。好きな者たちの想いに応え、救うこと。それこそが竜としての責務であると信じているから。
「そして。……それは今や、我輩の世界だけに、留まるものでは無い」
 数多の呪詛に呼応するように、ガンドラの姿がネメシスへ変貌を開始した。
 彼女が有するネメシスの姿は三つある。護る精神には騎士の姿を、道を拓く意思には剣の姿を。そして、それらの中心に在る竜の姿こそ、いま彼女が変じたものに他ならない。
「ドラゴンとは、人々が抱く、強種の幻想。呪いとなってまで、人々が我輩の、背を押すのなら――」
 自分は迷うことなくドラゴンとなろう。それを最強の剣とし、想いを乗せて、共に道を斬り拓く為に。
「”全ては世の、平和が為”……!!」
 黒き竜の咆哮と共に、ガンドラが叫ぶ。
 瞬間、会場を満たしゆく力強い声と共に生じたパラドクスが、一振りの巨大な剣を生成し始めた。

 発動するは、『竜呪剣「剣災」・竜之償』。
 数多ある竜呪剣の力を収束融合して生み出した呪詛の光剣を以て、標的を叩き切るパラドクスだ。
「収束せよ。我が身、我が竜呪剣。我が声に、呼応せよ」
 詠唱と共に剣を構え、ガンドラは対戦相手を真っ直ぐに狙い定める。彼女と同じく竜のネメシスに変じ、頑健な鱗に巨躯を覆った姿で身構える雪那へと。
 勝負を決するのは一撃。引き絞られた矢のように精神を研ぎ澄まし、ガンドラは今、己が刃を全力で叩きつけた。
「形成りし、数多の剣群、我が呪い、我が力。築かれし、我が罪は今、此処に注がれる……!」
 呪詛を帯びた斬撃と凍てつくブレス、対峙する二者のパラドクスが激突する。
 己の想いを込めた一撃は、両者の体力を激しく削り合い――死闘の果て、軍配が上がったのは雪那だった。

 暫し無言で天を仰ぎ、ガンドラが試合の結果を噛み締める。
 そうして対戦相手の雪那に向き直ると、彼女は一礼と共に告げた。
「見事。この戦い、全力で臨めた。感謝する」
「ん。いい勝負だった、よ。……凄く、凄く」
 雪那の言葉を肯定するように、会場に響く大きな拍手と歓声が二人の健闘を称える。
 確かな収穫を得られた手応えと共に、ガンドラは試合場を退出していく。復讐者として戦う自分と、未だ続く戦いに必ずや勝利する決意を、彼女は改めて誓うのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!

桜之宮・春風
こういったお祭りごとは嫌いじゃないですよ
観客がいないのは少し物足りませんが協力はしますとも

私のネメシスは二つありますけれど
復讐心に向き合うのであれば此方でしょう

怠惰の悪魔
私に宿った悪魔の名前です
個体名はないからそう呼んでいるだけですけど
私のネメシス形態はこの悪魔に近づきます

今ならわかりますよ。私がとりつかれた理由
この子はそれが満足なんです
恵まれた力を振るうことなく、ただ私の内で安寧を求める
それは私の望みと少し似てますからね
共鳴したのでしょう

けれど、この子と違って私の安寧は奪われました
両親は消え、姉はクロノヴェーダとなり、新宿島で独りぼっち
まぁそれは別にいいんですけど
お陰で早々に良い人を捕まえて落ちつく私の将来設計はおじゃんになりました

それはむかつきますよね?
八つ当たりの一つぐらいしても許されますね?

だから私はこの子の力を振るうのです
怠惰の力は威嚇の力
振るわずして死を想わせる凶器
それをぶつけるのが怒りを示すのに最高のパフォーマンスになりますから

間違いなく痛いでしょうが、我慢してくださいね


●第14試合:桜之宮・春風 vs リューロボロス・リンドラゴ
「いよいよ第一回戦も佳境ですね。こういったお祭りごとは嫌いじゃないですよ」
 場内のグラウンドから見渡す眺めに、桜之宮・春風(明日も春の風が吹く・g00839)は微笑を浮かべる。
 電光掲示板に表示された残り試合は、後3つだ。観客席には観戦者を含め、今や数百人では収まらない数の復讐者たちが、この勝負を見守っている。
 一般客がいないのが少々物足りなくはあるが、それは協力を惜しむ理由にはならない。春風は不敵な笑みを浮かべ、目の前の勝負に意識を集中し始めた。

 自らの復讐心と向き合いながら、春風は己が姿を変貌させていく。
 闇夜のような暗色で全身を包み、蝙蝠の如き翼を背に広げ。春風が『怠惰の悪魔』と呼ぶ、自らに宿った悪魔を思わせる姿こそ、彼女のネメシス形態だった。
「私のネメシスは二つありますけれど、復讐心に向き合うのであれば此方でしょうね」
 かつての日々を振り返り、春風の笑顔が陰を帯びる。神社の末っ子である自分が悪魔に取り憑かれた理由が、今ならば理解出来たからだ。
「恵まれた力を振るうこと無く、ただ私の内で安寧を求める。……この子はそれが満足なんです」
 同時に悪魔のそんな望みが、自身のそれと似たものであることも春風は自覚していた。同じ望みを持つからこそ自分は悪魔と共鳴し、復讐者として此処にいるのだろうと。

 ネメシスに変身を遂げた春風。鋭さを増す笑みと共に、彼女の復讐心は未だ鎮まるところを知らない。
 当然だろう。求めていた安寧を奪われ、両親は消え去り、姉はクロノヴェーダに変貌し――そうして自分はあの時、新宿島に一人で放り出されたのだから。
 エゼキエル戦争を巡る戦いが終わり、一度は失われた家族が帰還した今も、春風の怒りは決して消えない。かつての日常が戻ったところで、それまでに過ごした時間が戻ることは無く、思い描いた将来の夢も消えた。早々に良い相手を捕まえて落ちつき、安寧の日々を過ごす……そんな将来設計が、全て無に帰したのだ。
 笑いたい者は笑えばいい。だが、それが自身の抱える、紛れも無い復讐心の源であることを春風は自覚している。

 ――むかつきますよね? 八つ当たりの一つぐらいしても許されますね?

 だからこそ、春風は力を振るうのだ。
 目を逸らさず己と向き合い、引き出した怠惰の力。威嚇の力にして、振るわずして死を思わせる凶器であるそれを、今こそ彼女は『凄惨たる怠惰』に代えて解き放つ。自身の内に渦巻く怒りを示す、最高のパフォーマンスとして。
「間違いなく痛いでしょうが、我慢してくださいね」
 鋭い爪、尖った角、禍々しい翼と尾。己を構成する五体を凶器と為し、春風は戦いの火蓋を叩き切った。
 見る者に畏怖を齎す怠惰の悪魔、その力を振るう彼女と、対戦相手であるリューロボロスの火炎ブレスが、会場を所狭しと荒れ狂う。
 ネメシスの力を引き出して、二人の復讐者がパラドクスの火花を散らし合う。やがて両者の攻防が終幕を迎えれば、会場の電光掲示板には戦いを制した勝者の――リューロボロスの名が刻まれていた。
「……ふぅ。出せる力は出し切った、かな」
 普段のそれに戻った口調で、春風が小さな吐息と共に笑顔を浮かべる。
 残る試合は、これで後2つのみ。
 復讐者たちが火花を散らす第1回戦は、いよいよ終盤に向かおうとしていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【悲劇感知】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!

一ノ瀬・綾音
……綾音ちゃんの、復讐心の原点かぁ。
最初はほんとになんでこんな世界になったのってことだった。
無彩の中で、絶望に抗うように綾音ちゃんは戦ってた。
どうして、なんで戦わないといけないの、なんで私ばかりこんな目に……そんな日々だった。

だけど今は違う。
新宿島に来て色々と縁を結び、数々の戦いの先に……革命淫魔や明智勢力といった友好的なクロノヴェーダも見て思ったんだ。
綾音ちゃんは――私は。
抗うという受動的な戦いをするために復讐者となったわけじゃきっとない。
誰かに希望を齎せるように、色彩溢れる希望の未来を魅せられるように!
ずっと見てきた特撮ヒーローや魔法少女のように、皆に笑顔を与えるために戦うんだ、と!

羽ペンを純白に輝かせ、リアライズペイントで魔法少女の杖を描き手に取る
私は――迷わない。
一度殺されたが為に苦手だった魔法少女に、色彩溢れ笑顔と希望齎す魔法少女に――綾音ちゃんはなってみせる!

ネメシス形態に変身!
このネメシスは私の魔法少女としての願いとなりたい希望の表れ
綾音ちゃんの――私の、新しいネメシスだ!


●第15試合:一ノ瀬・綾音 vs ルィツァーリ・ペルーンスィン
 かつて東京都に存在したディヴィジョン、TOKYOエゼキエル戦争。
 かの地において、それまでの日常が変わってしまった時の感覚は、一ノ瀬・綾音(色彩に溢れし少女・g00868)の魂に今も深く刻まれている。
 一体、なぜこんな世界になってしまったのだろう――かつて抱いたその想いは、当時のどんな記憶よりも鮮明だ。
 大地と歴史をクロノヴェーダに奪われた、無彩の日々。その中を彼女は、僅かな仲間たちと共に、押し寄せる絶望に抗いながら戦い続けていた。
 何故戦わなければならないのか。なぜ自分ばかりこんな目に遭うのか。未来の見えない日々の中、そう問うたことも一度や二度では足りない。

「だけど、今は違う」
 短く、しかしはっきりとした口調で、綾音はそう言い切った。死の間際に希望を願い、新宿島に漂着し。そこで幾多の縁を結び、数々の戦いを勝ち抜いて来た。
 その先に、友好的なクロノヴェーダを見るに至り、掴み取った一つの答えを彼女は紡ぐ。
「綾音ちゃんは――私は。抗うために、復讐者となったわけじゃきっとない」
 抗うという行動は受動的なものであり、綾音にとって理想とする在り方ではなかった。
 では、彼女が目指すものとは何か?
 自身に向き合い、自問の末に得られた答えを、彼女はこう定義する。
 誰かに希望を齎せるように、色彩溢れる希望の未来を魅せられるように。それが、自分が復讐者となった理由だと。

「ずっと見てきた特撮ヒーローや魔法少女のように。皆に笑顔を与えるために戦うんだ!」
 綾音の手にした羽ペンが、純白の光に輝いた。
 鮮やかなタッチで描き出された魔法少女の杖は、綾音のネメシス化に応えるように命を吹き込まれ、手に収まる。そうして対戦相手のルイツァーリを見つめる彼女の瞳に、迷いの色は最早無い。
「一度殺されたが為に苦手だった魔法少女に、色彩溢れる笑顔と希望齎す魔法少女に――綾音ちゃんはなってみせる!」
 抱く決意に応えるように、綾音の全身が光に包まれていく。
 そうして変じたネメシスは魔法少女としての願いと、なりたい希望の表れ。勝利を掴む決意を胸に、彼女は勝負に臨む。

 そうして始まった逆説連鎖戦は、目を見張る程の激戦となった。
 発動された『リアライズペイント』が、綾音の視界に捉えたルイツァーリを空中に描く。同時、実体を得た絵が動き出し、本物のルイツァーリが射た焔矢と壮絶な空中戦を展開し始めた。
「これが綾音ちゃんの――私の、新しいネメシスだ!」
「相手にとって不足は無いな……! 絶対に負けられない!」
 綾音の覚悟を、ルイツァーリも感じ取ったのだろう。二人の復讐者が全身全霊を込めて放った焔矢は次の瞬間、互いの体へ寸分違わず命中し、その身を炎で焼き焦がす。
 観客席の復讐者たちが息を呑んで見守る中、僅かの間を置いて――先に膝をついたのは、綾音だった。

「おめでとう。第2回戦も頑張ってね」
「ああ。ありがとうな」
 かくして勝負を終えた二人は、握手と共に試合を締め括った。
 激戦を交えた両者の間に、多くの言葉は必要ない。
 戦いを制したルイツァーリに激励の言葉を送ると、綾音は観客席からの拍手に送られながら試合場を後にする。
 人々に笑顔と希望を齎す魔法少女――目指す存在の片鱗が、綾音の姿には確かに宿っていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【液体錬成】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!

伏見・逸
(アドリブ歓迎)
(竜姿のネメシス使用。竜化時は思考は通常通りだが、言葉を発するのは困難)
俺の、復讐…その原点なんざ、ちっぽけなもんだ。
『こんなはずじゃなかった』。
俺は禍だ。てめえの居場所がとうに壊れていた事にも気付かなかった間抜けだ。
それで仲間や弟分を喪った事にも…それでも死ねなかった事にも、『こんなはずじゃなかった』って、怒るしかできねえでいた。
…結局、自分の在り様と終わり方ばかり気にしている、身勝手な男だ、俺は。

(目を閉じれば、背の翼が竜の腕に変わる)
(人の体は竜の体に埋もれて、眠るような顔の形だけが、竜の喉元に逆鱗として残る)

(飛ぶ為の翼を棄てて、腕を選んだ竜
護る為の、手放さない為の、掴み取る為の腕…なんて、言われたっけな
実際どうかは、自分でもわからねえが

俺は禍だ。怒る事と壊す事しかできねえ。
復讐ってもんの行きつく先が、暗いなら。
俺がこの腕で…罪も穢れも抱えられるだけ抱えて
怒りを燃やして、燃え尽きるまで…道を照らして、走り抜けてやるよ)
(【禍竜の劫火】使用、竜の身体を燃やして攻撃)


●第16試合:文月・雪人 vs 伏見・逸
 東京ドームを舞台に繰り広げられる、闘技大会の第1回戦。
 予選を潜り抜けた仲間たちの戦いを、伏見・逸(禍竜の生き先・g00248)は無言で見つめていた。そんな彼の両眼は、太陽を見つめた時のように細く閉じられている。
 理由は簡単だ。暴力を生業とする世界の住人だった逸にとって、未来と、そして自分自身を信じて戦う復讐者たちの姿は、余りに眩し過ぎたからだった。

(「俺の、復讐……その原点なんざ、ちっぽけなもんだ」)
 己自身の復讐と向き合う時、彼の心は深い怒りの色で塗り潰される。
 義憤などという立派なものではない。己の居場所が壊れていたことに気づけず、仲間や弟分を喪い、それでいて自分は死ぬことも叶わず。濁った怒りを募らせることだけが、自分に出来た全てだった。
 ――こんなはずじゃなかった。
 その想いを噛み締める度、逸は否応なく思い知る。
 初戦、自分は身勝手な男なのだ。自分の在り様と終わり方ばかりを、今も気にせずに居られないのだから。

 無言のうちに瞑目する逸の体が、ネメシスへと変貌を開始した。
 背中の翼が竜の腕へと変化し、次いで彼の肉体を包み込んでいく。やがて変化は全身に及び、気づけば彼の身は竜の身体に埋もれるように包まれた。ただ一つ、竜の喉元に逆鱗として残る、眠るような顔の形だけを除いて。
(「俺は禍だ。怒ることと壊すこと、出来ることはそれしかねえ」)
 鮮明な思考を維持しながら、逸は己自身をそう見做す。
 かつて飛ぶ為の翼を棄て、腕を選んだ竜。護る為の、手放さない為の、掴み取る為の腕――そう言われたのは果たして何時の話だったか。実際どうなのか、その答えは自分も未だ分からない。
 だが、これだけは確信できた。もしも復讐とやらの行きつく先が暗いなら、自分が為すことはただ一つしかない。

 雷鳴を思わせる咆哮が、試合場に轟いた。
 その中心に立つのは、紅蓮の炎を纏う逸の姿だった。それは彼が発動したパラドクス――炎に焼かれた記憶を手繰り、竜としての肉体を炎塊と為し、体当たりで相手を粉砕する『禍竜の劫火』だ。
 赤熱する巨大な石炭めいて、逸の体躯が突撃する。同時、彼は雪人の破魔矢と正面からかち合った。矢を浴びて、体当たりを叩きつけ、更なる咆哮を迸らせ続けた。
 ――罪も穢れも、この腕で抱えるだけ抱えてやろう。
 ――道を照らして、俺は走り続ける。怒りを燃やし、燃え尽きるその瞬間まで。
 そうして、ふいに竜の咆哮は途切れ、会場を静寂が包む。
 次いで響いたのは試合終了と、雪人の勝利を告げるアナウンスの声。それが、戦いの決着だった。

 第1回戦の最後となる試合が終わり、観客の拍手が降り注ぐ中を、逸はひとり控室へ戻っていく。
 勝利は掴めなかったが、不思議と悔しさは感じない。自分と同じく、対戦相手も譲れぬ想いを賭していたのだろう。胸の中で熾火のように再び熱を帯び始めた怒りを感じながら、逸は思う。
(「……燃え尽きる時は、まだ先か」)
 ふと会場へ意識を向ければ、一際大きな歓声が聞き取れた。
 どうやら、大会が次のステージに向けて動き出したらしい。
 続く試合を勝ち抜くのは果たして誰か――その結果を見届けるべく、逸は控室を後にした。

 かくして、ネメシス闘技大会は第2回戦を迎える。
 次なる試合は、全8試合。
 総勢16名の復讐者たちによる新たな勝負は、開始まで秒読みを迎えようとしていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【熱波の支配者】がLV3になった!
効果2【ロストエナジー】がLV2になった!

 観客席から湧き上がる声は、未だ冷めることを知らず、真夏のような熱気で東京ドームを満たしていた。
 勝利した者を称える声。戦う全員の無事を願う声。今この瞬間を楽しむ歓声。それらが絶えず混ざり合い、試合会場の空気に波及していく。

 本選最初の第1回戦が終了し、次に始まるのは第2回戦。
 勝ち進んだ16名が鎬を削る試合は、更なる熱戦が予想された。
 否応なく高まる期待の中、リュカのアナウンスが対戦カードを発表する。電光掲示板に、観客の視線は釘付けとなった。

●ワイルドカード杯 第2回戦
・第1試合:八栄・玄才       vs 月下部・小雪
・第2試合:ソレイユ・クラーヴィア vs アンゼリカ・レンブラント
・第3試合:文月・雪人       vs 四葩・ショウ
・第4試合:音羽・華楠       vs レオアリア・フォルシオン
・第5試合:シル・ウィンディア   vs 凍雲・雪那
・第6試合:一里塚・燐寧      vs リューロボロス・リンドラゴ
・第7試合:リオーネ・クア     vs クィト・メリトモナカアイス
・第8試合:ジズ・ユルドゥルム   vs ルィツァーリ・ペルーンスィン

 掲示された対戦カードに、観客席から歓声がさざめいた。
 第1回戦を勝ち抜いた復讐者たちは、いずれも劣らぬ猛者ばかり。今までに見せた各人の戦いぶりや、準々決勝に進む面子の顔ぶれの予想で、話題は早くも持ちきりの様子だ。
 誰が勝っても不思議ではない、白熱の予想される戦い。観客の目と心は、これから始まる試合にすっかり魅かれている。

「さあ、みんな準備はいい? 第2回戦の始まりだよ!」

 そうして、リュカのアナウンスを合図に、新たな勝負の幕が上がる。
 準々決勝に進めるのは、試合を制した8名のみ。
 試合に臨む16名のうち、果たして勝利の軍配は誰に挙がるのだろうか――。
八栄・玄才
『闘技会ナドト、己コソ最強ト傲ル者共ガヨク集マルカ……。鏖殺ダ!』
悪竜のネメシス形態に変身
身に宿す悪魔の力が増幅して人格を乗っ取られかける

……違う、そうじゃねぇだろ
オレの復讐の源泉は、平和な時代から実戦に備えてきた八栄流が容易く敗北したことへの怒り
オレ達はこんなモノじゃねぇと示すために戦ってきたんだ

今まで自身を暴走させるネメシス形態の力は控えてきた
矛を持ち進むと同時に、己の意思で矛を止めるも自在でなくちゃ、武はいけねぇ
だけど、いつまでも避けてばかりじゃダメだろう
だから今、オレはこの力を制するぜ!

誓っただろう? 八栄流を進化させてこの時代の戦いの最前線を切り拓くって
ただの破壊力はいらねぇ、オレは八栄流(オレ)でなくちゃならねぇ
お前もオレの武の一端になりやがれ、ネメシスッ!!

瞬間、右手の『翼持つ者達の王の聖痕』が光輝き、災禍もたらす"悪"を否定
悪竜の鱗が剥がれ、純化した力のみを残した真に"オレ"なネメシス形態となる

力を制した今こそ八栄流の基本にして極意、『利器砕き』で真っ向勝負だっ!!


●第1試合:八栄・玄才 vs 月下部・小雪
『闘技会ナドト、己コソ最強ト傲ル者共ガヨク集マルカ……。鏖殺ダ!』
「……っく、鎮まれ……!」
 己に宿した悪魔の誘惑を、八栄・玄才(実戦拳術最前線・g00563)は即座に制止した。
 悪竜のネメシスに変じれば、彼に宿る悪魔も否応なく力を増幅する。油断すれば、即座に人格を乗っ取られても不思議では無い。玄才にとって、この力は言わば強力無比な暴れ馬なのだ。
「……違うだろ悪魔、そうじゃねぇ。オレの復讐の源泉は――」
 意志の力で悪魔を御しながら、玄才は改めて己に問いかける。自身が復讐者として戦う、その意味を。

 玄才が流派とする八栄流が、クロノヴェーダに敗北したこと。
 自身の復讐心の源泉を、彼はそう振り返る。
 平和な時代から実戦に備えてきた力と技――それらは、パラドクスを行使する敵の前には、余りに無力だったのだ。
「オレたちはこんなモノじゃねぇと示す。そのために戦ってきたんだ」
 今まで一貫して、玄才はネメシスの行使を控えて来た。矛を持って進むこと、そして己の意志で矛を止めること。それらを自在に行えなければ武とは言えない、そう考えて来た。だが、
「いつまでも避けてばかりじゃダメだろう。だから今、オレはこの力を制するぜ!」
 迷いなき心と共に、玄才が力を解放する。
 八栄流を進化させ、この時代の戦いの最前線を切り拓く。あの時己に課した誓約を、今こそ果たす時だった。

「……ただの破壊力はいらねぇ。オレは八栄流(オレ)でなくちゃならねぇ」
 今にも弾け飛びそうな箍を理性で鎮め、玄才は悪魔へ語り掛ける。
 力に自分が使われるのではない、自分が力を使うのだ。この先に待ち受ける強敵と、繰り広げられる戦。そこで戦い、勝利する光景を、玄才は鮮明なイメージとして描き出していく。
『……ッ!? ……ッッ!!』
 手に取るように伝わる悪魔の動揺に、玄才は微かに笑った。
 災禍もたらす悪が、宿主たる存在に否定される――それがよほど驚愕なのだろう。だが、そこで玄才は手を緩めない。ここから先、お前の誘惑が奏功することは無いと、決意と覚悟を以て宣告する。そして、

「お前もオレの武の一端になりやがれ、ネメシスッ!!」

 瞬間――玄才の右手が、眩い輝きを解き放つ。
 光の源は、『翼持つ者達の王の聖痕』。
 悪竜の鱗が剥がれ、純化した力の身を残した、それは玄才の真なるネメシス形態だった。
「力を制した今こそ八栄流の基本にして極意、『利器砕き』で真っ向勝負だっ!!」
 パラドクスを発動した玄才が、迸る電雷を手に宿して跳躍する。
 膨大な破壊力を秘めた掌底は、彼が対する小雪を瞬時に捉え、その身体を抉った。
 放たれる不可視の刃と、視界を染め上げる雷光。二つの力がせめぎ合い、そして――玄才の体がふいにバランスを崩す。

「……嗚呼、そうか」
 稽古で、試合で、幾度となく体で覚えて来た、それは敗北の感覚。
 だが今は、それすら愛おしいと思えた。
 新たな境地を切り開き、自分はまだまだ強くなれる。己の中に根差す揺るがぬ確信を、玄才は確かに感じ取れたから。
「ありがとうな」
 試合終了のアナウンスが流れる中、小雪と向き合った玄才は、感謝の言葉と共に試合を締め括る。
 強大な敵が相手でも、熾烈な戦場が待っていようと、この力と共に自分は戦っていける。巌のごとく揺るがぬ確信を胸に、玄才は己が右手を静かに握りしめるのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【怪力無双】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!

アンゼリカ・レンブラント
私のネメシス形態は、10歳の無垢なる少女の姿
いつもの姿より弱くも見える姿が
何故この姿なのかずっと疑問だったけど
記憶を取り戻した今は分かる

わたしは
幼い頃に見た英雄に憧れた娘
TOKYOエゼキエル戦争で全てを失った時に
己が縋るものとして英雄を名乗った
黄金のメッキをつけただけの無能です

頑張ればどんな敵にも勝てると思っていた
努力は必ず報われ、全てを守り通せると思っていた
いつかクロノヴェーダとも手を取り合えると信じていた

でも、物語と現実は違いました
全てを失ったわたしに灯っていたのは
奪ったクロノヴェーダと
こんな運命への復讐心と
何より!何も守れなかったわたし自身への怒りです

今だってわたしは、新宿島の復讐者の誰より弱い
仲間とだって
己を偽らなければ並び立てやしないもの!

でも
でも私が偽りのアンゼリカでも
進んできた道に、今愛している人に
紡いだ絆に嘘なんてない、後悔なんてない!

ならわたしの根幹に憧れの想いが残り
ネメシス形態が、幼いわたしである限り
復讐を、怒りを前へ進む力とできるはずだよ

わたしの、私の
心の光よ、輝け


●第2試合:ソレイユ・クラーヴィア vs アンゼリカ・レンブラント
 アンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)には、兼ねてより抱く一つの疑問があった。
 それは、彼女が持つネメシスのひとつ。“10歳の自分自身”という姿についてだ。
 17歳という実年齢と、彼女が誇る強靭な筋肉。それらに比べ、幼さを残した無垢なるネメシスの姿は、あまりにつり合いが取れていない。
 普段の姿より弱くも見えるこの姿が、なぜネメシスとして顕現するのか。兼ねてより出なかった問いの答えは、しかし記憶を取り戻した今ならば、はっきりと理解出来た。

「これが、わたし。幼い頃に見た英雄に憧れた娘の、心の現われだから」
 小さな子供のネメシスの姿で、アンゼリカはそう結論付ける。
 試合場に注がれる無数の視線を感じながら、それでも彼女は胸を張って告げた。かつてエゼキエル戦争で全てを失った時、己が縋るものとして英雄を名乗った者。黄金のメッキを剥いだ中で怯えていた少女の本質こそ、今の自分の姿なのだと。
 ほんの少し震える両足で地面を踏みしめながら、彼女は嘗ての自分を振り返る。
 頑張れば、どんな敵にも勝てる。
 努力とは報われるものであり、全てを守り通せる。
 いつかはクロノヴェーダとも、手を取り合える。
 そう彼女は信じていたのだ。英雄の紡ぐ物語の結末は、現実とは違う――その事実に直面するまでは。

 刻逆によって全てを失い、自身に残された想い。それを今一度思い返す。
 奪ったクロノヴェーダと運命への復讐心、何も守れなかった自身への怒り。それが、復讐者である彼女の原点だった。
(「今だってわたしは、新宿島の復讐者の誰より弱い。仲間とだって、己を偽らなければ並び立てやしないもの」)
 だが、同時に彼女は思う。
 自身が偽りのアンゼリカでも、ここへ至るまでに残して来た足跡は本物だ。
 進んで来た道にも、今愛している人にも、紡いだ絆にも、嘘も後悔も無い。
 打ちのめされ、現実を味わって尚、魂の底で失われずに残る憧れの想い。それがある限り、ネメシスが幼い自分――陽菜である限り、自分はこれからも、復讐と怒りを力に代えて歩み続けらえると。

 ――わたしの、私の。
 ――心の光よ、輝け。

 溢れ出る魔力が、輝くオーラと融合を開始した。
 そうして生成されたのは、『神焔収束斬』の巨大剣。アンゼリカの心から生じた一振りの剣は、メッキにはでは有り得ない神々しい光を湛え、一息の下に振り下ろされる。
「裁きの光と共に輝け、生命の焔よ! 絆を力とし、未来への道を拓け!」
 それは正に、全てを呑み込む光の奔流だった。
 並のクロノヴェーダであれば蒸発は免れない渾身の一撃に、対峙するソレイユが正面からパラドクスを放つ。
 両者の力が激突し、せめぎ合い、息を呑む音が観客席のあちこちから聞こえ――。
 そして、決着の瞬間を示すように。アンゼリカの視界が、ゆっくりと地面に傾いた。

「……私の負けだね。けど、悔いは無いよ」
 僅かな時間で呼吸を整えると、アンゼリカは勝者となったソレイユに笑顔を送った。
 勝敗の結果を噛み締め、試合場を退出していく彼女に、観客席から惜しみない拍手が送られる。それは一人の復讐者として戦い抜いた者へ向けられる、最大級の賛辞だった。
(「これから、もっと強くなってみせる。わたしも、私も」)
 誓いの心を新たに、彼女は未来へ目を向ける。
 英雄のような勝利は得られなくとも、戦いは続く。その果てを見届けるまで、立ち止まることは許されないのだ。
 ネメシス闘技大会、ワイルドカード杯。この日、少女が歩んできた足跡に、新たな一歩が刻まれた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【一刀両断】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!

四葩・ショウ
復讐のはじまりは
奪われた家族を
取り戻すためだった

だけど時を翔るうちに
かけがえのない、名前も知らない無辜の人々の
傷つき害されるかれらを苛む理不尽への、怒りを識った

過大解釈をしてしまえば
すべての人類はアダムの子孫だ
どの時代の、どの地球の人類だって
わたしの家族とも、言えるよね?

ああ、だったら
傷つけるなら、害するなら
――⋯⋯ゆるすわけにはいかない

『刻逆』が人類史の救済手段だと識っても
人類を生贄に捧げて勝つ未来なら
――わたしはいらない
だってそんなの、間違ってる
だから、これは
最終人類史の皆を、未来へ連れていくための、悪あがきだ

さぁ、燃えて
魂から熾す『わたし』の怒り

人々を照らすためのちからが
肉体と混ざり合うひかりの魔力が、白焔となって燃え再誕する
両腕が白の翼そのものと化し
両脚が人魚めく硝子の尾鰭へ鎖される

魔女だと罵られたって、かまわない

最終人類史、改竄世界史、絶滅人類史
なかったことにされたすべての歴史
愛する人類の涙のために、こたえて、ネメシス
復讐を――ちからを!

わたしの、想い
余すことなく――うけとって


●第3試合:文月・雪人 vs 四葩・ショウ
 人類という種を襲った、強大にして理不尽に対する憤りの心。
 人類史の救済手段として発動されたであろう『刻逆』と、その結果齎された『今』について、四葩・ショウ(After the Rain・g00878)が抱く想いはその一言に集約される。

 覚醒したばかりの頃は、奪われた家族を取り戻す為に戦い続けた。
 しかし多くの死闘を制し、大地を奪還し、幾多の時を翔するうちに直面した光景は、ショウに安寧の時を与えない。
 世界各地のディヴィジョンで、名も知らない人々がクロノヴェーダの資源として害される理不尽への怒り。それは、彼女が復讐者として戦うのに十分すぎる理由だった。
 ――過大解釈をしてしまえば、すべての人類はアダムの子孫だ。
 ――どの時代の、どの地球の人類だって、わたしの家族とも、言えるよね?
 パラドクストレインに乗って、世界中のあらゆる時代で戦って来たショウ。それは即ち、そこに生きる人々に一時であろうと当事者として関わるということだ。

 だからこそ、ショウは思う。
 数多の世界で関わって来た、多くの人々を傷つけ、害するなら。
 人々が紡いだ歴史と、想いの先に在るのが“今”だというなら。
 ――ゆるすわけにはいかない。
 ――たとえ刻逆が人類史の救済手段だと識っても、人類を生贄に捧げて勝つ未来なら、わたしはいらない。
 心の奥底に秘めたる想いと共に、叫びにも似た声が口をついて溢れ出す。認められない。そんなものを受け入れることは、断固として拒絶すると。
「だから、これは。最終人類史の皆を、未来へ連れていくための、悪あがきだ」

 ショウの全身を、白い光が包んだ。
 それは彼女が魂から熾す、どこまでも純粋な想い。自身と向き合った果てに掴んだ、ネメシスの力だった。
「さぁ燃えて、『わたし』の怒り。魔女だと罵られたって、かまわない」
 光はショウと混ざり合い、白焔へ変じ。そうして現れたのは、ネメシスとして再誕したショウの姿だ。
 白翼に変じた両腕と、人形めいた硝子の尾鰭へ鎖された両脚。人間のそれとは明白に異なる肉体から、膨大なパラドクスを迸らせながら、ショウは叫ぶ。
「愛する人類の涙のために、こたえて、ネメシス。復讐を――ちからを!」
 最終人類史、改竄世界史、絶滅人類史。存在さえ否定されたすべての歴史の、同胞たる人々の為に。
 光の奔流となって暴走する魔力を背に、ショウは復讐のアリアを紡ぎ始める。

 秘めたる怒りをパラドクスに変えて絶唱する『VengeanceEve』が、会場を席巻する。
 ショウが歌声を向ける相手は、正面で大弓を構える雪人だ。
 この試合に引き分けは無い。雪人か、あるいはショウか、戦いを制するのはどちらか一人のみ。
「わたしの、想い。余すことなく――うけとって」
「この一撃……外しはしないよ!」
 ショウの口から、聞く者を焼き焦がす歌声が響く。
 雪人の弓弦が唸り、狙いすました一矢が飛翔する。
 七色の光を帯びたパラドクスの粒子が、百花繚乱の輝きで東京ドームを満たし、そして輝きが消えた後――全力を以て戦い抜いた代償のように、ショウは静かに崩れ落ちた。

 試合の結果をひとり噛み締めると、ショウは深く大きな吐息を洩らした。
 勝利を掴むことは叶わなかったが、悔いは無い。『フリアエの焔(くちづけ)』から伝わる焔の熱に、再び心が燃え上がるのを感じながら、彼女は静かに身を起こす。
(「わたしは戦う。損なわれた世界を取り戻し、未来を拓いてみせる。そして……」)
 思い描いた夢を掴むまで、歩き続けよう。
 そうしてショウは雪人と一礼を交わすと、試合の場を後にした。
 いずれ始まるであろう大きな戦いに勝利する誓いを、改めて心に誓いながら。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【温熱適応】LV1が発生!
効果2【ラストリベンジ】LV1が発生!

音羽・華楠
……私が今の妖狐の姿になったのは、初めて新宿島に漂着した時です。
ネメシス形態はそれより前の私――平安鬼妖地獄変で父さんと母さん……兄さんたちと過ごしてた頃の、人間だった頃の姿です。
……まぁ、ネメシス形態の方も、年齢相応に成長してますが。

自身の過去の姿のネメシス形態が示す私の原点は、奪われ、喪われたものを諦められなかったことに他なりません。
それを、より多くの人に具体的に表現するには――

……京都が帰還した際、私に届いた手紙があります。
正史の平安時代へ帰還した家族が、私に宛てて子孫に託した手紙――
それを朗読した上で、宣言を。

私は奪われたものを奪い返しました。
それでも、父さん、母さん……兄さんと離れ離れになり、再び会えるかは、解りません。
……勝利しても、取り戻せないものがある――
仕方ないとしても、やるせない思いが今も私の胸に燻ってます……。

――私のような思いを、もう誰にもさせない為に!

それが、私が今も戦う理由です!!
全ての人たちの奪われた全てを残らず奪還すると改めて誓い、ネメシス形態へ!


●第4試合:音羽・華楠 vs レオアリア・フォルシオン
 たとえ会うことは叶わなくても、家族との絆は今も自分の中にある。
 今やすっかり慣れた東京の地、文京区の東京ドームにて、音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)は勝負の舞台に立っていた。
「新宿島に漂着して、妖狐の姿になって……随分、遠い昔に感じられます」
 懐かしさと幾許かの寂寞を瞳に浮かべ、今ではすっかり自身の一部と化した狐耳をそっと触る。
 復讐者に覚醒し、思えば自分はずいぶん遠い所まで来た――そんな想いを、華楠は静かに噛み締めた。

 自身が抱く、復讐者の原点。それと向き合う為、華楠が懐から取り出したのは一通の手紙だった。
 2022年の夏、平安鬼妖地獄変の奪還に伴い京都が最終人類史に帰還した際、華楠に届けられたものだ。
 認めたのは、正史の平安時代へ帰還した華楠の家族。現代に生きる彼女に宛てて子孫代々託されてきたそれを、華楠は静かな口調で読み上げ始めた。
 厳粛な空気の中、朗読の声が静かに響く。
 そうして暫しの後――読み終えた手紙を懐へ仕舞い込むと、華楠は会場に集う一人一人に向けて語り掛ける。
「私は奪われたものを奪い返しました。それでも、父さん、母さん……兄さんと再び会えるかは、解りません」
 京に蔓延るクロノヴェーダは、確かに撃破できた。奪われた大地は戻り、人々も帰還した。
 だが、それは華楠にとって家族との別れを示すものでもあった。勝利しても取り戻せないものがある。頭では理解していても、胸に燻るやるせなさは今も消えることは無い。

 会場に、沈黙の帳が下りる。
 華楠の語る境遇に近しい復讐者が、一人や二人ではないことの現われからかも知れない。
 しかし、そんな中。華楠は「だからこそ」と言葉を続け、沈黙を破った。
「――私のような思いを、もう誰にもさせない為に! それが、私が今も戦う理由です!!」
 そう告げる華楠の身に、今や狐の尾や耳は見て取れない。
 人間のそれと変わらない、一人の少女――それが、ネメシス化した彼女の姿だった。
 かつて平安鬼妖地獄変で、両親や兄たちと過ごしていた、彼女がまだ人間だった頃。奪われ、喪われたものを諦められない華楠の原点とも言うべき姿だ。
 全ての人たちの、クロノヴェーダに奪われた全て。それらを残らず奪還する誓いを新たに、華楠は力を解き放つ。

「疾きこと風の如く、動くこと雷霆の如し! 雷天大壮――急急如律令!!」
 妖精たちの力を借りて、生じせしめた雷が華楠の肉体へ流れ込んでいく。
 自身の筋肉を活性化し、雷を帯びた攻撃で相手を圧倒する『雷幻想・瞬動』のパラドクスだ。この試合に打ち勝つ――その一点に華楠は全神経を集中、対戦相手のレオアリアへ突撃を敢行する。
 勝敗を決するのは、ただ一撃のみ。
 雷光と炎、粒子となって交錯したパラドクスの光が、淡雪のように宙へ溶けていく。決着を見守る観客たちの沈黙が余韻となって流れる中、華楠の身体から雷光が勢いを失い四散する。それが、決着の瞬間だった。

「……ほんの僅か、及びませんでしたか」
 試合の結果を噛み締めて、華楠はそう呟いた。
 伯仲した力の勝負だった。結果を分けたのは、言わば運によるもの――そう言っても過言ではない程に。とはいえ、全力を出して臨んだことに悔いは無い。
 この大会で向き合った己自身、更には、得た答え。それらを胸に戦っていく決意が、彼女の瞳には宿っていた。
 残る試合はあと4つ。準決勝に向けて、ネメシス闘技大会の第2回戦は後半戦に向けて進んでいく。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【エイティーン】がLV2になった!
効果2【リザレクション】がLV3(最大)になった!

シル・ウィンディア
ネメシス形態での闘技大会。
自分を見直すいい機会かもしれないね。

宿縁邂逅までは自分が奪われたことに対してのことだけだった。
でも過去を乗り越えた時、過去と未来で離ればなれになる人がいなくなるように。
その新たな想いを胸に今までやって来たんだ。
それが、今のわたしの想いであり原点だね。

ネメシス形態行くよ。
順を追って変身するね。

最初は銀髪銀目の天使姿。
次は黒髪赤目の堕天使姿。
続いて青目銀髪で黒白の翼を1対ずつ持った姿。
そして…。
最後のネメシス形態は赤髪、青と緑のオッドアイ。そして、6枚の翼を持った姿に。
翼にはそれぞれ、火・水・風・土・光・闇の精霊力を宿して…。

ネメシス形態もわたしと共に成長していったから。
過去を受け止め、そして、未来へ繋げる。
そういう想いで戦ってきたんだからっ!

お待たせしたね。
それじゃやりましょうか!

ネメシスと共に歩んだ魔砲…。
…十芒星精霊収束砲。
わたしのもう一つの歩みの証でもあるこの魔砲で…。

想いとネメシス…。
わたしの全力全開遠慮せずにもってけーーっ!!
想いのまま全力で撃ち抜くっ!


●第5試合:シル・ウィンディア vs 凍雲・雪那
 人数にして数百名に及ぶ、闘技大会の参加者たち。彼らが試合に臨む姿勢は、千差万別と言えるほどに多彩だ。
 己と向き合うことで更なる力を求める者がいる。新たな境地を求める者もいる。復讐者が十人いれば、そこには十の目的が存在することだろう。
 第二回戦進出者であるシル・ウィンディア(虹を翔ける精霊術師・g01415)にも、無論理由はあった。
 それは、ある意味でどこまでもシンプルなものであり、具体的には彼女が言う次の言葉に集約できた。

「ネメシス形態での闘技大会。自分を見直すいい機会かもしれないね」
 笑顔に意思を充溢させ、シルは自身の参加理由をそう呟く。
 復讐者の中には、自分の宿縁や復讐に決着を付けたことで、その後の在り方に直面する者も少なくない。外ならぬシルも、その一人だ。
 否、正確には“だった”と言うべきだろう。
 過去を乗り越えた時、過去と未来で離ればなれになる者がいなくなるように――その想いを新たに抱き、彼女は今まで仲間たちと共に幾多の戦いを乗り越えて来た。それが今の自分の原点であることを、彼女は明確に自覚していた。

 今まで戦って来た自分と、これからの自分。
 過去を受け止め、そして、未来へ繋げる想いを示すように、シルの体がネメシスに変化していく。
 銀髪銀目の天使姿。
 黒髪赤目の堕天使姿。
 更には青目銀髪、黒白の翼を対に有する姿――。
 そうして最後にシルが取ったものこそ、この試合で彼女が用いると決めた姿だった。

「過去を受け止め、そして、未来へ繋げる。そういう想いで戦ってきたんだからっ!」
 銀色の髪は、炎を思わせる赤色に染まり。その双眸は、青目から青と緑のオッドアイへと変貌し。対で有する黒白の翼は、火水風土光闇の精霊力を宿した六枚のそれへと変わる。
 自分と共に常に在った、ネメシスの姿。今も成長を続けるシルの、それは全力で試合に臨む雄弁な意思表示だ。
 同じくネメシスに変じた対戦相手の雪那を真っ直ぐ見つめ、シルは凛とした声で告げる。
「お待たせしたね。それじゃ、やりましょうか!」

 シルの発動するパラドクスが、空中に幾重もの魔方陣を描き出した。
 ネメシスと共に在り、数多の敵を葬って来た『十芒星精霊収束砲』。
 この試合に用いるならば、この技だと――復讐者としての、もう一つの歩みの証でもある魔砲だとシルは決めていた。
「想いとネメシス……わたしの全力全開……!」
 世界を司る六界の精霊が、対消滅による純魔力エネルギーを形成する。
 脈動を繰り返して膨れ上がる光は、天体の守護者たちの魔方陣を潜り抜けて更にその力を増し、極限まで収束されていく。
 それを為すのは、過去と未来を繋ぐ時間の魔方陣。そこへ託した想いと共に、シルの魔砲が全力の一撃を発射する。

「遠慮せずに……もってけーーっ!!」
 一筋の光が、甚大な力を帯びて荒れ狂う。
 同時、雪那の凍結ブレスが、氷の嵐となって吹きすさぶ。
 互いの全力を懸けた逆説連鎖戦は、東京ドームを破壊せんばかりの勢いで鎬を削り――そして一切の前触れ無く唐突に終幕を迎える。
「はぁっ、はぁっ……」
「…… ……っ!」
 激しい消耗を物語るように肩で息をつき、試合場に立ち尽くす二人。
 その向こう、見つめる電光掲示板に示された結果は――雪那の勝利だった。

「ありがとうございました。わたし……もっともっと強くなるからね!」
「ん、ボクの方こそ、ね。いい勝負、ありがとう」
 胸に去来する幾多の想いを感じながら、シルは雪那と笑顔を交わし合った。
 自身と向き合い、全力で競い、そうして掴んだ一つの結果。それは決して輝きを失うこと無く、復讐者として戦った軌跡の一ページを織り成すことだろう。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【断末魔動画】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!

一里塚・燐寧
復讐者になる前から人生は理不尽と一緒に在ったよぉ
それは重度の先天性心疾患
結局、一度死ぬまで治らなかった
押し付けられた運命に復讐したい気持ちは、死を待つしかなかったあの頃から持ってたんだ

でも友達や大好きな先生を自分のせいで死なせて、あたしはいつしか復讐するより消えたくなってた
新宿島に流れ着いて暫くは死に場所を探すために戦ってたなぁ

でも皆と戦う中で、やっぱり生きたいって気持ちが段々と沸いてきてさ
一番大きかったのは……絶対に護りたい娘に出会えたこと
チェーンソーザウルスに目覚めたのもその頃
あの時は突然の恐竜変身に困惑したよぉ

いま思えば、強い力を求める無意識の気持ちが新しい姿を産み出したのかな
立ち塞がる全てを粉砕して、大切な人を護れるように
この姿はきっと、あたしの想いが再び目覚めた瞬間の記念碑なんだ

濁流のように沸き出す刻逆の犠牲者達の呪詛と怨念で、全身を覆う巨大肉食恐竜の姿を創る
尻尾の鎖鋸を振るい、渾身の回転斬りを放つよぉ
あたしはこの力で――ブッ壊したい何もかもをブッ壊して、護りたい全部を護るっ!


●第6試合:一里塚・燐寧 vs リューロボロス・リンドラゴ
「復讐したい気持ちかぁ。……ずっと持ってたよぉ、死を待つしかなかったあの頃からねぇ」
 皮肉な笑みを浮かべ、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は自身の過去を振り返る。
 彼女にとって、人生は理不尽と常に一緒だった。
 重度の先天性疾患という難病を抱え、死を待つしかない日々。同年代の子供が描く“人並み”の未来は、遠い世界の夢物語のようなものだった。
 結局、疾患は死ぬまで治ることはなく――押し付けられた運命に対する復讐心は、今も彼女の中で燃え続けている。

 大切な友達と、大好きな恩師を死なせた時のことは、忘れようにも忘れられない。
 新宿島に漂着して暫くは、死に場所を探す為に危険な戦場へ向かい続けた。皮肉にもクロノヴェーダと戦う程に、復讐者としての力は増していった。どんな戦場で、どんな強敵と戦っても、願いが叶うことは無かった。
「でも皆と戦う中で……やっぱり生きたいって気持ちが段々と沸いてきてさ」
 いかに復讐者として強力であろうと、一人で出来ることには限界がある。
 必然、多くの仲間と力を併せて戦い続けた。そうするうち、死に場所を求める気持ちは薄れゆき――やがて彼女には一つの転機が訪れた。
 絶対に護りたいと思った、一人の娘に出会えたのだ。
「チェーンソーザウルスに目覚めたのもその頃。あの時は困惑したよぉ、いきなり恐竜の姿に変身したからねぇ」
 当時をそう振り返り、燐寧は苦笑する。
 同時に思う。恐竜という姿を自分が生み出したのは、強い力を求める無意識の現われだったのかもしれないと。

 燐寧が、ネメシスに変化を開始した。
 立ち塞がる全てを粉砕し、大切な人を護れるように。そう願って得た姿と力を、彼女は今一度見つめる。
「この姿はきっと、あたしの想いが再び目覚めた瞬間の記念碑なんだ」
 呼応するように、呪詛と怨念が濁流のように湧き上がる。
 刻逆で犠牲となった人々のそれは、燐寧の全身を瞬く間に覆い、人ならざる姿に変えていく。
 変じた姿は一頭の巨大肉食恐竜。尾の鎖鋸を豪快に振るい、燐寧は戦いの火蓋を叩き切る。未来を拓く意思を秘めた、一人の復讐者の姿がそこにはあった。
「あたしはこの力で――ブッ壊したい何もかもをブッ壊して、護りたい全部を護るっ!」

 燐寧とリューロボロス。恐竜とドラゴンに変じた二人が全力を以て激突する。
 リューロボロスの口がブレスの炎を灯す中、燐寧は己が巨躯を深く沈めて跳躍の態勢を取った。
 彼女が放つは『屠竜技:大回転爆砕斬り』。呪詛と怨念を纏った鎖鋸剣を、恐竜の体躯を活かした回転斬りで叩きつける、シンプルにして超高威力のパラドクスだ。
「どかーんと行ってブッタ斬っちゃうよぉ!」
 咆哮を轟かせ、燐寧が跳んだ。呪詛と怨念の鬼火をジェットエンジンめいて一斉爆発させ、加速。剣速の極みに至った斬撃を叩きつける。
 吹き荒れる爆風、飛び交う炎。そして訪れる静寂。
 試合終了と同時、僅かな間を置いて――燐寧の巨躯が、地響きを立てて崩れ落ちた。

「痛ったたぁ。激戦だったねぇ」
 僅かな時間で立ち上がれるまでに回復すると、燐寧は先の勝負を顧みる。
 己と向き合い、引き出した力。この大会を通じて掴んだ感覚は、今後の戦いでも役立つはず――復讐者の直感とも言うべきものがそう告げていた。
 本選だけでも32名、予選を含めれば数百名。これだけの復讐者が一堂に会し、ネメシスの姿で戦えば、見えて来る何かがあるかも知れない。
(「さぁて。この大会、どんな結果に終わるかなぁ?」)
 燐寧はリューロボロスと礼を交わし、試合場を退出していく。
 かくして一つの試合は終わり、第2回戦は終盤に向かおうとしていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【エイティーン】がLV3になった!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!

クィト・メリトモナカアイス
神とは絶対のものである。
けれど獣神王朝には偽神が跳梁し、それを救うものはなく。
故にこの世界に神はなし。
ならば信仰と祈りを捧げる民を、何が守ることができるのか?
神が天に坐し民を守らぬのならば。
我が守ろう。

神々しい光を纏う守護者の姿のネメシス形態に変身して闘技大会に参加。
成長した姿には一度クロノヴェーダに敗れた自分からの成長、エジプト神の特徴である獣頭を彷彿とさせる猫耳と神々しい光には神の存在を否定しつつも、民を害する全てから民を守るには神のような力が必要、という認識を無自覚に込めており、ネメシス形態に改めて向きあい認識する。

さてさて。新宿島に流れ着いたころよりも今の我は成長もしたし、変わらず神はおらぬと思っているけれど。
我の中のどんな想いで生まれたとしても。
ただこれまでこの力は民を守るに在った。
これからもそれには変わりなし。
獣神王朝はもうないけれど、我はこれからも民の守護者。

神々しい光を黄金猫拳打棒へと凝縮させ、接近しての「天河顕現」の一撃で他の復讐者と決着を付ける。


●第7試合:リオーネ・クア vs クィト・メリトモナカアイス
 クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)にとって、神とは絶対の存在だ。
 天に坐し、民の捧げる信仰と祈りに応え、民を守るもの。神官である彼女の中で、それは言葉にするまでも無い自明のことだった。
「けれど獣神王朝には偽神が跳梁し、それを救うものはなく。故にこの世界に神はなし」
 刻逆によって生じた異変と、それに伴い直面した現実を、クィトはそう振り返る。
 世界は歪められ、パラドクスを行使できない民は余りに無力。彼らを資源として利用するクロノヴェーダの暴虐にも、神が裁きを下すことは無い。
 だからこそ、クィトは決意した。
 神が守らぬのならば、自分が守ろう。それが、復讐者たる彼女の根源たる想いだった。

 神々しい光を纏うクィトが、守護者のネメシスへ姿を変じていく。
 かつてクロノヴェーダに敗れた時からの成長を示すように、その姿は常の彼女より一回り大きい。観客の目を引く猫耳は、エジプト神の獣神を彷彿とさせるものだ。
「我の中のどんな想いで生まれたとしても。ただこれまでこの力は民を守るに在った」
 クィトは思う。
 世界に神は存在しない。だが、神の如き力が無ければ、民を害する全てから民を守れない。
 自身の中に宿る認識と向き合い、導き出した姿と力。その二つを以て彼女は言う。今までもこれからも、自分の力は民の為に存在すると。
「獣神王朝はもうないけれど、我はこれからも民の守護者」
 銀色の毛並みに輝く猫耳が、クィトの頭で踊る。
 可愛らしさと威厳の同居する、それは神に代わって民を守る者の姿だった。

 東京ドームの照明よりも、なお眩しい光が試合場を照らす。
 それはクィトが掲げる黄金猫拳打棒が放つ、『天河顕現』の輝き。神々しい光を宿した肉球で標的を消し飛ばす、一撃必殺のパラドクスだった。
「持てる全力で臨もう。んむ、いざ勝負」
「試合開始だ……! 行くよ、ロッソ!」
 対戦相手のリオーネが、翼を広げて飛翔する。
 逆説連鎖戦の輝きがドームを満たす中、クィトは光の凝縮した黄金猫拳打棒を振り被って跳躍。一筋の流星にも似た軌跡を宙に描きながら、魔弾を発射するリオーネの懐へ肉薄していく。
 天へ走る黄金の光と、降り注ぐ赤色の魔弾。両者のパラドクスは激突と同時に強烈な衝撃でドームを激しく揺らし、命中と同時に二人の復讐者を地面へ叩きつけた。

 観客の視線が選手たちに釘付けとなる中、静寂が会場を支配する。
 永遠にも思える数秒間が流れ、そして――クィトとリオーネはほぼ同時に身を起こすと、場内の電光掲示板を仰ぎ見る。
 そこに示された勝者は、リオーネだ。
 激戦の結果に会場が湧き上がる中、二人の復讐者は互いに歩み寄り、礼を交わし合った。
「こんぐらちゅれーしょん。汝の勝利を心から祝う」
「ありがとう。ロッソも、凄く喜んでいるみたいだ」
 かくして試合を終え、クィトは第2試合を後にする。
 神々しき輝きを纏う猫耳の守護者、クィト・メリトモナカアイス。
 力無き民の守護者として、これからも彼女は在り続けることだろう。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【植物活性】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!

ジズ・ユルドゥルム
私の、一度目の死のことを思い出す。
今際の際に「獣神王朝の神々」へ、自分の死を覆してくれと願った。
あと一日だけ、家族三人で過ごす時間が欲しいと。
それが叶うなら自分の全てを捧げると誓った。

あの時、願いが獣頭の神々へ届いていれば
私は神々の恩義に報い誓いを果たすため、復讐者達と敵対していただろう

クロノヴェーダがいようといまいと、現実は理不尽で、冷徹だ。
一日だけでも生きてほしい。一日だけでも生きていたい。
ただそれだけの素朴な願いを叶えようと歩み続けるうちに、非道な悪行に至ることもある

それほどに…人の生命とは、かけがえのないものだ。
クロノヴェーダが、最終人類史の誰かが
あるいは理不尽な現実そのものが、いくら命を粗末なもののように扱おうとも
私はそれに抗い続ける

死を覆すのが大地の理に反すると知りながら、それでも願ったこと
夫と、息子への愛情
生命への渇望
理不尽な現実への嘆きと怒り
それらを強く想起し、
クロノス級マミーのネメシス形態へ変じる

マミーとなった己を精神にまで深く降ろし
獣神王朝の守護者となって、対峙する。


●第8試合:ジズ・ユルドゥルム vs ルィツァーリ・ペルーンスィン
 現実というものの残酷さを、ジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)は身をもって知っている。
 自分自身と向き合い、最初に脳裏に蘇ったのは一度目の死のことだ。今際の際の折、「獣神王朝の神々」へ捧げた願いは、今もはっきりと覚えている。
 ――自分の死を、どうか覆して欲しい。
 そうして望んだものは、家族と共に過ごす時間だった。
 あと一日だけでいい、それが叶うなら自分の全てを捧げる。しかし、捧げた願いはついに届かず――彼女は復讐者として、最終人類史へと流れ着いた。

(「あの時、願いが獣頭の神々へ届いていれば。……私は神々の恩義に報い誓いを果たすため、ディアボロスたちと敵対していただろう」)
 運命の悪戯の果て、辿り着いた今を噛み締めながらジズは思う。
 現実は理不尽で、冷徹だ。クロノヴェーダがいようといまいと、そこに変わりは無い。
 利他の心に端を発する素朴な願いも、それを叶えようと歩み続けるうち、非道な悪行に至ることもある。それは無論、自分とて例外ではない。あの時、もし願いが届いていたら――その先の己を想像し、ジズの体が微かに震えた。
「だが。それほどに……人の生命とは、かけがえのないものだ」
 そして、ジズは言う。クロノヴェーダ、最終人類史の誰か、あるいは理不尽な現実そのもの。それらがいくら生命を粗末なもののように扱おうと、自分はそれに抗い続けると。

 乾いた風が一陣、試合場を吹き抜ける。
 それを呼び水に、ジズの姿は音もなく変化を開始した。
 想起するのは、復讐者たる彼女の根幹を為すもの。死を覆すことが大地の理に反すると知りながら、それでも願わずにはいられなかったものだ。
 あと一日、愛する夫と、息子と過ごす時間があれば。
 もう少し、この心臓が動いてくれていれば。
 砂の一粒ほどでも、自分の願いが叶ってくれていれば。
 どこまでも理不尽な現実への嘆きと怒りによって、今やジズは変身を終えようとしていた。マミーとなった己を精神にまで降ろした、獣神王朝の守護者――それこそが、自身と向き合った果てに辿り着いた、彼女のネメシスの姿だった。

「祈れ」
 試合は、ジズの一言で幕を開けた。
 『不死模倣・獣頭神の守護者』が、対戦相手のルィツァーリに重圧を帯びてのしかかる。歴史改竄で生じるエンネアドへの強制的な信仰心は、受けた者の意志に関わらず強制的な隙を創り出すのだ。
 信仰心に抗いながら、ルィツァーリがぎこちない動きで焔矢の名を冠する大砲を放つ。同時、ジズの擲つ『守護者の戦斧』がパラドクスの光を宿し、騎士姿の対戦相手に牙を剥いた。
「俺は……負けないっ!」
「私の全力――受け取れ!」
 勝負を決するのは、ただ一撃。互いに見出した己の全てをそこに賭け、二人の力は激突した。
 ジズの振るった斧が、ルィツァーリに命中する。
 そして次の刹那。叩きつける轟音と共に、誘導弾の衝撃が全身を襲い――ジズはそのまま、会場に倒れ込んだ。

「……葦の原野は、まだ遠いか……」
 行動可能な程度の回復には、さしたる時間を要さなかった。
 勝者となったルィツァーリに一礼して試合を終えると、ジズはふとドーム内の電光掲示板を仰ぎ見る。そこには、第二回戦の終了を告げる文字と共に、準々決勝の対戦カードが示されようとしていた。
(「残る試合は、準決勝と決勝戦を含めて7回。さて……ここから先、どう進むのだろうな」)
 復讐者たちの想いが交錯する、ネメシス闘技大会。
 クライマックスに向けて進行していく会場の熱気は、未だ天井を知らない――。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【罪縛りの鎖】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV4になった!

 暫しの休憩を挟み、大会は佳境に向けて動き出した。
 ワイルドカード杯、準々決勝。更なる激戦が予想される試合が、これより幕を開けようとしているのだ。
 ドームを震わす歓声は、未だ衰えることを知らない。そこには、度重なる戦いを勝ち抜いて来た復讐者たちに対する、畏敬の響きがあった。

「参加者は以上8名。さっそく、対戦カードを発表するね!」

 リュカのアナウンスと同時、電光掲示板に組み合わせが表示されていく。
 合計8名の復讐者たちによる、全4試合。その内訳は、次の通りだ。

●ワイルドカード杯 準々決勝
・第1試合:リオーネ・クア vs ルィツァーリ・ペルーンスィン
・第2試合:文月・雪人   vs 凍雲・雪那
・第3試合:月下部・小雪  vs リューロボロス・リンドラゴ
・第4試合:ソレイユ・クラーヴィア vs レオアリア・フォルシオン

 期待の高まりを告げるように、会場を更なる熱気が包んでいく。
 この4試合が決着すれば、いよいよ準決勝と決勝を残すのみだ。

「さあ、選手たちの入場だよ!」

 リュカのアナウンスが流れる中、割れんばかりの拍手が響く。
 その只中、一人、また一人――第2回戦を突破した復讐者たちが、試合場に現れた。

●選手紹介
 準決勝に臨む者は、総勢8名。
 その顔触れを、リュカが一人ずつ紹介していく。

 リオーネ・クア。エゼキエル戦争より新宿島に漂着した、心優しき青年の復讐者。
 メーラーデーモンの『ロッソ』と共に駆使する赤き魔弾は、いかなる標的も逃さない。
 彼が齢をひとつ重ねる日は目前。この大会で、未来に見据えるものは果たして何か。

 ルィツァーリ・ペルーンスィン。ロシアの地より最終人類史に漂着した、歳若き勇士。
 騎士道に憧れ、騎士たらんとする理想を追って、この大会を勝ち抜いて来た。
 焔矢の名を冠する大砲は百発百中、あらゆる障害を粉砕するだろう。

 文月・雪人。平安鬼妖地獄変出身の、着ぐるみ大好き陰陽師の青年。
 奪還戦の後に京が最終人類史へ帰還した後も、その活躍は止まるところを知らず。
 数多くの強豪クロノヴェーダを相手に戦って来た、古強者の一人だ。

 凍雲・雪那。氷のパラドクスを自在に行使する、若きスノウメイジ。
 ネメシスたる氷竜が齎すブレスは、世界の全てを氷に封じる。
 齢を重ね、その佇まいに円熟を伺わせつつも、秘めたる闘志は衰えを知らない。

 月下部・小雪。世界に遍く改竄世界史を駆け巡り、数多の激戦を潜って来た復讐者の一人。
 モーラット・コミュのコダマを連れ歩く彼女の、その身に宿した悪魔の力は脅威そのもの。
 ネメシス化で行使する刃は、不可視の凶器となってあらゆるものを削り取る。

 リューロボロス・リンドラゴ。尊大なる振舞いと、それに相応しい強さを備えるドラゴニアンの少女。
 最初期より戦い続ける復讐者の一人であり、今までに焼き尽くしたクロノヴェーダは数知れず。
 己の更なる飛躍を求め、堂々たる竜のネメシスで闘技大会を戦う。

 ソレイユ・クラーヴィア。断頭革命グランダルメより漂着した、幻想のピアニスト。
 仲間には鼓舞を、敵には刃を。その音色は変幻自在に姿を変え、人類の勝利に貢献して来た。
 この大会で彼が操る鍵盤は、果たして如何なる楽曲を奏でるのか。

 レオアリア・フォルシオン。かつてブリテンの地で刻逆に巻き込まれ、強敵を相手に戦い続けた少女。
 キングアーサーの奪還が果たされた後も、その生き様は変わらない。
 奪われた世界を取り戻す為、炎の聖剣を携えて、赤髪の撃竜騎士は試合に身を投じる。

「以上8名により、勝負を行うよ。さあ、準々決勝の開幕だ!」

 かくして――2回戦より勝ち進んだ選手たちが、互いの対戦相手と向かい合う。
 ネメシス闘技大会の準々決勝、その戦いを制する者たちは誰か。
 互いに鎬を削る、復讐者たちの熱く激しい試合が、ここに始まろうとしていた。
リオーネ・クア
サーヴァントのロッソを呼び出し、復讐心の原点をロッソに語る

復讐心の原点は大切な日常を奪われたこと
当たり前に家族が居て、友達が居て、俺達を見守ってくれる人々が居て

それなのに突然悪魔と天使が現れて
俺は悪魔に憑りつかれた
悪魔は言った
「お前の姿で油断させて、お前の大切な者達を全部喰ってやる」
それからは無我夢中で悪魔に抵抗、俺は勝った
でも周りの人達全てが俺のようになれたわけでは無かった
たくさんの人が、たくさん大切なものを失った
そんなことは許せない

エゼキエルの奪還が済み
俺の大切なものは取り返すことができた
でも
そもそも大切なものを奪った術者達への復讐がまだできていない
それが今俺の戦う理由
ただ復讐をするだけでいいのか
真実を知り解決の道を探るべきかはまだ決められていないけど

ネメシスの姿は
首より下が赤くて筋肉質な悪魔のものに変貌したもの
悪魔が人より大きいから変身によって俺の身長も2mほどになるよ

話を聞いてくれたロッソをありがとうと言って撫でて
一緒に赤の双翼魔弾を放つ
俺にはいつも一緒に居てくれる存在が、居る!


●第1試合:リオーネ・クア vs ルィツァーリ・ペルーンスィン
「いよいよ準々決勝だ。緊張するね、ロッソ」
 傍に連れたメーラーデーモンに声をかけつつ、リオーネ・クア(ひつじの悪魔・g01176)は静かに背筋を正した。
 エゼキエル戦争出身の彼にとって、ここ東京ドームは有名な場所だ。そんな場所で行われる特別な闘技大会、その準々決勝に進出したという現実が、今も彼には少々信じられない。
「本当に、人生は何が起こるか分からないね。……思えば、俺の日常がクロノヴェーダに奪われた時もそうだった」
 そう言ってリオーネは微かに俯くと、己が抱える復讐心の原点をロッソに語り始めた。

 21世紀の東京で過ごす日常は、平和すぎるくらいに平和だった。
 愛する家族、大事な友達、そして見守ってくれる人々。彼らと紡ぐ幸福な日々は、本当に当然のものだとリオーネは信じて疑わなかったのだ。
 そう――あの日、自分が悪魔に憑りつかれるまでは。
「あいつは言ったよ。『お前の姿で油断させて、お前の大切な者たちを全部喰ってやる』……ってね」
 無論、そんな真似を許せる筈がない。自身の全てを以て、無我夢中で抗って――せめぎ合いの果て、悪魔に打ち勝った。
 だが、それはリオーネにとって、新たな戦いの始まりだった。
 全ての人間が悪魔に打ち勝てたわけでは無い。多くの人が、多くの大切なものを失っていく中、彼は天使と悪魔が支配するディヴィジョンで復讐者として戦い続けたのだ。こんなことは許せない、その想いを心の支えにして。

「……そこから先は、知っての通り。エゼキエルは奪還されて、俺の大切なものは取り返すことが出来た。でも……」
 ロッソに語りかけながら、リオーネは自身の拳を強く握りしめる。
 自分の戦いは、まだ終わっていない。
 刻逆を引き起こし、大切なものを奪った者たちへ復讐すること。それが、今の自分の戦う理由だとリオーネは言う。
「願いを叶えた先、どうすべきかはまだ決められていない。ただ復讐をするだけでいいのか、それとも、真実を知って解決の道を探るべきか……」
 いずれにしても、ここで歩みを止める気は無い。
 全ての悲劇の源と対峙してケリを付けるまで、戦いは終わらない。
 こうして東京を奪還した今も、自分の心が復讐者として燃え続けていることを、リオーネははっきりと自覚していた。

 向き合いの果て、掴んだ答えを胸に、リオーネがネメシスを発動する。
 首から下の筋肉が瞬く間に膨れ上がり、筋肉質な赤い悪魔の身体へと変化していく。背丈は常の彼よりも高く、2メートルにも及ぶほど。
 それは、かつて憑依された悪魔に、リオーネが打ち勝った証だった。話を聞いてくれたロッソを巨大な手で抱え上げ、その頭を撫でる。勝つも負けるも、家族であるメーラーデーモンと一緒だと決めていた。
「……ありがとう。さあ行くよ、ロッソ!」
「めー!」
 呼応するロッソの声と共に、翼を広げたリオーネが飛翔する。
 地上には、対戦相手のルィツァーリが大砲を生成する姿が見えた。ここから先の決着は一瞬、故に全力で挑むのみだ。

 発動した『赤の双翼魔弾』が、大砲の誘導弾と交錯。
 そして次の瞬間、映画のワンシーンのように全ての時間が止まり――ロッソを抱えたまま、リオーネは地上に墜落した。
「いてて……大丈夫?」
「めー!!」
 ロッソの無事に胸を撫で下ろし、リオーネはゆっくりと身を起こした。
 試合は敗退となったが、悔しさは無い。この大会の成果を活かす時は、遠からずやって来るだろうから。
 願わくば復讐の先に待つ未来が、人類が脅かされることの無い世界であるように。かつてのエゼキエルでの日々を思い返しながら、リオーネはそう思わずにはいられなかった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV6になった!

凍雲・雪那
……ん。ネメシス、復讐心。
ボクのネメシス、敵の力も、姿も、時には味方のものでさえ、解析して、取り込み、進化する。
この力は、文字通り、復讐する為。敵を討ち滅ぼす為の、力。

……それを、否定するつもりは、ない。でも、それだけじゃ、ない。
この姿は、ボクの知る、皆の勇姿。
戦友、親友、憧憬、尊敬。強き者、その幻想。その具現。

だから、この姿である内は、ボクもそう在りたい。いや、在らねば、ならない。
誰にも、何にも負けない、強者(ドラゴン)に――――!!

頭上に展開した魔法陣が、ボクの身体を通過し、地面で更に巨大化する。
ボクの身体は光の粒子になって魔法陣に吸い込まれ、そこから巨大な氷竜が姿を現す。

――――Vengeance Is Mine.
災いを呼べ、龍吼(ドラゴニス)!!!

鱗、堅牢!爪牙、鋭利!眼光、燦爛!
その吐息、万物を凍てつかせ、破砕する!
竜の吐息(ドラゴンブレス)――――氷竜還零!!

相手、誰だろうと――――負けない!!!


●第2試合:凍雲・雪那 vs 文月・雪人
 ネメシスを発動した復讐者は、その姿を千差万別に変える。
 人間の姿は元より、悪魔や天使の姿に変わる者もいる。恐竜の姿に変わる者もいる。そして、ドラゴンに変わる者もいる。凍雲・雪那(報仇雪恨の皓巫姫・g07783)も、その一人。ドラゴンの姿をネメシスに持つ復讐者だ。
「……ん。ネメシス、復讐心……」
 五本指が揃った人間の掌を見つめながら、雪那は思考を反芻するように呟いた。
 彼女のネメシスを一言で言うなら、『進化する力』だろう。対象の力と姿を解析し、取り込み、絶えず変化を続けるもの。その相手は敵のみならず、時に味方のものさえ対象とする。
 一体、何の為に?
 復讐の為だ。敵を討ち、滅ぼす。その為にこそ、雪那のネメシスは存在する。

 無論、その力を雪那は否定しない。
 だが、それが全てかと問われれば、明白に否と答える。自身の持つネメシス――巨大な竜を思い描きながら、改めて彼女は自覚する。かの姿は、自分が心に描いた仲間たちへの憧れ。自分の知る、皆の勇姿なのだ。
「戦友、親友、憧憬、尊敬。強き者、その幻想。その具現。だから――」
 あの姿であるうちは、自身もそう在りたい。
 胸中に浮かぶ己の想いを、しかし雪那は即座に否定した。
 今の自分に必要なのは憧れでは無く覚悟だ。である以上、導かれる答えは一つしかない。即ち、
「在らねば、ならない。誰にも、何にも負けない、強者(ドラゴン)に――――!!」
 それこそが、自身と向き合い辿り着いた、雪那の答え。
 果たして次の瞬間、想いに応えるように、一つの魔方陣が空中に展開した。それは上方から被さるように雪那の身体を通過すると、地面で更に大きさを増していく。

 雪那の身体が光の粒子に変じ、魔方陣へと吸い込まれた。
 そして、巨大な魔方陣から姿を現したのは、一頭の氷竜。彼女が得たネメシスに他ならなかった。
「Vengeance Is Mine――――災いを呼べ、龍吼(ドラゴニス)!!!」
 堅牢なる鱗と鋭利な爪牙、燦爛たる眼光が、圧倒的な存在感を備えて君臨する。
 紛れもない強者としての風格を備えた氷竜の姿で、雪那は空気を震わす咆哮を轟かせると、その吐息に膨大なパラドクスの力を秘め始めた。
 『氷竜還零』。
 万物を凍結せしめ粉砕するシンプルさと凶悪さを備えた一撃が今、極限まで引き出された雪那の力によって解き放たれる。彼女の対戦相手であり、前方で大弓に破魔矢を番えた雪人めがけて。

「誰だろうと――――ボクは、負けない!!!」
 吹き荒れる氷の嵐が、東京ドームを席巻する。
 氷竜と化した雪那の放つ冷気のブレスは、もはやそれ自体が一つの災害に等しかった。視界を白く染め上げる氷嵐は、一層激しく荒れ狂い、破魔矢と交錯し、そして――。
 逆説連鎖戦の幕が閉じ、吹雪が止む。
 静寂を破るように、氷竜の巨躯が静かに崩れ落ちる。
 雪那と雪人、互いが全力を賭して行った試合の、それが決着だった。

(「……ああ、届かなかったか」)
 暫しの間をおいて思考が現実に追いつくと、雪那は人のそれに戻った手を、きつく握りしめた。
 去来する感情は、とうてい一言では言い表せない。
 ただ一つ確かなことは、この勝負が自分の大きな糧になったということ。誰にも何にも負けない強者への道を、彼女が一歩進んだということだ。
(「必ず、ボクは辿り着く。たとえ……今は、まだ届かなくても」)
 尊敬し、信頼する、幾人もの仲間たちと共に。
 その誓いを新たに胸へと刻み、雪那は静かに微笑んだ。
 未来に向けてたゆまず歩み続ける、一人の若者の笑顔だった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【冷気の支配者】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV2になった!

月下部・小雪
じ、自分の復讐心と向き合う……競う相手は自分自身、です。
クロノヴェーダとの戦いも終わりが見えて、きました。ボクも……ボクの罪と向き合わなきゃ、です。

ディアボロスの中でも最上位にいる、なんて言われることもありますが全部コダマのおかげです。
これからの戦いに向けて、ボクもネメシスの力を使いこなせなきゃです。
(アクマの力が怖くて、今まで数えれるくらいしか変身したことがない)

ネメシスに変身するとき、自分そっくりの大悪魔がいじわるな顔をして笑っています。
一番憎いのはボクを唆したアクマ……ではありません。そんな卑怯者に簡単に操られてしまった弱いボク自身、です。
もうボクはお前なんかに負けません!
コダマもお顔にすり寄ってきてくれて頑張れって言ってくれてます。
アクマの力を封じていた手枷が外れて、目の前のアクマそっくりの犬耳の生えたワンピース姿に変身します。

アクマの力を引き出した、これがボクの全力全開、です!
この力でボクの大切な人を傷つけたりは絶対に、しません!!


●第3試合:月下部・小雪 vs リューロボロス・リンドラゴ
 数多の断片の王たちを滅し、世界中の大地を奪還し。
 最初は一つの島に過ぎなかった最終人類史は、今や数多くのクロノヴェーダを圧する勢力に成長を遂げた。
 刻逆より始まった長きに渡る戦いも、いよいよ終わりが見えつつある。同時にそれは、月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)にとって、自身の罪と向き合う時の訪れでもあった――。

「じ、自分の復讐心と向き合う……競う相手は自分自身、です」
 微かに震える声で呟いて、小雪が試合場を踏みしめる。
 観客席から響く無数の歓声が、東京ドームを揺らす。それら全てが、自分の関わるこの試合に向けられたものだと実感し、身の引き締まる思いがした。
 思えば復讐者として、ずいぶん長く戦って来たものだと思う。
 復讐者として戦い続け、気づけば強豪に位置するところまで辿り着いた。全ては相棒コダマのおかげだ。
「これからの戦いに向けて、ボクもネメシスの力を使いこなせなきゃですね」
「もきゅ!」
 モーラット・コミュの小さな体で、コダマがぴょんと飛び跳ねる。
 その姿に勇気を貰い、小雪は両手を戒める手枷へ視線を落とした。

 今までに数多くの強敵を制して来た小雪だが、その実、ネメシスの力を行使したことは多くない。
 理由は、自身に憑依するアクマ――大悪魔の力が、彼女にとって恐怖の対象だからだ。
 自分そっくりの姿で笑いかける、いじわるな顔のアクマ。ネメシス化する時、小雪は常にそれとの対峙を強いられる。
「一番憎いのはボクを唆したアクマ……ではありません。そんな卑怯者に簡単に操られてしまった弱いボク自身、です」
 そう呟く小雪の声は小さく、しかし揺るぎない。
 変わらねばと思った。これから先は、更なる力が必要となる。過去に向き合う時が来る。それらを為すのは、アクマに打ち勝った自分で無ければならないのだ。
「もうボクは……お前なんかに負けません!」
 顔にすり寄るコダマに勇気を貰い。
 意地悪なアクマを睨みつけ。
 そして――手枷が音を立てて外れると同時。アクマを開放した小雪はネメシスへ変身を始めた。

 溢れ出る力が、小雪の体に満ちていく。
 犬耳を生やし、ワンピースを纏う彼女の姿は、封じられていたアクマの姿と瓜二つ。だがたった一つ、小雪を唆した存在のそれとは明白に違うものがある。
 目だ。
 誘惑を払い、未来を拓く意志を宿した目――それこそが、小雪がアクマを制御下に置いた証だった。
「この力でボクの大切な人を傷つけたりは絶対に、しません!!」
 小雪の掲げた掌に、パラドクスの力が凝縮されていく。
 憑依する大悪魔より強引に引き出した魔力を、不可視の刃にして飛ばす『魔刃《見えざる殺戮者》』。それを以て、小雪は対戦相手――リューロボロスとの勝負に臨もうと言うのだ。
「これがボクの全力全開、です!」
「受けて立つ! いざ、勝負よ!」
 触れたものを消し去る魔刃と、万物を灰燼に帰す火炎ブレス。
 ネメシスで増幅された二つの力が、パラドクスの輝きを帯びて激突する。

 互いの全てを凝縮した攻防が、刹那の間に幕を下ろす。
 観客の視線が集中する先、膝をついたのは――小雪だった。
「……ありがとうです、コダマ」
 駆けよるコダマを優しく撫でると、その両掌を小雪は静かに握りしめる。
 たとえ目には見えずとも、この試合で掴み取った力が、確かにそこにはあった。
「帰りましょう。皆さんの所へ」
 リューロボロスと笑顔を交わし、準決勝の会場を後にする小雪を観客たちの拍手が包む。彼らの一人一人に応えるように、小雪は大きく手を振った。
 枷を外し、選んだ道を歩み出す小雪。アクマの力に彼女が操られることは、もう二度と無いだろう――。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【一刀両断】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV3になった!

ソレイユ・クラーヴィア
私の復讐の原点は理不尽な力によって未来を絶たれたという未練

全ては消えてしまった

期待している、と背を押してくれた父に
背負わせて悪い、と小さく詫びた兄に
常に真摯に音楽と向き合え、と厳しく諭した師に
頑張って、と励まし続けてくれた母と姉、そして妹に

何より、音楽に生涯を捧げるという誓いを果たす事なく散った私自身に

私は、まだ何も報いてはいない
こんな所で終わりたくない、終われない
まだ生きて奏でたい

誰もが理不尽に絶たれる未来を受け入れずに済む世界を取り戻したいから
私は戦うと誓った

宙に展開した鍵盤で奏でるは福音の旋律
指が鍵盤に触れる度に鍵盤の魔力翼は黒鍵翼へと染まる

それは有り得ざりし未来の私
本来であれば至り得たかもしれない姿
旋律を極め、和声の精髄に至る、黒鍵のマエストロ

音が、聞こえる
世界を変える音が

否、私が奏でる音こそが、世界を奪還する旋律!

耳に馴染む調べと音の跳躍
華やかに、軽やかに、駆け抜けるアレグレット
幸いあれと鳴る澄んだ鐘の音は光と転じ剣と成す

音の至高に全霊を込めて
絶たれた未来で、理不尽を伐ちます!


●第4試合:ソレイユ・クラーヴィア vs レオアリア・フォルシオン
 フランスのルーヴル美術館より一回り小さな大球場を満たす歓声という“音”の渦を、ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)は感じていた。
「球技や試合のみならず、ここではコンサートも開かれるそうですね。とあれば――」
 復讐者としての自分を見つめ直すのに、これ以上の舞台はそうそう無いだろう。巡りあわせとも言うべき奇妙な縁に感謝を送りながら、ソレイユはしばし振り返る。
 理不尽な力によって未来を断たれた、自身の復讐の原点。全てが消えたあの時の『未練』という名の感情を。

 音楽家の一族として生を受けた時から、“音”は常にソレイユの傍にあった。
 世界に働きかければ、そこには必ず音が生じる。その事実を幼心に知ってから、彼は身の回りのあらゆるもので新しい音を求め、聞き続けた。
 窓枠を叩き、樹の枝を揺らし、石畳を叩き、水溜りに石を投げた。悪戯が過ぎて家の食器を破壊してしまった時などは、父や母からの𠮟責にさえ音の楽しみを見出した。
 次第にソレイユは音で表現する技術を身につけていった。雛が若鳥となって飛び立つように、幼い馬が駿馬に成長するように、才能の開花にさしたる時間はかからなかった。彼が音を奏でれば、それは例外なく聴く者の心を魅了した。

 そんなソレイユを、彼の家族や恩師もまた愛した。
 期待している、と背を押してくれた父。
 背負わせて悪い、と小さく詫びた兄。
 常に真摯に音楽と向き合え、と厳しく諭した師。頑張って、と励まし続けてくれた母と姉、そして妹。
 彼らの声に触れて、自分の生涯を音楽に捧げようと誓ったのも、当然と言えたのかもしれない。

 だが、誓いは果たせなかった。
 音もなく世界を変えた刻逆によって、ソレイユは志半ばで命を散らし――そして今、復讐者としてここにいる。

「私は、まだ何も報いてはいない。こんな所で終わりたくない、終われない。まだ生きて奏でたい」
 力強さを増す心臓の鼓動を聞きながら、ソレイユが言葉を紡ぐ。
 言葉は意思を帯びて、宙に展開した鍵盤の旋律と混ざり合っていく。指が鍵盤に触れる度、魔力翼は黒鍵に染まり、そして彼は変身を遂げた。
 そこに立つのは、黒鍵のマエストロとも言うべき姿。ネメシス形態のソレイユだった。
 旋律を極め、和声の精髄に至る存在。有り得ざりし未来の自分自身にして、本来であれば至り得たかもしれない姿。遍く音を五感で捉えながら、彼は宙へと飛翔する。誰もが理不尽に断たれることのない世界を取り戻す――己と向き合い見出した、自身の戦う理由と共に。

 ――音が、聞こえる。世界を変える音が。
 ――否。私が奏でる音こそが、世界を奪還する旋律!

 澄んだ鐘の音が、東京ドームに躍動する。
 『幻想ロンド「福音」』。若々しい優駿の如く駆け抜けるアレグレットはソレイユの意志に応え、その音色を光輝くの剣に変えて、対戦相手のレオアリアを狙い定めた。
「絶たれた未来で、理不尽を伐ちます!」
「流石の実力……と言うべきね。けど、負けないわ」
 光の剣と炎の聖剣が激突し、パラドクスの輝きを散らす。
 逆説連鎖戦は、一切の前触れ無く幕を下ろし――旋律の途切れたドームの静寂が、試合の結果を告げていた。

 終了から間もなく、大きな拍手と歓声が試合場に満ちた。
 準々決勝の最終試合に相応しい名勝負を演じた二人の復讐者へ、それは等しく送られたもの。ソレイユは笑顔でそれに応えた後、勝者となったレオアリアへの一礼と共にその場を後にする。
(「嗚呼、何と素晴らしい音だろう」)
 満ち溢れる充足感が、魂に幸福の音色を齎す。
 東京ドームを包む祝福の旋律は、いつまでも止むこと無く響き続けた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【アイテムポケット】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV7になった!

 準々決勝の試合が終わり大会が準決勝に進むと、会場は静粛な空気に満ちた。
 己と向き合い、ネメシスとなり、全ての力を激突させる闘技大会。その最後を締め括る2名を選ぶ試合と、そこに参加する選手たちへ、観客も黙って背筋を正す。

「これより準決勝が開始される。参加者4名の対戦カードを発表するよ!」

 無論それは、進行役のリュカも例外ではない。
 試合に臨む復讐者たちが会場に入場を終えると、より厳粛さを増した彼のアナウンスが響く中、大戦の組合せが電光掲示板に表示されていく。

●ワイルドカード杯 準決勝
・第1試合:レオアリア・フォルシオン vs ルィツァーリ・ペルーンスィン
・第2試合:文月・雪人        vs リューロボロス・リンドラゴ

 明かされた組合せに、観客席からも息を呑む気配が伝わって来る。
 この準決勝は、今まで以上に熾烈となる――その空気が肌で感じ取れたからだ。
 勝利を掴み、決勝戦に進むのは誰か。観客が固唾を飲んで見守る中、4人の復讐者たちは試合に臨む――!
ルィツァーリ・ペルーンスィン
アレンジ等歓迎

ネメシス体
大人になった騎士姿


俺は騎士を目指しそうあらんとしている
何でそうなったかと言えば最初はかっこいい、自分もそうなりたいって言う単なる憧れだった
幼馴染を姫と呼び騎士ごっこもしたっけな

其れが変化したのは5歳の頃
幼馴染の薬を手に入れる為に相棒スヴェルカーニエに乗って俺が遠出してる間に全く関係のない流行り病であの子は死んだ
俺はあの子の死に目にも会えず、けど誰も俺を責めてくれないから俺は余計自分を責めた
そして騎士道物語の騎士ならあの子を救えたのにと思う様になり自分を痛めつける様に己を鍛えた

あの時の自分は我ながら痛々しくて周りに心配かけちまったと思うしそんな俺と共に居てくれた相棒には感謝してる
……多分俺のネメシス体は苦しんでる誰かを助けられる騎士、そんな理想の大人になった自分だ

そして俺の復讐心の原点はクロノヴェーダへの物じゃない
奴等への怒りはあるが其れ以上に憎いのは憎かったのは無力な自分自身!

だからこそ俺は戦う!
俺の様に無力さに泣く人を救う為に我が神ペルーンの焔矢を以て敵を討つ!


レオアリア・フォルシオン
…復讐心の原点、か
全ては、ドラゴンへ奪われた祖国・臣民への渇望
イギリスが帰還しても尚、燻ぶり続ける願い
”ーー愛するものと、もう一度相対したい”
それがわたくしの復讐の原点よ

瞬間、わたくしのネメシス…ドラゴンスレイヤーの皇帝として、具現化した真紅の礼服にして騎士装束
わたくしのパラドクスは『自己にまつわる歴史を再定義』する事
己の願う道ーー歴史を何度でも反復し、最上の未来に到達する為の力
わたくしの戦記は、何度でも繰り返す…願う未来にある、愛する人々との再開の為に

ネメシスよ、わたくしの求めた過去を…希望にして頂戴
その過去から紡がれた未来を、幸いあるものにする為に
歴史を再定義し、炎の聖剣を具現化
ゲオルギウスがその聖剣の中核となり、未来を照らして切り開く炎の斬撃を放つ!

そして人々に語りかける

どうか、わたくしの復讐の果てに
祝福の言葉を、正義の花束を
”復讐は何も生まない”、何て幻想を殺した果てに
わたくし達ディアボロス…復讐者の復讐完了が、矛盾、パラドクスを乗り越える域で、最高最善の未来にチェインします様に


文月・雪人
閉じた目の奥に浮かぶのは故郷の地。
平安鬼妖地獄変の、賑やかなれど穏やかな日々。
大切な友がいた、仲間がいた。
そしてあの日……その全てを奪われた。
多くの命が消えゆく中で、俺はただ無力だった。
鬼と化してゆく友をどうする事も出来なかった。
それでも、それでも!

怒りを胸に辿り着いた新宿島。
最終人類史の存在は、俺にとって大きな救いだったんだ。
平安の時代に生きた皆の歴史のその先に、人々の生きる未来が在ったから。
一人ではないと、確かめる事が出来たから。

そして沢山の出会いと別れの中で、気付かされた事が沢山あった。
敵にも味方にも、命の数だけ思いがあった。
全ての過去の先に今があるからこそ、
今を生きる者として未来を選び繋げていきたい。
俺にとっての復讐とは、未来へ向けた再挑戦(リベンジ)だ。
その為の力を、ここに。

ネメシス形態に変化。
服装が黒い縫腋の袍に垂纓冠を冠した平安時代の文官の束帯となり、
額に二本の赤い角を生やし、
瞳を赤に染めた目を開く。

【託されし願い】を胸に望む未来を掴むべく、強き意思で『願いの矢』を放とう。


リューロボロス・リンドラゴ
復讐とは、過去を想うこと。
そこに生きた誰か。そこにあった何か。そこで感じた何か。
それらを忘れず想うこと。
我は想う、幼子達を想う。
我は共鳴したのだ、数多の幼子達と。
善悪、時代を問わず共鳴したのだ。
幼子達は奪われた。
生も。そして死さえも。
中には生まれたことを呪った幼子もいた。
世界を憎み、悪逆非道とされる大人になった者もいた。
だが、その呪いも、絶望も、諦めさえも奪われた。
無かったことにされたのだ。
それを、許せるか。
良しとできるのか。
否。
断じて否!
幼子とて怒るのだ!
幼子とて憎むのだ!
幼子とて恨むのだ!
幼子とて呪うのだ!

そして、我もまた幼子である。
ああ、そうだ。
あの日。

我も怒った。
我も憎んだ。
我も恨んだ。
我も呪った。
我も……泣いたのだ。

故にこそ。
我がネメシスは我ら幼子が恐れ、憧れ、求めた、あらゆる敵を薙ぎ払う最強のラスボスにしてヒーロー!
即ち!
我は龍。我こそはドラゴン。牙無き幼子達の復讐者にして、弔いの花。
――万物万象燃え尽きよ。火を吹くは竜である。
ドラゴンの最たる象徴に、全ての想いを込めようぞ!


●第1試合:レオアリア・フォルシオン vs ルィツァーリ・ペルーンスィン
 ネメシス闘技大会、準決勝。
 会場である東京ドームの試合場に颯爽と現れた者の姿は、会場の視線を否応なく釘付けにした。
 美しい甲冑に身を包んだ、それは騎士姿の青年だ。その佇まいは、ただ其処に居るというだけで、見る者に自然と畏敬の念を感じさせる。
 ネメシス化で大人の体に変じた彼――ルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)は、観客席から注がれる視線を一身に浴びながら自問する。果たして自分は、目指す“騎士”として在れているだろうかと。

 最初に騎士を目指したのは、ただただ純粋な憧れだった。
 かっこよく、強くなりたい。同年代の子供と同じように、ルィツァーリもまた騎士に憧憬を抱く少年だった。幼馴染を姫と呼んで騎士ごっこに興じたのも今では懐かしい思い出だ。
「でも。そんな俺の下に、現実は突然やって来た」
 ルィツァーリの表情が、深い悲しみに沈んでいく。
 脳裏に去来するのは、7年という時を経てなお鮮明な記憶。幼馴染を亡くした日のことだった。

 その日、ルィツァーリには遠出の用事が出来た。幼馴染の薬を入手する為、どうしても外出する必要があったのだ。
 彼がいた時代と土地は、最終人類史に比べればインフラなど無きに等しい。荒れ果てた道を、彼は愛馬に跨ってひたすらに駆けた。
 5歳という年齢は理由にならなかった。ここで己に嘘をつけば、自分が騎士を目指す資格は無くなる。制止する家族を強引に振り切り、何とか薬を手に入れた後は、相棒の愛馬が潰れないことだけを願い手綱を握り続けた。そして――。
「……あの子は死んだ。俺が遠出してる間に、関係のない流行り病でな」
 それはルィツァーリが、世界の現実を知った日だった。
 自身の復讐心の原点となる日であり、同時に、彼の中でひとつの時期が終わりを告げた日だった。

 それから、ルィツァーリは過酷な鍛錬を自身に課した。
 幼馴染の最期を看取れず、しかし周囲は誰も自分を責めてくれない。己を鍛えて強くなる以外、もう道は無い――そう思い詰め、鍛錬を理由に自分を責め続けた。
(「ほんと、我ながら痛々しい真似だったな」)
 過去を振り返り、そう思う。
 周りに心配もかけさせてしまった。ずっと共にいてくれた相棒には、どれだけ感謝しても足りない。
 同時に思う。このネメシスは、自分が追い求めた理想なのだろう。己の無力を呪ったあの日から、そして恐らくはこれからも、誰かを助けられる騎士を目指し続けるのだろう。

「俺の復讐心の原点はクロノヴェーダへの物じゃない。一番憎いのは、憎かったのは、無力な自分自身!」
 それこそが、己の戦う理由だと彼は言う。
 無力さに泣く自分のような者を一人でも救う為、これからも戦い続ける。その決意を新たに、彼は『ペルーン神の焔矢』を発動した。標的は、対戦相手のレオアリアだ。
「空駆けし天空の神よ、偉大なる雷神よ! 我が敵を討つ為に御身の焔矢を降らせたまえ!」
 試合場が、瞬時に戦場と化した。
 巨大な砲弾と炎の聖剣、二つのパラドクスが交錯し、ほぼ同時に両者に命中する。
 衝撃と共に二人の体は宙を舞い、そして――互いに傷だらけの中、先に立ち上がったのはレオアリアだった。

「……そう、か……」
 数秒の後、ふらつく体を叱咤して立ち上がると、ルィツァーリの口から深い吐息が洩れた。
 全力で臨んだ戦いだった。まだまだ、修行が足りないということだろう。見直す点が知れただけでも、この大会に参加した意義は大いにあった。
「御見事でした。この勝負、貴殿の勝利です」
 堂々たる態度で、ルィツァーリがレオアリアに一礼する。
 幼き日より彼が理想とする、それは一人の騎士の姿だった。

●第2試合:文月・雪人 vs リューロボロス・リンドラゴ
 幼子にとって、世界とは“仰ぎ見る”対象だ。
 立ち並ぶ家々、牧草をはむ馬、行きかう大人たち。それらは大きく強く、幼子の手が届かない所に存在する。
 扉の取手に手は届かず、馬の鞍は跨るだけでも一苦労。振り上げる抗議の拳は大人の顔面に届くことはない。

 リューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)が受け継いだ幼子たちの想いも、それは同様だった。
 世界とは、強者とは、仰ぎ見るもの。
 いつの時代、どこの国でも変わらない事象を振り返りながら、彼女は一人の復讐者として彼ら彼女らに思いを馳せる。
「復讐とは、過去を想うこと。そこに生きた誰か。そこにあった何か。そこで感じた何か。それらを忘れず想うことだ」
 そう言葉を紡ぐリューロボロスの声は、いつになく重い。

 改竄された世界においては、幼子たちも多くが犠牲になった。
 生命を奪われた者がいた。生まれたことを呪った者がいた。世界を憎み、道を踏み外した者もいた。そんな彼らは、しかし絶望の呪詛ひとつあげることも出来ない。
 刻逆が齎した変化によって、幼子たちは最後まで世界を仰ぎ見るままだった。
 それを許せるかと問われれば、リューロボロスの返答は決まっている。
「――断じて否だ。幼子とて怒り、憎み、恨み、呪うのだ!」
 無論それは、同じ幼子であるリューロボロスも変わらない。

 そう、彼女もまた、復讐心の原点たる“あの日”のことは覚えている。
 胸を焦がすような怒りも、理不尽に対する憎悪も。自分を見下ろして笑うものへの恨みと呪詛も。
 救いを求めるように仰ぎ見た先、全てに無関心を決め込むように広がる空も。

 そして――涙で滲む青空の中に、彼女は見たのだ。
 何者にも属さぬ孤高の存在にして絶対の強者、翼を広げて大空を飛ぶ最強の個を。
 幼子たちが仰ぎ見る果て、彼らが憧れ求める存在。あらゆる敵を薙ぎ払う一匹のドラゴンの姿を。

「……そう、我は龍。我こそはドラゴン。牙無き幼子たちの復讐者にして、弔いの花」
 己と向き合った果て、見出した姿にリューロボロスが変貌を遂げていく。
 万物の頂点に君臨する最強のラスボスにしてヒーロー。それこそが彼女のネメシス、ただ一匹の龍に他ならない。
 肉体の変化と共に、リューロボロスを取り巻く世界がその景色を変える。
 のばせば手が届いた地面は、今や視界の遥か下。観客席に並んだ仲間たちの顔ぶれも、その全てが見て取れる。周囲の仰ぎ見る視線を一身に浴びながら、彼女は対戦相手の雪人と向き合った。
「――万物万象燃え尽きよ。火を吹くは龍である!」
 それは、ドラゴンの最たる象徴。
 強大にして極大の火炎ブレス、『赫焉の竜王極大弾』に全ての想いを込め、リューロボロスのパラドクスは発動された。

 荒れ狂う炎が、試合場を瞬時に満たす。
 間を置かず、願いを託された矢が破魔の光を帯びて飛ぶ。
 パラドクスを帯びた炎と光は、書き換えられた時空の中で壮絶なせめぎ合いを演じ、互いの身体へほぼ同時に命中した。
「――!!」
「……っ!」
 焼け焦げた地面から生じる熱気が、陽炎にゆらめく。
 その只中、地面を踏みしめる二つの影の片方、リューロボロスのそれが静かに傾いて――試合終了を告げるアナウンスが、場内に大きく鳴り響いた。

「……我の、完敗か」
 一言一言を刻むように、リューロボロスが呟く。
 彼女と礼を交わす雪人も、その身は傷だらけ。互いに力を出し切った結果であることは一目瞭然だった。
 これで後は決勝戦を残すのみ、最後まで見届けるとしよう――全力で戦い抜いた想いを勲章に、リューロボロスは試合場を後にする。
 その背中には、些かの暗い陰も無く。龍のそれに相応しい、強者の威厳が感じられた。


 東京ドームの場内を、静寂が満たす。
 そこに漂うのは、心地よい緊張の気配だった。
 第1回戦より続いたネメシス闘技大会、その決勝戦が遂に始まろうとしているのだ。

 対戦者は、文月・雪人とレオアリア・フォルシオン。
 ここまでの試合を突破してきた2名の復讐者は、激戦の傷も既に癒え、コンディションも万全の状態にある。
 復讐者である自分の全てをもって、決勝に臨む――そんな無言の決意が、彼らの表情からは感じられた。

 極限まで凝縮された静寂の中、試合場に進み出る二人の足音だけが響く。
 数多くの復讐者たちが観客席で見守る中、雪人とレオアリアが互いに向かい合う。
 そして――場内の掲示板が、開始の合図を示すと同時。闘技大会の最後を締め括る試合が、幕を開けるのだった。

●決勝戦:文月・雪人 vs レオアリア・フォルシオン
 かつて、京と奈良の一部を領土に存在していた平安鬼妖地獄変。
 そこで過ごした故郷での日々を、文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は思い出していた。
 陰陽師として生きる彼の、大切な友や仲間。そんな彼らと過ごす時間は本当に賑やかで穏やかなものだった。豊かとまでは行かずとも、満ち足りた暮らしを送るのに、それは十分な環境だったのだ。

(「そしてあの日……その全てを、俺は奪われた」)
 思い出す度に胸を締め付ける苦悩に、雪人は静かに拳を握る。
 鬼や妖怪によって奪われていく大勢の人々の命。鬼と化していく友をどうすることも出来ない、自身の無力。
 それでもなお、怒りを胸に命を賭して戦い、彼は復讐者として新宿島へ辿り着いた。

 最終人類史の存在を知り、最初に雪人が覚えた感情は安堵だった。
 自分が生きた平安の世、その先に人々の生きる未来がある。共に戦う仲間がいる。その事実が、何よりも救いとなった。
 そこから先、彼は世界中の戦場を渡り歩き――数多の出会いと別れを経て、ここに立っている。
(「……人間やクロノヴェーダだけではない。“彼ら”との絆だって、俺の胸には刻まれている」)
 掌中に乗せた『朱鉄参號』の起動キーに目を落とし、雪人は目を伏せる。かつて天正大戦国でレックスⅣと共に遂げた彼らの最期は、今も雪人の記憶に新しい。

 助けられた者も、そうでない者もいた。
 最後まで分かり合えず、刃をもって雌雄を決した者もいた。
 己の野心を叶えんと突き進む敵や、人々の虐殺を目論む敵と交えた死闘も、今ではとうてい数え切れない。

 敵も味方も、命の数だけ思いがあった。
 それら全ての過去の先に辿り着いた今を、雪人は思う。今を生きる一人として未来を選び繋げていきたいと。
「俺にとっての復讐とは、未来へ向けた再挑戦(リベンジ)だ。その為の力を、ここに」
 雪人の体が、ネメシスへと変化していく。黒い縫腋の袍に垂纓冠、平安時代の文官の束帯を纏った彼の額には、二本の赤い角が生じている。
 そうして――見開いた目の瞳を赤く染め。雪人は、『願いの矢』を番えた大弓を引き絞り始めた。

「――そう。それがアナタの見出した力なのね」
 戦闘態勢の雪人と対峙しながら、レオアリア・フォルシオン(フォルシオン統一王朝初代皇帝『征龍帝』・g00492)もまた意識を集中していく。
 お互い、好機は一度のみ。己が力を引き出すべく、彼女もまた自分自身に向き合った。

「『愛するものと、もう一度相対したい』。それが、わたくしの復讐心の原点よ」
 執念の焔を双眸に燃やし、レオアリアは言う。
 かつて幻想竜域のドラゴンに奪われた祖国。そこに生きる民への渇望。大地の奪還が果たされた今も想いは消えず、彼女の中で燻り続けているのだ。
 クロノヴェーダたる竜を滅し、繁栄と平和に満ちた世界に君臨する――かつて理想とし、未だ果たされることのない願いを叶える時まで、戦い続けると彼女は誓っている。過去の先にある未来を、幸いあるものとする為に。

「どうか、わたくしの復讐の果てに祝福の言葉を、正義の花束を!」
 願いの言葉を凛と響かせ、レオアリアがネメシスに変化していく。
 真紅の騎士装束を纏い、その手を天に掲げれば、顕現するのは紅く燃える聖剣だった。
 『万象焼き切る熱の刃よ、竜を断て』。炎を収束・凝縮し、膨大な熱量を内包する刃に変えて、標的を灰燼に帰す一撃だ。そうして彼女は聖剣を手に深呼吸をひとつ。己が精神を研ぎ澄ます。

 ――最後の逆説連鎖戦が始まろうとしている。
 ――後戻りは出来ない。この一戦で、最高の結果を勝ち取るわ!

 観客席の復讐者たちが、息を忘れて二人の戦いを見守る。
 幾百幾千の視線が集中する中、レオアリアと雪人の勝負が幕を開けようとしていた。


 パラドクス発動までの僅かな刹那、極みに至った集中力が、主観の時間を極限まで鈍化させる。
 認識する世界の全てが走馬燈めいて流れる中、レオアリアの頭脳は猛烈な速度で思考を始めた。

 ――ネメシスよ、わたくしの復讐心に応えなさい。もっと、もっと!

 ネメシス化して戦うには、復讐心を高めなければならない。それは復讐者なら誰もが知る事実だった。
 復讐心が弱ければ、力を引き出すことは出来ず、勝利も覚束ない。それ故に彼女の心には焦燥があった。復讐の念が、想定した程に強まらないのだ。

 勝利の道を必死に模索する中、彼女の精神は半ば本能的に、自身の状況を俯瞰するよう働き始めた。
 感情に呑まれ、焦燥に突き動かされれば勝機は潰えてしまう。
 かつて戦場でそうして来たように、彼女の理性は自身の状況を冷徹かつ冷静に噛み砕いて伝えて来た。

 ――幾度もの試合を経て、復讐心が強まった感覚は無い。
 ――けれど、ネメシスの力は問題なく行使することが出来ている。

 辻褄の合わない指摘に、レオアリアは戸惑った。
 強い復讐心を持つほど、ネメシスの力は高まる。無論逆も然りであり、それは復讐者にとって常識とも言える前提の筈。
 にも関わらず今の状況は、その“常識”に当てはまらない――彼女の理性はそう告げているのだ。だとするならば、

 ――『より強い復讐心を持つ者が、より強いネメシスの力を得る』。これは真理なのかしら?
 ――いえ、恐らく違う。
 ――だとするなら、まさか……復讐心は、ネメシスの――!

 雷に打たれたような衝撃が、レオアリアの精神を襲う。
 同時に、鈍化していた世界が元の時間で流れ始めようとしていた。
 これ以上、思考に時間を費やす猶予は無い。自身の読みと心中する腹を決め、彼女は聖剣を振り下ろした。


「ネメシスよ、わたくしの求めた過去を……希望にして頂戴!」
「想いよ願いよ、未来を繋ぐ標となれ!」

 聖剣と破魔矢が、刹那の間に放たれた。
 互いのパラドクスの力を物語るように、ほぼ同時に被弾したレオアリアと雪人が勢いよく弾き飛ばされる。
 観客席の復讐者たちが固唾を飲んで見守る中、永遠にも思える時が流れ……倒れた二人が、ほぼ同時に身を起こす。
 そして――数秒差で先に立った“彼女”に、勝利の判定は下された。

 勝者、レオアリア・フォルシオン。

 アナウンスがそう告げると同時、一瞬の間を置いて、一際大きな喝采がドームを包んだ。
 優勝者を称える声、戦い抜いた全ての選手を労う声、それら全てが等しく大会参加者たちを祝福する。
 いつまでもいつまでも、途切れること無く響き続ける拍手と歓声、そして喝采。そんな中、決勝戦を戦った二人は、互いに一礼を交わし合い、
「この大会で、色々なものを掴めたよ。レオアリア、優勝おめでとう」
「ありがとう。本当に……本当に、沢山のものが得られたわ」
 雪人と健闘を称え合った後。レオアリアは、ひとり物思いに耽るように口を閉ざすのだった。


 決勝戦が決着を見ると、東京ドームは更なる賑わいを見せ始めた。
 全ての試合が終了し、一般人の入場制限が解除された為だ。ネメシス闘技大会という催しに人々の関心は尽きないようで、参加者たちはたちまち質問攻めにあい始めた。
「えっ、サイン? 喜んで。クダ吉も手伝ってくれるかい?」
「インタビューか。いいぜ、オレの八栄流は――」
「いえ、お気になさらず。……この分であれば博物館にも寄れそうですね」
「くはははは! 何でも我に聞くが良い!」
「ああっロッソ、色紙齧っちゃダメだよ!」
「めー!」
 大勢の人々からの求めに、復讐者たちは気さくに応じていた。中でも本選参加者と、そして予選最終戦に残ったアンデレらは特に人気の様子で、対応に大忙しだ。

 そんな中、試合場では一つのイベントが始まろうとしていた。
 球状上部の大型ビジョンが、試合場に立つレオアリアの姿を一斉に映し出す。この大会に優勝した彼女に、マスメディアがインタビューを行おうと言うのだ。
 復讐者、一般人、会場中の全員の視線が向けられる中、インタビューは淀みない流れで進んでいく。
 レオアリア自身の復讐者としての来歴や、自身が大会に賭けた想い、等々。そうしたやり取りを数分ほど交えた後、話題が決勝戦に及んだところで、彼女は一旦言葉を切る。
「…… ……そうね。あの試合で感じたこと、皆にも伝えておくわ」
 そう、あの試合で得たものは、本当に大きかった。
 それはネメシスと、ひいては復讐者の未来にも関わる可能性があるもの。故に、ここで伝えるべきだと判断したのだ。
 静寂の中、会場中から視線が集中する。場の空気が十分に満ちるのを待って、レオアリアは話を切り出した。

 最初に彼女が話したのは、雪人との逆説連鎖戦に臨む直前の感覚だった。
 第1回戦、第2回戦と勝ち続けているのに、復讐心が高まる気配がない。最初のうちは自分を振り回すほどだった復讐心は鳴りを潜め、それでいてネメシスの力が低下した感覚はない。そんな状況だった。
「直面したこの状況を、わたくしはこう解釈したわ。“これは、ネメシスの力を純粋な戦闘力として使いこなせている”ことの証左ではないか、とね」
 復讐心が高まっていないにも関わらず、なぜネメシスの力が影響を受けないのか。
 決勝戦で感じ取った感覚を余さず言語化した上で、レオアリアの話は更なる核心に及ぶ。即ち、

 ――復讐心は、ネメシスの力を引き出す為の“鍵”に過ぎないのではないか?
 ――そうして引き出した力は、復讐心が無くても制御が可能なのではないか?

 もしもあの勝負で、この感覚を掴んでいなかったら。或いは、先に掴んでいたのが雪人だったら。
 自分の優勝が薄氷の勝利であったことを改めて噛み締めつつ、レオアリアは話を続ける。

 今はまだ、自分を含む復讐者は、復讐心を保たなければネメシスの力も消えてしまう。
 しかし、もし完全に使いこなして制御出来れば――引き出した力を自分自身の能力として、感情に振り回されず使えるようになるかも知れない。

「勿論、これはまだ推測に過ぎないわ。けれど、もしもこの感覚が正しいのであれば――」
 会場のあちこちで復讐者たちが息を呑むのを感じながら、レオアリアは考える。
 この推論は、ネメシス闘技大会で幾度にも及ぶ試合によって導かれたもの。参加者たちの想い、決意、覚悟、意思。それら全てが導いたものだ。
 故に思う。ここに集う復讐者たちの一人一人が己の復讐心と向き合い、ネメシスの力で勝負に臨み――そうして得られた、これは言わば一筋の光明。復讐を終えた後の復讐者の、未来の光になるかも知れないと。

 ――わたくしたちはディアボロス。復讐心を胸に、復讐の為に戦う者。
 ――だから、わたくしは見届けてみせる。“復讐は何も生まない”なんて幻想を殺し、その果てに待つ未来を。

 内なる誓いを噛み締めて、レオアリアはゆっくりと口を開く。
 紡がれたのは、この闘技大会を締め括り、未来への意志を秘めた言葉。
 共に最終人類史に生きる人々、共に戦う復讐者たちへ向けた、決意と願いの表明だった。

「どうか、わたくしたちの戦いが、パラドクスさえも乗り越えて……最高最善の未来にチェインします様に」

 紡がれた言葉と共に、東京ドームが大歓声に包まれる。
 ネメシス闘技大会『ワイルド・カード杯』を経て復讐者たちに示された、一つの可能性と希望の光。
 その先にいかなる未来が待つのか、今はまだ誰も知らない――。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【動物の友】LV1が発生!
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最終結果:成功

完成日2026年02月20日