リプレイ
天咲・ケイ
このディヴィジョンで、力を持たない一般人同士で
争う事ほど無益な事はないでしょう……。
犠牲者を一人でも減らさなければ……。
まずは戦場をよく【観察】し、戦況が傾いている箇所に向かい
両陣営の間に割って入ります。
そして【グラップル】による【早業】で
両陣営の一般兵の武器を奪って破壊し、
腕の関節を外す等して無力化を試みます。
「あなた方の腕はこんな事をする為に
あるのではないでしょう?
本来なすべき事を思い出して下さい。
命を粗末にせず、どうか退いて下さい」
と説得して撤退を促していきます。
呉と魏。
覇権を争う両軍が、火花を散らし、命を散らす戦場で。
天咲・ケイ(人間の破軍拳士・g01192)は、両軍の苛烈な殺し合いに立ち会っていた。
「このディヴィジョンで、力を持たない一般人同士で争う事ほど無益な事はないでしょう……。犠牲者を一人でも減らさなければ……」
目下、戦況は、一進一退。
「長引けば、それだけ倒れる人も増えるでしょう。ならば……」
視界の中にケイは、魏軍が劣勢となっている箇所を見つけると、そちらへと駆け付けた。
戦場に、疾風が吹く。
「!?」
兵士達の声が、刃をぶつける音が、刹那、止む。
常人ならざる速力で割って入ったケイに、魏兵、呉兵ともにその場に硬直せざるをえなかった。
「な、何奴!」
「敵の増援か!」
皆の逡巡が、ケイには絶対的な隙となった。
早業。兵達が、自らの武器が失われたのに気付いたのは、ケイがそれらを折り、あるいは砕いた音によってであった。
槍は棒きれに、剣は金属片に。もはや命奪う事の叶わぬ、ガラクタと成り果てた武器を放り投げるケイ。
「さては貴様、呉の伏兵だな!」
「魏の増援なら、殺すだけ!」
理解できぬものは全て敵。魏も呉も、その矛先は同時にケイへと向けられた。
だが、ケイは風から雷へと転じて見せた。
ごきり。
「!?」
兵が反応する間も無く、腕の関節を外す。これで、拳を武器とすることもできない。
「あなた方の腕はこんな事をする為にあるのではないでしょう? 本来なすべき事を思い出して下さい」
ケイの鋭い言葉、そして眼力。そこに兵達は、真なる勇将の在り方を見出したのかも知れぬ。
刃を振るうどころか、反論する者さえいなかった。
「日々の糧を得るためというのは承知しています。ですが、その糧は命を長らえるためのものではありませんか」
「う……」
じりり。
誰からともなく、ケイから距離を取る兵達。
「命を粗末にせず、どうか退いて下さい」
ケイの真摯な説得が届いた者。
あるいは、ケイの武力に戦意どころか、肉体を折られた者。
いずれにせよ、両軍の兵達は、次々と撤退していくのだった。捨てるべき武器は、最早なく。
大成功🔵🔵🔵
効果1【エアライド】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
黄泉王・唯妃
※アドリブ、連携歓迎。
まったくどれだけ叩き潰してもすぐに湧いてくるから嫌いなんですよね蟲って。
魏と呉の一般兵達がぶつかり合ってる境目のあたりからパラドクスと【水源】を用いて戦場を二分しましょう。
激しく戦ってる方々は押し流せばいいだけですし、地上戦しか想定してない一般兵なら大河の如く現れた水場を超えるような真似は出来ないでしょう。
これぞ我が【計略】『戦場二分の計』と。そのままですね。
「さあ、退きなさい。そして省みなさい、貴方達の戦いが如何に無駄かという事を」
黄泉王・唯妃(灰色の織り手・g01618)は、後方から一般兵をけしかける、両軍の蟲将どもを交互に見遣った。
片や呉の赤き蟲、片や魏の青き蟲。
「まったくどれだけ叩き潰してもすぐに湧いてくるから嫌いなんですよね蟲って」
ふう、と、いささか嫌悪の色が混じった吐息を1つ。
そのような蟲共に、戦乱を加速させる道具として使役されている人間達……何とも不遇ではないか。
戦場で命が散るのは道理、しかし無駄に散るのは捨て置けぬ。唯妃は、魏と呉の兵達が激突するその境界に、手のひらを向けた。
溢れる、水。青き龍を体現した奔流が、突如両軍を二分した。
「なんだこれは!」
「敵の水計か!?」
突然、想定外の現象に巻き込まれ、兵達は、一気に混乱の渦に呑みこまれた。
真っ先に被害を食らったのは、一般兵の中でも、最前線で命のやりとりをしていた者達だ。流水に押し流され、敵も味方も無く、戦場の中心から離されていく。
前線を支えるのは、大した装備や軍馬も支給されていない一般兵ばかり。
ゆえに、唯妃のもたらした災禍、大河の如く現れた水場に対して抗う術は、何一つ持ち合わせていなかった。
もちろん、悪戯に命を奪いはしない。戦場から引き剥がすと、よきところで解放してやる。
「これぞ我が【計略】『戦場二分の計』……そのままですね」
幸か不幸か、唯妃の計略名に異を唱える……ツッコミを入れる、ともいう……者はいなかったので、自ら一言付け足しておく。
第三者の介入、それも圧倒的な力を見せつけられては、本来の敵を討つどころの話ではない。次は我が身と、すっかり怖気づいた一般兵達に、唯妃は高らかにこう告げた。
「さあ、退きなさい。そして省みなさい、貴方達の戦いが如何に無駄かという事を」
「な、なんだ、魏の将軍が救援に来たのか? 周瑜様はそんな事はないとおっしゃっていたのに!」
見慣れぬ風体の唯妃に、混乱する呉兵達。
だが、戸惑っていたのは、魏兵の側も同じだ。
「く、これも周瑜とやらの計略に違いない、こりゃたまらん」
互いに互いの仕業と勘違い。
唯妃の計略は見事成功し、双方とも、兵達は戦場から脱していく。
その光景は、まさに二分と呼ぶにふさわしいものであった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【水源】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
獅子城・羽鳥
最近は関羽から一般人を逃す為に魏兵に化けてあちこち説得して回ってたし
ここらで魏と呉の蟲将共も削っておくか
連携・アドリブ歓迎
味方の不利になる行動はしない
常に《臨機応変・幸運》
出来る限り大怪我させないよう心掛ける
片っ端から《光遣い》で目を眩ませ、長物の柄で《不意打ち》
武器を壊すなり《気絶攻撃》で無力化
飛翔と《偵察・地形の利用・ダッシュ》を駆使して戦場を素早く回る
万一蟲将がいたら《暗殺》併用で手早く倒す
逃げ腰の兵には「命が惜しくば退け!」と将兵のいない方向を指し
装備を捨てて民に紛れるのをこっそり提案
魏も呉も人間の虫ケラ扱いには変わりない
使い捨てで死んだら苗床だ
お前達が命懸けで戦ってやる義理はないぞ!
獅子城・羽鳥(メタリックトルバドゥール・g02965)もまた、魏と呉、そしてディアボロス入り乱れる戦場へ身を投じていた。
「最近は関羽から一般人を逃す為にあちこち説得して回ってたし、ここらで魏と呉の蟲将共も削っておくか」
魏呉蜀。全ての戦力を減らせば、戦乱の規模も自然と縮小されるであろう。
味方が拳を振い、或いは水計を講じる中。羽鳥が介入したのもまた、魏呉の激突、その最前線だった。
「うわっ!」
一般兵が、反射的に手をかざす。羽鳥が放った光に、目をやられたからだ。
しかし、あくまでも目くらまし。本命は、兵が怯んだ隙に繰り出された、単槍の柄の一突き。相手の得物である剣を砕き、無用の長物を仕立て上げる。
「なっ、おのれ!」
苦し紛れに、剣の柄を投擲する兵。だが、この場の幸運は、羽鳥に味方しているらしい。
ひょい、と羽鳥がかわした背後、別の敵兵の顔面にそれは直撃した。
兵の当たり所は、二重の意味で恵まれていた。1つは、兵を気絶させるに至った事。そしてもう1つは、怪我自体は額から多少出血するだけで済んだという事である。怪我も少ないに越したことはない。
ディアボロス達の活躍で生じた混乱に乗じて転戦、兵達を無力化していく羽鳥。
「あやつから先に仕留めよ!」
後方のトループス級から命が飛ぶ。
魏軍、城壁の矢衾から、羽鳥に向け射かけられる矢の雨。とっさに飛翔して、針鼠化を免れる羽鳥。
流れ矢が呉兵を穿っては、怪我の元。致命な軌跡を描く矢は、槍や剣でもって撃ち落す。
城壁を蹴って、転身。今度は呉軍の方へと駆けると、敵兵達の間を駆け抜け、武器を狩り、意識を刈り取る。
「命が惜しくば退け!」
「ひっ、こっちに来るなあああ」
羽鳥の一喝が、逃げ腰の兵を叩く。
一方で、将兵のいない方向を指し、装備を捨てて民に紛れるようこっそり耳打ちする。
「さあ行け。……魏も呉も人間の虫ケラ扱いには変わりない。使い捨てで死んだら苗床だ。お前達が命懸けで戦ってやる義理はないぞ!」
羽鳥によって、一般兵達は、相次いで戦線を離脱していく。
敵前逃亡など、不名誉であろう。ただし名誉など、戦に殉じる覚悟のある者にしか価値をもたない。生を望むものにとっては、無用の長物だ。
大成功🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
黄泉王・唯妃
※アドリブ、連携歓迎。
さて一般兵が引いたなら次は蟲達の登場、ですね。
とはいえ何度も潰した相手ですから、苦戦はしないでしょう。
油断する気もありませんけどね。
強度の高い粘鋼糸で飛んでる蜂共を【早業】で【捕縛】。
地面に叩きつけて動きが止まったところをゆっくり手足や翅を毟り取ってあげましょう。
それと同時に【トラップ生成】で周りに蜘蛛の糸を張り巡らせて置きます。
トラップ自体に効果は無くとも死角から近寄ってくる蜂共の動きは糸を通して感じ取れますから不意打ちを喰らうことも無いでしょう。
「ぶんぶんぶんぶんと周りを飛び回るしか出来ないならさっさと死んでくださいませんか? 私は貴方達ほど暇ではないんですよ?」
獅子城・羽鳥
優勢なのはどっちかと言うと自称美周郎がいる呉軍の方か…?
それなら次は蜂駆除だな
連携・アドリブ歓迎
残留効果活用
可能なら味方を援護し、不利になる行動はしない
常に《臨機応変・幸運》活用
味方のトラップ生成を使わせてもらい
見えない鳴子や、蟲将が近付くと蛍光ペンキがぶっ掛かる罠を設置
透明だが蟲将に掛かると発色するブツだ
更にこちらは光学迷彩発動で不意打ちに備えよう
トラップで動きが鈍ってる間に《不意打ち・投擲・貫通撃・制圧射撃・暗殺》併用でニードルガンやショートスピアを叩き込んだら《一撃離脱》
《ダッシュ・不意打ち・忍び足》のどれもこっちが上だ
お前ら蜂を片付けたら平等に魏の甲虫共も後を追わせてやるから安心しろよ
一般兵達の大半は、戦場、あるいは城の外へと四散。敵の主力は、蟲将のみとなった。
逃げゆく一般兵を見送った獅子城・羽鳥(メタリックトルバドゥール・g02965)は、守城の魏軍と、攻城の呉を分析した。
「優勢なのはどっちかと言うと自称美周郎がいる呉軍の方か……? それなら次は蜂駆除だな」
標的を定めた羽鳥の聴覚が、羽音を捉える。呉軍鋭蜂兵の飛翔音だ。
そう、敵は蟲将。それも、蜂の特徴を武器とした異形の兵である。
数こそ一般兵より少ないが、それでも、羽鳥1人で引き受けるにはいささか厄介か。
だがそこに、黄泉王・唯妃(灰色の織り手・g01618)が加勢する。
先ほどまでの戦い、唯妃達の計略は、両軍の戦いに楔を打ち込んだ。今また力を合わせれば、蟲の大群であろうと恐れるに足らぬ。
鋭蜂兵達も、そんな唯妃達に応戦の構えを見せた。
「あやつらは、我ら蟲将が相手致しましょう。周瑜様のお手を煩わせるまでもございません」
「任せましょう。日頃練られし武を、示す時です」
鋭蜂兵達の申し出を、周瑜は笑みをたたえて肯定した。
「というわけだ、ディアボロス。我らの戦略を乱させはせん!」
「そんな風に勇んで戦場に散っていった蟲を、私は何匹も見てきましたよ?」
挑発的に笑みをこぼす唯妃。
実際、この蜂どもは、何度も潰した経験のある相手。手の内も把握している。
もっとも、油断するつもりもない。戦の勝敗が覆される時、そこには、想定外と慢心がひそんでいるものだから。
「我らの戦いを乱す復讐者ども! この戦場から排除してくれる!」
士気も高く、羽鳥らを迎え撃つ、鋭蜂兵達。
数で押し切れば、羽鳥達を潰すのは容易い……そう確信し、残忍な笑みを浮かべていたに違いない。たとえ、蟲の顔が、表情を読み取るのに難儀だとしても。
鋭蜂兵達は羽音を上げて飛翔。地上と空から、唯妃達を包囲する。
「周瑜様仕込みの我らの陣、容易く破れは……」
言うや否や、鋭蜂兵の一体が捕縛された。唯妃の粘鋼糸が、絡みついたのだ。
「バカな、この目を以てして見えなかっただと……!」
唯妃の、神速を思わせる早業を食らった鋭蜂兵は、そのまま地面に叩きつけられた。
強かに全身を打ち付け、気を失ったところに、唯妃が歩み寄る。
「さあ、ゆっくりと四肢や翅を毟り取ってあげましょう……あら?」
「隙だらけだ!」
鋭蜂兵達が、一斉に襲い掛かってくる。その動きは直線的で、唯妃には容易くかわせる程度のもの。
だが、唯妃は知っている。彼らが陽動であり、その本命は見えざるところにいると。
そしてそれは、唯妃の仕掛けによって、つまびらかにされることとなった。
「これも、蜘蛛の糸か!?」
虚空が、声を放つ。
直後、隠ぺいが解け、鋭蜂兵の姿が露わになった。この糸自体に特殊な力はない。だが、索敵用としては十分であった。
敵を捕捉した瞬間、唯妃が糸を繰り出し、自由を奪い取る。
「くっ……む、もう1人はどうした」
「いないぞ」
周囲を見回す敵兵。
唯妃のもたらした混乱に紛れ、羽鳥の姿は消えていた。光学迷彩によって。
「小癪な。だが、こちらも不意打ちならばお手の物よ」
再び、景色に溶けこむ鋭蜂兵達。ここからは、羽鳥と鋭蜂兵の気配の読み合いとなる。少なくとも、蟲将はそう読んでいたに違いない。
「……!?」
驚きの気配。
武器を振りかぶった鋭蜂兵が、姿を露わにした。それも、その意志とは無関係に。
ペンキだ。蛍光色のそれが、頭から鋭蜂兵に掛けられ、隠ぺいを上書きしたのである。
「おのれ、先ほどとは違う罠だと!」
羽鳥が、味方の力を借りて仕掛けたトラップは、見事、敵を蛍光色に染めた。
ただの仕掛けであれば、鋭蜂兵もむざむざと起動させはしなかっただろう。だがこれは、羽鳥の特別製。通常は透明だが、蟲将に反応して発色するものだ。
かくして、敵群の動きは大いに乱れた。羽鳥の反撃の時である。
「ぐはっ!」
鋭蜂兵が吹き飛ぶ。羽鳥渾身のショートスピアが、その身を貫き、一撃で仕留めたのである。
「そこか!」
羽鳥の攻撃を見逃さず、別の兵が槍を繰り出すが、攻撃を終えた羽鳥は即座に離脱。反撃を逃れる。速力なら、羽鳥の方が蜂どもを上回っている。
罠……ペンキや蜘蛛の糸を恐れるあまり、萎縮した鋭蜂兵は、ニードルガンに横から貫かれ落下、地面を穢していく。
「くそっ、厄介な計略を……」
「お前ら蜂を片付けたら、平等に魏の甲虫共も後を追わせてやるから安心しろよ」
どこからともなく響く羽鳥の声。それは唯妃の蜘蛛の糸と似て、鋭蜂兵達の戦意を絡めとるようであった。
「ぶんぶんぶんぶんと周りを飛び回るしか出来ないならさっさと死んでくださいませんか? 私は貴方達ほど暇ではないんですよ?」
ばっ、と鉄扇を広げ。
あるいは、バールのようなものを振るい。
唯妃達の反攻によって、鋭蜂兵達は解体されていく。部隊としても、個体としても。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!
黄泉王・唯妃
※アドリブ&連携歓迎
此方の五月蠅い羽虫も落としてしまいますか。
既に張り巡らせてあった糸から露を集めて手元に収束しそれで相手を押し流します。ついでに【挑発】しておきましょうか。
放電? そんなに全身が濡れた状態でそんなものを使えば黒焦げになるのは貴方達だと思いますけど。
「飛び回ることしか出来ないなんて蠅かなにかですか貴方達? いえ失敬、蠅なんて上等なものでも無さそうですね」
獅子城・羽鳥
関羽から一般人を逃す為にあちこちで魏兵に成り済ました結果
魏軍の株を上げてしまったかも俺……?
それならここで名誉挽回だ
連携・アドリブ歓迎
残留効果活用
可能なら味方を援護、不利にする行動はしない
常に《臨機応変・幸運》活用
トラップ生成で空中には霧と見えない鋼糸、地上にはトラバサミを設置
こちらは光学迷彩と完全視界で
敵の動きが鈍ってる間に《不意打ち・投擲・貫通撃・制圧射撃・爆破・暗殺》併用でパラドクスを叩き込み
反撃は飛翔や《一撃離脱・ダッシュ》で回避
《空中戦》の技能が足りない分は残留効果と《忍耐力》でカバー
武器を色々持ち替えながら時々《フェイント》を混ぜる
誰かが蜂共にトドメを刺したら、残るは自称美周郎か
「!?」
ざわり、と。驚きの気配が、魏軍の硬殻兵から溢れ出た。
獅子城・羽鳥(メタリックトルバドゥール・g02965)が、呉軍から一転、その矛先を城側へと向けたからだ。
その決断の原動力となったのは、羽鳥の脳裏をよぎった記憶。
(「関羽から一般人を逃す為にあちこちで魏兵に成り済ました結果、魏軍の株を上げてしまったかも俺
……?」)
嘘も方便、策略の1つとは言え、結果的に魏びいきの民衆を生んでしまったかもしれない……羽鳥には、そんな懸念があった。
「それならここで名誉挽回だ」
「何の話をしている、城は渡さんぞ!」
羽鳥が敵意を向けるなら、応えよう。鋭殻兵は、武器を手にした。
敵に命をおめおめと差し出すほどクロノヴェーダは素直ではない。否、それは蟲将でなくとも、知性ある者なら皆同じか。
羽鳥と協同し、呉軍の蟲将を圧倒した黄泉王・唯妃(灰色の織り手・g01618)。敵兵の武器と戦意を折った後、身を翻した。
唯妃の行先、そびえるは、合肥の城。呉兵が放棄した攻城兵器を踏み越え、城に接近する。
「此方の五月蠅い羽虫も落としてしまいますか」
魏軍の硬殻兵達は、唯妃の思わぬ動向に、浮足立つ様子を見せた。あわよくば、呉軍に矛先が向いているうちに、背後から攻めようとしていたのかもしれない。
一般兵は既に離散しているが、元々ディアボロスには通常兵器など用を為さぬ。
唯妃や羽鳥を迎撃すべく、門を堅く閉じ、城壁から飛び立つ硬殻兵の集団。
下手にろう城しても、呉軍が攻勢を仕掛けてくるやもしれぬ。魏軍には打って出るより手はなかった。
だが、それはそれで運の尽き。羽鳥にとっては、運が回って来た。
「むむ、霧だと?」
つがえた矢の先、硬殻兵達の視界が不良となる。彼らの羽ばたきだけでは、消し去れぬこれは、羽鳥の仕掛けたものだった。
残留効果……ディアボロスの力と意志をつなぐ力が、敵地を自らの陣地と変える。羽鳥達を勝利に導くために。
「これは難敵……だが、曹操様より預かりこの城、一歩たりとも入らせん!」
唯妃らを取り囲む、飛来した硬殻兵達。集団戦でこそ、彼らの真価は発揮される。
「連戦で疲弊している今ならば!」
「疲弊? ディアボロスの力を知らない蟲将がいるとは驚きですね。こちらの戦いと思いは……連鎖すると」
唯妃の余裕に、嫌悪を示す鋭蜂兵達。
「そちらが地上に策を弄するなら、より高き場所より射殺してくれよう」
羽鳥の霧や、更なる罠を警戒して、硬殻兵が高度を上げた瞬間。その背中を、鋼糸が切り裂いた。
「おっと、ご自慢の硬殻に傷がついてしまったな」
「くそ……!」
羽鳥の挑発的言動にも乗る事は無く。硬殻兵は冷静に対処した。戦場を、空から地上へと移したのである。
……羽鳥の策略通り。
「何っ!?」
硬殻兵の足に、トラバサミが噛みついた。
羽鳥のサイボーグ五指より放たれたニードルガンが、敵の関節部を貫く。
射線からこちらの位置を逆算されぬよう、攻撃確定後に即離脱。防御力と機動力を併せ持つ硬殻兵の包囲を逃れ、戦闘を継続する。
「この敵は、遠距離攻撃が得手、それさえ防げれば……」
「防げれば、勝機はあるとでも?」
硬殻兵の槍持つ腕が、宙を舞った。接近していた羽鳥の長剣による一閃だ。
混乱に乗じ、光学迷彩にて我が身を隠蔽した羽鳥の目が、標的を捉えたのである。
魏軍は、天地に仕掛けられた羽鳥のトラップに、翻弄されるばかり。
戦場を支配した羽鳥と唯妃、二者が刹那、視線を交わす。その連携は、短い間にも精密さを増しているようだ。
滞空して距離を置き、機をうかがう硬殻兵達へと、唯妃の嘲笑が浴びせられる。
「飛び回ることしか出来ないなんて蠅かなにかですか貴方達? いえ失敬、蠅なんて上等なものでも無さそうですね」
「なんたる愚弄……! よほど死に急ぎたいと見える!」
唯妃の侮蔑が、硬殻兵達の闘志に火をくべる。だが、敵の槍群が、唯妃に届く事は、永遠になかった。
水流が、襲来した硬殻兵達を横薙ぎにしたからである。
「こ、これほどの水、一体どこから……!」
「これは……糸!?」
硬殻兵が絡繰りを看破した時には、既に遅い。
唯妃は、事前に張り巡らせていた糸に露を蓄え、それを収束して水流として放出したのだ。
何とか水流から解放された硬殻兵達。しかし、自慢の硬殻も水圧を受けて半壊。濡れた羽では、満足に空を飛ぶ事も叶うまい。
「ま、まだ倒れぬ……」
「せめて一矢報いよう、この雷槍で!」
支えとした槍を構え直し、切っ先を、唯妃へ突きつける敵兵達。
「そんな濡れ鼠、いえ、濡れ蜂状態でそんなものを使えば、黒焦げになるのは貴方達だと思いますけど」
「く……!」
唯妃の指摘への逡巡が、最期の反撃の機会を失わせた。
硬殻兵は、その場に息絶えるのであった。今わの際に、雷を放つ事もできず。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【水源】がLV2になった!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!
【能力値アップ】LV1が発生!
天咲・ケイ
さて、相手がクロノヴェーダとあれば
容赦する必要はありませんね。
少しは一般兵の方々の苦労を味わって
いただくとしましょうか。
敵の遠距離攻撃を【衝撃波】で【吹き飛ばし】ながら
接近し闘気を纏った【グラップル】による
近接攻撃を仕掛けていきます。
空中の敵には【飛翔】と【エアライド】で対応し、
【攪乱】するように動く事で敵の連携を乱しましょう。
そして敵陣を【観察】して敵が固まっている箇所を狙って
【呼吸法】で高めた【破軍衝】を放ち、
そのまま弱っている敵から仕留めにかかります。
黄泉王・唯妃や獅子城・羽鳥の手玉に取られた魏軍は、更なる窮地へと追い込まれる。
1人の拳士、天咲・ケイ(人間の破軍拳士・g01192)の到来である。
「さて、相手がクロノヴェーダとあれば容赦する必要はありませんね」
蟲将の敵意が、宣言者たるケイに突き刺さる。
「兵力を無駄に削がれた我らの怨み、その身で受けよ!」
「戦乱の拡大などさせませんよ。さしあたって、少しは一般兵の方々の苦労を味わっていただくとしましょうか」
ケイの誘いに乗るようにして、硬殻兵達が、先手を打った。もはや容赦はしない。正確には、魏軍にないのは余裕だが。
ケイは身体上、常人と変わりない。ならば硬殻兵としては、蟲の肉体の利を生かさぬ手はなかった。
「我等蟲将、戦場を征する者なり!」
相次ぎ羽ばたき、青き甲殻と天蓋を為す。
敵軍は、ケイの頭上の制空権を掌握すると、剛槍あるいは剛弓を放った。
命貫く雨が降る。
パラドクスの力を帯びた攻撃だ。一般兵のそれとは、全く異なる。ケイとて鎧袖一触、という訳には……。
「ですが、その技は見切りました」
ケイの眼力が、敵兵へ浴びせられた瞬間。
闘気が衝撃となり、硬殻兵へと叩きつけられた。槍の豪雨を弾き飛ばし、ケイは敵軍へと疾走。
武器を喪失し攻めあぐねる敵に対し、元よりケイは無手を得意とする。そうした戦種の差が、両者の勝敗を分ける結果となった。
「ぐはっ!」
「げふっ!」
ケイの戦舞を受け、次々、土に塗れる硬殻兵達。
「兵も将なくしては、ただの烏合の衆。いえ、これは蜂でしたか」
敵の悲鳴を拾っていたケイの聴覚を、なおも羽音がかき乱す。見上げれば、敵。ケイは、跳びかかって来た敵を蹴り飛ばした反動で、空へ。砲弾の如く我が身を射出すると、空中の敵に肉薄。
「なんと!」
跳躍から飛翔へ。
自分達の縄張りと信じていた空を、自在に駆け巡るケイに、硬殻兵は、連携を寸断されていく。
「単騎の貴様に、なぜ……!」
「単騎などではありません。この身には、共に戦う方々の意思が宿っていますので」
じりり、後退する鋭蜂兵。いつの間にか、敵群は、ケイによって、一か所に追い込まれていた。
「仕上げといきましょう」
気合一発。ケイの拳が唸り、戦場に嵐を呼ぶ。
敵群の守りを突破し、まとめて撃破する。軍を破る衝撃……その名に相応しき戦果であった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【エアライド】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
黄泉王・唯妃
※アドリブ、連携、歓迎。
これだけ片付けてもまだ残っているなんて本当に蟲というものは……。
さっさと雑魚は消えてくれませんかね。
圧倒的水量を頭上から叩きつけられ地上に落ちてそのまま流されるのが虫らしい死に方ですかねぇ。
【計略】というには馬鹿らしいものですけどね。
これだけ水浸しにしておけば反撃のパラドクスの炎も大して効果を成さないでしょう。火には水、簡単なことですね。
「もうそろそろ貴方達のお仕事も御終いです。ここまでよくやったと褒めて差し上げますので黄泉路へと着きなさいな」
魏軍、合肥の城の守りが削られたのを見届けた黄泉王・唯妃(灰色の織り手・g01618)は、ふう、とため息をついた。
翻した視線の先。呉軍の赤き蟲将達が、唯妃をうかがっていたからだ。
「これだけ片付けてもまだ残っているなんて本当に蟲というものは……。さっさと雑魚は消えてくれませんかね」
唯妃への返答は、武器の切っ先であった。
「周瑜様が戦うべきは魏軍! 貴様らなどに用はない!」
「疾く、この戦場より去るがいいッ!」
赤き蜂の群れが、空の色を塗り替えた。
これが周瑜の判断なのか、唯妃にはわからない。だが、蛮勇である事は明白だ。この状況を見定められぬものに、勝利の旗を掲げる資格はない。
「戦いの趨勢は既に決したのですから、大人しく退けばいいものを……と言いたいところですけど、どうせまた争いを起こすつもりでしょうしね、ここで死んでもらいましょうか」
唯妃が、天に向け、手を掲げる。
空が、割れた。降り来たるは、天龍を思わせる奔流……圧倒的水量であった。水源ならある。この地に生み出された、唯妃自身の力の残滓が。
ことここに至っては、ちまちまとした計略を講じるまでもない。
水を流し込まれた蟻の如く。唯妃から『天の恵み』を一身に受けた鋭蜂兵達は、、地に落とされ、そのまま押し流されていく。
「お、おのれえええ」
水流の中、ちろちろと赤が灯る。一矢報いるパラドクス……羽より合わせて発火する炎。
だが、濡れそぼった羽では、満足な擦過が得られぬ。炎どころか火さえも生むことはできない。
「火には水、簡単なことですね」
改めて鎮められるまでもなかった。火を熾す術を奪われた鋭蜂兵達の喉元に、唯妃が言葉の刃を突きつけた。
「この水計、ただ武力の行使ではなく、こちらの手を封じるところまで先読みしていたと言うのか……」
鋭蜂兵の解き明かした戦術に、正解を与えるように、妖しく笑みを浮かべる唯妃。
「もうそろそろ貴方達のお仕事も御終いです。ここまでよくやったと褒めて差し上げますので黄泉路へと着きなさいな」
「おのれ復讐者……周瑜様、申し訳ありませぬ……」
唯妃に看取られ、最後の鋭蜂兵達が、戦場に散華した。清き流水は、その怨念までも押し流し、この地より消し去ったのであった。
「さあ、貴方も黄泉路に続くといいでしょう、美周郎」
唯妃達がとるべき首は、もはやただ1つ。
大成功🔵🔵🔵
効果1【水源】がLV3になった!
効果2【反撃アップ】がLV4になった!
獅子城・羽鳥
残るは量産型の自称美周郎
恐れも油断もせずに臨むぞ
連携・アドリブ歓迎
可能なら味方を援護し、不利になる行動はしない
残留効果全活用
常に《臨機応変・早業・看破・地形の利用・一撃離脱・忍耐力・幸運》活用
暗殺計に備えて②③と同じ罠で《捕縛》
可能なら奏天歌絶に備え
音楽を感知次第ノイズや喜劇オペラのアリア(グランダルメ前後)が鳴り響く仕掛けを作成
無理なら銃声砲声と自身の《歌唱》でかき消す
断頭革命に入り浸りの吟遊詩人らしく、魏呉蜀を平等に茶化して撹乱だ
《暗殺》勝負は飛翔と光学迷彩、前述技能で死角から《不意打ち・投擲・貫通撃・制圧射撃・爆破》全て叩き込みヒット&アウェイ
色々武器を持ち替えながら《フェイント》も狙う
獅子城・羽鳥(メタリックトルバドゥール・g02965)は、アヴァタール級、自称・美周郎の首を獲る為、相対した。挑みかかるその歩みには、恐れも油断もない。
すると周瑜は、白き歯をのぞかせた。
「三十六計なんとやら。逃走をお許し願いたいところですが、止むをえませんね」
周瑜が腰に帯びた刀に、手を伸ばす。
「ここで倒れれば呉の民が悲しみますので、できれば生きて帰りたいところ」
「量産型が1人減ったところで、大した損失じゃないだろう」
周瑜と舌戦を交えながら、隙を伺う羽鳥。ただ間合いを図っているだけではない、敵の計略に備えて、こちらも趣向を用意しなければ。
「どのような技を披露しましょうや? 私としてはこの美声を存分に披露して、すさんだ戦場を癒したいところですが」
「生憎間に合っているさ。むしろこちらが披露したいくらいだ」
主戦場は断頭革命。吟遊詩人として、歌唱は羽鳥の真骨頂。
魏呉蜀。三国を茶化す歌をさらりと披露すると、周瑜は肩をすくめて苦笑した。
「私ほどではありませんが、なかなか。返礼を……というわけではありませんが」
周瑜の姿が掻き消えた。
優男風の外見からは想像できぬ速度で、羽鳥の視界から消失したのだ。
だが、攻撃の為のパラドクスであるのなら、必ずやその進路は羽鳥に帰結する。問題は、その方向を見切れるか、その一点である。
いつの間にか、戦場には霧が。羽鳥のもたらしたものである。
水蒸気のヴェールが、わずかに揺れた。その直後。
鋼糸が光を反射して露わになったのと同時、もう一つの罠、注がれた特殊蛍光ペンキが、美男子を出鱈目な色で彩っていたのである。
相手が糸に触れた瞬間、ノイズや喜劇オペラのアリアが流れたのは、美歌対策の名残である。
「こちらの位置を捉える罠を張り巡らせていたのですか」
「それを打ち破れなかったお前の負けだ」
今度は、羽鳥の姿が消える番。
周瑜が、剣を振るって束縛を脱する間に、死角を取る。左指のニードルガン、右腕のマシンガン。そして長剣。
ヒット&アウェイ、霧に紛れ断続的に叩き込んだ武器が、周瑜を貫き、穿ち、そして爆破した。
「その顔、美周郎の名が泣くな。鏡が無いのが残念だ」
「やってくれましたね……!」
羽鳥を、周瑜の怒りの眼差しが射抜いた。
ペンキを被り、爆煙ですすけ。周瑜の美貌は台無し。
その衣装も、また、破れほつれて、何ともみすぼらしい有様であった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【光学迷彩】がLV2になった!
効果2【アヴォイド】がLV2になった!
凪沙・悠璃
どうやら引き際を見誤ったようだな、周瑜。
どれだけ君が強かろうと、単騎で戦況を覆すことなど出来ないだろう?
そう、厳然たる事実を突き付ける。
けれど敵の戦闘力を見縊ってなどいない。
故に油断も隙も無く、拳銃と妖刀を手に相手の出方を窺う。
君の技は暗殺計と言ったか。
だが君は本質的に暗殺者ではないだろう。
少なくとも暗殺の技量では俺の方が優れているようだな。
音が無いのなら、研ぎ澄まされた意識で気配を読む。
"終ノ息吹"は正しく合理性の極み。
他の攻撃であれば、或いは通じた可能性はある。
しかし敵の採った行動は、容易く応撃の叶うものだった。
ただそれだけのこと。
優れた方が勝つという、極めて単純な道理に過ぎない。
「私の美を汚すとは……その罪の重さ、思い知らせてあげましょう!」
凪沙・悠璃(束の間の運命・g00522)と対峙するなり、周瑜は怒声を上げた。
獅子城・羽鳥にその美貌を台無しにされた事が、原因の様子。存外、気は短いとみえる。
冷静さを欠いた周瑜へと、悠璃は、その末路を宣告する。
「どうやら引き際を見誤ったようだな、周瑜。どれだけ君が強かろうと、単騎で戦況を覆すことなど出来ないだろう?」
悠璃が周瑜に突きつけたのは、厳然たる事実。
次々と戦場に集うディアボロス。一方、周瑜は、援兵を望むべくもない。
何より、悠璃は、周瑜の戦闘力を見縊ってなどいない。故に油断も隙もありはせず、拳銃と妖刀、双の武器を手にして、敵をうかがった。
周瑜の手もまた、佩いた剣の柄にかけられた状態。
「君の技は暗殺計と言ったか。だが君は本質的に暗殺者ではないだろう。得意があるとすれば、火計のはず」
「下調べはついているという訳ですか」
笑みをこぼす周瑜。だが、口の端が小刻みに震えたのを、悠璃は見逃さなかった。
「少なくとも暗殺の技量では俺の方が優れているようだな」
「ならば、その身を以て試してみるといいでしょう!」
仄かな土煙を立てて、周瑜が消えた。
その足音も、羽ばたきも、悠璃の耳には捉えられぬ。これぞ人知を越えた力、パラドクスの発現。
悠璃の選択は、目を閉じる事だった。姿は見えぬ。そして音が無いのなら、研ぎ澄まされた意識で気配を読むまで。
敵を待つ悠璃の心には、いささかも揺らぎはない。
そこに、雫が落ちる。濁った水滴が如きそれは、悠璃自身の乱れにあらず。殺意……美周郎の暗殺計。
火花が散った。剣と妖刀、両者がぶつかった証だ。
「私の絶技を見切ったですと……!」
必殺剣を防がれた美周郎。
再びまみえた周瑜の顔は、驚愕に歪んでいた。
「"終ノ息吹"は正しく合理性の極み。君の他の攻撃であれば、或いは通じた可能性はある」
だが、敵の採った行動は、悠璃にとって容易く応撃の叶うものだった。ただそれだけのこと。
「それだけの事、ですと……ッ!」
「優れた方が勝つという、極めて単純な道理に過ぎない。三国の王が真なる王を選ぶ理屈と、何ら変わらないだろう」
悠璃の怜悧な眼差しが、そして、妖刀の流麗なる斬撃が。
周瑜の反論を封殺し、その身を裂いた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【神速反応】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
黄泉王・唯妃
※アドリブ、連携、歓迎。
さて、では後は残ったアヴァタール級を片付けるとしましょうか。
先ずは【トラップ生成】周囲に蜘蛛の糸を張り巡らせます。
当然ダメージも出るようなものではありませんが全ての糸は私へと繋がっていますから相手が動いて糸が切れれば、その動きはこちらに筒抜けになる、というわけですね。
死角から寄ってきたところで動きがわかれば何の問題も無いでしょう。
後は【早業】【捕縛】で相手に糸を絡ませて力任せに投げては地面に叩きつけます。
「あら嫌だ、随分としつこいんですね。蟲は蟲らしく無様な声を出して潰れてくれればいいんですよ?」
「さて、では後始末と参りましょうか」
護衛の蟲将を下した黄泉王・唯妃(灰色の織り手・g01618)は、敵将周瑜へとその矛先を向けた。
周瑜の胸には、真新しい傷。凪沙・悠璃によるものだ。
唯妃の見立てでは、相手の失策は、傷を許した事以上に、冷静さを奪われた事の方。今の周瑜にとって、判断力の低下は致命的ですらある。
「まがい物だけあって、随分と器の小さい将のようですね。美周郎の名は返上してしまった方がいいのでは?」
「勝てばよいのです。私の無様を知った者を皆殺しにしてしまえばよい」
不遜な物言いは、自身の心を鼓舞するためか。人それを虚勢という。
唯妃の呆れも知らず、周瑜は暗殺者へと身をやつした。抜剣と共に、唯妃の視界から脱したのだ。
「そうやって姿を消せば、戦場を支配できるとでも?」
敵の行動を鼻で笑い。唯妃は、ただ相手を待つ。
動かずとも、たとえ目を閉じていたとしても、唯妃は、周瑜の動きを把握できる。
言葉のやりとりの間に、周囲には蜘蛛の糸が張り巡らせてある。ここまでの戦いで、相手が冷静さを欠いていたのも好都合。
糸自体に、相手を害するような力はない。だが、音もなく切れることによって、周瑜の居場所を筒抜けにする。
見えた。
無音の世界から、殺人者の刃が現れる。唯妃の死角から、周瑜がいよいよ刺突を放った時……。
周瑜は簀巻きになった。
「!?」
見えていなくとも感じ取る事はできる。それが叶えば、反計も可能。
鮮やかな手並みで唯妃が繰り出した糸が、周瑜を絡めとり、殺人剣を封じた。一度触れれば最後、逃れられぬのが唯妃の糸。蟲将、アヴァタール級のりょ力でも難儀である。
そして、周瑜の四肢と羽を拘束したまま、力をこめて。
投げる。
「がはっ!?」
兵馬に踏み荒らされた地面へと、周瑜の全身を叩きつける。
衣装の内に隠された、人外の強じんな骨格が、ばきりと音を立てる。
捕縛の術と同等に、暗殺術にも精通した唯妃だ。意識せずとも、相手がどう動くか、容易く推測出来た。
「ま、まだまだ、この程度で美周郎を攻略したと思ったら大間違いですとも……!」
「あら嫌だ、随分としつこいんですね。蟲は蟲らしく無様な声を出して潰れてくれればいいんですよ?」
唯妃が、赤い瞳を細めて微笑した相手。
遂に周瑜は虫の息。後は絶えて倒れて、散るが定め。
大成功🔵🔵🔵
効果1【トラップ生成】がLV2になった!
効果2【ドレイン】がLV2になった!
陳・桂菓
「音に聞こえた呉軍屈指の知将……と言ってもアヴァタール級か。まあ何にせよ、撃ち破らせてもらうぞ」
【爆噴追逼撃】の爆発で【火神計】の炎を押し返す。
理想は押し勝ってそのまま周瑜を爆風で煽り、追撃を決めたいところだが、恐らくはせいぜい周瑜に至る道を作る程度でかき消えるのが関の山ではなかろうか。
というわけで、再び炎の壁が再生するより先に爆風の道を突っ走り、周瑜に接敵して双短戟『騰蛟昇竜』で斬りかかる。
周瑜が自分ごと私を燃やすつもりにでもならない限りは、密着してしまえば炎の影響はさほどでもないはず。仮にそれでも炎が纏わり付いくるなら、その都度爆発で散らすなり、裂帛の気合いを身に纏うなりで対処。
天咲・ケイ
彼の周瑜を名乗るだけあってカリスマ性は高いようですね。
ですが史実の彼であれば、このような状況には
なっていないでしょうね……。
紛い物には退場して頂きましょうか。
敵が火神計を使用したら、周辺の炎の状況を
よく【観察】し火の勢いの弱い箇所を探します。
そして炎を【衝撃波】で【吹き飛ばし】
【オーラ操作】による闘気の障壁で凌ぎながら
【エアライド】による最適な移動経路で
敵との間合いを詰めていきます。
こちらの間合いに入ったら【グラップル】による
近接攻撃を仕掛け、【呼吸法】で高めた
【天霊葬波】を放ちましょう。
黄泉王・唯妃らに手玉に取られ、満身創痍の美周郎を、陳・桂菓(如蚩尤・g02534)は追いつめた。
「音に聞こえた呉軍屈指の知将……と言ってもアヴァタール級か。まあ何にせよ、撃ち破らせてもらうぞ」
術をことごとく破られ、美貌もまた踏みにじられた。桂菓の知る器の大きさなど、片鱗する感じとる事は出来ぬ。
天咲・ケイ(人間の破軍拳士・g01192)も、敵に向ける眼差しは冷ややか……というより、ある種の悲哀、落胆をこめたものであった。
艶やかさを失い乱れきった周瑜の長髪からは、もはや美周郎の風格を感じとる事は出来ない。
「彼の周瑜を名乗るだけあってカリスマ性は高かったようですが、史実の彼であれば、このような状況にはなっていないでしょうね……」
「歯車を狂わせたのはあなた方ですとも!」
ケイのつぶやきを、周瑜を聞きとがめた。
もっとも、今の醜態を目の当たりにすれば、呉の民の士気が下がる事は免れまい。
「あなた方が割り込んでこなければ、私の落城勝利は確定していたというのに……」
「三国、どの蟲将にも、勝利の美酒に酔う権利など差し上げません。紛い物には退場して頂きましょうか」
ケイが構えを取ると、周瑜もまた応じる仕草を見せた。
「あなた達の、虫けらでも見るようなその目を潰して差し上げましょう。美周郎、その最大の計略にて!」
ケイ達に見せつけるようにして、刃こぼれした剣を放り出す周瑜。次の瞬間、その周囲が紅に染まった。
「我が炎は、如何なる戦局でも打開する! 乾坤一擲のこの計、その身に耐えられるはずもなし!」
轟、と炎熱が巻き起こる。
桂菓達を紅に染めて、周瑜の火計、パラドクスの力が戦場を包む。
またたく間に延焼したそれは、一般兵の放棄した武具を灰と化し、今また、桂菓達の身すらも焼き尽さんとする。
「風の全てを知り尽くしたが如き計略、確かに最大の計略と言うに相応しくはある」
桂菓が、熱せられた外気とは裏腹の冷静を以て、敵の実力を評価する。
形勢逆転の様相……しかしケイは、冷静に猛火を観察した。パラドクスの力にて生じた炎であっても、炎熱の強弱は、確実に存在する。
腐ってもアヴァタール級。そびえたつ、熱く厚い壁の中から、ケイは、火勢に劣る一点を見破った。
ケイの気合と共に、炎が吹き飛ばされる。楔は打ちこんだ。これを突破口としない手はない。
ケイよりバトンを受け取り、桂菓が道を切り拓く。
「この炎は、計略というより力押し。ならば、私にも付け入る隙は十分」
ずん、と地が揺れた。桂菓の踏み込みが、力を生む。
衝撃、爆発。桂菓の反撃が、周瑜の炎とぶつかり合った。
「そのような微風で、私の炎を鎮めることなどできませんよ」
周瑜が、ほくそ笑む。強まる火勢が、衝撃を抑え込もうとしていたからだ。
だが。
「何ですって!?」
周瑜の驚嘆。
炎が押し返され、そのまま周瑜すらも、爆風で吹き飛ばしたからだ。
対する桂菓は、相手を逃がすまいと、跳躍。炎の渦が織りなす空洞をくぐり、一気に攻めかかる。威風となって。
炎の壁が再生するより先に、爆風の道を一気に突っ切り、周瑜に接敵する。その時には、双短戟『騰蛟昇竜』が振られた後だ。
「こうも接近されては……!」
炎を使役したところで、桂菓どころか周瑜自身も危険。いかに怒気に包まれた周瑜でも、自身を巻き込む事は忌避せざるを得なかった。
相手の怯む顔を堪能しながら、桂菓は、全力斬撃を浴びせかけた。
血しぶきを上げる周瑜を、蹴り飛ばす。その先には……ケイ。
開かれた活路を、ケイが翔けて来たのだ。地に別れを告げて、飛空。
「まだ、私の炎は絶えはしませんよ!」
ケイの四方より迫る炎熱を、闘気の障壁が遮る。
周瑜の姿はもう目前。おののくその表情筋の動きまで把握できる程に。
繰り出されたケイの武術が、周瑜を追いつめる。だが敵は文武両道、その才はあらゆる分野にて発揮される。
格闘術でさえも例外ではないのか。巧みな技でケイをしのぐが、徐々に後退していく。
対するケイは、一撃一撃のたびに気を高め、そしてそれは輝きを放つにいたる。
「これでお仕舞です。……破ッ!」
「な……ッ!」
炎すら霞む閃光が、周瑜の目を焼く。
光輝とともに発せられたケイの破壊波動が、余さず周瑜の身に叩きこまれた。蟲将の強靭なる肉体のみならず、その魂魄にまで至り、破壊せしめたのである。
「こ、この私が敗北するとは……信じがたい、信じませんとも!」
「計略は冷徹なる心を以てこそ、十全に機能する。心乱したお前が、破れるのは必定」
己が炎の中に消える周瑜を、看取る桂菓。
ここに、1つの戦いが終結した事を確信し、ケイは安堵の息を吐いたのであった。
かくして、魏と呉、両軍の兵力を削ることに成功したディアボロス達。
この事実はやがて、三国の戦いのすう勢にまで、影響を及ぼすに違いない。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【トラップ生成】がLV3になった!
【完全視界】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!
【ロストエナジー】LV1が発生!