【天正大戦国奪還戦】鬼柴田の雑賀衆（作者 メリーさんのアモル）

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リプレイ

「北海道の奪還がまだまだなのはすごくもどかしい」
　北海道に行ったはずの家族を心配しつつ、そう呟くのは男性のような服装が特徴的な人間のディアボロス、北上・泪香（銃弾バラマキ系雪女・g11837）だ。
「せめてそれ以外の日本全土を取り戻して何とか北海道奪還に繋げたいわ。それに今回戻って来る地方にはお義母さんの親戚やお友達もいるから、仏前に良い報告を届けたい」
　そう泪香は決意し、敵であるトループス級天魔武者『雑賀衆』を睨む。
「奪還戦前の漸減邀撃作戦、今度は雑賀衆か……。どんな相手でもここはひたすら数を減らしていきましょう」
　泪香が睨んだ先の雑賀衆を見て、呟くのはスタイルの良いポニーテールが魅力的な天使のディアボロス、メルキディア・セデクリエル（閃機術士のエンジェリアン・g03132）だ。
「相手はとりわけ銃撃に優れた雑賀衆、警戒していきましょう」
　そう、泪香が呟いた先で、雑賀衆がディアボロスを見咎める。
「現れましたね、ディアボロス。命令に従い、蜂の巣にさせていただきます」
　雑賀衆が一斉に赤い目を光らせ、火縄銃らしき銃を構える。
「蜂の巣は勘弁なのですけど！？」
　その言葉に、快楽主義者な人間のディアボロス、白石・明日香（弔いの狩人・g02194）が抗議する。
「ま、その前に狩るけどね、アンタ達を！」
　そう言うと同時、明日香の姿がかき消える。
「なっ！？」
　気がついた時には明日香は雑賀衆部隊の真正面に立っていた。
「……終わり……」
　鋭い刃の一撃が振るわれ、雑賀衆の首が薙ぎ払われる。
　独特の歩法で瞬時に間合いを詰め敵を切るパラドクス。単純であるが極めて扱いの難しいその技の名は、『瞬歩・加速』。
「この戦場は何としても落とさなきゃいけない拠点だから今のうちに布石は打っておかないとね」
「やられたままにしてはいけません、撃ちます！」
　雑賀衆も反撃として火縄銃らしき銃で明日香を狙って発砲する。
　銃にて名を轟かせた雑賀衆の十八番技。明日香は双剣、彼岸・此岸でその攻撃を受け止め、弾き返しながら後退してダメージを最小限に抑える。
「素晴らしい射撃ね。じゃあ、この冷たい防壁を乗り越えてみて？」
　後退する明日香に代わり、泪香が前に出る。
　魔力が渦巻く水流の結界が弾丸を防ぎ、そのまま水流が雑賀衆に襲いかかる。パラドクス『聖氷流壁』だ。
「押し流されません。射撃を続けます」
「なら、私も撃ち返させてもらうわね」
　『聖氷流壁』の本懐はここにある。水流に紛れ、大量の氷の弾丸が水流の結界から放たれた。
　とはいえ、敵の反撃もしつこい。
（「しつこく何発も狙って来る、各種防具でダメージを抑えるしかないか」）
　耐衝撃性に優れた、ポリカーボネート製の透明な盾と全身を覆う、オーラのバリアで、ダメージを軽減し、致命傷を避ける。
　２人によるパラドクスの応酬で、雑賀衆の目は完全に、パラドクスを放った２人に集中してしまっていた。
　故に、いつの間にか１人がどこか視界の外、意識の外に行ってしまっている事に、気づけなかった。
「傭兵式の白兵術はしっかりあるでしょうけど、こちらも近接で挑む」
　ミニドラゴン『ジェスト』が物質化させた竜念の戦斧と光線剣たる刀閃機イオスラッガーを構えた二刀流で一気にメルキディアが雑賀衆の側面を突く。
「接近を許してしまうとは……！」
　雑賀衆が驚きを隠せない。
「と言うとでも思いましたか、射手と侮ることなかれ、近付けば斬り刻もうぞ」
　太刀と短筒をそれぞれ左右の腕に構え、メルキディアに向き直る。
　互いに両手に武器。
　両者の攻撃がぶつかり合い、時空が軋みを上げる。
「今です」
　あえて、雑賀衆が太刀を手離し、後方に下がった、かと思えば、長銃が再び抜かれる。
「至近距離からの接射、これはかわせまい！」
「ジェスト、今よ！」
（「おうよ！　 オーラトマホォォォォォク、ブゥゥゥメランッ！」）
　そのタイミングで雑賀衆達がノーマークとなっていたジェストがさらに竜念の戦斧を物質化させ、トマホークの如く豪快に投げつける。
　ここまでの一連の動きこそ、パラドクス『擲斬殺法・鉞颪』。
　戦斧は颪の如く凍てつく風の刃を纏った上で、三つに分裂して雑賀衆に迫る。
「しまった、かわせません！？」
　完全に射撃姿勢に入っていたため、回避できないのは、雑賀衆の方だった。
　当然、そうして虚を疲れ隙だらけになったところを明日香は逃さず、再接近する。
　そうなれば、泪香の後方からの射撃に対する防御が薄くなり、雑賀衆の陣形は完全に崩れる形となった。

　３人のディアボロスはその即席の連携で、着実に敵の数を減らし、痛手を被る前に速やかに撤退したのであった。

最終結果:成功
完成日	2025年12月12日