リプレイ
藺草・風水
即興連携、アドリブ歓迎
「文化に毒を混ぜるような奴らは潰さないとなの」
クロノヴェーダーの企みを阻止し、連歌という文化を守る意志も籠めて動く
「何も解らない人には水や青絡みで考えそうな、ちょっと面倒な問題なの」
仲間外れ:うつせみの
理由:あおによし(奈良)、かみかぜの(伊勢)、さざなみの(大津)、ちはやふる(宇治)はどれも地名にかかる単語、うつせみのだけは地名にかかる言葉ではなく人命や夏の季語
霧原・瑶蓮
※アドリブ・絡み歓迎
結論から言うと、答えは「うつせみの」だな。
あおによしは奈良、かみかぜのは伊勢、さざなみのは近江や大津、ちはやふるは宇治。それぞれ地名にかかる枕詞なのに対して、唯一うつせみのだけがそうではない。ちなみに命や人、あとは世にかかる……というのは蛇足か。
……ともあれ。邸内へ入れてもらおうか、門番殿?
久しぶりに一首詠むのも悪くない。
文月・雪人
大髑髏の歌仙とは
これまたロックな話が聞けそうだね
勿論大事なのは
呪いを解いて元凶の妖を倒す事
歌会が楽しみになってきているのは
気のせいという事にしておこう(苦笑
さて試験はやはり枕詞
歌の基礎を問うには丁度いいらしい
『あおによし』は『奈良』に
『かみかぜの』は『伊勢』に
『さざなみの』は『大津、志賀、長等、比良』などに
『ちはやふる』は『宇治』にかかる
何れも地名にかかる枕詞
しかし『うつせみの』だけは地名でなく『世、人、命、身』にかかる
仲間外れは『うつせみの』で間違いないかな?
うつせみの 人あればこそ うたかたの うきこころにぞ 標なりけり
この世の出会いあればこそ
(時の)泡沫に彷徨う私を導く標ともなりましょう
●正解発表
平安の京(みやこ)。
「大髑髏の歌仙とは、これまたロックな話が聞けそうだね」
文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は、歌会への潜入にも慣れてきたおかげか、大髑髏の先生ぶりを想像する余裕があった。
「文化に毒を混ぜるような奴らは潰さないとなの」
一方で、藺草・風水(天使喰らいの重ガンナー・g00346)は、クロノヴェーダーの企みを阻止せんという気概を素直に示している。
人命は元より、呪いの歌によって返歌を躊躇う人が増えないよう、短歌そのものの文化を守りたいという意志が強いのだろう。
そんな風水は、透けるような水色の髪やすらっと背筋の伸びた長身、豊かな胸が印象的なデーモンイーターの女性だ。
「そうだね。大事なのは、呪いを解いて元凶の妖を倒す事……歌会が楽しみになってきているのは、気のせいという事にしておこう」
と、抑えきれない期待に我ながら苦笑する雪人。
「どうぞ、こちらにお答えください」
邸の門番は、ディアボロスたちが歌会の参加希望者だと知ると、すぐ例の問題を出してくれた。
「試験はやはり枕詞か。歌の基礎を問うには丁度いいらしい」
「何も解らない人には水や青絡みで考えそうな、ちょっと面倒な問題なの」
問題文を改めて見た雪人は感心し、風水もその簡単過ぎない難易度に着目している。
「結論から言うと、答えは『うつせみの』だな」
そして、問題を読むなりきっぱりと断言するのは、霧原・瑶蓮(無銘の拳士・g04575)。
短く整えた灰色の髪と切れ長の黒目、鍛え上げたしなやかな肉体を有する破軍拳士の男性だ。
新宿島のハロウィンストリートで担々南瓜を拵えていたように、特級厨師としての腕も確かである。
「うん、仲間外れは『うつせみの』で間違いないかな?」
雪人が笑顔で頷く。
「あおによしは奈良、かみかぜのは伊勢にかかるもんね」
風水は確信に満ちた口ぶりで門番へ理由を説明した。
「『さざなみの』は『大津、志賀、長等、比良』などに、『ちはやふる』は『宇治』にかかるからね」
雪人も後に続く。
「そうだな。それぞれ地名にかかる枕詞なのに対して、唯一うつせみのだけがそうではない。ちなみに命や人、あとは世にかかる……というのは蛇足か」
とは瑶蓮の弁。
「……ともあれ。邸内へ入れてもらおうか、門番殿?」
そう人生経験に裏打ちされた自信を滲ませて語りかければ、門番も愛想良く、
「お見事、正解にございます。お通りくださいませ」
深々と頭を下げて、門を開けてくれた。
「うつせみの 人あればこそ うたかたの うきこころにぞ 標なりけり」
早速門を潜った雪人が、うきうきと弾む心のままに一句捻って口ずさむ。
この世に出会いあればこそ、それが泡沫に彷徨う私を導く標(しるべ)ともなりましょう——そんな意味らしい。
泡沫(うたかた)とはパラドクストレインで時を遡ることそのものや、遡った先のディヴィジョンのことを指すようだ。
「久しぶりに一首詠むのも悪くない」
雪人の歌に触発されてか、瑶蓮もさてどんな歌を詠もうかとどことなく楽しそうに思い巡らせる。
「衛門佐さんがどんな返歌を考えたのか聞くのも、楽しみといえば楽しみなの」
風水も2人へ笑顔を見せると、邸の廊を通って広い庭を眺めながら母屋へと向かった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【避難勧告】LV1が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV3が発生!
菅原・小梅
◆行動
さて衛門佐様から歌を預かるにせよ、地獄変の調査をするにせよ
それなりに力量を示し、信頼も得る必要がありそうですね
何食わぬ顔で他のお弟子様と同様の貴族子息としての振舞いましょう
齟齬が出ない様に水干装束を身に纏い
此度は襲の色目を表は白、裏は紅梅、雪の下が宜しいでしょうか
【伝承知識】や【歴史知識】でも違和感はないですかね
さり気なく衛門佐様の隣に座り
自分に振られたと勘違いした振りで歌を詠むのもまた策です
「鶏が鳴き、東屋ひとり、冬構え、きみと遊びし、ぬくもりは未だ」
衛門佐様、骰子遊びのせいか隈が御座いますよ
私が付添いますのであちらで少し休まれては?
博打を打つには、心の重荷を置いてからが宜しいですしね
●冬の手すさび
邸の母屋。
(「衛門佐様から歌を預かるにせよ、地獄変の調査をするにせよ、それなりに力量を示し、信頼も得る必要がありそうですね」)
菅原・小梅(紅姫・g00596)は、いつものごとく水干装束をすっきりと身につけ、何食わぬ顔で歌会へ潜り込んでいた。
表は白、裏は紅梅の雪の下と呼ばれる襲の色目は清らかで、他の貴族たちと比べてもなんら違和感なくその場に溶け込んでいる。
「今日も寒うございますな。朝から火取りが手放せませぬ」
「ええ、もう道に霜が降りていたのへは驚きました」
貴族らとこの時代特有の冗長な挨拶も愛想よく交わしながら、小梅はさり気なく衛門佐の隣に座った。
「次はどなたがお詠みくださいますかな?」
一方の大髑髏は小梅へ不審を微塵も抱かずに、ただただ気分良く歌の講釈を垂れて、今は貴族たちを一句捻ってみよと大きな目で見渡している。
これ幸いと小梅は膝立ちになり、さも自分に振られたと勘違いした振りで、朗々と歌を詠みあげた。上手い策である。
「鶏が鳴き、東屋ひとり、冬構え、きみと遊びし、ぬくもりは未だ」
ちなみに冬構えとはまさに今現在、冬へ差し掛かる11月に相応しい季語。
朝を迎えても独り冬支度へ追われる身に、心慰められる温もりもまだ遠い……という意味か。
もしかすると、呪いの歌の博打好きを皮肉る意図もあるのかもしれない。
事実、衛門佐は小梅の歌に昨晩の己が煩悶を見破られたような気がして、目を白黒させている。
「衛門佐様、骰子遊びのせいか隈が御座いますよ。私が付添いますので、あちらで少し休まれては?」
「左様で……では、お言葉に甘えて、そうさせていただきましょう」
「博打を打つには、心の重荷を置いてからが宜しいですしね」
かくて、衛門佐を廂の間へ誘い出すことに成功した小梅。
おかげで他のディアボロスたちも彼に接触しやすくなり、呪いの返歌をもらうハードルはぐっと下がったといえよう。
大成功🔵🔵🔵
効果1【プラチナチケット】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!
文月・雪人
直衣に烏帽子姿で歌会へ
【プラチナチケット・友達催眠・歴史知識・演技】活用し
貴族達の輪に入り【観察・情報収集】
衛門佐様を見送りつつ話題を拾い
衛門佐様は余程双六がお好きな様ですね
かく言う私も嫌いではない
しかし賽の才はさっぱりで
先日も大負けしたばかり
やはり堅実が一番と
こうして歌の才を磨きに来ている訳ですが
伸ばすべき芽は在るのやら無いのやら
先生の仰る様には中々上手く行きませぬ(苦笑
貴殿は如何ですかと藤原の縁者へ話を振り
その人となりを確かめ後の情報収集へ繋げたい
双六から石と振るを借りつつ
自信なさげに歌を詠み
大髑髏先生の教えを請うのも忘れずに
石の上 ふる白雪を ふる(触る)我の 積もる想いを 君は知らんや
●念の良し悪し
一方。
「山の紅葉は今が見頃でございますね」
こちらも直衣に烏帽子姿で歌会へしれっと参加しているのは、文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)。
「ええ。狩りに行きたいものですが、何分年々寒さに弱くなりましてな」
「いかさまいかさま。私のような若輩者でも外の寒さは堪えますとも」
発動させたプラチナチケットや友達催眠の恩恵もあってか、雪人も自然と貴族達の輪に立ち混じって、和やかな交流に努めていた。
「衛門佐様は、余程双六がお好きな様ですね」
ひと足先に廂の間へ向かった小梅と衛門佐を見送りつつ、笑顔で呟く雪人。
「かく言う私も嫌いではありませぬ。しかし賽の才はさっぱりで、先日も大負けしたばかりです」
「それはご災難でございましたな」
話し相手の貴族も吊られて鷹揚に笑った。
というのも、平安時代の貴族同士の賭け事はある意味形ばかりで、実際に賭けたお金や品物を勝者や胴元がごっそり巻き上げたり……なんてことはない。
勝者も敗者もほんの僅かに金品を動かす傍ら、そもそも顔を突き合わせるだけの理由で手土産だのなんだの贈りあい円満に終わるのだから、後世の博徒や現代人から見れば、そんなギャンブルの一体どこに中毒性があるのか、熱の入れどころがわからないだろう。
負けの悔しさも無ければ勝った喜びも薄いのだ。
そして、例の呪いの歌は貴族の雅な賭け事でなく、庶民の、いわば現代と変わらぬ負け方をする博打を詠ったものとわかる。
「やはり堅実が一番と、こうして歌の才を磨きに来ている訳ですが……」
ちら、と見やる視線の先には、他の貴族へ歌の指南をしている大髑髏が。
「伸ばすべき芽は在るのやら無いのやら、先生の仰る様にはなかなか上手く行きませぬ」
雪人は苦笑いしつつ、自信なさげに一句詠んでみせた。
「石の上 ふる白雪を ふる我の 積もる想いを 君は知らんや」
石の上とは盤双六及びそれに使う石を指し、ふるは降ると触(ふ)るに掛けてある。
一見、秘めた恋心をほのめかすようにも聞こえるが、盤双六が舞台となると趣はガラッと変わる。
例の呪いの歌に対して、身が痩せ細るなんてまだまだ、私の負けは数多の雪のように白く虚しく心に降り積もっている——と皮肉るような裏の意味が見えてくるのだ。
「石と雪、冷たい物を並べた恋歌とは面白い」
雪人の歌を聞いた大髑髏が、さも楽しそうに近づいてきた。
その頭部のデカさに遠近感を狂わされそうになるも、雪人としては待ち望んでいた歌の添削である。
「恐れ入ります」
「石の上に降る白雪とは、巧いものよ。普通は熱を孕む語で恋慕を表すものだが、両者の冷たさが淫靡さを際立たせて、積もる想いにも深みを持たせている。積もる想いとは、体を重ねるたびに深まっていくのは愛情か、それとも想いの伝わらぬ無念さや諦観の方か、正反対の想像ができるところも実に宜しい」
雪人は大髑髏の弁舌を聞きつつ、おもむろに母屋全体を見渡して、目当ての人物を探す。
藤原氏縁の人物は、さてどこにいるのだろうか。
大成功🔵🔵🔵
効果1【プラチナチケット】がLV3になった!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!
文月・雪人
残留効果活用
身成や会話で藤原縁者を特定
彼だけに密かに
自分は呪いの連歌の事件を調べる陰陽師だと明かし
人の無い場所へ誘導する
呪いが衛門佐に在ると知れば
明日は我が身と気付くだろう
誰も呪わず一人悩む衛門佐様を
見捨てる事など出来ません
彼だけじゃなく貴方の事も
呪いに恐怖する多くの人を助ける為に
『地獄変』について教えて頂きたいのです
ちはやふる 神の沙汰にて 泡沫に 賽ふる腕は 神か己か
いつか辿るは浄土か地獄か
藤の名も不死ならざれば
決するものは己の行いのみ
どうか善きご判断を
決して悪い様には致しません
畏怖と良心の両方に訴えて
縁由の言霊も使い協力頼む
地獄変の内容は?
預言書の様な物?
所有者は藤氏長者の藤原伊尹様?
●朧げなる情報
歌会に参加している貴族たちは、それぞれ盛り上がって筆を取ったり、言葉を交わしたりと忙しそうだ。
それもこれも、ついさっき文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)の詠んだ石と雪の歌の巧みさに皆が触発されて、対抗心や向上心を燃やし始めたということだろう。
「石の上……古めかしい枕詞でいささか敬遠しておりましたが、いやはや」
「まさかあんなに艶っぽい当世風な歌を詠まれるとは」
皆が文机に向かう中、直衣は直衣でも略装に身を包んだ2人の上流貴族は、短歌の話に花を咲かせていた。
(「別に厳かな儀式の場ではないけれど、それでも師に教えを請いに来ながら略装で許されるのは、相当身分が高いはず……」)
雪人はそう目星をつけると2人のうち年配の方へ、会話が途切れたタイミングを見計らってそっと声をかける。
「突然相すみませぬ。少しお時間いただけましょうか」
「おや、何か?」
「陰陽寮から参りました。実は内密に呪いの連歌の事件を調べておりまして」
藤原氏らしき貴族は、今までに会ったどの縁者とも違って顔色もよく、雪人の話を素直に聞いていた。
「呪いの歌ともなれば、ここで声高に話すわけにも参りますまいな」
「ごもっともです。場所を移しましょう」
「いかにも」
かくて、母屋から廊を通って西の対へ移動した2人。
「改めまして、文月雪人と申します」
「藤原氈(おりかも)と申す」
藤原氈は四十がらみの、でっぷりと肥えたいかにもな風体の上流貴族だ。
「ははあ、衛門佐が呪われているのを 解きに来られたのですか」
「ええ。誰も呪わず一人悩む衛門佐様を、職務を抜きにしても見捨てる事など出来ません……彼だけじゃなく貴方の事も」
「はて、儂も?」
「はい。呪いに恐怖する多くの人を助ける為にも、何か『地獄変』についてご存じなら教えていただきたく」
雪人はそう話の本題へ入るや、
「ちはやふる 神の沙汰にて 泡沫に 賽ふる腕は 神か己か」
何とかして藤原氏貴族の重い口をこじ開けられないかと、さらに一句捻り出した。
「大胆なお歌ですな。天命を決めるのは己が来し方のみで、神仏のお導きの埒外だと」
「……いつか辿るは浄土か地獄か、藤の名も不死ならざれば、決するものは己の行いのみ」
畏怖と良心、双方に訴えて揺さぶりをかけるつもりなのだ。
「どうか善きご判断を。決して悪い様には致しません」
深々と頭を下げる雪人を見て、藤原氈は緩慢な所作ながらも慌てて両手を振った。
「面をお上げくだされ。儂とて知ってることがあればお話ししたいが……しかし」
「と仰いますと?」
「それが、地獄変は『内容が白紙』だとか何とか……」
「白紙……!?」
「儂も最初は冗談か何かとしか思いませんでな。藤原家は白紙の巻物など勿体つけて大事にしておるなんて、政敵の僻みから来る嘲りかと」
「でも、地獄変は藤原家の限られた方々しかご存じないのでは?」
「恐らくは。儂もそれに気づいて、本家の内なる噂にしては妙だと思うたが、まぁ儂なんぞが藪をつついたところでどうにもなるまいと、知らぬ存ぜぬふりでおります」
お役に立ちましたかな? と氈が笑う反面、雪人は予想外の内容に衝撃を受けていた。
(「地獄変の内容が白紙……!?」)
大成功🔵🔵🔵
効果1【プラチナチケット】がLV4になった!
効果2【ダメージアップ】がLV6になった!
霧原・瑶蓮
※アドリブ・絡み歓迎
小梅の活躍で衛門佐殿に声をかけやすくなったし、ここはむしろストレートに行ってみるべきか。
冬直衣に習って表が白の裏を縹にした狩衣、指貫に立烏帽子と扇を揃えて陰陽師に扮した上で接触しよう。
衛門佐殿とお見受けする。
陰陽寮でも巷で噂になっている呪いの連歌について、調査をしていてな。
式占の結果、今は貴殿が返歌を受け取っていると出たが……相違ないか?
これは妖怪による呪いの可能性が高い。
正確な居場所を割り出すには、呪いの返歌という「縁」が必要なんだ。
妖怪を討伐してしまえば、呪いは元から消える。
京を助けるためだと思って、どうか俺に返歌を詠んでくれないだろうか。
菅原・小梅
◆行動
嘘は人を饒舌に、秘密は沈黙させる……そんな言葉があった気もします
さて衛門佐様のお悩み事はおおよそ察しております
このご時世に歌会に顔を出しているにも関わらず
歌を詠まずに苦悩されているとはあの連歌絡みでしょう?
呪いを解きたいけれど、誰かに移したくない、どちらも人として当然の苦悩
人の心を弄び悦に入るのがこの呪詛を行っている妖怪の仕業なのです
悪しき縁を断ち切るためにも私達へ貴方様の解釈と共に歌を預けて頂けませんか?
もしどうしても踏ん切りが着かぬのなら、懐の賽の目に任せてみては?
決して悪い結果にはならないと思います
(こっそりと指先から小さな【電撃使い】で賽を弾いて動かしてイカサマ致します)
嵐柴・暁翔
【内心】
地獄変も気になるけど妖怪が呪いの歌を寄越す相手ってのはどういう基準で選んでいるのかも気になるな…
畏怖の感情を得るにしては回りくどいし、返歌をするだけで死なずにすむのなら消したい相手とも思い難い
何かしらの意図があるのか、それとも適当に選んでいるだけか…?
【行動】
衛門佐さんとやらが思い詰めて誰かに返歌をしようと考える前に此方で返歌を受け取るとするさ
前回と同じように陰陽師を騙るのも芸が無いし今回は検非違使庁の放免として職務の一環で来たとしておく
今まで人に言えない真似も色々としてきたからいつか誰かに殺されるのは仕方が無いにしても、どうせ死ぬのならせめて誰かの助けになれるのなら本望というものさ…
●縁
歌会の続く邸。
「嘘は人を饒舌に、秘密は沈黙させる……そんな言葉があった気もします」
廂の間に着いた菅原・小梅(紅姫・g00596)が、衛門佐へ向かっておもむろに口を開く。
「さて、衛門佐様のお悩み事はおおよそ察しております」
「えっ……」
「このご時世に歌会に顔を出しているにも関わらず、歌を詠まずに苦悩されているとはあの呪いの歌絡みでしょう?」
ちらと流し目をくれてやれば、衛門佐の顔色は紙よりも白く、肩も小刻みに震え出した。
一方。
(「地獄変も気になるけど妖怪が呪いの歌を寄越す相手ってのはどういう基準で選んでいるのかも気になるな……」)
嵐柴・暁翔(ニュートラルヒーロー・g00931)は、衛門佐へ声をかけるタイミングを計る傍ら、つらつらと思案に耽っていた。
(「畏怖の感情を得るにしては回りくどいし、返歌をするだけで死なずにすむのなら消したい相手とも思い難い」)
そう推測する暁翔だが、実際のところ、返歌を返す相手を間違えれば、三日と待たず死に至る。
この呪いの返歌の特徴は、一度でも誰かから呪いの歌及び返歌を詠まれた相手に返歌してはいけないからだ。
それゆえ、返歌を済ませて生きながらえた人が多ければ多いほど、返歌する相手に窮する——否、呪われた当人には贈られた歌そのものが呪いの歌及び返歌だとわかるのみで、誰が返歌を済ませたかなど判別つかない。
(「何かしらの意図があるのか、それとも適当に選んでいるだけか……?」)
それ故、呪いの返歌の蔓延による事故、そして体が腐り落ちた被害者の噂で人々を恐怖させるのが狙いだろうから、確かに数え歌とは違ってターゲットは誰でも良さそうだ。
「お話し中すまないな。自分は検非違使庁の放免で、実は歌会に紛れ込んだのも職務の一環なんだが」
ともあれ、震える衛門佐の背中を押すべきかと暁翔は話しかける。
「左様で。しかし放免殿が某に何か?」
「ああ。俺の目的も衛門佐さんの呪いを解くことなんだ」
他方。
(「小梅の活躍で衛門佐殿に声をかけやすくなったし、ここはむしろストレートに行ってみるべきか」)
霧原・瑶蓮(無銘の拳士・g04575)も、周りにはそれと悟られぬように気配を殺しながら、先に移動してきた2人の後を追って廂の間へ向かう。
雪人の冬直衣に倣ってか、表が白、裏が縹の狩衣と指貫を纏い、立烏帽子を被り扇も携えて、陰陽師に扮している瑶蓮。
「衛門佐殿とお見受けするが、少しよろしいか」
「はい、何でございましょう」
小梅に付き従ってきた衛門佐へ、いよいよ接触を試みた。
「陰陽寮でも巷で噂になっている呪いの連歌について、俺も調査をしていてな。式占の結果、今は貴殿が返歌を受け取っていると出たが……相違ないか?」
ちなみに式占とは、十干や十二支を記した天地盤を用いる占いの一種である。
「……左様にございます」
ディアボロス3人に苦悩を言い当てられた衛門佐が、観念したように項垂れて白状する。
「そうか。呪いの歌の差出人、いわば元凶は妖怪である可能性が高い。だが、妖怪の正確な居場所を割り出すには、呪いの返歌という『縁』が必要なんだ」
瑶蓮は表情ひとつ変えずに、あらかじめ考えていただろう説得のための文言をつらつらと並べ立てた。
ある意味、嘘やハッタリを相手へ信じ込ませろという大髑髏歌仙の教えを守っていると言えるかもしれない。
「妖怪を討伐してしまえば、呪いは元から消える。京を助けるためだと思って、どうか俺に返歌を詠んでくれないだろうか」
ましてや、瑶蓮が語った中身は、丁度嘘と真実がそれぞれ5割ぐらいの比率で含まれていて、相手を信用させる弁論のテクニックとしても一流だ。
「呪いを解きたいけれど、誰かに移したくない、どちらも人として当然の苦悩……人の心を弄び悦に入るのが、この呪詛を行っている妖怪の仕業なのです」
小梅も瑶蓮の説得を後押ししようと、衛門佐の苦悶へ寄り添うような言葉を慎重に選んだ。
「悪しき縁を断ち切るためにも、私達へ貴方様の解釈と共に歌を預けて頂けませんか?」
言いながら、衛門佐の様子をじっと観察する小梅。
「もしどうしても踏ん切りが着かぬのなら、この賽の目に任せてみては? 決して悪い結果にはならないと思います」
予め調達していた賽子を差し出してみせた。ディアボロスたるもの、気づかれぬよう静電気なり風なりを操って思うがままの目を出すことも容易かろうと。
「俺なんざ今まで人に言えない真似も色々としてきたから、いつか誰かに殺されても仕方が無いだろうけど、どうせ死ぬにしてもせめて誰かの助けになれるのなら、これぞ本望というものさ……」
暁翔も彼なりに言葉を添える。
嘘の方向性は多少危うくとも、瑶蓮と同様、嘘と真実を半分ずつ混ぜ込んでいるのは手慣れた巧さだ。
「……わかりました。そこまで仰るのでしたら……」
3人の説得の甲斐あってか、衛門佐もすっかり陰陽師と放免の一行だと信じ切って、呪いの返歌を詠む気になってくれた。
「懐の 温もりあれど 心うき しげく戸締まり 枕も低し」
呪いの返歌とは思えない趣の歌に、思わずきょとんとする3人。
衛門佐は恥ずかしそうに後ろ頭を掻き掻き言ったものだ。
「そもそもの呪いの歌が、『むつのはな 近くて遠き まぼろしを 夢と求めて 身もやつれけり』でして。これは、庶民のやる七半を詠んだものでしょう」
むつのはなは、本来雪のことだが、この呪いの歌では、賽子を指している。
即ち、いつか出る大当たりを幻とも知らず追い求めているうちに、飯代まで無くなって痩せ細ってしまった——そんな意味だと説明する衛門佐。
「もっとも、そう見せかけて実のところは懸想するのも憚られるような女人を慕う歌かもしれませぬ。そこで」
たとえ博打に大勝ちして大金を得たところで、それが奪われぬよう家の用心に神経を擦り減らすのもしんどいものだ。
「夢が叶って渇望した女人を手に入れたら入れたで、次は自分が妻を誰かに取られないか、間男だの密通だのに心配する羽目になる……過ぎたる幸福には気苦労もつきものだと詠んだつもりです」
現代でいうなら、宝くじに当たって当選金を銀行で降ろした帰り道、普段以上に気を遣うような。
競馬で万馬券を当てたり、麻雀で九蓮宝燈を上がった時に、すわ交通事故に遭ったりしないかと心配するような。
そんな歌なのである。
(「まさか、呪いの歌が本当に即物的な意味だったとは」)
多少捻くれた性格だと自覚のある暁翔などは、2つの歌へ妙に感心してしまう。
さて、幻の大勝ちを夢見る歌と、幸福と苦労は比例するなどと諌める返歌。
これらへ続けて、ディアボロスたちはどんな返歌を詠むのだろうか。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【エアライド】LV1が発生!
【プラチナチケット】がLV5になった!
【友達催眠】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV8になった!
文月・雪人
氈様の豪胆さに感服して笑みつつ
協力に心からの感謝を
衛門佐様の方は首尾よく進んだ様子
ほっとしつつ調査継続
氈様といたもう一人も藤原の方なら
歌仲間として話を聞いてみたい
噂話も貴族の楽しみ乗って話を拾ってみよう
藤原様には地獄変なる巻物があり
呪い歌に関する記述もあるとか
恐ろしき事ですが
歌人としてとても興味があります
貴殿は如何で?
いつからあるのか誰の手なのか
実頼様も伊尹様も優れた歌人とお聞きしますが
持ち主は歴代の藤氏長者様で?
しかし白紙であるとの話も
未完で終わっているのでしょうか?
或は今も白紙に書き足されているのでしょうか?
しろかみに 水茎とりて 墨とりて 綴る想いは 過去や未来や
いやはや興味が尽きません
●しろかみ
西の対。
(「衛門佐様の方は首尾よく進んだ様子」)
文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は母屋の方を見やってほっとする傍ら、藤原氈の豪胆さにも感服して微笑んだ。
「あの、氈さまと一緒にいらしたご年配のお方も、藤原家の縁に繋がる方で……?」
もしもそうなら歌仲間として彼にも接触し、噂話に紛らわして情報を引き出したい——そう考えた雪人だが。
「いいや、あやつは藤原ではありませぬ。そのおかげで、家の者には聞かせられない愚痴なども気軽に言えるというものでして」
「ああ、いかさま……地獄変の話に戻りますが、それはいつからあるのか、誰の手によって作られたものなのか、そんなことにも興味がございまして。これも私が歌人の端くれだからでしょうか」
それならそれで、引き続き氈と話せば良いのだと思い直す。
「お気持ちはよくわかります。儂の生まれがもう少し良ければ、そんな秘密にも関われたのやもしれぬが、何分、藤原とは名ばかりの、ただの年寄りですからな」
そう屈託なく笑う氈は、藤原本家の内情を探ろうとする雪人へも嫌な顔をせずに、話へ付き合ってくれていた。
「ご謙遜を……歌人といえば、実頼様も伊尹様も優れた歌人とお聞きしますが、地獄変の持ち主は歴代の藤氏長者様で?」
幾分気楽な心持ちで問うてみる雪人。
「さああ。本家で管理しているとしても……所有者が誰かまでは、存じませぬな
実際のところ、氈とて何か地獄変の秘密を少しでも握っていたなら、もっと口が重くなっていたはずだ。
「白紙と仰いましたが、未完で終わっているのでしょうか? 或いは今も白紙に書き足されているのでしょうか?」
それでも日々無聊を囲っていそうなこの好々爺は、新しい話し相手ができた嬉しさから、ぽろっと重要な事柄を洩らす可能性も捨てきれない。
「しろかみに 水茎とりて 墨とりて 綴る想いは 過去や未来や……いやはや興味が尽きません」
雪人はそんな願いを胸に、またも歌を詠んだ。
実践に勝る鍛錬は無しとでも言わんばかりに、幾つもの歌会へ参加している彼だ。元々充分な歌の実力も、これからますます磨き抜かれることだろう。
そして、もしもこの歌を大髑髏が聞いていたなら、白紙と白髪をかけた、年寄りが来し方行く末へ思いを馳せて遺書を記すような歌で、面白い着眼点だと褒めたかもしれない。
もちろん雪人は、白紙を地獄変に重ねているのだが。
「そりゃ、今この時の地獄変が白紙のままかどうかまでは断言できませぬが、儂はただ、『地獄変の内容は白紙で、何も書かれていないのだと聞いた』だけでしてな。その場では未完だとか書き足されるとかは思い至らず、特に追及もしませなんだなぁ」
氈はすまなそうに言うが、これはこれで大切な情報には違いあるまい。
「左様でございましたか。ご協力ありがとう存じました」
氈へ心からの感謝をこめて、頭を下げる雪人だった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【プラチナチケット】がLV6になった!
効果2【ダメージアップ】がLV9になった!
霧原・瑶蓮
雪人が情報も手に入れてくれたな、ならば遠慮はいらない。
歌仙ぶるのもそこまでだ、しゃれこうべ。
俺達はディアボロス、お前たちから歴史を奪い返すもの。
お前の瘴気弾などは決して恐れぬ。
瘴気弾の軌跡に合わせた【臨機応変】かつ小刻みな【ジャンプ】と【エアライド】でジグザグに移動する【早業】で射程内に捉えるまで避け続ける。
返歌とともにこの拳を叩きつけてやろう。
ひとしのび たよりもなしに とざすとに のわきうちすえ はなもちるらむ
人知れず闇に蠢き、頼る仲間もろくになく、お前たちがいくら守りを固めたように思えても、畢竟ディアボロスという暴風はやってくる。
お前たちの命を花と散らし、歴史を取り戻すためにな!
●散華
歌会が終わったばかりの邸。
(「雪人が情報も手に入れてくれたな、ならば遠慮はいらない」)
霧原・瑶蓮(無銘の拳士・g04575)は歌の生徒が全員帰ったのを確認してから、いよいよ母屋へ踏み込む。
「歌仙ぶるのもそこまでだ、しゃれこうべ」
「……ふむ、我が妖怪だと気づいておるような言い回し。うぬは何者であるか!?」
貴族らが歌を書き散らした反故の紙を掻き集めている——両手が無いのにどうやって集めたのかは謎だが——大髑髏が、相変わらず大声で振り返る。
「俺達はディアボロス、お前たちから歴史を奪い返すもの」
瑶蓮は怯むことなく言い返して、大髑髏へ正拳突きをお見舞いするために床を蹴って立ち向かう。
当然、大髑髏も反撃とばかりに瘴気の青弾を飛ばしてきたが、瑶蓮は弾の軌道を読んで小刻みにジャンプ。
エアライドによるジグザグ跳びも利用して、可能な限り青弾を避けてみせた。
それでも全てを避けきれるわけはなく連射のうち半分ほど被弾したが、防御を捨てて突撃するよりは余程体力を温存できる。
そうして大髑髏の懐へ飛び込めば、低く疾い跳躍めいた踏み込みから、いよいよ影すら捉えさせぬ神速の拳を繰り出せるというものだ。
「ひとしのび たよりもなしに とざすとに のわきうちすえ はなもちるらむ」
——バキャッ!
骨の砕ける乾いた音が邸内に響き渡る。
瑶蓮が呪いの返歌と共に、拳影の虚を大髑髏の顎へ叩きつけたのだ。
「人知れず闇に蠢き、頼る仲間もろくになく、お前たちがいくら守りを固めたように思えても、畢竟ディアボロスという暴風はやってくる」
痛さに赤い瞳を細めて苦悶する大髑髏を見上げて、返歌の意味を説明する瑶蓮。
「お前たちの命を花と散らし、歴史を取り戻すためにな!」
流石は復讐心を糧に戦っているディアボロスらしい、立派な短歌もとい啖呵である。
そして、大髑髏、衛門佐の歌の意を汲んだ呪いの返歌にも勿論なっていた。
「閉ざす戸……花も散るらむ……なるほど、賭博の勝ちなど一夜の夢、野分でも過ぎたかのように懐の金はあっという間に散ってしまうと……うむ、もっともだ……」
大髑髏は赤い瞳を歪めたまんま、そんなことを呟く。
戦いの中でも短歌の添削は忘れない。 歌の先生に扮しているクロノヴェーダの一部には、どうもそんな律儀な個体が一定数居るようだ。
大成功🔵🔵🔵
効果1【落下耐性】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
白木・鞠花
瑶蓮さんに便乗しちゃうですよ♪
これが今回の的(テキ)ですかぁ、片付けていいんですよねぇ?
普段と変わらない笑みに翻るセーラー服、実は戦闘狂
クロノヴェーダは敵(エネミー)というよりも破壊してよい的(ターゲット)
大金棒を特殊圧縮した金属バットを左手に、愉し気に薄っすら笑って立ち向かい
ひとときの はかなきゆめみ はなちらす ゆめまぼろしの むつのはなかな
一瞬くらいは勝ちを夢見たでしょうけれどー?ざぁんねんでしたー!賽の目なんていくらでもひっくり返してやるのです!!クロノヴェーダ滅ぶべし!ですよう♪
【臨機応変】に避けながら【捨て身の一撃】に【貫通撃】を重ねて『悪鬼粉砕撃』、【一撃離脱】を試みる
●狂戦士乙女
続いて。
「これが今回の的(テキ)ですかぁ、片付けていいんですよねぇ?」
白木・鞠花(月夜の白菊・g04664)
は、アヴァタール級クロノヴェーダと対峙したと思えないような、普段と変わらない笑みを浮かべたものだ。
それもそのはず、ひらひらとはためくセーラー服の日常感からは想像しづらいが、実は戦闘狂と呼ぶに相応しい性格をしている鞠花。
だから、クロノヴェーダは敵というよりも破壊してよい的——ターゲットだと捉えているらしい。
「じゃあ、瑶蓮さんに便乗しちゃうですよ♪」
大金棒を特殊圧縮したという金属バットを左手に携えて、鞠花は愉し気に薄っすら笑って大髑髏へ肉薄する。
彼女もまた、仲間たちに違わず呪いの返歌をしっかりと考えてきてくれた。
「ひとときの はかなきゆめみ はなちらす ゆめまぼろしの むつのはなかな」
ごいーーん!!
とはいえ、何分、頭蓋骨をかち割る凄まじい金属音で、全てをはっきり聞き取れたかは怪しい。
呪いがかかっていれば例え聞こえずとも通じる——呪いの対象が移るので、ある意味良かったかもしれない。
「一瞬くらいは勝ちを夢見たでしょうけれどー? ざぁんねんでしたー! 賽の目なんていくらでもひっくり返してやるのです!! クロノヴェーダ滅ぶべし! ですよう♪」
反撃の不況和音を一身に浴びるつもりで捨て身の一撃を見舞った鞠花が、笑顔で説明しつつ機敏に飛び退る。
大髑髏は懸命に呪詛を大声で唱えていたが、何せ頭を貫通してきた金属バットの痛みとぐわんぐわんと反響する打突音の余韻に、すぐ呻き声に変わった。
「うぬぬぬぬ!」
巨大頭蓋骨の呻きなど、叫び声とかわりなく喧しい。
ついでに意味もなく唸っているのか汝(うぬ)なのかも判別不能。
「はかなきゆめみ……音の響きが素直な詠みぶりに美しさを与えている。多少音の重なりは気になるところだが、前半と後半の釣り合いがよく取れている。響きの流麗さで巧みに欠点を隠した歌といえよう」
頭蓋骨をかち割られた人もとい妖怪に評価されても……という気はするが、どこまでも歌仙の立場は放り出さない大髑髏だった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【隔離眼】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
文月・雪人
歌会もいよいよ終幕
少し寂しい気がするのは気のせい気のせい
ここは皆に倣って歌い納めをば
密かにクダ吉を放ちつつ
刀を構え大髑髏と対峙
詠みかける歌は
散る華に 儚き夢と 知りつつも 種まく我を 咲(わら)ひ給はん
懲りずに賭けに興じる姿を歌ってみるも
懲りずに歌を詠み続ける私もまた同じですかね(苦笑
どうぞ笑って頂ければと
クダ吉の動きを悟られぬよう
歌と【演技】で注意引きつつ
敵を【観察・情報収集】
攻撃を【看破】して
衝撃波で青弾丸の軌道を逸らし回避した後
体勢を崩した【演技】で誘い
【不意打ち】の管狐影縛法で【捕縛】
【ダメージアップ】の斬撃で【一刀両断】に
肝心なのは、いかに聴く者を騙せるか
如何でしょうか、大髑髏先生?
●『こりずまに』
(「歌会もいよいよ終幕か……少し寂しい気がするのは気のせい気のせい」)
文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は、戦闘中だというのに妙に満ち足りた顔をしながら、密かに竹管からクダ吉を出してやっていた。
(「ここは皆に倣って歌い納めをば」)
その傍ら、キッと表情を引き締めて白銀の刀の切っ先をぴたりと大髑髏へ向ける。
「散る華に 儚き夢と 知りつつも 種まく我を 咲(わら)ひ給はん」
朗々と歌うや否や自分でも苦笑する雪人だが、歌の意味自体は彼の嘘偽らざる本音でも、その態度が巧妙な演技だったりする。
「懲りずに賭けに興じる姿を歌ってみるも……懲りずに歌を詠み続ける私もまた同じですかね。どうぞ笑って頂ければと」
音もなく大髑髏との距離を詰めるクダ吉の動きを悟られぬように、呪いの返歌と演技で大髑髏の注意を引きつけるつもりなのだ。
「気負いのない素直な詠みぶりだが、歌の本意に合わせて敢えて飾り気の無い言い回しを選んだ工夫も伺える……ぐぐぐ」
大髑髏は、感心したのか止まぬ苦痛のせいかわからない呻きを洩らすも、青弾丸の群れを撃ち出すのは忘れない。
それらの軌道を衝撃波で少しでも逸らそうと試みる反面、被弾したふりでガクッと体勢を崩してもみせる雪人。
その隙を逃すまいと大口を開けて迫る大髑髏。
あまりに口を開け過ぎて、貫通した頭頂部の穴から光が射しているのが痛々しい。
ともあれ大髑髏が大音声を出そうとした刹那、不意打ちの管狐影縛法が大髑髏を襲う。
宙に浮かぶ大髑髏の真下で、クダ吉が奴の影へ牙を目一杯突き立てたのだ。
「肝心なのは、いかに聴く者を騙せるか……如何でしょうか、大髑髏先生?」
今なら大髑髏を一刀両断にもできる筈だと、雪人も雪月花なる刀を構え直す。
「歌も芝居も充分上手(うわて)なことよ。種まく我など、貴殿のような清廉そうな若者が詠むから面白い。そのちぐはぐな印象の強さからして策の一環だったのであろう」
大髑髏は、息も絶え絶えにそんなことを言った。
大成功🔵🔵🔵
効果1【傀儡】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
嵐柴・暁翔
『掌中の たまに抱きし 夢現 土に塗れど 咲く華もあれ』
即物的な意味ならダイスを握りしめて思いを込めて投じればもしかすると勝つかもしれない、というような意味だな
そして返歌として女人がどうのという方なら掌中の珠について悩めるのは泥臭い真似もして恋の華を咲かせたからこそ、捕らぬ狸の皮算用という皮肉だな
土に塗れるというのを土が付く、負けるの意味でとるか泥臭いという意味で取るかで分かれるんだけど…
いっその事次の花が咲くという部分と繋げて花を咲かせるにはまず種を土に埋めてから、というような意味で前半部分と合わせて認めた恋文を持って悩んでいるみたいに読んでみても面白いかもな
歌以外に刀でも返礼はしておきます
●たまとつち
ディアボロスたちと大髑髏との戦いに、いよいよ決着の時が迫っていた。
元よりパラドクスを発動させるのへ術者の体力など関係ないような気もするが、それでも大髑髏の大声や青い瘴気による呪詛の数々は、深傷など物ともせずにその声帯の無さそうな口から吐き出されるので脅威に映る。
「掌中の たまに抱きし 夢現 土に塗れど 咲く華もあれ」
それにしても見た目も声も騒がしい妖怪だと半ば感心しつつ、嵐柴・暁翔(ニュートラルヒーロー・g00931)は、呪いの返歌を叩きつけてやった。
「即物的な意味なら、ダイスを握りしめて思いを込めて投じればもしかすると勝つかもしれない、というような意味だな」
愛刀の風牙を正眼に構えながら、歌の表意を説明する暁翔。
「女人がどうのという方に合わせると……掌中の珠について悩むことができるのは泥臭い真似もして恋の華を咲かせたからこそ、つまりは捕らぬ狸の皮算用という皮肉だな」
土に塗れるを土がつく、負けるの意味にとるか、泥臭いという意味に取るかでもまた違った趣を見出すことができる。
一敗地に塗れるなんて言葉が想起される一方、試合に負けて勝負で勝つという言い回しも浮かぶ、奥深い歌だ。
「賽子を掌中の球に掛けたか……たまに抱きし夢現の一節にも力がある」
大髑髏の褒める声も真剣である。
「いっその事、次の『花が咲く』と繋げて花を咲かせるにはまず種を土に埋めてから、というような意味で前半部分と合わせて……認めた恋文を持って悩んでいるみたいに読んでみても面白いかもな」
そう呟くと、暁翔は気を引き締めて大髑髏へ斬りかかる。
巨大なしゃれこうべを唐竹割りにするなど、文字通りこちらの骨が折れそうなものだが、そこは仲間の積み重ねてくれた世界法則の恩恵がある。
「……俺の太刀に、斬れぬもの無し。……全てを斬れ……雷光烈斬牙……!」
そして自分にはこの天元突破冒険者がある。
暁翔は終焉破壊者の力と勇気を疑似的に借り受けると、ひと息に刀を振り下ろして、大髑髏をまさしく一刀両断。
ついに奴へトドメを刺した。
「地道な努力を続けていればいつか報われようという教訓めいた響きだが、その目的が博打であり女なところにおかしみが……なかなか良……」
大髑髏の最期の言葉も、例に漏れず歌の添削であった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【一刀両断】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!