リプレイ
エレオノーラ・アーベントロート
つまり、東も西も全員ブチ殺してしまえばいいと。
あれこれ悩んで策を練る段階も終わりましたし、楽なものですわ。わたくしが動けばそれで済む話ですもの。うふふ、東奔西走ですわね。
あら、ここの守備は妖怪の成れの果てだと聞いていましたから、護衛も妖怪だと思っていましたけれど――懐かしい連中がいますわね。
機械化ドイツ帝国の技術を転用した砲撃特化機体、何度か天正大戦国でも戦いましたわね。
堀田一継が守る部屋へと飛びこみ戦闘。
「機竜闘殺法」を使用して炎の翼と尾を生やしますわ。立て続けに放たれるキャニスター弾を掻い潜り、まずは接近。敵の得意な間合いからこちらの間合いに踏み込みましょう。
うふふ、どちらかというと、矢なんかよりそちらの方が潜り抜けなれていますの。
接近戦へと持ち込めたら炎の尾と翼で叩き伏せながら焼き、敵陣内部を駆けながら攻撃していきますわ。
わたくしに対応しようと陣形を整えようとするのは【泥濘の地】で移動速度を低下させて妨害。撹乱しながら叩き潰していきましょう。
音羽・華楠
……堀田一継は妖怪のジェネラル級ですか……。
平安鬼妖地獄変を故郷とする身として、あの改竄世界史の負の遺産が未だのさばってるのは看過出来ません。
絶対に潰します!
ですが、まずは護衛の排除ですね。
――《雷幻想・蜈蚣》!
雷の大百足の式神を出現させ、三筒たちへ突っ込ませます。
《蜈蚣》の巨体で轢き潰し、大顎で噛み砕かせましょう。
私自身は戦場全体を俯瞰出来る位置取りを心掛け、戦況の把握に努めます。
危機の味方が居れば即座に《蜈蚣》を救援に向かわせ、敵陣の混乱が大きい部分を見出せたら、そこへ《蜈蚣》を突撃させてさらに混乱を煽りましょう。
敵側の砲撃は、いずれも性質に癖がありますし。
「そんな風に考え無しに撃ちまくると、徳川家康様ご自慢の日光東照宮にあなたたちが傷を付けますよ」と煽って、少しでも砲撃への躊躇を沸き上がらせることを狙います。
動揺で精度や連射速度が鈍ってくれれば御の字ですね。
……朱鉄参號とレックスⅣを犠牲にして得たこの好機。
今さら止められるとは思わないことですね。
陰陽師として調伏してあげます!
月下部・小雪
日光東照宮陽明門の城取合戦、序盤はボク達の勝利です。
中に飛び込んで守りを固めているジェネラル級をやっつけて、回ります!
こ、こっちにいるのは珍しい妖怪のジェネラル級なのですね。
堀田一継さん、ボクはあまり詳しくないですが、お化けと何か縁があったの、でしょうか……?
いえ、今は出自に拘っている場合じゃない、です。突貫、突貫、突貫です!
周りのジェネラル級よりは弱いと嘯いていますが、それでも護衛がいる状態ではまともに戦えません。
まずは周りにいる頭が大砲の天魔武者を排除です。
コダマがころころ転がって相手の車輪の間に飛び込んで【ワイファイスパーク】をお見舞いです。
あんな車輪では自由に動きにくいはずなので、ずっと死角に入り込んで、そのほかの敵からも狙いにくくしちゃいましょう。
ボ、ボクの方に飛んでくる砲弾は「ピンポイント魔力障壁」でえいっと撃ち落としちゃいます。
※アドリブ連携大歓迎
文月・雪人
※アドリブ連携歓迎
堀田一継、妖怪のジェネラル化の実験か。
これまでにも鬼をジェネラル級に登用する動きが見られていたけれど、
故郷を追われた彼らにとって、それは希望であっただろうか。
嘗て故郷を奪われた者として、思うところは複雑だ。
しかし今ここにおいて敵である事は間違いなく、
この地を奪還する為に、立ち塞がる敵は倒すのみ!
先ずは護衛の対処から。
トループス級とはいえ護衛を務める程の精鋭部隊、油断できる相手ではない。
小雪の【パラドクス通信】で仲間と連携し、
残留効果を重ねながら援護し合って挑んでいこう。
敵地である以上地の利は勿論敵にある。
戦場内で連携して動く敵の動きを読み取りつつ、
前に出る味方が過度に集中攻撃されない様に援護する。
敵の放つ重力弾の軌道を見極めて、着弾点を推測、
周囲を巻き込む超重力のダメージを【ガードアップ】で凌ぎつつ、
『共鳴結界・響』のパラドクスを使用する。
有明月の名の竜笛を吹き鳴らし、凛と響く音の響きによって見えない結界を形成。
敵を縛り、ダメージを与えながら仲間の攻撃へと繋げていこう。
●
多脚要塞『千早城改』が日光東照宮陽明門を破ると同時に、ひときわ巨大な轟音が日光東照宮全体に響き渡る。
その音を耳にしながら、月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)は開いた陽明門をくぐり、門の奥にいる6体のジェネラル級のもとへ走りだした。
「日光東照宮陽明門の城取合戦、序盤はボク達の勝利です」
小雪の宣言を聴きながら、エレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)も笑顔で走ってゆく。
「忙しいですわね……でもやることは東も西も全員ブチ殺してしまえばいいと」
「中に飛び込んで守りを固めているジェネラル級をやっつけて、回ります!」
シンプルになった状況を整理するよう呟くエレオノーラの言の葉を耳にしながら、小雪は陽明門の奥に目を向けた。
その視線の先には、ジェネラル級妖怪『堀田一継』が、トループス級天魔武者『砲戦特化型天魔武者・三筒』に護衛されながら静かに佇んでいる。
門を守るジェネラル級の風貌は、肉体の半ばを巨大な提灯と同化させたようにも見えた。
――明らかに、天魔武者ではない姿形を持つジェネラル級。
その姿を見て、小雪は軽く首を傾げていた。
「こ、こっちにいるのは珍しい妖怪のジェネラル級なのですね。堀田一継さん、ボクはあまり詳しくないですが、お化けと何か縁があったの、でしょうか……?」
そんな小雪をよそに、平安鬼妖地獄変を故郷とする音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)と文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は揃って呻いていた。
「……堀田一継は妖怪のジェネラル級ですか……」
「しかも妖怪のジェネラル化の実験……か」
(「これまでも鬼をジェネラル級に登用する動きが見られていたけど……」)
雪人の脳裏に、かつて忍城で邂逅した鬼のジェネラル級の姿が過る。
――果たして、故郷を追われた彼らにとって、それは希望であったのだろうか?
(「嘗て故郷を奪われた者として、想いは複雑だけど……」)
郷愁に囚われかけている雪人の思考を断ち切るように、華楠の凛とした声が響く。
「平安鬼妖地獄変を故郷とする身として、あの改竄世界史の負の遺産が未だのさばってるのは看過出来ません」
「うん。今ここに置いて敵であることは間違いないからね」
雪人も軽くかぶりを振り、想いを打ち消しながら追随する。
「だから今は、この地を奪還する為に、立ち塞がる敵は倒すのみ!」
「は、はい。今は出自に拘っている場合じゃない、です。突貫、突貫、突貫です!」
雪人の宣言に合わせるように、小雪も慌ててサーヴァントのモーラット・コミュ『コダマ』を呼び出す。
「そうですわね。今は突貫あるのみですわ」
それを聞いたエレオノーラも、両手にあえて何も持たぬまま、三筒に肉薄すべく駆け出した。
●
「ディアボロスを堀田様に近づけるな!!」
「これ以上先には行かせんぞ!!」
駆け出すディアボロス達を見て、三筒たちが一斉に砲台をエレオノーラに向ける。
機械化ドイツ帝国出身の元レジスタンスでもあるエレオノーラは、天正大戦国でも何度か戦って来たトループス級を目にし、一瞬だけ表情を緩めていた。
「あら、ここの守備は妖怪の成れの果てだと聞いていましたから、護衛も妖怪だと思っていましたけれど――懐かしい連中がいますわね」
随所に故郷の面影を残すフォルムを持つ天魔武者に、エレオノーラの胸中に一瞬だけ郷愁の念が生まれるも、それで揺るぐエレオノーラでもなく。
「それなら、これはいかがでしょう?――『尾と翼は飾りではありませんのよ?』」
だからこそ容赦せん、と口にする代わりに、エレオノーラは巨大な炎の翼と尾を生やしながら三筒へ肉薄した。
三筒もエレオノーラを阻止せんと言葉にするより早く、三つのキャノン砲からキャニスター弾を立て続けに撃ち出す。
キャニスター弾が空中で分裂し、雨の如く地面に降り注ぎながら爆発するが、エレオノーラもキャニスター弾の雨を掻い潜りながら三筒に接敵した。
「うふふ、どちらかというと、矢なんかよりそちらの方が潜り抜け慣れていますの」
「いかんっ……!」
三筒もキャニスター弾を撃ち続けるが、エレオノーラは容赦なく三筒を炎の翼と尾で打ち据える。
熱い砲身をさらに熱い炎で強打された三筒たちは、勢いに耐え切れず転倒した。
「ええい、近寄らせるな!」
その様を見て懐に飛び込まれると厳しいと感じたか、他の三筒は砲弾をキャニスター弾から重力弾に切り替え、立て続けに発射する。
狙いは――雪人だ。
「こっちに来るか、それなら――『音よ、響け』」
着弾し発生した超重力に押しつぶされそうになりながらも、雪人は有明月の名を持つ竜笛を取り出し、口に当てて鳴らし始める。
凛と響く澄んだ音色が見えない結界を形成し、三筒の動きを縛りながら少しずつ浄化し始めた。
「くっ……!」
「コダマ、今です!!」
一瞬動きを止めた三筒を見て、小雪がコダマにお願いする。
コダマも小雪に軽く頷きながら、三筒の足元にコロコロと転がっていった。
何をする気だ、と三筒が足ならぬ車輪を止めた瞬間、コダマの全身から強烈な電撃が放たれた。
「な――!!」
火花が散る程の強烈な電撃が、三筒の全身を絡め取る。
身体の随所から火花と共に煙が上がるが、三筒も徹甲弾を撃ち出し小雪を吹き飛ばそうとした。
「今ですね。『出で参れ、死体を裂く者、怒りに燃えて臥す者、嘲笑う虐殺者よ――オン・ベイシラマンダヤ・ソワカ!!』」
後方で戦況を俯瞰していた華楠が素早く印を組み、雷の大百足の式神《蜈蚣》を召喚する。
「行きなさい!」
華楠が命じると、《蜈蚣》が巨体をうねらせながら三筒たちに突撃。
三筒もキャニスター弾を発射し、《蜈蚣》ごと華楠を蹂躙せんと散弾を降らせるが、巨大な大百足は散弾をものともせず雷速で空中を泳ぎ三筒に接敵する。
まさに電撃の如く勢いで突撃した《蜈蚣》は、その大顎で三筒を3体まとめて噛み砕き、鉄屑へと帰していった。
●
陽明門を巡る戦いは、激戦を極めた。
三筒たちは決して此の地を突破させまいと、次々と砲弾を発射し、エレオノーラ達を翻弄していく。
散弾、超重力、徹甲弾と、性質の異なる三種の砲弾に翻弄されながらも、華楠が《蜈蚣》に場を混乱させるべく暴れさせ、雪人も過度に攻撃を集中されぬよう援護してゆく。
三筒が場をかき乱され攻撃を散開させれば、そこにエレオノーラが肉薄し炎の翼と尾で叩き伏せ、小雪がコダマに電撃を放たせてゆく。
ディアボロス達の攻めに、やがて三筒たちは稼働限界を迎え、1体、また1体と崩壊していった。
「周りのジェネラル級よりは弱いと嘯いていますが、それでも護衛がいる状態ではまともに戦えません。コダマ、お願いします!」
小雪のお願いに応えるように、コダマが残った三筒の足元に転がり込み、ワイファイスパークを放つ。
三筒の足元から、さらに火花を散らす程の強烈な電撃が放たれ、全身を絡め取った。
(「足元に隠れちゃえば、見えないと思うのですっ」)
「ぐぬぬ、どこだ!!」
「ええい、まとめて撃ち抜け!!」
電撃の出所が見つけられず、三筒たちは破れかぶれで徹甲弾を発射。
――ドオオオン!!
撃ち出された徹甲弾は、コダマではなくサーヴァント主の小雪を襲った。
「あ、危ないですっ!」
小雪も着弾点にピンポイントに魔力障壁を展開し防ごうとするが、徹甲弾は魔力障壁の一部を貫通し、小雪の足元で炸裂した。
それを見た華楠は、しばし黙考した。
(「敵側の砲撃は、いずれも性質に癖があります。それなら……」)
徹甲弾に重力弾、そしてキャニスター弾。
いずれも外した場合のリスクが大きいと考えた華楠は、三筒たちの動揺を誘い砲撃の精度や連射速度を鈍らせようと、あえて言の葉を投げかけた。
「そんな風に考え無しに撃ちまくると、徳川家康様ご自慢の日光東照宮にあなたたちが傷を付けますよ」
「たとえ傷つけようが、貴様らを排除してから修繕すればいい!!」
言の葉で煽ろうとする華楠に対し、三筒たちは真っ向から反論しつつ、攻撃の手は緩めない。
――そもそも、断片の王候補たる天魔武者は、ふたりともディアボロスが討ち取っている。
しかも断片の王を守る居城ゆえ、幾重にも守りを固めていたはずの日光東照宮にも、ディアボロスは巨大神像という切り札を投入し、一気に大城壁を崩し攻め入って来た。
――天魔武者にとっては、断片の王の喉元に刃を突き付けられかけになっている状況。
文字通り後がない状況ゆえ、クロノヴェーダ側も必死だ。
「砲撃への躊躇が沸き上がるかと思いましたが……敵方も必死なら気にかけていられませんか」
「まあそれでも、此方としてはあれこれ悩んで策を練る段階も終わりましたし、楽なものですわ」
後は潰しに潰すだけ、と言わんばかりに、エレオノーラも笑みを浮かべながら炎の翼と尾を生やし、三筒に肉薄する。
「わたくしが動けばそれで済む話ですもの。うふふ、東奔西走ですわね」
――西でも決戦が起こっていますし、忙しい事ですわ。
そう、笑顔で告げながら、エレオノーラは炎の翼で三筒を吹き飛ばし、尾で地面に叩き伏せた。
翼と尾の連撃を受けた三筒が、全身を焼かれ、事切れる。
それを見た残りの三筒が雪人を押しつぶさんと重力弾を発射し超重力を展開するが、雪人も残留効果で肉体を堅固にし凌ぎながら、再度竜笛を奏でた。
周囲の激戦を調伏するような澄んだ音色が、三筒を絡め取る見えない結界となり、動きを止め自壊する。
「……朱鉄参號とレックスⅣを犠牲にして得たこの好機。今さら止められるとは思わないことですね。陰陽師として調伏してあげます!」
華楠も決着をつけるべく、残った三筒に再度《蜈蚣》を召喚し嗾けた。
三筒も一斉にキャニスター弾を発射し、《蜈蚣》諸共華楠の排除を狙うが、《蜈蚣》も電光石火の勢いで三筒に肉薄し、躊躇なく大顎を開く。
キャニスター弾に胴を撃ち抜かれながらも、巨大な大百足の大顎は急ぎ車輪で後退しようとする三筒の胴をまとめて噛み砕き、スクラップに変えていた。
かくして、堀田一継の護衛を担っていた天魔武者は、全て排除された。
残るは徳川家康の御伽衆であり、ジェネラル級妖怪『堀田一継』ただひとり――!
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【泥濘の地】LV1が発生!
【温熱適応】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【植物活性】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
音羽・華楠
天正大戦国最初のジェネラル級妖怪、堀田一継――
……こいつが居なければ、鬼や妖怪は今ほど天正大戦国に跋扈することはなかったかもしれません……。
鬼妖に苦しめられる天正大戦国の人々は減ったでしょう……。
――故に、許すまじ!
平安鬼妖地獄変出身の陰陽師として、彼の改竄世界史の負の遺産、滅却します!!
ネメシス形態発動。
狐耳と尻尾が消え、黒髪黒瞳の人間の姿に。
一継が呪いの炎を操るなら、こちらが放つのは凶祓いの雷です!
強い言葉で己を鼓舞し、《雷幻想・駿馬》を発動。
招来させた雷の馬の式神を、一継へと突撃させましょう。
人の恋路――ではありませんが、天正大戦国奪還への道を邪魔するなら、《駿馬》で蹴り殺してあげます、一継!
一継の反撃の、重みを持った呪いの炎は、私自身が受けた場合は【ガードアップ】とネメシス形態での能力の上昇を頼りに耐えつつ、《駿馬》に攻撃を継続させます。
私をいくら呪いの炎の重みで縛ろうと、《駿馬》は止まりませんよ!
《駿馬》の方を狙われても、多少の重みで止まるほど私の式神は弱くありませんから!!
●
護衛のトループス級天魔武者『砲戦特化型天魔武者・三筒』が倒され、ひとり残されたジェネラル級妖怪『堀田一継』に、音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)は陰陽師として複雑な想いを抱いていた。
(「天正大戦国最初のジェネラル級妖怪、堀田一継――」)
「……こいつが居なければ、鬼や妖怪は今ほど天正大戦国に跋扈することはなかったかもしれません……」
――さすれば、鬼妖に苦しめられる天正大戦国の人々は減ったはず。
そう告げる華楠の声音には微かな憎悪が乗っているが、堀田一継は意に介することなく静かに告げた。
「私は徳川様に名誉あるお役目をいただき感謝しております」
その上で堀田一継は、しかし、と前置きし続ける。
「仮に自分がいなければ、他の者が今の私の役目を果たしたでしょうから、その仮定に意味はございません」
「くっ……」
静かに諭すような反論に、華楠は重ねる言の葉が思いつかない。
(「確かに、ジェネラル化の実験が行われていたのであれば、妖怪の誰もがジェネラル候補になり得ます……」)
――それでも、平安鬼妖地獄変出身の陰陽師として、これだけは為さねばならぬ。
「彼の改竄世界史の負の遺産、滅却します!!『地の果てまでも駆けよ、天にまでも昇れ! 汝、滑るように走る者――オン・アミリトドバン・ウン・パッタ・ソワカ!!』」
思いのたけを堀田一継にぶつけながら、華楠はネメシス形態へと変貌する。
狐耳と尻尾が消え、黒髪黒瞳の人間の姿を露わにしながら呪を唱え印を切ると、雷の化身である馬の姿の式神《駿馬》が顕現した。
「そちらが呪いの炎を操るなら、こちらが放つのは凶祓いの雷です! 行きなさい!」
華楠が命じると《駿馬》がいななき、突撃する。
「人の恋路――ではありませんが、天正大戦国奪還への道を邪魔するなら、《駿馬》で蹴り殺してあげます!」
その言の葉通り、《駿馬》は堀田一継に接敵すると同時に、前足で力強く蹴り上げた。
真正面から蹴り上げられ、堀田一継が僅かに体勢を崩す。
直後、重みを持つ呪いの炎が、華南と《駿馬》、両方を包み込んだ。
呪いに囚われ、華楠も《駿馬》の動きも一気に鈍るが、華楠は【ガードアップ】の恩恵で耐えながら叫ぶ。
「私をいくら呪いの炎の重みで縛ろうとも、《駿馬》は止まりませんよ! 多少の重みで止まるほど、私の式神は弱くありませんから!」
その叫びに呼応するように《駿馬》が再度いななき、呪いの炎を吹き飛ばすように再度両脚を蹴り上げる。
術者の怒りに呼応した式神の蹴りは、より重みを増した呪いの炎をものともせず、堀田一継の巨大提灯を蹴り上げていた。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【水面走行】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
遠宮・秋
天魔武者とか妖怪とかより先に、堀田一継って誰? ってなるよね
ちょっと調べてきたけど、豊臣秀吉に仕えててそこそこの地位があった人みたい?
妖怪ってことは元々は平安に居たんだろうけど、徳川家康が名前付けたのかな
戦国武将相手の武者修行っぽくはないけど、やったろうじゃん
大太刀「白河泡沫分」を手に堀田一継に挑むよ
なんか見るからに近接戦闘バリバリやりますってタイプじゃないよね
距離を取られないように他の復讐者とも連携して距離を詰め、一度詰めたら逃さないように張り付いて戦うよ
一太刀で三本の傷をつける『熊爪の太刀』を使用、提灯やその上から生えてる人間の胴体を切り裂く
近距離で戦うならあっちが放つ炎には特に注意しないとね、炎を刀で切り裂いたり受け止めたりしつつ、敵の側面に回り込むように回避、可能な限り直撃を避けてダメージを抑えていくよ
武士の恩だかなんだか知らないけど、日本を取られてこっちも黙っとくわけにはいかないんだよね!
●
ジェネラル級妖怪『堀田一継』を前に、遠宮・秋(アブノーマル中学生・g11768)は軽く首を傾げていた。
(「天魔武者とか妖怪とかより先に、堀田一継って誰? ってなるよね。ちょっと調べてきたけど、豊臣秀吉に仕えててそこそこの地位があった人みたい?」)
実際は秀吉だけでなく、信長にも、そして家康にも仕えていたのだが、それはさておき。
「妖怪ってことは元々は平安に居たんだろうけど、徳川家康が名前付けたのかな?」
秋の疑問とも質問とれる言の葉に、しかし堀田一継は口を噤んだまま答えない。
(「情報収集には応じない、と言われていたから、答えは期待していなかったけど」)
「戦国武将相手の武者修行っぽくはないけど、やったろうじゃん」
ならば実力を試すのみ、と気合を入れながら、秋は大太刀『白河泡沫分』を手に一気に間合いを詰める。
(「近接戦闘バリバリやりますってタイプじゃないよね。それなら!」)
間合いを詰める秋を見て、青白き炎を揺蕩わせている巨大提灯の妖怪は、提灯の口から青白き炎を吐き出した。
――逆説連鎖戦に置いて、彼我の距離は関係ない。
十分距離を詰め密接した秋の全身を、青白き炎が容赦なく包み込んだ。
「くっ……!」
青白き炎が重みを持ち、秋の全身を押しつぶそうとする。
それでも秋は、異様に纏わりつく炎を大太刀で斬り裂き、少しでも直撃を避けようとしながら、重みを増した大太刀を大きく振った。
『――熊爪の太刀!』
大仰に振られた大太刀は、同時に三本の斬撃を放ち、青白き炎を斬り裂きながら巨大提灯に確かな刀傷を穿つ。
たまらず下がった堀田一継に、秋は大声で思いのたけをぶつけた。
「武士の恩だかなんだか知らないけど、日本を取られてこっちも黙っとくわけにはいかないんだよね!」
「私も御役目を頂いた以上、あなた方をここで止めさせていただくまで」
堀田一継が巨大提灯から呪いの炎を吐き出す。
秋は炎の直撃を避けるよう移動しながら再度刀を構え、三本の斬撃を同時に放った。
三本のうち一本は、秋を押しつぶさんとする呪いの炎を僅かに斬り裂き散らし、秋の全身にかかる重みを軽減する。
「成程……」
散らされた炎を見て堀田一継が感心している間に、斬撃の残り二本が巨大提灯を斬り裂き、動物の爪痕のような傷を刻んでいた。
善戦🔵🔵🔴🔴
効果1【狼変身】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
宇佐美・アリス
アドリブOK
他の人達と積極的に連携していくわよ
現代日本川越市民
埼玉帰還の為にも止まってられないのよね
それにしても、妖怪まで武将の名前を名乗るのは、カオスね
火を使うなら、水で対抗といきましょうっか
水の剣舞で攻撃よ
召喚した妖精さん達のブレスで炎の勢いを削いでもらいつつ、水使いの力で強化した剣舞をお見舞いするわよ
他の人達の攻撃に繋がる様にフェイントを入れたり、攻撃の隙を埋める様に連続攻撃を仕掛けていくわよ
今回は【パラドクス通信】で連携もしやすいわね
浮いてるから【泥濘の地】が使えないのは残念
でも、誰かが叩き落してくれたら、遠慮なく使ってくわよ
これ以上距離は取らせないわよ
攻撃は、概念障壁と念動障壁のピーター君で潰されないよう支えてもらいつつ、シールドで炎の直撃を防ぐ感じいけるかしら?余裕があれば、妖精さん達のブレスとかでも軽減出来るかしら?使えるもの全部と、炎と言っても半分は呪い、足りない分は気合いでカバー
三間・勲
(連携アドリブ歓迎)
実験によってジェネラル級を作るとは、クロノヴェーダの生態は不思議でいっぱいですね
…ともかく、皆さんと2体の巨大神像が切り開いて下さった道です
絶対に勝って、天正大戦国の奪還戦へと繋げなくては
忠誠心の強い将は、特に要所を守る戦いと相性が良いはず
ヤ・ウマトでも決死の覚悟で使命を全うしようとする冥海機に何度も苦戦しましたから
一個体の戦闘力には惑わされず、しっかり警戒して挑みましょう
こちらも手を緩めず【ダメージアップ】を重ねて一気呵成に攻め込みます
パラドクスの力で召喚した機械兵器群は『堀田一継』を包囲するように広く配置
接近戦に挑む味方を援護する形で遠距離から一斉砲撃を仕掛けます
【パラドクス通信】もお借りしつつ連携に努め、味方の行動の合間を繋ぐように攻撃を行います
反撃に炎の鷹が飛んで来れば生成した「氷盾」で炎の熱と突撃から身を守りましょう
戦闘中の移動は最小限に留め、持ち場に専念して援護に徹します
一手ずつ着実に行動を重ねていけば、きっと勝利に繋がるはずです
●
日光東照宮陽明門前に救援機動力で駆けつけた宇佐美・アリス(兎に非ず・g01948)の視線は、ジェネラル級妖怪『堀田一継』の巨大提灯に向いていた。
「それにしても、妖怪まで武将の名前を名乗るのは、カオスね」
「実験によってジェネラル級を作るとは、クロノヴェーダの生態は不思議でいっぱいですね」
陽明門を護るジェネラル級に一太刀浴びせた後、救援機動力で駆けつけた三間・勲(漁火・g10186)もまた、戦国武将の名を持つ妖怪を前に首を捻っていた。
――天正大戦国で行われているという『妖怪のジェネラル化実験』。
何故、斯様な実験を行ったのかは謎に包まれているものの、堀田一継に聞いたところでおそらく答えてもらえまい。
「……ともかく、皆さんと2体の巨大神像が切り開いて下さった道です。絶対に勝って、天正大戦国の奪還戦へと繋げなくては」
勲は陽明門と堀田一継、両方を視界に収めながら、接近戦を挑む味方を援護しようと少しだけ後方に下がる。
「そうなのよね。埼玉帰還の為にも止まってられない」
アリスもまた、最終人類史の埼玉県川越市民として、決して退けぬとの想いを口にしながら、VORPAL SWORDを構えた。
●
(「忠誠心の強い将は、特に要所を守る戦いと相性が良いはず」)
そう分析した勲は、氷盾を半身を覆う程の大きさに生成し己が身を護りながら、パラドクスで敵を包囲するように機械兵器群を出現させる。
勲の意に従う機械兵器群は、堀田一継の逃げ場を断った上で一斉に攻撃を開始した。
堀田一継の全身に銃弾が叩き込まれ、煙幕に包まれるが、その程度で動きが止まるジェネラル級ではないことは勲自身も理解している。
「ヤ・ウマトでも決死の覚悟で使命を全うしようとする冥海機に、何度も苦戦してきました」
――だからこそ、戦闘力は低いと聞いていても、勲が惑わされることはない。
勲が警戒していると、やがて煙幕の中から堀田一継の声が聞こえて来た。
「私も、徳川様を仇なさんとするディアボロスを通すわけにはいきませんので」
その声と同時に、青白き炎が上がり、煙幕が焼き切られるように散らされた。
青白き炎は炎鷹の形をとりながら機械兵器群の隙間を縫うように掻い潜り、一気に勲に襲い掛かる。
勲も生成済みの氷盾を掲げ、炎鷹を受け止めようとするが、炎鷹は俊敏な動きで氷盾を避け、勲の腕を焼いた。
「ぐっ……!」
「あのように火を使うなら、水で対抗といきましょうか――『水の妖精さん、力を貸して』」
腕を焼かれ怯む勲を横目に、アリスも水の妖精たちを召喚し、VORPAL SWORDに水の力を宿しながら、フェイントを交えて堀田一継に剣舞をお見舞いする。
手にしたフェアリーソードの銘の如く、首を刎ねるかのような勢いで繰り出された剣舞は、堀田一継の巨大提灯の上から突き出している身体に幾合もの切り傷を刻み込んだ。
直後、提灯の口から青白き炎が吐き出され、アリスの全身を包み込む。
重みを持つ呪いの炎は瞬時に燃え上がり、アリスの身体を地面に押し付けていた。
●
「徳川様の元には行かせない……そう言ったはずです」
アリスに重みの炎を、勲に炎鷹を嗾けながら、堀田一継は空中からディアボロス達を見下ろす。
「……まだまだ!」
重みのある炎に対し、アリスも立ち上がりながら概念障壁を展開し、さらにサポート妖精のピーター君にも支えてもらいながらカフスシールドの防御力場で防ごうとするが、呪われし炎の勢いは強く、身体全体が地面に押し付けられそうになる。
(「炎と言っても半分は呪いなのよね」)
――ならば。
「足りない分は気合でカバーするわよ! 妖精さんお願い!」
アリスは妖精さん達にお願いし、ブレスで炎の一部を吹き飛ばさせ、隙間をこじ開ける。
再度炎でふさがれる前に、アリスはVORPAL SWORDを手に隙間を駆け抜け剣舞を披露しながら、堀田一継の巨大提灯に刃を叩き込んだ。
「やはり強いです。ですが――隙が見えました」
VORPAL SWORDが巨大提灯を深々と斬り裂いた瞬間、勲は氷盾で炎鷹の突撃を防ぎつつ機械兵器群を召喚し、堀田一継を包囲させる。
あえて戦闘中の移動は最小限に留め、持ち場に専念して援護に徹したからこそ、アリスの攻撃で生じた隙が見えた。
「……っ!」
機械兵器群に包囲された堀田一継の目が、微かに揺らぐ。
「――一手ずつ着実に行動を重ねて行けば、きっと勝利に繋がるはずです」
勲の言の葉に呼応するかのように、、機械兵器群は堀田一継を包囲し、胴体に集中砲火を浴びせる。
全方位から銃撃を浴びた堀田一継の身体が、ほんの僅かに揺らぎ――しかしすぐに体勢を立て直した。
●
断片の王への忠誠心が強い将は、己が役割に忠実に、ディアボロスを阻み続けている。
「できれば空中から落としたかったけど、なかなかうまくいかないものね」
「それでも、手傷は増やせました。この調子で油断せず繋いでいけば、道は開けるかと」
「それなら、もう少し繋いで、後続に委ねましょ」
勲の言葉に納得しながら、アリスがVORPAL SWORDをぐっと握りしめる。
そして、勲が再度機械兵器群を召喚するのに合わせ、アリスが再度堀田一継に向けて駆け出した。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【泥濘の地】がLV2になった!
【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【ラストリベンジ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV3になった!
フィーナ・ユグドラシア
※アドリブ、連携ok
断片の王の喉元まで到達出来ましたが、ここでその足を止める必要はないですね。
目指すのはこの先、家康の元。
全力で参ります、お覚悟を。
まず『氷槍』を発動し精霊達の力を氷槍として具現化、ユリウスもパラドクス化します。
また、雪の衣を纏い、敵の攻撃に備えます。
戦闘態勢を整えたら、ユリウスから氷の魔力弾に依る援護射撃を貰いながら、突撃して『氷槍』に依る刺突の一撃を加えます。
仲間の射撃の軌跡に紛れ込んだり、他に接近する仲間と連携して多方向から包囲するなど、他の仲間と攻撃タイミングを合わせて敵の意識に穴を作るように動きます。
仲間に意識が向くなら私が、私に意識が向くなら仲間達が狙うまでです。
氷槍で一撃を加えた後は接近戦を継続して敵の動きを阻害します。
攻撃の際には、口元や手元を狙って攻撃妨害、上から地面に押し込むなど体勢崩しを試み、仲間が攻撃し易いよう敵の注意を此方に引き付けます。
炎の鷹の集団に対しては、氷の魔力障壁を張って防御しつつ、氷槍と障壁を利用して突撃の軌跡を逸らし、受け流しです。
アドル・ユグドラシア
※アドリブ、連携ok
敵の迎撃態勢が完了する前に食いつけたのは上々だな。
だが、ここで踏み止まる気もない。
このまま突き抜けるぞ。
戦闘では紅蓮朱雀を発動。標的に接近すると共に左手を炎の巨腕とし、全身全霊を込めて防御諸共殴りつける。
お前も炎を使うようだが、その質は真逆か。
ならばどちらが打ち勝つかの勝負といこうか。
接近序でに言葉でも敵を煽るとするか。敵の注目を此方に引けそうだし、仲間の支援にもなる。
出来れば仲間とタイミングを合わせて攻撃する。
突進の流れに乗り、仲間のパラドクスとその軌道を一体化して目眩まししつつ、左手で殴りつける。
攻撃時は下手に敵を吹き飛ばさず、地面に叩き付けるように圧力を掛けて体勢崩しを誘発し、他の仲間が狙い易いように釘付けする。
無論、他に意識が向いてるならその意識外から痛打を入れてやる。
敵の怪談には、喉元や口元を殴りつけて黙らせるように動く。
文字通りの言論封殺だが、実際は手元や周囲の炎を活性化させる切っ掛けという可能性もある。
意識をしっかり保ち、降り掛かる炎も打ち払うとしよう。
フィリス・ローラシア
※アドリブ、連携ok
敵の本拠に取り付いて、これから正念場ですね。
終点まで突き進めるよう、私も加勢します。
戦闘ではリュカと一緒に攻撃です。
術式『人魚姫』を発動して精霊達と水の領域を戦場に展開、リュカにもパラドクスの加護を付与。
その後魔力を限界まで溜めてから、リュカと共に水流の砲撃を放ち、敵を撃ち抜きます。
なるべく他の仲間とタイミングを合わせて攻撃しますが、もし接近戦を仕掛ける方が居れば、私達の砲撃に仲間の姿やその攻撃を紛れ込ませるなどして、敵の気を逸らす支援も加えます。
あるいは、魔力充填の時点で此方に気を引けますかね?
敵が浮遊しているなら、単純に吹き飛ばすより、上から下に叩き付けるように撃ち抜いて体勢崩しを試み、仲間が攻撃し易い状況を誘発するのが吉。
敵の狙いが私に向くようなら、その隙にリュカに敵の死角に飛び込んで貰い、そのまま斬り込んで貰います。
その逆、仲間に意識が向くなら容赦なく不意打ちの砲撃ですよ。
敵の放つ炎の鷹は、氷の魔力障壁を張って防御、突撃の軌道を逸らして受け流し、直撃回避です。
●
日光東照宮陽明門を護るジェネラル級のひとり、ジェネラル級妖怪『堀田一継』に、ディアボロス達は着実にダメージを重ねている。
「敵の迎撃態勢が完了する前に食いつけたのは上々だな」
陽明門前に救援機動力で駆けつけたアドル・ユグドラシア(我道の求道者・g08396)も、積み重なった残留効果と、堀田一継に穿たれた数々の傷から、決戦の流れが徐々にディアボロスに傾いていると実感していた。
――巨大神像2体の破壊と引き換えに得られた、断片の王の居城に攻め入る機会。
如何に貴重な機会を手にしているかは、アドルはもちろん、フィーナ・ユグドラシア(望郷の探求者・g02439)も重く受け止めている。
「断片の王の喉元まで到達出来ましたが、ここでその足を止める必要はないですね」
「はい、敵の本拠に取り付いて、これから正念場ですね」
フィーナに同意しながら、フィリス・ローラシア(夢現の竜使い・g04475)は術式を編み上げ始める。
「だが、ここで踏み止まる気もない。このまま突き抜けるぞ」
「終点まで突き進めるよう、私も加勢します」
アドルが左腕を炎に包み巨大化させながら、じっと堀田一継を見据えるのに合わせ、フィリスも術式を発動する機を伺い始め。
「目指すのはこの先、家康の元。全力で参ります、お覚悟を」
そして、静かな声と共にフィーナがパラドクスで生成した氷槍を持ち雪の衣を纏い、堀田一継の元へと駆け出した。
●
真っ先に駆けだしたフィーナが堀田一継に肉薄し、氷槍を巨大提灯の口目がけて突き出す。
突き出された氷槍は、雪の精霊に導かれ、巨大提灯の口に吸い込まれた。
「ぐっ……!!」
己が肉体の一部とも言える提灯を貫かれ、堀田一継もたまらず呻き声をあげるが、すぐに巨大提灯から青白い炎を吐き出し、フィーナに放った。
青白い炎は鷹へと変貌し、高速でフィーナに迫る。
フィーナも氷の魔力障壁を展開しながら氷槍で炎鷹を逸らそうとするが、炎鷹は僅かに軌道を変えただけでフィーナの肩口を焼いた。
その隙に、アドルは炎を纏った腕を巨大化しながら、堀田一継に接近する。
「お前も炎を使うようだが、その質は真逆か。ならばどちらが打ち勝つかの勝負といこうか」
接近序でに言の葉で煽りながら、アドルは炎の巨椀を振り下ろす。
下手に敵を吹き飛ばさず、地面に叩き付けるように圧力を掛けて体勢崩しを誘発するよう、防御諸共殴りつけるように振り下ろされた巨腕は、堀田一継の頭に命中し、狙い通り大きく体勢を崩していた。
「くっ……!」
炎を浴びぬよう両腕で顔をガードしながら、堀田一継も口から怪談を紡ぐ。
怪談の言の葉ひとつひとつが呪いとなり、聴き手の魂を蝕むようなおどろおどろしい話が、アドルの魂を少しずつ蝕み始めていた。
「ぐっ……!」
アドルも気を張って意識を保とうとするが、呪いの言の葉は容赦なくアドルの精神を揺さぶり、気力を削ぐ。
「今助けます!『水の精霊達よ、疾く動き、我が意を持って敵を切り裂け……!』」
フィリスが【術式『電光石火の人魚姫』】を発動し、精霊たちと共に水の領域を戦場に展開しながら、魔力を充填し始める。
(「これでアドルさんから気を逸らせれば良いのですが」)
「この領域は……聊か厄介そうです」
アドルよりフィリスの術式を危険視したのか、堀田一継は青白き炎を鷹に変え、フィリスに放つ。
パラドクスの炎鷹は水の領域を突っ切り、フィリスを青白き炎で燃やさんと突撃するが、フィリスも急ぎ氷の魔力障壁を張って迎え撃った。
突如現れた魔力障壁に炎鷹が衝突し、僅かに軌道が逸れる。
障壁で本来の軌道から逸らされた炎鷹は、フィリスの肩を焼き、何処かへと飛び去った。
だが、炎鷹を防いでいる間に、魔力は十分充填された。
「吹き飛びなさい!」
今だ、とフィリスは術式を起動し、水流を砲撃の如く発射する。
十二分に充填された魔力が変換された水流は激流となり、青白き炎を呑み込みながら堀田一継を吹き飛ばしていた。
●
炎鷹が氷の魔力障壁や水流の砲撃と衝突し、炎の左腕を掻い潜るように呪われた怪談が紡がれる。
青白き炎に身体を焼かれながらも、氷槍の刺突は確実に巨大提灯を貫き、水流の砲撃は呪われし炎ごと妖怪の身体を撃ち抜き、炎の左腕が容赦なく巨大提灯を地面に叩きつける。
3人のうちの誰かに堀田一継の意識が向いているなら、他の2人が堀田一継の意識の外から容赦なく不意を討ち。
そして、3人が同時に動けそうなら、タイミングを合わせて同時に攻撃し痛打を与えてゆく。
そうして連携し緩急つけた攻撃を繰り返すうちに、堀田一継の巨大提灯と胴体に着実に傷跡が増えていった。
「少しずつ押している気はします」
「このまま畳みかける!」
フィーナが氷槍で口元や手元に刺突の一撃を浴びせ、堀田一継の動きを妨害している間に、アドルが再度炎の左腕を振り上げ、堀田一継の喉元を殴りつける。
(「文字通り言論を封殺しているが、呪われし怪談が手元や周囲の炎を活性化させる切っ掛けとなっている可能性があるなら、試してみてもいいだろう」)
「むぐっ……!」
口を徹底的に攻撃され、堀田一継も思わず声を詰まらせるが、それでも口から呪われし怪談を紡ぎ出す。
(「成程、怪談そのものがパラドクスなら、口を塞いでも語られるか」)
全く厄介なものだ、と内心呆れつつも、アドルは極力怪談から意識を逸らしながら気を張り続け、耐え抜いた。
そんなアドルの様子を見て、フィリスは少しだけ術式を組み替える。
(「本当は単純に吹き飛ばすより、上から下に叩き付けるように撃ち抜いて体勢崩しを試み、仲間が攻撃し易い状況を誘発しようと思っていたのですよね……」)
アドルが炎の巨腕で目眩ましや体制崩しを誘発させていたため、あえてフィリスは控えていたのだが、アドルが怪談対策に物理的な口封じを狙い始めた今なら、フィリスが控える理由もないだろう。
「行きます!」
フィリスは堀田一継の頭上から、地面に向けて水流の砲撃を放つ。
堀田一継も炎鷹をフィリスに嗾け、フィリスの腕を焼いて砲撃の狙いを逸らそうとするが、水流は容赦なく堀田一継の全身を撃ち抜き、地面に叩きつけた。
「合わせます!」
フィーナも氷槍を手に再度堀田一継に肉薄し、上空から降り注ぐ水流に紛れながら氷槍を突き出す。
水流を裂くよう突き出された氷槍は、水流に逆らい少しずつ浮かび上がろうとしている堀田一継の胴体に深々と突き刺さっていた。
次々とパラドクスを叩き込んでも、巨大提灯は未だ青白き炎を吐き出している。
だが、フィリスもフィーナも、そしてアドルも、その炎の勢いが少しずつ弱まり始めていることに気が付いていた。
――決着の時は、近い。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【寒冷適応】LV1が発生!
【壁歩き】LV1が発生!
【アイテムポケット】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
【ガードアップ】がLV2になった!
【グロリアス】LV1が発生!
エレオノーラ・アーベントロート
皆さんやる気ですわねぇ、わたくしとしては妖怪だろうと天魔武者だろうと、どちらでも何も変わりませんけれど。
愉しい戦いができるならばどちらでも大歓迎ですわ。それで――あなたはどちらでして?
あら、いいじゃありませんの。自分が強いと思いあがったまま死んでいく連中よりは愉しめそうですわ。
電磁レールガン「フェアレーター」と翼が一体になった機械竜のネメシス形態へと変身。翼より「第四十の魔弾【破鎧】」を投射し、堀田一継を狙いましょう。
怪談を語り、魂を蝕む敵に対し、積極的に攻撃を仕掛けていきましょう。遠距離からも撃てる弾ですけれど、特に距離を取る理由もありませんわね。
接近戦を挑む他の復讐者に混じって接近し、近距離からの弾丸で堀田一継を狙い、こちらの体力が尽きる前に仕留めましょう。
うふふ、ゾクゾクしますわね! やっぱり戦いはこうでありませんと!
文月・雪人
妖怪のジェネラル化か。
堀田一継といえば史実では、信長や秀吉の鷹匠頭であり、徳川家の御咄衆であったと聞く。
歴代覇王との縁を考えれば、天正大戦国で戦う者として相応しい名ではあるのだろう。
だが平安鬼妖地獄変を由来とする者は、鬼妖達だけじゃない。
俺もまた平安の地より彼らと戦い続けてきた『陰陽師』の一人として、
立ち塞がる妖怪を祓うべく、全身全霊を以て相対そう。
陰陽師としての狩衣姿のまま、瞳のみ赤く染めてネメシス状態に。
今回は額に角はなく人としての姿を貫く。
奪還戦へ向けて、決して負ける訳にはいかない。
互いの誇りと意地をぶつけ合う戦いに、
引き続き仲間と連携して挑み、
これまでの戦いの集大成として、大勲章の力も使って戦いの流れを引き寄せる。
奪還戦に向けた決意を力に変えて、
形代を紙吹雪の様に大量に放ち、『式神吹雪』のパラドクスを使用。
和紙と思って侮る事なかれ、氷雪の呪詛で呪いの炎を押し返して【ガードアップ】。
更に力の一部を宿した雪月花の刀による、
【ダメージアップ】な氷雪の呪詛を伴う斬撃で、大妖怪を滅しよう。
月下部・小雪
護衛の大砲の天魔武者さんはやっつけました。
これで、提灯お化けのジェネラル級、堀田一継さんだけです!
実験でジェネラル級にパワーアップされたみたいですが……あの提灯の姿は何か謂れとかあったの、でしょうか?
き、気にはなりますが今はやっつけて、陽明門をこじ開けるのがお仕事、です!
こ、怖い怪談をしてきて攻撃してくるみたいですが、ボ、ボクがお話を聞いている間にコダマは攻撃の準備をして、ください。
ボク達は巨大神像さんに託されてここまで来たのです。こ、怖い話くらいで立ち止まるわけにはいきません。
ビクビクしながらも精神を奮い立たせて、準備が整ったコダマ、【収束太陽光砲台型モーラット・コミュ】のコダマに砲撃の合図を送ります!
陽明門を守り切れず、心残りはあるかもしれませんが……お化けさんには太陽さんのピカピカのエネルギーを浴びて成仏してもらいましょう。
※アドリブ連携大歓迎
十野・樞
アドリブ連携歓迎
仲間と情報共有
有用な残留効果は拝借
陽明門――日暮の門と詠われた美しい門を、なんとまあ無粋で無骨な代物にしてくれたもんだ
……俺は酒が不味くなる話と言うか、美味く飲めなくなる状況は嫌いなんでね
素晴らしい門を肴に呑む状況、きっちり返してもらうぜ
縦横無尽に動く仲間の邪魔にならねえよう、また包囲が薄い場所がねえように注意して位置取るぜ
鷹匠らしく炎の鷹ときたか
ならばこちらは、聖なる大河を顕現せしめ、射止めるまでだ
あらゆるものをその激流で【彼方】に押し流し、魂魄を穿ち抉る怒濤の神槍ともなる大河だ
鷹ごと敵を呑み込みその動きを奪い、神槍化した怒濤で射止め、敵を串刺にしてやるさ
そしてそのまま敵が体勢を崩し隙となりゃ、仲間が攻撃を繋いでくれるだろう
敵攻撃には防御体勢を取り、ロッドと魔導書を盾とし【ガードアップ】で耐える
ゆっくり酒も呑めねえような有り様だが、仲間がここまで状況を進めてくれてるんだ
狸親父の顔を存分にぶん殴れるよう、力を尽くすぜ
●
日光東照宮陽明門を守護していた6体のジェネラル級の内、5体は既に討ち取られ、最後の1体となったジェネラル級妖怪『堀田一継』もまた、ディアボロス達に追い詰められている。
「護衛の大砲の天魔武者さんはやっつけました。これで、提灯お化けのジェネラル級、堀田一継さんだけです!」
巨大提灯や上半身に穿たれた傷跡に目を向けながら、月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)はモーラット・コミュ『コダマ』を呼び出す。
エレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)もまた、護衛戦ではあえて用いなかった電磁レールガン『フェアレーター』を手に取った。
「皆さんやる気ですわねぇ、わたくしとしては妖怪だろうと天魔武者だろうと、どちらでも何も変わりませんけれど、愉しい戦いができるならばどちらでも大歓迎ですわ」
――それで――あなたはどちらでして?
ジェネラル級との戦への渇望を隠さぬエレオノーラに、しかし堀田一継は静かに答える。
「私は徳川様に忠を尽くす立場ゆえ、徳川様の命に従いあなた方を排除するだけです」
「あら、いいじゃありませんの。自分が強いと思いあがったまま死んでいく連中よりは愉しめそうですわ」
楽し気にフェアレーターの銃口を向けるエレオノーラに対し、小雪は堀田一継の姿をじっと見つめながら疑問をひとつ。
(「でも、実験でジェネラル級にパワーアップされたみたいですが……あの提灯の姿は何か謂れとかあったの、でしょうか?」)
聞きたいところではあるが、堀田一継本人はおそらく語るまいと、小雪は疑問をあえて呑み込む。
一方、それ自体がひとつの城塞と化した陽明門を見て、十野・樞(有謬・g03155)は思わず嘆きの言の葉を漏らしていた。
「陽明門――日暮の門と詠われた美しい門を、なんとまあ無粋で無骨な代物にしてくれたもんだ」
歴史が改竄された世界――ディヴィジョンならではの光景を目にし、若干機嫌悪そうにしている樞を見て、文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は思索を巡らす。
(「妖怪のジェネラル化か……気になることは沢山ある」)
陰陽師としての狩衣姿のまま、瞳のみ赤く染めながら、雪人はあえて堀田一継に向け言の葉を紡ぐ。
「堀田一継といえば史実では、信長や秀吉の鷹匠頭であり、徳川家の御伽衆であったと聞く。歴代覇王との縁を考えれば、天正大戦国で戦う者として相応しい名ではあるのだろう」
ディアボロスが抱いて来た謎にはあえて言及せず、今の心情を言の葉に載せると、堀田一継の表情が僅かに緩んだ。
「お前の言葉は心地よい。自分の望みは、天正大戦国と徳川様を守る力なのだから」
(「反応してくれた……?」)
思わぬ反応に、雪人は赤く染めた瞳で堀田一継を見つめる。
だが、言の葉の嬉しさとは裏腹に、その瞳は少し陰りを潜ませているようにも見えた。
「ならば、ディアボロスを撃退して、その評価を手に入れてみせよう」
その言の葉を耳にした小雪が、モーラット・コミュ『コダマ』を呼び寄せる。
「き、気にはなりますが今はやっつけて、陽明門をこじ開けるのがお仕事、です!」
「……俺は酒が不味くなる話と言うか、美味く飲めなくなる状況は嫌いなんでね。素晴らしい門を肴に呑む状況、きっちり返してもらうぜ」
ロッドと魔導書を手にした樞と並ぶように、雪人も形代と雪月花を手にしながら朗々と宣言する。
「平安鬼妖地獄変を由来とする者は、鬼妖達だけじゃない。俺もまた平安の地より彼らと戦い続けてきた『陰陽師』の一人として、立ち塞がる妖怪を祓うべく、全身全霊を以て相対そう」
――鬼ではなく、人として。
――そして何より、ひとりの復讐者……ディアボロスとして。
「堀田一継、いざ、参る!!」
「では、なりたい自分になる為に、私も死力を尽くさせていただきます」
雪人の宣戦布告ともとれる言の葉とともに、堀田一継も応じ。
――陽明門を巡る最後の戦いが、始まった。
●
「さて、いきますわ。『【破鎧】解放――』」
エレオノーラはネメシス形態を解放し、フェアレーターと翼が一体になった機械竜の姿を露わにしながら、翼から【第四十の魔弾【破鎧】】を投射。
その名の通り強固な防御の破壊を目的とした魔弾は、着弾とともに衝撃波を発し、堀田一継の全身を激しく揺さぶった。
堀田一継も呪いの言葉を紡いで怪談を語り、エレオノーラの魂を蝕もうとするが、エレオノーラはあえて怪談が届く近距離から離れず、フェアレーターを向け続ける。
だが、エレオノーラに語られる怪談は、小雪の耳にも入っていた。
「こ、怖い、です……」
怖い怪談を耳にしてしまい、全身から震えが止まらない。
「ですが……ボ、ボクがお話を聞いている間にコダマは攻撃の準備をして、ください」
――ボク達は巨大神像さんに託されて、ここまで来たのだから。
「こ、怖い話くらいで立ち止まるわけにはいきません」
紡がれ続ける怪談にビクビクしながらも、小雪は託された想いを胸に精神を奮い立たせ、ソーラーパネルと巨大な砲身を2門装備したコダマにお願いする。
「『コダマ、一点集中狙い、です。クロスソーラーキャノン発射、です!』お願いします!」
小雪が射撃命令を出すと同時に、コダマはソーラーパネルを展開し電力を限界までチャージし、二条のビームを発射。
二条のビームはらせん状に絡み合い、堀田一継の上半身を貫いた。
「そうだね、俺達は負けられない。『吹雪となりて』」
雪人は呪を口にすると同時に形代を紙吹雪の様に大量に放ちながら、雪月花の銘を持つ刀に呪の一部を宿す。
放たれた形代は、堀田一継に纏わりつきながら氷雪の呪詛を降らせ、呪われし炎を鎮め始めた。
「呪いなら、呪いで……!!」
重みのある炎が雪人を包み込み、無理やり地面に押し倒そうとするが、雪人も氷雪の呪詛で炎を打ち消し、耐え抜く。
その間に、樞は縦横無尽に動く仲間の邪魔にならないよう、また包囲が薄い場所をつくらないよう注意しながら少し離れていた。
「鷹匠らしく炎の鷹ときたか」
ならばこちらは、と樞は軽く手を振り、パラドクスを発動する。
『Mors certa, hora incerta――』
樞の言の葉が静かに宙に紡がれると、堀田一継の周囲に聖なる大河が顕現する。
パラドクスに反応し、堀田一継も炎鷹を放ち樞を燃やそうとするが、あらゆるものをその激流で【彼方】に押し流し、魂魄を穿ち抉る怒濤の神槍ともなる大河は、炎鷹ごと堀田一継を呑み込み、押し流した。
●
互いの誇りと意地をぶつけ合う戦いは、先んじた仲間たちが積み重ねた残留効果とダメージもあり、ディアボロス優勢に進んでいた。
【破鎧】が巨大提灯を激しく揺さぶれば、氷雪の呪詛が宿る形代が炎を鎮めんと全身に纏わりつき、聖なる大河が神槍と化し炎鷹ごと魂魄を穿てば、クロスソーラーキャノンの二条のビームが螺旋となり巨大提灯を抉る。
堀田一継も呪われた炎を鷹のように放ち、呪いの言の葉で怪談を紡いで魂を削り、重みのある炎で全身を圧し潰そうとするも、ディアボロスも聖なる大河でまとめて流し、怪談に耐え、呪詛で炎を跳ね除けて応戦し、ダメージを最小限にとどめてゆく。
そうして積み重ねてきた想いが結実し、ディアボロス達は堀田一継を追い詰めていった――。
●
「大河の流れで敵が体勢を崩し隙となりゃ、仲間が攻撃を繋いでくれるはずだ」
樞は炎鷹をロッドと魔導書で防ぎながら、聖なる大河を魂魄穿ち抉る怒涛の神槍とし、堀田一継に向け放つ。
鋭き穂先を持つような大河が、炎鷹ごと堀田一継の全身を呑み込み、その魂魄を削り取った。
(「ゆっくり酒も呑めねえような有り様だとはつくづく思うが、仲間がここまで状況を進めてくれてるんだ」)
「だから、今は狸親父の顔を存分にぶん殴れるよう、力を尽くすぜ」
「ええ、貴方も是非、思いっきり殴ってやりなさいな」
樞に続き、エレオノーラも近距離から【破鎧】を投射し、巨大提灯ごと堀田一継の全身を激しく揺さぶってゆく。
怪談が耳に入り続け魂を蝕む状況では、エレオノーラの体力も削られてはいくが、エレオノーラも最初からこちらの体力が尽きる前に仕留めれば問題ないと割り切っているため、全く気にしていない。
「うふふ、ゾクゾクしますわね! やっぱり戦いはこうでありませんと!」
とはいえ、ずっと怪談を聞かされ続けているエレオノーラは、目に見えて消耗している。
同じ様に怪談を聞かされ続け、必死に耐えている小雪も、限界が近い。
(「え、エレオノーラさんが倒れる前に、た、倒さないと」)
「こ、コダマ、お、お願いします!!」
小雪がコダマにお願いし、クロスソーラーキャノンを発射させる。
二門のキャノンから発射された、電力を膨大なエネルギーに変換した螺旋状のビームは、巨大提灯を吐き出す炎ごと貫いた。
「陽明門を守り切れず、心残りはあるかもしれませんが……お化けさんには太陽さんのピカピカのエネルギーを浴びて成仏してもらいます!」
「ぐっ……!!」
その一射でとうとう浮力を失ったか、堀田一継の身体が地面に墜落した。
それでも、懸命に浮かび上がろうとする堀田一継の前に、雪人が立つ。
――この戦いは、天正大戦国で積み上げてきた戦いの集大成。
だからこそ、奪還戦へ向けて、決して負ける訳にはいかない。
天正大戦国への潜入が可能になった直後からずっと各令制国で戦い続け、得て来た想いを全てぶつけるように、雪人は魂に刻まれし大勲章の力も使い、氷雪の呪詛が籠った形代を放つ。
形代に籠められた呪詛は、巨大提灯から吐き出される重みのある炎を丸ごと呑み込み、凍らせた。
「……っ!!」
想定を超える呪詛の威力に、堀田一継の目が大きく見開かれる。
「こ、これは……!!」
己が精神を驚愕に囚われたまま、堀田一継は呪われた炎ごと全身を氷雪の呪詛に蹂躙され――沈黙した。
呪われた炎を全て吹き散らされた堀田一継は、ディアボロスの前で力なく項垂れている。
「徳川様、あなたに恩を返せず申し訳ございません……」
己を登用してくれた主への謝罪を口にした後、堀田一継は僅かに顔をあげ、雪人たちに言の葉を向ける。
「ですが、最期に死力を尽くさせてくれたあなた方ディアボロスに――感謝します」
そう、己が誇りを認めてくれたディアボロス達への感謝を口にしながら、堀田一継は消滅した。
●
「なりたい自分になるために、か」
ジェネラル級の姿が消えた陽明門を見回しながら、樞は堀田一継が零した言の葉を反芻する。
その言の葉の真意は、堀田一継が消滅した今、改竄世界史の闇の中に紛れてしまったが、小雪とエレオノーラは言の葉の断片から何か感じ取っていた。
「ひょ、ひょっとしたら、み、認められたかった、のでしょうか?」
「おそらく、断片の王からはあまり期待されていないと察していたのかもしれませんわね」
小雪とエレオノーラの推論に、雪人もそうだろうね、と首肯する。
「それでも、堂々としていたと思うよ。天正大戦国で戦う者として、そして断片の王に忠義を尽くす者としてね」
だからこそ、雪人の言の葉に、堀田一継も応えてくれたのだろう。
「と、とにかく、陽明門はこれで制圧、です!」
「ああ。狸親父の顔にようやく手が届くな」
嬉しそうな小雪の声に、樞は改めて護り手を全て失った陽明門に目を向ける。
要塞としての機能を失った陽明門は、それ以上ディアボロスに何も語ることはなかった――。
断片の王まで手が届くところまで迫った今、果たして断層碑文は何を語るのか。
本州・四国・九州全てを最終人類史に奪還するチャンスが迫る今、先の未来に一抹の不安を抱えながら、ディアボロス達はパラドクストレインに乗り、新宿島へと帰還した。
――ジェネラル級妖怪『堀田一継』、撃破成功。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【防衛ライン】LV1が発生!
【悲劇感知】LV1が発生!
【水面走行】がLV2になった!
【水源】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!
【命中アップ】がLV4になった!
【ラストリベンジ】がLV2になった!
最終結果:成功 |
| 完成日 | 2025年12月05日 |
| 宿敵 |
『堀田一継』を撃破!
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