リプレイ
ラキア・ムーン
フロリダに居て、太平洋渡って日本に行く……までならまあ分かるんだが
それが船旅でミッドウェー付近を通っているのは……経路がちょっとやんちゃ過ぎるな
出発点はサンフランシスコ辺りか?
UFOを使うとばかり思ってしまったな、先入観に囚われすぎたか
こちらが先に見つけるのが最上だが、今回は敵と同時又は敵が先でも問題あるまい
ならば飛翔で距離を稼ぎ広域を見つつ、敵からも見つけやすいように動くか
反射材を体を何個か付けて、太陽光を反射して目立つ様にしておこう
槍先に白い布を括り付けて、戦意が無いことを一応アピール
パラドクストレインから出撃
最大高度まで飛翔し、双眼鏡で全方位を索敵
発見できなければそのままの高度で日本方面へと飛翔
ある程度距離を稼いだら、再度周囲を索敵
高さを活用し、高い視点から船を探していこう
ミッドウェー辺りから日本だから、およそ西北西方面を経路に設定し飛翔で探す
敵からも見えやすいように、隠密は気にせずむしろ目立つ様に動こう
とりあえずは接触せねば始まらんな
面倒な話だ
アドリブ連携歓迎
一里塚・燐寧
キングアーサーの時みたいにいきなり出てくるのも覚悟してた所に、移動中を捕まえられるチャンスが来るなんてラッキーだよぉ
わざわざ船を使ってるあたりお忍びの活動なのかなぁ……?
【飛翔】を借りつつ、あたしは【パラドクス通信】を展開
音や光で目立ってマッコイに見つけて貰うとしても、向かった方向がまるっきり違うと上手くいかないかもぉ
その点、まず手分けして探せば、行き先の手掛かりになる航跡を見つけられる率は上がるしぃ……
もし向かった先が判らなかった時も、複数の場所で目立つことで相手が誰かの近くにいる可能性を上げつつ、引っかけるのに成功した人が通信で合図して合流する手が取れるでしょ?
捜索中は空中から水面を観察し、船やその移動の影響で起きた波の変化を探すよぉ
で、ある程度近づいた所でマッコイ側から見つけて貰う工夫としては……ロケットランチャーを空に向けてブッ放す!
時限信管を使い、空中で爆破して遠くまで爆発の光と音を届けて、何かが起きてるってマッコイに分かって貰うよぉ
んふふ、こんなアポ取りはきっと世界初でしょ?
●光条
ミッドウェー島近く……ラキア・ムーン(月夜の残滓・g00195)は大海原を眺めて、小さく息を吐く。
「フロリダに居て、太平洋渡って日本に行く……までならまあ分かるんだが――それが船旅でミッドウェー付近を通っているのは……経路がちょっとやんちゃ過ぎるな」
探す方の身になれと嘯けば、これはチャンスだよぉと一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は朗らかに言う。
「キングアーサーの時みたいにいきなり出てくるのも覚悟してた所に、移動中を捕まえられるチャンスが来るなんてラッキーだよぉ」
もしマッコイがUFOで移動していたなら、こんな機会もなかっただろう。
それはそうだと頷きつつも、ラキアは、小さく頭を振った。
「出発点はサンフランシスコ辺りか? UFOを使うとばかり思ってしまったな、先入観に囚われすぎたか」
「ワイズガイといえばUFOだし」
……考え、はて、と燐寧は首を傾げた。
「わざわざ船を使ってるあたりお忍びの活動なのかなぁ……?」
何故、海路なのか。
確かにエルドラードの海賊船も、並みの船とは違うが――などと、考えていても始まらない。
何はともあれ、捜索を始めねば。地図を眺めて進路は絞っているが、あまりにも眼前の光景が広大すぎた。
どれほど時間がかかるのかは解らないが、だからこそ、あまり時間はかけたくない――。
「……準備は、こんなものか」
ラキアは己の姿をみて、苦笑いをひとつ。
反射材をいくつか取り付け、愛用の槍に白い布を括り付けている。これは、遠目から自分の姿が目立つように――そして、害意は無いと伝わるように。
(「こちらが先に見つけるのが最上だが、今回は敵と同時又は敵が先でも問題あるまい」)
この姿で、最大高度――海面から五十メートルを飛翔する。
「とりあえずは接触せねば始まらんな――面倒な話だ」
「うん、よく目立つよぉ」
燐寧が頷けば、ラキアは嘆息し、魔力の翼を広げ、飛び立った。
方角はミッドウェー島あたりから日本を目指し、西北西――距離にして四千キロほどある。飛翔の最高速度をもっても、並みならぬ時間がかかる。
直線上をただ飛ぶだけでも広大な海上のことだ。
きらきらと光を反射するラキアの存在を感じつつ、同じく飛翔して別方角を見る燐寧は目を眇める。
(「見つけて貰う、が一番手っ取り早いのかなぁ」)
パラドクス通信の距離は半径九キロ内。それ以上離れれば、ラキアとの直接会話はできない……それでもひとりで探すよりは早いだろう。
或いは、見つけた後に、近づけばいいのだ。
彼女は海面を見つめる。船やその移動の影響で起きた波の変化――手がかりになれば、なんでもいい。
今までの戦いや調査で培った経験を元に、二人は黙々と飛ぶ。
方角的な手応えは間違いない。信じて、ただ最高速度を維持する……それとて遅く感じる程に、海は広かった。
数時間飛んだところで――燐寧が、次の手を仕掛ける。
(「……埒あかないしぃ、そろそろ、勝負かけてみようかな」)
飛翔を続けたまま、おもむろに構えたロケットランチャーで、空に爆音を響かせる。
角度を計算し、時限信管を利用した、激しい光と音を離れた場所で発生させる。
二人は爆風の影響を受けずに飛び抜くが、風が強烈に乱れた。さて、何処まで届いただろうか――少なくとも、空は見上げるだろう。
そして、きらきらと身体を輝かせるラキアを見つけてくれれば助かるのだが。
そんなことを考えて、変わらず海に目を凝らし続けていた燐寧の耳元に、ラキアの声が届く。
『見つけた――見つけられた、か?』
「やりぃ~、すぐ行くよぉ」
そうして空中に浮かぶラキアの元に駆けつけてみれば、眼下には一隻の海賊船……何の変哲も無いエルドラード式の海賊船があった。
白旗を大きく振るラキアを見て――海賊船側から、何やら声のような聞こえてくる。
だが、殺気立った気配はない。
「……ふむ?」
ラキアはその反応に、軽く眉を動かした。
二人は海賊船から、攻撃されるようなことはなかった――更には、誘導するように旗を振っているアビスローバーが見える……白旗では無かったが、その動作は降りて来い、という意味だろう。
ラキアと燐寧は従い、素直に船上に降り立つ。
攻撃されなかったのは当然なのかどうか。警戒は解かずに、ラキアは船を見渡す。
だが、あまり観察に割く時間はなかった――。
「こいつぁ、想定外のお客さんだ」
リアル・マッコイがもう目の前にいた――彼は、帽子を軽く持ち上げ、挨拶してくる。
「んふふ、こんなアポ取りはきっと世界初でしょ?」
燐寧がにこやかに笑う。
まったくだ、と相手は肩を竦めた。
その表情は読みにくいが、今のところ、敵意はないようである。
「俺達のファミリーを訪ねてこいとは言ったが、まさかな」
こんな形とはな――マッコイは笑って、
「ひとまず、狭いところだが、ディアボロスの乗船を歓迎しよう。仲間が居るなら、そいつらも迎えよう……で、本日のご用件は?」
戯けつつも隙のない気配で――問うてきた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV2が発生!
一里塚・燐寧
んふふ、マッコイ船長は話が早いねぇ
有り難くお邪魔させて貰うよぉ
攻撃の意思はない、と示すように持ってたロケランを背負って乗船するよぉ
用件はずばり商談の申し出だよぉ
前に仕掛けてくれたビジネスはとっても有益だったから、リピーターになっちゃった
それに……エルドラードの船で来てるってことは、今日は『お客様』抜きのお忍びでしょ?
だったら突っ込んだ話してもいいかなーって
それで、あたし達が買いたい『成果』は……コーサノストラが天正大戦国から手を引くこと
前々から戦国に目ぇつけててさぁ、うちのシマで因子の火事場泥棒や新人勧誘されたくないんだよねぇ
だけどタダで話は通せないのは判ってる。だから商談に来たワケ
例えばの話だけど、他勢力の情報とか拾ったクロノ・オブジェクトなんかは条件次第で出せるかもしれないねぇ
或いは……『お客様』への対処で協力してもいいかな?
あいつらがいたら、コーサノストラが勝ってもワイズガイが勝てるか怪しいもんねぇ
ま、今のは飽くまで一例ってことで
実際どーゆー条件ならいいか、船長の考えを聞きたいなぁ
●信頼より重いもの
「んふふ、マッコイ船長は話が早いねぇ、有り難くお邪魔させて貰うよぉ」
一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)はロケットランチャーを背負い――構える意思はない、というジェスチャーで――船に乗る。
しかしそれにしてもとリアル・マッコイは笑う。
「この海賊船を見つけるとは、さすがだぜ、おい、支度しな」
今日は気の利いた円卓などはないと思ったが、アビスローバーらが簡易的な椅子を用意して、マッコイはそれに悠然と腰掛けた。
対面に用意された同じものに、燐寧は躊躇なく座る。
臆す事無く自分に対峙する彼女に、マッコイは一瞥をひとつ。
煙草に火を点け、尋ねる。
「さて、もう一度訊こう。ご用件は?」
「ずばり商談の申し出だよぉ」
さらりと、燐寧は応じた。
「前に仕掛けてくれたビジネスはとっても有益だったから、リピーターになっちゃった――それに……エルドラードの船で来てるってことは、今日は『お客様』抜きのお忍びでしょ?」
反応をつぶさに捉えんと、その視線をマッコイから逸らさず、彼女は続ける。
「だったら突っ込んだ話してもいいかなーって」
不敵な笑みを浮かべれば、マッコイも正面から燐寧を眺める。
比較的友好的な態度をとる相手ではあるが――圧は感じる。下手なおべっかや媚びを許さぬ、ジェネラル級ワイズガイの圧。
ジョートーだよぉ、燐寧はますます笑みを深めて、言葉を紡ぐ。
「それで、あたし達が買いたい『成果』は……コーサノストラが天正大戦国から手を引くこと――前々から戦国に目ぇつけててさぁ、うちのシマで因子の火事場泥棒や新人勧誘されたくないんだよねぇ」
マッコイは煙草を咥えたまま、じっと話を聴いている。
「タダで話は通せないのは判ってる。だから商談に来たワケ――例えばの話だけど、他勢力の情報とか拾ったクロノ・オブジェクトなんかは条件次第で出せるかもしれないねぇ」
ほう、とこの時、相手が少し反応を見せた。
「或いは……『お客様』への対処で協力してもいいかな? あいつらがいたら、コーサノストラが勝ってもワイズガイが勝てるか怪しいもんねぇ」
――これは少し挑発が過ぎるか?
考えつつ、締め括る。
「ま、今のは飽くまで一例ってことで。実際どーゆー条件ならいいか、船長の考えを聞きたいなぁ」
徹頭徹尾、堂々と声を響かせ、マッコイにボールを投げる――暫し。沈黙が落ち……それを破ったのは、マッコイの哄笑だった。
「ガハハ、飛び込み営業でそこまで言えりゃ――大したもんだ。俺の部下になるんなら、いますぐ幹部にしてやるぜ、ガハハ」
その態度に、すぐに食いつかず、燐寧はマッコイを見つめ続ける。
「だが、商売相手としちゃ……足りねぇなぁ」
その眼差しが、鋭利な輝きを宿す。
ぐっと上半身を前に傾け、説き伏せるように彼は語る。
「口先だけじゃなく、大きな取引しようってなら、現物を目の前に持ってくるもんだ……俺達クロノヴェーダとディアボロス間じゃ、信頼なんて屁の突っ張りにもならねぇ――お互いに相手のキンタマ握り合うくらいじゃねぇとなぁ」
「……あたし、花も恥じらう乙女なんだけどなぁ」
混ぜっ返しつつ――様子を窺うに、マッコイは『相応の現品』があれば、取引に応じるという。その言葉は、嘘ではないだろう。
「さ、どうする?」
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
ラキア・ムーン
条件は理解した
私が貴方の立場でもそうする
言葉は嘘をつく
この場で完結し価値の確定した現物取引が妥当だろう
正大戦国から手を引く
これが何処まで成立するかの認識のすり合わせをしよう
第一段階としてこの船が引き返す
これは速効性も確認も容易だ
この取引において現物と言える、此方の最低ラインだ
次、天正大戦国への接触の中止
これはこの取引の結果そちらが起こす行動だ
約束故に、成立が難しい
一応その先の段階として、天正大戦国から手を引くもあるがまあ無理だな
私の認識は以上だ
この場では、引き返すまでを成立させるのが無難な気がするが…どうだ?
此方が出せる現物だか
アンカレジにあるクロノオプジェクト船の譲渡
これは船を連れてくるまで時間がかかる為待ってもらう必要がある
次は…巨大神像という物があった
それの心臓が1つなら譲渡可能だ
これなら早めに渡せるが、こっちとしてはオマケを付けてくれんと成立せんな
さてどうだ?
心情
正直、マトモに成立する可能性は低いな
信頼関係がない以上、どちらかが損をする
割に合わん、奴を逃がさん手を考える方がマシか
●次のフェーズ
次にリアル・マッコイの前に座ったのはラキア・ムーン(月夜の残滓・g00195)であった。
口先だけじゃなく、大きな取引しようってなら、現物を目の前に持ってくるもんだ――確かにな、と彼女は緑の眸を細めた。
「条件は理解した。私が貴方の立場でもそうする……言葉は嘘をつく――この場で完結し価値の確定した現物取引が妥当だろう」
マッコイの言い分は、何も難しいものではない。
ただ、ディアボロスにとって納得のいく取引となるのか――。
それを今より引き出していかねばならぬ。ゆっくりとラキアは切り出す。
「正大戦国から手を引く――これが何処まで成立するかの認識のすり合わせをしよう」
「いいとも」
マッコイは泰然と応じる。
軽く頷き、指をひとつ立てて、彼女は続ける。
「第一段階としてこの船が引き返す。これは速効性も確認も容易だ。この取引において現物と言える、此方の最低ラインだ」
またひとつ指を立て、
「次、天正大戦国への接触の中止――これはこの取引の結果そちらが起こす行動だ。約束故に、成立が難しい」
相手がどんな反応を示すか見つめて告げる。
場慣れしているマッコイの態度は変わらない――表情のわかりにくい造作ゆえに、尚更だ。
「一応その先の段階として、天正大戦国から手を引くもあるがまあ無理だな」
嘆息し……ラキアは、要望についてを締めくくる。
「――私の認識は以上だ。この場では、引き返すまでを成立させるのが無難な気がするが……どうだ?」
探るような視線を堂々と受け止め、マッコイは笑う。
「ハハ、取引ってのは言ってみなきゃ、始まらねぇもんだ――続けな」
――或いは、見抜かれているのやもしれぬ。
ラキアの内心としては、この取引成立を訝しんでいることを。信頼すべきか相手か――現物を引き渡して、約束を守るのか。
(「割に合わん、奴を逃がさん手を考える方がマシか」)
倒せるかどうかは解らないが――。
そんな牙を隠して、淡淡とラキアは
「此方が出せる現物は、まず、アンカレジにあるクロノ・オブジェクト船の譲渡。これは船を連れてくるまで時間がかかる為待ってもらう必要がある」
今すぐにとはいかないと彼女は告げ、もうひとつ、と続けた。
「次は……巨大神像という物があった――それの心臓が1つなら譲渡可能だ。これなら早めに渡せるが、こっちとしてはオマケを付けてくれんと成立せんな――さてどうだ?」
最後に、挑発するように睨み付ける。
「フム、妥当だな」
マッコイは大きく一度頷いて、ニヤッと笑う。
「クロノ・オブジェクト船は、ヤ・ウマトの技術だろう。なら、価値は低い。ってことで、神像の心臓とやらをいただこう」
持ってこれるんだろう、マッコイは確認するように囁く。
そして、問題ないというラキアの首肯を見るや、ハハッと軽く笑った。
「そいつを貰えるなら、退くぜ。心配するな、男に二言はねぇ。ただ――」
何を言うつもりか。ぴくりと、ラキアは軽く眉を動かした。
「ちと貰いすぎだな」
「む?」
「多少の融通を利かせようってことだ。侠気には答えんとな――まあ、神像の心臓とやらの現物を確認したら、だ」
マッコイはそう告げ、後は現物次第だ、と突き返す――ささやかなオマケをつけてくれるらしい。現時点での撤退……そして、差分程度の要望は受け入れてくれる可能性、と言おうか。
この取引を成立させるかどうか。
決断は、再びディアボロスに委ねられた。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【水面走行】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
一里塚・燐寧
きっちり価値を釣り合わせてくれるなんて良い男振りだねぇ
よし……その条件でうちらも承諾するよぉ
それじゃーまず、巨大神像の心臓って品がホラじゃないことを証明しとこっか
(必要ならパラドクストレインに戻って調達した後)神像の心臓を渡すよぉ
【アイテムポケット】で運ぶと楽だけど、この残留効果の存在を知られたくないから取り出す所は見せない
この装置は感情エネルギーを所定の容量分蓄積することができるんだ
あたし達のやり方でどうチャージしてたか、の資料も(地獄変や円卓の間の具体的情報を伏せた上で)添えとくけど、どう使うかは船長さん達次第だねぇ
さて、折角申し出てくれたオマケとして聞いときたいことがあるんだけどさ
コーサノストラの『お客様』ってイレギュラーな存在じゃん?
アレに支配されてたら、ワイズガイは戴冠の戦に望まれる勝者になれなくて詰んじゃうかもしれないよねぇ
そんな中で、船長や親交のある他のワイズガイが黙って従い続ける気かを聞きたいよぉ
もしそうじゃないならさ……今日の縁でまたお互いに協力できる事もあるかもねぇ?
●駆け引きの帰着点
リアル・マッコイのいらえに、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は商談成立、と頷く。
「きっちり価値を釣り合わせてくれるなんて良い男振りだねぇ――よし……その条件でうちらも承諾するよぉ」
「おうとも」
そういってマッコイは笑って煙草を吹かす――その態度は終始、変わらなかった。
ディアボロス側も不必要に狼狽えたりはしなかったので、ふてぶてしいな、という印象はお互い様かもしれない。
「それじゃーまず、巨大神像の心臓って品がホラじゃないことを証明しとこっか」
ちょっと待っててね、と彼女は一時船を離れ――神像の心臓を抱えて戻ってくる。
一メートルほどの神像の心臓は大変重たいが……此所はなんとか運び込む。
「ほう、コイツが……ふむ」
それを見つめるマッコイの表情から、内心は窺えない。
稀少なクロノ・オブジェクトと解っている以上、いずれ研究して扱えるようになるのだろうが――これも取引として、燐寧は軽くその機能について説明する。
「この装置は感情エネルギーを所定の容量分蓄積することができるんだ」
思えばこれは獣神王朝エジプトから遙々、様々なディヴィジョンを渡り……こんなところを渡っていくとは――。
「あたし達のやり方でどうチャージしてたか、の資料も添えとくけど、どう使うかは船長さん達次第だねぇ」
(「勿論、円卓の間や地獄変については濁してるけどぉ」)
燐寧は表情も変えず、さらりと告げる。
マッコイにしても、どう使うだとか、誰がなんとかするだろうという言葉は漏らさない。
「さて、折角申し出てくれたオマケとして聞いときたいことがあるんだけどさ」
善は急げと、彼女は切り出す。
「コーサノストラの『お客様』ってイレギュラーな存在じゃん? アレに支配されてたら、ワイズガイは戴冠の戦に望まれる勝者になれなくて詰んじゃうかもしれないよねぇ」
「ほう?」
相槌に頷いて――燐寧は朗らかに、しかし毒を孕んだ声で続ける。
「そんな中で、船長や親交のある他のワイズガイが黙って従い続ける気かを聞きたいよぉ――もしそうじゃないならさ……今日の縁でまたお互いに協力できる事もあるかもねぇ?」
「なるほど、言いたいことはわかった」
マッコイはそう言って、じっと燐寧を見た。
その目は炯々と――剣呑な輝きを一瞬帯びていた。
しかし、マッコイは今までの調子を崩さず、こう続けた。
「ディアボロスが奴らよりも良い取引相手になるんなら、考えてもいい」
その声音は――期待してない、という感情を隠していなかった。
「俺達クロノヴェーダとディアボロス間じゃ、信頼なんて屁の突っ張りにもならねぇ――さっきも言ったろ?」
現在進行形で、敵対関係なのは変わらない。
こうして、一時、戦闘以外の手段を選ぶことがあるだけだ。
とはいえ縁は縁。心臓を一瞥し、マッコイは泰然と煙草をふかせ、告げる。
「ま、期待はしねぇが……何かあるってんなら――お前らが出してる雑誌にでも伝言を出しな」
そして燐寧に、過激な火遊びは程々にな、と軽い調子で告げるや、部下達へ、指示を放つ。
「野郎ども、帰るぞ! お客さんを丁重にお見送りしろ」
ディアボロスとリアル・マッコイの交渉は、斯く決着し――天正大戦国に向かうことなく、空想科学コーサノストラへとマッコイを帰還させることに成功したのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【罪縛りの鎖】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!