リプレイ
鈍・長巻
※アドリブ連携歓迎
細川幽斎か。
明智光秀が助命を願うほどの人物とは、また厄介な輩に違いない。
だが京都を襲撃し、防げたとはいえ一般人を大量に殺そうとした連中だ。
大将の首は会談の行方を見つつの判断としても、配下共まで見逃す理由はない。
また配下の有無で幽斎から得られる情報も変わってくるかもしれないしな。
先ずは追撃を開始しよう。
逃走する大量の敵が相手だ、可能な限り仲間と連携して撃破、速やかに数を減らしていきたい。
『ツールインパクト』のパラドクスを使用。
【雨礫】の榴弾を敵近くの地面に叩きつけ、 【泥濘の地】に敵を捕らえよう。
逃走の足を鈍らせると共に体力を奪い、
反撃の嵐の如き勢いも削ぎ落としつつ、
【雷雨】の機関銃を盾代わりにして斬撃を受け流す。
敵が逃走と攻撃の何方を優先するか見極めつつ、
敵の動きに合わせて戦場を駆け、仲間の攻撃し易い位置へと敵を誘導、
仲間の攻撃へと繋げていこう。
まさか大軍ぞろぞろ引き連れて、停戦破って攻め込んでおきながら、
何事もなく帰れるだなんて思っちゃいないよな?
大人しく泥濘に沈め!
エレオノーラ・アーベントロート
わたくしとしてはどちらでも構いませんわ。
攻め込んできた輩をただで帰すのも気に入らない、弱い勢力を送り込んで懐は痛まないつもりの尼子も気に入らない。
どちらも気に入りませんから、どちらも叩き潰す――その順番が変わった程度で目くじらをたてるほど心が狭くはありませんの。
と言いつつ、まずは邪魔な連中の排除ですわね。
逃げる細川の軍勢、大群の抜刀剣客隊に横合いから攻撃を仕掛けますわ。
電磁レールガン「フェアレーター」を手に「第二十三の魔弾【赫燿】」を投射。赤く輝く破壊のエネルギーで敵を吹き飛ばしましょう。
他の復讐者とは可能な限り同時、かつ別方向から攻撃を加え、逃げる奴らを浮足立たせられるように。
とはいえ、使えない将と兵なら助命を嘆願することはないでしょうし、整然と対応はしてきそう――と言うより、そう願いますわ。
うふふ、せっかく来ているんですもの。適当に蹴散らして終わりなんてつまらない戦いにならないことを祈りますわ。
反撃の突撃と剣術による攻撃はフェアレーターを盾のようにして防御しますわ。
阪本・竜馬
アドリブ連携歓迎ぜよ!
折角の機会ぜよ。どうせ撤退するにしても何もしやあせんのはつまらんきに!
おまんらぐらいは減らしておかんとのう?戦力無傷で済むと思ったら間違いじゃ!
日ノ本の洗濯の一環、わしが天正大戦国の攻略に助太刀致す!覚悟せい!
剣術ならわしも負けん!
【陸奥守吉行のような刀】と【隠し小型銃】の二刀流で行くぜよ!
連携しつつパラドクス使いよって、突撃してきた敵も【ダメージアップ】した刀の衝撃と銃の跳弾で対応じゃ!
後は【竜眼】で防御、【改造靴】で回避を試みつつ敵の数を減らすのを優先するぜよ。
【泥濘の地】もありがたく借りておくかのう。足元がとられた所で仕留める!
そこの兵!約束破ってそのまま撤退はいかんぜよと大将に伝えておくんじゃな!
まあ、その時までおまんらが生き残ってるかは知りやせんが!
しっかし明智光秀も頭が回るっちゅうか何ちゅうか……。
助命を嘆願してくるとは考えたもんじゃき。見返りは何じゃろうのう?
●
――天正大戦国、丹波国。
パラドクストレインを降りた鈍・長巻(ある雨の日の復讐者・g03749)とエレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)、そして阪本・竜馬(世界を洗濯する力を・g11762)の3人は、丹後国へ向かい撤退する『文武両道』細川幽斎とその配下たちを発見していた。
「あれが細川幽斎か」
文武両道を象徴するように、勇猛な闘牛のレリーフを胸にあしらい、さらに書物を手にしたジェネラル級の姿を見て、長巻はぐっと『雷雨』の名を持つ機関銃を握り締める。
一方、竜馬は手を組み、気難しそうな表情を浮かべていた。
「しっかし明智光秀も頭が回るっちゅうか何ちゅうか……助命を嘆願してくるとは考えたもんじゃき」
「ああ。明智光秀が助命を願うほどの人物とは、また厄介な輩に違いない」
だが、と長巻は続ける。
「京都を襲撃し、防げたとはいえ一般人を大量に殺そうとした連中だ。大将の首は会談の行方を見つつの判断としても、配下共まで見逃す理由はない」
「ふふ。わたくしとしてはどちらでも構いませんわ」
電磁レールガン『フェアレーター』を構えながら、エレオノーラは続ける。
「攻め込んできた輩をただで帰すのも気に入らない。かといって、弱い勢力を送り込んで懐は痛まないつもりの尼子も気に入らない」
「それもそうだな」
「どちらも気に入りませんから、どちらも叩き潰す――その順番が変わった程度で目くじらをたてるほど、心が狭くはありませんの」
微苦笑を浮かべる長巻をよそに、竜馬は己が手元に手をかける。
「折角の機会ぜよ。どうせ撤退するにしても何もしやあせんのはつまらんきに!」
陸奥守吉行のような刀と隠し小型銃を手にしながら、意気揚々と宣言する竜馬を見て、長巻も首肯しながら。
「配下の有無で幽斎から得られる情報も変わってくるかもしれないしな――先ずは追撃を開始しよう」
「ええ!」
エレオノーラが首肯するのに合わせ、竜馬もまた得物を手に檄を飛ばす。
「日ノ本の洗濯の一環、わしが天正大戦国の攻略に助太刀致す! 覚悟せい!」
その声にトループス級天魔武者『天魔武者・抜刀剣客隊』の大群が振り向くのと同時に、3人は一気に駆け出した。
●
「『【赫燿】解放――』さあ、いきますわよ!」
エレオノーラが細川軍の横合いからフェアレーターを構え、『第二十三の魔弾【赫燿】』を投射する。
銃口から投射された電磁レールガンの実弾……否、エネルギーそのものは、赤く激しく輝きながら抜刀剣客隊の胴を滅茶苦茶に破壊した。
「ディアボロスめ……追い付いて来たか!!」
「細川様の居所まで通さんぞ!」
抜刀剣客隊も嵐の如き勢いでエレオノーラに突撃し、自慢の剣術で斬殺しようとするが、エレオノーラもフェアレーターの銃身を盾代わりに掲げ、刃を逸らした。
その間に、竜馬と長巻は抜刀剣客隊を挟み撃ちにするよう移動する。
「逃走する大量の敵が相手だ、可能な限り連携して数を減らそう」
「そのつもりじゃき!」
竜馬が頷くと同時に、長巻は『雨礫』の榴弾を抜刀剣客隊の近くの地面に投げつける。
地面にぶつかった榴弾は、爆発すると同時に周囲の地面を泥濘に変えた。
爆発に巻き込まれた抜刀剣客隊の足が泥濘に取られ、僅かに鈍る。
それでも、長巻を惨殺せんと深く斬り込まんと駆け出す抜刀剣客隊に、竜馬は刀を一振りし衝撃波を放ちつつ、小型銃から銃弾を発射した。
「今じゃ!『これを喰らっちゅうおまんらは耐えられゆうが?』」
竜馬の放った衝撃波と銃弾が、まるで命を与えられたかのように激しく舞い踊りながら、次々と抜刀剣客隊に衝撃を与え、全身を貫く。
抜刀剣客隊も刀を手に竜馬に斬り込み、一息に屠ろうとするが、竜馬は竜眼から魔力障壁を展開し、その刃を絡め取るように逸らした。
刃を逸らされた抜刀剣客隊の全身を跳ねた銃弾が貫き、衝撃波が胴を薙ぐ。
猛攻に耐えかねたか、抜刀剣客隊のうち2体が膝を折り――泥濘に全身を埋めた。
●
赤き破壊の光が戦場を貫き、榴弾が爆発する都度泥濘が広がり、衝撃波と跳弾が剣客を突き崩す。
剣客も整然と殺戮を目的とした自慢の剣術を繰り出すも、得物で流され、竜が如き魔力障壁で逸らされれば、自慢の刀もその役割を果たせない。
そして、抜刀剣客隊の刃が逸れれば、長巻が榴弾を投げながら抜刀剣客隊たちの立ち位置を誘導し、エレオノーラと竜馬が破滅の光と衝撃波、そして跳弾で撃ち抜き、突き崩す。
3人の連携と猛攻を前に、抜刀剣客隊はひとり、ひとりと倒れていき、あっという間に数を減らしていった。
そんな中、長巻は細川軍全体が逃走と攻撃の何方を優先するか、その動きを見極めていた。
後方に座している細川幽斎とその護衛は、今のところ動く気配がない。
配下を見捨てる気がないのか、それとも逃げるだけ無駄と腹をくくったのか――。
「まさか大軍ぞろぞろ引き連れて、停戦破って攻め込んでおきながら、何事もなく帰れるだなんて思っちゃいないよな?」
ならば、と長巻はあえて挑発混じりに抜刀剣客隊に呼びかけながら、雨礫を投擲する。
抜刀剣客隊も爆発と泥濘に足を取られながら、それでも負けじと反論した。
「ディアボロスこそ、呉で山中様の軍と事を構えて置いて、何を言うか!!」
(「いや、先に呉に攻め込んだのは尼子だろう……?」)
抜刀剣客隊の反論に、長巻は喉までせり上がった言の葉をぐっとこらえる。
――この停戦協定、他の大名視点ではほぼ確実に『明智光秀が勝手に締結した』という認識だろう。
一方で、尼子からの襲撃は、最初から停戦協定の範囲外だ。
ゆえに、この場で停戦破り云々と非難しても、おそらく水掛け論になりそうだが……。
(「認識の違いはありそうじゃが、わしも合わせるとしようか」)
「そこの兵! 約束破ってそのまま撤退はいかんぜよと大将に伝えておくんじゃな!」
竜馬もあえて『細川方が停戦を破った』という体を装いつつ刀から衝撃波を放ち、銃から弾丸を吐き出し敵陣を崩して行く。
「まあ、その時までおまんらが生き残ってるかは知りやせんが!」
「うふふ、せっかく来ているんですもの。適当に蹴散らして終わりなんて、つまらない戦いにはなりませんわよね?」
エレオノーラも竜馬のパラドクスに合わせ、フェアレーターを構えた。
(「将はともかく、兵は倒しても問題ないはずですし」)
可能な限り同時、かつ別方向から攻撃を加え、逃げる奴らを浮足立たせられるように射線を計算しながら、エレオノーラはフェアレーターのトリガーに指をかけた。
実際のところ、明智光秀は細川軍のトループス級については一言も言及していない。
ゆえに、ここでトループス級を全滅させたとしても、今後の交渉に影響はないだろう。
――あくまでも、明智光秀が気にするのは『細川幽斎の生死』のみだ。
(「そもそも、使えない将と兵なら助命を嘆願することはないでしょう」)
兵の助命がなされていないということはそういうことだ、と判断し、エレオノーラは優雅に微笑みながらトリガーを引き切り、斬り込んで来る抜刀剣客隊に向けて赤く輝く破滅の光を投射する。
投射された破滅の光は、残った抜刀剣客隊の真ん中で炸裂し――全てを呑み込んでいった。
●
赤き光が消えると共に、抜刀剣客隊の姿が消える。
この場に残った天魔武者は、細川幽斎とその護衛のみ。
(「さて、護衛は倒すとしても、細川幽斎はどうすべきだろうか……?」)
細川軍を見つめたまま、長巻は思考する。
明智光秀から助命嘆願が成されたことは、知人から聞いてはいるが、細川幽斎の運命をこの戦場にいるディアボロス達が握っていることに変わりはない。
もし、この場で細川幽斎を討ち取った場合、明智光秀との交渉は確実に決裂する。
交渉を優先するなら逃がす方が良いかもしれないが、逃がすにしても無傷で逃がしてやる謂れはないだろう。
(「もし、幽斎から情報を取るならば、痛めつけて追い込んだ方が取りやすくはなるか……?」)
だが、排斥力が働くまでに残された時間を考えると、それも難しくなりつつあるのも事実だろう。
細川幽斎を討つか、あるいは撤退を許すか。
撤退を許す場合、無傷で見逃すか、あるいは痛めつけるだけ痛めつけてから撤退させるか。
――決断は、この戦場にいるディアボロスに委ねられている。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【泥濘の地】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV2が発生!
バトラ・ヘロス
アドリブ、連携歓迎であります。
倒すにせよ撤退を許すにせよ、ある程度の打撃を与えて戦力を削いでおくに越した事はありません。
部下を排除して追い詰めれば、駆け引きもしやすくなるでしょう。
無双馬に騎乗して、木々を避ける様に駆けながら敵部隊側面に回り込みます。【パラドクス通信】で仲間と交信し、状況を伝え合いながら追撃します。
護衛部隊を狙います。
【檻柵陣】を使用し、足軽達の足元から無数の杭槍を撃ち出し串刺しにしてゆきます。
生成した槍を柵にして敵の移動を阻害し、部下達を指揮官から引き剥がします。
敵群を囲み包む様に生やした杭槍の檻を避雷針に使い、反撃の電撃の軽減を図ります。
射線上に構えた魔力盾スクトゥムで雷を受け止め、ダメージを抑え耐え抜きます。
細川幽斎は兎も角、配下を生かしておく理由はありません。
ジェネラル級の護衛ならば腕も確かな筈。余計な事を考えながら戦える相手ではないでしょう。全力で対峙し殲滅するであります。
鈍・長巻
※アドリブ連携歓迎
あれだけいた敵兵も、随分と減ってきたな。
仲間の存在が頼もしい。
幽斎の背中も見えているこの状況、続けて護衛を倒して焦らせて、
場の流れを此方側へと引き寄せたいところだ。
引き続き【泥濘の地】で敵の逃走の足を鈍らせつつ、護衛へと攻撃を仕掛けていこう。
仲間と【パラドクス通信】で連携、可能ならバトラとは反対側の側面へと回り込み、
左右からの攻撃で敵の陣形を崩す事を狙いたい。
腰に差した妖刀を抜刀し、『スピアウォール』のパラドクスを使用する。
パラドクスに反応して咄嗟に突撃してくる敵に対して、
刀を突き出し槍衾を具現化させ、敵の勢いも逆手に取る形で攻撃する。
迫る追手に敵はどう動くだろうか。
護衛なら雑兵と違い、散り散りに逃げはしないだろう。
主の防御を固めるか、逃がす為に追手を足止めするか。
【反撃アップ】で敵の動きを読みつつ、戦況を見極める。
緩急をつけた攻撃で、此方のペースに引き込む形で突撃を誘い、
着実に戦力を剥ぎ取っていこう。
さあかかってこいよ足軽兵共、逃げるばかりじゃ護衛は務まらない、だろ?
エレオノーラ・アーベントロート
ごきげんよう。どちらに行かれますの?
あんなに情熱的にアプローチしていましたのに……あら、もしかして押してダメなら引いてみろ――というやつでしたの?
うふふ、それは乗せられてしまいましたわね。
遠慮なんてされないでくださいませ。わたくし――土足で人の土地に踏み入った輩は、踏みにじり返したくなる性質ですの。
電磁レールガン「フェアレーター」を手に戦闘。
遠距離より「第六十五の魔弾【轟雷】」を投射し、敵陣内部で炸裂、三段をまき散らす弾丸で足軽天魔武者たちを攻撃しましょう。
お二人が回り込むならわたくしはこの場ですわね。包囲できる襲撃側の利点を活かし、複数の方向から攻撃を仕掛け、こちらの攻撃への対応がしづらいように。
どれほど効果があるかは分かりませんけれど、【通信障害】も使っておきましょう。
ダメで元々、大将と護衛の間の指揮を多少なりとも遮断できれば僥倖、くらいの気持ちで。
さて、残るはあなただけですけれど――ここからどうしますの?
●
「逃がすか!」
鈍・長巻(ある雨の日の復讐者・g03749)とエレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)のふたりは、ジェネラル級天魔武者『『文武両道』細川幽斎』軍の一角を担っていたトループス級天魔武者『天魔武者・抜刀剣客隊』を全滅させた勢いで、細川幽斎を護衛しているトループス級天魔武者『足軽天魔武者』の集団に肉薄する。
その背後からは、無双馬に『青縞』に騎乗したバトラ・ヘロス(沼蛙・g09382)が、木々を避ける様に駆けながら細川軍の側面に回り込もうとしていた。
『長巻さん、エレオノーラさん、自分も助太刀するであります』
『助かる。頼もしいよ』
【パラドクス通信】越しに仲間と交信しながら、バトラは改めて細川軍に目をやる。
大群のトループス級を全滅させたからか、細川軍を構成する天魔武者の数も随分減ったように見えるが、バトラは決して油断しない。
(「ジェネラル級の護衛ならば腕も確かな筈。余計な事を考えながら戦える相手ではないでしょう」)
『倒すにせよ撤退を許すにせよ、ある程度の打撃を与えて戦力を削いでおくに越した事はありません。部下を排除して追い詰めれば、駆け引きもしやすくなるでしょう』
『ええ、わたくしたちも部下は排除するつもりですの』
首肯するエレオノーラに続き、長巻がバトラに伝える。
『幽斎の背中も見えているこの状況、続けて護衛を倒して焦らせて、場の流れを此方側へと引き寄せたいところだ』
――だから。
『速攻で護衛を排除する!』
長巻がそう告げながら、バトラと反対側の側面に回り込み始める。
エレオノーラも、挟み込むよう移動している二人を見て、細川軍の真正面から電磁レールガン『フェアレーター』を構えた。
●
「行きます!『ヴァルス!』」
バトラは無双馬で駆けながら、足軽天魔武者らに向けパラドクスを発動する。
足軽天魔武者の足元から、突如杭状の槍が撃ち出されるように生え、足裏から両脚を裂くように貫いた。
「怯むな! 細川様を守れ!!」
「発射!!」
足軽天魔武者も魔導槍を構え、電撃を放ちバトラを絡め取ろうとするが、バトラも杭槍を避雷針のように利用し電撃を弱めながら、魔力盾スクトゥムで電撃を受け止めた。
長巻もバトラと正反対の位置に辿り着くと、妖刀を抜きながらパラドクスを発動する。
「逃すか! 突撃ーっ!!」
その気配を察した足軽天魔武者が、魔導槍を構え一斉に突撃した。
槍が長巻に届くか、と思われたその時、足軽天魔武者の目前に槍衾が具現化する。
慌てて魔導槍を引こうとしたが間に合わず、足軽天魔武者たちは槍衾に激突し、全身を貫かれた。
バトラと長巻の攻防一体のパラドクスで、足軽天魔武者達にはそれなりの傷を負わせたが、まだ倒れる様子はない。
「小癪な技を――」
「――あらあら、それでよろしいのかしら?『【榴散】解放――』」
ダメージを追いつつもなおも動こうとする足軽天魔武者を見て、エレオノーラがフェアレーターから【第四十二の魔弾【榴散】】を投射する。
敵陣向けて投射された魔弾は、バトラと長巻のパラドクスを受けた足軽天魔武者の足元で散弾よろしく破裂し、多数の小さな弾丸をばら撒いた。
「構うな、突撃!!」
足軽天魔武者も、散弾を全身に受けながら魔導槍を構え突撃するが、エレオノーラはフェアレーターの長い銃身で魔導槍を絡め取り、逸らす。
魔導槍の目標を逸らされよろめく足軽天魔武者の背後から、残りの散弾が襲い掛かり、背中をズタボロに撃ち抜いていた。
●
泥濘が広がる地面から杭槍が突き出し、槍衾が天魔武者の視界を遮る。
足軽天魔武者らも避けながら突撃し、電撃を浴びせようとするも、狙ったように投射される【榴散】が足を貫き、胴を叩くため、思う様に動けない。
一方、ディアボロス側は、逐一【パラドクス通信】でお互いの様子を伝えあいながら、常に三方向から緩急交えた攻撃を仕掛け続ける。
ジェネラル級の護衛を任されるだけあり、確かに目前の足軽天魔武者は強いが、ディアボロス達も綿密に練り上げた作戦と連携を持って当たっている。
その結果、護衛たる足軽天魔武者は、機動力と魔導槍の性能を十全に発揮できないまま、ひとり、またひとりと泥濘に沈み始めていた。
(「あれだけいた敵兵も、随分と減ってきたな」)
仲間の存在に頼もしさを感じながら、長巻は常にバトラと挟み撃ちにするよう移動し続ける。
「いかん、細川様から離れすぎては――」
その動きを見て足軽天魔武者の一部が後退しようとするが、すかさずエレオノーラが声をかけた。
「あら、ごきげんよう。どちらに行かれますの?」
「本来の責務を果たすだけだ」
「剣客たちはあんなに情熱的にアプローチしていましたのに……」
もしかして? と唇に指を当てながら、エレオノーラはやや挑発気味に言の葉を投げかける。
「押してダメなら引いてみろ――というやつでしたの? うふふ、それは乗せられてしまいましたね」
そう告げつつ、エレオノーラはさりげなく細川幽斎に目をやるが、今のところ護衛にディアボロスの排除を命じたっきり、動く気配はない。
一応、【通信障害】も発動し大将と護衛の間の指揮を遮断できないかと試みてはいたものの、お互いの声が届く距離だからか、目立った効果は見られない。
(「まあ、命令が届こうが届くまいが、やることは変わらないのですが」)
「細川幽斎は兎も角、配下を生かしておく理由はありません」
全力で倒すのみ、と声に出す代わりに、バトラはパラドクスで杭槍を生成し、足軽天魔武者の足元から撃ち出し少しでも移動を阻害しながら着実に傷を重ねてゆく。
「さあかかってこいよ足軽兵共、逃げるばかりじゃ護衛は務まらない、だろ?」
長巻もまた、挑発よろしく投げかけた言の葉に乗って来た足軽天魔武者の目前に槍衾を具現化させ、全身蜂の巣になるよう貫いた。
「さて、これで終わりにしましょう」
エレオノーラも【轟雷】を投射し、残った足軽天魔武者の足元で炸裂させる。
たまらず足軽天魔武者たちも突撃しながら散弾を避けようとするが、その行く手に杭槍と槍衾が現れた。
制止しようにも間に合わず、足軽天魔武者たちは足元から杭槍に裂かれ、槍衾に全身を貫かれる。
杭槍と槍衾が消える頃には――足軽天魔武者は全て消滅していた。
●
護衛たるトループス級は、全て丹波の地に沈んだ。
残る細川軍は――細川幽斎、ただひとり。
「さて、残るはあなただけですけれど――ここからどうしますの?」
フェアレーターの銃口を細川幽斎に向けるエレオノーラに、細川幽斎は気難し気な声音で応える。
「むむ、ディアボロスと刃を交える状況は避けるべきじゃが、やむを得まいか――ここは通してもらう」
最後まで諦めるつもりはない、と言葉にする代わりに、細川幽斎は片手に大太刀を、もう片手に和歌集を持ち、臨戦態勢を取った。
そんなジェネラル級を見て、長巻は【パラドクス通信】でエレオノーラとバトラに伝える。
『情報を取るべく、できれば少しでも痛めつけておきたいところだが、残された時間はあまりないな』
『ですが、部下がいなくなったことで、少しでも駆け引きをしやすくなったはずです』
『どちらにしても、ジェネラル級の生死はわたくしたちが握っていることに変わりはないですわ。わたくしたちの御心のままに動いてよろしいかと』
『……そうだな』
バトラとエレオノーラからの返答を受け、長巻は改めて細川幽斎に目を向けた。
細川幽斎を撃破するか、それともあえてここで見逃すか。
彼の運命は――ディアボロスの手中にある。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【防衛ライン】LV1が発生!
【怪力無双】がLV2になった!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
鈍・長巻
■方針
尼子氏の内部情報と引き換えに、細川幽斎の撤退を許す
刀を突きつけての会話から取引へ
光秀に停戦を結ばせて、此方の油断を誘った上で攻め込むとは、細川幽斎、中々の策士じゃないか。
防げたとはいえ、一般人を狙った事の意味は大きい。
勿論、追われる事も覚悟の上なんだよな?
尼子に脅され仕方なく?
そんな理屈が通るほど甘くはない……と言いたい所だが、成程、其方も一枚岩ではない様だ。
ならば取引の余地もなくはない。
今回の襲撃、指示したのは尼子晴久なのだろう?
一般人に狙いを定めたやり口は、俺達にとって許し難い事だ。
対抗する為に尼子氏内部の情報が欲しい。
対価としてこの場を見逃す事も出来なくはないが、どうする?
『尼子晴久の月山富田城』は難攻不落の城らしいが、
それでも奴がここまで躍進出来た理由が分からない。
明智光秀の技術力をも差し置いて、周辺諸国が逆らえない程の秘密兵器でもあるというのか?
会話の中にさりげなく晴久の居城の名前確認を忍ばせつつ、
撤退を許すための取引材料として、それ以上の内容の尼子氏の内部情報を得たい。
●
トループス級を全て排除され、唯一残されたジェネラル級天魔武者『『文武両道』細川幽斎』の目前に、鈍・長巻(ある雨の日の復讐者・g03749)は妖刀を手に前に進み出る。
(「尼子氏の内部情報と引き換えに、細川幽斎の撤退を許すなら今だろう」)
長巻は取引を持ち掛けるべく、刀を突き付けようとして思い直す。
(「目の前のジェネラル級は無傷だ。これでは俺たちはジェネラル級を追い詰めたとは言えない」)
「否――どうやら、戦いはこれまでのようじゃな」
無傷の細川幽斎を前に長巻が迷っていると、細川幽祭は大太刀の切っ先を地面に突き刺し、これ以上攻撃の意志がないことを見せる。
その様子を見て長巻も渋々妖刀を納め、代わりに言の葉の刃を突き付けた。
「光秀に停戦を結ばせて、此方の油断を誘った上で攻め込むとは、細川幽斎、中々の策士じゃないか。結果的に防げたとはいえ、一般人を狙った事の意味は大きい。勿論、追われる事も覚悟の上なんだよな?」
舌鋒鋭く指摘する長巻に、細川幽斎は是も否も口にしない。
「今回の襲撃、指示したのは尼子晴久なのだろう?」
細川幽斎の沈黙を肯定と判断し、長巻はあえて取引を持ち掛ける。
「一般人に狙いを定めたやり口は、俺達にとって許し難い事だ。対抗する為に尼子氏内部の情報が欲しい。対価としてこの場を見逃す事も出来なくはないが、どうする?」
「成程。情報と引き換えに儂を見逃し、丹後に帰すと――ふむ」
細川幽斎はしばし思案し、そして推測を述べる。
「――おそらく、今頃近江で、明智殿がディアボロスと交渉しておるのだな?」
思わぬ一言に、長巻は驚愕を表情に出さぬよう努め平静を保つしかできない。
先ほど、あえて反論しなかったのは――取引を持ち掛けた背景を全て見抜いたからだろう。
(「成程。この有能さ、明智光秀も助命嘆願するはずだ」)
「詳しい経緯はあとで、明智殿に確認をさせてもらうが……お主らが儂を見逃すならば、いくつか問いには応えられよう」
「尼子に脅された――そんな理屈が通るほど甘くはないと言いたい所だが、成程、其方も一枚岩ではない様だ」
然り、と細川幽斎が頷くのを見て、長巻はどうしても知りたい質問を口にする。
「『尼子晴久の月山富田城』は難攻不落の城らしいが、それでも奴がここまで躍進出来た理由が分からない。明智光秀の技術力をも差し置いて、周辺諸国が逆らえない程の秘密兵器でもあるというのか?」
「そもそも山陰・山陽は、豊臣方の毛利と、徳川方の尼子に二分されていた。徳川様が断片の王になり、毛利が尼子に敗れ滅ぼされたならば、断片の王の威を借りる尼子の命令には逆らえぬよ」
秘密兵器ではなく、断片の王が徳川家康になった影響だと示唆しつつ、細川幽斎はもうひとつ、と伝える。
「尼子晴久の根拠地は、お主が口にした『出雲国の月山富田城』にある。尼子は山陰・山陽を席巻し九州にまで手を伸ばしているとはいえ、本拠地と呼べるのは『出雲国・備中国・備後国』くらいだろう」
「成程……」
「これ以上は、明智殿と話し合ってみなければ応えられぬな――お主らも、儂も」
話はここまで、と口にする代わりに、細川幽斎は大太刀を地面から引き抜く。
「ディアボロスはやはり強い、今は、これ以上戦わなくて済む事に感謝しよう――では」
その言の葉を残し、細川幽斎は丹後国へと撤退していった。
撤退するジェネラル級の背を見送りながら、長巻はぽつりと呟く。
「……急ぎ、明智と交渉している知人に知らせよう」
この結果が交渉にどう影響するのか、思索を巡らしながら。
長巻は、他のディアボロス達と共に新宿島へと帰還した。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!