ミスカトニック大学潜入作戦

 攻略旅団の作戦により、アーカムの最重要施設の一つと想定される『ミスカトニック大学』への潜入作戦を実施する事になりました。
 アーカム探索行を成功させた事で、アーカムの街に入る事は出来ましたが、『ミスカトニック大学』には、ワイズガイを含む多くのクロノヴェーダが、敷地内の警備、或いは、学生や教師、研究者として所属している為、ディアボロスが潜入するのが非常に難しくなっています。
 ただ、パラドクストレインの予知により、ミスカトニック大学の教授の一人が、大量の研究資料を校内に運び込もうとしている事が判明しました。
 この教授と接触、大量の荷物に紛れて、ミスカトニック大学への潜入を行いましょう。
 潜入後は『ミスカトニック大学の探索』を行いつつ、クロノヴェーダが多数徘徊する敷地からの脱出を行ってください。

ミスカトニック大学の怪(作者 秋月きり
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「皆様。空想科学コーサノストラのアーカムについて、報告書は読まれているでしょうか?」
 最終人類史新宿島新宿駅ターミナル。時先案内人シルシュ・エヌマエリシュ(ドラゴニアンのガジェッティア・g03182)が静かに語り出す。復讐者達はそれをただ、静かに聞き入るのみであった。
「アーカムの港町の一部では、人々が狂気に陥っていて、何とも凄まじい状態だったようです」
 市街はまだ、日常生活がまともに送れている人が多いようだが、それでもその背後に渦巻く狂気の片鱗が見え隠れしている。
「そんな中、アーカム市に存在する『ミスカトニック大学』への潜入調査が提案されました」
 最終人類史に於けるミスカトニック大学は空想の産物だが、しかし、空想科学コーサノストラでは異なるようだ。と言うか存在している。様々な歴史改竄が行われている改竄世界史の中の話だ。架空存在が実在することは、むしろ当然と言えば当然だったかも知れない。
「ミスカトニック大学は、アーカムでも非常に重要な位置にある施設のようです。よって、この地を探索することで、アーカムの深淵に触れる事が可能やもしれません」
 しかし、そのミスカトニック大学だが、非常に警戒が厳しい。
 具体的に言えば、ワイズガイ含む多数の歴史侵略者が周辺を警戒している上、大学内にも警備員が存在するし、学生や研究者と言った立場で数多の歴史侵略者が紛れ込んでいるようなのだ。
「その為、正攻法で潜入を試みても、失敗するのがオチでしょう」
 つまり、幸運に任せて突っ込めば、発見され、叩き出されるならまだしも、それ以上の恐ろしい『何か』があっても不思議はない。ある意味、それは望むところかもしれないが、そうなったホラー小説の登場人物やその周囲は悲惨な末路を辿るのが定石だ。避けた方が無難だろう。
「そう言う訳で、無理筋と思われた提案ですが……何とか攻略旅団提案によって特別な予知を見ることが出来ました」
 言い切る彼女の声は、物凄く疲労感が溢れていた。
 よく見れば目の下には巨大な隈が出来ており、白い肌も若干、色艶がよろしくない。蜂蜜色の髪も心なしかくすんでおり、紫の目は虚ろに見える。そう言えば会話の感じもいつもより大人しい――否、テンション低めに感じられた気がした。
 ブラック企業で上司に無理難題を命じられ、何とかそれをこなした社員、との雰囲気を感じるが、うん。とりあえず、怖いのでこれ以上は触れないことにしよう。
 大切なのはこれから、何をどうするかである。
 先を促す復讐者の言葉を受け、シルシュはコホンと空咳。言葉を続けた。
「ミスカトニック大学の教授が大きな荷物を大学内に運び込むため、配送業者を呼んだみたいです」
 つまり、と彼女は言う。
「この荷物に紛れ込み、ミスカトニック大学内に潜入。そのまま内部の調査を行ってください」
 何処かの美術館に潜り込んだときのようですね、と同僚の予知を思い返すように、シルシュは遠い目をした。

「さて、問題はその教授ですが」
 荷物を搬入しようとしている教授は完全に狂気に陥っている。
 シルシュの断言に、復讐者達は目を見張った。
 だが、他ならぬ時先案内人がそう言うのだ。その前提で話を進める他ない。
「おおよそは理性的な行動を取っているように見えるようですが、善悪や倫理観は完全に壊れていまして、クロノヴェーダに準じる精神性となってしまっています」
 一時的な狂気では無く、不定の狂気か、と誰かが言った気がした。
「と言う訳で、それが理由なのかは分かりませんが、【友達催眠】や【プラチナチケット】等のパラドクスによる残留効果を受けない為、注意が必要です。
 つまり、少なからずその教授に接触する必要があると言う事か。
 荷物に紛れるのであれば、確かに、と頷く復讐者に対し、シルシュの言葉は続く。
「そして、搬入する荷物ですが……『セーレム地方で皆様が撃破したキマイラウィッチの死体』をホルマリン漬けにしてガラスの保管ケースに入れたもののようです」
 …………。
 予想外なのか予想通りなのか。復讐者達の表情は様々で、しかし、シルシュはそれに構うこと無く、説明を続けた。
「クロノヴェーダの死体は塵になるなどして消えることも多いですが、稀に死体が残る場合もあります。それを運良く回収できたのでしょうね」
 とは言え、ごく普通の一般人であれば、そんな悍ましい物を回収しようとするはずも無い。それだけで教授の精神性が窺えた。
「予想が付いた方もいらっしゃると思いますが、皆様はそのキマイラウィッチのホルマリン漬けとすり替わって頂く……と言うことが此度の潜入経路になります」
 まずは教授宅を訪ね、会話をするなどして教授の気を逸らす。その隙に潜入チームが教授宅の倉庫でホルマリン漬けとすり替わるのだ。
 因みにガラスの保管ケースの用意やキマイラウィッチの死体への変装は、最終人類史の技術者と協力して欲しい、とのこと。
「大丈夫です。彼らも初めてのケースではありません」
 以前はSFXメイク技術者の手に寄って剥製に変装した。今回はホルマリン漬けだ。水中にいても問題無い様に残留効果の力を借りる必要はあるが、おおよそは同じ。――うん。同じ筈だ。
「教授と接触するチームは配送時間まで時間稼ぎを行えば、教授はチラリと確認するのみで、大学指定の配送業者に配送を託します。よって、『キマイラウィッチの死体』を上手く擬態できれば、気付かれる事は無いでしょうね」
 因みに配送業者に紛れる案はそうそうに却下された。【プラチナチケット】や【友達催眠】が効かない教授を騙すことは無理筋だと判断するしか無かったのだ。
「運ばれる先は大学内の教授の研究室です」
 正確に言えばその資料庫だ。
 つまり、中への潜入が成功すれば、そこから探索を始めることとなる。
 教授の研究室は、大学図書館に付属した部屋の為、研究室のみならず、図書館も探索できる可能性が非常に高い。もしかしたら、それ以上も望めるかもしれない。
 何もトラブルが起きなければ、と言う前提になるが。
「先の言葉通り、警備員以外にも、学生や大学職員にクロノヴェーダが入り込んでいます。そして、それら全てを誤魔化すのは容易ではありません」
 もしも敵に発見されれば、その段階で調査終了。強行突破での脱出を行う必要がある。
 調査を進めるには、適切な――或いは、それ以上の手段が必要となるだろう。

「再三お伝えしますが、教授はまともな会話も出来ます。しかし、狂っている……狂気に陥っているのは間違いありません。その為、自分の記憶と保管しているキマイラウィッチの死体の形状が変わっても、キマイラウィッチの死体であれば問題無いと判断してしまうようです」
 その為、今回の作戦に結びつけることが出来た、と言うことか。
「因みに、この教授の専攻は民俗学です。……ですが、この世界には多数の先住者、つまり化け物が多く存在していた、と言うどこか未確認動物学と言うかオカルトというか……つまり、そういう物が存在していたことを前提とした異端の民俗学と言うもののようです」
 まあ、そんな学問を専攻し、教授にまで上り詰めているのだから、空想科学コーサノストラ推して知るべし、と言ったところかもしれない。
「キマイラウィッチの死体の発見は、教授にとって天啓とも言うべき出来事だったのでしょう。まあ、要するに自身の学説の正しさを確信したようですが……うん。狂ってますね」
 もはや、言葉選びも疲れたとばかりの辛辣さだったが、ともあれ、この会話もまた、教授との会話引き延ばしに役にたつだろうか。
「あと、ミスカトニック大学は創作上の大学に比べても、かなり大規模な施設のようです。もしかしたら今、皆様が抱いている大学のイメージは一度捨てた方が良いかも知れません」
 大学から想像出来る以上の学生――しかも、歴史侵略者が混じっている――がいるのだろう、と時先案内人は続け、そして微苦笑した。
「それにしても私、大学に縁がありますね」
 何処の大学を思い出したのか。
 ともあれ、そんな彼女に見送られ、復讐者達はパラドクストレインへと乗り込むのであった。

 そして、空想科学コーサノストラ。アーカムに存在する建物の一室で、ガラスケースに収められたキマイラウィッチの死体を見つめながら、年嵩の男――ミスカトニック大学教授がニタニタと笑っていた。
「ああ、何と言う背徳的な死体なのじゃろう。なんと冒涜的な触手か! 年甲斐も無く興奮してしまうわい!!」
 ホルマリン漬けにされたそれは、ヒトとは似ても似つかない異形の存在で、しかし、それが教授を興奮に駆り立てていることは言うまでもなかった。
「この標本を大学の研究室に運べば、思う存分研究ができるぞ! そして儂を異端と糾弾した馬鹿共に世の真実を叩き付けてやるのじゃ!」
 もはや教授の脳裏にはその光景が広がっているのか。
 何と教授、そのまま椅子に腰を下ろすと、赤々と輝くワインを飲み始めたではないか。
「前祝いじゃ! くぅ。これからの事を思うとこの程度のワインですら天上の美酒に思えてくるわい」
 だが、と教授は首を振る。
 酒を飲むには肴が必要。それはいかなる高級レストランであっても場末の酒場であっても同じであった。
「ああ、そうじゃ。肴じゃ。肴に儂の学問の正しさを誰かに語りたい! 若き頃の如き語り尽くし、議論を尽くし、夜を明かしたいもんじゃて!」
 無論、ただの学生やジャーナリスト、端から自分を貶そうと来る異端の同業者など論外。教授同様、正しい歴史を知り、世紀の大発見をするような有用な者と語り明かしたい。
 彼/彼女を運ぶ配送業者が来るまでまだ時間はある。だが、その時間を無為に過ごして良い筈も無いのだ。
 無造作にワイングラスへと傾けたワインをがぶ飲みし、教授は奇声じみた笑い声を上げるのだった。
「うっひゃっひゃっひゃ!」

 ――彼が待ち望む者が現れるか否か。
 それは復讐者達に掛かっていた。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【フライトドローン】
1
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【泥濘の地】
2
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【エアライド】
1
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【モブオーラ】
1
ディアボロスの行動が周囲の耳目を集めないという世界法則を発生させる。注目されたり話しかけられる確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【書物解読】
1
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。
【パラドクス通信】
2
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。
【水中適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が水中で呼吸でき、水温や水圧の影響を受けずに会話や活動を行える世界に変わる。
【防衛ライン】
1
戦場が、ディアボロスが地面や床に幅10cm、長さ「効果LV×10m」の白い直線を出現させられる世界に変わる。敵はこの直線を突破できず、上空を飛び越える場合、最低「効果LV」分を要する。直線は戦場で最初に出現した1本のみ有効。
【影忍び】
1
周囲が、ディアボロスが「自身が視認している、3m以内にいる一般人1人」の足元の影に変身できる世界に変わる。変身中は対象とした一般人の足元を離れられず、この効果の解除を除く自発的な行動は行えない。最大「効果LV✕10分」で解除。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV2 / 【フィニッシュ】LV1 / 【反撃アップ】LV1 / 【ラストリベンジ】LV1 / 【アヴォイド】LV1 / 【ダブル】LV1

●マスターより

秋月きり
 お世話になります。秋月きりです。アーカム、ミスカトニック大学への潜入シナリオをお届けします。
 大学……死体に偽装して潜入……う、頭が!
 いやー、不思議と○○大学とか、死体に偽装して潜入工作とか、既視感を覚える内容ですね! 不思議!!

 以下、補足です。ご確認下さい。

●選択肢について
①ミスカトニック大学教授と接触(狂気)
 教授に接触し、彼を引き留める選択肢です。もしかしたら『一般人の関係者』としての有益な情報も得られるかもしれません。
 会話、プレゼント、その他諸々、教授の興味を引き、会話を合わせてください。尚、【友達催眠】【プラチナチケット】【現の夢】と言った残留効果の使用が逆効果になる可能性があります。ご注意ください。
(残留効果の使用そのものがNGと言うわけではありません。要は使い方次第であり、今回の教授相手だと有益に作用しない残留効果も幾らか存在する、と言う話です)
 教授が強い興味を示し、時間を忘れるような会話が出来れば、より良い判定を得る事が出来ます。

②ホルマリン漬けのキマイラウィッチの死体と入替わる
 2名ほどの採用を予定しています。
 教授はキマイラウィッチの形状を気にしないようなので、どんなキマイラウィッチに扮して、どの様にホルマリン漬けを偽装するかをプレイングに記載してください。

③ミスカトニック大学の探索
 ミスカトニック大学を探索する選択肢です。2~3名採用予定です。
 どの様な探索をするかで情報が変わってきますので、より良い情報を得られるように頑張ってください。

④ミスカトニック大学からの脱出『マーダー・インク・ヒットマン』
 完結選択肢です。
 ③でどれほどの隠密行動しても最後はクロノヴェーダに見つかってしまいます。
 脱出を主軸としたプレイングをお書きください。

●その他
・「つまり、教授を騙す為の残留効果は難しいですが、補助的に使うのは問題無いってことですね。その辺りの塩梅が必要やも、ですが、ともあれ、一番必要なのはどの様に教授の興味を引くか、です。頑張ってください」
・「ホルマリンの中では呼吸できませんので【水中適応】は忘れないようにして下さいね」
・「探索は私からお伝えすることは難しいですが……ともあれ、多くの範囲を探るより、目星を付けて一点突破した方が良い気がします。取捨選択の難しさはありますが……そこは手数でカバーするとかありますよ」
・「トループス級ワイズガイは倒しても倒しても際限なく現れますので、全滅させるよりも如何に逃げるか……を重点的に考えた方が良いと思います」
 以上、時先案内人からの助言でした。お役に立てば幸いです。
・本シナリオの判定はOP、リプレイ公開の2日後の時点(9/21 朝8:30までに公開されれば、9/23 8:30)でお預かりしている有効プレイングから判定します。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
 深淵を覗くとき、深淵もまた皆様を覗いていることをお忘れなく……。
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


一里塚・燐寧
んふふ、歴史の闇に潜むヤバい秘密みたいな話は大好きだよぉ
あたしは素面でもこの教授とは話が合いそうだねぇ
さーて。素敵なお土産で楽しい夢を見せてあげよっか

新宿で「北米の初期の入植者が持っていた祈祷書の一篇」って体の偽遺物を作るよぉ
でもそれは顔の浮き出た人革(っぽい模造品)で装丁された異形の書
文章は冒涜的宗教儀式の血腥い手筈で、信仰する存在は触手を備えた禍々しい何かとして描かれてる
経年劣化して見える処理もしておこう

女子学生らしい格好で教授の元に書物を持ち込み、面会を申し込もう
先生!あたし考古学科の者ですけど、凄いものを見つけましてぇ
見てください。17世紀の人革張りの祈祷書です
面白いのは装丁だけじゃなくてぇ、中にも何と、「アーカムの魔物」とそっくりな異形の者がぁ……!
植民地時代の始まりから、アメリカにはこんな秘密が潜んでたなんて!
先生ぇ、この本をもっと詳しく見て頂いてもいいですかぁ?

一頻り話し終えて一人になったら、死体入れ替わり組と【パラドクス通信】で連絡
無事に作戦が進んでることを確認しておこう


(「んふふ、歴史の闇に潜むヤバい秘密みたいな話は大好きだよぉ」)
 空想科学コーサノストラ、アーカムの街。そこに敷かれた道を歩きながら、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)はにふりと笑う。
 因みに、そんな彼女の身体を包み込むのは、何処か大人しくも見える服装であった。端から見れば、勤勉な女学生を思わせる様相であり、これから図書館で勉強するのだ、と主張すれば十中八九の人々が是と頷くに違いない。そんな格好であった。
 だが、彼女が抱く布包みの何かが、何処となく悍ましい雰囲気を醸し出している。如何に彼女が普通を装うとしても装い切れていない、そんな印象を与えていた。
(「あたしは素面でもこの教授とは話が合いそうだねぇ。さーて。素敵なお土産で楽しい夢を見せてあげよっか」)
 布包みの何か――素敵なお土産を一瞥し、燐寧は再度、笑みを零した。

「先生! あたし、考古学科の者ですけど、凄いものを見つけましてぇ!」
 当の教授がドアを開くなり、燐寧は言葉を捲し立て、玄関先へと侵入する。
 そして、勿体ぶる暇すらも不要と布包みを開き、教授の眼前にそれを差し出した。
 そこに在ったのは、顔の浮き出る表紙を持った、一冊の本であった。否、只の本では無かった。
「見て下さい。17世紀の人革張りの祈祷書です!」
 ああ、何と言うことだろう。
 燐寧が持参したそれは、人革で装丁された異形の書であった。
 そして、彼女はそのまま祈祷書を教授へと差し出す。教授の焦点の定まっていない瞳が燐寧を、そして祈祷書を巡り、そして口がゆるりと言葉を紡いだ。
「この肌触り、これは間違いなく人皮装丁本じゃな」
「やはり!!」
 因みに、この祈祷書は新宿島産の真っ赤な偽物――燐寧が技術者達に製作をお願いした小道具であった。
 しかし、教授がそれを認識できるはずも無い。教授の言葉は続いた。
「おそらく17世紀、人皮装丁本が多く作られた時期の稀覯本であるのは間違いなかろう。……良い物を手に入れた物じゃ」
 教授の言葉は優しく、そして、存外に優しい瞳が燐寧に向く。何処か遠く見える目に、燐寧は言葉を詰まらせた。
「本当に希少な稀覯本は、持ち主を選んで、その手の中に収まるものじゃ。君はこの本に選ばれた。であれば、その本で良く学ぶといい」
「で、ですか?!」
 しかし、此処で会話が終わっては、何の為に来たのか判らない。燐寧の役割は時間稼ぎだ。ならば、と彼女は本のページを開き、その内容を指し示した。
「ここ、見て下さい! ここになんと、『アーカムの魔物』とそっくりな異形の者がぁ……!」
「成る程。拝見しても宜しいかな?」
 教授は律儀に断ると、燐寧が示したページを中心に、その前後をペラペラとめくる。
 そして。
「おぉ、我が神よ」
「――?!」
 突然の絶叫に、ビクリと身体を揺らす燐寧。
 だが、そんな燐寧に構わず、教授は何かを叫びながら、そのまま床を転がり回る。突如、イッちゃったようにも思えたが、何となくそれが祈りのようにも思えた。多分。きっと。
 ひとしきり、奇行を繰り出した教授は、荒い息を吐きながら、燐寧の顔を見つめる。
「君は、神に選ばれたのかもしれぬ」
(「ちょっと待ってぇ?! 教授、何を見たのぉ?!」)
 だが、問うわけにはいかない。そのままその先を促すしか無かった。
「その本の真実を知る事が出来たならば、ミスカトニック大学に訪ねてきてくれ。その本を手に入れた君ならば、きっと……」
(「え、えーっとぉ」)」
 よく判らなかったが、教授は深い感銘を燐寧に覚えたようだ。
「あぁ、神よ」
 何に祈っているのか。どの神に祈っているのか。
 多分、真っ当な神じゃ無いよねぇ、と燐寧は教授に聞こえないよう、小さく呟いていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!

ソレイユ・クラーヴィア
キマイラウィッチのホルマリン漬け…
何をどうすれば、キマイラウィッチが天啓になるのか
逆に詳しい話を聞きたいまでありますね

というか、発狂教授を会話を成立させてしまうと、私も一時的狂気を疑われれるのでは?
気づいてしまった私は正気度ロー…こほん
頑張りましょう

シャツにベストにソフト帽、冒険家な出で立ちで教授の家を訪ねます
民俗学に詳しい教授がおられると聞いて参上しました
これを見てください!

と差し出すのは
触手を持ち異形な頭部を持つ神のレリーフと奇妙な文字列が刻まれし太古の石板(精巧な偽造)

私は未知の探索を生業とする者
これは先日アマゾン奥地の遺跡から発見した石板です
原住民達はこれを神の片鱗と崇め
今は永き眠りについた神が生贄儀式を経て地上へと再臨するのだと言い張り、悍ましい儀式を繰り返しておりました
これが私には真実に思えてならないのです
誰にも信じては貰えなかったのですが、知見の深い教授ならお分かりになる事もあるのではないかと
教えてください、私は間違っているのでしょうか…?

教授の話に同調し話を聞き出します


 教授宅への訪問者は続く。千客万来とは正にこのことであった。
 考古学娘の後、彼の元に到来したのはソフト帽にシャツ、ベスト――要するに探検家風の優男であった。
 男は自身の名をソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)と名乗った。

「民俗学に詳しい教授がおられると聞いて参上しました。これを見てください」
 解析をお願いしたい、とソレイユは教授へ異形のレリーフ――石板を差し出す。
 触手と異様な頭部を持つ神が刻まれた石版は、其処彼処に奇妙な文字列が刻まれている。一目で真っ当な代物でない事は見て取れる物であった。
 尚、当然ながら新宿島産であるが、それは伏せておく。
「ほうほう」
 教授はそれを受け取ると、つぶさに観察する。様々な角度でそれを見ながら、ふむふむと頷き声を上げていた。
「これは何処で?」
 平然とした口調であったが、目の奥の好奇心は隠し切れていない。
 そして、ソレイユに取ってそれは当然の質問であった。予め用意していた返答を彼は淀みなく口にする。
「私は未知の探索を生業とする者。これは先日アマゾン奥地の遺跡から発見した石板です。原住民はこれを神の片鱗と崇め、悍ましい儀式を繰り返しておりました。今は永き眠りについた神が生贄儀式を経て地上へと再臨するのだと……」
 ソレイユの語りにしかし。
「お前は嘘吐きだ!!」
 教授は激昂し、石板を床へと叩き付ける。
「――っ?!」
「南米の遺跡など、最早存在しないのだ! 貴様が語る――いや、騙る土地がある筈も無い!! この石版は真っ赤な偽物だ!!」
 唾を撒き散らしながらの主張に、ソレイユは目を丸くする。
 無論、教授の主張は正しい。もしも教授が復讐者や歴史侵略者の類いならば、この反応は頷ける。
 だが、あくまで彼は一般人なのだ。
(「ああ、そう言えば、クロノヴェーダに準じる精神性と言っていましたね」)
 時先案内人の言葉を思い返し、ソレイユは嘆息する。
 おそらく彼は、改竄世界史空想科学コーサノストラの外が全て海と認識しているのだ。逆を言えば、彼の認識はその時点で止まっているようにも思えた。
(「ですが、《戴冠の戦》後の状況は知らない……と言うことでしょうか」)
 今や、改竄世界史の境界は失われ、世界は一つに繋がっている。故に、『南米が存在しない』と主張出来るのは、或る意味、一般人の領域では無い。
 彼は《戴冠の戦》以前を知りうるが、以降を知り得ない。そんな微妙な立ち位置の関係者なのだろう。
 最早ソレイユに興味を失ったとばかりに、教授はただひたすら、石板を踏み続けていた。
「私の目を欺けると思うなよ!!」
 踏みつける脚には徐々にと力が籠もり、蹴り音も激しくなっていく。段々とヒートアップしていく行為すら狂気を感じたが、しかし、ソレイユ達の目的はあくまで時間稼ぎ。ならば、と彼は思考を切り替える。
 何せ、ソレイユは音楽家。即興曲は得手としていた。ここからの粘り腰こそ、彼の真骨頂であった。
「で、ですが教授! 話を聞いて下さい! これは本当に!!」
 追い縋るよう、教授に言葉を掛ける。ここまでで結構な時間を稼いだが、それ以上に時間を稼ぐ気概は本物だった。
 自身の見たと言う悍ましい儀式の説明を何度も繰り返し、その都度、教授の激昂を引き出していく。
 時間にしておそらく、半刻以上経過しただろうか。
 顔を真っ赤に染め上げた教授はドアを開けると、ソレイユを蹴飛ばす勢いで追い出していく。
「この詐欺師め、とっとと失せろ!」
 悪態を受け、ソレイユはぐぬぬと唸りながら教授宅を後にする。
 実の処、目的を達したとばかりに内心では舌を出していたのだが、しかし、それはソレイユにしか知り得ぬ事であった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!

シャルロット・アミ
アドリブ、連携歓迎です

オカルト好きの彼氏がいる私には
こちらの任務のほうが向いていると思ったの
状況は逐次、潜入される方と
【パラドクス通信】で報告するわ

サキュバスの特性はできるだけ隠します
こちらが調べられそうだもの

小さな木箱に入れていくのは
猿の赤子のミイラに細工をしたもの
触手みたいなものをつけたり
干物魚の尾びれをつけたりして
ちなみにこれは彼氏の入れ知恵

教授にはこの木箱の中身を確認してほしいと依頼
少し早口で興奮したように告げましょう

亡くなった父が私に託したものなんです
父も、陰ながら民俗学を研究しておりました
父は…殺されたんです
このような民俗学が世に出るのを拒む者たちに

ですが、教授なら必ずや論説を築いてくださると
信じてお邪魔しております

不出来な娘ながら父の論説は学んでおります
例えば…我々の祖先に人でない先住者がおり
この木箱のような触手を使って会話をし
海から来た大いなる神の眷属で…

あとは教授の言葉をひたすら興奮して肯定致しましょう
ええ、そうです、教授!
聞き上手にまわりましょう


「これは、亡くなった父が私に託した物なんです……」
 考古学娘、詐欺師に続いて教授宅に訪れたのは、大きな帽子とゆったりとした服を纏った少女であった。
 彼女はシャルロット・アミ(金糸雀の夢・g00467)と名乗ると、先の文言と共に教授へ、小さな木箱を手渡すのであった。

 先の騒ぎに激昂していた教授は、しかし、憂いの表情を浮かべるシャルロットを無下に出来なかったのだろう。
 リビングに通すと虫眼鏡を用い、木箱の中身をつぶさに観察していく。
「ふーむ」
「如何ですか?」
 木箱の中身を確認した教授は何かを考え込んでいる。言葉を探しているようだった。
 因みに、木箱の中身は猿の赤子のミイラに触手や干物魚の尾びれを着けたと言う代物だ。これもまた新宿島産である。
 そして、教授はゆっくりと口を開いた。
「貴方の父上は良いお父上だったようだね。子供に残すものとしては、最良のものだ」
(「――いや、それはおかしいでしょう?!」)
 何処の世界に子供へ人魚の干物を託す最良の親がいると言うのか。
 慰めの言葉ならば多少は納得出来そうだったが、しかし、教授の目を見たシャルロットは悟る。あ、これ、本気だ。
「だが」
 教授は人魚の腰部――子猿のミイラと干物魚の境目を指差し、そして言葉を続ける。
「ただ残念ながら、これは偽物のようだ。ここに継ぎ目があるじゃろう? これは、東洋で作られた工芸品でな、猿のミイラと魚の干物を繋ぎ合わせて人魚にしておるのだよ」
「そ、そうですか……」
 勿論、これはシャルロット達が用意した偽物なので、教授の看過は正しい。
 視点は鋭い割に、シャルロットの嘘は信じ込んでいる。彼を蝕む狂気は中々であった。
「これは工芸品である」
 再度、教授は断じた。だが、その口調はどこか優しかった。
「だが、工芸品には作られた由来という物がある。偽物が多数あると言う事は、本物が何処かに存在していると言うことなのだ」
(「え、ええ?」)
 かなりツッコミ満載の発言だったが、シャルロットは己の驚愕を呑み込む。むしろ吹き出さないように必死で、顔は真っ赤に、身体は小刻みに震えてしまっていた。
 それを教授は嘆きと感じたのか。それとも別の意味と捉えたのか。更に言葉を続けた。
「人間の発想力と言うのは、思ったより貧困でね。真実が全く含まれていないような発想は出来ないのだよ」
 つまり、と教授は言葉を重ねた。
「つまり、この人魚のミイラも、何処かに本物があると言う事だ。キミが、これからお父上の跡を継いで、本物を探せばいいのだよ」
(「あれ? もしかして、慰められている?」)
 しかし、その目の輝きは先程同様、本物だった。展開した狂った学説も彼にとっては真実なのだろう。
 教授の言葉を受けたシャルロットはすーっと息を吐く。本当は深呼吸して動揺を抑えたかっただけだが、しかし、教授はそんな彼女に優しげな微笑を綴るのみであった。
 故に、シャルロットは。
「そ、そうですね。父の後を継ぎ、真実を探すことこそ、父が強く望むことかもしれません」
 全力で乗っかることにした。
「父は殺されたんです。このような民俗学が世に出ることを拒む者達に。私達を異端と蔑む真の異端者に!」
 悲劇のヒロインの如き言葉に、教授は「おお……」と声を上げた。そして、優しげな口調でシャルロットへ言葉を向けた。
「興味があれば大学に進学を考えてみると良いかもしれないね。お父上の残した論説を貴方が強固な物とし、お父上の無念を晴らすことも出来ましょう」
「はい、教授! その時はお力添えください!!」
 なんだかよく判らないが、そう言う事になった。
 満足げな教授を前に、シャルロットは父親が残したという論説を披露し、更に時間を稼いでいくのであった――。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【パラドクス通信】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV2になった!

四葩・ショウ
※一般人には敬語
前に剥製になった時のアーティスト達にも
また逢えるかな?

わたしが装うキマイラウィッチは
白翼と一体化した両腕に硝子めく人魚の尾鰭
悲哀を帯びた復讐の魔女
半人半鳥と半人半魚、
どちらのセイレーンをも合わせたような未知の怪物を演じよう

ホルマリン液に満たされ
硝子越しで見られて完成するように
技術者の皆のアイデアを借りて

人ならざるましろの肌は
薄手のウェットスーツで表現
内側に防水加工をして、染み込みにくく
その上から羽根や翼のメイクを施して貰う
生が失われた肌の質感
固定された蛋白質の表現とかね

ディアボロスと戦って爛れた皮膚や
胸を貫く致命傷が目につくようにポーズも工夫して
死の印象を与えよう

尾鰭の中に両脚をかくして
同じ姿勢はキツイけど
ずっと直立よりはきっと、いい
あとは忍耐力でカバー、かな
だいじょうぶ、強がりは得意だ

演技と【水中適応】でその時を待ちわびる

『ディアボロスをころして、生贄に』
セーレムに流れ着いた魔女達は
譫言みたいにそう言っていた

……魔女達の企みも、掴めるといいけど
覗きにいこう
宵闇のふかくを


ゼキ・レヴニ
おれの体格で偽装出来んのは…
ボストンセーレム間で撃破された報告のある『ジェヴォーダンの獣』を参考に特殊メイクを頼もうかね
異形も異形だがそこはお前さん達の腕の見せ所ってヤツだぜ、とさらりと無茶振り
所々に激しい戦闘の傷跡を施し、復讐者に敗れた死体を装う
ほぼ着ぐるみになるだろうが姿形や物を隠すにゃ寧ろ好都合
毛むくじゃらの内側に【アイテムポケット】を隠し、装備や探索の必要品を詰め込んでおくぜ
体が不必要に動いちまわないように、関節部は硬めに
外の様子を確認できる覗き穴、潜入後すぐに脱げるような加工も頼めるかい

保存ケースにも一細工
脱出時開口部から水や音が漏れにくい設計にできねえか
土台部分等に収納を作れるなら、ダミーの人形を仕込んでおく
潜入完了後に自分と入れ替えておけば、確認された時の時間稼ぎになるかね

【パラドクス通信】に耳を傾け、別班の会話内容から本物とすり替わるタイミングを測る
【水中適応】は一つでも十分だろうから、潜入時は借りてくぜ
配送中は身動ぎせず、しかし周囲の様子や会話の内容には注意を向けておく


 教授が来訪者達――復讐者の面々と会話している中、その教授宅の倉庫に忍び込む影があった。
 壁を乗り越え、痕跡を残さず窓から忍び込む二人は頷き合い、目的であるキマイラウィッチの遺骸が納められたケースへと接近する。
 四葩・ショウ(After the Rain・g00878)、ゼキ・レヴニ(Debaser・g04279)の二人であった。

「……何と言うか、凄いね」
 ゼキの外見に対するショウの感想は、何処か感嘆の響きが混じっていた。
 聞けば、彼の特殊メイクのモチーフはアヴァタール級キマイラウィッチ『ジェヴォーダンの獣』である、との事。二足歩行の狼且つ、胸に幼子の身体が植え付けられていると言うショッキングな見た目は、如何に最終人類史が誇るSFXメイク技術者であっても、苦労したであろうことは想像に難くない。無茶振りもいいところであった。
 対するショウの外観も、白翼が腕と一体化し、硝子のような尾びれが下半身に伸びるという人と鳥と魚の合いの子と言う代物であった。彼女曰く、半人半鳥、半人半魚のセイレーンを模したキマイラウィッチ――未知の怪物との事。これもまた、SFXメイク技術者の腕が問われる逸品であった。
 因みに、ゼキが毛むくじゃらな人狼を選んだのは、その毛皮の内部に装備品や探索必需品を隠す為、とのこと。残留効果【アイテムポケット】を用いるとは言え、気配りの男であった。
 そんな彼だが、今現在、キマイラウィッチの遺骸が納められているガラスケースを調べながら、ちぃっと舌を鳴らす。
 どうしたのか? と問うショウに、彼は溜め息交じりに答えた。
「脱出時に水や音が漏れにくい設計に出来ねぇかと思ったが、難しそうだな」
 音は兎も角、ホルマリンの流出は避けられない。
 それがゼキの下した結論だ。
「そうだね。脱出は強行突破の予定だし、それまで脱出がバレないに越したことは無いけれども」
「ダミーの人形を仕込めば……と思ったが、まあ、教授が近くで見れば一発でばれるか」
 遺体に偽装できるのは、復讐者と言う生身の身体を持つ者が居る故。
 もしかしたら2m四方の容積を持つ【アイテムポケット】ならば、すり替わり前であるキマイラウィッチの遺骸を持ち運べるかも知れないが、しかし、それでは、装備の類いを持ち込み辛くなる。本末転倒であった。
(「土台部分に収納部を作れればと思ったが……」)
 近未来的な、それこそSF作品に出てきそうな様々な機械が繋がったカプセルなら兎も角、只のガラスショウケースにそんな許容量は無く、まあ、仕方ないかと首を振る。
 頼れるのはこの身一つ。そして、【残留効果】だ。
 覚悟を決めた彼は、目の前のガラスケースからホルマリンと、納められた遺骸を抜き取り、中身との入れ替えを図る。
 それを見守りながら、ショウもまた、彼に倣い、キマイラウィッチと入れ替わっていくのであった。

 教授が到着するまでにどれ程の時間を要しただろうか。
 ホルマリンが満たされた液体の中、【水中適応】によって呼吸などを確保した彼らは身動ぎ一つせず、ただその時を待つ。
 そして、その刻は数多くの足音と共にやって来たのであった。

「こっちじゃ。この倉庫のガラスケースをミスカトニック大学の儂の研究室まで運んどくれ」
 教授に先導され、複数の男達が倉庫へと入ってくる。
 扉を開け放った教授は、時間が惜しいとばかりに男達へ次々と指示を飛ばしていた。
(「入れ替わりに気付いていないようだな」)
 ホルマリンとガラス越しに様子を窺うゼキは、内心でふむと頷いていた。
 教授は狂気に侵されており、細かな差違を気にしないだろう、と言うのは時先案内人の弁であったが、しかし、お粗末な変装や演技をすれば看過されるのは当然。仲間達が多大に時間を稼いでくれた為、つぶさな観察時間を奪えた事は大きかった。
「急げ急げ」
「承知しました」
 教授に急かされる男達の顔を見れば、誰もが顔を顰めていたが、然し、表だってそれを口にする物はいない。
「……と言うか、見ろよこれ。人間じゃねぇのか?」
「この人魚だかよく判らん標本を見れば、作り物なんて一目瞭然だろ? ゴムみたいな肌なんて、人間のそれじゃねーぜ」
「おい。教授に聞こえるぞ」
 どうやら男達にとって教授が狂気に侵されているのは公然の秘密で、故に、作り物の何かを運ばされていると思っているのだろう。もしもここで身動ぎ一つしようものなら精神的外傷を植え付ける事は必須だったが、しかし、それを為す意味は無い。
(「こう言うのは、最後に荷物の正体が分かって、不気味さで終わると言うのが定番だけども」)
 所謂暗黒神話体系などによく見られた手法だ。
 ともすれば、男達は急げと緩衝材をガラスケースに巻き、損傷を防ぐための輸送箱へと入れていく。
 本来ならばその荷造りまでも教授の仕事だったのだろうが、しかし、仲間達のお陰でその暇は与えられなかったようだ。男達の手に寄って梱包されれば、教授が観察する時間は無い。
 そして、一度二度、ガラスケースの中を覗き込んだ教授は、と言うと。
「ほぅ。何と言う毛並みの良さ。これぞ、先住民の証よ……」
「素晴らしき羽根。素晴らしき鱗の輝き。ああ、貴様らの無念は判るぞ。必ずや儂が存在を実証し、世界史を塗り替えてやるぞ」
 と、『冒涜的な触手は何処行った!』と突っ込みたくなるような台詞を零していた。
 狂気に侵されるとはこう言うことか、とゼキとショウはそんな感想を抱き、しかし、内心で吐露するのみに留めた。

 かくして、二つのホルマリン漬け――もとい、復讐者が扮した標本は、彼ら/彼女らの思惑通り、ミスカトニック大学内へと運び込まれていく。
 それは即ち、潜入調査の始まりを意味していたのであった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【水中適応】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!

ヴォント・クライヴ
●心情
発狂系歴史学教授も皆さんも凄いですね…(感謝)

怪奇な研究は他にもありそう
僕の予想では、大学は侵略者や奪還者の研究してワイズガイの後方支援を担うと思ったんですけど…?
とにかく『大学とワイズガイの関係』を調べましょう
研究を委託したのは敵という前提で調査です
これは盗賊として腕の見せ所ですね

●本音
ミニスカート大学みたいな名前聞いてきたのにミニスカ娘要素何もないじゃ無いですか…!(奥歯ギリィ

●行動
アイテムポケットから衣服を取り出し学生に変装。
他の研究施設も調べたいので、学生寮の先まで行かねばですね。
資料庫を出る前にIDカードなどあれば盗む。警備員に目をつけられないよう気をつけながら、モブオーラも使い足早に歩きます。
厳重警戒体制ならセキュリティも厳重かな…素早く鍵開けに挑戦。
「素敵な研究に学術的興味が」「教授に頼まれた」という程で
他の研究室で何が行われているか手早く調査。
大学とワイズガイの関係を推測していきましょう。盗める資料はアイテムポケットで盗みます。
わー…SAN値が保つか不安ですね!


 ミスカトニック大学、某教授の研究室に、蠢く影があった。
 ああ、何と言うことだろう! 教授の運び込んだホルマリン漬けの標本が動き出し、そのガラスケースから脱しているではないか!!
 ――まあ、賢明なる諸兄諸姉の諸君であればご承知の事ではあるが、それは、キマイラウィッチの標本に偽装した復讐者達が動き出しただけであった。

 その内の一人、ヴォント・クライヴ(ウサギの盗賊・g06449)は【アイテムポケット】で持ち込んだ衣服に着替え、大学内の敷地を悠々と闊歩する。
 学生を装う彼は、周囲を観察し、そして、歯噛みした。
(「ミニスカート大学と聞いていたのに、ミニスカ娘要素が何処にもないじゃないか!」)
 うん。仕事しようね、ヴォントさん。
 思わず報告書に素のツッコミを書いてしまったが、ともあれ、ミニスカが一般的に現れ始めたのは1920年代と言われている。つまり、空想科学コーサノストラはその渦中。ミニスカの存在が微妙な時間軸なのは事実であった。
 ギリギリを攻めるのがミニスカではないのかって? やかましい。
(「まあ、ミニスカよりも目を引く物が沢山あるんですけどね」)
 堂々と歩いていれば誰も彼を咎める者はいなかった。
 これが現代、取り分け最終人類史の時代の大学であればIDカードなどの提示を求められたかもしれないが、しかし、ここは1925年の大学構内だ。当然、そのような事も無く、ヴォントは誰にも見咎められる事無く、ぐるりと一周ほどの散策を終えてしまう。
(「さて。学生寮は大丈夫そうでしたが。……大丈夫そう? う、うーん」)
 まず目を引いたのは、様々な学生達であった。
 挨拶しても無視する者はまあ判る。だが、挨拶をした瞬間、大声を上げられたり、果てには何か語られたりしたときは辟易した。どうやら自身の研究テーマのようだ。他にも、見えない友達を紹介されたりもしたし、突如、服を脱ぎ出す者もいた。ああ、「閃いた!」と言いながら駆け出し、スッ転んだ者もいたっけ。ともあれ、この状況ならば、復讐者が紛れても不審に思われないだろう。
 だが、その先、校舎へ進むのは難しそうだった。
 そこには一般人に交じり、脳を剥き出しにしたスーツ姿の異形や、敏腕な銀行員風の鋭利な女性の姿も見受けられた。あれはワイズガイだ。ヴォントを視認すれば、復讐者と騒ぎ立てるのは目に見えていた。
(「つまり、ミニスカート、もとい、ミスカトニック大学には3種類の存在がいると考えられますね」)
 ひとつ、狂気に侵されつつある一般人。
 ひとつ、完全に狂気に陥った一般人。
 そして、歴史侵略者だ。
 とは言え、歴史侵略者が一般人を監視している風もなく、一般人も歴史侵略者の存在を当たり前と受け止めている様子だ。一緒に勉学に励む仲間と言うように見受けられた。
(「そう言えば、教授も一般人ながら、思考はクロノヴェーダと変わらない、と言う事でしたね」)
 狂気の一般人ならば、歴史侵略者と同様の研究などが可能であり、故に、ミスカトニック大学はそんな一般人を多く取り込むことで、ワイズガイにとっての有益な研究を行っているのかもしれない。
 其処までヴォントが思考を巡らせた時であった。
「Gutentag!」
「えー? コンニチワですか? コンニチワー!!」
 翻訳能力を超過した挨拶が聞こえ、其方に視線を送る。
 刹那、兎のように飛び跳ねたヴォントは木陰に身を隠すと、その声の主を注視する。
 其処に集ったのは数人の男女。和やかに焦点の合っていない表情で話す輩は未だいい。只の一般人だ。だが、それらに声を掛けた青年や反応した女子学生風のそれは……。
(「ぞ、ゾルダートと冥海機っ?!」)
 機械化ドイツ帝国一般研究員やJK型海防艦の姿のみではない。モンキーモデルメーカーズや血の記述者の姿もあった。漂着系の歴史侵略者達の姿があると言うことは、ワイズガイにそれらの戦力が着実に組み込まれている証左だろうか。
 物陰に隠れたまま、気がつけばヴォントはゴクリと生唾を飲み込んでいた。
 ちなみに、JK型海防艦がミニスカであることと関係無い筈だ。
 多分。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!

ゼキ・レヴニ
水槽から静かに脱出
こっからが本番だなァ
一足早いハロウィンは終い、狼男も人間に戻るとすっか
毛皮からスーツに着替え、新任の教授風を装うぜ

人通りの少ない場所では【光学迷彩】を活用し隠密行動
多い場所では帽子を目深に、人の流れに紛れつつ
図書館へ向かおう

図書館内でも効率的に広範囲を調べられるよう
【パラドクス通信】で仲間と連絡を取り合いつつ探索

アーカムの事件では、『デクスター』っつう元大学教授の影が蠢いてたって報告もあったが
彼の資料や論文は見あたるだろうか
怪奇小説をなぞるなら、チャールズ・ウォードって名前も怪しいか
背後にゃイレギュラーが動いてんじゃねえかとも思うが…
ここじゃ『因子』の研究なんかもしてそうだぜ
因子を組み合わせたクロノヴェーダが異形の神に見えたりしてな
目ぼしい本は【書物解読】でパッパと確認してくぜ

禁書ってのは小説だと地下に隠されがちだが
隔離されたエリアやそこへ続きそうな隠し扉がないか
そこへ向かいそうな人影があれば隠密で後を尾ける

発見は写真に収め
物品は可能なら【アイテムポケット】で持ち帰るぜ


 ガラスケースから出てきたゼキ・レヴニ(Debaser・g04279)は手早くスーツに着替えると、何食わぬ顔で研究室を後にする。
 木を隠すなら森の中。
 威風堂々と歩く彼の姿は、まさしく新任の教師そのものだった。更には【光学迷彩】を併用し、彼は空間そのものに溶け込んでいく。
 もしも彼を探す者がいたならばいざ知らず。しかし、そもそも、ミスカトニック大学内の歴史侵略者達は復讐者の侵入に気付いていない。
 故に、彼を咎める者はおらず、そのまま目的地へと到着となった。
 ミスカトニック大学図書館。
 それが、ゼキの目指した場所であった。

「なんつーか、普通の図書館だな」
 さすが大学の構内にある図書館だけあって、目に見える開架書庫は広い。勉強に励む学生や調べ物をしているらしい教師の姿もちらほら見受けられる。
 試しにゼキも書籍の一つ手に取り、パラパラとめくってみる。だが、即座に本棚へと戻す結果となった。嘆息混じりなそれは、期待外れと言わんばかりの態度であった。
(「あるのは学術書の類いだな」)
 注意深く観察したが、見受けられるのは『現実に存在しうる学術書』『統計資料』『新聞・雑誌』の類いであった。
 医学、物理、化学関連の資料が多いのは、ミスカトニック大学の特色だろうか。その高度差が基準時間軸1925年にも関わらず、最終人類史に匹敵するように思えるのは、空想科学コーサノストラの科学力の高さを示しているのかもしれなかった。
(「つまり、この図書館の存在意義は『一般的な知識が研究に必要となった場合に、わざわざ実験などしなくても、図書館で調べるだけで結果を知る事が出来る』って辺りか」)
 研究時間の短縮に必要な文献を揃えている辺り、ゼキの推測は正しい用にも思えた。
(「魔術的な本とかあるんじゃないかと思ったが……」)
 折角なので司書を捕まえ、問うことにした。
「すみません。教授に魔術を題材とした研究結果の書類を集めてこいと言われたんですが……」
 ゼキに声を掛けられた女史は、優しげな笑みを浮かべ、しかし、小首を捻る。
「魔術の研究結果は所有しておりませんね。民俗学や神学とお間違えでは?」
「ああ、そうかもしれませんね!」
 司書の真顔に、ゼキも笑顔でそれに合わせる。
 どうやら、魔術的な怪しい実験結果は存在しないようだ。
(「きっと、再現性が低く、状況によって結果が大きく変わる物は資料として有益ではない為、所有していないってことなのだろうかな」)
 そうと結論付けた彼は、司書に礼を言うと、彼女が紹介してくれた本棚へと向かう。
 無論、怪しまれないための偽装であったが、同時に、書籍そのものを確かめたいとの好奇心もあった。
 移動の最中、閲覧テーブルに視線を送る。
 比較的若い研究員達が忙しく目にした書籍のメモを取ったり、書写を行ったりしている。最終人類史ではコピー機の出番のような気もするが、しかし、この図書館では筆記が精々なのだろうか。大変だな、と思う。
(「もしかしたら、貸し出しの手続きが大変なのか?」)
 貴重な資料を収めている図書館にありがちだよな、との思考は、目的の場所に辿り着いた事により中断となる。
 『伝承』、『怪奇事件』と分類された本棚から適当な書籍を取り出し、軽く目を通す。そして、彼は、これが魔術書や神秘学の類いでないと結論付ける。
(「おそらく内容は最終人類史の同じ本と変わらないだろう。つまり、これは『研究のアイディア』を得る為の本で、魔法的な効果はなさそうだ」
 もっとも、図書館の蔵書と大学の研究内容が必ずしも一致するとは限らない。
「他の調査結果と突き合わせれば、何か見えてくるかもしれないな」
 そう呟き、ゼキは図書館を後にした。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【書物解読】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!

四葩・ショウ
皆のおかげで潜り込めたね
服装と身支度を整え
一般人の生徒のフリをして
キャンパスへ繰り出そう

図書館から学生寮を経て
『大学関連施設』を目指したい

アーカム近郊で『再会』した
正気じゃない魔女達も
……『なにか』をして
ああなった、かもしれないよね

深淵の奥底に覗かれるとしても
いこう、確かめに

一般人生徒が発狂したら
ダンバース精神病院へ連れて行くのかな
ここはどんな有様だろうね

敵に姿を見られたらアウトだ
隠れつつじゃなく、あくまで自然な動きで
本棚や物陰を利用し
特に背後から視認されにくく

図書館から講義や施設へ向かいそうな
一般人生徒や職員がいれば【影忍び】
それか
クロノヴェーダ多発地帯で
一般人がいたら発見回避で使う
影に変わる所を見られたら騒がれそう
物陰や曲がり角を利用

ある程度距離を稼げたら
物陰に差しかかったタイミングで
変身解除して、臨機応変に

一般生徒に声かけられたら迷子のフリ
精神力に自信があるってアピールを
学生寮では聞き耳をたてる
ネクロノミコン、ラヴクラフト
グリム、ロゴ・トゥム・ヘレ
……気になるワードはきこえない?


「まぁ、俺達ほどになれば、ネクロノミコンをどう発展させるかが重要なのだけどね」
 白衣姿の青年は、焦点の合っていない目で四葩・ショウ(After the Rain・g00878)を見つめ、捲し立てるように語った。
 俗に言う『ぐるぐるした目』に狂信的な何かを感じつつ、ショウは「そうなんだね」と相槌を打つと、先を促す。
 気を良くした青年は、自身の知識を見せつけるかのように、次の言葉を紡いでいた。
「教科書になっているネクロノミコンでは無い、原典も存在するらしいが、読むには複数の教授の許可が必要だという話だね」
 もしも知る者がいれば興奮したかも知れないその文言を、しかし、ショウはふむ、と頷くのみに留める。
 彼女の目的はただ一つ。もっとより多くの情報を。より多くの事柄を此処に暴く。それが今の彼女の目的であった。
「先輩、喋りすぎ……」
 そんな二人の様子を見ながら、呆れたような少女の声が響いていた。

 教授の研究室を後にしたショウは、注意深く大学構内を練り歩く。何か見つかれば、との周囲を観察しながら歩く彼女はしかし――。
「どうかしたのかい?」
 刹那、掛けられた声にビクリと反応してしまう。
(「見つかった?!」)
 内心で警鐘を鳴らしながら、振り向く彼女に、しかし、向けられた声は優しい物であった。
「もしかして迷った? ウチは広いからねぇ。見た感じ、新入生あたりかな?」
 人好きのする笑顔の青年が――しかし、その視線は怪しいものを感じた――が立っていた。
 その隣には、気怠げな少女が立っていた。ため息を吐きながらも、その視線は青年よりずっとまともだ。俯きがちなのは、警戒心なのか、それとも排他的なのかは判らなかったけれども。
 見た限り、歴史侵略者とは思えない。一般人であることは間違いない。ただし、狂気に陥った一般人であるならば、充分にそのように感じられた。
「え、ええ。寮に向かおうとして迷っちゃって」
 言い繕うショウに、青年はこちらだよ、と手招きし、少女は「着いておいで」と歩き出す。
 どうやら、案内してくれるようだ。
 それに従う――振りをして、情報収集に励むことにした。

 そして先程。
 雑談の最中、大学での希望する研究を問われ、咄嗟に『ネクロノミコン』の単語を口にしたショウに、青年はふむ、と頷き答えたのだ。
「何事も、基礎を大切にすることは良い事だよ」
(「基礎?!」)
 どうやら、そう言う事らしい。掘り下げた会話をすると、原書を想起させる会話も出てきた。
「やはりラブクラフト様の許可とか?」」
「ああ、そうだ。ラブクラフト学長は本当に偉大なお方なのだ!」
 ……話の前後が繋がっていなかったが、それを追求しても仕方ないので、そのまま通すことにした。
「何時かラブクラフト先生のお役に立ちたいものだ」
(「学長、先生。うーん」)
 まあ、どちらも教師を意味する言葉なので、呑み込むことにする。見れば、少女も曖昧な表情をしていた。
「そう言えばグリムって聞いた事ありますか? あとはロゴ・トゥム・ヘレとか……」
 話を転換させるべくショウが単語を口にする。そして、その返答は早かった。
「グリム? グリム童話のグリムかな?」
 彼の勢いは止まらなかった。
「童話といえど侮る事は出来ない。童話には民俗学の精髄が含まれている事が多いからな。勿論、多くの記述は大衆に迎合する娯楽小説に類する役に立たないものだが、大衆が認知しているという事実こそが、重要になる場合もある」
 早口で捲し立てられる。
 大丈夫、そこで引くショウではない。何せ、自分からこの話題を振ったのだ。
「何を知り、何を学ぶかは心がけ次第という事だ。……そう言えば、うちの教授も、グリム童話における復讐の定義みたいな資料を集めさせていたなぁ」
 そして、彼はふむ、と頷いた。
「ロゴ・トゥム・ヘレか。なかなか勉強しているな。それは、トゥアモトゥ諸島周辺の神話にでてくる触手の悪魔だね」
 先のグリムと一貫性ない会話が広がっていったが、もうここまででショウも慣れていた。「流石です」と持ち上げる会話でその先を促す。
「触手を持つ悪魔についての記述は、様々な神話に登場する。これは、人間の持つ原初の恐怖というものが、民族や歴史に関係なく存在する事を示唆しているだろう」
「成る程成る程」
「先輩は自分の研究成果に自信を持ってていいですよね……」
 少女が零す嘆息は重かった。
「私はもう、駄目かも……」
 些か、鬱の気が見えるようだったが、本当にその様子だ。
 そんな少女の肩を青年は叩き、はっはっはと乾いた笑いを上げる。
「僕の友人にも鬱になる者もいたが、なぁに、今は吹っ切れたかのように研究に明け暮れているよ!」
「……それか、退学している……ですよね?」
 あーあ、と少女は呟き、そして天を仰ぐ。ぽつりと零した言葉は、何処かしんみりとしていた。
「私もダンバーズの精神病院に行っちゃうのかなぁ」
「悪いことを考えるもんじゃないよ。だからこそこうして休日の勉強に付き合っているんじゃないか。なぁ!」
 青年の脳天気な声に、少女は再度の溜め息を返した。
 それが鬱っぽい彼女に悪い影響を与えているのでは……とも思えたが、しかし、それはショウの関与する所ではなかった。
 結構な情報を聞けたと判断した彼女は、二人に礼を言い、その場から離脱する。

 ――ショウと言う学生がミスカトニック大学に所属していないことを二人が知ったのは随分と後の話であった。
 そして――。

「ディアボロス!!」
 ショウ達の奮闘虚しく、その時はやって来たのであった――。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【影忍び】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!

シアン・キャンベル
搬入口からの脱出は如何に
情報の方は幾つか、収集できている様子。此処からは復讐者の『得意』というワケか。よろしい。本格的に道を拓いて行こうではないか。【パラドクス通信】で常に状況を全体的に把握
しかし、随分と愉快なマスクではないか。志願しているのは彼等の方らしい。【泥濘の地】で連中の動きを鈍くしてやれば『逃げる』隙も出来るというもの。まずは『数を減らす』のが優先だろうがな
アルカへストシャワーで『囲まれないように』立ち回る。挟み撃ちしようとしてくる相手が居れば『それ』を優先的に叩いておきたいものだ。それにしても殺人鬼……アルバート・フィッシュも、存在していると聞くが、目の前の『貴様等』の実力や如何に
勿論、マトモに喰らいたくはない。パラドクス故に、喰らう事は前提だがな。さて……ひとつ。貴様等に訊きたい事があったのだ
「奴は何処にいる」
「大切な書物の行方を確認しておいた方が良いのでは?」
教えてもらえるとは思っていないがな。動揺してくれたら『逃げる』隙にもなるだろう。何処かに必ず存在している事も判るか


シャルロット・アミ
アドリブ、連携歓迎です

極秘裏調査、お疲れ様でした
脱出はお手伝いに参りましょう
【パラドクス通信】で皆様のタイミングを図り
救援機動力で裏口入学よ

皆様が逃げる方向とは逆、つまり裏口、かしら
そこで騒ぎを起こしましょう
大鎌でびゅんびゅん水を飛ばしていれば
さすがに人数を割かなければいけないと思うんじゃないかしら

勿論、生徒さんは巻き込まないように細心の注意を
教授もね、申し上げたいことは多いけど
慰めてくださった方ですもの
無碍にはできないわ

基本的には敵の気を引くのが重要、私は囮
だからこちらでは手を出さない
攻撃はワンピースひらりでいなしていくつもり
怪我は仕方ないわね

私のほうへ来る敵に対して【泥濘の地】を使用
足を鈍らせてにっこり笑ってごきげんよう
次は教授の紹介状を持ってくるわ
貴方たちの研究は、かなり興味があるもの

敵がもたもたしてくれれば
【光学迷彩】【モブオーラ】【影忍び】等など使って
その場を脱出
皆様と合流するつもりよ
さあ、これからどうするか考えないとね


一里塚・燐寧
あは、熱烈歓迎してくれるじゃんね
次はちゃんとした留学生として入れてくれてもいいんだよぉ?
外国人多いんだからさ、(自分を)古代エジプト人(だと思い込んでいる現代日本人)がいたって問題ないでしょ?

まず周囲を手短に観察し、さらに可能なら【パラドクス通信】or救援機動力による集結で仲間から大学構内の様子を確認
距離や敵の密度を考慮して、どこから脱出するのが一番か決めよう
もしも外に繋がる水路があるなら【水中適応】で逃げるのもアリかなぁ?

逃げ道が決まったら一点突破ぁ!
全滅は狙わず、前方で立ち塞がる奴と追い付いてきた奴の処理にだけ集中
走りながら《テンペスト・レイザー》の回転鋸刃を押し付けて『呪式:襲風炸爆』
敵を斬り倒しつつ、鋸刃で銃弾やアイスピックをできるだけ弾いて駆け抜けるよぉ
ごめんねぇ、そろそろ門限でさ!

出口が施錠されてたり、門を通るより壁を飛び越えた方がいいなら【フライトドローン】を足場に
敷地を出たら【モブオーラ】で雑踏に紛れるか、【光学迷彩】が使えそうな場所に潜り込み、敵を躱してトレインに戻ろう


四葩・ショウ
おや、みつかっちゃったな
見学もここまでみたいだ

そっちはどう?
【パラドクス通信】で様子をたずねつつ
先ずは出口の方向、目指すべき進路を決め打つ

正門よりは、わたし達が搬入されたであろう
出口をめざしたほうがいいかな?
踵を返したら
【エアライド】のダッシュで最適経路を駆けぬける

向こうの方が地理を理解してるから
建物を利用した上からの奇襲にも気をつけて
多くの敵に追われてる時は、囲み難く狭めの路を選んで
逆に、進行方向に敵がいたら積極的にパラドクスを仕掛けて
逆説連鎖戦を活用して距離を稼ぐ

主に進路方向からの敵を撃破&突破を重視
近くに仲間がいれば同じ敵から狙って
すばやく斃して、先へすすもう

敵のパラドクスに合わせて
死角を補うバトルマントを纏い
反撃の中で身体を捻って振り解く
一般生徒は巻き込まないようにしたい

もし逃げきれないなら
囮になってでも逃がすけど
そうならないように、全力を尽くすだけ
傷も、いたみも立ち止まる枷にはならない
皆でかえろう

ラヴクラフト学長、か
何の研究をしているのかはしらないけど
いずれ、邪魔をしてあげるさ


ゼキ・レヴニ
キテレツな教授や生徒に、ダイバーシティなクロノヴェーダはともかく
機能としちゃ思ってたよりも…「大学」してたのが意外だったが
収穫もいくつかはあったか
頃合いのようだし、スタコラと逃げるとすっかい

【パラドクス通信】で仲間の位置と状況を確認し
互いに援護が必要そうなら合流を図る
接敵後、部屋や建物の入り口、通路など
迂回し辛い所を狙って【防衛ライン】を引き
奴らが足止めを食らってる間に距離を稼ぐぜ

逃げつつの攻撃は一番距離の近い敵を優先
金属塊『躯』を鉄条網に変じ、敵の足に絡み付かせ追跡を阻害する
ナイフ攻撃は機械の腕で受けつつ、敵の動きを注視し
掛けて来る縄を鉄条網で絡めとり、逆に締め上げてやる
足止めに有効であれば周囲の物を崩して通路を塞いだりも考えるぜ

学内の一般人が多い経路はなるべく避け
射線に入るなら脅してでも追い払うが
壁や窓を破ってでも早いとこ人の少ない校外に出て
敵の視界から外れ次第【光学迷彩】で姿を隠したいとこ

次来る時はラブクラフト大先生にでもお目にかかりたいモンだぜ
エセ新米教授じゃなく、復讐者としてな


「おや、みつかっちゃったな。見学もここまでみたいだ」
 突如響いた叫び声に、四葩・ショウ(After the Rain・g00878)は肩を竦める。
 学生達と別れを告げたのはつい先程の事。時間にして数時間は稼げたようだが、此処が潮時のようだ。
 おそらく、ワイズガイ達に発見されたのは彼女のみはない。その証拠に各所で同じような怒声が響いていた。
「ディアボロスが紛れ込んでいるぞ! 捕まえろ!! 研究材料にしてやる!!」
(「『叩き出せ』、ではない辺りにミスカトニック大学風味を感じるね」)
 刹那、胡乱な事を考えたが、ともあれ、自身に迫るトループス級ワイズガイ『マーダー・インク・ヒットマン』達に捕まるつもりはない。
 踵を返したショウは、最早学生への擬態は不要とばかりに、正門へ向けて走り出すのであった――。

「あは、熱烈歓迎してくれるじゃんね。次はちゃんとした留学生として入れてくれてもいいんだよぉ?」
 無数のマーダー・インク・ヒットマン達に追いかけられながら、しかし、余裕綽々な声を上げる者がいた。
 復讐者が一人、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)である。
 ホルマリン漬けを装って侵入した割に放つ台詞は図太く、もしも敵が聞いていれば、
『上等だ! 正面からやってこいや!!』
 ぐらいの反応がありそうだが、しかし、生憎マーダー・インク・ヒットマン達はその情報を知らない。いつの間にか紛れ込んでいた鼠を捕縛する勢いで、彼女達の元へと詰め寄ってくる。
 因みに、歴史侵略者でも空想科学コーサノストラの一般人でもない彼女に入学資格があるかは不明だ。何せ、燐寧は古代エジプト人。より正確に言えば、己の出生をそう思い込んでいる現代日本人――最終人類史の存在だ。何となくそれでも受け入れてくれそうに思えるが、しかし、それは推測の域を出ない。
(「まあ、それをただ望むだけなら、無理だろうけどねぇ」)
 何かしらの行動が必要なのは、全てに共通した事柄か。
「成る程、つまり」
 燐寧に合流したシアン・キャンベル(ルログ・g01143)が静かな吐息を零す。
「情報の方は幾つか、収集できている様子。此処からは復讐者の『得意』というワケか」
「そうだねぇ」
 道を拓くと意気込むシアンに、燐寧の笑顔が重なる。
 そう、ここからは荒事の時間だ。ならば――。
「やぁってやるよぉ!!」
 己が身体に紫色の鬼火を纏わせながら零れた燐寧の声は、とても快活で、楽しげな物であった。

「あらあら。お触りは厳禁、ですよ」
 裏口にほど近い広場に、そんな声が響き渡った。
 大鎌でマーダー・インク・ヒットマン達を牽制する彼女の名は、シャルロット・アミ(金糸雀の夢・g00467)。彼女もまた、復讐者の一人であった。
 彼女が放つ水刃はマーダー・インク・ヒットマンを斬り裂き、血肉をミスカトニック大学の構内に振りまいていく。そんな乱戦になりながらも、一般人を巻き込んでいない辺りは、シャルロットの矜持を伺わせた。
「踊りましょう。ワイズガイの皆さん。あなた達の求めるディアボロスはこっちですよ」
 派手に動き回る彼女は、誰がどう見ても陽動の徒であった。
 だが、だからと言ってマーダー・インク・ヒットマン達が無視出来る筈も無い。そして、シャルロットに人手を割く以上、他の復讐者への追撃が甘くなるのも当然であった。
 全ては彼女の狙い通り。
 だが、その代償は大きかった。
「――あら? あらあら?」
 気がつけば、視界を無数のマーダー・インク・ヒットマン達が覆っている。
 如何に復讐者とは言え、小娘一人に本気になり過ぎでは?! と呻きたくもなる人員が其処に投入されつつあった。
(「もしかして、……結構窮地なのかしら?」)
 研究材料にされたら、新宿島の海に還るのだろうか?
 それとも、生きたまま保管され、そのままガラスケース内で助けを待つ事になるのだろうか。
(「せめてあの教授の元に届けられれば――なーんて」)
 己に放たれたアイスピックの群れに視線を送りながら、シャルロットは僅かに表情を歪める。脳裏に過ったのは子供の様に妄想を語る教授の姿で、それが最後に見る光景なのは少し嫌だなぁ、と思ったその瞬間であった。
「おっと。キテレツな教授や生徒の中に見知った顔がいると思えば」
 響き渡る甲高い金属音は、アイスピックや投げナイフが弾かれた音であった。
 視線を送れば、そこに居たのは崩したスーツ姿の男――ゼキ・レヴニ(Debaser・g04279)であった。サイボーグの顔に汗が浮かぶのは、ここまで走ってきたからか、それとも根源的な恐怖に触れたが故の冷や汗なのか判らなかったが、それでも、判る事はただ一つ。
 彼は光明だった。
「収穫は幾つかあった。さあ、スタコラと逃げるとすっかい」
「ええ!」
 残留効果【防衛ライン】を引きながらマーダー・インク・ヒットマン達を足止めする彼の言葉に、シャルロットは力強く頷いた。

「わるいね、どいて貰うよ」
 硝子の刺突剣でトループス級ワイズガイ達を牽制したショウは、そのまま跳躍。【エアライド】の恩恵の元、一度のみ宙を蹴りながら最適経路を駆け抜けて行く。
「なんか、敵が捌けてる感じぃ?」
 と、燐寧。
 爆音放つ回転式鋸刃《テンペスト・レイザー》を振るう彼女は、最早、躱すことを忘れた重機であった。目の前に立ち塞がるマーダー・インク・ヒットマン達を千切ってはなぎ倒し、千切ってはなぎ倒しを繰り返し、仲間共々突破を試みる。
「もはや隠密行動の影は何処にも潜んでいないな」
 若干、呆れが入った台詞をシアンが零す。
 だが、実の処、彼女もまたこの状況を得手としている。要するに好みと合致していた。
「まあ、数減らしには賛成だ。溶解液のシャワーと泥と化した地面と仲良くするといい。愉快なマスクの諸君よ」
 何処か愉悦じみた笑いは、マーダー・インク・ヒットマン達がのたうち回る様を目前に見るが故か。
 八艘飛びの如く駆け抜けるショウ、群がる敵を次々と弾き飛ばす燐寧、そして恐るべき雨と【泥濘の地】で敵の脚を止めるシアンと、正門へと向かう彼女達は何処か輝いていた。
「ところで……」
 自身に追い縋るマーダー・インク・ヒットマンを蹴飛ばし、シアンが呟く。
 ぎろりとした目は、紙袋で遮られた筈のマーダー・インク・ヒットマンの瞳を確実に捉えていた。
「殺人鬼、アルバート・フィッシュは何処にいる?」
 答えは無い。ただアイスピックの刺突が返答とばかりに放たれ、彼女を掠めるのみだった。
「そうか。それが答えか。ならば奴に伝えておけ。『大切な書物の行方を確認しておいた方が良いのでは?』とな」
 対峙したマーダー・インク・ヒットマンがその存在を知っているか、それはシアンに取ってどうでも良い話だ。
 もしかしたら存在も危ういかもしれないが、しかし、それを問うつもりも無い。存在しているのであれば何れ遭遇するだろう。存在していないならそれが為されない。ただそれだけの話なのだから。
「ごめんねぇ! そろそろ門限でさ!」
 燐寧の快活な声と回転鋸刃の爆音が響き、そして、復讐者達は正門を飛び越える。
 大学構内を飛び出した彼女達に為す術も無いのか。
 マーダー・インク・ヒットマンは僅かな手勢を追撃に差し向けたのみで、その多くは大学構内に留まっていた。
(「或いは、わたし達以外のディアボロスを警戒しているのかな?」)
 余所でも騒ぎがあったようだし、とショウは頭を振る。
 その僅かな手勢も、今は壊滅状態だ。ショウのレイピアを始めとした燐寧、シアンのパラドクスによって末期を迎えた歴史侵略者達は、その骸を晒す事無く、黒い塵へと転じていく。
(「……ラヴクラフト学長、か」)
 正門を睨み、思う。
(「何の研究をしているのかはしらないけど。いずれ、邪魔をしてあげるさ」)
 彼女が抱く強い決意は、おそらく、皆も同じものを抱いたのだろうか。
「さあ、トレインに戻ろうよぉ」
 燐寧の言葉に一同は頷き、そして、木々の中を駆け抜けていく。

「皆、無事逃げおおせたみたいだな」
 シャルロットと共に陽動役を買って出たゼキは、大学構内の木々に身を隠しながら独白する。
 今となっては、正門からの喧噪も聞こえない。ともすれば、後は自分達が逃れるだけだ。
「一応【光学迷彩】は使っているが、いつ見つかっても不思議はないしな。とっととズラかろうぜ」
「ええ」
 今はまだ敵の目を誤魔化せているが、それでも多くのトループス級が復讐者達を炙りだそうとしている。100%の発見率を50%に下げる等なら兎も角、発見率200%超えとかになってしまえば、洒落にもならない。
 それはシャルロットも同じ想いなのだろう。
 ゼキに力強く頷くと、彼女は木を蹴り、壁を蹴り、そして裏門を飛び越えていく。
 ワンピース姿で軽やかに壁越えする姿は、目撃者がいたらやばいのでは? と言う考えが過ったが、幸い、ここにいるのはゼキ一人だ。気にしないことにし、彼もまたその後を追う。
「次は教授の紹介状を持ってここにくるわ。何が行われているのか、どんな研究が行われているのか、かなり興味あるもの」
 残留効果【エアライド】の恩恵だろうか。
 空気の足場を蹴るシャルロットは、そんな独白を零していた。
 再びここに戻ってくる。
 彼女が抱く決意は、ゼキもまた、共有する物であった。
(「次来る時は、ラブクラフト大先生にでもお目にかかりたいモンだぜ」)
 次はエセ新米教授ではなく、復讐者として。
 ジェネラル級ワイズガイと対峙するならば、それも必然であろうか。

 斯くして、意気込みと共に復讐者達はミスカトニック大学を後にする。
 だが、彼らは何処となく悟っていた。
 再訪の時は、然程遠くない未来に訪れる。
 予知の力を有さない彼ら彼女らであったが、しかし、皆、一様にそんな予感を抱いていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【泥濘の地】LV2が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
【防衛ライン】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
【ラストリベンジ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV5(最大)になった!
【反撃アップ】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2025年10月08日