リプレイ
無堂・理央
今回は防衛拠点作成地域は武蔵国の秩父山地でどうだろ?
目的は甲斐国から武蔵国へ侵攻するだろう武田家に対する防衛線だね。
甲斐国は山間の国だし、古い日本の知識がボクに無いのもあってどのルートで武蔵国に入ってくるかは正直判んない!
なので、以前の甲斐国偵察でジェネラル級妖怪が守っていた秩父山地の武蔵国側を守りやすくしておこうって考え。
まぁ、ジェネラル級を倒したのは一年程前だし、その後の変化を確認して無いから甲斐国側の秩父山地の状況は正直判らない。
けど、秩父山地の甲斐国側にはディアボロスが制圧してない敵拠点がある以上は警戒は怠れない地域でもあるんだよね。
それに秩父山地の範囲は相模国北部も納まってるはずだし、武蔵国側で防衛拠点があれば、武田家が秩父山地の部隊を武蔵国じゃなくて相模国へ向けた時に横から喰い付く防衛戦略も取れるかな?ってあわーい期待もあるよ。
●甲斐の虎を睨んで
天正大戦国攻略旅団で提案された、ディアボロスが制圧した令制国での防衛計画。まずは令制国のどこに防衛施設を建設するかが議題に挙がるが、自身も攻略旅団に所属し、大戦国の攻略に力を注いでいる無堂・理央(現代の騎兵?娘・g00846)が、こう提案した。
「今回は武蔵国の秩父山地でどうだろ?」
武蔵国は、現代で言えば東京都西部と埼玉県全域、神奈川の一部にまたがる場所。理央の意見に、その場に居合わせたディアボロスたちもなるほどと頷き、理央の言葉の続きを待つ。
「ここに建設する目的は、甲斐国から武蔵国へ侵攻するだろう武田家に対する防衛線だね」
現在の山梨県に当たる甲斐国は山間の国だ。そこには強敵に違いない武田信玄がいるらしきことは、理央が甲斐国の偵察に赴いた時に得た情報から判明している。
「とはいえ、古い日本の知識がボクに無いのもあって、どのルートで武蔵国に入ってくるかは正直判んない!」
なので、以前の甲斐国偵察でジェネラル級妖怪が守っていた秩父山地の武蔵国側を守りやすくしておこうって考えだよ、と理央はその理由を述べる。
「まぁ、ジェネラル級を倒したのは一年程前だし、その後の変化を確認して無いから甲斐国側の秩父山地の状況は正直判らない」
だから、敵がどういった行動を取ってくるか、正確に予測できるわけではないけれど、と理央はそんな懸念点も伝えつつ、それでも備えておく価値はあると思うと言葉を続ける。
「まあ、そんな状況ではあるんだけど……秩父山地の甲斐国側にはディアボロスが制圧してない敵拠点がある以上は警戒は怠れない地域でもあるんだよね」
その言葉に、ディアボロスたちもなるほど一理あると頷く。《戴冠の戦》まで、もうそんなに時間はない。あちこちに防衛施設を作ることは難しいだろう。
ならば、理央が述べた理由の他にも、ディアボロスの本拠地である東京23区のある武蔵国を防衛するというのもまたいい選択だと思えるのだ。
また、千早城改を改造して武蔵国に運び込んで再建するという提案も出ている。守りを固めておいて損はないだろう。
「この案は悪くなさそうかな? あと、武田家が秩父山地の部隊を武蔵国じゃなくて相模国へ向けた時に横から喰い付く防衛戦略も取れるかな? ってあわーい期待もあるよ」
秩父山地には、相模国北部も含まれるので、この辺りに防衛拠点があればいいのではと理央はさらに思いついたことを説明するのだった。
「ただ、秩父山地と言っても広いよね。その全てに拠点を作るのはさすがに無理じゃないかな?」
ディアボロスの中からそんな声が上がる。
確かに秩父山地は、群馬県、埼玉県、東京都、神奈川県、長野県、山梨県と、一都五県に広がる広大な山地である。理央たちが偵察に行った時は、山地全体に敵戦力の防衛網が築かれていたが、さすがにこちらも同じことが出来るわけではない。
「んー、そうだね……」
そうして話し合いの結果、秩父から敵が攻めてきた場合の防衛を考えて、現在の秩父市辺りに拠点を造ることになった。
「よし、場所は決まったね。それじゃあ、その辺りにある農村に食料支援しつつ、防衛施設の建設を手伝ってもらおうか」
クロノ・オブジェクトではない防衛施設は、劇的な効果を発揮するわけではないけれど。それをうまく利用すれば、きっと戦いを有利に運ぶことが出来るだろう。
やれることは出来るうちにやっておくまで。
「それじゃあ、武蔵国の防衛拠点建設、頑張っていこうか」
そう言って他のディアボロスへも参加を呼び掛けるのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
●秩父山地の農村
武蔵国の秩父山地にある農村に防衛施設を建設することが決定し、ディアボロスたちは準備を済ませて早速そちらへと向かう。
武蔵国は最終人類史にこそ奪還していないが、ディアボロスが制圧した令制国。天魔武者の圧政から解放され、人々はそれなりに平和に暮らしてはいるが、それでも収穫期を前にしたこの時期に食料が潤沢にあるわけではない。
防衛設備を建設してもらうためにも、食料の支援を行い、農村の人々のやる気を引き出そう。
リオーネ・クア
アドリブ・連携OK
この時代にあっておかしくないもので保存が利く保存食を何種類かと
生の白米と飯盒、更に昆布の佃煮と鰹節と塩と醤油等のおにぎりセットに
クーラーボックスに入れた氷やシロップ、かき氷器等のかき氷セットを持ちこむ
大荷物を運ぶ力や体力には自信があるけど
ちょっと量が多くて動きにくいな
運ぶのを手伝ってもらおうと思ってサーヴァントのロッソも召喚してるんだけど
ロッソってばかき氷シロップの瓶だけ抱えて幸せになってるんだ
困った子だよ
まずは白米を炊いておにぎりを作り【口福の伝道者】で増やして振る舞うよ
防衛施設の建設をお願いすることにもなるし
大仕事の前にご馳走を振る舞うんだ
白米ってだけでもご馳走だと思うけど
せっかくだからより美味しくするのがいいよね
みんながおにぎり食べている間に俺とロッソで保存食を食べて【口福の伝道者】でしばらくの間の食事も確保
保存食が充分になったら氷を増やすよ
これから暑くなるし、秩父周辺は高温地帯だからね
増やした氷はかき氷や氷水にして大人子ども問わずに冷たさも楽しんでもらいたいな
無堂・理央
地域は決まったし、今度は食糧支援だね。
戴冠の戦も近いし、今までのセオリーから少し外れてみるのも良いかも?
持ち込むのは時代に合わせた保存食中心に現地炊き出し用に汁物の具材に大鍋っと。
汁物の方は現代の調味料とか具材で調理するつもりだけど、いけるかな?
後はアイスキャンディーも持ち込んじゃえー。
ボクが背負ったり無双馬『クロフサ』の背に積んだりと持ち込み量を増やす努力はするけど、パラドクストレイン貨物車両が出てくれるなら自衛隊とかで使ってそうな炊き出し用車両も持ち込んじゃえー。
現地では汁物を目の前で作って見せた上で【口福の伝道者】で数を増やしながら炊き出しだよ。
飲み水含めて必要な水は【水源】を利用して確保だね。
で、アイスキャンディーも配る訳だけど、配る際には防衛施設建設って労役をお願いするし、作った施設で守り切れてるなら時折アイスキャンディーみたいな外つ国の食べ物を振舞ってあげようって感じで食べ物で労働者の意欲を高めてみよー。
後、年貢を取る事も無いと伝えたら天魔武者の再支配を嫌がる方向になるかな?
●初夏の食糧支援
「よし、防衛施設を建設する地域は決まったし、今度は食糧支援だね」
そう言って、武蔵国は秩父山地にある農村のそばに到着したパラドクストレインから降り立った無堂・理央(現代の騎兵?娘・g00846)は、早速用意した食料を村へ運ぶ準備を始める。
「天魔武者の支配から解放されたとはいえ、農村の暮らしは大変だよね」
理央に続いてパラドクストレインから降り立ったリオーネ・クア(ひつじの悪魔・g01176)は、そう呟きながら同じく運んできた荷物をトレインから降ろしていた。
リオーネが持ってきたのは、生米に飯盒、それに昆布の佃煮や鰹節といったおにぎりの具材たち。農業系の大学で学んだリオーネにとっては、こうして農作物を育てることの大変さは理解しているのだ。
「ひょっとしておにぎり作るのかな? ボクは汁物を考えてたからちょうどいいかも」
リオーネの運ぶ食材と道具を見て、ピンときた理央が大鍋を無双馬の『クロフサ』の背に積みながら、にこっと笑う。
「あとは保存食とかも持ってきたんだ。《戴冠の戦》も近いし、今までのセオリーから少し外れてみるのも良いかもって思って……アイスキャンディーも持ち込んでみたんだけどね」
そう言ってクーラーボックスもよいしょと運ぶ。
「それなら俺もかき氷が出来るよう準備してきたんだ」
やはり日本の6月ともなれば暑くなってくる頃合い。二人とも、腹が膨れる以外にも暑さを乗り切れる支援を考えていたようだ。
「……っと、荷物が多いからロッソも運ぶの手伝ってくれる?」
そうリオーネが声をかければ、メーラーデーモンの『ロッソ』が元気よく「めー」と返事をするが、なにやらかき氷のシロップの瓶だけを抱えて幸せそうにうっとりしている。
「もう、ロッソってば……かき氷はもちろん食べていいけど、まずは村の人への食糧支援が先だよ? ……困った子だよ」
どうやらこれから食べるかき氷のことで頭がいっぱいな様子のロッソに頼るのを諦めたリオーネは、何度か往復することを覚悟で荷物を運ぶのだった。
天魔武者の圧政から解放された農村は、日々の暮らしは楽ではないが、それでも人々は毎日を精一杯送っている様子。ディアボロスのことは、天魔武者に代わる偉い統治者という認識なのか、食料を持って現れた二人へと丁寧な挨拶と礼儀を尽くしていた。
「こんな場所までよくいらっしゃってくださいました……えっ、食べものを恵んでくださるのですか?」
「うん、保存できるものも置いていくつもりだけど、まずは今から食べれるものを作っていくからね」
「準備するから、少し待っててもらえるかな」
理央とリオーネがそう言えば、村人たちは大感激。何か手伝うことはないかと言われる喜びように、二人は顔を見合わせる。
「そういえば、この時代って一日二食だったっけ。この時間はお腹すいてそうだよね」
ともかく彼らの腹を満たすためにも、理央は持ち込んだ調理器具と大鍋を設置し、時短のために切って来た材料を放り込んでいく。新鮮な水は【水源】で確保してあるので、いくらでも使える。
理央が汁物――おそらく豚汁だろう――を作る傍ら、リオーネも持ち込んだ米を洗い、水とともに飯盒に入れ、白米を炊き上げていく。
炊き上がったご飯の出来を確認し、次に作るのはおにぎりだ。中の具もいろいろ用意した。昆布の佃煮、梅干し、焼き鮭、おかか。ただの塩むすびや、焼きおにぎりなども作っていく。
「うわあ、美味しそう……でも、その量じゃ、みんなには行き渡らないよね……」
10代半ばくらいの少女が、背中に弟妹なのだろう赤ん坊をおんぶしながら、リオーネのおにぎりをじっと見つめていた。けれど、我慢我慢と言い聞かせるように、おにぎりから目を逸らす。
「あ、待って。すぐに増やすから、ちょっと待っててね」
ロッソが少女の着物の裾を掴んで、ここにいてほしいことを伝えると、リオーネは早速作ったおにぎりを食べていく。
「理央さんも手伝ってもらってもいいかな?」
「ん、任せて」
二人がおにぎりを食べていけば、【口福の伝道者】の効果であっという間に村の全員に十分に行き渡る量のおにぎりが竹の皮に乗せられた状態で出現する。
「はい、どうぞ」
「わあ、ありがとう!!」
リオーネがおにぎりを少女に手渡せば、きらきらと輝く瞳でそれらを見つめ、口に含めばその美味しさに笑顔が弾ける。
「たくさん持って行っていいからね」
「めー」
この時代なら庶民が白米を食べる機会も少なく、それはおにぎりといえど、まさにご馳走。
「さ、汁物も出来たよー」
理央も目の前で作って見せた豚汁をしっかり食べ、食器ごと増やしたそれを村人たちに配っていく。
(「ほんとは自衛隊とかで使ってそうな炊き出し用車両を持ち込みたかったけど……」)
災害時などに大活躍の炊き出しトレーラーは、かまどやスライサーなども装備している優れものであるが、電車の車体より大きいので持ち込みは難しかったのだ。
とはいえ、【口福の伝道者】があれば食事の確保は十分。ディアボロスが食べることが条件となるので、保存食として増やせるものはある程度限られてくるが、持ち込んだ米なども合わせれば、この村の人数なら十分な支援となるだろう。
そういうわけで、村人たちがおにぎりと豚汁を味わっている間に、リオーネとロッソは保存食となるものを食べていく。
干物などはそのまま食べるのは大変だし、焼いて食べると今度は保存がきかなくなる。なので、梅干しや焼き味噌や漬物など、そのままでも食べれてかつご飯のおかずになりそうなものを中心に増やしていく。
「これだけあれば大丈夫かな。じゃあ次は……」
「めー」
「ロッソお楽しみのかき氷……のために氷を増やそうか」
これも頑張って食事として氷の塊を頬張っていけば、かき氷にも、氷水として振舞う用にも使える氷が大量に出現する。
「これから暑くなるし、秩父周辺は高温地帯だからね」
だからきっと喜ばれるだろうと、リオーネは持ち込んだかき氷機で氷を削り、甘いシロップをかけて村の人々に振舞う。
「これはありがたい」
「冷たくて美味いなあ」
「こっちにも冷たいお菓子があるよ」
そうして理央もまた、クーラーボックスに入れて持ってきたアイスキャンディーを配っていく。
氷菓子自体は平安時代からあったようだが、農民が食べられるようなものではなかった。
「実はこの村の人たちに、お願いしたいことがあってね」
機嫌を良くしている農民たちへと、理央はさりげなく本題を振る。
「この辺りに、敵が来た時に守りを固める施設を作って欲しいんだ」
「偉い人たちの言うことだ。必要とあればやるさ。なあ、みんな?」
「ああ、こんなうまいもの食わせてくれる人たちの頼みなら、喜んでやるさなあ!」
この世界の人々は労役慣れしているので、特に反感を抱くことなどないようでほっとした理央だった。
「ボクたちはずっと監督できるわけじゃないけど……頑張って作ってくれたら、時々またこういう食べ物を振舞ってあげられると思うんだ」
「ありがたやありがたや……昔に比べたら天国じゃのう」
(「……ま、天魔武者の再支配なんか絶対嫌だろうしね」)
ディアボロスがいてくれる方がいいと彼らは十分にわかってくれているようだ。
「ロッソ、それ何杯目? 食べ過ぎたらお腹壊すかもしれないよ?」
お気に入りのシロップをたっぷりかけたかき氷を思う存分堪能したロッソが幸せそうに「めー」と鳴くと、その様子に、辺りの村人たちからも明るい笑い声が漏れるのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】がLV2になった!
【水源】LV1が発生!
効果2【凌駕率アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
●来たるべき時に備えて
美味しい食事で腹も膨れ、村人たちはディアボロスへと改めて感謝の気持ちを伝える。
防衛施設の建設については文句も出ず、問題なく引き受けてくれるようだ。多少大雑把な指示でも、それなりのものはできるだろう。だが、さらにやる気を引き出すような要素や効率的な指示があればよりよいものができるだろう。
排斥力により、ディアボロスが去った後、その記憶は失われるが、命令されて労役を行うのは、このディヴィジョンにおいては日常的なことなので、村人たちが命令を忘れないような工夫をすれば、しっかりと完成まで建設を行ってくれるだろう。
現代的なものは排斥力の関係で使えない。どれぐらいの大きさで、どのようなものにするか。全てはディアボロスの指示とアイデア次第だ。
無堂・理央
さて、防衛施設建築だね。
天正大戦国の人達だけで作れるような代物が良いとして、どうしてあげよっか。
作るのは家康がやった事と同様に塹壕がお手軽かつ確実かな?
この時代なら空堀と土塁は既にあるからその組み合わせで塹壕を作ろう。
幸い、信長が長篠の戦で乾掘って言う塹壕に近い馬防設備を築いたようだし、時代的にも合うはず。
5人程が並んで身を隠せる堀を掘って出て来た土で甲斐国方面への土塁を堀に追加する形式だよ。
山間でやるから木々を切る必要も出て来るだろうし、切った木を木材にして堀内部や土塁を補強したり土塁から頭だけ出せるように踏み台を堀の中に作ったりするのも良いね。
こういうのは最初の一つは見本も兼ねて一緒に掘ってから皆に数作るようお願いしよう。
乾掘の構図を簡単な図で描いた立て札もいくつか用意して置いたらディアボロスに関する記憶が消えても確認出来るはず。
後はそうだねー、出来た乾掘の数や出来に応じて後でお酒を樽単位で振舞うって約束したら酒飲み中心にやる気アップに繋がるかな?
●防衛の種 支援の実り
武蔵国は秩父山地にある農村の人々へと食糧支援を行い、村人の腹を満たし、心も掴んだディアボロスたちは、早速防衛施設建設の指示を行う。
「さて、いよいよ防衛施設建築だけど……天正大戦国の人達だけで作れるような代物が良いとして、どうしてあげよっか」
防衛施設を置く地域の選定を行った無堂・理央(現代の騎兵?娘・g00846)が、ここでもリーダーシップを発揮する。
理央自身は刻逆が起こる前はごく普通の少女だった。けれどディアボロスとなった今、愛馬クロフサと共に、槍や刀や弓を武器に敵を討つ武者であり騎兵型のスタイルだ。よって戦国時代にどういった戦いが行われていたかという知識も深いのだろう。
「ここは、家康がやったように塹壕がお手軽かつ確実かな?」
この時代に既にある空掘と土塁を組み合わせて塹壕を作ってもらうのだ。理央がイメージしているのは、信長が長篠の戦いで武田軍の騎馬部隊を防ぐために作られた乾堀と馬防柵と土塁の三段構えの名和式鉄砲構えと呼ばれる防御施設に近いもの。
織田・徳川連合軍は、敵が乾堀と土塁で進軍速度を落としている間、火縄銃を固定できる土塁のくぼみで敵を待ち受け、近づいてきたところを攻撃していたようだ。
「よし、まずはひとつ作ってみようか。土を掘る道具はあるかな?」
排斥力を考えて、現地の道具を使ってまずは掘を掘っていく。甲斐国からの攻撃に備え、堀を掘ってできた土は、方角を考えて土塁として土を盛っていく。
「5人くらいが並んで身を隠せる大きさを作っていくよ」
火縄銃で攻撃する以外にも、このくぼみには身を隠すことができるので、ディアボロスの戦いの役にも立つだろう。
そして理央は、ディアボロスが去った後のことも考え、乾掘の構図を簡単な図で描き、立て札としていくつか立てておくことにする。
「なるほど、完成するとこうなるんですか」
「うん、堀内部や土塁の補強用に木の幹や枝を使いたいけど、材料はあるかな?」
「任せてください!」
食糧支援でしっかり心を掴んだこともあり、村人たちは積極的に動いてくれる。
山間の村なので、木材が不足する心配はない。この時代で実際に戦いにおいて役立てられた防御施設。クロノヴェーダ相手にどこまで使えるかはわからないが、ディアボロスが【泥濘の地】や【防衛ライン】などと組み合わせて使えば、十分な効果を発揮することも期待できる。
「うんうん、いい感じに出来てきたね」
働き盛りの男性を中心に掘を掘って、女性たちも木材を運んだりと村全体で力を合わせて作業に当たってくれている。
「ここに守りを固めるってことは、ここが狙われているんですかい?」
作業をしていて疑問に思ったのだろう、そんな質問が飛び出して。
「ううん、ここが狙われるかはわからない。でも、もしもに備えてボクたちは今出来ることをやっているんだ。何かあればすぐに駆けつけるから、心配しないで」
その言葉に村人たちも安堵し、自分たちを支援してくれた偉い人たちの役に立つためならと作業にも力がこもる。
「ボクたちはずっとここにはいられないけど、あとふた月ほどの間に出来るだけこれらをたくさん作って欲しいんだ。食べ物以外にも、出来た数やその出来に応じて、お酒を樽単位で振舞うっていうのはどうかな?」
「酒……!」
「うおー、やる気が出てきた!!」
農村では自家製の酒を作ることも多く、酒好きも多いのだろう。たくさん振舞われるとあらば、酒好きたちの意欲も自ずと上がるというもの。防衛施設にかける理央の熱意も村人たちにしっかり伝播したのだ。
(「ここの人たちは、ボクたちのことを忘れてしまうだろうけど……ボクたちは忘れないよ。遠くない未来に、歴史と大地を取り戻すから」)
《戴冠の戦》が迫る中、理央はそう心に誓うと、力を貸してくれた村人たちの作業を見守るのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【士気高揚】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!