【ラ・ピュセル奪還戦】生きねば！（作者 ゆうきつかさ）

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リプレイ

●拳と刃
「シャトールー、中々に層が厚いわね。防衛線も有ったりと、やっぱり侮れないわ。ジル・ド・レと双璧を成していたというのも伊達ではない様ね。けれど……だからこそ、徹底的に削っておかないと……。だって、臆病者は戦場においては強いのだから。全ては未来の為……さぁ、行きましょう、刃音」
　鴻・御伽（ナサリーティル・g11725）は、鴻・刃音（夢現・g06022）と一緒に、シャトールーの拠点に向かっていた。
　拠点には、グレモリーの娘達がおり、呑気に御菓子を食べながら、ディアボロス達が来るのを待っていた。
「それでも、まあ……それなりに削ってきたんだけれど……。流石に強固、まるで慎重な性格を表しているかの様。でも問題はないよ。戦場があれば、その分私たちが削りに行くだけ。行こうか、姉さん。休むのは戦争が終わってからにしよう」
　すぐさま、刃音が泥濘の地を起動させ、グレモリーの娘達の足元を疎かにさせた。
「な、何よ、これ！」
「足元が、ぬかるんで……動けない！」
　その事に気づいたグレモリーの娘達が、動揺した様子で悲鳴を上げた。
「それじゃ、今回はワタシが先攻するわ。ワタシのパラドクスは聖ニコラウスの一欠けら……例え残滓だろうとも、悪たる者たちには振るっていい拳。だから祈りを捧げます、未来のために――その力をお貸しください」
　その間に、御伽が【聖ニコラウスの聖拳（セイニコラウスノセイケン）】を発動させ、聖人でありサンタクロースの元となった御人に強く祈りを捧げることで、逸話を己が身に降誕させて肉体を強烈に強化し、グレモリーの娘の懐に潜り込み、強烈な鉄槌を急所めがけて叩き込んだ。
「そんな、いきなり……酷過ぎる！」
　グレモリーの娘が涙目になりつつ、恨めしそうに言葉を吐き捨てた。
「これでも、無駄を省いたんだけど……。ワタシの拳は、一撃必殺だからね」
　御伽が刃音と連携を取りつつ、間合いを取った。
「もう頭に来た！　絶対に、許さないんだから……！」
　グレモリーの娘が魔力の翼を、怪しく光る魔術紋様で強化し、優雅に舞うように飛翔しながら、次々と攻撃を仕掛けてきた。
「許さない……か」
　その間に、刃音がグレモリーの娘の背後に回り込み、【龍舞刃踊（リュウブジントウ）】で水流の刃を斬撃にして飛ばして切り刻んだ。
「背後から、攻撃するなんて、卑怯よ！」
　グレモリーの娘がムッとした様子で、魔力の弾丸を解き放った。
　だが、そこに刃音の姿はなく、見当違いな方向に飛んで、大きな岩が破片となって飛び散った。
　それに合わせて、刃音が再び【龍舞刃踊（リュウブジントウ）】を発動させ、水流の刃を斬撃にして飛ばし、グレモリーの娘の四肢を切り裂いた。
「こ、こんな事をして！」
　その事に動揺しつつ、グレモリーの娘が半ばヤケになりつつ、魔力の弾丸を乱れ撃った。
「……」
　それを流れるように避けながら、再び【龍舞刃踊（リュウブジントウ）】で水流の刃を斬撃にして飛ばし、グレモリーの娘の動きを制圧した。
　そのため、グレモリーの娘は、思い通りに反撃する事が出来ず、ストレスばかりが溜まっていった。

●夏の虫
（ラ・ピュセル奪還の前哨戦だから、気合を入れて頑張るつもりでいたんだが、グリム童話の成立するのって、この時代より、ずっと先だったはずが……。いや、ここで言っても仕方ないか。今はやるべきことに集中しないと痛い目に遭いそうだしな）
　一方、呉守・晶（TSデーモン・g04119）は物思いに耽りながら歩いていたところ、別の場所でグレモリーの娘達に遭遇した。
「あらあら、こんなところで、飛んで火にいる夏の虫」
「……って、まだ夏じゃないわね？　まあ、些細な事だから、気にしたら負けね」
　グレモリーの娘達が、クスクスと笑った。
「……たくっ！　なんだって今更こいつらの面を拝まなきゃならねえんだ。……いい加減にしてくれ！　魔女化しても、その鏡を見るみてぇな不愉快になるそっくりな面は変わってねぇとか嫌がせか！　グレモリーが死んでからも、しつこく俺にその不愉快な姿を見せるんじゃねぇ！」
　晶が嫌悪感をあらわにしながら、グレモリーの娘達に冷たい視線を送った。
「あら、残念。嫌われちゃったみたいね。でも、安心して。少なくとも、あなたよりは長生きするから……！」
　グレモリーの娘達がクスクスと笑って、踊りを始めようとした。
「一体、何を安心すりゃ、いいんだが……。だが、踊るのは、やめておけ。無理に踊ろうとすれば自分からバラバラになるぞ？　まぁ、動かなくても俺がバラバラにしてやるけどな！」
　その間に、晶が【細キ解スモノ（ホソキバラスモノ）】で魔晶剣アークイーターの封印を一部解除し、刀身を無数の鋼糸に変異させつつ、視認困難な鋼糸を張り巡らせ、グレモリーの娘達に巻きつかせた。

●希望の光
（さて……、キマイラウィッチとの決戦となりましたが、彼らは土地の維持にそれほど拘っていない印象ですね。どちらかと言えば更なる復讐心を得て、力を得て種として強くなることに趣きが置かれている印象ですが……。まあ、何であれ、生き残れば戴冠の戦まで、時が無いのに面倒なことになりかねません。きっちり戦力を潰して、奪還戦当日に選べる選択肢の幅、広げさせて貰いますよ！）
　そんな中、エヴァ・フルトクヴィスト（星鏡のヴォルヴァ・g01561）は、グレモリーの娘達と戦っていた。
「あははは、あはっ！」
「どうやら、手も足も出ないようね」
　グレモリーの娘達が挑発的な言葉を吐きながら、魔力の翼を全身の怪しく光る魔術紋様で強化して優雅に舞うように飛翔し、魔力の翼からエヴァを何処までも追尾する黄金に輝く魔力の弾丸を連続して解き放った。
「本当に、そう見えますか？」
　エヴァが飛翔による加減速によるフェイントを交え、なるべく動きが読めないように攪乱しながら、囮も兼ねて一気に距離を縮めていった。
「ええ、見えるわ」
「だから、一思いに殺してあげるっ！」
　グレモリーの娘達がケタケタと笑いながら、次々と空を飛んで襲ってきた。
「……そうですが。ならば、空を制するのはどちらか試してみましょうか！」
　それに合わせて、エヴァが【現在を駆ける翼（ヴェルザンディ）】で速度の乗せた羽根の制圧射撃を仕掛け、頃合いを見計らって退却するのであった。

最終結果:成功
完成日	2025年04月16日