【ラ・ピュセル奪還戦】⑦ジャン・ド・ヴィエンヌ
このシナリオは【火刑戦旗ラ・ピュセル奪還戦】に関連する特別シナリオです。
最終人類史の戦場は、奪還戦が開始するまで攻撃する事は出来ない為、火刑戦旗ラ・ピュセルのフランス全域に散らばるジェネラル級キマイラウィッチに対して、戦闘を仕掛けます。
この戦闘によって、敵の戦力を削ることが出来ます。
勝利したシナリオ数に応じて、対応する戦場の敵の数が減少し、戦いを有利に進めることが出来るようになります。
また、火刑戦旗ラ・ピュセルの周囲は全て最終人類史の領域である為、今回の奪還戦では他ディヴィジョンからの横やりが入る事はありません。
このシナリオの攻撃対象は【⑦ジャン・ド・ヴィエンヌ】の軍勢です。
ジャン・ド・ヴィエンヌは、火刑戦旗ラ・ピュセルの北西の境界を守護する『シノン城』の城主として、ディアボロスを迎え撃とうとしています。
「成功したシナリオ数×5%」だけ、「⑦ジャン・ド・ヴィエンヌ」の敵残存率を低下させます。
【ラ・ピュセル奪還戦】毒蛇の腮(作者 秋月諒)
#火刑戦旗ラ・ピュセル
#【ラ・ピュセル奪還戦】⑦ジャン・ド・ヴィエンヌ
#火刑戦旗ラ・ピュセル奪還戦
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●シノン城の宿願
戦場には、敵の気配が迫っていた。美しく輝くビエンヌ川の流れを、シノン城の城壁から見下ろしながら、ジェネラル級キマイラウィッチは静かに息を落とす。
「再び攻めて来るか、ディアボロス」
ジャン・ド・ヴィエンヌ。
百年戦争期の海軍提督の名を持つキマイラウィッチは、ゆっくりと顔を上げる。頬を撫でる風は、ジャンにとって馴染みのある戦場の風だ。
「……」
一歩、前に足を進める。靴先が城壁に触れた。眼下には、軍服に身を包んだ兵士を含めた防衛部隊とキマイラウィッチ達が集結していた。
「ならば、今度こそ、この城をお前達の墓場に変えてやろう」
聞け、とジャン・ド・ヴィエンヌは告げる。
「ディアボロスへ、更なる復讐を!」
「復讐を!」
「復讐を! 復讐を!」
ジャンの宣言にキマイラウィッチ達が歓声を上げる。薄曇りの空の下で、彼らの宿願が産声を上げようとしていた。
●死地と踊る
「さて、揃ったみたいだな?
火刑戦旗ラ・ピュセルでの戦い、まずはお疲れさん。有力なジェネラル級キマイラウィッチらを倒したことで、火刑戦旗ラ・ピュセル奪還戦の発生を示す断層碑文が出現したぜ」
が、相手さんも動いてきた。と告げたのはシーア・フィティア(アウフヘーベン・g07719)であった。
「ディアボロスの奪還戦に対して、断片の王ジャンヌ・ダルクが、不完全じゃぁあるが、復讐祭の卵を使用した大儀式を行い、最終人類史に逆侵攻を実行した」
つまりだ、とシーアは顔を上げる。
「今回の奪還戦——火刑戦旗ラ・ピュセル奪還戦では、火刑戦旗ラ・ピュセルに攻め込んでジャンヌ・ダルクの撃破を目指すと同時に、最終人類史の防衛もやらねぇといけねぇ訳だわ」
更に、今回の相手はキマイラウィッチだ。
「直に戦ってきたあんた等の方がよく分かっちゃいるだろうが……、キマイラウィッチにとってみりゃ、復讐相手であるディアボロスとの決戦だ」
今までの奪還戦が容易いものだったことは無い。だが今回は、より厳しいものとなるだろう。「キマイラウィッチが本来以上の戦闘力を発揮してくる分、戦いは熾烈を極める」
幸いなのは、周囲を最終人類史で囲まれた火刑戦旗ラ・ピュセルに対して、他のディヴィジョンからの横やりは入らないのことだろう。
「厳しい戦いになるが……って、何度言うんだって話じゃぁあるが、頭に叩き込んどいてくれ。
舐めてかかって勝てる相手でもなけりゃ、警戒してりゃぁどうにかなるって訳でも無い。
——だが、あんたらの実力を俺は信じてる」
死ぬなよ、とひとつ言い添えて、シーアは猟兵達を見た。
「つけてやろうぜ、火刑戦旗ラ・ピュセルとの決着を」
●毒蛇の腮
「さて、だ。まぁ、今回は前哨戦になる。
行先だが、火刑戦旗ラ・ピュセルの北西の境界を守護する『シノン城』だ」
嘗ては火刑戦旗ラ・ピュセルのディアボロスの拠点だったラ・ピュセル北西境界近くにある城だ。
「現在の城主はジャン・ド・ヴィエンヌ。
シノン城の守りを固めているこいつは、水中戦にも長けててな。ビエンヌ川の流れを見下ろす立地を考えても、納得の配置だ」
そして、この地の防衛部隊としている部隊のひとつが、モデラーター・ハーバーであった。
「毒ガスによる汚染や虐殺を得意とする兵士でな。ま、明らかに数いると面倒なタイプなのは間違いない」
口や顔を塞いで、一切影響を受けないでいようとできるような相手ではない。
「戦場は、奴らの実験場だ。シノン城の眼下に広がる戦場はひらけていて、モデラーター・ハーバー達の毒の影響外に出るのは難しいだろう」
つまり、とシーアは告げる。
「やつらの毒の領域に踏み込んだ上で、撃破してくれ。中には、幻覚を見せるような毒もある。どうにも、罪の意識を呼び起こすような奴らしくてな」
何一つ、悔いなく——己が罪と思うことなどなく生きてきた者など、そういないだろう。
「その毒は甘く、傷みは無いが命を奪おうとする。
ちゃんと起きろよ。現実は、どうしたって現実だからな」
そこまで言うと、シーアは集まった猟兵達を見た。
「今までのパターンを考えりゃ、奪還戦を生き延びたキマイラウィッチは、漂着したディヴィジョンでも復讐対象であるディアボロスを攻撃し続ける事だろう」
その上、だ。
自らのディヴィジョンを奪還され、断片の王を殺された——という状況を得れば、それは限り無い復讐心を生むことになる。
「ってなりゃ、キマイラウィッチはこれまでの比じゃねぇほどの復讐心を持つことになる」
この復讐を避ける為には、今回の奪還戦でキマイラウィッチを全滅させるべきではあるのだろう。
「だが、だな。復讐祭の卵による最終人類史への逆侵攻は脅威じゃぁあるが、儀式の準備が不十分だったのもあって、正直、ギリギリ防衛可能な状況でな」
ディアボロスはどうするのか。どうしていくのか、考えられるだけの状況にはなっている。
「火刑戦旗ラ・ピュセル奪還戦は、これまでの戦い以上にディアボロスの策戦が重要になってくるかもな」
さて、時間だ。とシーアは告げる。
「シノン城の城壁を見上げる地域に展開したジャン・ド・ヴィエンヌの部隊を襲撃し、可能な限りその戦力を削れ。
無茶と無謀は違う。ま、わざわざ言う程のことじゃねぇとは思ってるが——機を見て撤退してくるまでが、作戦だ」
さぁ、行こうか。とシーアは軽く手を上げた。
「我らが歩みに祝福を賜らんこと」
リプレイ
夏候・錬晏
※連携アドリブ歓迎
ついにキマイラウィッチどもに引導を渡す時が来たか
数度しか対峙したことがないが、その姿形はまさしく異形と言うにふさわしく
あれが"復讐心"を体現しているとしたら、己にある”それ”も、あのような形をしているのだろうかな
今は目の前の戦いだと軽く頭を振り、気を引き締めれば、黒龍偃月刀を握る手に力が入る
念には念をと偃月刀と己の左手はきつく布で縛っている
なにせ、この戦場には毒に侵された空気で満たされているというのだから
奇襲の利もなく正面からぶつかるだけなら、出来る限り素早く、確実な一撃を持って討ち取っていくしかない
最大限に<地形の利用>をしつつ近接すれば、間合いに入った瞬間にパラドクスによる強襲を
精神を研ぎ澄まし【命中率アップ】の一閃で一気に首を撥ね飛ばす
反撃には敵の身体を盾に使いつつ右腕の大籠手と戦花護紋で急所を護り、直撃を避けダメージを最小限に
アイリスの花に黒瑪瑙のバングル、大切な人たちから贈られた品々の存在に心支えられ、体術も駆使して踢腿飛針を穿ち、1体でも多く斃していく
●刃境
高く強固な城壁が、戦場から見えていた。
ラ・ピュセル北西境界近くにある城こそ、シノン城であり、ジャン・ド・ヴィエンヌが守りを固める地であった。ビエンヌ川の水音を遠くに聞きながら、一人の武人が戦場に立っていた。
「ついにキマイラウィッチどもに引導を渡す時が来たか」
足先が、砂利を残す地面に触れる。ざ、と足音を鳴らすのは、男だけでは無い。ガスマスクをつけた兵士達とて代わりはしない。
「キマイラウィッチ、か」
数度しか、対峙したことの無い相手のことを夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)は思う。あの姿形はまさしく異形と言うにふさわしくあった者達を。
(「あれが"復讐心"を体現しているとしたら、己にある”それ”も、あのような形をしているのだろうかな」)
戦場に冷えた風が吹く。ひゅう、と一度。駆け抜ける風は空の雲を呼び、濃く長い影を戦場に落とす。
「気を引き締めるべきだな」
吐いた息と共に、黒刃の偃月刀を強く握る。鈍く光を滑らせた鋒まで龍の透かし彫りが施された刃は、錬晏の手によく馴染む。ヒュン、と鋒を下げ——そのまま、しゅるりと偃月刀と己の左手をきつく布で縛り上げた。
(「念には念を」)
戦場で武器を落とすような戦い方はして来てはいないが——この戦場、毒を扱う者が相手なのだから。
「……参る」
静かにひとつ、落とした言葉と共に錬晏は地を蹴った。た、と短く入れた踏み込み、詰めた距離にモデラーター・ハーバー達が声を上げた。
「——ディアボロス」
「ディアボロスだ」
それは、正しく歓喜の声であった。復讐の訪れを祝い、拳を掲げ——兵士達は踏み込んでくる。
「復讐を……!」
咆吼めいた声と、荒く響いた足音が同時に錬晏の耳に届いた。
「攻め込んでくるか」
——だが、と奇襲の利もなく正面からぶつかることになるのは錬晏も分かっていた。ならば、それに合わせた戦い方をするだけ。
二歩目、地を蹴り飛ばすように錬晏は一気に前に出た。腰を沈め、身を前に倒すようにして一気に距離を詰める。
「時ガ——!」
「どこを見ている」
まだ、ある距離を詰めるように踏み込みを選んだ相手を前に、錬晏は足を止める。三歩目、落とした足を軸に、偃月刀を薙ぐように振り上げた。
「——ァ?」
黒龍偃月刀が、モデラーター・ハーバーの首に沈む。皮膚を割き、吹き出した赤と共に、兵士の首が飛んだ。ぐらり、と一体崩れおちれば、その横で、辛うじて身を残した兵士の姿が錬晏の瞳に映る。
「——」
来るか、と反射的に片足を引く。ヒハ、とモデラーター・ハーバーがガスマスク越しに笑った。
「時が来タ!」
次の瞬間、モデラーター・ハーバーが振り上げた右腕の砲身から毒ガス弾が発射された。一瞬、視界を覆った白は——だが、強烈な熱さとなって錬晏の体を蝕んだ。
「は……、毒だな」
皮膚が爛れる傷みと共に視界が歪む。口元を覆うように、錬晏は右腕を上げた。大籠手で覆う。両目も隠せれば良いだろうが——流石に、目を伏せて戦うには向かない戦場だ。
「……」
一度、拳を強く握る。アイリスの紋章に似た守りが急所を守るように展開された。
(「あぁ、大丈夫だ」)
ここで膝を付くつもりも、揺らぐつもりも無い。アイリスの花に黒瑪瑙のバングル。大切な人たちから贈られた品々の存在に、心を支えられながら錬晏は顔を上げた。
「歓喜の時を、迎エヨ!」
「いいや」
否を紡ぐ。踏み込む。地を蹴って——今度は一気に間合深く踏み込んだ男は、叩き込んだ蹴りと共に仕込まれた暗器が飛んだ。
「終わりだな」
それは、極限まで集中を高めた攻撃。数々の戦場で得た経験が、錬晏という武人を作り上げた。
「——ァ、ア、ァア」
「れたちの、復讐、ヲ」
暗器はモデラーター・ハーバー達に沈む。ぐらり、と二体、崩れおちた敵を見送り、またすぐに錬晏は戦場へと目をやった。一体でも多く、斃していく為に。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【神速反応】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
ルチル・クォンタム
アドリブ等々歓迎です。
見えない者相手にするのは苦手です……うう……でもやらなきゃいけないなら……僕も頑張ります。
出来るだけ吸わない様に口と鼻、布で覆っておきます。
後は手袋等出来る限り肌を出さない様に。
出来る対処はしてから味方とタイミングを合わせて敵に突撃。
エアライドも使って多角的に攻めてPD攻撃。
衝撃波と刃で毒ガスを少しでも散らして。自分への影響を防ぐ。
もしくは自分が纏ってる魔力(aura de lumière et d'obscurité)や針水晶の籠手等の装備を以て魔力障壁を張り致命傷にならない様少しでもダメージを減らして耐える。直接自分に触れないようにする手段でもあります。
耐えたらもう一度攻撃!弱ってる相手を狙って確実に数を減らします。
息をつめて、最後まで戦い抜く覚悟を。それ位苦でも何でもないんだから!
●狭霧は晴れて
ひゅ、と空を切り裂くような音と共に、毒ガス弾が発射された。一拍、視界を曇らせた毒の中をディアボロスが駆ける。
「……讐ヲ」
「復讐ヲ……!」
一体、また一体と倒れようとも、キマイラウィッチ達は喜悦に満ちた声を上げていた。咆吼とも、歓声とも言えぬその声を聞きながら、少女は唇を引き結ぶ。金色の瞳が僅かに揺れたのは、緊張が故か。
「見えない者相手にするのは苦手です……」
うう、とルチル・クォンタム(加護の外に出た守り人・g10515)は息を零す。最近、目を覚ましたばかりの新人のディアボロスである彼女にとって、毒霧の揺れる戦場はまだ見慣れぬものであった。
「……でもやらなきゃいけないなら……」
すぅ、と息を吸う。ルチル。その名を名乗ると決めた時から、戦う決意は胸にあった。
「……僕も頑張ります」
この力がどれ程役立つか分からないが、それでもルチルは振るうことを迷いはしない。
「これで、口と鼻を覆って……」
しゅるり、と布で覆って、素肌を晒さないように手袋をすれば、ガウン、と重く響く撃ち込みの音がした。蹴りだ、とそう思ったのは、近接の戦いをルチルが知っているから。仲間の踏み込みに、正面の部隊が右に回り出した。囲むように——不意打ちでも狙うような動きに、迷わず守り人は地を蹴った。
「——と」
たん、と地を蹴り出す。踏み込みは一気に前に、突撃する少女は、足音に僅かに振り返った兵士が腕を振り上げるのを見た。
「ディアボロス!」
「——」
咆吼は、ただキマイラウィッチが自分を敵として見据えての言葉だろう。だが、そう問いかけてくる相手に、この地を乱した存在からの言葉にルチル・クォンタムは頷く。
「……はい。僕は」
地を蹴り上げる。二歩目、入れた足で空を蹴って、ルチルはデスサイズを振り上げる。ひゅん、と空に舞いあがった少女は、毒を斬り払い、モデラーター・ハーバーの頭上へと影を落とし——告げた。
「ディアボロスです」
最後の間合をルチルは落下で詰めた。空を蹴った少女の踏み込みは、振りかぶった大鎌と共に。一気に詰められた間合に、モデラーター・ハーバーが息を飲んだ。
「貴様、間合ニ!?」
「この一撃で必ずお前を貫き倒す。勢いのまま……行きます!」
地に降りて影を踏む。低く、腰を沈め舞うように大鎌を振り抜けば、ひゅ、と鋭い一撃と共に衝撃波が生まれた。
「突撃する針!! 《チャージ・ニードル》!!」
それは、針のような衝撃波。
「ック……ッァ」
「ディア、ボロス——」
ぐらり、とモデラーター・ハーバー達が崩れおちる。ざ、と次の瞬間、聞こえた足音に、ルチルは顔を上げた。
(「——来ます」)
反射的に、大鎌を構え直す。ひゅん、と空間を切ったルチルの前、見えたのは屍を飛び越えるようにしてくるモデラーター・ハーバー達の姿だった。
「復讐ハ、終わラヌ!」
「リガ・プラン」
二体、踏み込んで来た兵士達が右腕の砲身から毒ガスの弾を発射した。直撃を狙ってくる弾丸に、ルチルは拳を強く握った。
「——銀水晶」
それは、ルチルの名の由来でもある鉱物を素材とした籠手。言の葉に応えるように、守りの障壁を紡ぎ出す。
ガウン、と毒ガス弾が弾かれるようにして落ちた。次の瞬間、白く霧がかったガスが戦場に満ちた。
「——ッ」
最初に感じたのは、強烈な痛みだった。熱と痛み。肌が焼ける感覚に手袋を外したくなるが——これを外せばもっときついのは分かってる。
「aura de lumière et d'obscurité」
は、と荒く一度だけルチルは息を吐いた。口元、零れ落ちた血を拭う。己が身に纏う魔力をつなぎあわせるようにして、守りを作り上げていく。
(「もう一度」)
顔を上げる。傾ぎかけた足は踏み込みの為に。ただ地面をぎゅ、と掴んで、ルチルは顔を上げる。
『その力は様々な役に立つ』
あの日、彼の言った言葉をルチルは覚えているのだから。
「ハハ、ハハハハ! サァ、今だ。ディアボロスニ——……、まさか」
「耐エタカ」
「……」
衝撃に似た声に、ルチルは今度は応えない。ただ、真っ直ぐに踏み込む。息をつめて、最後まで戦い抜く覚悟を胸に。
(「それ位苦でも何でもないんだから!」)
振り抜く大鎌の一撃が、魔力の紡ぎ出す煌めきと共にモデラーター・ハーバー達を斬り伏せ——倒した。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【エアライド】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
ラト・ラ
マティアス(g00097)と
復讐に駆られるキマイラウィッチたち
果たしてわたしたち《復讐者》の想いを超えることができるかしら
共に参りましょう、マティアス
あなたとならどんな壁も乗り越えられます
マティアスと呼吸を合わせパラドクスを発動
空から降る弾丸のような無数の光を敵集団へ
狙う個体は統一し声を掛け合いながら
ひとりずつ確実に撃破します
マティアスの異変に気が付けば
敵への警戒は怠らず彼の傍に
小刀を握り込む手に自身の手を重ねる
大丈夫?と声をかけた矢先に
自分の中にも流れ込む幻想
それは忘却している筈の記憶の欠片
夜の修道院、燃えあがる炎、子供達の悲鳴──
そんな、まさか…
動揺を隠しきれず崩れ落ちそうになる
けれど、重ねていた手を握り返し現実に引き戻してくれる傍の彼を見て
…ごめんなさい、ありがとう
彼がくれた星影の力と共に今一度戦場を駆ける
降り注ぐ光、眩い八芒星──それらが道を示してくれる
もう迷わない、見失わない
覚悟と胸にいくつも反撃の星々を降らせ、敵を追い詰め貫いていく
撤退の判断は冷静に
仲間と足並みを揃えます
マティアス・シュトローマー
ラト(g00020)と
彼らがどんなに復讐の念を募らせようと、俺達はそれ以上の覚悟で立ち向かうだけ
最終人類史を守り、正しい歴史を取り戻す――行こう、ラト
ラトと連携してパラドクスを発動
具現化した大鴉を自陣から最も近い敵集団へと嗾け、敵を追尾爆撃する
その後は手負の個体を優先して確実に撃破していこう
反撃によって喚び起こされたのは親友三人を犠牲にして生き延びてしまった事への罪悪感
敵の武器庫に忍び込むという、俺の無鉄砲な計画に付き合わされ、倒れた彼らはきっと恨んでいるだろう
最期の言葉だって――
袖口に仕込んでおいた小刀(p e/i ace)を握り、その痛みで幻覚から目覚める
アイツらは言ってくれたんだ、生きろって
それに俺には修道女様の手を引く名誉な役割があるからね
ラト、それは過去の出来事なんだ
大丈夫。君ならまだやれるだろ?
繋いだ手の温度でラトを現実に引き戻したら反撃開始
大鴉達を敵に向かって放ち、その爆風で毒ガスも吹き飛ばしてしまおう
撤退は仲間と足並みを揃えて
次はゾルダートとして戦う君達に会いたいものだね
●毒蛇の腮
ひゅん、と空間を切り裂く音と共に、モデラーター・ハーバーの構えた砲身と、ディアボロスの刃がぶつかった。ギン、と重く、生まれた火花さえ払うように踏み込んだ一人が衝撃波と共にキマイラウィッチを斬り伏せた。
「復讐、ヲ」
「……」
ひたり、とガスマスク越しに此方に告げたモデラーター・ハーバー達の姿を見据えながら、ラト・ラ(*☽・g00020)は薄く唇をひらく。
「復讐に駆られるキマイラウィッチたち。果たしてわたしたち《復讐者》の想いを超えることができるかしら」
戦場に光が落ちる。陽の光の下、晒されたのはあのキマイラウィッチ達も、自分達も同じであった。長く伸びた影に僅かに視線を落とせば、コツン、と常の変わらぬ足音が響く。
「彼らがどんなに復讐の念を募らせようと、俺達はそれ以上の覚悟で立ち向かうだけ」
軽やかな一歩を、傍らに置いたみせたひとのオレンジ色の髪がキラキラと光っていた。
「最終人類史を守り、正しい歴史を取り戻す――行こう、ラト」
真っ直ぐに向けられたマティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)の瞳に、その言葉にラトは静かに頷いた。
「共に参りましょう、マティアス。
あなたとならどんな壁も乗り越えられます」
――風が、止む。二人の髪を揺らしていたものが消え、戦場の底に残された果実の香りにも似た毒の気配が漂い出す。
「道を」
そう、とラトは手を掲げる。ほっそりとした指先が、雲一つ無い空をなぞれば、青い空に一つ、またひとつと煌めきが生まれる。
「示せ」
――それは、透き通った光を纏う数多のオクタグラム。闇を切り裂き、空から降り注ぐ無数の光がモデラーター・ハーバーへと降り注いだ。
「空カラトハ!」
淀みを撃ち抜く弾丸のように、星が兵士を貫いた。ぐら、と身を揺らし、だが、喜悦を滲ませながらモデラーター・ハーバーは腕を振り上げる。
「我らノ復讐ニ相応シイ!」
揺れる袖口から見えたのは、砲身か。だが、狙いを定めるより先に降り注ぐ星が、キマイラウィッチの動きを止める。
「ック、ァ」
一拍。確かに掴んだ時の中で、ラトは傍らの人を呼んだ。
「マティアス、正面の相手を」
「――任せて」
パチン、とマティアスが指を鳴らせば、足元から風が舞う。青年の影から一羽、また一羽と姿を見せた大鴉がパラドクスの光を纏いながら飛び立つ。
「さぁ、出番だよ」
軽く、指先を上げれば、遠くパラドクスで生まれた大鴉たちが鳴いた。それは童話に登場する七羽のカラスたちのように。鋭く、高く、鳴き声を残した大鴉たちが我先にとモデラーター・ハーバー達に襲い掛かった。
「……ッチ、毒を、はや――……」
速く、と掲げた腕は――だが、間に合いはしない。大鴉の爆撃に飲み込まれるようにぐらりと一体が崩れおちた。
「ディア、ボロス……」
どさり、と落ちた一体を、飛び越すように次が来る。迷うことなく、大鴉たちが飛んだ。
「コノ痛ミ苦シミコソ……」
ディアボロス、と身を揺らしながら、モデラーター・ハーバーが告げる。
「復讐ダ」
「ま、仕掛けてくるよね」
正面、二体は自分で残りはラトか。警戒を緩めることの無い彼女を視界に、ふ、と息を吐いてマティアスは眼前の相手を見る。距離は充分。とはいえ、相手が毒ガスを使うならば――……、とそこまで、思った所でモデラーター・ハーバーがその手をマティアスへと向けた。
「飲ミ干セ、甘美ナル復讐ヲ!」
そうして兵士の指先から吹き出した毒ガスが、一瞬にしてマティアスの視界を奪った。
●星の記憶
――マティアス、と呼ぶ声がする。足が、動かない。ここは戦場だと分かっているのに、覚えのある血溜まりが目の前に見えていた。
「——」
――覚えているだろう、と。何かが告げる。
『お前が言い出した』
『どれだけ無鉄砲な計画は分かっていただろうに』
そう、あれはどう考えても無鉄砲な話だったのだ。敵の武器庫に忍び混むという計画。親友三人を計画に巻き込み――そして、彼らを犠牲にして自分だけが。
「生き延びた……」
罪悪感が、マティアスの精神を覆っていく。甘い香りの向こうで「まだ何かするのか」と影が言う。
「倒れた彼らはきっと恨んでいるだろう。最期の言葉だって――」
そう、辿っていった意識の先で、マティアス、と呼ぶ声がした。ひどく馴染みのある優しい声と、笑い告げる親友達の声は。そう、それこそ忘れる訳も無いのだ。
「……」
きつく、袖口に仕込んでおいた小刀を握る。透き通った刀身に血が滲み、痛みが、水晶の如き刀身が、マティアスを映し、思い出させる。
「アイツらは言ってくれたんだ、生きろって」
幻覚のように聞こえてきた声を、払う。罪に浸るより、目を覚ますことをマティアスは選ぶ。
「それに俺には修道女様の手を引く名誉な役割があるからね」
軽く頭を振るう。痛みの中、甘い香りを振り払えば視界が開け――出会うのは、己の手に重ねられた掌と、守る影のようにあるラトの長い髪。
「――ラト?」
「マティ、アス」
けれど、その表情だけが止まっていた。
●月の影
「――マティアス」
マティアスの異変に気がついたのが、最初だった。あの毒ガスだと、正面の相手を牽制するようにラトは星を招く。煌めきを衣に、駆け寄った彼の手は小刀を握りしめるように赤く染まっていた。
『大丈夫?』
そっと、手を重ねた瞬間、己の招く星々が遠ざかり――夜が、見えた。
「――」
それは忘却している筈の記憶の欠片。
夜の修道院、燃えあがる炎。子供達の悲鳴――。
「そんな」
声が震え、ぐらりと視界が揺れた。カツン、と靴先が触れた地面の音が修道院の床の音に変わる。声が、気配が、全てが近づいて来て――。
「まさか……」
動揺を隠しきれずに、ぐらり、と体が揺れた。崩れおちそうになったラトの手を誰かが引いた。
「ラト、それは過去の出来事なんだ」
「――」
視線を、上げる。そうして出会ったのは灰色の瞳。ラトが重ねていた手を、マティアスが握り返してくれていたのだ。
「大丈夫。君ならまだやれるだろ?」
繋いだ手の体温が、ここが現実だと伝えてくれる。
「……ごめんなさい、ありがとう」
現実に引き戻してくれた彼に、そう言うとラトは星々を招く。これは、マティアスがくれた星影の力。この力と共に、ラトは今一、度戦場を駆けることを選ぶ。
(「降り注ぐ光、眩い八芒星──それらが道を示してくれる」)
ラトは空に星を招く。煌めきは青い空に光を添えて。
「もう迷わない、見失わない」
覚悟を胸に。いくつもの星々をラトは戦場へと降らせた。光は流星のように、甘く満ちた毒を払ったディアボロス達から復讐を歌う者へと注がれる。
「ッ、ハハ、目覚メルト、ハ――」
ディアボロス、と咆吼を上げる兵士を――キマイラウィッチと成った者を流星が貫いた。核を射貫く光は、ぐらりとモデラーター・ハーバーを崩し、その向こう、立った兵士達が一斉に砲身を構えた。
「マティアス」
――だが、その瞬間をラトは見逃さない。相手の意識をもらった一拍に、傍らの彼の名を呼ぶ。大鴉たちの羽ばたきが聞こえる。
「おいで」
誘いを口にした青年の指先に、大鴉が一羽止まる。ほんの一時の羽休めは、獲物を逃さぬ為に。マティアスの瞳が、モデラーター・ハーバー達を捕らえた。
これは君に向けられた無邪気な善意だ。
飛び立った大鴉たちが爆撃を招いた。轟音と共に巻き上がった爆風が、毒ガスを吹き飛ばす。
「ッグ、ァアアア!」
「復讐、ヲ――」
ぐらり、と兵士達が崩れおちる。この地に流れ着き、変じた者達が倒れきれば戦場の一角が崩れた。これで、もう充分だろう。
「次はゾルダートとして戦う君達に会いたいものだね」
光に飲み込まれるようにして、消えていく兵士達にそう告げて、マティアスとラトは戦場から撤退する。他の仲間達の共に、この地を取り戻すその戦いに挑む為に。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV2になった!