【ラ・ピュセル奪還戦】⑨童話の魔女グリム

 このシナリオは【火刑戦旗ラ・ピュセル奪還戦】に関連する特別シナリオです。
 最終人類史の戦場は、奪還戦が開始するまで攻撃する事は出来ない為、火刑戦旗ラ・ピュセルのフランス全域に散らばるジェネラル級キマイラウィッチに対して、戦闘を仕掛けます。
 この戦闘によって、敵の戦力を削ることが出来ます。
 勝利したシナリオ数に応じて、対応する戦場の敵の数が減少し、戦いを有利に進めることが出来るようになります。
 また、火刑戦旗ラ・ピュセルの周囲は全て最終人類史の領域である為、今回の奪還戦では他ディヴィジョンからの横やりが入る事はありません。

 このシナリオの攻撃対象は【⑨童話の魔女グリム】の軍勢です。
 魔女グリムは、ジル・ド・レを筆頭とするジャンヌ・ダルク配下の武将達とは別の派閥となるキマイラウィッチ達を率いる、有力なジェネラル級でした。
 ブールジュを中心とした地域を支配していましたが、オルレアン奪還に伴い、最前線のオルレアンを配下に任せて、支配地域の中心に位置する『シャトールー』に根拠地を置いて、ディアボロスに対抗しようとしているようです。

「成功したシナリオ数×5%」だけ、「⑨童話の魔女グリム」の敵残存率を低下させます。

【ラ・ピュセル奪還戦】シャトールーの森にて(作者 鏡水面
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●魔女の思惑
 シャトールーの拠点での出来事だ。決戦後を見据え、童話の魔女グリムは思案顔で机をコツリと叩いた。
「まさか、サンジェルマンが破れるとは想定外であったな」
 サンジェルマン伯爵が、ディアボロスによって討ち倒された。その報せは彼女の中で深刻な意味を持つ。
「ディアボロスのディヴィジョンへの侵攻が成功したとしても、ジル・ド・レに続きサンジェルマンまで撃破されては、火刑戦旗ラ・ピュセルを守り切るのは難しかろう。この状況で、ジェネラル級の3割以上を敵地に送り込もうというのであれば、ジャンヌ様の狙いは……」
 考えを巡らせて、一つの結論に至る。
「ならば、童話の魔女グリムの名において、ジャンヌ様の期待に応えなければならぬ……この戦い、何としても生き延びねば」
 硬い表情のまま、彼女は遠くを見つめるように瞳を細めた。

●森の中で狼を狩る
「皆、【火刑戦旗ラ・ピュセル奪還戦】発生を示す断層碑文が出現したよ。ついにフランスの大地を取り戻す時が来たんだ」
 集まった仲間たちの顔を、フロラン・フォンテーヌ(水底の天使・g03446)は真っ直ぐに見つめる。
「けれど、決して順風満帆ではないよ。こちらの奪還戦に対して、断片の王ジャンヌ・ダルクは最終人類史への逆侵攻を実行した。不完全ながらも、復讐祭の卵を使用した大儀式を行うことでね」
 火刑戦旗ラ・ピュセル奪還戦では、ラ・ピュセルに攻め込み、ジャンヌ・ダルクの撃破を目指す。それと同時に、最終人類史の防衛も行わなければならない。復讐対象であるディアボロスとの決戦では、キマイラウィッチが本来以上の戦闘力を発揮する。
「火刑戦旗ラ・ピュセルは知ってのとおり、周囲を最終人類史で囲まれたディヴィジョンだ。他のディヴィジョンからの横やりが入らないのは救いだけど、厳しい戦いになるだろうね」
 今回、戦力を削りに行ってもらうのは、童話の魔女グリムの勢力である。
「拠点まわりの森林部で訓練中のトループス級『星狼の魔女』を襲撃し、撃破してきてくれ。一定数を撃破した後は、援軍を呼ばれる前に撤退するようにね」

 奪還戦を生き延びたキマイラウィッチは、漂着したディヴィジョンでも復讐対象であるディアボロスを攻撃し続けることだろう。さらに、自らのディヴィジョンを奪還され、断片の王を殺されたとなれば、その復讐心は、これまでの比ではないはずだ。
 この奪還戦は、これまでの戦い以上に策戦が重要となるかもしれない。……どうあれ、純粋に敵の数を減らすことも重要には変わりない。前哨戦にもどうか力を注いでほしい。
「本当は俺も直接ぶん殴りに行きたいけれど、俺はこのトレインに乗れないからね……君たちに任せたよ!」


→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【プラチナチケット】
1
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【泥濘の地】
1
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【建造物分解】
1
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【アイスクラフト】
1
周囲が、ディアボロスが、一辺が3mの「氷の立方体」を最大「効果LV×3個」まで組み合わせた壁を出現させられる世界に変わる。出現させた氷は通常の氷と同様に溶ける。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV2 / 【ダブル】LV1

●マスターより

鏡水面
 こんにちは、鏡水面です。火刑戦旗ラ・ピュセル奪還戦、始まりますね。 
 フランス東部出身(というキャラ設定)のフロランがアップを始めたようです。
 鏡の方が彼の情熱に付いていけるか不安なくらいです。FA頑張ります。

 戦闘はいたってシンプル。拠点付近の森の中にいる敵軍を襲撃→ある程度撃破→撤退の流れです。
 
 回転率重視なので、大人数ですと誰かが不採用になるかもしれません。
(とくに5人目以降は弾かれる確率が上がると思われます)

 ここまで読んでいただきありがとうございます。それでは、皆様のご参加お待ちしております!
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


鴻・刃音
【御伽と同行】
※アドリブ、連携可

グリムとは……また大きく出たね。ラ・ピュセルそのものにはあまり思い入れはないけれど……
童話を文字通り騙ろうというのならば話は別。これは世界の為でもあり、私達姉妹の個別の因縁。
童話は楽しいもの、そして夢を抱くもの。それを踏みにじるなら……
さぁ、姉さん。考えなくていいよ、奴に与する連中は全て蹂躙しよう。

森の中なら安全だと思っているみたいだけれど、そんな甘い話は無い。
視界に入らない様に隠密行動で最大まで近づき、纏めて焼き払ってやろう。
パラドクスで周りを囲むように黒焔を放ち、蝕んでいこう。
あぁ、熱かった?だったら冷やしてあげるよ。ねぇ、姉さん?

双子姉妹で連携して行動。
此方は黒焔を撒き散らしながら牽制し攪乱する。
何を見せて来ようと、消えていった怨嗟を思えばくじける道理は無い。
炎で対抗するならばこちらの焔で喰らいつくせばいい。
爪は痛いだろうね。けれどその程度で止まる訳はない。

さぁ……魔女グリム。何処で何を見ているのかな?


鴻・御伽
【刃音と同行】
※アドリブ、連携可

へぇ、よりにもよってグリム童話を騙るのね?
まぁ何をどう名乗ろうとどうでもいのだけれど……その名前だけは許されないわ。
ラ・ピュセルそのものに思うことはあまりないけれど、その名を掲げて人類の敵となろうとするならば。待っていなさい。貴女の仲間を悉く蹴散らして、その喉元へと辿り着いてあげるわ。

森だなんで、此方としては好都合。近づいてくださいと言わんばかりね。
限界ぎりぎりまで近づいて、此方の好機を狙うわ。
初手は刃音の黒焔による取り囲みと削り。当然そちらを警戒するでしょう。
それこそが付け入る隙。確かに熱そうだわ。だったら冷やしてあげましょう。パラドクスの効果で発生させた二体の氷の「白のルーク」を宙に発生させ、敵の軍勢を押しつぶしてしまおう。
御免遊ばせ?勢いあまって叩き潰してしまおうかしらね!

双子姉妹で連携して行動。喋らなくても意思疎通は取れている。
被弾は当然覚悟、後衛に立ち頃合いを見計らい撤退する動きを考慮する。

ここにはいないのかしら?
貴女の顔を見せてくださらない?


●焔と氷の共演
 シャトールーの深い森の中。魔女たちが陣を構えるその場所へと、ディアボロスたちは降り立つ。
「グリムとは……また大きく出たね」
 そう口にするのは、鴻・刃音(夢現・g06022)だ。
「へぇ、よりにもよってグリム童話を騙るのね?」
 続けるように、鴻・御伽(ナサリーティル・g11725)が紡ぐ。
「ラ・ピュセルそのものにはあまり思い入れはないけれど……童話を文字通り騙ろうというのならば話は別だ」
 刃音は断じる。これは世界の為でもあり、刃音と御伽、個別の因縁でもある。
 御伽も同じ想いだ。『グリム童話』。その名を掲げて人類の敵となろうとするならば。
「他の名をどう名乗ろうと、どうでもいいのだけれど……その名前だけは許されないわ」
 童話は楽しいもの、そして夢を抱くもの。それを踏みにじる者を、二人は決して許しはしない。
「さぁ、行こう姉さん。奴に与する連中は全て蹂躙しよう」
 何も考えず、ひたすらに。刃音の呼びかけに、御伽は頷いてみせた。
「えぇ、行きましょう。悉く蹴散らして、童話を騙る者の喉元へと辿り着いてあげるわ」
 木陰に隠れながら森を進み、刃音は耳を澄ます。木々に覆われて見えないが、前方に大勢の気配を感じた。トループス級『星狼の魔女』が戦争前の訓練をしているのだろう。
(「掛け声に、炎が唸る音……相手も炎を扱うようだけれど、その炎ごと纏めて焼き払ってやろう」)
 密かに近付き姿を確認できたら、戦いの始まりだ。御伽も息を潜めながら、心の内で呟く。
(「ワタシたち、まるで悪いオオカミを狩る狩人のようね」)
 森の中で訓練だなんて、好都合も良いところ。こっそり近付いてくださいと言わんばかりのロケーションである。
 木々の隙間から敵群を捉えた。刃音は側面から奇襲を仕掛ける。失われし者の怨嗟が劫火となり、星狼の魔女たちへと襲い掛かった。
「訓練中のところ失礼するよ!」
 瞬く間に広がる黒焔に、敵が叫ぶ。
「ぐうっ!? これは……!」 
「敵襲だ、構えろ!」
 魔女たちの怒りと憎悪に満ちた視線を、刃音は一身に集めた。思う存分その眼を向けるがいいと、彼女は強気な微笑みを浮かべる。
「あぁ、熱かった? だったら冷やしてあげるよ。ねぇ、姉さん?」
 敵群の上空で、白い光が瞬いた。ハッとして敵が見上げた瞬間――。
「確かに熱そうだわ。だったら冷やしてあげましょう」
 御伽の言葉と同時、二体の「白のルーク」が敵陣へと突き刺さった。氷によって創造された塔は敵陣の真っ只中で聳え立ち、凍えるほどの氷雪を散らす。
「御免遊ばせ? 勢いあまって叩き潰してしまったようね!」
 柔らかに微笑む彼女へと、魔女たちは憤怒を燃やした。
「おのれ、ディアボロスめ……!」
「我らの爪と炎で、切り裂き燃やし尽くしてくれる!」
 星狼の魔女たちは、刃音へと青い炎の狼を嗾ける。星青炎舞が視界を青く染めるも、刃音が動揺を見せることはない。
「失われてしまった若き命たちを……消えていった怨嗟を思えば、くじける道理は無い」
 いくら復讐の青炎で炙られようとも、その声色は揺るぎなく。炎で対抗するならば、こちらも焔で喰らい付くせばよいだけだ。
「背負った怨嗟……この劫火は未来ある者たちの叫び! 黒焔よ、狼たちを呑み込み、その魂ごと焼き尽くせ!」
 焔が猛り狂い、咆哮の如き音を響かせる。巨大な獣の吐息は、まるで吹き付ける呪いのように星狼の魔女たちを蝕み、彼女らの放った青炎ごと覆い尽くした。
「ぐあああぁ、ッ……!」
「熱い、熱いぃ!」
 火刑に処されるかの如く、魔女たちは劫火に晒される。その肌を赤黒く爛れさせながらも、彼女らは復讐の意志と共に駆けた。
「憎きディアボロスめ! 己の罪に刻まれるがいい!」
 黒く輝く爪を御伽へと閃かせる。星爪の断罪による一撃を、御伽は覚悟して受ける。
「彼女を討ち倒すと決めた以上、被弾を恐れてなんていられないわ」
 これまで犯した罪の重さが何だというのだ。他人に計れるようなものでもなし、ましてや罪深い魔女の配下が計って良いものでもない。御伽は再び精神を研ぎ澄まし、「白のルーク」を敵の上へと出現させる。
「呼応せよ・鉄壁たる門番たち――現れなさい! 貴方達は鉄壁の守護者。害あるものたちの行く手を阻みなさい!」
 輝く氷塔は裁きを下す鉄槌のように、星狼の魔女へと振り下ろされた。声を上げる余裕すらなく、敵は肉体を砕かれ圧殺される。
 刃音と焔と御伽の氷。しっかりと噛み合った二人の攻撃が、敵群へと怒涛の勢いで押し寄せ続ける。敵を葬り去りながら、御伽がぽつりと言葉をこぼした。
「……彼女は、ここにはいないようね」
 その名で直接呼ばずとも、誰のことを言っているのかすぐにわかる。刃音はシャトールーの拠点がある方向へと鋭い眼差しを向けた。
「今は会えなくても、必ず相対することになるよ」
 童話を騙る者、魔女グリム。果たして何処で、何を見ているのやら。
 燃え盛る焔、そして燦然と冷気を放つ氷の向こう。御伽は、策を巡らせているであろうグリムを思う。待っていなさいと、彼女は表情を引き締めるのであった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【建造物分解】LV1が発生!
【アイスクラフト】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!

ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎

ようやく奪還戦ですね
当日に十分な戦果を得るためにも、下準備はしておきましょう

それにしても
復讐の担い手たるジャンヌを倒された後の用意まで考えているとは、侮れぬ相手です
気を引き締めて行きましょう

迷彩柄の外套を被り、森に潜み索敵を行います
多数敵相手に突出する事は避け
敵集団の端から、数人ずつを相手取り撃破と移動を繰り返し
敵に囲まれる事を回避しつつ、できるだけ多くを撃破できるように動きたい所です

宙に展開した鍵盤でヒロイックシンフォニーを演奏
ダメージアップの加護を与えた幻想の英雄を喚び、魔女たちを打ち倒せと指揮します
可能なら仲間と声を掛け合い、体力の低い敵から集中攻撃で撃破
常に周囲の状況は気にしておき、囲まれたり敵勢力が勢いづいてくる様子があれば即撤退できるように警戒しておきます

反撃には守護の青薔薇を展開して急所たる指は守るように凌ぎます
指さえ動けば演奏は出来ますから、負傷は必要経費と割り切り
1体でも多く戦力を削れるように動きましょう
程々の所で仲間に声をかけ撤退
まだ戦いはこれからです


ベルゼルカッツ・メーベルナッハ
いよいよ奪還戦…だな。
最終人類史への侵攻、厄介な事だが…その危険を認識した上での戦いだ。
確実に、勝たねばな。

戦場は森。
ならば、木々や草叢を利用しての不意打ち…を試みてみよう。
先に気付かれぬよう、足元の音が出そうな物や周囲の身体に引っかかりそうな物には注意しつつ。

一足飛びに攻撃を仕掛けられる処まで近づいたら、飛び出して指定パラドクスでの攻撃を仕掛ける。
より距離の近い敵を優先的に巻き込むが、既に負傷している者がいれば其方をより優先。

敵の仕掛けるパラドクスは…恐らくは最終人類史での虐殺を映し出してくることだろう。
だが…その未来は想定している。そして、それを現実としない為にこそ、私は…私達は、此処に在る。
そんな未来は、この拳で打ち壊してみせる…!

その意志で以て動揺を抑え、戦闘を続行。
付近の味方とも連携し、殲滅していこう。

負傷が大きくなってきたり、敵の援軍が来そうなら撤退を。

今を生きる人々…一人とて、犠牲になどさせん。


●幾多の罪の先、守るべき未来
 火刑戦旗ラ・ピュセル奪還戦の時が、すぐ目前まで近づいてきている。なればこそ、前哨戦であるこの段階で、敵戦力を少しでも減らしておくに越したことはない。
「復讐の担い手たるジャンヌを倒された後の用意まで考えているとは、侮れぬ相手です」
 ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)は、迷彩柄の外套を纏い森へと足を踏み入れる。童話の魔女グリム。彼女の思惑どおりに事を運ばせはしない。
「最終人類史への侵攻、厄介な事だが……その危険を認識した上での戦いだ。確実に、勝たねばな」
 ベルゼルカッツ・メーベルナッハ(熾・g08927)も、足音を潜めつつ森へと侵入する。戦場は森の中。木々や草叢を利用して不意打ちを仕掛けるのが良かろう。
 密やかに森を進んだ先、訓練中の星狼の魔女を視界に捉えた。
(「こちらには気付いていませんね」)
 小声で言うソレイユ。ベルゼルカッツも木陰から魔女たちを覗き見る。
(「ならば、今のうちに」)
 何をと言わずとも、互いにやるべきことは理解していた。タイミングを合わせ、彼らはパラドクスを発動する。
「――それでは、戦いの前奏を」
 ソレイユがヒロイックシンフォニーを打ち鳴らせば、木々の間から黄金の輝きを纏った英雄が姿を現した。魔女たちが反応するより速く英雄たちは森を駆け、敵陣の端から崩すように突撃する。
「ディアボロスの襲撃よ!」
「皆、訓練は中止だ! 応戦しろ!」
 口々に指示を飛ばす星狼の魔女の背後へと、ベルゼルカッツが一足飛びに迫った。地面を力強く踏み鳴らし、敵群の足場を激しく振動させる。
「お前たちの思うようになどさせん」
 地面が割れ、敵の一部が崩壊に巻き込まれた。魔女たちは怒りに燃え、ディアボロスらへと反撃を仕掛ける。
「罪深きディアボロスめ! 己の罪を数えるがいいッ!」
 魔女たちは黒く輝く爪をソレイユへと振り下ろした。ソレイユは守護の青薔薇を花開かせ、魔力を湛える薔薇と棘で身を包む。ただ、どんなに身を守ろうと、複数の方向から繰り出される反撃を完全に防ぎ切れるとは思っていない。
(「たとえ腹が裂かれようとも、ピアノさえ弾ければ問題ありません」)
 彼にとっての最大の急所である指を、重点的に青薔薇に守らせる。敵の爪が刻む傷は、ソレイユへと痛みを齎した。それは今まで屠った敵の数。乗り越えた戦いの重さだろうか。
(「……多過ぎて、数えきれませんね」)
 ほんの僅か、苦い笑みを浮かべる。だがそれも束の間、敵を見つめるソレイユの眼差しは鋭い。
「確かに、私には多くの罪があるのでしょう。ですが、あなた方にそれを断じる資格などありませんよ」
 ピアノの音色は物語のように連なり、森の中へと高らかに響き渡った。
 英雄とは、己が守るべきものと引き換えに、大勢の命を葬った者のことを言う。
「――光輝なる英雄よ、魔女たちを打ち倒せ」
 雄々しき楽曲と共に駆ける英雄の幻影は、その武器を以て魔女たちを容赦なく突き穿ち、斬り捌いた。血塗れになりながら、星狼の魔女が声を荒げる。
「いくら我らを殺そうと、お前たちの悲惨な未来は変わらない!」
 星詠みの力を発動し、映し出すのはベルゼルカッツの未来。その未来に起こる、不吉な出来事だ。彼女は映し出された光景を見るが、落ち着き払った表情を崩さない。
「やはり、思っていたとおりだ……当然、この光景を映し出すだろうな」
 最終人類史の人々が虐殺される光景だ。悲鳴、飛び散る血飛沫、キマイラウィッチの嗤い声――どれも悍ましいと言わざるを得ない。
 それは間違いなく、現実となってしまうかもしれない未来だ。だが当時に、防げる未来でもある。ベルゼルカッツは、絶望的な未来を撥ね付ける。
「その未来は想定している。そして、それを現実としない為にこそ、私は……私達は、此処に在る」
 拳を堅く握り、全身に力を漲らせた。大きく息を吸い込み、高らかに言い放つ。
「そんな未来は、この拳で打ち壊してみせる……!」
 言葉と共に、再び繰り出される大地への激震。震、其は恐慌の衝撃なり――。
 ベルゼルカッツが轟かせる振動が、敵群を地面の奥深くへと呑み込んでゆく。崩れゆく地面と共に落下する魔女たちを、ベルゼルカッツは確固たる眼差しで見下ろした。
「お前たちが望むような未来は、決して訪れない」
 ソレイユとベルゼルカッツの猛攻は、星狼の魔女たちの数を着実に減らしていった。襲撃に気付いた他の魔女が、援軍を寄越してくるまであと少しといったところか。頃合いを見計らい、ソレイユが呼び掛ける。
「これ以上長居するのは危険です。撤退しましょう」
 現実としてこちらの消耗も増しつつある。これ以上の戦いは、本戦に響くだろう。
 ソレイユの言葉に、ベルゼルカッツは即座に頷いてみせた。
「今を生きる人々……一人とて、犠牲になどさせん」
 この地に刻み付けるように告げ、ベルゼルカッツは撤退する。
 かくして、ディアボロスたちは童話の魔女グリムの勢力を削るに至った。だが、まだ前哨戦は始まったばかり。本戦までに、果たしてどれだけの敵戦力を削れるだろうか。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【プラチナチケット】LV1が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
【能力値アップ】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2025年04月12日