魔の三角地帯とUFO(作者 黒塚婁
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#空想科学コーサノストラ  #魔のアラスカトライアングル、UFO基地を探せ  #アラスカ  #吸血ロマノフ王朝 

●君は北の空にUFOを――見たか!
「皆さん、シベリアでヴァンパイアノーブルを回収していた、空想科学コーサノストラのUFOを追いますよ!」
 眼前のディアボロス達へ、夜嵐・真赭(閃耀・g07223)はそう意気込む。
 攻略旅団で提案された、UFO追跡――シベリアから飛び去ったことを考えれば、その先……アラスカやカナダ北部の北極圏に、基地があるのではないか。
「攻略旅団が立てた予測は『アラスカトライアングル』の北部です。周辺でUFOにまつわる情報を収集し、調査をお願いします」

 真赭は、ところで『アラスカトライアングル』ですが、と声を潜める。
 ――特に意味は無い。何となくの空気作りである。
 アラスカ州最大の都市アンカレッジと、カナダ国境近くにある都市ジュノー、それにアラスカ最北部の都市バローを結んだ三角形の地帯で、毎年多くの行方不明者を出しているといわれる、都市伝説スポットだ。
 当然、その都市伝説では、UFO説も囁かれている――。
「まあ、最終人類史では、ですけど。逆に、空想科学コーサノストラでは確実にUFO……確認できてますけど……がありますからね」
 こほんと咳払いをひとつ。
 しかし、件の一帯を調査といっても範囲が広すぎる。
 そこで、聞き込み調査を行う場所が重要となる。
 相手は空を飛ぶ乗り物だ。何も無い足元をじっくり調べていても仕方が無い。
 よってアラスカ北部――そこには、先住民族が暮らしている。
「先住民族、つまりイヌイットの方々は――今でこそ現代社会に馴染んだ生活もしているものの、当時……つまり、1920年代のアメリカでは、独自の文化や暮らしを営んでいる頃です。それを踏まえた接触、聞き込みが必要となるでしょう」
 無事に情報を聞き出し、基地の場所を特定できれば――。
「正解か不正解か、おそらくその先には敵がいるでしょう。更に調査を行って、基地を目指すべき、かと」
 ただ、と真赭は考えるようにして、言う。
「聞き込みが巧くいけば、場所を割り出せるかもしれません。けれど、巧くいかなければ、何も解らぬまま……ということもあるでしょう。そこは、皆さんにかかっています」
 相手の持っていそうな情報と、自分達の知りたい事を簡潔に整理できれば、きっと大丈夫ですよ、と彼女は笑う。

 ところで、と真赭は軽く首を傾ぐ。
「私は知らなかったんですが……アラスカトライアングルは、バミューダトライアングルより危険なところと言われているらしいですね?」
 なんでも毎年平均2250名が行方不明になっていたらしい、とか。
 しかしこの一帯、面積にして日本の五倍。
 短時間で闇雲に調査するのは無理な話だ。
「北部を中心に、複数地点で聞き込みを行えば、精度も上がるでしょう。イヌイットが点在して集落を作ってくれているのも、この場合は助かりますね」
 巧く情報を集めてください、と微笑んで……ふと、呟く。
「日本の五倍……年間の行方不明者2250名――……日本のが断然物騒では……? っと、いえいえ……脱線しました」
 居ずまいを正し、真赭はディアボロスを見つめる。
「元より敵ディヴィジョンですから、油断なさらないと思いますが――基地に近づけば、敵もいるでしょう。ご用心ください。それでは、皆さんの報告をお待ちしています!」


→クリア済み選択肢の詳細を見る



 UFOの目撃情報を得る事が出来なかった場合など、諦めて帰還する選択肢です。
 アラスカ諸都市で聞き込み調査(UFOの噂)が完結した時点で、有益な情報を得られなかった場合は、この選択肢で調査を終了してください。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。


特殊ルール 【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、安全に撤退でき、シナリオは成功で完結する(作戦目的は一部未達成となる)。
👑2

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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【友達催眠】
2
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【プラチナチケット】
1
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【トラップ生成】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【通信障害】
1
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)及びアルタン・ウルク個体間の遠距離情報伝達が不可能な世界に変わる。
【コウモリ変身】
1
周囲が、ディアボロスが小型のコウモリに変身できる世界に変わる。変身したコウモリは最高時速「効果LV×50km」で飛行できるが、変身中はパラドクスは使用できない。
【防衛ライン】
1
戦場が、ディアボロスが地面や床に幅10cm、長さ「効果LV×10m」の白い直線を出現させられる世界に変わる。敵はこの直線を突破できず、上空を飛び越える場合、最低「効果LV」分を要する。直線は戦場で最初に出現した1本のみ有効。
【防空体制】
1
周囲が、飛行する存在を察知しやすい世界に変わる。ディアボロスが屋外を飛行中の敵を発見するまでに必要な時間が、「効果LVごとに半減」する。

効果2

【命中アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV1 / 【ガードアップ】LV4 / 【凌駕率アップ】LV1 / 【先行率アップ】LV1 / 【アヴォイド】LV1

●マスターより

黒塚婁
どうも、黒塚です。
UFOの行方ですか……? おや、誰か来たようだ。

●補足安堵注意事項
シナリオ時系列は、①→③→④
調査断念時は②

①は、基地の場所を特定することになります。
※巧くいけば、👑9達成する前に、先に進む事もあります。
ただ、場所特定以上の調査はできませんのでご注意ください。

●その他諸々
プレイングはいただいてから、1~2日おいて採用決定をします。
残留効果の説明もよくご確認ください。
※パラドクスのフレーバー文について拡大されたプレイングも不採用の度合いが高まります。プレイングの本筋は、ルールご参照ください。

進行必要数を多く超えたプレイングの採用は避ける方針です。
ご了承の上、ご参加いただければ幸いです。

それでは、皆様の活躍を楽しみにしております。
90

このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


ゼキ・レヴニ
敵の乗り物と分かってても、UFOと聞きゃ大人気なくワクワクしちまうね
謎に満ちた未知のアラスカにいざ、ってな!

スノーシューに防寒着に、極寒の地で活動する備えは確り
それと取引材料に新宿島で鮭を仕入れ荷物に括り付けておくぜ

イヌイットは冬は氷上でアザラシ狩をするんだったか
他の復讐者と場所を手分けし
沿岸部周辺、特に氷結域を中心に狩り中かその行き帰りのイヌイットを探すぜ
犬ぞりの痕跡や鳴き声、獲物を捌いた跡なんかを辿り
出会えたら南から来た冒険家を名乗ろう
【友達催眠】を使用し
尊敬を持って接し、友好の印に彼らも食べ慣れてるだろう鮭を渡すぜ

狩の途中なら手伝い、可能ならイグルーに連れてって貰い複数人に聞き込みを
仕事を手伝い、或いはキビヤックでも食わせて貰いつつ
いつも通り気さくに振る舞い空気を和ませる

空に見慣れんモンが横切った事はないか
光る円盤みたいなモンだ
そいつはどの方向に向かったか、時間帯は?
他の地域の仲間からもそういう噂を聞いた事はあるか
この辺りを聞き出し、他の復讐者の情報と合わせ場所の目星をつけたいとこ


レイラ・イグラーナ
飛び去るシベリアのUFOを目で追ったことがございましたが、確かに東の方へ向かっておりました。
南東のアメリカ本土ではなくこちらに基地が……というのは考えられることでしょう。

防寒着でしっかり身を包み、寒冷な環境への対策は万全にしてイヌイットの皆様の集落にお邪魔してお話を。
【プラチナチケット】を使用し、この地域で発生する不思議な事象の研究をしている者だと自己紹介を。
お近づきの印ということで数本ですがウィスキーをお渡しします。
主に狩猟で生活し、大規模な醸造技術を持っていなかった彼らには貴重なもののはずです。強いお酒ですので、摂取し過ぎにはご注意を。

情報としては空を駆ける、光を放つ乗り物に見覚えがないか、またどちらの方角かに飛んでいくのを見たなどの情報はないか、イヌイット以外の者が存在して居る場所、近づいてはならない場所などが伝わっていないか。
UFOと申し上げても伝わるか微妙ですし、そういった形で情報を聞き出しましょう。


一里塚・燐寧
ふーん、やっぱあいつらアラスカに運ばれた可能性が高いんだ?
史実じゃロシア帝国領だった時期もあるし丁度いいのかもねぇ
そんじゃ、情報収集がてら異文化コミュニケーションを楽しもっか

【友達催眠】を発動し、アラスカトライアングル北部のイヌイット集落と接触しよう
バローとかそっから少し南下したあたりが丁度いいのかなぁ?

集落を見つけたら【友達催眠】を使い挨拶
お邪魔してごめんなさい、あたし天文学者……要は星を詠む人でして~
最近、この地域の空で不思議なものが見られたって噂を耳に挟んで、聞き込みに来たんです
もちろん狩りの邪魔はしないですしタダでとも言いませんよっ
色々とご用意してますので!と真新しい防寒着や日持ちする食糧、アザラシ皮などを贈るねぇ

それで、質問ですけど……最近空を変な光や鳥みたいな影が横切ったことありませんでした?
太陽と月の神様や不思議な鳥の伝説を知ってる皆さんなら、こういうのもよく見てるかな、なんて
ご存知なら何日前の話かとか、飛んで行った方角とか、その方面に何があるかとか……聞いてもいいですかね



 アラスカ北部――広大な自然が広がる地に降り立ったレイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)は、そっと息を吐く。
 氷点下を下る寒さが肌を突き刺すが、標準的な防寒着さえ着ていれば、ディアボロスの活動に問題はない。
「ふーん、やっぱあいつらアラスカに運ばれた可能性が高いんだ?」
 一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)が辺りを見渡しつつ、確認するように零せば、ええ、とレイラは頷く。
「飛び去るシベリアのUFOを目で追ったことがございましたが、確かに東の方へ向かっておりました」
 一息、切って、続ける。
「南東のアメリカ本土ではなくこちらに基地が……というのは考えられることでしょう」
 ヴァンパイアノーブルに何を望んでいるか、という問題もあるでしょうが、とレイラは赤の双眸をやや伏せ、思案する。
「史実じゃロシア帝国領だった時期もあるし丁度いいのかもねぇ」
 奴らが其処に留まっていればだけど、と燐寧は悪戯っぽく笑う。
 しかしUFOかとしみじみ呟き、ゼキ・レヴニ(Debaser・g04279)が天を仰ぐ。
 やや曇りの空模様。薄灰の空は静まりかえり、何の影も見えないが。
「敵の乗り物と分かってても、UFOと聞きゃ大人気なくワクワクしちまうね」
 咥えた煙草が、笑むに合わせ、軽く上下する。
「謎に満ちた未知のアラスカにいざ、ってな!」
 ゼキの言なら、ミステリーツアーか。
 自分から零れる白い息を面白く見つめ、燐寧は双眸を細めた。
「そんじゃ、情報収集がてら異文化コミュニケーションを楽しもっか」

●case:1
 スノーシューズで、うっすら雪の積もった氷を踏みしめ、ゼキは周囲を見渡す。喉元まできっちりと堅めた防寒具。
「イヌイットは冬は氷上でアザラシ狩をするんだったか」
 都合良く、狩りの行き帰りに遭遇できないか。
 犬ぞりの痕跡を探り、耳を澄ます。
 ワン、ワンと、吼える声。そちらに向かって慎重に近づいていくと、荷を括り付けているイヌイットの男の背中を見た。
「よぉ、兄弟」
 ゼキの声かけに、男は振り返り――目を瞬かせた。
 見慣れぬ相手だが、友達催眠の力で、なんとなく足を止めて会話をするに足りる相手に思える。
 どの集落の親戚だろうか、みたいな眼差しを受け止めたゼキは、からから笑う。
「俺は南から来た冒険家だ」
 どの時代にも、冒険家という命知らずはいるだろう。
 果たしてイヌイットの男は、ああ、と納得した。見慣れぬ装備を纏うゼキだが、異国の人間ならばさもありなんと。
「此所で生活してるイヌイット達から、ちょいと話を聴かせてもらいたいんだ――タダでとは言わねぇ。こいつは友好の証に」
 敬意を示すのも忘れず、ゼキは持ってきた鮭を男へ預ける。
「狩りの途中か?」
「いや、帰るところだ」
 男は犬ぞりの荷を視線で示す。括られている息絶えたアザラシの姿に、すげぇな、と感心してみせ――同行しても、と控えめに問うと、男は僅かに考え込んだが、直ぐに頷いた。
「ああ、今の拠点は近いからな。招待しよう――あんたから、悪意は感じない」
 連れられながら、ゼキは男と何気ない会話を交わす。
 あくまで冒険者として、イヌイットに興味があるように。気さくに振る舞いながら――辿り着いた先は、いくつかの小さなイグルーが集まる小さな集落だった。
 イヌイットのすべてに興味を示すゼキを皆歓迎してくれ――キビヤックに興味があるといえば、「少し食うか」と笑って分けてくれた。
 そうしてじっくり交流したところで、ゼキは初めに出会った男に問う。
「空に見慣れんモンが横切った事はないか。光る円盤みたいなモンだ」
「円盤かどうかは解らないが……動くオーロラは見たな」
 動く、オーロラ。思わず目を細め、すかさず問いかける。
「そいつはどの方向に向かったか、時間帯は?」
「何時だったかねぇ、昼間だった気もするが。方角は、北だな」
 温かい茶を飲みつつ、男は記憶を絞ってくれた。
「他の地域の仲間からもそういう噂を聞いた事はあるか」
「どうだろう。余所の狩り場にぶつかるのも悪いからな……」
 代わりに男は集落の皆に問うてくれた。すると、幾つか同じ情報が得られた。
 動く光は、北へ向かった、と――。

●case:2
 別の集落。無事にイヌイットの人々に接触できたレイラは、集落の長とおぼしき相手に、丁寧に挨拶する。
「私は、この地域で発生する不思議な事象の研究をしている者です」
 そう名乗ると、「お近づきの印に」と数本ウイスキーを取り出し、渡す。
「これは?」
「穀物の蒸留酒です」
 淡淡と、簡潔に。彼女は手土産について説明する。
 狩猟で生活する彼らにとっては貴重であろうと思い選んだが、果たして彼らは、へぇっと明るい声をあげた。
 縁もゆかりもない人々だが、彼らの表情が晴れやかであれば、レイラもやぶさかではない。
「強いお酒ですので、摂取し過ぎにはご注意を」
 ひとつ注意を促して、穏やかに微笑みかけた後――「早速お尋ねしたいのですが」と切り出す。
「空を駆ける、光を放つ乗り物に見覚えはありませんか?」
「乗り物?」
 怪訝そうに、イヌイットの人々は顔を見合わせる。
 UFOといっても伝わらないかと思ったが、乗り物、とはっきりいっても解るまい。
「星でもないのに光っていたり、鳥ではなさそうな飛行物体です」
 空を飛ぶモノ、と少し言い換えてみる。
「ああ、あれかなぁ、前に坊主が騒いでた……」
 考え込んだ男が、走り回っていた子供を呼ぶ。
「なあお前、前に空がピカピカしてるとか言ってなかったか」
「見たよ、明るい光! すーっと流れていったよ」
 親に問われた子供は、無邪気に両手を広げて言う。レイラは膝を折り、子供と目線を合わせて、問いかける。
「どちらの方角かに飛んでいくかを見ましたか?」
「んー、あっち」
 子供が指さす。此所から、北だ。
「ありがとうございます」
「へへ、どういたしまして!」
 はにかむ子供に表情を和らげ礼を告げると、レイラは大人達に、もうひとつ問いかける。
「イヌイット以外の者が存在して居る場所、近づいてはならない場所などは伝わっていたりするのでしょうか」
「特にないねぇ。我々はそれほど大きく移動することもないしね」
 安定して狩りができれば、何百キロと動く事は無いから、自分達は北の果ては知らないと。
「大きな集落はあるって聴いたけどね」
「そうですか……」
 頷きながら、レイラは脳裏で地図を広げ、考える。此所から北を目指した先に、燐寧がいるはずだ――と。

●case:3
 燐寧は、バロー近郊を目指していた。
 アラスカトライアングル北部の頂点。バロー岬。
 ウトキアグヴィクといえばイヌイットに縁のある都市であり、この時代、多くのイヌイットと確実に接触するなら、この近辺に向かえばよいと考えたのだ。
 発見したイグルーの元へ進んでいけば、存外大きい集落に辿り着く。
 友達催眠があるので、友好的に、堂々と――燐寧は外で作業に勤しむイヌイットの人々に挨拶する。
「お邪魔してごめんなさい、あたし天文学者……要は星を詠む人でして~」
 にこにこと全開の笑顔を惜しまず、朗らかに声をあげる。
「最近、この地域の空で不思議なものが見られたって噂を耳に挟んで、聞き込みに来たんです」
 物珍しい客人の元に、イヌイットの人々はぞろぞろと集まってきた。
「若い娘さんが一人でかい?」
「ええ――あ、別行動をしている仲間もいますよぉ」
 心配そうな眼差しを向けられて、燐寧は「こう見えて旅慣れているもので」と事も無げに応じる。
「もちろん狩りの邪魔はしないですしタダでとも言いませんよっ――色々とご用意してますので!」
 そういって荷を解いて見せたのは、真新しい防寒着、日持ちする食料――アザラシの皮。
 百年ほど前のイヌイット達からすると驚きの品々だろうが、今は見て喜んで貰えれば良い。
「話くらいならいいけどねぇ」
 役に立つことが教えられるかどうか、と不安そうな彼らに、大丈夫です、と穏やかに応じ、問いかける。
「それで、質問ですけど……最近空を変な光や鳥みたいな影が横切ったことありませんでした? 太陽と月の神様や不思議な鳥の伝説を知ってる皆さんなら、こういうのもよく見てるかな、なんて」
 彼女の言葉に、イヌイット達は再び顔を見合わせた。
 知らぬ、というよりは「あれかなぁ」という反応だ。
「動く光だよな」
 好感触を確信した燐寧は、ぐいっと「それです」と身を乗り出す。
「ご存知なら何日前の話かとか、飛んで行った方角とか、その方面に何があるかとか……聞いてもいいですかね」
「いつだったかは忘れたけど、あれは岬に向かって落ちたな」
 そう告げたのは青年で、しかし多くのイヌイット達は頷いて、自分も見た、と次々に言う。
「岬……バロー岬ねぇ」
 愛想良くイヌイットの人々と言葉を交わしながら、燐寧は次なる目的地を確定させた――。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】LV2が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【凌駕率アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!

●秘密基地
 ――バロー岬が怪しい。
 ウトキアグヴィクの大きな集落で確信を得たディアボロス達は、合流し、岬を目指す。
 果たして、そこには天文台――いや、ぐるぐると光を放つ、レーダー装置のようなものが存在していた。
 ――明確に怪しい。
 これが秘密基地です、とヴィジュアルが語っている。
 間違いないだろう。
 しかし天文台の周囲には、警備のワイズガイなどはいなかった。
 これなら潜入は可能だろう。
 しかし、内部はそうもいくまい。
 内部を調査しつつ――迫り来る敵を退け、なるべく深部へと進み、曝く。
 斯くて、ディアボロス達はワイズガイの秘密基地へと侵入した――。
ゼキ・レヴニ
なんちゅういかにもな秘密基地だ…まァわかり易くて助かるぜ
レーダーは空の探知用か?
望遠鏡で潜入・脱出経路になりそうな出入口、窓の場所や
UFOの発着場があるか外から確認しておくぜ

【光学迷彩】を発動し潜入
遮蔽に隠れクリアリング
仲間とはハンドサインで意思疎通を図り
足音や声を抑え、仲間の死角をカバー
敵の会話の盗み聞きや、壁に施設の避難経路図なんかがあれば参考に
UFOの管制室や研究室やら、重要そうな場所を目標に進むぜ
重要な物があるとすりゃレーダーのある最上部か地下か…
いいお宝が見つかりゃいいが
後々の為カメラで内部映像を撮っておこうかね

戦闘が避けられない場合は、可能な限り不意打ちでの先制を仕掛けたい
金属塊『躯』を対物ライフルに変形させ
消音装置を付け、仲間とタイミング合わせ狙い撃つ
狙い合わせ速攻排除を目指すが
逃げたり他の敵に連絡取ろうとする奴がいれば優先で狙い阻止するぜ
敵の射撃は直撃避けるため遮蔽を利用しつつ
追いきれねえ跳弾は【アヴォイド】で運試し
奴らのコンティニュー・コインが尽きるまで撃ち返してやるさ


レイラ・イグラーナ
ここまでは驚くほど順調ですね。いっそ怪しいくらいに。
警戒がないのはアラスカ城塞での情報封鎖が上手くいき、私たちが攻勢をかけているのに気づいていないのでしょうか、それとも別の理由が……?

本格的な基地となっているのであれば今回で制圧しきるのは難しい可能性もございます。まずは情報を得ましょう。
警備の装置などもあるから難しいでしょうが、可能な限り侵入は隠れて。

侵入後は、辺りの様子を伺い、最近も出入りがされていそうか確認。部屋があればそこにも入り、文書などから情報収集を。

接敵したら【通信障害】を使用、後続を呼ばれないように。
雷鳴の魔術を込めた針を投擲する【既成奉仕・霹靂】を使用し、戦闘を行います。
雷鳴とともに投擲する針の衝撃と感電でFRBエージェントらを貫きます。
戦闘を行いながら敵の会話には耳を立てておきます。
気になる言葉や指示は記憶しておきましょう。
反撃の射撃される硬貨に対しては壁を背にしたり、仲間に背を預けたりで視界内のものにだけ集中して対処できるように。


一里塚・燐寧
あたし達が本気で攻めるならCONUSとか、アラスカでも都市部って思ってたんじゃない?
ま、侮ってかかるつもりはないけどねぇ……ほんとに何があるかわかんないやつだからさ

時代柄ありえないはずなんだけど、監視カメラとか人感センサーが存在してもおかしくないのかなぁ?
あたし達の侵入を察知する機械が無いかに注意し、石を投げて壊したり隠れてやり過ごせそうならそうしよう
通気口や狭い搬入口をすり抜けて敵に気付かれず移動できそうな場合、体を小さくする目的で【コウモリ変身】を用意
使いどころがあれば使うけど無駄に飛んだりはしないよぉ

今回気になるのはヴァンパイアノーブルの扱いかなぁ
彼らの教育や研究、はたまた解剖を行う施設やその記録がないかは注目
もし一般人がいれば【プラチナチケット】で警備員ヅラして誤魔化す

会敵したら『闇雷収束咆・死疾風』を発動
掌から光弾を次々と放って仕留め、反撃の紙幣は≪テンペスト・レイザー≫の鋸刃を回さず静かに振るって斬り裂き対処
敵が歩いて来た方向にも注意して、取り囲まれないように調査を続けるよぉ


●基地の役割
 斯くて、ディアボロス達はバロー岬の不思議建造物に潜入を果たす――天文台のような施設は、その実は、地下に備えているようだった。
「なんちゅういかにもな秘密基地だ……まァわかり易くて助かるぜ。レーダーは空の探知用か?」
 ゼキ・レヴニ(Debaser・g04279)が興味深そうに周囲を探る。
 一見するに、現在はその機能を使用していないらしい。
 だが、それが不要だからなのか、一応、自分達を警戒しているつもりなのか、判断はつきかねる。
 何より、やすやす入り込めたことに、
「ここまでは驚くほど順調ですね。いっそ怪しいくらいに」
 レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)は訝しげに目を細めた。
「――警戒がないのはアラスカ城塞での情報封鎖が上手くいき、私たちが攻勢をかけているのに気づいていないのでしょうか、それとも別の理由が……?」
「あたし達が本気で攻めるならCONUSとか、アラスカでも都市部って思ってたんじゃない?」
 一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は、きゃらと笑う。
「ま、侮ってかかるつもりはないけどねぇ……ほんとに何があるかわかんないやつだからさ」
 ワイズガイが何を考えているか――少なくとも、ディアボロスを軽視してはいないはずだ。
「いいお宝が見つかりゃいいが――しっかし……」
 ゼキが面白がるように口の端を持ち上げた。
「一昔前の空想科学映画の秘密基地――ってやつだな、これは」
 地下に降りて来た三人が見たのは、所謂、金属の壁と配線の走る通路。ゴゥンゴゥンと回る換気のファンや、明滅するライト。
 何となく薄暗いところも、時代がかった一昔前の秘密基地な風情である。
 とはいえ、西暦1925年として見れば、こんなものだろうか。
 潜入している側として気になるものは、防犯装置の存在だが――。
「時代柄ありえないはずなんだけど、監視カメラとか人感センサーが存在してもおかしくないのかなぁ?」
 そもそもUFOなんて使ってる奴らの基地だしと燐寧が上を睨むが、それらしいものは見当たらぬ。
 光学迷彩を使用しながら極力足音なども消して進んでいるが、気は抜けない。
 何より、ここまでに敵と遭遇していないのも、何処か不気味だ。
「人感センサーの類はわかりませんが……警報などはありそうですね――警戒して参りましょう」
 レイラが促すと、二人は頷き、足早に通路を抜ける――と、不意に開けた場所に出た。
 それはかなり、広々とした空間で――。
「UFOの発着場は地下か」
 ゼキが呟き、さっと視線を走らせる。
 床には様々なマークが描かれ、それは彼らの知識的には明らかに停留用のガイドラインだ。そのサイズは大雑把な目測になるが、UFO規格とみなしてよさそうだ。
 奥にはモニターやコンソールの類があり、整備用とおぼしきタラップも見受けられる。
 燐寧が「まあ、外には停めないか」と言いつつ、どうやって格納したんだろうかと天を仰ぐ。
 天井が開くのか、何処かにゲートがあるのか――蝙蝠に変身して確認してもいいのだが、そこまでする前に、まずは床を確かめる。
 誘導用のラインが様々引かれているのだから、辿っていけばいいのだ……果たして、発着用らしい誘導サインを見つける。しかし、堅く閉ざされた門が道を塞いでいる。
「しかし、UFOはありませんね」
 レイラが囁く。
 がらんどうの空間は、確かにそれと確信できる要素に満ちているが、重要なモノは残されていない。
「間違いなく整備基地っぽいが――……電源も落ちてるな」
 コンソールに触れてみたゼキが、首を振る。
「後々の為カメラで内部映像を撮っておこうかね」
 此所で手に入れた映像を、新宿島で解析してもらえるかもしれない――その価値のある映像が撮れることが大前提だが――ゼキは端末を起動させる。
「っていうか、これ、引き払ったってことでしょぉ?」
 燐寧が軽く眉を顰めた。
 彼女の危惧する様々を察し、レイラは手早く開きそうな扉に触れる。
「事務室のようなものがないか、探してみます」
「手分けしようぜ。敵の気配があれば報せ合おう」
 ゼキが好奇心を消した表情で提案し、三人は目に付く扉をそれぞれに開けていく。
 しかし、どれも資材置き場や、工具置き場であった名残があるだけで、燐寧が案じた実験室のようなものはなかった。
「印象を纏めるなら――中継地点、でしょうか」
 レイラが空の倉庫から出てきて、呟く。確信が持てぬのは、そういうやりとりの書面やデータが取り出せていないからだ。
「挙げ句に、撤収済みかぁ」
 やや不満げに燐寧が溜息を吐いた時。
「構えなっ」
 ゼキが警句を放つ――ほぼ同時、知らぬ声が響き渡った。
「ははは、残念でしたねぇ」
 金貨の頭部を持つワイズガイ――FRBエージェントがずらりと、奥に繋がる経路から現れた。
「お察しの通り、この基地はもう仕事を終えたのですよ」
「最後にゲストをお迎えすることになりましたが――」
「楽しんでいただけましたか」
 それぞれに喋りかけてくる。
「へぇぇ――この無粋なネタばらしがなきゃ、もうちょっと楽しめたかなぁ」
 不平を隠さぬ声をあげて、燐寧は笑う。
 わざわざ出てこなくても良かったんだよぉ、と煽れば「流石にそのままお帰りいただくのは」と一体が言い、「お代はいただきませんと」と一体が続ける。
 御託は充分とばかり、燐寧がぐだぐだ喋るエージェントらへと駆け出す。
「怨み募りし魂よ、群がり集いて荒れ狂え。汝ら、敵を見逃すこと無し。地獄の果てまで追い詰めよ……な~んてね、ダダダダーっていくよぉ!」
 一歩踏み込む度、彼女の全身が淡く輝く。
 敵へと突き出した掌から、光弾が次々と放たれた。怨念を取り込んだ力にしては鮮やかな閃光に、エージェントらは灼かれ呑まれる。
 そのまま突っ切ろうとする彼女の身体を、大量のコーサノストラ紙幣が囲うよう渦を巻く。
 完全に身体を縛られる前に、燐寧は鋸刃を振るって、道を切り開く。
 その背を守るように素早く馳せたレイラの傍らを、コインが掠めていく。難なく躱しながら、振り返った彼女はエージェントを一瞥し、口を開く。
「役目を終えた基地に、私達を誘き寄せる……考えたものですね」
「いえいえ、偶然ですよ――数名を引き込めても、意味は無いので」
 冷ややかなレイラの眼差しに、あくまでジョークです、とエージェントは肩を竦める。
 いちいち、軽口に苛立つのも馬鹿馬鹿しい――レイラは冷静に針を構えると、投じた。
「白き疾風、黒き迅雷。奔る罅が天道を割く」
 刹那、室内でありながら雷鳴が轟き、針に触れた瞬間、雷霆は奔る。
 カッと戦場を白く染め、強烈な雷撃に焼かれたエージェントが倒れると、次のエージェントが立ち塞がる。
「今更ぞろぞろと出てきやがったな――道中も警戒してたってのに」
 嘆息ひとつ、ゼキは掌においた金属塊『躯』を軽くひと撫でする。
「――照門を覗いたあいつは、蟻一匹だって見落とさなかった」
 瞬間、対物ライフルに変じたそれを構えて、横へ跳躍する。
 自分目掛けて飛んでくる硬貨を弾き落とし、その先に立つエージェントを射貫く。
 更に無造作に身を翻し、新参者の胸を弾く。
 赤い霧が漂う最中、レイラの針が切り裂き飛んで、雷で仕留めた。
「ほらほら、退きなよぉ!」
 燐寧が笑って掌を払う。
 横から狙うエージェントの腹を抉った光弾は、そのまま突き抜けて壁をも穿つ。
 苦し紛れのコインがディアボロス達を狙って数々撃ち出され――そのすべてが、ゼキに撃ち落とされる。
「コンティニュー・コインが尽きるまで撃ち返してやるさ」
 そして、肉が銃撃を受けた鈍い音が、何も無い整備場に響く。
 響いてしまうほどの、静寂を。
「いやはや、お見事です」
 白々しい拍手とともに、出口に立つジェントルマサカーが破った――。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
【通信障害】LV1が発生!
【コウモリ変身】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV2になった!

レイラ・イグラーナ
そうでもございません。ここで貴方がたを倒しても、本来の目的を得ることは不可能なのですから。
賞賛を頂けるなら、拍手よりも回収したヴァンパイアノーブルをどちらに輸送したかを教えて頂けると助かります。
そう言ってあちらが口を開くことはないでしょうが……そうやって軽口をききながら戦闘を始めましょう。

銀の糸を手繰り【手製奉仕・檻】。
斧で接近戦を行おうとする敵へと銀の糸を絡め、切り裂きます。
腕や胴体などを切り裂きつつ、密かに首など急所へも糸を絡め、好機には急所を狙います。

他の復讐者と共に戦う場合、他の復讐者へと攻撃を行おうとする時や他の復讐者の攻撃を避けた時、攻撃に吹き飛ばされた時に命中するような場所に糸を仕掛け、協力して追いつめていきましょう。
斧による攻撃は防刃コート「Chat Noir」で身を守りつつ、後ろに飛び退き攻撃の直撃を防ぎます。

ヴァンパイアノーブルを連れ去ったのは戦力化が目的か、あるいは因子か。
いずれにせよ、早く見つけた方が良さそうですね。


ゼキ・レヴニ
折角遠出したってのにもぬけの殻とは、大した歓迎だぜ
せめて土産の一つも持って帰りたいが…お、いいねえそのイカした帽子
ちょいと置いてってくれねえか、ついでにお前さんの首もオマケしてくれよ

ジョークの分かる奴らみたいだが、軽口はそこそこに
援軍を呼ばれんように【通信障害】を利用
『躯』を大盾に変じて正面からぶちあたる
盾を展開し、壁方向に押し込み視界と動きを邪魔して味方の攻撃に繋げたい
敵の攻撃は【ガードアップ】で強化した盾で受け
爆発の衝撃を利用して間合いを取り、助走をつけてまたぶち当てに行くぜ
敵が隠蔽のため施設や装置を破壊しようとする素振りがあれば阻害し、後でその箇所を調べようかね

敵があいつで最後なら、何か残ってないか調べ尽くしてから帰投したいが…
何も無くとも制圧できりゃ、拠点としては使えるかね
おれたちが誘い込まれたのが偶然ってなら、奴らがわざわざここを放棄した理由は何なんだろうな
ヴァンパイア達の行方も気になるしよ
中継地点ならコンソールに通信履歴とか残ってねえモンか
各地に同じ様な中継基地があんのかねえ


一里塚・燐寧
わざわざこんな辺鄙なところに基地を作ってる
つまりきみ達のUFOの航続距離は無限じゃないみたいだねぇ
地球横断程度でへばってるんじゃ、宇宙まで出ていってもガス欠で漂うゴミになっちゃうよぉ?

《テンペスト・レイザー》に紫の鬼火を灯し『呪式:業鬼火断』を発動!
巨大な得物を大上段から振り下ろし、重さで装甲を粉砕して体の中身まで回転鋸刃を届かせるよぉ
そして鬼火をどかんと爆破!刃で切り開いたところを爆発でさらに壊して、体力を削っていこう
仲間より先に動くなら目立つ武器と飛び散る炎で敵の目を奪い、後続の動きを看破されづらいように
逆に後詰めに回るなら仲間の技でついた傷をさらに深く掘り下げ、大ダメージを狙うよぉ

斧から炎が吹き出たら得物の横腹を炎に向けて構え、分厚い刀身を防火壁としてやり過ごすよぉ
これがほんとの「ファイヤーアックス」ってことぉ? 消防士さんもびっくりだねぇ

UFOを追いかけたいのはやまやまだけど手掛かりがなくなっちゃったねぇ
ここは調べきっているとしたら、もっとアメリカ本土に近い方で探すしかない……?


●UFO基地探索、その結末
 ジェントルマサカーの姿を認め、それが退路を塞ぐ位置にいると素早く確認し、ディアボロス達はそれぞれに間合いを計る。
 レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)は、赤き双眸を細めて、敢えて楚々と応じる。
「そうでもございません。ここで貴方がたを倒しても、本来の目的を得ることは不可能なのですから」
「本来の目的ですか?」
 顎に指を当て、首を傾げて見せるワイズガイに、ええ、と彼女は頷いた。
「賞賛を頂けるなら、拍手よりも回収したヴァンパイアノーブルをどちらに輸送したかを教えて頂けると助かります」
「ほうほう、なるほど。そういうわけで」
 レイラの言葉が駄目元の軽口と解っていて、わざとらしく応じてみせる。
「勿論、お話しかねますな」
「折角遠出したってのにもぬけの殻とは、大した歓迎だぜ」
 ゼキ・レヴニ(Debaser・g04279)が肩を竦め……茶の瞳に、剣呑な光を湛えて笑う。
「せめて土産の一つも持って帰りたいが……お、いいねえそのイカした帽子――ちょいと置いてってくれねえか、ついでにお前さんの首もオマケしてくれよ」
「気が利かず申し訳ありません。しかし、この帽子も、首も気に入っていましてねぇ」
 ジェントルマサカーはふてぶてしく言い、
「欲しいものは奪う。この状況にいたって――それは私も、あなた方も、同じではありませんか」
 斧を一振り、構えて笑った。怪人的な、仰々しい哄笑だった。
「欲しいものは、奪え……ねぇ?」
 一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は半眼でそんな怪人を見遣り、そんなものあるのかなぁ、と笑う。
 妖気と呪力を帯びたチェーンソー大剣を構えながら、軽やかに、とんと床を蹴り、
「わざわざこんな辺鄙なところに基地を作ってる――つまりきみ達のUFOの航続距離は無限じゃないみたいだねぇ」
 煽りながら――禍々しい回転鋸刃に、呪詛と怨念が具現化した紫色の鬼火を宿らせ、高く掲げた姿勢で、距離を詰める。
「地球横断程度でへばってるんじゃ、宇宙まで出ていってもガス欠で漂うゴミになっちゃうよぉ?」
 ぶぉぉぉん、振り下ろされる刃は高い唸りと不穏な深紫の軌跡を残し、ワイズガイの正面から斜めに走る。
 装甲から砕いていこうという燐寧の剛毅な一撃を、其は斧を薙いで受けた。
 ぎっ、と嫌な音がして、双方の運動エネルギーが拮抗する。紫と、朱、二つの炎がぶつかりあって、互いを焼いた。
「ご心配痛み入ります。ディアボロスは我々を超える技術をお持ちで? でしたら、是非ともご教授願いたいものですな」
「ジョーダン!」
 燐寧はけらっと笑う。更に膂力を籠めて刃を押し込めば、バンッと鬼火が弾けた。
 同時に、彼女は引く。駄目押しに刃を押し込みながら、身体は間合いを作るべく、仲間へと道を譲る。
 ふっ、と呼気を吐いたゼキが、大盾を構えて突撃してくる。
「――奴が守りきれなかったのはただ一つだけだった、」
 様々な武器へと変じる金属塊『躯』が、ゼキが抱えて余る大盾となり――それは守りのための防具というより、相手を撲殺する鈍器であった。
 迎え撃つ敵の斧刃がその表面を叩く。
 双方、クロノ・オブジェクトゆえに破損しあうことはない。果たして炎を噴き、爆破を生じるワイズガイの斧は、衝撃でゼキを吹き飛ばす――が。
 ゼキは、織り込み済みで仕掛けている。
 自分は衝撃の儘、後ろへ。同時にジェントルマサカーを後ろに押し込むように盾を振るい、離れる。
 ワイズガイもまた、しなやかにその反動に従って間合いを開けた――後方に壁が迫るのも理解していた。
 三者と戦う上で、敵に背中を取られたくない、視界から逃したくないという真っ当な判断だ。
「括る戒め、憂う桎梏。囚獄の鎖が飛鼠を捉う」
 凜とした声音が、空気を震わせると、同時。
 半端な姿勢のワイズガイを、銀の糸が捉え、一瞬で閃くように、絞る。腕や胴を、掻き斬るべく――。
 仕掛けたレイラとて一撃で落とせるとは考えていない。敵がどう防御するか。何処を庇うのか。その姿勢を探ることで、致命的な――首をも狙う判断材料となる。
 敵の手元に、赤い霧が立ちこめて、怪人めいた男は力任せに斧を払った。
 炎と、爆風――パラドクスの糸を打ち払い、レイラへと熱い剣風が迫る。
 彼女は纏う防刃コートを信じ、一瞥だけで馳せる。かっと熱が走って、横薙ぎの衝撃が背を襲う。
 だが、深いものではない。銀髪靡かせ距離をとれば、ジェントルマサカーはそのままの位置で、斧を構え直す。
「いやはや、熟れたものです。流石敵地に潜入してくるだけはありますね」
 口先だけ嘯いて、其は、斧を横薙ぎに払う。
 するとその軌道から虹色の炎が噴き上がり――紫の炎を武器に湛えた燐寧が笑う。
 七色の炎を己の剣で叩っ切りながら、
「これがほんとの『ファイヤーアックス』ってことぉ? 消防士さんもびっくりだねぇ」
「名誉ある男の仕事ですからねぇ」
 揶揄に、ニヤっと敵が笑う――元より笑ったようにしか見えぬ面ではあるが。
 双方の間で炎が爆ぜる。燐寧の一撃が、斧を越え、肩を弾き、姿勢が崩れる。
 熱と熱がぶつかり合った陽炎ゆらめく空間に、銀の一閃が煌めく。
 数多に絡みつく銀の糸に気付いた時には、もう遅い。逃げ場はなく、首に、四肢に、深く巻き付いたレイラの糸が、ピンと張る。
 ワイズガイの全身は、赤く烟り、ごふっと血の塊を吐きながら、斧で糸を焼き尽くした。
 足の止まった隙を逃さず、ゼキは大盾構え疾駆し、その質量を叩き込む。
 全身全霊の体当たりに、ワイズガイは息を詰める。四肢に掛かった負荷に苦痛の息を漏らしながら、苦し紛れの斧の一振りは届かない。
 満身創痍どころか、瀕死まで追い込まれ――、
「はあ、参りました」
 この後に及んで、ジェントルマサカーは戯けたように言う。
「軽口もそこまでにしときな」
 そう刺したゼキだが。相手は肩を竦め、血を流しながら、頭をふった。
「さて、前言を撤回したいと思います――力で奪え、と申し上げましたが、奪われるわけには参りませんので……」
「……まさか」
「あはは、そんなお約束――」
 レイラがその口ぶりに警戒し、燐寧はベタ過ぎでしょと、笑おうとして。
 ワイズガイは、躊躇うことなく、斧を背後のコンソールに叩きつけた。それは、あっさりと潰れ――何か致命的なスイッチを入れたのか。
 けたたましく警報が鳴り響き、照明が赤く激しく明滅し出した。
 刹那、彼方此方で小さな爆発が起こる。天井が爆ぜて瓦礫が落ち、床も弾けて炎が噴き出した。
「はい、死なば諸共ですね――ということで、此方の基地は爆破させていただきます。はははっ、死に晒せディアボロス」
「おいおい、マジか。やりやがった――」
 ゼキが呆れながら――兎角、このワイズガイを倒しきらねばならぬと前へ躍る。
 盾を構えて突進し、身体ごとぶつかる。もう素早く抗うほどの体力を残さぬ敵は、斧を叩きつけ、爆風を送るのが精一杯である。
 燐寧が大きく跳躍し鬼火の残像をくゆらせながら、回転鋸刃を叩きつける。
 首根にずぶりと重量のある刃が埋まり――それを扶けたのは、レイラの銀糸……首に、手足に巻き付き、引き裂くような働きをすることで、敵の最後の抵抗を奪っていた。
「フハハハハ!」
 勝利者のように笑うワイズガイの身体を、内側から爆破し――だが、その身体が肉片に変じようと、基地を破壊する連鎖爆発は止まらない。

「っ、やられたな」
 ゼキが眉を顰めた――彼が考えていた通りに、コンソールに情報が残っていたかどうかはわからない。
 地響きが絶えずディアボロス達に襲いかかる。
 脱出に失敗しても、死ぬ恐れはない身だが、わざわざ一度死んでやるわけにもいかぬ。
「おれたちが誘い込まれたのが偶然ってなら、奴らがわざわざここを放棄した理由は何なんだろうな」
 退路へと駆けながら、ゼキが呟くと、燐寧は「タイミング、かなぁ」と唇を尖らせた。
「UFOを追いかけたいのはやまやまだけど手掛かりがなくなっちゃったねぇ――ここは調べきっているとしたら、もっとアメリカ本土に近い方で探すしかない……?」
 広大な敵の陣地を攻めるのは慣れたものだが。
 迅速に達成するには、様々な推測も求められよう――空を渡ることで幾らでも輸送はかのうなのだから。
「だな……ヴァンパイア達の行方も気になるしよ――各地に同じ様な中継基地があんのかねえ」
 だとして、それは何処なのか。ゼキは嘆息した。
 UFOを近く眺めるという目的は、お預けだ。
 後ろから追いかけて来る炎よりも速く駆けながら、レイラは憂う。
「ヴァンパイアノーブルを連れ去ったのは戦力化が目的か、あるいは因子か――いずれにせよ、早く見つけた方が良さそうですね」
 そんな会話を交わしながら、爆発する基地からディアボロス達は脱出したのであった――。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【防衛ライン】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
【防空体制】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV4になった!

最終結果:成功

完成日2025年03月30日

魔のアラスカトライアングル、UFO基地を探せ

 攻略旅団の作戦により、空想科学コーサノストラの未確認飛行物体(UFO)の行方を捜します。
 融合世界アルタン・ウルクのシベリアで、漂着したヴァンパイアノーブルを回収していたUFOの基地は、シベリアに近いアラスカにあると思われます。
 最終人類史でもUFOの都市伝説があった、アラスカトライアングルの北辺が最も怪しい地域ですので、その地域の住民(イヌイット)に接触し、UFOの情報を集めて調査を行ってください。

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#空想科学コーサノストラ
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#魔のアラスカトライアングル、UFO基地を探せ
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#アラスカ
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#吸血ロマノフ王朝


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選択肢『アラスカ諸都市で聞き込み調査(UFOの噂)』のルール

 攻略旅団からの要請で、アラスカ諸都市でUFOの情報について聞き込みを行います。
 最終人類史でもUFOに関する都市伝説があった『アラスカトライアングル』地域の北側で、UFOの目撃情報があるようなので、聞き込みを行って下さい。
 聞き込みの対象はアラスカ北部に住む『イヌイット』となり、ギャングやワイズガイの影響はほぼ無いと思われるので、友好的に接すれば情報を得る事が出来るでしょう。
 イヌイットの居住区域は非常に広いので、ある程度、目途をつけて調査を行うと良い結果を得やすいでしょう。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【🔑】他の選択肢のリプレイが一度でも執筆されると、マスターはこの選択肢のリプレイを執筆できなくなる。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『UFOの調査を諦めて帰還する』のルール

 UFOの目撃情報を得る事が出来なかった場合など、諦めて帰還する選択肢です。
 アラスカ諸都市で聞き込み調査(UFOの噂)が完結した時点で、有益な情報を得られなかった場合は、この選択肢で調査を終了してください。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、安全に撤退でき、シナリオは成功で完結する(作戦目的は一部未達成となる)。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾調査探索戦闘『FRBエージェント』のルール

 敵の警戒が厳しい場所、或いは、多くの敵がいる事で、戦闘が見込まれる場所の調査を強行する選択肢です。
 敵の目を盗んだり、或いは、戦闘を行いつつ、必要な情報を集めていきましょう。
 戦闘中に行える程度の調査活動となるので、得られる情報は限定的となります。

 また、調査中に新たな敵が集まってくる可能性がある為、この選択肢は👑を大きく超えて採用される事はありません。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。


 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👿アヴァタール級との決戦『ジェントルマサカー』のルール

 事件の首魁である、アヴァタール級クロノヴェーダ(👿)と戦います。
 👿を撃破する事で、この事件を成功で完結させ、クロノヴェーダの作戦を阻止する事が可能です。
 敵指揮官を撃破した時点で、撃破していないクロノヴェーダは撤退してしまいます。
 また、救出対象などが設定されている場合も、シナリオ成功時までに救出している必要があるので、注意が必要です。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「1体」出現します。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※このボスの宿敵主は「シメオン・グランツ」です。
※クロノヴェーダには、同じ外見を持つ複数の個体が存在しますが、それぞれ別々のクロノヴェーダで、他の個体の記憶などは持っておらず、個体ごとに性格なども異なっています。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。