リプレイ
黄下・泉
アドリブ・連携は歓迎
敵城の中に相手の思い通りになる労働力が残ってるのはやだよな。
元々不安は膨らんでるみたいだし、ちょっとつついてくるか。
人足たちに見つからないように&被害を出さないように気を付けながら、パラドクスであちこち爆破していこう。
頃合を見て、爆音で更に不安を募らせてる人足のとこに飛び込もう。
その時は近くで爆破させた上で、巻き込まれるところだったって様子で命からがらって感じで。
っはぁ、はぁ、はぁ……生きてる?生きてる、良かったぁ……
って、違う、一回静かになってもまたいつ流れ弾が来るかわかんないぞ!
武田様だか何だか知らないけど何で天魔武者様が攻めて来てるんだよ!
えぇ?細かい事なんてあたしが知るわけないだろ、ああでも騒いで目立ったら的にされるか?
ああ、もう!とにかくいつ狙われるかわかんないし、早く逃げなきゃ!
あたしは行くぞ、あんたらも命が惜しけりゃ逃げた方がいい。
みたいな感じで大体勢いで扇動。
誰もついてこなかったら身を隠して少し離れた場所を爆破しとこうか。
ついて来たらいろいろ吹き込む。
ピオニア・フィングストローゼ
流言飛語ですか。一般人たちを混乱させ、逃げ出させることが肝心なのですね
私も向かいましょう
一般人の人足たちのほうへ、悲鳴を上げながら駆け付けます
キャーッ! 助けて!!!
ああ、大変です! 賊らが城内に押し入ってきたのです……
いまあちこちを破壊しながら、手当たり次第に人を殺して回っているようです!
ここは危険です。速く逃げたほうがいいですよ!
賊めも天魔武者のように見えました
城の天魔武者の方たちは対応に手間取っているようです……
このままでは……この城は陥落します!
はやく! はやくお逃げください!!
私も逃げますので!!!
そう言いながらドサクサに紛れて周辺の資材や壁を【ルナティックファング】で破壊して回ります
音や粉塵を立てれば効果が増すでしょう
自分が逃げようとした先を破壊し、混乱した様子で駆け戻ってきて、一般人たちに混乱を広げましょう
わざと一般人の多いところを行ったり来たりします
自作自演ですね
アドリブや連携は大歓迎します
小田原城の小峰曲輪はいよいよ本格的な混乱を呈し始めていた。
潜入したディアボロスたちが各所で暴れまわり、天魔武者たちもかなりの数が駆り出されているようだ。その狼狽は波のように伝播し、ひとつところに集められた人足たちも、どうすべきかと顔を見合わせていた。
「敵城の中に相手の思い通りになる労働力が残ってるのはやだよな」
そんな騒ぎの渦中に飛び込んだのは、黄下・泉(リターナーの符術士・g08097)であった。
「元々不安は膨らんでるみたいだし、ちょっとつついてやるか」
泉の駆け巡るところ、爆発の花が咲く。
封爆術式<暴河紅竜・銭塘君>――万物を正しく解き崩す術、その『分解』により得たエネルギーを超高密度で水の結界に封じ、無数の小型爆弾へと変える。それらがふわふわと漂い、爆発を起こしたのだ。
「流言飛語ですか。一般人たちを混乱させ、逃げ出させることが肝心なのですね」
その状況を、ピオニア・フィングストローゼ(一凛華・g11346)は冷静な面持ちで見ていた。
城内の混乱振りは相当なものがある。各所で戦闘が巻き起こり、叫喚が響き、爆発が轟く。もうこのあたりも戦場と呼ぶに相応しい様相を呈しているのだ。ウェアウルフの耳をはたりと動かし、速やかに状況を把握すると、ピオニアは頷いた。
「私も人足たちの元へ向かいましょう」
「おいおい、どうなっちまうんだ!?」
近くで轟く爆発音に、身を竦める者があり、小さく悲鳴をあげる者もあり、人足たちは生きた心地もない。
「天魔武者様はここにいろといったが、もうそれどころじゃねえ!」
彼らの忍耐はこんな状況で、よく保った方だと言えるだろう。
だが、それももう限界だった。
顔を見合わせた彼らが、今にもその場から離れて、城内の天魔武者に助けを求めようとする――まさにその時である。
勢いよく引き戸が開き、人影が飛び込んできた。
「っはぁ、はぁ、はぁ……生きてる? 生きてる、良かったぁ……」
勿論それは泉その人であったが、人足たちが目を丸くしたのは言うまでもない。泉はまるで長距離走を全力で走りきった後のように肩で息をしていたが、それはまさに命からがら逃げてきたという風に人足たちの目には映った。
爆発は止んでいる。当然だが、泉が起こしたものだったからだ。
泉はハッと気付いたように顔を上げ、
「って、違う、一回静かになってもまたいつ流れ弾が来るかわかんないぞ!」
あまりの驚きに、人足たちは言葉もない。
その心を更に動揺させるため、泉は言い募った。
「武田様だか何だか知らないけど何で天魔武者様が攻めて来てるんだよ!」
自らも混乱しているような演技をする泉から、ただならぬ事態を感じ取って、人足たちは震えた。
「攻められてるだって!?」
「そんなことが……!」
人足たちはただ労働のために集められた者たちに過ぎない。したがって、自身を取り巻く状況について、確かな情報を持っていたわけではなかった。よく知らないがゆえに、城を揺るがす騒ぎに不安を募らせていたのだ。
そこに、あの爆発と、いまの泉の言である。
混乱した人足たちに、泉を疑う余裕などあるはずもない。
あるのは、どうすれば救かるかという疑問だった。
「お、教えてくれ、どうなってるんだ。おらたちゃどうすればいい!?」
「えぇ? 細かい事なんてあたしが知るわけないだろ、ああでも騒いで目立ったら的にされるか?」
誰かの叫び声が聞こえる。それは天魔武者のものか、ディアボロスのものか――人足たちには知る由もない。
ただ、それさえも泉の言葉に説得力をもたらしているのは確かだ。
間違いなく、ここは危ない――。
「キャーッ! 助けて!!」
そこへ絹を裂くような悲鳴を上げながら入ってきたピオニアが、差し迫った状況を、これ以上ないほどに演出した。その美しい唇は不安にわななき、宝石のような紫の瞳が恐怖に揺れていた。
平時の人足たちであれば、紅の着物に身を包んだ彼女の美貌や艶かしさに目を奪われたかも知れないが、今はその余裕もない。
「ああ、大変です! 賊らが城内に押し入ってきたのです……」
泉の言葉を補強するように、息を整え(る振りをし)ながらピオニアが言った。
「いまあちこちを破壊しながら、手当たり次第に人を殺して回っているようです!」
人足たちが総毛立ち、明らかに震えた。
「ここは危険です。速く逃げたほうがいいですよ。賊めも天魔武者のように見えました」
ピオニアが泉と口裏を合わせれば、話の信憑性は更に高まる。
人足たちの不安はもう爆発寸前だ。
彼らに、疑うという気持ちは微塵もなかった。
全く以て、それどころではない。
「やっぱりただごとじゃねえ!」
「城の天魔武者の方たちは対応に手間取っているようです……このままでは……この城は陥落します!」
「なんてこった!」
「こ、こんなとこにいたら殺されちまうだけだ!」
うまく不安を増幅させることができている。それを冷静な目で見透かしたピオニアが、最後のひと押しをする。
「はやく! はやくお逃げください!! 私も逃げますので!!」
言うと、ピオニアは我先にと逃げ出した。
待ってくれと言いたげに手を伸ばした人足もいたが、もちろん、引き止めることなど出来るはずもない。ただその背を見送るだけで精一杯である。
「ま、待ってくれ!」
「ああ、もう! とにかくいつ狙われるかわかんないし、早く逃げなきゃ! あたしも行くぞ、あんたらも命が惜しけりゃ逃げた方がいい」
「お、おい!」
「おらたちも逃げんぞ!」
人足たちが、自分たちよりも状況を知っているらしい泉についていこうとするのは、当然のことだった。
(「ひとまずは上手く行ったな」)
泉は追いかけてくる人足たちを確認しながら、内心でほくそ笑んだ。
そうこうしているうちに、破壊音が聞こえてきた。
ピオニアが駆け回りながら銀の長い鉤爪で手当たり次第に破壊の嵐を巻き起こしていた。ルナティックファング。それはまさに狂獣が暴れまわるのにも似て、その音響は人足たちを急き立てる。
逃げてきた人足たちの姿を見ると、ピオニアは敢えてそちらへ戻り、いま来た方向とは別の方向を指をさす。人足たちはまさか今しがたの破壊音がピオニアの奏でたものとは思うまい。
「こっちは危険です。向こうへ……!」
「こうなったら逃げるが勝ちだ。早く早く!」
泉も上手く誘導し、天魔武者の貴重な労働力である人足たちは、城から逃げ出してしまうのだった。
超成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【水中適応】LV1が発生!
【狼変身】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
陳・桂菓
白・明江(g11020)と共闘。
流言飛語の説得力を裏付けしようと思えば、今まさに戦いの最中といった気配を感じさせるのが肝要。
「というわけで、我らはなるべくやかましく、目立つように戦うべきだと思うが、どうだ?」
ただし、間違っても人足たちを巻き込むよう戦うわけにはいかん。となれば、なるべく彼らからは離れた場所で、遠くまで響くような派手な戦闘音を出すというのが最も確実だろう。
私の使える技のうち最もうるさいのは、恐らく【爆烈闘波】だ。
敵は剣術自慢らしい。普段なら私も存分に剣の技を競い合いたくなるところだが、今回ばかりは作戦というものがある。敵の突撃に対してこちらもカウンターで突撃し、剣を振るわれる前に爆発で吹っ飛ばそう。
さらに敵の目を集めるために蚩尤旗矛を手に持って振り回す。
「ここにあるは陳・桂菓――戦神の裔なり! この蚩尤旗を折れる豪傑はおらんのか!?」
腕に覚えの連中ならば、敵にこんな言葉を吐かれれば聞き捨てなるまい。
「これで人足は無事……でも、私はどうだろうな。手厚く援護してくれよ、明江?」
白・明江
陳・桂菓(g02534)に同行。
流言飛語は他の人らがあんじょうやってくれるみたいやし、俺らは派手に戦働きしたらええねんな。
「はー、なるほど……なるべく目立つように、なぁ。せやったら、まず真正面からドカンと行くか。壁でも何でもぶっ壊しながら突破してきゃ、騒ぎにもなるやろ」
「あと万に一つ、億に一つでも、人足たちの逃げてるところに天魔武者どもが横槍入れよった日にゃたまったもんやない。思いっきりこちとらに集中してもらわんと困る」
そういう意味でも俺らは目立たなアカンな。
「西涼の白・明江じゃ! 今やったら倍額ででも喧嘩買ったるで!」
怒鳴りつつ、右手に大闊板刀、左手に劈刀の二刀流スタイルで突撃する。
相手もスピードのある斬撃を放ってくるようだが、こちらの【猛狼襲】も同じく速度が自慢の連続攻撃。まあ、防ぐ、回避するというよりは、各々と正面からぶつかり合って威力で押し切るという方向で戦う。
あとは、大見得を切る桂菓の死角を補うような立ち回りを心がけることか。
「アンタも変なトコで役者やね。ま、背中は任しとき」
流言飛語を成功させようとするディアボロスたちと、相前後して。
小峰曲輪に潜入した陳・桂菓(如蚩尤・g02534)と白・明江(腥紅狼・g11020)は、天魔武者たちの動きを探っていた。
暴れれば暴れるだけ、敵の目論見を崩せる。
戦場では勇猛極まる二人にとって、これはうってつけの状況だ。
城内は騒然としていて、戦いの音響そのものも、混乱の火に薪を加えることになろう。
「流言飛語の説得力を裏付けしようと思えば、今まさに戦いの最中といった気配を感じさせるのが肝要」
「向こうは他の人らがあんじょうやってくれるみたいやし、俺らは派手に戦働きしたらええねんな」
激しい戦いを演じれば、流言飛語を成功に導こうとしているディアボロスたちに対して、またとない援護となる。
「というわけで、我らはなるべくやかましく、目立つように戦うべきだと思うが、どうだ?」
「はー、なるほど……なるべく目立つように、なぁ。せやったら、まず真正面からドカンと行くか。壁でも何でもぶっ壊しながら突破してきゃ、騒ぎにもなるやろ」
抜刀剣客隊を倒すことも重要だが、城内の破壊もまた必要不可欠。
「ただし、間違っても人足たちを巻き込むわけにはいかん」
「ああ、万に一つ、億に一つでも、人足たちの逃げてるところに天魔武者どもが横槍入れよった日にゃたまったもんやない。思いっきりこちとらに集中してもらわんと困るからな」
言うと、明江は桂菓の案に同意した。
「そういう意味でも俺らは目立たなアカンな」
「かように混乱が広がるとは……不覚というべきで御座ろうか」
「小癪なるディアボロスどもめ……」
天魔武者・抜刀剣客隊は、城内の騒ぎに、殆ど効果的な対応ができずにいた。あちこちで戦闘が繰り広げられている以上、持ち場を離れず、敵を迎え撃つが上策――そのように判断したのかも知れない。
彼らの周囲には、築城に使うのであろう資材が山と積まれていた。
それらを守るのも抜刀剣客隊の務めではあるが、もしディアボロスの姿を見たならば、彼らはその好戦的な性質から、戦闘に集中するに違いない。
だからこそ、御しやすい。
「西涼の白・明江じゃ! 今やったら倍額ででも喧嘩買ったるで!」
明江の大声は、騒動の渦中にある城内にあって、陣太鼓の如くに響き渡った。
抜刀剣客隊が身構えたのは当然である。
「推参なり、ディアボロス!」
「刀の錆にしてやるで御座る!」
敵の言葉に言葉を返してやるほど悠長な明江ではない。馬手に大闊板刀『狴犴』、弓手に劈刀『狻猊』を持ち、一陣の風が如くに突撃する。
「いてこましたらァ!」
抜刀剣客隊の攻撃に先んじて放った猛狼襲は、その名の通り猛き狼の疾さと爪牙の鋭さを体現しているかのようだった。大闊板刀が剣客隊の剣を弾き、勢いそのまま武者の躰に斬撃を見舞う。回転するような動きから放たれた劈刀『狻猊』の一閃は、その鉈のような形状も活きて、別の剣客隊の首に深々と食い込んだ。
「ム、これは並みの達人ではないで御座る!」
「しかし疾さで遅れを取るわけには行かぬ!」
機械生命体の尋常ならざる腿力を活かして跳び回る抜刀剣客隊。その速度は当然、人外の域にある。駆け飛ぶ影、影、影、影――視認するのが難しいほどの速度で走り、放たれる剣閃は尽く急所を狙っている。
それこそは殺戮白兵戦術が其の二、迅速なる両断斬!
「速さ自慢かしらんが、そんなモンに後れは取らへんわ!」
だが明江の猛狼襲も負けてはいない。いや、速度から言っても、明らかに上回っている。斬、斬、斬! と刃が断ち切る音は、全て硬音。即ち天魔武者が斬られる音に他ならない――!
もんどり打って倒れた剣客隊の一体が資材を滅茶苦茶に壊しながら倒れた。
「どうした、そんなもんかいな」
「ヌゥゥゥ……!」
火花を散らして明江の二刀をギリリと受ける天魔武者、その剣が圧され、文字通りに押し切られた。
「派手に始めたな」
桂菓は明江の大立ち回りを見つつ、丹田に気を集中させていた。そうしている間にも、思ったとおりに別方向から抜刀剣客隊が応援に駆けつけてくる。騒ぎを聞きつけてのことだろう。
「私も派手に仕掛けるとしよう」
明江と剣客隊の戦いは武人の心を高揚させるものがあった。
普段なら私も存分に剣の技を競い合いたくなるところだが、今回ばかりは作戦というものがある――思い、桂菓が選択したのは、彼女のパラドクスの中でも最も大きな音を奏でるもの。クマバチの羽根を広げ、抜刀剣客隊に飛び込むと、すかさず力を解き放つ。
「……!?」
「まさか
……!?」
戦いでは如何に有利な状況を作るかが肝要である。逆説連鎖戦では特にそうだ。周囲の状況にわずかでも乱されていた抜刀剣客隊は、そこを突いて強襲する桂菓への対応が一瞬だけ遅れた。
――吹き飛ばす!
言葉通りの事態が抜刀剣客隊を襲った。
自身を中心にして、桂菓が放った闘気の凄まじいことと言ったらない。それはまさしく爆発となり、轟音を以って城をどよもし、そして抜刀剣客隊を吹き飛ばした。
ふわりと揺れる髪。
闘気を浴びてなびく蚩尤旗。
そして旗持つ武人の凛とした面構え。
それを見た抜刀剣客隊は、跳ね返るように突撃し、嵐の如き勢いで剣を振るう。抜刀剣客隊が誇る殺戮白兵戦術其の一『剛嵐の切込み斬殺』――それは相手を容赦なく膾と切り刻む凶剣である。
「受けてみよ、我らが剣」
「衆寡敵せずで御座る!」
「気炎を吐いたな。やってみるがいい」
迎え撃つ桂菓はその全ての剣閃を可能な限りに見切って浅手に抑え、カウンターで懐に飛び込んだ。上段、正眼、下段、それぞれの構えを取った抜刀剣客隊の前で、闘気が爆発の花を咲かせる。
周囲の資材もろとも吹き飛んだ抜刀剣客隊が、壁に激突して派手にヒビを入れた。
そう、爆音を轟かせる桂菓のパラドクスは、築城に用いる資材を破壊することにも成功していたのである。
「……強い」
「だが我らとて……!」
太刀を手にじりじりと迫ってくる手負いの抜刀剣客隊に、ブンブンと蚩尤旗矛を振り回す桂菓。
「ここにあるは陳・桂菓――戦神の裔なり! この蚩尤旗を折れる豪傑はおらんのか!?」
高らかな名乗りを聞いて駆けつけて来た残りの抜刀剣客隊が剣を構えた。
桂菓の背を守るように二刀を構えた明江が、そうこなくてはとばかりに笑う。
「相当の手練れで御座る」
「油断するな各々方」
思った通り、手練の抜刀剣客隊は、如何にも武人然とした桂菓や明江との戦いを優先した。彼ら天魔武者には、もはや全力で二人を打ち倒すことしか頭にない。
「これで人足は無事……でも、私はどうだろうな。手厚く援護してくれよ、明江?」
「アンタも変なトコで役者やね。ま、背中は任しとき」
剣客隊めがけて果敢に突撃しては、爆発的な力で周囲の資材ごと吹き飛ばす桂菓。もちろん反撃は喰らう。だが背後を取ろうとした天魔武者どもを、そうはさせじと明江が防ぎ、逆に斬り捨てた。
剣客隊はバタバタと倒れ、二人の活躍は、流言飛語の素晴らしい成功にも貢献したのである。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【通信障害】LV1が発生!
【狼変身】がLV2になった!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!
「疾風迅雷の如しか。かほどとは思っていなかったが、どうやら拙者の目が狂っていたらしい」
大西十兵衛高由――尼子十旗が一旗の名を関する天魔武者は、呻くように言った。名高い刀工の手で打たれたような刀には気が滾り、彼の冷静さは、このような状況にあっても失われてはいない。だが、その言葉には悔やむような響きもあった。
――貴重な人足と資材がこうまで失われては。
という自責もあるのだろう。
「拙者のすべきことはひとつ。即ち、ディアボロスを打ち払うのみ」
主の御為にもここで自らが壁となり、侵入者どもを誅戮する。
大西十兵衛高由は全霊を以てディアボロスを迎え撃つ。
黄下・泉
アドリブ・連携は歓迎
人足たちとは適当な所でわざとはぐれる。さーて、いざボス戦だな。
随分な剣気だ。本当ならもっともっと厄介な相手だったかもしれないな。
でも、仕えた相手が悪かったな。
上がこうも定まらないんじゃ、下も真価は十分に振るえないだろ。
半端に近い距離は相手の間合いだ。遠距離戦でもいいんだけど……超至近の格闘戦に持ち込もう。
その距離で戦えないとは間違っても思わないけど、本領も出せないだろ?
全身の符で自己強化して、四肢に術式を宿す。両の手は基本的に牽制と迎撃、防御。
多少の傷は許容して、弾き、逸らしつつ、本命の術を宿した蹴りでブチ抜いてやるための機を伺おう。
次々生まれる刃は次々『分解』していってやるさ。……ところでそれさ、柄の部分が壊れたら新しく生み出せるの?試してみていいかな?
「さーて、いざボス戦だな」
手ぐすね引いて待ち構える大西十兵衛高由の前に、黄下・泉(リターナーの符術士・g08097)は立った。流言飛語に惑った人足たちは、既に城の外へと逃げ出している。彼ら一般人を撒いてしまうのは、泉にとっては容易いことだった。
「相当に乱破が入り込んだと見える。――否、乱破と言うには強すぎるか」
剣を構えた大西十兵衛高由の圧力、そのなんと凄まじいことか。
戦いの場に足を踏み入れただけで、気圧されそうになる。
「随分な剣気だ」
言いながら泉は思う。天魔武者にとって、小峰曲輪の戦況は芳しくないだろう。こんな状況でもなかったら――眼前の敵は、本当ならもっともっと厄介な相手だったかもしれない。
「なんにせよ、ここで決める!」
まさしく今が好機。
だからこそ敢えて泉はその刃圏に突っ込んだ。パラドクスの攻防になる以上、距離を取っていても攻撃は飛んでくる。ならば得意な間合いに持ち込むのみ!
「踏み込んできたか。その意気は認めよう」
駆ける泉、その勢いは疾風そのもの。瞬く間に間合いを詰める彼女に対し、大西十兵衛高由はその刀を以って応じた。
――さてどう来るか。
思い、泉が振るうのは徒手空拳。全身の符による自己強化、そして四肢に宿した術式によってブーストさせた拳打蹴撃だ!
格闘の間合いは剣よりも狭い。
故に超至近にまで踏み込めば刀の扱いは制限される
「この距離で戦えないとは間違っても思わないけど、本領も出せないだろ?」
「出来るか出来ぬか、試してみるがよい!」
一歩退がって振り下ろされる剣。それを泉は腕を以って逸らす。牽制の打撃を天魔武者の胴に打ち込み、斜め切り上げを見切った泉は裏拳でその刀身を弾き折る!
「ホウ、悪くない拳だ。だが」
刹那、天魔武者の刀には新たな刀身が生じている。
「便利な能力もあったもんだな」
刀身の再構築。
折れるたびに新たな刀身を生成する新身追討のパラドクスだ。その真価は、得物の刃こぼれや折れを一切考慮に入れぬことにこそある。天魔武者の膂力で振るわれた剣は、一太刀一太刀が余りに重く、そして荒々しい。
――こんな力を持ったヤツが警護役とはな。
斜め切り下げ、横薙ぎ、突き――振るわれる剛剣に歯噛みして、急所への攻撃だけは避けながら、泉は思う。小田原城は戦国屈指の堅城だが、北条氏政は城も部下も活かせてはいない。
「仕えた相手が悪かったな。上がこうも定まらないんじゃ、下も真価は十分に振るえないだろ」
「おのれ、我が主を愚弄するか!」
泉の回転蹴りがまたも天魔武者の刀を折る。
振るう剣が立て続けに毀されることに、ここにきてようやく天魔武者は不信を抱き始めていた。
泉がニヤと口の端を釣り上げる。
「……ところでそれさ、柄の部分が壊れたら新しく生み出せるの? 試してみていいかな?」
「なに……!」
理解不能の状況と言葉に動揺したか、大西十兵衛高由の剣の生成に、一瞬の遅れが生じた。その隙を突いて泉は踏み込む。
そして本命の術を宿した突き蹴りが、天魔武者の胴を砕き割った!
存在を破綻させる外道術式がその本領を発揮する。分解により取得した情報を鍵に、法則へと干渉し、機械生命体という存在そのものを破綻させる。
それ即ち破綻術式〈渾沌七穴〉!
「グ、おぉぉぉぉッッ……!」
たたらを踏む天魔武者。
只の蹴りではない。
大西十兵衛高由の内部構造は今や滅茶苦茶に破綻していた。
「まだ立っていられる辺りは流石だな」
「ここを通すわけには行かぬ故な……たとえこの身が砕けようとも……」
機械の目を青く光らせ、渾身の力を振り絞って剣を構える天魔武者。
だが受けたダメージが力の低下を招いているのは、紛れもない事実だった。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【完全視界】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
陳・桂菓
白・明江(g11020)と共闘。
「尼子十旗の一人らしいが、私もよくは知らん。ただ、纏う空気からして強敵らしい」
覚悟の決まった強敵なんぞ、確かにいかにも厄介に違いないが……逆にいえば、相手に取って不足なし、だ。
私の得意分野も剣戟だ。どうせ、今この場から奇襲だ何だとこねくった戦法など、私らには無理だ。正面から打ち破るぞ。
まずは引き続き蚩尤旗矛で戦う。
敵の【不動結界】に対し、こちらは【単駆突赴】で刀そのものを狙う。
威力と引き替えに刀が損耗する技らしいが、こっちはこっちで一点突破で一撃の威力を上げたもの。斬撃と刺撃で多少なりと拮抗できれば、敵本体にダメージが入らなかったとしても、敵の刀は必ず傷む。
無論、こちらの得物もボロボロになるだろうが、槍が使い物にならなくなったら今度は背負った刀――銘刀『鬼王丸』を抜いて同じ事を繰り返す。
一対一なら、どう頑張ってもこちらがジリ貧で負けるであろう戦法だ。が、こちらには味方がいる。十全でない刀で明江と戦う羽目になれば、いかに高由とてただでは済むまい。
白・明江
陳・桂菓(g02534)
「あれが大将かい。名前聞いたことはないねんけど……桂菓はんは知ってたりする?」
嫌な気配やな。大分、覚悟決まってるっぽいで。
見た目からしていかにも剣の達人って感じやし、アレと剣で斬り結ぶってなると、ちっと厳しい気もするが……言うて、俺の基本の戦法も剣技なんよな。
状況も状況や。しゃーない、腹決めるか。
使用武器は大闊板刀『狴犴』
正面から【滅影撃】で斬り掛かる。速度はあっても、姿が消えるわけではない。それでも、目には見えているのに気配と音がない攻撃は、感覚が狂って防ぎづらかろう。
とはいえ、そもそも【献刀面影】は自分へのダメージ上等で攻撃の威力と精度を爆上げする技らしい。むしろ問題は、この一太刀をどう凌ぐか。
気配のなさ、無音、速度を利して回避できれば一番理想的だが、攻撃精度が上がることを思えば厳しいかもしれない。となれば、威力を殺しきれないのも覚悟の上で、大闊板刀を盾代わりにして防ぐのが一番丸いか。
「死なきゃ安いわい。一発でも余計に叩き込むんが、今回の俺の役割や!」
「あれが大将かい。名前聞いたことはないねんけど……桂菓はんは知ってたりする?」
油断なく得物を構える白・明江(腥紅狼・g11020)。その手にあるのは大闊板刀『狴犴』――巨大な板を思わせる刀身が特徴の、長大なる片刃刀である。
「尼子十旗の一人らしいが、私もよくは知らん。ただ、纏う空気からして強敵らしい」
圧倒的な剣気を発する大西十兵衛高由を凛と見据えつつ、陳・桂菓(如蚩尤・g02534)は明江の問いに応じた。蚩尤旗矛の切っ先は天魔武者に突きつけたまま。
――奴は此処を死守するつもりだ。放たれる気がそれを告げている。
「フム、生粋の武人よな。見ただけで判るほどの。抜刀剣客隊が斃されたのも無理はないか。だがここは通さぬぞ」
「……嫌な気配やな。大分、覚悟決まってるっぽいで」
「覚悟の決まった強敵なんぞ、確かにいかにも厄介に違いないが……逆にいえば、相手に取って不足なし、だ」
達人は達人を知る。
大西十兵衛高由も二人の構えから、武人としての力量を見定めようとしていた。
彼は剣士である。
そして桂菓と明江が得手とするのもまた剣戟。
――見た目からしていかにも剣の達人って感じやし、アレと剣で斬り結ぶってなると、ちっと厳しい気もするが……言うて、俺の基本の戦法も剣技なんよな。
その心を見透かしたかのように、桂菓は言った。
「どうせ、今この場から奇襲だ何だとこねくった戦法など無理だ。正面から打ち破るぞ」
自然、明江の顔に笑みが浮かぶ。
「状況も状況や。しゃーない、腹決めるか」
「来るがいい、強きディアボロスども。貴様らの力を見せてみよ」
刀を構える大西十兵衛高由。その刀身にさながら青き龍を思わせる気が渦を巻く。肚に込めるは不動の意志、決して通さぬという生命を賭した決意だ。堅固極まりない戦意が見えざる刃圏を展開し、領域に踏み入ったものをたちどころに斬り伏せる。
だからこそ、敢えて桂菓は踏み込んだ。
「突き破る!」
青き眼光を放つ天魔武者の目に、真紅が映り込む。鮮やかな闘気に身を包んだ桂菓はクマバチの羽を広げて飛翔していた。強弓から放たれた矢よりも疾く鋭い突撃。蚩尤旗矛を突き出すように構え、一点を狙い澄ました一撃は、秒を数える間もなく天魔武者に迫る!
「良き技だ。だがッ――!」
不動血界を展開した大西十兵衛高由は蚩尤旗矛を弾こうとした。
ガギイ、ンッッ! 凄まじい威力の刺撃は弾かれても勢い衰えず、天魔武者を貫いた!
まさに蜂のように刺すだ。
手応えを感じた瞬間、咄嗟に飛び退く桂菓。
そうしていなければ、反撃の斬り上げが彼女の体を深く裂いていただろう。浅手は負ったものの、自身の攻撃の方が深い――そう桂菓は判断する。
「が、急所は逸らされたか」
息を吐くインセクティアの無双武人。
「やりおる……」
一方、大西十兵衛高由の剣は、今の一撃を弾いたことで僅かに刃が毀れていた。
彼に追撃の余裕などあろうはずもない。好機と見た明江が真正面から斬り掛かってきたからだ。疾い。天魔武者の反射神経を以ってしても対処が困難な程に。いやこれが大西十兵衛高由でなくそこらのトルーブス級であれば、一刀のもとに斬り伏せられてもおかしくはない。
気配もなく。
音もなく。
迫る腥紅狼が刃を振り下ろす!
「喰らいや!」
ガギリッ! 天魔武者の刃が音を立て、幅広の片刃刀を受ける。刀身を滑る明江の斬撃は、そのまま機械生命体の鎧を断ち割り、深々とした一撃を入れた――が、致命傷ではない。
「ッ……氏政殿、我が身に代えても此処は死守いたしまする!」
手酷い損傷を身に受けながらも、大西十兵衛高由は意識を集中し、主への忠心を高める。まさに捨て身。放たれる一太刀はもとより高い斬撃の威力を爆発的に跳ね上げた。全意識を集中させての献刀面影。
――来いや!
だが素早く天魔武者の背後に回った明江はその分だけ敵の太刀筋を見る余裕を得ていた。速度で言えば、明江とて普段より疾い。であれば如何にするか。一刹那のうちに、明江は考え、即断する。
ぶぉうんっっ! 虚空そのものをも断ってしまうような横薙ぎが来た。
――怪態な!
速度を活かしての回避。それは半分正解で半分間違っている。飛び退いたとしても斬撃は深々と明江を裂くだろう。
ならば、
コイツを盾代わりにして防ぐだけや――!
飛び退きながらも、幅広の大闊板刀を盾にして受ける。それが明江の選択だった。大西十兵衛高由は明江の気配を完全に捉えていたわけではない。斬撃はそれ故に僅かに精度が落ち、明江にほんの僅かな光をもたらしていた。
生ずるは耳を聾せんばかりの音響。
それは天魔武者の剣を大闊板刀が弾いたものに他ならない。
吹き飛ばされながらも、独楽のように回りながら勢いを殺し、明江は構えを取り直す。
そして息をつかせる間も与えぬと、桂菓が更に攻めかかる。
「ここで押し切る……!」
蚩尤旗矛を床に突き立てていた桂菓が、代わりに背から引き抜いたのは銘刀『鬼王丸』。繰り出すは渾身の単駆突赴だ。
「得物を変えてきたか。だが、戦法が同じではな」
(「一対一なら、確かにどう頑張ってもこちらがジリ貧で負けるであろう戦法だ。が、こちらには味方がいる!」)
鬼王丸が天魔武者の鎧を貫き、反撃の斬撃が桂菓を襲う。
血が飛沫き、吹き飛ばされながらも、受け身を取るインセクティアの無双武人。
今、彼女のその瞳には、トドメの一撃を狙う明江の姿が映っている!
「来い!」
大西十兵衛高由は気合を発したが、その刀は桂菓の初撃で刃こぼれし、戦いの中でボロボロになっていた。
「死ななきゃ安いわい。一発でも余計に叩き込むんが、今回の俺の役割や!」
明江が猛然と踏み込み、大闊板刀を振り下ろす!
天魔武者は刀を以ってそれを防ごうとしたが、得物は腥紅狼の一撃に耐えられる状態にはない。キィンッ! と甲高い音を響かせて刀が折れる。勢いそのままに、明江は敵を斬り下げた!
もし失敗していれば、手酷い反撃を受けたであろう果敢かつ迅疾の踏み込み。
深々と斬撃を刻まれた天魔武者は膝をつき、ゴーグルめいた機械の目を青く、弱々しく明滅させていた。
「見事……」
呻くように称賛する大西十兵衛高由――その目から光が消え失せる。
「よく戦った。ひとりの武人としてそれを認めよう」
「これでひとまず仕舞いやな。ああ難儀な敵やったわ」
桂菓が言葉を手向け、明江が額の汗を拭う。
小峰曲輪攻めはかくして奏功し、小田原城を巡る戦いは新たな局面を迎えようとしていた。
壊された壁から壁へと風が吹き抜ける。
床に突き立てられた蚩尤旗矛が、ディアボロスたちの勝利を証するようにはためいていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【アヴォイド】LV1が発生!