星海牛たちの小さな冒険(作者 坂本ピエロギ)
#巨獣大陸ゴンドワナ
#第三次巨獣大陸調査~喜望峰に向かえ
#サフィーナ・ミウ
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『プモモォ!』『プモォ~!』
巨獣大陸ゴンドワナの大地に、弾むような声が響く。
地平線の彼方まで続く一面の草原と、大地を貫いて走る河川。その一角に群れを成し、『星海牛モールスカロヴァ』の幼獣たちは川縁をぴょんぴょんと跳ね回っていた。彼らは今、自分たちを子供扱いする成獣の下をこっそり離れて、小さな冒険に踏み出したばかりなのだ。
幼い星海牛たちにとって、周囲は全てが新鮮な驚きに満ちている。
初めて見る植物、初めて見る動物たち――好奇心の赴くままに遠くを見れば、凄まじい速さで大地を進む“金色の何か”が見て取れた。
『プモォ!』『プモォ?』
やがて“何か”が草原で停止するのを見て、幼獣たちの目は好奇心に輝いた。
初めて見る植物とも動物とも違う、アレはとびきり凄い獣――そう直感したのかもしれない。
だが幼獣たちは知らなかった。彼らの眼にするものが獣ではない、復讐者の乗るサフィーナ・ミウであることを。そして、たとえ幼い命だろうと、ゴンドワナの大自然は平等に牙を剥くことを。
『ニャニャァ……』『ニャストォ……!』
呑気な足取りでサフィーナ・ミウに向かって行く、星海牛の幼獣たち。
それを今、木陰から肉食獣たちの凶暴な視線が狙っていることを、彼らは未だ知らない。
●新宿駅グランドターミナル
「やあ、皆。今回の作戦は、巨獣大陸ゴンドワナの探索だよ!」
復讐者たちをホームに迎え入れ、ジャスミン・モンテイロ(人間の占星航海士・g10808)はそう告げた。
巨獣大陸ゴンドワナで行われている、『喜望峰』への探検行。巨大砂上船『サフィーナ・ミウ』の改良に伴い、大陸最南端を目指して進む旅は今迄より速いペースで進行可能となっている状況だ。
「船の現在地点は、ヨハネスブルグの西方約200km。周囲には草原と川が広がっていて、様々な巨獣が棲息するエリアとなっているようだね」
現地到着後は、周囲の巨獣を追い払って安全を確保。その後、船で一定距離を移動することで作戦は完了となる。
道中で何らかの発見があり、その地域の冒険を希望する場合は、黄金海賊船エルドラードの攻略旅団で提案を行って欲しいとジャスミンは付け加えた。
「ただ、現在ゴンドワナでは『マダガスカル島』の探索が行われている。その次には『喜望峰』の探索が行われることも決定しているから、道中で発見された地域の探索はかなり先になるかもしれない」
目的地である『喜望峰』への到達は、現在、ちょうど折り返しを迎えている状況だ。
サフィーナ・ミウの強化もあって、到達までの必要回数は最低あと4回ほど。今回の作戦が成功に終われば、必要な回数は更に減ることだろう。
「船の周囲にいる脅威を退けて、300km程度の探索を行えば作戦は成功だ。スーパーGPSや飛翔は使えないから、その点だけは注意してね。それじゃ……いってらっしゃい!」
かくしてジャスミンは説明を終えると、時空間移動列車の乗車口を開放する。
行先は、巨獣大陸ゴンドワナ。最終目的地の『喜望峰』に向けて、サフィーナ・ミウは未踏の大地を今日も進む――。
●巨獣大陸ゴンドワナ:サフィーナ・ミウ付近
『プモォ!』『プモモォ~!』
サフィーナ・ミウに程近い草原に、小さな星海牛たちの悲鳴が響く。
そんな彼らに降り注ぐのは、モフモフ毛玉の雨霰であった。
待ち伏せていたニャストドンの奇襲を喰らった星海牛たちは、恐るべき爆裂毛玉を浴びせられている最中なのである。
『ニャニャニャ!』『ニャ~ニャニャニャ!』
毛玉を投げつける爆裂凶獣たちの眼には、隠しようの無い嗜虐の色が滲んでいた。
あの星海牛たちが成長していずれアヴァタール級となれば、トループス級のニャストドンは逆立ちしても叶わない。巨獣という生態系の最も下に位置する猫型巨獣たちにとって、これは日頃の鬱憤を晴らすまたとない機会に違いなかった。
『ニャニャニャ~!』
『『プモモォ~!』』
逃げ惑う星海牛たちに、降り注ぐ爆裂凶獣の毛玉は尚も止まず。
そんな現場に復讐者たちが駆け付けたのは、正にそんな折であった。
リプレイ
月下部・小雪
わわっ、サフィーナ・ミウの近くで巨獣さん同士が争ってます!?
むむむっ、巨獣さん同士でも弱い者いじめはダメ、です。
そ、それに襲われているのは、まだちいさな子モールスカロヴァさんみたい、ですね。
いい大人にゃんこが小さい子供をいじめるなんて許せません!
いじめっこをお仕置き、です!
コダマがもきゅーっとマシンガンパンチを掻い潜って突撃して【ワイファイスパーク】でびりびりのびりびり、です!
にゃん子さんの自慢の毛皮がびりびりの静電気まみれになっちゃって、ください!
ころころ転がるコダマをてしてししてこようとしてもコダマは華麗に避けちゃいますよ。
ふぅ、にゃん子達は撃退、できたでしょうか?
あとは子モールスカロヴァさん達ですが……サフィーナ・ミウはとっても怖い物だって思って逃げてくれるといいですね。
※アドリブ連携大歓迎
イロハ・アプリルシェルツ
※連携&アドリブ歓迎
忙しくてしばらくサフィーナ・ミウに来れなかったけど、性能もアップしてるみたいだから楽しみだね……って何だかこの近くでニャストドンが調子に乗ってモールスカロヴァを虐めてるね。
弱肉強食に支配された野生の掟の下とは言えちょっとアレは無いと思うんだよね。此処はお仕置きさせて貰おうか。
小さな……小さな?モールスカロヴァには毛玉ボンバーや暴力的な尻尾ビンタは脅威だろうけど、練り上げられた技術的な面ではイロハの方が上だと思うんだよね。
迫り来る巨体と言う障害に怯むことなくフットワークを活用して、視界から外れる様に翻弄しながら間合いを詰めて
焦って攻撃して来る尻尾をかわした隙に【ゲオルギウスの聖槍】をニャストドンの尻尾に叩き込むよ。
うん、実際にやってみると弱いもの虐めは良くないってイロハも感じるから気を付けないと。
ニャストドンを追い払った後はモールスカロヴァを何とかしないとなんだけどどうしたものかな。
大きな音とかを出して軽く脅せばサフィーナ・ミウから逃げてくれたりしないかな。
喜望峰に向かう巨大砂上船サフィーナ・ミウ。
そこへ到着した復讐者たちは、現場の異変をすぐに見て取った。砂上船のすぐ傍で、巨獣たちが派手な喧嘩を繰り広げていたのである。
『『プモモォ~!』』
『ニャ~ニャニャニャ!』
悲鳴を上げて怯えるのは、幼い星海牛モールスカロヴァの群れ。そこへ爆裂凶獣ニャストドンの群れが、モフモフ毛玉を浴びせ続けているのだ。
毛玉の攻撃は凄まじく、爆発の衝撃は復讐者たちの元まで伝わって来る。このまま喧嘩が続けば、船にも被害が及びかねない――そう判断した復讐者たちは、急ぎ事態収拾に向けて動き出した。
「わわっ、サフィーナ・ミウの近くで巨獣さん同士が争ってます!?」
目の前の光景に、月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)が目を見張って叫ぶ。
巨獣たちの喧嘩は正に一方的なものだった。ニャストドンが投げつける毛玉に、幼いモールスカロヴァは為す術が無く、反撃も碌に通じていない。
小型巨獣たちの劣勢は、傍目にも一目瞭然。ニャストドンかモールスカロヴァのどちらかを撃退せねば、船の安全確保は困難であるが――この状況を前に、小雪たち復讐者は選択を迷わなかった。
「むむむっ、いい大人にゃんこが、小さい子供を苛めるなんて許せません。巨獣さん同士でも弱い者苛めはダメ、です!」
「うん、弱肉強食が支配する野生の世界とは言え……ちょっとアレは無いよね」
小雪の言葉に頷きを返し、イロハ・アプリルシェルツ(神聖ならざる銀・g05555)は粛々と戦闘準備を進めていった。
二人が撃退目標に選んだのは、ニャストドンの群れであった。戦場の近くにいるであろう成獣のモールスカロヴァが乱入して来れば、砂上船は更なる危険に晒される。それを防ぐ為にも、狙うは速攻での決着だ。
「よし、準備完了。此処は、きっちりお仕置きさせて貰おうか」
「そうしましょう! コダマ、戦闘開始です!」
「もきゅー!」
小雪の掛け声に、モーラット・コミュのコダマが元気よく飛び跳ねる。
かくして支度を完了すると、復讐者たちはニャストドンの群れ目がけて一斉に駆けて行った。
「一気に流れをものにしよう。先攻は任せていいかい、小雪君?」
「勿論、です! いじめっこをお仕置き、しちゃいましょう!」
そうして小雪は先頭に躍り出ると、コダマを連れて速度を上げた。
対するニャストドンたちも、船から駆けて来る小雪たちの存在に気づいたらしい。小型巨獣への攻撃を止め、その狙いを一斉に復讐者へと切り替える。
『ニャニャッ!?』
二本足でミーアキャットよろしく地面に立ち、シャドウボクシングで攻撃態勢に入る爆裂凶獣たち。
そんな彼らが攻撃に移るよりも、小雪たちの動きは迅速だった。『ワイファイスパーク』を発動し、巨獣の群れへと飛び込むコダマ。次の刹那、ニャストドンたちの足下で炸裂するのは、火花を散らす強烈な電撃である。
「コダマ! びりびりのびりびり、です!」
「もきゅきゅー!」
『『ギニャアァァァァァ!!』』
電撃の直撃を浴びたニャストドンたちの絶叫が、草原に響く。
復讐者たちの襲撃によって、爆裂凶獣の憂さ晴らしの時間は早くも終わり。そのまま彼らは、瞬く間に“やられる側”へ追いやられていった。
電撃を浴びたニャストドンが、負けじとコダマに迫る。
怒りと静電気で全身の毛を逆立たせて放つは、マシンガンパンチの猛攻だ。
『ニャストォォ!』
「もきゅー!」
ぶんぶんと振るわれる肉球パンチを、ころころと転がって翻弄するコダマ。猫を翻弄する毛玉の如きその姿は、どうやら他の爆裂凶獣たちの本能をも刺激したらしい。その場に集まる全てのニャストドンが、なかば反射的に次々とコダマめがけ襲い掛かる。肉球を振るう、目にも留まらぬ速さのてしてしラッシュである。
『ニャッ、ニャニャニャ!』
「もっきゅ!」
コダマは捕まらない。
『ミギニャァァァ!』
「もきゅー♪」
コダマは捕まらない。
『ニャムグルルルル!』
「もきゅもきゅー!」
コダマは捕まらない。
どしんどしんと巨体を弾ませ、ニャストドンの意識は完全にコダマに奪われている。
それを小雪は確かめると同時、今こそ仕掛ける好機とばかりイロハに合図を送った。
「イロハさん! チャンス、です!」
「任せて。このまま一気に畳みかけよう」
言うが早いか、イロハは一気に疾駆の速度を上げる。
爆裂凶獣がコダマの陽動にかかった今、間合いを詰めることは容易だ。元より軽いフットワークを誇るイロハは瞬く間に巨獣たちの懐に滑り込むと、『ゲオルギウスの聖槍』を発動。長く立派な尻尾めがけて、揺るがぬ信仰を秘めた拳の一撃を叩きつけた。
「聖なるかな。あなたが創造なさったすべて、地、空、海、あなたの御名を讃美します」
渾身の突きが、ふさふさの尻尾にめり込んだ。
ダメージアップを込めた拳の衝撃が、柔らかい肉を伝わって尻尾の骨にまで達し、一撃を受けた爆裂凶獣の一体が堪らず絶叫しながら戦場から退散していく。
『ニャギャァァァ!!』
「やれやれ、逃げ足は何とも素早いね。……おっと」
すかさず別の爆裂凶獣が放つ暴力的な尻尾ビンタを、イロハは巧みに受け止める。
バシン、と響く激しい衝撃音。モールスカロヴァの子供であれば大打撃であろう一撃も、イロハには大したダメージにはならない。
「練り上げられた技術的な面では、イロハの方が上みたいだね。……さあ、幕引きだよ」
小雪たちの猛攻も手伝って爆裂凶獣は次々と追い払われ、残るはイロハが対峙する1体のみ。
どうやら、無事に早期決着が図れそうだ――そんな確信を胸に抱き、イロハは渾身の拳を更に一閃。ニャストドンの尻尾めがけて、戦いを締め括る一撃を叩き込んだ。
「弱いもの苛めは……これで終わりだ!」
『ブミャアァァァ!!』
驚愕と激痛に絶叫を上げて、最後の1体が堪らず逃げていく。
かくして船の周囲から爆裂凶獣の群れは一掃され、草原には再び平穏が訪れた。
『ブモオォォ~!』
『『プモモォ!』』
成獣のモールスカロヴァが姿を現したのは、それから程なくのことだった。
小型巨獣たちは多少の傷こそ負ったものの、全員が無事だ。安堵と喜びを以て再開を果たすと、モールスカロヴァたちは草原を去って行く。
そうして巨獣の群れが見えなくなると、小雪とイロハはほっと安堵の吐息を洩らした。
「ふぅ、一安心、ですね。にゃん子たちも、これに懲りてほしいもの、です」
「うん、弱いもの虐めは良くない。……気を付けないとね」
小雪に頷きを返しながら、イロハは己が拳をじっと見つめた。
負けない戦いで一方的に弱い相手を蹴散らす――それはある意味で、自分が爆裂凶獣にしたことも同様だと彼女は感じていた。己が身に着けた力を誤って振るわぬようイロハは改めて自身に誓うと、その視線を砂上船へと移す。
「そう言えば、サフィーナ・ミウの性能もアップしてるみたいだね?」
「はい! 新しい船旅はとっても快適、です!」
「もっきゅ!」
イロハの言葉に目を輝かせ、砂上船へ向かう小雪とコダマ。その背を追いながら、イロハは生まれ変わった船を仰ぐ。
改良の際に清掃や整備を併せて行ったことで、船は綺麗な姿を今も保っていた。この船で進む先に、果たしてどんな景色が待っているのか――それが今から、楽しみでならない。
「忙しくてしばらく乗れなかったけど、楽しみだよ。……よし、出発だ」
かくして、サフィーナ・ミウは再び動き出す。
復讐者たちを乗せ、ゴンドワナの南に待つ喜望峰を目指して。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
月下部・小雪
子モールスカロヴァさん達もおかあさん(?)と再会できて帰っていって、くれましたね。
ふぅ、襲い掛かってこなくてよかった、です。
ニャストドンさんもモールスカロヴァさんもいなくなったのでしばらくは安全、です。
いつも通りチェックリストを使って出発前にサフィーナ・ミウの点検をしてあげましょう!
無事にチェックが終わったら、今回のルートを決めちゃいましょうか。
えっと、キンバリー鉱山、ですか?
ダイヤモンドの一大産地で、最終人類史だととっても大きな穴が掘ってあるんですね!
えへへ、コダマも気になり、ますか。はい、ボクもとっても気になってます!
大きな穴はないかもしれませんが、キラキラなダイヤモンドが大好きな巨獣さんとかが集まっているかも、ですね。
目的地が決まったら出発進行、です。
いつも通り周辺の警戒をしつつサフィーナ・ミウを南に進めていきますね。
第三次巨獣大陸調査もあと少し、です。なんとか1月中には喜望峰に到達したい、ですね。
※アドリブ連携大歓迎
イロハ・アプリルシェルツ
※連携&アドリブ歓迎
進路:キンバリー経由喜望峰へ
さて悪い子のニャストドンは去り、モールスカロヴァ達は保護者と合流出来たね。サフィーナ・ミウの点検を終えたら喜望峰への冒険を再開しようか?
現在地点は、ヨハネスブルグの西方約200kmだから喜望峰への途中にあるキンバリーに寄れそうかな。
最終人類史だとダイヤモンド鉱山として有名だからキラキラしたものが好きな巨獣達が生息して居たり、もしかしたら喜望峰に既に到達したバルトロメウ・ディアスの配下によってコンキスタドールの拠点になってるんじゃないか心配なんだよね。
取り敢えずは道中は姿が見える巨獣は刺激しない様にして、出来るだけ距離を取る様にし、近付いて来られたらスピードを出して振り切る様にサフィーナ・ミウを操縦しよう。以前から改修したところも確認して出発進行だね。
おー前よりも出力が上がってるからスピードも段違いだね。前だったら加速するまでの時間がもっと掛かってた気がするし。
ゴンドワナの草原を、再び平穏の空気が包む。
小型巨獣を苛めるニャストドンは撃退され、モールスカロヴァの群れも最早いない。復讐者を乗せたサフィーナ・ミウの喜望峰を目指す旅が、こうして再び始まろうとしていた――。
「ふぅ、最悪の事態が避けられて良かった、です」
船内の操舵室で、月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)はほっと胸を撫で下ろした。
船の進路を映すモニターの画面には、巨獣の去った草原が一面に広がっている。一歩間違えれば成獣モールスカロヴァとの戦いもあり得ただけに、その安堵は一入だ。
「これでしばらくは安全、ですね。船の点検をして、出発しましょう!」
「ああ、そうしよう。喜望峰への冒険再開だね」
小雪から受け取った点検用の用紙に、イロハ・アプリルシェルツ(神聖ならざる銀・g05555)は目を落とす。
そこには、サフィーナ・ミウの航行に関わる各部の状況が、チェックリスト方式で記されていた。出発前の時間を利用して行う為、作業は簡単なものになるが、船内の状況を把握しておいて損は無い。
「船内の改良部分も見てみようかな。……よし、始めよう」
「そうしましょう! 点検開始、です!」
「もっきゅー!」
サフィーナ・ミウの船旅は折り返し地点に達しており、目的地には後4回ほどの移動で到達する見込みだ。残り半分の旅で無用なトラブルに見舞われぬよう、今回のようにメンテナンスは折を見て行っている。小雪が発動したクリーニングを駆使しながら、二人は慣れた動きで船内をチェックしていった。
程なくして――。
「よし、異常なし。じゃあ早速、出発と行こうか」
「そうですね。ま、まずは今回のルートを決めちゃい、ましょう!」
チェック作業を完了したイロハと小雪は操舵室に戻り、手元に最終人類史の地図を広げた。
砂上船の現在地は、ヨハネスブルクの西方約200km地点。そこを中心点に、二人は地図上で半径300kmを半径とした円――今回の作戦で移動可能な範囲を記入していく。喜望峰に向かう南に進路を限定すると、経由ポイントの候補は大きく二つだ。
一つは、前回の作戦で選定したブルームフォンテーン。
そして、そこからやや西側、もう一つの候補ポイントとなる場所をイロハは指差して言う。
「ここ。『キンバリー鉱山』に寄ってみない?」
「えっと、鉱山……ですか?」
「そう。ダイヤモンド鉱山として有名な場所で、採掘用の巨大な穴があるんだ。穴自体は人の手で掘られたものだから、ゴンドワナに有るとは断言出来ないけど……」
仮に鉱山が無くても、ダイヤモンドが取れるとなれば、バルトロメウたちアビスローバー勢力の手が及んでいる恐れもゼロでは無い。今後のエルドラード攻略を進める上でも、出来れば確認しておきたい――キンバリー鉱山を選んだ理由をイロハはそう説明する。
「……という訳なんだけど。どうだい?」
そんな彼女の言葉に、コダマと小雪は笑顔で頷いた。
「もきゅ、もきゅー!」
「えへへ、コダマも気になり、ますか。はい、ボクもとっても気になってます!」
「ありがとう! じゃあ進もう、キンバリー鉱山へ!」
そうして復讐者たちは操舵室の席に着き、操船を開始した。
行先は、キンバリー鉱山。未だ見ぬ地に向けて、サフィーナ・ミウは草原を走り出す。
それからの船旅は、順調に進んでいった。
操縦を担当するのはイロハだ。一方の小雪は警戒を担当し、操舵室のモニターから周囲を油断なく伺っている。船長席に腰を下ろしたコダマともども、怪しい影が見えれば即座に報告を行える状態だ。
「周囲に異常なし、です! そういえばイロハさん、操縦の具合はどうですか?」
「出力が上がってるからか、スピードが段違いだね。楽で助かるよ」
小雪の言葉に、イロハはそう返事を返した。
実際、強化されたサフィーナ・ミウの速度は、それ以前に彼女が操縦した時のそれよりも遥かに良い。
速度の上昇に加え、細かな修繕を行ったことも大きいのだろう。チェックの際に確認した改修箇所は、いずれも丹念な処置が施されており、船は流れるような速度で大地を進んでいく。
「加速するまでの時間も、前より短縮されてる気がするし……いやはや大したものだね」
「えへへ、凄いですよね。巨獣も見えませんし、このまま進んでいき、ましょう!」
船の性能に舌を巻くイロハに、小雪が頷きを返す。
周囲が平地であることも幸いし、警戒はさほど困難ではない。周囲の哨戒を小雪とコダマに任せ、イロハは巨獣を刺激しないよう慎重に船を進めていった。
「キンバリー鉱山か。一体何が待っているんだろうね」
「大きな穴はないかもしれませんが……キラキラなダイヤモンドが大好きな巨獣さんとかが集まっているかも、ですね」
「もきゅー!」
目的地を目指し、旅路は続く。草原を越えて、その先へ。
巨大砂上船は、こうして着々と目的地に向かっていった。
それから更に南下すること暫し、一行はキンバリー鉱山のエリアに到達した。
停止したサフィーナ・ミウを降り、周囲の景色を見澄ますと、イロハと小雪は呟きを洩らす。
「さて。目的地には着いたけど……」
「さ、流石に大きな穴は無いみたい、ですね」
二人の前に広がるのは、一面の荒地となだらかな小山であった。
時折、辺りからは巨獣の雄叫びが聞こえて来るが、危険な巨獣の巣と思しき場所は無い様子だ。アビスローバーの基地も同様で、それらしきクロノヴェーダの影も全く見て取れない。この一帯にバルトロメウらの手が及んでいないことは、一目で見て取れた。
「ふむ。どうやら、彼らは此処まで侵攻出来なかったようだね」
「それが分かっただけでも収穫、です。このまま南を目指して、進みましょう!」
かくしてイロハと小雪は頷きを交わし合い、5度目の探索を終える。
道程の折り返しを過ぎ、喜望峰までは残り約900km。辿り着いた先に復讐者たちを待つものが何なのか――それは直に明らかとなることだろう。
「第三次巨獣大陸調査も後半戦、です。なんとか1月中には喜望峰に到達したい、ですね」
「順調に行けば、あと3回か……うん、頑張って行こう」
辿り着いた先に待つ新たな冒険に胸を躍らせ、小雪とイロハは帰路に就く。
ゴンドワナの南まであと少し。探索の終着点に、復讐者たちは着々と近づいていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【クリーニング】LV1が発生!
【操作会得】LV1が発生!
効果2【リザレクション】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!