リプレイ
黄泉王・唯妃
連携アドリブ歓迎
ロマノフの残党とアルタン・ウルク。そこにコーサノストラですか。
今は少しでも情報が欲しいのでアルタン・ウルク共の足止めに専念するとしましょう。
防寒用に服を着込んで【完全視界】を発動。
ロマノフの残党とアルタンウルクの位置を確認の後、ヴァンパイアノーブルが逃げるルートから外れた場所からパラドクスを発動してアルタン・ウルク共を誘導します。
視界の悪さを利用して【不意打ち】と【捕縛】を重視しながら引き撃ちしながらこちらに引き付けるとします。
距離は常に安全圏を保ちながら当然無理は致しません。
「この視界の悪さを利用すれば何とかなりそうですね。後はコーサノストラがどう動くか、ですね」
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
防寒着を着込み、上からカラフルなコートを身に着ける
方位磁石で方角を確認
ノーブル達は、北極海を海岸沿いに東へ……
アヴァタール級は、コーサノストラの存在を知っているのか、あるいは……
バイザーでアルタン・ウルクの接近を確認し、足止めを行う
通常型、蟲将型の混成軍か。空を飛ぶ個体には気をつけよう
【飛翔】でアルタンの目の前を掠めるように飛び、一部の視線を引き付けよう
高く飛び過ぎず、一度やったらあとは超低空へ、無茶はしない
まずは「こちらから攻撃は仕掛けず」、視界を過ぎって注意を向けさせ
持っているライトを明滅させ、ディアボロスの存在を示す
アルタン・ウルク!と呼び掛け、死角のほか、音や光でも注意を誘う
注意を惹けたら、そのまま、北の海のほうへ飛び去り誘導しよう
上の動きを試しても、スルーされるようなら
地上スレスレに降りて安全確保してから、パラドクスに切り替えてライフルから閃光弾を撃ち込む
反撃は魔力障壁とコートで防ぎ
そのまま敵と認識されたら、北の方へ誘導しよう
攻防は最小限にしておき、攻撃が殺到する前に離脱しよう
●
吹雪がパラドクストレインから降り立ったディアボロスの視界を白く染めていく。
膝までの積雪を踏みしめながら、黄泉王・唯妃(アトラク=ナクアの娘・g01618)は氷点下の風を全身で受け止めていた。
「この視界の悪さ、利用できそうですね」
唯妃の傍らで、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)がカラフルなコートの襟を立てる。
「ああ。だが、まずは自分たちの視角を確保しないとな。俺はアルタン・ウルクを確認する。唯妃さんはヴァンパイアノーブルたちの確認を頼む」
エトヴァはバイザーのモードを切り替えながら、暗視とズーム機能を調整した。
わかりました、という唯妃の声を白い闇の彼方へ押しやるように、遠方で木々を引き裂く音が響いた。闇の中で無数の触手が擦れ合う音が不気味に木霊する。蠢く影――アルタン・ウルクたちは、着実に近づいてきているようだ。
「見つけたぞ。蟲将型と通常型の混成……データ通りだな」
唯妃はエトヴァに頷き返すと、完全視界を発動した。吹雪を透かすように、ヴァンパイアノーブルたちの位置を確認する。
アヴァタール級『イゴール・シコルスキー』を含む3名の逃走者が、東方へと向かっていた。
「こちらも発見しました。北極海を海岸沿いに東へ向かっているようです。距離は――」
どうやら二人は、敗走するヴァンパイアノーブルたちとそれを追うアルタン・ウルクたちのちょうど間にいるようだ。
「よし、アルタン・ウルク軍の足止めを始めよう」
エトヴァは方位磁石で確認した方角を示しながら言う。
「まず俺が低空を飛んでやつらの目の前を掠め、ひきつける」
「承知しました。ヴァンパイアノーブルが逃げるルートから外れた場所に待機。エトヴァさんが引きつけてきたアルタン・ウルクを不意打して、さらに彼らの気をひきます」
「安全第一だ」
「互いに無理はしないようにしましょう」
唯妃の移動を待ち、エトヴァは超低空を滑るように飛んだ。
吹雪を通して見える敵の動きは、まるで氷の結晶の向こう側で蠢く影のようだ。時折、アルタン・ウルクの赤い瞳が闇を貫くように輝いた。
進軍するアルタン・ウルクたちの前をわざと横切るように飛んで、視界を掠める。
「アルタン・ウルク!」
エトヴァの呼びかけに、先行する蟲将型の群れが反応を示す。
――ギチチチチッ。
「ついてこい!」
何本もの触手が一斉に空を指し、節くれ立った体が雪煙を巻き上げながら動き出す。その背後では通常型のアルタン・ウルクも、獲物を見つけた野獣のように低く不気味な唸りを上げながら追従を始めた。
だが、雪の中を進む彼らの動きは飛んでいるエトヴァには及ばない。吹雪の中で徐々に両者の距離は開いていき、やがて混成軍は立ち止まってしまった。まるで本来の目的を思い出したかのように、東方へと視線を向け直す。
エトヴァは手にしていたライトを明滅させて、意図的にディアボロスの存在を思い出せてやった。
再び無数の赤い目がエトヴァに向けられる。
……シュゴォォォ……シュゴォォォ……
アルタン・ウルクの唸り声が響く中、吹雪の闇を貫いて銀に光るクモの糸が、まっすぐ一体の蟲将型の首へ伸びていく。糸は一瞬で獲物の体躯を捉え、螺旋を描くように幾重にも絡み付いていった。
白銀の世界で一条の光が閃く。
唯妃の手首が舞うように動き、それに応えて糸が引き締まる。捕らえられた蟲将は雪煙を巻き上げながら、まるでバレリーナのように回転しつつ雪の上に倒れ込んだ。
「さて、どうしますか?」
唯妃は闇に通じる涼やかな声でいい、更に糸を引き絞る。
引き倒された蟲将の周囲では、他のアルタン・ウルクたちが不気味な音を立てながら、獰猛な殺意を放つ。
吹雪に紛れた攻撃は、アルタン・ウルク軍の隊列を乱すのに効果的だった。唯妃は常に安全圏を保ちながら、巧みに引き撃ちを繰り返し、注意を引きつける。
エトヴァも北の海へと誘導するように、閃光弾を放ちながら低空飛行を続けた。アルタン・ウルクからの攻撃は、魔力障壁とコートで防ぐ。
永き夜の闇の中、二人の遅滞戦術は着実に効果を上げていく。アルタン・ウルクの進軍速度は明らかに低下し、ヴァンパイアノーブルとの距離は開いていった。
やがてアルタン・ウルクの大群は、コーサノストラの領域に近づくことを躊躇い始めたかのように歩みを止めた。
「これだけ引き離せば大丈夫だ。しかし――」
エトヴァは、不意に止まったアルタン・ウルクたちのことが気になった。
(アヴァタール級は、コーサノストラの存在を知っているのか、あるいは……)
「はい、時間は稼げました。情報は……得られそうですね。後はコーサノストラがどう動くか、です」
唯妃の目が、確実にコーサノストラの領域へと向かいつつあるヴァンパイアノーブルたちの方へ向けられる。
二人の作戦は、見事に成功を収めた。
「アルタン・ウルクに見つからないように、急いでヴァンパイアノーブルたちを追いかけるぞ」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【完全視界】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
引き続き、防寒着を着て寒さ対策し、吹雪と暗さにはバイザーと完全視界で視野を確保する
アルタン・ウルクへの時間稼ぎは上手くいったようだ
今のうちに追いつこう
ロマノフから漂着した先がアルタン・ウルクとは
地理上は妥当な位置なんだけども……あれに追われてはな
残り2体なのか……確実に仕留めさせてもらう
【平穏結界】を展開し、吸血戦車兵を追跡し接近
バイザーの視認距離に入ったら、PD攻撃
なるべく先手を取れるよう仕掛けよう
早撃ちで確実に撃ち貫こう
仲間と連携し、敵の隙を作りあうように
反撃の砲弾は、タワーシールドで直撃を防ぎつつ、防弾コートで身を護り
意志でもって影響を打ち破る
従属のエネルギーもへなちょこになったものだ
逃げ回るだけの寡兵に従属する趣味はないな
さて、コーサノストラの出方を伺いに行くのかい?
鬼が出るかUFOが出るか……って所だ
フルルズン・イスルーン
ふはは! トループス級抹殺の使徒である!
いや恨みどころかむしろ可哀想って目で見てるんだけどね。
あんまり検体渡してもなーという気持ちなのだ。
ファブリケイト・ゴーレムくん。吸血鬼は溶かして抹消だ。
ということで防寒着で寒さに備えつつ、逃げるトループスの吸血戦車兵へ架空元素粒子投射!
【泥濘の地】も込みで戦車は泥に埋めるもの。君たちが飛べても戦車は飛べるかな? 飛べるならボクのゴーレムくんも飛ばしたい……!
ともあれ、因子の一欠片も消しつくしてくれるわー!
まあ戦闘中に一応声かけもかな。
諸君! キミたちはアルタン・ウルクから逃げる時に何かしらの勝算があってこちらに来たらしいが、それはなにかな!
ちなみにボクから見たキミたちは、猟犬に追われて猟師の目の前に追い立てられてる鹿に見えるね!
アルタン・ウルクの挙動も案の定だし、たぶんキミたちとアルタン・ウルクに送られてる声の通信主は同一存在だと思ってるよ!
種が割れたらキミたちはむしろボク達に感謝するだろうね。
ロマノフ消し去った仇が何をって? 親切心だよこれでも。
●
アルタン・ウルクの大群から十分な距離を取った二人は、敗走するヴァンパイアノーブルたちを追跡し始めた。吹雪が視界を遮る中、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は低空飛行で前進する。
途中でフルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)と合流を果たす。フルルズンは防寒着の襟を正しながら、雪原を軽やかに駆けてきた。
「やあ、ボクも残党狩りに参加していいかな?」
「もちろんだ」
エトヴァとフルルズンは完全視界を駆使し、吹雪の向こうを進む目標を捉える。
「見えたぞ。あの後ろ姿は……吸血戦車兵だな。残り二体か」
エトヴァは青い瞳を細め、バイザーの焦点を合わせる。赤い装甲に覆われた二体の吸血戦車が、雪煙を巻き上げながら疾走していた。
「ふはは! トループス級抹殺の使徒の出番だね!」
フルルズンは両手を前に出し、腕に刻まれた術式を露わにして言った。
「ところで、この吹雪なら戦車部隊も視界は制限されているはずだよ。ここはひとつ、泥濘作戦はどうかな?」
エトヴァと唯妃は提案に頷く。互いの戦術を熟知している戦友だからこそ、次の一手が読める。
「共闘か。いいだろう」
「私も異存ありません。彼らと先を行くのアヴァタール級の前に割り込んで気を惹きましょう」
「すぐに俺が平穏な場を作り、吸血戦車の機動力を落とす。その間にフルルズンさんが――」
「ゴーレムくんを召喚して、架空元素の海に浸からせる!」
アルタン・ウルクに検体を渡すのは得策ではない。謎多きディヴィジョン・コーサノストラの情報を得るために逃すのは、最低限の数にしたいところだ。残りは跡形もなく消す。
戦略を確認し合った三人は、それぞれの持ち場へと移動を始める。エトヴァはバイザーを射撃モードへと切り替えながら、吸血戦車兵の動きを注視し続けた。
作戦通り、まずは唯妃がアヴァタール級と吸血戦車兵たちの間に割り込んだ。
「な?!」
突如現れたディアボロスにギョッとして、吸血戦車兵が顔をあげる。
そこでフルルズンが後ろから声をかけた。
「諸君! キミたちはアルタン・ウルクから逃げる時に何かしらの勝算があってこちらに来たらしいが、それはなにかな!」
吸血戦車兵たちは素早く反転すると、応答の代わりに砲身をフルルズンに向けた。
だが、すでにフルルズンは照準の先にいない。
「まずはアヴァタール級と完全に引き離す」
エトヴァは静かに呟くと、平穏結界を展開した。吸血戦車兵たちの周囲に吹雪きの帯が輪を描くように広がり、二体の吸血戦車を閉じ込める。
ほぼ同時に、フルルズンが両腕の術式を輝かせた。召喚されたゴーレムが掌を向け、大地に向かって架空元素の粒子を放つ。
雪原がみるみるうちに泥濘へと変化していった。
これで足止め完了だ。
「ちなみにボクから見たキミたちは、猟犬に追われて猟師の目の前へ追い立てられる鹿に見えるね!」
泥に足を取られた吸血戦車は、思うように動けない。だが、一体が履帯を空転させつつ、砲身から赤い光をエトヴァに向けて放った。
エトヴァは防弾コートをはためかせ、迫り来る砲弾に対してタワーシールドを前方に構える。
砲弾はシールドの中央に直撃し、轟音とともに炸裂。
すぐに赤い霧が漂い始め、意識が僅かに揺らいだ。
――が、それだけだ。
「ふっ、従属のエネルギーもへなちょこになったものだ」
エトヴァは意志の力でその影響を打ち払うと、すぐさま反撃に移った。銃を抜く動作すら見せず、青白い光が閃く。
祈りを込めた一発が、右側の吸血戦車の砲塔を貫いた。撃ち抜かれた吸血戦車が完全に停止する。
機を見計らったように、フルルズンが両腕を前方に突き出し、術式を発動。召喚されたゴーレムが掌から架空元素の粒子を放ち、停止した吸血戦車へと降り注ぐ。
吸血戦車の装甲が粒子に触れ、まるで砂時計の砂のように崩れ落ちていった。赤い装甲も、中の機構も、すべてが分解されて泥濘の中へと沈む。
「アルタン・ウルクの挙動も案の定だし、たぶんキミたちとアルタン・ウルクに送られてる声の通信主は同一存在だと思ってるよ!」
フルルズンは溶解していく吸血戦車を満足げに眺めながら、残る一体に向かって声を投げかけた。
それを聞いて、残された吸血戦車が激しく反応する。
「だ、黙れ。貴様らが何を知っているというのだ!」
砲身から発射された砲弾が、轟音とともに大地を抉る。
エトヴァとフルルズンは軽やかに攻撃を回避した。
吸血戦車兵は悲しみを秘めた瞳で凍土に消えた仲間の痕跡をちらりと見る。
――と、突如として針路を変えた。アヴァタール級が待っているであろう方向へと、結界をつき破って全速力で逃走を始める。
逃走する吸血戦車を追い、倒すのは簡単だったが、三人は敢えてその場に留まった。
「さて、コーサノストラの出方を伺いに行くのかい?」
「鬼が出るかUFOが出るか……って所だな」
エトヴァは青い髪を風になびかせながら、遠ざかる吸血戦車の背を見送った。その向こうにはアヴァタール級『イゴール・シコルスキー』の影も見え隠れしている。
吹雪は次第に強さを増し、吸血戦車の姿を白い闇の中に飲み込んでいった。
善戦🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【平穏結界】LV1が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV2が発生!
黄泉王・唯妃
アドリブ&連携歓迎
アルタン・ウルクの足止めはうまくいきましたね。
これならロマノフの生き残りもうまく逃げ切れることでしょう。
とはいえコーサノストラに逃げたところで少しばかり寿命が延びた程度にはなるでしょうが。
あとはヴァンパイアノーブル達の動きですが【完全視界】で視野の確保、あとはなるべく会話の内容も聞きたいので【光学迷彩】でなるべく近づいて様子見するとしましょう。
とはいえ深追いは厳禁ですので相手に気付かれないように細心の注意を計ります。
「さて、鬼が出るか蛇が出るか。どんな面白い話が聞けるか楽しみですね」
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
可能ならトループス殲滅後に行動
おそらく、この度も、コーサノストラのUFOが出現して、アヴァタール級を連れ去るのではないか
乗員が降りてこないなら、どうしたものか……
彼らの衣服まで吸い上げられるところをみると、発信機とか投げ込んだらどうなんだろう……とか思うけど
周りの小石や岩石の破片まで吸い上げていたりするかは見ておくか
境界をどこかから、超えてきていることになるんだよな
それが特定の境界なのか
ダッチマン号のような境界を渡りやすい能力なのか
謎は尽きないけれど……
やることは、平穏結界を展開し、あちらの様子を観察し……情報収集
距離を置いて、小型カメラと望遠鏡を仕込み、記録と観察をする
観察をし終えるか、こちらに気づかれるなどしたら
折をみて撤退しよう
●
凍てつく吹雪が収まり、視界が開けた雪原に辿り着いたイゴール・シコルスキーは、周囲を警戒するように首を巡らせた。赤い瞳が不安げに空を見上げ、やがて地平線の果てまで視線を巡らせる。手にした時計を確認し、何度も何度も空を見上げた。
あとを追ってきた吸血戦車も、装甲に付着した雪を振り払いながら、シコルスキーの傍らで停止する。
「ここで、間違いありませんか?」
吸血戦車兵が確認を求めると、イゴール・シコルスキーは無言で頷いた。
遠くからその様子を窺っていた黄泉王・唯妃(アトラク=ナクアの娘・g01618)は、光学迷彩に身を隠しながら、慎重に距離を詰めていく。
「確かに、何かを待っているようですね」
薄く囁くような呟きに、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)はただ頷く。
「見つからないように平穏結界を展開して、万が一の備えは万全にしておこう」
エトヴァは体を低くして雪に隠れ、細心の注意を払いながらヴァンパイアノーブルたちを観察する。
「完全視界があるとはいえ、吹雪が収まってよかったですわ」
そうだね、とフルルズンが返す。
三人の会話が途切れた瞬間、異変が始まった。
最初は、一片の雲が現れた。それは見る見るうちに広がり、やがて白い霧となって周囲を包み込んでいく。霧は渦を巻きながら、まるで生き物のように蠢いていた。
「お出ましのようだな」
エトヴァの呟きが、緊張に満ちた空気を切り裂く。
霧の中から、突如としてサーチライトのような光が凍土に降り注いだ。光は次第に強さを増し、やがて巨大な円盤の形を成して、ヴァンパイアノーブルたちの頭上に姿を現す。
UFO。
コーサノストラの謎めいた存在が、ついに姿を見せたのだ。
●
光に照らされた雪原が、幻想的な輝きを放つ。
「すごい……」
唯妃の声が震える。
域を潜めて潜むディアボロスたちの目の前で、シコルスキーは片手で吸血戦車兵の肩をとんとんと叩いた。
「よくぞ、ここまでついて来てくれた」
「当然です。司令官様とここまでご一緒できたのは、光栄の極みです」
吸血戦車兵が腕をシコルスキーの背中に回し、旧友のように抱擁を交わす。
「共に戦い、共に敗走し、そして共に……」
シコルスキーの言葉が途切れた。
UFOはゆっくりと高度を下げ、イゴール・シコルスキーと吸血戦車兵の数百メートル上で停止する。 その瞬間、天から青白い光の柱が降り注いだ。まるで月光を集めたような神々しい輝きが、シコルスキーと吸血戦車兵を包み込む。
光は次第に強さを増し、やがて巨大な円盤の真下に立つ二人を完全に覆い尽くした。光の中で二人の影が揺らめき、現実とも幻想ともつかない光景が広がっていく。
「さて、鬼が出るか蛇が出るか。どんな面白い話が聞けるか楽しみですね」
シコルスキーは体が地面から浮かび始めると、驚きに目を見開いた。
しかし、その表情はすぐに静かな笑みへと変わる。
「これは……なんという感覚だ」
吸血戦車兵も装甲ごと宙に浮かび、ゆっくりと回転しながら上昇していく。
「私たちは助かったのですね、司令官殿」
「ああ! しかし、これほど美しい光に包まれるとは」
シコルスキーは腕を広げ、まるで光を抱きしめるかのようにして昇っていく。吸血戦車兵の装甲からは小さな笑い声が漏れ、それは次第に大きくなっていった。
「ふふ……はははは!」
「私たちには、まだ使命があったのだ!」
二人の姿が青白い光の中へと溶けていく直前、シコルスキーの口元には確かな希望の微笑みが浮かんでいた。
フルルズンは青い瞳の隅に皮肉な光を宿し、ははっ、と短く笑った。
「キミたち、お母さんが迎えに来てくれて良かったね! 優しいお母さんならいいんだけど」
皮肉を言って軽やかに肩をすくめる。
「それより、UFOからの呼びかけが一切ないのが不思議ですわ」
唯妃は首を傾げながら、ヴァンパイアノーブルたちが吸い上げられた先を見上げる。
「説明は、中に入ってからなのでしょうか?」
エトヴァは小型カメラを構えながら、現象を克明に記録している。
「そのようだな。そしてもうひとつわかったことがある。岩石や周辺の破片は吸い上げていない。対象を選別して回収しているのだろう」
「あの飛行体はどこからきているのでしょうか?」
唯妃の問いかけに、エトヴァは首を傾げた。
「境界をどこかから、超えてきていることになるんだよな。ダッチマン号のように 。ただ、あの出現の仕方から特定するのは難しそうだ」
ヴァンパイアノーブルたちがUFOの中に消えると、続いて地上まで伸びていた青白い光も消えた。巨大な円盤が再び霧の中へと溶けていく。渦を巻いていた霧も、まるで来た時と同じように、ゆっくりと消えていった。
「だが、これだけでも情報が得られたのは大きいな」
●
「撤退しましょう。アルタン・ウルクが近づいてきています」
唯妃の警告に、エトヴァは記録を終えて機材を片付けた。
「ああ、これ以上の長居は無用だな。帰ろう」
三人は光学迷彩を確認しながら、慎重に後退を始める。背後では、次第にアルタン・ウルクの足音が近づいていた。
空には、先ほどまでそこにあった異様な光景が嘘のように、穏やかな夜空が広がっている。ただ、三人の脳裏には、あの幻想的な光景が深く刻み込まれていた。
コーサノストラの謎は、まだまだ深まるばかり。だが、今夜の観察で得られた情報は、必ずや今後の糸口となるはずだ。そう確信しながら、ディアボロスたちは静かに夜の闇に紛れ、パラドクストレインへ向かった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
【防衛ライン】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!