リプレイ
月鏡・サヨコ
戴冠の戦に向けて、第三のイレギュラーを擁する陣営が動き出したか……
今回の調査では苫小牧行きを提案する
本来の苫小牧港の整備は戦後の話
しかし暗黒世界蝦夷共和国なら存在しても何らおかしくない
ワイズガイを迎え、改竄世界史においても国際港となる可能性すらあるな
【水中適応】を借りつつ【完全視界】を共有
暗い海中でも十分な視野を保てる状態で潜行し、目的地の方面へと密かに移動する
遠方を見たい時は短時間海上に顔を出して双眼鏡を使い、敵らしき姿を発見出来たらそちらに向かおう
単に敵を目視するのみならず、≪試製型攻性電探≫のレーダー反応や海上に残る航跡にも注意
予知された冥海機とワイズガイの脚部形状は独特だから、航跡にもそれが出るように思える
ワイズガイの能力は全くの未知
移動しながら罠や探知装置を撒いていたり、特殊な知覚能力を備えている可能性も否定できない
海中に不自然な物体を見つけたらハンドサイン等ですぐ仲間に伝え、迂闊に接近しないように
杞憂に終わるにしても、細心の注意を払って敵群を視界に収める位置まで接近を試みよう
荒田・誠司
アドリブなど歓迎
【心情】
さて、蝦夷に現れたと聞いたが何を考えているのか
もしかしたら釣られているのは俺たちだったりしてな
同じ機械を使うものとしてシンパシーでも感じたとかだったら笑えるんだがな
【行動】
仲間とは予めハンドサインを決めて言葉にしなくても簡単に情報交換できるように努める
水中適応を使い行動
水中では見えにくい色を表面に塗った盾のフェイク・プリドゥエンを背負って攻撃に備えつつ隠れられるようにしておく
完全視界を借りて周囲の敵影を探る
相手がどんな方法で来るか分からないから
潜って異様な物体がないか探す
仲間が海上を見てくれるなら海中を主に見ておこう
水中の方が音とか伝わりやすいから視覚だけじゃなくても聴覚も使い索敵する
何かあればハンドサインで簡単に情報を交換
必要なら臨機応変に対処する
『みなと』を発つと、辺りには一面の海が広がっていた。
冥海機ヤ・ウマト、蝦夷共和国の港湾都市近海。その一つである苫小牧エリアを目指して復讐者たちは進んでいく。共和国との接続海域に現れる冥海機勢力を、確実に叩き潰す為に――。
「こちら荒田。呼吸の具合はどうだ?」
凍えるように冷たい海中で、水中適応を発動した荒田・誠司(雑草・g00115)の声が届く。
目標地点の苫小牧海域はすでに目の前だ。警戒活動は海面下で行うという今回の方針に沿って、彼は活動に必須と言える残留効果を準備して臨んでいる。そんな彼に月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)は「良好だ」と返事を返し、完全視界を駆使しながら薄暗い海中を進んでいく。
「現地ではハンドサインを連絡に使おう。敵に気取られる要素は、極力排除したい」
「了解した。今回の作戦は、何やら妙な敵もいるようだしな」
「ああ。戴冠の戦に向けて、第三のイレギュラーを擁する陣営が動き出したか……」
誠司の言葉に頷きを返すサヨコの表情が、ふいに険しさを増した。
謎多きクロノヴェーダ種族ワイズガイ――北米ディヴィジョン『空想科学コーサノストラ』より現れた彼らが、如何なる目的で冥海機と行動しているのか、その理由は現時点では判明していない。明らかなのは、彼らが最終人類史と復讐者の敵であり、今も各地で暗躍を続けているという事実だ。
「来る以上は戦うだけだ、きっちり撃破してやろう。……さて、そろそろだな」
やがて苫小牧の海域に到達したことを確認した誠司は、海水の冷気を払うように、己が心に闘志の火を灯しながら言う。コーサノストラの目的が一体何なのか、それは今後の戦いで明らかになって行くだろう。状況次第では自分たちの作戦も、その一端を担うことになる筈――そう考えながら。
(「敵が見えたらハンドサインで合図を送る。それでいいか、月鏡?」)
(「問題ない。私は海面を重点的に警戒する、海中は頼んで良いか」)
(「上と下で手分けした方が効率的だしな。いいとも、引き受けた」)
現地到着と同時、行動の方針を共有した二人は、粛々と作戦に着手していった。
いち早い敵の発見は戦闘の有利不利に直結するため、けして疎かには出来ない。周囲四方に広がる殺風景な海――そこを舞台に、復讐者の警戒活動が幕を開ける。
(「苫小牧か……ヤ・ウマト側から見れば只の海だが、蝦夷共和国側は果たしてどうなっているのだろう」)
サヨコは海面を重点警戒しながら、時折海上にも浮上し、双眼鏡で遠方の確認を行っていた。
海面にも水平線にも、敵影は未だ確認できない。『試製型攻性電探』も怪しい反応は特に示しておらず、敵勢力が此処に現れる気配は感じ取れない状況だ。
今回警戒エリアに選ばれた苫小牧が、蝦夷共和国側でどのような状況にあるかは未だ不明。とはいえ札幌からも近い場所だけに、軽視は出来ないとサヨコは考えている。冥海機勢力の動きにコーサノストラが噛んでいると分かった今、その想いは猶更強い。
(「本来の苫小牧港の整備は戦後の話だが……ワイズガイを迎え、国際港となる可能性も否定は出来ない」)
再び海中へと潜り、凪を保つ海面を凝視しながら、サヨコは思考を深める。
数あるクロノヴェーダの中でも非常に閉鎖的な性質を有すると目される蝦夷共和国だが、状況次第ではコーサノストラと手を組む事態も起こり得ると彼女は考えていた。近隣の天正大戦国では伊達政宗という例もあるだけに、用心するに越したことはない。
(「ワイズガイの能力は全くの未知。罠や探知装置を撒かれていれば、少々厄介なことになるが……」)
今は只、出来る最善を尽くすのみ。そう思いを新たに、サヨコは再び警戒に意識を集中していった。
最終人類史では北海道苫小牧に該当する、ヤ・ウマトの海域。
四方に海だけが広がるエリアで、復讐者たちの作戦は尚も続く。周囲に敵影や境界の霧らしきものは見えず、僅かな波音を除けば周囲を包むのは完全な静寂だ。そうして時間だけがじりじりと過ぎ行く中、誠司は五感を研ぎ澄ましながら、海中で警戒を続行していた。
(「ふむ。敵影は未だ見えず、か……」)
ハンドサインによる相互連絡を欠かさず行いながら、誠司は海中で眉を寄せる。
どこかに怪しい物体の一つもあるかと想い周囲を見回しても、一面には代わり映えのしない景色ばかりが続く。万が一の接敵に備え、海中に溶け込む迷彩塗装を施した大盾『フェイク・プリドゥエン』に身を隠しながら、彼はふと敵勢力の意図に思いを巡らせた。
(「蝦夷に現れた冥海機とワイズガイか……いったい何を考えているやら」)
冥海機を除く二勢力は未だ情報が不足しているだけに、どこまでいっても推論の域を出ないのがもどかしい。
新たな攻略先にコーサノストラが選ばれた今、せめてワイズガイの情報がもう少し分かればいいのだが――そんなことを彼が考えていた、正にその時であった。
(「……海面に複数の航跡が見える。恐らくは、冥海機の一団だ」)
(「おっと、お出ましか。……釣られているのが、俺たちでないといいんだがな」)
サヨコのハンドサインに合図を返し、誠司は海面付近へと向かって行く。己が脳裏に生じた疑念が杞憂に終わることを、今ばかりは願うばかりだった。
1分と要さずに合流を果たし、サヨコが指さしたのは南の方角だった。
そこに映るのは、海面を切り裂くように描かれる無数の航跡だ。幾本もの飛行機雲めいて真っ直ぐに走るそれは、冥海機『シャークマッシャー』の群れが移動中であることを意味している。
(「後方に、ワイズガイらしき航跡も微かに見えた。護衛の冥海機を前衛にして移動しているようだ」)
(「海中に敵らしき姿は見えんし、どうやら間違いなさそうだな。……よし、仕掛けるか!」)
かくして警戒を成功に導いた二人は、頷きを交わし合うと次なる行動を開始した。
苫小牧の海域に現れた、ワイズガイが率いる冥海機部隊。彼らを襲撃し、確実に撃破する為に――。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【完全視界】LV1が発生!
【水中適応】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
九重・古安
侵攻してきたワイズガイに追われているという雰囲気ではなさそうだな。冥海機が先導する陣形、明確に部隊として行動をとっていると見るべきか。
境界の霧が発生していない以上、ヤ・ウマトから蝦夷共和国へのアクセスはできないはずだが……とはいえ両者とも物見遊山で出てきたわけでもあるまい。目的はどうあれここで仕留めるまでだ。
奇襲の利を生かすなら初手こそ肝要。 連中の探し物が何かは追々探るとして、水中に戦力を置いていないのは好都合。
【水中適応】で水面下に潜み、ハンドサインでの合図で他の味方とタイミングを合わせて一気に仕掛ける。
敵の動揺を誘う狙いも込めて、海中からの『衝打の繋装』で派手に打ち上げてやろう。
ワイズガイ相手の情報収集を優位に進めるためにも取り巻きは容赦なく速攻で排除だ。
敵情を探る手がかりとしてトループス級がこちらの襲撃にどう反応するのかよく見ておこう。
ワイズガイを戦力として当てにしているか、或いは護衛対象として見ているか。
まぁ、結局のところ両方倒すことには変わりないがな。
荒田・誠司
アドリブなど歓迎
【心情】
こんなところで何をしていたか聞きたいところだがまずは護衛を倒しておこうか
これから簡単に逃げられるとは思わないことだ!
【行動】
仲間とは声を掛け合い積極的に連携していく
引き続き水中適応を使用して行動
使用できる残留効果は全て使用
まずはパラドクスを発動させて電光警棒の電流制限を解除する
鞭状になった電撃を出すと同時に通信障害を使い敵同士の連絡を遮断する
鞭状になった電撃は決まった長さの範囲内であれば軌道を好きに操作できる
複数体の敵にも対処できるはずだ
敵からの攻撃は盾のフェイク・プリドゥエンで受けて防ぐ
消耗を防ぐために攻撃の瞬間に逆らわないように跳んで威力を殺す
必要なら臨機応変に対処する
月鏡・サヨコ
ここで敵部隊が発見される辺り……暗黒世界蝦夷共和国の苫小牧は、実際に明治初期の時点で本来の歴史と異なる発展を遂げているのかもしれない
しかし、境界の霧が見えていない現状では実態が把握できない
ワイズガイに尋ねるべきか、敵側の思惑を警戒して黙っているか……
……冥海機を殲滅次第、決断しなければならないな
【水中適応】状態のまま、【完全視界】で鮮明に視認できる海上の敵集団に向けて一斉攻撃で奇襲をかける
『絶海砲戦』を発動し、≪巡洋戦艦海戦装『黒姫』≫から次々と徹甲弾を放つ
重厚な筋肉を装甲として纏う敵の体も、最適な狙いで一方的に先制攻撃できる今なら然程の問題にはならない
乱戦になる前に敵の数を減らし、陣容を切り崩してしまおう
敵の拳が動くのを見たら咄嗟に海戦装を傾け、≪海戦装用増設防盾≫でアッパーを防ぐ
その後は浮上して【水面走行】状態に移行し、敵を正面に捉えたまま後退して距離を維持し続け、殲滅を果たすまで砲撃を続けよう
貴様が空想科学コーサノストラから来訪したワイズガイか
極道者と海軍が癒着するなど、世も末だな
冥海機ヤ・ウマト、苫小牧の海域にて。
蝦夷共和国ディヴィジョンでは主要港の存在するであろう一帯に出現した敵部隊へ、復讐者たちは襲撃を開始した。目的はトループス級『シャークマッシャー』の撃破、即ち指揮官の護衛の排除である――。
「ふむ。冥海機の連中……侵攻して来たワイズガイに追われている、という雰囲気ではなさそうだな」
シャークマッシャーの一団を海中から仰ぎ見て、九重・古安(巻き戻り路逸れる針・g02347)はそう呟いた。
一見する限り、敵の挙動におかしな様子は見て取れない。指揮官を護衛する形で海上を移動し、明確に部隊として行動をとっている――その事実からも、両者が敵対関係にある可能性は低そうだ。となれば必然、彼らがこの海域に出現したのは何らかの意図があると見るべきだろう。
「境界の霧が発生していない以上、蝦夷共和国へのアクセスはできないはずだが……まあ、考えていても結論は出んか」
過去における接触を振り返っても、ワイズガイが油断ならない連中であることは明白だ。物見遊山で出てきた筈も無し、そこには確実にクロノヴェーダ勢力の陰謀が関わっている。である以上、古安がここで為すべきことは彼らの撃破をおいて存在しない。
「しかし、蝦夷共和国の様子が分からないのはもどかしいな。多少なりと手掛かりがあれば良かったんだが……」
「ああ。ここで敵部隊が発見される辺り……“向こう側”は実際に明治初期の時点で本来の歴史と異なる発展を遂げているのかもしれない」
攻撃準備を整えながら、口惜しさに歯噛みするのは荒田・誠司(雑草・g00115)。そんな彼に月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)は頷きを返すと、今後の動きに思考を巡らせ始めた。
境界の霧が見えていない現状、苫小牧の実態を把握することは事実上不可能だ。その情報を集める手段として、敵指揮官である『クイックスター』に尋ねるのも選択肢の一つではあるが――彼が油断ならない未知の敵勢力であることを考えれば易々と決断はできない。
「ワイズガイに尋ねるべきか、敵側の思惑を警戒して黙っているか……冥海機を殲滅次第、決断しなければならないな」
「ああ。まずはお邪魔虫どもを確実に排除、ってな!」
会話で情報を得るにせよ、得ずに指揮官を撃破するにせよ、護衛の冥海機たちは無視できない障害だ。
となれば、望ましいのは最優先の排除。
かくして誠司は仲間たちと合図を交わし合うと、敵部隊に奇襲を仕掛けるべく攻撃を開始していった。
誠司、サヨコ、古安。戦闘準備を完了した三人の復讐者たちが、海上のシャークマッシャーめがけ一斉に牙を剥く。
最初に仕掛けたのは古安であった。得物の鉄槌『フルスィンガー』をブンと振り被ると、彼は『衝打の繋装』を発動。敵集団の先頭を狙いすまし、海中から渾身の一撃を放つ。
「さあ、派手に打ち上げてやろう!」
同時、伸縮自在の鎖を生成した古安は、接続した鉄槌を砲丸投げめいて投擲。鉄槌に内蔵された火薬の炸裂で更なる威力を帯びた一撃は、まさに実物の砲弾さながら海中より発射され、先頭を進む敵を紙屑のように粉砕した。奇襲によって得た好機と、命中アップを帯びて繰り出す古安の必殺技――それを絶え凌げるトループスなど絶無である。
『ぐわぁっ
!』『!? て、敵襲だ! 海中に潜んでいるぞ!』
「ご名答だ。今さら足掻いても、もう遅いがな!」
其処へ続くように誠司が得物である『電光警棒』の電流制限を解除すると、海中に生じた鞭状の電光が大蛇さながら敵陣を薙ぎ払う。併せて発動した通信障害の効果は、万一に備えた連絡遮断用の保険だ。肉声を用いた会話などは遮断できないものの、敵の指揮官は未だ謎多きワイズガイである。用心するに越したことは無いだろう。
「よし、いい具合だ。このまま一気に片付けるぞ!」
「情報収集を優位に進める為にも……だな。取り巻きは容赦なく速攻で排除だ」
敵が慌てて繰り出す反撃のアッパーにも怯むことなく、猛攻を浴びせ続ける誠司と古安。
そこへサヨコは更なる追撃を掛けるように、巡洋戦艦海戦装『黒姫』から徹甲弾を連射していく。先制攻撃で狙い定めて放つその威力は、トループス級たちを撃破するのに十分すぎるほどだ。断続的に木霊する轟音と共に、シャークマッシャーの群れは瞬く間に排除されていった。
かくして奇襲が成功すれば、復讐者たちの猛攻は留まるところを知らなかった。
一方、ようやく態勢を整えたシャークマッシャーたちは、その立派な体躯を武器に抗戦を続けるが、乱戦に持ち込む前に頭数を減らされたことは余りに大きなハンデである。誠司が発動したグロリアスの効果も相まって、復讐者たちは未だ深刻なダメージを負っていない。
「流れは理想的だ。このまま陣容を切り崩してしまおう」
「ああ、心得た。電流量制限解除、最大出力!」
黒姫で砲撃を続けるサヨコに頷きを返し、誠司が『電光の鞭』を発動する。警棒の電流量を制限解除して生成した電光の鞭は、更なる唸りを上げて海中からシャークマッシャーに襲い掛かった。ヴン! と眩い閃光が海上を席巻し、過大な電流で黒焦げになった敵が次々と絶命、海の藻屑と消えていく。
『くそっ、やってくれたな!』
「おっと! ……そうは行かないぞ」
敵のアッパーをフェイク・プリドゥエンで防ぎつつ、誠司が零す笑みは何とも余裕に満ちたものだ。
ガードアップとグロリアスの力を得ている今、シャークマッシャーとの戦いに復讐者が敗れる可能性は絶無である。有利が確定的となったことを誠司同様に感じ取った古安は、尚もフルスィンガーを投擲しながら、敵の様子を一層つぶさに観察し始めた。ワイズガイを当てにしているか、護衛対象として見ているか――それだけでも分かることは大きいと考えたのだ。
『応戦しろ! 無様な戦いは許されんぞ!』
(「ふむ。一見したところ、当てにしている様子は無いように思えるが……」)
いずれにせよ、戦いながらでは詳しい情報は分からない――そう古安は結論付けると、再び攻撃に戻っていく。
冥海機もワイズガイも、両方倒すことに変わりは無い。である以上、今は目の前の敵との戦いに集中あるのみだった。
それから更に逆説連鎖戦を続けること暫し、復讐者と冥海機の差は時が経つほどに開いていった。
敵を撃破する度、グロリアスの効果で負傷を回復する復讐者たちは、未だほぼ無傷。対するシャークマッシャーたちは、もはや全滅寸前、青息吐息の状態である。だが、そんな状況にあって尚、彼らの戦意は留まるところを知らない。
『貰ったぞ、小娘ぇ! 我がフカヒレアッパーを食らえい!』
「……ダメージは軽微だ。戦闘を続行する」
敵の一体が繰り出した拳が、サヨコの体を捉える。
突き上げるような一撃を前にした彼女は『海戦装用増設防盾』で拳を受けると、そのまま衝撃を利用して海上へと浮上を果たした。続け様、水面走行の効果によって足場を確保し、『絶海砲戦』を発動。殲滅の一撃を放つ間際、冥海機の後方に平然と佇むクイックスターを睨みつけ、挑発の言葉を投げる。
「貴様が空想科学コーサノストラから来訪したワイズガイか。……極道者と海軍が癒着するなど、世も末だな」
サヨコが見据える先、敵がマスクの奥で浮かべる感情を伺い知る術は無い。
討ち取られていく冥海機の最期にさして感情の動いた風も無く、沈黙を保って海上を漂い続けるクイックスター。そんな彼に叩きつける挑戦状の如く、僅かに残ったシャークマッシャーたちを狙い定め、サヨコの黒姫は勇壮な響きと共に徹甲弾を一斉発射した。
響き渡る轟音。衝撃。圧倒的な威力を伴って行われる砲撃を耐え凌いだシャークマッシャーは果たして一体もなく、静寂が海を覆った後には指揮官たるワイズガイが残るのみだ。
「トループス級の殲滅を確認した。これより、次の行動に移行する」
「あれがワイズガイか。……成程、中々に不敵な様子だ」
「ああ。こんなところで何をしていたか知らんが……簡単に逃げられるとは思わないことだ!」
かくして冥海機を排除した復讐者たちは、いよいよ最後の敵と対峙する。
会話を行い情報取得を試みるか、或いは攻撃を仕掛けて撃破するか、全ては復讐者たちの選択次第だ。
空想科学コーサノストラのクロノヴェーダ種族『ワイズガイ』。その一体を前に、復讐者たちが選ぶ行動とは、果たして如何なるものだろうか――。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【防衛ライン】LV1が発生!
【通信障害】LV1が発生!
【水面走行】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【グロリアス】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
月鏡・サヨコ
別の作戦の報告では、コーサノストラ側が復讐者の暗黒世界蝦夷共和国侵入を既に知っていた
あれを知りうる勢力は当の蝦夷共和国と私達のみ
コーサノストラと蝦夷は既に接触を果たしているものの、今は境界が閉じられた後……ということか?
仮説を検証しつつ新たな情報を得るためにも会話を試みよう
【通信障害】を使用しながら敵に声をかける
暗黒世界蝦夷共和国と空想科学コーサノストラ
七曜の戦で他ディヴィジョンへの攻撃を一切行わなかった秘密主義の勢力二つが、既に手を結んでいたか
尤も一度接触したらすぐに境界を閉じられているあたり、信用はされていないと見えるが……
それにしても、冥海機を連れてきているのは意外なことだ
ヤ・ウマトは所詮落ち目のディヴィジョン
援助に託つけて利用し尽くしたり、滅亡間際で因子を回収するならまだ分かる
しかし外交に付き合わせるほどの相手ではないだろう
或いは、これも「イレギュラー様」とやらの不可解な命令か?
だとしたらご苦労なことだ
クロノヴェーダでありながら真の支配者でない状況への挑発を交えつつ、情勢を探ろう
復讐者たちにとって、状況は理想的と言えた。
海面下からの先制攻撃を成功させ、護衛のトループスである『シャークマッシャー』を撃破。もはや隠れる必要は無いと苫小牧の海上に躍り出た彼らは、そこで敵指揮官の『クイックスター』と対峙する――。
『ふむ……実に見事なお手並みだ、ディアボロス。おかげで兵を全て失ってしまったよ』
死闘の余韻が未だ収まらぬ海上で、クイックスターは余裕を崩さぬ態度で告げる。
四肢を成す青色のエネルギー光、そして頭部を覆う近未来的デザインの円形マスク。彼こそが空想科学コーサノストラの使者、ワイズガイに間違いない。その佇まいに油断ならぬ気配を感じながら、月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)は未知なる敵に思考を巡らせた。
(「今であれば、奴との会話で情報を集めることも出来そうだ。となれば、聞くべきは……」)
別の作戦の報告では、復讐者の蝦夷共和国侵入をコーサノストラ側は把握していたという情報が入っている。
あれを知り得る勢力は、当事者である蝦夷共和国と復讐者のみの筈。それを彼らワイズガイが如何にして知り得たのか、サヨコの疑念はそこに向いていた。
(「コーサノストラと蝦夷は既に接触を果たしているものの、今は境界が閉じられた後……ということか?」)
クイックスターに視線を向けたまま、自身の仮説を組み立てるサヨコ。
ここから先は、直に言葉を交わして探るしかないだろう。傍受阻止として通信障害を発動すると、彼女はワイズガイとの会話を切り出した。
「まさか空想科学コーサノストラが、暗黒世界蝦夷共和国と既に手を結んでいたとはな」
敵への警戒を維持したまま、サヨコは慎重に言葉を選んでそう告げる。
見澄ました先、クイックスターは未だ攻撃してくる気配を見せていない。恐らく、多少の会話には付き合う意思があるのだろう。そこに手応えを感じ取ると同時、紡がれる言葉は次第に挑発の色を帯びていく。煽りとブラフを交えた語り口で、敵の怒りをあえて誘おうというのだった。
「尤も信用はされていないと見える。一度接触したらすぐに境界を閉じられているようではな」
万一、敵が激高して口でも滑らせれば儲けものだが――そんな彼女の意図を察したのか、敵は愉快そうな含み笑いと共に返事を返す。
『くくっ、いや失礼。成程……我等が蝦夷共和国と接触する為にここを訪れたと、貴様はそう考えている訳か』
見え透いた挑発だと言外に示すように大袈裟に肩を竦めると、クイックスターは迂遠な遣り取りは無用とばかり、本題を切り出した。
『生憎だが見当外れだ。我等は蝦夷共和国の“監視”にここを訪れている』
「……!」
敵の口から紡がれる、それは以外とも言える答え。
驚愕を表に出さぬよう努めつつ、サヨコとワイズガイの問答は更に続く。
「監視? ……いったい何故だ?」
『我等コーサノストラが尊ぶものは“自由”。蝦夷共和国とは相性が悪いが、それ故に奴らの力は無視できん』
訝しむサヨコの問いに、クイックスターはそう告げた。
作戦行動の目的は敵側にとっても相応に重要な情報の筈だが、それを開示することに彼は何ら躊躇を感じた様子は無い。無視できない力を有する蝦夷共和国が他勢力と折衝するのはコーサノストラにとって望ましくない、それが監視の理由だと事も無げに言ってのける。
「……私を騙そうとする意志は感じられない。嘘は言っていないようだ」
『無論だとも。とはいえ我等もボランティアではない。この話題、話せるのは此処までだな』
そう言って、クイックスターはサヨコとの話を終えた。
状況からして、質問はあと一回が限度だろう。
刻々と戦いの始まりが近づく中、次なる復讐者が敵の前へと進み出る――!
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
荒田・誠司
アドリブなど歓迎
【心情】
引っ張り出したかったのが俺たちじゃないと言うんだがな
鬼が出るか蛇がでるか確かめてみるとしようか
【行動】
救援を呼ばれると厄介だから通信障害を発動させておこう
コーサノストラとヤ・ウマトが協力か
しかも蝦夷にかなり近づいている
以前からヤ・ウマトと蝦夷は交戦していないと調査結果が出ていて
俺たちが削り続けたんだから冥海機が急に蝦夷へ戦争をふっかけたりもしないだろう
蝦夷にだって調査の様子だと今の冥海機と協力関係を結んでも旨みがあるとは思えない
つまりはコーサノストラ側が蝦夷に来たかったってことでいいんじゃないだろうか
思いっきり踏み込んでも答えてくれないだろうな
「冥海機を連れて北海道旅行にでも来たのか?残念ながら霧が出ていないから入れないぞ。ワイズガイなのにそんなことも分からねぇの?」
と挑発しながら聞いてみようか
せめてコーサノストラ側の目的が蝦夷だったか確かめたい
少しでも情報を得られるように努めよう
必要なら臨機応変に対処する
最初の問答が幕を下ろしたところで、復讐者は次なる問いを投げることにした。
許された猶予は、あと一回。その機会を逃すまいと荒田・誠司(雑草・g00115)は深呼吸をひとつ、訪れた好機をものにせんと、クイックスターと対峙する。
「蝦夷共和国を他ディヴィジョンと折衝させない為の監視活動か……成程、理解したぜ」
『物分かりが良くて此方も助かる。さあ、次は何が聞きたい?』
そう言って会話に応じる敵の様子に、誠司は妙な胸騒ぎを覚えていた。
質問には嘘偽りの無い回答を行うクイックスターだが、それは彼に復讐者への敵意が無いことを示すものでは全く無い。一切の虚勢なき余裕と、微塵の隙もない佇まい。明白な“強者”だけが帯びることを許されたその気配は、この問答の後に始まる戦いが、相応の激戦になることを示唆するものだ。
(「まあ躊躇っていても始まらない。鬼が出るか蛇がでるか、確かめてみるか」)
誠司は拳をグッと握り、未知なる敵と対峙する決意を胸に刻む。
彼らが蝦夷共和国を監視していること自体は事実なのだろう。だが今回の作戦では、それだけでは説明のつかない事象があるのも事実。誠司が問うのは、正にその一つであった。
「じゃ、聞こう。お前が冥海機を従えていた理由は何だ?」
まさか仲良く旅行に来た訳でも無いだろうと挑発を交えて問う誠司。そんな彼が投げた質問に対して、ワイズガイはこれまた平然と答えを返す。
『簡単だとも。我等コーサノストラに、奴らが助けを求めたからだ』
「助けを求めた……? 冥海機勢力がか?」
『ああ、奴らは今や窮地にある。その事態を招いた張本人たちは、今こうして私と話している訳だが』
会話を重ねながら、誠司は思考する。冥海機との戦いに数多く関わって来た彼は、かの勢力が追い詰められていることも当然承知だ。とは言え――まさかコーサノストラに助けを求めるほど、彼らが窮地にあるとは。となれば必然、誠司が紡ぐ言葉は決まっていた。
「コーサノストラは、ヤ・ウマトと協力関係にある。……話を聞く限り、そう取れるが?」
『少なくとも今はそうだ。無論、それとてタダでは無い。互いに利益があるから協力できる、それだけの話だ』
淀みなく紡がれるワイズガイの言葉に嘘偽りの色は全くない。冥海機ヤ・ウマトが空想科学コーサノストラと協力関係を結んでいる――その情報を聞いて、復讐者と冥海機の戦いが新たな局面に移りつつあることを、誠司は否が応でも悟らざるを得なかった。
かくして問答で得られた情報を整理しながら、誠司は思わず眉を寄せた。
先々を見据えて脅威と見なした敵は牽制し、弱った敵は取り込む――個の力や勢いに任せて攻めるだけのディヴィジョンとは明らかに異なる、政治力にも、そして恐らくは戦闘能力にも秀でた強敵。それが誠司の抱く、空想科学コーサノストラ勢力への印象だった。
「やれやれ、有難くて涙が出るね。……さて、じゃあ始めるか」
『ふ……返す返す、好ましい物分かりの良さだ。だが生憎、生きて此処を出るのは貴様らではない』
一切の気負いを感じさせない口調で告げると、クイックスターの全身から青色のエネルギーが奔流となって迸る。
そこに秘められた明白な殺意と、そして何よりも強烈な威圧感を前に、誠司を含む復讐者たちは瞬時に感じ取った。この敵が、並のディヴィジョンのアヴァタール級とは一線を画す実力者であることを。
「成程。こいつは、本気で行かないとやばそうか……!」
激戦の予感が確信に変わるのを感じながら、不敵に笑う誠司。
他の復讐者たちも次々と得物を構え、戦闘準備を完了する。
冥海機ヤ・ウマト、苫小牧の海。そこを舞台に今、ワイズガイとの決戦が幕を開けようとしていた。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【パラドクス通信】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
九重・古安
手勢を失い追い詰められているはずの状況でもなおこの余裕か。
単純にコーサノストラというディヴィジョンが戦力を温存してきたというだけではない。相当な武闘派……個としても群としても強敵と見るべきだな。
だからこそ直接戦って力量を確かめる意味は大きい。もっとも、様子見などしている余裕は無さそうだが。
強敵とはいえあくまで相手は単体、こちらは連携で挑むまでだ。
射線が重ならないよう気を付けつつ、味方とお互いに隙をフォローできる程度の距離を維持しよう。
【水中適応】を生かし水上と水中を行き来して攪乱し、敵がこちらを狙うようなら牽制と足止めに、他の味方を狙うならその隙に『残響の嘆奏』を叩きこむ。
焦れた敵が一気に勝負を決めに来たならそれこそが好機。
真正面から迎え撃つ……と見せかけて水中に潜って致命傷を避け、味方の攻撃チャンスを作ろう。
敵が小細工抜きの真っ向勝負を挑むとしてもそれに付き合う道理は無し。
むしろ確実に勝ちをもぎ取るなら実を避け虚を突くのは定石だろう。この期に及んで卑怯とは言うまいな。
荒田・誠司
アドリブなど歓迎
【心情】
お褒めに預かり恐悦至極だが、どちらが帰るかを決めるのはお前じゃない!
俺が動けなくなれば問題ないとでも思ったか?一人ぼっちで戦っているわけじゃないんだよ
空想科学っていうんならこっちも同様に返してやるよ
現代ではあり得ない技術を使えるのはそちらだけじゃない!
【行動】
仲間とはパラドクス通信を使い連絡を取り合い積極的に連携する
使える残留効果は全て使用
まずはパラドクスを使いイモ貝型の機械を製作し設置する
機械は敵に向けて歯舌を刺して毒を注入して攻撃するものだ
敵からの攻撃は盾のフェイク・プリドゥエンで受けて防ぐ
敵の攻撃を受けてしまえば動きは封じられるだろうが
俺は囮で本命は設置した機械による攻撃だ
相手は生物に見えないがパラドクスである以上は毒も効くだろう
仲間が攻撃するいい隙になってくれるはずだ
必要なら臨機応変に対処する
未知なる敵勢力、空想科学コーサノストラに所属するワイズガイ『クイックスター』。
今や殺意を露わに力を解放した敵指揮官と、復讐者たちは苫小牧の海上で対峙していた。会話に応じる意思こそあるが、相手はクロノヴェーダ種族の一角。障害となる敵を、元より生かして帰す気はないようだ――。
「手勢を失い追い詰められている筈の状況でもなお、この余裕か……!」
全力を開放して復讐者の抹殺に動き出したクイックスターの振舞いに、九重・古安(巻き戻り路逸れる針・g02347)は頬を冷や汗が伝うのを感じた。
敵の全身から溢れ出るエネルギーの奔流は凄まじく、対峙しているだけで肌が焼かれるようだ。この戦いが楽なものにはならないことを、古安は肌身で感じ取る。
(「コーサノストラの連中、相当な武闘派……個としても群としても強敵と見るべきだな」)
それだけに、直接戦う機会を得られた意味は大きいと古安は考える。ここで刃を交えれば、その力量もまた自ずと明らかとなるだろう。これから自分たちが成すべきは、全力で戦って勝利することだけだ。
「様子見などしている余裕は無さそうだ。激戦は必至だろうが、よろしく頼む」
「こちらこそ。パラドクス通信も活性化してある、連絡はコイツで取り合おう」
持てる手段は全て使って勝ちに行く覚悟を固め、荒田・誠司(雑草・g00115)はトランク型武器『トラップメーカー』とゴーグルを接続。戦闘用機械の製作を開始しながら、その視線をクイックスターに向けた。敵が空想科学を用いる敵なら、此方も高度技術で対抗するまで――彼はそう考える。
「どちらが帰るかを決めるのはお前じゃない! 俺たちは、一人ぼっちで戦っているわけじゃないんだよ」
『そうか。貴様等の力、その口に見合うものか試してやろう』
尚も平然と告げるクイックスター。同時、誠司の全身からパラドクスの光が溢れ出す。
戦いの始まりを告げるように、彼は武器作成を完了したトラップメーカーを開放した。
誠司の作成した機械が、トランク型武器の中から飛び出していく。
法螺貝にも似た大ぶりの巻貝型のそれは、イモ貝を模した自律攻撃用の兵器。攻撃範囲に捉えた標的を歯舌で突き刺し、致死の猛毒を送り込む恐るべき機械毒貝が、海を漂いながらクイックスターを狙い定める。
「九重! 海上は任せろ!」
「承知した。派手に撹乱してやろう」
誠司の合図に応じ、水中適応を発動した古安が海中へと潜行を開始した。海上と海中から二手に分かれて攻撃し、相手を撹乱させて攻撃を仕掛ける狙いだ。果たして海上では、今まさに誠司のイモ貝がクイックスターを捉えたところであった。
次の刹那、腕部に突き刺した歯舌を介して猛毒が送り込まれる。そして、
『成程、面白い技を使う。しかし――』
クイックスターの姿が、誠司の眼前から消えた。
頭上からエネルギーの奔流を感じ、反射的にフェイク・プリドゥエンで防御態勢を取る誠司。果たして次の瞬間、全身を襲うのは叩きつけるような衝撃であった。
「――っ!!」
決して軽くはない彼の体が玩具のように宙を舞い、海上へと叩きつけられる。
瞬時に受け身を取ったがダメージを殺し切れない。立ち上がった瞬間、全身の筋肉が上げる悲鳴に顔を歪める中、更なる追撃を浴びせようとクイックスターが迫る。被弾はしているようだが、そこに動きの衰えは全く見られない。
『生憎だが、セールスの押売りはお断りだ。お引き取り願おうか』
「九重……! 今だ、行け!」
瞬く間に縮まる彼我の距離。だが次の刹那――攻撃を仕掛けんとした敵の足元が、突如として弾け飛んだ。
誠司の合図に合わせ、海中の古安が敵の攻撃を開始したのだ。渾身の力で振るうフルスィンガーの唸りが音波へと変じ、怒涛の衝撃となってクイックスターを突き上げる。狙った相手を物理で打ち倒す、『残響の嘆奏』のパラドクスだ。
「そろそろ黙る時間だ。……いや、黙らせるとも!」
怒りを秘めた一撃を、敵が逃れる術は無く。
古安の衝撃は巨大な水柱となって屹立し、クイックスターを飲み込むのだった。
フルスィンガーの放った衝撃が、標的の身体を吹き飛ばす。
トループス級は勿論、並のアヴァタール級なら致命打でも不思議では無い一撃だ。確かな手応えを感じつつ、尚も油断を排して海上で身構える古安。果たして次の瞬間、
『中々やる。だが、この程度でワイズガイを葬れるとは思わんことだ』
「――!?」
水柱の彼方で、眩い光が閃く。
次の刹那、クイックスターの突撃が水柱を突き破り古安へと瞬時に肉薄。鉤爪に集めたエネルギー諸共、捨て身の一撃を叩き込んできた。俊敏な動きからは想像もつかない程に、その一撃は重く、力強い。ガードアップを駆使して尚、瞬く間に体力が削り取られていく。
冥海機のアヴァタール級とは一線を画する戦闘力――そう評する他ない相手だった。
同時に古安は思い出す。今までに復讐者が戦って来た敵で、同じ程度に苦戦を強いられた“ある敵”の名前を。
「アルタン・ウルク……奴らとほぼ同格という感じだな、戦った感触としては」
「そんな感じだな。現状、アルタン共の方が多少上には感じるが……どのみち厄介なことには変わらん」
古安の言葉に同意を返しつつ、誠司は呟いた。
現時点におけるワイズガイの戦闘能力が、復讐者が交戦して来た種族の中でもトップクラスにあることはほぼ確実。そこに加え、空飛ぶ円盤による他ディヴィジョン侵入も奴らは行っているのだ。新たな敵勢力『空想科学コーサノストラ』――その底知れない力の一端を、復讐者たちは今まさに垣間見ていた。
それからも、古安と誠司は熾烈な戦いを強いられた。
二人の攻撃は着実にダメージを与えているが、対する敵の攻撃は未だ衰えを知らない。古安のフルスィンガーによる衝撃を耐え、巨大な鉤爪を軽々と振るい続けるクイックスター。着実に削られていく体力に、復讐者たちの表情にも苦戦の色が滲んでいた。
序盤戦の結果は、このまま行けば両者痛み分け――そう思われた、しかし次の刹那。
「見えた……! 頼んだぞ!」
運良くと言って良いだろう。積み重ねていた命中アップにより、誠司が直撃のコースを視認することに成功したのだ。
発動した『模造製作:身無貝』によって新たに作成されたイモ貝が、海流に乗って標的を視認。エネルギーの回転突撃で誠司と攻防を繰り返すクイックスターへ、銛のような歯舌を無音で伸ばす。果たして次の瞬間、貝の刺突は敵の脇腹を刺し貫き、歯舌を通じて猛毒を送り込んだ。
『……ほう、まだ抵抗するか』
「抵抗じゃない、勝つんだよ。帰るのは俺たちで……負けるのはお前なんだからな、クイックスター!」
「そういうことだ。この程度でディアボロスが敗れはせん!」
未だ余裕を崩さぬ敵を前に、誠司と古安が吼える。
負傷を重ねようとも、その心が折れることは無い。
かくして彼らの想いを受け継ぐように、新たな仲間が戦場へと駆け付ける――!
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【水中適応】がLV2になった!
【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
【グロリアス】がLV2になった!
苫小牧の海は、今や激戦の舞台と化していた。
海上を舞台に死闘を繰り広げるのは、復讐者と敵指揮官のワイズガイ。未だ勝者の定まらぬまま、両者の死闘は激しさを一層増していく。
「あれが指揮官のワイズガイ……中々に強そうね!」
標的を前にそう呟くのは、救援機動力で現れたセレスティン・ウィンディア(蒼穹のステラ・g06011)だ。彼女の敵は、蝦夷共和国の監視に現れたクロノヴェーダ部隊。配下の冥海機たちは撃破され、残るは『クイックスター』一体のみだ。
全身を青色のエネルギーで包む、近未来型シルエットのアヴァタール級――そんな彼の実力が本物であることは、序盤の戦いで証明済み。尤も、そこでセレスティンが二の足を踏むことは無い。力を駆使するバイオレンスな戦闘スタイルこそ、この復讐者が特に好むものだからだ。
戦いの第二幕が迫ることを告げるように、パラドクスの輝きが海上を席巻していく。
その只中、セレスティンは大剣『魔晶のトリカブト』を軽々と構えると、切先を敵に突き付けて宣言した。
「初めまして。しっかり解体してあげるわ!」
『威勢の良いことだ。ならば、その前に叩き潰してやろう――この鉤爪でな』
相手を葬る決意を向け合いながら、両者の逆説連鎖戦が幕を開ける。
先手を取ったセレスティンは水面走行で海上を疾駆し、瞬時にクイックスターの懐へ到達。構えた魔晶剣を、勢いと共に振り下ろした。
「そこっ!」
彼女が操る魔晶剣が、豪快さと精密さを併せ持つ太刀筋でクイックスターを襲う。
一閃、二閃――パラドクスの斬撃は閃く度に敵を切り裂き、ダメージを蓄積させていった。
尚も攻め続けるセレスティンに、しかし敵も一方的な攻撃を許しはしない。
受けに回ったのも僅かな間、鉤爪に集中させたエネルギーを反撃で叩き返してきた。
「く……っ!」
膨大な力の奔流を横殴りに浴びて、セレスティンの身体が吹き飛ぶ。海面の上をバウンドしながらもガードアップの力で致命打を防ぐと、彼女は即座に攻撃に転じた。振るう刃はアークデーモンの骨を組み込んだ大型剣。それを駆使して放った『魔骸連刃』の一閃が、狙い過たず敵を捉える。
「星でも、エネルギーでも! この刃で解体して見せる!」
『む……!』
決意と共に放つ刃が、敵の身体を勢いよく削る。
怒涛の猛攻に軽く呻くクイックスター。だが、復讐者の攻撃は尚も終わらない。戦いの最後を締め括るべく、今、次なる仲間が敵との戦いに臨もうとしていた。
善戦🔵🔵🔴🔴
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
月鏡・サヨコ
キングアーサー奪還戦に出現したマッコイ隊の実力は、ドラゴンにも引けを取らないものだった
彼らが最精鋭であったら話は楽だったけれど……やはり、平均的に高い性能を誇るか
……問題はない。元より覚悟はしていたことだから
【通信障害】と【水面走行】を常時使用して戦う
敵は機動性や隠密性に優れている様子だ
【パラドクス通信】で仲間と敵位置の情報を共有し合い、速度で回り込まれたり不可視状態で移動されてもすぐ気付けるように
あの速さを抑え込むためには確実に傷をつけねばなるまい
『閃電・斬月』を起動し、プラズマ刃を纏った≪対艦軍刀『銀鉤』≫でリーチと速さを両立した連続突きを放つ
敵に余力があり隙が少ない状況では、突きの軌道を敢えて細かくずらしたり1回ごとの突きに不規則な時間差を作ることで、全段命中とは行かずとも1回は当てるような攻め方を
仲間の攻撃で敵の動きが鈍ってきたなら、一点に狙いを集中した最速の連撃で胸の貫通を狙おう
鉤爪は≪海戦装用増設防盾≫を向けて防ぐか刀で斬り払う
ワイズガイ……今後の戦いで、最大級の脅威となるか
苫小牧海域での戦闘開始から二度の死闘を経た後。負傷を重ねたクイックスターは、遂に窮地へ追い込まれつつあった。
途中で駆け付けた味方の加勢もあり、作戦は正に佳境である。強大な力を持つワイズガイを撃破すべく、復讐者は最後の戦いに臨もうとしていた。
「……改めて見ても、恐るべき相手だ」
未だ平然と戦い続ける敵を前に、月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)はそう呟いた。
かつてキングアーサー奪還戦で交戦したマッコイ隊の実力は、ドラゴンにすら引けを取らなかったが――彼らが最精鋭であればという期待は、やはり甘かったらしい。一兵卒に過ぎないクイックスターの高い戦闘力は、ワイズガイが有する平均性能の高さを雄弁に物語っている。
「……けれど問題はない。元より覚悟はしていたことだから」
討つべき標的を前に、対艦軍刀『銀鉤』を構えて言うサヨコ。
如何なる強敵であろうと、クロノヴェーダを討たない選択肢は無い。全てを斬り伏せて進む覚悟を胸に秘め、彼女は戦いの火蓋を叩き切るのであった。
窮地に追い詰められて尚、敵の抵抗は熾烈だった。
全身からエネルギーの奔流を噴出させながら、暴風の如き猛攻で圧倒して来るクイックスター。それを前に銀鉤を構えたサヨコは、隙を見せない刺突を堅実に浴びせていく。敵が振るう鉤爪は尋常ならざる威力を誇るが、増設防盾と残留効果を駆使すれば数度の攻防に耐えることは不可能ではない。
『……やはり貴様等は危険な相手だ。ここで確実に排除する』
「……それは、此方の台詞だ」
最初の攻防で、敵はサヨコの意図を感じ取ったらしい。対する彼女も被弾の衝撃に耐えながら、再び攻めに転じた。
未だ身体は動くが、仕損じることは許されない。刺突の軌道を巧みにずらし、時間差を設けた攻撃で更なる斬撃を放つ。敵の余力を図ることで、全力の一撃を放つ機会を見定めているのだ。やがて僅かな反応の遅れから敵の消耗を見て取ると、サヨコは『閃電・斬月』を発動。今こそ好機と勝負をかける。
「電力充填完了。閃電、起動」
クイックスターなる名前が示す通り、敵は速度を武器とするワイズガイだ。ならば、それすら上回る最速の連撃を以て、防御の間も与えず葬る――そうして下した決断の下、サヨコは電気投擲鞘『斗號』の機能を解除。秘めたる電力を注がれた銀鉤でプラズマ刃を形成し、必殺の一撃を叩き込まんと疾駆する。
『っ、速い――!』
同時、クイックスターの声に初めて驚愕が滲んだ。その速度を以て、直撃の軌道を回避しようとする彼だが――サヨコが繰り出す刺突のリーチと速さは、そんな敵の余力さえ把握して放ったもの。回避も防御も、満身創痍となった敵がなし得る見込みは絶無だ。そして、
「――これで刺し貫く!」
心臓部めがけて一点集中させた最速の連撃は、果たしてクイックスターの胸に大穴を穿ち。輝くプラズマの光刃で、その機能を完全停止させる。
刹那の静寂の後、敵の肉体は膨大なエネルギーもろとも溶けるように虚空へ消え、後には穏やかな海が残るのみ。それがワイズガイ『クイックスター』の最期だった。
かくして戦闘を勝利で飾ると、復讐者たちは苫小牧を後にした。
激闘の名残は、未だ痛みとなって彼らの身体に残っている。サヨコは負傷した身体を叱咤して『みなと』への帰路を行きながら、相手の強大さを改めて痛感していた。今回の戦いは空想科学コーサノストラという敵勢力との、あくまで序盤戦に過ぎないのだ。
「ワイズガイ……今後の戦いで、最大級の脅威となるか」
その呟きに強い確信を秘めて、サヨコは仲間と共に帰還していく。
海の彼方より現れし未知の敵種族、ワイズガイ。彼らとの戦いは、未だ始まったばかりであった。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【一刀両断】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!