ミッドウェー海戦~西海域『しぶや』囮海戦

 攻略旅団の提案により、ミッドウェー海戦における冥海機の攻撃目標である『しぶや』を囮として、敵ジェネラル級の、鎮守府への増援を遅らせる為の作戦を実行します。
 冥海機は『しぶや』を非常に危険視している為、『しぶや』を囮にすればミッドウェー周辺のジェネラル級の戦力の半分(ミッドウェー鎮守府の西側)の戦力を誘引できます。

 これらの敵戦力は『しぶや』撃破と共に転進し、鎮守府に戻ろうとします。
 並行して行われている上陸作戦が成功しても、多くの敵戦力がジェネラル級と共に鎮守府に戻ってしまえば、鎮守府制圧は困難となるでしょう。
 誘引した敵を鎮守府への増援に向かわせず撃破すると共に、ジェネラル級に戦いを挑むチャンスを掴んで下さい。

!特殊ルール!
・このシナリオが4シナリオ成功する毎に、ジェネラル級1体をミッドウェー鎮守府への増援に向かわせず、ミッドウェー西側海域で決戦を挑めます。
・ミッドウェー西側海域のジェネラル級は、『山城』『比叡』『ソードフィッシュ』『大鷹』の4体です。
・この事件は攻略旅団の提案による期限延長が行えません。

山城
比叡
ソードフィッシュ
大鷹

雌雄を決す刻、来たれり~MI作戦誘引撃滅戦~(作者 月見月
5


#冥海機ヤ・ウマト  #ミッドウェー海戦~西海域『しぶや』囮海戦  #ミッドウェー鎮守府  #断片の王『超大和』  #潜水輸送艦『しぶや』  #ミッドウェー鎮守府西海域 


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#冥海機ヤ・ウマト
🔒
#ミッドウェー海戦~西海域『しぶや』囮海戦
🔒
#ミッドウェー鎮守府
🔒
#断片の王『超大和』
🔒
#潜水輸送艦『しぶや』
🔒
#ミッドウェー鎮守府西海域


0



●大鷹、ミッドウェーの海を征く
 ミッドウェー諸島、西側海域。来たるべきディアボロスとの決戦に向けて潜伏していたジェネラル級艦隊に急報が入った。曰く、『ミッドウェー鎮守府ノ護衛戦力、尽ク壊滅ス』、と。これを受け、各戦力が速やかに行動を開始する。彼女らに命ぜられた内容は復讐者が橋頭堡としている潜水輸送艦『しぶや』の撃破。必勝を期すべく出撃する艦隊の一つに、ジェネラル級軽空母『大鷹』の姿もあった。
「大鷹艦隊出撃です。ディアボロスが駆る輸送艦艇の撃沈は『MI作戦』の成功の鍵を握ります。たかが艦艇一隻に、過剰戦力にも程がある……という事はありません」
 『しぶや』の艤装に有意な防衛兵装は存在せず、迎撃は専ら復讐者頼みと言う事実は既に割れている。特記戦力であるジェネラル級四隻が艦隊を率いてまで動くのは、確かに大仰過ぎると言って良い。だが、大鷹は静かな口調の中にも確かな決意を以て麾下の戦力へと作戦意義を言い含めてゆく。
「これまでの情報から推察するに、ディアボロスは未来予知に類する力を備えており、その力を使って常に最善の作戦を実施して来ると思われます。である以上、私達に出来る事はディアボロスにとって例え最善の未来であったとしても、彼奴らの艦艇の撃沈が回避できないという状況を作り出す事です。一分の隙も無く、万が一の目さえも潰す。その為にも、この過剰とも呼べる戦力が必要なのですから」
 例え未来が知ることが出来ようと、来たる結果に抗う手段がなければ宝の持ち腐れだ。寧ろジェネラル級四隻掛かりで輸送船一つ落とせなければ、とんだお笑い草だろう。しかし、ゆめゆめ油断するなと軽空母は配下を戒める。
「艦艇撃破後、頼みの綱を失ったディアボロスはさぞかし狼狽するでしょう。ですがそれは一旦捨て置き、急ぎ私の所へ戻って来なさい。飽くまでも本命は輸送船ではなく、ディアボロス本隊。最後の仕上げとしてミッドウェー島の包囲を完成させてみせましょう」
 鎮守府の護衛戦力を失ったのは痛手だが、まだ挽回できる範疇だ。冥海機たちは復讐者に一手先んじるべく、ミッドウェーの海原を征くのであった。

●誘引撃滅戦、発動
「Gutentag、Kamerad! ミッドウェー鎮守府の護衛戦力漸減作戦、お疲れ様! みんなの働きもあって、遂に戦況が大きく動いたわ。それも、私たちにとって有利な形にね!」
 新宿駅グランドターミナルへ集った仲間たちを出迎えながら、アーデルハイト・ベールケ(サイボーグの航空突撃兵・g03315)は上機嫌な笑みを浮かべていた。拮抗状態となっていたミッドウェー鎮守府攻略作戦だったが、復讐者たちの尽力により護衛戦力の殲滅に成功。護りが手薄になった断片の王を討つべく、精鋭部隊による上陸作戦が決行される運びとなったのだ。しかし、敵もそれを座して見逃す訳も無し。『超大和』及び麾下のジェネラル級八隻もまた、遂に重い腰を上げたのである。
「『超大和』は失った部隊の代わりに、自身の海戦装である八本の巨大触手によって迎撃を試みているわ。ただ、そのお陰で『しぶや』の破壊にまでは文字通り手が回らないようね……でもその代わりとして、ミッドウェー海域西側に潜んでいたジェネラル級艦隊が出撃を開始したの」
 その数、実に四艦隊。如何に潜水航行能力を持つとはいえ、『しぶや』にこれを凌ぎ切るだけの性能は無い。残念ながら、本艦の撃破は不可避だろう。しかし視点を変えてみれば、これほどまでに注目を集める『囮』もまた存在し得ぬ。斯くして、攻略旅団により『しぶや』を囮としたジェネラル級撃破作戦が発動されたのだ。
「敵戦力は『しぶや』を破壊後、そのまま転進してジェネラル級の指揮下へと舞い戻り、ミッドウェー包囲網に加わらんとしているわ。この転進阻止及び敵部隊の撃破が今回の作戦目的よ」

 まずは『しぶや』周辺で警戒を行いつつ、敵を待ち構える必要がある。冥海機たちの大艦隊は一撃離脱戦法で『しぶや』を破壊した後、ディアボロスが浮足立っている間に転進。損害を最小限に抑えた上でジェネラル級との合流を目指す。故にもしこの前段階で相手に不信感を抱かれた場合、警戒して手を出してこない可能性もゼロでは無い。そうなれば、転進を阻止するだけの猶予が無くなってしまうだろう。
 尤も、此方側は既に『しぶや』の撃沈を大前提として作戦を組み立てている為、相手が目論む様な混乱が生じる恐れは無し。悠々と離脱を試みる敵艦隊の後背へと食らい付き、乱戦へと持ち込んで足止めをするか、或いは迂回して退路を断つなどし、合流を阻害しつつ敵戦力の撃破を行う流れとなる。
「この作戦がスピードが肝よ。もたもたしていると敵艦隊の離脱が完了してしまうでしょうね。その前に速攻で片を付ける必要が有るわ。ただ温存されていた主戦力と言うだけあって、兵の質はかなりのものみたい」
 今回交戦する事になる敵部隊は戦艦『陸奥』を指揮官とした、戦艦タイプのトループス級で構成されているようだ。練度は勿論の事、火力・防御力共に高水準である事は間違いない。そんな冥海機たちがもしも逃げに徹すれば、これを阻止する事は至難の業だろう。故に単純な妨害工作以外にも、考えられる手段は全て投入する勢いが必要となる。

「正直、貴重な輸送艦を失う事に思う所が無いと言えば嘘になるわ。ただ、台湾島で同型艦の量産も進んでいるから、そこは割り切るしかないでしょうね。輸送艦一隻でジェネラル級四隻を釣り出せたと思えば、戦略的にはお釣りがくるはずよ」
 ミッドウェー海戦は太平洋戦争における重要なターニングポイントだ。改竄された歴史であろうとも、それは変わらない。この戦いを制することが出来れば、ヤ・ウマト奪還に大きく近づくだろう。斯くしてアーデルハイトは説明を終えると、仲間たちを送り出してゆくのであった。

●号砲は鳴り響く
「各艦、照準合わせ! 次弾で修正しようなどと思うな、初弾から当てていけ!」
「先走るなよ? 他艦隊と統制して砲撃せよ……3、2、1、撃ちぃ方始めッ!」
 ミッドウェー海域に耳をつんざく砲声が鳴り響く。一つや二つではない。十や二十でもまだきかず、三桁を優に超える大火力。それは出撃した四隻のジェネラル級率いる大艦隊による一斉砲撃だ。無数の水柱が重なり合い、まるで一つの巨大な塔の如く天目掛けて伸びあがる。そしてその果てに一際大きな爆発が生まれ、水飛沫を四方へと撒き散らす。それが示す結果はただ一つ。復讐者の運用していた潜水輸送艦『しぶや』の轟沈。
「いやはや全く、これだけの戦力による攻勢は実に壮観。ただ惜しむらくは標的が輸送艦ただ一隻な点ですな」
「安心なさい。すぐさまディアボロス相手に砲弾を叩き込むことが出来ましょう。さぁ、速やかに撤退を……む?」
 感慨深く自分たちの戦果を眺めるトループス級『スラッグ級戦艦』の感想に相槌を打ちつつ、指揮官であるアヴァタール級『長門』が後退の指示を出す。彼女らからすれば輸送艦の撃破など前哨戦に過ぎない。本命たる復讐者を完封する包囲網を完成させるべく転進しようとする冥海機たちだったが、ふと水柱の中から何かが飛び出してくる様子を捉えた。海上を疾駆し、或いは波間に紛れて肉薄して来る人影。それが何者かなど、今さら問うまでも無い。
「あっ、あれはディアボロス!? 馬鹿な、母艦が沈んだのに退く所か吶喊して来るだとッ! よもや特攻か!?」
「いえ、あれは捨て鉢の動きではありません。明確な目的を伴う行動……これはしてやられましたね。各艦、速やかに離脱なさい!」
 今度は逆に泡を食うトループス級だったが、アヴァタール級は配下を取り纏めて撤退を急がせる。『しぶや』の破壊まで織り込まれていた以上、この場に留まって応戦するのはリスクが高過ぎると判断したのだろう。そんな敵の背後へと、復讐者たちは次々と襲い掛かってゆくのであった。


→クリア済み選択肢の詳細を見る



 他の選択肢での結果、冥海機がミッドウェー鎮守府に向かってしまった場合、戦闘は終了となり、ミッドウェー鎮守府に向かう敵の姿を見送る事になります。
 この選択肢は、プレイングを掛ける必要はありません。



特殊ルール 【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、安全に撤退でき、シナリオは成功で完結する(作戦目的は一部未達成となる)。
👑1

→クリア済み選択肢の詳細を見る


→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
2
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【未来予測】
1
周囲が、ディアボロスが通常の視界に加えて「効果LV×1秒」先までの未来を同時に見ることのできる世界に変わる。
【罪縛りの鎖】
1
周囲に生き物のように動く「鎖つきの枷」が多数出現する。枷はディアボロスが命じれば指定した通常の生物を捕らえ、「効果LV×2時間」の間、移動と行動を封じる。
【泥濘の地】
2
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【活性治癒】
1
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【水面走行】
1
周囲の水面が凪ぎ、ディアボロスが地上と同様に走行や戦闘を行えるようになる。ディアボロスと手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人も同行可能。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【命中アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV2 / 【ガードアップ】LV1 / 【先行率アップ】LV1 / 【ドレイン】LV1 / 【アヴォイド】LV1 / 【グロリアス】LV1

●マスターより

月見月
 どうも皆様、月見月でございます。
 MI作戦もいよいよ第三段階、ついに反攻の時です。
 ミッドウェー本島、西側、東側での三面作戦を制しましょう。
 それでは以下補足です。

●シナリオ成功条件
 冥海機艦隊の転進阻止、及び撃滅。

●シナリオ開始状況
 潜水輸送艦『しぶや』が破壊された状況からの開始となります。敵戦力はジェネラル級との合流を目指し転進を試みており、彼らをどうにかして足止めし撃滅してください。OPの通り冥海機たちは自分たちがまんまと釣り出された事を悟っており、応戦もそこそこに撤退を最優先としています。物理的に退路を塞ぐ、舌戦で注意を惹くなど、有効と思われる手段を講じる必要があるでしょう。

●!特殊ルール!
 本シナリオが4本成功する毎に、ミッドウェー西側海域でジェネラル級1体との決戦を行えます。

●採用について
 作戦成功数によって今後の展開が変わる為、プレイング採用数については成功度+α程度となる見込みです。不採用になる可能性もございますので、その点をご了承頂けますと幸いです。

 それではどうぞよろしくお願い致します。
54

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


乾・玄辰
作戦とは言え、母艦の轟沈を見守るだけというのは業腹だな。
ツケは確りと払って貰わねばなるまい。

沈むしぶや艦影から箒に跨り【飛翔】で飛び立ち、敵艦隊の後尾に喰らい付き挑発する。
輸送艦を喰って直ちに転身とはつれないね。
嗚呼、そうか。非武装の船は撃沈できても僕達の一人とて討ち取れぬと踏んだのかい?
流石は精強無比、勇猛果敢なれど敗戦続く大和旗下の艦隊――練度が違う。
……なんて風に宣えば、少しは血気に逸り転進の算段を乱すだろうか。

敵艦を嘲りながら徐々に速度を上げ、艦隊と並行する様に付かず離れず飛行。
"赫の魔弾"は敵艦を直接照準するのではなく、
旗艦の進路や隊列に撃ち込み艦隊機動を乱すことを主目的としよう。
味方の予測射撃が飛来したら着弾に合わせ更なる混乱を生じさせるべく、
回避する敵艦に魔弾をばら撒く。
艦足が落ちたところで艦隊の頭を抑え、ミッドウェー鎮守府への進路を阻みたい。

蚊トンボ一匹散らせぬとあっては、自慢の砲口も泣いているよ。
それとも……笹船一艘叩くが艦砲ならば豆鉄砲すら砲の内、といったところかな。


●MI作戦、第三段階へ
(……作戦とは言え、母艦の轟沈を見守るだけというのは業腹だな。しかし、こうなってしまった以上はこの機を最大限に活かすのみ。ツケは確りと払って貰わねばなるまい)
 圧倒的な砲火力によって爆散し、海の藻屑と化した『しぶや』は文字通り見る影もない。ただ波間に消えゆく残骸のみがその名残だ。そんな光景を一瞥しながら、箒に跨った乾・玄辰(最後の魔法使い・g01261)は海原を低く疾駆してゆく。
 身を隠す場所の無い海上を飛翔するリスクは彼とて百も承知である。だが敢えてそれを選んだのはひとえに敵艦隊を逃さぬ為。機動力を確保しつつ、わざと危険な行為をする事で相手の神経を逆撫でせんと狙っているのだ。
「ジェネラル級配下の精鋭と聞いていたのに、輸送艦を喰って直ちに転身とはつれないね。嗚呼、そうか。非武装の船は撃沈できても僕達の一人とて討ち取れぬと踏んだのかい? 流石は精強無比、勇猛果敢なれど敗戦続く超大和旗下の艦隊――練度が違う」
 敵艦隊後尾へ付かず離れず追従しながら、嘲りの言葉をぶつけてゆく。復讐者側は母艦を撃破され、冥海機はまんまと釣り出された。一勝一敗の痛み分けと言った状況だが、『しぶや』の喪失を織り込んでいた此方側の方が精神的には優位と言えるだろう。それを裏付けるかの如く、玄辰の言葉にトループス級が激怒し叫び返す。
「貴様、言わせておけばぬけぬけとッ! この期に及んで我らの位置を割り出せず、母艦と引き換えにせざるを得なかっただけだろうに!」
「よせ、敵の挑発に乗るでない! 今は大鷹様との合流に専念せよ!」
 そんな配下たちをアヴァタール級が素早く叱咤し統制を引き締める。流石は近代的な軍組織としての色合いが強い勢力といった所か。軍人として上位下命を骨の髄まで叩き込まれており、スラッグ級戦艦たちは不承不承と言った様子で上官の指示に従っていった。
(血気に逸りはしたものの、腐っても兵士と言う訳か。これは口舌を弄するだけでなく、あともう一押し……実力行使も必要そうだ)
 足を止めて撃ち合いでもしてくれたならば願ったり叶ったりだが、どうやらそう甘くは無いらしい。玄辰は速度を上げて敵艦隊の側面へ陣取るや、並走しつつ箒の動力炉へと魔力を流し込む。赫々と輝く尾を曳きながら、魔法使いは詠唱を紡ぎゆく。
「慈悲深き大地の御手離れ、魔空を翔けし一条の星。天穹裂く光跡、晨明の炎が冥応授かりて許されざる者共に疾く降り注げ……」
 ――汝、灼熱の鏃よ。
 煌めきは無数の光弾へと収束。流星群と化して敵艦隊へと降り注ぐ。それらは敵の撃破と言うよりも、艦隊機動を乱す事に重点が置かれていた。果たして復讐者の狙い通り、立て続けに吹き上がる水柱を避けようとして、冥海機たちの隊列が崩れてしまう。
「お、おのれぇッ! こちらが手出しせぬからと増長しおって!」
「戦艦の側面は世界で最も危険な場所と聞いていたけれど。よもや蚊トンボ一匹散らせぬとあっては、自慢の砲口も泣いているよ。それとも……笹船一艘叩くが艦砲ならば豆鉄砲すら砲の内、といったところかな?」
「ほざけぇッ!」
 良くも悪くも軍人としての高い矜持が仇となったと言うべきか。度重なる挑発に対し、遂にトループス級が激発してしまう。彼らは両腕を突き出すと、猛烈な対空弾幕を浴びせかけて来る。玄辰はさっと身を翻してそれらを避けながらも、まずは狙い通り行き足を鈍らせる事に成功したと手応えを掴みゆくであった。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!

月鏡・サヨコ
冥海機は愚直だけど愚昧ではない。こちらの意図にもすぐに気づいた様子だな
……だけど、この状況に敵を引き込んだだけでも、『しぶや』は十二分に仕事を果たしてくれた
今からは私達が敵の退路を絶ち、攻め立てる側だ

【水面走行】を共有
沈みゆく『しぶや』を包む水柱に紛れて海上を駆け、『絶海砲戦』を開始
≪巡洋戦艦海戦『黒姫』≫の砲弾を連射し敵を追撃しよう
仰角を大きめに取り、高い弾道で放った弾は「敵の現在位置」ではなく「これから動く先」に落ちる
眼前で炸裂する砲弾が示すのは「突き進めば自ら爆風と弾片の嵐の中に飛び込むか、或いは砲弾が直撃する」という状況
迂闊に全速力を出せないようにさせると共に、砲撃の主である私に注意を向けさせて挑発しよう

冥海機は種族の本能にまで逃げ癖が染みついているらしいな
台湾を捨て、東南アジアを去り、全ての鎮守府を失陥してここまで追い詰められた
貴様達はいつになったら捲土重来を図る?
母艦を失った復讐者からも逃げるなら、最早何にも挑めないだろうに
……ここまで臆病で劣弱なクロノヴェーダは他にいないぞ


●舌鋒鋭く誇りを穿つ
「貴様ら、私がいつ反撃の許可を出したと言うのですか!? ディアボロスの安い挑発に乗るなど言語道断。我らの失態は即ち、指揮官たる大鷹様の名に泥を塗る行為だと知りなさいッ!」
 我を忘れて復讐者へ弾幕を浴びせかけるトループス級たちだったが、指揮官である『長門』がすかさず暴走を戒めてゆく。アヴァタール級とは言え、連合艦隊旗艦を務めし艦の名を頂く存在である。その統制能力は決して低く無く、配下たちは冷や水を浴びせられたように大人しくなっていった。
(冥海機は愚直だけど愚昧ではない。こちらの意図にもすぐに気づいた様子だな。正に訓令戦術斯くあるべし、か……だけど、この状況に敵を引き込んだだけでも、『しぶや』は十二分に仕事を果たしてくれた。今からは私達が敵の退路を絶ち、攻め立てる側だ)
 砲撃によって天高く舞い上げられた水柱が、今さらになって漸く夥しい密度の雨粒と化して降り注ぐ。全身を打つ滴に紛れながら、月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)は敵を睨む。
 同型艦を建造中とは言え、やはり慣れ親しんだ船が撃沈されたのは忸怩たる思いなのだろう。これで敵艦隊を取り逃せば申し訳が立たぬ。サヨコは再増速しつつ離脱を試みる敵艦隊へ向け、海戦装の照準を合わせてゆく。
(狙うは敵の現在位置ではなく、偏差を加味した予測未来位置。それも『これから動く先』が最善だ。敵戦力の漸減は行き足を止めた後でも間に合う以上、今は転進阻止を最優先とする)
 通常時よりも仰角を大きく取った一斉砲撃。放物線を描いて飛翔した砲弾は甲高い風切り音と共に海面へと突き立つや、立て続けに水柱を立ち昇らせる。もしもそのまま直進すれば、自ら爆風と弾片の渦巻く嵐に飛び込むか。或いは直撃弾を受けて先の輸送艦と同じ末路を辿るか。
 復讐者の放った砲撃は加速を躊躇わせるには十分すぎる威を纏っていた。それだけでも言外の意はありありと伝わるが、念には念を入れすぎると言う事は無い。サヨコは足を止めた敵艦隊の背に鋭く言葉を叩きつける。
「冥海機は種族の本能にまで逃げ癖が染みついているらしいな。台湾を捨て、東南アジアを去り、全ての鎮守府を失陥してここまで追い詰められた。それとも戦略的撤退、後方へ向かっての進軍とでも嘯くか?」
 彼女の言う通り、『超大和』の采配も有って戦術的には拮抗状態だが、しかして戦略的な高さに視点を移せば正に劣勢と言う他ない。敵艦隊がなまじそう言った情勢を把握できるだけの練度を備えていたのは、ある意味で不幸と言えよう。人は図星を突かれた時が最も苛立つもの。ギリと射殺すような視線が復讐者へと集中するも、サヨコが意に介する様子は無い。
「輸送船一隻を沈めて、それでどうした。これまで失った領土と釣り合いが取れるのか? いったい、貴様達はいつになったら捲土重来を図る? 母艦を失った復讐者からも逃げるなら、最早何にも挑めないだろうに……ここまで臆病で劣弱なクロノヴェーダは他にいないぞ。もしも降伏の仕方を習っていないのならば指導してやることも」
「や、かましいわぁああああッ!!」
 立て板に水とはこの事か。滔々と垂れ流される罵倒の数々を言い切る前に、怒髪天を突いた冥海機たちが照準も付けずに砲撃を放つ。命中させると言うよりも、兎にも角にも言葉を遮ろうとしたのだろう。アヴァタール級が手近な配下をはり倒しているが、怒りに我を忘れた兵を抑え込むのは容易い事では無い。
(ふむ……戦艦だけあってプライドも弩級、か。ただ、指揮官が依然として冷静なのは厄介だが、さて)
 そんな敵の混乱を観察しながら、サヨコは油断なく次の展開に備え次弾の装填を急ぐのであった。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【水面走行】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!

ラキア・ムーン
道具なんてものは、いくらでも変わりがある
そしてその価値も流動的だ
『しぶや』は今が最も価値のある働きが出来る時だ
存分に、利用させて貰う

水面走行を借り受け水上を駆けて離脱する敵集団を追いかけよう
【Call:Storm_Bullet】起動
大気を圧縮し弾丸を展開
敵の進路上へと放ち、牽制する形で追撃
敵との距離を詰める為に泥濘の地を発動
敵の移動速度を落とし、此方に対処せざるを得ない状況へと誘い込む

重ねて精神口撃で挑発

流石は二流の軍勢だな
生き残るために頭は回るらしい
この程度の戦力相手でも逃げの一手を選べるのは、なかなか出来んぞ誇るがいい
だが、所詮は後詰で待機していたようなジェネラル級の手駒だ
此方を倒してしまおうという気概も誇りも無いらしい
やはりグアムに詰めていた戦力が最も練度が高く、最も誇り高い軍勢だったらしいな
奴等は自らを盾に、ジェネラル級を逃がそうと戦ったぞ
それに何より、貴様等が気付いた事くらい大鷹が気付かない訳がない
自分の上司を信じられないとは、何ともお粗末だな
それとも、余程大鷹は頼りないのか?


●忠義は厚く、脆く
「馬鹿者どもめ……しかし、この有り様では多少の応戦も止むを得ませんか。数隻処断しても良いですが、包囲網を形成するには頭数が要る以上、軽々な振る舞いも出来ませんね。全く以て忌々しい……ッ!」
 復讐者目掛けて雨霰と砲弾を降り注がせてゆくトループス級たちを一瞥し、アヴァタール級は苦々しく歯噛みする。これでは復讐者側の思う壺だが、頭に血が昇った状態の部下たちを落ち着かせるには今暫くの時間が必要だろう。いまこの瞬間、一分一秒こそが贖い難い価値を持つのだと理解している指揮官からすれば、抗命行為で処分したいといった心境か。
(兵士や道具なんてものはいくらでも変わりがある。そして、その価値も流動的だ。その観点から言えば、『しぶや』は今が最も価値のある働きを出来る時だろう。である以上は存分に利用させて貰う)
 対して、ラキア・ムーン(月夜の残滓・g00195)もまた時間の重要性を十二分に認識していた。『しぶや』を犠牲とした一手は時間の経過と共にその衝撃力を減衰させる。故にその効力が完全に失われる前に、敵の転進を完全に中断させねばならないのだ。
 不規則に落下し水柱を立てる砲弾を掻い潜りながら、ラキアはくるりと愛用の突撃槍を翻す。乱れ狂う大気の流れを器用に手繰り寄せ、魔力を織り込みながら圧縮。不可視の弾丸を形成するや、敵の動きを牽制する様に発射。更には海水の粘度を上げる事により、物理的にも離脱を封じてゆく。
「戦艦を相手に足を止めての撃ち合いを所望するかッ! 包囲網にて殲滅する前に、その増長したツケを払わせてくれる!」
「増長しているのはどちらですか! 大鷹様のご下命を忘れたと言わせはしません! 急ぎ戻れと命ぜられた真意、よもや理解出来ていない訳ではないでしょう!」
 復讐者の行動にますますドツボに嵌るスラッグ級戦艦たちだが、旗艦たる『長門』が彼らの横面へ鉄拳制裁を加えて強引に統制を取り戻さんとする。そんな冥海機の涙ぐましい努力を、ラキアは皮肉気に斬って捨てた。
「流石は二流の軍勢だな。生き残るために頭は回るらしい。同胞らが海底に沈んでも尚、しぶとく逃げ延びただけの事はある。この程度の戦力相手でも逃げの一手を選べるのは、なかなか出来んぞ誇るがいい」
「ッ、あのような痴れ言に耳を貸してはなりません! 全ては次の機へ繋ぐ為の……」
「だが、所詮は後詰で待機していたようなジェネラル級の手駒だ。上が上なら、下も下か。どうやら、此方を倒してしまおうという気概も誇りも無いらしい。やはりグアムに詰めていた戦力が最も練度が高く、最も誇り高い軍勢だったらしいな」
 海軍らしい厳しさで部下を従えようとする指揮官だったが、復讐者の言葉によって不意にピタリとその動きが止まる。ビクリ、と。顔を張られても動じなかったトループス級たちが怯えた様に一歩後退りゆく。
「奴等は自らを盾に、ジェネラル級を逃がそうと我が身を顧みず戦ったぞ。それに何より、貴様等が気付いた事くらい大鷹が予期出来ぬ訳がない。自分の上司を信じられないとは、何ともお粗末だな。それとも、余程大鷹は頼りないのか? だとしたら兵卒として不幸極まりないものだ」
「……我らに対する侮辱は幾らでも甘んじて受けましょう。ですが、上官への暴言となれば話は別。その様な妄言を捨て置くなど、それこそ大鷹様への不忠となります」
 厚い忠義心も善し悪しと言った所か。振り返ったアヴァタール級の相貌は般若もかくやという有り様。こうした古式さも二次大戦期の軍人らしい精神性と言えよう。
 何はともあれ、懸念点だった指揮官も転進から迎撃へと翻意させることが出来た。これでもう離脱される恐れもない。だが此処からが本番であると、ラキアは油断なく得物を構え直すのであった。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【泥濘の地】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!

月鏡・サヨコ
理性的な相手だった。それでも今の挑発でついに火が点いたようだ
忠誠心それ自体は美質だ。だけど、冥海機ヤ・ウマトでは、忠義とは即ち己の生を顧みないことになる
……そのような世界から市民の命を護るために、私は戦っている

【水面走行】で海上を駆ける
【泥濘の地】を強化して更に敵の移動速度を低下
敵群が戦闘隊形を整えるのを遅れさせながら、実力を発揮される前になるべく多くを倒そう

≪巡洋戦艦海戦装『黒姫』≫の砲門から『零式弾・広域砲撃』を発射
思うような速さで移動できない敵たちの只中に榴弾を撃ち込み、炸裂させる
解き放たれた爆風に乗せて無数の弾片を撒き散らし、多数の敵に突き刺さるように
口の中や尻尾の裏に搭載されている砲弾に誘爆し、二次被害を引き起こせればなお良い

連装機銃は≪海戦装用増設防盾≫を敵に向けて防御
多数の敵に狙われ別方向から弾幕を張られても、左右の防盾を海戦装ごと動かしてガード方向を調整し耐えるよう

あなた達にも、自ら作り上げたヤ・ウマトの理に殉じてもらおう
名誉と忠誠の名の下に、人々が犠牲となっているように


●己が大義に殉ずるべし
(トループス級は兎も角、指揮官は飽くまで冷静な相手だった。が、それでも今の挑発でついに火が点いたようだ。沸点が自らの事では無く上官に対してと言うのは、武士道的と言うべきか否か)
 挑発と実力行使を織り交ぜた結果、復讐者たちの目論見通り敵艦隊の転進を中断させる事に成功した。怒気を滲ませる冥海機たちを前にしながら、月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)はふむと敵陣を観察する。
 最期まで統制を保とうとしていたアヴァタール級に一線を越えさせたのは、ジェネラル級空母『大鷹』への侮辱によるもの。敵でなければ好ましい点と言えるだろうが、今回の様にそれもまた良し悪しだろう。
(忠誠心それ自体は美質だ。だけど、冥海機ヤ・ウマトでは、忠義とは即ち己の生を顧みないことになる。海戦に引き出された船乗りや軍属のように、な……そのような世界から市民の命を護るために、私は戦っている)
 史実における太平洋戦争の内容については今日においても是非の議論は止まない。国家総力戦の時代、市井の民草まで動員し勝利の為に戦った。しかし、この改竄された歴史では何がどうなろうとも一般人に安息は齎されぬ。あるのはただ、文字通り資源として使い潰される未来だけだ。
(今はまだ頭に血が昇っているお陰で好戦的だが、劣勢になれば冷静さを取り戻しかねない。万が一再び離脱を試みられても面倒だ。念には念を入れ、残留効果を重ね掛けしておこう)
 サヨコが海面へ意識を向けると同時に海水が更なる粘度を帯びてゆく。それにより一割から二割へと、機動力を低下させる効果が上昇してゆく。こうなると徐々に、そして如実に違和感を覚えるレベルとなる。
「むぅ、行き足がますます鈍く……おのれディアボロスめ、何か仕掛けているな!」
「構わん! 快速が命の駆逐艦や巡洋艦と異なり、我らは火力と耐久力こそが売りよ! 足を止めての撃ち合いならば望むところだ!」
 目に見えて速度が落ちてしまう一方、トループス級たちの士気は依然として旺盛だった。彼らは両腕を突き出すや、指先から夥しい数の弾丸によって機銃弾幕を形成。水平線上に居る復讐者目掛けて火力を投射してゆく。
 機銃と侮る事無かれ。航空機を撃ち落とすべく戦艦は針鼠の如き火砲を備えており、それは砲撃戦主体の冥海機でも変わらぬらしい。サヨコは咄嗟に防盾を展開して防ぐも、金属同士がぶつかる甲高い音が耳朶を打つ。角度を調整して身を守るものの、手数は圧倒的に相手の方が上。間隙より滑り込んできた弾丸が小柄な体を穿ち貫く。
(この様子では水平に直射しても撃ち落とされるのが関の山か。ならば、その火線を本来の用途で使って貰うとしよう)
 痛みに顔を顰めつつ、サヨコは海戦装の仰角を調整。先ほどと同じく放物線を描く軌道で砲弾を放つ。しかし先程とは異なり、その着弾地点は敵陣の真っ只中。咄嗟に両腕を頭上に上げて迎撃を試み、掃射を浴びたそれは宙空で爆散してしまう。
 だが、それは早爆したからではない。時限信管によって榴弾が起爆したのだ。結果、吹き荒れる爆発の衝撃によって無数の鉄片が撒き散らされ、死の嵐と化してトループス級に襲い掛かる。
「ぬぅぅ、小癪な! だが徹甲弾ならいざしらず、戦艦が榴弾如きで沈むか、っとがあぁ!?」
「ちぃ、装甲の貫徹では無く弾薬への誘爆狙いか! 姑息な真似を!」
 トループス級だが戦艦の名を冠する者たちだ。耐久力は比較的高く、言葉通りしぶとく頑丈。しかしその一方で砲弾類が露出しており、運悪く被弾した艦は爆発炎上してしまう。彼らは炎の塊と化して海底へと沈んでゆく。
「あなた達にも、望み通り自ら作り上げたヤ・ウマトの理に殉じてもらおう。名誉と忠誠の名の下に、人々が犠牲となっているようにな。よもや、誇り高き軍人が否やとは言うまい?」
 斯くしてそんな敵艦の末路を見据えながら、サヨコは淡々と次弾を装填してゆくのであった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【泥濘の地】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!

ラキア・ムーン
上官への忠義は高い、か
こういう状況でなければ厄介だったろうが、今回はそれに助けられたな
ならばこそ、この機は逃さん
敵が冷静になる前に倒しきる

水面を駆け、敵のダメージ量を見ながら早期に数を減らすべく火力を集中
確実に敵の数を減らし、戦況を此方に優位な状況へと持ち込もう
【Call:Homing_Javelin】起動
術式により炎の槍を複数展開し、敵へと狙いを付ける
攻撃目標を設定、最短経路で飛ばす
命中した炎の槍を「爆破」し、炎を燃え上がらせマーキング
次の攻撃時に攻撃目標を決める際の指標とし、効率的に敵の数を減らしていこう

《RE》Incarnationを両手で盾替わりに持ち、前面への防御を固めよう
足を止めず駆けながら、正面からの機銃は槍で
側面等は武装制服で受け、地肌に直撃はしないように防御しながら耐えて対処して行こう
耐えきったら次の行動に繋げ、トループス級の早期制圧を狙って動く

貴様等程度では、『しぶや』一隻の価値にも及ばんな
だが、落とし前は付けて貰おう……此処で沈め

アドリブ連携等歓迎


●砲火を呑む業火
「正々堂々の戦いならばいざ知らず、この様な絡め手に翻弄されるでない!」
「然り! 無様な戦振りは大鷹様の名に泥を塗るぞ!」
 火達磨と化し、ゆっくりと海中に没してゆく同胞を目の当たりにしながらも、トループス級の士気は未だに旺盛であった。依然として数の上では冥海機側に分があり、ここで武勲を立てねば戦艦の名折れと意気込んでいるのであろう。
(上官への忠義は高い、か。こういう状況でなければ粘り強く抵抗され厄介だったろうが、今回はそれに助けられたな。ならばこそ、この機は逃さん。敵が冷静になる前に倒しきる)
 通常であれば敵が勢い付くのは悪い傾向だが、ラキア・ムーン(月夜の残滓・g00195)は寧ろ好都合だと冷静に戦況を分析する。兵卒は如何なる時でも作戦目的を取り違えてはならない。復讐者の成功条件は敵艦隊の撃滅だ。
 そう言う意味では、戦闘に付き合ってくれるのは願ったり叶ったりと言えよう。逆に相手は本命である『包囲網の構築』を忘れ、その前段階で足踏みをしてしまっている。無論、それがいつまでも続く訳も無し。相手が我に返る前にケリをつけねばなるまい。
(先の一戦のお陰で奴らが現状で出せる速度の上限、及び弾薬類を抱えた脆弱部を割り出すことが出来た。トループス級とは言え、戦艦である事に変わりはない。場合によってはこの後にジェネラル級との決戦が待っている可能性も高いんだ。馬鹿正直に殴り合ってやる義理も無し)
 指先の機関銃は無論、全身に搭載された主副砲の火力は馬鹿にならないだろう。真っ向からの撃ち合いともなればこちらも相応の痛手を覚悟せねばなるまい。しかし幸いにも、どこを攻撃すれば誘爆による内部破壊を狙えるかは判明している。である以上、それを狙わない手なぞ無かった。
 ラキアは先の砲撃による各艦の損傷具合を割り出しながら、再び突撃槍へと魔力を注ぎ込む。それは大気に触れるや否や瞬時に発火。吹き上がる焔は宙空で無数の槍と化し、揺らめく穂先の狙いを敵艦へと定めてゆく。
「まずは頭数を減らす事が最優先だ。行き足が鈍り、力尽きた者から落伍してゆくのが艦隊戦の常……これも戦場の倣いだ、恨まないで貰おう」
 果たして、術者の意に応じて炎槍が敵艦隊目掛けて襲い掛かる。その姿はさながら雷撃機、否、海面スレスレから迫り来る誘導弾と言った有り様だ。それを受けて迎撃の弾幕を形成出来ただけでも賞賛に値するだろうが、撃ち落とすには手数も速度も足りなかった。
「ね、狙いが定まらん!? 駄目だ、避けられん! があああッ!?」
「主砲では照準する間もないか。本体だ、ディアボロス本体を狙え!」
 着弾と同時に爆破、炎上。そのまま轟沈する艦もあれば、何とか踏み止まる艦も居る。だがその全身には業火が纏わりついており、煌々と輝く火柱と化す。これでは例え初弾を耐えられたとしても、第二射の良い的となってしまう。
 無論、トループス級もただやられている訳ではない。炎槍を撃ち落とす事は困難であると悟るや、迎撃を諦めラキア自身を狙ってきた。突撃槍を盾代わりにしつつ海面を駆け抜け、照準を定められぬよう立ち回る。しかしそれでも、投射される弾丸はかなりの密度だ。手足を掠める銃撃により、飛び散った鮮血が海原へと波紋を残してゆく。
「多少はやるか。だが、飽くまでも『多少』止まりだ。貴様等程度では、『しぶや』一隻の価値にも及ばんな。だが、容赦はしない。落とし前はきっちりと付けて貰おう……此処で沈め」
「砲撃戦に持ち込めれば、ディアボロス如きに遅れは……ッ!?」
 炎上するトループス級は復讐者の言葉に反駁するも、続けて投じられた炎槍によって今度こそ轟沈。また一隻をミッドウェーの海底へと沈めながら、ラキアは着実に敵戦力を削いでゆくのであった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!

乾・玄辰
作戦の一環と思い、慣れぬ悪口を並べたものだけれど……
嘲弄した詫びだ。ご自慢の砲撃戦、受けて立とうじゃないか。

箒で【飛翔】を続けながら腰に佩びた『残骸劍・布都御魂』を引き抜き、敵艦目掛け海中に放る。

冥海より出でし軍勢よ、知っているかい?根の国の在り処とは、地底であり海底であることを。
――根の国より這い出した遠呂智の暴威、果たして火砲で薙ぎ払えるかな?
"冥雷・禍津遠呂智"の祝詞を唱え、海面下から稲光る遠呂智の黒雷で敵艦を飲み込む。
鎌首をもたげた大蛇の如き雷を一つまた一つ招来し、敵艦隊の水面下で縦横に暴れ回らせる。

とは言え、堅牢無比は戦艦の常。そう易々とは仕留めきれまい。
火力は絶大なれど旋回性能に劣るとならば、黒雷を操りながら海面すれすれに飛び敵の照準を惑わす。
あの大口径、至近弾でも吹き飛びかねないからね。
敵弾の夾叉に捉われない為にも、単調なマニューバとならぬよう注意せねば。

喫水下を狙う魚雷は戦艦を海の藻屑に変える大敵だったか。
お前達の僚艦とは一味違った魔法使いの雷撃戦、存分に味わうが良いさ。


●砲雷撃戦を制する者は
「ざ、残存艦艇は何隻残っている!? 損害状況を報告せよ!」
「砲撃戦さえ、艦隊決戦さえ出来れば、我らが優勢は揺るがぬと言うのに……ッ!」
 既に交戦開始から短くない時間が経過し、ミッドウェーの海原は荒涼さを増していた。あちこちで火柱が立ち昇り、海面に広がった重油が黒々とした光沢を放ち、波間には海戦装の残骸が浮かんでは沈みゆく。
 徹底して相手の強みを封じる戦い振りにより、復讐者はトループス級の戦力を大きく削ぐ事に成功している。残った戦力を掻き集めんとする敵艦隊を一瞥し、乾・玄辰(最後の魔法使い・g01261)は複雑そうな表情を浮かべていた。
(作戦の一環と思い、慣れぬ悪口を並べたものだけれど……これは些か、敵ながら忍びないものだ)
 俗に大艦巨砲主義の時代は航空機の発展によって終わりを迎えたと言われている。先に仕掛けた仲間の戦い振りはそんな歴史をなぞる様な内容であった。無論、相容れぬ敵である以上、手段を選ばず殲滅するのが最善だ。しかし、それでも通すべき道と言うものもまた存在しよう。
「散々に嘲弄した詫びだ。そんなに艦隊決戦を望むのならば是非もなし。ご自慢の砲撃戦、受けて立とうじゃないか」
 引き続き箒に跨り海上を飛翔する玄辰は、敢えて真っ向からの撃ち合いに付き合う事を選ぶ。魔法使いはこれ見よがしに己の姿を晒してトループス級の注意を惹きながら、気付かれぬようそれとなく海中目掛けて腰に佩いた諸刃の剣を投じてゆく。
 一方、相手も抜け目なくこれを好機と捉えたのだろう。頭部と背中に搭載された二基六門の主砲を回頭させるや、一斉に大火力を解き放つ。自慢するだけの事はあり、大気を引き裂きながら復讐者目掛けて飛翔したそれらは、掠めただけでも青年の身体を軋ませ、炸裂した衝撃は水柱を生み出してもなお殺し切れぬ程だ。
「ふはははは! 見たか、これこそ戦艦の真価、我らの実力よ!」
「成る程、これは確かに直撃すれば只では済むまいよ……だが、時に冥海より出でし軍勢よ、知っているかい? 根の国の在り処とは、地底であり海底であることを」
 ――根の国より這い出した遠呂智の暴威、果たして火砲で薙ぎ払えるかな?
 激痛に顔を顰めながらも、玄辰は不意にそう問いかける。先の挑発とは明らかに趣が異なる内容に、思わずトループス級は訝し気に眉根を顰めゆく。だが、何か不吉な気配だけは感じ取ったのだろう。構わず第二射を装填せんとするが、一手早く復讐者が祝詞を口遊む。
「根の国蠢く遠呂智の冥雷、疾う疾う降りませい。疾う疾う黄泉還りませい――怒り給え、屠り給え。神ながら、荒魂。猛り給え、狂い給え」
「何をして……っぅ!?」
 刹那、海底が暗く光を放つ。何事かと足元を見やれば、閃光の中にのたうつ細長い『何か』。不味いと思った次の瞬間、海面を突き破って飛び出した大蛇の如き黒雷がスラッグ級戦艦を呑み込んだ。
 海中に投じた魔剣を触媒とした、神話に名高き神威の招来。一本、また一本と頭を増やしながら遠呂智の牙が敵艦へと突き立てられる。その威力は絶大であり、致命打は避けられぬ。しかし、それでもなお辛うじて持ち堪えて見せたのは戦艦としての矜持故か。
「ぬぅぅうう! ここで、沈んで、堪るものかぁッ!」
「堅牢無比は戦艦の常。そう易々とは仕留めきれないか。ならば太古の威と現代技術の結晶、どちらに軍配が上がるか試すとしよう」
 斯くして、戦闘海域は文字通り砲雷撃戦の坩堝と化す。黒雷を手繰る玄辰は直撃だけは回避すべく縦横無尽に飛び回り、トループス級は砲身の過熱も構わず射撃を続ける。その果てに勝利を掴んだのは――。
「……喫水下を狙う魚雷は戦艦を海の藻屑に変える大敵だったか。お前達の僚艦とは一味違った魔法使いの雷撃戦、存分に味わって貰えたかな?」
果たして、立っていたのは箒に跨った青年だった。周囲を見渡しても動く艦影は見当たらない。そう、指揮官であるアヴァタール級一隻を除いては。玄辰は己が戦果を確かめながらも、超弩級戦艦との戦いに向けて気を引き締め直すのであった。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【飛翔】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!

ラキア・ムーン
長門……か
ビッグセブン、火力には要注意といった所か
だが、臆している時間は無い
ミッドウェーでの戦い、こちらが勝つ

限定解除、形状変換
再誕の槍よ更なる先へ……《RE》Incarnation:Extend、顕現

水面走行でそのまま駆ける
前傾姿勢で槍を構え、突撃態勢
敵の周囲を旋回するように移動し、円を描くようにじりじりと距離を詰める
あと一駆けの距離まで寄ったら、旋回を止めて一気に接敵
【Call:0_0_0】起動
魔力の槍を展開し、槍へと重ねる
槍を強く握り、水面を蹴りそのまま突き立てる!
魔力の槍で海戦装ごと、本体を狙い穿つ「貫通撃」
渾身の一撃でしっかりと長門を削っていき、ダメージを蓄積させていこう

攻撃後は槍を引き防御姿勢
敵の主砲角度をよく観察し、砲撃方向を推測
防御に繋げる為に活用し、砲撃を斜めに受け水面に落すように受け流して耐える
直撃しないように注意しながら戦闘を継続していこう
連携出来るようなら仲間と連携し、攻撃が途切れないように一気に攻め続ける

決着を付けよう
ここ一番の大勝負、勝ちに行くさ

アドリブ等歓迎


月鏡・サヨコ
長門……帝国海軍の象徴であり、戦中から今に至るまで最も有名な軍艦の一隻
アヴァタール級であろうとその名を奪った冥海機の火力は侮れない
向こうの望むまま撃ち合いに持ち込まれるよりは、此方から向かっていくべきか
……これより、敵戦隊旗艦を撃滅する

引き続き【水面走行】と【泥濘の地】を発動しながら戦闘
容易に狙いをつけられないように左右に進路をくねらせながら、海上を駆け抜けて長門への肉薄を試みる
周囲から襲い来る砲撃の爆風は海戦装の側面に備わった≪海戦装用増設防盾≫で防ぎ、足を止めず距離を詰めよう

≪対艦軍刀『銀鉤』≫の間合いに敵を捉えた瞬間、『月鏡流抜刀術・連波』
鞘の機構で刀を電磁加速して抜き放ち、神速の居合と返す刃を瞬時に叩き込む
その速さ故に、敵に余力があっても反応は容易でなく、仲間の攻撃に怯んでいるなら一秒の隙も無駄にせず命を刈る
同時に放たれた反撃の主砲は、素早く刀を引き戻しその刀身で受けよう
破壊的な力を受け流して直撃を避ける

ここがあなたの最期の海だ
……終わりなき戦いを忘れ、波に抱かれて静かに眠れ


乾・玄辰
――陸奥と長門は国の誇りか。
過ぐる大戦の遙か後年に生を受けた僕ですら、
日ノ本の民としてその名に思うところはあるさ。
それがたとえ、同じ艦名を有するだけの相容れぬ存在であれ。
僕に出来る鎮魂は、死力を尽くしかの敵を討ち果たす事のみ。

ウッドストックの古めかしい四式詠唱小銃『火奔』を構え、
懐の『バベッジ機関式小型疑似八卦炉』から魔力回路を小銃に接続。
"黒熾の魔砲"の発射シークエンスに移行しながら【飛翔】する。
海面を駆ける仲間はいずれも近接戦か。遠距離からの支援砲撃で突撃を援護しよう。

初弾発射後は瑚礁の檻に絡め取られぬよう高度を取り、箒の最大戦速で長門に接敵。
美しくも悍ましい珊瑚の牢獄……嗚呼。どこか彼女の眠る海を彷彿とさせるね。
しかし、ここで死の環礁に墜ちる訳にはいかない。
【未来予測】で致命傷のみ紙一重で避け撃ち込めさえすれば……耐えてくれよ、箒星。
急降下からの反航戦ですれ違う一瞬のタイミングを逃さず、最大出力の魔砲を放つ。

この一撃を以て、長門という艦への手向けとする。
……さらば、海の古強者!!


●ミッドウェーに砲火は響く
「大鷹様より預かりし兵力が、よもや全滅……! これもひとえに部下を御し切れなかった我が身の不徳の致すところ。おめおめと逃げ帰っても合わす顔がありませんッ」
 つい先ほどまで気炎を吐いていたトループス級はもう、その全てが冷たい海底へと姿を消していた。彼らの存在を示す残滓は波間を染める重油や、それらに燻る炎のみ。己が失態を悟ったアヴァタール級は苦悩に相貌を歪ませながらも、もはや選択肢が残っていない事を悟る。
「長門……連合艦隊旗艦も務めた帝国海軍の象徴であり、戦中から今に至るまで最も有名な軍艦の一隻。一説には秘匿されていた大和よりもなお知られ、人気があったと聞く」
「姉妹艦と合わせ、『陸奥と長門は国の誇り』か。過ぐる大戦の遙か後年に生を受けた僕ですら、日ノ本の民としてその名に思うところはあるさ。それがたとえ、同じ艦名を有するだけの相容れぬ存在であれ、ね」
 状況的には復讐者側の優勢と言って良かったが、月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)も乾・玄辰(最後の魔法使い・g01261)も、相手を侮るつもりなど毛頭なかった。長門級戦艦一番艦『長門』。第二次世界大戦時における帝国海軍の『顔』であり、終戦まで生き残った後は水爆実験の標的艦とされながらも耐え切った武勲艦である。
「世に名高きビッグセブンの一角。ジェネラル級でなくとも、帯びし火力には要注意といった所か。耐久力も既に歴史で証明済みだが、臆している時間は無い。ミッドウェーでの戦い、こちらが勝つ」
「ああ。アヴァタール級であろうと、その名を奪った冥海機の火力は侮れない。向こうの望むまま撃ち合いに持ち込まれるよりは、此方から向かっていくべきか。」
 砲撃戦能力の高さは元より、核兵器を耐え切った基本設計は特筆に値するだろう。引き続き突撃槍を構えるラキア・ムーン(月夜の残滓・g00195)も油断なく彼我の間合いを測りゆく。
 彼女の言葉通り、この戦いは双方ともに来たるべき決戦の前段階。八隻のジェネラル級、そして断片の王たる『超大和』との戦いに向け、こんな所で足踏みなぞしてはいられないのだ。ふむと、その傍らではサヨコも思案を巡らせている。
「どう立ち回るにせよ、僕たちに出来る鎮魂は、死力を尽くしかの敵を討ち果たす事のみ。配下の殲滅は為ったとはいえ、余力を出し惜しめば返り討ちにされかねないだろう」
「違いない。ならば、手は一つか。限定解除、形状変換。再誕の槍よ更なる先へ……《RE》Incarnation:Extend、顕現」
 ただ、眼前の敵が強敵であると言う一点だけは間違いない。魔法使いの言葉に、魔なる女は然りと頷きを返す。ラキアは手にした得物の安全制限を取り払い、真の姿へと変じさせる。馬上槍じみた巨大さを誇る一振りは、正に雌雄を決するに相応しいものだ。
「準備は整ったようだな……これより、敵戦隊旗艦を撃滅する」
「刺し違えてでも冥府の道連れにして見せましょう。それが大鷹様に対する責任の取り方と言うもの。『長門』、いざ参るッ!」
 斯くしてサヨコの言葉を皮切りに、復讐者と冥海機はほぼ同時に動き出すのであった。

「既に数の利は失われました。海水も不自然な粘度を持っており、馬鹿正直に真正面からぶつかっても犬死は避けられません。である以上、少しでも差を詰めるのみッ」
 斯くして、まず先手を取ったのは冥海機側。長門の足元から突き出していた珊瑚がパキリと音を立てるや否や、アヴァタール級を中心として周囲へと広がってゆく。見た目は優美だがそれらの硬度は鋼鉄と同等レベルであり、先端は杭の如く鋭く尖っていた。
 無為無策で突っ込めば痛手は免れまい。箒に跨り加速し始めていた玄辰は咄嗟に機首を翻し、不用意に踏み込むのを避ける。接近に反応して飛び出して来た珊瑚に肌を薄く裂かれつつも、魔法使いはチラと彼我の動きへと視線を走らせてゆく。
(展開した珊瑚礁でこちらを足止めしつつ、その間に砲撃を叩き込むつもりの様だ。対して、海面を駆ける仲間はいずれも近接戦に持ち込む腹積もりか。となれば、一先ず遠距離からの支援砲撃で突撃を援護しよう)
 白き軍人は身の丈ほどもある対艦軍刀を腰に佩き、黒き女は形状を変化させた突撃槍による吶喊を狙っていた。力量的に肉薄自体は可能だろうが、このままでは要らぬ損害を被る可能性は否定できない。
「疑似八卦炉爆縮開始――階差解析機関制御良し。魔術回路は巽に直結――銃身内施条加速旋廻。最終安全装置解除――太極の彼方に劫滅せよ」
 なればと、青年は木製銃床の古めかしい小銃を取り出し構える。懐から小型の外部動力源を接続し狙いを定めると、トリガーを引き絞った。刹那、八卦陣が展開すると共に暗赤色の熱線が放たれゆく。
 それは砲撃体勢を取っていたアヴァタール級へと直撃し、軽くはない痛手を与えた。しかし、相手の耐久力は折り紙付きだ。長門はすぐさま玄辰の姿を捉えるや、意識をそちらへ集中させる。
「徒に高度を上げるとは不用意ですね。それで我が珊瑚から逃れられるとでも?」
 珊瑚は瞬く間に天高く伸びると、素早く復讐者を絡め取る。全身を縛める圧迫感、先端が骨身に食い込む激痛が青年を苛むが、ここまでは玄辰とて織り込み済みだった。
「美しくも悍ましい珊瑚の牢獄……嗚呼。どこか彼女の眠る海を彷彿とさせるね。これが平時であればどんなに良かった事か。しかし、ここで死の環礁に墜ちる訳にはいかない……耐えてくれよ、箒星」
 狙いは相手の意識を僅かばかりでも逸らす事。展開されていた珊瑚が魔法使いへと差し向けられた結果、仲間たちの行く手を遮る障害の密度が薄くなったのだ。そうして疎らに珊瑚が突き出す海域へと飛び込んだ彼女らの動きはある意味で対照的だった。
 即ち、ラキアは弧を描くかのように敵の周囲を旋回し。一方のサヨコは左右へ小刻みに蛇行しながら、それぞれ距離を詰める。主砲の火力はまず間違いなく先のトループス級以上。纏まって行動している最中に直撃弾を受ければ、確実に一網打尽とされてしまう。それを避けつつ、更に狙いを分散させるべく二手に分かれたのだ。
(時間に余裕がある訳では無いものの、何事も急いては事を仕損じる。少しずつ、だが着実に距離を詰め、あと一駆けの距離まで迫ったら一気に踏み込む。尤も、敵とてこちらの目論見なぞ百も承知だろうがな)
 ラキアは手にした得物の全体へと魔力を伝わせ、静かに必滅の威を纏わせてゆく。薄っすらと燐光を放ちながら機を窺う復讐者に対し、冥海機は受けに回ればジリ貧だと理解しているのだろう。海戦装に背負いし二基四門の連装主砲をそれぞれ回頭させると、轟音と共に砲弾を解き放つ。
「どうしましたか、ディアボロス! よもや、勝ちを確信して無用な手傷を惜しむつもりですか? 生半な覚悟で沈められる程にこの長門、容易くはないッ!」
「ッ!?」
 風切り音が耳朶を打ったかと思うや、視界を砲弾の黒影が埋め尽くす。直撃軌道だが、真っ向から受けるのは自殺行為。ラキアは咄嗟に槍を斜めに構え、砲弾の受け流しを試みる。ギャリ、と。不快な金属音と共に凄まじい圧力が加わり、全身が軋みを上げてゆく。
 果たして、紙一重でいなす事に成功。弾種が榴弾では無く徹甲弾だったのが幸いしたか、すぐ斜め後方へと着弾した砲弾は激しい水柱を立ち昇らせるだけに留まった。こうなれば次弾を放つまでに多少の装填時間が生じる筈。反撃に転ずるなら今しかないと、未だ衝撃に痛む身体へと鞭を打つ。
「核の炎にすら耐え切る頑健さ、相手にとって不足なし。再誕の槍の名の下に……我は世界を穿つ者也!」
 海面を割らんばかりに踏み締めるや、渾身の力を以て得物を繰り出す。全体から放たれる極光が相手の視界・センサー類さえも白く塗り潰し対応を妨げる事で、ほぼ無防備な状態の敵目掛け吸い込まれてゆく。
 しかし、それでもなお反応したのは元が歴戦の艦と言うべきか。艤装の一部を代償にしつつ、致命打を回避。破壊された部品や血液の如き重油を撒き散らしながらも、攻撃後に素早く離脱を測るラキアへと第二射を撃ち込まんとする、が。
「……その敢闘精神は敵ながら認めよう。だが、此方が三人居る事を忘れて貰っては困るな」
「ち、ぃいいッ!?」
 その隙を見逃す程、軍人は甘くなかった。砲撃が放たれる直前、間髪入れずにサヨコが長門の懐へと飛び込んだのだ。離脱しつつある敵と、今まさに襲い掛からんとしている敵。どちらを優先すべきかなど火を見るよりも明らかだ。
 アヴァタール級が見せた反射速度は正に神懸かっていたと言えるだろう。強引に身体ごと砲塔を回転させるや、照準を合わせる間もなく発射。自らが余波を被ることすら厭わぬ超至近距離砲撃により、半ば強引に復讐者を引き剥がさんとする。
「防いでもなお総身を打ち据えるその威力は、確かに奪いし名に恥じぬ一撃だろう。それでも一手分、此方は残した。ならば、その命脈を断つには十二分だ。一秒の隙も無駄にせず、その命を刈り取らせて貰う」
 濛々と立ち込める砲煙に長門は手ごたえを確信したものの、煙越しに響く声音に相貌を強張らせた。それらが晴れた時、サヨコの見た目は満身創痍としか表現できぬ有り様。咄嗟に展開した防盾は無惨にも撃ち破られ、真白い軍装は煤と傷口から滲み出た鮮血で赤黒く汚れていた。
 しかし、彼女の構えは不動。腰を落とし、鞘に納めた対艦軍刀の柄に手を掛けたまま。鯉口を切ると同時に閃光が迸ったかと思うや、音すら置き去りにせし一閃が振り抜かれた。さしもの冥海機も今度は反応が間に合わず、深々と胴を真一文字に切り裂かれてしまう。
「まだです、まだ……まだ、沈みはッ!」
「いや、残念だがこれで終わりだ」
 通常であれば致命の一撃だが、それでもなお動けるのは生まれもった頑強さか、任務に対する責任感か。抵抗を続けようと叫ぶアヴァタール級へと、サヨコは否を突き付ける。その言葉を裏付けるかの如く、不意に敵旗艦の周囲へ影が差す。
 ハッとそちらへ視線を走らせれば、頭上と背後の死角にそれぞれ一つずつ人影が迫っていた。珊瑚の縛めから解放され、相手の直上を取った玄辰。仲間のお陰で追撃を免れ、再攻撃へと移ったラキア。畳み掛ける様に両者が攻撃を仕掛けており、同時に襲い掛かるそれらを凌げるだけの余力など、長門にはもう残っていなかった。
「さぁ、決着を付けよう。決戦前の前哨戦と手を抜くつもりは無い。紛れもないここ一番の大勝負、是が非にでも勝ちに行くさ」
「然り。例え名を簒奪した存在であろうとも、強敵であった事に変わりなし。この一撃を以て、長門という艦への手向けとする……さらば、海の古強者!!」
 水平線より放たれる無限光、天より海原を貫く原初の劫火。三次元的な十字砲火がアヴァタール級へ今度こそトドメを刺す。耐久限界を迎えた躯体は先のトループス級同様、崩壊し無数の残骸と化してゆく。
「大鷹さま、命令をまもれず、もうし、訳、あ……――」
「ここがあなたの最期の海だ……終わりなき戦いを忘れ、波に抱かれて静かに眠れ」
 末期の叫びに対し、サヨコはせめてもの情けとして言葉を手向ける。果たして、それが届いたかどうか。名高き戦艦の名を冠する冥海機は、遂にミッドウェーの海底を埋める鉄の一片へと還っていった。

 斯くして復讐者たちは幾ばくかの手傷を負いながらも、『しぶや』破壊に投入された艦隊を殲滅する事に成功した。飽くまでも敵戦力の一部に過ぎないが、積み重なれば無視できない損耗となり、ジェネラル級を引きずり出す事も可能だろう。
 既に並行して断片の王『超大和』の座すミッドウェー鎮守府の攻略も進められており、依然として戦況は予断を許さない。三人は疲労を覚える身体に喝を入れながら、更なる戦いに備えて帰投してゆくのであった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
【罪縛りの鎖】LV1が発生!
【未来予測】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!
【グロリアス】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2024年11月23日