リプレイ
月下部・小雪
ふぅ、今日も地下大空洞の調査に行きましょう。
コダマ、今日はあっちの方に向かってほしいそう、です。
で、では、ゴンドワナ探検隊、出動です!
えへへ、湖までは問題なく来ることができましたね。
地下なのにこんなに大きな湖があるなんてびっくり、ですね。
河もありますが、このお水はどこからきているのでしょうか?
コダマと一緒に湖岸で少し遊んで英気を養ったら……こ、この河を上って行ってみましょう!
だ、大冒険の始まりです!
ストックを突きながら道なき道をどんどん突き進んでいきます。
巨獣ではない動物さんがいれば、【動物の友】を使ってこの先に何があるか聞いてみましょう。
め、目指すは巨獣さんが巣食っている洞窟、です!
※アドリブ連携大歓迎
捌碁・秋果
※アドリブ歓迎!
植物の記録にかこつけてスケッチに挑戦!
いつもとは違う理科的なスケッチですよ。ちゃんと硬い鉛筆も準備して準備はOK!いざ、線と点描の世界へ!
被写体は一本のシダ植物。携帯端末にメモッた理科スケッチのルールを確認しながら描きます。
…うっかり線を重ねて描いちゃった。消してやりなおし。
…点描って思った以上に面倒だなぁ。
…ええっ、影って描いちゃダメなの?
…濃淡は点描で表現。うう、点描はもう描きたくないよう…。
なんとか描きあがった絵はシンプルすぎて貧相に見える。この、画力の低さを露呈された感じ…!
べ、べつにイラストレーターとか画家を目指しているわけじゃないからいいですけど!
それに貧相な作品でも色を塗ればそれなりに見えるというもので…えっ、色も基本的には塗らないの!?
………端末で撮れば正確な事実だけを映し出します。なんの技術がなくてもタップすれば1秒もかからずにそれができる。
いやー、科学の発展って素晴らしいなあ。
(端末で植物や地質の写真をぱちぱち撮りながらお散歩)(文明の利器に感謝!)
今咲・栄華
(トレインチケット)
柳田・太郎
(トレインチケット)
渕上・澪乃
(トレインチケット)
下弦・魔尋
(トレインチケット)
●到着! 美しき地底の湖!
「……コダマ?」
自身のモーラット・コミュ『コダマ』が、彼女を、月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)を導く。
デーモンにしてデジタルサマナーの彼女は、コダマに導かれ……、
「……わぁ、ひろいなぁ……」
湖のほとりに出て、その景色を目の当たりにした。
小雪は広いと感じたが、その湖は、少し小さめではあった。
だが、その佇まいは神秘的で……まるで太古の神々、またはそれに準じた何かが潜んでいるかのよう。囲っている熱帯雨林のような木々は、さしずめ湖を守る神殿のようにも見える。
「これは……確かに神秘的だね。うん、何か……絵画みたいだ」
と、その隣に立つは、捌碁・秋果(見果てぬ秋・g06403)。芸術を好む彼女は、『湖』の佇まいに、どこか……神秘性を見出していた。
湖の周囲には、種々雑多な植物が群生している。そのうち一つ……大きく葉を茂らせるシダ植物が、彼女の目を引いた。
「さって、それじゃあ……スケッチでもするかな」
秋果は用意した画板にスケッチブックを乗せ、同じく用意した硬い芯の鉛筆……HBの鉛筆を取り出し、湖の岸、その一角に座り込んだ。
「あ、あの……絵を、かくんですか?」
小雪の問いに、
「あ、うん。まあね。っても、いつもの『芸術』としての絵じゃなくて、研究材料としての『理科的』なスケッチをしようと思ってね」
スケッチする技術は、芸術のみならず、学術的な理由からも求められている。建築家は自己のイメージ伝達に用い、考古学者や古生物学者は、発見した遺跡や遺物、化石を正確にスケッチし学術的な記録とする。
生物学者もまた、発見した動植物の形態・形状の記録にスケッチが欠かせない。昨今では写真およびそれに準じる機器が発展しているが、それらが描き切れない事実をスケッチでは残す事が出来る。
「……ピントをずらすと奥にはまだまだ、隠れた別構造も発見できるかもしれないしね」
と、さらさらと紙にスケッチを始める秋果。
「いいなあ……ボクも絵が描けたら……」
コダマや……お姉ちゃんを描けたらいいな。そんな事をちょっと夢想しつつ、
「じゃあ、秋果さん。ボクは湖岸でコダマと少し遊んだ後、回ってみますね」
「うん、行ってらっしゃい」
そんな彼女たちに続き、
「……っあーッ! リゾート地ってェほどじゃあねェけどォ、ここも中々にいい景色じゃァねェか」
今咲・栄華(ゲットワイルド退職・g00910)が、大きく背伸びしつつ、『日々の疲労よストレスよ、この場で消え去りやがれ』とばかりに、深呼吸した。
「いやまったく、こうやって奇麗な自然を見るだけで、アタシも心が浄化される気分ですよ。それに空気もうまいねぇ」
彼女の隣で、太鼓腹の妖狐……柳田・太郎(妖狐の吟遊詩人・g00636)も深呼吸を。
「それでそれで? 何するにゃ? 冒険? 探検? 水泳する? それとも森の中に? なんだか、楽しくなってきたにゃ!」
ゆったりした二人より、若さゆえの元気を爆発させるは、ミルディア・ディスティン(伝説の子・g01096)。
ぴょんぴょん飛び回る彼女の側には、蠱惑的な少女……、
「イヒヒ……こんな、誰もいないところでは、水着無しで泳ぐのもいいね!」
……ではなく、蠱惑的な色気を醸し出す『男の娘』。彼はサキュバスにして魔導忍者、下弦・魔尋(淫魔導機忍・g08461)。
そして、
「……まあ、解放的にはなるね」
その隣で、女性的・中性的な美貌の彼が、一言呟いた。
彼の名は、渕上・澪乃(月の番人・g00427)。デーモンイーターのデーモン。
「……うーん、ハダカはちょっと恥ずかしいな……。けど、ボクも泳ぎたい! 水着を着てきたし!」
と、彼女は、ご立派な双丘を、水着に包まれた二つの大きなそれらを、大きく揺らしつつ上着を脱ぐ。
動くたびにプルンプルンと震える胸は、魔尋とは異なる色気……健康的な色気を醸し出している。彼女、シャルロッテ・オイゲン(デーモンのレジスタンス諜報員・g02874)もまた、澪乃と同じくデーモン。
そんな彼女を見つつ、
「では、わたしは森の方を探検したいですね。小雪さんと一緒に、この辺りを回ってみたいです」
シルヴァーナ・ガラッシア(ファルファラ・g02348)、インセクティアの妖精騎士が、小雪を追った。
「小雪さん、ご一緒しても?」
「あ、はい……よろしく、お願いします……」
小雪はちょっとびっくりしたが、すぐに二人して、森の中を歩き始めた。
そんな二人の背中を見送り、
「さて……それじゃあ泳ぎますか! ボクと一緒に、誰か泳がない?」
シャルロッテが、己の胸とお尻を、知ってか知らずか震わせる横で、
「じゃあ、ボクが。……うーん、おっきいなあ。形も良いし……」
魔尋が、彼女の胸へとねっとりした視線を向けていた。
「? ボクがどうかした?」
シャルロッテは、その視線の意味するところを理解できてない様子。
「はいはーい! あたしも泳ぐにゃあ!」
ミルディアがそれに加わる。
「……僕は、少しゆっくり過ごしたいかな。何もせず、静かな場所をのんびり散歩したいと思う」
と、澪乃は周囲を見回した。
「ああ。そりゃァいいな。アタシもゆっくりしてェし、もしよかったら、一緒に回って構わねェか? 煩くはしねェからよ」
栄華が申し出て、
「ええ、構いませんよ。一緒に回りましょう」
澪乃はそれを了承。
「じゃあ、アタシはちょいと魚釣りでもしましょうかね。釣れたら、焼き魚にでもしましょうか」
と、太郎は釣竿を取り出した。
それぞれで、行うべき事が決まり、
ディアボロスたちの、地下大空洞内・湖の冒険が、ここに始まった。
●湖畔! 大自然を遊び描く!
小雪とシルヴァーナ。
「それっ……!」
「きゃっ……それっ!」
コダマと一緒に、湖畔で遊んでいた。持ち込んだビーチボールで、互いにバレーボールみたいに打ち上げるが、
コダマがある意味、一番上手かもしれなかった。もふもふの小さな体を巧みに使い、高くボールを上げていく。
「……っと、コダマさん。思った以上にボールの扱いがお上手ですね」
「……えへへっ、うん。コダマはボクが危険にあった時にも、素早く動いてくれるんだ。頼りになるんだよ」
自身のモーラット・コミュを褒められ、ちょっと嬉しい小雪だった。地底の中でも、光の下でこうやって遊んでみると……探検中である事をついぞ忘れてしまう。
こうやって友人と、他愛ない遊びやおしゃべりする事にも……小雪はついいつもの事を忘れそうになっていた。
……自分には、アークデーモンが憑依している。今も付けている手枷で抑え込む事で、意識則りを防いでいるが、でないといつ乗っ取られるか分からない。
その事をいつ何時も気を付けてはいるが、それでもこうやって……遊んでいると、忘れてしまう事もある。
気を付けないと。小雪は自分に言い聞かせ、
「……あ、あの……一休みしたら……あ、あの河を上ってみませんか?」
と、河川を指差しつつ、シルヴァーナに申し出る。
「河を、上るんですか?」
「は、はい。ち、地下なのに、こんなに大きな湖があるなんて、びっくりですよね。河もありますが、あの河を流れて来る、お水は……どこから、来ているのでしょう? ……と、思って……その……」
自分ばっかり喋ってると思って、小雪は語尾が小さめに。しかしシルヴァーナは頷き、
「ええ、ご一緒できたら嬉しいです。木や草が茂っているようですし、それらは好きですから」
にこやかに、そう返答するのだった。
そこから近く、シダ植物をスケッチしている秋果は、
「……理科スケッチのルールを確認してと。……ええっ? 影って描いちゃダメ?」
携帯端末にメモった、『理科スケッチのルール』を確認しつつ、白いスケッチブックに鉛筆を滑らせていた。
いたが……、
「……って、線を重ねちゃった。消して書き直しと……濃淡は……点描で?……影って描いちゃダメなの?」
理科のスケッチは、芸術のスケッチとは、まったく異なるものだった。苦戦しつつ、実践してみるが……いつも彼女が行うやり方とは、根本的に異なっている。
「……思ってた以上に、面倒だなあ。特に点描……うう、もう描きたくないよう……」
とかなんとかあって、書き上げはしたが、
「……やれやれ、釣れないなあ。……っと、秋果ちゃん。写生は上手くいったかな」
太郎が釣竿他釣り具一式とともに、彼女の近くに。
落ち込んでいる彼女の後ろから、スケッチブックを覗き込むが、
「……まあ、努力は伝わってきますよ。うん」
「……言わないで、分かってるから」
実際、なんとか描きあがったその絵は……『貧相』だった。
シンプルすぎて、『貧相』だったのだ。目前のシダ植物の、自然の中で生き生きと自生している『生命力』が、全く伝わってこない。ただ単に、形を模倣しただけ、下手な物真似をしただけといった感が強かった。
「……ううっ、自分の画力の低さを、露呈されたって感じですかねえ……ま、まあ別に、イラストレーターや画家を目指してるわけじゃあないですから! 下手でも別にいいんですけど!」
と、言い訳めいた事を口にする秋果。
「はあ、そんなもんですかねえ」
太郎の言葉に、
「そ、それに、貧相な作品でも、色を塗ればそれなりに見えるというもので……」
と、誤魔化さんと、携帯端末を確認したら、
「……え? 基本的に理科スケッチ、色は塗らないの?」
……そのまま、画板を置いた。
「……端末で撮れば正確な事実だけを映し出します。なんの技術がなくてもタップすれば1秒もかからずにそれができる。いやー、科学の発展って素晴らしいなあ」
と、やや棒読み気味にそんな事を言いつつ、携帯端末であちこちをぱちぱち取り始める秋果。
「……あ、あのー、秋果ちゃん?」
語り掛ける太郎に対し、
「ちょいと写真撮影しつつお散歩いってきまーす。文明の利器に感謝!」
とっととその場を離れてしまう秋果だった。
「…………まあ、アタシは絵の事はようわからんし、これも上手とは正直思えんが」
残された太郎は、画板に残されたスケッチブックと、それに記されたシダの葉の絵をしげしげと見つつ、
「けれど、これはこれで味があるし、ちゃんと仕上げればそう悪くはないと思うんだけどねえ」
そんな事を呟きつつ、その近くに釣り具を広げ、改めて釣竿から釣り糸を垂らした。
「……おっ、今度は引いてる? これは……結構でかそうだ」
そして、すぐに。
釣り竿に『当たり』が来た。
●絶叫! 地底大空洞への挑戦!
「ふわーっ! 水がきれいにゃ!」
「イヒヒ、水着が脱げちゃったら、外からでも見えちゃいそう」
「さ、二人とも泳ごう? 誰が一番遠くまで行けるか、競争だよっ!」
ミルディアに魔尋、そしてシャルロッテ。
三人は水着に身を包み、太郎とは離れた湖岸から湖に入って泳いでいた。
「……うーん、シャルロッテもおっきいけど、ミルディアも中々ご立派なものを持ってるなあ……」
などと、二人の水着姿をねっとりじっくりと観察してる魔尋であったが、
「……それーっ! 猫クロールにゃ!」
「なんの! バタフライ!」
と、当の本人たちは激しく泳ぎ、競争していたり。
「……はーっ……」
と、ある程度泳ぐと、水中に潜る。
素潜りだが、澄んだ水は……湖の中を、湖底に広がる光景を、泳ぐ彼女たちに見せていた。
(「……きれい、にゃ」)
(「きれい、だ。こういうとこを水着脱いで、裸で思い切り泳ぎたいなあ……」)
(「今度は、アクアラング付けて潜りたいかも……」)
ぷあっと水面に上がり、空気を吸い込む三人。
「すごかったにゃ、水の中きれいだったにゃ!」
「うんっ、きれいだったねー! ……って、魔尋君? どうしたの?」
「……あ、いや。澄んだ水の中、実にきれいでしたね」
特にお二人の身体がと小さく付け加えるが、
(「……感じるな。何かの気配が……」)
彼は、感じていたのだ。『気配』を。
ここには怪物めいた古代生物が存在し、しかもそれはかなり大きく危険なものばかり。
この湖の、湖岸近くは一応安全圏のようではあり、大型かつ危険な動物の姿は見当たらない。
しかし、二人は気が付かなかった様子だが、彼だけはなんとなく感じていた。
『殺気』を。野獣が獲物を狙う時のような、獰猛な肉食獣の気配を。
「ンーっ……空気がうまいなァ」
「ええ。それに……静かです」
栄華と、澪乃。
二人は、湖の周囲を適当に散歩していた。比較的木々が茂っていない、見晴らしのいい場所を選び、岩山方面とは反対の方向へと歩を進めている。
「アタシは思うンだが、『文明人は、足りない』って説に賛成だなァ」
「……『足りない』ですか?」
「ああ。聞いた話じゃ、栄養や運動は関係なくて、こう……生き抜く力っつーか、活力っつーか、そういったもンが文明圏じゃあ色々『足りない』らしい」
二人は今、湖を臨む、木々が少ない湖畔に居た。先刻に皆で集まった湖岸が、ここからも見える。
太郎が釣りをして、ミルディアに魔尋、シャルロッテが、泳いで楽しんでいる様子も見る事が出来た。
「で、そういうふうに生命の力が足りねェと、絶滅ロードまっしぐら。動物園生まれで野生を知らねェ動物は、自然に返しても生きていけねェ。それと同じで、生きる力が『足りない』文明圏の人間も、こンな自然に放り込まれたら……ろくすっぽ、生きていけねェって話だ」
「なるほど、確かに……そうかもしれませんね」
「だから、自然を散策すンのは、ある意味必要な事なンだってよ。こうやって自分よりでけェ、そしてすげェ光景を見る事で、自分ン中の生きる力を、少しでも回復させるためになァ」
言いつつ、周囲に目を転じる。空も、この湖のさらに外を見ると、確かに広大であり……まるで巨大な何かの中で、『生かされている』ような感覚を、澪乃は覚えていた。
「……確かに、こうやって広大な光景を見ていると、心も大きくなり、力を受け取ったような気分にはなりますね。生命力が『足りない』のが本当だとしても、足りない分のそれが、補充されていくような気分です」
「ああ。アタシもそう感じるんだ。社畜ン時のような、こせこせした人間関係やら、アホの上司の戯言やらが、消えちまうような気がするぜ」
と、そこまで言ったその時に、
「……ン?」
「どうしました?」
「いや……湖の中心部に、ちょいと何か見えた気がしたンだが……」
ここからは見えない。気のせいだったか。
いくら凝視しても、何も見えなかった。
「……わりぃ、気のせいだったみたいだ」
「そうですか……そろそろ、戻りませんか? もうじき、お昼では」
「だな。腹、減って来たぜ」
二人は、湖畔に戻っていった。
だが、その直後。
湖の中心部に、大きな影が出来ると……、すぐに消えていった。
●壮絶! 地底探索・地底探訪・地底大探検!
「ひゃっ! ……って、秋果さんですか。びっくりしました」
「……こ、コダマが警戒してたから、だ、誰かと思いました……」
岩山方面。道なき道を進んでいたシルヴァーナと小雪に、
「……あー、ごめんごめん。植物の写真撮ってたら、夢中になっちゃって」
秋果が、合流していた。
「あの……スケッチは?」
「……写真撮影に切り替えました。それはおいといて、そっちはどうかな?」
秋果に問われた小雪は、ストックを突いていた。岩山方面への道はあまりなく、彼女らは道なき道を進んでいったのだが、
後ろから『何かが来る』とばかりにコダマが警戒したので、ここで待ち伏せていたのだ。
「いえ、まだ何も……」
「でも、色々な草花が見られて、とても充実しています。どれも自然の、生命力にあふれていると言いますか……とても楽しいです!」
小雪は少ししょんぼり、しかしシルヴァーナは楽し気。
「……にしても、この辺りは上り? になってるね」
しょんぼりした小雪に、秋果は語り、携帯端末を大木に向けると、
「いやあ、この大木の枝は変わってるねえ。まるで緑色の太い蔓が巻きついてるみたいで、この間のこの部分はまるで顔……」
その時点でようやく気付いた。それは、蔓ではなく、緑色の大蛇が巻きついているのだと。
その場に居た全員が、『ひっ……!』と、言葉を失う。
蛇は首を伸ばし、『カッ』と口を広げ、鎌首をもたげ、明らかに威嚇の様子を見せるが、
「……あ、あの……突然来ちゃって、ごめんなさい。びっくりさせたなら、あ、謝ります……」
おずおずと、小雪が話しかけた。
「……こ、小雪さん?」
「小雪ちゃん? それ、蛇だよ? 大蛇だよ?」
と、ささっと後退したシルヴァーナと秋果だったが、
「……大丈夫、です。ちょっと、怒ってたけど……話してみたら、お話しが通じないわけではないみたいなので……」
小雪は微笑みつつ、そう答えた。
その蛇は、美しいエメラルドグリーンの体色をしていた。
いわゆるミドリニシキヘビ(グリーンパイソン)や、エメラルドグリーンボアと酷似しており、それらの蛇と同様に『大木の枝に、とぐろを巻くように巻きついて』いたのだ。
それらの蛇は神経質で気性が荒く、飼われている個体も飼い主に噛みつく事が多い。毒は無いが、噛まれたら出血し大けがになる。
そして目前の緑の大蛇は、パイソンやボアの類より大きかった。首を伸ばし、小雪に噛みつくか、丸飲みせんと、頭を近づけていたが……、
「……あ、はい。ボクたちは、ちょっとこの辺りを調べに来てて……あの、よろしければ、聞いても良いですか?」
小雪が語り掛ける言葉に、聞き入っていた。まるで従順なペットが、甘えるように懐いているかのよう。
【動物の友】。通常の動物を懐かせ、意思の疎通ができるようになる効果を、小雪は用いていたのだ。
「……どうやら」
「……大丈夫、みたいだね」
シルヴァーナと秋果も、ようやく安堵し、近づいた。
そして、蛇から聞くだけ話を聞くと、
別れ、先を急ぐのだった。
更に、暫く経過し。
森を抜け、岩山に小雪、秋果、シルヴァーナは辿り着いていた。
「……あの洞窟が、巨獣の?」
秋果が小雪に訊ねると、
「……はい。あの蛇さんが言うには、この岩山の、あの洞窟……『二本牙の洞窟』に、巨大な角のあるトカゲが最近住み着いた、との事でした」
見ると、確かに洞窟はあった。そして、洞窟の入り口には、まるで牙が下向きに二本生えているかのように、鍾乳石のような岩が下向きに生えていた。
小雪らがいる場所から洞窟までは、離れていた。しばらくそこで洞窟を見張るも、何かが出て来る、あるいは外から近づいてくる気配はない。
「……出てこないですね。今は、出ていったのでしょうか?」
シルヴァーナの視線が洞窟に注がれるが、やはり何も起こらない。
「……一度、戻った方が良いかもしれないです、ね。コダマは、どう思う?」
小雪がそう言って、コダマに話を振ると、
そのコダマが、洞窟に向かって、警戒するポーズを取った。
「「「!?」」」
それとともに、小雪は、秋果は、そしてシルヴァーナは、
背中に強烈な『怖気』を感じ取った。
さらに続けて、純粋な『敵意』『殺意』が、まるでイカズチのようにディアボロスたちへと放たれてきたのだ。
……あの洞窟内、何かが……『いる』。間違いない。
そして……地響きとともに、洞窟内から『敵意と殺意』を放った何かが、近づいてくるのが感じられた。
「……今は、撤退しよう。このまま、ここにいるのは……『確実にヤバい』!」
気圧された秋果が、何とか言葉を捻り出し……かすれた声でそう言うと、
皆は後退、再び川沿いに下っていき……、
元の湖畔へと、戻っていた。
●出現! 巨獣と大蛇の暴れる巨大地底世界!
「やあ秋果ちゃんに小雪ちゃん、それにシルヴァーナちゃん、おかえり。先に始めさせてもらってるよ。……っと、丁度魚が食べごろに焼けたようだ」
と、戻ってきたらそこは、焚火が焚かれ、串に刺した魚が焼かれていた。
太郎が釣り上げた魚を処理し、串を刺していたのだ。
「こう見えても、アタシは一応特級厨師だからね。釣った魚は、イワナやニジマスみたいだったから、ちょいと処理して塩振って、串焼きにしたってわけさ」
見ると、ミルディア、魔尋、シャルロッテの水着姿の三人が、既に魚を食べ始めている。
「お先に頂いてるにゃ。……ふーっ、ふーっ……んー、まだ熱いにゃ!」
猫舌で苦労してるミルディアに、
「……あ、こっちにはお腹に卵が……イヒヒ、子供でお腹が膨れ上がってる状態で、ボクの舌に蹂躙されるなんて、妊婦プレイみたい……♪」
焼き魚で何やら妄想している魔尋。そして、
「……おいしいけど、ボクはもっと辛い方が好みかな。太郎さん、七味をもっとかけて良いかな」
と、受け取った小瓶の七味を、ほぼ空になるほど魚にぶっかけ、齧りつくシャルロッテ。
「で、小雪ちゃんたちは、岩山の方で何か見つけましたかな?」
太郎の問いに、小雪は答えようとしたが、
「……おいおいおい! 大変だァ!」
「……湖の方を見て下さい!」
栄華と澪乃が、大慌てと言った態度で走って来た。
一体何事かと、視線を転じた一同は、
「……あれは?」
そこに、『それ』がいるのを見た。
湖中心部の湖面に、鎌首をもたげる『数匹の大蛇』の姿を。
「……さっき、散歩から戻ってる最中に見つけてなァ」
「はい。発見した時には驚きました……どうやらあの大蛇たちは、皆がいるこの場所へ、向かっているようです」
栄華と澪乃が、発見した『そいつら』の事を皆に話す。
「……どうやら、言っていたトループス級ではないかと。こっちも……さっき洞窟で……」
と、小雪は手短に、岩山の洞窟と、そこに潜む『あいつ』の事を語った。
「……いずれ、洞窟に赴いて、雌雄を決する必要があるでしょう。でも、その前に……」
あの、湖に潜む『大蛇たち』も、先に何とかする必要がある。
そのためには、一休みして、体力を回復せねば。
そう考えた小雪は、自身もニジマスの串焼きを手に取り……かじりつき始めた。
探検や探索は、一応区切りがついた。次は……本格的な、クロノヴェーダとの戦闘。
まずは、大蛇……水流蛇パセイキスを倒す。
ディアボロスたちは、気を引き締めた。引き締めつつ……太郎の焼く魚を食らい、新たな戦いへの気力と活力とをみなぎらせていた。
「やれやれ、どうやる事やら。……ま、ここは『次回をお楽しみに』といったところですな」
太郎はそう呟くと、自身も焼き魚にかじりついた。
善戦🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【動物の友】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
【飛翔】LV2が発生!
【狐変身】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
【完全視界】LV2が発生!
【無鍵空間】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV2が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
【能力値アップ】LV2が発生!
【フィニッシュ】LV1が発生!
ラライ・リガル
巨獣じゃない生き物とは意思疎通ができたり、食料の現地調達が可能とか嬉しい発見ね。
では休息時間の邪魔をしてくれそうな大きな蛇退治と行きましょうか。
と気軽に思ってみたけど、相手は巨獣で複数。多分、巨獣以外の生き物は蛇の気配を
感じれば逃げていく筈。そこは気にしなくて良さそうで助かるわ。
ここに来るまで時間はかからなそうだけど、蛇の視線が遮れるような木々が近くにあるようだし
【光学迷彩】で隠れて、対峙する前に【トラップ生成】で、可能な限りサイズの大きな木とか岩とか
蛇に当たるように投げ転がしたい。ほんのちょっとでも動きの邪魔が出来たらいい程度で。
飛ばれたら無駄になるけど、駄目でもともとだし。
攻撃可能範囲に来たら、パラドクス【懐中時計スイッチ】を。蛇に爆弾をばらまいたら即爆発させるわ。
隠れていられるのはここまで、後は遮蔽物があれば利用して受けるダメージを少しでも減らせるように
足を止めずに動いて、蛇に爆弾をぶつけて爆発を繰り返すわ。
トレジャーハンターたるもの、困難を排除していかなくっちゃね。
月下部・小雪
ま、まずは近寄ってくる大蛇さんをやっつけて、それから洞窟にいた巨獣さん退治、です。
さっき出会った大蛇さんとは違って、好戦的な巨獣の蛇さんはやっつけなきゃ、です。
【光剣二刀流型モーラット・コミュ】になったコダマが二刀流で大蛇さんを切り裂いていきます。
う、ウナギのかば焼きみたいに真っ二つに捌いちゃって、ください。
っと、ウナギさんはとても高いので食べたことはないので、そ、そこはフィーリングでいっちゃいましょう。
飛んでくる水の水の弾丸を光剣や「魔力障壁」で弾いて一気に接近してお腹から真っ二つにしちゃいます。
ふ、ふぅ。襲い掛かってきたパセイキスさんはこれですべて、でしょうか?
次は洞窟に巣食っていた巨獣さんを迎え撃つ準備を、しましょう!
※アドリブ連携大歓迎
捌碁・秋果
ニジマスの串焼き、美味しかったなあ。
七味唐辛子もいいアクセントになってたし、私も次はこのキャロライナリーパーのスパイスを使おっと。使いどころがなくていっぱい余ってるしね…。
しかしどうしたものか。
水中適応や水面走行といった残留効果をもってこなかったので、湖にいる彼らと戦うのは難しい
…蛇の気を引くことをして、湖から自主的に出て来てもらおうかな
はっ……このキャロライナリーパー、使える…?
蛇が辛党だったらきっと喜んで出てきてくれるよね。では、蛇が口を開けたらディアボロスの身体能力でスパイスをお口にシュート!
……な、なんか思ってた反応と違うけどこちらには気づいた…かな?
蛇が湖から出てこっちに向かってきたら、木々の中を走って逃げます
あの大きさを相手にするのは骨が折れるな。こういう時は…毒系のパラドクスで内側から攻撃です
レースリボンテープを枝に巻き付けて収縮!反動で跳んで立体的な動きで撹乱しながらパラドクスで攻撃
古事記にはお酒に酔って退治された蛇がいましたが、あなた方は毒に酔ってくれるでしょうか?
●驚愕! 湖に出現する大蛇パセイキスを見た!
「……正直、わたしは『したいから行う』だけで、別にこれが正義とか正しいからとか、そんな事はどうでもいいんだけどね」
湖畔。
そこにやって来たのは、短髪の……鍛えた、しなやかな肉体を持つ女性。
ウルフカットの短髪でありながら、その雰囲気はどこか『猫』。中性的なその顔つきの、その女性は、
月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)と、
捌碁・秋果(見果てぬ秋・g06403)の視線を集めていた。
「えっと、君たちは……」
「あ、ええと、か、月下部・小雪、です……こちらは、モーラット・コミュの、コダマ、です……」
「……あーっと、捌碁・秋果と申します」
「小雪に、コダマ。それに秋果ね。わたしは、ラライ・リガル(トレジャーハンター・g11529)。よろしく」
それで……と、ラライは、湖面へと向かい言った。
「先刻までバーベキューしてたみんなは、トレインの方に返したのね?」
「は、はい。人数が多いと、かえって足を引っ張り合うかもなので、ボクと秋果さんがまず向かう事になりました」
「……で、そこにあなたが来てくれたというわけで。よろしくお願いします、ラライさん」
「ええ。……で、その大蛇は?」
湖畔から見える湖面は、今のところは穏やか。水面はあまり揺れてはおらず、言われなければ巨大な蛇がこの中にいるなどとは思えない。
そう思っていたら、ラライの視線の先に、
水上に、『首』が出現した。それも、複数が。
「あれね。見たところ、四匹……いや、五、六匹、といったところかしら」
「……さっきに見た時よりも、近づいてます、ね」
小雪の言う通り、先刻は湖の中央部付近に見えたが、
今は、明らかにこちらへ、湖畔に近づいているのが見えた。
「……明らかに、こっちを誘っている? それとも……」
秋果は蛇たちを見て、対策を考え込む。
「どうする? 飛翔やエアライドで、空中を進んで、空から攻撃しましょうか?」
ラライの提案に、
「いえ、それをしたら深く潜られて、逃げられるかと。それに……」
秋果はかぶりを振った。
「それに、水中適応や水面走行といった残留効果も持ってこなかったので、こちらから湖に赴くのは、不利になります」
「じゃあ、どうするの?」
小雪が不安げに、湖と秋果とを見比べる。
「うーん……」
同じく湖畔へ目をやった秋果は、
先刻の焚火の跡、ニジマスの串焼きを焼いた焚火の跡を改めて見た。
(「さっき食べたニジマス、美味しかったなあ」)
かけられた七味唐辛子が、なかなかいいアクセントになってた。次にサバイバルで何か焼く時には、『キャロライナリーパー』のスパイスをつかおっと。魚じゃなくても、肉や野菜もいいなあ。
実際、使いどころが無くて、いっぱい余ってるしね……。
って、いかんいかん、考えなきゃ。
「……また出たわ。先刻よりも、近づいてはいるけど……」
と、ラライ。
「手はないわけじゃあないけど、やはり水上より陸上の方が戦いやすいからね。なんとかして陸上または浅瀬に誘き出して、攻撃できれば……」
「そ、そうです、ね。ボクも、巨獣の大蛇さんが湖岸に来てくれたら……戦える、と思います……」
ラライに続き、小雪もうなずく。
「……やはり、何とかして『誘き出す』しかないか……」
呟く秋果に対し、ラライは、
「何か君は、策でもあるのかしら?」
訊ねてきた。
「……いや、策という程ではないけど、『うまくいったらいいな』程度の思いつきで……」
ラライの眼差しにちょっと気圧されてしまう秋果。しかし、
「それでもいいわ。で? その詳細は?」
と、聞いて来た。
「…………食わせたら、刺激にはなるかもしれないわね。いざとなったら、ボートで囮になり、誘き出すとしましょう」
「……ぼ、ボクも手伝います……」
二人は秋果の策、すなわち、
『キャロライナリーパーを投げつけ、辛さを以て誘き出す』という策を聞いて、何とも言えない顔に。
「……ま、まあ。蛇が辛党だったら、喜んで来てくれるかなーって、その程度なんだけど……」
言い訳めいた事を言ってしまう秋果だが、
「……それなんだけど。肉食動物、特に爬虫類や蛇の類は、『味覚が鈍い』そうよ」
ラライからそんな事を聞き、「え……マジ?」と目を点にしてしまった。
「いや、雑学として知ってる程度だけど。『蛇は、味覚はあるけど発達してない』『味を感じる器官『味蕾』は、特に蛇は少ない』『しかし蛇は、葉の付け根に味蕾がある』との事よ」
ラライの教えてくれたことに、
「……マジ、ですか」
と、落胆する秋果。
「ええ、マジ。そもそも、人の味蕾は一万数千、しかし蛇はゼロから数個しかないそうよ。けど……『辛さ』は、味覚の一つではなく、痛みや温度を感じる刺激として捉えられるもの。平たく言えば、『熱』や『痛み』だと言ってもいい。唐辛子の食べ過ぎで、内臓が荒れたり胃ガンの発生率が高くなると聞いたことはあるでしょう? 実際、大量に摂り過ぎて粘膜が壊れ、内臓に穴が開くこともあるからね」
「……では……この唐辛子を食べさせたら……」
「味を理解する前に、受けた刺激を攻撃とみなすでしょうね。そこから……辛味の痛さに、逆に逃げる事も考えられる。とはいえ、相手は蛇である以前に『巨獣』。だから、普通の動物とは違うと考えるべきか……」
そこまで言った、その時。
「……。あのっ、蛇さんたちがまた現れました! さっきより近いです!」
小雪の言う通り、パセイキスの群れがすぐ近くにまで迫って来た。
そいつらは……いまや、潜水艦の潜望鏡のように、自分たちの首を水上にもたげたまま、周囲を見回し、
ディアボロスたちが居る『こちらへ』、湖畔の方へと進んできたのだ。
だが、途中で止まっていた。湖岸からは離れているが、何かを投擲したら届きそうな程度の距離で……、
まるで誘うように、鎌首をもたげていた。
●怪奇! パセイキスの凶悪なる牙が光る!
パセイキスは、そのままディアボロスたちへ視線を向け、その場から動こうとしない。
しばらく見つめ合った後、
「……秋果、君の投擲で届きそう?」
ラライは、問いかけた。
「え? でも、効くかは……」
「承知の上。このままここから銃で撃ったとしても、水中に逃げるでしょうしね。膠着した事態の打開のためには……何かアクションを起こした方が良い。……小雪、君もいい?」
「は、はいっ。ボクもいいです!」
コダマも、彼女とともに頷く。
「いい返事よ。秋果、お願いできる?」
と、ラライは秋果の肩を叩く。
「……わかりました、やってみます!」
秋果も覚悟を決め、キャロライナリーパーを取り出した。
パセイキス……複数いる中の『一匹目』は、冷たいその肌で、光を浴びていた。
知性も高くはなく、理性も無い『巨獣』であるパセイキスだが、この『一匹目』は他の個体より多少は知恵が回った。
この湖で泳いでいたら、あの小さな二本足共がやって来た。ちょうどいい、餌としよう。
『二匹目』『三匹目』も、同様に狙う様子。自分たちは栄養をもっと取って、『脱皮』し、より大きく成長しなくてはならない。あいつらも飲み込んでやる。
四匹目から六匹目も、仲間たちは餌を狙い獲物を見つめている。自分がより多く餌を摂るのだ。ぐずぐずした間抜けは飢えて死に、仲間に食われるのみ。
やがて、その餌共の一つが、何かを投げつけてきた。
小さな何かだ、餌か?
それを確かめんと、『一匹目』はひょいと首を伸ばし、そいつを口の中に飲み込んだ。
ちっぽけなそれは、小さな袋で、内部に何が入っているかはわからない。そのまま飲み下した『一匹目』は、あいつらを本格的に食おうと、潜らんとした。
……待て、何かおかしい。
今、飲み込んだなにかを、強力な消化液ですぐに溶かしたが、
痛い。自分の中が、まるで燃えるように熱く、痛い!
その痛みは、決して強いものではないが、身体の内部を徐々に浸透し、じわじわと浸食するような、不快極まりない痛みだった。
くそっ、これはなんだ。毒か? あの獲物は毒を投げつけるのか?
痛い、痛い! 以前に飲み込んだ、トゲだらけの動物の時みたいだ。この不快感は、あいつらを食う事で収めよう。
『一匹目』は、進んだ。
それに続き、他のパセイキスたちも、『一匹目』の後を追った。
「……飲み込んだ……けど、あ、あれ?」
なんか、思ってた反応と違うけど……こちらに気付いて……?
「……気付いてる! こっちに来るよ!」
秋果は、自分の目論見が上手くいったのを知った。
キャロライナリーパーの粉末を入れた、革製の小袋……大きさも、丁度野球のボール程度で、内部にぎっしりと粗挽きされた唐辛子が入れられていた。
それを振りかぶり、パセイキスに投げつけた。放物線を描き、そいつらの中で一番堂々とした個体がぱくりと咥え込み、飲み込んだ。
だが、飲み込んですぐに、のたうち回り始めたのだ。
そして、どこか鬼気迫る様子で、蛇たちは秋果へと向かってきた!
『……!』
『一匹目』の、その口から、圧縮された海水の球体……『海砲水弾』が放たれ、秋果の足元を貫く!
「ひっ!」
弾けた水球は、細かい水の弾丸と化して、周囲へとばらまかれた。
と、なんとかそれを回避し、すぐに後方へと逃れる秋果。
「どうやら、うまくいったようね! お手柄!」
「さ、さすがは秋果さんです!」
ラライと小雪の賞賛を受けつつ、秋果は後方に下がった。
(「……なんだか、ちょっと複雑な気が」)
などと思わないでもなかったが、作戦は上手くいった。なら次は……、
その手に、レースリボンテープを取り出していた。
パセイキスたちは、一番大きな個体……『一匹目』……がリーダーらしく、他の五匹はそれに追随しているようだった。
だが、ディアボロスたちが二手に分かれたのを見て、一匹目は、先刻にキャロライナリーパーを投げつけた秋果へと向かった。二匹目と三匹目がそれに続く。
そして、残りの三匹は、
小雪を追っていった。
そしてラライは、『光学迷彩』で姿を消しつつ、小雪の後を付いていった。
●恐怖! 猛烈なる怪蛇パセイキスの襲撃!
(「……いいぞ、大蛇たちはうまく誘導されてる!」)
ラライは、姿を隠しつつ、追われている小雪、コダマに付いていた。
逃げる先には、予想した通り……巨獣以外の生物の姿はない。あれが来るのを察知し、逃げてくれたのだろう。
そして先刻。秋果が唐辛子を投げつける前に、簡単で即席ではあったが、ラライは『仕掛け』を施していた。
『四匹目』『五匹目』『六匹目』。三匹の大蛇は、
立ち止まってその動きを止め、周囲を見回す。
(「……迷彩を見破る事は、できないみたいね。今こそ」)
トラップ、発動!
『光学迷彩』の効果で隠れながら、ラライは『トラップ生成』の効果を発動させた。
まずは、丸太が坂道を転がり落ちるトラップが。
パセイキスたちにとっては、小枝が当たった程度でしかない。が、積み重なりうっとおしくなると、
それらを払いのけ、ディアボロスたちの姿を探し出す。
「……ひゃっ!? こっちに?」
が、見つけられたのは小雪。彼女へと向かっていくが、
今度は、大木のしなった枝、その固定が外れ、大蛇の身体に叩きつける!
『四匹目』と『五匹目』が、それをもろに受けた。が、それらも大蛇どもには葉っぱでぶたれた程度でしかない。
そうこうしている内、小さな川沿いに進んでいた『六匹目』が、転がって来た無数の大岩を受けていた。これもパセイキスにとっては、人間が砂利を投げられ当てられている程度にすぎない。
『…………!』
が、うっとおしく思ったのか、
六匹目のパセイキスが、ほとんど水量のない小さな川の上で、
長い身体を、その尻尾を振り回した。
「……あれは!?」
ラライの目前で、パセイキスは振り回した尻尾を用い、周囲を薙ぎ払っていた。自分を押さえつけた岩やら大木やらを、薙ぎ払い、吹き飛ばし……尻尾の先の後脚で、それらを切り払う!
『海裁水断』。本来は水中で、水流を纏いつつ渦巻きを作り周囲を薙ぎ払い、触れたものを切り裂くという、パセイキスのパラドクス。
これは、それを応用したものだろう。尻尾を振り回し、先端の後肢で切り払う程度に威力は落ちているが。
(「……くっ! 思った以上に、威力あるわね……!」)
それでもラライは、そして小雪は、パセイキスたちの攻撃力を目の当たりにし、
改めて、巨獣のおそろしさを実感していた。
そして、それは秋果も同じ。
「! っと! 危ない!」
レースリボンテープ、伸縮自在の、ロープのようなレースリボンのそれを、森林地帯の枝に巻きつけては、伸縮させ、跳躍する事で、
パセイキスの攻撃を、かわしていた。
まるでターザン……ジャングルの王者のように、繁る木々の枝へとレースリボンテープを巻きつけ、スイングしつつ移動する秋果。
やがて、ある程度距離を取った後、森の中に着地する。
(「ここなら、ある程度は空間があるから、あの三匹のパセイキスを相手に……」)
が、振り向くと。そこには『二匹』しかいない。
いないのは、最初の『一匹目』。そいつはどこに?
が、探す暇もなく、二匹目、三匹目の二体から、『海砲水弾』が放たれる
海水の弾丸が二つ、迫りくる。即座にレースリボンテープで、上方の枝へとそれを伸ばし、登り、
弾け、周囲に撒き散らされた水の弾丸を避けた。
だが、
「……しまった!」
樹上に『一匹目』が、すでに先回りし、木の枝にその身体を巻きつけていた。
逃れんとした秋果だが、遅かった。木の幹ごと……そいつは秋果に絡みつき、締め上げ始めたのだ。
「! ぐっ……ぐはあっ!」
レースリボンテープが、彼女の手から落ちる。生臭いパセイキスの体表面からは、冷たい海水が滲み出て……秋果の体温を奪っていく。
『海絞水殺』。ニシキヘビのようにがっちりと、秋果は完全に締め付けられた。
このまま絞殺される、あるいはくびり殺されるのは、時間の問題。
「……ぐ……ぐぐぐ……」
まずい、これは、まずい。
だが……逃れられない。
締め付けているパセイキスの顔が、まるで嘲笑しているかのように見えた。
パセイキスがもしも『笑う』事ができたなら、間違いなく『一匹目』は笑っていた。
そいつは、秋果を締め付ける事で、『余裕ある勝利』を本能的に悟っていたからだ。
更には、人間で言う『いい気分』と、『サワヤカな気分』とを覚え、浮かれても居た。
こいつはもう、逃げられない。反撃もできない。
いや、反撃できたとしても、仲間がまだ(二匹も)いる。こっちの方が多く、どうあっても負ける気がしない。
だが、それゆえか。
パセイキスたちは、自分たちに迫る『危険』を、感知できずにいた。
●逆襲! 凶悪強大なる危険な怪大蛇パセイキスを狩れ!
恐ろしい。
巨獣のおそろしさを、実感させられた小雪は、
大木を背中に、三方向をパセイキスに囲まれていた。
まだ『光学迷彩』で姿を隠してはいるが、その近くにはラライが控えている。
小雪は、不安げな表情とともに、迫るパセイキスを見つめ返した。
「…………」
ラライは、姿を消したまま、
(「……『不安げ』な顔ね。ではあっても……『逃げ腰』ではない。まだ、『戦う意思』を宿した表情だわ」)
小雪の表情を見ていた。その表情は、怖さに負けて逃げ出したいというそれではなく、『一矢報いよう』という、気概が伝わる表情だった。
パセイキスは……そのうち『四匹目』は、余裕の状態で、
水弾を放たず接近し、
口を開け、小雪に飛び掛かった。
身構える小雪だが、
「……直接、丸飲みするわけね……! 言ってあげる、『やってみなさい』。そして……『お気の毒』!」
『……?』
ラライは、飛び掛かって来た『四匹目』へ、それを、
『懐中時計スイッチ(ゼンマイジカケノリューズ)』を投げつけ……口の中へと放り込んだ。
『……!』
先刻の『一匹目』同様、反射的にそれを咥え込んだ『四匹目』は、
そのまま、頭部を爆散させ……果てた。
「……! ら、ラライさん?」
「大丈夫? さあ、……ここからがハイライトよ!」
迷彩を解き、ラライは姿を露わにする。
頭を失った仲間の胴体を見て、仲間二匹は、恐怖したかのように戸惑う様子を見せていた。
が、すぐに復讐とばかりに、襲い掛かる体勢を取る。
「……ほらほら、まだ時計はいくらでもあるわよ!」
駆け出したラライは、足を止めず、懐中時計を投げつけつつ走り回った。
『五匹目』と『六匹目』が、その爆弾を受け、爆発を受けて翻弄される。
が、『五匹目』はなんとか持ち返し、水弾を放ってきた。
ラライと小雪は、それを左右に分かれ、回避。
『五匹目』が、そのうち小雪に向かい口を開いた。
仲間が丸飲みにできなかった分、自分が食ってやる。そう言っているかのように、顎が小雪に迫って来た……。
『……?』
『一匹目』は、困惑していた。
仲間たちの様子がおかしい。動きが鈍り、眠りに落ちるかのように、あるいは混乱しているかのように、おかしな動きをしていたのだ。
いや、自分の様子もおかしい。獲物を絞め殺してやろうとしても、力が入らない。
思考もままならない。気分が高揚……しているように思えて、混乱している。
胴体の力が抜け、樹木から地面に落ちる。
「……はあっ、はあっ、はあっ……『古事記』には、『お酒に酔って』退治された蛇の事が記されています」
今まで捕えていた人間……秋果が、そんな事をパセイキスの『一匹目』に言い放った。
「で、あなたたちも『蛇』。あなた方は、『毒』に酔ってくれるでしょうか?」
ぜいぜいと呼吸に苦しみつつ、秋果は地面に降り立つ。
水弾を放ち、攻撃せんとするパセイキスだが……周囲に漂う『葡萄色の霧』が、それを許さない。今度は大蛇たちの方が、呼吸に苦しんでいた。
周囲には、ステンドグラス……優れた絵画を模倣したステンドグラスが、多数立っていた。そして、そのステンドグラスからは、『葡萄色の霧』……先刻から漂う、毒々しい霧が生じていた。
「『私のステンドグラス(ワタシノステンドグラス)』、先刻に、ここに誘導した時に出しました。……幸せな葡萄色の酩酊を、あなたに」
秋果は自身のパラドクス……『ステンドグラスから、周囲に葡萄酒の霧を放ち、敵たちを酩酊させる』パラドクスが、十分すぎるほどに効いているのを確認した。
『二匹目』と『三匹目』が、口から泡を吹きながら倒れた。痙攣しつつ、動きを止める。
『一匹目』は、それでもなんとか堪え、水弾を吐こうとしたが……。
口から出てきたのは、嘔吐しているかのような、ただの水。それでも口をパクつかせ、『一匹目』は逆襲せんと試みるも、
「……酒に漬けられたマムシが、そのまま生き続け、三か月後に瓶から出て噛みついたって話を聞いたことがあります」
秋果は自分の目前で、そいつが倒れ、
「ですが……この『酒の霧』は、毒性もあります。勝ち目はありませんよ」
……仲間たちの後を追うのを、確認した。
「さて……小雪さんとラライさんは、どうしてますかね」
迫りくる、『五匹目』のパセイキスに立ち向かったのは、
小雪に付き従っている、小さな毛玉のような動物。
「……コダマ、毛玉二刀流免許皆伝の実力、見せつけちゃって、ください!」
言うが早いが、その毛玉……モーラット・コミュは、いつの間にか携えていた二振りの『刀』とともに、巨大なパセイキスへ向かうと、
その顎に、斬り込んだ。
『…………!』
パセイキス『五匹目』の顎は、くわっと開いたまま、
胴体ごと、上下に切断された。
「……あら、すごいわね。まるでウナギを捌いているみたい」
ラライの感心した言葉が、小雪にも聞こえてくる。
生きたまま捌かれた『五匹目』は、そのまま自分が捌かれた事に気付く事無く、絶命。
最後の『六匹目』が、その尻尾、先端部の後肢で切りかかるが、
「コダマ!」
小雪の叫びとともにそれにも立ち向かい、コダマは尻尾ごと切断した。
これぞ、『光剣二刀流型モーラット・コミュ(ソードパック・コダマ)』。二刀流の光剣を携えたモーラット・コミュを呼び、二刀連続で斬り込む、小雪のパラドクス。
もはやこれまでと、逃げを打った『六匹目』だったが、
『……!?』
トラップの残り……しなり枝のトラップに引っかかってしまった。
枝には返しの小枝が付いており、それが逆棘のようにパセイキスを押さえつけ、動きを止める。
「トレジャーハンターたるもの……」
動きを止めた大蛇に、止めとばかりに懐中時計を投げつけたラライは、
「……困難を、排除していかなくっちゃ、ね」
それを爆発させ……引導を渡していた。
●驚愕! 地底世界の脅威はまだ続く!
「……ふ、ふぅ。襲い掛かって来たパセイキスさんは、これですべて、でしょうか」
戦い終わり、パセイキスたちを倒した小雪は、それらが全て息絶えている事を確認し、安堵していた。
「こっちの三匹も、全部やっつけたよ。ハブ酒やマムシ酒にするには、ちょいと大きすぎるね」
と、秋果も小雪とラライの元へ。
「……さて、休息時間の邪魔をしてくれそうな、大きな蛇退治は、無事完了。そう見てもいいかしらね」
ラライもまた、蛇の死亡確認を行いつつ呟く。『巨獣を相手に戦うのは、やはりムズかしい』。そんな感想が、どことなく伝わる呟きだった。
「……こ、コダマ。お疲れさま。そして、いつもありがとう」
と、小雪はコダマを愛し気に撫でる。そして、
「……つ、次は! 次は、洞窟に巣食っていた巨獣さんを迎え撃つ準備を、しましょう!」
仕切り直すように、そう言い放った。
「……そうだね。あの、洞窟の中に居た奴は……間違いなく『ヤバ』かった。このパセイキスたちも、確かに手こずったけど……」
『確信』できた。洞窟のあいつは、この『パセイキス』たちよりも、遥かに強力で、危険で、恐ろしい存在だという事が。
何より、あの時の『敵意と殺意』は、パセイキスのそれらとは比べ物にならないほど、濃くも強く、底知れなかった。本能的に、そう確信『させられる』ほどに。
「……わたしは、君たちの言う『洞窟の中に居た奴』は知らないけど……かなり恐ろしい奴みたいね」
ラライに、二人は頷く。
「は、はい。でも……」
「……怖気づくのは、ここまでです」
これから奴と戦わねばならない。そして、戦うならば、勝たねばならない。
ディアボロスなら、そうして当然。そして、それができる故にディアボロス。
小雪と秋果は、そしてラライは、
新たな戦いと冒険を予感し、身が引き締まるのを覚えるのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
【壁歩き】LV1が発生!
【現の夢】LV1が発生!
効果2【ラストリベンジ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV2になった!
【ロストエナジー】がLV2になった!
捌碁・秋果
敵を洞窟から誘い出す…という手もあるけど、折角だし、まずはこの状況を逆手にとるのはどうかな?
一回しか使えない奇策なんだけど…
【完全視界】を使って洞窟を進みます
暗い洞窟に潜んでいるということは、耳がいいのか暗闇でも見える目を持っているのか
いずれにせよ、静かに進んだ方が良さそうだね
パラサイトプスが用心して歩き回っているなら、その足音で我々は彼に気が付くはず
岩陰に身を隠し、パラドクスで奇襲。藍色の槍で斬撃をお見舞いします!
相手はアヴァタール級の巨獣、一度の攻撃で沈まずこちらに攻撃をしようとするだろうけど、その瞬間に【照明】!
一瞬で昼間のような明るさに。ずっと洞窟にいて暗闇に慣れた目なら眩みましょう。敵が怯んだ隙にこちらからまた攻撃です!
反撃は暗色の針…
暗闇の中ならまだしも照明で明るい今ならバッチリ見えてます!針の着弾に合わせて額縁を展開して身を守ります
奇襲をしたら即撤退!
我々を警戒する為に潜んでいたってことは、洞窟内はパラサイトプスのテリトリー
長居は無用、すぐに退いて外の仲間と連携をとります!
月下部・小雪
秋果さんが洞窟に入っておびき寄せてくれるみたいなので、
ボク達は洞窟から飛び出てきたところに襲い掛かりましょう!
ひとまず【光学迷彩】を発動して洞窟の近くに潜んでますね。
二本牙の洞窟から飛び出てきた巨獣さんを見て声をあげます。
あ、あれはパラサラトプスさん、です。以前、別の個体と戦ったことがあります!
飛ばしてくる寄生針を「魔力障壁」で防ぎつつ、攻撃のチャンスを伺います。
パラサラトプスの周りを【飛翔】で飛び回ってかく乱、です。
頭上に気を取られている隙に、コダマが巨獣さんの身体を駆け上って【毛玉二刀流奥義・毛玉雷十文字斬り】で切りつけます。
コダマが弾き飛ばされたら空中でキャッチしてあげて、よくやったねって褒めてあげますね。
す、少しはダメージを与えられたはず、です。こ、このまま押し切りましょう!
※アドリブ連携大歓迎
ラライ・リガル
洞窟の内部は入ってみないと様子がわからない。
でも巨獣が問題なく自由に動けるなら、わたし達も
行動制限されずに済みそうね。
秋果ちゃんが陽動で洞窟の外に追い出してくれるようだけど
ちょっと心配かも。
あ、信用してないとかじゃなくて、巨獣はどう動くか予測が
難しいから、彼女の作戦を邪魔しない程度の距離感を保って
洞窟内で【完全視界】【光学迷彩】で物陰に潜んで待機。
作戦通りに事が進むと判断した時点で、速やかに外へ。
アクシデントが起こるようなら、姿を見せて大声出すわ。
こちらへも注意を引き、全力で洞窟の外へ誘導する。
小雪ちゃんが迎え撃つ準備をしてくれてるから、そちらにも
巨獣の意識を割けたら、チャンスを逃さず拳銃レッドアンド
ホワイトボードを使ってパラドクス【試験】黄金の弾丸を
撃ち込むの。
誰か一人に巨獣の攻撃が集中しないよう、同時に洞窟から
離れるように走り回るわ。
みんなでおうちに帰るまでがピクニックだからね。
全力をつくすわ。
丹羽・回向
(トレインチケット)
アーヤ・ミズラーフ
(トレインチケット)
丹後・安喜光
(トレインチケット)
●驚異! 驚愕! パラサラトプスあらわる!
「……あれが、例の洞窟ね?」
ラライ・リガル(トレジャーハンター・g11529)が、洞窟を臨む場所で呟いた。
ここは、湖から離れた上流部分。岩場で、周囲にはあまり植物は生えておらず……、
巨大な洞窟があちこちに、岩山の壁にぽっかりと開いていた。まるで巨大な怪物が群れを成し、口を開けて獲物が入るのを待ち構えているかのよう。
その中で、一際大きなその洞窟には、
「確かに、小雪ちゃんと秋果ちゃんの言ってた通り、『牙』みたいに鍾乳石が下がってるわね」
「は、はい……それで、最初に言った時みたいに……」
一度ここに来ている、月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)と、
「……あの洞窟から、『奴』と思しき、大きな何かの気配と……殺気とを、感じ取ったんです」
捌碁・秋果(見果てぬ秋・g06403)が、ラライに伝える。
「……話に聞いただけでも、かなり強烈な気配の持ち主のようね。で、『作戦』だけど……それだと秋果ちゃんがちょっと負担かかるけど、大丈夫かしら?」
ラライの言葉に、
「……正直、怖くはあります。それにこの方法は、一回しか使えない『奇策』ですけど……」
「うまくいけば、不意を突いて倒せるかもしれません」
秋果と小雪が、請け合った。
「うーん……正直、まだ心配だけど。せめて、もうちょっと攻撃の手勢が欲しいところね」
悩むラライの元に、
「……話はトレインで聞いたよ、秋果。ぼくたちでよければ、力を貸そう」
金髪青眼の、白肌の美少女……ロザーリヤ・ユスポヴァ(“蒐集卿”・g07355)を筆頭とした、新たなディアボロスたちの姿があった。
手が増えるのは歓迎。
かくして、新たに加わったディアボロスたちへ、
秋果、小雪、そしてラライは、先刻に立てた作戦を伝え、
実行に移るのだった。
「……了解した。それじゃ、ぼくは秋果と一緒に行動するかな」
ロザーリヤは立候補。
その後ろに続くディアボロスたち……、
「では、ボクは狙撃を……」
レオニード・パヴリチェンコ(吸血鬼のダークハンター・g07298)。
「俺は、秋果さんとロザーリヤさん。二人と一緒に、洞窟内に向かいたい」
丹羽・回向(丹羽家当主代行・g02499)は、秋果と行動を共にする様子。
「では俺は、小雪さんと一緒に、巨獣を待ち構えましょう」
丹後・安喜光(人間の陰陽師・g03326)と、
「わたしも、小雪さんとご一緒するでございます」
アーヤ・ミズラーフ(王家の谷の冥土シノビ・g02033)が、請け合った。
「よ、よろしくお願いします……」
小雪は頭を下げ、
「……じゃあ、皆……行動開始!」
ラライの号令とともに、動き出した。
秋果の立てた作戦は、簡単に言えば『陽動』。
1:秋果が、まず洞窟に入り込み、奥まで進んでパラサラトプスを発見する。
2:発見したパラサラトプスに攻撃し、こちらに注目させ、すぐに撤退。
3:パラサラトプスが洞窟外に出てきたら、待機していた小雪らが奇襲する。
4:小雪らが撹乱させつつ攻撃、ダメージを負わせ、ラライが狙撃。止めを刺す。
……しかし、世の常として、この作戦通りに事が進むかどうかまでは定かではない。むしろ予想外の出来事が発生し、上手くいかないという事も少なくない。
だが、失敗を恐れて行動に移さないでいると、何も成し遂げられない事も世の常。
「……では、行きます」
秋果は、『二本牙』の暗く大きな洞窟へ、一歩を踏み出した。
その後ろを、ロザーリヤと回向が付いていく。
その後で、洞窟の周囲に……小雪と、安喜光、アーヤが、所定の位置に付いた。
「ここで待機していれば、巨獣が飛び出してきたところに……」
「……効果的な一撃を与えられるでしょう」
安喜光とアーヤは、洞窟へと視線を向ける。その暗闇は、まるで深淵のよう。
「じゃあ、わたしは……」
ラライは洞窟の中に進み、秋果たちの後を追う。。
「…………」
そして、レオニードは、
『二本牙』洞窟が俯瞰できる場所、近くの岩山の、切り立った崖のような場所にて、
狙撃態勢を取り、目標を撃ち抜く用意を整えていた。
そのスコープからは、巨大な洞窟の開口部が……暗黒とともに見えていた。
まるで、地獄に続く道のよう。それを見つめつつ、レオニードは待機状態に入った。
洞窟内は、当然ながら『闇』に覆われていた。
通常の探検家ならば、松明やランタンの炎で、あるいは電灯で、光を灯し視界を確保し奥へと進んでいく。
が、ディアボロスたちはパラドクスの効果により……【完全視界】を用いていた。
これを用いれば、完全な暗闇の中でも視界が効く。秋果はその中を、できるだけ静かに……音をたてないようにして、注意深く進んでいた。
洞窟自体は、一直線の本道が続いているのみ。今のところは変わった点も無かった。生物の姿も見当たらない。
(「……秋果が言うには、敵巨獣……パラサラトプス、だったか。そいつは……」)
秋果の後ろに付くロザーリヤは、先刻秋果から聞かされたことを心の中で反芻する。
(「……このような位洞窟に潜んでいるということは、『耳が良い』、または『暗闇でも見える目を持つ』との事だったな」)
ロザーリヤと同じ事を、回向も考えていた。
(「しかし……敵に気付かれぬように近づくのは良いとしても、敵が逆にこちらに気付き、先に気付かれたら……」)
回向は心配になってきた。こちらは今、光源は無く、足音も控えてはいる。いるが……不安は隠しきれない。
相手も暗闇を見通せる、或いは耳が良いとしたら、逆に感知される可能性もある。
そうなった場合は……、
そこまで考えた時、
「…………!」
前方の秋果が、手で合図を出した。
そして、前方へと指差す。
その先には、
洞窟の奥の方に、なにやら巨大な獣……らしき何かが、『数体』、うずくまっているのが見えた。
●戦慄! 殺伐! パラサラトプスを倒せ!
(「……あの獣たちは?」)
洞窟内、秋果らの後ろ。
ラライは、秋果たちの後ろから、距離を取って物陰に隠れつつ、後をつけていた。
「……どうにも、気になるわね」
敵が潜んでいる洞窟。それゆえに、気になるのも致し方なかろう。
だが、それとは別に、『何か』が、おぞましい『何か』が、洞窟内に潜んでいるように思えて仕方がない。
「……秋果ちゃん、みんな。気を付けてね」
この漂う嫌な予感と不安、これらが気のせいであってほしいと、ラライは願った。
それは、小雪らも同様。
「……コダマ、気になりますか?」
傍らのモーラット・コミュに語る小雪は、【光学迷彩】を用いていた。他の待機しているディアボロスたち……安喜光とアーヤも同様に、光学迷彩を用い隠れ潜んでいる。
周囲から何かがやって来たとしても、すぐには見つからず、攻撃も去れないだろうと考えての事だが……、
しかし、この先刻から漂ってくる『殺気』には、やや辟易していた。
明らかに、洞窟内部から漂ってくる。しかし、殺気は有っても、そいつの姿はいまだ見えない。
どういう事でしょう……?
混乱するこの状況に、小雪は……戦慄を覚えていた。
「……これは……?」
藍色の槍を構え、突きかけた秋果だったが、
寸前で止め、小さく呟いた。うずくまっている『それら』は、見たところは確かに、巨体の……恐竜は角竜らしき姿のそれら。
しかし、まったく動かない。眠っているのか?
いや、何か、どこか……おかしい。
「……秋果、こいつらが例の?」
ロザーリヤが小声で訊ねるが、
「……いや、注意して下さい。どうも……様子が変です」
秋果も小声で、そう返答した。
回向も、剣の柄を握り、周囲を警戒している。それを見つつ、
(「おかしい……耳が良い、または闇を見通すにしても、なぜ私たちがここまで接近したのに、全く気付いてない? 眠っているようには見えないし……」)
洞窟自体は、さらに奥に続いている。改めて目前の獣たちを見ると、
(「見たところ、角竜を中心とした恐竜たちのようだけど、やや小さめ。それに……」)
それに何より……以前に相対した時の、強烈な『怖気』が、そいつからは感じられなかったのだ。『敵意』や『殺意』も、あの時のように放たれてこない。
むしろ、目前のそいつから伝わってくるのは、『死にかけた動物』の気配。巨獣が用心しているとしても、ここまで弱々しいか?
あの時は、害意と殺意とともに、生命力も感じられた。何かがおかしい。その何かとは……?
そう思っていたら、洞窟の奥から、
「「「!!」」」
強烈な気配とともに、足音が聞こえてきた。
そちらに目をやると、奥から、
これら恐竜より遥かに巨大な身体の『そいつ』が、
近づいてくるのが見えた。
動かない、しかし死んではいない恐竜たちの身体に隠れ、
(「……あれが本命か!」)
(「確かに、話に聞くよりスサまじい!」)
ロザーリヤと回向は、気配だけで納得させられた。あれこそがパラサラトプスに間違いない。
秋果とラライもまた、言葉を発さず頷く。
そして、恐竜たちの身体の一部を見て……秋果もまた納得した。
(「そういう事か……納得した!」)
そして、事態を理解できたなら、後は……当初の行動通りに動くのみ!
その殺意の塊の巨体が接近するのを見計らい、
「……『復讐の刃』!」
奇襲!
回向の妖刀が振るわれ、パラサラトプスへと斬撃が放たれた!
続き、
「『ヘラクレスブリッツ』!」
藍色の槍を以て、秋果も切り付ける!
それらは、等身大の相手ならば一撃で倒せる、強烈な一撃。
しかし……パラサラトプスにとっては、かすり傷にもならない一撃。
「……ぼくも行くよ!」
と、ロザーリヤも攻撃を仕掛けんとしたその時、
パラサラトプスが向かってきた。その突進は思ったよりも速く、
(「! あの巨体で、ここまで接近された……!?」)
「ロザーリヤさん、目をつぶって!」
秋果の言葉に従い、回向とともに目をふさぐロザーリヤ。次の瞬間、
『!!』
昼間のような明るさが、その場に発生した。
●暴虐! 残虐! パラサラトプスの恐怖!
「さあ、こっちです!!」
ディアボロスたちは心の中で考える。
(「……問題。『暗闇の中、長時間潜んでいたパラサラトプス。その状態で、いきなり強烈な光を浴びせられたらどうなるでしょうか』」)
(「答え:『光に目を眩まされ、視覚を一時奪われ、混乱し、怯む』!」)
(「その『答え』に補足回答! 混乱した後、無差別攻撃してくる!」)
その補足回答を予測していた秋果は、
パラサラトプスから放たれてきた、『暗色の針』が迫りくるのを見た。
「……くっ!」
針は、回向とロザーリヤに向かってくるが、
「その攻撃は予測済みです!」
秋果が、『額縁』を用い、楯としてその攻撃を弾く。
「二人とも、撤退です!」
と、秋果は下がり、
「わかった!」
「……やれやれ、ここじゃ活躍できなかったな」
回向とロザーリヤはそれに従う。
そして、洞窟の出口に逃げるディアボロスたちを、
パラサラトプスは、怒りとともに追い始めた。
ラライは、
「……秋果ちゃんたちの陽動、上手くいきそうね」
作戦通りに事が進みそうと判断し、外へと退避していた。
そして、外に出ると、
「みんな、用心して! パラサラトプスが来るわ!」
ディアボロスたちに警告し、自身も……戦う用意を整えた。
「……来た!」
洞窟入り口。
「…………!」
そこで隠れ、様子をうかがっていたラライと、ほんの数ミリ秒すれ違い、目くばせした秋果は、
(「やつが来ます。次、お願いします!」)
(「了解よ、秋果ちゃん!」)
言葉を使わず、意図を交わし合い、
ラライはそのまま、洞窟から離れ距離を取る。
「小雪ちゃん、来るわよ!」
「……はい! 来ます、ね!」
ラライの警告は、小雪にも伝わった。
そして、『二本牙』の洞窟から出てきたそれを、
パラサラトプスを見た小雪は、
「……あ、あれは間違いなく、パラサラトプスさん、です。以前、別個体と戦った事があります!」
叫び、
【飛翔】で、飛び立った。
そのまま、鳥のようにパラサラトプスの頭上を舞う。
巨大な角竜は、舞う小雪を見て翻弄され、頭部を振り、咆哮する。
「……外で奴を見ると、洞窟内以上に大きさを実感するね」
ロザーリヤは呟き、
「そして……奴はまちがいなく鬱陶しがっている。作戦、上手くいっているようだ」
回向はしてやったりと頷いた。
頭上に気を取られ、パラサラトプスは後脚だけで立ち上がったりもするが、小雪は捕まらない。
「……ひっ!」
飛ばしてくる寄生針を、まるで鳥のように回避。
「……コダマ!」
だが、その隙に、
地上に残していたモーラット・コミュ『コダマ』が、パラサラトプスの身体を駆けのぼり、
携えた光の剣二刀流で、十文字に切り裂く!
『毛玉二刀流奥義・毛玉雷十文字斬り(モーラットカミナリジュウモンジギリ)』、それはパラサラトプスの皮膚へと切り込まれ、切り傷を付ける!
「……あたいも行くにゃあ! 『ピラミッドコンバット』!」
アーヤもまた、出現させた小型ピラミッドからのパワーを受け、その体表面に青龍偃月刀で切り付ける!
だが、パラサラトプスの皮膚は分厚く……付けられた傷は浅かった。
逆に、コダマは鼻先で空中に放り投げられ、
アーヤには、寄生針の連射が襲い掛かる!
「コダマ!」
空中のコダマを、小雪はキャッチし、事なきを得るが、
「わっ! にゃっ! にゃひっ! なんであたいの方ばっかに!」
アーヤに、針が襲い掛かった。なんとか回避し、岩陰に逃げ込むが、
「……来ます。なんだか……」
「……少しばかり、危なそうな雰囲気ね……!」
秋果とラライの言う通り、パラサラトプスは咆哮した。
その咆哮が済むとともに、洞窟奥から、
「あれは!」
秋果たちが洞窟内で見た、原生生物……恐竜らしき大柄な動物たちの群が、突進してきたのだ。
これは、『ビーストセマタリ―』。
パラサラトプスの寄生針を受けたものの、成れの果てである。
針が刺さった生物は、神経を破壊され、パラサラトプスに操られる傀儡と化す。
そしてパラサラトプスは、この傀儡を群れと化し、敵へ攻撃させる。
「洞窟内の、動かない獣たちは、これだったんですね!」
「……この数、捌ききるには……」
秋果とラライは、圧倒されそうになったが、
「今度こそ、ぼくに任せてもらおう」
ロザーリヤと、
「俺もだ」
安喜光が、進み出た。
●邁進! 爆走! パラサラトプスの最期!
洞窟から出て来る、針を撃たれた獣たち……恐竜たちは、
本来以上の、『動き』とともに迫って来る。まるで『無理やり身体を酷使され、本来の挙動や肉体の限界を無視させられた』動きをしていたのだ。
だが、そいつらがパラサラトプスに近づく前に、
旗印を掲げた戦国武将たちが、幻影として出現した。
「いけ、ぼくの『家臣団突撃』!」
ロザーリヤが命じると、武将たちが突撃する。パラサラトプスの部下たちと、ロザーリヤの部下たちが、ぶつかり合い、激突し、切り結び、膠着状態に。
「俺も行くぞ!『攻性式神結界』!」
と、敵の恐竜たちが、
安喜光の放った光、結界に閉じ込められた。そのまま彼は、その結果以内に『式神』を放つ!
『ビーストセマタリ―』の獣たちは、結界内部で次々と式神の攻撃を受け、倒れていく。
パラサラトプスは、その様子を見て、
今度は、慌てる様な咆哮を上げていた。
そこへ、
「……悪いけど、もらったわ」
巨獣の意識を割けさせた事を悟り、ラライは拳銃『レッドアンドホワイトチェスボード』を構え、狙いを定めると、
「……!」
撃った。
弾丸は、巨獣の分厚い皮膚の一部に、
先刻に、小雪のコダマが十字に切り付けた傷へと命中し、
そのまま、体内に撃ち込まれた。
これぞ『試験(コタエノナイナゾナゾ)』。
放たれた弾丸は、王冠のような黄金に輝くそれ。その弾丸は、パラサラトプスを今まさに撃ち抜き、
パラサラトプスの身体の中を破壊していった。
だが、パラサラトプスはまだ倒れない。
「……まだ、動けるの!?」
小雪は驚愕し、
「……ダメージは、かなり与えたはずなのに!」
ラライは、信じられぬとばかりに叫ぶ。
「……こうなったら、もう一度総攻撃を……」
と、槍を構え直す秋果。
そんなディアボロスたちに、よろよろと、それでもまだ攻撃を仕掛けようとするパラサラトプス。ディアボロスたちは、再び身構えたが、
明後日の方角から、別の狙撃者が狙撃してきた。
その狙撃者は、小雪が先刻に切り込み傷をつけ、続けてラライが撃ち込んだ弾丸の狙撃箇所へ、正確に、
新たな弾丸を打ち込んでいた。
「……キミを見極めようと思ったが……大したことは無かったようだ」
その狙撃は、レオニードによるもの。
そしてそれは、『融合世界線殺し(アルタン・ウルク・スレイヤー)』。
対アルタン・ウルクのために編み出した魔弾戦闘術であり、高密度に圧縮した魔力弾。それが、パラサラトプスの急所へと撃ち込まれたのだ。
レオニードは、ラライが穿った弾痕へと狙撃。そのまま弾丸をパラサラトプスの体内深くに押し込み……爆裂させていた。
苦し気な声とともに、パラサラトプスは倒れ、のたうち回り……動きを止める。
ディアボロスたちは、巨獣の動きが止まるのを見て、ようやく安堵するのだった。
「……状況、終了。そう判断して良いと思うわ」
その後、ラライや秋果、小雪は、周囲を見回り、飛び回り、
パラサラトプス、およびその同類が居ない事を確認。戦いが終わった事を明らかにさせた。
「みんな、お疲れ様」
「お、お疲れ様、です……」
秋果と小雪、二人に対し、
「お疲れ。図体がでかいだけでなく、寄生針の攻撃もあって、中々やっかいな相手だったね」
ロザーリヤは、くたびれたことを隠さずに言い放つ。
「そ、そう……で、ございますね」
アーヤも、それに賛同。
「だが、厄介であっても……倒せた。それが重要な事と、俺は思う」
回向と、
「ああ。それに、どんな相手でも全力で立ち向かう。その事も忘れずにいたいものだ」
安喜光は、大切なことを忘れないために、自分に言い聞かせる様に呟く。
「…………」
反対に、レオニードは無口なままで、自身が止めを刺したパラサラトプスを見つめていた。
「……それでは、一休みしたら、その後で……」
秋果もまた、パラサラトプスを見つつ言った。
「トレインに、戻るとしましょう。ここでの任務は、終わった様ですからね」
またこのディヴィジョンに、場合によっては赴くかもしれない。
だが、そのたびに。ディアボロスとして必ず、クロノヴェーダを倒し、平和を取り戻して見せる。
秋果とともに、小雪やラライ、他のディアボロスたちも、
改めて誓うのだった。打倒・クロノヴェーダを。
善戦🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【照明】LV1が発生!
【土壌改良】LV1が発生!
【寒冷適応】LV1が発生!
【防衛ライン】LV1が発生!
【操作会得】LV1が発生!
【トラップ生成】がLV2になった!
【ハウスキーパー】LV1が発生!
【通信障害】LV1が発生!
効果2【凌駕率アップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】がLV3になった!
【命中アップ】がLV4になった!
【能力値アップ】がLV4になった!
【ガードアップ】LV1が発生!
【ダブル】がLV2になった!