リプレイ
●南瓜の小鳥とぬいぐるみのパレード
ちぃちぃ、ぴよぴよ、ちゅんちゅんって声が聞こえるかい?
空を飛ぶ旅の鳥たちの声ではないさ。
この街に住む、あの悪戯好きの鳥たちの声さ。
お菓子も悪戯も大好きな南瓜の小鳥たちは、自分そっくりの色の南瓜に隠れて、あっちにぴよぴよ、こっちにちゅんちゅん。
けれど今日はハロウィンだから。
みんなみんなが遊べるように、ぬいぐるみたちに魔法をかけるのさ。
一度目を閉じて、さぁ開いてごらん?
南瓜の鳥たちの声が聞こえたら、始まりの合図。窓際で君を見送っていたぬいぐるみも、ベッドで一緒に寝ていた子だってみんなみんな動き出す。
トリックアンドトリート!
さぁ、楽しいハロウィンの始まりだ!
甘いフルーツ飴の香りと共に、通りには賑やかな楽の音が響く。パレードに参加した楽士の奏でる旋律にとてとてと歩き出すのはクマのぬいぐるみ。大きなカラクリの人形は通りで一礼をして、ウサギのぬいぐるみ達は人形師の指先と共にフルーツ飴の入った籠を見せる。
「トリックアンドトリート」
「お菓子をくれても悪戯しちゃうよ」
ぎゅっとぬいぐるみに抱きついた子どもがきゃっきゃと声を上げ、驚いたように顔を上げた少女に、大きな猫のぬいぐるみにぽすん、と手を触れる。
悪戯はこの日の風景であり、動くぬいぐるみ達であり——とっておきの驚きだと人形師達も街の人々も言う。
『だって、どうせなら楽しんでほしいだろう? お菓子だって悪戯だって、全部な』
城塞都市の名残を残す旧市街を、ぐるりと回るルートには南瓜の小鳥たちの飾りつけに、カラクリ人形にぬいぐるみ。精一杯、飾りつけて——今日というハロウィンに、とっておきの驚きを届けるために。
——さぁ、パレードが始まる。
賑やかなパレードの中を歩くか、ぬいぐるみたちに心を踊らせるか、それとも少しばかりの演出の手伝いをしようか。勿論、街の人々の邪魔にならない程度の話だが——演出の手伝いであれば出来るはずだ。音楽を奏でることも、一緒に歩くことも。
——さぁ、どう過ごそう?

ロキシア・グロスビーク
鞆ちゃん(g03964)と!
賑々しい祭りに華を添えるが如く
白のキルティングコートに差し色の赤が映える吸血鬼姿
輸血パックと蝙蝠飾りがよりモチーフを強調するような装いは
アリスと並び歩き、人形と繰手たちを観覧するのです
わお、すごいや。熟練の技!ねこーかわいいっ!
大きいのはカラクリで、小さいのは糸でやってるのかな
ウサギたちからフルーツ飴を頂けばかんばせに笑顔を咲かせ
手元の白熊の手を掴んで振ってみせます
……ああ、セップ(Septentrionの略称)?
中にナノマシン流体が入ってるんだ
ハイテクだけれど、守護人形とそう変わりはないよ
そこでパレードの人形たちに視線を移し
可愛く動かすために努力が要るのは彼らといっしょさ
言葉を切るように飴を口中に放り、遊興に甘味を加えて
この胸赤鵤も人形を動かす魔法使い。先達に学ぶも大事なこと
お勉強だけじゃないけどね!
さあアリス。魔法のパレードにもっと飛び込んでみようか!
芝居がかった語りで手を差し出して
トリック・オア・トリート!
ぬいぐるみ達へ歩み寄り、元気な声を響かせるのです
金刺・鞆
ロキシアさま(g07258)と、お人形のパレードですよ!
仮装のテーマはうさぎのアリス、です!
(つけ耳はゆるふわ垂れ耳、エプロンドレスはほんのり和風。薔薇のパニエがチャームポイント!)
(お祭りのチラシやパンフレットなどがあれば行列と見比べて、注目の芸達者に目が輝く)
わあ、わあ! すごい、うごいてます。歩いてますよ!
あのねこさんも傍の方が……? むむん、種も仕掛けもさっぱり、です。
(ぬいぐるみから貰ったフルーツキャンディを早速ぱくり)
(動くぬいぐるみといえば、隣の少年の武装についての疑問もぷかり)
ロキシアさまの黒いくまさんたち……セプテントリオンさまも動きますよね。
パラドクスという不思議に慣れては『そういうもの』と受け入れておりましたが、彼らもどうやって動いているのでしょう……?
ガジェットによるものか、魔法魔術の類であるのか、わたくし気になってまいりました。
(ふむふむむん、とわかったような、わからなかったような)
愛くるしく人々を魅了するには修行が必要……ひとよの魔法、存分に堪能する所存にて!
●不思議の国へ影と踊る
軽やかな音楽と共にぬいぐるみ達が踊っていた。とてとてと歩くうさぎに、くるりと踊ってみせるちいさなクマたち。ふかふかのぬいぐるみは人形師と一緒になって踊る。その姿に瞳を輝かせるようにして少女は足を止めた。
「わあ、わあ! すごい、うごいてます。歩いてますよ!」
パンフレットを片手に、キラキラと青の瞳を輝かせる。手元の写真と見比べるように右に、左にと視線をやれば白い髪と一緒にゆるふわのうさぎの垂れ耳が揺れる。
「すごいです!」
小さくぴょん、と跳ねた金刺・鞆(虚氏の仔・g03964)のエプロンドレスがふわり、と風をはらんだ。可愛らしい今宵の不思議な国にやってきたうさ耳の少女は祭りのパンフレットを手に傍らのひとを見上げた。
「ロキシアさま!」
「わお、すごいや。熟練の技!」
最初に見えたのは白のキルティングコートであった。輸血パックの赤を差し色に美しい吸血鬼は笑みを見せた。
「ねこーかわいいっ!」
「あのねこさんも傍の方が……?」
蝙蝠飾りを連れた吸血鬼——ロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)の視線を追って見た先、くるくるり、と踊って見せる黒猫の姿があった。二匹の猫は、楽しげに踊って、時折気ままにパレードの列を外れようとするのを傍らを歩く人が抑えているようだった。彼女がきっと人形師なのだろう。
「むむん、種も仕掛けもさっぱり、です」
じぃ、っと見た先、鞆が眉を寄せればゆるふわの垂れ耳もぺたん、としたまま。首を傾げていればロキシアが、ひとつ、ふたつと指先で何か数えるようにして頷いた。
「大きいのはカラクリで、小さいのは糸でやってるのかな」
「糸、ですか?」
パチパチと鞆が瞳を瞬かせれば、ほら、あそこ、と視線を合わせるようにロキシアが横に立つ。
「あの辺りに……」
「ふむふむ……」
じぃ、と二人、不思議の国の少女と、吸血鬼が眺めていた事に気がついたのか。ご機嫌に歩いていたウサギたちが、ぴょん、と跳ねて手を振ってきた。
「わ、うさぎです」
「ほんとだ」
白いウサギと、黒いウサギ。二匹のうさぎたちは、鞆やロキシアよりも背丈は低いだろうか。とてとてとやってきたウサギたちがもこもこの手を差し出す。
「フルーツキャンディー……でしょうか?」
「そうみたいだね。僕たちに?」
「♪」
そうだよ、とでも言うように、頷くウサギたちの手からころり、と渡されたキラキラのキャンディーに、ロキシアは笑みを見せた。笑顔の花を咲かせた吸血鬼の横、ぱくり、と一口、苺飴の甘さに鞆も笑みを零した。くるり、と飴でコーティングされた苺は土地のものなのだろう。甘酸っぱさと飴の甘さに思わず頬を押さえた少女の瞳に動くぬいぐるみ達が映る。ウサギに猫、狼もいればおもちゃの騎士達もいる。
(「動くぬいぐるみといえば……」)
そうして、ふと鞆が思い出したのは、ロキシアの操る黒いクマのぬいぐるみのことだった。
「ロキシアさまの黒いくまさんたち……セプテントリオンさまも動きますよね」
「……ああ、セップ?」
「はい」
こくり、と一つ頷いて鞆はロキシアを見上げた。フルーツキャンディーをくれたウサギたちに、ひらひらと腕に出した白熊のぬいぐるみで手を振り返していたロキシアを見て思い出したのだ。
「パラドクスという不思議に慣れては『そういうもの』と受け入れておりましたが、彼らもどうやって動いているのでしょう……?
ガジェットによるものか、魔法魔術の類であるのか、わたくし気になってまいりました」
「……」
キラキラとした青の瞳がロキシアを見上げていた。付け耳だと分かっていてもそわそわと動き出しそうなウサギの耳に、ふ、と吸血鬼は笑った。
「中にナノマシン流体が入ってるんだ。ハイテクだけれど、守護人形とそう変わりはないよ」
そう言って、ロキシアはパレードの人形達に視線をやった。くるりと踊るぬいぐるみに、軽やかにジャンプをしてみせるクマたち。
「可愛く動かすために努力が要るのは彼らといっしょさ」
言葉を切るようにフルーツ飴を口の中に放って、ロキシアは悪戯っぽく笑った。
「この胸赤鵤も人形を動かす魔法使い。先達に学ぶも大事なこと。お勉強だけじゃないけどね!」
「ふむふむ」
むん、と分かったようなわからなかった、頷きながらも眉を寄せて、こてりと首を傾げれば白髪を飾るリボンが揺れる。
「愛くるしく人々を魅了するには修行が必要……ひとよの魔法、存分に堪能する所存にて!」
ぱ、と顔を上げた少女に、ふふ、と笑って、今宵の吸血鬼はカツン、と靴を鳴らす。
「さあアリス。魔法のパレードにもっと飛び込んでみようか!」
芝居がかった語りで手を差しだして、ぱち、と瞳を瞬かせた少女を賑わいに誘う。今日はこの街が不思議の国。とん、と二人軽やかに進む足取りに、白のキルティングコートとエプロンドレスが揺れて。
「トリック・オア・トリート!」
「トリック・オア・トリート、です」
ぬいぐるみ達に歩み寄って、元気な声を響かせた。
超成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【防空体制】LV1が発生!
【傀儡】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV2が発生!
朔・冥夜
椿歌/g00784
'24南瓜:兎闇医者の仮装
人形師、か
…実家にもドールがあってな
よく見てたから馴染み深くて懐かしい
特製のぬいぐるみがパレードするなら
俺達も彩りを添えられるよう頑張ろうか?
隣人は妖精国の女王様、恭しく手を差し延べて
絡繰りと解ってても軽快に動く人形や操り糸の先のぬいぐるみは
本当に命がふき込まれているみたいで
…何処を見ても愛らしいな
ルリラ、あっち見てみろよ
白兎と黒兎が躍ってる――双子みたいだ
楽しそうに跳ねる子達のそっと傍ら共に歩いてパレード
ルリラと共に居る黒ウサギを思い出してしまう
ふふ、ルリラがこんなにぬいぐるみと一緒にいたら
ムジカが妬いちゃうんじゃねーの
子供達へフルーツ飴を手渡し
俺はね、ぬいぐるみ達が怪我や病気をしたら治せるんだぜ
聴診器を当てて演出を添えてみたり
音楽に合わせて円舞曲を踊るように行進しよう
噫、そうだ。
ルリラ、トリックオアトリート?
貴女からの幸福のりんご飴を受け取って
悪戯できなくて残念。なんて、戯れもひとつ
もっと幸せに…か、俺は贅沢者だな
ハッピーハロウィン、ルリラ
ルリラ・ラプソディア
椿歌/g06409
'24南瓜:妖精女王の仮装
ご実家にドールが…?
そうだったのね
きっと綺麗なドールさんなのかしら
わたしもいつもムジカが一緒だから
なんだかなじみが深いの
ん。人形師さんの子たちが今宵輝けるように
がんばりましょう
花咲くように微笑しお医者さまの手を取る
これが、人形師さんたちの魔法…なのね
生き生きとしてるの
?…わ、ほんとう
かわいいうさぎさんたち
それはいつもそばにいる黒兎のムジカを思い出すようで嬉しそうに頷く
双子みたいに仲良しさんたちに手をふってパレードを歩みながら
彼の言葉に、ふふっと笑み零す
そうね
”ぼくがいつもいっしょなのに”って拗ねてしまうかも
喜ぶ子供たちにフルーツ飴を配りながら
彼がお医者さまの演出をするなら
皆がもっと笑顔になれるように光を舞わせましょう
天使の輪の光砂が花弁のように舞い皆へ祝福を
楽しそうな音楽に歌いながら踊る
花のように妖精の女王になり優雅に軽やかにパフォーマンス
…ふふ、それでは…あなたへ特別な飴をあげましょう
食べたら幸福が訪れるりんごの飴
ハッピーハロウィン、冥夜さん
●幸せの行く先へ
軽やかな音楽と共に、ぬいぐるみ達が足を進めていた。とてとてと歩くペンギンのぬいぐるみに、小さな楽器を手にしたクマたち。おもちゃの兵隊たちはラッパを吹けば、わぁわぁと子ども達が瞳を輝かせていた。
「さぁどうぞ」
くるり、とおもちゃの兵隊達の傍らに立つシルクハットの男性が一礼する。年嵩の人形師が指先を踊らせればおもちゃの兵隊たちが敬礼した。
「人形師、か」
眺め見ていた青年が足を止める。ほう、と落とす息ひとつ、今日は二つの兎の耳をのせ、白兎となった朔・冥夜(星朧・g06409)は来し方をなぞるように薄く口を開いた。
「……実家にもドールがあってな」
「ご実家にドールが……?」
ぱち、とピンク色の瞳が瞬く。ふわりと揺れる衣をそのままに、見上げるルリラ・ラプソディア(Ⅻの子守歌・g00784)に冥夜は頷いた。
「よく見てたから馴染み深くて懐かしい」
「そうだったのね。きっと綺麗なドールさんなのかしら」
ゆるり、と娘の瞳は優しく弧を描く。秋に吹く風が、どこか甘いのは振る舞いだというフルーツ飴が理由だろうか。ふわり甘く感じた風と、とてとてと歩いていく人形達の姿に、ルリラは笑みを零した。
「わたしもいつもムジカが一緒だから、なんだかなじみが深いの」
いつも一緒にいる黒兎の姿は、この光景をみたらどう思うのだろうか。ふ、と思わず笑みを零せば、ひらり、と白の衣が揺れるのがみえた。
「冥夜さん?」
「特製のぬいぐるみがパレードするなら、俺達も彩りを添えられるよう頑張ろうか?」
口元、浮かべられた微笑は美しく――同時に、少しばかり悪戯っぽく。兎の闇医者は、白衣を揺らして妖精の女王へと恭しく手を差し延べた。
「隣人は妖精国の女王様」
「ん。人形師さんの子たちが今宵輝けるように
がんばりましょう」
小さく頷いて、妖精女王は花咲くように微笑みし闇医者の手を取った。さぁ、今宵の約定は成った。兎の闇医者に手を引かれるまま、向かう道行きは白衣の影とドレスの淡い影が尾をひくようについていく。今宵、彼方側に迷い込んだのは誰だろうか。クマのぬいぐるみはとてとてと歩き、南瓜の小鳥たちはパタパタと翼を動かす。チュンチュン、ぴよぴよ。可愛らしく聞こえる声は、人形師の指先を飾る装飾が齎すのか――それとも、あの南瓜の小鳥たちが本当に歌っているのか。賑やかな音楽に包まれたパレードに一歩踏みだして、二歩目を軽やかに進めて。カツコツ、トン、と二人進めた足取りにねこのぬいぐるみ達が手を振り、緩やかに二人は手を振り返す。
「♪」
振り返した手に、ぴょん、とぬいぐるみのクマが嬉しそうに跳ねた。今にもご機嫌な歌声さえ聞こえてきそうな姿に、冥夜は口元を隠すマスクを引き上げる手を止めた。
「……」
元気なもんだな、と思う。よく動く、というよりは元気だとそう思うのは、絡繰りと解ってても軽快に動く人形や操り糸の先のぬいぐるみは、本当に命がふき込まれているように見えたからだ。
「……何処を見ても愛らしいな」
「これが、人形師さんたちの魔法……なのね。生き生きとしてるの」
ほう、とルリラは感嘆の息を零す。美しい衣装に身を包んだ人形師は騎士の仮装だろうか。姫君の人形と踊り、狐のぬいぐるみは時計塔の時間をどうにか止めようとジャンプする。こらこら、と息をついて見せる人形師とぬいぐるみが子供達の目をひいていた。
「ルリラ、あっち見てみろよ。白兎と黒兎が躍ってる――双子みたいだ」
目を輝かせながらぬいぐるみ達を見ていた彼女の肩越しに、ふと見つけた姿。つい、と冥夜が示した先にいたのは手を取り合って躍る白兎と黒兎のぬいぐるみの姿だった。
「? ……わ、ほんとう。かわいいうさぎさんたち」
とんとん、くるり、と。手を取り合って、ぴょん、と跳ねて。躍る白兎と黒兎の姿にルリラは笑みを零した。思い出すのはいつもそばにいる黒兎のムジカのこと。ふふ、と嬉しそうに笑みを零して、手を引くひとに頷いた。とん、と一歩、兎の闇医者と妖精女王が踏みだした先は、仲良しの白兎と黒兎が楽しそうに跳ねるその傍ら。一緒になって歩いて、ひらり、とルリラが手を振れば二匹の兎がぴょん、と跳ねて嬉しそうに手を振る。
「♪」
ご機嫌な白兎と黒兎に、思わず笑みを零せば――ふいに、今宵の兎の医者が笑う声が耳に届く。
「ふふ、ルリラがこんなにぬいぐるみと一緒にいたら、ムジカが妬いちゃうんじゃねーの」
「そうね。『ぼくがいつもいっしょなのに』って拗ねてしまうかも」
ふふ、とルリラは笑みを零す。ぷん、と拗ねてそっぽを向いたムジカは、どうしたら気分を直してくれるだろうか。指先をひらり躍らせて、妖精女王の零した笑みと共にわぁ、と声がした。
「……ん?」
緩くルリラが首を傾げれば、先に視線に気が付いていたらしい冥夜が先を示す。少しばかり離れた先、パレードを眺めていた子供達が二人の仮装に目を輝かせていた。
「わぁ……綺麗!」
「すごい、ひらひらだ……!」
「それにあれ、兎の耳だ! 白いのは……お医者、さん?」
注射かな、と最初に零すのは、子供達にとっての怖い話であったのか。ぴ、と背筋を伸ばした子に、ふ、と笑い、冥夜がカツン、と踵を鳴らす。
「俺はね、ぬいぐるみ達が怪我や病気をしたら治せるんだぜ」
子供達の掌にフルーツ飴をころころり、と転がして、冥夜は笑う。
「本当に……? 治せるの?」
「あぁ」
膝を折って、猫のぬいぐるみを抱く少女に頷く。吐息ひとつ、零すようにして笑って大丈夫だと告げて聴診器を当てれば――ふわり、と光が舞った。
「わぁ……! キラキラしてる?」
それは、ルリラの招いた光の祝福。天使の輪の光砂が花弁のように舞う。
――さぁ、賑やかな声と軽やかな音楽と共に、今宵の女王とお医者は手を取って。円舞曲を躍るように行進する。
「噫、そうだ。ルリラ、トリックオアトリート?」
「……ふふ、それでは……あなたへ特別な飴をあげましょう」
優雅なステップと共にくるりと周り、出会う瞳に微笑んで女王はそっと兎の医者の手にりんごの飴を手渡す。
――それは、食べたら幸福が訪れるりんごの飴。
「悪戯できなくて残念」
とびっきりの笑みと共に告げられた言葉と、幸福のりんご飴に冥夜は笑う。
「悪戯できなくて残念」
軽く肩を竦める戯れをひとつ。冥夜はふふ、と笑う彼女を、幸福の林檎を見る。
「もっと幸せに……か、俺は贅沢者だな」
小さく零した声が、楽しげな音楽と共に揺れる。
「ハッピーハロウィン、ルリラ」
「ハッピーハロウィン、冥夜さん」
重ねた掌と共に二人は優雅に躍った。今宵の賑やかな魔法と共に。
超成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
【強運の加護】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【リザレクション】LV1が発生!
眞守・天彩
藤白さん(g09461)と
藤白さん、キレイなドレスだねぇ
ゴシック調っていうのかな、大人の魅力だね…!
(由来があるのかな、と思ったが、黒衣の意味を考えて口を閉じる)
今日の俺は豆狸!
たぬきつね…尻尾が自前なのは…いや…入らなくて…
ねー、すごいねぇ
こんなに動くんだなぁ
俺も連れてくればよかったかな…
そうだね、気の合いそうな子が見つかるといいね!
俺?俺はねぇ、テディベアが好きかな
俺が産まれた時に父さんが買ってくれた子が居てね
今は傍にいないけど…
せっかく藤白さんと探すなら、全然違う目を惹く子がいいな!
(淡く青みがかった白鳥のぬいぐるみを見て)
品のあるキレイな子だなぁ
俺のところに来ない?
いいかな?
じゃあ連れて帰っちゃおう!
な、撫でる…俺もう17歳なんだけど…!
藤白さんはどんな子がお好み?
わぁ、今日の格好にお似合いの子だね!
そう?花嫁さんとバージンロードを歩いてくれる、
ダンディな子かもしれないよ?
ふふ、大役だね!
立派にこなしてくれるかな?
折角だからパレードに混じってみようか!
うまく動かせるかな〜!?
藤白・叶
天彩くん(g02572)と
黒の花嫁衣装を身に纏い
音楽とぬいぐるみに溢れた世界へ
天彩くんは豆狸…ふふ、いつぞやかのたぬきつねの話を思い出すわ
今日も素敵よ
糸で自在に動くさまは本当に魔法のようね
パレードにただ並ぶのもいいけれど…
折角なら、お気に入りの子を探しましょうか?
天彩くんはどんな子がお好みかしら
あら…素敵な相棒さんがもういるのね
また会えるように今は楽しむとしましょう
綺麗な白鳥のぬいぐるみね
男の子はこんなこと言われるの嬉しくないかもしれないけれど
仮装と相待ってとても可愛らしい組み合わせね
なんとなく頭を撫でたくなってしまうわ
きょろ、と辺りを見回せば目に飛び込む黒猫紳士なぬいぐるみ
私は彼をナンパしようかしら
嗚呼…でも今日の仮装は既にお相手のいる花嫁なのよね
これじゃあ浮気ね?
一緒に歩く……そうだ
(鳥籠の黒薔薇を取り出して黒猫の胸元へ)
これであなたは私の花婿
一緒に歩いてくれるかしら
ふふ、このままパレードも一緒に歩きましょうか
私たちの選んだ子たちを皆に見てもらいましょう
●君と歩む時間を
ぷぴー、と調子外れのラッパの音が響いていた。むむっと眉を寄せるように手元のラッパとにらみ合った狐のぬいぐるみが、人形師の袖を引く。肩を竦める人形師の後ろを見れば、ご機嫌な兎のぬいぐるみ達がくるくるくるり、と踊る。音楽とぬいぐるみに溢れた世界に二つの足音が生まれた。
「……」
ふわり、吹いた秋の風が白い髪を揺らす。ほっそりとした指先が黒のヴェールを抑える姿に少年は足を止めた。
「藤白さん、キレイなドレスだねぇ。ゴシック調っていうのかな、大人の魅力だね……!」
ゆるり、と狐の尾が揺れていた。尻尾はハロウィンの飾りにリボンが揺れて、眞守・天彩(くろきつね・g02572)は、ふふ、と笑みを零すひとを見る。
(「由来があるのかな……」)
薄く開いた唇は、黒衣の意味を考えて閉じられた。引き結ぶには足りぬ沈黙は、小さく笑う目の前のひとに融かされる。
「天彩くんは豆狸……ふふ、いつぞやかのたぬきつねの話を思い出すわ」
微笑む藤白・叶(創られた心・g09461)に、う、天彩は唸る。
「たぬきつね……尻尾が自前なのは…いや…入らなくて……」
押しこんでも、こうぎゅっとしても入らなかったのだ。もふもふの尻尾は豆狸の仮装に静かに収まる様子は無く、結局こうして仮装のリボンがしゅるりと巻かれた訳で。
「今日も素敵よ」
小さく零れた笑みと共にそう言われてしまえば、今宵の豆狸はゆるり、ともふもふの尻尾を揺らした。
街中は仮装した人々と沢山のぬいぐるみで溢れていた。人形師達は手を引き、時にただ傍らを共に歩いてはぬいぐるみ達を操る。ラッパとマーチングドラムは兎たちが得意なのだろうか。軽快なマーチと、元気の良く歩くぬいぐるみ達に天彩は宝石のような瞳を瞬かせた。
「ねー、すごいねぇ。こんなに動くんだなぁ」
「糸で自在に動くさまは本当に魔法のようね」
ひとつ、ふたつ。動くぬいぐるみ達と傍らの人形師が動かす指先を見ながら、ほう、と叶は息を零す。紫の瞳は、笑うように踊る人形師と、その手の先にある美しい人形を見ていた。魔法のように共に地に足をついて、くるり踊っては微笑む。
「……」
その笑みの意味は、何処にあるのか。
あの日、喪った感情と共に動かぬ心は、ぽつり、と落ちるようにして耳に届いた言葉に顔を上げた。
「俺も連れてくればよかったかな……」
「……」
懐かしむように細められた天彩の瞳に出会う。へたりと僅かに下がった尾に巻かれたリボンが揺れていた。
「パレードにただ並ぶのもいいけれど……折角なら、お気に入りの子を探しましょうか?」
小さく、叶は首を傾ぐ。口元、柔らかにのせた笑みに天彩が笑顔を見せた。
「そうだね、気の合いそうな子が見つかるといいね!」
「天彩くんはどんな子がお好みかしら」
近くで手を振っているのは、うさぎのぬいぐるみ。少し遠くにはペンギンがクラッカーを鳴らし、もう少し遠いのは雪ダルマだろうか。叶の言葉に、天彩はパチ、と瞳を瞬かせた。
「俺? 俺はねぇ、テディベアが好きかな」
ゆるりと来し方を懐かしむように少年は瞳を細める。深い夜の空と、晴れ渡る青の宿る瞳には両親を思い出すように――あの日々を辿るように柔く弧を描く。
「俺が産まれた時に父さんが買ってくれた子が居てね。今は傍にいないけど……」
「あら……素敵な相棒さんがもういるのね。また会えるように今は楽しむとしましょう」
風が吹く。冬の訪れには遠い、けれど夕暮れの訪れを思わせる風にぬいぐるみ達は楽しげに駆け出す。
「せっかく藤白さんと探すなら、全然違う目を惹く子がいいな!」
その賑やかさをめいっぱい感じながら、天彩はそう言った。ぱぴー、と今度はまた妙な音を響かせるラッパはあの兎たちだろうか。見渡すように足を止めれば、少年の瞳に淡く揺れる青が見えた。
「あ……」
見つけたのは、淡く青みがかった白鳥のぬいぐるみ。
「品のあるキレイな子だなぁ」
思わず零れた言葉ひとつ、今宵の豆狸はもふもふの尻尾を揺らして、とん、と翼を広げた白鳥のぬいぐるみへと声をかけた。
「俺のところに来ない?」
「?」
「いいかな?」
こてり、こてり。右に左に首を傾げていた白鳥のぬいぐるみが、いいよとばかりに翼を天彩の掌にのせた。
「♪」
「じゃあ連れて帰っちゃおう!」
藤白さん、と声をかけた先、穏やかな笑みを浮かべたひとが紫の瞳を細めた。
「綺麗な白鳥のぬいぐるみね。男の子はこんなこと言われるの嬉しくないかもしれないけれど」
「?」
ふいに切られた言葉に、天彩は首を傾ぐ。一緒になって首を傾いだ白鳥のぬいぐるみに叶は吐息を零すようにして笑った。
「仮装と相待ってとても可愛らしい組み合わせね。なんとなく頭を撫でたくなってしまうわ」
「な、撫でる……俺もう17歳なんだけど……!」
身長だってほら、と掌を頭の上に持ってきて。今日の豆狸はいつもの狐の耳より低く見えてしまうだろうか。黒の花嫁衣装を風に揺らす叶に天彩は顔を上げた。
「藤白さんはどんな子がお好み?」
「そうね……」
きょろ、と叶は辺りを見回す。紫の瞳に飛び込んできたのは、紳士服に身を包んだ黒猫のぬいぐるみ。一礼と共に子供にフルーツ飴を渡していた黒猫の紳士は、立ち姿も美しくゆるり、と尾を揺らす。
「私は彼をナンパしようかしら」
「わぁ、今日の格好にお似合いの子だね!」
天彩の言葉に頷いて、ふと、叶は思う。
「嗚呼……でも今日の仮装は既にお相手のいる花嫁なのよね」
これじゃあ浮気ね? と叶は息をつく。さて、どうしようか。黒猫紳士のぬいぐるみは、こちらに気が付いたのか恭しく一礼する。
「そう? 花嫁さんとバージンロードを歩いてくれる、ダンディな子かもしれないよ?」
近づいてくる様子のある黒猫紳士のぬいぐるみを眺めながら天彩はそう言った。悪戯っぽい笑みを浮かべた豆狸に、ぱち、と花嫁の瞳は瞬いて――思い付く。
「一緒に歩く……そうだ」
鳥籠の中、眠る黒薔薇を取り出してやってきた黒猫の胸元へと送る。
「これであなたは私の花婿。一緒に歩いてくれるかしら」
「 」
仰せのままに、と言うように恭しく一礼をした黒猫紳士のぬいぐるみが叶へと手を差し出す。そっと、手を添えれば柔らかな感触と共に、黒の猫の尾が揺れるのがみえる。
「ふふ、大役だね! 立派にこなしてくれるかな?」
「♪」
きっとそうだよ、と言うように白鳥のぬいぐるみが翼を広げる。
「折角だからパレードに混じってみようか!」
「私たちの選んだ子たちを皆に見てもらいましょう」
さぁ手を取って、一緒に歩き出そう。軽やかな音楽と共に今宵、不思議な魔法に包まれて。
超成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【植物活性】LV1が発生!
【照明】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV2が発生!

咲樂・祇伐
🌸樂祇
ゾンビなハロウィンの魔女の仮装
可愛い!ぬいぐるみ達が動いていますよ、お兄様!
夢みたい……
ぬいぐるみに動いてほしいって、幼い頃思っていたっけ
ええ、お気に入りの……しろくまのぬいぐるみがあって…いつも一緒だったのです
あ!あの南瓜の小鳥はお兄様のぴぃころちゃんのようですね!
ふふ、悪戯っ子で可愛い
……こんなに可愛い悪戯なら、なんでも許してしまうやも……って、そんな物騒なことを言わないでくださいっ
お兄様が言うと洒落にならないのですから
…戯れながら歩むパレードも楽しいの
トリックオアトリート!です!
笑って甘くて美味しいフルーツ飴を贈りましょう
え?着ぐるみ?
可愛いしろくまのぬいぐるみの姿をしたお兄様なら──(思わず、確信的に抱きつける、かも?)
なんて
湧き上がる恥ずかしさ
いやいやそんな!
頭をふって誤魔化し
…けれどそれも悪くはない…なんて!思ってないですっ
む、むうう!ずるい!
お兄様もトリックオアトリート
お口にフルーツ飴をぽんと放り込む
ちょっと魔法で辛くした特別製を
ふふ!私だって
悪戯、しちゃいますから

咲樂・神樂
⚰️樂祇
ゾンビなハロウィン魔法使いの仮装
ハロウィン……賑やかさと楽しさと驚きとに溢れた、良き日よね
へぇ…祇伐はそんな夢を抱いていたのね
…確かにしろいのをよく抱えていた気がするわ
…その場所に代わりたいってずっと思ってたの
橙の鳥があたしのぴぃころに?
確かにそうかも…でもぴぃころは、悪戯より仕事を良くしてくれるのよ
…あたしの祇伐に悪戯されたら焼き鳥にしてしまうかも
ふふふ!冗談よ!…少しだけね
慌てる姿もかぁいらしいこと!
そうそう、大事なことを忘れていたわ!
トリックオアトリート!
あまーいお菓子を配らなきゃ
…ぬいぐるみ達にも夢中な祇伐の姿をみると…何だか少し、妬けてくるかも
あたしもしろくまの着ぐるみでも着てくるんだったかしら!
…?
どうしたの
顔が赤い…もう疲れた?
??
何を思っていないのかわからないけど…私としては大歓迎なんだけどな
着ぐるみを着てなくても
いつだってこの胸に飛び込んできてくれていい
なんて囁いて
ささやかで甘い悪戯よ
祇伐から貰う飴はいっとう甘いのでしょう、と笑ってぱくり
──!!!?
かっら!!!
●甘くて美味しい不思議な時を
ぴこぴこ、と軽やかな足取りに賑やかな音が重なっていた。楽しげな音を鳴らして歩くのはクマのぬいぐるみ。ラッパを鳴らす兎のぬいぐるみたちは、人形師の誘う方へととてとてと歩いていく。賑やかな音楽と共に、今宵は不思議が満ちる。
「可愛い! ぬいぐるみ達が動いていますよ、お兄様!」
ぱたぱたと少しばかり先を歩いていた魔女が、くるり、と振り返る。勢いの良さに浮いた帽子を押さえて、ゾンビなハロウィンの魔女は瞳を輝かせていた。
「夢みたい……」
「……」
ほう、と息を零した咲樂・祇伐(花祇ノ櫻禍・g00791)を魔法使いは眺め見る。ぴょん、ぴょん、と跳ねて喜びそうなほどに瞳を輝かせる妹は可愛らしい。
「ハロウィン……賑やかさと楽しさと驚きとに溢れた、良き日よね」
賑わいへと咲樂・神樂(離一匁・g03059)は目をやった。祇伐と揃いの仮装――ゾンビなハロウィン魔法使いは、小さく指先で帽子を上げてぬいぐるみ達を操る人形師たちの十指を見る。ぬいぐるみに等身大の人形に。皆々踊っては、賑やかにパレードを彩るのがこの街のハロウィンなのだろう。
「ぬいぐるみに動いてほしいって、幼い頃思っていたっけ」
「へぇ……祇伐はそんな夢を抱いていたのね」
ぽつり、と小さく零した祇伐の傍らに立つ。コツリ、と一歩、進めた靴音は、今宵は揃いの品。夕暮れの差し込む通りで、足を止めた祇伐が懐かしむように顔を上げた。
「ええ、お気に入りの……しろくまのぬいぐるみがあって……いつも一緒だったのです」
「……確かにしろいのをよく抱えていた気がするわ」
それを神樂が覚えていたのは、理由がある。あの時、あの頃、祇伐の一番近くにあったもの。軽やかにパレードを行くぬいぐるみ達に笑みを零す祇伐の姿を眺めながら、ぽつり、と神樂は呟いた。
「……その場所に代わりたいってずっと思ってたの」
零れ落ちた想いは、舌の上で溶けて消えることは無く――だが、軽やかな音楽が浚う。傍らにあっても届くことはなかったか。花盗人の旋律は楽しげに、ぬいぐるみ達の奏でる円舞曲が気まぐれなラッパに彩られる。
「あ!」
ぱっと、祇伐が顔を上げる。パチリ、と出会った瞳に、また何か可愛らしいものを見つけたのだろうかと、そんなことを思っていれば耳に届いたのは少し予想と違っていた。
「あの南瓜の小鳥はお兄様のぴぃころちゃんのようですね!」
「橙の鳥があたしのぴぃころに?」
はい、と祇伐が微笑む。南瓜の小鳥。とびっきりの魔法で、このパレードを、ぬいぐるみ達を目覚めさせた悪戯好きの魔女の弟子。
「ふふ、悪戯っ子で可愛い」
右にぴよぴよ、左にちゅんちゅん。コロコロ、パタパタと動く姿をじぃと見て、ふ、と神樂は笑った。
「確かにそうかも……でもぴぃころは、悪戯より仕事を良くしてくれるのよ」
ふかふかな桜シマエナガの姿をした守護霊。金翅鳥の雛の姿を思い浮かべたのか、傍らの可愛い妹が顔を綻ばせた。
「……こんなに可愛い悪戯なら、なんでも許してしまうやも……」
「……」
ぴよぴよぴぃぴぃ。南瓜の小鳥たちのように甘くて不思議な悪戯なら、と蕩けた瞳に、神樂は言った。それはもう低い声で。斯くも美しい笑みを浮かべて――。
「……あたしの祇伐に悪戯されたら焼き鳥にしてしまうかも」
ぴしゃりと、一言。
「……そんな物騒なことを言わないでくださいっ」
ぴゃ、と祇伐が顔を上げる。ぷすぷすの焼き鳥の想像を振り払うようにか、首を振った祇伐に神樂は悪戯っぽく笑った。
「ふふふ! 冗談よ! ……少しだけね」
「お兄様が言うと洒落にならないのですから」
もう、と落とした声ひとつ、はたと気が付いた魔女が「すこしだけ……?」と言葉をなぞる。パチパチと瞬いた柘榴に、神樂はゆるり、と笑った。
「慌てる姿もかぁいらしいこと!」
戯れるように言の葉を交わして、手を取って賑わうパレードの中を行く。南瓜の小鳥たちが少しばかり遠いのは何かを感じてだろうか。ご機嫌な白猫のぬいぐるみに、白黒の兎たち。人形師の手を引かれて、ペンギンのぬいぐるみ達が行く。
「そうそう、大事なことを忘れていたわ! トリックオアトリート! あまーいお菓子を配らなきゃ」
「トリックオアトリート! です! 笑って甘くて美味しいフルーツ飴を贈りましょう」
ゾンビな魔法使いと魔女が指先を踊らせる。キラキラと輝くフルーツ飴は、苺に飴を潜らせた真紅の宝石。
「クマさんもいますよ……! あ、あそこに黒猫のぬいぐるみも近くに……」
兄様、と響く声は何処までも楽しげで。ぬいぐるみ達に夢中な祇伐の姿を見ていると、分かっていたけどやっぱり何だか少し――……。
(「……妬けてくるかも」)
裡に棲まう心は分かりやすいのか、それともこれでもまだ、というものか。
「あたしもしろくまの着ぐるみでも着てくるんだったかしら!」
そうして神樂が口にした一言に祇伐が止まった。
「え? 着ぐるみ?」
それは、祇伐にとってひどく突然な言葉だったのだ。着ぐるみ。可愛いしろくまのぬいぐるみの姿をしたお兄様なら――。
(「確信的に抱きつける、かも?」)
思い浮かんだ言葉に、ぶわり、と頬が熱くなった。
(「いやいやそんな!」)
沸き上がる恥ずかしさに、祇伐は頭を振る。ぶんぶんと誤魔化すように熱を冷まそうとしても、一度浮かんだ光景はそう簡単に消えはしないのだ。可愛いしろくまのぬいぐるみの姿。そのお兄様なら――……。
「どうしたの。顔が赤い……もう疲れた?」
「――!」
不用意に、それはもう不用意に兄の顔が祇伐の目の前にやってきた。心配したのだろう、とは思う。覗き込むようにして、魔女の帽子を少しあげて額を計るか悩むように細められた瞳に、けれど祇伐が思うのは着ぐるみの姿で。
(「……けれどそれも悪くはない……なんて! 思ってないですっ」)
湧き上がる恥ずかしさと、恐ろしい程の誘惑に赤くなったり顔を振ったりと忙しい。大丈夫だと言わないといけないのに、と顔を上げる。息を吸う。真っ直ぐにお兄様の顔を見れば――ゆるり、と逢魔が時の空を収めた瞳が弧を描いた。
「何を思っていないのかわからないけど……私としては大歓迎なんだけどな」
甘く囁く声が耳朶に落ちる。神樂の帽子の影が、頬に落ちる。
「お兄さ……」
「着ぐるみを着てなくても、いつだってこの胸に飛び込んできてくれていい」
甘く、甘く。囁き落とされた悪戯に、頬の熱も何もかも隠せる訳もなくて。
「む、むうう! ずるい!」
掌で隠すのだって限界はあるのだ。唇を尖らせて、今宵の魔女はフルーツ飴を掌にのせる。
「お兄様もトリックオアトリート」
「祇伐から貰う飴はいっとう甘いのでしょう」
くすくすと笑うひとの口の中、ぽん、と放り込んだその飴は魔法で辛くした特別製。
「──!!!? かっら!!!」
「ふふ! 私だって悪戯、しちゃいますから」
顔を赤くした神樂に、祇伐は笑う。悪戯好きは南瓜の小鳥より魔女と魔法使いの方だったか。ゾンビの二人は頬を染めて、笑い合って――また、歩き出す。賑やかなパレードの中を。
超成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【おいしくなあれ】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【リザレクション】がLV2になった!
【先行率アップ】LV1が発生!

朔・彗藍
雪星/g00793
'24南瓜:白猫ナース
雪璃、凄いのですよ…!
ぬいぐるみさん達が本当に動いてるみたいっ
操る人形師さん達の技術も…
そういえばずうっと昔の私のご先祖様が
人形師さんだったみたいなのです
私にも出来るかな?
挑戦してみたいかも…!
軽快な音楽と共に始まる絡繰り人形や
ぬいぐるみ達のステップや踊りに合わせパレードの始まり!
一際機敏に動く白狐ぬいさんを発見
思わずふらふら傍へ
完璧な動き…尻尾の揺れ方まで…
かわいい……
垂れ耳わんこさんに並んで似てます?なんてふわふわ笑み
はっ!雪璃もきつねさんですし
子供達が間違って抱きつきにくるかも
――なんて、言ってたら
きょとんと見上げる子供達
ふふ、お姉さんは今日は妖精の女王様
私はね、お人形さん達を治療するナースなの
ぬいぐるみ達とフルーツ飴を差し出して
はっぴーはろうぃん!
お菓子あげるから悪戯はだめですよ?なんて内緒ナイショ
音楽も終盤のメロディが奏でられたなら
あのね、少しだけ……っ!
垂れ耳わんこぬいぐるみさんをぎゅうっと抱き締め
二人でトリックアオトリートのおねだりを
茜來・雪璃
雪星/g00192
´24南瓜:ティターニア
わあぉ…ほんとすごいねえ
生きてるって言われても違和感無いかも!
そうなの?不思議なご縁だ!
じゃあ彗も人形師できちゃうかもしれないね
今度やってみる?なんて
パレードが始まれば人形やぬいぐるみと一緒に
くるくる躍って歌って楽しんじゃえ!
何処かに吸い寄せられてく彗を追った先には白狐ぬい
あや?あっは!私とお揃いだ
ぉ、見て見てその後ろの垂れ耳わんこは彗っぽい!
そうかなあ??彗のとこにも来るんじゃない?
そしたら抱き上げてくるくる回っちゃおうか!
なんてケラケラ笑う
あは、見られちゃってた?
ニンマリ笑ってくるりと指を回せば
狐火の蝶と花がひらり舞う
実はお忍びで遊びに来たんだ
これは私達だけのヒミツね?
ハッピーハロウィン!
ぱちん!とウインクしながら
フルーツ飴をプレゼント
いづが楽しげに皆の周りを駆ける
ありゃ、もうすぐ終わり?
あっという間だねえ、と思いつつ首傾げ
彗?どうしたの?
…ひひ、いいんじゃない?
今日は私達も驚かす側!
私は白狐ぬいをぎゅーってしちゃお
トリックオアトリート!って
●秘密の魔法
ぴよぴよ、ぴぃぴぃ。南瓜の小鳥のぬいぐるみ達が、右に左にと歩き回る。ぱっと翼を広げてみせれば、ひとり、またひとりとぬいぐるみ達が目を覚まして歩き出す。ご機嫌なラッパを響かせる兎のぬいぐるみに、ふかふかの尻尾を揺らす狼。人形師たちは手を広げ、時にただ手を繋いで賑わう街中を行く。
「雪璃、凄いのですよ……!」
その光景に、薄紫の瞳を輝かせるようにして今宵の白猫が足を止めていた。右に、左に、くるくると見た先、どこを見てもぬいぐるみ達がご機嫌に歩き、踊っている。
「ぬいぐるみさん達が本当に動いてるみたいっ」
ほう、と零した笑みと共に朔・彗藍(ベガ・g00192)は傍らを見る。ふわりと揺れた長い髪。今日は花を飾った大切な友人の二尾がゆらり、と揺れた。
「わあぉ……ほんとすごいねえ」
おぉ、と眺めみた先、人形師の指先と、手を取って躍るクマのぬいぐるみに茜來・雪璃(朧夜ノ蝶華燈・g00793)は、ぴん、と狐の耳を立てた。
「生きてるって言われても違和感無いかも!」
「操る人形師さん達の技術も……」
ひらり、と踊らせる人形師の指先に、ふと家のことを彗藍は思い出す。
「そういえばずうっと昔の私のご先祖様が、人形師さんだったみたいなのです」
「じゃあ彗も人形師できちゃうかもしれないね。今度やってみる?」
悪戯っぽく微笑んで告げた雪璃の纏う衣が揺れる。語られる妖精の女王、ティターニアの仮装に身を包んだ雪璃の言葉に、白猫のナースはぱちぱちと瞬いて、顔を上げる。
「私にも出来るかな? 挑戦してみたいかも……!」
一緒に踊るのは難しくても、少しばかり歩くくらいは出来るかもしれない。膨らむ夢と共にパレードに目をやれば、絡繰り人形の王子様は、恭しく人形師の手を取って、小さな足でステップを踏む兎たちが、時折転けるのはご愛敬か。ぷぴー、とラッパを鳴らすクマのぬいぐるみが手を振って彗藍と雪璃を誘う。
「行こう、彗藍」
「いきましょう、雪璃!」
二人手を取って、踏みだす一歩が重なり響く。軽快な音楽と共に始まるパレードに、一緒になって踊り出す。くるり、と回って、ステップを踏んで。ジャンプする兎のぬいぐるみたちと一緒にぴょん、と跳ねて。
「――!」
そうして、彗藍は出会ってしまったのだ。一番機敏に動く白狐のぬいぐるみに。
「完璧な動き……尻尾の揺れ方まで……かわいい……」
「♪」
ふらふらと吸い寄せられるままやってきた彗藍に、白狐のぬいぐるみはくるり、と回って一礼をしてみせた。尻尾はふさふさ。綺麗に揺れて、ぴんと立った耳も彗藍の心を奪う。
「あや? あっは! 私とお揃いだ」
そんな彗藍を追ってやってきた雪璃は、白狐のぬいぐるみに釘付けな彗藍を見て笑みを零した。尻尾のふかふか具合も似ているだろうか。ゆるり二尾を揺らして、ふと雪璃が気が付く。
「ぉ、見て見てその後ろの垂れ耳わんこは彗っぽい!」
「♪」
垂れ耳のわんこのぬいぐるみは、まっ白な尻尾を揺らしてとてとてとやってくる。
「似てます?」
横に並んで、ふわふわと笑みを零した彗藍が「はっ!」と顔を上げた。
「雪璃もきつねさんですし、子供達が間違って抱きつきにくるかも」
「そうかなあ?? 彗のとこにも来るんじゃない?」
パレードを眺める子供達の瞳は、ぬいぐるみに釘付けだ。自分のぬいぐるみも連れてきている子も多いのか。腕の中にぎゅっと抱いたまま、賑わいを眺める子もいれば、一緒に踊る子もいる。
「そしたら抱き上げてくるくる回っちゃおうか!」
そんな姿を眺めながら、ケラケラと雪璃は笑う。ゆるゆるり、二尾を揺らして――ふと、気が付く。
「……おねーさんたち、もこもこさん?」
「ふわふわだ……ぬいぐるみのまっしろきつねさんと一緒だよ!」
「ほんとだ……」
ひとり、またひとり。気が付いたらやってきていた子供達が、きょとんとした顔で二人を見上げていた。
「お耳と、尻尾でおねーさんたちももこもこなの……?」
首を傾げる子供達に、にんまりと雪璃は笑った。
「あは、見られちゃってた?」
くるり、と指を回せば、ひらりと狐火の蝶と花がひらりと舞う。
「蝶々がふわふわしてるよ……!」
わぁ、と瞳を輝かせる子供達に、ふふ、と彗藍は微笑んだ。
「ふふ、お姉さんは今日は妖精の女王様。私はね、お人形さん達を治療するナースなの」
「じょおーさまと、ナースさん、なの?」
「そう」
優しく微笑んで、彗藍は膝を折ると子供たちと視線を合わせるようにしてフルーツ飴を差し出す。ぬいぐるみ達と一緒に、子供たちのぬいぐるみの分も一緒に。キラキラと輝く飴を渡す。
「はっぴーはろうぃん! お菓子あげるから悪戯はだめですよ?」
「実はお忍びで遊びに来たんだ。これは私達だけのヒミツね?」
内緒のナイショを二人紡いで。こくこくと頷いた子供達に、ぱちん、と雪璃はウインクをした。
「ハッピーハロウィン!」
美しい妖精の女王様は、悪戯も楽しさも忘れはしない。苺にラズベリー、甘い果実を飴に潜らせたフルーツ飴をプレゼントすれば、クダギツネのいづが、子供たちの周りを駆ける。
「わぁ……ちいさいのがいるよ!」
「お姉さん達の友達?」
「すごいや……!」
わぁ、と驚く声とキラキラと輝く瞳。今宵、子供達の憧れの白猫と妖精の女王様は、くるりくるりと踊って見せて。パチパチと白狐と垂れ耳わんこのぬいぐるみに拍手も貰って。気が付けば軽やかパレードの音楽も終わりに近づいていた。
「ありゃ、もうすぐ終わり? あっという間だねえ」
楽しい時間はあっという間だ。ほう、と息を零して雪璃は首を傾ぐ。
「彗? どうしたの?」
「あのね、少しだけ……っ!」
くるっと振り返った先、彗藍は垂れ耳わんこのぬいぐるみをぎゅうっと抱きしめた。ぱふん、とふかふかのぬいぐるみの腕の中、白猫はゆるり尾を揺らして。
「……ひひ、いいんじゃない? 今日は私達も驚かす側!」
ぴん、と立てた狐の耳。ゆるりと揺れた二つの尾は悪戯の心いっぱいに。白狐のぬいぐるみに雪璃はぎゅーっと抱きついた。
「トリックオアトリート!」
「トリックオアトリート!」
ふたり、重ねて響いた言葉。ぴん、と白狐のぬいぐるみは耳を立てて、垂れ耳わんこのぬいぐるみは尾を揺らして。ふふん、とばかり、とっておきのフルーツ飴が二人の手の中にやってきた。
「♪」
「♪」
ぽふぽふ、と頭を撫でる手と一緒に。ぎゅっと返してだいじょうぶ? なんて首を傾げて。
甘酸っぱい大きな苺に飴を潜らせて、キラキラの包装紙にリボンのかかったフルーツ飴は、今宵の出会いを彩る。白猫のナースと、ティターニアの不思議なハロウィンの夕暮れを告げていた。
超成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【猫変身】LV1が発生!
【腐食】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!

カラタチ・リッカ
【ふたり座】
24年・天狗の仮装
ハッピーハロウィン!
ぬいぐるみとパレードって何だか面白そうだよねぇ
今年はヨーロッパの街にお邪魔してみようかぁ
俺様たちはディアボロスだよ〜っと
白南瓜の魔女っこミアちゃんと
一緒に並んでパレード歩いて
管狐は今日お留守番してるけども
ぬいぐるみ達も一緒に巡るのは
なんだか不思議な心地のような〜
何となくサーヴァント連れて
歩いてるようにも思えて来ると
…確かミアちゃんリス好きだったような気もして
あの辺りの縫いぐるみと
お近づきになるのも良いかも〜
キツネの子も居るかなぁ
ふさふさ尻尾だけなら俺様のもあるんだけれど
ついでにフルーツ飴くださいな〜っと
新宿島でもよく見るイチゴ飴以外にも
秋っぽい果物と言ったら
葡萄やリンゴ飴も食べられたら嬉しい〜
そういえば自前お菓子持ち込みもあるんだった
楽しむ子ども達へ配る前に、
ミアちゃんの好きなお菓子もお一ついかが?
キャンディとクッキーを交換こ〜
お裾分けもハッピーなハロウィンだねぇ
また次の機会にもこんな景色を楽しめますように

ミア・メア
【ふたり座】
今年の仮装、白南瓜の魔女姿で参加します!
ハッピーハロウィン!です!
お邪魔しましょう~!
街全部がハロウィンの魔法の中なんて面白そうです
カラと一緒にパレード歩き!
ディアボロスですよ~南瓜の魔女ですよ~
そして此方は鴉天狗さんですよ~!
…はっ、カラ!あちらがぬいぐるみ達ですね?
本当に彼ら自身で歩いているよう
んふふ、ナルちゃんさんが此処に居られたら
人形さんのお友だちと思われていたかもですね
リス!是非お会いしたく!
愛らしい…撫でても宜しいですか?
狐さんにもお会い出来たら握手したいですねえ
カラのふさふさ尻尾…!た、確かに触れたくなるほど魅力的…っ
フルーツ飴も頂きましょうっ
今が旬なリンゴのフルーツ飴はあります?
此方で頂けるようですよ、カラ!
甘酸っぱくてジューシーで
更にお祭を楽しむ力になります
カラも?へへー実はミアも配る用クッキーを持って来ておりまして
!ありがとうございます!キャンディをひとつ頂いても?
ミアのクッキーもお好きなものをどうぞ!
幸せハロウィンですねえ
ええ、次もきっとハッピーですよう
●星々は煌めきと踊り
街中が音楽に包まれていた。軽やかな旋律と共に、ヴァイオリンが歌う。演奏者は人形師の一人であった。美しい旋律と共に彼の傍らで南瓜の小鳥たちが踊る。ここは、ぬいぐるみと踊る街。
「ヨーロッパの街も良かったねぇ」
カラタチ・リッカ(空言・g05558)が、ふわりと笑みを零す。
ハッピーハロウィンの合言葉で、天狗と白南瓜の魔女は今年のハロウィンの行先を考えていたのだ。
『ぬいぐるみとパレードって何だか面白そうだよねぇ。今年はヨーロッパの街にお邪魔してみようかぁ』
『お邪魔しましょう~! 街全部がハロウィンの魔法の中なんて面白そうです』
そうしてやってきた街は、ヨーロッパの片田舎。城塞都市としての名残を旧市街に残す町だ。石畳の通りは、今日はご機嫌なぬいぐるみ達の行進を出迎えて。時計塔は、この楽しい日を永遠にしようとうさぎのぬいぐるみ達がちょこちょこと動く。
「あの辺りは絡繰りだろうねぇ」
そうして思うのは、仕込みの多さだろう。今日という日を無事に迎え――そして、全力で楽しむ為に街の人々と人形師達が用意した空間が街の中に広がっていた。
「俺様たちはディアボロスだよ~」
カツン、と足音を鳴らす。カツ、カン、コツン。と常と違う足音が響くのは、リッカの今宵の仮装だ。天狗は黒の翼を広げて、ぱちぱちと瞬く子供たちにひらりと手を振る。
「黒い羽だ! かっけー!」
「でぃあぼろす、だって?」
「ディアボロスってあの、すごいのこう、どかーんとかどーんってするひと?」
「……」
さて、大体は間違っていないが。大分違っている気もするというか。ここは子供達の夢は壊さずにいるべきか。キラキラと輝く少年たちの夢に、リッカはふ、と笑う。ミアちゃん、と小さく合図をした先、ふわりと衣を揺らした今宵の魔女は燭台を掲げる。
「ディアボロスですよ~南瓜の魔女ですよ~」
そして、とミア・メア(璃々・g07746)はリッカを照らす。
「そして此方は鴉天狗さんですよ~!」
とん、と少しばかり大きめな一歩を入れて、リッカは翼を広げてみせる。おぉ、と上がる声が子供のものに大人のものが混ざるのは、ディアボロスだと聞いたからだろう。手を振る人々に、ひらり、と二人、手を振り返していれば、は、とミアが顔を上げた。
「カラ! あちらがぬいぐるみ達ですね?」
「そうだねぇ。これだけ近くでみると、また……」
とてとてといく黒猫のぬいぐるみに、うさぎ達。すくりと立って歩く姿は不思議で、くるりと踊る姿まで見れば、子供達の瞳が輝いていた理由も分かる。
「本当に彼ら自身で歩いているよう」
ほう、と息を零すミアの横、リッカは妙な擽ったさを感じていた。
「管狐は今日お留守番してるけどもぬいぐるみ達も一緒に巡るのはなんだか不思議な心地のような~」
何となくサーヴァント連れて歩いてるようにも思えて来る。リッカが艶やかな毛並みを思い出していれば、柔らかな笑い声が耳に届いた。
「んふふ、ナルちゃんさんが此処に居られたら、人形さんのお友だちと思われていたかもですね」
一緒になって踊るか、誘われてしまうのか。管狐の姿を思い浮かべて、ふ、っとリッカは笑った。
(「……確かミアちゃんリス好きだったような」)
そういえば、と浮かんだ言葉。そんな気がする、というくらいのものではあったが、見つけたのだ。リスのぬいぐるみを。
「あの辺りの縫いぐるみとお近づきになるのも良いかも~」
「リス! 是非お会いしたく!」
あそこだよ~、と誘われた先、出会ったのはふかふかの尻尾を揺らす双子のリスたちだった。くるり、くるくる、ダンスも得意なリスたちがミアの姿に気が付く。
「!」
「♪」
ぴょこっとひとりは耳を立てて、ぴょん、とひとりは跳ねて。興味津々にやってくるリスたちにミアは、そわそわとしながら声をかける。
「愛らしい……撫でても宜しいですか?」
「♪」
喜んで、とばかりに、もふもふの尻尾を見せて。もう一人は少しばかりの毛繕いの時間をつくって。そう、っと撫でた指先に、頬をすり寄せるようにしてもふ、とした柔らかさがミアの掌に触れた。
「キツネの子も居るかなぁ」
「狐さんにもお会い出来たら握手したいですねえ」
軽やかな音楽が続く。手を取り合って踊るクマのぬいぐるみ達を見ながら、リッカは小さく息を落とす。
「ふさふさ尻尾だけなら俺様のもあるんだけれど」
「カラのふさふさ尻尾……! た、確かに触れたくなるほど魅力的……っ」
ふかふかのもふもふは傍らも一緒で。今宵の天狗が揺らす尾もそれはそれは魅力的なもふもふだった。
賑やかなパレードの中、ハッピーハロウィンの声が響く。お菓子も悪戯も、そんなことを歌うのは南瓜の小鳥たちの悪戯がぬいぐるみ達を目覚めさせたから。この街では、そう伝わりパレードが続くのだ。
「今が旬なリンゴのフルーツ飴はあります?」
「あぁ、いらっしゃい。あるよ。林檎のやつはちょっとサイズも大きくなるんだが……ほら、こいつだ」
小ぶりの林檎を飴にくぐらせて作られた林檎のフルーツ飴は、日本で言えば屋台でよく見る林檎飴の姿をしている。同じような製法で、色んなフルーツの飴があるようだ、
「此方で頂けるようですよ、カラ!」
「おや、苺の他にもお探しかい?」
街のパティシエの言葉に、リッカはゆるりと笑みを見せた。
「秋っぽい果物と言ったら、葡萄やリンゴ飴も食べられたら嬉しい~」
「はは、それならうちで正解だ! 葡萄の飴はここでしか扱ってないんだぜ?」
マスカットをくるり、と飴にくぐらせたフルーツ飴は、ぱり、っとした食感と一緒に、心地良い甘さが口の中に広がっていく。リンゴのフルーツ飴は、甘酸っぱくてジューシーで思わずミアが笑みを零す。
「更にお祭を楽しむ力になります」
「そりゃぁ良かった! 祭りを楽しんでな、ディアボロスのお二人!」
ひらりと手を振る店主はまた配られるフルーツ飴を準備に戻る。甘い香りと賑やかな声、踊る旋律と共にパレードは続く。
「そういえば自前お菓子持ち込みもあるんだった」
「カラも? へへー実はミアも配る用クッキーを持って来ておりまして」
これを、とミアの持ち上げたのは可愛らしい缶に入ったクッキー達で。
「ミアちゃんの好きなお菓子もお一ついかが?
キャンディとクッキーを交換こ~」
カラカラコロン、と可愛らしいキャンディーが瓶の中で揺れて。ぱっとミアは顔を上げた。
「ありがとうございます! キャンディをひとつ頂いても?」
それと、とミアは可愛らしい缶の蓋を開ける。
「ミアのクッキーもお好きなものをどうぞ!」
甘いお菓子を分け合って、ぱくり、と一口。広がる甘さに知らず零れた笑みは重なって。
「お裾分けもハッピーなハロウィンだねぇ」
ほう、と息を零すようにしてリッカは微笑んだ。
「また次の機会にもこんな景色を楽しめますように」
願うような言の葉を、賑わいの中に融かす。その願いに、ミアは微笑んで頷いた。それは今宵魔女の紡ぐ魔法。
「幸せハロウィンですねえ。ええ、次もきっとハッピーですよう」
——たくさんの幸せが続くように、と願った。
超成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【おいしくなあれ】がLV2になった!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【フィニッシュ】LV1が発生!
左雨・雪路
鏡夜(g09629)と一緒に
アドリブ歓迎
今年のハロウィン衣装で通りを歩こう
「リアル」という怪談の怪異がモデル
鏡夜は蛇の姿でもかわいいから大丈夫じゃない、かな。
同じ系統の仮装、おそろいみたいで確かに照れる、ね
すごいね、動くぬいぐるみ達。うん、魔法の世界って雰囲気だ。
ぅ……そ、う…なんだ?
つい、が可愛らしくてちょっと照れてしまうな。
手、繋ごうか。
あとでぬいぐるみ買って帰ろ?俺も、黒猫の欲しい、し……。(鏡夜みたい、で)
ふふふ、良いね。緋星ならかわいいから子供たちも喜ぶよ。
ん?忍術、かぁ。
驚かせるなら、こういうのでどう……かな?
印を結んで、ポン、ポン、と小さい破裂音。あちこちに小さな花を咲かせよう。
ひひ、びっくりした、かな?
うん、楽しい。またこよう、ね。
あ、そうだ鏡夜。
トリックアンドトリート!
通りで沢山聞こえてきた言葉、意地悪く笑って投げかけた。
え、あ……そう来たか。
うぅ…………はい、お手柔らかにね、ふふっ。
水上・鏡夜
雪路(g04126)と一緒に
アドリブ歓迎
今年のハロウィン衣装、ネメシスだけど……
姦姦蛇螺の姿は、驚かせちゃうかな?
二人で洒落怖系の仮装なの、照れる、ね
ぬいぐるみと一緒にパレードを歩くのって幻想的、だね
……白い狐のぬいぐるみに目が奪われて、つい抱き上げようかな
雪路に、似てたから、つい……
抱き締めるのとは別の手で雪路とも手を繋ぎたい、な
こういう時は多腕なの、いいね。独占できる
ん、買おう。私も白い狐のぬいぐるみ持って帰りたい
悪戯、悪戯……
可愛い悪戯なら緋星、お願いできる?
管狐にお願いして優しく飛び込んでもらおうか
ふわふわもこもこは喜ばれるだろうし
雪路も悪戯として忍術を見せたら、どう?
こういうの、楽しい、ね
ふぇっ、あ……えっと、お手柔らかに、お願い、します……
ん、そうだ、トリックアンドトリート、だよ
私もね、悪戯したい、です
●不思議の街を流れ歩いて
ぷぴー、と調子外れのラッパの音が響く。シロクマのぬいぐるみはこてり首を傾げて、もう一度吹いて。ついついと人形師の袖を引く。足を止めたもこもこのシロクマの横を行くのは、軽やかな足取りの兎たち。二つの足でぽむぽむと歩く姿は丸いフォルムもあって可愛らしい。指揮者のように今宵の兎たちに併せて着飾った人形師が指先を踊らせれば、くるりと兎たちも一緒に踊る。
「おぉ……」
「流石、本格的だな……」
そんな可愛らしい光景の中、一際、人々の視線を集めていたのがふわり揺れる髪を揺らすひとりの蛇と何枚もの札が貼られた顔を持つ男。
「あれが本場の……なんだったか、怪談ってやつかもな」
「かもな……! いやあの札の方は、どっかで……」
聞いた事が、と眉を寄せる街の人々の話を聞きながら、蛇の下半身をゆるり、動かしながら水上・鏡夜(添星・g09629)は息をついた。
「今年のハロウィン衣装、ネメシスだけど……姦姦蛇螺の姿は、驚かせちゃったみたいだね」
見慣れないこともあるのだろう。後は、所謂ジャパニーズホラーへの憧れだろうか。二つで収まらぬ腕で秋風に揺れる髪を押さえれば、ふと夕焼けの眩しさが目につく。
「……」
僅か、細めた金の瞳。最初に見つけたのは、ひらりと揺れる札と、常と変わらぬ瞳の赤。
「鏡夜は蛇の姿でもかわいいから大丈夫じゃない、かな」
「そうかな?」
緩く首を傾げた鏡夜に、左雨・雪路(低血圧系忍者・g04126)は小さく笑う。
「雪路?」
「同じ系統の仮装、おそろいみたいで確かに照れる、ね」
可愛いで溢れる街中で、きっとこの姿は二人きりだ。夕暮れから夜が始まる時間帯。通りを照らす街灯が、長く濃い影を作り出す中、その闇を踏んで、足音を小さく重ねて。二人きりの百鬼夜行が歩み出す。
「二人で洒落怖系の仮装なの、照れる、ね」
ほんのりと染まる頬は、今日は隠れやすいだろうか。多腕は頬を隠すには向かず、鏡夜、と呼ぶ声に、少しばかり逸らした視線をゆるく戻した。
――街中を彩る旋律が、変わる。軽やかな音楽はヴァイオリンの旋律と共に、夕暮れから夜を迎える街を彩っていく。その旋律を奏でるのもぬいぐるみや人形たちだった。鈴の音を鳴らすぬいぐるみの猫たちに、人形師と共に音楽を奏でる少女の人形。垂れ耳の兎は、ご機嫌に踊って。
「ぬいぐるみと一緒にパレードを歩くのって幻想的、だね」
ふふ、と鏡夜は笑みを零す。とてとてと歩く姿もあれば、ぴこぴこと靴を鳴らすクマのぬいぐるみもいる。眺め見る姦姦蛇螺の傍ら、札を揺らしたリアルも目をやった。
「すごいね、動くぬいぐるみ達。うん、魔法の世界って雰囲気だ」
ふいに、傍らの影が動いた。鏡夜? と名前を呼んだ先、ふらふらと行く彼女が手を伸ばしたのはまっ白な狐のぬいぐるみ。
「……あ。雪路に、似てたから、つい……」
つい抱き上げてしまったのだと、鏡夜の視線が揺れる。抱き上げられた白狐の方は、こてりこてこてと首を傾げて、つん、とふわふわの鼻先を鏡夜にあてる。こつん、と鼻が触れて、擽ったそうに鏡夜は笑った。
「ぅ……そ、う……なんだ?」
その笑顔を見ながら、雪路は口元をそっと抑える。
『似てたから、つい……』
小さく揺れた言葉。つい、が可愛らしくて、少し照れてしまう。口元を隠す襟巻きを少しだけ上げて、冷静を引き寄せる。気だるげな顔をした青年が、ゆるりと視線を上げた先、瞳の金色と出会う。
「抱き締めるのとは別の手で雪路とも手を繋ぎたい、な」
「手、繋ごうか」
告げる言葉は2人重なって。ぱちと瞳を併せた先で、ふ、と笑い合う。
「こういう時は多腕なの、いいね。独占できる」
白狐のぬいぐるみを腕に抱いて。別の手で、優しい手と手を繋いで。ふふ、と柔く笑みを落としたひとに、雪路は少しだけ繋ぐ手に力を入れた。ほんの少しだけ。気が付かれぬ程度に。
「あとでぬいぐるみ買って帰ろ? 俺も、黒猫の欲しい、し……」
鏡夜みたい、で。と心の奥にその言葉は隠したまま。ほんの少しの秘密は照れくささと共に。
「ん、買おう。私も白い狐のぬいぐるみ持って帰りたい」
何せこの街は、ぬいぐるみと人形師の、そして人形たちの街なのだから。店の可愛らしいディスプレイは今日の為だけではない。時計塔を飾る列車の模型に、手を伸ばす兎のぬいぐるみたち。
「トリックアンドトリート」
悪戯もお菓子も全部。
南瓜の小鳥たちの噺と共に紡がれる甘い言葉。悪戯は、ぬいぐるみ達にとっては歩く姿でびっくりさせることか。子供達はぱたぱたと歩き回って、そうして2人の前にもやってきた。
「すごい……蛇さんだ」
「お手々もいっぱいあるよ!」
「札だ……かっけー」
きらきらと目を輝かせる子どもたちが、南瓜のバスケットを手につま先を伸ばす。
「トリックアンドトリート!」
重なって響いた言葉に、ふっと笑って――さて、どうしようか、と鏡夜は思う。
「悪戯、悪戯……可愛い悪戯なら緋星、お願いできる?」
ふわふわもこもこは喜ばれるだろうし、ぴょん、と姿を見せた時点で、管狐の『緋星』は子供達の視線を奪っていた。
「おぉ……」
「もこもこ……!」
ぱっと顔を上げる子達にふふ、と笑ってお願いね、と緋星にそっと告げる。ぴょん、と優しく飛び込めば子ども達の楽しげな声が耳に届いた。
「ふふふ、良いね。緋星ならかわいいから子供たちも喜ぶよ」
「雪路も悪戯として忍術を見せたら、どう?」
こてり、と首を傾げた鏡夜に、ぱち、と雪路は瞬く。
「ん? 忍術、かぁ。驚かせるなら、こういうのでどう……かな?」
指先を滑らせて、印を結べばポンポン、と小さな破裂音と共に小さな花があちこちに咲く。
「わぁ……!」
「お花だ! すごい、いきなり出て来たよ!」
「こっちもだ!」
ぴょんぴょん、と跳ねる子たちの今宵の仮装は魔法使いだろうか。小さな魔法使い達が瞳を輝かせる中、札で隠した素顔の下、忍者は小さく笑った。
「ひひ、びっくりした、かな?」
悪戯は大成功。
びっくりと憧れをのせて、目を輝かせた子ども達が帰っていくのを眺めていれば、ふ、と柔らかな吐息が雪路の耳に届く。
「こういうの、楽しい、ね」
「うん、楽しい。またこよう、ね」
鏡夜の言葉に頷いて、歩き出す一歩より前に出る。あの時の子供達のように彼女の前に立って、紡ぐのは今宵の魔法。
「あ、そうだ鏡夜。トリックアンドトリート!」
通りで沢山聞こえた言葉を、意地悪く笑って雪路は投げかけた。悪戯だって、お菓子だって。全部もらっちゃうのだと、南瓜の小鳥たちが伝えた言葉。意地悪く告げた言葉は――……だが、予想外の応えを得た。
「ふぇっ、あ……えっと、お手柔らかに、お願い、します……」
「え、あ……そう来たか」
受け止められた悪戯は、さぁどうしようか。小さく呻くように落とした息。ふふ、と笑う鏡夜は分かっているのかいないのか。
「ん、そうだ、トリックアンドトリート、だよ。私もね、悪戯したい、です」
「うぅ……はい、お手柔らかにね、ふふっ」
二人手を繋いで、まずはこの賑わいのパレードを行こう。夜の訪れと共に星々が見守る悪戯の時間を――それと、二人のこれからを。
超成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【隔離眼】LV1が発生!
【傀儡】がLV2になった!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV3になった!