昨日も明日も、今は忘れて(作者 唐揚げ
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#最終人類史(新宿島)  #新宿島のハロウィン  #ハロウィン 

「先輩、ハロウィンッスよ、ハロウィン!!」
 七田・ナナ(エンジョイガール・g05125)は、なにやら興奮した様子である。
「え? なんではしゃいでるんだ……って、だってハロウィンッスよ!? 10/31はハロウィンッス!
 いやいや、パラドクストレインは来てないッスよ、予知も視てないッス! 遊びの提案なんッスよ~!」
 どうやら、何か事件が起きた……というわけではないらしい。

「いいッスか? 先輩。まずその、『何かあったはずだ』っていうのがマズいんスってば。
 なんで? って思うなら、試しに新宿島をぐるーっと一周してみるといいッスよ?
 街の人達が、ぜーんぜんハロウィン気分になってないんスよ! これはハイパー大問題ッス~!」
 ディアボロスの尽力で、新宿島の人々は不自由なく日常生活を送れている。
 だが『不自由がない』のと、『楽しく暮らせている』というのは、また別の話。
 観光もレジャーもなくなってしまった現状では、非日常のイベントはほとんど皆無といっていい。

「だ・か・ら! ウチらディアボロスの力で、ハロウィンパレードをするのはどうッスか!?」
 ナナは自慢げに胸を張った。
「そうすれば、ハロウィンの時ぐらいは、街の人達もいろんな厳しいことを忘れられるはずッス!
 ついでにウチらもパーッと盛り上がって気分転換ッスよ! あと美味しいもの食べたいッス!!」
 後半に私利私欲が漏れている気がするが、それはさておこう。
「あ、ちなみにハロウィンパレードっていうのは、アレッス。仮装して行進するやつッス!
 ハイパーカッケー先輩がたはアイドルみたいなモンッス、街の人達も熱狂するはずッスよ!」
 ディアボロス達を『カッケー先輩』と尊敬しているナナは、臆面もなくそう言い切った。
「先輩がたが楽しくすれば、皆もハイパー楽しくなるッス! ウィンウィンって奴ッスね!」
 と、ナナは腕を組み、したり顔でうんうん頷いていた。

「あとあと、当日は『ハロウィンストリート』ってスペースも用意するつもりなんスよ~」
 ナナ曰く、多くの人が観覧したり、ディアボロスが自由に屋台出店を出せるスペースを確保してあるという。
「先輩がたで、旅団のお友達とか集めてお店出したりとか、そういうことしたら絶対ハイパーに楽しいッス!
 なんせ旅団って、新宿の人達には馴染みがないッスからね~。交流は大事ッスよ、ほら、電気にも使うし!」
 ややズレたことを言っているが、それはさておき。
「あと、この新宿島は、パラドクスの残留効果が常にマックスになってるッス。
 いつもは戦うために使ってるッスけど、それで街の人達を楽しませるとか、ハイパーに平和じゃないッスか!?」
 パラドクスは、生活基盤を維持するためだけのものではない、ということだ。
「もちろん、先輩がたがお客さんになってもオッケーッス! お祭りッスからね!」
 どちらの側であれ、皆で楽しむのが大事だ、とナナは力説する。

「さすがにハロウィンが盛り上がらなかったからって、すぐに新宿島が転落しちゃうってことはないッス。
 でも、やっぱり『生活できてる』と『元通りに暮らせてる』は全然違うと思うんスよね~。ウチは楽しいッスけど!
 なら皆で楽しく騒げたら、もっとハイパー楽しいッス! 先輩がたは、楽しみじゃないッスか?」
 ナナはこてんと首を傾げた。が、すぐに笑顔になる。
「そんなことないッスよね! だってお祭りッスよ、お祭り! 誰でもハイパー楽しいはずッスよ!
 楽しくないなら、楽しくなるように楽しめばいいッス! あれ? よくわかんなくなってきたッス」
 などとこめかみに指を当ててうんうん唸っていたが、ナナは気を取り直す。
「まあとにかく、カッケー先輩達なら! 新宿島の人達を、ハイパーに盛り上げちゃうのだって楽勝ッスよ!」
 と、ナナは激励(?)の言葉を送った。

●新宿島、とある喫茶店
「ねえ聞いた? ハロウィンパレードの話」
「ああ、ディアボロスの人達が催すっていうアレ?」
 どうやら人々の話題は、さっそくハロウィンパレードでもちきりのようだ。
「世界がこんなことになってから、イベントなんてめっきり楽しんでなかったものねえ……」
「どんなパレードが見れるのかしらね。楽しみだわ!」
 と、盛り上がる女性達の席もあれば、店の外では。
「おとーさん! パレード、パレード!」
「ぱれーどー」
「はーろーうぃーんー」
「はいはい、わかったわかった。ちゃんと皆で行けるように準備してるから、いい子に待ってなさい」
「「「やったー!」」」
 と、はしゃぐ親子連れの姿もある。

 ディアボロスの存在は、時に取り残された人々にとっての希望であり象徴である。
 そんなディアボロス達が腕を振るうイベントとなれば、期待も膨らむばかり。
 はたして、肝心のハロウィンパレードはどうなることやら……?


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
1
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【傀儡】
2
周囲に、ディアボロスのみが操作できる傀儡の糸を出現させる。この糸を操作する事で「効果LV×1体」の通常の生物の体を操ることが出来る。
【飛翔】
3
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【狐変身】
2
周囲が、ディアボロスが狐に変身できる世界に変わる。変身した狐は通常の狐の「効果LV倍」までの重量のものを運べるが、変身中はパラドクスは使用できない。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わる。全力で力仕事をするならば「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げる事が可能になる。
【強運の加護】
3
幸運の加護により、周囲が黄金に輝きだす。運以外の要素が絡まない行動において、ディアボロスに悪い結果が出る可能性が「効果LVごとに半減」する。
【現の夢】
1
周囲に眠りを誘う歌声が流れ、通常の生物は全て夢現の状態となり、直近の「効果LV×1時間」までの現実に起きた現実を夢だと思い込む。
【一刀両断】
2
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【照明】
1
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【フライトドローン】
4
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【罪縛りの鎖】
1
周囲に生き物のように動く「鎖つきの枷」が多数出現する。枷はディアボロスが命じれば指定した通常の生物を捕らえ、「効果LV×2時間」の間、移動と行動を封じる。
【勝利の凱歌】
1
周囲に、勇気を奮い起こす歌声が響き渡り、ディアボロスと一般人の心に勇気と希望が湧き上がる。効果LVが高ければ高い程、歌声は多くの人に届く。
【避難勧告】
3
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【友達催眠】
2
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【プラチナチケット】
3
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【セルフクラフト】
2
周囲が、ディアボロスが、一辺が1mの「コンクリートの立方体」を最大「効果LV×1個」まで組み合わせた壁を出現させられる世界に変わる。
【隔離眼】
2
ディアボロスが、目視した「効果LV×100kg」までの物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)を安全な異空間に隔離可能になる。解除すると、物品は元の場所に戻る。
【エアライド】
1
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【熱波の支配者】
4
ディアボロスが熱波を自在に操る世界になり、「効果LV×1.4km半径内」の気温を、「効果LV×14度」まで上昇可能になる。解除すると気温は元に戻る。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【断末魔動画】
1
原型の残った死体の周囲に、死ぬ直前の「効果LV×1分」に死者が見た情景が動画として表示される世界になる。この映像はディアボロスだけに見える。
【平穏結界】
1
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【無鍵空間】
1
周囲が、ディアボロスが鍵やパスワードなどを「60÷効果LV」分をかければ自由に解除できる世界に変わる。
【完全視界】
2
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【活性治癒】
2
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【植物活性】
3
周囲が、ディアボロスが指定した通常の植物が「効果LV×20倍」の速度で成長し、成長に光や水、栄養を必要としない世界に変わる。
【土壌改良】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の地面を、植物が育ちやすい土壌に変える。この変化はディアボロスが去った後も継続する。
【液体錬成】
2
周囲の通常の液体が、ディアボロスが望めば、8時間冷暗所で安置すると「効果LV×10倍」の量に増殖するようになる。
【建造物分解】
2
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【使い魔使役】
1
周囲が、ディアボロスが「効果LV×1体」の通常の動物を使い魔にして操れる世界に変わる。使い魔が見聞きした内容を知り、指示を出す事もできる。
【操作会得】
2
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【口福の伝道者】
2
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。
【おいしくなあれ】
1
周囲の食べ物の味が向上する。栄養などはそのまま。効果LVが高いほど美味しくなる。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【クリーニング】
1
周囲が清潔を望む世界となり、ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建造物や物品が、自動的に洗浄殺菌され、清潔な状態になる。

効果2

【能力値アップ】LV7 / 【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV10(最大) / 【ガードアップ】LV6 / 【凌駕率アップ】LV1 / 【反撃アップ】LV5(最大) / 【アクティベイト】LV2 / 【リザレクション】LV1 / 【ラストリベンジ】LV1 / 【先行率アップ】LV4 / 【ドレイン】LV5(最大) / 【アヴォイド】LV4 / 【ロストエナジー】LV8

●マスターより

唐揚げ
 パンプキンパイです。いえ、唐揚げです。
 さて、今回はハロウィンを楽しもう! という平和なシナリオでございます。
 二つの選択肢はそれぞれ以下のような特徴がありますので、ご確認ください。

●選択肢1:ハロウィンパレード
 おおよそ、イメージ的には南瓜行列SDをシナリオでやる感じ……ってところでしょうか?
 普通に仮装して練り歩くもよし、パラドクスを使ったパフォーマンスで周囲を盛り上げてもよし。
 お友達や大事な方とパレードに参加して、楽しい時間を過ごす、なんていうのもアリです。

 なお本シナリオでは、『JR埼京線 新宿駅→高田馬場駅』のコースを使う予定です。
 駅にはディアボロスのための控室があり、大掛かりな仕掛けなども用意できるようです。
 パフォーマンスをしてみたい方は、この控室を使うといいでしょう。

●選択肢2:ハロウィンストリート
 こちらの選択肢には👑が用意されています。この選択肢をクリアするとシナリオ完結です。
 なお選択肢1もそうですが、本シナリオでは出来るだけのプレイングを採用する予定です。
(もちろん、参加者様の数や、スケジュールとか、その他のことで不採用は出るかもしれません。ご了承ください)
 こちらの選択肢では、ディアボロスの旅団による屋台や出店を出すスペースが用意されています。
 といっても、別に旅団でなくとも、お友達同士でお店を出すのも、ソロでお店を出すのもOKです!
 お客さんの側として楽しむことも可能です。一般人のお客さんもたくさんいます。
 あっと驚くような出し物があれば、間違いなく楽しんでくださることでしょう。

 とまあこのように、旧来で言う日常シナリオに非常に近い構成となっています。
 が、OPで提案しているNPCのナナは、呼んで頂いても同行させることが出来ません。その点ご注意ください。
(しかし噂によると、色んなNPCの方々が出てくる『かもしれない』とか……?)

 ハロウィンぐらいは攻略とかも忘れて、ゆったり羽を伸ばされてはいかがでしょうか。
 皆様のご参加、お待ちしております。ハッピーハロウィン!
202

このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


盾祀・楓 (サポート)
『ちっと待ってくださいね、これだけ飲んじゃいますんで』
 人間の風塵魔術師×バウンサー、23歳の男です。
 普段の口調は「丁寧(僕、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)」、油断すると「敬語が崩れる(僕、~さん、か、だろ、かよ、~か?)」です。

 パラドクスは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他のディアボロスに迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


朱月・花梨奈 (サポート)
『あたしに付いて来てね!』
 人間のガジェッティア×カースブレイド、女の子です。
 普段の口調は「元気っ子(あたし、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
 寝言は「眠い(あたし、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 パラドクスは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他のディアボロスに迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
元気で明るく、リーダーシップを発揮してくれる女の子。
武器は拳銃型ガジェットを好んで使う。
色んな事々に興味津々で、冒険も好き。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


●化石ハンターのレア物市場、開店
「よーっし! 準備はこんなものでいいかなー、っと!」
 ハロウィン当日の新宿島、出店が並ぶハロウィンストリートにて。
 なにやら妙な品々を軒先に並べ終えた朱月・花梨奈(化石ハンター・g01280)
は、満足そうにひとつ頷くと、額の汗を拭う仕草をした。
「……すみません、ちょっといいですか?」
「あ、はーい! いらっしゃい、レア物市場へ!」
「レア物市場……レア物?」
 そんな花梨奈の出店になぜだか吸い寄せられたのは、同じディアボロスであり、有事の際には時先案内人としても活躍するサラリーマン、盾祀・楓(人間の風塵魔術師・g03193)である。
「レア物……はあ。これがそうなんですか?」
 楓が首を傾げるのも無理はない。
 なにせ花梨奈が店先に並べているのは、骨董品ともガラクタとも言えそうな、いまいち素人には価値がわからないタイプの品々なのである。

「そうだよ! あたし、化石を集めるのが好きなんだけどね。発掘に関わってると、その過程で色んな面白いものが見つかることがあるの」
 と、花梨奈は胸を張って説明する。
「あたしの興味はあくまで化石のほうにあるから、あんまり必要ないんだけど……お礼だって言って譲ってもらうことも多かったんだよね」
「はあ」
「だから今日は、そういう品々を売ってみるのも面白いかなーって!」
「なるほど……そう言われると、たしかに歳月の経過を感じますね」
 もっとも、その正確な価値は、専門外である花梨奈にもわからないということなのだが、まあ今日はハロウィンである。
 逆に言えば、とんでもない値がつくガラクタに見せかけたすごいアイテムもあるかもしれないのだ。
「面白いと思います。なんとなく目についたので見に来たんですが、ちょっと興味をそそられますね」
「うん、遠慮なく見てってね! って、それよりも……」

 花梨奈は顎に手をやりつつ、楓のぼんやりした不健康そうな顔や、いまいち健康的とは言い難い体つきをじぃーっと観察した。
「えっと、なんでしょうか……」
「……あなた、もしかしてあんまり睡眠摂ってなかったりする?」
「ああ、そうですね……弊社は時逆でなくなっちゃいましたが、働いてたころの習慣のせいか、あんまり寝付けなくて」
 楓は元サラリーマンであり……まあ、言ってしまえば社畜、というやつだった。
 今も別の意味で落ち着かないようで、生活リズムは完全に"""破滅"""しているらしい。まだ23歳だが目の隈とかすごい。
「もー、だめだよそれじゃー! あたしより大人でしょ? もっとしっかりしなきゃ!」
「いえ、でも必要なときはエナジードリンクとか飲んでますし」
「余計ダメだよ!? しかも今日はハロウィンじゃない!」
 と、花梨奈は、ストリートを見渡して言う。

 そう、今日はハロウィン。
 新宿島の人々が厳しい現実を忘れられるようにと、ディアボロス達が企画した楽しいお祭りの日である。
「あたし達ディアボロスが楽しんでなかったら、新宿の人達も楽しめないでしょ? もっと健全に、楽しまなきゃね!」
「……それもそうですね。失念していました」
 楓はいかんいかん、と頭をかく。そして懐に手を入れた。
「だからきちんと睡眠を……って何してるの?」
「いえ、しゃきっと出来るようにエナジードリンクを飲もうかと」
「だから! それがだめなんだってばー!!」
 レア物市場どころの話ではないが、まあそこはそれ。
 結局この騒がしい(花梨奈が一方的にだが)やりとりが人々の注目を集め、花梨奈の店はおおいに賑わうこととなった。
 なお、楓の目の隈は、とくに最後まで取れなかった。寝てないし。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【操作会得】LV1が発生!
【断末魔動画】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!

藤永・えみり
三隅・彩乃さん(g00232)と
ハロウィンパレード、ですか。新宿島に住まう皆さんのためとあっては、一肌脱ぐのも吝かではありません。彩乃先輩、がんばりましょう。
(根が生真面目なため、もったいぶった理由を付けますが、年頃の少女らしくウキウキしている様子は隠せません)
(仮装は先輩に合わせて男装の執事服姿です)
……彩乃先輩、この人込みです。はぐれてはいけませんからね。(おずおずと、しかし、しっかりと彩乃先輩の手を握り返し)

パレードでは“Wilde Jagd”から輸送ドローンを飛ばして
彩乃先輩と用意したお菓子を皆さんにお届けです

Trick or Treat!
彩乃先輩、みんな、楽しんでくれていますよ!


三隅・彩乃
藤永・えみりさん(g01322)と

ハロウィンパレード!
えみりさんも新宿島の人たちもみんなで楽しみましょう
(彩乃はメイドの仮装。オラトリオの瞳子はお嬢様役。自由でわがままだからぴったり)
私は目がほとんど見えないからえみりさんと手を繋いで歩くわ

今日は配るために南瓜団子を作ってきたの
南瓜でハロウィンらしさがあるんじゃないかしら
……あるわよね?

団子なら私でも材料を混ぜて捏ねて作れるもの
南瓜を潰したり計量したりはえみりさんにお願いしたけれども…

Trick or Treat!
イタズラしないけどお菓子をあげる
みんな楽しんでくれているかしら?
もしそうなら大成功ね


瞳子、もしかしてお団子を勝手に食べてるの?
もう…


●今日という日を焼き付けて
「新宿島に住まう皆さんのため、一肌脱ぐのもやぶさかではない……そんな気持ちで参加しましたけれど」
 と、執事服で男装した藤永・えみり(ヴンダー・カンマー・g01322)は、大賑わいを見せる周囲を見渡した。
「思った以上の人出ですね……彩乃先輩、その」
「どうしたの? えみりさん」
 おずおずといった様子で話を振ってきたえみりに、三隅・彩乃(夕暮れ・g00232)はきょとんと首を傾げる。
 そんな彼女はメイドの仮装をしている。サーヴァントであるオラトリオの『瞳子』は、いかにも華やかなお嬢様の姿だ。
「……ああ! そうよね、人が多いんだものね」
 と、彩乃は思い出したように手をぽんと叩くと、そのまま差し出す。
 言い出そうとしたこと読まれてしまったえみりは、差し出された手と彩乃の顔を交互に見、やがてためらいがちに手を伸ばす。
 えみりの脳裏に、色んな想いが去来する。彩乃の手を握り潰さないように出来るか、とか、そんなありえるはずのない思考だ。
 単純に、彼女と手を繋いで歩くということへの気恥ずかしさもある……だがえみりは、やがて、しっかりと彩乃の手を握り返した。
「はぐれると、いけませんからね」
「ええ。頼りにしてるわね、えみりさん」
 彩乃の『ずるい』微笑みに、えみりはこくんと緩く頷くことしか出来なかった。

「作ってきたお団子、みんな喜んでくれるかしら?」
「それはもちろんですよ、彩乃先輩。ふたりで頑張って作ったんですから」
 彼女らが持参してきたのは、カボチャを材料にした特製のお団子。
 えみりがカボチャを潰して計量し、彩乃が団子をこねる。お菓子としては簡単な部類だが、それゆえに楽しみながら作ることが出来た。自然と、彩乃の表情はほころぶ。
「カボチャなら、ハロウィンらしさもちゃんとあるものね。甘さは控えめだから、お菓子らしくはないかもしれないけど……」
「こういうのは気持ちが大事なんだと思います。それに、いまさら怖気づいても仕方ありませんよ、先輩」
「そうね。ふふ」
「……?」
 えみりは、彩乃の笑いの意味がわからず、訝しげに首を傾げた。
 その気配を感じ取った彩乃は、くすくす笑いつつも言う。
「いえね、声だけでも、えみりさんが楽しんでるのがわかるんだもの。だから私、妙におかしくなっちゃって」
「な……!」
 えみりは目を見開いた。
「そ、そんなことはありません! これはあくまで、厳しい現状に疲れているであろう、住民の皆さんを労うためであってっ」
「あら、そう? じゃあ、私と一緒にこうして歩いているのも、新宿の人達のため?」
「それは……」
「……私と一緒にハロウィンを過ごすのは、楽しくない?」
「……ぅ」
 えみりは困ったように眉をハの字にして、嘆息する。
「……楽しい、です」
「ふふ、よかった」
「彩乃先輩ったら、もう……やっぱりズルいです、先輩は」
 えみりはふん、とそっぽを向くが、繋いだ手は離さない。彼女だって、年頃の少女なのだ。

 やがてパレードが進み、多くの人々がそれをひと目見に集まってくると、えみりが彩乃に一言言葉をかけたあと、フライトドローンを飛ばした。ドローンは、団子入りのカゴを提げている。
「わあ! お菓子だ!」
「ディアボロスの人達からの贈り物だね。あとで食べようか」
「わーい!」
 と、喜ぶ親子連れの声。
 二人はせーの、とタイミングを合わせて、大きな声で言う。
「「Trick or Treat!」」
 その声に、多くの人々が喜びの反応を返した。
「彩乃先輩、みんな楽しんでくれていますよ!」
「ええ、よかった……私にも聞こえるわ」
 大成功ね、と安堵した様子で頷く彩乃。
 湧き上がる人々の喜びの声に、少女たちは明るく微笑んだ。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
【植物活性】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ドレイン】がLV2になった!

エーリャ・アジーモヴァ
同行
玖珂・駿斗g02136

セクシーな仮装で先輩(同行者)にアピール
ファーのビキニに付け耳付け尻尾でけもっ娘の仮装
「がおー! 先輩を食べちゃうぞー
「もっとちゃんと見てよー! ほらこのリボン、かわいいでしょ?

「先輩のヴァンパイアかっこいー! 眷属にされたーい
きゃっきゃはしゃぐ

ふざけていたら、ちゃちなコスプレ衣装の儚さゆえにポロリしそうに

「きゃ! やだ、見えちゃった…?(おろおろ
先輩が守っててくれて助かったー、と安心

お直しにお手洗いを探して列を離れる


玖珂・駿斗
同行:エーリャ・アジーモヴァ(g01931)

仮装は長くて黒いマントと蝶ネクタイつけてなんか吸血鬼っぽくしてればいいかなと思ってたらエーリャがどえらいことになっていて衝撃を受けている
アピールされたセクシーさにまけてやっぱり胸やお尻をチラチラ見てしまう

「エ、エーリャ…!?
お前、なんて格好してるんだよ!」

余りにも少ない布面積にいつぽろりしないか心配…もとい魅惑のボディを見ながらぽろりを警戒
しそうならマントか両手でなんとか周囲から隠しエーリャを周囲から守る

「あっぶねぇー…!
ちょっとどっか直せる所まで連れて行ってやるから…」


●ふたりきりの一時
 ハロウィンパレードの行列は、中も外も大賑わいだ。
 しかし人出が激しいからこそ、一種の台風の目のような空白がある。意外な穴場とでもいうべきだろうか。
「がおー! 先輩を食べちゃうぞー!」
 やんややんやと湧き上がる人々の雑踏をよそに、エーリャ・アジーモヴァ(冬の天使・g01931)は玖珂・駿斗(人間の一般学生・g02136)に両手を挙げてアピールしてみせた。
「え、エーリャ……!? お前、なんて格好してるんだよ!」
 駿斗が衝撃を受けたのも無理はない。エーリャの格好は、たいへんにきわどいのである。
 ファーつきのビキニに耳と尻尾をつけた、いわゆるケモっ子とでもいうべき仮装だ。ディアボロスでなければ、この晩秋の寒波に吹かれてくしゃみが出そうなほどに肌が出ている。
「もっとちゃんと見てよー! ほらこのリボン、かわいいでしょ?」
「わ、わかったから……!」
 と言いつつ、駿斗は目を逸らさざるを得なかった。さすがに後輩のあられもない姿を直視するわけにもいかない。
 まあもちろん、公衆の面前である。ギリギリ仮装と言い張っても……まあなんとかなる程度の露出度ではあった。
 が、きわどい。何がきわどいって、布面積以上にそれを支える水着の紐がだいぶきわどいのだ。駿斗は気が気でない。

「ふふっ、先輩のヴァンパイアかっこいー! 眷属にされたーい!」
 エーリャはといえば無邪気なもので、黒いマントと蝶ネクタイを着けた駿斗の姿に、きゃっきゃとはしゃいでいた。
「おい、あんまり飛び跳ねるなって! そんなことしたら……」
「あ」
「あー!?」
 案の定である。駿斗は咄嗟に、マントの中にエーリャを抱きしめるようにして、公衆の面前のマナーをギリギリで保った。
 後輩のアレな姿を、新宿の皆さんにお見せするわけにはいかない。あとまあ、よからぬ輩に見られぬとも限らないのだ。
「あっぶねぇー……!」
「先輩が守ってくれて助かったー……」
「ああ、まあな……って安心してる場合じゃないだろっ」
 駿斗は思わずツッコミを入れる。これではパレードどころではなさそうだ。
「どこか直せるところに行かないとだな……」
「じゃ、じゃあそれまで……こうやっていてもいい?」
「いい? っていうか、それ以外に選択肢がないだろ……」
 嘆息しつつ、駿斗はマントの中にさらにエーリャを包み込む。
 人騒がせな後輩は、そんな優しい先輩の暖かさと、思わぬ役得ににへらと嬉しそうに微笑んでいた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【フライトドローン】がLV2になった!
【隔離眼】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV2が発生!

甲斐田・レイコ
「世間はハロウィン一色かー。おっしゃ、あーしもハロウィンのために頑張ってみっか!」

【行動】
ハロウィンストリートで屋台出してみよっか。
何の屋台出すかって?カボチャだよカボチャ。ハロウィンといったら頭に被るカボチャだよ!
ジャンボカボチャをあーしの【アート】の技能をフル活用して顔を彫って販売さ。
なんか最近はカボチャを頭に被って色んなものに反省を促すのが流行ってるらしいじゃん?
へーいらっしゃいらっしゃい!色んなカボチャあるよー!被れるよー!これで今日から君もクロノヴェーダに反省を促してこー!

とりあえず屋台の周りにはなんかこう……一瞬……だけど閃光のような!そんなBGMを流しておこっかー


樫谷・都黒
仮装:左半身は擬態解除、右半身も左半身に合わせて化粧
灰髪、金眼

『御前様』拾遺祭
自身の食った悪魔が祭と勘違いしてざわざわしている
仕方ないので記憶の見様見真似でそれらしきことを始める

参加費は不要な物一つ
不要な物を葛籠の中へ
欲しい物を願って手を葛籠の中へ
縁が結ばれれば誰かが手放した物がその手の中に
ゴミを入れたらバチが当たる
不用品交換市の儀式化が悪魔の力で神秘性を増した

不要な物はこちらに、何時か誰かの助けになりますから。
助けが欲しい人もこちらに、この中にそれはきっとありますから。

ところで、ハロウィンと全く関係ない様な気がするのですけれど。
自身が葛籠の中に手を入れたらカボチャがでてくるかもしれない。


王・天花 (サポート)
『皆が愛した国は、歴史は、私達が取り戻します……!』
 人間の無双武人×破軍拳士、16歳の女です。
 普段の口調は「礼儀正しい(私、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)」、独り言は「凛々しい(私、~さん、だ、だな、だろう、なのか?)」です。

 パラドクスは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他のディアボロスに迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



エルマー・クライネルト (サポート)
「微力ではあるが力を貸そう」

態度から傲慢な性根が節々に出ていますが基本は人好しな青年
変人が嫌いと言いつつ変なものが好き
無意識に高いところ登りがち

クロノヴェーダに対しては怒りと軽蔑を静かに表し
「歴史に残る価値はない」
と断言
反面詰めが甘く、敵の人間くさい一面を見ると動揺することも

操り人形を使っての撹乱や呪詛での攻撃を行い
味方からの指示や連携があれば協力します

オラトリオはいたり居なかったり
関係性はぱっと見親子っぽく見えるかも

パラドクスは状況に合わせて臨機応変に使用

迷惑行為、公序良俗に反する行為はNG
それ以外であれば自由に動かして下さい

「私の価値は私が見出す。奴等には何一つとして奪わせはしないとも」


諷和・もこ
(他の人やNPCさんとの絡み、アドリブ、大歓迎なんだよ!)
三角帽子にマントを羽織って魔女さんの恰好
ハロウィンのパレードを見て回るんだよ!
えへへ、にぎやかで歩いているだけでとっても楽しいんだよ
心もふわふわ、あしどりもふわふわ

お友達にお土産を買っていこうかな、なんて屋台をひかしてみたり
小さな子供に手作りのハーブキャンディをプレゼントしてみたり

ボ、ボクも勇気を出して「トリック・オア・トリート」って言ってみようかな…?

もしもお菓子がもらえたら、とびきり笑顔でお礼を言って
もしもお菓子をもらえなかったら、「アロマオイルカプセル」をパチンと割って、ミントの香りでビックリさせちゃうんだよ!


今咲・栄華 (サポート)
『こちとらデスマ週3だったし?』
戦列歩兵×航空突撃兵
口調は「ギャルを経た社会人」
時々語尾を伸ばす癖があってェ
カタカナ使ってコトバ崩し気味ー
ちょっと男勝りだな
気分でブレるから細かい事は気にしない
でも語尾に「だぜ、ぜ」は使わねーし。

こー見えて社畜の鑑なので営業は超得意
スッ)…誠に恐縮ながらプライド等全て捨て遜る敬語口調に切り替えが可能でございます。
謹んで対応し営業スマイルで交渉致します。

どっかの時代の軍隊の一兵士の記憶を持って
切り込み?ゲリラ?伏兵潜伏?衛生?役割分担は自己判断して個でなく全で動く。作戦遵守の連携派。
自由戦闘なら派手な泥くさい戦場が好き
大胆に頼むぞ☆


●ハロウィンストリートの喧騒にて
「世間はハロウィン一色! ってことで、おっしゃ! あーしもハロウィンのために頑張ってみっか! ……って張り切ったはいいんだけどさー」
「は、はあ」
「あーし、失念してたわー……呼び込みしないとお客さんこないんだわー」
「そ、そうですね……」
 と、なにやら甲斐田・レイコ(ドリームスケッチ・g02127)に一方的に絡まれているのは、樫谷・都黒(臥し者は独り路に・g00233)だ。
 偶然にも、面識のある彼女達は隣同士で店を出していた。
 といっても都黒のそれは、見せというよりも飴の売り歩きやジャグラーのような、ちょっとした出し物のようなものだが。
「ね、都黒ちんのほうはどう? お客さん、来てるー?」
「相変わらず慣れませんね、その呼ばれ方は……ええと、見ての通り、ですね」
 ハロウィンストリートは大賑わい。ディアボロスの出した店は多くの人々に親しまれている。
 が、どんな運命が作用したか、あるいはここが激戦区なのか、二人の店先はいまのところ閑古鳥だった。
 ちなみに、レイコはなぜかハロウィンなのにあまりそれっぽくないジャージを着ており、反対に都黒のほうはかなりガチめな仮装をしている。それは、真鍮で出来たオートマータのような、金属質の骨格めいた姿……もっとも実は、彼女の仮装は『右半身のみ』なのだが。

「よし! 呼び込みすっか、都黒ちん!」
「えっ……」
 完全にウザ絡みされている。別に都黒は、レイコが苦手とかそういうわけではない。ただこう、ギャルであるレイコはめちゃくちゃグイグイ来るのだ。現にグイグイ来てる。
「いえ、わたしはそこまで商売をしに来たわけでは……ただ、不要なものがあったり、助けが欲しい人の役に立てばいいだけで……」
「まあまあ、カタいこと言わない言わない! へーいらっしゃいらっしゃい! いろんなカボチャあるよ! 被れるよー! こっちは不思議な葛籠で不思議な体験ができちゃうよー!」
「か、甲斐田先輩……」
 残念ながらギャルは話を聞いていなかった。

 一方その頃。
「わあ、すっごいにぎやかなんだよ~……」
 ちょうどこの通りにやってきたのは、諷和・もこ(ふわもこうとうと・g01739)。今日は、三角帽子にマントを羽織って、魔女(13歳の彼女だと、魔女は魔女でも魔女「っ子」になっているが)の仮装をしている。
「パレード、楽しそうだったなあ……なんだかふわふわしてきちゃうんだよ」
 さきほどメインストリートで見物してきた、同じディアボロス達の行列。その華やかさと、なによりそれを見て癒やされる人々の姿を思い出して、もこはふんわりと楽しそうに微笑んだ。
 どうやら、ディアボロス達の作戦は、さっそく人々に笑顔と幸せを与えているらしい。心優しいもこは、そんな彼らを見ているだけで、彼ら以上の幸せをもらえる。ウィンウィン、というやつだろうか。
「せっかくだし、お友達にお土産を買っていこうかな……? みんな色んなお店出してて、すごいんだよ~」
「あ! 魔女のおねーさんだ!」
「わ」
 そんな彼女を見た小さな子供が、突然もこを指差して言った。
「こら、急に人を指差しちゃダメでしょ。ごめんなさいね」
 どうやら親子連れのようで、手をつないでいる母親は、小さな子供を失礼だとやんわり叱る。もこは微笑んで首を横に振る。
「ううん、気にしないでいいんだよ」
「そうですか? すみません……」
「ねーねー魔女のおねーさん! とりっくおあ、とりーとー!」
 はしゃぐ子供がそう言うと、もこはきょとんとして目をぱちくり。が、すぐに笑顔に戻ると、ごそごそと懐を漁る。
 おねーさん、だなんて、滅多に言われないせいだろう。なにせ彼女は、まだ13歳なのだ。
「はい、魔女のおねえさんからお菓子のプレゼントだよ」
 もこが差し出したのは、この時のために手作りしてきたハーブキャンディだ。
「わーい! おかあさんおかあさん、魔女のおねーさんからお菓子もらったー!」
「まあ、ありがとうございます」
「ううん、楽しんでほしいんだよ。……は、ハッピーハロウィン!」
 会釈する母親と、楽しそうな子供に、もこは少しだけ緊張しつつもそう言うと、屋台のひやかしに戻る。

「らっしゃいらっしゃい! これで今日から君も、クロノヴェーダに反省を促してこー!」
「……反省???」
 そこでもこは、レイコの珍妙極まりない呼び込みを聞きつけた。
 すでに二人の軒先には、一般人の客がちらほらつきつつあり、その中にはディアボロスもいるようだ。

「これが、ハロウィンの定番だというカボチャ頭なんですね。ええと、名前はたしか……じゃ、じゃっく……」
 レイコの店先に並ぶ品々……彼女が得意の漫画スキル、もといアートの技能をフル活用して顔を掘り出したカボチャ頭を手に、ためつすがめつするのは、王・天花(人間の無双武人・g03356)。
 天花は『大戦乱群蟲三国志』から流れ着いたディアボロスであり、場合によっては時先案内人として、ディアボロス達を導くこともある……とはいえ、どうやらまだ、自分が居た時代以外の文化については詳しくないらしい。
「ジャック・オ・ランタンだ。もともとは、アイルランド……つまり、『幻想竜域キングアーサー』に当たる地方に伝わる、妖精のようなもの……と、されているな」
 そんな天花と同じく、店先を眺めていたエルマー・クライネルト(価値の残滓・g00074)が、その豊富な知識で彼女の疑問に答えてみせた。
 彼の隣には、オラトリオの『フルーフ』がふわふわと浮かんでいる。
「妖精……なるほど、つまり鬼火のようなもの……でしょうか?」
「そうだ。一説によると、地獄に行きたくないがあまりに悪魔と契約した遊び人が、天国にも地獄にも行けずに現世を彷徨っている姿とも言われているらしいぞ」
「博識でいらっしゃいますね!」
「このぐらいは当然の知識だ。現代で日常生活を送るなら、覚えておくべきだな」
 感心する天花に、エルマーは傲慢な性格らしくたっぷり偉そうに言った。根はお人好しなのだが、こういう性根が玉に瑕である。が、初めて触れる文化に感動している天花は、特に気にしていないようだ。

「……ところでさァ、反省を促すってどーゆーこと?」
 そこで、同じく軒先を見ていた今咲・栄華(ゲットワイルド退職・g00910)が、これまたギャルっぽいちゃらけた口調で言う。
 レイコと違って栄華のそれは「過ぎた」話だ……なにせ彼女は元・社会人の24歳。それはそれとして、学生時代の気質は抜けないらしい。これでも元軍人でもあるのだが……。
「なんかね、最近はカボチャを頭に被って色んなものに反省を促すのが流行ってんだって! あーし詳しいんだー」
「初耳すぎんだけどソレ。何、カボチャ頭で踊ったりすんの? ウケる」
 何が面白いかはわからないが、栄華はけらけら笑う。なんか、ギャグのお姉さんと妹分みたいな空気が出来ていた。
「なるほど、この時代にはそういう文化もあったのですね!」
「いや、ないからな。どう考えてもごくごく一部の奇才めいた風習でしかないからな」
 さも当然とばかりに目を輝かせる天花、それを見咎めて放っておけずツッコミを入れるエルマー。こっちはこっちでポジションが出来ている。

「それはさておき……私としては、そちらの『参加費は不要なもの一つ』という但し書きが気になるのだが?」
「え。あ……はい。わたしの、これですね」
 出し抜けにエルマーに水を向けられ、ギャルのパリピでウェイな空気に恐縮していた都黒は、こくりと頷く。
「不要なものを葛籠の中に入れて、欲しいものを願って手を入れてください。縁が結ばれれば、誰かが手放したものがその手の中に入るでしょう」
 と、都黒は持参した葛籠を手に、客に説明する。
「ただし、ゴミを入れたらバチが当たります。ですから、不要だからといって、誰にとっても必要ないものは入れないでください」
「……面白いな。私はそういう、不要なガラクタの中から、価値あるものを見出すのが趣味でね」
 一風変わった趣味を持つエルマーは、レイコの売り物よりもこちらに興味を示したようで、顎をさすりながら頷いている。
「へー、面白いね。不用品交換みたいじゃんね」
 元ビジネスマンなせいか、栄華も興味を示した。
「それに近いものだと思ってもらえば、わかりやすいと思います」
 実のところこれは、都黒に宿る悪魔『御前様』の力が実体化したもの……つまり、この葛籠そのものがパラドクスの産物なのである。
 本来であれば、これは奉納用の葛籠であり、物体を葛籠の内部に収納する(あるいは収納した物体を放ったり、ガラクタで出来た拳で敵を攻撃する)ものなのだが、都黒はそれを利用してハロウィンの出し物にしたようだ。
「不要なものはこちらに。何時か誰かの助けになりますから。
 助けが欲しい人も、こちらに。この中にきっとそれはありますから」
「ってことでー、どっちのお店もよろしくいえーい!!」
「あの、甲斐田先輩、わたしが売り込み中……」
 とまあこんな具合のやりとりが都民の興味を惹き、段々と盛況になっていた。

 ……というところを、もこは人混みの外からぴょんぴょん飛んで見ようとしていた。が、140cmもない彼女の背丈では、当然届かない。
「面白そうなんだよー、でも見えないんだよー……!」
「おや、どうしましたか? もしかして、お店を拝見したいので?」
 気配りのできる天花は、素早くそれに気づくと、周りの人々に一言かけつつ、もこを店の前へと通してもらう。
「はい、こちらですよ。あなたもディアボロスの方ですね?」
「そうなんだよ! へー、みんな楽しそう!」
 ようやく店の前へ来れたもこは、品物よりも、それを楽しむ人々の様子に笑みをほころばせる。
「私は……そうだな。ちょうど扱いに困っていた品がある。それを入れておくとしよう」
 骨董品ともガラクタともつかぬ品々に、エルマーは縁が深い。彼が懐から取り出したのは、古びた手帳だ。
「それは? お使いのものではないのですか?」
「ああ、これはなんでも、何も書き込んでいないのに時折予定が書き込まれるという曰くのある手帳でな。私が持っている間は、そんな現象はなかったんだが……誰かの役には立つかもしれん」
 天花にそう答え、エルマーは葛籠の中に手を入れる。
 すると彼の手の中に現れたのは……いつのものかもわからない、古ぼけたスキットルである。
「ふむ。これはなにやら面白そうだな。水の尽きないスキットル、とかならいくらでも役立ちそうだが」
「さあ、どうでしょう。ですがきっと、あなたの助けにはなると思います」
「なら持っておくとしよう」
 都黒の言葉にうなずき、エルマーはスキットルを内ポケットに差し込んだ。

「こっちもあるよー! カボチャ頭あるよー! 多分だけどハイジャックとかにも役立つよー!」
「いやそンなことする機会アタシらにねェから。でもとりま仮装代わりに被っとこ(かぽり)」
「まいどー!」
 レイコにツッコミを入れつつ、とりあえずでカボチャ頭を被る栄華。やはりギャルはノリがいい。
「では私も……これをかぶれば、ハロウィンを満喫出来ますからね!」
 かぽり。天花を被る。威圧感がものすごい。
「ヒエッ」
 ズーンとそびえるカボチャ頭の女✕2に見下され、もこは喉の奥からヒュッと声を漏らした。威圧感がものすごい。
「え、え、えっと……」
「「…………(もこを見下ろすカボチャ頭✕2)」」
「と、ととと……とり、とりっく・おあ・とりーとぉおお……」
 咄嗟に出たのは、ハロウィンの決まり文句である。
 天花も栄華も、何故か無言でじぃ~~~……っともこを見下ろしていたが、やがてごそごそとお菓子を取り出すと、そっともこの両手に握らせた。
「飴ちゃんあげっから、舐めな」
「あ、え」
「こんなこともあろうかと、月餅を持ってきておりました」
「あ……」
 もこはとびきりの笑顔を浮かべ、「ありがとう!」と、二人に感謝を述べる。
「あ! あーしも欲しい、お菓子お菓子! 都黒ちんも欲しくない!?」
「まあ、いただけるなら……あ、あら? なぜ私が葛籠に手を入れたらカボチャが……?」
「あなたもあれ(カボチャ頭のこと)被るの?(きょとんと首をかしげるもこ)」
「いえ、被りません」
「あれぇセメント!? 都黒ちんひどくなーい!?」
 などと騒がしく、ハロウィンストリートでの賑やかな喧騒は過ぎていく。
 人々だけではない。ディアボロスも、今日という日をとびきり楽しんでいるようだ。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【液体錬成】LV1が発生!
【隔離眼】がLV2になった!
【エアライド】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV2になった!
【ガードアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【アクティベイト】LV1が発生!

メリディアナ・レヴィ
ゴーシュちゃん(g02403)とイベントを開催
アドリブ、絡み歓迎

「みんなに楽しんでもらう為わたし達も頑張りましょうねっ。ゴーシュちゃん」

魔法で創ったお城みたいなケーキタワーを【迷宮化】で迷路にしてみんなに遊んでもらいましょう
お城はパレードや他のお店を邪魔しない大きさに調整、迷路の中もハロウィン仕様に飾り付け!
ゴール出来た人達には焼きたてかぼちゃクッキーをプレゼント!

ゴーシュちゃんに頼まれて作った色々な味のキャンディが大量に入った弾丸を渡す
「言われた通りに作ってみたけど、これをどうするの?」

ゴーシュちゃんの打ち上げた花火は凄い綺麗。イベントを楽しんでくれているみんなにキャンディが届くと嬉しいわ


ゴーシュ・ザチェリスト
メリディアナ・レヴィ(g03353)と一緒にイベントを開催
アドリブ歓迎

「もちろんお祭りと言えば花火だぜ」

【書物解読】で花火玉を検索。

リディ姉御から受け取ったキャンディが入った大きめの弾頭と、検索して調合した別の弾頭を並べて薬莢に詰めてライフルにセット。巨大迷路ケーキの上部から空向けて次々と発射する。

ちょっとした幸せと心のぬくもりを新宿島のゴキゲンなリスナー達にお届けだ。季節外れなひと夏の忘れ物と一緒に、トリックとトリートのプレゼントだぜ。


●ちょっとの幸せと、たくさんのぬくもりを
 ハロウィンストリートは大賑わい。新宿島の人々は、浮かれた雰囲気に笑顔をこぼして今を楽しんでいる。
「みんなにもっともっと楽しんでもらうため、わたし達も頑張りましょうねっ。ゴーシュちゃん」
「おう、やってやるぜ姉御! オレ達が来たからには、もうどっかんどっかん大盛り上がりさせちまうさ!」
 メリディアナ・レヴィ(甘美にして芳烈なる芸術家(パティシエール)・g03353)とゴーシュ・ザチェリスト(やさぐれ元王女は硝煙マニア・g02403)は、やる気に満ち溢れていた。
「そ、その盛り上げ方は、なんだか違う気がするけど……でもやる気十分なのはいいことよ、ゴーシュちゃん」
「へへん! みんなが楽しけりゃ、オレだって楽しいからな!」
 メリディアナに褒められると、ゴーシュは悪ガキめいて鼻をこすり、まだ何もしてないのに胸を張ってみせる。気が早い。

「しかし姉御、楽しませるのはいいんだけど、一体どうやって盛り上げんだ?」
「それはもちろん、わたし達の得意技……つまりわたしの場合は、これよ!」
 メリディアナは魔力を集めると、花吹雪を散らすように両手を高く伸ばした。
 するとぽんっ! とファンシーな音と煙が空中に生まれ、ずでんとその場に鎮座するのは、巨大な巨大なケーキタワー!
「わー、おっきなケーキだー!」
「おしろみたーい!」
「おとうさんおかあさん、あれたべたーい!」
 と、ストリートにやってきていたちびっこ達は大盛りあがりだ。
「おおっ、さすが姉御! さっそく大盛況だぜ!」
「うふふ、まだここからよゴーシュちゃん。それっ!」
 メリディアナがもう一度指を振ると、残留効果が発動。ケーキタワーは、世にも不思議な巨大迷路に早変わりする。
 中にはキャンディケインの飾りや星型チョコレートの照明が設えられた、さまようだけでも楽しい空間になっていた。
「「「すごーい!」」」
「ゴールできた人には、わたしの焼き立てかぼちゃクッキーをプレゼントしちゃうわよ。さあみんな、どんどんチャレンジしてね!」
「「「わーい!」」」
 子供たちは喜び勇んで迷路に挑戦。大人達も、この不思議なパラドクスに歓声を上げたり、ペアで迷路攻略に挑戦したりと、早くも大入りだ。ハロウィンらしい、スイーツで楽しげなアトラクションは、人々の心を見事に掴んだようである。

「……ははーん、なるほどな」
 それを見ていたゴーシュは、何かを閃いたらしい。顎の下に親指と人差し指を当て、きらーんと目を光らせる。
「姉御! ちょっと頼みがあるんだが……こんなものは作れるかい?」
「? ええ、そのぐらいならすぐに出来るけれど……?」
 メリディアナは首を傾げつつ、ゴーシュの注文……いろいろな味のキャンディが大量に入った弾丸を手渡した。
「言われた通りに作ってみたけれど、これをどうするの?」
「お祭りと言えば、アトラクションもいいけど同じぐらい大事なものがあるんだぜ」
 まあ見てなって、とゴーシュはもったいぶる。彼女が取り出したのはライフルだ。
 一体何をするのかと、物々しい装備にどよめく人々。ゴーシュはふふんと得意げに不敵な笑みを浮かべ、なにやら別の弾頭を取り出すと、それらを薬莢に詰めてライフルに装填する。
「ゴーシュちゃん……?」
「そろそろ、最初に迷路に挑んだ連中が出てくるころだな。いいタイミングだぜ」
 ゴーシュは出口に子供達が出てくるのを見計らい、おもむろにライフルを空に掲げ、引き金を引いた!

 ――パン、パパン!

「「「わあ……!!」」」
 子どもたちは空を見上げて、目を輝かせた。
 空に咲いたのは、色とりどりの甘いキャンディの花火。
 きらきらと星やハートの形を散らすそれは、まるで空というキャンバスに甘いお菓子をめいっぱい広げたかのようだ。
「まあ、素敵!」
「お祭りと言えば花火だぜ。ちょっとした幸せと、心のぬくもりを、ごきげんなリスナー達にお届けだ!」
 DJ気分でゴーシュは言う。ちょっぴり季節外れな、失われたはずの夏の忘れ物が、晩秋の空に咲き誇る。
「ああ、そっか! この花火で、みんなにキャンディを届けるのね?」
「そういうことだぜ。トリックとトリートを一緒にお届けしちゃうのさ!」
 メリディアナは楽しそうに微笑み、うんうんと頷いた。
 彼女のかぼちゃクッキーと、キャンディの花火は、それはもう人々に喜ばれたとか。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【おいしくなあれ】LV1が発生!
【セルフクラフト】LV1が発生!
効果2【リザレクション】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV2になった!

ジェレミー・ルーベル
【外道さん(g02219)と一緒に参加】
NG無し、アドリブ連携歓迎

ハロウィンのお祭り、みんな楽しそうだ
仮装は…ここの人達にとって俺の服がすでに仮装に見えるかもな、はは

ここの暮らしはまだ馴染めてなくて
外道さんが一緒に来てくれることになって本当に助かった、ありがたい…

外道さんとミーティアが一緒にパフォーマンスをすることになった
彼女が念動力で浮かせた巨大かぼちゃの上でミーティアに踊ってもらう…
これはかわいすぎて反則じゃないか?
そういうことだミーティア、【スフィンクスダンス】、よろしく頼むぞ

終わったらなにかおいしいものでも買ってきてみんなで食べようかな

ああ楽しいな
この平和、守っていけたらいいな


外道・歩
【ジェレミーさん(g01064)と一緒に参加】
ジェレミーさん!ハッピーハロウィーン!
いやー案内役を買って出たはいいものの実は
アタシもハロウィンって初めてなんすよね…
まぁ屋台で適当に飲み食いしながら他の参加者の
方々の仮装でも見て楽しむっすよ!
でもその前にアタシもディアボロスの端くれとして
新宿島の人たちに笑顔を届けたいと思うんで
ジェレミーさん、ご協力お願いするっす!
と言っても簡単なことっすよ!
アタシが『念動力』でこの巨大カボチャを
宙に浮かせるんでその上でミーティアさんに
素敵なダンスを披露していただきたいっす!
きっと最高に素敵なハロウィンをお届けできること
間違いなしっすよ!


●平和よ、どうかいつまでも
「ジェレミーさん、ハッピーハロウィーン!」
「は、ハッピーハロウィン」
 ノリノリの外道・歩(人外の道へと歩む女・g02219)と、ちょっと気圧され気味のジェレミー・ルーベル(リターナーの王墓守護者・g01064)。今日は二人で、ストリートをぶらつくつもりのようだ。
「ハロウィンのお祭り、みんな楽しそうだな。外道さんは、ハロウィンって慣れてるのか?」
「え? いや初めてっす」
「え!?」
 ジェレミーは目を剥いた。
「で、でも案内役をしてくれるって」
「実はノリで買って出たんすけど初めてなんすよー」
 いやー若干申し訳ない、とか言いながら頭をかく歩。謝って済む話ではないような気がしなくもない。
「そ、それ……大丈夫なのか?」
「大丈夫っすよ! そこらへんで適当に飲み食いとかして、皆さんの仮装とか楽しめばそれでもうハロウィンっす!」
「ああ、たしかに……外道さんはともかく、俺の服はもうこれだけで仮装に見えそうだもんな。はは」
 王墓守護者であり、同時にリターナーでもあるジェレミーの格好は、いかにもオリエンタルな衣装だ。
 ディアボロスであることは一目瞭然。人々は二人に、尊敬と好意の眼差しを向けている……だがジェレミーは、この時代の暮らしにまだ馴染めないのもあってか、どことなく落ち着きがなさそうだった。

「まあでも、外道さんが来てくれたこと自体が俺にはありがたいんだ」
「そうなんすか?」
 歩はピンとこないようで、こてんと首を傾げる。
「ハロウィン抜きにしても、俺はこの新宿島の暮らしそのものに慣れてないからな。だから、気にしなくていい」
「そう肩肘張らなくても大丈夫っすよ、ジェレミーさん!」
 歩はにこにこと笑い、ジェレミーの肩を叩いた。
「そうそう、ぶらつくのも大事っすけど、新宿島の人達に笑顔を届けるのも大事っすよね。ジェレミーさん、ご協力お願いしていいっすか?」
「ああ、もちろん。案内役をしてもらう礼といってはなんだけど、俺に出来ることならなんでも協力するよ」
 その言葉に、歩は頼もしげに頷いた。
「あ、そうはいっても、やってもらうことは簡単っす。……よいしょ」
「……待った、外道さん。そのカボチャ、どこから取り出したんだ……??」
 さも当然、みたいに歩が脇においた巨大カボチャは、明らかに持ち運べる大きさではない。そもそもさっき持ってなかったし。
「まあまあ、細かいことは気にしないっすよー!」
「めちゃくちゃ大きなことだと思うんだが……物理的にも……」
 だが歩の笑顔でそう言われると、ジェレミーは押し切られてしまう。そんな彼をよそに、歩は念動力を発揮し、巨大カボチャをふわりと浮かび上がらせた!
「おお!」
 と、道行く人々は、それだけで驚いて声を上げる。だが歩のにんまりとした顔を見る限り、これだけではないようだ。
「さあジェレミーさん、ミーティアさんをこのカボチャの上に乗せてあげて、素敵なダンスを披露してくださいっす!」
「な、なるほど……! 出番だぞ、ミーティア」
 スフィンクスの『ミーティア』に命じると、ミーティアはにゃあと高く鳴き、とてとてぱたぱたとカボチャの上に昇る。
 もうその姿だけできゃーきゃー言ってる女性陣がいたりするのだが、本番はここからだ。
「スフィンクスダンス、頼むぞ!」
 ジェレミーの掛け声に答え、ミーティアは後ろ足で器用に立ち上がり、見るものを魅了する可愛らしいダンスを舞う。
「猫ちゃんだ!」
「猫ちゃんかわいいねぇ!」
「ミーティアちゃんこっち見てー!!」
 なんかうちわ振ってる人もいた。隠れファンかなんかであろうか。
 あっという間に周りには人だかりが出来、楽しそうな人々を見てジェレミーも笑みをほころばせる。
「大成功っすね、ジェレミーさん!」
「ああ、楽しいよ。この平和……護っていけたらいいな」
「違うっすよジェレミーさん」
「?」
 歩は、チッチッと指を振る。
「いけたらいい、じゃなくて、護っていくんす! アタシらの力で!」
「……ああ、そうだな。それが俺達ディアボロスの使命だ」
 ミーティアのダンスタイムは大盛況に終わり、その後の屋台めぐりも楽しく過ごすことが出来たそうな。
 なにより、気の合う友人と一緒に過ごす時間こそが、ジェレミーと歩にとっての一番の平和なひとときとなった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【避難勧告】がLV2になった!
【強運の加護】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
【アヴォイド】LV1が発生!

レリエル・モーガン
【我楽多屋】①組
アドリブ大歓迎

パレード楽しそうでス!
ワタシもリナさんとご参加にされますしたいです♪

サテサテどんな衣装がヨロシイでショウかネ?
(事前に用意いただいた衣装から選びます)

「アラ、これ、この色…何の衣装ですカ?どうやって着るのでショウ…(もぞもぞ広げてかぼちゃの着ぐるみと気付き自分に当ててみる。ずんぐりむっくりのシルエットが気に入ったようだ)
(ぱぁあぁあっ☆)なんだカ、可愛いでス!ワタシ、これ着たいデス!」

*踊りはふりふり揺れるだけのノリ重視です

とりっくおあとりーと?
そういうお祭りなのですカ?
合言葉か何かなのですネ!
それじゃワタシも…「とりックおあとりート!」
(とバンザイしてふりふり)


リナフローリィ・エレオノール
【我楽多屋】①組
アドリブ大歓迎
私はパレードに参加しますね
「レリエルさん、素敵です。とても似合っていますよ!私も同じの…は、ないみたいですね。
ではこちらの…(おばけの被り物を選んで)これ可愛いですね、大きなスカートみたいです♪これでぱれーどに出ればいいんですね(ウキウキ)」
事前に用意して貰った衣装で参加です

「可愛いです、可愛いですよっ!私達もパレードを華やかにする一員になれるだなんて嬉しいですね?一緒に良い思い出の一つになれば良いですね(にこにこ)」
ぱれーどはよくわかりませんが、レリエルさんや周りの人たちに合わせて踊ります

ここではこう言うんですよね?
「とりっくおあとーりと!」


●華やかなりしパレードで
 多くのディアボロス達が集い、新宿の通りを練り歩く。
 ストリートの賑やかさとはまた別に、パレードも大きな人出を見せていた。
「パレード、楽しそうでス!」
「そうですね。私達も、さっそく着替えましょう」
 続々出発する行列に混ざろうと、新宿駅にある控室にやってきたレリエル・モーガン(ゆるふわぽややん巫女・g03811)とリナフローリィ・エレオノール(偽物ワールズエンド・g03639)。
 彼女達にとっては、そもそもハロウィンという行事そのものが真新しく、わからないことだらけだ。
「サテサテ、どんな衣装がヨロシイでショウかネ?」
 控室には様々な衣装が用意されており、レリエルはそれらを楽しそうに物色する。なんだか、見知らぬおもちゃ箱を引っ掻き回しているような、童心に返ったような気持ちになる。
「色々あって、迷ってしまいますね……」
 リナフローリィも、吸血鬼のコスチュームやら狼男の着け耳やら、定番の仮装アイテムを手にとってはうんうん唸る。

 するとその時、レリエルが「おや?」と声を上げた。
「レリエルさん?」
「アラ、これ、この色……なんの衣装ですかネ?」
 レリエルが取り出したのは、緑色の……長方形に折りたたまれた謎の物体である。
「畳まれているみたいですね……? 広げてみましょうか」
「ハイ。どうやって着るのでショウ……」
 二人は協力して、折りたたまれた謎のアイテムを広げてみる。それはよく見ると、大きな大きなカボチャのきぐるみだった。
「マア!」
 レリエルはそれを自分に当てて、用意された姿見に振り返る。ずんぐりむっくりのシルエットに、レリエルはご機嫌だ。
 ぱぁあああ、と笑顔を咲き誇らせて、リナフローリィを肩越しに振り返った。
「リナさん、どうですカこれ!」
「素敵です。とても似合いそうですよ!」
「すよネ! なんだカ、可愛いでス! ワタシ、これ着まス!」
 レリエルはウキウキと更衣室に入り、早速着替え始める。
「リナさんはどうしますカー?」
「私も同じの……は、ないみたいですね。ではこちらの……うん、これが可愛いですね。大きなスカートみたいです♪」
「楽しみでス! 見せあいっこしましょウ!」
「ええ!」
 リナフローリィが手に取ったのは、オーソドックスなシーツのおばけの被り物だ。
 二人はいそいそと着替えを終え、同時に更衣室を出て……お互いの格好を見、目をキラキラさせた。
「リナさん、可愛いでス! ふわふわしてますネ!」
「レリエルさんも可愛いです、可愛いですよっ!」
 年頃の娘のようにきゃっきゃとはしゃぐ二人。いざ仮装を終えたところで、ノリノリでパレードに合流だ。

 意気揚々と外に出ると、わあっ、と楽しそうな人々の歓声が二人を出迎える。
「「わああ……」」
 自分達が、新宿島の人々に笑顔を与えられていること。
 そして、この楽しそうな空気そのものが、二人にとっては宝石のようにキラキラして感じられた。
「私達もパレードを華やかにする一員になれるだなんて、嬉しいですね?」
「ハイ! ハロウィンは知らないですガ、お祭り楽しいでス!」
「一緒にいい思い出にしましょうね、レリエルさん」
「はいでス、リナさん!」
 二人は楽しさのあまり、踊りともいえないふりふりと揺れるだけの単純な動きでリズムを取る。
 だが、上手いとか下手とか、テクニックがどうとか、そんな細かい話は祭りでは関係ないものだ。
 ディアボロスの笑顔が、人々に笑顔をもたらす。そして人々の笑顔は、二人の心をさらに暖かくしてくれる。
「トリックオアトリート!」
「「??」」
 人々からかけられた言葉に、レリエルとリナフローリィは顔を見合わせた。
「お祭りの合言葉か何かですかネ?」
「そうみたいですね。それじゃあ私達も!」
「ですネ! とりックおあ、とりート!」
「とりっくおあ、とーりと!」
 発音とか伸ばす位置とか、ちょっぴりずれていたが、それもまた言うのは野暮だ。なにせ、ハロウィンという行事自体、起源をたどればあまり晴れやかとはいえないもの。
 それでも一緒の時間を、同じ目的で過ごし、心の底から楽しむのがお祭りなのである。
 二人が手を挙げて体を揺らすと、人々もそれに合わせてリズムを刻む。絶え間ない楽しげな歓声が、通りにこだました。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【罪縛りの鎖】LV1が発生!
【狐変身】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV3になった!

瑚雛・凛櫻
【我楽多屋】②組
アドリブ大好き

魔女の仮装で参加
(そう言えばグリグリさんはどんな出店するのかしら)
パレードに出なさそうな我楽多屋の店主のことを考えていればなにやら思案顔
頼みごとをして貰えて嬉しくなりぱぁぁっと顔が明るくなって
「勿論よ、グリグリさん!まず目玉はこの迷子防止用バッジ。相方を登録しておくと迷子になった時にGPS機能で相方の元へ案内してくれる優れものよ!因みにこれは廃棄物処理場から貰ってきたパーツを組み合わせて作ったの!こう言う人が多い所だとはぐれてしまう事が多いから、きっと売れるに違いないわ」

数個のガジェットが出てくるが長くなるので割愛

「こんな感じでどう…?少しはお役に立てるかしら?」


グリモア・グリモワ
【我楽多屋】②組
アドリブ大歓迎

ふむ
イベント、出店、屋台…とくれば稼ぎどき…(無表情)
ただ当店は修理屋…一体どういう主旨で出店すれば良いのでしょう…悩みますね(鉄仮面)

売り物…ガジェット…でしょうか
ガジェットといえば、凛櫻さん…(生来のジト目でちらり)

ご協力…願えるでしょうか(どきどき。ただし表情変わらず)

と、とにかく、お声をかけるだけでもしてみましょう(ふんすと口をへの字にして決意)
「凛櫻さん、今度のハロウィンのイベントで出品する様な商品って何かありますでしょうか?」

数々のガジェットを見てほっと表情を緩め感心して
「ありがとうございます。流石ですね。充分ですよ。これなら安心して出店できそうです」


●我楽多屋・出張版、開店します
 ストリートの一角、ぽつんと空白のエリアがある。
 どうやらスペースは確保済みだが、準備が終わってないらしい。
 ちょうどそこで、腕を組んで考え込む少女がいた。
「ふむ……せっかくの稼ぎどきだというのに、いまだにアイデアが浮かびませんね」
 グリモア・グリモワ(自立型復元ユーティリティ・g03809)は、無表情で唸る。
 彼女の経営する『我楽多屋』は、修理屋である。店先に並べるような品はない。
「一体どういう趣旨で出店すればいいのでしょう……悩みます」
 こんなお祭り騒ぎの中、修理品を持ち込んでくる輩など滅多に居まい。
 だが、今日は絶好のかきいれ時。この好機を逃すのは、商売人のはしくれとして問題がある。
「勇み足が過ぎたでしょうか……」
 なので思いつき優先でスペースだけ確保していたのだが、残念ながら当日になっても、良案は浮かばなかった。

 一方その頃。
「ふふ、みんな楽しそうね」
 魔女の仮装をした瑚雛・凛櫻(滅びの箱庭、綻びの記憶・g00518)は、そこらの屋台を冷やかしたり、持ってきたお菓子を子どもたちに配ってあげたりと、自由きままにハロウィンを楽しんでいた。
 来る途中パレードにも寄ったが、レリエルとリサフローリィの楽しそうな顔といったら。
 凛櫻も心が軽くなったようで、足取りもいつもより弾んでいる。
「そういえば、グリグリさんも出店するって言ってたわね」
 たしか、店はちょうどこのあたりだったはず。
「せっかくだし、顔を出してみようかしら」
 凛櫻は賑やかしついでに、グリモアのもとへ足を運んだ。

「……って、出てない!?」
 そして空っぽのスペースと、うんうん(鉄仮面みたいな無表情で)唸ってるグリモアを見つけ、驚いた。
「おや、凛櫻さん。こんにちは」
 グリモアは、生来のジト目で、ちらりと凛櫻を睨……いや、見る。
「ええ、こんにちは。グリグリさん、出店は……?」
「その内容をいまだに考えていたんです。当店の売り物になるようなものがあるとすれば……ううん、ガジェット……」
 グリモアは、何かを思いついたように手を叩く(無表情で)
「ガジェットといえば」
「?」
「凛櫻さん」
「え」
 突然名を呼ばれ、凛櫻は目をぱちくりさせる。
「もしかして、私に売り物を考えてほしいってことかしら」
「はい。……ご協力、願えるでしょうか」
 表情は変わらないが、グリモアは内心ドキドキしながら、伺うように凛櫻に提案した。
 凛櫻はしばらくきょとんとしていたが、やがてぱああっと明るい笑顔を浮かべる。
「もちろんよグリグリさん! 頼ってもらえて嬉しいわ!」
「そ、それなら……よかったです」
 グリモアは、相変わらず無表情のまま、ほっと胸をなでおろす。
 こうして、出店に向けて緊急作戦会議が始まった。

 ……の、だが。
「それでは、凛櫻さん。ハロウィンで出すような商品を考えましょう」
 グリモアは口をへの字にして、ふんすと鼻息荒く気合を入れる。
 彼女に頼り切りではいけない。己もガジェッティアのはしくれなのだ。頑張って知恵を絞らねば。
 凛櫻は笑顔で懐を漁り、珍妙奇天烈な品々を取り出す。
「そうね、まず目玉はこの迷子防止用バッジとかかしら」
「なるほd」
「相方を登録しておくと迷子になった時にGPS機能で相方の元へ案内してくれる優れものよ! ちなみにこれは廃棄物処理場から貰ってきたパーツを組み合わせて作ったの! こういう人が多いところだとはぐれてしまう事が多いからきっと売れるに違いないわ」
「あの、凛櫻さ」
「そして次はこれね、ホロ花火銃! これを空に向けて撃つと、立体映像の花火が射出されるの。見た目も綺麗だしカラーパターンも取り揃えてあるわ。回数制限があるけど逆にそれが売りになると思うのよね!」
「り、凛櫻さ」
「そうそう忘れちゃいけないわ、ハロウィンってことでちょっと試作してみたの、このキャンディケイン! ただのお菓子に見えるでしょ? 実は……じゃーん! ここにあるボタンを押すと、ランダムにエンブレムを表示したり音を鳴らすことが出来るのよ! 名付けるならトリックケインってとこかしら、いたずらもハロウィンの醍醐味でしょう? もちろん危ない機能は入れてないからそこは安し」
「り、凛櫻さん!」
「え?」
「わかりました。わかりましたので、少し落ち着いて……」
 凛櫻は、はっと我に返り顔を赤らめ、照れたように頭をかいた。
「ご、ごめんなさい。頼ってもらえて嬉しくて、つい……」
「いいえ、さすがです。これだけあれば安心して出店できそうです」
 その言葉に、凛櫻はまた笑顔になる。
「本当っ? ガジェットはまだまだあるの、たくさん持ってくるわね!」
「は、はい。じゃあ私は、急いでお店の準備をしないといけないですね」
 凛櫻の熱量に(無表情で)気圧されるグリモア。
 ともあれこうして、我楽多屋の出張店舗は、無事に開店の運びとなった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【フライトドローン】がLV3になった!
【熱波の支配者】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
【ロストエナジー】がLV2になった!

十桜・ひとめ
【甘々】

我(わたし)とイドラの共同作業。
ふふ、楽しみね。
籤引きで運試し、これ我がやっちゃ駄目なの?
そう………

……着替えたはいいけれど、これって意味あるの?
ああ、わかったわ!イドラ、我とお揃いを着て欲しかったのでしょう。
そうよ、絶対にそう。
ふふ、体は正直ね。

あらあら、どんどん無くなっちゃうわね。
イドラがこれだけ可愛いのだから当然かしら。
ふふっ、照れたイドラも可愛いわ。

けどこれじゃあ我たちの分が……ん?どうしたのイドラ。
あら!まあ……!
そうねえ……実はあるわよ、とっておきの。
はい、どうぞ。

それじゃあ我も、トリック・オア・トリート♪
あら、あらあらあら~?
イドラ、覚悟はいいかしら~?
え~いっ♪


夢境・イドラ
【甘々】

ひとめ姉さまとフォーチュンクッキーの屋台を出すのじゃよ
出張夢の涯じゃ
二人の手作りでお宮らしく桜の形での
ま、まだ駄目じゃよ!あとでゆっくりじゃ

巫女装束に仮装したら準備は万端じゃ
…まあ、わらわの場合は仕事着なのじゃけれども

姉様も着ないと始まらないのじゃよ!
…そ、そういうわけでは…
言葉に反して尻尾が嬉しそうに揺れている

桜のフォーチュンクッキーはいかが?
くふふ、お客様にも好評なようじゃの
あ、姉さまが美人だからじゃよ?

あっ!これを忘れておった
姉様!とりっくおあとおりーとなのじゃよ!
わぁ、姉様の手作りをいただいたのじゃ
わらわにやってもじゃな…はっ
もうくっきーがない…
い、悪戯されてしまうのじゃ…!


●甘々なふたり
「さてと……屋台の準備はこんなものでいいかの」
 ストリートの一角、桜をあしらった雅やかな屋台がある。
 そこに立つのは、これまた桜の化身のような髪色の少女……夢境・イドラ(夢の魔女・g01458)と、対照的に瞳に桜を宿した黒き妖女、十桜・ひとめ(天憂神汝・g02769)だ。
「我とイドラの共同作業……ふふ、楽しみね」
「うむ。二人で出張夢の涯、じゃ」
 見た目はまったく似通わぬ『姉妹』が取り扱うのは、桜の形のフォーチュンクッキー。
 イドラはすでに巫女装束に仮装――といっても彼女にとっては、ただの仕事着だが――し、準備万端といった様子。
「……ねえ、イドラ?」
「なんじゃ? 姉様」
「この籤引きで運試し、我がやっちゃダメなの?」
 ひとめはこてんと首を傾げ、せっかく手作りで用意したフォーチュンクッキーを指差す。
「ま、まだダメじゃよ! それは新宿島の人々に振る舞うぶんなのじゃからっ」
「でも、ちょっとやってみたいわ」
「あとでゆっくりじゃ、姉様」
「そう……」
 イドラが小言を言って、ひとめがしゅんとする。
 姉と妹、まるで役目は正反対。背丈もひとめの方が大きなはずなのに、イドラよりずっと幼いように思えた。

「まあ、いいわ。それじゃあお店を始めましょ?」
「そうじゃの……っていやいや! ひとめ姉様も着替えるんじゃ!」
「え? そう……仕方ないわね」
 ひとめはいそいそと、物陰に行くと巫女装束に着替える。
 すぐに戻ってくるが、きょとんとした顔は相変わらずだ。
「着替えたはいいけれど、これって意味あるの?」
「それはそうじゃろ、ハロウィンなんじゃから」
 まったくもう、と腰に手を当てて呆れるイドラ。
 そんな彼女の顔をじぃっと見つめていたかともうと、ひとめはにんまり意地の悪い笑みを浮かべる。
「ああ、わかったわ! イドラ、我とおそろいを着てほしかったのでしょう」
「そ、そういうわけでは」
「いいえ、そうだわ。そうよ、絶対にそう」
 ふん、とそっぽを向くイドラ。だが、小悪魔めいた笑みを浮かべるひとめの視線は、イドラの尻尾に注がれている。
 それでイドラは、自分の尾が、嬉しそうに揺れていることに気づいた。
「あっ。こ、これはぁ……」
「ふふっ、体は正直ね」
「語弊のある言い方はしないでほしいのじゃが!?」
 真っ昼間である。さすがのイドラもちょっと恥ずかしかった。自分のことだし、からかわれてるし。

 なにはともあれ、開店を告げるとすぐに多くの人が詰めかける。
 それは、サキュバスであるイドラの芳香ゆえか、それともひとめの妖しい瞳につられてきたか。
 楽しいハロウィンの日に、それを問うのは野暮というものだ。
「あらあら、どんどんなくなっちゃうわね」
「くふふ。お客様にも好評なようじゃ」
 桜のフォーチュンクッキーを食べた人々は、その甘味に舌鼓を打ち、どんどん口コミが広がっているようだ。
「あの桜のお店、いい匂いがするんだよなあ」
「それに、ディアボロスの女の子も可愛いしね」
「一緒にいるおねえさんも、すごいきれいだったよ!」
 ……と、こんな具合に。
「イドラがこれだけ可愛いのだから、当然かしら」
「なっ」
 ひとめの言葉に、イドラはかあっと紅潮する。
「ふふ、照れたイドラも可愛いわね」
「わ、わらわは……姉様が、きっと美人だからじゃ」
 イドラはまた、ぷいっとそっぽを向いてしまう。
 人々の笑顔よりなにより、そんな妹のいじらしい仕草が楽しくて仕方ないのか、ひとめはずっと上機嫌だった。

 やがて、ひとしきり品物も捌けた頃。
「あっ! これを忘れておった」
「ん? どうしたの、イドラ?」
 首を傾げるひとめに、イドラは言った。
「姉様! とりっくおあとりーと、なのじゃよ!」
「あらあら……じゃあ、はい。どうぞ?」
 ひとめは、きちんと用意しておいた、とっておきのお菓子を渡す。
「わぁ、姉様の手作りなのじゃ! えへへ」
「ところでイドラ? ……トリック・オア・トリート♪」
「へ?」
 イドラは目をキョトンとする。
「何を言ってるのじゃ姉様、わらわにやっても売り物が……」
「売り物が? どこにあるの?」
「…………あ゛」
 イドラは売り場を二度見する。空っぽになった売り場を。
 慌てて懐を漁るが、時すでに遅し。自分用に分けておくのを忘れていた……!
「あら、あらあらあら~?」
「あ、あわわわ……」
 イドラがにんまり笑ったまま、にじりよってくる。
「イドラ、覚悟はいいかしら~?」
「い、いたずらされてしまうのじゃ……!」
「え~い♪」
「あ、姉様、堪忍……~~~~っ!!」
 ストリートの一角。桜をあしらった雅やかなお店から、か細い悲鳴が漏れたとか、聞こえなかったとか。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】LV1が発生!
【現の夢】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!
【ロストエナジー】がLV3になった!

ネフェム・ルフィリト
ちょっと不気味でちょっと可愛いものがいっぱいあるね


出店を回っていたらいつの間にやら迷子に
あれ、なんだか空の色も違う……? ここはどこ……?


アドリブ歓迎


●秋と冬のはざまに
「ふふ……ちょっと不気味で、ちょっと可愛いものがたくさん……」
 ふらふらと、まるで夢遊病者めいたおぼつかない足取りで、ネフェム・ルフィリト(peaceful repaint・g02915)はストリートを歩く。
 彼は他の新宿島の人々と同じように、今日は一人の客としてハロウィンストリートを楽しんでいた。
 ディアボロス達の出店はどれも種々様々で、趣向を凝らした品々が揃っている。見て回るだけでも、あっという間に日が暮れてしまいそうだ。
「ふあ……」
 と、あくびをしている姿は、背丈を抜かせば年頃の少女のように見えてもおかしくない。
「なんだか、風邪を引いている時みたいな感じ……」
 ふわふわと浮ついた、熱っぽくて足元がおぼつかない気分。
 お祭りという、人の活気が渦巻く場所にいると、ネフェムは夢を見ているような心地になった。

 ……ふと気づくと、ネフェムは、通りから奥まった場所に迷い込んでいたことに気づく。
「あれ、なんだか空の色も違う……? ここはどこ……?」
 新宿島の地理を知り尽くしているわけではないが、こんな場所はないと確信できる。
 なにより、見よ……彼の前を歩くのは、仮装の行列……いや、違う。
「カボチャ頭に、シーツのおばけに、吸血鬼……」
 ぞろぞろと列をなすのは、仮装でもそういう種族のディアボロスでもなく、れっきとしたハロウィンの魔物達だ。
 まさか知らず識らずのうちに、新宿島にこんな連中が紛れ込んでいたと?
 普通なら愕然としそうなところ、ネフェムは楽しそうに行列に混ざる。
「ハロウィンだもん。こんなことも、あるよね」
 魔物たちは愉快に騒ぎ、歌い踊り、ネフェムが混ざっても気にしない。
 はたしてこの行列は、どこから続いてどこへ行くのか。
 ネフェムはそんなことも考えず、賑やかな列の騒ぎに溶け込むように歩き続けた。

「……ふ、あ」
 ネフェムは顔を上げる。そして、うとうとした様子で周りを見た。
「……夢?」
 どうやら出店を回っていた疲れで、ベンチに座った拍子に居眠りしてしまっていたようだ。
「楽しそうだったな、あの行列……そうだ、パレードに行ったら、あんなふうに楽しい雰囲気に混ざれるかな」
 と思い立ち、ネフェムはストリートを離れパレードへ向かう。
 秋と冬のはざま。厳しい寒さの前の最後の暖かさは、ネフェムに不思議なハロウィンの景色を見せてくれたようだ。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【凌駕率アップ】LV1が発生!

花塚・夜壱
『Nox』全5人参加

今日は雑貨喫茶『Nox』出張版だ
仮装は俺が道士、皆がキョンシーだ
皆キョンシー姿にほっこり
南瓜モチーフの装飾や置物、黒や橙を基調としたぬいぐるみを用意した
…ん?ああ!すまない、その子はサーヴァントなんだ!非売品だ…!
代わりの品だ、この飴を貰っていってくれ

レジーナとキジカお手製のチラシか、嬉しいな
俺も一枚、貰っても良いだろうか
額に入れてお店に飾ろう

全く…カフカ君、俺は一言も奢るだなんて言ってない
と言いたい所だが
今日は喜んで、俺が財布役を務めよう
皆のおかげで、楽しい一時が過ごせたからな
店はたくさんあるが、さて、清一郎はどれが一番気になるんだ?

写真は喜んで!
今日の記念に、皆で撮ろう


本郷・夏深
『Nox』
暑いですけどキョンシーの仮装も一興ですね!
よし、ザクザク儲けてハロウィンを堪能しますか

客寄せの為にキョンシー仕様のえだまめを放流
サーヴァント達と清一郎さんが客を集めてくれますよ
くれなかったらしばく

おっと、いらっしゃいませ
その品はですね、めっちゃいいですよ
入荷しても即完売する程に人気で今回それがラス1!
しかも飴玉までお付けして、なんと今だけこの価格
あ、確かにそのアクセサリー、お客様にお似合いですよ
レジーナさんの見立てに間違いなしですね!

なんとナイスな提案!キジカさんは天才ですか
色んな屋台を楽しみましょう、夜壱兄ちゃんの奢りで
そうですね、写真も沢山撮って
皆の仮装と思い出を形に残したいです


稲荷・清一郎
『Nox』の皆と参加

あるばいとの稲荷だ。『Nox』出張版の呼び込みをしてみようと思う
衣装はおそろいのきょんしーというものらしい。ぴょんぴょんはねるのであるか? ととさん(クダギツネ)にもお札と帽子を着せてみたであるよ

はろうぃんらしい可愛い雑貨がたくさんであるよ~祭りを楽しむにはぴったりであるよ~
などと皆のサーヴァントと一緒に道行く人々に声をかけてみる
喫茶店の広告(チラシ)も配りたい
広告はキジカとレジーナの合作であるよ!

屋台巡り良いであるな!
なにか美味しいものはあるだろうか? 稲荷もさっきからいい匂いが気になっていたのであるよ
しゃしん? (と首を傾げつつ、皆がいるところには楽しそうに寄っていく)


レジーナ・ネイサン
『Nox』の皆と参加

Nox出店とあれば気合が入る
私はバイトメンバーでお揃いの僵尸姿、夜壱は道士か
皆、とても似合ってる
出店もハロウィン仕様に
南瓜や蝙蝠モチーフで飾り付け

頑張るサーヴァント達がかわいいね
ブラシも行っといで

夏深は接客トークが巧いなあ
新しいお客様……おや、それは
清一郎が配ってくれてるチラシ?
キジカと合作で作ったヤツ
楽しかったな
え、飾るの??

と、いらっしゃいませ
今宵に相応しい品々ばかりだよ
このアクセサリーなんてどう?
今のお客様の仮装にピッタリだと思うのだけど
お勧めしつつ飴を渡そう

屋台巡りに写真か、いいね
キジカの提案に迷いなく頷いて
奢りとは店長たら太っ腹
折角のハロウィンだもの
楽しみ尽くそう


キジカ・バランゾーネ
『Nox』
ハッピーハロウィン!
今日の僕らはキョンシーと道士
みんなの仮装姿を今すぐスケッチしたいところだけど我慢して…
さあ君も仕事だムジカ、みんなと一緒にお客さんを呼んでおくれ

レジーナと合作したチラシは自信作さ
いい出来栄えだろう?ぜひ飾ってくれたまえ

いらっしゃいませお客さま!雑貨はお好きかい?
アドバイス上手なキョンシーが何人もいるから寄っていっておくれ
君のお目当てがきっと見つかるよ
ほらそこのお客さまも満足そうだろう?
それからこれはおまけの飴玉(トリート)だ!

ね、一区切りついたら皆で屋台を見に行こうよ!
それから写真も撮ろう ね、いいだろう?
こんなに楽しい夜だもの、もっと楽しくしないともったいないよ


●雑貨喫茶『Nox』、出張版
 今日は楽しいハロウィン……を、新宿島の人々にお届けする、大事な日。
 数々の出店が軒を連ねる中に、雑貨喫茶『Nox』の面々の姿もあった。
「さすがに、出店で軽食を振る舞うのは俺の手が追いつきそうにないのでな。今日は雑貨喫茶でなく、出張雑貨屋『Nox』とでもいったところか」
 店主であり、今回の出店企画の発起人でもある花塚・夜壱(月下鬼人・g00016)は、中華風の道士服に身を包んでいた。
 厳しい風体と相まって、それらしさが半端ない。
 なお、店先にはカボチャモチーフの装飾が施され、黒や橙を基調としたハロウィンカラーのぬいぐるみや可愛らしい置物など、むくつけき男の店にしては、なかなか小洒落た外観になっている。夜壱は見た目に反し、穏やかでおとなしい男なのだ。

「暑いですけど、キョンシーの仮装も一興ですね! ザクザク儲けてハロウィンを堪能しましょう!」
 と、ちょっとずれた方向にやる気を見せる本郷・夏深(逢魔が夏・g00583)。普段の傾奇者めいた装いではなく、今日は店員一同そろってのキョンシーコスチュームだ。ちなみに、彼のサーヴァントであるパンツァーハウンドの『えだまめ』も同じく。
「このきょんしーとやらの格好、なかなか面白いな。たしか聞いたところによると、ぴょんぴょんはねたりするといいのであろう?」
 稲荷・清一郎(小祠の稲荷狐・g00640)は、聞きかじりの知識を語り、さっそく飛び跳ねてみせる。が、やってることはキョンシーというより、縄跳びをジャンプする小学生みたいな感じだった。肝心なところがわかっていない。
 なお、清一郎のサーヴァント、クダギツネの『とと』は、服こそ着れないが帽子を被せてお札を張り、簡易キョンシーモードといったところ。

「みんな、とても似合ってる。おそろいの服だと、いつも以上に気合が入るな」
 開幕からテンションの高い男性陣二名とは対照的に……といっても彼女の場合、口数が少ないのはいつものことだが……レジーナ・ネイサン(灰色キャンバス・g00801)は静かに佇んでいた。
 店の装飾は、レジーナがかなりの部分を手伝っている。なにせ彼女は、優れたセンスを持つリアライズペインターだ。
 本業(と表現すべきだろう)はウォールアートだが、そのアートセンスはどれほどにも応用が効くものである。
 彼女の肩には、これまた『とと』と同じく、帽子とお札をつけたモーラット・コミュの『ブラシ』がちょこんと座っていた。
「そういうレジーナもよく似合ってるよ? 仕事がなければ、いますぐみんなのこの姿をスケッチしたいぐらいだね」
 キジカ・バランゾーネ(未明・g00736)はうずうずした様子で、手をワキワキさせる。だが、トレードマークのスケッチブックも、今日はお預けだ。
 例にもよって、彼女のサーヴァント『ムジカ』も、おそろいのキョンシー姿である。種類も得意なことも違う四体のサーヴァントは、いわば店のマスコットといったところか。

「みんな、準備はよさそうだな。それじゃあ、まずはお客さんを集めてもらうとしようか」
「ええ、客寄せならお任せください! カフカじゃなくてえだまめにやらせますが。あと清一郎さんもやってくれるでしょう。集めてくれなければしばきます」
 けろっとした顔で言う夏深。相変わらずの唯我独尊ぶりだ。
「さらっととんでもないこと言われたのであるな稲荷??? いや頑張るがな??? ととさんもだぞ?」
 不満を表明しつつ、それでも請け負う気になっているあたり、清一郎はお人好しなのかもしれない。
「じゃあ、サーヴァント達に頑張ってもらおうか。ブラシ、行っといで」
「君も仕事だムジカ、みんなと一緒にお客さんを呼んでおくれ」
 レジーナとキジカが命じると、えだまめ・ととに続き、ムジカとブラシもストリートに繰り出す。
 わんわん、こんこん、きゅっきゅ、にゃあにゃあ。可愛らしく、楽しそうな鳴き声が響く。
 サーヴァントは主のように喋ることが出来ないし、凝った芸をさせるには細やかな命令あるいはパラドクスが必要だろう。
 だが、その見た目の可愛らしさと、自由気ままにはしゃぎまわる様子を見せれば……ほら、ご覧の通り。さっそく第一客人のご来店だ。

「おお、早くもお客人のご来店であるな! では、稲荷はさらに人を集めてくるのである!」
 接客はさすがに三人に任せ、清一郎は遊び戯れるサーヴァントの輪に混ざり、呼び込みを始める。
「はろうぃんらしい可愛い雑貨がたくさんであるよ~、祭りを楽しむにはぴったりであるよ~」
 ディアボロスの呼び込みともなれば、新宿島の人々にはどんな広告よりも覿面に効く。
 どうやら早くも混雑の気配。やってきた最初の客……女性だ……に、まずは夏深がささっとついた。
「おっと、いらっしゃいませ」
「あ、店員さんですか? あの、このお店は……」
「その品はですね、めっちゃいいですよ」
「え」
 客が品物に目をつける前から、まるでそれを見ていたかのように適当なぬいぐるみを手にとり、ぺらぺらとよく回る口でまくしたてていく。
「なんとこちら、入荷しても即完売するほどに人気で、今回がこれラス1なんです!」
「オーダーメイドだから一点物なんじゃ……?」
「しかも今なら飴玉までお付けして、なんとこの価格!」
 夏深、お客様のツッコミを完全スルー。とんでもなく強欲な男である。
「夏深は接客トークが上手いなあ」
「いや、あれは接客トークというより、完全な押し売りだね」
 天然ボケをかますレジーナに、キジカが横からツッコミを入れた。

 結局夏深の熱意に負け、ぬいぐるみを買っていった女性。気に入りはしたようで、ほくほく顔だ。
「いやーただいまである。通りを一周して呼び込みをしてきたのであるよ」
「お疲れ様、清一郎。……あれ? それは?」
 レジーナは、清一郎が持って帰ってきたチラシに気づいた。
「もしかして……私とキジカが合同で作ったチラシ?」
「そうである! 今日は雑貨屋『Nox』であるが、喫茶店としての広告も、せっかくだからしておこうと思ってな」
 清一郎、なかなかちゃっかりしていた。
「ふふん、自信作だからね。好評だったろう?」
「それはもう! で、これが最後の一枚である」
「ほう、これは……嬉しいな。しかも、よく出来ている。俺が貰ってもいいだろうか?」
 夜壱が、感慨深そうな様子で割り込んできた。
「もちろん。そもそもチラシだし、許可なんて要らないよ」
「そうか。では、額に入れてお店に飾ろう」
「え? 飾るの???」
 さすがにそこまで大事にされると思わなかったレジーナは、ちょっと面食らった。
「うんうん、ぜひ飾ってくれたまえ。素晴らしい出来栄えなんだからね!」
「キジカはいいのか……?」
「何がだい? 楽しい作業だったじゃないか、それにお互い出来には満足している。飾って当然だよ」
 キジカは心の底からそう思っているらしく、照れる様子もなく言い切った。レジーナは、楽しかったということには同意しつつ、「そ、そうか」と曖昧に頷くことしか出来なかった。

 そして清一郎とサーヴァント達の宣伝の効果は、見る間に発揮された。お客さんの数が、どんどん増えているのだ。
「すみません! 可愛い雑貨が買えるお店があるって聞いてきたんですけど」
「いらっしゃいませ。今宵に相応しい品々ばかりだよ」
 仮装をした若い青年を、レジーナは柔らかく出迎える。
「アドバイス上手なキョンシーが何人もいるからね。頼りにしてくれたまえ。きっと、いや、必ずお目当てを見つけてみせるとも」
「それは頼もしいなあ。あ、このぬいぐるみ? 可愛いですね!」
 青年が手を伸ばしたのは……遊び疲れて、丸まってくうくう寝ているととだった。
「……ん? ああ! すまない、その子はサーヴァントなんだ!」
「え、そうだったんですか」
「おお、夜壱殿、感謝である。接客で気づくのが遅れてしまった」
「というわけで、非売品だ」
「いやそもそも非売品ですらないのであるが???」
 夜壱の表現もちょっと語弊があった。なお、ととはくうくう寝ている。

「うーん、そうですか……それじゃあどうしようかなあ」
 悩む青年に、レジーナはすっとアクセサリーを差し出す。
「これなんてどう? 今のその仮装に、ピッタリだと思うのだけれど」
 青年は、オーソドックスな吸血鬼の格好をしている。
 そしてレジーナが差し出したのは、木で出来た十字架のペンダントだ。
「え、吸血鬼に十字架ですか?」
「普通ならありえないだろう? だから、逆にアクセントになる、というわけ」
「なるほど!」
「ええ、レジーナさんの見立てに間違いなしですね! というわけでお値段こちらです!(電卓ぱちーん)」
「会計のことになるとすぐに飛んでくるね夏深は」
 キジカは呆れたような感心したような表情で言う。
「すみませーん、チラシを見て来たんですけれど……」
「おっと、いらっしゃいませお客さま! お探しものは何かな? 僕たちキョンシーにかかれば、どんな雑貨だって見つかるよ」
 キジカは、新たにやってきた客を笑顔で出迎える。
 ちょうど会計を済ませ、照れくさそうに飴玉を受け取る青年を示し、
「ほら、そこのお客様も満足そうだろう? おまけの飴玉(トリート)もあるんだ!」
「素敵ですね。それじゃあ、店員さんに選んでいただいてもいいですか?」
「お任せあれ!」
 わいわいと接客に励む一同を、夜壱はうんうんと頷きながら見守っていた。
「すみませ~ん」
「おっと、いらっしゃいませ。雑貨喫茶『Nox』出張版にようこそ」
 そんな彼にも客の声がかかり、時間は過ぎていく……。

 ややあって、客足もだんだん落ち着いてきた頃。
「そろそろ一区切りつきそうだね。そしたら、みんなで屋台を見に行こうよ!」
 と、キジカが提案した。
「屋台巡りか、いいね」
「賛成である! 稲荷もさっきからいい匂いが気になっていたのであるよ」
「なんとナイスな提案! キジカさんは天才ですか?」
 3人の反応は上々だ。
「ぜひ色んな屋台を楽しみましょう。夜壱兄ちゃんの奢りで」
「まったく……カフカ君、俺はまだ一言も奢るなんて言ってない」
 と腕を組んで眉を釣り上げるふりをする夜壱。だが、すぐに微笑む。
「なんて、な。今日は喜んで、俺が財布役を務めるとも。みんなのおかげで楽しいひと時が過ごせたからな」
「店長たら太っ腹。そう言うなら、ご厚意に甘えさせてもらうよ」
 レジーナはくすくすと笑う。
「あとは……そうだ。屋台巡りが終わったら写真を撮ろうか」
「しゃしん?」
 清一郎はまだ写真を知らないらしく、首を傾げる。
「みんなの姿を絵で描いたように保存できる機械……といったところかな」
「なるほど! それは便利でござるな!」
「ああ。俺としても、喜んで、だ。今日という記念にもなる」
 夜壱は深く頷いた。
「みんなの仮装と思い出を、形に残しておきましょう。そうすればきっと、奪われまいとこれまで以上に戦うことが出来ますよ」
 夏深の言葉に、一同は同意を示す。
「せっかくのハロウィンだもの。楽しみつくそう」
「よかった! もっともっと楽しくしていかないと、もったいないからね!」
 キジカは早くもうきうきした様子で、たたん、と小さくステップを踏んでいる。

 それから一同は接客をきちんと続け、きりのいいところでストリートへ繰り出した。
 甘味や軽食をつつきながら、彼らの間でどんな会話があったかは……5人だけの秘密。
 けれども、これだけは確かだろう……その時間は、今日という日の中で一番楽しく、そしてかけがえのないものになったのだと。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【強運の加護】がLV2になった!
【傀儡】LV1が発生!
【完全視界】がLV2になった!
【照明】LV1が発生!
効果2【ドレイン】がLV3になった!
【アヴォイド】がLV2になった!
【反撃アップ】がLV3になった!
【ロストエナジー】がLV4になった!

不義・無二
【太陽月】
俺は食べ歩きだけ参加~。後から合流しやす。
って思ったら皆スゲー仮装してンじゃないスか…(拍手)

いやあ、美味いモンいっぱい食べたいスわ。
ヒャッハ~…あ、パンプキンパイうまそ。これ買って皆でシェアしません?
あとタピオカ飲みたい。タピろ。
すいませんタピオカミルクティーを一つ…
え?いや、これはカエルの卵じゃないス!(ブラックタピオカを吸いながら)

★旅団の皆には基本「〜ッス」口調・語尾に所々カタカナ混じり
★アドリブ大歓迎


カルン・ティミド
【太陽月】の4人と
黄金の剣を体に刺してゾンビ竜仮装
ハッピーハロウィンです!みんなで美味しい物を略奪しに行きます

悪戯されたくなければお菓子ください!
これ言えば何でも貰えるんですよね?素敵イベントです!
おお…!禊さん本格的脅しですね!私も見習います!(尻尾で脅し

お菓子を略奪したら食べ歩きもしますよ!
色んなお店あってワクワクしちゃいます。尻尾振らないように気をつけねば!
わ、でっかいパイですね!奪…買いましょう!食べたいです!
あとお肉も食べたいし…!ビール!いいですね!私も探しますよ!

ふふふ初めて見る物が多くてとっても楽しいです。
……新宿の人はカエルの卵を食べるんですか?(恐る恐る見)


ヘルマニビス・キィーノウイ
【太陽月】
仮装……仮装……はっ! 元々包帯ぐるぐる巻きですしシースドレスを脱いで包帯をちゃんと巻いて、さっき拾ったつけ耳をつければ……オオカミイラリターナーの完成です!

悪戯かお菓子か、すごい二択な気がしますが、お菓子がもらえるのはとてもとても嬉しいですね!
なるほど、パラドクスを使って悪戯を……私がやると大変なことになりそうなので悪戯の方は皆様にお任せします!

屋台もあるなんて本当に素敵なお祭りです!
シェアすればいろんなものが食べられますね! 私もパンプキンパイとお肉食べたいです!
言われるとほんとにカエルの卵に見えてきますね……。
私はビールをいただきましょう! エジプトビールがあったりしませんか?


エーブリム・ボウマン
【太陽月】
いやー、ディアボロスのパワーってスゲーよな
『浮遊』があるから白いゆったり系衣装に色白化粧でゴーストの仮装も楽々
どうせ浮遊できるなら、あえて天地逆さまになって移動して驚かすのも面白いかな
むにーちゃんも服なしでもできる仮装、してみないかい?
へい、トリオアトリー…クルちゃん、スーツで言うと迫力パないな

黒ビールとソーセージ、あとケバブとか肉マシマシで買っていくぜ
ドイツ出身の人らが売ってそうだし。余ったらシェア
オオカミヘルちゃんもゾンビカルン嬢ちゃんも役になり切った食いっぷりだなぁ
パイも歓迎さ!切り分けは任せろー

逆さまだと食べにくいし零すから食べる時は普通の向きで立って食べるぜ(1敗)


来栖・禊
【太陽月】
ガスマスクをジャック・オー・ランタンに変えて、いつものスーツで参加
おもちは魔法使いに。似合うでしょ?

みんなと一緒にトリック・オア・トリート!
怖いことは何もしないから、怯えなくても大丈夫だよ
ところで、悪戯されてお菓子を奪われるのと、お菓子をくれたうえで悪戯されるのどっちがいい?
パラドクスを使う悪戯はビックリすると思うんだよね

浮遊もバッチリ使いこなせてるね!
じゃあ、他にはこんなのはどう?
【冷気の支配者】でひんやりした空気を流して、相手がビビったところをみんなでバァ!って驚かすの

パンプキンパイも美味しそうだね~
あとで僕ももーらおっと
ハロウィン限定レアものをたくさん集めなくちゃね


●強欲なるおばけたち
「ハッピーハロウィンです! さあ、美味しいものを略奪しにいきますよ!」
 ハロウィン当日。
 カルン・ティミド(略奪竜カルン・g00001)率いる旅団『宝物庫『ホテルサン&ムーン』』の面々は、仮装をキメて略奪……まあつまり、屋台をひやかしたりお菓子をトリートしたりするつもり満々だった。
 ディアボロスには店を出すスペースが用意されているが、別に必ずそうしなければいけないというわけでもない。
 店を訪ねて楽しむ客もいなければ、お祭りというのは成り立たないからだ。
 なにより楽しそうで騒がしい彼らの様子は、周りにいる人々を自然と笑顔にしていた。
 ちなみに、カルンの仮装は、黄金の剣を身体に突き刺した……ゾンビ竜とでもいうべき格好だ。はたしてどういうトリックなんだろうか?

「いやー、ディアボロスのパワーってスゲーよな! 見てくれよ、このゴーストの仮装。本格的だろ?」
 エーブリム・ボウマン(人間の映画俳優・g01569)は残留効果の力でふわふわと浮かび上がっている。顔を化粧で白く塗り、シーツのような白いゆったり衣装をすっぽりと着た、典型的なゴーストの格好だ。
「私は気付きました! ちょっとドレス脱いで包帯ちゃんと巻いたら、ほら! オオカミイラリターナーの完成ですっ!」
ヘルマニビス・キィーノウイ(彷徨い歩く王墓・g01899)はシースドレスを脱ぎ捨て、普段なら必要最低限の箇所を覆っている包帯で全身を覆い、最後につけ耳を頭に乗せていた。なお、これは拾ったやつである。ばっちい。
「無二ちゃんはあとで合流って話だったよね。じゃ、まずは新宿島の人達と交流するとしよっか」
 などとまともな進行役みたいな調子で言う来栖・禊(MAD RAT・g01033)。いつもの物々しいガスマスクは、ハロウィンということでジャック・オー・ランタン……つまりカボチャ頭に変わっている。
 サーヴァントのスフィンクス『おもち』には、三角帽子とケープ。つまり、魔法使いのコスチュームだ。

 不義・無二(予言の鳥・g01986)は、諸事情により未だ来ず。
 というわけで4人は、カルンが言うところの『略奪』のため、ストリートにやってきた人々の前に立ちはだかった!
「「「トリック・オア・トリート!」」」
「いたずらされたくなければお菓子ください!!」
 声を揃える3人をさしおいて、カルンは満面の笑顔で(おかげで牙がギラッと光ってて威圧感がすごい)お菓子を要求する。
「ってどストレートに行きましたねカルンさん! それにしてもいたずらかお菓子かってすごい二択な気がします!」
 でも、お菓子をもらえるのは嬉しい。なので、ヘルマニビスは細かいことを気にしない。
「え? これ言えばなんでももらえるんですよね?」
「さすがになんでもってことはないんじゃねえかな! ハハハ!」
 きょとんとするカルンに、エーブリムが笑いながらもツッコミを入れる。この強欲ドラゴンの場合、マジで金貨でも要求しそうなのが恐ろしい話である。
「わー、ディアボロスのお兄さんお姉さんたちだー!」
「お菓子ほしいのー?」
 子どもたちは意地悪したい気分なのか、すぐにはお菓子を出さずじらすつもりだ。
 するとカボチャ頭の禊がヌッ、としゃがみこみ、子どもたちに目線を合わせると肩に手を置いた。
「じゃあ、いたずらされてお菓子を奪われるのと、お菓子をくれたうえでいたずらされるの、どっちがいい?」
「「「ヒエッ」」」
 子どもたちは、スーツの怪人のトリック・アンド・トリート宣言に喉をヒュッて鳴らした。そりゃビビる。
「大丈夫、怖いことは何もしないからね。怯えなくてもいいんだよ……」
「クルちゃん、スーツで言うと迫力パなすぎて洒落んなってねえから。子どもたち泣いちゃいそうだぞ」
「え? おかしいなあ。僕は脅すつもりなんてなかったのに……」
 あれー? みたいな声でカボチャ頭の後ろの方をかく禊。ちょっとやりすぎるところがあるらしい。
「なるほど! 略奪をするなら脅しも本格的じゃないとダメですよね! 私も見習います!!」
「そこは見習っちゃダメなところですよカルンさん!?」
 尻尾をビュンビュン振り始めたカルンを慌てて制止するヘルマニビス。この強欲ドラゴンはマジでやりかねないのが恐ろしい(二回目)

「おい、みろよ! あいつらビビっちゃってるぜ!」
「ディアボロスなんて全然怖くねーのになー!」
 と、遠巻きに眺めていた、おそらくは子どもたちの同級生か何かであろう悪ガキたちが勝手なことを言っている。
「ほぉ~、言うねえ。じゃあこれも……怖くないよなぁ~?」
「「「うわぁー!?」」」
 浮遊したまま上下反転し、ゆぅっくりと近づくエーブリム! コワイ!
「お、おい、なんか寒くないか?」
「うん、すごいひんやりするっていうか……」
 さらに、禊の発動した『冷気の支配者』の効果で温度を下げられ、薄気味悪さに震え上がる悪ガキたち。
「「バァ!!」」
「「「うひぃいいいっ!?」」」
 そこで、後ろからヘルマニビスとカルンが脅かす! 悪ガキどもは悲鳴を上げてへたりこんでしまった!
「おやおや、他愛もないですね! お菓子を出してくれれば許してあげますよ!」
「わ、わかったよぉ……」
「さっきの子たちにもあげてくださいね! みんなで仲良く食べるためです!」
「は、はぁい……」
 得意満面なカルンと、にこにこ笑うヘルマニビスに諭され、子どもたちは4人とさっきバカにした同級生らにお菓子を渡した。
「「「ありがとう! はいディアボロスさんたち、僕たちのお菓子!」」」
 これで、子どもたちの仲違いはなくなっただろう。さらに大量のお菓子もゲットだ!
「いやー、パラドクスを使っていたずらとは考えましたね。私がやると大変なことになってしまいますからね!」
「やっぱり尻尾で脅したほうがよかったでしょうか?」
「カルンさん、それはやめましょう! 多分私と同じぐらいひどいことになります!」
 さすがのヘルマニビスも、常識はわきまえていた。実は人がいいのだ。

 それからしばらくして。
「えーと、たしか待ち合わせ場所はここだったかなあ……」
 ストリートにやってきた無二は、お菓子を略奪(もら)っているだろう4人を探し、きょろきょろと周りを見渡す。
 なお、彼は仮装はしていない。ハロウィンでも平常運行だ。
「仮装してるから見た目わかんなかったりして……いやさすがにそれはねェか」
「あ、いましたよ無二さん! あそこです!」
「おー、カルンさんじゃ……って、ええ……」
 ぞろぞろやってきた4人の仮装の完成度に、ちょっと感動というか、少しヒいてすらいる無二。
「どうしました? 無二さん」
「いやぁ、皆スゲーなって。さぞかし盛り上がったンじゃないスか?」
 思わずパチパチと拍手をしてしまうくらいだ。
「それが、なぜか会う人会う人からものすごく怖がられたんだよね僕」
「毎回毎回あの脅し方してるからだってクルちゃんよ、威圧感すげーもの」
「むしろ普段より違和感は少ないと思うんだけどなぁ」
「あー、うん、その格好で詰め寄られたらビビるっスわそりゃ」
 相変わらず自覚のない様子の禊だった。無二は深く納得した様子で頷いた。

「ま、それはさておき! 食べ歩きスよ皆さん! 美味いモンいっぱい食べたいンで、腹空かしてきたンで!」
「そうですね! お菓子も堪能しましたが、いわゆる甘いものは別腹、というやつです!」
 ヘルマニビスはまだまだお腹に入るようだ。けっこうな量のお菓子をもらったはずなのだが。
「色々なお店があってワクワクしちゃいますねえ……あ、見てくださいあれ!」
 カルンが指差したのは、大きなパンプキンパイを売っている出店だ。
「ヒャッハ~……あ、たしかにうまそ。あれ買ってみんなでシェアしません?」
「シェアすればいろんなものが食べられますね! 賛成です!」
「お、じゃあオレはその間に、あっちでビールやらソーセージやらを買ってくるか」
 エーブリムは率先して近くの肉系の屋台を周り、ケバブやら大きなソーセージやら、ドイツ風味の品々をたっぷりと携えてくる。
「うーん、僕はあとで食べさせてもらおうかな。ハロウィン限定のレアものをたくさん集めなきゃいけないからね」
「いいんですか? じゃあ禊さんのぶんも私が食べますね!」
「いやあとで食べさせてって言ったよね僕!?」
「食い意地張りすぎッスねカルンさん……」
 当然のように無二のぶんを腹の中に入れようとする強欲ドラゴン。油断も隙もない。
 が、そんな彼女は、初めて見る現代の品々にワクワクウキウキしているようだ。いつも以上に傍若無人なのも、きっとそのせいだろう。

 と、そんなこんなで、肉やらパイやらビールやら、栄養も明日のことも考えていない欲望まっしぐらのメニューが多数揃う。
「「「かんぱーい!」」」
 近くのテーブルを占拠した一行は、ビールその他の飲み物でさっそく乾杯した(禊はレア物ハントに席を外している)
「まさかエジプトビールがここにもあるとは! いやー、故郷を思い出しますね……!」
「美味しいですねヘルマニビスさん! ところで、無二さんが飲んでいるそれは……?」
「へ? ああ、これッスか?」
 ちゅー、とタピオカミルクティーを吸っていた無二は、カップを揺らしてみせる。
「タピオカっすよタピオカ。こういうのを飲むのをタピるっていうんスよ」
「たぴおか……」
 カルンは神妙な面持ちになる。
「新宿の人は、カエルの卵を食べるんですか!?」
「いや、カエルの卵じゃないッスよ!? 似てるけど! ちゃんとした食べ物ッスから!」
「え、でもどう見てもカエルの卵……」
「違うッスから! 俺どういう扱いされてんスか!?」
「ほんとにカエルの卵に見えてきますね……」
「ヘルマニビスさんも乗らないでぇ!? なんか吸うのヤになってきちゃうッスよ!」
 などとじゃれあう3人を見て笑いながら、エーブリムは手際よくパイを切り分けていく。
「ほらほら、卵のことはいいから肉もパイもあるぜ、どんどん食いな!」
「ヒャッハー! 待ちに待った食事ッス!」
「「肉!!」」
 無二・カルン・ヘルマニビスは、それぞれパイやら肉にがぶりと噛み付いた。
「ははは、オオカミヘルちゃんもゾンビカルン嬢ちゃんも、役になりきった食いっぷりだなあ」
「いえ、普通に美味しいので止まりません!」
「あ、元からその食欲? それはそれですげえな……」
 がつがつ肉を平らげるカルンのペースに、エーブリムは目が点になった。
「ただいま~。パイ、まだある?」
「お、おかえりクルちゃん、もちろん取っといてあるぜ!」
「よかった。せっかくだし別の屋台で色々買ってきてみたよ」
「最高ッスね! 食べ歩き、止まんないッスよ!」
 新たな略奪品の到着で、さらに盛り上がる食卓。
 それからまたストリートを練り歩いたり、食べ比べをしたり……と、一行のハロウィンは食い気マシマシで大いに楽しまれたようである。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV2になった!
【無鍵空間】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
【避難勧告】がLV3になった!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!
【能力値アップ】がLV4になった!
【アクティベイト】がLV2になった!
【アヴォイド】がLV3になった!

十野・樞
【新宿医院】
ハロウィンか
おっさんだからな
若いののようにははしゃげねえが楽しむとするか

薬膳粥と飲物を出す屋台
魔術師のローブ着て厨房部分で鍋をかき混ぜとくぜ

…光る魔王っぽいのが叫んでいようと
売り子がなぜかナース服を着て、それが良く似合っていようと
ウナギと芋虫が闊歩しようと
ハロウィンだからな!で片付けよう(悟った笑顔
ツッコミ役には特性ドリンク(ドクダミ色)で労ろう
すまん、俺ではツッコミには力不足だ…

レシピ提供
【伝承知識】【魔術知識】を駆使してあやしい…もとい、マジカルなやつだ
紫とかオレンジの煙がポヤヤンと出る
パラドクスで召喚した有翼猫にそれをドヤ顔で客に披露して貰うか


御門・風花
【新宿医院】
感情を失った人形のような少女。

狐耳と尻尾を付けた仮装に、売り子としてナースの服を着ている。
クダキツネの琥珀の額に護符を付けてパラドクスを使い、2体の子狐に分離させる。
「人手が欲しいですね。琥珀、分身変化の術で行きますよ」
金髪赤目で活発そうなコン、銀髪青目で大人しそうなハク、それぞれ狐耳と尻尾とナース服を付けた、風花と同じ年の少女の姿に変化させる。

グレンからのお褒めの言葉に
「ありがとうございます」
二人はサーヴァントなので喋りませんが、コンは自慢げに、ハクはオドオドしながら動きでお礼を伝えます。
「皆でお仕事、がんばりましょうか」
コンは元気よく、ハクは静かに、風花は淡々と仕事をこなします


赤上・イズル
【新宿医院】
ハロウィンです
山育ちで田舎者ゆえ、恥ずかしながらこういった催し物に参加した機会がないのです(記憶は最近取り戻しました)
感情を失ったはずなのですが参加せずにいられないと感じる心に正直に行動してみようと思います(うずうず)

と言う事で新宿医院さんの皆さんと参加です
俺は売り子をお手伝いしましょう

仮装してました(真顔)
売り子はナース服を着ると聞いたので着てみたのですがこれで良かったでしょうか
それとせっかくのハロウィンという事なのでこの通りです(猫耳)
マリコさんも(サーヴァント)もお揃いです
これでハロウィンの仮装は完璧ですね

という感じで淡々と買いに来たお客さんに対応します
アドリブ・絡み歓迎です


狭間・ならく
【新宿医院】
はろいんかー(分かってない)
マ、何にしろ祭りってなァいいモンだよな
日常の続きで、非日常で、楽しくてよ。

薬膳粥かァ、なるほどなー(知らんけど)
ひひ、ナラクさんはこっちで薬草育てとくから
雑用なら任せろ、全部雑にやっとっからよ
料理とか接客とかはそっちに任せ…なンだその格好
ガキ泣かすんじゃェ

んー(つってもアタシが行ってもトリック一択)(嘘つきナラクさんだからな)…。
おら行けモコモコ野郎。シーツ被せりゃかわいいおばけだ
客引き手伝ってこい、売り子がアレじゃ誰も寄り付かねーよ

おいグレン、これもうツッコんだら負けだぞ


グレン・ゲンジ
【新宿医院】

新宿島で初めてのハロウィンか。みんな気合入ってんなー
よし、俺も出店がてら宣伝して…どうにかツッコミ役を増やそう…

薬膳粥か。鍬助がそういうの好きだし、ウチらしいのは間違いないな
魔法使いっぽいローブでも羽織りつつ、【書物解読】で記憶した薬草や料理の知識で、粥や野菜ジュースを作るか

ナースの売り子で見た目も華やか、似合ってるぜ風花、コン、ハク!
ってあと2人は男じゃねーか!!

うわっ何してんだ鍬助!?妖精さん?何でお前は女装したがるんだよ!
うわ声怖っ!もはや妖精じゃねえ、大魔王だ!

俺だってツッコむために新宿医院に来たわけじゃねえよ…だけど、誰かがやらなきゃならねえと思うんだ…(うなだれる)


調月・野映
【新宿医院】
トリックオアトリート!と大声で叫ぶのは照れくさい
が、いい大人でもハロウィンの騒ぎには混ざりたい
こんな新宿島でも人が人らしくあるためにイベントで楽しむことは必要だ
いつしここにも普通の生活を取り戻してみせる

俺は魔法使いの仮装だ
ナースはしないぞ、177cmの野郎のナースなんて誰得だ
【液体錬成】で作り出した飲み物を提供しよう
シュワシュワしたカラフルな炭酸の飲み物にはハーブの香りを添えて、今流行りのクラフトコーラっぽく
まぁドクダミ汁よりかはマシだろう
でも当日はちょっと肌寒いだろうから温かい飲み物も用意しておこうか
うーん、やっぱり薬草茶とかになりそうだな


備傘・鍬助
【新宿医院】

トリックオアトリィィィィィィット!
お菓子をやろう、汝、悪戯をせよぉぉぉ!

…って感じでいいのか(怪しい少女妖精コスプレ中)?
だって、これが伝統の姿って聞いたし
子供たちを怖がらせれば、問題ないのだウ

ならば、インパクト&ホラーを追求し、なおかつキュートな外見を目指すのが真のマスコットたる私の役目ではないのかね?
…あぁ、そこの子供、お菓子もいいが、栄養バランスを考えて、後で食べる事も、視野に入れなさいな?

体にいいでよ、薄荷茶ぁ!
老いも若きも、飲んでいけぇぃ!

光使いで光りまくりながら、熱唱しよう!

さぁ、道行くご両人、たぎる何かに全てを込めて、ご唱和ください
トリックオアトリィィィット!

とな!


甲・牙刹
【新宿医院】

ほう、確かに「普段通りの生活」となれば祭りや催し物は大切なことだな。
俺たちは屋台、か。では、自慢するほどではないが料理は一応できるのでな。腕を振るわせてもらおうか。

屋台はインスタントトーチカを応用して作ってみようか。移動も出来るようにすれば守牙とメカしゃぶしゃぶに引かせることもできる。
芋虫と歩くうなぎ、そして俺はナース服。仮装大会にはうってつけではないかな?

薬膳粥の材料の準備ができたら俺は調理に集中だ。ボケやツッコミに回る余裕はなさそうだが……あまり騒がしくして客が引いてもかなわん。
あまり「過ぎる」ようだったら俺とメカしゃぶしゃぶの包丁が違う意味で唸るかもしれん、な。


●ボケとツッコミが合わさり最強に見える
「トリックオアトリィイイイット!!」
 なにやら、近づいてはいけないタイプの叫び声が響き渡る。
「お菓子をやろう……汝、いたずらをせよぉおお!!」
「うわっ何してんだ鍬助!? なんだその格好は!?」
「え? こういう感じがハロウィンの定番じゃないのか?」
 グレン・ゲンジ(狂刃のスレイヤー・g01052)が、思わずツッコミを入れてしまったのも無理はない。
 なぜなら、妙に悪役っぽく叫ぶ備傘・鍬助(戦闘医・g01748)の格好は……明らかに怪しい少女妖精の仮装だからだ。
 生足である。見るに堪えない女装らしき何かだった。
「なんでお前は女装したがるんだよ……声低すぎて、もはや妖精じゃなくて大魔王だぞ!!」
「……ゲンジ」
 ツッコミの奔流を吐き出すゲンジの肩に、十野・樞(division by zero・g03155)がそっと手を置いた。ゲンジが振り向くと、ふるふると首を横に振る。
「やめておけ。全部「ハロウィンだから」で片付けたほうが、身のためだ。おもに胃の健康的な意味でな」
「俺だってツッコミ入れたくて今日ここに来たわけでも、旅団に入ったわけでもねえんだよ……」
 ゲンジは諦めの境地に達していた。それでも、トンチキをやらかしているのを見るとツッコミを入れざるを得ない。
 誰かがやらなければならないのだ。でなければ、ボケ倒しになって場がどんどんとっちらかっていくから……!

「どうしましたか、お二人とも」
 サッ。モーラット・コミュの『マリコさん』を連れた赤上・イズル(陽炎の剣士・g04960)が、ふたりの前に現れる。
 樞とゲンジは顔を見合わせ、諦めたような面持ちで首を横に振った。
「一体どうしたというんです。今日はハロウィン……こういった催しは、楽しく過ごすものなのでしょう? 機会のない俺にはわかりませんが」
「いや、まあ、そうだが……ゲンジが疲れ果ててるみたいだから俺が代わりに聞くぞ。なんだその格好は……??」
「仮装です」
 イズルは、樞の質問に真顔で答える。
 ではイズルがどんな格好をしているかというと……ナースだ。
 言うまでもないが、イズルは男性である。それが、堂々とナースの格好で売り子をしている。割とピチピチの服で。
「ああ、もちろんこれだけではありません。せっかくのハロウィンということで、こんなものも用意してみました」
「なぜ……猫耳を着けた……!?」
「ハロウィンの仮装なので」
 真顔である。樞は額に手をやり、己のツッコミ力(ちから)の不足に頭を振った。このボケども、強すぎる!
 なお、隣に浮かぶマリコさんも、どうやって用意したのか知らないがナース姿に猫耳を着けていた。完璧(?)である。

「はろいんかー。アタシ、よくわかんねェんだよな。マ、なんにしろ祭りってなァいいモンだ」
 完全にいつも通りの光景を見て、狭間・ならく(【嘘】・g03437)はへらへらとだらしない笑みを浮かべる。
「日常の続きで、非日常で、楽しくてよ。まァツッコミ役はさっそく疲弊してるみてェだが」
「やっぱナースしなくて大正解だったな、いや頼まれたってやらないけど……」
 魔法使いの仮装をした調月・野映(ホリゾンブルー・g00586)は、『液体錬成』で作り出した飲み物を準備しつつ、相変わらずのメンバーの様子に呆れていた。
 今日は旅団のメンバーで揃って出店を開きに来たというのに、あの一角だけ出店にまったく関係なくなってしまっている。そもそも客来るんだろうか、あの大魔王(?)とナースで。
「たしかにならくの言う通り、『普段どおりの生活』を過ごす上で祭りや催し物は大切なことだ」
 調理の準備を進める甲・牙刹(ムシキソグ・g03515)が、至極真面目くさった顔で頷く。
「そういった息抜きのひとときがあるからこそ、何の変哲もない日常というものは際立つ。この新宿島が、最終人類史であり続けるためには、こういった催しは積極的にすべきなんだろう」
 台詞と鉄面皮を見ていると、まるで彼が一切ボケのないシリアスなキャラであるように思える。
 しかしよく見てほしい。インスタントトーチカを応用して創られた屋台……それを曳く、なんか二足歩行する変なうなぎ。あと、その隣りにいるいやに見た目がリアルな芋虫。
 別に生物というわけではない。いやメカでもなんでそんな見た目にしたって話なんだが。
 そして何より! 牙刹も……ナース服を着ていたのだ!! 189cmの巨体で!!
「その格好で何まともそうなこと言ってんだよ……」
「何がだ? 仮装とは、普段なら絶対にしない格好をしてこそだろう」
「そうだけど! そうじゃない!!」
 野映はハッと我に返る。いけない、このままではツッコミ力の暗黒面に落ちてしまう。そうすればあそこでうんうん熱病に浮かされたように唸っているゲンジみたいになることは必至!
「ハロウィンだから仕方ないな。ハロウィンだから、仕方ない」
 遠い目をしてすべてをいなそうとしている樞の対応が、多分正解なのだ。いや何も正解ではないんだが。

「わたしもナース服なのですが、どうしてわたしだけは特にああした指摘が入らないんでしょうか。わかりません」
 一方、ならくを除くと唯一の紅一点である御門・風花(静謐の凶鳥/ミセリコルデ・g01985)も、ナース服だった。おまけに狐の耳と尻尾をつけている。だが彼女は少女ゆえに、特に違和感はない。むしろこういうのが普通なのだ。
「いや、それでいいんだよ風花。見た目も華やかで、むしろそれがいいんだ。……いいんだけどなあ」
 いそいそてきぱきと動く野郎ナースの方を一瞥して、ゲンジは嘆息した。
「ありがとうございます。しかし、数が増えればいいということでしたら、人手も欲しいですし『雪月花』を使うとしましょう」
 風花の言葉に、クダギツネの『琥珀』がぴょんと現れる。
「琥珀、分身変化の術でいきますよ」
 護符を琥珀に貼り付けてパラドクスを発動すると、一時的にだが琥珀は風花に似た二人の人型へと変身する。
 もちろん、中身はサーヴァントとしてのクダギツネのままだ。命令がなければ複雑な行動は行えないし、見た目が風花に似ているからといって喋ったりもしない。
 しかし同じ格好ということは……つまり、こちらも耳尻尾つきのナース服の少女だということ。これで数は対等だ!(?)
「おお、いいじゃねえか! コンとハクも似合ってるぜ!」
「多少はまともな屋台っぽくなってきたな。……いや冷静に考えると、ナース服の売り子がうろつく屋台ってなんだ?」
 樞は宇宙を背負いかけたが、考えるのをやめた。冷静になると、あのウナギと芋虫型のメカから常識を疑わねばいけなくなる。
「やれやれ……ツッコミ入れすぎて疲れたぜ。俺も仕事しねえとな」
 気を取り直したゲンジは、改めて魔法使いのローブを羽織って仮装すると、野菜ジュースづくりに戻った。
 今回の彼らの出し物は、ずばり、薬膳粥である。
 一応彼らの根城は医院であり、リーダーであるはずの魔王……もとい鍬助は、医者……の、はずだ。自称だが。
 薬膳粥自体は、まともに準備されている。作業してるの野郎ナースだけど。
「ひひ、ナラクさんはこっちで薬草育てとくから、雑用なら任せろ。全部雑にやっとっからよ」
「雑用は雑にやる用という意味ではないんですが……」
「気にすんなよォ、料理とか接客は任せたぜ。アタシじゃトリック一択になるからな」
 面倒なことはすべて丸投げの、いつものならくだった。

 一部明らかに近づいてはいけないタイプの野郎どもがいるが、まあそれはそれとしてディアボロスの出しものである。
 怖いもの見たさで近づいてくる客が出てくると、だんだん評判が広まって客足が増えてきた。
「いらっしゃいませ。ご注文は?」
「薬膳粥をふたつ。あ、それとジュースもいただけますか?」
「かしこまりました」
 イズルはカップルの応対を淡々と行う。彼が屋台に戻ると、カップルは声をひそめて話した。
「あの人、なんでナース服なんだろう」
「さあ……趣味なんじゃない?」
 誤解が広がっている。だが当然の認識と言えるだろう。
「ねーおかーさーん、あの人達へんな格好してるー」
「しっ、見ちゃいけません!」
 などと話す親子連れが通りがかると、鍬助が動いた。
「身体にいいでよ、薄荷茶ぁ! 老いも若きも、飲んでいけぇい!!」
「「ひいっ!?」」
 ピカーッ! 鍬助、光る! いよいよ悪夢じみた光景だ!
「そこの子ども! お菓子もいいが、栄養バランスを考えてあとで食べることも視野に入れて」
「びえええーん!! おかあざーん!!」
「ガキ泣かすんじゃねェよったくよォ」
「そ、そんなバカな……」
 どうやら本気でマスコット枠に入ろうとしていたらしい鍬助、よりにもよってならくに叱られると、愕然とうなだれる。
「あまり騒がしくするなよ。客が引くようなら、俺とメカしゃぶしゃぶの包丁が唸るぞ……ただし、調理とは違う意味でな」
「おっしゃる通りだけどよぉ! お前の格好も大概だろ!!」
 ゲンジのツッコミはごもっとも。だが牙刹は一切気にしていない!
「これは仮装だぞ。なんの問題がある」
「問題しかねえよ!! ……はあ、疲れてきた……」
「ゲンジ、特製ドリンクだ。飲んで体力をつけてくれ」
「おう、ありがとよ……ってなんだこのドクダミ色の液体!?」
 樞から手渡された、明らかにヤバげな液体を、さすがに飲むのは躊躇するゲンジ。

「さすがにあのドクダミ汁よりは、こっちのがマシかなぁ……はい、カラフル炭酸ジュースのハーブ仕立て、お届け」
 ゲンジを憐れみのこもった瞳で一瞥しつつ、野映はてきぱきとまともに働いていた。でないとすべてが瓦解する。
「皆さん楽しそうですね。ハロウィンを盛り上げる活動は、成功といっていいのではないでしょうか」
 淡々と仕事をこなしていた風花は、色んな意味で騒がしい客の様子を観察して、無表情で言った。
「これが楽しそうに見えるのか……いやまあ、リアクションはあるけどさ」
「すみません。楽しい、という感情は、感覚としては理解できないので」
「それは俺もです。ですがなぜか……参加せずにいられないと感じる心がここにあるんです」
「その格好(ナース服)でシリアスキメても全然キマってないからな!!」
 キリッとした顔のイズルにツッコミを入れるゲンジ。孤軍奮闘だ。
「さぁ道行く人々、たぎる何かにすべてを籠めてご唱和ください! トリックオアトリィイイイト!!」
「「「ひいい!」」」
「……客がどんどん離れていくんだが?」
 シュッシュッ。牙刹が包丁の素振りを始めた。
「仕方ねェ。おら行けモコモコ野郎。客引き手伝ってこい。つーか代わってこいもう」
 モーラット・コミュに雑にシーツを被せ、おばけの仮装をさせたならくが、仕方なくサーヴァントを送り出す。ツッコんだら負けだが、それはそれとして世話は焼く嘘つきナラクだ。
「見世物もあるとよさそうだな……よし、こいつを使うか」
 樞は薬膳鍋をかき混ぜつつ、パラドクスを発動し有翼の猫を召喚。猫デーモンは樞が調合した、紫やらオレンジの煙がぽややんと出る不思議な薬膳粥を、客の前で披露してみせる。段々とイベントらしい活気が出てきた。
「トリックオアトリィイイイト!!」
「元気ですね」
「誰かが止めないとダメだろあの大魔王……」
「? 呼び込みなのですから問題ないのでは?」
 風花は感情がわからない。なので首を傾げる。あれっまともなように見えて彼女も割とアレなのでは?
「……もう客じゃなくて、ツッコミ役を呼び込みてえよ……」
 ドクダミ汁を手に、グレンは遠い目をした。残念ながら味方はいなかった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】LV1が発生!
【狐変身】がLV2になった!
【平穏結界】LV1が発生!
【植物活性】がLV2になった!
【怪力無双】LV1が発生!
【液体錬成】がLV2になった!
【活性治癒】がLV2になった!
【セルフクラフト】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV7になった!
【ガードアップ】がLV5になった!
【能力値アップ】がLV5になった!
【反撃アップ】がLV4になった!
【ドレイン】がLV4になった!

レイ・シャルダン
【M学青】で参加です

学校の皆さんと一緒に屋台を出します。
私はクレープを担当します!
学園の中で皆(私を除く)が作った甘くて美味しい果物にクリーム等を使ったお菓子クレープと
ソーセージ等の焼き物を使った惣菜クレープ等を用意します。

クレープは刻逆が起こる前の学校で作った事があるのでお任せを!
生地は薄すぎず厚すぎず、丁度良いもっちり感を演出(出来てたらいいな)
私は頑張って焼きます。
具材の用意はシエロさんにお願いします。

もし、手が余ってる様なら
青クラスの皆にも振舞って皆で食べられたらいいな。
何気に!皆さんが作った果物!口にするの初めてなんですぅ。

へっ?彩乃さんいいんですか?
とこそこそ果物をつまみ食いです。


シエロ・ラヴィオン
【M学青】

◎出店側として参加

お祭りかぁ、なんだか久しぶりです
さあ頑張りますよ!

僕はレイさんと一緒にクレープの屋台をお手伝い致します

綺麗に生地をたくさん焼いて、育てた果物を乗せて、クリームたっぷりのせます
お腹を空かせた方には、ハムチーズや焼いたウインナーとピザソースなんかをかけたクレープをくるりと巻いてお出しします

レイさんと呼吸を合わせる事を意識しながら、サポート重点でお作り!
小さな子供にはちょっとだけクリーム増しても許され…駄目?

首尾よくやれたら、最後に
こっそり作った皆さんの分のクレープをお出しします
ほら、お客さんもだけど、僕たちも楽しんで悪い事はないでしょ?

記録:かけがえの無い仲間達と共に


三隅・彩乃
【M学青】で参加
◎出店側

私もクレープを作るわ!
こっちは果物を挟んだクレープね
私の担当は果物の下拵え、バナナやブドウ、オレンジの皮を剥いていきましょう
これくらいならあまり目が見えていなくてもできるものね
ちなみに料理の経験は……ほとんどないわ! でも大丈夫よ!(根拠のない自信)

カットも任せてちょうだい。果物ナイフなら危なくないもの
……んー? ナイフ、どこに置いちゃったかしら
シエロさん、私の使ってたナイフを知らない…?

教えてもらったらお礼にフルーツをひとくちお礼に渡しちゃおうかしら
レイさんもいかが? これは秘密のつまみ食い。こっそり食べてね?

アドリブは大歓迎よ
人のことは下の名前+さんで呼ぶわ


火撫・穂垂
【M学青】
学園のみんなと、お店番。

はろうぃんって……お盆みたいなもの、だよね。でも、すごく賑やか。
ううん、良い事だと思うよ。生きるのには、楽しさってのも、必要だと思うから。

えっと、果物で、おやつを作ればいいんだよね。
しとらや、光に教えてもらいながら、何とかやってみる。手先は器用だから、教えてさえもらえれば、大丈夫。

慣れたら、果物に顔でも作ってみようかな。
刃を入れて、目と口をくりぬいたりして。あそこのかぼちゃの飾りみたい。
あとは、チョコレート?で飾り付けたりとか。

ん、欠片食べる?
捨てちゃうのはもったいないからね。そうするくらいなら、いただいちゃお。


錣吹・しとら
【M学青】
祭りだ祭り!
屋台なら任せなぁ!ウチの組じゃあ縁日も大事なシノギだ気合い入れていくぞオラァ!!

光、穂垂と

いいか、フルーツ飴で大事なのは飴の粘りだ。
粘りは水飴を作るときの火加減と時間で決まる。水と砂糖を中火で10分キッチリ溶かせ!べたつく原因になるから火にかけたら水と砂糖を混ぜるんじゃねえぞ!
上手に仕上がると、飴から上げたときにこんな風に一瞬で固まって宝石みてえに光るんだ

チョコバナナは湯煎して溶かしておくが、こん時にちょいと油を混ぜると緩くなってコーティングしやすくなる。
これを棒にさして冷やしといたバナナにかけて……お頭ぁ!冷気寄こせ冷気ぃ!固めれば完成だぜ!
さあバンバン作って売るぜ!


天音・光
【M学青】
呼び方
しとら師匠[せんせい]、番長(竜城・陸)、穂垂、三隅、シエロ、レイ

「指を刺したりしないように気をつけろよ?」
穂垂に串の刺し方やトッピング、顔の彫り方などを教えながら
「はい、チョコバナナ二本上がり」
料理ができるしとら師匠を意外な目で見ながらチョコバナナやフルーツ飴を作っては番長に渡します
「見てこれ!信号機!客寄せに飾っとこ」
イチゴ、輪切りバナナ、ブドウを串に刺したフルーツ飴で信号機とか適度に遊びながら楽しく作業をしていきます
「作業は本気でやってるけど遊びは忘れないさ。だってお祭りなんだぜ?」
な?そこのつまみ食い諸君(掘った余剰や小さくカットされたフルーツを近くに置く)

アドリブ歓迎


竜城・陸
【M学青】【7名】
屋台を出店する形で参加
段取りや設営関係の打ち合わせは受け持つよ

人々の平穏や幸福の為に寄与するのは、青のクラスの本懐でもある
誠心誠意励むとしよう
……しとら、それだと「組」っていうの、何か学生っぽくない気がするんだけど

基本的には食材の在庫管理や、鮮度維持に努め……つつ
接客と注文の取り纏めをしようか
残留効果を利用すれば、多少手を離しても大丈夫だし

……しとら、君、俺を便利な冷凍庫だと思ってない?
いや、いいけど

皆の頑張りを無駄にしない為にも、しっかりお客さんを捕まえないとね
さて、そこのご婦人に、お子様連れの方々
ご夫婦に、ご友人同士も
宜しければおひとつどうぞ
きっと、笑顔になれると思うよ


●学生たちのハロウィン
 ハロウィンストリート、早朝のこと。
「さて。今日はいよいよハロウィン当日。前々から準備していた屋台を出すわけだけど」
 集まった6名の同級生達を見渡し、"番長"である竜城・陸(蒼海番長・g01002)が朝礼的なものをやっていた。
「人々の平穏や幸福のために寄与するのは、俺達『青のクラス』の本懐でもある。誠心誠意、励むとしようか」
「おう、もちろんだぜお頭ぁ!!」
 この晩秋に、腕まくり&へそ出し、さらにねじり鉢巻までしてやる気満々の錣吹・しとら(鬼門の姫・g00929)が、ストリートの端まで届きそうな大声をあげた。
「屋台なら任せろってんだ!! ウチの組じゃあ縁日も大事なシノギだからな! ハロウィンだって変わらねえぜぇ!!」
「……しとら。それだと「組」っていうの、何か学生っぽくない気がするんだけど」
 間違っているようでやる気の方向性はそう間違っていない……と見せかけてやっぱり間違ってるしとらのノリに、陸は嘆息しつつたしなめる。
「えっ!? アタシはただ気合い入れて行くぞオラァ!! って言おうとしただけだぜ!?」
「しとら師匠(せんせい)、番長が言ってるのはそこじゃないと思うぜ……」
 しとらの弟子である天音・光(レミングスの扇動者・g02425)が、さすがにツッコミを入れた。陸は額に手をやって、頭を振っている。
(「って言っても、師匠はわかんねえよなあ……ああ、やっぱわかってなさそうな顔してるわ……」)
 と光が諦めた通り、当のしとらは、どのへんがおかしいのかわかっておらず首を傾げていた。

「でも、お祭りなんて本当に久しぶりですね」
 3人のやりとりにくすりと微笑んだシエロ・ラヴィオン(sky the limit・g00146)が、ふと思ったことをそのまま口に出す。
「新宿が……いえ、世界が"こう"なってからは、そんなことを考える余裕がまったくありませんでしたからね」
「そうね。ディアボロスである私達がそうなんだから、そうでない新宿の人達はきっともっと不安なんでしょう」
 と、三隅・彩乃(夕暮れ・g00232)が、シエロの言葉に同意した。
「だからこそ、今日は頑張っていきますよ。レイさんも、今日はよろしくおねがいしますね」
「はい! 一緒にクレープ担当、頑張りましょうね」
 レイ・シャルダン(人間のガジェッティア・g00999)もやる気に満ちあふれているようで、シエロの笑顔に力強く、そして楽しそうにワクワクした様子で頷いた。
 そう、今日はハロウィン。新宿島の人々に楽しいひとときを味わわせてあげるためには、誰よりもディアボロス達こそが、今日という日を楽しんでいてこそなのだ。
「実は、クレープは作ったことがあるんです。刻逆が起こる前のことですが、慣れていますのでおまかせを!」
「あら、そうなのねレイさん。私は料理の経験ってほとんどないから、ちょっと羨ましいわ」
「彩乃、料理したことないの? ……たしか、したごしらえ担当なのに??」
 火撫・穂垂(奉火・g00006)は首を傾げた。あれ? それって大丈夫なのか?
「ええそうよ。でも大丈夫よ!」
「……根拠は」
「根、拠……??」
 なにそれおいしいの、みたいな顔で宇宙を背負う彩乃。それを無表情で見つめる穂垂。
 穂垂の考えていることはつかみにくいが、今この瞬間ばかりは他の5人にははっきりわかった。
(((不安だ……!)))
 同じことを考えていたからである。

「……まあ、とにかく」
 陸は咳払いして、話を戻す。
「詳しい段取りとか設営に関しては、俺の方で打ち合わせを受け持つから。みんなはそれぞれの作業に集中してほしい」
 食材の在庫管理や鮮度維持、さらには接客と注文のとりまとめ。陸の役割は、もの作りでいうところのディレクターのようなものか。
 幸い残留効果を利用すれば、多少手を離しても問題はない。新宿島に満ちるこの力が味方してくれるのだ。
「というわけで、各自行動開始。今日は楽しみつつ、頑張ろう」
「「「はい!(おう!!)」」」
 と、このようにして、一同の長いハロウィンの一日が始まった。


 彼ら7人が出す屋台は、ハロウィンにふさわしくクレープやフルーツ飴といった、甘いお菓子のお店だ。
 光・穂垂・しとらが飴とチョコバナナを、シエロ・レイ・彩乃がクレープ作りを担当する。
 その中でもさらに、調理全般担当がしとら、先ほど話題に挙がったように生地作りはレイ、果実のしたごしらえは彩乃……といったふうに、事前の話し合いによって担当が細かく別れている。
 このあたりは、番長として皆を統括することに慣れている陸のおかげだろう。入念に打ち合わせをこなしていたこともあって、一同の作業はてきぱきとテンポよく進んでいく。

 まずは、フルーツ飴&チョコバナナ組から見てみよう。
「いいか、フルーツ飴で大事なのは、飴の粘りだ」
 さすがに飴作りなどしたことがない光と穂垂に、経験豊富なしとらは職人の面持ちで説明をする。
「粘りは水飴を作る時の火加減と時間で決まる。水と砂糖を中火で10分、きっちり溶かせ! いいな!」
「了解だぜ、しとら師匠」
「ボクの担当は果物だけど、ちゃんと覚えておく(無表情でこくりと頷く穂垂)」
「べたつく原因になるから、火にかけたら水と砂糖を混ぜるんじゃねえぞ? そうすりゃあ、上手に仕上がった時、飴から上げた時に一瞬で固まるんだ……こんなふうにな」
 しとらは、事前に準備しておいたフルーツ飴を上げてみせた。
 それは朝の日差しできらきらと、宝石のように輝いている。
「「おお……」」
 光と穂垂も、声を揃えて驚くほどに見事な出来栄えである。
「ま、アタシもやるからよ。最初っからこのレベルを目指す必要はねえぜ。けど、もしかしたら役割を交代することになるかもしれねえし、穂垂も頭の片隅に入れといてくれよな!」
「うん。やってみないとなんともだけど……多分、大丈夫」
「俺も頑張って慣れるぜ。それにしても……」
「あ? なんだ光」
「いや、しとら師匠が料理出来るの、ちょっと意外だなって」
「ほっとけ! それに、説明はまだ終わりじゃねえんだ。チョコバナナの作り方も、やりながら教えていくぞ」
「うん。光、果実のほうのやり方、教えてもらっていい?」
「ああ、任せな。指を刺したりしないように気をつけろよ?」
 こちらは順調なようだ。3人それぞれが得意なことを――しとらは2人に丁寧に手ほどきをし、光が足りない部分を手伝い、手先の器用な穂垂が実際に手を動かす――補いあっている。チームワークの賜物である。

 では、クレープ作りのほうはどうだろうか。
「薄すぎず厚すぎず、ちょうどいいもっちり感を……出して、みせる……!」
 鉄板に広げたクレープの生地を、じぃ~っと慎重に見つめるレイ。
 その隣では、彼女の手際をよく見て観察しつつ、シエロも生地作りを担当している。
「気合、入ってますね。私も頑張らないと」
「なにせハロウィンですからね。それに、今日使う果実は、みんなが育ててくれたものじゃないですか。私、楽しみなんです」
 と、レイは笑みをほころばせた。
「もし余裕があったら、私達みんなで楽しめたらいいですよね。もちろん、お客さんはたくさん来てほしいですけど……」
「そうですね。そのためには、お互い呼吸を合わせてテンポよく焼いていくのが大事です。けど、レイさんは気にしなくて大丈夫ですよ。私のほうで、合わせられるように頑張りますから」
「はい!」
 気合は十分。クレープ生地の出来栄えもなかなかのもので、学生がやる屋台としては上等……いやもしかしたら、立派なお店としても通用するかもしれないクオリティだ。
 ディアボロスがどうこうではない、彼ら自身の持つ才能と、なにより頑張ろうという気持ちが為せる技だろう。

 ……問題があるとすると。
「さあ、どんどんカットしていくわよ。えーと、果物ナイフ……あれ?」
 バナナやブドウ、オレンジといった、クレープに乗せる果物の皮を剥いている、彩乃のことである。
「……んー? ナイフ、どこに置いちゃったかしら」
 彩乃はぺたぺたと手元を触る。その手付きがもうすでにだいぶ危なっかしい。
「シエロさん、私の使ってたナイフを知らない……?」
「ナイフなら……って彩乃さん、危ないです! そこです、そこにあります。指切ってしまいますよ!」
「え? ああ、いけない。ふふ、ありがとうシエロさん」
 果物ナイフなら危なくない。だから任せてほしい……とかなんとか、胸を張って言っていたはずなんだが、このざまである。
「だ、大丈夫でしょうか、彩乃さん」
「……まあしっかりした方ですし、私の方でも気を配っておきます。多分、何かあったら陸さんも動いてくれると思いますし……」
「そ、そうですね。でも、あまり手は煩わせたくないですね。しっかりしないと」
 ぐっ、とレイは気合を入れ直した。彩乃はふんふんと鼻歌を歌いながら、上機嫌で果物の皮を剥いている。一応、その手付き自体は(手先の器用な、フルーツ飴組の穂垂ほどではないが)そつのないもので、作業速度も十分なペースを保てているようだ。
「みんなで一緒に何かを作るのって、やっぱり楽しいわね。そういえば、今日はパレードにも参加するのよ。えみりさんとお団子を作ったの」
「へえ……その時には屋台も終わっていると思いますし、みんなで見に行きたいですね」
「賛成です! でも、まずはお客さんを捌くことから考えないと、ですね」
 このあとの用事も決まって、俄然やる気の出る3人だった。

 そしていよいよ、新宿島の人々がストリートに溢れかえる。
 準備に励む級友達の奮闘を見守っていた陸は、接客担当として機敏に動き回る。彼らの頑張りを無駄にしたくないという、心からの思いがあるからだ。
「そこのご婦人さん。それと、お子様連れの方々。よろしければ、こちらの屋台で甘いスイーツをお楽しみになりませんか?」
 通り掛かる人々ひとりひとりに声をかけ、陸は丁寧な物腰で人々を屋台へと誘う。
「あら、ディアボロスさんのクレープ屋台? なんだか美味しそうね」
「クレープだけではありませんよ。フルーツ飴にチョコバナナ、それにボリュームたっぷりな、ソーセージなどを使ったものもあります」
「おかーさん! ぼく、あれ食べたい!」
「そうね、ちょうど小腹が空いていたし、おひとついただこうかしら?」
「ありがとうございます。では注文を確認させていただきますね」
 たった一人で回しているとは思えないほど、陸の呼び込みと注文確認作業は鮮やかなものであり、人足が増えてもこれっぽっちも忙しそうなふうを見せず、6人に注文を伝えていく。
「チョコクレープ2つ、それとピザクレープが1つ。あと、そちらのほうはフルーツ飴5つに、チョコバナナが4つだ。よろしく頼むよ」
「さっそく来ましたね、レイさん」
「ええ、じゃんじゃん焼いていきましょう! 彩乃さんは、チョコクレープに使う果実を用意してください!」
「わかったわ、任せて!」
「こっちもバンバンやるぞぉ! いいか光、穂垂! チョコバナナは油を混ぜるのがコツだ。ゆるくなってコーティングしやすくなるからな、溶かしたチョコに混ぜるのを忘れるなよ!」
「……わかった。慣れてきたから、ちょっと飾り付けもしてみる」
「じゃ、こっちはチョコバナナだな。さっき教えた顔の彫り方、試してみろよ。穂垂」
「うん」
 6人はそれぞれに声をかけあい、お互いに作業を補いあって、驚くぐらいスムーズに作業を進めていく。

「はい、チョコバナナ上がり! 番長、これ」
「ありがとう。フルーツ飴のほうは?」
「ちょうど上がったぜ! って穂垂、よく出来てんな、このフルーツに彫られた顔!」
「……ん。頑張った」
 しとらはくしゃっと笑みを浮かべ、うんうんと満足そうに頷く。
「お待たせいたしました、フルーツ飴とチョコバナナです」
「やったー! おいしそー!」
「まあ、この飴、かわいい顔が彫ってある。ジャックランタンみたいね」
「ひとつひとつ違ってて、感心しちゃうね。いくらディアボロスさんだからって、作ってるのは若い子達なのに」
 陸から注文物を受け取った客達も、華やかで工夫の凝らされた見た目と味に満足しているようだ。
「えーと、こっちのチョコクレープのお客さんは……あの子かな? ……ちょっとだけクリーム増しても許され……」
「こら、シエロ」
「あ、やっぱりダメですか? 番長」
「……こっそりとだよ。他のお客さんにバレたら、困るからね」
 陸は口元に指を立てて、片目を瞑ってみせる。シエロは笑顔で頷き、ほんのちょっぴりだけ甘味をサービスしてあげた。
「生地、焼けました!」
「こっちも果物は準備OKよ。はい、よろしくねシエロさん」
「お任せあれ!」
 シエロは熟練のパティシエめいて手早くクレープに具材を乗せ、ふんわりとした生地で包み込み、専用の包装紙をさらにかけると陸に手渡す。早くから準備に励んだかいあって、3人のチームワークはまるで流れ作業のようだ。
「クレープ、クレープ~♪ あたしね、クレープ、だいすき!」
「はいはい、こぼさないようにね」
 シエロがサービスしてあげたのは小さな女の子で、まるで魔法のステッキを手に入れたかのように、両手でクレープを持ってるんるんとステップを踏んでいる。
「嬉しそうな声がするわね。それじゃあはい、あの子の代わりにお礼のフルーツ」
「え、いいんで……おっと。バレたら困る、でしたよね」
 彩乃が差し出したフルーツの欠片を、シエロはぱくりとすぐに食べてしまう。
「レイさんもいかが? これは秘密のつまみ食いよ。どうせなら3人で、共有しちゃいましょ?」
「3人で、っていうことは……彩乃さん、もしかしてもう食べちゃってますね?」
「ふふっ、共犯者ってところよ。はい、どうぞ」
「ありがとうございます!」
 生地を焼きつつ、こっそりつまみ食い。レイは果実の甘さに、頬がとろけそうな笑みをほころばせた。
「……まったく」
 それに気付かぬ陸ではないが、お小言は今日はなし。なにせ今日は、ハロウィン。楽しいお祭りなのだ。

「見てこれ! 信号機! 客寄せに飾っとこ」
「あんま遊ぶなよ光、お頭に怒られんぞ?」
「大丈夫だってしとら師匠。だって向こう、つまみ食いとかしてるぜ?」
「え、マジ!?」
 しとらは気づいていなかった。まだまだである。
「じゃあ、ボク達もちょっぴり食べちゃう? 捨てるのは、もったいないからね」
「そうそう、もったいないもったいない。もちろん作業は本気でやってるけど、遊びも忘れたらいけないからな。だってお祭りなんだし」
「あー……そうだな! よし食うか!!」
「いやしとら師匠、さすがにそこは声は抑えようぜ……」
 ちゃっかり、フルーツ飴組もつまみ食いを始めていた。もちろん、羽目を外しすぎない程度にだ。
「そこの3人、新しい注文だよ。準備はいい?」
「おう、任せときなお頭! ついでだ、冷気よこしてくれ! そうすりゃチョコバナナ、すぐに完成だぜ!」
「……俺のこと、便利な冷蔵庫だと思ってない? いや、いいけど」
 呆れたように笑いつつ、陸はパラドクスを行使し、新たな客の気配を感じて接客に戻る。
「おっと、そこの方々。よろしければおひとついかがですか? きっと、笑顔になれると思うよ」
 そう、彼らはみんな、楽しそうに今日を過ごしていた。
 その笑顔こそが、人々にとっての何よりも安らぎであり、一番の贈り物。
 もっとも、屋台が終わってから始まったクレープパーティの笑顔だけは……7人だけの、秘密の宝物である。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【フライトドローン】がLV4になった!
【操作会得】がLV2になった!
【植物活性】がLV3になった!
【一刀両断】LV1が発生!
【建造物分解】がLV2になった!
【熱波の支配者】がLV2になった!
【使い魔使役】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV3になった!
【能力値アップ】がLV7になった!
【ドレイン】がLV5(最大)になった!
【命中アップ】がLV4になった!
【ダメージアップ】がLV8になった!
【ロストエナジー】がLV5になった!

御澄・機津
【黄泉灯】

あのDINO主催でハロウィンフェス!?
夢みてえでも何でもステージに駆ける
キーボードピアノ一台と
完成した新曲、引っ提げて
ああ、すっっげ──生きてる!!

──、一番槍とか切り込み隊長なんだな、先手の魂って。
すげえ。総毛立つ感覚が指先まで残ってる。果てまで轟く大瀑布。三途の川渡し、痺れっちまわあ。
任せろ、薄刃カゲハ。

御澄機津、蹂躙にきたガンナーだ。
曲は『呵呵秋楽』!
全員──骨の髄まで撃たれていけ!!
荒々しく狂いはしゃぐ運指
鼓動を煽り立てる音の業火奔流
熱狂を貪れ己の指/牙
脳髄骨肉五臓六腑にアドレナリンの散弾銃
心の臓ぶっ晒してるか!?
テロルに奮えてるか?
祭は最高潮か!?
そりゃあ──最高だ!!


薄羽・カゲハ
【黄泉灯】

急拵えの舞台装置
音の鳴らぬ死体を並べて
ドラム、ベース、エレキ。魑魅魍魎。
生者はオレと、肩から下げたストラトキャスター。

ハ、粋な事やってくれンねMC.DINO。
さあ、起きろ。
リビングデッド、ショウタイム。

あーマイクテスマイクテス。
あ~、新宿歌舞伎町。影の底から来ました。
ロックを始めて幾星霜。
日陰者にも人権を。

良ければ一曲。聴いてってください。

そんでもって、死んでくれ。
『底冷えテロル』

三途の川の大洪水。
呑まれて溺れて逝っちまえ。
新宿全土がレッドゾーン。
精々苦しめバイアスかかった馬鹿共が。

大量殺戮テロリスト。
主犯は首吊り哭いてんだ。
こんなところでさあ!

タッチ、機ちゃん。
〆に大トリ、宜しく。


十埼・竜
【黄泉灯】

うわあ音波電波脳波問わずの熱狂の波
ぼくの耳にはちょっとキツいんだけど…
渦の真ん中が、一番ブレずにいられるんだよ

出張Radio-DINOinハロウィン会場!
放送電波ハッキング、全部ぼくがいただいた!
そこらのスピーカー、スマホから突如流れるラジオにびっくりしてってね
お気に召したらステージはこちら!
チャンネルはそのままで!

足りないバックバンドはぼくにお任せ…別録データだけどね
それでは今日のスペシャルライブ
気を抜いたら奈落行き──"ロック・テロリスト"薄羽カゲハ!
白と黒で撃ち抜く──"ピアノ・ガンナー"御澄機津!
準備はいい?
ここから新宿島中がぼくらのフェス会場だぜ

派手に波風立ててくれるなあ!


●シェイク・ザ・ウェイヴ
 多くのディアボロスの尽力により、大盛況のハロウィンストリート。
 そこかしこに設えられたスピーカーが、突如としてザリザリとノイズを発する。
「あれ? 故障か?」
「それはないだろ。パラドクスのおかげで新品同様なんだし」
 設営スタッフを買って出た一般人の若者達が、言葉を交わす。であればこのノイズは一体?
「……嘘だろ」
 御澄・機津(黒白未明・g02821)は、半ばにやける口元を抑えられなかった。
 彼には『わかる』。この、一見するとただの砂嵐でしかない、しかし内側に雷鳴を秘めたようなノイズだけで、わかる。

「出張Radio-DINO、in ハロウィン会場!!」

 スピーカーから、あるいは通行人のスマートフォンから。
 どこかの誰か、つまりは十埼・竜(スカイセンサー・g02268)の声がした。
「放送電波はハッキング、全部ぼくがいただいた! いまさらだけど、そこらのスピーカーから流れるラジオにびっくりしてってね!」
 人々はざわめく。
「電波ジャック?」
「もしかして、ディアボロスの仕業?」
「なんてハプニングなんだ、面白い!」
 まさかのサプライズに、人々は驚きながらも喜ぶ。
「お気に召してもらえた? なら、ステージはこちら! チャンネルは……そのままで!」
 MC.DINOの声は、まるで指向性のある電波のように、人々を一点へと集める。
 今日のために用意された、ハロウィンフェス。その会場へ。
「夢みてえ」
 機津は呆けたように呟いて、しかしすぐに駆け出した。
 何が何でも行かねばならない。だって、あそこには!

「――ハ」
 ストリートの片隅、普通ならほとんど誰も寄り付かない秘密の場所。
 この瞬間のために用意されたステージに、すでに女がひとり。
 生者は薄羽・カゲハ(shade lace・g05247)だけ。いや、もう一つ……カゲハの肩に提がったストラトキャスターだ。
 それ以外はすべて屍だ。音の鳴らない楽器は死体と同じ。
 ドラム、ベース、エレキ。魑魅魍魎も今此処に。
「粋なことやってくれンね、MC.DINO」
 生者は陰気に勝ち気に笑み浮かべ、ぐんぐん近づく熱気に目を細める。
 リビングデッド、ショウタイム。陽は落ち空は燃え上がり、ここからは死体が起きる時間だ。

「あー、マイクテスマイクテス」
 キーン、とハウリングを起こすマイク。詰めかけた人々をかき分けて、キーボードピアノを担いで機津が前へ前へ。
 あそこがおれ達の場所だ。あいつと、おれと、MC.DINO。音の魔術師。この魔法みたいな時間の仕掛け人。
 携えるものはもう一つ。けれど今は、それより前に日陰者(どうるい)の波を浴びる。
「あ~、新宿歌舞伎町、影の底から来ました」
 けだるげに髪をかきあげ、カゲハは言う。
「ロックを初めて幾星霜、日陰者にも人権を。……よければ一曲、聴いてってください」

 スピーカーが波を届ける。
「それでは今日のスペシャルライブ! 気を抜いたら奈落行き――"ロック・テロリスト"薄羽カゲハ!」
 女が笑う。鮫のように。射殺すように。
「準備はいい? 新宿島中が、ぼくらのフェス会場だぜ」
 カゲハは小首を傾げ、愚者(オーディエンス)に言い放つ。
「そんでもって、死んでくれ。……『底冷えテロル』」

 死体が目を覚ました。
 まるで電気ショックを受けた患者みたいに、爆発的ビートが空気と愚衆の頭とケツを蹴り上げる。
 キック・ザ・サウンド・ウェーブ。ストラトキャスターが、アルファな狼の遠吠えみたく高らかに鳴り響く!

 "三途の川の大洪水。
  呑まれて、溺れて、逝っちまえ。
  新宿全土がレッドゾーン"。

 熱狂さえなかった。
 翔べない翼を目一杯広げ、世界よ聞けよクソッタレと女は歌う。
 日陰者にゃ、お天道様は眩しすぎる。見上げちゃその眼は焼き焦げる。
 だからカゲハは声で突き刺す。音を揺らして魂揺らし、蟻地獄みたいに見えない渦巻いて。たましいという獲物を、根こそぎ己に引きずり込む。

「派手に波風、立ててくれるなあ!」
 足りないバックバンドを補う竜は、耳を"つんざく"音波電波脳波に脳を揺らされ、だが心臓を弾ませ、汗をかいて笑っていた。
 生歌とかスピーカー越しとか、そんなのはまったく関係ない。
 渦の真ん中が、一番ブレずにいられるから。

 "大量殺戮テロリスト。
  主犯は首吊り哭いてんだ"。

「――こんなところで、さあ!!」
 トンプソン機関銃みたいに発射されたビートの弾丸が、オーディエンスの耳を劈き胸を貫く。気付けば熱狂が渦巻いていた。
「ああ」
 機津は、知らずうちに呟いてた。
「すっっげー……生きてる」
 全身の毛がおっ立ったまま戻らない。指先まで音波が染み込んで、寄せて返した振動が心臓をキックする。
 三途の川渡し。行って、帰って、てめえの居場所は観客席(ここ)だと首根っこ掴まれるような。

 カゲハが彼を見ていた。
「機ちゃん」
 汗だらけのテロリストが、片手を差し伸べる。
 掴めって? んなわけない。機津は頷いた。
「タッチ」
「ああ」
 ぱん、と乾いた音ひとつ。機津は己の足でステージに立つ。
「大トリ、宜しく」
「ああ」
 言葉なんて要らなかった。示すべきは音だからだ。

「白と黒で撃ち抜く、"ピアノ・ガンナー"御澄機津!」
 MC.DINOが道を拓く。上等な音のレッドカーペット。
「蹂躙に来たぜ。曲は『呵呵秋楽』! 聴いてくれよ! そんで全員、骨の髄で撃たれていけ!!」
 歓声が応えた。だがそんなもん、機津にとっちゃどうでもよかった。
 残響がまだ心臓(ここ)で響いている。拍動が、血管を通じて興奮というビートを届けて高める。だからもう、ただただ思うがままに弾くだけなのだ。
 かりそめの命を得た楽器/死体が、ハンマーみたいな重たく鋭い音を叩きつける。心地よさに機津は喉を晒した。

 運指が荒々しく狂い、鍵盤という大理石を踏んではしゃぎ立てる。
 音が交わり燃え上がり、鼓動を煽り波濤を生む。
 熱狂を貪る。自慢の牙(ゆび)で、観客という名の美肉を貪り食らう。
 アドレナリンが、脳をぶち抜き体中に広がる気がした。
 五臓六腑も骨肉も境なく、音という神経でどいつもこいつもつながっていた。

「心の臓、ぶっ晒してるか!?」
 歓声が応える。
「テロルに震えてるか?」
 歓声が応える。
「祭は最高潮か!?」
 歓声が、応える!
「そりゃあ最高だ。でも! まだ!! 足りねえよ!!!」
 貪欲に、強欲に、ビートを鳴らす。鳴らす、鳴らす!
 十本ぽっちの指が、うん百人の馬鹿野郎どもを踊らせる。
 マリオネット? いいや違う、糸なんてちゃちいもんはここにはない。
 だって見てみろよ。どいつもこいつも、ちぐはぐで思い思いに、楽しそうに踊っている。
 両手を挙げてバカみたいに足鳴らし、汗か涙かもわからねえもんで顔中ぐしゃぐしゃ。
「やるじゃん、機ちゃん」
 翔べない女は薄ら笑いを浮かべた。最高の称賛だった。

 昼と夜の間、昨日と明日のはざま。
 一瞬みたいな永遠の中で、音に狂ったジャンキーどもは、すべてを忘れて今を貪り続けていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【プラチナチケット】LV1が発生!
【土壌改良】LV1が発生!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV9になった!
【ロストエナジー】がLV6になった!
【ラストリベンジ】LV1が発生!

瀧夜盛・五月姫
【公園】、だよ。

クリフさん(g00411)に、仕立ててもらった、中世ドレス。
それに、骸骨のフェースペイント。そう、骸骨の貴婦人“カトリーナ”。
ちょっと気合、入れ過ぎた、かな。

嗚呼、人がいっぱい。
なに、ここ。こんなのはじめて……。
この人込みで、みんな、よく、歩ける。
姫には無理……。

えっ、何。みんなのとこ、行って? 飴、投げる?
いや無理、無理無理無理無理。
知らない人、一杯、こわい、やだ、あうううう(誰かに連行される)


アッシュ・シレスティアル
【公園】で参加

「イベント事は今回が初めてだからな、精々盛り上げていこうぜ!」
ヒースが衣装を生成してくれるようなので俺はキョンシーの仮装して参加するぜ。

近づいてきた子供たちやお姉さん方に【アイテムポケット】内のチョコレートを袖の中から出して配りつつ、カッケー先輩らしくファンサする。
(手を振り返したりウインクしたり)
「お、きたなガキンチョども。お兄さんからはチョコをくれてやるぜ。」

また無理無理言ってる五月姫嬢が人前に出る手伝いもする。
「せっかくの力作なんだからみんなに見せつけてこようぜ!」

※アドリブ歓迎


月見山・伊吹
【公園】の皆と一緒だよ。


仮装:血塗れ長袖白ミニスカナース吸血鬼の仮装。足には包帯巻いてる。
注射器型のピアスを付け
輸血パックジュースを首から下げてる。付け牙。

ヒースさんが仕立てた衣装を着て、
クッキーなど手作りお菓子入りの南瓜のカゴを持ち、
【召喚】した妖精と蝙蝠の羽の飾り付き首輪をした長毛種スフィンクスのシフォンを周囲に飛ばせて
公園の皆と練り歩くよ!

明るい飛び切りの笑顔を振り撒き
妖精や【光使い】の光魔法を応用してパフォーマンスもするね。

トリックオアトリート!
お菓子は合言葉を言った人に直接渡したり妖精達に配ってもらうよ。
勿論私も合言葉言ってお菓子貰うよ。

貰ったお菓子は私や公園の皆や妖精達と食べるね。


ア・ンデレ
【公園】のみんなと、パレードにさんかするよ。
メドゥーサのかそうをして、ねりあるく。
かみのけをへんけいさせて、へびのかたちにするよ。
うねうねうごかしてパフォーマンスもする。

まわりのひとにおかしをねだる。
おかしをくれないと、アンデレちゃん、ないちゃうよ。

パレードのとちゅうで、たべもののやたい、でみせがあったら、すばやくかってたべる。


薬袋・透
【公園】で参加
このような非日常あってこその日常だもの、めいっぱい楽しまなくちゃね
この日のためのヒース君特製の仮装で街を練り歩くわ
僕は継ぎはぎメイクにボロ服、墓から蘇りしドラゴニアンゾンビよ

よいこのみんなには手を振ってあげたり望む子には近づいて握手とかしてあげたり、こういうサービスもパレードには付き物でしょう?

ところでアレはいったい何を……(五月姫達のやり取りを目にし)ああ、なるほどそういう。五月姫ちゃん頑張って。…もしかして緊張してる?一緒についてってあげようか?
アドリブ絡み歓迎


ヒース・クリフ
【公園】
「俺達で楽しいパレードにしようぜ!」
【無限の武具】でパレード用の衣装を作る。希望者がいればその人の衣装も作ってあげる(作る衣装はその人のプレイング参照)
魔力を制限して出すので防御力は皆無だが、破れない汚れない効果を付与し、必要な人数分出せるようにする

俺のは白い布を頭からかぶった可愛い幽霊の着ぐるみだぜ!子供にはこういうのがウケるだろ
パレード中は喋らずにぴょこぴょこ動きつつ、基経と連携して自前で用意した飴を風で巻き上げてもらって飴の雨を降らせ、二人でパレードを盛り上げてくぜ!
子供達に手を振ったり時々転んだりして子供達の興味を引きつつ応援してくれる良い子にはピンポイントで飴を投げてあげるぜ


松中・誠
【公園】のみんなと行くんだぜぃ。

ヒースが仮装の準備をしてくれるから楽なんだぜぃ。
俺っちは狼男の仮装をするんだぜぃ。
狼耳の飾りと狼尻尾なんだぜぃ。


作って来た飴ちゃんをばら撒いたり、クッキーをばら撒いたり。
いっぱい作ったからどんどん渡すぜぃ。

最悪【口福の伝道者】で増やすんだぜぃ。
そーれぱっかーん。とお菓子を増やすんだぜぃ。

瀧夜盛があうあう言ってたら背中を押すんだぜぃ。
前に進まないと帰れないんだぜぃ?


御森・白露
【公園】の皆でパレードじゃな。
ヒース殿が仮装を都合してくれるようじゃ。誠に有難い。
我はフランケンシュタインの怪物じゃ。顔や腕等の露出している箇所には継ぎ接ぎのペイント、頭からはボルトが飛び出しておる。服装も襤褸切れを纏った程度じゃ。

パレードでは夢うつつであるかのようにふらふらと歩きまわるぞ。怖がらずに近寄ってくる勇気ある子供には胴を優しく持ち上げてくるっと一回転、降ろした後にお菓子をプレゼントじゃ。トリックアンドトリート。我は欲張りじゃからな、どちらもやらせてもらうぞ?

ちなみに話し方はいつも通りじゃ。怪物には似つかない流暢さじゃが、そこまでやると流石に怖すぎるじゃろう。あくまでほどほどにのう。


リゼット・ノア
【公園】のみなさんと一緒にパレードに参加します。

仮装:ヒースさん(g00411)に用意してもらいます。西洋のモンスター風ということで、ドラゴンの着ぐるみを用意してもらいましょう。
全体的にはデフォルメチックで、頭は完全に作り物、自分の顔が首あたりに(目の見える穴だけあけて外が見える)、自分の手は翼の部分に入れて、自分の足は前足部分に入れる。自分の腰の部分に下半身と尻尾の作り物がついていて、全体の見た目が竜人ではなく4つ足のドラゴンぽくなるようにしましょう。

着ぐるみの胸にあたる部分にお菓子をいれた籠をぶらさげておいて、見物客の子供がいたら、近寄ってお菓子を渡しましょう。


雅諒院・基経
【公園】の人たちと連携する。
「さてはろうぃん…僕(やつがれ)達が知らない催し物だが楽しませてもらおうかな」
ヒースさんに頼んだ衣装はドラキュラ、黒いマントに紳士服を着てシルクハットを被りパレードに参加する。
「ほぉ…!このような面白い催し物だったとは…!」
はろうぃんは百鬼夜行のようなものかと考えていたが、子供にお菓子を配るという催しなのが気に入った、子供達の笑顔が見れれば何よりだ。
自身もお菓子を持ち、その言葉をかけられればお菓子を渡す。
ヒースさんを手伝い、風を起こして飴を雨のように降らせる。
「ふふ、洒落が効いてて素晴らしいな、さすがひぃすさんだ」
迷子にならないように、保護者として振る舞う。


イーディス・レヴェリー
【公園】
パレード!素敵だわ!
華やかな行列を眺めることはあっても、わたし自身が列をなす側になることは初めてだから、とっても楽しみね

仮装は……お裁縫は得意だし繕ってみるのも面白そうだけど、今回はヒースおにーさんにお願いしようかしら?
上半身は羽根の意匠を施して、下半身はライオンさんをモチーフに。わたしは今は自分の翼があるし、グリフォンの仮装をしてみるわ!
パレードは流石にずっと歩き通しだとわたしの足じゃ疲れちゃいそうだし、止り木のような装飾をしたお人形さん、『業火の戦鎧』の肩に乗って参加しましょう
お菓子は操作して後ろから付いてきている小さなお人形さんやぬいぐるみ達に配ってもらうわ
皆喜んでくれるかしら?


長内・ゆうき
【公園】で参加

衣装作りは任せて、わたしは出来た衣装を見せ合ったり、感想とかを言ったりしようかな。
衣装は同じ【公園】のヒースくん製のやつを着ます

共通点のある衣装の子とかに積極的に話したいかな
みんなとは仲良しだからなるべく沢山声をかけたいな

・衣装
長内ゆうきの衣装は、こうもり猫と呼ばれる西洋妖怪の仮装だ。
要素だけを切り抜いて、猫耳と羽、あとちょっぴりセクシーなボディラインのわかる薄着だ。猫耳の小悪魔といってもいい。

・セリフ例
「かわいいね!」
「とっっても格好いい~!」
「これ?これはこうもり猫っていう妖怪ニャ」

・呼び方
女の子:ちゃん
男の子:くん
カタカナ名は左
日本名は右の名前

特殊
ア・ンデレ→アンデレちゃん


●昨日も明日も、今は忘れて
 長い長いパレードも、いよいよゴールである高田馬場駅に近づきつつあった。
 ストリートでは多くの店が軒を連ね、人々は食べて歌い踊り、あるいはパフォーマンスに手を叩いて歓声を上げる。
 それは、このパレードもそう。陽が落ちて夕暮れに染まってきた頃、ディアボロス達の行進を見物に来た人々の喧騒は、いよいよ最高潮に達していた。
「ああ、人がいっぱい……なに、ここ。こんなの初めて……」
 骸骨のフェースペイントと、中世風のドレス……メキシコで言う「死者の日」の風物詩、骸骨の貴婦人"カトリーナ"の仮装をした瀧夜盛・五月姫(無自覚な復讐鬼・g00544)は、目を回しそうになっていた。
 戦場の混迷と、この喧騒は似ているようでまったく違う。
 多数のトループス級を相手に大立ち回りを繰り広げる五月姫も、どうやらこの手の人出には慣れていないらしい。

「この人混みで、みんな、よく、歩けるね。姫には無理……」
「はぐれたりするんじゃねえぜぃ? 灘夜盛の背丈じゃ、見つからねえかもしれねえぜぃ」
 と、狼男の仮装をした松中・誠(ヤンキードラゴニアン・g03037)が茶化す。だが、五月姫には、これっぽっちも冗談に聞こえなかった。
「なあんてな。そうれ、飴ちゃんのお届けだぜぃ! クッキーもあるぜぃ、ハッピーハロウィンだぜぃ!」
 かんらかんらと笑いながら、誠は花吹雪めいて盛大に、パレードを見に来た人々に飴やクッキーといったハロウィンらしいお菓子を投げ渡す。
『口福の伝道者』の残留効果があれば、一瞬にして無数のお菓子を増やすことも出来る。まさしく無尽蔵だ。
「ほぉ……! はろうぃんとは、面白い催し物だったのだな。僕が知らない催し物が、ここにはまだまだあるようだ」
 誠が菓子をばらまく様子を見て、雅諒院・基経(はぐれ者の元天狗・g00191)はハロウィンが気に入ったようだ。
 彼の心を射止めたのは、なによりもお菓子をもらってはしゃぐ小さな子どもたちの笑顔だろう。
 そう、今日という日は、まさにこのため……この苦境にあって力強く日々を生きる、新宿島の人々にささやかな楽しい時間を与えるために催されたイベントなのだ。
 そして人々が笑顔を見せれば、そのために戦うディアボロス達の心も温める。いま基経が、初めて触れた異国の催しを心から気に入ったように。
「ディアボロスのおにいさん、とりっくおあとりーと!」
「おう、僕に話しかけてくれるのだな。さあ、このお菓子をあげよう」
「やったあ!」
 とてとてと近づいてきた子どもに菓子を渡すと、その子どもはぱあっと笑顔を咲かせ、基経にぺこりと頭を下げて礼を言った。基経も、うんうんと満足そうに頷いている。

「華やかな行列を眺めることはあっても、わたし自身がこうして列をなす側になることは初めてだから、とっても楽しいわ!」
 そう楽しげに言うイーディス・レヴェリー(色褪せた翼・g00391)の仮装はというと、上半身に羽根の意匠、下半身はライオンをモチーフとしたもの。そこに天使である彼女自身の羽が合わさると、神話の怪物・グリフォンが人の形をなしたように見える。
「みんなは大丈夫? 歩き疲れたなら、この『業火の戦鎧』の肩に乗ってもいいのよ」
 イーディスを乗せた人形は、のっしのっしと力強く歩く。
 そのさらに後ろには小さな人形やぬいぐるみ達が続き、イーディスによって巧みに操られ、人々にお菓子を配って回っていた。これも、パレードを盛り上げる立派な参加者と言えるだろう。
「大丈夫よ、イーディスちゃん。それにしても、このぬいぐるみちゃん達かわいいね!」
 猫耳に羽、さらにちょっぴりセクシーな、ボディラインがわかるコスチュームを着た長内・ゆうき(幼馴染系ヒロイン・g01491)。まるでその姿は、猫耳の小悪魔のようにも見える。
「それは一体、何の仮装なんですか? ゆうきさん」
「これ? これはね、こうもり猫っていう妖怪ニャ」
「こうもり猫……」
 リゼット・ノア(Cortège funèbre・g02975)は、翼猫と呼ばれる奇妙な妖怪については、聴いたことがないようだ。
 しかしスフィンクスという、よく似た実例がサーヴァントにあるゆえに、すぐにそれを理解できた。
 ちなみに、そんな彼女のコスチュームはというと、西洋つながりというべきドラゴンの着ぐるみだ。
 もちろんクロノヴェーダのドラゴンのような恐ろしいものではなく、人々を楽しませるためにデフォルメされたコミカルなもので、リゼットの顔はすっぽりと覆われている。
 手を翼に、足を前脚部分に入れているので、はたから見ると竜人ではなく立派な四足のドラゴンにしか見えないだろう。
 胸に当たる部分には、お菓子を入れた籠がぶら下がっており、見物客がいれば籠からお菓子を取れるようになっている。

「わー! ドラゴンだ、かっこいー!」
「おや、あそこの子どもに、お菓子をあげましょうか」
「ほほう。さて、そんなドラゴンの隣に我がいたら、あの子は近寄ってこれるかのう?」
 などと、隣にすすすっとやってきた御森・白露(放浪する転寝狐・g05193)が少しだけ意地悪をしてみる。
 彼のコスチュームは、いわゆるフランケンシュタインの怪物だ。顔や腕といった露出部分には、ツギハギのペイントが丁寧に施されており、頭にはフランケンシュタインの怪物のモチーフでもある大きなボルトの飾り。服装もわざわざ襤褸切れめいたものを羽織っていて、ふらふらと夢うつつのように歩き回るさまは、ディアボロスであるとわかっていても恐ろしい。
 特に子どもには、180cm近い白露の長身も相まって、怪物のような威圧感を与えるだろう。事実、怖がって近づかない子どももいたのだが……。
「あ、こっちのおにいさんもかっこいい! わーい!」
「おやおや、勇気のある子どもじゃのう。どれ、我が菓子を取ってやろうではないか」
 白露は嬉しそうに駆け寄ってきた子どもを優しく持ち上げてやり、くるっと一回転。きゃっきゃとはしゃぐその子をリゼットに近づけてあげて、直接籠からお菓子を取らせてやる。
「ありがとう、フランケンシュタインのおにいさん!」
「よいよい。トリックアンドトリート、というやつじゃ。我は欲張りじゃからのう」
「みんな、ハロウィンをめいっぱい楽しんでるわね。僕もさっき、子どもたちに「すごくよく出来ててかっこいい」って言ってもらえたのよ」
 と嬉しそうに語る薬袋・透(無彩の魔女の系譜・g02087)のコスチュームは、ツギハギメイクやボロ服という意味では白露とよく似ているが、こちらは怪物は怪物でもゾンビである。
 いわば、ドラゴニアンゾンビとでもいったところだろうか? 不気味ではあるものの、竜の証である角と羽、そして尾のおかげで、どこか男の子の興味を掻き立てるカッコよさもアピールしていた。
「よいこのみんなー、ハッピーハロウィン! 今日は楽しかった? まだまだパレードは続くから、もっともっと楽しんでね!」
 透はそう言って、パレードを見物しにやってきた人々に、朗らかな笑みを浮かべて手を振る。怪物らしさを演出する白露と違い、あくまで人々の希望たるディアボロスとしてサービスをしているわけだ。
 これが子ども達には大きく受けており、嬉しそうに手を振り返してくれる子どもや、握手をしてほしくて恐る恐る近づいてくる子が跡を絶たない。どうやら、透は子どもたちの人気者のようだ。

「アンデレちゃん、おかしがほしい。おかしをくれないと、アンデレちゃん、ないちゃうよ」
 一方、メドゥーサの仮装……といってもコスチュームを着るとかそういうレベルではなく、パラドクス『髪の毛縛り』で髪の毛を蛇のように変形させるというガチっぷりだ……をしたア・ンデレ(すごいぞアンデレちゃん・g01601)は、逆にお菓子をねだっていた。だが、それもまたハロウィンの立派な楽しみ方。
「はいどうぞ、ディアボロスさん! パレードずっとしてて、お腹すいてるでしょう?」
「うん、アンデレちゃんおなかすいた。あ、でみせ」
 優しそうな貴婦人からお菓子を受け取ったアンデレは、遠くに美味しそうな屋台が出ているのを発見する。
 するとものすごいスピード(それこそ貴婦人には、一瞬でパッと居なくなり、そして戻ってきたようにしか見えていない)で屋台に行って戻ってくる。貴婦人からすると、なぜかアンデレがお菓子だけでなく突然屋台の食べ物まで手に入れているようなものだ。
「でみせのたべもの、んまーい。アンデレちゃん、ハロウィンだいすき」
 うねうね。ヘビ型の髪の毛をうごめかせ、喜びをアピールするアンデレ。口の周りはお菓子と食べ物でべたべただったが、これもヘビ型の髪でハンカチを操って拭うという便利さだ。……これは仮装といっていいのだろうか? まあさておこう。
「アンデレさんを見ていると、こっちまでお腹がすいてくるね……ええっと、トリック・オア・トリート!」
 その景気のいい食べっぷりを見ていて我慢できなくなった月見山・伊吹(小春日和・g04125)は、お菓子を持って集まってきた人々に、ハロウィンの合言葉を言った。
 血塗れの白ミニスカナース吸血鬼(どうでもいいがかなりの属性過積載ではなかろうか)の仮装をした伊吹は、その手にお菓子入りのカボチャの籠を持ってはいる。持ってはいるが、これは人々にあげるための大事なお菓子だ。さすがにこれをつまみぐい、というのは、目的を逸してしまっている感が半端ない。
「ハッピーハロウィン、お姉さん! 俺にもお菓子をおくれよ!」
「なら、あの合言葉を言わないとダメだよ。だって今日は、ハロウィンなんだからね」
「ちぇ。トリックオアトリート!」
「よくできました。妖精達、お菓子を配ってあげて」
 通行人の青年からお菓子を渡された伊吹は、うんとひとつ頷くと、そのカゴに入ったクッキーを手渡してやる。
 パラドクス『紅鏡(スカーレットミラージュ)』で召喚された琥珀色の妖精達も、今日は戦闘ではなくお菓子配りのお手伝いだ。あちこちから、感謝の言葉と楽しそうな歓声が聞こえてくる。

「あっちこっち盛り上がってるな。イベント事は今回が初めてだったけど、無事に喜んでもらえて嬉しいぜ」
「けど、まだまだ盛り上げられるはずだ。俺達でもっと楽しいパレードにしようぜ!」
 アッシュ・シレスティアル(蒼き疾風の復讐者・g01219)の言葉に、シーツのおばけの格好をしたヒース・クリフ(達人【生き方】・g00411)が相槌を打った。
 ちなみにアッシュの方は、キョンシーのコスプレをしている。袖の中にはたっぷりとチョコレートが詰め込まれており、子どもたちや女性客やらが近づいてくると、ウインクなどのファンサービスつきで手渡してやるという手厚さだ。
「「「お兄さん、チョコくださーい!」」」
「お、来たなガキンチョども。ほらよ、全員分あるから喧嘩したりしちゃダメだぜ?」
「「「わーい!」」」
「(おっと、ここは喋らずに、おばけらしく動いて盛り上げるか。あえて声を出さないってのも、それらしくて気に入ってもらえるだろうからな)」
 わいわいと子どもたちの相手をしてやるアッシュと対照的に、ヒースはあくまで無言になり、ぴょこぴょことコミカルで楽しげな動きをすることで、人々を眼で楽しませる。
(「基経、手を貸してくれるか?)」
「(どうやら僕の出番のようだな)」
 2人はちらりとアイコンタクトを取り、まずヒースが自前で用意した飴をひょいと放り投げる。
「そうら、これぞ天狗の神通力よ! おっと、今日の僕は"どらきゅら"であったな」
 と、黒いマントに紳士服、シルクハットを被った基経は、団扇を振るった。風が起こり、ヒースが投げた飴を空に舞い上げる。
「「「わああ!」」」
 子どもたちはファンシーで夢のような光景に目を輝かせ、きゃあきゃあと楽しそうに声をあげて飴を取っていく、というわけだ。
「ふふ、洒落が効いてて素晴らしいな。さすがひぃすさんだ」
「パフォーマンスも大事ですからね。大成功していてなによりです」
 ほくほくした様子の基経の言葉に、リゼットが同意する。
「みんな、とっても格好いい~! ……ってアンデレちゃん、また別の屋台の食べ物買ってきたの!?」
「うん。アンデレちゃんおなかすいた。まだまだたべれる」
「パレードしつつご飯も食べるなんて、器用ね……」
 ゆうきは呆れ半分感心半分の声で苦笑を浮かべた。アンデレはというと、そんな他人の目などどこ吹く風で、美味しそうにもぐもぐ軽食を食べている。どこまでもマイペースだ。

「そうだ、五月姫。せっかくの力作なんだから、みんなに見せつけてこようぜ!」
「そうだね、名案だと思う。みんなを楽しませてあげなきゃ」
 アッシュのアイデアに、伊吹はくすくすと笑って乗っかった。もちろん、五月姫が目を回しそうなのはわかった上である。親しい仲だからこその、ちょっとした意地悪……という名の気配り、とでもいうべきか。
「えっ。何。みんなのとこ、行く? え?」
「それで飴を投げたりするのはどうかしら? さっきのヒースおにーさんみたいに!」
「え? えええ?」
 イーディスがさらに煽る。五月姫はいよいよ目をぐるぐる回して、混乱していた。
「お、それならちょうど数が少なくなってきたからな、俺が増やしてやるぜぃ。そーれぱっかーん!」
 誠は『口福の伝道者』の効果で、大量の飴をどさどさと籠に入れた。それを白露が受け取り、笑顔で差し出してやる。
「前に進まないと帰れないんだぜぃ?」
「そうじゃのう。動けないなら、我が持ち上げてやろうか、ん?」
「いや、無理、無理無理無理無理。知らない人、いっぱい、こわい、やだ」
「仕方ないな、連行だ(がしっ)」
「え、あ、クリフさ……あううううう」
 五月姫、あえなく御用。悲鳴が遠のいていく。
「もしかしなくても、緊張してるわよね、あれ。一緒についてってあげなくて大丈夫かしら?」
「あれも経験よ。それにほら、見て!」
 透の言葉に、ゆうきは五月姫たちを指差した。
 引っ込みがつかなくなった五月姫が、恐る恐る飴を放り投げると……人々は感謝の声をあげて、それを受け取り、こういうのだ。
「「「ハッピーハロウィン!」」」
「……ほらな、心配なかっただろ?」
「あ……」
 温かい思いに触れた五月姫は、ヒースの言葉にこくんと頷く。

 ディアボロスも、そうでない人々も、今日は関係ない。
 だって今日はハロウィン。昨日でも明日でもなく、今日だけの大事なお祭りの日。
 だからみんな、今日だけは、昨日も明日も忘れて騒ぐのだ。
 パレードはまだまだ続く。お祭りも、この楽しい時間も、彼らが戦い続ける限りはずっと。
 ハッピーハロウィン、ディアボロス。日常からまた戦いへ赴く君達へ、ありったけの感謝と祝福を籠めて!
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【プラチナチケット】がLV3になった!
【友達催眠】がLV2になった!
【傀儡】がLV2になった!
【飛翔】がLV3になった!
【強運の加護】がLV3になった!
【口福の伝道者】がLV2になった!
【一刀両断】がLV2になった!
【熱波の支配者】がLV4になった!
【クリーニング】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV10(最大)になった!
【反撃アップ】がLV5(最大)になった!
【アヴォイド】がLV4になった!
【ガードアップ】がLV6になった!
【命中アップ】がLV5(最大)になった!
【ロストエナジー】がLV8になった!
【先行率アップ】がLV4になった!

最終結果:成功

完成日2021年10月31日

新宿島のハロウィン

 ディアボロスの協力により、新宿島では残留効果の力もあって、約35万人の住人が日常生活を送ることに成功しています。
 しかし、残念ながら元の現代日本での生活に近いとはいえ、様々なイベントや娯楽については、充分ではありません。

 それもそのはず、日本全国・世界各地を旅行して、観光やイベントを体験できた頃に比べ、新宿島の中だけで楽しめるイベントはたかが知れているのです。
 日常生活に不自由が無くても、この状況は、あまり良いとはいえません。

 そこで、新宿島の人々に、とびっきりのイベントをプレゼントする、ディアボロス主催の『ハロウィンパーティ』を実行します。
 パラドクスの力を駆使して、新宿島の人々に、夢と希望を与えてあげましょう!


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#最終人類史(新宿島)
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#ハロウィン


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選択肢『新宿島ハロウィンパレード』のルール

 新宿島で行われる、ハロウィンパレードに参加します。
 様々な仮装をして新宿区内を練り歩き、沿道を埋める新宿島の人々を楽しませましょう。
 どのような仮装をして、どんな演出でパレードをするかといったプレイングをお願いします。
 また、恋人やお友達と一緒に、パレードに参加する事を楽しんでもOKです。
 詳細は、オープニングの情報を確認してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『新宿島ハロウィンストリート』のルール

 新宿島で行われる、ハロウィンストリートで、屋台を開いたり出店を出したり、イベントを行ったりします。
 ハロウィンパレードが行われる沿道沿いに、ディアボロスの為に用意されたスペースがあるので、そのスペースを利用して、いろいろ行ってください。
 パレードを見に来た新宿島の人々だけでなく、パレードをちょっと抜け出したディアボロスもやってくるかもしれません。

 旅団の企画としてイベントを行ってもOKですし、個人や、友達同士で企画を用意してもOKです。

 沿道には常に数万人の人出があるので、常にたくさんのお客様がやってきてくれるでしょう。
 詳細は、オープニングの情報を確認してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、シナリオは成功で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。