まだ北条氏直が籠ってるでしょぉーがァ!!(作者 聖山葵)
#天正大戦国
#一気呵成、玉縄城攻城戦
#相模国
#玉縄城
#北条氏直
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「駐屯地が攻略されて、軍勢が各個撃破されてしまったでは無いか。このままでは、玉縄城を護る事ができぬぞ。これについて考えのあるモノはいるか?」
評定の場、落ち着かぬように周囲の配下の顔を見回した天魔武者が居た。名を、北条氏直と言う。
「ディアボロスの勢いを止める事は難しいでしょう。ならば、この城を捨てて、氏政様の元に合流するのがよろしいでしょう。氏政様と氏直様の戦力を糾合すれば、ディアボロスなど鎧袖一触でござろう」
とは、家老衆の中の一体の言葉で、これにふむと唸った氏直はなるほどと頷くも。
「お待ちくだされ。氏政様からは、玉縄城を護るように命令されております。勝手に、城を捨てるなど許されないのではござらぬか」
「たしかにそうだが、玉縄城を守るための戦力が足りぬのも事実だぞ」
別の家老衆の者が待ったをかけると、氏直はこれにも同意しつつ問題点を指摘し。
「であれば、氏政様に援軍を頼みつつ、籠城するべきかと。これならば、命令に反した事にはなりませぬ」
「ふむ、その通りだ」
更に別の家老衆の言葉にも納得する氏直。
「玉縄城は、小田原城には劣りますが、難攻不落の堅城。ディアボロスも簡単には攻め込めぬはず。ディアボロスが城を囲んでいる間に、増援が来る事でしょう」
「ふむ、だが、もし、増援が間に合わぬようならばどうすれば良い?」
「その場合は、玉縄城を捨てて撤退するのもやむなしですな。増援が間に合わぬ為に守り切れなかった……となれば、氏直様の責任とは言えますまい」
将であるのならばそれぐらい自分で考えろと言う者もなく、主の問いに別の家老衆が言えば。
「素晴らしい、完璧な作戦であるな、さっそく実行するとしよう」
信じられないことに氏直はこれを採用したのだった。
「ふふ、ごきげんよう。天正大戦国のディヴィジョンの話になるのだけど、相模国鎌倉制圧作戦は成功したようよ」
まずそう明かしたクリスティーヌ・シュヴァリエ(サキュバスの陸戦砲兵・g03188)によると、各地の駐屯地を制圧した事で北条氏直が籠る玉縄城は戦力不足に陥っているみたいなのよね、とのこと。
「それで、北条氏直は玉縄城をディアボロスが包囲している間に小田原の北条氏政からの増援を依頼するという方針を取るみたいね」
堅城である玉縄城であれば、ディアボロスもすぐには攻めずに準備に時間をかける筈だと考えているのだろう。
「だけど、みんながこの皮算用に付き合う必要はないわ」
一気呵成に玉縄城に攻め寄せれば北条氏直を決戦の場に引きずり出すことも難しくはないと思われる。
「説明を続けるわね。玉縄城を守る天魔武者の数は少なく、氏直の意を受けた家老衆から『ディアボロスは、城を囲もうとするだろうが、邪魔する必要はない』『ディアボロスを刺激せず、にらみ合いを続けるように』といった、見当違いの命令を受けていることもあって動きが鈍いわ」
こちらとしてはやり易くて助かる訳だが、君たちが攻め掛かる時に守備兵として詰めている天魔武者は水陸両用天魔武者・尖角。
「七曜の戦いにて大陸等への海や河川から潜水進行しての上陸作戦に主眼を置いて生み出された水陸両用型天魔武者だそうよ。最も得意とするのは水中から陸上への奇襲らしいけれど、純粋な水中戦や陸上戦でも戦闘力が衰える事はないようだからこの戦いでも特別有利になったり不利になることはない……といいたいところだけど」
拠点を防衛すべく詰めている相手だ防衛側の有利は否めない。加えてこのトループス級の守備兵らを指揮するのは、アヴァタール級天魔武者、小山田虎満。
「第一期武田四天王の一人に数えられた武将の名を持つ小隊長で地上水上問わずに拠点や戦線の防衛を得意としているそうよ」
砲撃と巨腕にて敵を阻むらしいが、拠点防衛が得意な天魔武者が拠点の守りに回るとなると厄介としか言いようがない。
「動きの鈍さを加味してもトントンと言うよりは敵側有利でしょうね」
それでもこの動きの鈍い守備兵を、一気呵成に打ち破る事で、玉縄城への突破口を切り開く必要がある。作戦に時間を掛けすぎると、氏直が撤退してしまうかもしれないのだ。
「大変かもしれないけれど、氏直を撃破するには作戦の速度が求められることになるわ」
可能かどうかは君たちにかかっているのかもしれない。
「万が一だけど、北条氏直に撤退された場合も玉縄城はみんなの制圧化となるわ。だから東京23区や横須賀市などの最終人類史の安全を確保することは可能よ」
だからと言って逃がしても良いという訳ではない筈だが。
「北条氏直はかなり無能な指揮官のようだから、その無能さを利用する為に敢えて、撤退させるという策もありえるかもしれないわね」
その手の作戦があるようなら攻略旅団の方で提案をお願いねともしつつ、クリスティーヌは元軍人らしく敬礼する。
「玉縄城のこと、よろしく頼んだわよ」
無能な将の籠る城がそんなクリスティーヌの背後に写っていた。
「陸上での戦闘に不満はないが……そもそも戦闘なんて起こるというのか? ディアボロスの軍勢は確認できていないのであろう?」
緊張感とは無縁な様子でそれでも周辺の警戒をしていた尖角の一体がポツリと漏らした。
「違いないが、来ない分にはその方が良かろう。こちらは戦力不足で、今、攻められたらまずいのだからな」
「その通りだ。虎満様は警戒を密にせよとの仰せであったが……」
それでこの緊張感のなさは家老衆からの命の方を重くとっているからであろうか。その判断を彼らが後悔するのはそう遠くない未来のことかもしれなかった。
リプレイ
鳩目・サンダー
アドリブ、連携歓迎です。
無能ねえ……。討つにせよ逃がすにせよ、一先ず防御を崩さなきゃ選択肢自体が無くなっちまう。
というわけでオーダー通り一気呵成だ。
……とは言え。戦いそのものには時間はかけられないが、コンタクト前の敵がダラダラしている段階であればある程度下拵えの時間はあろう。
【光学迷彩】を纏い、観察や偵察の技能を用いて敵の密度が薄く突破しやすい場所や、他所を向いた奇襲に向いたタイミングを計る。
攻め所と攻め時を定めたら、仲間と息を合わせて突撃。
「来るはずない」と思っている混乱をそのままに、敵陣をかき混ぜよう。
アヴァタール級の号令が飛んだら、その命に態勢を立て直そうとしているところに走り込む。
「さあ、ずんばらりんのばあらばらだ。」
素人剣術でも軽々と振り回せるように作った武器とパラドクスだ。さてさて、本物の武士相手に通じるか、手合わせ願おうか。
柳・凛風
防衛側が有利、なんてのはまぁ当然の事よネ。
それが守りの堅い城だって言うなら尚更ヨ。
だけどワタシは好きヨ、こう言う作戦。
大勢の敵を相手に大立ち回りを演じて、名城を落とす……拳法家としては憧れのシチュエーションの一つヨ。
まぁそこまで上手く行くかはともかく、一発かましてやるとするネ!
敵も格闘戦が得意分野みたいネ。
じゃあワタシも付き合うヨ。
全力ダッシュで近寄って、不意打ちをかけるのが目標アル。
一撃入れて上手く転ばせたら、上から乗って扇でひたすらぶん殴るヨ。
素手で殴ると痛そうだものネ、次の戦いの為には怪我しないようにしなきゃヨ。
敵の爪にも警戒が必要ネ。
掴まれたりしたら大変ヨ、なるべく殴るのとは別の扇で受けておきたいネ。
大きな堤防だって蟻の開けた穴から崩れるのヨ。
ワタシがアナタ達にどのくらいの穴を開けられるか……試してみるネ!
「無能ねえ……。討つにせよ逃がすにせよ、一先ず防御を崩さなきゃ選択肢自体が無くなっちまう」
つまり、一見ディアボロス側の自由であるように見えて、その実途中までは一本道と言うことか。
「というわけでオーダー通り一気呵成だ」
と、パラドクストレインを降りた鳩目・サンダー(R-18フルカラーリアライザ・g05441)がすぐに城攻めを開始したとしても自然な流れではある。
(……とは言え。戦いそのものには時間はかけられないが、コンタクト前の敵がダラダラしている段階であればある程度下拵えの時間はあろう)
だが、そうでもなかった。迷彩模様を纏うと天魔武者に気づかれないように玉縄城の観察を始めるわけだが。
「確かに守りが硬いな」
攻めどころを探すのも大変だとサンダーが漏らせば。
「防衛側が有利、なんてのはまぁ当然の事よネ。それが守りの堅い城だって言うなら尚更ヨ」
応じて口を開くディアボロスが、一人。同じパラドクストレインに居合わせた柳・凛風(酔龍・g04711)だった。
「だけどワタシは好きヨ、こう言う作戦」
一歩足を前に踏み出して、進む先はサンダーとは別方向。
「大勢の敵を相手に大立ち回りを演じて、名城を落とす……拳法家としては憧れのシチュエーションの一つヨ」
だからという訳ではないのだろう、進む方向が違う理由は。
「視認が出来る場所ならタイミングは合わせられるネ」
息を合わせて攻めるつもりであることは伝えていたらしい。
「だから……まぁそこまで上手く行くかはともかく、一発かましてやるとするネ!」
結果的に二手に別れることとなったディアボロスたち。
「今なら、いける」
サンダーが攻め所を見つけ出し、攻め時を定めるのにそう時間は掛からなかった。理由は何より守備兵として詰めていた天魔武者らが緊張感とは皆無、まさか攻めてこられるとは思っても居なかったことだろう。
「うん?」
それでも警戒はしていたことで奇襲に動いたサンダーの姿を視認することの出来た天魔武者は居た。
「動き始めたネ。……こっちも行くヨ」
ただ、サンダーを発見した天魔武者、尖角が仲間らに敵襲を告げるべきだという結論に至る前に凛風も動き出していたのだ。
「な、ディアボロス?!」
「ば、馬鹿な……このようなこと聞いてはおらぬぞ?!」
来るはずない、そう思っていたディアボロスの奇襲である。当然の様に攻められた天魔武者らは混乱した。
「くそ、だが敵はひと」
「そうでもないヨ」
「ンがっ?!」
加えて、別方向からもディアボロスの奇襲。掴み、転ばせた尖角を押さえつけながら凛風は扇を振りかぶる。
「素手で殴ると痛そうだものネ、次の戦いの為には怪我しないようにしなきゃヨ」
凛風の言に尖角は何か言おうとしたかもしれないが休みなく叩きつけられる凛風の扇がそれを許してはくれなかった。
「挟み撃ちだと?! まさか、ディアボロスの軍勢が確認できなかったのもそもそもがこれを隠」
「さあ、ずんばらりんのばあらばらだ」
「しま」
戦慄しつつサンダーと凛風を交互に見やった尖角が至近からの声に振り返ると、万物をデジタルデータに変換する力を吹き込まれたコスプレ用西洋剣をサンダーがまさに今振り下ろすところだった。
「ぎゃあああっ」
斬られた場所からモザイク状に分解され散逸しながら両断された尖角は崩れ落ち。
「さて、待たせたアルか? 次ネ、来るヨロシ」
顔を上げた凛風は格闘戦の構えで突っ込んで来る尖角の方へと手招きする。下敷きになった尖角はもう動かず、足場でしかなく。
「おっと、掴まれたりしたら大変ヨ」
殴打に使ったのと別の扇をけん制するように振るって凛風は距離をとった、その一方でコスプレ用西洋剣を構えたサンダーは別の尖角と対峙していた。
「奇襲では効果があったが……さてさて、本物の武士相手に通じるか、手合わせ願おうか」
「よかろう。返り討ちにしてくれる!」
繰り出される剣と爪がぶつかって火花の代わりにモザイクが散り。
「ごはっ」
「はっ」
早くも二体を目を屠った凛風は壊れた天魔武者を蹴って次の尖角へ距離を詰める。
「大きな堤防だって蟻の開けた穴から崩れるのヨ。ワタシがアナタ達にどのくらいの穴を開けられるか……試してみるネ!」
「こ、こんなことが……虎満様、申し訳」
頭部を凛風の扇に破壊され言葉の途中で倒れることとなった尖角が他の仲間同様の末路を辿るのにそう時間は掛からず。
「おっ、おの、ぎゃあああっ」
「戦力不足で助かったな……ん?」
最後の一体を斬り捨てたサンダーがモザイク状に分解される天魔武者の躯からふいに顔を上げた時。
「遅かったか」
苦々しい声を漏らし、その天魔武者は姿を見せた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
鳩目・サンダー
アドリブ、連携歓迎です。
お、武将殿のお出ましか。ああ遅かったさ 残念だったね 見ての通りだ。
だが、お前さんが此奴らとはモノが違うのはよく知ってる。勢いのまま蹴散らせるとは思わん。
だからこっちも気合入れていくぜ。
フィルターバブル。
本来は言葉の通り(と言っても敵は知らんだろうが)降りかかるものをフィルターするものだが、砲に巨腕とロングレンジに長けた相手ということで至近距離に迫って敵の長所を潰しての攻撃を試みてみよう。
体をぴったりと覆うパワードスーツのように泡を纏い接近。
あたしは喧嘩は得意じゃないがよ、逆説連鎖戦なら両手じゃ足りないくらいやってきた。タイマンで倒せるとは思わんが、砲も巨腕も有利にならない超至近距離に近づければ、敵さんも多少は嫌がってくれるんじゃないか。
パラドクスによる攻撃以外では、眼?らしき部分を掴んだり、腕にしがみ付いたりして、可能な限り行動の妨害を行う。
それが味方の先頭の補助になれば有難い。
……攻撃の邪魔だ、って言われたら退きます。はい。
柳・凛風
そうネ、ちょーっと遅かったみたいヨ。
でもまだまだ挽回可能なんじゃないカシラ?
ワタシ達をやっつけちゃえばそれで終わりなんだもの、遅くはないヨ。
まぁ、こっちも黙ってやられるつもりはないけどネ!
ワタシの方はケンカが専門って所があるからネ、このまま勢いに乗らせてもらうヨ。
開幕ダッシュで近付いてその勢いのままジャンプ、跳び蹴りを食らわせてやるネ。
アナタはとっても重そうネ。
その大きな腕も頑丈そう。
だからこそ乗り越える価値があるってものヨ。
その腕で挟み込むって言うのも情熱的でステキな攻撃だけど、ワタシにはちょっと重すぎるネ。
良い感じに身をかわして、敵が一番力を入れられる所を外せれば少しはマシカシラ?
まぁ味方が組み付いてくれるならそれもやりやすいし、願ったり叶ったりネ。
大丈夫ヨ、ちゃーんと敵だけ狙って蹴っ飛ばすからネ!
敵が爆発しないかだけ心配しとくがヨロシ。
呉守・晶
連携アドリブ歓迎
遅かったのはテメェだけじゃねぇ、俺もたった今現着だ!
まぁお前らにすれば敵の増援だから、もっと遅れてくれってとこだろうがな
で、北条氏直はこの後に及んで小田原評定か?
あぁ天正大戦国じゃ意味が伝わらねぇか、「無駄に時間ばかりかかって、いつまでたっても結論の出ない会議や議論」って比喩表現だよ
いや、結論は出てるのか?玉虫色で役にも立たない見当外れの結論がな
まったく無能な味方は有能な敵より厄介だというが、それがこの城の大将だなんてお前らもツイてねぇな!
まぁなんにせよ、まずはお前を討ち取らせてもらうぞ!
魔晶剣アークイーターの封印を一部解除して峰に魔力噴射スラスターを持った巨大な片刃大剣に変異させてながら突っ込むぞ!
巨大な手で挟み潰される前に魔力噴射スラスターを全開にして加速して内側に潜り込んで叩き斬ってやる!あるいは両腕を盾にして防ごうとしてくるなら、その盾の腕ごと叩き斬ってやるまでだ!
斬り裂け、アークイーター!
「お、武将殿のお出ましか」
即座に気づいた鳩目・サンダー(R-18フルカラーリアライザ・g05441)はアヴァタール級天魔武者、小山田虎満の方へと向き直る。
「ああ遅かったさ 残念だったね 見ての通りだ」
「そうネ、ちょーっと遅かったみたいヨ」
先の苦々しい声をだけでなく柳・凛風(酔龍・g04711)も肯定し。
「でもまだまだ挽回可能なんじゃないカシラ?」
敢えて首を傾げて見せる。
「……どういうことだ?」
もっとも、小山田虎満は言葉の意味を理解しかねたようで、問うような視線に凛風は再び口を開く。
「ワタシ達をやっつけちゃえばそれで終わりなんだもの、遅くはないヨ」
「まあ、お前さんが此奴らとはモノが違うのはよく知ってる。勢いのまま蹴散らせるとは思わん」
凛風の言へ続けたことで、サンダーは返り討ちの可能性を言外に否定はせず。
「まぁ、こっちも黙ってやられるつもりはないけどネ!」
とも凛風は言うが、いやとここで別方向から否定の声が上がる。
「ソイツはさっきまでの話だろう?」
散らばる尖角だったものの残骸の向こう、尖角が討たれ誰も警戒する者が居なくなった門が開いた。
「遅かったのはテメェだけじゃねぇ、俺もたった今現着だ!」
「っ」
「まぁお前らにすれば敵の増援だから、もっと遅れてくれってとこだろうがな」
顔を険しくした小山田虎満の視線を浴びて、呉守・晶(TSデーモン・g04119)は悪びれもせず肩を竦める。
「ワタシの方はケンカが専門って所があるからネ、このまま勢いに乗らせてもらうヨ」
そんな晶へと小山田虎満の気が向いた隙を突いたというよりも戦いが始まればいの一番に仕掛けるつもりであったのだろう。自分外の方を向く小山田虎満へ向かって凛風は駆けだすと強靭な四肢と翅で跳躍する。
「なにっ?!」
驚きの声をあげ小山田虎満も向き直ろうとしたが、出来たのはそれだけ。
「食らうネ」
「がっ」
渾身の力を籠めた蹴りが回避行動にまで至らなかった小山田虎満の身体に炸裂し。
「ぐおおおっ!」
上体を泳がせながらも小山田虎満は両の巨腕で飛び蹴りの反動で宙に居る凛風を挟み込まんとす。
「そうして腕で挟み込むって言うのも情熱的でステキな攻撃だけど、ワタシにはちょっと重すぎるヨ」
「ぐっ」
無理な体勢での反撃だったのが祟ったのか、閉じつつある巨腕同士の隙間から凛風はするりと抜けた。
「だけど、アナタはとっても重そう、その大きな腕も頑丈そうとも思ったけど、重さの方はその通りだったネ」
蹴った凛風当人としては不意を突いたなら蹴り倒すぐらいのことは出来ると見ていたのかもしれない。
「それでも、だからこそ乗り越える価値があるってものヨ」
「ぬかせ! 今は捕らえ損ねたが」
不敵な態度の凛風へ小山田虎満は今度こそ捕まえると言いたげだったが。
「よそ見とは余裕だな」
戦っている相手は凛風のみに非ず。
「なら、こっちは気合入れていくぜ。お前の話は聴きたくない、お前の価値観を受け入れない、フィルターバブル」
大きな泡が集まって出来た障壁が体をぴったりと覆い、泡をまとったままの姿でサンダーは小山田虎満へ肉薄する。
「あたしは喧嘩は得意じゃないがよ、逆説連鎖戦なら両手じゃ足りないくらいやってきた」
一対一で倒せると思ってはいないサンダーではあるものの、既に味方が仕掛けており一騎打ちと言う状況でもない。
「おのれ、がっ」
内に入り込んだサンダーの一撃も見事に決まり、サンダーはそのまま小山田虎満に絡みつく。目的は小山田虎満の行動阻害に他ならず。
「感謝ネ。だいぶやり易くなるヨ」
凛風の口から歓迎の声が上がって。
「この、離れ」
「大丈夫ヨ、ちゃーんと敵だけ狙って蹴っ飛ばすからネ!」
「いえ、攻撃の邪魔でないならあたしも問題ありません、はい。」
下半身にある亀部分の一部を展開し、複数のドリル付きミサイルを撃ち出しながら自身を振り払おうとする小山田虎満を放置して、安心させるように言う凛風の言葉にサンダーは応じ。
「で、楽しく遊んでるみたいだが……北条氏直はこの後に及んで小田原評定か?」
放置されていた小山田虎満の方に声をかけたのは晶。
「何が言いたい?」
「あぁ天正大戦国じゃ意味が伝わらねぇか、『無駄に時間ばかりかかって、いつまでたっても結論の出ない会議や議論』って比喩表現だよ」
向き直る小山田虎満へ解説すると首を傾げる。
「いや、結論は出てるのか? 玉虫色で役にも立たない見当外れの結論がな」
「ぐぐぐ」
嘲られていることは明らかだったが、挑発だともわかったのかもしれない巨腕の先にある手を握り締め唸る以上のことを小山田虎満はせず。
「まったく無能な味方は有能な敵より厄介だというが、それがこの城の大将だなんてお前らもツイてねぇな!」
追い打ちをかけるように同情して見せてから晶は魔晶剣アークイーターを構える。ここまで言われても激昂して攻め掛からないのは拠点防衛が得意な天魔武者故か、ただ。
「まぁなんにせよ、まずはお前を討ち取らせてもらうぞ!」
と言う晶の宣言までは無視できない。
「出来るものならやってみせるがいい!」
「魔剣アークイーター、第一封印解除。変異開始、コード切断剣『鋭キ斬リ裂クモノ』っ!」
応戦の構えを小山田虎満はとって、晶も魔晶剣の封印を一部解除し峰に魔力噴射スラスターを持った巨大な片刃大剣に変異させて地面を蹴る。
「「うおおおっ!」」
スラスターから噴射されるモノが尾を引きつつ晶の身体を前へ前へと運び小山田虎満との距離をどんどん縮めてゆく。このまま真正面からぶつかり合うのかと思われる光景の中。
「そうだったネ、敵が爆発しないかだけは心配しとくがヨロシ」
凛風はサンダーへ忠告し、再び強靭な四肢と翅で跳び上がる。
「はいッ!」
「ぐあッ?!」
晶を迎撃せんとした巨大な両腕の片方が蹴りとばされあらぬ方に流れた。それだけではない、流された腕は曲がってはいけない方向へと反っていて、関節部が悲鳴を上げている。
「貰ったぜ!」
そんな状況下で内側に潜り込んで来た晶の斬撃を防ぐなどもはや不可能だった。
「斬り裂け、アークイーター!」
「があああっ」
一直線に走った傷は決して浅くない。その一撃だけで倒されない辺りは流石アヴァタール級と言うべきであったが、反撃に出る余裕もなく。片腕の関節の損傷と負った深い斬傷はその後の戦いを決定づけた。
「せめて一人でも道連れにしてくれるわ!」
「はっ、付き合ってやるつもりなんてねぇよ!」
鬼気迫る表情で両腕によって晶や凛風を挟み込もうにも片腕の反応が遅く容易にすり抜けられ、かわりに小山田虎満は傷を増やしていった。
「そろそろ離れるヨロシ」
と小山田虎満の傷が増えてゆく中で凛風がサンダーに声をかけるが、それは攻撃の邪魔だという理由ではない。
「む、ねん……」
ぐらり傾いだ小山田虎満は、ミサイルを蓄えていたからか下半身から爆発四散し。
「……これであとは北条氏直だな。逃がすか、討つか」
泡に包まれた姿のままで小山田虎満の残骸から視線を外したサンダーは北条氏直がまだ居るであろう方へ向き直るのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【クリーニング】LV1が発生!
【落下耐性】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!