リプレイ
西堂・千衛蔵
「四天王が何人いようが、全員倒せば同じだろ」
ややこしいが、深く考えるのは性に合わん
「必要な物も色々あろうが、まずは食料だな」
荷車に米や干物、漬物を纏めて現地に運ぶ
運搬を赤煙に手伝わせれば荷車二つ運べねえかな
もし出発までに他の人が【アイテムポケット】や【怪力無双】を持ってきてくれていたらそれも使う
持てる限りの食料を持っていこう
「田畑がこんな事になっちまうとは災難だな
何もできねえがせめて当座の食い物を持って来たぜ」
村に着いたら手近な村人に運んできた食料を見せ、人をできるだけ集めて貰う
胃が弱った人もいるだろうから消化に良い物を作る
赤煙の「ブレス」で片手鍋に湯を沸かし、握り飯と溶き卵、塩一摘みを煮た粥だ
これを【口福の伝道者】で増やして村人に配るぜ
それから村人に四天王の話を聞く
「倒しに行く」と言ったら変に身構えて口が重くなるかも知れないから、飯のついでに愚痴を聞くつもりで聞いてみるぜ
・どちらから来てどちらへ行ったか
・見つからずに陣地に近づける道はないか
・何か変な事を言っていなかったか
他、何でもいい
大量に襲い来る龍造寺四天王にディアボロスたちは頭を抱えていたのだが、
「何人いようが、全員倒せば同じだろ」
と、西堂・千衛蔵(竜燈鬼・g01901)は平然としたものである。
「ややこしいが、深く考えるのは性に合わん」
そんな彼が引いているのは、食料が満載された荷車である。ミニドラゴン『赤煙』も、あとからもう1両を引いて主に続いている。
暑さ寒さも彼岸まで、とはよく言ったもので、吹いてくる風は涼やかでわずかににじむ額の汗を拭ってくれる。
秋茜があちこちを舞い、広がる田からはすでに稲穂は消えていた。
「どういうことだと思う、相棒?」
問われた『赤煙』が、千衛蔵の顔を覗き込んだ。
「うむ……やはり、これは」
収穫したのならば、もっと稲は根本から刈られているはずである。しかし眼前に広がる田は、高さもバラバラに刈り取られていた。
渋面を作りながら、千衛蔵は見かけた村人に声をかけた。
「おぉい!」
「なんじゃ、あんたは……?」
村人が怪訝そうにこちらを振り返る。その身体はやせ細りあばらが浮き出ており、血色も悪い。
「田畑がこんな事になっちまうとは、災難だな。
何もできねぇが、せめて当座の食い物を持ってきたぜ」
表情を一変させてカラリと笑った千衛蔵は、荷車に山と積んだ米や干物、それに漬物の桶を、次々と降ろしていく。
「さぁ、みんなも呼んできてくれ。話は、なにか腹に入れてからだ」
村人たちが集まってくる間に、千衛蔵は鍋に湯を沸かし、その中に握り飯と溶き卵を入れ、太い指で摘んだ塩をぱらりと入れた。
「これなら、胃の弱った者でも食べやすいだろう」
「おぉ、おぉ……ありがたや、ありがたや」
千衛蔵の頭に乗せた燈篭からは阿弥陀如来のごとくに光が放たれており、さながら後光のようである。椀を手にした村人たちは、まさに神仏を見るかのように千衛蔵を拝んだ。
「よせ、よせ。……それよりも龍造寺の軍だが、なにか知ってるか?」
丘の上を振り返って愚痴のように問うてみると、
「あそこまで行くのは、わけのないことですが……人目につかぬ道となると」
「おぉ、そうじゃ。あの辺りは佐吉がよく駆け回っておったろう。ほれ、伝兵衛の倅の」
そう言って村人はあたりを見渡したが、
「そういえば、おらんな。伝兵衛は、そんなに悪いのか」
聞けば佐吉の父親・伝兵衛は腰を悪くしており、動けぬのだという。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
雲州・牽
龍造寺四天王だけの軍勢は、既に別の場所で見てるから今更驚かねぇ。
ともかく、此処の龍造寺四天王もオレ達旗楽四天王が殲滅するつもりだが、
まずはその為の情報収集だ。忍者らしく、頑張るとしようか。
以下は、持参する物資だ。バイクに載せられるだけ載せていくぞ。
オレ自身も、これらを詰め込んだ大きめの背嚢を背負っていくぜ。
・稲の種籾
・大根、蕪、エンドウ豆、ホウレンソウ(東洋種)の種
・干し肉、魚の干物
・敵陣観測用の双眼鏡
冬物野菜を育ててもらうまでの間、2レベル分の口福の伝道者で八百人分に増やした干し肉や魚の干物で食いつないでもらって、
冬物野菜が収穫されたら来年の米の収穫まではそれで食いつないでもらおう、って寸法だ。
報告書にあった伝兵衛には、解した干し肉や干物を入れた粥で精を付けてもらおう。
それで佐吉に人目につかない道を教えてもらえるか如何かにかかわらず、敵陣は双眼鏡で観察しておくぞ。
ポイントは、馬防柵を【飛翔】による低空飛行で越えて急襲出来そうかだな。
時速九十キロで馬防柵に体当たりしてもいいんだけどよ。
「動けないほど悪いのか? その伝兵衛って奴の腰は」
土煙とともに戦闘用オートバイが停車し、雲州・牽(旗楽四天王・g11524)が会話に加わってきた。
「あぁ、これか?」
バイクの荷台には大きな箱がくくりつけられ、牽自身も背嚢を負っている。
ドサリとそれを降ろして、中身を広げていく牽。
そこには種籾も入っていたが、
「来年の米の収穫までは、なんとかこれで食いつないでくれって寸法だ」
大根や蕪、エンドウ豆やほうれん草といった各種の種が入っていた。それに、干し肉や魚の干物まで。
千衛蔵とともによくよく話を聞いてみれば、この村の稲を刈ったのは龍造寺の兵ではないらしい。青田刈りをしたのは、島津の兵であるようだった。
「オレたちがここから薩摩に攻め込むことを警戒したのか……?」
しばし思案したものの、
「まぁ、いい。まずは龍造寺四天王だ」
牽は膝を叩いて立ち上がり、教えられたあばら家へと足を向けた。
「おやじ、大丈夫か……?」
「おう、すまねぇ、な……」
伝兵衛の具合は悪く、便所に立つのも佐吉の肩を借りてやっとのようだった。痛みに顔を歪めて真っ青な顔で、なんとか土間まで這うように移動して桶に放尿する。
やってきた牽は、
「まぁ、これでも食って養生してくれ」
と、干し肉や干し魚を入れた粥を伝兵衛と佐吉に振る舞った。
「腰痛は、オレも職業病みたいなもんだからな。同情するぜ」
落ち着いたところで、牽は佐吉から敵陣の様子を聞き出した。双眼鏡で、そちらを覗く。小道が丘の上に続いている。
「……あの馬防柵を越えられないか、だが」
低空飛行で飛び越えるくらいならば、堀も含めて駆けて飛び越えても、あるいはバイクで突進しても、さほど違いはあるまい。それよりも、そちらは敵の真正面という事である。
すると、
「裏道がある」
と、佐吉が言い出した。
「横手は崖に見えるが、よくよく見れば木に隠れてひとりずつくらいは通れる道があるんだ」
「そうなのか?」
双眼鏡で覗いてみても、よくわからない。
「心配ない、俺が案内する」
「お前が? 危険だぜ」
しかし佐吉は、
「そこまで案内したら、すぐに逃げ帰るさ」
と、笑った。
「それに……おやじの腰が悪くなったのも、あの連中のせいだからな」
龍造寺四天王に突き飛ばされたせいで、伝兵衛はこうなったのだという。天魔武者どもにしてみれば少しばかり小突いたつもりなのだろうが、その力で押されては。
「よし、わかった。案内してくれ。
なに、ここの龍造寺四天王も、オレたち旗楽四天王が殲滅してやる」
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】がLV2になった!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!

旗楽・清政
【旗楽四天王】
龍造寺四天王共め。民を突き飛ばし腰を患わせるとは、酷いことをするものよ!
その報いは、しかとそれがしらが与えてくれよう!
ともあれ、牽よ、ようやった!
では、佐助殿の案内に従って裏道を進むと致そう。
【光学迷彩】は、しっかりと敷いていくでござるよ。
そして、彼奴等に仕掛けられるところまで来たら、
佐助殿の退避を待ってから仕掛けると致す。
初手はエスメラルダに任せ、二番手をそれがしが務めるでござる。
エスメラルダの砲撃が彼奴等を乱したところに、光王刃で追撃せん。
「旗楽四天王、旗楽・清政、推参!
四天王とは名ばかりの有象無象共よ、この光の刃に斬り刻まれるがよい!」
不意を衝いたところに、エスメラルダの砲撃を受けたのだ。
まともに応戦出来るとは思えぬでござるが、反撃のパラドクスが飛んできたらば
ビームシールド、五枚胴具足、闘気で以てしっかりと防ぎ、ダメージを軽減するでござる。
牽、嘉内、それがしに続き、彼奴等を残らず殲滅するがよい!
この肥後の地にては、天魔武者を一体たりとも生かしておいてはならぬ!

エスメラルダ・リベロ
【旗楽四天王】
既に見た光景ではあるが、群れている龍造寺四天王を見るに、四天王とは何だろうと考えてしまうな。
まぁ、いい。奴等の向こうを張って4人揃った四天王となった以上、あんな有象無象共には負けてはいられん。
清政殿の【光学迷彩】を借りて、佐助の案内に従って裏道を進んでいくぞ。
奴等に仕掛けられる位置まで来たら、佐助が巻き込まれない位置まで退避したのを
確認した上で、私から仕掛けるとしよう。
わざわざ裏道を進んできたのに、自分から所在を明かすような馬鹿な真似はしない。
無言で絶海砲戦を発動して、奴等を攻撃するぞ。
認識外の相手からの砲撃だ。逆説連鎖戦である以上、
反撃は発生させられるだろうが、まともな反撃にはなるまい。
それに、奴等のパラドクスには勢いこそ立派だが、
周りが見えていない猪突猛進と言う、仕様上の欠点もある。
奇襲されて砲撃を叩き込まれた上で、猪突猛進の反撃を行ってくるのだ。
これで敵陣が乱れない方がおかしい。
反撃は緑の大盾や肥後の艤装、オーラフィールドで防いだ上で、
清政殿達の追撃に、後を任せるぞ。
雲州・牽
【旗楽四天王】
清政は【飛翔】での強襲を考えていたようだが、
幸いなことに佐助に裏道を案内してもらえることになったから、
そっちから攻めることにしたようだ。まぁ、妥当な判断だな。
オレも、【光学迷彩】を借りて、【忍び足】を用いた上で裏道を進んでいくぞ。
さすがに、忍者であるオレが原因で奴等に見つかる、なんてヘマを犯すわけにはいかねぇからな。
そしてワラワラ群れてる方の龍造寺四天王との戦闘だが、オレは三番手だ。
エスメラルダの砲撃と清政の光の刃を受ければ、さすがに奴等も混酸の最中だろ。
そうであれば当然その隙に付け入るように、仮にそうでなかったとしても、
黒神召喚で奴等の生命を奪い取っていくぜ。
「四天王にはちっとばかり相応しくねえ数だからな。間引きしてやるよ!」
で、奴等の反撃は、今一つ息の揃ってない槍衾かよ。槍衾なんて、息を揃えてナンボのモンだろ?
まぁ、だが、一応パラドクスである以上は油断はしねえ。空蝉人形を盾にして防いで、ダメージを軽減してやるぜ。
最後の締めは、嘉内の仕事だ。
「残りは任せたぜ、嘉内!」
旗楽・嘉内
【旗楽四天王】
元から御先祖は旗楽四天王としてこの間違いだらけの龍造寺四天王を殲滅する気満々だけど、
今回は牽さんも佐助との約束があってか、同じくやる気満々だな。
それなら、オレも旗楽四天王の一人として頑張りますか。
佐助に案内された裏道を、他の四天王と一緒に進んでいくぜ。
当然、見つからないように御先祖の【光学迷彩】は借りた上でな。
で、佐助の退避を確認したら攻撃開始だが、今回のオレの順番は、最後。
エスメラルダさん、御先祖、牽さんによる立て続けの攻撃を受けても生き残った奴を、残らず殲滅するのが役目だ。
「緑翠蝗よ、奴等を残らず食らい尽くせ――!」
有象無象の寄って集った四天王なんてわけがわからないもの、欠片も残す気はねえよ。
もしまだ生き残りがいて、反撃されたならば、マジックシールドと翠緑天鎧で防ぎ止めて
出来るだけダメージを軽減するぞ。それにしても、仲間を盾にするとは相変わらず酷い攻撃だよな。
で、またエスメラルダさんから攻撃を始めてもらって、奴等を殲滅しきれるまで
同じ攻撃をずっとループし続けてやる。
「牽よ、ようやった!」
旗楽・清政(知勇兼備の昼行灯・g08816)が笑貌を見せて膝を打った。
「いや、なに。だが、よかったのかい? 空からの強襲を考えていたんだろ?」
助力者を見事に得た雲州・牽(オレの名前は死亡フラグ、迷わず冥府へ逝くがいい!・g11524)が、首をひねる。
しかし清政は、
「こちらが良計とあらば、空にこだわることもあるまい」
と、気にも留めず、佐吉に頭を垂れた。
「佐吉殿、よろしくお願いいたす」
「任せておくれよ」
頼りにされるのが嬉しいのだろう。そして、天魔武者どもに意趣返しできるのが。佐吉は笑顔を見せて頷いた。
「ま、妥当な判断だな」
牽は頷く。
「それにしても、龍造寺四天王どもめ。民を突き飛ばし腰を患わせるとは、酷いことをするものよ! その報いは、しかとそれがしら旗楽四天王が与えてくれよう!」
「おぉ、やってやるか」
そんなやりとりをする清政と牽を横目に、旗楽・嘉内(フルアーマーウィザード・g11216)は肩をすくめた。
「……もともと御先祖は、間違いだらけの龍造寺四天王を殲滅する気満々だけど」
彼は清政のことを「御先祖」と呼ぶ。
「今回は佐吉との約束があるせいか、牽さんもやる気だな」
「私も負けてはいられんな」
エスメラルダ・リベロ(蒼海に輝く翠緑・g10981)が背伸びして丘の上を見やり、口元を引き締めた。さきほど、パラドクストレインの中では陽気に軽口を叩いていたエスメラルダだが、すでに戦闘に備えて気を引き締めている。
「みんな、やる気満々だな……じゃあ、オレも旗楽四天王のひとりとして、頑張りますか」
嘉内は大きく肩を回し、仲間たちのあとに続いた。
「こっちだ」
佐吉を先頭に、一行は茂みの中を進む。右手には崖が張り出しているが、佐吉のあとについて木々の隙間を縫って……巨大な兵装を持つエスメラルダは難渋しつつ……先に進むと、確かに登っていけそうな斜面があった。
「ここを登れば、丘のてっぺんだ」
「よし、佐吉はここまでだ」
「あぁ。頼んだよ!」
牽は見送る佐吉に手を振って、先頭に立って慎重に進む。
「さすがに忍者であるオレが原因で見つかる……なんてヘマをするわけにはいかねぇからな」
果たして斜面を登りきると、そこは敵陣の真横であった。
「俺が四天王だ!」
「いや、俺が四天王だ!」
龍造寺四天王どもが騒がしい。
「……さすがにこれだけ四天王がいると鬱陶しいな。俺は辞退しようかな」
「じゃあ俺も」
「だったら俺も」
「皆、辞退するのか? では我も辞退しようか……」
「どうぞどうぞ! あとの四天王は我らに任せよ!」
「うぬぬ、たばかったな貴様ら!」
エスメラルダが額を押さえている。
「すでに見慣れてしまった光景ではあるが……四天王とはなんだろうと、考えてしまうな」
「まぁ、ねぇ」
苦笑する嘉内。
「なに、あのようなまがい物の四天王など、それがしらで討ち果たせばよい。
エスメラルダよ!」
清政の声に、エスメラルダが背筋を伸ばした。
「一番槍は任せよう。それがしがあとに続く」
「了解」
敵陣を見やったエスメラルダは、無言のままにありとあらゆる兵装の狙いを敵に定める。
「……わざわざ裏道を進んできたのに、自分から所在を明かすなど馬鹿馬鹿しい」
重装型戦艦級海戦装『肥後』のために開発された三連砲塔が立て続けに砲撃を行った。四番砲塔までが次々と榴弾を放ち、敵陣に張り巡らされた天幕や柵が吹き飛ばされる。無論、天魔武者どもとて例外ではない。吹き飛ぶ大量の土とともに、龍造寺四天王どもが宙を舞った。
「なんだ、なんだッ!」
龍造寺四天王どもは狼狽しつつも、中にエスメラルダの姿を認めた者もいて、
「一番槍はもらった!」
と、槍を繰り出してくる。
「向こうを張って四天王を名乗った以上、貴様らのような有象無象どもに負けてはいられん!」
大盾を構え、槍の突進を食い止めるエスメラルダ。敵はなおも襲いかかろうとしたが、
「旗楽四天王、旗楽・清政、推参!」
飛び出した清政が片鎌槍で敵兵の繰り出す槍を払いつつ、突進した。
敵兵どもは清政を囲もうとするも、奇襲を受けて混乱する中では、その隊伍は大いに乱れている。
「四天王とは名ばかりの有象無象どもよ! この光の刃に斬り刻まれるがよい!」
清政の周囲に数多の光の刃が現れる。清政の裂帛の気合とともにそれは敵兵どもへと襲いかかり、清政を取り囲んでいた敵兵どもの首を、胴を、脚を、斬り飛ばしていく。
「おのれ……! 我らが龍造寺四天王と知っての狼藉か!」
片腕を落とされた敵兵がなおも襲いかかろうとしたが、
「牽、嘉内! それがしに続き、彼奴らを残らず殲滅するがよい!」
「おう。四天王というには、ちっとばかり相応しくねぇ数だからな。間引きしてやるよ!」
牽が口の端を持ち上げると、そこには黒き神が姿を表した。それは夜、闇、不幸、死、破壊……人の忌むものを余さず司る黒き神は敵群を睥睨し、魔法を放つ。たとえ天魔武者であっても、生命と運命を蝕むその力からは逃れ得ない。
「うぐ……」
片腕の龍造寺四天王はくぐもった呻きとともに倒れ、続いて槍を突きこんできた敵兵もよろめいて、膝をついた。
次から次へと襲い来る敵兵の槍も、牽の『空蝉人形』を貫いただけに終わる。
跳躍した空中から牽は、
「残りは任せたぜ、嘉内!」
と、声を張り上げた。
清政も光の刃で敵を押し戻しながら、叫ぶ。
「やれい嘉内! この肥後の地にては、天魔武者を一体たりとも生かしておいてはならぬ!」
「了解、牽さん。寄って集った四天王なんてわけがわからないもの、御先祖に言われなくても欠片も残す気はねぇよ」
嘉内の周囲にエメラルド色の輝きが無数に灯る。いや、それは輝く蝗であった。
「すべてを食い尽くす災厄の蝗よ! 我が求めに応じ現れ出でて、彼の敵に滅びをもたらせ!」
蝗たちは一斉に翅を広げて跳躍し、敵兵どもに襲いかかる。
「緑翠蝗ッ!」
たとえ鋼でできた天満武者どもの肉体であろうと、翠に輝く蝗たちは纏わりついて容赦なく喰らいつく。
「う、うおおおおッ!」
「あッ、貴様ッ! ギャアアアアアッ!」
龍造寺四天王は同胞たる仲間を背後から捕縛し、蝗の群へと蹴飛ばした。蹴飛ばされた龍造寺四天王はその全身を蝗に食らいつかれて絶叫したが、蹴飛ばした方はその隙に槍を繰り出して反撃してきたではないか。
「仲間を盾にするとは、相変わらずひどい攻撃だ!」
嘉内の前に、巨大なエメラルドを象った魔法障壁が現れる。槍はそれに弾かれ、敵兵はたたらを踏んだ。そこに蝗は群がり、その兵もまた僅かな金属片すら残さず食い尽くされた。
「エスメラルダさん!」
「あぁ」
エスメラルダの砲塔が、再び火を吹いた。
「勢いこそ立派だが、しょせんは猪突猛進。奇襲で陣形を乱されたまま、猪突猛進の反撃を行うのだ。反撃したところで、この程度だ」
と、エスメラルダは嘯く。
「こ、これは何事だ!」
龍造寺四天王が「この騒ぎはただごとではない」と現れたときにはすでに、龍造寺四天王どもは無惨に地に倒れるばかりであった。
「うぬぬ、よくも龍造寺四天王を!」
「待て待て。ディアボロスどもに敗れる者どもなど、しょせんは龍造寺四天王にふさわしくない輩であったのよ」
「然り。我等龍造寺四天王が、本物の龍造寺四天王というものを見せてやろう」
「ガハハハハ! ディアボロスどもよ、我等龍造寺四天王に命乞いをするならば、今であるぞ!」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
【水面走行】LV1が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【リザレクション】LV1が発生!
【先行率アップ】LV2が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
旗楽・嘉内
【旗楽四天王】
うーん、五体合体風の単体の龍造寺四天王が、
何度も何度も龍造寺四天王と言ってると、
龍造寺四天王でゲシュタルト崩壊しそうだ。それはともかく。
「龍造寺四天王と言っても、所詮はアヴァタール級。
ジェネラル級さえ(仲間との共闘とは言え)倒してきたオレ達旗楽四天王が、
今更アヴァタール級のお前達相手に命乞いなんてするかよ!
龍造寺四天王より、旗楽四天王の方が上だと教えてやるぜ!」
そう【挑発】し、奴等の眼をオレの方に向けるぞ。
その間に、エスメラルダさんと牽さんには奴に仕掛けてもらおう。
で、二人の攻撃が終わったら、その攻撃が命中した場所を狙って、
すかさずフルバースト・オン・ウィークネスだ。
二人の攻撃を受けたら、流石に無傷ではいられないだろう。
その傷に、オレの全武装――マギア・アステール4門と
脚部ミサイルポッドの全弾の集中砲火を叩き込んでやるぜ!
反撃の四天王大火炎に対しては、マジックシールドで受けて、
それでもダメージが抜けてくるなら【ガードアップ】や
翠緑天鎧の守りで耐えるぞ。
御先祖、最後は任せた!

エスメラルダ・リベロ
【旗楽四天王】
龍造寺四天王相手の舌戦と挑発は、嘉内に任せておこう。
私はその間に、【光学迷彩】を敷くぞ。
既に会敵している以上、姿が隠れるところまでは期待しないが、
奴等の注意を私と牽から逸らし、嘉内に集中させる一助ぐらいにはなればと考えている。
そして、嘉内の挑発が終わったならば、すかさず【先行率アップ】で先手を取り、
【ダメージアップ】をしっかりと乗せたヴェルデ・フィナーレで、奴を攻撃だ。
上手く奴の注意が嘉内に逸れているところを衝ければ儲けものだが、
そうでなくても普通の戦闘になるだけの話だ。
もし注意が嘉内に逸れているところを上手く衝けて、奴等が卑怯だとか言って来たならば、こう返してやろう。
「卑怯? ここは戦場だ。ならば、眼前の敵から注意を逸らしていた貴様等が迂闊なのではないか?
よくそんな有様で、龍造寺四天王を名乗れたものだな!」
反撃の四天王突きは、緑の大盾で防ぎ止めるぞ。
仮に防ぎきれずとも、【ガードアップ】と肥後の艤装、
オーラフィールドの守りで可能な限りダメージを軽減するさ。
――続け、牽!
雲州・牽
【旗楽四天王】
(「オレ自身は、まだジェネラル級とやり合っちゃいねぇんだがな。
相応の実力はついたと思ってるけどよ」)
嘉内の挑発にはそんな風に思いつつも口には出さず、エスメラルダ【光学迷彩】を借りて、
奴等(?)の心中からオレ達の存在を薄め、その注意を嘉内に集めさせにかかるぞ。
上手く行けば儲けものって小細工ではあるが、ちっとでも有利な状況を作れるなら作っておかねェとな。
で、エスメラルダの攻撃への反撃が行われた直後に、パラドクスを発動して追撃だ。
エスメラルダのヴェルデ・フィナーレが命中した場所を狙って、緑一色爆弾を叩き込んでやる!
オレへの反撃は、胴体と四肢それぞれに分離して、包囲しての同時攻撃か。
やっぱり五体合体な上に、最終人類史の何かのアニメで見たような攻撃じゃねェか!
空蝉の術――と言って回避出来ればイイんだが、パラドクスは必中だからな。
せめて、空蝉人形をダミーがてらの盾にしながら、【ガードアップ】でダメージを軽減するぞ。
待たせたな、嘉内!
エスメラルダとオレが刻み込んだ傷を、さらに拡げてやれ!
旗楽・清政
【旗楽四天王】
舌戦や挑発は嘉内に任せておる故、それがしは敢えて口は出さずに黙り、
ただ緑玉色の闘気を全身に漲らせ、その場に立っていると致そう。
そうして視覚で存在感を示すことで、【光学迷彩】で彼奴の注意から
外れんとしておるエスメラルダや牽の援護を致す。
エスメラルダと牽が動いたならば片鎌槍を構え、
嘉内が仕掛けし直後に翠緑の疾風を発動すると致す。
「肥後を押さえし勢力こそが、九州統一に一手先んじられるとのこと!
なれば、それがしらディアボロスが日向に続き肥後も押さえると致す!
そして、九州奪還に至る道を邁進せん!
この一撃は、その意志の証! 貴様の命を以て、その狼煙を上げてくれよう!」
【ダメージアップ】をしかと乗せて、渾身の力を込めた突撃でござる。
狙いは、エスメラルダと牽が付け、嘉内が拡げし傷よ。
仮にそこに命中させられずとも、三人の攻撃で軽くない傷を負っておれば、
それがしの一撃は甚大な痛撃となるはず。
万一仕留め損なったならば、反撃にはビームシールド、
【ガードアップ】、五枚胴具足、闘気で耐えると致そう。
「ガハハハハ! ディアボロスどもよ、我等龍造寺四天王に命乞いをするならば、今であるぞ!」
敵将・龍造寺四天王は呵々大笑したが、旗楽・嘉内(フルアーマーウィザード・g11216)は肩をすくめてその勧告を聞き流した。
「龍造寺四天王と言っても、しょせんはアヴァタール級。ジェネラル級さえ倒してきたオレたち旗楽四天王が、今さらお前たち龍造寺四天王を相手に命乞いなんてするかよ!」
声を張り上げて言い返し、全身に装着した砲を敵将へと向ける。
すると雲州・牽(オレの名前は死亡フラグ、迷わず冥府へ逝くがいい!・g11524)が居心地悪そうに、ちらちらとこちらを見ているではないか。
「オレは、まだジェネラル級とやり合ったことはねぇんだが……」
とでも、言いたげである。
「いいんですよ、そういうのはだいたいで!」
気づいた嘉内は、ひそひそと囁いた。
「……まぁ、相応の力はついたと思ってはいるけどよ」
「でしょう? ……えーと、なんでしたっけ。
そう! お前たち龍造寺四天王も、そこに転がってる龍造寺四天王どもと同じように……」
「どうした?」
エスメラルダ・リベロ(蒼海に輝く翠緑・g10981)が、口ごもった嘉内に視線を巡らせる。
「何度も何度も龍造寺四天王と言ってると、ゲシュタルト崩壊を起こしそうで……まあともかく!
龍造寺四天王より、オレたち旗楽四天王の方が上だと教えてやるぜ!」
その大見得に、緑玉色の闘気を漲らせて立つ旗楽・清政(知勇兼備の昼行灯・g08816)が、かすかに頬を緩める。
「抜かしたな!」
龍造寺四天王が怒鳴るのと同時に、胸にある龍の意匠が動き出した。それはただの意匠ではなく、大きく開くとその口からは炎が吐き出されたではないか。
たまらず跳び下がった嘉内を追って、さらに敵将は炎を……。
放とうとしたところに、横合いからエスメラルダの三連装砲が襲いかかった。
「全砲塔、エネルギー充填完了!」
両肩と両腰近くに据え付けられた三連砲塔、合わせて12門の砲口から、エメラルド色に輝くビームが放たれた。
「ぐおおッ!」
「続け、牽ッ!」
「おうよ!」
それとほとんど同時に、エスメラルダとは逆の方向に駆けていた牽も追い打ちをかける。懐からジャラジャラと音を立てる物を取り出したかと思えば、
「テメェの生命は、これでトビだ!」
と、それを投じたではないか。二索、四索、八索……見たところ、それは麻雀牌のようであったが……。
日頃の鍛錬によるものか、重装型戦艦級海戦装『肥後』に据え付けられた砲塔から放たれたビームは敵を夾叉することさえもなく一点へと襲いかかり、まさに嘉内を焼き尽くさんとしていた龍の口を粉砕した。
牽の投じた麻雀牌に見えたものはひとつひとつが爆弾であり、
「よぉし、いいヒキだ。……緑一色、役満ッ!」
最後の1枚をギリギリと盲牌した牽が敵将に叩きつけたのは、「發」であった。
「ぐぅ、う……」
エスメラルダによって破壊されたところに追い打ちをくらい、自らが蓄えた火炎の燃料に引火して龍の口は炎に包まれる。
「し、しっかりせよ!」
「おのれぃ!」
次々と上がる怒声とともに、敵将の四肢が分離した。そのひとつひとつが意思を持つかのように、牽を取り囲んで襲いかかる。
「やっぱり五体合体か! まるで『最終人類史』の何かのアニメで見たような攻撃じゃねェか!」
少年だった頃の心をくすぐる攻撃だが、眺めている場合ではない。見た目はアニメのようであれ、次々と襲い来る攻撃は苛烈なものである。繰り出された右足の強烈な蹴りは『空蝉人形』を盾として避けることができたが、続く左手の拳は避けきれなかった。とっさに跳んで衝撃を殺したものの、押さえてみるとかなり痛む。そうとうに大きな痣になっているに違いない。
「不意打ちとは卑怯なり!」
エスメラルダには、龍の炎を宿した十字槍が襲いかかる。『緑の大盾』で防ぐだけでもその炎熱で手が焼けた。
だが、
「卑怯?」
と、エスメラルダは片頬を釣り上げた。
「ここは戦場だ。ならば、眼前の敵から注意をそらしていた貴様らが迂闊なのではないか?
よく、その有り様で龍造寺四天王を名乗れたものだな!」
「なにをッ!」
「よせ。確かに、我らが迂闊であったわ」
激昂する龍造寺四天王を、龍造寺四天王が押し留めた。
「だが、我等龍造寺四天王からその名を奪うような物言いは許せぬッ!」
「くッ……!」
連続突きの衝撃で、構えた盾が流れた。敵将はエスメラルダの胸を貫こうと槍を振り上げたが……。
「待たせたな、嘉内! エスメラルダとオレが刻み込んだ傷を、更に拡げてやれ!」
「むむッ!」
「……視えた! 照準も、OKッ!」
嘉内の携行した砲……両肩と両腰に装着されたアームドフォート用ビーム砲『マギア・アステール』が、星光の魔力を蓄えて砲口を輝かせている。
「この一撃で……仕留めるッ! 逝けよやぁ!」
敵が晒した弱点とは、言うまでもなくエスメラルダと牽によって打ち砕かれた龍の口である。4門の砲と、さらに脚部に装着したポッドから放たれたミサイルが、敵の胸部をさらに打ち砕く。
「お、おお、お……!」
「御先祖、あとは任せた!」
龍造寺四天王は散々に砲撃を浴び自らも燃え上がりながらも、炎を放っていた。『翠緑天鎧』を焼かれつつも、嘉内は声を張り上げて清政を呼んだ。
「心得た! それがしが一槍、馳走して進ぜよう!」
片鎌槍を構えた清政が地を蹴って突進する。
エメラルド色の闘気を全身に纏って進む清政は、燃え盛る敵の炎を払い除け、一気に懐へと飛び込む。
「遠慮は要らぬッ!」
「く……!」
龍造寺四天王はとっさに身を捩ったが、清政の槍は鋭く龍造寺四天王の左肩を浅く裂き、力を込めて引き戻せば、鎌がその肩を深々とえぐり取った。
「ぐお……」
「むむむ、これで勝ったと思うでないぞ!」
「然り! 我等龍造寺四天王が、隆信様が肥後を制し島津も大友も平らげ、九州の主となるお力になるのだ!」
「ここで斃れるわけにいくものかよ!」
敵将が片手で繰り出す槍と打ち合いながら、清政も怒鳴り返した。
「それは、それがしとて同じよ!
肥後を押さえし勢力こそが、九州統一に一手先んじられるとのこと!
なれば、それがしらディアボロスが、日向国に続き肥後をも押さえるといたす! そして、九州奪還に至る道を邁進せん!」
十文字槍を弾き返された龍造寺四天王は、これまでに受けた傷によってか、よろよろとよろめいた。しかし、体勢を整えることは不可能であった。エスメラルダと嘉内による砲によって常に狙われており、かろうじてそれを避けたかと思ったところに、牽の爆弾が投げ込まれるのである。
清政は槍をしごき、
「この一撃は、九州を奪還する意思の証! 貴様の命をもって、その狼煙としてくれよう!」
「ぐ……ぬ」
体ごとぶつかるように突進した清政の槍は片鎌の部分さえ突き抜けて握りしめる手元まで深々と、敵将の胸を貫いた。
「龍造寺四天王、討ち取ったり!」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【平穏結界】LV1が発生!
【光学迷彩】がLV2になった!
【エイティーン】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV3になった!
【ロストエナジー】がLV2になった!