リプレイ
レイラ・ウルブズ
《月蔦》
折角だからと今年仕立てた浴衣を身につけ、リヴィエラの故郷イタリアの収穫祭へ
「そうでしたの?秋はどこも収穫祭の時期ですのね」
自身の故郷でもこの時期は同じように行われていたけれど、より特別に感じられ心が踊る
「是非。良い香りがしていてお腹が空いてしまいましたわ」
屋台から漂う秋の味覚の香りにお腹が空いたと悪戯ぽく急かす
とは言っても少食で、それを見越し選んでくれたおつまみ系の茸料理
生のポルチーニは初めてで、彼が好きならと物珍しそうに一口
「ええ、初めて見ましたの…ん、美味しい。確かにワインに合いそうで、つい飲み過ぎてしまいそうだわ」
香りのいい茸とワインを楽しみ、次に勧められたカスタニャッチョも試すと彼の言う通り仄かな甘さが優しくて美味しい
どちらもとても気に入ったと心から微笑みかて
「観光ならあの子達も連れて来ませんとね」
お留守番のサーヴァントも一緒にと肩に寄り添い
彼の過去を自分達との幸せな思い出に塗り替えてしまおうと思いながら提案に頷く
秋の実りのように、彼へ幸せが沢山実るようにと願いながら
リヴィエラ・ラルトラス
《月蔦》
「秋の収穫祭か。そういえば、この時期はよく開かれていたな」
現代地球の北イタリア出身。
どこか懐かしくも感じる祭りを、レイラと共に楽しめる事が嬉しい。
ましてや、新しい仕立ての浴衣も着てくれるだけでも嬉しさは増す。
「せっかくだし、ワインと一緒にキノコ料理楽しもうか」
用意されたワインと、少食な狼の事も考えてワインに合うおつまみ系を選ぶ。
生のポルチーニ茸にチーズやクリームソースを添えたものは、特に馴染みがないだろうからと選んでみる。
「これ、馴染みの無いメニューだろ?俺も頻繁に食べていたわけじゃないが、お酒を飲むようになってからは好きになったメニューなんだ。あ、このカスタニャッチョっていうスイーツも、なかなか美味しいぜ?」
甘さ控えめだからこそ自分も好んで食べていた。
仄かな甘さがどこか懐かしく思いながら、気に入ってもらえたかと気になって。
「今度来る時は、ゆっくり観光もしようか」
故郷での過去を幸せな思い出に塗り替えたいから、そんな思いも込めた提案。
故郷の味を楽しみながら、今の幸せを享受しよう。
●
秋の柔らかな日差しが照らす町には、すでに多くの人が集まっていた。
風に乗って耳に届く会話は、聞き慣れたイタリア語。秋祭りの雰囲気含めて感じる懐かしさに、リヴィエラ・ラルトラス(Cavaliere dell'Alba・g10778)は紅い瞳を細めて笑った。
「秋の収穫祭か。そういえば、この時期はよく開かれていたな」
「そうでしたの? 秋はどこも収穫祭の時期ですのね」
声に傍らを見れば、小さく首傾げるレイラ・ウルブズ(Lady Wolf・g10776)の姿がある。リヴィエラにとっては出身地である、北イタリア。周囲へ巡らせる彼の視線がいつもより輝いているのは、ここに愛しい人と共に訪れられた喜びと、そして――。
「新しい浴衣も、似合ってるな」
そっと彼女の腰を抱き寄せて、甘く囁く。今年仕立てた浴衣姿のレイラは、リヴィエラの言葉に嬉しそうに頬を染めた。秋色の小花が香るような衣を纏い、髪と帯には優しく絡みつく蔦を飾って。レースとリボンをあしらった浴衣は、イタリアの街並みにも馴染んでいた。
恋人の新鮮な姿を堪能していると、ふわり鼻をくすぐる秋の香り。月下美人の香に負けない美食の風に、リヴィエラは口の端を上げて足を踏み出した。
「せっかくだし、ワインと一緒にキノコ料理楽しもうか」
「是非。良い香りがしていてお腹が空いてしまいましたわ」
悪戯っぽく笑うレイラは、腕を絡めて恋人と歩き出す。メニューは勝手知ったる彼にお任せで。店と屋台を手早く回って料理を揃えた二人は、街並みがよく見えるテーブルに腰を落ち着けた。
グラスには、お揃いの白ワイン。ふわりブドウの香り漂わせるお酒に合わせるのは、きのこ使ったおつまみ達。小食なレイラが摘まみやすいよう、かつイタリアの美食が楽しめるように。リヴィエラは選んできた料理の中から生ポルチーニ茸にチーズやクリームソース添えた前菜の皿を、レイラの前に置いて微笑んだ。
「これ、馴染みの無いメニューだろ? 俺も頻繁に食べていたわけじゃないが、お酒を飲むようになってからは好きになったメニューなんだ」
懐かしさに笑んで、自身も一口。そんな彼の姿を見て、レイラは初めての生ポルチーニ茸をそっと口へ運ぶ。
「……ん、美味しい。確かにワインに合いそうで、つい飲み過ぎてしまいそうだわ」
噛みしめればぎゅっと程よい弾力を感じて、鼻に抜ける香りがよい。続けてワインに口付ければほうっとため息が零れて、レイラは続けて二口目も楽しむ。ゆったり味わう恋人に笑み浮かべたリヴィエラは、チーズや生ハム、キノコたっぷりのパスタを摘んで、最後に焼菓子を引き寄せた。
「このカスタニャッチョっていうスイーツも、なかなか美味しいぜ?」
甘さ控えめだからこそ、自分も好んで食べていたと。語りながら切り分けて、自身の分を頬張れば仄かな甘さがどこか懐かしい。レイラも気に入ってくれただろうか、と視線向ければ、彼女は星色の瞳を細めてリヴィエラを見つめていた。
仄かな甘さが優しくて、美味しい。レイラの整った唇が故郷の味について語る。そんなことがとても嬉しくて、リヴィエラは恋人との距離を詰めて、甘い声で囁いた。
「今度来る時は、ゆっくり観光もしようか」
故郷での過去を、幸せな思い出に塗り替えたいから。そんな願いも篭めた提案にも、レイラはにっこりと笑って頷いてくれる。
「観光ならあの子達も連れて来ませんとね」
今日はお留守番の二人のサーヴァント、プルケリマとキャプレットのことを想う。二人にとって、家族である二体。彼らもきっと、秋のイタリアの穏やかな日差しも、美味しい料理も楽しんでくれることだろう。そうして、自分達との幸せな思い出をいっぱいにして、彼の過去を塗り替えよう。
リヴィエラの肩にもたれながら、レイラはそっと瞳を閉じる。この秋の実りのように、彼へ幸せがたくさん実るようにと祈りながら。――そして、その幸せな時、自身は必ず彼の隣にいるのだ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【完全視界】LV2が発生!
効果2【ダメージアップ】LV2が発生!
南雲・葵
【箱家】
秋と言えば、食欲の秋!
アンナは素敵なお誘いありがとー!
良かったらアンナとマリアも一緒にごはん食べよ?
お勧めの料理教えてよ。
本場のイタリアン楽しみにしてたんだよね~
ピッツァにパスタにリゾット、メインをどれにするか悩む
…そっか、俺は梓と半分こ出来るからパスタとリゾット両方頼もう!
あ、ピッツァはみんなでシェアしない?
勿論、飲める人はワインいっちゃうよね?
フウガは成人記念かー
よし、高いの頼んじゃおう!
えー、では、僭越ながら乾杯の音頭を。
ん、ん。
イタリア奪還と秋祭りにかんぱーい!
うっわ、キノコ美味い!
香りが凄いなー
ヤバイぞコレ、ワインにもよく合うし、ワインも高いだけあってうまーい!
あ、朱士さんの煮込みも美味そう!
ワインに生ハムも合わせたいッ
流石美食の国なだけあるな…
さてさてお次はお楽しみのドルチェ!
種類も多くて悩むなー
梓は栗のジェラート?
どれも美味しそうで俺は決められないからアンナにおススメを聞こう
甘い物は別腹!
エスプレッソでドルチェを楽しんだら、お土産に焼き栗を包んで貰おう!
橘樹・六華
【箱家】
呼び方は名前にさんづけ。
わーいみんなでご飯!私きのこ大好き!生のマッシュルームも食べられるんだね。
サーヴァントと一緒だとご飯わけっこできるんだねぇ…ちょっと羨ましいかも。
どれも美味しそう。えーと私はぼるちーに茸のパスタにしようかな?
リゾットとわけっこ?いいよ!私も気になってたんだ。こういう時って体がたくさん欲しくなるよね。おいしいのいっぱい食べたいもん。
それとマッシュルームが気になるサラダも。あ、フウガさんありがと!生だとマッシュルームってどんな味かなぁ。
カンパーイの飲み物はオレンジジュース!わいんは飲まないでおくね。一応成人年齢に達したけどお酒慣れてないし、皆にお世話かけちゃったら嫌だもん。
…え、フウガさん同い年なの…?!年上だと思ってた。私も年相応にした方がいいのかなぁ。
デザートは栗のジェラートにするよ。初めて栗のアイス食べるからどんな感じかな?
モンブランとか甘露煮みたいに濃厚なのかな?たのしみー。
空木・朱士
【箱家】
アンナは楽しそうな祭りに誘ってくれてありがとうな。
今日の俺は飲む気満々だぜっ。
つっても、がぶ飲みで泥酔するような不粋な飲み方はしないぞ。
普段はワインあんまり飲まないんで良し悪しはそんな分かる訳じゃないけど店の人にお薦め聞いたりして料理も楽しみながらゆっくり飲み比べしたい。
俺はポルチーニ茸のフリットと煮込み料理、あとチーズにしよっかな。
ピッツァもシェアしたい。
お、乾杯良いな!
葵の音頭に合わせてグラスを掲げ。
ついにフウガと酒を飲めるようになるなんて感慨深いなぁ。
その土地の料理を、空気を実際に感じて街の景色を見て作ってくれた人の顔を見て…
そして、仲間と愉しく他愛ない話したり笑いあったりしながら食べるのってより一層旨く感じるな。
皆がデザート食べてる間に俺は焼き栗でもうちょっとワイン飲もう。
焼き栗剥いて食べてワイン飲んで、また剥いて食べて飲んで…無限にイケそうな気がするー。
ん? そういう實生も気持ちいい食べっぷりだな!
今日飲んだなかで一番気に入ったワインを土産にボトルで買って帰ろうっと。
フウガ・ミヤビ
【箱家】
今日はイタリアの秋の味覚を楽しめるんですね。
アンナさん、マリアさん、お誘いありがとうございます。
ボクはポルチーニ茸のパスタと、マッシュルームのサラダと生ハムを。
それと、ボクも二十歳になったのでワインを頂きたいと思います。
六華さん苺依夢さん、ボクがサラダを頼むので、良ければ取り分けましょうか?
あ、ボクもピッツァ一切れ頂きます。
乾杯の号令でグラスを掲げ、初めてのワインを頂きます。
香りが良いですね……比べたことが無いので分かりませんが、慣れたら美味しく思えるのかな?
グラスワインを開けたらオレンジジュースと交換しましょう。
アルコールで多少フワフワした気分で、料理に舌鼓を討ち皆さんと料理と会話を楽しみます。
デザートは、悩みますね……
折角ですので、栗を使った本場のジェラートを頂きます。
ポルチーニ茸も美味しかったですが、栗も美味しいです!
これは、後でお土産にジャムやペーストも買って行った方が良いですね。
舟橋・苺依夢
【箱家】
「わあ、もうすごくいい匂いがしてる!」
目に映る美味しそうな料理の数々に、テンションが一気に上がる。活気に満ちていて、私も早速お祭り気分に浸っちゃう!マリアさん素敵なフェス会場だね!
わたしはポルチーニ茸のリゾットにしようかな。
あ、葵さんと梓さんが分けっこしてる…!橘樹さん、もしよければせっかくだし少しずつ取り分けてシェアしない?
フウガさん、取り分けてくれてありがとう!サラダも美味しそうだねー
食べたら、あまりの美味しさに思わず目を閉じちゃった。うーん、美味しいっ!
ピッツァはたくさん食べられる一角さんがいるなら、いろんな味を試してみたいなーとか思っちゃう。
私はまだお酒はちょっと早いから、ジュースで乾杯っ!楽しそうにワインを味わう様子を見ると、いつか私もあの輪に入りたいって思っちゃう
デザートはやっぱりジェラートは外せないよね。ピスタチオのジェラート、色も可愛いし美味しそう!
お土産はマロンクリーム
それでお菓子を作って、今日来たみんなや、来れなかった人にもおすそ分け
一角・實生
【箱家】
立ち並ぶお店から漂う美味しい秋の味覚の香り
心弾ませた皆の姿に俺も期待で翼が膨らむ
俺はどれにしようかな
目にするものはみんな美味しそうで……俺、大食いだし全制覇できそうな気もする
ピッツァのシェアいいね、賛成
何枚かあっても食べきれるかな? きのこたっぷりのピザが気になっていてさ
ポルチーニ茸のパスタときのこのパンは必須として
後はお店の人が勧めるままに注文して受け取っていけば
……ん、持てるかな。バランスが
南雲さんに頷くよ
うん。ワイン飲みたい
グラスを軽く掲げて――乾杯!
フウガさんは初ワインなんだね、それじゃあそれも併せて乾杯しなきゃ
俺もワインの味はまだよく分からないけれど
皆と一緒に賑やかに飲んで食べればとっても美味しく感じるから不思議だ
(※酒は相当強い部類)
デザートには栗のジェラートを頼もう
空木さんはおいしそうに飲むなあ
最後はレモンコーヒーを注文
イタリアはレモンの一大産地と聞いたことがあってさ、飲んでみたくて
ん、酸味が不思議でおいしい
後はお土産に栗のジャムを買おう
リボンを巻いて貰い贈り物に
●
「わあ、もうすごくいい匂いがしてる!」
【トレーラーハウス】の面々と共に町へやってきた舟橋・苺依夢(sweet holicᕱ⑅ᕱ・g06048)は、周囲に漂う美食の香りにピンク色の瞳を輝かせた。あちこちのテーブルを見れば、美味しそうな料理達があなたも食べてと誘っているようで。一気にテンションが上がった少女は、みんなで座れる席を求めて駆け出した。
「あそこの席とかどうかな? 後から合流する人がいても座れそうだね」
苺依夢の後ろを行き、町の一角を示したのは一角・實生(深い潭・g00995)だ。大きなテーブルに周囲から椅子を集めれば、今いる面子より増えてもみんなで食事ができそうだ。確保しようと近付けば、ふわり漂う秋の味覚の香り。期待に翼も膨らむ實生は、仲間を手招きすると必要な数の椅子を集め始めた。もちろん、面々もそれに協力する。
オラトリオの梓の分の椅子を用意していた南雲・葵(バールの人・g03227)は、イタリアの街並みに見知った顔を見つけ仲間達に一声かけてから追いかける。
「アンナ! 素敵なお誘いありがとー!」
明るく言葉投げかければ、振り返った時先案内人の少女も微笑みを浮かべた。
「葵さん、こちらこそ誘いに乗ってくれてありがとう。今日は旅団のみんなと一緒なのね」
「うん、良かったらアンナとマリアも一緒にごはん食べよ?」
お勧めの料理教えてよと葵が頼めば、もきゅ! と元気よくモーラット・コミュが鳴いてついていこうとする。マリアにとっても、葵と梓は大好きなお友達なのだ。ご機嫌に毛玉揺らす姿に苦笑しながら、アンナは遠慮がちに口を開いた。
「ご迷惑でないのなら、ぜひ。葵さんの旅団のみんなには、グランダルメでお世話になったお礼も言いたいし……」
誘いに応じる返答に、嬉しそうな葵の笑顔。彼らがテーブルへと近付けば、椅子を揃えた仲間達もアンナを快く迎えてくれた。
「アンナは楽しそうな祭りに誘ってくれてありがとうな」
「今日はイタリアの秋の味覚を楽しめるんですね。お誘いありがとうございます」
「素敵なフェス会場だね!」
空木・朱士(Lost heart・g03720)が、フウガ・ミヤビ(風来楽師・g06359)が、誘いの礼を時先案内人とその相棒に伝えると、輝かんばかりの笑顔の苺依夢が喜びを告げる。楽しんでくれて嬉しいわ、とアンナが答えた後、座席決めた仲間達は近くのレストランへ料理を注文するため入っていった。
「わーいみんなでご飯! 私きのこ大好き!」
にこにこ笑顔を浮かべて店内を眺めた橘樹・六華(常葉雪片・g03430)は、厨房の片隅に山積みにされた生マッシュルームに釘付けになった。缶詰の水煮マッシュルームは薄茶に色付いているものだが、サラダに用いられる生マッシュルームは真っ白なのだ。形には馴染みがあってもまるで別物のようで、どんな味がするのだろうと惹かれてしまう。
その横で、メニューに目を通して悩むのは葵だ。
「本場のイタリアン楽しみにしてたんだよね~」
語りながらざっとメニューを読んで、彼はメイン料理をどれにするかで迷う。ピッツァにパスタにリゾット――どれもとても美味しそうでひとつに絞ることができない。
うーんと唸る葵の横で實生もメニュー見て考えているが、こちらは選択を迫られた様子はなく。
「……俺、大食いだし全制覇できそうな気もする」
呟くと、實生はポルチーニ茸のパスタを注文した。他におすすめは、と店員に尋ねれば、前菜にきのこのマリネやチーズ、生ハムとサラミを勧められる。じゃあそれもと次々に注文して受け取っていくと、實生の両手はあっという間に埋まってしまった。
「……ん、持てるかな。バランスが」
「實生はたくさん食べられていいなー! あっ……そっか、俺も梓と半分こ出来るんだ!」
彼の大食いを羨ましそうに見ていた葵は、突然名案を思い付いたと表情を輝かせる。首傾げる梓を手招きし、一緒にメニューを見てシェアして食べるものを選ぶ。
「サーヴァントと一緒だとご飯わけっこできるんだねぇ……ちょっと羨ましいかも」
ポルチーニ茸のパスタを注文しながら、言葉を零すのは六華。今度は葵が羨ましがられる側になってしまった。そんな呟きを耳にして、苺依夢が彼女に声掛ける。
「橘樹さん、もしよければせっかくだし少しずつ取り分けてシェアしない?」
「リゾットとわけっこ? いいよ! 私も気になってたんだ」
素敵な提案に、頷かないわけがない。こういう時って体がたくさん欲しくなるよね、と笑う六華だけれど、おいしいものを少しずつわけあって食べるのも楽しいに違いない。わけて食べられるならあの生マッシュルームも……なんて厨房奥をじっと見ていた六華は、ふっと微笑むフウガの声に顔を上げた。
「六華さん苺依夢さん、ボクがサラダを頼むので、良ければ取り分けましょうか?」
「いいの? フウガさんありがと!」
「サラダも美味しそうだねー」
喜びに声上げる女子達に、フウガも嬉しそうに笑み浮かべながら注文する。生マッシュルームのサラダと、ポルチーニ茸のパスタと、それから生ハム。取り皿を用意してもらっていると、朱士の頼んだポルチーニ茸のフリットと煮込み料理、チーズも出来上がってきた。
「あ、ピッツァはみんなでシェアしない?」
すっかり出来上がったシェアの輪に、乗らない手はない。葵が提案すれば皆が頷いて、特に實生が嬉しそうにメニューのピッツァの欄を指差した。
「何枚かあっても食べきれるかな? きのこたっぷりのピザが気になっていてさ」
シンプルなマルゲリータも、ジェノベーゼもシェアするなら食べられそう。すでに持ち切れないほどの料理を手にしていてもぺろり平らげそうな勢いで語る實生に、苺依夢がクスクス笑って言葉紡ぐ。
「一角さんがいるなら、いろんな味を試してみたいなー」
そしてレストランでの購入を終えて、皆は確保しておいたテーブルに料理を広げた。きのこたっぷりパンも食べるのだと屋台へ向かおうとする實生を呼び止めて、ドリンクの屋台を指差すのは葵。全員分の飲み物を、まとめて注文してしまおうと思ったのだ。
「勿論、飲める人はワインいっちゃうよね?」
にやり、琥珀色の瞳輝かせて笑う葵の誘いに、實生と朱士がすかさず頷く。
「うん。ワイン飲みたい」
「今日の俺は飲む気満々だぜっ」
この料理ならやはり白か、いやしかし濃厚な香りのきのこならば赤も――なんて言葉交わす成人組に、すっと手を挙げたのはフウガで。彼は穏やかな碧眼を仲間達に向けると、控えめに口を開いた。
「ボクも二十歳になったのでワインを頂きたいと思います」
「お、そうか。ついにフウガと酒を飲めるようになるなんて感慨深いなぁ」
「成人記念かー。よし、高いの頼んじゃおう!」
返る反応は、どれもフウガの成人を祝うもので。嬉しそうに微笑むフウガだが、六華は一人瞳を瞬いていた。
「……え、フウガさん同い年なの……?! 年上だと思ってた」
物腰柔らかで落ち着いた雰囲気のフウガだから勘違いしていたが、誕生日も近かったらしい。その衝撃に自分も年相応に振る舞うべきだろうかと考える六華だったが、とりあえず今日の飲み物はワインはやめておく。まだアルコールには慣れていないし、万が一皆に迷惑がかかるようなことがあったら六華が嫌なのだ。彼女がオレンジジュースを頼めば、未成年組の苺依夢も、そして梓とアンナもジュースを希望した。
葵と朱士が皆の飲み物を注文しに席を離れると、その間に残った面々は取り皿を並べて料理を取り分ける。ポルチーニ茸ふんだんに使ったパスタと、リゾット。複数枚購入したピッツァに関しては、店で切り分けてもらってある。各自好きな味を自分で取ればいいだろう。
「はい、六華さんと苺依夢さんの分です」
フウガは女子二人にそう告げると、取り分けた生マッシュルームのサラダを差し出した。イタリアでは、サラダはドレッシングなどかけずに提供される。サラダを注文した人には代わりにオリーブオイルや酢などが瓶で出されて、人々は自分でサラダにそれらの調味料をかけて思い思いの味で食すのだ。フウガが注文したサラダには、店外で食べる彼らのために使い切りサイズの調味料がついてきた。
必要なものが揃ったら、いよいよお食事タイムの開始だ。香り立つイタリア料理を目の前に心弾ませる団員達を見て、葵はすっと立ち上がりグラスを手に取った。
「えー、では、僭越ながら乾杯の音頭を。ん、ん」
「お、乾杯良いな!」
「フウガさんの初ワインも併せて乾杯しなきゃね」
朱士が、實生が同意して、ワイングラスを引き寄せる。女子達の掲げるグラスには、夏の恵み閉じ込めたようなブラッドオレンジジュースが揺れていて。
「イタリア奪還と秋祭りにかんぱーい!」
「カンパーイ!」
明るい声を交わし合い、彼らは乾杯と共にグラスに口付ける。フウガにとっては初めてのワイン――そっと口に含んだ彼は、鼻に抜けていく芳醇な香りにほうっとため息を零した。と、その傍では同じく一口飲んだ葵が感嘆の声を上げる。
「高いだけあってうまーい! うっわ、キノコも美味い! ヤバイぞコレ、ワインにもよく合うし!」
ワインときのこ料理との無限ループを始めた葵見て、成人組が笑み浮かべる。
「香りが良いですね……比べたことが無いので分かりませんが、慣れたら美味しく思えるのかな?」
未だアルコールの味にぴんとこない様子のフウガが首傾げれば、ぐいっとグラスをあおった朱士が相槌を打つ。
「俺も普段はワインあんまり飲まないんで、良し悪しはそんな分かる訳じゃないな」
だからこそ、今日は店の人にお薦めを尋ねたりして飲み比べを楽しみたいと。語れば深く頷いた實生が、一杯目の白ワインを空にしながら言葉紡いだ。
「俺もワインの味はまだよく分からないけれど、こうやって皆と一緒に飲んで食べればとっても美味しく感じるよね」
賑やかに、飲んで食べて。そんな空間がなによりもお酒を美味しくしてくれるのが不思議だ。すると朱士もうんうん頷き、仲間と愉しく話したり笑い合ったりしながらとる食事は一層旨く感じると語る。
「その土地の料理を、空気を実際に感じて街の景色を見て作ってくれた人の顔を見て……こういうのがいいんだよな」
言葉紡ぎつつ、きのこたっぷりの煮込み料理を一口。旨味がたっぷり広がっていくのに思わずにんまりしていたら、それ見た葵が身を乗り出す。
「あ、朱士さんの煮込みも美味そう! ワインに生ハムも合わせたいッ」
流石美食の国なだけあるな……。あれもこれもと欲張りな葵が零した言葉は真剣そのものだったから、仲間達は思わず吹き出す。そしてあっという間にグラス開けた三人が二杯目の相談する姿を見て、フウガは自身も楽しく飲めるようになりたいと思うのだった。――今のところは、限界もわからないから一杯飲んだらオレンジジュースに切り替えるつもりだけれど。
「いつか私もあの輪に入りたいなぁ」
ワイン飲む成人組の様子が楽しそうで、憧れの視線向けるのは苺依夢だ。彼女も年齢的にはもうすぐ解禁なのだけれど、その時に楽しく飲めたらいいと思って――そのままリゾットを一口食べれば、そのあまりの美味しさに思わずきゅうっと目を閉じた。
「うーん、美味しいっ!」
「パスタもサラダも美味しいね。いっぱい食べられて嬉しい!」
落ちそうなほっぺを押さえる苺依夢の横では、六華も喜びに満ちた顔で皿に盛った料理を口に運んでいく。
シェアしたピッツァも、各自望むままに――結局食べ切れない者がいてその半分以上は實生が引き取ることになったのだけれど、全て平らげたトレーラーハウスの面々はある屋台に視線向けたまま立ち上がった。
「さてさてお次はお楽しみのドルチェ!」
「やっぱりジェラートは外せないよね」
葵の別腹宣言に、追従する苺依夢。他にもジェラート食べたいと言う仲間達と共に、彼らは屋台へと近付いていった。
一番人気は栗のジェラート。六華とフウガと梓がカップに盛られた秋の甘味を喜んで受け取れば、ピスタチオ選んだ苺依夢も優しい緑色を手ににっこり笑顔。どの味にしようか迷いに迷った葵は、アンナにおすすめはどれか尋ねてみる。すると時先案内人の少女は真剣な表情で並ぶジェラートを眺めて、濃い茶色のチョコ味を指差した。
「レモンやピスタチオも好きなのだけれど……葵さんは梓さんの栗のジェラートもわけてもらうでしょう。栗と合わせるなら、チョコがおすすめかしら」
選んだ理由を語りながら、アンナもチョコと栗のダブルにしたジェラートを注文する。もきゅきゅ! とちょうだいアピールするマリアには、イチゴ味をひとつ頼んで。
栗ジェラートを手に席に戻った實生は、先に戻ってきていた朱士の隣に座ってちらり手元を見る。いつの間にか焼き栗を買ってきて、今はそれをつまみにワインを飲んでいるようだ。皮を剥いた焼き栗を口に放り込み、次の皮を剥きながらワインを飲む。
「無限にイケそうな気がするー」
皮剥きの時間がちょうどいいインターバルになって、朱士は思わず声を上げる。今日一番飲んでいるのが彼だけれど、酒気帯びつつも泥酔する程ではなく、適度に楽しんでいるようだ。満喫中の朱士を見て、實生は微笑みジェラートを口に運んだ。
「空木さんはおいしそうに飲むなあ」
「ん? そういう實生も気持ちいい食べっぷりだな!」
栗ジェラートを味わう彼に言葉返して眺めれば、ドルチェの横にはレモンコーヒーも置かれている。イタリアでは『エスプレッソ・ロマーノ』の名で親しまれているレモンコーヒー。イタリアにはレモンの一大産地と聞いたことがあって飲んでみたいと思ったのだ。コーヒーとレモン、それぞれ異なる酸味が調和して、不思議な美味しさを感じられる。その傍では葵もエスプレッソをジェラートと共に楽しんでいて、飲み干した時に満足げなため息を零した。
「これは、お土産にジャムやペーストも買って行った方が良いですね」
ポルチーニ茸に続きイタリアの栗も気に入ったフウガが語れば、仲間からも頷きが返る。そう、満腹になっておしまいなのではなく、次はお土産を買う時間が待っている。栗のジャムにペースト、焼き栗、マロンクリーム。たくさんワイン飲んだ朱士は、一番のお気に入りをボトル買いして持ち帰るつもりだ。
今日の記念に、それから日本にいる誰かへの贈り物に。秋の味覚を手に取るトレーラーハウスの面々は、一日中笑顔で秋祭りを楽しんだのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【植物活性】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
【口福の伝道者】LV2が発生!
【強運の加護】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV2が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【凌駕率アップ】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV3になった!
シャルロット・アミ
【箱家】
旅団の皆さんとご一緒に
私たちは食べ歩きの班
美味しいものは綺麗な町並みを見ながら食べたいもの
この時期はやっぱり栗よね、モラさん!(「もきゅっ」)
りんご好きのモラさんもはずんでしまうほど
焼き栗の香ばしい香り!
アンナさんオススメのカスタニャッチョは勿論
マリトッツォもマロンクリームなら食べない理由はないわ
(海神さんに深く頷いて)
はい、モラさん、あーん(「もきゅー」)
ミレイさんとデュークさんや緒方さんとルカさんの
仲の良さには負けないとばかりに半分こ
ああ、でもフィリさんとフィニさんには負けちゃう!可愛い!
九重さんはね、うん、帰ったら彼女さんとね(ふふ)
でもきのこも美味しそう…なんて悩んでいるところを
現地の方に話しかけられたら笑顔でどうしたらいいか尋ねるわ
栗のペーストは買って帰るつもりなの
だってこんなに美味しいんだもの!
必要だったら残留効果も使用しつつ
現地の方とおしゃべりもできれば
アドリブ、連携歓迎です
ミレイ・ドリムータ
【箱家】
美味しそうな匂いがあちこちからするね。
屋台も沢山あるし、今日は色々巡って楽しもうね!
この香ばしい匂い……焼き栗だ!早速買っていこう。
ホクホクですっごく美味しい!ホラ、皆も食べてみて!(焼き栗の入った器を皆の方に差し出し)
生絞りジュースも爽やかで良い香り。オレンジジュース1杯くださーい!
ピッツァの食べ歩きしたの初めてだけど、なんだかちょっと楽しいね。
きのこたっぷりで美味しいよ。デュークも一口食べてみる?
(肩の上に乗ったスフィンクスに一口千切ったピッツァを差し出し)
バイト先のメニューの参考になりそうなものも色々あるね。
焼き栗、お店で出せないか店長に聞いてみようかな?
アタシ達に話しかける現地の方々がいたら笑顔で対応。
ciao、楽しいお祭りね。おかげで楽しませてもらってるよ。
色々食べてお腹いっぱい!けど折角だからお土産も買っていきたいね。
さっき見かけたカスタニャッチョにしようか……けど栗のジャムも捨てがたいね。
そうだ、飲食スペースにいる皆の分も買っていこうかな。
フィオリスタ・エールシア
【箱家】
自分のこともフィオニスタ(g02511)のこともフィーと呼ぶ
みんなで食べ歩きだ〜!
いろんなお店にいい匂いでキョロキョロしちゃう…。迷子になったら困るからって、フィニに手を繋がれてしまった。
ミレイが持ってる焼き栗も、雫玖と古安のマリトッツォも美味しそう…。何から食べるか迷うよ〜。
フィニと2人でピッツァもパスタも半分こだね。きのこってすごいいい香りするんだねぇ。パスタも美味しいよ。
2人で分けながら食べたけどお腹いっぱいだよ〜。
あ!ジェラート?フィーは、レモンとマロンとオレンジにする〜。
フィニが買ったやつも一口ちょうだいね
みんなにジェラート買うの賛成!溶けないように気をつけて、急いでみんなのところ戻ろう!カラフルでキラキラで綺麗なの。みんなで食べたら絶対美味しいもんね
フィオニスタ・エールシア
【箱家】
自分のこともフィオリスタ(g02501)のこともフィーと呼ぶ
いい匂いがいっぱいだねぇ。色々あって目移りしちゃうよ…。バッチリお腹空かせてきたから、色んなやつ食べなきゃ!フィリと、逸れたら困るから手は繋いでてね
ピッツァとパスタは一人前ずつ買って、2人で分けよう。すごいきのこの香りがする…美味しいねこれ。
みんなが買ってるのも美味しそう。もっと色々買ってこようか…。
あ、ジェラートの屋台があるよ!2人でトリプルにしていろんな味を食べよう。フィーは、イチゴとチョコとピスタチオにするね。フィリは何にするのかな?
みんなで色々見て回るの楽しいね。
ジェラートとっても美味しかったから、みんなにも買って行こう!色も綺麗だから見ても楽しいよね。
九重・古安
【箱家】
旬のものは旬の時期に、本場の味は本場で食べるのが一番。
バイト先で作る料理の参考になるかもしれんし、しっかりと味わいたいところだ。
皆がどんなものを選ぶのか参考にしつつ、折角だから日本であまり見かけないものに挑戦したい。
デモンストレーションも兼ねて【飛翔】で上から品定めと行こう。
見て回りたいところは多いし、食べ歩きに良さそうなものがあれば……ふむ。二つ折りにしたピザのような、タコスのような。ピアディーニャ、というのか。
なるほどこれは食べやすいしちょうど良いな。オリーブオイルにハムとチーズの組み合わせが実にイタリアンだ。
和風スイーツのイメージが強い栗だが、イタリアでもポピュラーな食材なのか。
これは日本の栗との違いを調べるためにも是非とも食べてみたい。
ちょうど良い機会だし、少し前に日本で流行った時に食べ損ねたマリトッツォに挑戦だ。
あとは食べ歩きのついでにお土産用のマロンクリームも一つ試しに買っておこう。
スイートポテトに使うか、ホットサンドに使うか……もし美味しければ後日また買いに来たい。
緒方・敦司
選択肢②
【箱家】
旅団の皆と食い倒れに来た。
割と皆栗を食べてるなぁ。まあ、確かに栗は美味しいけれども。でも俺はキノコも気になるんだよな。秋の味キノコ入りパスタとかよくないか?
食べ歩きに適するように包んでもらってパスタを食べようか。それとワインもいいよな。秋の料理を食べながらワインも飲んでいい感じ。飲み過ぎない程度の飲酒ならいいよな。うん、美味いわ。
キノコパスタは俺のサーヴァント、ミニドラゴンのルカにも食べさせてやろうかな。
ほらルカ。美味いぞ、食っておくといい。
あ、やっぱり栗も気になるなぁ。
よし、栗も買っておこう。ほら、人が食べてる物って何でも美味しそうじゃないか?だよな。
海神・雫玖
【箱家】
沢山の屋台が並ぶ様は圧巻の一言に尽きますね
様々な美味しい匂いが漂ってお腹も空いてしまいますし、メニューの全制覇を目指してしまいたくなってしまいます……!
私はマリトッツォを購入しますね
以前雑誌で拝読しまして、とても気になっておりましたものですから……!
憧れのスイーツを美味しいマロンクリームで頂けますとは……!本当に夢のようです……!
此方の屋台ではきのこたっぷりのパンも販売されておりましたか
勿論そちらも頂きます
皆様が召し上がられている焼き栗やピアディーニャ、パスタ、ジェラートも非常に魅力的でございますね
サーヴァント様と分けっこをしているご様子も微笑ましく
彼方も此方もと思っておりましたら、あっという間に持ちきれなくなってしまいました
腕が2本しかない事をこれ程悔やむ日が訪れるとは思ってもおりませんでしたね……
現地の方のお勧めもお伺いしてみましょう
やはり此処は全制覇を目指すのみでしょうから……!
栗のジャムやマロンクリームはお土産に是非購入したく思います
お菓子作りに使ってみましょうか
●
町中のテーブルで【トレーラーハウス】の面々が楽しく過ごしているのと、同時刻。ミレイ・ドリムータ(新宿島で暮らすもの・g01550)は同じ旅団に所属する仲間達と共に、屋台が集まっているエリアに足を踏み入れていた。
「美味しそうな匂いがあちこちからするね。屋台も沢山あるし、今日は色々巡って楽しもうね!」
笑顔で振り返れば、そっくりの顔した双子達がきょろきょろと辺りを見回している。
「みんなで食べ歩きだ~!」
「いい匂いがいっぱいだねぇ。色々あって目移りしちゃうよ……」
赤と金の瞳をぱちぱち瞬かせながらフィオリスタ・エールシア(ゆめとうつつ・g02501)が声を上げると、フィオニスタ・エールシア(うつつとゆめ・g02511)は並ぶ屋台を観察しながら呟いて――それから、フィオリスタへとその手を伸ばした。
「フィー、逸れたら困るから手は繋いでてね」
「迷子になんてならないよ」
今すぐ美味しいものの元へ飛んでいきたいのに、片割れはそれを許してくれない。双子の少女は思わず口尖らせて言うけれど、言葉とは裏腹にその手はしっかりとフィオニスタの手を握り返していた。繋いだ手を、離したくはないのだ。
そんな二人の仲睦まじい様をにこにこと眺めながら、シャルロット・アミ(金糸雀の夢・g00467)は双子が揃って迷子にならないように、その後ろからついていく。今日の彼女らの目的は、この秋祭りでの食べ歩きである。皆で最後まで楽しく過ごすために、ちょっとだけ気を回しておきたい。
「美味しいものは綺麗な町並みを見ながら食べたいものね」
弾む気持ちを言葉に乗せて、イタリアの町を眺めながら軽やかに歩く。グランダルメ出身のシャルロットにとって、その景色は懐かしくも新鮮なものだった。すると、そこにふわり芳ばしく甘い香りが漂ってきて。
「この香ばしい匂い……焼き栗だ! 早速買っていこう」
いち早く香りの発生源を特定し、動き出したのはミレイだった。屋台を見れば大きな鉄板に、ごろごろ栗が並べられている。「この時期はやっぱり栗よね、モラさん!」
「もきゅっ」
エメラルドのような瞳輝かせてシャルロットが声掛ければ、モーラット・コミュの『モラさん』も嬉しそうにぴょこぴょこと跳ねる。モラさんの好物はりんごだけれど、焼き栗の香りだって惹かれる。今にもよだれをたりっと垂らしそうなモラさんに手を引かれて、シャルロットはミレイを追いかけた。
二人が紙の袋を受け取れば、ほんわり温かい焼き栗達がいっぱいに詰められていて。さっそくひとつを口に頬張ったミレイは青い瞳を見開いて、それから急いで仲間達の元へ戻ってくる。
「ホクホクですっごく美味しい! ホラ、皆も食べてみて!」
この感動を、皆と共有したくて。袋を差し出せばひとつずつ受け取って、食べた仲間達も幸せそうな表情を浮かべる。
焼き栗にも感動しつつ、周囲をぐるり見回すのは海神・雫玖(夜湊ノクティルカ・g10880)だ。青い瞳は穏やかな輝きを湛えているけれど、その視線は居並ぶ屋台に向けられているし、輝きの奥には燃える想いがあった。
「様々な美味しい匂いが漂ってお腹も空いてしまいますし、メニューの全制覇を目指したくなってしまいます……!」
まずは、小麦の香り漂うパンの屋台から。焼き栗屋台のすぐそばにお目当ての屋台を見つけて、雫玖は仲間達を誘う。求めるのは、少し前に日本でもブームとなったマリトッツォ。雫玖は、以前雑誌で読んでその存在を知り、ずっと気になっていたのだ。
「憧れのスイーツを美味しいマロンクリームで頂けますとは……! 本当に夢のようです……!」
「そうよね、マリトッツォもマロンクリームなら食べない理由はないわ」
両手を重ねてうっとりと語る雫玖に、シャルロットが深く深く頷いた。その傍らではモラさんが、シャルロットが全て剥いてくれた焼き栗をもっしゃもっしゃと食べている。
屋台を覗けばクリームぎっちりのマリトッツォが並んでいて、雫玖は『これが噂の……!』と感動の声を上げた。店員が笑顔で今回の目玉をアピールしてくれるものを見ると、白いクリームと茶色いマロンクリームが層になっている。目当てのマロンクリームのマリトッツォを包んでもらいつつ、きのこたっぷりのパンも忘れず買い求め。その場でかぶりつけば、あまーい美味しさに二人の顔もとろけてしまう。
「割と皆栗を食べてるなぁ。まあ、確かに栗は美味しいけれども」
仲間達が栗の甘味を堪能する中、緒方・敦司(人狼戦士・g10853)はそう呟くと周囲の屋台やレストランに視線を向けた。この秋祭りは、栗だけではなくきのこの料理も多いと聞いて来た。きのこのパスタとか、秋の味覚を楽しめるイタリアンを食べてみたい。
仲間達に声掛けて、一人離れた敦司は一軒のレストランへを入っていった。食べ歩きがしたいと伝えれば、店員は快くきのこのパスタを包んでくれる。ちゃっかりワインも勧めてきたので、使い捨てのグラスに一杯もらうことにした。仲間達と再び合流してから、包みを開ける。ふうわり立ち昇るポルチーニ茸とニンニクの香りに食欲刺激され、一口食べれば秋をいっぱいに感じる。
「うん、美味いわ」
本当に美味しいものを食べる時、漏れる感想はシンプルなものだ。口の端上げて笑んだ敦司はミニドラゴンの『ルカ』に持っていてもらったワインを受け取って、パスタと一緒にぶどうの香りも楽しんだ。そのまま、フォークに絡めたきのこのパスタをルカの口元に差し出す。
「ほらルカ。美味いぞ、食っておくといい」
それ見たルカは赤い瞳をぱちぱちさせた後、笑顔浮かべて嬉しそうに鳴いた。主のくれたパスタを、ぱくっと一口。翼をぱたぱたさせて喜ぶルカの姿に、ミレイも自身の肩の上のサーヴァントをちらりと見た。
「デュークも一口食べてみる? きのこたっぷりで美味しいよ」
スフィンクスの『デューク』は、待ってましたとばかりに尻尾をぱたり。ミレイがピッツァを一口分ちぎって掌に乗せ差し出せば、ぺろりと食べたデュークが満足げに鳴いた。
「モラさんも! はい、あーん」
「もきゅー♪」
サーヴァントと主の仲良しな姿を見せられて、負けないとばかりにマリトッツォを差し出したのはシャルロットだ。遠慮なくモラさんがかぶりつけば、白い毛玉にマロンクリームのおひげができあがる。その愛嬌ある姿にクスクス笑いながらシャルロットが拭いてあげていると、傍では双子が仲良くきのこ料理を満喫していた。
「すごいきのこの香りがする……美味しいねこれ」
「きのこってすごいいい香りするんだねぇ。パスタも美味しいよ」
フィオニスタがピッツァを齧って感想漏らせば、フィオリスタがパスタをくるくる巻いてフォークを差し出す。当たり前のように、一人前ずつのピッツァとパスタを半分こ。食べさせ合って無邪気に笑う双子を間近で見れば愛らしすぎて、シャルロットは堪らずモラさんをごしごし力篭めて拭いてしまった。
(「ああ、でもフィリさんとフィニさんには負けちゃう! 可愛い!」)
「もっきゅうう~」
仲良し分けっこの仲間達を雫玖が微笑ましく見ていると、空からふわり、九重・古安(巻き戻り路逸れる針・g02347)が舞い降りてくる。雫玖の手にあるマロンクリームのマリトッツォに気付くと、彼は興味深そうに視線を向けた。
「マリトッツォもよさそうだな。俺も後で買ってくるとしよう」
日本で流行った時には食べ損ねたから、ちょうどいい機会だ。日本の栗との違いを知るためにも是非とも食べてみたい。呟く古安の手には、温かな食べ物――ピアディーニャがあった。ピッツァを二つ折りにしたようでタコスにも似ている、手軽に食べられる料理だ。オリーブオイルとハムとチーズを挟んだイタリアらしい味が楽しめるメニューは、【飛翔】使ってあちこちの屋台を観察して見つけ出してきたもの。研究熱心な古安は、日本ではあまり見かけないものを探したくて、今まで仲間達と別行動をしていたのだ。
「旬のものは旬の時期に、本場の味は本場で食べるのが一番。バイト先で作る料理の参考になるかもしれんしな」
ふっと笑って古安がピアディーニャに噛り付けば、ミレイも楽しそうに笑った。
「アタシも、バイト先のメニューの参考にしようって思ってた。焼き栗、お店で出せないか店長に聞いてみようかな?」
そして二人で得た知識を語る内、ふとミレイは気付いた。周囲にいる一般人が、古安を見ていることを。
「見られてるね」
「ああ……【飛翔】はデモンストレーションも兼ねていたから、ディアボロスとしてアピールしておいたからな」
言われて見れば、人々は興奮した様子。初めて見たディアボロス、そしてその能力に、きっと驚いたのだろう。ミレイは明るい笑顔を浮かべると、興味津々な人々へ話しかけた。
「ciao、楽しいお祭りね。おかげで楽しませてもらってるよ」
イタリア語の気軽な挨拶ではじめれば、人々はワッと嬉しそうに声を上げた。近付き話しかけてくるイタリアの人々へ、仲間達も笑顔で言葉を返す。
「私、お祭りのお勧めメニューをお伺いしたいです……!」
「え? そんなにいっぱいあるのに、まだ食べるのかい?」
雫玖に尋ねられると、一般人は瞳を瞬かせた。あれもこれもと買い求めた結果、雫玖の手はもう持ち切れないほどいっぱいだった。腕が二本しかないことをこれ程悔やむ日が訪れるとは、と雫玖は思う。けれど目指すは全制覇なのだ。隠れたお勧めがあるならぜひ買い足したい。
「私もお聞きしたいわ。栗のペーストは買って帰るつもりなのだけれど」
シャルロットも加われば、人々はそれぞれのお勧めを語ってくれた。きのこなら、一本先の大通りに出ていたピッツァの屋台がポルチーニ茸たっぷりなのにリーズナブルで満足感が高いと。栗ならば、やはりカスタニャッチョを試してほしい。
「あのねディアボロスさん、カスタニャッチョとジェラート、両方頼んだらもっと美味しいよ!」
無邪気に子どもが指差す先には、カスタニャッチョの屋台とジェラートの屋台が並んでいる。今日はお祭りだから特別に両方食べられたんだ、と語る子どもは、ディアボロス達と話せて嬉しそうにしていた。
「じゃあアタシはカスタニャッチョをお土産にしようか……けど栗のジャムも捨てがたいね」
「栗のジャムやマロンクリームは、私もお土産に是非」
ミレイの言葉を聞きつけて、雫玖はずずいっと身を乗り出して言った。帰ったらお菓子作りに使って、秋の味覚をもう一度味わいたいのだ。
「マロンクリームなら俺も試しに一つ。スイートポテトに使うか、ホットサンドに使うか……」
「九重さんはね、うん、帰ったら彼女さんとね」
お土産話と聞いて古安も会話に加われば、シャルロットがふふ、と笑って意味ありげに言葉紡いだ。そう言えば、旅団の仲間達と南イタリアへ向かう依頼の時は、二人はまだ付き合っていなかったはずだ。良い変化が嬉しいからかけた声に、古安の方は『……む』とだけ漏らして沈黙で誤魔化した。
そしてディアボロス達は、お勧めされた屋台へと向かっていく。カスタニャッチョの屋台に近付けば栗の香りが広がっていて、先程まできのこ料理に関心向いていた敦司も惹かれてしまう。
「よし、栗も買っておこう。ほら、人が食べてる物って何でも美味しそうじゃないか? だよな」
言いながらひとつ買い求めれば、仲間達も一緒に注文する。
隣のジェラートに釘付けになったのは、フィオリスタとフィオニスタだ。お揃いの顔でじいっと色鮮やかなジェラートを見て、どれを食べようか考えている。二人分け合ったきのこ料理でもうお腹はいっぱいだったはずだけれど、この彩りを見たらもう少しだけいけそうに思ったのだ。二人でトリプルにしていろんな味を、と決めた双子は、指差しながら頼む味を決めていく。
「フィーは、イチゴとチョコとピスタチオにするね」
「フィーは、レモンとマロンとオレンジにする~」
そうして三色の山がこんもりのジェラートを二つ受け取れば、二人の瞳は宝石のように輝いた。スプーンでそうっと掬って食べれば、ひんやり冷たいのに濃厚な味が口いっぱいに広がる。
「美味しい! ねえフィー、ジェラートみんなにも買って行こう!」
「賛成! 溶けないように気をつけて持って行こう!」
フィオニスタが提案すれば、フィオリスタも頷いて。双子があれもこれもとジェラートを選んでいると、カスタニャッチョを買い終えたミレイが近付いてきた。
「みんなでジェラート? それなら、飲食スペースにいる皆の分も買っていこうかな」
別行動の仲間達とも、最後は合流して楽しみたい。ミレイの言葉聞いた皆が頷いて、面々はお土産を手に飲食スペースへと向かうことにする。
賑やかな、秋の祭り。この楽しい時間は、もう少し続くのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】がLV3になった!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【勝利の凱歌】LV2が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【狼変身】LV1が発生!
【過去視の道案内】LV1が発生!
効果2【凌駕率アップ】がLV2になった!
【先行率アップ】LV1が発生!
【ラストリベンジ】LV2が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV5になった!
梅指・寿
【忍庵】から参加よ。
20204年浴衣コンテストの浴衣を着ていくわね。夜を思わせる紺色の生地に鮮やかに咲く蝋梅が目印よ。
ウィリディスさんや樹さんに緒羽さんとで行くわ。トレインに乗る前から楽しみで仕方なかったの。
ぽるちーに茸?どんな茸なのかしら。茸と言ったら私は椎茸や松茸やえのきを思い出すのだけど、美味しいって聞くし楽しみだわ。
さっそくポルチーニ茸をたっぷりつかったピザを購入して一口…んむむっ!?(おいしさに吃驚して目を真ん丸にするおばあちゃん)
んむー!んむむーっ(このピザすごくおいしいわ!茸のいい匂いとチーズの塩気が絶妙で…皆も食べてみて!と言いたいけど口に物が入っているのでぱたぱた両手でジェスチャーしてムームー言うだけで精一杯)
ピザがのどに詰まったらいけないからジュースで喉を潤し…このブラッドオレンジのジュースもすごくおいしいわ!
イタリアって本当素敵な所ね。(きゃっきゃ)
お土産も買えるのね。それならマロンクリームを見繕ろって…焼き立てパンに塗って食べてみたいわ。
ウィリディス・ファラエナ
【忍庵】
梅指さん、閂さん、御守さんとわらびで収穫祭に出発だ
しかし皆いい浴衣だな。濃紺に金の梅、緋色に鴇色の紅葉、緑の濃淡に山吹が洒落てるやつ。折角だから俺も頭巾と道行きを藤鼠の立涌文にしてみた
異国の街を浴衣でそぞろ歩く、趣があるじゃないか。目的は食い物だがね
実は本場の味を食ってみたかったんだ
ほほう、本場のピッツァは随分シンプルだな。チーズもトマトも新鮮、美味い
パスタは種類多いな。これも美味い。茸が肉厚で噛むと香りがより強くなる
皆が食ってるのも美味そうだ。すまん、俺にも同じの頼む
店員にまだ食うの?みたいな顔されたが気にしない。閂さんもなかなか食ってるから俺はそれより大分多いだけです
梅指さんも…口に詰め込みすぎでは?お、布巾ありがとな御守さん。ほら梅指さん、ゆっくり食いな
しかし御守さん既にほろ酔いっぽいが大丈夫か?この後俺も有名らしいワイン頼むんだが、一緒に飲めるかね
土産も買って行くかな。各種パスタに具材にソースも箱買いで
後は皆に記念として洒落た鞄か小物でも買って渡したいな
閂・緒羽
【忍庵】
アドリブ歓迎
苗字にさん付け
梅指さんには敬語(一般的なですます調)
2024年浴衣コンテストの赤い浴衣で
カメラ持参
海外の収穫祭、テレビで見るだけの世界だと思ってたから行けるなんて嬉しい
この前の浴衣も着て行こうかな
私達は目立つ方が良いっていうのもあるけど折角の秋祭りだしお洒落したいもの
それにイタリアの街並みを背にした和装のみんなは、とっても良い写真が撮れそうじゃない?
わあ、料理が一杯
目に付いた物を片っ端から一品ずつ貰って行っちゃう
ファラエナさんみたくインセクティアじゃないけど、私これでもかなり大喰らいなの
キノコパスタに、リゾットに、もちろん前菜も忘れずにね
それにしても、何て言ってるか分からないけどはしゃいでる梅指さん可愛い、撮っちゃおう
デザートは…そうだ、栗入りのトルタ・カプレーゼはある?
前に百貨店で売ってるのを食べたことがあるんだけど、本場の味を食べてみたいの
あればこれが美味しかったのってみんなの分まで持って行って
ほろ酔い御守さんににっこり、お酒も料理も一人とまた違う楽しさがあるよね
御守・樹
【忍庵】
アドリブOK
誰相手でも名前呼び捨てだけど、梅指さんだけさん付け
2024年の緑色の浴衣着用
酒飲みだしワインに合うおすすめを貰う形で。まずは煮込みかな。
まずは前菜でサラダを食べてそのあと本格的に飲もうか(空腹時に飲まない主義なので)
生のマッシュルームって初めてだ。スーパーでおいてるのはだいたい水煮だもんな。それでなくてもお値段都合でシメジ買いがちだし。いやシメジおいしいよ?
羽織姿もあって自分を勘違いしそうになる。小さく自重自重言って自分を戒め。
鶏肉とポルチーニのクリーム煮込みをつつきながらワインを飲んでみんなの様子を見やるが、ガタイもよくインセクティアのウィリディスはともかく、緒羽も見た目に反して食うのな。羽根がある分栄養が必要なんだろうか。俺?食う量は人並みだよ。
梅指さんの様子に布巾をウィリディス経由で渡す。いやこれは何となくその方が梅指さんうれしいかなって思って。
雰囲気もあって思ったより少ないワインの量でほろ酔い気分だ。最近は一人飲みばっかりだったからかも。
●
石畳の上を行けば、カラコロと響く下駄の音。珍しい音に町の人々が振り返る中、【忍庵】の四人は祭りの賑わいの中を進んでいた。
「トレインに乗る前から楽しみで仕方なかったの」
浮き立つ心で軽やかに歩きながら、梅指・寿(不沈の香・g08851)が言葉紡ぐ。きょろり、周囲に視線巡らせればイタリアの街並みが美しくて。夜色に蝋梅咲く浴衣を纏って先を行く寿に、閂・緒羽(さよならのために・g11100)はふわりと微笑んだ。
「海外の収穫祭、テレビで見るだけの世界だと思ってたから参加できて嬉しい」
語る緒羽のいでたちは、紅葉舞う赤い浴衣に市松模様の帯。鴇色の翼とも似合う和装、その首には立派なカメラを提げていた。折角のお祭りだからお洒落して、皆和装でイタリアの町を歩きたい。その姿をカメラに収めれば、とってもいい写真になると思うのだ。
「異国の街を浴衣でそぞろ歩く、趣があるじゃないか。目的は食い物だがね」
仲間達の姿を順に眺めて、ウィリディス・ファラエナ(毒虫・g08713)は頭巾の下で微笑んだ。皆、いい浴衣を着ている。濃紺に金の梅の寿、緋色に鴇色の紅葉の緒羽。そして、御守・樹(行雲流水の珪化木・g05753)は緑の濃淡に山吹が洒落ているとウィリディスは思う。そんな皆に合わるように、自身も頭巾と道行を藤鼠色の立涌文様にしてきたのだ。
和装で揃えたからこそ、周囲の一般人も彼らが日本から来たディアボロスであるとすぐ理解し、好意的な視線を向けてくれている。注目する人々に手を振り応えて、四人は一軒のレストランへと入っていった。
「わあ、料理が一杯」
賑やかな店内、ふわり漂うきのこの香り。テーブルに並ぶ様々な料理見れば、緒羽の緑色の瞳が輝いた。きのこのパスタに、リゾットに、前菜もいろいろ。目に映る料理全てが美味しそうで、緒羽はさっそく席に着くと気になるメニューを片っ端から注文していく。
「実は本場の味を食ってみたかったんだ」
そう言葉紡ぐウィリディスはピッツァを注文し、樹はグラスワインを選んでそれに合う料理をお任せで頼んでみる。
「前菜のサラダと……まずは煮込みかな」
寿もポルチーニ茸のピッツァを注文し、まもなくテーブルには飲み物と前菜が運ばれた。定番の生ハムやチーズと共に、生マッシュルームのサラダがある。
「生のマッシュルームって初めてだ。スーパーでおいてるのはだいたい水煮だもんな。それでなくてもお値段都合でシメジ買いがちだし」
いやシメジおいしいよ? 下げる意図などないことを付け加えて、樹はサラダに調味料をかけていく。さく、とフォークを突き立てるのは、新鮮な葉野菜とスライスマッシュルーム。口に運べば爽やかなきのこの香りが広がって、樹は満足そうに頷いた。これは、白ワインによく合う。
「ほほう、本場のピッツァは随分シンプルだな。チーズもトマトも新鮮、美味い」
熱々のマルゲリータを一口、さらに一口と食べながら感想漏らすのはウィリディス。次にポルチーニ茸のパスタをフォークに絡めて口にすれば、噛むとより香りが強くなる肉厚きのこに思わず唸る。
そんな彼の隣では、寿が運ばれてきたピッツァにぱっと表情輝かせた。
「ぽるちーに茸、どんな茸なのかしら。茸と言ったら私は椎茸や松茸やえのきを思い出すのだけど」
美味しいと聞いたから、楽しみ。期待に胸を膨らませ、香りをしっかりと確かめてから、寿はポルチーニ茸のピッツァに噛り付いた。
「んむむっ!?」
味わいながらだから、思わず上がった声は口を閉じたままの音だった。あまりの美味しさに、漆黒の瞳が真ん丸になってしまう。そのまま勢いで二口目、三口目を突っ込んで、仲間達を見た寿は手をパタパタさせて訴えた。
「んむー! んむむーっ」
「梅指さん……口に詰め込みすぎでは?」
心配したウィリディスが声掛けるが、寿は首を左右にブンブン振る。決してピッツァを喉に詰まらせたわけではない。ただ、咀嚼し飲み込む時間が待てないくらい、この美味しさを伝えたくてたまらないのだ。
(「このピザすごくおいしいわ! 茸のいい匂いとチーズの塩気が絶妙で……皆も食べてみて!」)
そう言いたくて、ジェスチャー交えて必死に伝えようとする。けれど仲間達は首を傾げるばかり、緊急性がないと理解した緒羽はむーむー言うのが可愛らしい寿をカメラに収めた。
緊急性なくてもとりあえず必要そうだなと、樹は布巾を取り出しウィリディスへと手渡す。寿へ直接渡さずウィリディス経由なのは、その方が彼女は嬉しいかな、と何となく思ったから。
「お、布巾ありがとな御守さん。ほら梅指さん、ゆっくり食いな」
「むー……!」
ウィリディスから布巾受け取り口元隠して、寿は引き寄せたブラッドオレンジジュースを一気に飲み干した。美味しいピッツァが喉に詰まらないようにごくん、と飲み下せば、一気に鼻を抜ける柑橘の香り。その爽やかさはきのことはまた違った美味で、寿の表情が幸せそうにとろけていく。
「このブラッドオレンジのジュースもすごくおいしいわ! イタリアって本当素敵な所ね」
さっきまでのパタパタなんてなかったようなテンションで。寿が喜びいっぱいに感想告げれば、ウィリディスは苦笑し、緒羽はその可愛らしさに再びシャッターを切った。
「梅指さんがいいなら、それでいいか。よし、店員さん、俺にも同じの頼む」
「ええっ? ……ああいや、注文ですね」
呼び止め寿と同じメニューを頼もうとしたら、店員に驚きの声を上げられてしまった。『まだ食うの?』と言葉にはしないが絶対思っているであろう素振りに、厨房へと引っ込んでいく彼を見送りながら樹が笑った。
「あれ絶対食べてる量見て驚いてたよ。ガタイもよくインセクティアのウィリディスはともかく、緒羽も見た目に反して食うのな」
羽根がある分栄養が必要なんだろうか。そんなことを考えて話振ると、パスタもリゾットもピッツァも平らげた緒羽が得意げに胸を張った。
「ええ、ファラエナさんみたくインセクティアじゃないけど、私これでもかなり大喰らいなの」
「そうだよな、閂さんもなかなか食ってるから俺はそれより大分多いだけです」
「多すぎだよ」
思わず突っ込む樹。鶏肉とポルチーニ茸のクリーム煮をつつき、ワインを飲み干して。楽しそうだが赤ら顔の樹見て、ウィリディスは今度は彼を心配そうに覗き込んだ。
「御守さん既にほろ酔いっぽいが大丈夫か? この後俺も有名らしいワイン頼むんだが、一緒に飲めるかね」
「ああ、飲めるよ。雰囲気もあって思ったより少ないワインの量でほろ酔い気分だけど」
最近は一人のみばっかりだったからかも。続けて零れた樹の言葉に、緒羽はにっこりと笑った。お酒も料理も一人で飲み食いするのだって自由で楽しいのだけれど、誰か共にする人がいるとまた違う楽しさがあるものだ。
「そうだ、店員さん、栗入りのトルタ・カプレーゼはある? みんなの分、頼みたいんだけど」
急に思い立って、緒羽はドルチェを注文する。南イタリアはカプリが発祥と言われる、チョコレートとアーモンドのケーキ。この秋祭りならきっと栗も入れて作っているに違いないと尋ねれば、緒羽の予想は的中して。一度甘い物挟んで酔いを落ち着けよう、と提案した緒羽は、次の瞬間テーブルに置かれた茶色のケーキに歓声を上げた。
「前に百貨店で売ってるのを食べたことがあるんだけど、とても美味しかったの」
だから、この機会に本場の味を知りたかった。語る彼女に美味しいものの共有してくれた感謝を告げて、仲間達も風味豊かなケーキを堪能する。
そして、ウィリディスが頼んだ高級ワインで樹と乾杯する中、話題はこの後求める土産物へと移っていく。焼き立てパンに塗って食べてみたいと、寿がマロンクリームに興味示す。ウィリディスはパスタ料理を作る際に必要な、各種パスタと具材とソースを箱買いし、記念として洒落た鞄か小物を買って皆に渡したいと考える。
皆の話を聞きながら、アルコール回る樹の脳裏に思い出されたのは新年の願い。奪還地域を増やし、帰還が叶った地域にも行ってみたい。――その願いはもう叶ったのだと気付けば、ウィリディスと酌み交わすワインはますます美味で、体に沁みた。
超成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【クリーニング】LV1が発生!
【アイテムポケット】がLV2になった!
【照明】LV1が発生!
【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【ラストリベンジ】がLV3になった!
【先行率アップ】がLV2になった!
【ガードアップ】がLV3になった!
【フィニッシュ】LV1が発生!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
【FK楽団】
ヴェネツィアの拠点設営も、まだ記憶に新しい
人々と祭の賑わいに、穏やかな笑み浮かぶ
ああ、嬉しいよ、この日が、とても
沢山お祝いしよう
楽器ケースを背負いつつ三人で食べ歩き
何と言っても美食の国、秋の恵みを存分に味わおう
焼き栗好きだ、と分け合って、頬張って
あつつ、美味い
栗のジェラートもあるんだ
あれも、これもと屋台を巡ってシェア
旬のポルチーニ茸も食べてみたい
あっ、ピザも美味いな
レイさんの視線に気づき…
ワイン堪能もOK
頃合で、自然に演奏へ
チェロを取り出し、その辺に腰掛けたり、立ったまま演奏
二人と目配せしあい、ラズのフィンガーシンバルのリズムにのって
レイさんのギターと掛け合いし、調和を奏でて
陽気な音色に祝福のせて
動物の友で鳥達を呼び、猫や犬もご一緒に
皆、一緒に歌い、踊ろう
手拍子を誘い、ウィンクして、踊るように体揺らして弾ける笑顔
俺達は、何度でも希望を届けよう
アンナさんの姿あれば手を振ろう
グランダルメでの戦いの日々は、希望を届けた日々は、この胸に刻まれ音色を描く
今俺達の生きる、この世界が証人だ
レイ・シャルダン
【FK楽団】
長らくグランダルメで戦い続けていたボク達にとって
この北イタリアの奪還と帰還は待ちに待った瞬間です。
きっと、この嬉しさは地元民の人達と同等
いや、それ以上かもしれません。
今日は皆でお祝いしましょう。
喜びを分かち合いたい!
まずは屋台を練り歩いて本場イタリアの料理に舌鼓です。
実際食べるの初めてなんだ~♪
ポルチーニ茸がたっぷり入ったパスタをもぐもぐ。
エトヴァさんから焼き栗を頂いて一緒にはふはふ。
3人でシェアすれば色んな物が食べれるのですよ。
お酒はいいんですか~~?
何てニヒッとした表情で2人を見ますよ。
内心お酒もシェアしてもらいたかった。
陽気な街を更に陽気に
取り出したのは空色のギター『Horizonte blau』
ラズロルさんのシンバルのリズムに音を乗せ
ジャカジャンとエトヴァさんと音色を響かせて
音に合わせて軽快にステップを踏んで
3人で踊る様に奏でましょう。
さぁ、皆さんもご一緒に!
花びらがつまった籠を【フライトドローン】に乗せて宙へ飛ばし
音に合わせて花びらを舞わせましょう。
ラズロル・ロンド
【FK楽団】
エトヴァ(g05705)とレイ君(g00999)と
食べ歩きを堪能して路上演奏でお祭りを盛り上げるよ
改めて帰還の賑わいを3人で眺めるのはとても感慨深い
復興支援に行ったりヴェネツィアで拠点作りも懐かしく
街並みに変化はあっても古い建物の気配に懐かしさを覚える
過去を取り戻した今
ここに居る人達を守るんだ
食べ歩きでは
僕はポルチーニの乗ったピザを
チーズをにょーんっとさせながらはむはむ
皆でシェアして美味しいっ
焼き栗も隣から頂戴と貰い秋を堪能するよ
お酒美旨そう視線がバレたかとニシシと笑い
レイ君と飲める日を楽しみにしつつワインも可
お腹を満たせば手を拭いて周りを見て
そろそろ始めるかい?
フィンガーシンバルを装着し
チャッチャッと鳴らし2人の準備の間にリズムを刻み道行く人達の注目を集めよう
2人の演奏に合わせ、軽快なリズム~
緩やかなリズム~変調して激しく打ち鳴らしダンスも交えて
聴いてる人達も誘い皆で楽しもう
【勝利の凱歌】で湧き上がる勇気と希望と一緒に
僕等が居れば大丈夫と思って貰えるように
楽しい演奏を届ける
●
祭りに賑わう町へ足踏み入れると、イタリアの街並みが三人を迎える。行き交う人々は当たり前のように笑顔で、平和な空気に包まれていて、ディアボロス達を受け入れてくれる。
「感慨深いね」
ラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)が感嘆のため息と共に零せば、並ぶ仲間も頷く。断頭革命グランダルメ、あのディヴィジョンを彼らは駆け回り戦っていた。その舞台には北イタリアも当然含まれていて――時代は違えど古い建物の気配には懐かしさがあって、ラズロルは嬉しそうに微笑んだ。
「復興支援に行ったり、みんなでヴェネツィアの拠点づくりもしたね」
「ああ、ヴェネツィアはまだ記憶に新しいな」
思い出を語る言葉に、頷くのはエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)。グランダルメ奪還戦を控え、蹂躙戦記イスカンダルの介入を警戒して行った拠点設営。あの時の成果のおかげで、奪還戦時は亜人達の進軍を遅らせることに成功し、上々の戦果を上げることができた。そして、続けてのイスカンダル奪還戦――全てのことは繋がって、イタリア全土が奪還できたのだ。
「この北イタリアの奪還と帰還は待ちに待った瞬間ですものね。ボク達の嬉しさは地元の人達と同等……いや、それ以上かもしれませんよ」
レイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)が緑色の瞳輝かせて語れば、ラズロルとエトヴァも笑う。『帰還』したイタリアの人々は情報としてしか知らないのだ、どんな戦いがあり、困難があったのかを。議論重ねながら一歩一歩進み続けたのが、どれほど大変だったのかを。恩を着せるつもりなどないからそれでいいのだとも思うけれど――だからこそ、そんな今までの出来事と達成感を共有できる仲間がいる、そのことがレイは嬉しかった。
「今日は皆でお祝いしましょう。喜びを分かち合いたい!」
「ああ、沢山お祝いしよう。俺も嬉しいよ、この日が、とても」
誘いに応えるエトヴァの言葉は、しみじみと語るようで。持参した楽器ケースを背負い直して行こうか、と仲間達を促せば、レイもラズロルもそれに続き、彼らの秋祭りが始まった。
まずは屋台を練り歩き、気になる料理を買い求めることにする。最初に足を止めたのはエトヴァで、彼が見つけたのは焼き栗の屋台だった。芳ばしい香りに誘われて、さっそく美食の国の秋を味わおうと一袋購入する。
「あつつ、美味い」
焼き立ての栗の皮を剥くのは少々大変だけれど、その分口に運んだ時の感動は大きい。ほっくりとした栗の香りと甘みが口いっぱいに広がれば、次の一粒に自然と手が伸びてしまう。
「エトヴァ、俺にも頂戴」
「もちろんだ。レイさんもシェアしよう。俺も旬のポルチーニ茸食べてみたい」
「じゃあボクがポルチーニ茸のパスタ買ってきます!」
素朴なメニューなのに想像以上に美味しいから、三人の期待はより高まって。レイが見つけたレストランの一つに入ってパスタをテイクアウトすれば、戻ってきた時にはラズロルの手にはポルチーニ茸のピッツァがあった。噛り付くと、にょーんっと伸びるチーズ。香りよく歯ごたえもあるポルチーニ茸は、チーズにもピッツァにもよく合っている。
本場イタリアの料理を食べるのは初めてと、ウキウキ語るレイはフォークを取り出しパスタを絡めとる。口に運べば絶妙なアルデンテのパスタに、ポルチーニ茸がよく絡んでいて。三人でシェアしてもっといろいろ食べようと、誘うレイはエトヴァとラズロル分のフォークも配ってみんなでイタリアの美食を堪能する。
「あっ、ピザも美味いな。あの屋台には栗のジェラートもあるんだ」
「お酒はいいんですか~~?」
ラズロルに分けてもらったピッツァを頬張りながらも次のメニューを探すエトヴァに、すかさずレイが尋ねた。ニヒッと悪戯っぽく笑った彼女が交互に視線送ると、ラズロルが紫の瞳を細めて笑う。
「お酒美旨そう視線がバレたか。エトヴァ、ワインも少し飲まないか?」
「ああ、もちろん付き合うよ」
成人二人は言葉交わすと、飲み物の屋台でグラスワインの白を注文した。レイには爽やかなブラッドオレンジジュースを買って、三人は乾杯する。
「レイ君と飲める日が楽しみだな」
「はい、ボクもシェアしてもらいたかったですが……四年後にご期待ください」
アルコールが入れば、先程まで食していた料理達もまた違った魅力に気付ける。ふわり香るワインを飲み下し、その後でポルチーニ茸を食べると口の中で香りが混ざって芳醇になるのだ。合間に焼き栗を放り込めばこちらもまたワインと合って、ラズロルとエトヴァは思わず二杯目を注文してしまった。
――けれど、今日は酔いつぶれるわけにはいかないから。ほどほどのところで切り上げて、ラズロルは手を拭く。そして、ちらりと視線を周囲に向けて仲間達へと声掛けた。
「そろそろ始めるかい?」
のんびり食べて歩いて、辿り着いたのは町の中央だった。広場になっているその場所には、あちこちにテーブルが出されており秋の味覚を堪能している人々も多い。中央の噴水前へと移動してエトヴァとレイが持参した荷物を広げる中、ラズロルは指にフィンガーシンバルを装着した。指を打ち合わせればチャッチャッと金属の涼やかな音が響いて、道行く人々の視線を集める。ディアボロス達が何か始めるようだ、と足止める人々を飽きさせぬよう音を鳴らし続けていれば、仲間達の準備も完了したようだ。
噴水の縁へと腰落ち着けたエトヴァが、ラズロルとレイに目配せする。頷きが返り、ラズロルがフィンガーシンバルで軽快なリズムを刻めば、それに合わせてエトヴァがそっと弓を引いた。愛用のチェロ『Vc:Seraphim』が安定した音色を響かせると、レイの奏でる音が重なる。夜空を映したようなギター『Horizonte blau』を、かき鳴らせば柔らかな音が陽気なメロディを奏でて。
祭りを盛り上げる明るい音楽に、興味持った人々が次々と集まってくる。新宿島の人々と異なり、その視線の中には未だディアボロス達への懐疑的な想いを隠さぬものも含まれていた。それを理解した上で――エトヴァは、最終人類史に満ちる効果を発動する。
ピイッと、甲高い小鳥の声。【動物の友】の効果で集まってきたのは鳴き声美しい小鳥達で、さらに町の猫や犬も走り回る。その楽しそうな様子に、わあっと子ども達から歓声が上がった。
「さぁ、皆さんもご一緒に!」
レイが人々に声をかけながら、ギター演奏と共に軽やかにステップを踏む。そんな彼女と踊るように、ラズロルも音と体で楽しい空気を表現した。奏でる【勝利の凱歌】は、湧き上がる勇気と希望を人々と一緒に感じたいから。ディアボロスがいれば大丈夫と、皆に思ってほしいのだ。
(「過去を取り戻した今、ここに居る人達を守るんだ」)
心に誓うラズロルすらも、凱歌は励まし周囲の空気を明るくする。
「皆、一緒に歌い、踊ろう」
エトヴァの誘いと同時に、空からは色とりどりの花弁が降り注ぐ。見上げれば、レイの用意した【フライトドローン】が空を行き、人々を祝福するように花舞わせているのが見えるだろう。
花弁追いかけて、前へと飛び出してきたのは子ども達だった。エトヴァがにっこりと笑って体揺らしてリズムに乗る様を見せれば、子ども達もメロディに合わせて踊り出す。さらにそれ見た人々は、笑いながら手拍子して――。
(「俺達は、何度でも希望を届けよう」)
弓を軽やかに操りながら、エトヴァは人々を見る。ここに集まってくれた人々は、皆笑顔を浮かべている。ディヴィジョンでも最終人類史でも、音楽の力は変わらない。いつだって、言葉と同等かそれ以上に、多くのことを人々に伝えてくれるのだ。
ふと見れば、人だかりの中紛れるようにアンナの姿があった。共にグランダルメを走り抜けた時先案内人へと、手を振ればにっこりと笑顔が返る。
グランダルメでの戦いの日々は、希望を届けた日々は、エトヴァの胸に刻まれ今音色となって描かれる。全ては今に繋がって――今だからこそ、この音楽を奏でられる。
「今俺達の生きる、この世界が証人だ」
奪還により消えたディヴィジョンへと、想いを馳せて。唇から零れた彼の言葉には、強い強い感情が篭められているのだった。
超成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【動物の友】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
【勝利の凱歌】がLV3になった!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【先行率アップ】がLV3になった!
【ドレイン】LV1が発生!
南雲・葵
大変だ!
カスタネットみたいな名前のヤツ食べ損ねた!
オススメされて気になってたんだよね。
梓(オラトリオ)と一緒に慌てて屋台を巡って、お土産用にたくさん買って行こう。
帰りの時間が近付いたらフェス会場に居る人に向けて大きく手を振り
ぐらっつぇ・でぃ・とぅと!
(見事なまでの日本語発音)
梓に頼んで【聖花光臨】で光の花でイタリア奪還と、フェスのお礼に。
オラトリオフラワーは、そうだな
祝福の意味があるピンクのバラとか、霞草がいいかも!
今日は楽しいフェスをありがとー!
これからの日々が幸せいっぱいになりますよーに!
アンナも!
イタリア奪還に向けて頑張ってくれてありがとね。
アンナが居た頃とはちょっと違うだろうけど、故郷を取り戻せてよかった。
えーと……ぐらっつぇ・いんふぃにーて?
今までのありがとう、と、これからもヨロシク!
そーそー、美味しいおススメも教えてくれてありがとう!
ジェラート美味しかったし、栗のお菓子買えたから新宿島に戻ったらお茶菓子に楽しむね。
●
秋祭りは、時間が経過すると共に賑やかさを増していた。会場の美食達はワインによく合う、昼間からアルコール入れた人々は、陽気に大声で言葉を交わし合うのだ。
「大変だ! カスタネットみたいな名前のヤツ食べ損ねた!」
肩組んで楽しそうに歌う一般人の横をすり抜けて、南雲・葵(バールの人・g03227)は栗の香り漂う屋台を目指す。イタリアの定番お菓子、カスタニャッチョ。オススメされて気になっていたのに食べずに帰るわけにはいかない、と葵はその素朴なケーキ売る屋台の店員へと声を掛けた。
「すいません! これ、二つください!」
「はいよ、カスタニャッチョ二つだね。おや、お兄さんディアボロスかい!」
オラトリオ連れた青年の姿を見て、店員の女性は嬉しそうに笑顔を浮かべる。そしてちょっと待ってな、と言うと、栗のケーキを三つ、四つと包んでくれる。
「もうすぐ祭りも終わりだからね、おまけも一緒に持ってってくれ」
「やった! ありがとう!」
喜びに琥珀色の瞳輝かせて葵が礼告げれば、店員も満足げに頷いた。それから葵は梓と一緒に他の屋台も足早に巡っていく。たくさんのお土産を、両手に提げて。そろそろ帰りの時間かとスマートフォンの画面を確認した葵は、服の裾をちょいちょいと引かれて梓を見た。
「どうしたの、梓?」
問いながらオラトリオが視線向ける先を追えば、そこには多くの人が集まっていた。テーブルが多く設置された道には、当然人も多く集う。楽しそうに声上げて笑う現地の人々に、葵は梓と顔を見合わせてから――大きく手を振り口を開いた。
「ぐらっつぇ・でぃ・とぅと!」
見事なまでの日本語発音だが――それは、イタリア語で全てのことへの感謝を伝える言葉だ。言語には不自由しないディアボロスだけれど、想い届けるために現地の言葉を使いたい。そんな葵の想いを受けて、周囲の人々が振り返る。ディアボロスだ! と声上げる子どもには笑いかけ、そのまま葵は感謝の言葉を続ける。
「今日は楽しいフェスをありがとー! これからの日々が幸せいっぱいになりますよーに!」
町中に響くくらいに声上げれば、瞬間、空よりふわりと花弁が舞い降りた。パラドクスの聖花光臨で、梓が操る光の花。ピンクのバラ、真っ白いカスミソウ。『祝福』の意味を持つ花々は、イタリア奪還の記念と秋フェスのお礼を伝えるように。
その美しい光景に、人々は歓声を上げた。テーブルで飲食を満喫していた人々も、祝福の花弁へと手を伸ばす。
「ありがとう、ディアボロス!」
子どもも、大人も、素直な感謝を葵に告げる。次々にかけられる声に笑顔浮かべて両手振る葵は、そこで人垣の向こうに見知った顔を見つけたから真っ直ぐ駆け出した。
「アンナも! イタリア奪還に向けて頑張ってくれてありがとね」
呼び止めれば、銀髪を揺らして時先案内人の少女が顔を向ける。葵の言葉を微笑み見守っていたアンナにも、感謝の気持ちを伝えたくて。彼女がいたグランダルメのイタリアとはちょっと違うだろうけど――故郷を取り戻せてよかったと、葵は笑顔浮かべる。
「えーと……ぐらっつぇ・いんふぃにーて?」
それは、今までのありがとうと、これからもよろしくの想い篭めて。この日のために覚えてきたであろうイタリア語に、アンナは薄紅色の瞳を見開いて、それからくすぐったそうに笑った。
「グラッツィエ・ア・テ! 葵さん、私こそあなたにお礼を言わなくちゃ。たくさん力を貸してくれて、こうしてイベントごとでも声をかけてくれて……。私、きっと葵さんが思う以上にあなたに救われているわ」
例えば、新年にアンナの心を案じて渡してくれたお守りとか。心配してくれる人が最終人類史にもいる、それは勇気にもなったし、無茶をしないためのブレーキにもなった。グランダルメ奪還戦では、同じ戦場に立った時間もあったけれど――アンナの復讐の集大成とも言えるあの時に冷静でいられたのは、葵のおかげが大きいのだと少女は語る。
その時、モーラット・コミュのマリアが葵とアンナの間に割って入った。
「もきゅ! もっきゅ!」
「っ、ちょっとマリア? ええ、マリアにもとってもお世話になったわ。でも葵さんに張り合わないで」
もふもふの体を大きく見せようとふわふわするマリアに、葵もアンナも声を上げて笑った。
そして、秋祭りの終わりの気配感じて、二人は手を振り合い別れる。
「そーそー、美味しいおススメも教えてくれてありがとう!」
最後に葵がもう一つ礼を告げれば、アンナは微笑み首を振る。
「喜んでもらえてよかったわ」
「ジェラート美味しかったし、栗のお菓子買えたから新宿島に戻ったらお茶菓子に楽しむね」
そうすれば、秋の美食をもう少し長く楽しめるから。嬉しそうに笑う葵に頷いて、アンナはまたオススメを紹介するわねと約束するのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【植物活性】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV4になった!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
アドリブ歓迎
アンナさんやマリアさんと、もう少し食べ歩きやお話を
――アンナさんの好物は何だろう?
俺も、それ食べてみたいな
よかったら、奢らせて
グランダルメでは
ヴェネツィアの拠点設営や、特に奪還戦に向けて世話になったな
作戦の折、いつも、その地を故郷とする友人たちの顔を思い浮かべていた
ヴェネツィアに留学を控えていた友人や、イタリアに縁の人達
アンナさんの事を
祝祭の風景へ笑み送り
今は、どうだろう?
どんな心地だろう、とふんわり聞いてみつつ
応えも沈黙もあるがままに
イタリアに、欧州に、世界中に
人々の営みと賑わいを、取り戻せますように
人々の中心へ
(失礼でなければアンナさんの手を取り掲げ)
お祭りの御礼と祝福を伝えよう
皆、素敵な収穫祭に迎えてくれてありがとう
おかえりなさい
あなたたちに会えて、嬉しい
世界には、これからも変化は訪れる
喜ばしい帰還も、大変な事もあるだろう
俺達ディアボロスは、この大地を取り戻すために戦うよ
どうか、応援をお願いします
アンナさんにも語ることがあればお願いしますとジェスチャー
笑顔で、一礼しよう
●
食べ歩きと楽器演奏を楽しんだ友人達と別れて、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は賑やかな町中を歩いていた。美食堪能しアルコール回った人々の、陽気な話し声が辺りに響く。そんな平和な光景をしみじみと眺め歩く先に、彼は知った背中を見つけて声を掛けた。
「アンナさん、それからマリアさんも」
「あら、エトヴァさん。先程の演奏、とっても素敵だったわ」
名を呼ばれて振り返った時先案内人は、ふわり微笑み頭を下げる。少し一緒に回らないか、とエトヴァが誘えば、是非にと応じて。二人が並んで歩き出せば、その後ろをモーラット・コミュも嬉しそうについてくる。
「――アンナさんの好物は何だろう?」
食べ歩きをするなら好きなものを。エトヴァが尋ねると、アンナは少し考えてから口を開く。
「そうね……故郷の味と言うことなら、やっぱりカスタニャッチョかしら。さっき屋台を見かけたけれど、私の時代と変わらないようで嬉しくなったわ」
「なるほど。俺も、それ食べてみたいな」
よかったら、奢らせて。そんなエトヴァの申し出にアンナは驚き断ろうとしたけれど、背後から飛び出してきたマリアはもう買ってもらう気満々だ。もきゅもきゅとうるさい毛玉にため息ついて、苦笑浮かべた少女はそれじゃ、お言葉に甘えてとエトヴァと共に屋台を目指す。
エトヴァとアンナと、それからマリアにも。切り分けてもらった三つのカスタニャッチョを受け取り、彼らはそれを口に運ぶ。口に広がる栗の香り、ナッツの芳ばしさ。甘さ控えめだからあれこれ食べた後のお腹にもすんなり入っていって、エトヴァはその味をじっくりと楽しんだ。そのまま二人と一体は食べ歩き、自然と会話は断頭革命グランダルメでの思い出話になる。
「アンナさんにはヴェネツィアの拠点設営や、特に奪還戦に向けて世話になったな」
広大なディヴィジョンを駆け抜けた日々。エトヴァがアンナの案内を受けたのは、長い攻略の中で言えば終盤のことだった。でも、そんな日々からももう半年が経過している。早いものだ。今もエトヴァが為しているのはディヴィジョン攻略であり、そこに変わりはないのだけれど――今は消えたグランダルメでの出来事を、思えば懐かしさが込み上げる。
「作戦の折、いつも、その地を故郷とする友人たちの顔を思い浮かべていた。ヴェネツィアに留学を控えていた友人や、イタリアに縁の人達。アンナさんの事を」
道端で好奇心に満ちた瞳向けてくれる子ども達に、手を振りながら。エトヴァが穏やかな声で語ると、アンナは微笑む。あなたが強いのは支えてくれている人がいるからなのね、と頷き、私も加えてくれたことが嬉しいと続けて。
時先案内人の少女は、優しく微笑んでいた。今まで見てきた、新宿駅とグランダルメとを往復する際の復讐に燃える表情とは違う。その薄紅の瞳がイタリアの街並み映すのを見て、エトヴァも祝祭の景色に視線向けて――。
「今は、どうだろう?」
短く、尋ねた。長き攻略を終え、グランダルメとは繋がらない、最終人類史のイタリアにいる。それはどんな心地なのだろうと、問いかけるエトヴァの声はふんわり優しいもので。言葉聞いたアンナは、微笑み浮かべたまま言葉を紡いだ。
「エトヴァさん。私、『故郷の味なら』カスタニャッチョが好きと言ったでしょう? でもね、最終人類史に来てからはトマトのパスタが好きなの」
トマトのパスタがイタリア料理に登場するのは、十八世紀。まだ世紀が変わって間もないグランダルメでは、アンナの住む片田舎までその味は広まっていなかった。最も、本来の歴史とは異なるディヴィジョンのことである、料理好きの淫魔が支配するどこかの地域で食べられていたかもしれないけれど――。
アンナは語る、新宿島でもイタリアの料理が食べられると聞いて行ってみたら、真っ赤なパスタが出てきて驚いたのだと。けれど食べればその美味しさに、衝撃を受けたのだ。
「料理ひとつとっても、私の時代よりも進化している。それはとっても素敵なことで、そこに至るまでに人々の努力があったこともわかる。だから……私はこのイタリアも、そして最終人類史全ても、大切にしたいわ」
美食を楽しみ、酒を酌み交わし、隣人と笑い合う。その光景を見つけるアンナは、愛しそうに瞳を細めた。エトヴァは思う、奪還が終わった今でも、少女も自分も願いは変わらないのだと。
(「イタリアに、欧州に、世界中に。人々の営みと賑わいを、取り戻せますように」)
確かめるように、心の中で呟く。願いに至るには、道半ば。まだまだ、やるべきことはたくさんあるのだ。
エトヴァは小さく笑うと、アンナへと手を差し伸べた。蒼き翼が秋風に揺れ、蒼穹の瞳に決意の光灯して。
「アンナさん、行こう。お祭りの御礼と祝福を伝えに」
「えっ……えっ?」
誘いに、薄紅色の瞳がぱちぱちと瞬く。導く先は、演奏を披露もした広場。人々の中心へと進み出たエトヴァが皆に頭を下げると、アンナも慌ててそれに倣いながらそっとエトヴァに耳打ちした。
「あの、私、こういうの慣れていないのだけど……!」
グランダルメと言えば、断頭台前で演説する機会も多かった。人前で語ることに慣れたディアボロスも多いだろうが、時先案内人にはその経験はない。焦った表情もまた初めて見るな、などと内心で思いながら、エトヴァは自分が語ろうと口を開いた。
「皆、素敵な収穫祭に迎えてくれてありがとう。おかえりなさい。あなたたちに会えて、嬉しい」
一人でも多くの人に届くよう、声を張って、ゆっくりと。エトヴァが紡ぐ言葉に、人々からは拍手が起きる。
「世界には、これからも変化は訪れる。喜ばしい帰還も、大変な事もあるだろう。俺達ディアボロスは、この大地を取り戻すために戦うよ」
――どうか、応援をお願いします。そう続けて、ちらりアンナへ視線を送る。語ることがあればお願いしますとジェスチャーすれば、少女は一瞬思案して、意を決して唇開く。
「私からも、応援をお願いするわ。私達ディアボロスは、あなた達を、この最終人類史を必ず守るから」
誓いを言葉にして、顔見合わせた二人は笑顔で頭を下げる。すると、人々は一際大きいな拍手を彼らに送る。
「ブラーヴォ!」
「ディアボロス、ありがとう! もちろん応援するよ!」
届く声は、好意的なものばかりで。それを聞いたエトヴァは微笑みを浮かべ、改めて奪還と帰還の事実を噛みしめるのだった。
こうして、美食の秋フェスタは賑やかなまま終わりを迎える。
美味しいものを共に楽しみ、笑顔浮かべる平和な時間。それは間違いなくディアボロス達の努力により取り戻せたもの達で、彼らはその達成感を胸に秋の日をもう少し楽しむのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【液体錬成】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!