リプレイ
月下部・小雪
ひ、久しぶりのマダガスカル島の探検、です。
マンドリツァラ基地から出発してトゲトゲの森を抜けて東へ向かい、ましょう!
新しい基地の設営目指して、コダマえいえいおー、です!
貨物車両に積める小型のブルドーザーさんに乗って出発です。
コダマが【コダマ・回転斬り】でずばっずばっと切り倒したアメリカオニアザミをブルドーザーさんで押しのけながら道を作って、いきましょう。
トゲトゲさんが刺さらないようにコダマには大きなヘルメットさんをご用意して、あげますね。
こ、この後に襲い掛かってくる巨獣のお馬さんも兜や鎧をまとっているみたいですが、きっとトゲトゲ対策の進化、ですね。
巨獣さんができるのならコダマだって余裕で兜をつけれます!
※アドリブ連携大歓迎
ラウム・マルファス
ボクは水晶鉱山目指してるけど、まずは邪魔なイバラを始末だネ。
ゴンドワナは、イバラもでっかいんだネ。でもでっかい分、ウッカリ気づかづに突っ込むことは無いからちょっと安心カモ。
イバラをちょっと削って分析して、良く効く除草剤を作ってみよウ。手持ちの薬品をいくつか試して、なるべく即効でシナシナに枯れてくれる薬品を作るヨ。
上手くいったらトカゲ型ドローンに搭載して、根っこ付近に散布しよウ。壁や天井も這うドローンだから、入り組んだ場所でも平気ヘーキ。
シナシナに枯れたらナノマシンを農具に変えて、鋤で掘り起こして熊手で邪魔にならない場所へ寄せておくヨ。
硬い馬がいるんだッケ。イバラの中に潜んでそうな気がするから、物音や痕跡に注意しながら作業するヨ。折れてるトゲや、新しそうな蹄の跡を見かけたら要注意カナ。
イバラに隙間が多いようなら、汎用ドローンを索敵用に換装して飛ばし、上空からも警戒しよウ。
●トゲトゲの森
マンドリツァラ基地から東を目指して、行く手を阻むのはトゲトゲの森だった。
事前に聞いていた通りアメリカオニアザミに似た樹木、葉も茎も花弁すらも棘だらけ。
サイズがサイズだけに棘は長く大きい、槍の穂先も同然だ。
「こ、これは、すごいトゲトゲです、ね……」
「ゴンドワナは、イバラもでっかいんだネ。でもでっかい分、ウッカリ気づかずに突っ込むことは無いからちょっと安心カモ」
針山のような樹海を月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)は見上げ、ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)は興味深そうに観察していた。
アメリカオニアザミはキク科アザミ属の多年草、ヨーロッパ原産の植物だ。種子はタンポポのように綿毛で風に乗って拡散するが、この時代のマダガスカル島に存在したかどうかは不明、しかしここは常識の通用しない巨獣大陸ゴンドワナである。アメリカオニアザミによく似た、別種の、巨大な植物が存在してもおかしくはない。
樹海にはかすかに甘い匂いが漂っていたが、これはライノンティアが発する匂いだろう。
ライノンティアは甘い匂いで他の巨獣を虜にして、自らの群れに引き込むという。
ここから先、さらに東を目指すには、この樹海を越えなければならない。
だが素肌では切り傷だらけになってしまうし、転んだ拍子に串刺しになってしまってもおかしくない。危険極まりない。
「さ、さっそく切り開いて、行きましょう!」
小雪が新宿島から持ち込んだのはブルドーザーだ。
パラドクストレインの貨物車両で運べるサイズではあるが、小型ながら馬力のあるものを選んでいた。
「トゲトゲさんが刺さらないように、コダマには大きなヘルメットさんを、かぶせてあげますね」
小雪は『安全第一』と書かれたヘルメットをコダマにかぶせ、準備は完了。
「では作業開始です、新しい基地の設営目指して、コダマえいえいおー、です!」
小雪がブルドーザーのエンジンを始動させると、コダマは【コダマ・回転斬り】でチェーンソーの如く樹木をずばずばと切り倒していく。倒れたそれは小雪がブルドーザーで押しのけていく。
さて、ラウムの方は。
「ボクは水晶鉱山を目指してるけど、まずは邪魔なイバラを始末だネ。あっちの方にもこんなイバラがあったりしたら、ここでの経験が役に立つカモ、だしネ」
彼は棘だらけの茎や葉を少々削って分析、手持ちの薬品をいくつか試して効果的な除草剤を調合しようとする。
「なるべく即効でシナシナに枯れてくれる薬品を作るヨ……と言っても普通の植物でも除草剤の効果が出るのは数日は後だから、また生えてきたりするのは防げるカナ」
アメリカオニアザミは伐採しても株や根が残っていればいずれまた生えてくる。棘だらけの点も含めて、そこが厄介なところだ。ここの樹木もそれと同じ、という可能性は充分に考えられる。
「この植物がどれくらいの期間でまた生えてくるかわからないシ、だったら根っこまで駆除できた方が良いよネ」
ラウムは調合した除草剤をトカゲ型ドローンに搭載、根っこ付近に散布させていく。
壁や天井も這うドローンだから、入り組んだ場所も関係なく進んで行けるのが利点だ。
「そうだ、硬い馬がいるんだッケ。物音や痕跡に注意しながら作業しないとネ。折れてるトゲや、新しそうな蹄の跡を見かけたら要注意カナ」
念のため、とラウムは汎用ドローンを索敵用に換装し、樹海の上へ飛ばす。
ドローンに上から見張らせておけば、警戒も万全だろう。
小雪とコダマが道を切り開き、ラウムがドローンを用いて除草剤を撒いていく。
後々に除草剤の効果が出てくれば、道はさらに広がることになる。後続の者がさらに東を目指すのも楽になるはず。
こうしてディアボロスたちは樹海を貫かんとする一本道を切り開いていく。
しばらくして、小雪は鼻をくんくんと鳴らした。
「さ、さっきよりも甘い匂いが、濃くなった、ような……?」
「親玉の縄張りに近くなってきたカナ?」
ナノマシンを変換させた熊手を使い、細かな枝を脇へ寄せていたラウムも、濃くなった匂いに気づいた。
時先案内人の辰巳は、この棘だらけの樹海にライノンティアの縄張りは守られている、と推測していた。
ならば甘い匂いが濃くなればなるほど、ライノンティアの居住地に近付いている、ということになる。
そして先を行くコダマが、一際大きな樹木を切り倒した時だった。
眼前を覆っていた茂みが消え、視界がぱっと開いた。
トゲトゲの森の先には、色とりどりの花が咲く、一面の花畑が広がっていた。
この花畑を突っ切るように、遠くから走ってくる巨獣たちがいた。
1匹は異様に発達した鼻で走る、異形の巨獣だった。
急接近してくる鼻行獣ライノンティア、その姿を小雪とラウムは見た。
他は3匹の攻殻馬メイルギャロップ。ライノンティアと並走している。
巨獣たちは侵入者に気が付き、排除に来たのだろう。
「ブホォォォォォ……」
ライノンティアが不気味に鼻息を吹いた。
「ヒヒヒヒヒィィィン!」
直後に3匹のメイルギャロップが嘶く。
3匹は速度を上げ、足音も猛々しくディアボロスたちへ突撃する。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【神速反応】LV1が発生!
【壁歩き】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
月下部・小雪
お花畑から、へんてこりんな巨獣さんが襲い掛かって、きました!? せ、せっかくの景観が台無しです!
鎧のお馬さん、メイルギャロップさんが飛び出してきたので、まずは取り巻きさんから排除しましょう。
ブルドーザーから飛び降りて、突撃してくるメイルギャロップさんの動きを追いかけます。
死角に回り込まれないように、コダマと前後をカバーして警戒です。
【神速反応】も駆使して「魔力障壁」を張りつつお馬さんの突撃に対処して、一か所に集まったところを攻撃、です!
コダマ、今がチャンスです!
もきゅーと一鳴きしたコダマがビリビリを纏ってメイルギャロップさんの元に突撃。
中心部で【ワイファイスパーク】をお見舞いして、ご自慢の鎧ごと感電させてしまいます!
ふぅ、こ、これで前哨戦はおしまいです。
あとはあの気持ちの悪いお鼻の巨獣さんをやっつけたら、今回の開拓も一段落です!
※アドリブ連携大歓迎
●メイルギャロップ戦
攻殻馬メイルギャロップは非情に攻撃的であり、巨獣以外のクロノヴェーダやディアボロスには徹底的な排除に走るという。ましてや自分たちの縄張りを荒らされて黙っている彼らではない。
咲き乱れる花を踏み潰し、メイルギャロップは侵入者であるディアボロスたちへ3頭が横並びで突進してくる。
もし勢い余って樹海に突っ込んだとしても、その硬い甲殻が鋭い棘から身を守るだろう。
「せ、せっかくの景観が台無しです!」
月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)はブルドーザーから飛び降りると、敵群の注意を引くため右へ駆けた。
「こ、こっち、こっちです、よー!」
呼びかけたり、頭上で手を振り回したり、コダマと一緒に飛び跳ねたり、彼女は目立つ動きでメイルギャロップの誘導を試みる。自分がメイルギャロップの相手をすれば、ラウムがライノンティアの対処に動き易くなる。そういう算段だ。
狙い通り、メイルギャロップの狙いは小雪に絞られた。
メイルギャロップは集団戦を得意とし、また群れによっては高度な連携も取るという。
全身が硬く重そうな甲殻で包まれた相手に踏み潰されたくはない、死角に回り込まれないよう小雪はコダマと前後をカバーして警戒する。
「ブヒヒヒヒィィィィン!」
横並びだったメイルギャロップの陣形に変化が生じた。
1頭が前に出て、残りは後ろ。三角形の突撃陣形は鏃の如く。
まず先頭が敵陣に突っ込み、もし敵が回避しようとしたら残る2頭で仕留める作戦かもしれない。
「でも、一か所に集まってくれたなら……コダマ、今がチャンスです!」
「もぎゅー」
小雪の指示に、コダマは一鳴きすると電気を纏って突撃する。
そして先頭のメイルギャロップの足をすり抜けた直後、ワイファイスパークを放った。
敵群の中央で放たれる強烈な電撃。
自慢の鎧ごと感電したか、3頭のメイルギャロップは悲鳴を上げて倒れ、花畑の上を滑る。
1頭は全身黒焦げで、もはや虫の息。残る2頭は起き上がり、小雪へ反撃の疾駆を仕掛けた。
(あ、あの足で踏まれるのは痛そうですし、ね……!)
小雪は【神速反応】も駆使して魔力障壁を張り、敵の反撃に対処する。
電撃の影響で精彩を欠く動きだったのが幸い、小雪はメイルギャロップたちの疾駆をやり過ごし、再度コダマへ指示を飛ばした。
「コダマ、もういっかい、です!」
2発目の電撃が、残る敵に襲いかかる。
硬い甲殻ならば鋭い棘は防げたとしても、電撃には弱いか。
火花を散らす強烈な電撃によって残りの2頭も倒れ、それっきり動かなくなった。
「ふぅ。あ、あとはあの気持ちの悪いお鼻の巨獣さん、だけですねっ」
額の汗を拭うと、小雪はライノンティアへ目を向ける。
ライノンティアは花畑の中央で足を止め、不気味に鼻息を鳴らしていた。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
ラウム・マルファス
両方同時に来たカ。大きすぎるから、足元とか抜けれるなら囲まれる心配は逆にないケド、同時に相手はしたくないネ。
小雪がメイルギャロップの相手してくれてる間、ライノンティアの足止めをしよウ。
……巨獣にもこんなキモイ造形の生き物がいるんだネ。
カラス型ドローンに爆薬搭載。
鼻先を狙って突撃させ、爆破攻撃で挑発しつつ、爆風で花の香りを吹き飛ばそウ。上手く消せれば、香りで手懐けられたメイルギャロップが一瞬正気に戻って混乱するかもしれナイ。
ボクへの反撃も来るだろうから、爆発と同時にフライトドローンに乗って距離を取るヨ。同士討ちは怖いし、あんなキモイ巨獣を仲間だと思いたくは無いからネ。
●鼻行類的巨獣
アヴァタールとトループスが両方同時に現れたが、両方同時に相手はしたくない。
小雪がメイルギャロップの相手をする間、ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)は鼻行獣ライノンティアの足止めを担う。
フライトドローンに乗った彼はライノンティアの周囲を旋回、一定の距離を保ちつつ敵を観察する。
(……巨獣にもこんなキモイ造形の生き物がいるんだネ)
一体どのような進化の系譜を辿れば、鼻だけが異様に発達するのか。
しかも尻尾には毒々しい色の花まで咲いている。その花からは濃く甘い匂い。樹海に漂っていた匂いの正体だ。この香りでライノンティアは他の巨獣を従属させるという。
ライノンティアはラウムの動きに追従するように、脚代わりの鼻を器用に動かし、その場でゆっくりと回っている。
そして『ブフウゥゥ、ブフウゥゥ』と長い鼻から鼻息を吹く。
『立ち去れ、立ち去れ』
そう言っているようにラウムには思えた。
資料によれば、ライノンティアは悍ましい見た目に反して温和な草食獣であるという。
敵対者を排除する際には群れに引き込んだ巨獣を使う、そのために他の巨獣を花の香りで誘惑するのかもしれない。
「でも厄介な巨獣には変わりないからネ……さァ、行っておいデ」
小手調べに、ラウムはカラス型ドローンをライノンティアへ飛ばす。
「ブフウゥゥ!」
急速接近するカラス型ドローンへ、ライノンティアは怒気の混ざった鼻息を吹く。
直後に鼻先でドローンが起爆、ライノンティアの長い鼻と頭部が爆炎と煙に包まれる。
「ほんの挨拶代わりダ。でも爆風で花の香りが吹き飛んだラ、手懐けられたメイルギャロップも一瞬正気に戻って混乱するかもだしネ」
爆発を確認したラウムは、反撃を警戒して即座に距離を取る。
「ブホオオオオ!」
ライノンティアの強烈な鼻息。
それは立ち込める煙を吹き飛ばし、同時に尻尾から強烈な甘い香りが放出される。
空気の色まで変わって見えるほどの濃度だ。
「悪いけど、キモイ巨獣を仲間だと思いたくは無いからネ。それに同士討ちも怖いシ」
離れていても鼻腔に痛いほどの甘い香り。
距離が近ければ、それこそ脳をやられてライノンティアを仲間と認識していたかもしれない。
爆破攻撃に温厚なライノンティアも怒ったか、ドローンに乗ったラウムを追いかけ回す。
ラウムはライノンティアと一定の距離を保つようドローンを飛ばし、そのまま敵の注意を引き続ける。
この時、小雪の方に動きがあった。
メイルギャロップが全て倒れたのを、ドローンの上からラウムは視認した。
「残るはキミだけだ。今度は小手先の爆発じゃないヨ?」
爆薬を増量したカラス型ドローンを、ラウムは追いかけてくるライノンティアへ放つ。
ライノンティアは長い鼻でドローンを叩き落とすが、それと同時に起爆。
轟音とともに花畑の花は宙を舞い、長い鼻の巨獣は爆炎に呑まれた。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
月下部・小雪
ラウムさんが引き付けてくれていたお鼻の巨獣さんの方にボクらも向かいましょう。
そ、それにしても、以前も別の個体を見たことがありますが……や、やっぱり気持ち悪い見た目の巨獣さん、です。
お鼻が長いのなら像さんみたいな見た目の方がかわいい、です。
あのお鼻に掴まるととても大変そうですね。
まずは【フライトドローン】を周りに飛ばして囮に、します。
さ、さっき、爆発攻撃があったので少しは警戒してくれるかも、しれません!
ライノンティアさんが暴れてお花畑が大変なことになっていますが、そのお花に紛れてコダマが攻撃、です!
【螺旋工具装備型モーラット・コミュ】になったコダマが足元(鼻元?)からライノンティアさんを貫きます!
お鼻がドリルみたいになるそうですが、コダマのドリルの方がぎゅるんぎゅるんと回ります!
だいぶ、お鼻をずたずたにしました。あ、あと少しでしょうか?
新しい基地設置のためにももう少し頑張ります!
※アドリブ連携大歓迎
ラウム・マルファス
さて、あと少し……カナ?大きいからわかりにくいネ。
太極扇に魔力を込めて、凍気でできた黒い鳳凰を撃ち出すヨ。大きすぎて全身氷漬けは難しそうだから、小雪が攻撃する瞬間を狙って後ろ足を凍り付かせよウ。ドリル鼻で攻撃するための、支えの足を滑らせて隙を作るヨ。花粉は再びフライトドローンに乗って退避しよウ。
住処を荒らしてるのはコッチだし、申し訳なくはあるけど、クロノヴェーダだからネ、悪いけど滅んでもらうヨ。……ゴメンネ。
●鼻の巨獣は花に埋もれる
メイルギャロップを蹴散らし、ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)と合流した月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)が見たのは、花畑の上でのたうち回るライノンティアの姿だった。
先程のラウムのドローン攻撃が効いたらしい。ライノンティアは体についた火を消そうと転げ回り、触手のような鼻を叩きつけていた。まるで巨大な触手の塊が暴れているような光景だった。
「ブホオオオオ!」
どうにか消火に成功したライノンティアが、怒りの鼻息を吹いて起き上がる。
少々荒い鼻息だが、それは怒りのせいだけではないだろう。
「さて、あと少し……カナ?」
ラウムはライノンティアのダメージを注意深く観察する。
「大きいからわかりにくいネ」
巨体の巨獣であるが、なにせ体の大半は何本もの長い鼻だ。
足代わりの鼻は象の足のような見た目で、それなりに外皮も厚そうだ。こちらは少々焦げた程度。
しかし小ぶりな頭部や胴体は弱く柔らかいのだろう、ひどい火傷を負っているように見えた。
「や、やっぱり気持ち悪い見た目の巨獣さん、です。お鼻が長いのなら、象さんみたいな見た目の方がかわいい、です」
小雪は以前にライノンティアの別の個体と戦ったことがあった。やはりこの巨獣は、他の生物とはあまりにもかけ離れた姿をしているとしか、彼女には思えなかった。
「あ、新しい基地設置のためにも、もう少し頑張り、ましょう!」
ライノンティアはダメージを負っている、もうひと踏ん張りだ。
「あのお鼻に掴まると、とても大変そうです……なのでっ」
小雪はフライトドローンを周りに飛ばして囮とする。
「さ、さっき、爆発攻撃があったので少しは警戒してくれるかも、しれません!」
飛来するドローンに対して、ライノンティアは後ずさりつつ鼻を振り回す。鼻息で威嚇もする。ドローンを警戒する動きを見せる。
ライノンティアがドローンに気を取られた隙に、ディアボロスたちは一気に距離を詰める。
「援護しよウ……押し留め、切り開ク」
太極扇に魔力を込め、ラウムは黒い鳳凰をライノンティアへと撃ち出した。
「火傷は冷やすものサ」
凍気で構成された鳳凰はライノンティアの周囲を舞うように飛び、その体を凍てつかせていく。
「ブフォォ!」
急激な温度低下に苦しみ喘ぐライノンティアが、尻尾の花から濃厚な香りを放出した。
「鳳凰を群れに引き込みたいのだろうケド、生憎それはパラドクスが生み出したモノ。無理な相談カナ」
とはいえ鳳凰を放った本人が誘惑されては元も子もない。濃厚な香りをラウムはドローンに乗って避け、小雪は魔力障壁を集中させてこれに耐える。
そして小雪が仕掛けた。
「コダマのドリルで敵を貫き、ます! スーパーぐるぐるアタック、です!」
花畑の花に紛れて、螺旋工具装備型モーラット・コミュになったコダマが、敵の足元ならぬ鼻元から突撃する。
超高速回転するドリルで標的を貫き内部から引き裂かんとするコダマだが、ライノンティアは足代わりの鼻で地面に踏ん張ると、腕代わりの長い鼻を回転させて対抗する。
この時、ラウムの眼鏡の奥の瞳に輝くものがあった。
コダマとライノンティアは同じ回転攻撃、ドリルとドリルのぶつかり合い。両者の力はほぼ拮抗、やがて弾かれたようにライノンティアの鼻が跳ね上がり、コダマもくるくる回転しながら小雪の下へ戻る。
「コダマは負けません、もう1回、です!」
小雪の指示にコダマは再度突撃。迎え撃つライノンティアも再びを鼻を高速回転させた。
その時だった。
突然、ライノンティアの後ろ足に相当する鼻が凍りついた。
ラウムの放った鳳凰の凍気によるものだった。
「大きすぎて全身氷漬けは難しそう……だから、ドリル鼻で攻撃する時の支えの足を凍らせたヨ。さっき踏ん張るところ、見させてもらったからネ」
足代わりの鼻を支えにすることができず、ライノンティアの巨体が左右に揺れる。
「コダマのドリルの方がぎゅるんぎゅるんと回ります!」
先程は拮抗していたコダマとライノンティアの激突、今度はコダマが押し切った。
ライノンティアは頭部を抉られることこそ避けたが、長い鼻を切り裂かれてしまう。
「ブフォウウウウ!」
体を焼かれ、凍気に晒され、自慢の鼻も裂かれたライノンティアが悲痛な鼻息を上げる。
それでもライノンティアは倒れることなく、佇立していた。
尻尾の花から、ありったけの匂いを放出して、花畑に甘い香りを充満させていく。
「だいぶ、お鼻をずたずたにしました。あ、あと少しでしょうか?」
「温和な草食獣でもアヴァタール級、体力は図抜けているみたいだネ」
ここで一気に畳みかける。
反撃の意思を残しているラインティアへと、小雪とラウムはパラドクスの集中攻撃を浴びせた。
両者の猛攻に晒され、ライノンティアの足代わりの鼻もついに折れた。
充満していた甘い香りも消し飛び、花畑の花は空へと舞い上がり、やがてライノンティアの巨体が崩れ落ちる。
「ブフォオオオオオオオン……」
持ち上げた鼻から弱々しい鼻息が吐き出され、それも力なく垂れ下がり、それっきりライノンティアは動かなくなった。
花畑に横たわった巨獣の骸に、空中へ巻き上げられていた大量の花弁が、はらはらと舞い落ちていった。
「や、やりました! 撃破、です!」
小雪が快哉の声を上げ、彼女の足元でコダマがぴょんぴょんと跳ね回る。
アメリカオニアザミに似た樹木の森を切り拓き、棲息していた巨獣たちも撃破。
今回の任務はこれで達成だ。
新たな基地の設営のためにも大きな進展となっただろう。
この場所を立ち去る前、ラウムは振り返り、ライノンティアの骸に目を向けた。
長い鼻の巨獣は、今は舞い落ちてきた花に埋もれている。
(住処を荒らしてるのはコッチだし、申し訳なくはあるけど、クロノヴェーダだからネ、悪いけど滅んでもらっタ……ゴメンネ)
ラウムは指で眼鏡の位置を直し、再び前を向く。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV3になった!