リプレイ
エノテラ・リノン
【エノテラ】
ハートの女王様をイメージした仮装で参加するね!
つい最近まで一般側でディアボロスさん達のイベントは見て楽しんでたけどこういうイベントには大事な意味があったんだね~。それならこれがボク達のディアボロスとしての初仕事でも胸を張れそうかな!
…お願いメルアそんな心配そうな目でボクを見ないで!きっと大丈夫だから!
トリックオアトリートって言いながら積極的に交流していたいな~!
こうしてディアボロスと触れ合えるのって一般側からしたらすごく貴重な体験だからね!お互いいっぱい楽しめるようにしないと!
だから笑顔でお菓子をもらったり、ボクからも用意したハロウィンをイメージして作ったクッキーを【アイテムポケット】から手品みたいに出してプレゼントすることで楽しいを分け合って過ごしたいな♪
【メルア】
お気に入りのエプロンドレスでアリスイメージ!
メルアも「メル~」ってみんなに挨拶してお菓子をもらう代わりにお礼に今日はお触りしてもOKみたい!
サーヴァントに触れる機会も貴重だから喜んでもらえるといいね♪
●トリートの気持ち
ハロウィンが生み出す力。
それは未来の希望に繋がり、明日を生きる人々の活力にも成り得るもの。
「すごい、絵本の中の世界みたい!」
賑わうパレードルートを見渡し、エノテラ・リノン(自由な心・g10446)は眸を輝かせた。南瓜やオバケの装飾は愛らしく、通りに飾られたオブジェやランプ、其処に結ばれたリボンなども可愛い。
「楽しそうだね、メルア」
「メル~」
ハートの女王をイメージした仮装に身を包んだエノテラは、傍らのメーラーデーモンに呼びかけた。
メルアはお気に入りのエプロンドレスをひらりとなびかせる。沿道にはディアボロスのパレードを見に来た一般人がいて、エノテラとメルアにも手を振ってくれている。アリスと女王というペアめいた仮装は実に人気であり、物語好きな子供たちが歓声をあげていた。
「みて、ちいさなアリスだ!」
「あんなに可愛い女王様だったら兵士になりたいなぁ」
子供たちが楽しげに会話している声を聞き、エノテラはにっこりと笑う。
そうして、以前は自分があちら側だったことを思い出していく。あれは七曜の戦の前。エノテラは復讐者の活躍を応援しながら絵本喫茶の手伝いをして過ごす日々を送っていた。
七曜の戦を戦い抜く復讐者を実際に見た日。エノテラの気持ちに大きな変化が起きた。
世界を取り戻す戦いへの思い。
そして、メルアとの出会い。
こうしてディアボロスとなった今、これまでの催し事やイベントの意味を深く知ることができた。
「つい最近まではボク達を元気づけてくれるためだと思ってたけど……」
見て楽しむだけではなく、戦いにも繋がっていく。
こういったイベントにとても大事な意味合いがあると分かった以上、エノテラも気合いを入れる理由ができた。戦いにはまだ出陣できていないが、此処からディアボロスの活動を始めていくのもいい。
「それなら、これがボク達のディアボロスとしての初仕事でも胸を張れそうかな!」
「メル~?」
するとメルアの瞳がエノテラを映した。
まるで、大丈夫? と聞いているかのような眼差しだ。どうやらメルアはエノテラを気にしているらしく、こてりと首を傾げたことで大きなリボンが揺れた。
「……お願いメルアそんな心配そうな目でボクを見ないで! きっと大丈夫だから!」
はっとしたエノテラは首を横に振る。
要はハロウィンをたくさん、めいっぱいに盛り上げればいいということ。それならば絵本で読んだパーティーのページのように、自分の心にいっぱいの楽しさを詰め込んでいけばいい。
「いくよ、トリックオアトリート!」
ハートの女王のように優雅に、くるりとその場で回って見せたエノテラは元気よく声を掛けていく。
「トリートをどうぞ」
「お姉ちゃん、わたしの手作りお菓子もらって!」
「ありがとう、嬉しいな♪」
その声に答えた住民達がエノテラにキャンディや南瓜型チョコを手渡してくれた。
自分が一般人だったからこそよくわかる。こうしてディアボロスと触れ合えるのはすごく貴重な体験だ。だからこそ、お互いが楽しめるようにしたい。
エノテラの思いに応えるように、メルアも「メル~」と挨拶をしていった。
そうして、お菓子をもらう代わりのお礼としてふわふわと子供たちにすり寄っていく。どうやら今日はお触りもしても大丈夫な日のようだ。
「メル~!」
「良かった、メルアもとっても楽しそう!」
エノテラは笑顔でお菓子をもらった後、次は自分からもトリートがあるのだとして構えた。
それは――ハロウィンをイメージして作ったクッキー。
アイテムポケットから手品のように取り出したお菓子は周囲の子供たちに配られていく。
「わあ、ありがとう!」
「クッキーだ! わたし、クッキー大好き!」
プレゼントされたお菓子に喜ぶ少年少女たちは満面の笑みを浮かべていた。お菓子や掛け声、ありがとうの言葉を交わすことで楽しい気持ちも分け合っていける。
エノテラはメルアと手を繋ぎ、パレードルートを歩んでゆく。
「まだまだいっぱいお菓子を配ろう。もっと、もーっと喜んでもらえると良いね♪」
「メル~」
ふたりが振りまくのは楽しい気持ちと甘いお菓子。
此処からも続いていくパレードを思い、エノテラたちは楽しく仲良く進んでいった。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
本郷・夏深
▼仮装
サイバーパンクな閻魔大王
トリック・オア・トリートです!
さあ、美味しいお菓子を下さい
そうすれば御礼にお菓子を差し上げましょう
私が配るお菓子は市販の、ジャック・オ・ランタンやオバケ等の形をしたハロウィンクッキー
透明なフィルムで数枚ずつ包まれたそれを沢山購入して持ち込み、交換していきます
それぞれ違う表情がチョコで描かれているのが可愛いですよね
味も凄く美味しいですよ
カフカいち推しの逸品です!
おや、あなたは私へ渡す為のお菓子を持っていないのですか?
それはつまり、この閻魔大王カフカ様に悪戯という名の裁きを下されたいという訳ですね
一般の方に危害を加えるのは不本意なのですが…
お望みならば仕方ない、応えてあげようではないですか!
お菓子を持っていない人には、紙にサラサラと刑罰の絵を描いて
その紙を押し付けてから、クッキーの包みを追加で渡します
はい、どうぞ。釜茹での刑です
お菓子をくれた人にしかあげない、なんて野暮な真似はしませんよ
私にお菓子を渡したい人、私に裁きを下されたい人
さあ、どなたでも気軽にどうぞ!
●閻魔の裁きは甘い味
賑わいを増すハロウィンパレードの最中。
綺羅びやかに飾られた通りのオブジェやランプもさることながら、ディアボロス達の仮装も輝いている。
「トリック・オア・トリートです!」
高らかに声を響かせているのは本郷・夏深(逢魔が夏・g00583)だ。
彼が身を包んでいる装いは閻魔大王をイメージしたもの。黒と緑、紫の三色を基調にしているゆえにサイバーパンクの雰囲気も感じさせる、素晴らしい一着だ。
傍らを歩くパンツァーハウンドのえだまめも、今宵は閻魔大王のお付きである地獄の番犬仕様らしい。
「かわいいー!」
「ふわふわだねぇ」
尻尾を振りながら夏深についていくえだまめは既に人気者だ。沿道のギャラリーからは声援や慈しむ声があがっており、えだまめ自身も得意げになっている。
されど、胸を張って歩いていくえだまめにも負けていないのが夏深本人。
「ふふ、トリートをどうぞ」
「大歓迎ですよ。さあ、美味しいお菓子を下さい」
「えぇ、えぇ。この日のためにたくさん作ったのよ。そちらのわんこさんも食べられるかしら?」
トリックかトリートかの言葉を聞いて、夏深の元に訪れたのは優しそうなお婆さんだ。サーヴァントのことも考えてくれたのか、砂糖などを使っていないお菓子も用意してくれたらしい。
二種類のカップケーキを受け取った夏深はお辞儀を返し、自分の荷物から或るものを取り出す。
「そうでしたか。ではこちらからも御礼にお菓子を差し上げましょう」
「まぁ、いいの?」
「今日はハロウィンですからね!」
夏深が手渡したのはジャック・オ・ランタンやオバケの形をしたハロウィン用のクッキーだ。市販のものであるが、たくさんの人に配るならばこれが一番。
「ありがとう、嬉しいよ。今日は来れなかった孫も……きっと、喜ぶわ」
「お孫さん? ではもう一セットずつ差し上げましょう」
透明なフィルムで包まれたクッキーを更に老女に手渡し、夏深は明るく笑む。それぞれ違う表情がチョコで描かれているものなので、別の笑顔同士が並ぶようにしている。
おそらく孫が来れなかった理由はまだ奪還していない地域に住んでいるからだろう。そのことは深く聞かなかったが、夏深は渡したクッキーにこんな意味を込めていた。
――すぐに渡せるようになりますから、と。
お婆さんは少し涙ぐんだが、笑顔で夏深を見送ってくれた。
そうしてパレードルートを進んでいくと、次は少年と少女が夏深とえだまめの元に訪れる。
「お兄さん、トリック・オア・トリート!」
「はい、どうぞ」
「わあい、可愛いクッキーだ。わたしからはキャンディをあげるね」
「ありがとうございます。クッキーは味も凄く美味しいですよ。カフカいち推しの逸品です」
「えへへ、嬉しいな~」
少女と夏深がお菓子を交換する中、少年の方はおずおずとした様子だ。どうしてなのかに気がついた夏深はちいさく笑み、少年の方に歩み寄る。
「おや、あなたは私へ渡す為のお菓子を持っていないのですか?」
「う、うん……さっきなくなっちゃったんだ」
「それはつまり、この閻魔大王カフカ様に悪戯という名の裁きを下されたいという訳ですね」
「え!?」
裁きという声が聞こえたことで少年は驚く。
「一般の方に危害を加えるのは不本意なのですが……お望みならば仕方ない、応えてあげようではないですか!」
夏深は不敵に笑うと、取り出したサイバーピンクの紙にサラサラと刑罰の絵を描いていく。少年は何が渡されるのかと戦々恐々としていたが――夏深は構わずその紙を押し付ける。
「あれ? これって……」
「はい、どうぞ。釜茹での刑です」
紙と一緒に渡されたのはクッキーの包み。少年は表情をぱっと輝かせ、刑の紙と一緒にクッキーを大切そうに受け取った。その瞳は嬉しさでいっぱいだ。
「本当にいいの?」
「お菓子をくれた人にしかあげない、なんて野暮な真似はしませんよ」
「ありがとうお兄ちゃん。ううん、閻魔大王さま!」
少しの驚きと怖さの後に、ちいさな幸いを。
小粋な演出で寛大な閻魔大王を演じた夏深もまた、とても満足気な様子。そうして、少年と少女に手を振った夏深はパレードルートを進んでいく。
両手を広げると同時に閻魔の笏を高く掲げた夏深は、再び高らかに声を響かせた。
「私にお菓子を渡したい人、私に裁きを下されたい人はいらっしゃいますか?」
「見て、閻魔大王様だ!」
「かっこいい!」
沿道の人々や子供たちが歓声をあげる中、夏深はとびきりの笑顔と共に宣言してゆく。
「――さあ、どなたでも気軽にどうぞ!」
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【強運の加護】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
諷和・もこ
やちよお兄さん(g00584)と
天使と悪魔のコスプレで参加なんだよ
ボクはやちよお兄さんの色である黒と青の悪魔さん
悪魔さんだから、ちょっぴり恥ずかしいけどいつもよりダイタンな恰好で
…どうかな?
なんて、様子を伺いチラリ上目遣い
いつもと違う雰囲気なのはやちよお兄さんも同じで
どこか神秘的でドキってしちゃう
…って、スカート!?
聞こえた一言に真っ赤になって裾を押さえて
ドキドキしながら手を繋いで
一緒にお菓子の家へ
かわいい内装に目を輝かせて
ふと隣を見ると同じく嬉しそうな彼の横顔
裾を引いて、その理由を聞いてみるんだよ
話してくれた小さい頃の思い出
また少し、彼の事を知れた気がして
嬉しくて胸がほんわかしちゃうんだよ
マシュマロクッションに座ってトリートパーティ
これ、媚薬なんだよ
なんて言いながらチョコを差し出すんだよ
ドキドキしながら様子を見るけど…そうだよね、効かないよね
ガッカリしてたらお口にクッキーが!
ひゃわ!?
じょ、じょーかされちゃう!?
最後に
薄く伸ばしたチョコで作ったバラの花を彼の口元へ
これも媚薬だよ、って
四十万・八千代
もこ(g01739)と一緒
互いの色を交換して着た天使と悪魔の仮装
俺はもこの色である白と赤を使った天使
天使って柄じゃないんだが
君は角が黒だし黒い色の服も良く似合っている
デザインも可愛いしキュートな小悪魔って感じだな
……スカート丈が短いのが気になるが
ミニハウスと言っても中に入れるくらいの大きさがあるんだから凄い
食べられないのは分かっているが外装も内装もお菓子に見える
子供の頃挿絵で見た色とりどりのお菓子の家に憧れて
何度もその本のそのページを見た事があったんだ
懐かしいな……
見てるだけじゃ勿体ない
カボチャのランプに明かりを灯して美味しいパーティを始めよう
可愛い悪魔から魅了の菓子を受け取って、その甘さを堪能
甘くて苦い恋の味……なのかもしれないな
堕落させようとしたお返しに悪魔も改心する美味しさの
南瓜クッキーを彼女の口に一つ押し込んでしまおう
口元へ向けられた赤薔薇チョコ
これも媚薬なのか
今宵の小悪魔さんはどうしても天使を堕としたいようだ
花弁の部分を咥えて小さく微笑んで、
自分の持つ飴細工の青薔薇を差し出そう
●薔薇の甘さ
今宵、身に纏う衣装は互いの色。
甘い香りがしてきそうなお菓子の家が並ぶ広場にて、四十万・八千代(悪食ハッカー・g00584)と諷和・もこ(ふわもこうとうと・g01739)は悪魔と天使になっていた。
もこは八千代の色彩である黒と青を基調とした悪魔のドレス。その胸元、ちいさな南瓜が飾られたリボンは愛らしく揺れていた。反対側の胸に咲かせた青薔薇は美しく、彼の中にある気高さを表しているかのよう。
「……どうかな?」
もこは自分の悪魔衣装がちょっぴり恥ずかしかった。何故ならいつもより大胆な恰好であるからだ。
問いかけたもこは八千代をちらりと見遣る。上目遣いの彼女の瞳に映ったのは、白と赤を使った天使の姿。純白の翼はもこの色彩そのもの。
白を基調にしつつ裏地が赤のマントも、もこの瞳の色を想起させるものだ。
双眸を細めた八千代は静かに笑む。
「君は角が黒だし黒い色の服も良く似合っている」
「本当?」
嬉しそうに眸を瞬かせたもこ。普段と違う雰囲気なのは八千代も同じであり、何処か神秘的な姿を見ると胸の奥が高鳴る。そんな様子のもこが可愛らしいと感じた八千代は更に告げていく。
「デザインも可愛いしキュートな小悪魔って感じだな。……スカート丈が短いのが気になるが」
「……って、スカート!?」
彼が紡いだ一言を聞き、もこは真っ赤になりながらスカートの裾を押さえた。
それでも今日は或る意味でのお揃い衣装だ。恥ずかしさよりも嬉しさの方が大きくなっていき、もこはふんわりとした笑顔を八千代に向け返した。
そうして、二人は広場の中央へと歩いてゆく。
ドキドキは止まらないけれど手を繋いで進む道はファンシーな雰囲気だ。その中で二人用のスイートハウスを見つけたもこと八千代はそちらに向かうことにした。
「わあ……!」
「ミニハウスと言っても中に入れるくらいの大きさがあるんだから凄いな」
かわいい内装に目を輝かせたもこの傍ら、八千代もお菓子の家に感心する。この家が食べられないのは分かっているが外装も内装もお菓子に見えるから不思議だ。
二人は用意されているソファに向かい、隣同士で腰掛ける。
思えば、八千代が子供だった頃。絵本の挿絵で見た色とりどりのお菓子の家に憧れていたことがある。
「懐かしいな……」
「やちよお兄さん?」
彼がふと零したことが気になり、もこは袖を引きながら問いかけてみる。彼の横顔が自分と同じように嬉しそうなものだったので大いに興味がわいていた。
「昔、何度も何度も絵本のページを見た事があったんだ」
八千代が話していったのは小さい頃の思い出。
このお菓子の家が挿絵によく似ていること。そんな場所にもこと一緒に訪れられたことが嬉しい、ということ。
八千代が語る言葉は優しく、また少し彼のことを知れた気がした。
「そうだったんだね、素敵なんだよ」
もこはとても嬉しいと感じながら、胸がほんわかしていくことを実感している。ぎゅっと抱いたふわふわのマシュマロクッションもまた柔らかで、もこの心をぽかぽかにしてくれる。
そして、二人はお菓子の家を改めて見渡した。
「さぁ、トリートパーティのはじまりなんだよ」
「見てるだけじゃ勿体ない、始めようか」
カボチャのランプに明かりを灯せば美味しくて楽しいパーティの幕開け。
もこは少しだけ悪魔っぽく、くすりと笑ってから或るものを取り出して見せる。
「これ、媚薬なんだよ」
「媚薬? 可愛い悪魔から魅了の菓子だな」
そういって差し出したのはチョコレート菓子。
八千代はなんてことのないようにそれを受け取り、口許に運んでみる。もこは先程以上にドキドキしながら彼の様子を眺めていた。八千代はチョコレートの甘さを堪能しており、いつもと同じ様子だ。
もこは少しばかり我慢ができなくなり、そっと問いかけてみる。
「どう?」
「甘くて苦い恋の味……なのかもしれないな」
「……そうだよね、効かないよね」
上手くいけば悪魔として天使を堕落させられるかも、と考えていたのがっかりした気持ちが生まれてしまった。
しかし、八千代はそういったもこの様子も楽しんで見ていた。其処で思いついたのは堕落させようとしたお返しに悪魔も改心する美味しさの南瓜クッキーを差し出すこと。
「ほら、もこ」
「ひゃわ!?」
八千代は彼女の口にクッキーをひとつ、優しく押し込む。そうすればもこは暫しクッキーをもぐもぐと食べるしかなく、少しの沈黙が部屋の中に広がった。
「おいしい……じゃなくて! じょ、じょーかされちゃう!?」
慌てる悪魔を見つめる天使の眼差しは何処までも穏やかだ。
されど、もこだってやられてばかりではない。先程は普通のチョコレート菓子だったが、次はとびっきりのものを用意してある。甘やかな雰囲気のお菓子の家の中は今、もこと八千代の二人だけ。
「あのね、」
もこが続けて差し出したのは、薄く伸ばしたチョコで作ったバラの花。
口元へ向けられた赤薔薇のチョコを見た八千代は軽く首を傾げる。これは、と言いたげな彼の眸を見つめ返したもこは悪戯っぽく――そして、不思議な妖艶さを纏いながら告げた。
「これも媚薬だよ」
「こっちも? 今宵の小悪魔さんはどうしても天使を堕としたいようだ」
甘い口調で伝えられた言の葉を受け取り、八千代は花弁の部分を咥えて小さく微笑んだ。
代わりに天使が悪魔へと渡したのは飴細工の青薔薇。もこは淡く頬を染めてから、青薔薇にそうっと口付けていき――。
赤と青。交差するのは蕩けるような感情。
南瓜のランプが照らす夜の最中で、その甘さはどのように巡っていくのか。
それは此処に居る二人だけが知ることだ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【迷宮化】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
リューロボロス・リンドラゴ
アンデレ(g01601)とハロウィンよ!
片思われ中な我なのだ。
仮装は今年のハロウィンの!
我は兎、アンデレは烏である!
烏兎とは歳月であり、月日を現す。
夕暮れ時はまさに月と太陽が共にあるにはうってつけであろう?
普段の我は竜故、かっこよく空を飛ぶところだが!
今日は月に住む兎なのでな!
【エアライド】で軽やかに飛び跳ねようぞ!
ぴょんぴょんぴょーん、とな!
くははははは!
たまにはこういうのも良いの!
アンデレよ、ぬしはどうだ?
翼で飛ぶというのも良いものであろう!
さあ、空をステージに月と太陽によるダンスと洒落込もうぞ!
兎であろうと我は幼子の守護者なのでな。
幼子達のおる所に着地し、その度にお菓子を配るのは忘れぬよ!
手製の南瓜マフィンよ!
同時に我もまた幼子なのでな!
お菓子はありがたくいただくぞ!
ああ、勿論、我にいたずらするのもありだからの、幼子達よ!
我は少食故、アンデレのようにはいかぬ。
少し食べて残りは大事に持って帰ろうぞ。
ああ、そうだ。ぬしにもマフィンをやらねばの。
アンデレよ、トリック&トリート!
ア・ンデレ
愛するドラゴン、リューロボロスちゃん(g00654)と一緒にハロウィンパレードに参加するよ!
アンデレちゃんは太陽に住む三足烏の仮装。
太陽の、黒い点のように明るいアンデレちゃん。
烏の黒い翼で空を飛ぶ。
いつもは翼はリューロボロスちゃんにしかないから、逆転してるのはちょっと新鮮。
「リューロボロスちゃん、いっぱいいっぱい、おかしもらおーね!」
アンデレちゃんは大食い、お菓子も大好き。
たくさんのお菓子をもらえるようにやる気をみなぎらせている。
もちろん顔はいつもの笑顔だけど。
「トリート・アンド・トリート!」
お菓子をくれた人にはアンデレちゃんの特製チョコチップクッキーをお返しするよ。
お菓子をくれない人は先にクッキーを渡して、当然何かくれるよね、という顔で相手を見る。
お菓子をもらうためのアンデレちゃんテクニックだ。
貰ったお菓子はその場ですぐ食べる。
あまりにもはやく食べるものだから、人から見るとお菓子が手に渡った瞬間に消えるように見えるかもしれない。
何でも好きで何でも食べる。
「すごくおいしい! ありがと!」
●兎と烏の行進
ハロウィンパレードは楽しく賑やかに巡りゆく。
今宵、此処で始まる楽しさは唯一のもの。今年に仕立てた仮装に身を包んだリューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)とア・ンデレ(すごいぞアンデレちゃん・g01601)は声を合わせて通りを進む。
「――ハッピーハロウィン!」
アンデレと視線を重ねたリューロボロスの仮装は兎。
自前の角の上にピンと立った兎耳は愛らしく、ふわふわの手足もなかなかのもの。ひらりとなびくスカートもさることながら腰元に添えられた和飾りも良い雰囲気だ。
そして、アンデレの衣装は烏。
和服然とした装いに両腕は翼。角と服の色彩が統一感を感じさせており、可愛さと同時に凛とした雰囲気もある。
「うむ、よく似合っているな」
「ならぶととってもいいかんじ!」
改めて自分たちの装いを見比べたリューロボロスとアンデレは笑いあう。
烏兎とは歳月であり、月日を現すもの。
パレードが始まる今は夕暮れ時。つまり、まさに月と太陽が共にあるにはうってつけの時刻となる。
ディアボロスが進むことになるルートの沿道には様々な人が集まっていた。リューロボロスたちと同じ年頃に見える子供をはじめとして、老若男女が揃っている。
まずはパフォーマンスで人々を驚かせ、楽しませようと決めたリューロボロスは翼をはためかせた。
「普段の我は竜故、かっこよく空を飛ぶところだが!」
しかし、今日は違う。
本日のリューロボロスは月に住む兎として振る舞いたいと考えている。それゆえにリューロボロスは地を蹴り、エアライドの力を巡らせた。
「さぁさ、軽やかに飛び跳ねてみせようぞ!」
「わあー!」
「ウサギさんだ、可愛い!」
「ぴょんぴょんぴょーん、とな!」
リューロボロスが可愛い耳をなびかせながら跳ぶと、周囲の子供たちが空を見上げる。くるり、ふわりと華麗に跳び回るリューロボロスに続いてアンデレも飛ぶ。
アンデレも今の自分は太陽に住む三足烏だとして振る舞っている。
太陽の、黒い点のように明るいと自負しているゆえにこの場のパフォーマンスにも自信ありだ。アンデレは烏の黒い翼で空を飛翔しながら子供たちや観衆に手を振った。
「なんだか、ちょっとしんせんだね」
「確かにそうだな」
「リューロボロスちゃん、いっぱいいっぱい、おかしもらおーね!」
「ああ、そのつもりだ」
空中でアンデレから呼びかけられたことにリューロボロスは強く頷いた。
驚きという名のトリックをしてからご褒美にトリートを貰う作戦だ。アンデレもお菓子を貰うことをとても楽しみにしている。何故ならアンデレは大食いであり、お菓子も大好きなもののひとつだ。
今宵もたくさんのお菓子をもらえると信じてめいっぱいのやる気をみなぎらせている。
もちろん、顔はいつもの笑顔のまま。
それが人々に安心感を与えているらしく、兎と烏の空中パフォーマンスは大いに上手くいった。
リューロボロスとアンデレが同時に地面へと着地するとパレードルートに拍手が響き渡る。鳴り止まぬ歓声と音を聞きながらリューロボロスは胸を張った。
「くははははは!」
「すごかったよ!」
「もっと見たかったくらいだわ」
大人たちも少女ふたりを称賛しており、とても楽しんでくれたようだ。其処へすかさずアンデレが駆けていき、両手を差し出しながらあの合言葉を紡ぐ。
「トリート・アンド・トリート!」
「ふふ、お菓子をどうぞ」
「こっちのも持って行って! わたしたちの手作りよ」
カボチャ型のチョコレートに手作りクッキー。丁寧に包装されたミニカップケーキなど、アンデレに渡されたものは様々だ。無論貰ってばかりではなくアンデレも観客へのトリートを用意している。
お菓子をくれた人にはアンデレ特製チョコチップクッキーのお返しを。
反対にお菓子をくれない人は先にクッキーを渡していき、何かくれるよね、という当然のような顔で相手を見る。そうすることでほぼ全員からお菓子をもらうという最強アンデレちゃんテクニックだ。
「すごくおいしい! ありがと!」
貰ったお菓子をその場で食べ始めたアンデレもまた、実に満足そうな顔をしている。しかし、あまりにもはやく食べるものなので人から見るとお菓子が手に渡った瞬間に消えているように見えたかもしれない。
色々なお菓子を貰ってほくほくしているアンデレを見遣り、リューロボロスは更に笑みを深めた。
「たまにはこういうのも良いの! アンデレよ、ぬしはどうだ?」
「すごくたのしいね!」
「翼で飛ぶというのも良いものであろう!」
「みんなほめてくれたね!」
二人は頷きを交わしながら、今という時間に満ちている楽しい気持ちを実感しあう。
だが、パレードはまだ終わったわけではない。
それに先ほど聞こえた気になる声もあった。もっと見たかった、という言葉だ。リューロボロスはそっと拳を握りしめ、兎の耳をふわりと揺らす。
「さあ、アンコールもあったことだ。空をステージに月と太陽によるダンスと洒落込もうぞ!」
「おー!」
リューロボロスの呼びかけにアンデレが快く応える。今は兎であろうとリューロボロスは幼子の守護者だ。次はまだ自分たちのパフォーマンスを見てない者にも披露するべきだろう。
リューロボロスは少年や少女たちがいる所を目指して着地し、その度にお菓子を配ってゆく。
「これなーに?」
「ふふ、これか? 手製の南瓜マフィンよ!」
「アンデレちゃんのチョコチップクッキーもあるよ!」
「じゃあこれをお返しにどーぞっ」
そうして、子供たちとの交流が広がっていく。同時に自分たちも幼子だとしてリューロボロスたちは差し出されたお菓子を遠慮なく受け取っていった。
「またね、ディアボロスさん!」
「ああ。勿論、我にいたずらするのもありだからの、幼子達よ!」
「あはは、あとで悪戯しちゃおっかな」
「いただきまーす」
リューロボロスと少年が楽しく会話する中、アンデレは先程と同じようにすぐにお菓子を平らげていった。その様子を見たリューロボロスは少し考え込む。
「我は少食故、アンデレのようにはいかぬ。そうだな」
此処で何も食べないのもまた違う気がした。なんせ折角のハロウィンだ。それゆえにリューロボロスは少しだけ食べ、残りは大事に持って帰ることに決めた。
「ああ、そうだ。ぬしにもマフィンをやらねばの」
「ありがと、リューロボロスちゃん」
「アンデレよ、トリック&トリート!」
「トリートー!」
楽しげな声がパレードルートに響かせた後、二人はとびきりの笑みを交わした。
そうして此処からもまた賑わいが続いていく。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【現の夢】LV1が発生!
【照明】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
エノテラ・リノン
【エノテラ】
わぁ~…!すっごく可愛いお菓子の家だ~!
こんなに可愛いとこで過ごせるなんて夢みたいだね、メルア♪
外もだけど中も可愛い~!あ、食器も可愛いの揃ってる!
せっかくだからこの可愛い食器を使わせてもらいながらさっきもらったお菓子を一緒に食べようかな。
メルアはパレードで疲れてると思うからマシュマロのソファーでゆっくりしてていいよ~。その間にボクは紅茶の準備と、食器にお菓子を並べちゃう!
その後は一緒にのんびりとお菓子と紅茶を楽しんで、日が落ちてきたらメルアにランプをどれにするか選ばせてあげたいな。
初めてのハロウィンがメルアにとって楽しい一日になったことを願いながら、「これからも一緒に楽しいことしたり、色々なことを頑張っていこうね」って伝えるね!
【メルア】
お菓子の家を見て瞳をキラキラさせてるよ!
中に入ってからも窓や壁紙を興味深そうに眺めたり、ソファーでゆっくり休んだりしながらお菓子の家を満喫!
日が落ちてきた時にはランプを見比べて迷いながら星のランプを選んで照明を付けてくれるよ!
●お茶会とランプの輝き
賑わいに満ちたパレードルートを抜け、辿り着いたのは広場。
其処に用意されたのはお菓子の家。それも本当に内部に入れる大きなものだ。
「わぁ~……!」
感嘆の声を紡いだエノテラ・リノン(自由な心・g10446)は周囲を見渡す。たくさん並んでいるお菓子の家のひとつに駆け寄ったエノテラは、まず窓硝子を眺めてみる。
「すっごく可愛いお菓子の家だ~!」
キャンディがそのまま窓になったような可愛らしい外観。それに板状のチョコレートが扉になっているのもファンタジーの世界のようで面白い。屋根に装飾された色とりどりのお菓子オブジェもなかなかのものだ。
メーラーデーモンのメルアもエノテラの隣で瞳をキラキラと輝かせている。
「こんなに可愛いとこで過ごせるなんて夢みたいだね、メルア♪」
「メル~」
エノテラが呼びかけるとメルアも上機嫌に返事をした。
メルアは早く中に入ってみたいと考えているらしく、エノテラは楽しげに笑う。行こうか、とエノテラが手を差し出したことでメルアが嬉しそうに腕を伸ばし返す。
そうして、ふたりはチョコレート型の扉をくぐっていく。
まず感じたのは甘い香り。
どうやらルームフレグランスが用意されていたらしく、ふんわりとしたストロベリーの香りが広がっている。
ショートケーキの色合いをしたソファーの上には生クリーム色のふわふわクッション。それはマシュマロのように柔らかい素材で出来ている。
その前においてあるテーブルもキャンディのようで良い雰囲気だ。
「外もだけど中も可愛い~! 見てみて、メルア!」
エノテラは内装を眺め、実際に触ってみることで確かめていく。寛ぐのに十分すぎるほどの装飾と家具でいっぱいだ。そして、次にエノテラが気にかけたのはミニキッチンの方。
「あ、食器も可愛いの揃ってる!」
ティーカップにソーサー、お皿など。
食器棚に並べられた品々を手に取ったエノテラは心地よさを感じていた。メルアはというと、窓や壁紙を興味深そうに眺めている。そのままソファーに腰掛けたメルアはふわふわ感を楽しんでいるらしい。
メルアもお菓子の家を満喫していると感じ、エノテラは更に笑みを深める。
「せっかくだからこの可愛い食器を使わせてもらいながらさっきもらったお菓子を一緒に食べようかな」
「メル!」
「賛成? じゃあさっそく!」
「メル~」
エノテラがお茶会の準備をしようとするとメルアが立ち上がりかけた。
だが、エノテラは首を横に振る。
「お手伝いはいいよ。メルアはパレードで疲れてると思うからマシュマロのソファーでゆっくりしててね」
「メル、メル~」
「うん! その間にボクは紅茶の準備と、食器にお菓子を並べちゃうから!」
相棒を労ったエノテラはお皿とティーセットを用意していき、其処に先程のパレードで貰ったお菓子を乗せる。其処に紅茶を淹れていけば、アリスとハートの女王が織り成すティータイムのはじまり。
「おいしいね、メルア」
一緒にのんびりとお菓子と紅茶を楽しめば、すっかりと日が落ちてきた。
「メル~」
「メルア、灯すランプはどれにする?」
「……メル!」
エノテラに問いかけられたメルアは少しだけ考えた後、可愛い星のランプに手を伸ばす。
其処に宿った灯りは淡い薄青。優しい色合いに目を細めたエノテラは幸せな気分を抱いた。
今日はメルアにとって、初めてのハロウィンとなる。今日という一日が楽しいものになっているように願いながら、エノテラは心からの言葉を紡ぐ。
「これからも一緒に楽しいことしたり、色々なことを頑張っていこうね」
「メル!」
そして、エノテラとメルアはお菓子の家で暫しの穏やかな時を過ごしていった。
またひとつ、ふたりだけの新しい思い出を灯して――。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
咲樂・祇伐
🌸樂祇
浮遊でふわり
桜花と共にハロウィンの穹を游ぎ舞う
今宵の私は桜の龍神
父上と同じ姿
巡らせた視線の先に、あなたがいる
まさか迦楼羅が本当の姿になるなんて思わなかった
……
何か今、ゾクッとした気が
偽りでも張りぼてでも
あなたは美しくて、立派よ
彼に偽りを求めたのはわたしだから
本当の己を識って欲しいという迦楼羅の想いに胸が痛─ふにゃ!
お菓子あげる前に悪戯されたっ
何時だって…迦楼羅は私が進めるように背を押してくれる
笑顔につられて咲って
今宵の桜龍神は、花飴の祝福を咲かせるの
桜花と共に花飴を、人々の元へ咲かせ届ける
生姜焼きが、一番得意なのは何故?
…それは素敵ね
生姜焼きクッキーなんて、驚きだわ
なっ!花飴を──いい子にしてたら、ね
踊りながらパレード?
迦楼羅と龍が
捕食者と獲物が
可笑しくて、けど手を取り合えたら─何より素敵よね
お菓子を貰えば嬉しくて、満開に綻ぶように咲い
龍の背にも乗せてあげようかしら
彼がお菓子を手渡されているところを見守る
しって、しられて
染め上げられるのは、きっと
それはあなたの心が動いたということ
咲樂・神樂
⚰️樂祇
目の前を舞う美しき桜の龍に
思わず舌なめずりしたくなる
──愛しくて可愛くて
美味そうだ、なんて
私は識って欲しかったのかもしれない
本当の姿を
例え仮装という偽りでも
ちなみに翼は張りぼてだよ
今宵はハロウィンだから、悪戯も赦される
少し曇った番の頬を優しく摘む
私が選んだ事
祇伐は何も気に病まなくていい
それより笑って
ハロウィンのパレードを楽しもう
私は君との今を大切にしたい
今宵の私は殺戮コックの迦楼羅だ
得意料理は生姜焼き
何故って…一番初めに習った料理だから
生姜焼き…のように見える菓子にしたよ
アイジングクッキーだ
どうだ?なかなかにトリックだろう
祇伐の花飴も甘くて美しいね
…ひとつ、食べさせてくれないか?
戯れひとつ朱に染まる番は実に愛しい
桜龍の隣に居るとは不思議な心地だ
過去とは違う、私達の今を実感する
光の鳥達と共に華やかに、美しい番を咲かせるように手をとり、勝利の凱歌と共に踊りながらパレードしようか
私はダンスは得意だ
これを私に?
渡された菓子に、笑顔な
こみあげてくるあたたかな熱
鼓動しない心臓が脈打ったようだ
●識
ふわり、ひらり。舞う花のように穹をゆく。
ハロウィンの装飾でいっぱいの通りをそっと見下ろせば、たくさんの笑顔が見えた。
「素敵な光景ですね」
咲樂・祇伐(花祇ノ櫻禍・g00791)は此方に手を振ってくれている観客を見つめて、淡く笑む。桜花と共にハロウィンの穹を游ぎ舞う祇伐の瞳には幸いが映り込んでいた。
今宵の自分は桜の龍神。
父上と同じ姿だと思えば心が弾み、振る舞いにも力が入っている。そして――祇伐が巡らせた視線の先には、咲樂・神樂(離一匁・g03059)がいる。
自分の目の前を舞う美しき桜の龍を見つめる神楽は思わず舌なめずりしたくなっていた。
――愛しくて可愛くて、美味そうだ、なんて。
「まさか迦楼羅が本当の姿になるなんて思わなかった。……?」
彼の姿を見て感心した祇伐だが、一瞬だけゾクッとした気がした。しかし、すぐに彼が笑ったことで奇妙な感情も何処かにいってしまった。
「そうだね、私は識って欲しかったのかもしれない」
本当の姿を。
たとえ、仮装という偽りでも。
彼はそのように語り、祇伐の前でゆっくりと回ってみせた。空で行うことで観客への衣装披露にもなっており、眼下ではその格好良さに歓声をあげた者もいた。そちらに一度だけ手を振った後、神楽は祇伐に視線を戻す。
「ちなみに翼は張りぼてだよ」
「偽りでも張りぼてでも、あなたは美しくて、立派よ」
言葉を付け加えた彼に対し、祇伐は優しく首を振った。それに彼に偽りを求めたのは自分。本当の己を識って欲しいという迦楼羅の想いに胸が痛くなったが、祇伐は何も言わないでいた。
すると、それならよかったと応えた神楽が口許を緩める。
今宵はハロウィン。悪戯も赦されるだろうと考えた神楽は祇伐へと手を伸ばす。ほんの少しだが番の顔が曇ったことに気付いていた神楽は、その頬を優しく摘む。
「――ふにゃ!」
「何を考えているかくらいわかる。それも、私が選んだ事だよ」
「……」
「祇伐は何も気に病まなくていい。それより、笑って」
神楽は双眸を細める。
自分の考えていたことが彼にはお見通しだったと気付いた祇伐は、敢えて頬を膨らませた。
「お菓子あげる前に悪戯されたっ」
――そう、何時だって。迦楼羅は自分が進めるように背を押してくれる。
明るく答えた祇伐は彼の笑顔につられて咲った。今はこれでいい。お守りのように抱いた思いを胸に、祇伐は真っ直ぐに前を見つめる。
「さぁ、ハロウィンのパレードを楽しもう」
「そうね、その通り」
「それに私は君との今を大切にしたいから」
賑わうパレードの様子を今一度見渡したふたりは、桜龍神と迦楼羅として進んでゆく。
今宵の桜龍神は花飴の祝福を咲かせる役目。
「皆さん、どうぞ!」
祇伐は桜花と共に花飴を振りまき、人々の元へ咲かせて届けていった。対する迦楼羅も両手を広げて自分なりのパフォーマンスを披露している。
「今宵の私は殺戮コックの迦楼羅だ。得意料理は生姜焼き」
「生姜焼きが、一番得意なのは何故?」
彼の言動が気になった祇伐はふと問いかけてみる。迦楼羅は用意してきた菓子を見せながら答えた。
「何故って……一番初めに習った料理だから」
「……それは素敵ね」
彼の過去をまたひとつ知れた気がして、祇伐は嬉しそうに微笑む。彼の手の中にあるクッキーは見た目こそ普通のものだが、特別な仕掛けがあるらしい。
「だから生姜焼きのように見える菓子にしたよ」
「生姜焼きクッキーなんて、驚きだわ」
「どうだ? なかなかにトリックだろう」
「本当に、ね」
悪戯っぽく笑っている彼を見た祇伐もくすりと笑った。しかし、次に聞こえた声に驚くことになる。
「祇伐の花飴も甘くて美しいね。……ひとつ、食べさせてくれないか?」
「なっ! 花飴を――いい子にしてたら、ね」
食べさせて、というところに照れてしまった祇伐はふいっとそっぽを向く。されどその様子もまた迦楼羅にとっては可愛らしい光景として映った。戯れをひとつしただけで朱に染まる番は実に愛しい。
「さて、次は――」
迦楼羅にとって桜龍の隣に居ること自体が不思議な心地だった。
過去とは違う、自分達の今を実感できる。
光の鳥達と共に華やかに、美しい番を咲かせるように手をとり、勝利の凱歌と共に。
「踊りながらパレードしようか。私はダンスは得意だよ」
「このままパレード?」
祇伐は彼からの誘いに瞳を瞬かせる。
迦楼羅と龍が。
即ち、捕食者と獲物が。
そう考えると可笑しくなったが、今宵は特別。こんな運命の悪戯のようなことだって赦される日だ。
「そうね、手を取り合えたら――何より素敵よね」
それからふたりはパレードルートを進んでいった。地上にふわりと降りたとき、駆け寄ってきた子供たちが祇伐と神樂にお菓子を差し出してくれた。
「きれいなおにいさん、おねえさん!」
「これあげるー!」
貰ったのはジャック・オー・ランタンの顔が描かれた包みに入っているお菓子セットだ。子供たちがラッピングしたらしい包みを見た神楽は一度だけきょとんとする。
「これを私に?」
「ありがとう、皆さん」
とても嬉しく感じた祇伐は満開に綻ぶように咲い、龍の背にも乗せてあげようかしら、と告げる。
そうして神樂がお菓子を手渡されているところを見守れば、穏やかな気持ちが溢れてゆく。神樂も裡からこみあげてくるあたたかな熱を感じながら、ありがとう、と子供たちに告げ返した。
まるで、鼓動しない心臓が脈打ったようで――。
しって、しられて。
染め上げられるのは、きっと。
(「――それはあなたの心が動いたということ」)
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【浮遊】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
ルリラ・ラプソディア
【甘唄】
美しい夕陽が照らす街の中で
お菓子の家の待つ場所までパレード
まるでみんなを夢の国まで案内する行列みたい、ね?
それなら、わたし達も
この先に待つお菓子の家のようにきらきらと
楽しいパレードを魅せましょう?千景
わたしの隣に立つのは
夜明けの輝夜姫さま
暁へと移ろうその幻想的なあなたに向けて
優雅にカーテシーをすると
――参りましょう、麗しの姫君
今宵のエスコートは、わたしに任せて
夕陽とあなたを握って歩む
わたしは唄う
纏う仮装と同じくオルゴールのように煌く歌声で
”Resplendir”――光り輝け今宵のパレード
天使の輪から零れる光砂を”光使い”で操り
路ゆく後に光のヴェールを舞わせる
天の川のように演出
輝夜姫のあなたが一等美しく在るように
星が流るるヴェールと共に
あなたが齎すは祝福の華と暁
桜が揺れれば、夢のようにわたし達のパレードは華開く
僅か幻想に密やかに響く切なの想い感じれば
そっと輝夜の頬を包む
音と光のヴェールはあなたを隠す
一夜限りの夢ならば
どうか、この唄に攫われてしまって
その想いを音匣に閉じ込めるように
紫空・千景
【甘唄】
黄昏は宵を招くまでの時間に街を美しく照らす
夢の国――お菓子の家へ行く行列ならば夢も深まろう
懐かしき夜が待っている
噫、私達も行こう
勿論、魅せてやるさ
今日限りの纏なのだから、な
ルルとあんたにだけ届く音を置いて
月へは帰らず夜の先を選んだ輝夜姫も
矢張り月や星は恋しき物
罪悪感が無いと言えば嘘だろうが
眼の前には……オルゴールの彼女が
今日を彩る音色を持つドールが居るから
屹度、大丈夫
夜明けに染まった桜の羽織と
桜の花びらに変わった纏の一部をふわり揺らし
手を伸ばし重ねる
――連れて行ってくれ、愛らしいドール
エスコートは任せると委ねるのは、信頼故に
うた、歌、唄
オルゴールの唄声が響いて馴染む
あんたが光を齎すなら――春暁
纏に潜ませた刀を夜明け色の花びらに変えて
宴を、魅せよう
天の川にも似たヴェールに祝福の花を
素敵な出会いを願う黎明桜を
ひらり、はらり舞わせ
気まぐれの様に降らせて、魅せる
オルゴールの音色がより彩られる様に
祝福を重ね、夜へ歩む
今宵だけ許してと紡げば包まれる頬
唄に攫われ
音匣に仕舞おう
一夜限りの夢として
●ふたつの輝き
降り立ったのは美しい夕陽が照らす街の中。
黄昏は宵を招くまでの時間に街を美しく照らしている。
夕暮れから宵へと変わりゆく世界の最中、目指す場所はお菓子の家が待つ広場。パレードが行われている街の通りはたくさんの装飾で彩られており、見ているだけでも楽しい気分が巡っていく。
「いきましょう」
ルリラ・ラプソディア(Ⅻの子守歌・g00784)はパレードルートを見渡し、傍らの人物――紫空・千景(夜明の導べ・g01765)をいざなった。
この場だけでも大きな賑わいが満ちているが、更に向かった先には素敵な世界が待っている。
夢の国――即ち、お菓子の家へ行く行列ならば夢も深まっていくだろう。懐かしき夜が待っている、と感じた千景は隣に佇むルリラに視線を返した。
「噫、私達も行こう」
「まるでみんなを夢の国まで案内する行列みたい、ね?」
千景が頷くと、ルリラはふわふわと咲ってみせる。そうして、賑わいに満ちた通りを再び瞳に映した。沿道には様々な人々が待っており、ディアボロスが紡ぐハロウィンパレードを楽しみにしているようだ。
いま此処だけは普段とは違う世界。
日常を忘れて熱狂できるステージであると言っても過言ではないだろう。ルリラは手を振ってくれている子供に手を振り返しながら、千景を呼ぶ。
「それなら、わたし達も……ねぇ、」
「うん?」
「この先に待つお菓子の家のようにきらきらと、楽しいパレードを魅せましょう?」
「勿論、魅せてやるさ。今日限りの纏なのだから、な」
ルル。
彼女にだけ届く音を置いて、千景は歩き出した。そんなふたりの仮装は美しく凛としたもの。
ふわりと進むルリラの隣に立つのは、夜明けの輝夜姫。
月へは帰らずに夜の先を選んだ輝夜姫も、矢張り月や星は恋しきものだろう。其処に罪悪感が無いと言えば嘘だろうが――そんな風に考える千景の眼の前には、オルゴールの彼女がいる。
されど、今日を彩る音色を持つドールが居るから。
屹度、大丈夫。
信頼と憧憬。良く似た思いを抱いたふたりの眼差しは今、互いにだけ向けられている。それもまた演出のひとつとして人々には映っているらしく、息を呑んで見守る者もいた。
皆の目を奪うほどに美麗で凛とした、お似合いのふたり。
そう見てくれていることを嬉しく感じたルリラは双眸を緩やかに細めた。
それから、ルリラは暁へと移ろう幻想的な彼女に向けて優雅にカーテシーをしてみせる。
「――参りましょう、麗しの姫君」
「噫」
「今宵のエスコートは、わたしに任せて」
「連れて行ってくれ、愛らしいドール。エスコートは任せる」
すべてを快く委ねるのは信頼ゆえに。
千景は夜明けに染まった桜の羽織と桜の花びらに変わった纏の一部を揺らす。それからルリラに手を伸ばし、掌を重ねる。ルリラも夕陽と彼女を握って歩み、唄いはじめた。
纏う仮装と同じように、オルゴールのように煌く歌声で――。
”Resplendir”
光り輝け今宵のパレード。
開幕の言葉と共に響くのは淡い聲。
天使の輪から零れる光砂を操り、ルリラは路ゆく後に光のヴェールを舞わせていった。それらを天の川のように演出していけば、観客から様々な声が上がった。
綺麗、美しい、素晴らしい。
可愛いとはしゃぐ子供の姿や、瞳を潤ませてふたりを見守ってくれている人もいた。誰もに共通するのはこのパレードを心から楽しんでいる、ということ。
どれもが称賛の言葉であることを嬉しく感じつつ、ルリラは隣を見遣る。
この光は、輝夜姫のあなたが一等美しく在るようにと想ってのもの。星が流るるヴェールと共に彼女が齎すは祝福の華と暁。桜が揺れれば、夢のように自分たちのパレードが華ひらいてゆく。
うた、歌、唄。
オルゴールの唄声が響いていくから、よく馴染む。そう感じた千景の笑顔は輝いている。
ふたりだけの世界でありながら、他者をも魅せる舞台。それこそがふたりが繰り広げているハロウィンの魔法。幻想はいつか晴れてしまうものかもしれない。それでも、記憶に残る一瞬を。
「あんたが光を齎すなら――」
春暁。
纏に潜ませた刀を夜明け色の花びらに変えたように魅せた千景は舞うように進んだ。歩くたびに感じる眼差し、声援、それから人々の心。
未来を願う者の思いは自分たちにも届き、此処から歩んでいくための力にもなっていく。この装いと振る舞いが輝き、進む先に繋がっていくのならば本望だ。
天の川にも似たヴェールに祝福の花。其処へ素敵な出会いを願う黎明桜を重ねて――。
ひらり、はらりと舞わせる色彩を気まぐれの様に降らせる。そうすれば更に歓声が響き、素晴らしいものを披露していくふたりを祝福するような声が幾つも紡がれていった。
オルゴールの音色がより彩られるように。
僅か幻想に密やかに響く切なの想い感じ、そっと輝夜の頬を包む。そして、音と光のヴェールは彼女を隠した。
――どうか、この唄に攫われてしまって。
今宵だけ許して。
捺さ約ように紡がれた唄に攫われたならば、音匣に仕舞おう。その想いを閉じ込めるように、そっと。
一夜限りの夢ならば。
一夜限りの夢として。
祝福を重ねて、夜へと歩む。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【植物活性】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!
【フィニッシュ】LV1が発生!
ミア・メア
仲良しロイ(g07184)とレグルスと!
今年の南瓜仮装で参ります
そろそろ一番星が見えてくるでしょうから
星詠みさんのお時間です
ロイとレグルスはお揃いコーデで大変素敵です!
わ、今回も良いのでしょうか…!
ではレグルス、エスコート宜しくお願いしますよう
んふふ、迷わぬ為の目印というのなら
今日のロイはポラリス役という事ですね
はいっ
南瓜バスケットにもアイテムポケットにもお菓子の準備は万端です!
お決まりの文句を聞いたなら瞬きひとつ
次いでニヤリと
ふっふっふ、よくぞ言って下さいました
ロイとレグルスには特別なひとつを
にゃんこ型の巨大クッキーです!
ミアもこの言葉を言っても?
トリック オア トリート!
……って、え、全部いいのですか?ありがとうございます!
見た事がないお菓子ばかりにワクワクが止まりません!
本当の星月も飾る空の下、
ゆく先々でお菓子を配ります
クッキーにキャンディ、チョコレート
あなたのお好みのままに!
もしローブにもお菓子を仕込めたら星詠み中も楽しめますねえ、なんて
今ローブから!?
ロイ、どうやったので?
レックス・ウェリタス
仲良しのミア(g07746)と
2023の仮装
まだ茜色が綺麗な時間だけど
星や月が有るなら僕の領分かな
僕は黒、レグルスは白で猫の星詠みだからね
揃いのローブと装飾、手には浮かせた星の天球儀
可愛らしいゾンビのお嬢さんのエスコートは…
ふふ、やっぱりレグルスがするの?
じゃ僕は目印になりつつミアの隣に立って
もしもの時の為の…ん、ポラリス役で
ミアはお菓子を配るかい?
僕も実は隠し持ってるんだよね
ってことで、最初に
Trick or Treat!
一番乗りさーせて?
わあ、にゃんこ型巨大クッキーかっわい~
僕とレグルスの特別と言えば双猫は嬉しげに
ん、もちろん
色んなお菓子をローブから出して…よし、出てきたの全部あげる!
特別って事で珍しいのばかりだよ
月と星を渡り歩くように
一般人とも交換して回ろう
簡易式の南瓜バスケットを自分も用意して
ローブの中が無限大になったら便利なのになあ
他愛ない話で笑いつつ
子供が居たらローブからお菓子をぱらぱら
え?出せはするよ?ときょとん
ちょっと魔法みたいに見えた?と
耳擽る愛称にもつい緩んじゃうんだ
●一番星の耀き
夕暮れが終われば宵の口。
そうなれば、そろそろ一番星が見えてくる頃。つまりは――。
「星詠みさんのお時間です」
ミア・メア(璃々・g07746)は空を振り仰いだ後、隣に立つレックス・ウェリタス(Memento mori・g07184)を見上げる。ミアの言葉を聞いたレックスは頷きを返した。
「そうだね。まだ茜色が綺麗な時間だけど、星や月が有るなら僕の領分かな」
レックスは黒。スフィンクスのレグルスは白で猫の星詠み。
それに今日はハロウィン。
普段とは違う装いに身を包んでいるレックスは、片手に浮かせた星の天球儀をふわりと揺らす。その際にレグルスとお揃いのローブと装飾も穏やかになびいた。
「ロイとレグルスはお揃いコーデで大変素敵です!」
ミアはふたり、もとい一人と一匹のコーディネートを褒め称える。そんなミアの仮装は愛らしくてポップなゾンビ風のものだ。淡く咲ったレックスはミアを誘う。
「可愛らしいゾンビのお嬢さんのエスコートは……」
「わ、今回も良いのでしょうか……!」
レックスからエスコートという声が聞こえたことで、ミアはそわそわとした表情を見せた。ゾンビな彼女の様子がいつにもまして可愛らしいと感じたレックスは更に笑みを深める。
「ふふ、やっぱりレグルスがするの?」
「ではレグルス、エスコート宜しくお願いしますよう」
明るく答えたミアはレグルスに軽く一礼する。すると、レグルスも尻尾をぴんと立てた。
了承の合図だと知ったミアは上機嫌に歩き出す。
もちろん、その視線が追うのは先導してくれるレグルスの姿があった。そして、彼女の隣にはレックスが立つ。
「じゃ僕は目印になりつつ、もしもの時の為の……」
「んふふ、迷わぬ為の目印というのなら――今日のロイはポラリス役という事ですね」
「ん、ポラリス役で」
レックスの言葉に付け加える形でミアが口をひらいた。実に言い得ている物言いにレックスは双眸を細め、その通りだと答えた。一番星は既に空に輝きはじめており、心地の良い宵を導いてくれているかのよう。
先に進んでいる他のディアボロスがパレードを盛り上げているらしく、あちこちから歓声や喜びの声が響いている。
そんな中、レックスはミアに問いかけてみた。
「ミアはお菓子を配るかい?」
「はいっ」
抱えている南瓜のバスケットを見せたミアは元気よく頷いた。それに加えてアイテムポケットにもたくさんのものを詰め込んできたので、なくなってもすぐに補充ができる状態だ。
「お菓子の準備は万端です!」
「僕も実は隠し持っているんだよね」
「ロイも?」
「ってことで、最初に――Trick or Treat! 一番乗りさーせて?」
そうして、お決まりの文句を聞いたなら瞬きをひとつ。
次いでミアはニヤリと口許を緩め、レックスを見上げる。受け取った言葉が一番目のものだということで嬉しくなりながら、ミアはレックスに笑顔を向けた。
「ふっふっふ、よくぞ言って下さいました」
こうなることは少し予想していた。それゆえにミアも特別なものを用意してきていた。
「何かあるのかな」
「ロイとレグルスには特別なひとつを! ということで、にゃんこ型の巨大クッキーです!」
「わあ、にゃんこ型巨大クッキーかっわい~」
ミアから渡されたのは仲良しに贈る気持ちの証そのもの。
自分とレグルスの特別だということで、レックスの心があたたかくなっていた。レグルスも嬉しげに翼を揺らしており、とても上機嫌だということがわかった。
ふたりの様子を眺め、ミアはわくわくした気持ちを声に乗せていく。
「では、ミアもこの言葉を言っても?」
「ん、もちろん」
ミアからの申し出に快く答えたレックスは、その言葉を待つ。
そして――。
「トリックオアトリート!」
勢いよく楽しさと共に告げられたお決まりの文句。その響きが実に良いと感じたレックスは色んなお菓子をローブから出していき、すべてをミアに差し出した。
「よし、出てきたの全部あげる!」
「……って、え、全部いいのですか?
「特別って事で珍しいのばかりだよ」
「ありがとうございます!」
受け取ったのはミアにとって、見たことがないお菓子ばかり。先程以上にわくわくが止まらないと話したミアはめいっぱいのお礼を返した。
そうして其処から、ふたりと一匹のハロウィンパレードが本格的に幕あけた。
月と星を渡り歩くように言葉とお菓子を交換する。
クッキーにキャンディ、チョコレート。カップケーキやビスケット。本当の星月も飾る空の下、ゆく先々で配られるお菓子を受け取った人々はお礼を伝えてくれた。
「どうぞ、あなたのお好みのままに!」
「わあー! ありがとー!」
喜んでくれた子供に手を振ったミアは、嬉しそうに駆けていく背中を見送る。その最中、ミアはふとレックスの方を見遣る。彼も簡易な南瓜バスケットを用意していたらしく、其処からお菓子を取り出していた。
「ローブの中が無限大になったら便利なのになあ」
「もしローブにもお菓子を仕込めたら星詠み中も楽しめますねえ、なんて」
彼の他愛ない呟きを聞き、ミアはふんわりと反応する。
すると、レックスは周囲の子供たちに加えてミアにも見せるようにローブからお菓子を取り出した。
「え? 出せはするよ?」
「今ローブから!? ロイ、どうやったので?」
きょとんとするレックスに対し、驚いたミアは興味深そうに問いかける。そういった彼女の反応もまた面白いもので、レックスは更に魔法のようにお菓子を取り出した。
「ちょっと魔法みたいに見えた?」
耳を擽る愛称にもつい頬が緩み、そして――。
星詠みたちが配る魔法のお菓子が紡ぐ宵は、楽しく仲良く此処からも暫し続いてゆく。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【アイテムポケット】がLV2になった!
【照明】がLV2になった!
効果2【先行率アップ】がLV2になった!
【反撃アップ】がLV2になった!
坂登・悠日理
惺音g03409と
おーすごっ!お菓子の家だー!
子供の頃お菓子の家いーなーって真剣に思ってたわ…
えー?惺音は思わなかったのか?
実際に食べられないのが残念だが…
新宿だぞ?いる訳ないだろ
居ても惺音みたいにディアボロスか仮装だよ
ま、入ってみるか!
惺音の手を引いていそいそと中へ
レオも行くぞ
おー!中もすごいじゃん!
2人と2匹でも広さは十分だな
電気も付けてみるか
星形のランプを付けて
いいねいいね!ますますらしくなってきた
惺音何かお菓子持って来た?
おっハロウィンっぽい
俺はマカロン!
一応ハロウィンカラーをチョイスしてみた
えーと…
茶色がチョコで
紫がカシス
オレンジ色がアプリコットだったかな?
あっ戸棚にクッキーあったぞ
蝙蝠の形と南瓜の形の奴
皿借りて並べるか
あとカップも
了解紅茶は任せた!
んー?飴か?
ハロウィンっぽい飴なら?
紅茶に入れたら一緒かな
ごそごそと取り出して
準備が終わればソファに腰を下ろして
柔らかっ!
さすがマシュマロのソファ
だなー
ここに住みたい……
レオにつんつんされ
はっごめんごめん
食べるか
ハッピーハロウィン!
森瀧・惺音
ゆぅ君g04140と
わ、凄い、どこもお菓子みたい…
うん、良いなぁとは思うんだけど…
憧れもあったけど、こう…童話の魔女を思い出して
…居ないよね、魔女
まるで童話の中に入ったみたいで…ついきょろきょろ
居ないなら良いけど…
ゆぅ君、甘い物好きだから夢のお家かもね…食べちゃ駄目だよ?
魔女は…今はむしろ私の方が魔女かもね
自分の内に悪魔を抱えてる訳だし…
手を引かれて
ユキミもおいでともふっと抱えるよ
わ、外観だけじゃないんだ…中も、あちこちお菓子っぽい
小さなお家のイメージがあったけど、結構ゆったりしてるね
星形のランプに目がきらきら
こういうのもあるんだ…用意してくれたのかな、可愛い
私はミニパンプキンパイ作ってきたよ
パイシートは偉大
あ、紅茶もある
ゆぅ君はお菓子並べててくれる?
私、紅茶淹れるから
戸棚に飴ってある?
あったら紅茶に溶かしても楽しいし美味しいよ
紅茶を入れたティーセットを運んでから
私もマシュマロなソファへ
…これ、うっかりすると…寝そ…う…
うとうと~っとしかけて
…あ、いけない
うん、食べよう
ハッピーハロウィン
●甘い夢のひととき
「おーすごっ! お菓子の家だー!」
「わ、凄い、どこもお菓子みたい……」
ハロウィンパレードが開かれていた通りの向こう側、特別な家々が並ぶ広場。其処に訪れた坂登・悠日理(叡智の眼・g04140)と森瀧・惺音(眠れる森の魔女・g03409)のふたりは目の前に広がる光景に向け、それぞれの感想を紡いだ。
チョコレートの扉にウエハースの屋根、窓は曇硝子のようなキャンディ風。
本当に食べられそうなお菓子風の家は愛らしく、ハロウィンの特別な雰囲気が感じられる。
「子供の頃お菓子の家いーなーって真剣に思ってたわ」
「うん、良いなぁとは思うんだけど」
「えー? 惺音は思わなかったのか? 実際に食べられないのが残念だが……」
悠日理が素直な思いを声にすると、惺音は少しだけそわそわしはじめた。不思議そうに首を傾げる悠日理の傍らで惺音は自分が抱いている気持ちを説明していく。
「憧れもあったけど、こう……童話の魔女を思い出して……居ないよね、魔女」
今はまるで童話の中に入ったような気持ちだ。
それゆえについ、きょろきょろしてしまうのは仕方がない。対する悠日理は軽く笑い飛ばす勢いで答えた。
「新宿だぞ? いる訳ないだろ」
「居ないなら良いけど……」
「居ても惺音みたいにディアボロスか仮装だよ」
心配しなくても大丈夫だということを示した悠日理は惺音を誘い、手近なお菓子の家の前に歩いていく。
「ま、入ってみるか!」
「うん。ゆぅ君、甘い物好きだから夢のお家かもね……食べちゃ駄目だよ?」
「食べるのは本物だけだ。レオも行くぞ」
悠日理は惺音の手を引き、いそいそと中へ入っていった。その瞳には期待が宿っており、後をついていくメーラーデーモンのレオも楽しそうだ。
「ユキミもおいで」
繋いでいないもう片手でモーラット・コミュのユキミをもふっと抱え、惺音も一歩を踏み出す。
「おー! 中もすごいじゃん!」
悠日理は扉の向こう側を見渡し、これならばふたりと二匹でも広さは十分だと判断した。惺音も瞳を瞬かせながら愛らしい内装の部屋を眺めていく。
「わ、外観だけじゃないんだ……中も、あちこちお菓子っぽい」
「電気も付けてみるか」
「小さなお家のイメージがあったけど、結構ゆったりしてるね」
惺音が感心していると、悠日理が近くのテーブルにあった星形のランプを付けてみた。ふんわりと広がった灯火の色はとても優しく部屋を照らしはじめる。
「いいねいいね! ますますらしくなってきた」
「こういうのもあるんだ……用意してくれたのかな、可愛い」
惺音は星形のランプに瞳をきらきらと輝かせていた。ユキミもランプに興味津々らしく、まわりを飛び回ってはしゃいでいる。悠日理は喜ぶ惺音たちを見つめ、ふと思い立った。
「惺音、何かお菓子持って来た?」
「私はミニパンプキンパイ作ってきたよ」
はたとした惺音は持参した籠から手作りのパイを取り出す。凝ったものにみえるが市販のパイシートを利用して作ったものなので味も見た目もばっちりだ。
「おっハロウィンっぽい」
「あ、紅茶もあるよ。ゆぅ君は持ってきたお菓子を並べててくれる?」
「俺のマカロンもパイの皿の横に添えるか。一応ハロウィンカラーをチョイスしてみた。えーと……」
茶色がチョコレートで紫色のものがカシス。そして、オレンジ色がアプリコット。
持ち寄った菓子の味を思い出しつつチェックしていく悠日理の目もまた、楽しさに満ちている。
「私、紅茶を淹れてるから」
「了解、紅茶は任せた! あっ、戸棚にクッキーあったぞ」
その中で悠日理が見つけたのは蝙蝠の形と南瓜の形をした可愛いクッキーだ。お菓子の家に用意されていた食器を手に取った悠日理は手早くそれらを皿と一緒に並べていった。
「あとカップと……戸棚に飴ってある?」
「んー? 飴か。ハロウィンっぽい飴なら?」
「紅茶に溶かしても楽しいし美味しいよ」
紅茶に入れたら形は関係なく、惺音の言う味と一緒になるだろうか。
悠日理はごそごそと飴を取り出していき、惺音に手渡した。そうしてふたりで準備を整え終えれば、お茶会のはじまりだ。マシュマロのようなソファに腰を下ろした瞬間、悠日理は驚きの声をあげた。
「柔らかっ! さすがマシュマロっぽいだけあるな」
「本当? 私もゆっくり座ってみようかな……」
惺音は紅茶を入れたティーセットを運んでから、悠日理に倣ってみる。ふわんとした心地はとても良いものであり、隣に腰掛けた惺音もうっとりしはじめた。
「……これ、うっかりすると……寝そ……う……」
「だなー。ここに住みたい……」
両腕を広げた悠日理が寛ぎすぎるほどに寛いでいると、レオがつんつんと主人をつついた。どうやら早くお茶会がしたいという意思表示らしい。はっとした悠日理は起き上がり、レオを軽く撫でた。
「ごめんごめん、食べるか」
「……あ、いけない。うん、食べよう」
惺音もユキミが傍でぴょんぴょんしていることに気付き、顔をあげる。それまで自分と悠日理が寄り添うかたちで身体を寄せていたことにも気が付いていたが、敢えて言わないでおいた。
何故なら、本当に夢のような時間のように思えたから。それに今は楽しいハロウィンの最中。
視線を重ね、微笑みあったふたりは紅茶のカップを手に取る。
パンプキンパイにマカロン、それからクッキー。甘い飴を溶かした紅茶はとてもあたたかい。
そして、乾杯と共にあの言葉が紡がれる。
――ハッピーハロウィン!
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
【アイスクラフト】LV1が発生!
効果2【ダブル】がLV3になった!
如月・莉緒
総二さん(g06384)と
2023年ハロウィン衣装着用
小さいとき憧れたなぁ、お菓子の家
食べれないのは残念だけど、このクオリティは凄いと思う!!
今にも甘い香りが漂ってきそうなお菓子の家に心の中で盛大に拍手を送る
このふかふかで可愛いソファやクッション、ちょっと欲しいなぁ
とお菓子の形の家具を見て回りながら
確かに去年の赤ずきんの仮装か、このお菓子の家に合わせてヘンゼルとグレーテルの仮装しても良かったかもね
と話しつつ、ハロウィンパーティーの準備を進める
私が持ってきたのはハロウィン風のピザ
生地にトマトソース、溶けたナチュラルチーズにお化けの顔、チェダーチーズにはカボチャの顔を描いて
細長く切ったパイ生地をウィンナーに巻いたミイラを乗せたシンプルなピザ
ハッピーハロウィン!!
とジュースで乾杯しながら
美味しい!!と食べ進め
今年はほんとにあっという間だった気がするなぁ
としみじみ呟く
差し出されたパンプキンパイをあーんと食べた後
私からはあえて
トリックオアトリート
と聞き
悪戯を選んでくれたら頬にキスの悪戯で返して
神刀・総二
莉緒(g04388)と同伴
2023年ハロウィンの仮装で
お菓子の家でパーティなんて夢があるな
食べれないのは残念だが
外見もだけど、中の家具とかも凄いメルヘンというか
おとぎ話の中に迷い込んだみたいだな
何なら去年した仮装の方が雰囲気にあってたかな
と笑って
パーティの為に準備したパンプキンパイを切り分け
おばけのキャンディーやクッキーと一緒に
飲み物はハロウィン風にブドウとオレンジで二色のジュースを
キャラメル色のテーブルへ並べてから
星やカボチャ型の照明を灯して
ふわふわのマシュマロソファーへ莉緒と隣り合うように座り
な、家具とか可愛いし家に欲しくなる
ハッピーハロウィン!
と、ジュースで乾杯
去年も一緒にハロウィンに参加したのを思い返すと
つい最近みたいで、1年があっと言う間に感じるな
一口パンプキンパイを切り取り
莉緒の方へ、あーんと言って差し出し
ハロウィンは賑やかなイメージがあるし
去年はパレードで踊ったりもしたが
こうやって二人で静かに過ごすのも悪くないな
うーん、莉緒がする悪戯が気になるし
悪戯の方にしようかな
●甘い悪戯
かわいくて愛らしい、ハロウィンだけの特別。
絵本を読んだことのある者なら誰もが一度は思い描くのは――そう、お菓子の家。
「小さいとき憧れたなぁ、お菓子の家」
如月・莉緒(恋愛至上主義・g04388)は神刀・総二(闘神・g06384)の腕を引き、二人用の小さなお菓子の家の扉に手をかけた。板チョコレートのような形をしたドアをひらけば、ふんわりとした香りが漂ってきた。
きっと甘いルームフレグランスだろう。
快い気持ちでお菓子の家に踏み入ったふたりは、可愛い装飾を眺めてみる。
マシュマロのソファ、ホールケーキめいたつくりのテーブル。キャンディ型の取手がある食器棚など、何処を見てもお菓子でいっぱいだ。
もちろん、それらはただの装飾なので本当の食べ物ではない。それでもたくさんの夢が詰まっている。
「お菓子の家でパーティなんて夢があるな」
「食べられないのは残念だけど、このクオリティは凄いと思う!!」
「確かに残念だが……」
ふたりは食べてしまえそうだと感じながらも、居心地が良さそうだと考えた。ルームフレグランスのせいか、調度品から直接的に甘い香りが漂っているかのよう。
莉緒はお菓子の家に向け、心の中で盛大に拍手を送る。しかし身体の方も無意識に動いてしまったらしく、ぱちぱちと短い拍手の音が部屋の中に響いた。
そんな彼女の様子もまた愛らしいと感じた総二は静かに笑む。
「外見もだけど、中に用意されていた家具や調度品も凄いメルヘンというか」
「ファンタジーだよね」
「そう、おとぎ話の中に迷い込んだみたいだな」
莉緒と総二は楽しげに会話を交わし、あちこちを見回ってみた。外から見たときは気にならなかったが、半透明の曇硝子のようになっている窓も趣向が凝らされている。その中で莉緒が一番お気に入りになったのは――。
「このふかふかで可愛いソファやクッション、ちょっと欲しいなぁ」
お菓子の形の家具を見て回りながら、莉緒はクッションをぎゅっと抱きしめた。ソファに腰掛けた莉緒はふわふわとした感触を楽しんでいる。
このまま暫し座っていればいいと告げた総二はハロウィンパーティーの準備を先に始めた。
その際、総二は或ることを思い立つ。
「何なら去年した仮装の方が雰囲気にあってたかな」
「確かに去年の赤ずきんの仮装か、このお菓子の家に合わせてヘンゼルとグレーテルの仮装をしても良かったかもね」
答えた莉緒も想像を巡らせてみる。
此度のふたりの装いは華々しいものであり、お菓子の家の雰囲気とは真逆。されど今の衣装もまた互いが麗しく感じられるものであり、気にすることもない。彼女がクッションを抱きしめると同時に髪がさらりと揺れる。衣装の美しさもあって、いつも以上にそれが特別なことのように思えた。
そして、総二はこのパーティの為に準備したパンプキンパイを切り分けていく。
それだけではなくおばけのキャンディーやクッキーも一緒だ。
「わあ、おいしそう!」
「莉緒は何を持ってきたんだっけ」
総二は話しながら飲み物も用意していく。ハロウィンを意識して持ってきたのはブドウとオレンジ、二色のジュースだ。問いかけられた莉緒は立ち上がり、自分もハロウィンパーティーの準備を進めていった。
「じゃん。私が持ってきたのはハロウィン風のピザ!」
生地にはトマトソース。溶けたナチュラルチーズにお化けの顔に見立てており、チェダーチーズにはカボチャの顔を描いてある。それに加えて細長く切ったパイ生地をウィンナーに巻いた、ミイラを乗せたシンプルなピザもある。
総二はすべてをキャラメル色のテーブルへ並べてから、星やカボチャ型の照明を灯す。
ふわりと部屋を照らす灯りは優しい。
次に総二は莉緒を誘い、ふわふわのマシュマロソファへと誘う。ふたりで隣り合うように座れば、楽しいハロウィンパーティータイムのはじまりだ。
「ハッピーハロウィン!!」
「ああ、ハッピーハロウィン」
ふたりはグラスを手に取り、ジュースで乾杯しながら笑みを重ねる。さっそくクッキーに手を伸ばした莉緒は、その美味しさに舌鼓を打った。
「美味しい!!」
本当においしいと示すように食べ進めていく莉緒を見守り、総二もソファの座り心地を確かめる。
「この家具とか可愛いし、家に欲しくなるな」
「そうだね、それで一緒に座ったりとか……」
彼の言葉にふわふわとした想像を巡らせた莉緒は幸せいっぱい。これからもこんな日々が続いていくと思うと同時に、これまでの過去も思い浮かぶ。
「今年はほんとにあっという間だった気がするなぁ」
「去年も一緒にハロウィンに参加したのを思い返すとつい最近みたいで、一年があっと言う間に感じるな」
しみじみと呟く二人は今までを懐かしんだ。
その中で、総二は一口分だけパンプキンパイを切り取り莉緒の方へ、あーん、と言って差し出した。
「ありがとう、総二さん!」
差し出されたパンプキンパイを食べた後、莉緒はとびきりの笑顔を見せる。彼女へ笑みを返した総二はとても満足気だ。そうして、今の感想を言葉にしていく。
「ハロウィンは賑やかなイメージがあるし、去年はパレードで踊ったりもしたが……こうやって二人で静かに過ごすのも悪くないな」
「その通り。じゃあ私からもいいかな?」
「ん?」
――トリック オア トリート?
敢えて問いかけた莉緒は、どちらを選ぶか彼に選んでほしいようだ。その意図を理解した総二は少しだけ考え込んだ後、彼女へと言葉を返す。
「うーん、莉緒がする悪戯が気になるし悪戯の方にしようかな」
「ふふ……それじゃあね」
悪戯を選んでくれた彼に莉緒が送ったのは、頬へのキス。
その悪戯は甘く蕩けるようで――ふたりだけの時間は、此処からも続いていく。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【壁歩き】LV1が発生!
効果2【ダブル】がLV4になった!
【命中アップ】LV1が発生!
本郷・夏深
ハッピーハロウィンですね、蝶々子さん!
見てください、この沢山の美味しそうなお菓子を
パレードの際に周囲の人々へ声を掛けまくって大量に貰ってきました
この強欲っぷり、私もなかなかにワルですよねえ
とは言え、流石に多すぎる故に一人では食べ切れないので
一緒にお菓子でも食べながら、ぐだぐだ過ごして遊びましょう
お菓子を食べる場所…やはり、お菓子の家しかないですね
な、何ですか、この夢のような光景は…!
見渡す限り美味しそうなお菓子の家がいっぱいです
内装も美味そうです…食べられないとか信じられない
こんな素晴らしすぎる空間、しっかりと写真に残しておかなくては!
あ、蝶々子さんも記念に写真を撮って差し上げますよ
このプロ級カメラマンことカフカにお任せを(スマホを取り出し)
こっちを見てくださいね
3、2、(フライングでパシャリ)
よし、それではお菓子を食べ…おっといけない
とてもとても大事なことをウッカリ忘れておりました
蝶々子さん、トリック・オア・トリート
さあ、カフカにお菓子を下さい!
お菓子をくれないなら怖い裁きを下しますよ
●悪戯お菓子でお茶会を
パレードは賑わい、大いに盛り上がった。
たくさんのお菓子と称賛、喜びに溢れた時間を思い返した本郷・夏深(逢魔が夏・g00583)は上機嫌だ。そして、次に夏深が訪れたのはハロウィン広場。此処にはお菓子の家に見立てた可愛らしい建物が幾つも並んでいる。
「ハッピーハロウィンですね、蝶々子さん!」
「こんばんは。夏深くん、はぴはろですよお!」
広場を見渡した夏深は此処で会う約束をしていた少女に手を振った。その名を呼ばれた蝶々子も両手を振り返し、ふたりは明るい挨拶を交わす。蝶々子もあちこちで貰ったお菓子をバスケットに入れていたようだが、夏深はそれ以上に大きな包みを手にしていた。
「見てください、この沢山の美味しそうなお菓子を」
「わああ……!」
すごいです、と瞳を輝かせた蝶々子は夏深の手元を見つめる。本人がたくさんだと宣言する通り、其処には少し見ただけでは数えきれないほどのお菓子がいっぱい。
「この強欲っぷり、私もなかなかにワルですよねえ」
「わたしは見ておりましたよ、ちゃんと夏深くんも皆さまにお菓子を……いいえ、ワルさんですよねえ」
「ご理解頂けましたか!」
「ふふ」
途中まで先程のパレードの様子を語った蝶々子だが、夏深の言葉に乗ってみせた。本当に悪い行為ではないとふたりとも解っているので、暗黙の了解として笑みが交わされる。
暫しパレードの感想などを語り合っていると、夏深が或ることを話しはじめた。
「とは言え、流石に多すぎる故に一人では食べ切れませんね」
「確かにそうですねえ」
「そんなわけで一緒にお菓子でも食べながら、ぐだぐだ過ごして遊びましょう」
「やったあ! 実はそうならないかとさっきから期待しておりました!」
夏深からの誘いを聞き、蝶々子は嬉しそうに応える。気持ちが籠もったものを味わうのはひとりでもできるが、こうして分け合っていくのもまた楽しいものだ。
「お菓子を食べる場所……やはり、お菓子の家しかないですね」
「はいっ! ではでは参りましょう!」
ふたりは意気投合し、手近なお菓子の家でお茶会をすることに決めた。
夏深は板チョコレート風の扉に手を伸ばし、クッキーのような色合いのドアノブを回す。そうして、その先に広がっていた光景は――。
「な、何ですか、この夢のような光景は……!」
「わあー! やっぱり素敵なおうちです」
クッキーにキャンディ、マシュマロにチョコレート。お菓子をモチーフにした家具が並ぶ内装は可愛らしく、夏深と蝶々子は暫し中を見て回った。
「内装も美味そうです……食べられないとか信じられない」
「このクッション、ふわふわですねえ」
「こんな素晴らしすぎる空間、しっかりと写真に残しておかなくては!」
「ですね! いっぱい撮りましょー!」
ふたりは楽しげに様々な場所を眺め、それぞれの感想や思いを言葉にした。その中で夏深はスマートフォンを取り出し、しかと構える。
「蝶々子さんも記念に写真を撮って差し上げますよ。このプロ級カメラマンことカフカにお任せを」
「頼もしいです、それじゃあお願いします」
「こっちを見てくださいね。――3、2、」
言葉の途中、響くシャッター音。
はたとした蝶々子はカウントダウンよりフライングで撮影されたことに気付き、驚いた顔を見せる。
「わわわ、夏深くんっ!」
「今日はハロウィンですから、トリックのうちのひとつです」
「むむー……画面を見せてください。……変な顔じゃなかったので許します!」
悪戯っぽく笑った夏深に頬を膨らませて見せた蝶々子だったが、撮影された一枚を見て安堵した。これがお気に召さない表情だったらどうなっていたのかも気になったが、夏深は敢えて話を次に移す。
「よし、それではお菓子を食べ……おっといけない、とてもとても大事なことをウッカリ忘れておりました」
「どうかしましたか?」
「蝶々子さん、トリック・オア・トリート! さあ、カフカにお菓子を下さい!」
お菓子をくれないなら怖い裁きを下しますよ、と付け加えた夏深は両手を広げる。これでトリートが与えられると疑っていない表情だ。そして、蝶々子は小さな箱を取り出す。
「ではこちらをどうぞ! チョコレートボックスです」
「これはこれは、ありが――わっ」
それを受け取った夏深はさっそく箱に手をかけたが、その瞬間。ぽん、と軽快な音がして中から花弁が勢いよく広がった。驚く夏深をじっと見つめた蝶々子は得意げな顔で胸を張る。
「えへへ、ひっかかりましたね! トリック・アンド・トリートでしたー!」
さっきのお返しです、と少女が笑った。
これでおあいこだと感じた夏深は再び笑みを浮かべ、箱に入っていた桜型のチョコレートを取り出した。
そうして、此処から始まっていくのは――。
とびきり楽しくて嬉しい、お菓子でおかしなハロウィンパーティーだ。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【強運の加護】がLV2になった!
効果2【アヴォイド】がLV2になった!
五百雀・翠
【ミント】
※仮装は青薔薇のタキシード。エリルと合わせ衣装。
配るお菓子は青薔薇モチーフの琥珀糖
この時期は店が忙しいんだが?
こら、腕を引っ張るな。
分かったからちゃんと参加するから。
麻緒と莱はヘンゼルとグレーテルか。
良く食うグレーテル…なんでもない。
んあ?俺たちか?ノリだノリ。他意はねえよ。エリルは相棒だし?
…って、何でお前宙を舞ってるんだよ。
【飛翔】を使って慌てて空中キャッチするけどさぁ!?
けだまに突き飛ばされただ?
お前、またけだまのおやつ食べただろ。
ちょっと持ってろとエリルにお菓子を押し付けてパレード再開だ。
…なんだか周りの視線が…??はあ!?結婚式じゃねえしエリルは相棒…誰も聞いてねえし。 仕方ねえ。エリル、ちょっとかっち向けや。
ブーケトスしたエリルを読んで頬に軽くキス。
…他意はねえよ。別に恥ずかしくもねえよ。
照れてな…ちょっ、周りもなんだか盛り上がってる!?え、なんでだ!?
照れ隠しに側をふよふよ飛んでるけだまを捕獲してエリルに押し付けよう。
後で覚えてろとは言うけど照れてるだけ。
エリル・ウィスタリア
【ミント】
※仮装は青薔薇のウェディングドレス。
翠と合わせ衣装。
配るお菓子は青薔薇モチーフの飴やクッキー。
今年も来たわね。
この時期は好きなのよ。
だって皆楽しそうなんだもの。
ねえ翠、今はお店の事は良いから。
行くわよと彼の腕掴んで引きずっていくわ。
翠と腕を組んであるきながら、お菓子を配って、貰ったお菓子は翠に持って貰って…(後ろからどーんと突き飛ばされて吹っ飛ぶ)ってぇ!?けだまぁぁ!?
こないだ食べちゃったプリンの恨みここで晴らすのぉ!?
翠にキャッチされて横抱きされてる。
うぐぐ…あれくらいなら自力で着地できたもん…。
これじゃ本当のカップルみたいじゃないの。
開き直ってブーケを思いっきり街の人たちに投げてみる。
青薔薇のブーケだもん。
きっと幸せになれるわ。
ん?なあに?すい…
呼ばれて振り返ったら頬にキスされてフリーズよ。
ななななに!?なに!?今何をしたのよ!
周りも変な悲鳴あげちゃったわよ!?
翠もやっといて恥ずかしがらないでよ!?
ま、麻緒!?麻緒!?周り煽らないで!?写真撮らないで!?ふぇぇ!?
三苫・麻緒
【ミント】
『ヘンゼルとグレーテル』のグレーテル衣装で参加
配るお菓子はマスカットのタルトやジャムクッキー中心
ハッピーハロウィン!
うふふ、お菓子を沢山食べられる食欲の秋に相応しいイベントだよn…ちょっとそこ、なんか兄よりもお菓子を食べ続けそうなグレーテルとか言ったぁ!?
エリルさんと翠さん、本当に二人とも綺麗系をばっちり着こなすよね
見てるこっちが幸せになっちゃうよ
あ、家族か友人代表のスピーチは任せて(ぐっ)
お菓子は配って、たまに交換もしちゃって大量大量…おっとぉ、けだまがなんかすごい勢いで飛んできたと思ったらエリルさんにアタックしたぁ!?
悪い魔女を竈に突き飛ばすくらいの勢いだったよね!?パフォーマンス取られた!?
…あ、でもお姫様だっこさせたから、結果的にグッジョブだった
莱くん、シャッタチャンスだよ!撮って撮って!
ついでに周りの人と一緒になって花嫁・花婿っぽいパフォーマンスを要求しちゃおう!
ブーケはさりげなく一般の人にキャッチしてもらえるように
莱くん莱くん!さっきの翠さんもしっかり撮ったよね!?
葉古森・莱
【ミント】
『ヘンゼルとグレーテル』のヘンゼル衣装で参加
けだまも鳥モチーフの飾りでおめかし
配るお菓子は白い石をモチーフにしたマシュマロ(時々けだまマシュマロ、いずれもカフェのマスター作)
こ、今年は男の人の衣装でよかったぁ…!(去年はメイド服だった模様)
けだまもかわいくしてもらえてよかったね
麻緒さんは…あれ、グレーテルって途中で悪い魔女のたくらみに気が付いてお菓子を食べるのを止める女の子…どうしていつもこういうことばかりすぐ気が付くのお!?
おかし配りはけだまと二人で
数はたくさん用意したから、その分みんなに楽しんでもらえるとうれしいね
そういえばこれで写真を撮って、とカメラを渡されたけれど、何を撮れば…
なんて自分のことに夢中になっていたらけだまがエリルさんに体当たりしてる!?
ふえぇ、どうしてそういうことするのぉ!?
いたずらで片づけちゃだめなことだよ…あれ、すごく…ぴったり?
麻緒さんにもお願いされたし、たくさん写真を撮るよ
その後の翠さんの行動も、それに対する反応も、間違いなく楽しい思い出になるもん
●賑わいの最中で
「今年も来たわね、ハロウィン!」
この時期は好きだと語り、パレードルートを見渡したのはエリル・ウィスタリア(雪を待つ花・g00912)。
賑わいに満ちた通りはハロウィン一色。
「だって皆楽しそうなんだもの」
ディアボロスに手を振ってくれている子供たちや、優しい表情で見つめる老人たち。友達同士ではしゃいでいる若者など、新たに帰還した人々も多いようだ。
その最中に訪れた五百雀・翠(夕月夜・g03977)の仮装は青薔薇のタキシード。
こちらはエリルとの合わせ衣装であり、凛とした雰囲気がよく際立っている。そんな彼らがパレードで配っていくお菓子は、青薔薇をモチーフにした琥珀糖、更には飴やクッキーだ。
「この時期は店が忙しいんだが?」
「ねえ翠、今はお店の事は良いから。行くわよ」
少しばかり不服そうなと翠の腕を掴んだエリルは、その勢いのまま彼を引きずっていく。
「こら、腕を引っ張るな。分かったからちゃんと参加するから」
その様子を微笑ましく眺めているのは三苫・麻緒(ミント☆ソウル・g01206)と葉古森・莱(迷わし鳥・g04625)のふたり。彼女たちの装いはヘンゼルとグレーテルのお揃い衣装だ。
「ハッピーハロウィン!」
元気なグレーテルの麻緒が配っているのはマスカットのタルトやジャムクッキー。
その隣を歩く莱は安堵を抱いていた。
「こ、今年は男の人の衣装でよかったぁ……!」
去年はメイド服だったものだから、ヘンゼルの衣装であることが嬉しいらしい。けだまもかわいくしてもらえてよかったね、とモーラット・コミュを見つめる莱はわくわくしていた。
まるで可愛らしい姉弟のような彼らを見遣り、翠は感想を零す。
「麻緒と莱はヘンゼルとグレーテルか。良く食うグレーテル……」
「……あれ、グレーテルって途中で悪い魔女のたくらみに気が付いてお菓子を食べるのを止める女の子で――」
「うふふ、お菓子を沢山食べられる食欲の秋に相応しいイベントだよ……ちょっとそこ、なんか兄よりもお菓子を食べ続けそうなグレーテルとか言ったぁ!?」
「なんでもない」
「どうしていつもこういうことばかりすぐ気が付くのお!?」
言いかけたことに麻緒が反応したので、翠はさっと視線を逸して誤魔化した。莱はびくびくと身体を震わせ、尻尾を抱きかかえて麻緒の視線に怯える。
大体いつものノリで進んでいく一行は仲睦まじい。
麻緒も気を取り直し、エリルと翠の装いについて語っていった。
「エリルさんと翠さん、本当に二人とも綺麗系をばっちり着こなすよね」
「んあ? 俺たちか?」
「見てるこっちが幸せになっちゃうよ」
「ノリだノリ。他意はねえよ。エリルは相棒だし?」
「あ、家族か友人代表のスピーチは任せて」
ぐっと拳を握った麻緒は翠の話を聞いていない。寧ろ未来に向かって一直線の様子。
そんなこんなで仲間たちはお菓子を配り、ときには観客からお菓子を貰いながら進んだ。ディアボロスに掛けられる声は快く、誰もがこのパレードとハロウィンの日を楽しんでくれているようだ。
「大量大量!」
「わ、お菓子いっぱい。よかったね、けだま」
「もきゅきゅ」
「数はたくさん用意したから、その分みんなに楽しんでもらえるとうれしいね」
麻緒は上機嫌に、莱はとても嬉しそうにたくさんのお菓子を抱えている。
エリルは翠と腕を組んで歩きながらお菓子を配っていた。その際にエリルは観客から貰ったお菓子を翠に持って貰っているようだ。そこで莱はふと思い立ち、荷物を確かめる。
「そういえばこれで写真を撮って、とカメラを渡されたけれど、何を撮れば……」
莱はきょろきょろとあたりを見回す。
しかし、そのとき。
後ろからどーんと突き飛ばされたエリルが吹っ飛んだ。どうやらけだまの仕業らしい。
「ってぇ!? けだまぁぁ!?」
「おっとぉ、けだまがなんかすごい勢いで飛んできたと思ったらエリルさんにアタックしたぁ!?」
「もきゅ!」
「けだまがエリルさんに体当たりしてる!?」
「……って、何でお前宙を舞ってるんだよ」
皆が驚く中で翠は飛翔を使い、即座に空中でキャッチする。されど驚いたのは確かであり慌ててしまった。
「こないだ食べちゃったプリンの恨みここで晴らすのぉ!?」
気付けばエリルは翠にキャッチされており、おまけに横抱きされている状態だった。
「けだまに突き飛ばされただ?」
「ふえぇ、どうしてそういうことするのぉ!?」
莱もまた慌てているが、けだまは恨みを晴らしたことで得意げになっている。莱は首を左右にぶんぶんと振り、けだまに指導を行おうとしたのだが――。
「いたずらで片づけちゃだめなことだよ……!」
「悪い魔女を竈に突き飛ばすくらいの勢いだったよね!? パフォーマンス取られた!? ……あ、でもお姫様だっこさせたから、結果的にグッジョブだった」
「あれ、すごく……ぴったり?」
「莱くん、シャッタチャンスだよ! 撮って撮って!」
気付けばお姫様抱っこ状態のふたりを見て、莱はきょとんとしてしまっている。麻緒に呼びかけられたことですぐにはっとした莱はカメラを構え、彼らの様子をしかと撮影した。
「お前、またけだまのおやつ食べたのか。ちょっと持ってろ」
翠はエリルにお菓子を押し付け、落ち着いた様子でパレードのパフォーマンスをを再開していく。
その際に何だか気になったのは周りの視線。不思議そうに首を傾げる翠の傍で、エリルは唇を噛んでいた。
「うぐぐ……あれくらいなら自力で着地できたもん……」
悔しげなエリルは、これじゃ本当のカップルみたいじゃないの、と小さな声で呟く。そして、いっそ開き直った方が楽だと判断したエリルはブーケを思いっきり街の人たちに投げてみた。
途端に、わあ、と歓声があがったということは観客もサプライズに驚いてくれているのだろう。
「青薔薇のブーケだもん。きっと幸せになれるわ」
眼の前にある光景にほっとしたエリルは穏やかな気持ちを抱いた。こうやって自分たちが人々に喜びを与えられていることが尊くて嬉しいものだ。
その間、翠は麻緒からの言葉に対応していた。
「良い結婚式だね!」
「はあ!? 結婚式じゃねえしエリルは相棒……って誰も聞いてねえし」
「ほらほら、皆! こちらをご覧ください、なんてね!」
麻緒はついでに周囲の人々と一緒になって花嫁と花婿っぽいパフォーマンスを要求していた。それに加えて、エリルのブーケはさりげなく一般の人にキャッチしてもらえるように導いている。
そして――。
「仕方ねえ。エリル、ちょっとこっち向けや」
「ん? なあに? すい……」
ブーケトスをしていたエリルを呼んだ翠は、そのまま彼女の頬に軽くキスをした。
翠に呼ばれて振り返ったエリルは困惑する。驚きでいっぱいになった思考はそれ以外のことを考えられず、ただ心臓が跳ねる音だけが聞こえている。それでも声を絞り出そうとしたエリルは翠を強く見つめた。
「ななななに!? なに!? 今何をしたのよ! 周りも変な悲鳴あげちゃったわよ!?」
「……他意はねえよ。別に恥ずかしくもねえよ」
「翠もやっといて恥ずかしがらないでよ!?」
エリルは翠の様子を聡く感じ取り、余計に恥ずかしくってしまうると感じた。
当の翠はというと――。
「照れてな……ちょっ、周りもなんだか盛り上がってる!? え、なんでだ!?」
云わば良い意味での自業自得である。
その際に莱は何枚も写真を撮影していき、もっといいものを撮るのだと意気込んだ。麻緒はその様子を満足気に見つめた後、気になったことを問いかけてみる。
「莱くん莱くん! さっきの翠さんもしっかり撮ったよね!?」
「うん、たくさんいい写真ができそうだね」
あの後の翠の行動も、それに対する反応も。すべてが間違いなく楽しい思い出になるはず。
翠は照れ隠しとして、側をふよふよと飛んでいたけだまを捕獲する。先程のお菓子と同じようにエリルに押し付けた翠は何でもないように告げていった。
「後で覚えてろ」
そうは言うが、やはりただ単に照れているだけの翠なのであった。それまで観客の方ばかり気にしていたエリルだったが、事の重大さに気付いて慌てはじめる。
「ま、麻緒!? 麻緒!? 周り煽らないで!? 写真撮らないで!? ふぇぇ!?」
そうして暫し、パレードにはエリルの叫びがこだましたという。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【託されし願い】LV1が発生!
【飛翔】LV2が発生!
【パラドクス通信】がLV2になった!
効果2【凌駕率アップ】LV1が発生!
【グロリアス】LV1が発生!
【命中アップ】がLV3になった!
ミア・メア
ロイ(g07184)とレグルスと!
ゾンビガールの格好で
本物のお菓子の家みたいで大変に可愛らしい!
隣の呟きを長耳で捕らえたなら、ね、と応えて
気のせいか甘い香りもするような
いえ、これは本当にお菓子があるとみました!
レグルス、一緒に探検です!
んふふー隊長は隊員の報告をお待ち下さいな
窓や戸を開閉してみたり棚を開けてみたり
ここにもお菓子が入ってました!
見つけた腕いっぱいの宝物をロイにお渡しです!
黒猫チョコに星屑キャンディ
お菓子がひとつずつ机上に瞬いていく
星座!素敵ですねえ
これは何座ですか?
どのランプにしましょう
なんて、実はもう決めてまして
今日は何といっても星詠みさんと一緒ですから
月と星のランプを点せば青い光が満ちて
部屋の中も夜空のよう
次はお茶……ロイ、それはもしや?
以前エジプトへご一緒した際の、シャーイですか!
懐かしいですねえ
しびれる程の甘さも今日ならば楽しいになるはず!
わ、宜しいでしょうか
期待しちゃいますね、とレグルスを膝に乗せ
マシュマロソファでワクワクと
ハロウィンパーティーはまだこれからです!
レックス・ウェリタス
ミア(g07746)とレグルスと
猫の星詠みに扮して
何処かの御伽噺で聞いたお菓子の家
思ったより大きいねと、子供みたいな紡ぎ
確かに甘い香り…ミアの直感は当たるからなあ、なんて
さあ、チョコレートの扉の先へ
え、僕は報告待ち?
全く優秀な隊員なんだから、お願いね
マシュマロのソファで探検するミアとレグルスを見守ろうか
ふふ、優秀×2じゃ隊長の仕事もないと目を細め笑って
手際の良さに魅入るばかり
ふたりともお疲れさま
お菓子をたくさん受け取れば
そう例えば――お宝みたいに並べてみようか
ほらキャラメル色の空に星座の完成だ
なかよし座、とか?
両方も考えけど…僕もさ
今日なら月と星のランプかなって思ってたんだ
巡り辿ってきた月と星と同じ青
明るい夜空みたい
お茶はこれって瓶を見せ
茶葉に見覚え有るでしょ?
お前さんが見つけた僕の故郷の味
甘すぎるシャーイだってさ
今日ならまた少しは美味しく飲めるかなって
僕が淹れるよとふかふかのマシュマロのソファへ
座ってた自分の代わりにご案内
最高の一杯にすると約束の笑みを
まだ終わらぬハロウィンを手繰るんだ
●お菓子の星図
スイーツを模した窓に扉、屋根はとてもカラフルで可愛らしい。
ファンタジーとファンシー、更にポップさが重なって出来たようなミニハウスは様々。
パレードを終えたミア・メア(璃々・g07746)とレックス・ウェリタス(Memento mori・g07184)、それにスフィンクスのレグルス。ゾンビガールと猫の星詠みに扮した一行は広場を見渡した。
「本物のお菓子の家みたいで大変に可愛らしい!」
「思ったより大きいね」
はしゃぐミアの傍ら、レックスは子供みたいな紡ぎ方で感想を声にする。
隣から聞こえた呟きを長耳で捕らえたミアは、ね、と答えた。気のせいか甘い香りもするようで心がふわふわとした感覚で満ちていく。
「いい香りがしますね」
「確かに甘い香り……」
ルームフレグランスが設置されていることもあるのだが、この匂いはやはり――。
「いえ、これは本当にお菓子があるとみました!」
「ミアの直感は当たるからなあ」
瞳を輝かせている様子のミアを見遣り、レックスは静かに笑む。
――さあ、チョコレートの扉の先へ。
エスコートするようにドアノブに手を掛けたレックスは甘い香りに満ちた部屋の扉をひらいた。お先にどうぞ、と彼が告げたことでミアは意気揚々と進んでいく。
「レグルス、一緒に探検です!」
ミアは翼猫と一緒にお菓子の家に入っていった。其処にレックスが続こうとするとミアがそっと制止する。
こてりと首を傾げたレックスに向け、ミアは自信いっぱいに告げた。
「んふふー隊長は隊員の報告をお待ち下さいな」
「え、僕は報告待ち?」
「はい!」
「全く優秀な隊員なんだから、お願いね」
静かに笑ったレックスはマシュマロのソファに座り、探検隊を見守る姿勢に入る。
ミアはまず窓を確かめ、とかしたキャンディのような曇硝子をこつりと叩く。可愛らしいノック音を響かせた後、ミアは硝子に映った自分を見つめる。ぼんやりとした姿だが、今の自分が笑顔になっていることは間違いない。
気分良く戸棚の方に向かったミアは、その戸を開いてみる。
「ふふ、優秀×2じゃ隊長の仕事もない」
目を細めて笑ったレックスはミアを眺めると同時に調度品にも視線を巡らせた。
ショートケーキを思わせる色合いの棚もあれば、キャラメルカラーの可愛らしい机もある。どれもハロウィンを彩るためのものだと思うと気分も上々だ。
そうして、ミアがまず見つけたのはハロウィン柄のカップとソーサー。ほんわりとした気持ちになったミアはこれに紅茶を淹れたいと考えた。レックスとしては手際の良さに魅入るばかりで実に楽しい。
するとレグルスが隣の棚を示した。そちらも探索してみたいとして、ミアはそうっと手を伸ばす。
苺を模した取手を引けば、其処には――。
「ここにもお菓子が入ってました!」
用意されていたものを手に取ると、一枚のメッセージカードが添えられていた。
『みんなのために戦ってくれてありがとう』
短いながらもめいっぱいの感謝の言葉。それはきっとディアボロスに向けられたものだろう。
ミアはこれを用意してくれた人のことを想像して、嬉しくなりながらレックスの元に戻っていった。見つけた腕いっぱいの宝物をレックスに見せたミアは満面の笑みを浮かべている。
「どうぞ、お渡しです!」
「ふたりともお疲れさま」
とびきりの宝物も見つけたようだと感じ、レックスもメッセージカードに目を通した。たくさんのお菓子があるならばひとつ趣向を凝らしてみるのもいい。
「そう、例えば――お宝みたいに並べてみようか」
黒猫チョコに星屑キャンディ。
レックスがお菓子をひとつずつ机上に瞬いていく様を眺め、ミアは好奇心と期待を抱いた。
「ほらキャラメル色の空に星座の完成だ」
「星座! 素敵ですねえ。これは何座ですか?」
「なかよし座、とか?」
並んだお菓子が本当にそのように見えてくるから楽しい。ミアとレックス、レグルスは笑いあう。
やがて夜の帳が空を包んだ頃、ふたりはランプを点そうと相談し合った。
「どのランプにしましょう」
なんて、と聞いてみたミアだったが実は何を選ぶかはもう決めている。今日は何といっても星詠みたちと一緒なのだから、これ以外にはありえない。レックスも同じ気持ちらしくミアの視線の先を確かめた。
「両方も考えたけど……僕もさ、今日なら月と星のランプかなって思ってたんだ」
「はい、それでは!」
レックスの言葉に頷いたミアは月と星のランプを手に取り、ゆっくりと点してゆく。そうすれば部屋の中に青い光が満ちていき、まるで此処が明るい夜空の最中であるように思えた。
巡り辿ってきた月と星と同じ青。
心地よさを感じたレックスは持参してきたものを取り出し、ミアに見せる。
「お茶はこれを飲もうか」
「次は……ロイ、それはもしや?」
「茶葉に見覚え有るでしょ?」
「以前エジプトへご一緒した際の、シャーイですか!」
「そう、お前さんが見つけた僕の故郷の味。今日ならまた少しは美味しく飲めるかなって」
「懐かしいですねえ。しびれる程の甘さも今日ならば楽しいになるはず!」
「僕が淹れるよ」
「わ、宜しいでしょうか」
レックスはミアをふかふかのマシュマロソファへ案内し、最高の一杯にするという意味を込めた約束の笑みを浮かべる。そうして、彼はまだ終わらぬハロウィンを手繰るようにお茶を淹れていく。
期待しちゃいますね、と言葉にしたミアはレグルスを膝に乗せた。
マシュマロソファに背を預け、レグルスを優しく抱いたミアはわくわくした気持ちを抱く。
何故なら――。
「ハロウィンパーティーはまだこれからです!」
青の光と美味しいお菓子。
甘さと楽しさが巡りゆく夜が、此処から幕あける。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【強運の加護】がLV3になった!
【照明】がLV3になった!
効果2【アヴォイド】がLV3になった!
【反撃アップ】がLV3になった!
犬神・百合
恋人の千草ちゃん(g03137)と
今年の仮装は不思議の国のアリス
継ぎ接ぎだらけでちょっぴり悪い子
目の前に広がるたくさんのお菓子の家に思わず感嘆の声が出て
千草ちゃんとお家を交互に見ては満面の笑み
…うふふ、何だろう…この一年でディアボロスもそうでない方も
世界が優しくてキラキラになりますようにって…
おんなじ気持ちが高まっていってる気がする…うれしいわ
それに、お菓子の家は憧れだものね!
一杯楽しんじゃおう!
千草ちゃんの手を取りながら胸ときめかせ
ドアを開けば言葉か出ない
幼い頃から憧れた『まほうのおうち』
千草ちゃんと、あなたと夢見た世界
たいせつな場所──
誘われる儘ソファーに腰掛ければ更にフワフワ夢心地
うふふ、綿飴のベッド欲しいね
おはなしましょ、今日の事も
これから紡ぎたいあなたとの夢も、たくさん
そうよ、アリスの世界といえばやっぱり…
手にしていた紅茶がもっと温かくなりそう
染まった頬は隠せない
おかしいわ、アリスがうさぎを追いかけるはずなのに
お菓子を口へ運んで貰えば照れ隠し
今日は悪い子だものそっぽ向いちゃう!
雪定・千草
恋人の百合さん(g05341)と
不思議の国のアリスに出てくる時計うさぎ姿
お菓子の家…凄いです、実在しました
色々あって、どれも見ていてテンションが上がります
ふふ…そうですね、同じ気持ち
誰もがそう願っているって凄く素敵です
折角用意してくださったので、存分に堪能しないとですね
百合さんの手を握りながら一緒にお菓子の家へ
わあ…どれも本当にお菓子です…!
お菓子風であっても、美味しそうで食べたくなっちゃいますね
本当に食べれない?と近くで見てみたり
ふと握る手から百合さんの感動も伝わってきて、笑みが零れます
二人の夢、叶って良かったですね
ねえ百合さん
マシュマロのソファに座ってみましょう
綿飴のベッドもあったら良いですが、今眠っちゃうのは勿体ないですね
用意してくださった紅茶とお菓子を頂いて、また夢のお話をしませんか
お菓子の家での暮らしを想像するのも楽しそう
ふふ…此処で頂くお茶って美味しいです
仮装が雰囲気を更に出していますね
お菓子もどうぞ、俺のアリス
とお菓子をお口へ
迷い込んだ不思議の国、そう簡単には逃がしませんよ
●夢見るアリスと時計うさぎのお茶会
今日は皆が待ちに待っていたハロウィンの日。
此処に訪れたふたりの、今年の仮装は不思議の国を巡る登場人物を模したもの。それに加えていま此処に広がっている景色はまさに不思議なお菓子の国のような見た目をしている。
「わあ……」
目の前の光景を瞳に映し、犬神・百合(ラストダンス・g05341)は感嘆の声を紡いだ。
百合の装いは不思議の国のアリス。けれども良い子の見た目ではなくて、継ぎ接ぎだらけでちょっぴり悪い子風。
対する雪定・千草(霞籠・g03137)の衣装は時計うさぎの衣装を身に纏っている。
「お菓子の家……凄いです、実在しました」
千草も広場に建てられている家を見渡しながら、興味深そうに呟いた。
たくさんのお菓子の家はよく似た雰囲気でもあるが、それぞれに大きさや細かな装飾が違っているらしい。自分と同じように家々を眺めている彼を見つめ、百合は満面の笑みを浮かべた。
「千草ちゃんも驚いた?」
「色々あって、どれも見ていてテンションが上がります」
千草とお菓子の家を交互に見ていく百合は実に楽しげだ。問われた千草も頷きを返して百合に視線を向けた。すると彼女が双眸を緩やかに細め、ふとした思いを零す。
「……うふふ、何だろう」
「どうしましたか、百合さん」
上機嫌なのは分かったが、何かを言おうとしている百合を見た千草が首を傾げる。
百合は感じたことを素直に伝えようと決め、そっと口をひらいた。
「この一年でディアボロスもそうでない方も世界が優しくてキラキラになりますようにって……おんなじ気持ちが高まっていってる気がする……うれしいわ」
「ふふ……そうですね、同じ気持ちです。誰もがそう願っているって凄く素敵です」
ふたりが思うのは明るい未来を掴める可能性。
きっとそれは今宵のハロウィンパレードやパーティを楽しんだ者すべてが感じているはず。それに何よりも千草と百合が抱く気持ちも一緒だ。視線を重ねたふたりは共に歩き出す。
「それに、お菓子の家は憧れだものね! 一杯楽しんじゃおう!」
「折角用意してくださったので、存分に堪能しないとですね」
千草は百合の手を取り、百合も千草の掌を握り返した。胸をときめかせて進む先には、ふたりで過ごすと決めたお菓子の家がある。チョコレート風のドアノブに掛けた百合はゆっくりと扉をひらいていった。
「――……」
「わあ……どれも本当にお菓子です……!」
一瞬、百合は言葉か出なかったが続いた千草の声ではっとする。
それは幼い頃から憧れた『まほうのおうち』そのものだったからだ。エスコートするように先に扉の先に踏み入った千草は百合の手を優しく引いた。
「お菓子風であっても、美味しそうで食べたくなっちゃいますね」
本当に食べられない? と言葉にした千草は家具を近くで見ていく。キャラメルを思わせる色合いのテーブル、クリームと苺が重なっているように見える棚、カスタードめいた風合いの壁紙。
どれも幻想的で可愛らしい雰囲気なので居心地も良い。
そうしていると、ふと握る手から百合の感動が伝わってきた。彼女が家に入ってからの言葉が少ないのも、この光景に浸っているからだろう。思わず笑みが零れ、千草は心からの言葉を百合に向けた。
「二人の夢、叶って良かったですね」
「えぇ。千草ちゃんと、あなたと夢見た世界……」
――たいせつな場所。
今という時間を抱きしめるように百合は微笑みを返した。千草はそれだけで幸せな気分になり、百合を誘う。
「ねえ百合さん」
「なあに?」
「そちらのマシュマロのソファに座ってみましょう」
呼びかけられたことで柔らかく答えた百合は千草が進んだ方向についていく。其処にはふわふわとした感触と色合いのソファがあり、ふたりは並んで腰を下ろした。
千草としては綿飴のベッドもあったら良いと考えていたのだが、いま眠ってしまうのも勿体ない。百合に言えばそれも素敵だと答えてくれるだろうし、眠るときの話をするのもいいだろう。
用意されていた紅茶とお菓子を食べて、それから――。
「また夢のお話をしませんか」
このようなお菓子の家での暮らしを想像するのも楽しそうだとして、千草は百合の瞳を覗き込む。
夢心地だった百合も彼を見つめ返し、思いのままに答える。
「おはなしましょ、今日の事も」
――これから紡ぎたいあなたとの夢も、たくさん。
百合の想いが感じられる言葉を聞いた千草はふわふわのクッションを彼女に渡した。ぎゅ、とクッションを抱く百合の横顔もまた愛らしく、アリスめいた雰囲気が深くなる。
「ふふ……此処で頂くお茶って美味しいです」
「そうよ、アリスの世界といえばやっぱり……」
千草からの言葉に百合が答えようとすると、続けて彼の声が紡がれた。
「お菓子もどうぞ、俺のアリス」
そう言いながら千草は手に取ったお菓子を千草の口へ運ぶ。手にしていた紅茶がもっと温かくなりそうだと感じた百合は思う。きっと、赤く染まった頬は隠せない。
(「おかしいわ、アリスがうさぎを追いかけるはずなのに」)
「迷い込んだ不思議の国、そう簡単には逃がしませんよ」
まるで百合の考えがわかっているかのように、千草――時計うさぎは微笑んだ。
照れ隠しにそっぽを向いた百合は来たとき以上に胸が高鳴っていることを実感した。本当は彼の方を向いていたいけれど、そう――今日は悪い子のアリス。
もう少しだけ、この頬の熱が収まるまでは時計うさぎさんだって許してくれるはず。
ときめきときらめき。
大好きな人と過ごす時間は尊い。こうして、ふたりだけの不思議なハロウィンの夜は深まっていく。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【託されし願い】がLV2になった!
【光学迷彩】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV4になった!
【アヴォイド】がLV4になった!
咲樂・祇伐
🌸樂祇
……今、お腹の音がしなかった?
お菓子の家のせいってことにしておいてあげる
でも食べちゃだめ
わたしもお菓子の家も
絶対よ!
みてみて、迦楼羅!ふかふかのマシュマロのソファ!
こっちのテーブルはキャラメルみたい!
戸棚はチョコレートかしら?
全部が可愛くて心が歌い踊るよう!
いいなぁ、絵本の世界のよう
こんなお家に住んでみたかったの!
…何の参考に?
たい焼きのクッションを抱えて──あっ!たい焼きがっ……
何故と首傾げつつ、おねだりしちゃう
ねぇ、コックさん
なにか美味しいお菓子を作って頂戴な
何を作ってくれるのかとキラキラ期待咲かせて見守るわ
手際がいいこと
わたしより料理も上手で…勤勉なのか
貪欲なのか
微笑ましくて
もう出来たの?と覗けば……わぁ!
桜のゼリーケーキ!美味しそう!
お洒落で可愛くて宝石みたいで、つい尾が揺れてしまう
ぴぃころプリンの近くに、わたしが作ってきた花弁の飴を飾り花園みたいにするわ
紅茶は任せて
嬉しいわね
わたし達の為に皆が用意してくれたの
思いやられたなら
想いを返さねば
でしょう?
ひとは……愛おしいのよ
咲樂・神樂
⚰️樂祇
ぐう
不覚にも腹の音が鳴ってしまった
人の身である弊害だ
…気の所為だよ、祇伐
菓子の家を前にしたのだから仕方ない
そんなに念を押さずとも食べないとも
食べられないのは残念だと
食という欲を覚えた故に思う
あちらこちらとはしゃぐ番は実に可愛らしいのでそれでいい
…祇伐はこういう巣が好みなのか
参考になる
ふふ
今はまだ秘密
私以外のものを抱えるなんて
君が抱えるたい焼きのクッションを取り上げ、いいよと笑って
今宵の私は(殺戮)コックだからね
パティシエも兼ねている
飴玉のようにきらきらした君の瞳をみて
そうだ、と思い立って作るのは──
ほら、桜花の(祇伐みたいな)ゼリーババロアケーキだよ
桜花が游ぶハーバリウムのような綺麗なケーキ
ハロウィンらしく南瓜のお化けを飾りつけ
チョコレートで鴉を作ろうとして、やめる
飾るなら、ぴぃころ型のプリンがいい
祇伐が花飴を散らしてくれたからまるで花園のようになった
用意された紅茶をいれて一緒に食べよう
私達の為に用意してくれた、なんて
その真心も嬉しいな
思いやられる事の倖を識ったよ
ひとは、面白いね
●尊き想いのかたち
――ぐう。
振り向いた咲樂・祇伐(花祇ノ櫻禍・g00791)は首を傾げ、咲樂・神樂(離一匁・g03059)に問いかける。
「……今、お腹の音がしなかった?」
「気の所為だよ、祇伐」
不覚にも腹の音が鳴ってしまったのは事実だが、神樂は誤魔化した。されど祇伐にはそのこともお見通しのようだ。
「菓子の家を前にしたのだから仕方ない」
「お菓子の家のせいってことにしておいてあげる。でも食べちゃだめ」
「わかったよ」
祇伐が首を振ったことで神樂は頷いた。しかし、彼女は更に言葉を続けた。
「わたしもお菓子の家も、絶対よ!」
「そんなに念を押さずとも食べないとも」
言葉を交わすふたりは今、或るお菓子の家を前にしている。祇伐がこれほどに真剣になるのもこの家々が本物のようにきらめいて見えるから。
「それならいいわ。いきましょう!」
祇伐は表情を輝かせ、扉に手を掛けた。
ひらかれた板チョコレート風のドアの向こうには、外観以上の甘い光景が広がっているようだ。
「みてみて、迦楼羅!」
「すぐに行くよ」
これらが食べられないのは残念だ、と神樂は思う。それは食という欲を知っているゆえに思うこと。しかし、あちらこちらとはしゃぐ番が実に可愛らしいのでそれだけで心が和む。
「ふかふかのマシュマロのソファ! こっちのテーブルはキャラメルみたい!」
「……祇伐はこういう巣が好みなのか」
頷いた彼の思いは少しばかり違う方に向いているようだが、祇伐はその発言自体に気が付いていない。
「こっちはチョコレートかしら?」
この空間にあるものすべてが可愛くて心が歌い踊るよう。祇伐は自分の頬が綻んでいると感じ乍ら、彼に向き直った。
「いいなぁ、絵本の世界のよう。こんなお家に住んでみたかったの!」
「参考になるな」
「……何の参考に?」
不思議そうに聞き返した祇伐に対し、神樂は人差し指を立ててみせた。そのまま指を自分の口許に当てた彼は笑む。
「ふふ、今はまだ秘密」
「?」
物言いは不可解だったが、彼がソファに腰を下ろしたことで祇伐は深く聞けなくなった。それに秘密を暴くのも今は違う。祇伐はたい焼きクッションを抱えて神樂の隣に座る。しかし、神樂がそれを取り上げた。
「私以外のものを抱えるなんて」
「――あっ! たい焼きがっ……」
何故、と言葉にした祇伐ではあるが、彼もクッションが抱きかったのだとして納得した。
その代わりに祇伐は彼におねだりをしてみることにする。折角のハロウィンの夜なのだから、今日の仮装にちなんだことをしてもいいはず。
「ねぇ、コックさん」
「そうだったね、今宵の私はコックの迦楼羅だ」
「なにか美味しいお菓子を作って頂戴な」
「いいよ」
殺戮、というのは敢えて言葉にしないまま彼が首を縦に振る。パティシエも兼ねているので祇伐の期待にも応えられるだろう。何を作ってくれるのかと考え、キラキラと期待を咲かせた祇伐は見守りの体勢に入った。
飴玉のように煌めいている瞳を見て、神樂は考えを巡らせる。
「そうだ」
ふと思い立ち、作っていくのは――。
ミニキッチンに立った神樂は手早くケーキを仕立てていった。
「もう出来たの?」
「ほら、桜花のゼリーババロアケーキだよ」
祇伐みたいな、と彼が付け加えたことで本人の瞳がひときわ輝く。
「……わぁ! 桜のゼリーケーキ! 美味しそう!」
披露されたのは桜花が游ぶハーバリウムのような綺麗なケーキ。
其処にはハロウィンらしく南瓜のお化けが飾りつけられている。祇伐が慣れ親しんでいるショコラティエのようにチョコレートで鴉を作ろうとした神樂だが――ふとした思いが浮かび、やめてしまった。
「……飾るなら、ぴぃころ型のプリンがいいな」
「ぴぃころプリン!」
彼の思惑は隠されたまま、新たな飾りやお菓子が作られていく。祇伐はお洒落で可愛くて宝石みたいな品々に夢中であり、竜尾を揺らしていた。
「どうかな、祇伐」
「少しお手伝いしてもいい?」
「勿論」
祇伐からの申し出を断る理由はなく、神樂は快く応える。すると彼女はプリンの近くに自分が作ってきた花弁の飴を飾っていった。花園みたいにするわ、と語る祇伐はとても楽しそうだ。
「祇伐が花飴を散らしてくれたからまるで花園のようになったね」
「あとは紅茶を淹れるわ。任せて」
ケーキとお菓子を並べていて、と願った祇伐は紅茶の準備を始める。ケーキと紅茶、それぞれが用意した幸せの味を楽しむ時間にもますますの期待が膨らんでいった。
そうして、紅茶がカップに注がれてゆく。
この茶器にも戸棚に入っていたお菓子も、ディアボロスへの歓待の気持ちが籠もっている。
「嬉しいわね、わたし達の為に皆が用意してくれたの」
「私達の為に用意してくれた、なんて。その真心も嬉しいな」
席についたふたりはカップを軽く掲げ、乾杯と共に人々への感謝を抱いた。あたたかい紅茶を飲んで、ケーキを切り分けてお菓子を摘む。この時間の中に満ちているのは嬉しさと充実感だ。
神樂はそっと目を細め、これまでのことを思い返す。
「思いやられる事の倖を識ったよ」
「思いやられたなら、想いを返さねば――でしょう?」
快さを感じながらふたりは真っ直ぐに視線を重ねた。心が動く。そのことはひとにとって当たり前のことであるが、同時に何よりも尊い事実であるはず。神樂は一度だけ目を瞑り、嘘偽りない思いを声にした。
「ひとは、面白いね」
「ひとは……愛おしいのよ」
添えるように紡がれた祇伐の言葉にもまた、慈しみが込められていて――。
夜の帳が落ちてゆく。
此処で巡る時間もまた、ふたりの未来を紡いでいくひとつの糸になってゆく。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【おいしくなあれ】LV1が発生!
【口福の伝道者】がLV2になった!
効果2【リザレクション】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
紫空・千景
【甘唄】
夜明け桜の輝夜姫の仮装
オルゴールと輝夜が辿り着いたお菓子の家
今宵限りの物語
ふふ、美味しそうだな?
今日の家は食べれないがと
思い出したバレンタインの事
お菓子の家ごと食べてしまった甘い想い出
もしかしたら続きなのかも、なんて
同じ様で少しづつ違う気もする並ぶ家
私達は此処にしようかとチョコレートのドアを開れば
美味しそうの魔法は続いている
灯す明かりはカボチャの橙色
…どうせなら星の青も混ぜてしまうか?
食器に持ち込んだスイーツをキャラメルの卓上に並べ
ふわふわなマシュマロのソファにふたり沈む
生クリームの兎が跳ね回る月を模した林檎のタルト
此方は夜色の生地に小さな星が燦くパンプキンシュー
そっと覗き見ているのもほら、兎だぞ
桜の花びら浮かぶ紅茶を添え
どうか輝夜の未練を楽しいお茶会で染めて
オルゴールが魅せてくれたのは今宵を彩る祭のいろ
好きだよ、あんたが作ったなら尚更
代わりに切り分けたタルトとシューをどうぞ
互いに蕩けて綻んで
ならば私も独り占め
夜明けの桜だけでなく
暁の時間までも共に
剣士も輝夜も
未だ浸って居たいんだ
ルリラ・ラプソディア
【甘唄】
アンティークオルゴールの仮装
可愛く甘いお菓子の家
夢のつまったお家に心をときめかせずにはいられない
黒兎のぬいぐるみを抱えて、輝夜と一緒に
きらきらした瞳で見つめる
ハロウィンでも、こんなに甘い風景を見られるなんて…
うれしいね…
バレンタインの想い出の…その続きを見ている様で楽しかった
輝夜の開く扉の向こうはとびっきりの魔法の世界
ハロウィンはたくさんの色が混ざり合うから楽しい
だから、星の色もいっしょに…ね
彼女の持ち込むスイーツに
南瓜と兎さんのデコレーションに嬉しくて
ついつい翼がぴこりと上がる
仲間が此処にも、と嬉しそうに黒兎の両手を万歳させてみせながら
今度はわたしもと持ち寄ったのは
小さな南瓜の丸ごとプリンとハロウィンカラーのマカロン
はい…お姫様?マカロンはお好き、ですか?
彼女の口許へ、1つ
そうして貴方のスイーツもパクリと食べれば
広がる甘さに夢心地
黒い兎も
オルゴールのわたしも
今宵、あなたといたいから
朝が迎えに、日差しがあなたを照らすその一瞬まで
わたしが輝夜を独り占めする
まだ帰らないで…って…
●輝きと音色
片方は夜明け桜の輝夜姫、もう片方はアンティークオルゴール。
パレードを進んできた仮装に身を包んだまま、紫空・千景(夜明の導べ・g01765)とルリラ・ラプソディア(Ⅻの子守歌・g00784)は広場に訪れた。
可愛く甘いお菓子の家々。夢と希望がたくさん詰め込まれた家に心をときめかせずにはいられない。
「素敵ね……」
ルリラは黒兎のぬいぐるみを抱え、千景と共に歩を進めていった。広場に建てられたミニハウスは全体的な雰囲気は統一されているが、ひとつずつ細部が違う作りになっているらしい。それは広さであったり、所々の装飾であったり、見ているだけでも千景たちを楽しい気持ちにしてくれる。
目の前の景色をきらきらとした瞳で見つめながら、ルリラは千景の隣に並んだ。
そうして、オルゴールと輝夜が辿り着いたのは一件のお菓子の家の前。
今宵限りの物語が紡がれる場所は実に可愛らしい。
「ふふ、美味しそうだな?」
「ハロウィンでも、こんなに甘い風景を見られるなんて……うれしいね……」
「今日の家は食べられないが――」
ルリラと千景は話しながら、以前の事を思い出す。記憶に残っているのはバレインタインのこと。
あの日はお菓子の家ごと食べてしまった甘い思い出がある。
しみじみと目を細めた千景の様子を眺めながら、ルリラも記憶を巡らせた。
「バレンタインの想い出の……その続きみたい」
「もしかしたら続きなのかも、なんて」
楽しかったという思いは同じ。それならば此処から始まる時間もまた、楽しくて心地良いものになっていくはず。そして、千景は扉に手を伸ばす。
「さて、私達は此処にしようか」
チョコレートのドアをひらけば、外観以上に可愛らしい見た目の内装が見えた。
キャラメルカラーのテーブル、マシュマロのようにふわふわのクッション付きソファ。戸棚はまるでショートケーキ。窓硝子も中から見るとキャンディらしさがめいっぱいに感じられる。
調度品はハロウィンらしいもので埋め尽くされており、美味しそうの魔法が続いているように思えた。
そう、輝夜の開く扉の向こうはとびっきりの魔法の世界。
「ハロウィンはたくさんの色が混ざり合うから楽しい……」
「灯す明かりはカボチャの橙色にしよう」
「それだけで、寂しくないかな……。だから、星の色もいっしょに……ね」
「わかった。どうせなら星の青も混ぜてしまおうか」
ふたりが片方ずつランプを灯せば、部屋の中でふんわりとした灯りが明滅した。次第に光を増していくランプを見つめた千景とルリラは瞳に灯火を宿す。
其処に映った色は楽しさに満ちたものであり、ふたりは柔らかく微笑みあった。
「甘い味わいも堪能しよう」
千景は食器を戸棚から取り出し、自分が持ち込んだスイーツをキャラメルの卓上に並べてゆく。ふわふわなマシュマロのソファにふたりで沈めば、これから巡る時間への期待も大きくなっていった。
まずは生クリームの兎が跳ね回る月を模した林檎のタルト。
次は夜色の生地に小さな星が燦くパンプキンシュー。
「これは……」
「そっと覗き見ていたのか。ほら、兎だぞ」
頷いたルリラは彼女のスイーツに南瓜と兎のデコレーションがあることに気付き、更に嬉しくなっていく。ついつい翼がぴこりと上がってしまうが、これは致し方ない動きだ。
それから千景は桜の花びら浮かぶ紅茶を添えて、どうか輝夜の未練を楽しいお茶会で染めてほしいと願う。
「仲間が此処にも、いるのね……」
ルリラは嬉しそうに黒兎の両手を万歳させてみせながら、今度はわたしも、と持ち寄ったものを取り出していく。
それは小さな南瓜の丸ごとプリンとハロウィンカラーのマカロンだ。
「はい……お姫様? マカロンはお好き、ですか?」
そういってルリラは彼女の口許へ、ひとつのマカロンを差し出した。千景は双眸を快く細めてみせる。オルゴールが魅せてくれたのは今宵を彩る祭のいろ。
「好きだよ、あんたが作ったなら尚更」
千景はそのままマカロンを美味しそうに頬張った。
代わりに切り分けたタルトとシューを、どうぞ、と渡した千景は貰った味を楽しんでいる。同じようにルリラも彼女のスイーツにも目を向け、パクリと食べれば――広がる甘さが夢心地を運んできた。
互いに蕩けて綻んで、ハロウィンの夜は更けていく。
スイーツを食べ終わっても、ランプの灯火が徐々に弱くなっていても、この心地は終わらない。ルリラは顔を上げ、ランプをぼんやりと眺めていた千景の横顔を見つめる。
いま此処で伝えなくてはこのひとときが終わってしまうかもしれない。だから、伝えたい。
「――今宵、もっとあなたといたい」
朝が迎えにきて、目映い陽射しがあなたを照らす、その一瞬まで。
輝夜を独り占めする時間にして欲しい。だからこそルリラは、願いの言葉を口にする。
「まだ帰らないで……」
その声を聞いて、ふ、と笑った千景はもちろんだと返す。同じ思いを抱いているのならば断る理由も、このまま帰ってしまうようなこともない。そして、千景は思いを言葉にしてゆく。
「ならば私も独り占め」
夜明けの桜だけでなく、暁の時間までも共に。
――黒い兎も、オルゴールのわたしも。
――剣士も輝夜も、未だ浸っていたいから。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【プラチナチケット】がLV2になった!
【強運の加護】がLV4になった!
効果2【フィニッシュ】がLV2になった!
【リザレクション】がLV2になった!
エリル・ウィスタリア
【ミント】
※衣装は翠とお揃いの青薔薇の花嫁
すっごい。お菓子の家だわ。見てみて、すっごく素敵!
こういうの大好きなのよ。
麻緒達の衣装のネタってここからなんだ。
中の内装もすごく綺麗。お星さまのランプ素敵。
マシュマロソファ、ふっかふかよ。…あら?麻緒が何か企んでるわね。
翠を休ませる作戦?良いわよ?乗るわ。
と言っても、なんでか気を張ってるのよね。
ねえねえ翠。せっかくの機会なんだしゆっくりしようよ。なんて言いながらお菓子パーティーを提案してみるわ。
しばらくして、翠がうとうとし始めたので私は床に移動。
マシュマロソファーに埋まって熟睡してる翠の写真を撮っておこう。
これくらいの悪戯は可愛いものなのよ。
部屋の中をぐるっと見てみる。
窓ガラスは飴細工みたいだし。星型のランプがすごく綺麗。こういうのお部屋に欲しいな。
私、こういうキラキラ綺麗な景色が大好きなの。
翠が起きたならにっこり満面の笑顔を向けて。
いつもお疲れ様。翠もお菓子一緒に食べよう?お茶もあるし、今日くらいはゆっくりしてもいいのよ。
撮った写真はたからもの
三苫・麻緒
【ミント】
『ヘンゼルとグレーテル』のグレーテルの仮装
わー!わー!お菓子の家だー!
甘いものが好きならお菓子の家は一度は憧れる存在だよね!
今回仮装で選んだのも一因だけど、それがなくてもテンション上がるーっ!!
お狐様も駄目にしちゃいそうなマシュマロソファに、負けじとふわふわな綿あめ毛布を発見
…なるほど、いつも保護者担当として気を使っていて、かつハロウィン期間は激務なキッチンにも立つ翠さんを(リラックスさせるという意味で)沈めろということだね…!
エリルさん、ここは打倒翠さんのために共同戦線といっちゃおう…!
エリルさんの一声もあったことだし、お菓子パーティー、思い切り楽しんじゃおう!
甘いお菓子に、同じくらい甘い香りがしそうな家具に囲まれて幸せー
いつもより沢山食べれちゃうね
…ちょっと莱くん、そんなこと言ってると、真ん丸けだまボディにしてからかじっちゃうよ?
…なんてはしゃいでいるうちに翠さんは寝落ちかな
せっかく休んでくれたんだし、ここから先は翠さんを起こさないよう、少しだけ静かにお菓子を堪能しようっと
五百雀・翠
【ミント】
※仮装はエリルと合わせの青薔薇のタキシード。
おー。お菓子の家か。麻緒と莱の衣装にぴったりじゃねえの?
子供の頃、こういうのあこがれてたんだよ。
食器も可愛いし凝ってるな。こういうのお店においたら…いやいや、仕事は忘れよう。今日は遊びに来たんだよ。
しっかし、ここんとこずっと店が忙しくて疲れたな。
いやいや、ここでまったりは駄目だ。問題児がいる。
お菓子パーティーも良いけどハメ外すなよ。エリルは…室内の装飾に夢中だし問題ないか。麻緒はいつものようにお菓子に夢中だし?でもあまり莱をいじめるなよ。
けだま??パレードでやってくれたお返しで何もいわね。
案外お菓子美味いな。この味どうやって出せばいいんだ?
なんて考えながらうとうと。
気付けばマシュマロクッションを抱えて夢の中へ。
ふわふわ毛布がかけられたのは覚えてる。
目を覚ましたら3人とも静かにお菓子パーティーしていて。
おまけに綿あめ毛布もしっかりかけられてる。
…お前ら…いや、なんでもない。よく休めたわ。
心配かけてすまん。改めてお菓子パーティ楽しもうか。
葉古森・莱
【ミント】
『ヘンゼルとグレーテル』のヘンゼルの仮装
けだまも鳥モチーフの飾りでおめかし
ほえぇ…、おかしのおうちだぁ…
この衣装のお話を教えてもらうときにきいたけど、こんな感じになるんだね
あっ、けだま、これは本物のおかしじゃないからかじってもおいしくないよ
でもつい手をのばしたくなっちゃう気持ちはわかるかも
ガラスも新宿島に来てから見たけれど、透明じゃなくて、こんなにおいしそうな色のものもあるんだね
(誰も見ていないか確認してから触ってみて)あ、ちゃんとガラスだ
麻緒さんとエリルさんは、お疲れ気味の翠さんに何かしようとしているみたい?
でも悪いことじゃなさそうだし、様子を見て協力してみてもいいかもね、けだま
家具もおかしそっくり、本物のおかしもたくさん
こうなると麻緒さんじゃなくてもつい食べすぎちゃいそ…(麻緒さんを見て)あっ、なんでもないよ
麻緒さんと比べたら食べすぎるってことはないよねって待って怒らないで悪い魔女みたいな迫り方しないでえ!?
…あ、翠さん、寝ちゃったの?
ここ最近いそがしそうにしていたもんね
●休息を君に
少しドタバタのパレードを終えた後。
夕暮れの空は宵色へと移り変わり、本格的な夜が訪れている。
「わー! わー! お菓子の家だー!」
「すっごい。お菓子の家だわ。見てみて、すっごく素敵!」
「ほえぇ……、おかしのおうちだぁ……」
ハロウィン広場の真ん中でエリル・ウィスタリア(雪を待つ花・g00912)と三苫・麻緒(ミント☆ソウル・g01206)、葉古森・莱(迷わし鳥・g04625)たちの声が楽しそうに響いていた。
すごいすごい、とはしゃぐ三人は感動しているようだ。
「甘いものが好きならお菓子の家は一度は憧れる存在だよね!」
「こういうの大好きなのよ」
「今回仮装で選んだのも一因だけど、それがなくてもテンション上がるーっ!!」
「なるほど、麻緒達の衣装のネタってここからなんだ」
「この衣装のお話を教えてもらうときにきいたけど、こんな感じになるんだね」
瞳をきらきらさせながら語り合ったエリルは麻緒の衣装を改めて眺めた。莱も感心しており、お菓子の家を物珍しそうに観察していた。其処にもうひとりの影が差す。
「おー。お菓子の家か。麻緒と莱の衣装にぴったりじゃねえの?」
声の主である五百雀・翠(夕月夜・g03977)もぴったりであることに納得しており、静かに頷いていた。
「子供の頃、こういうのあこがれてたんだよ」
「あっ、けだま。これは本物のおかしじゃないからかじってもおいしくないよ」
「もきゅ?」
「でもつい手をのばしたくなっちゃう気持ちはわかるかも」
「あはは、じゃあそろそろ入ろうか」
麻緒の傍ら、莱はモーラット・コミュのけだまを宥めていた。けだまは柱を齧ろうとしていたが本物ではないと言われたことでしゅんとした。しかし、それならばパレードで貰ったお菓子を食べればいいだけだと判断したらしい。
そうして、一行は少し大きめの多人数用であろうお菓子の家に入っていく。
まず内装に反応したのはエリルだ。
「中もすごく綺麗。お星さまのランプ素敵」
「ガラスも新宿島に来てから見たけれど、透明じゃなくて、こんなにおいしそうな色のものもあるんだね」
次に莱が曇硝子の窓に近付いていく。
誰も見ていないか確認してから手を伸ばした莱は、そっと硝子に触ってみる。
「あ、ちゃんとガラスだ」
「もきゅきゅ」
倣ってけだまも莱と同じ硝子にちいさな手を伸ばし、ほんとうだ、と言うように毛並みを揺らした。その様子をこっそり見ていた翠と麻緒はくすりと笑む。
そして、歩を進めた麻緒は新たな家具や内装を見学していった。
「こっちにもいろいろあるね!」
お狐様ですら駄目にしてしまいそうなマシュマロ風のソファに負けじと、麻緒はふわふわな綿あめ毛布を発見する。ちいさなお菓子の家であってもこだわりを探すのも楽しく、麻緒たちは暫し探検隊になっていた。
そんな中でエリルはソファに腰掛けている。
「このマシュマロソファ、ふっかふかよ。……あら?」
「食器も可愛いし凝ってるな。こういうのお店においたら……いやいや、仕事は忘れよう。今日は遊びに来たんだよ」
エリルがソファの座り心地を楽しんでいると、ふと翠の声が聞こえた。
ミニキッチンの方に行っている翠はこんな場所でも仕事のことを考えてしまっているらしく、自分で自分に言い聞かせている様子だ。それから顔を上げた翠は他の食器を手にとっていた。
「しっかし、ここんとこずっと店が忙しくて疲れたな」
せっかくなのでゆっくりしたいという思いが翠の中にあったが、そうも言っていられないことに気付く。
「いやいや、ここでまったりは駄目だ。問題児がいる」
世話役として立ち回っている普段を思えば自分が休んでいてはいけないと考えたらしい。翠の職業病のような呟きを耳にした麻緒はあることを思いついた。
マシュマロソファと疲れた大人。つまり、それが導き出す展開は――。
「なるほど、いつも保護者担当として気を使っていて、かつハロウィン期間は激務なキッチンにも立つ翠さんをリラックスさせるという意味で沈めろということだね……!」
「麻緒が何か企んでるわね。それって……翠を休ませる作戦?」
こそこそと話し出したエリルと麻緒。
その声を聞いてしまった莱はけだまに小声で話しかける。
「麻緒さんとエリルさんは、お疲れ気味の翠さんに何かしようとしているみたい?」
「もきゅぴ」
「でも悪いことじゃなさそうだし、様子を見て協力してみてもいいかもね、けだま」
「きゅ!」
けだまも少女たちの考えに賛同しているらしく、莱はこのまま作戦を見守ることに決めた。知らぬはキッチンにいる翠ばかりなり。麻緒とエリルは視線を重ね、作戦決行の合図をとった。
「エリルさん、ここは打倒翠さんのために共同戦線といっちゃおう……!」
「良いわよ? 乗るわ」
いい笑顔になったエリルは翠の方に目を向けつつ、彼の背中から感じる雰囲気を分析する。
(「と言っても、なんでか気を張ってるのよね」)
まさか問題児のために彼が頑張っているなどとは気付けなかったが、そう感じるのは確かだ。
「ねえねえ翠。せっかくの機会なんだしゆっくりしようよ」
エリルはそう言いながら翠にお菓子パーティーをすることを提案してみた。麻緒もそれ似合わせて元気よく翠に声を掛けていくことにした。
「エリルさんの一声もあったことだし、お菓子パーティー、思い切り楽しんじゃおう!」
「うん、ぼくもいいと思うな」
「もきゅ!」
「ん? お菓子パーティーも良いけどハメ外すなよ」
翠はそれくらいならば構わないとして返事をした。三人はそのまま楽しいパーティを行う動きをしながら、休んでもらいたい思いを込めていく。
甘いお菓子に、同じくらい甘い香りがしそうな家具。
更にはルームフレグランスも設置されているので本当の香りもばっちりだ。たくさんの甘やかさ囲まれて幸せを感じた麻緒は心の底から寛いでいる。
「お菓子もいつもより沢山食べれちゃうね」
「家具もおかしそっくり、本物のおかしもたくさん。こうなると麻緒さんじゃなくてもつい食べすぎちゃいそ……」
「……ちょっと莱くん、そんなこと言ってると、真ん丸けだまボディにしてからかじっちゃうよ?」
「あっ、なんでもないよ」
「本当かな~?」
「麻緒さんと比べたら食べすぎるってことはないよねって待って怒らないで悪い魔女みたいな迫り方しないでえ!?」
「こっちの壁もお菓子風なのね」
いつものようなやりとりをしている麻緒と莱。
その近くではエリルが改めて内装について考えていた。翠は仲間を見渡し、肩を竦める。
「エリルは……今は室内の装飾に夢中のようだしだし問題ないか。麻緒はいつものようにお菓子に夢中だし? でもあまり莱をいじめるなよ。けだま??」
パレードでやってくれたお返しもあるので翠はけだまをじっと見つめた。
その際に摘んだお菓子を口に放り込み、意外な美味しさだと感じた翠はよく咀嚼してみる。
「案外美味いな。この味どうやって出せばいいんだ?」
そう考えながらうとうとしはじめた翠は、やはり相当に疲れていたようだ。
気が付けばマシュマロクッションを抱えていた翠は次第に夢の中へ誘われていく。
「なんてはしゃいでいるうちに翠さんは寝落ちかな」
「あら、本当ね」
それから暫くして――翠がうとうとし始めたことに気付いたエリルは、そっと床に移動した。マシュマロ風のソファに埋まって熟睡している翠の写真を撮っておくためだ。
「これくらいの悪戯は可愛いものなのよ」
「休んでくれたんだし、ここから先は翠さんを起こさないよう、少しだけ静かにしようか」
「……あ、翠さん、寝ちゃったの? ここ最近いそがしそうにしていたもんね」
それでもお菓子を堪能することは忘れないのが麻緒のちゃっかりした部分だ。莱も声を潜め、けだまには大きく鳴かないように注意した。繰り返される翠の穏やかな寝息が今のBGM代わりだ。
それからエリルは部屋の中をぐるっと見てみる。
窓ガラスは飴細工のようで、じっと眺めている星型のランプは綺麗さを保っている。こういうのお部屋に欲しいな、と語ったエリルはふわふわと笑む。
「私、こういうキラキラ綺麗な景色が大好きなの」
「いいよね、こういうの」
「けだまも好きみたい」
そして――。
静かなお菓子パーティが続けられていき、暫しの時間が経った。
「……ん?」
「おはよう、翠」
「よく眠れたかな?」
「もうちょっと寝ていてもよかったのに、ね」
翠が起きたことに気付いたエリルは、にっこりとした満面の笑みを向けた。麻緒と莱もくすりと笑ってみせる。自分に毛布が掛けられていることに気付いた翠がハッとする。
「……お前ら……いや、なんでもない。よく休めたわ」
この空間に満ちる優しい気持ちや思いがいつも以上に自分を素直にさせてくれている気がする。
だからこそエリルは思うままの言葉を向けた。
「いつもお疲れ様。翠もお菓子一緒に食べよう?」
「心配かけてすまん。改めてお菓子パーティ楽しもうか」
「そうよ。お茶もあるし、今日くらいはゆっくりしてもいいのよ」
秘密で撮った写真は、たからものになる。確かな思いを感じながらエリルは微笑んだ。
夜は更け、穏やかな時が巡りゆく。
賑やかだったパレードに静かながらも楽しいパーティ。思い出の一頁は彩りに満ちている。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV4になった!
【冷気の支配者】LV1が発生!
【パラドクス通信】がLV3になった!
効果2【グロリアス】がLV2になった!
【命中アップ】がLV5(最大)になった!
【先行率アップ】がLV3になった!
朔・彗藍
【雪星】
時計ウサギの仮装
わあ、一度は夢見るお菓子の家です……!
此処がワンダーランドです?
なんて仮装に因んでぴょんぴょこ跳ねる
ずっと甘い匂いが…マイハウスにしたさ
あ、あのチョコレートの屋根に
クッキーを敷き詰めたおうち気になりますっ
内装も凝ってますねえ
星も南瓜もランプ可愛いー!いざ両方点灯です
ほわっとした灯りにメルヘン空間
雪璃!マシュマロソファ座りましょ
ふわんと沈んでおばけちゃんなクッションを渡し
えへへ、食べれないの残念
今宵は不思議の国のお茶会パーティー!
トリックアオトリートです
わ、雪璃の持ってきたお菓子美味しそう!
狐の…マリトッツォ…
じっと雪璃と交互に見つめる
可愛いけど遠慮なく食べますよう
ベリーソース垂らして頂きますね
私もスートのアイシングクッキーに
真っ赤な薔薇チョコと苺タルト
それからハロウィンドーナツ!
黒猫がおすすめです!
いづちゃんにもお土産にどうぞ
紅茶はブルーマロウとバラフライピーを選んで
レモンを数滴、変わる色は魔法のよう
楽しい御伽の国みたいなひととき
はい、来年もきっと一緒に、ですよ!
茜來・雪璃
【雪星】
青龍モチーフの漢服
わぁあ…お菓子の家が沢山!!
すごいすごい!ファンタジーの世界に遊びに来たみたい!
あは、彗の仮装と似合ってるねえ
中も気になっちゃうな
彗はどのお菓子の家が好き?
わぉ、中もかわいい!
あ、ランプみーっけ
南瓜と星型だ!橙と青の灯りなんだねえ
両方付けちゃう?
マシュマロソファ!座るー!
ほわぁ…ふわっふわだ
クッション受け取り抱きしめて
ふふふ、たしかに残念だねえ
部屋の探検を終えたなら、紅茶とお菓子をテーブルに並べて
さてさて…今日のメイン
パーティーしちゃおーう!
可愛くて美味しそうなお菓子あったから沢山持ってきたんだー
蝙蝠のフォンダンショコラに蜘蛛の巣ワッフル
あと、狐のマリトッツォ!
ベリーソースとホイップクリームもあるから好きに使ってね!
彗の視線に気付いてコンコン、なんて
彗のお菓子も美味しそう!
えっとね…うんとね……
じゃあ、まずはオススメの黒猫ドーナツで!
いいの?ありがとう!
わ!色変わった!
不思議、どんな味するのかな?
んふふ、楽しくておいしいねえ
また来年のハロウィンも一緒に遊ぼうね!
●雪と星の約束
時計ウサギに青龍。
住む世界がまったく違うふたつが一緒にいてもおかしくはない日が今夜。
ハロウィンの宵を夜までめいっぱい楽しむべく、朔・彗藍(ベガ・g00192)と茜來・雪璃(朧夜ノ蝶華燈・g00793)は色とりどりの彩が広がる広場に訪れている。
「わあ、誰もが一度は夢見るお菓子の家です……!」
「わぁあ……お菓子の家が沢山!! すごいすごい!」
「此処がワンダーランドです?」
「本当だね、ファンタジーの世界に遊びに来たみたい!」
彗藍は自分の仮装に因んでぴょんぴょこ跳ねながら問いかけてみる。雪璃も一緒になってぴょこんと飛び、青龍が飛んでいるかのような仕草をしてみせた。
此処に立っているだけで楽しいと感じつつ、彗藍はぐるりと周囲を見渡す。
「おうちからずっと甘い匂いが……いっそここをマイハウスに――」
「あは、彗の仮装と似合ってるねえ」
過ぎった思いは心からのもの。彗藍は想像を巡らせながら広場を巡っていく。雪璃も一緒に歩を進めていき、中も気になっちゃうな、と言葉にした。逸る気持ちを抱きつつ雪璃は問う。
「彗はどのお菓子の家が好き?」
「あ、あのチョコレートの屋根にクッキーを敷き詰めたおうち気になりますっ」
「じゃあ決まりだねえ」
そうして、ふたりはお目当てのミニハウスに近付いた。
一緒にチョコレート風の扉をひらき、進んだ先。其処は外観よりも更にカラフルで甘やかな雰囲気が広がっていた。
「内装も凝ってますねえ」
「わぉ、中もかわいい! あ、ランプみーっけ」
「星も南瓜も、どちらのランプ可愛いー!」
まずふたりが発見したのは中に用意されていたハロウィン用の洋燈だ。両方が可愛いと感じたふたりは顔を見合わせ、片方ずつを手に取る。愛らしい見た目のランプは見ているだけでもわくわくしているものだ。
「南瓜と星型だ! 橙と青の灯りなんだねえ」
「どちらかなんて選べないですね」
「あは、それじゃあ両方点けちゃう?」
問いかけてみているがふたりの思いは最初から同じ。視線を交わすだけで次の行動は決まっていた。
「ということで、いざ両方点灯です」
雪璃と彗藍は同時にランプに灯を付ける。
途端にほわっとした灯りが点され、部屋の中は更なるメルヘン空間に変わっていった。このままのんびりしようと決めたふたりは微笑みを絶やさずにいる。
「雪璃! マシュマロソファ座りましょ」
「マシュマロソファ! 座るー!」
こちらへ、と雪璃を誘った彗藍はふわんと沈むようにソファに腰掛ける。それからおばけちゃんなクッションを雪璃に渡した彗藍はふんわりと笑った。その微笑みの柔らかさこそマシュマロのようだ。
「ほわぁ……ふわっふわだ」
クッションを受け取って抱きしめた雪璃は幸せそうに目を細めた。
「えへへ、食べられないのが残念」
「ふふふ、たしかに残念だねえ」
こうして部屋の探検を終えたならば、次は紅茶とお菓子をテーブルに並べていく番。
「さてさて、今日のメイン」
「今宵は不思議の国のお茶会パーティー! トリックアオトリートです」
「うん、パーティーしちゃおーう! 可愛くて美味しそうなお菓子あったから沢山持ってきたんだー」
「わ、雪璃の持ってきたお菓子美味しそう!」
「蝙蝠のフォンダンショコラに蜘蛛の巣ワッフル。あと、狐のマリトッツォ!」
「狐の……マリトッツォ……」
「ベリーソースとホイップクリームもあるから好きに使ってね!」
じっと雪璃と交互に見つめる彗藍の瞳は揺らいでいる。そのことに気付いた雪璃は、コンコン、と声を付け加えた。これは雪璃にとって良い意味での迷いなのだが、心はそわそわしてしまっている。
「可愛いけど遠慮なく食べますよう」
彗藍はマリトッツォにベリーソースを垂らして頂くとして、意を決する。
その前に取り出したのは自分が用意してきたもの。
「私も色々持ってきましたよ。スートのアイシングクッキーに真っ赤な薔薇チョコと苺タルトを。それからハロウィンドーナツ! これは黒猫がおすすめです!」
「彗のお菓子も美味しそう!」
「どれにしますか?」
「えっとね……うんとね……じゃあ、まずはオススメの黒猫ドーナツで!」
「いづちゃんにもお土産にどうぞ」
「いいの? ありがとう!」
ふたりは互いのスイーツを美味しく味わうことを決める。其処に合わせる紅茶はブルーマロウとバラフライピー。
「紅茶も楽しみましょうね」
「わ! 色変わった! 不思議、どんな味するのかな?」
レモンを数滴おとせば、途端に変わる色。驚く雪璃の傍で、まるで魔法のようだと感じた彗藍は頬を綻ばせた。
巡り、廻るのは楽しい御伽の国みたいなひととき。きっとこの時間もまた魔法のひとつなのだろう。そのように思える理由は大切な友達が傍にいてくれるから。
彗藍が雪璃を見つめると、彼女の方から明るい声が響いた。
「んふふ、楽しくておいしいねえ。また来年のハロウィンも一緒に遊ぼうね!」
「はい、来年もきっと一緒に、ですよ!」
快く応えた彗藍はとびきりの笑顔を浮かべる。
大切で幸いなひとときを抱きしめるように笑いあったふたりは、甘くて美味しいお菓子を味わっていく。
思いをまたひとつ重ねていけば、季節は過ぎゆく。
運命の夏を越えて、彩りに満ちた秋が巡り、いずれは真っ白な冬が訪れて春の色が芽吹く。
また来年も。次の季節の巡りを想い、約束できることはきっと何よりの幸い。
楽しさに満ちた今から、新たなる未来が繋がることを願って――。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】がLV3になった!
【腐食】LV1が発生!
効果2【凌駕率アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!