悪来典韋の仁王立ち

 リグ・ヴェーダ本国へのディアボロスの攻勢を防いでいた蟲将の軍勢は、ディアボロスの前に敗退を重ね、彼らの根拠地である山越方面に撤退していったようです。
 これにより、リグ・ヴェーダ本国へ通じる、カシミール地方への侵入が可能になりました。
 しかし、魏の残党を率いていた、ジェネラル級蟲将「悪来の再来『典韋』」が、ディアボロスのカシミール地方への侵入を阻止するために立ち塞がります。
 呉や蜀の軍勢に比べ、魏の蟲将は2倍近くの損害を出した為、その汚名を返上すべく、決戦を挑んで来たようです。
 悪来の再来『典韋』を撃破し、カシミール地方への道を切り開いてください。


悪来の再来『典韋』

不退転の典韋(作者 baron
7


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「リグ・ヴェーダへ向かう任務の結果が出ました。現在はイスラマバード入りした所です。
 カシミール地方に向かうディアボロスを邪魔していた蟲将の部隊は、敗北を重ねた事で撤退していったようですね」
 南河・緋奈子(人間の陰陽師・g03255)が説明を始めた。
 ディアボロスたちはペシャワールやイスラマバードを経由して、カシミール地方を目指していた。
 これで、リグ・ヴェーダ本国に向かう事が出来るだろう。
「しかし、カシミール地方に向かうには最後の障害が待ち構えています。ジェネラル級である蟲将の一人が、殿軍に残りました。
 魏の軍勢を率いていた、ジェネラル級蟲将、悪来の再来『典韋』が、最後の決戦を挑むべく立ち塞がっています」
 典韋を撃破し、カシミールへの道を切り開いて欲しいと緋奈子は告げた。

「典韋は曹操の親衛隊長とも言われていた忠臣であり、その曹操を倒したディアボロスへの復讐心を持っているようですね」
 クロノヴェーダはあくまで名前を奪った存在に過ぎないが、その忠誠心と復讐心は本物なのだろう。
 ゆえに今回の戦いは、ディアボロスに叩きのめされた魏の軍勢の汚名を返上する為の戦いだが、典韋にとっては、曹操の復讐戦でもあるようだ。
「特徴として、典韋はディアボロスとの戦いに全てを賭けており、正気を失ったような蛮勇を振るってきます。
 その点を上手く突く事ができれば、有利に戦う事が出来るかもしれませんね。
 逆に、正面から堂々と戦った場合は、典韋を正気に戻すキッカケを得る事が出来、話をする事が出来るでしょう。
 とはいえ情報がどこまで入手できるか判りませんし、どう戦うかは皆さまの判断に任せますので、よろしくお願いします」
 そこまで説明して、緋奈子はメモを取り出した。
 ここまでは三国志が好きなもの名ならば、容易に想像がつく範囲だ。作家による解釈はともかくディアボロス達にも造詣が深い者も居るだろう。
「敵はカシミール地方に向かう要衝に陣地を築いて居ますが、ディアボロスが侵入した段階で火を掛けて物資や資料を焼却。
 不退転の決意で敵全軍が一歩も引かずに戦います。そのまま戦ったのでは、攻め入るこちらが不利でしょう。
 多少の不利を承知で戦うか、何らかの工夫を凝らして戦う必要があります」
 いわゆる、『トループス防衛ライン』と綽名される状態であり、陣地を固めた敵に対しては戦い難い。
 パラドクスには地形が無意味とは真実であるが、同時に籠った敵の体勢や心意気が違うと微妙な差が出て来る。
 こちらが無理して攻めることで多少のマイナスが、相手が落ち着いて戦う事で多少のプラスが積もると思えば良いだろうか。
 とはいえ、優位差を活かして戦っているだけなので、その状態を何とかする工夫と共に攻めれば言うほどに害はない存在でもある。

「典韋は決戦となった陳留の戦いで曹操を守れなかった事を後悔しているようですね。挑発すれば乗って来るでしょう。
 逆に言えば曹操への忠誠心が高いという事は、リグ・ヴェーダへの忠誠心が低いという事でもあります。
 正気に戻す事が出来れば、有力な情報を得る事が出来るかもしれません。また、蟲将は、他の勢力の蟲将と争う性質を持つ事から、逃走したジェネラル級蟲将『猩紅妃』や『于吉』に関する情報も得る事も可能なはずです。とはいえ、繰り返しますが蟲将が得られる情報という限定もあります。どちらにするかはお任せしますね」
 緋奈子はそういって皆に情報を記したメモを渡すとそっと見守るのであった。


『曹操さまお許しを……ディアボロス許さぬ……』
「おお……あの様な大木を何本も。流石は典韋さまだ」
「あれは鍛錬であり、曹操さまを守り切れなかった己への戒めなのだろう。その思いが判るという物よ」
 カシミール地方へ向かう道は幾つかある。
 その中で悪来典韋が陣取ったのは、最も進み易い場所である。
 いわゆる街道の一つだが、その一角、隘路になって比較的手狭になった場所に陣地を築いて居る。
 本来は関所に使う場所なのだろうが……アーディティヤや蟲将にとっては何の意味もない。
 ゆえにこの場所を大木で封鎖し、同時に通行を妨げる壁であり、さらに言えば燃やすための薪として乾燥させているのだ。
「そして……この木々は墓標でもある。曹操さまの、典韋さまの、我らの、ディアボロスすべてにとっての、だ」
「我らに戻る場所は無し。せめて名をば惜しむとしようか」
 配下の武将たちも将の姿を見習い、共同で木々を運び即席の壁としながら己たちの墓標を用意して行った。
 そしてディアボロスが攻め入る時、その一帯は炎に包まれるであろう。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
1
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【水源】
2
周囲に、清らかな川の流れを出現させる。この川からは、10秒間に「効果LVトン」の飲用可能な水をくみ上げる事が出来る。
【一刀両断】
1
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【神速反応】
2
周囲が、ディアボロスの反応速度が上昇する世界に変わる。他の行動を行わず集中している間、反応に必要な時間が「効果LVごとに半減」する。
【セルフクラフト】
1
周囲が、ディアボロスが、一辺が1mの「コンクリートの立方体」を最大「効果LV×1個」まで組み合わせた壁を出現させられる世界に変わる。
【冷気の支配者】
1
ディアボロスが冷気を自在に操る世界になり、「効果LV×1km半径内」の気温を、最大で「効果LV×10度」低下可能になる(解除すると気温は元に戻る)。ディアボロスが望む場合、クロノヴェーダ種族「アルタン・ウルク」の移動速度を「効果LV×10%」低下させると共に、「アルタン・ウルク」以外の生物に気温の低下による影響を及ぼさない。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【平穏結界】
1
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【活性治癒】
1
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【建造物分解】
2
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【温熱適応】
2
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が、気温摂氏80度までの暑さなら快適に過ごせる世界に変わる。
【防空体制】
1
周囲が、飛行する存在を察知しやすい世界に変わる。ディアボロスが屋外を飛行中の敵を発見するまでに必要な時間が、「効果LVごとに半減」する。

効果2

【能力値アップ】LV3 / 【命中アップ】LV3 / 【ダメージアップ】LV5 / 【ガードアップ】LV2 / 【反撃アップ】LV2 / 【先行率アップ】LV1 / 【ドレイン】LV1

●マスターより

baron
baronと申します、よろしくお願いしますね。
今回はリグ・ヴェーダ本国へ向かうための最後の関門になります。

●流れ。
 カシミール地方に向かう道を塞ぐ蟲将たちの殿軍を排除します。
敵は街道と言える場所の内で、比較的に狭い場所に陣取り、大木を並べて壁を作って居ます。

③トループス防衛ライン。『火炎陣地』
 ディアボロスが陣地に侵入すると、火を掛けて戦い始めるので注意が必要です。
攻め入る側は移動する必要があることに加えて、火へ意識が割かれることから大成功以上が出難くなります。
時間切れを待っていても火災でクロノヴェーダは死にませんし、遠距離戦に徹しても相手は覚悟を決めているので無駄です。
それ以外の方法で何らかの有益な工夫をするプレイングを入れると、このマイナス効果は消えて普通に戦えます。
(もちろん👑7なので、人数が居ればゴリ押しでも勝てます)

②護衛部隊。最後の魏軍。
 主将と共にここで死ぬと覚悟を決めた集団です。
倒さずに戦う場合、④で大成功が出難くなります。

④悪来典韋の仁王立ち。
 ジェネラル級クロノヴェーダである典韋と戦います。
彼の性格上、曹操を馬鹿にして挑発すれば突っ込んできて戦い易くなるでしょう。
逆に礼節を持って戦い、魏軍や曹操を讃えるような方向で引き合いに出せば正気になる可能性が高まります。

①典韋と会話する。
残り体力が少し(🔵が25前後)というところまでに正気に戻せば色々と語ってくれる可能性が出ます。
彼はリグ・ヴェーダに忠誠を抱いては無く、また蟲将たちにも仲間意識がないためです(魏の陣営に対してのみ忠誠)。
126

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


プターハ・カデューシアス
【賽】
アドリブ・連携歓迎
錬晏にディフェンス

予想はしておりましたが、やはり典韋が残りましたか
猩紅妃や于吉の思う壺という感もありますが
頭に血が上っているようですし当然の成り行きでしょう
錬晏の言葉に頷き

まずは防衛ラインの突破
集うトループスも精鋭揃いのようです
気を引き締めて参りましょう、錬晏

火計…ならば、消火ですね
伊達に水属性の「龍」名乗ってませんよ
【青龍騒乱】で水の龍を呼び出し、水源から湧き出る水を纏って敵陣を攻撃

「覚悟」を持って集めて作った壁。
ですが、消火しながら押し流して差し上げます
…彼らの覚悟を考えると、多少申し訳無い気もしますが
ここは真剣勝負、情けは無用!
壁を破壊しながら敵を巻き込み陣を蹂躙
上がる蒸気にも【完全視界】で視線を確保し敵を見失わぬよう

反撃の魏蟲呼雷法には【反撃アップ】も活用
水龍を集めて盾にし防御
電気を孕んだままの龍は敵へ威力を乗せて返します

私としては覚悟を決めた一途な敵は嫌いじゃありません
最後まで武人らしく振る舞えるよう
正々堂々戦いましょう
(墓標壊しておいて何なのですが…)


夏候・錬晏
【賽】連携アドリブ歓迎
プターハ(g03560)をディフェンス

蟲達が作った即席の木の要塞に、どこか感嘆にも似た想いを抱く

やはり最初に立ち塞がるのは『典韋』か
リグ・ヴェーダに存在する三将のうち、奴だけが「趙雲の後釜」に興味を示していないようだった

狙いはあくまで我ら復讐者
首級を上げるためなら、どんなことでもやるだろう
そう、油断は禁物だ。プターハ

深呼吸をして<精神集中>、近づく戦場の緊張感に、黒龍偃月刀を持つ左手が熱を持つ

火を放つと分かっているのなら、こちらは水で攻めるまで
プターハのパラドクスに重ねるように沛雨を降らせて<制圧射撃>
砦諸共破壊し、火の勢いとともに敵の勢いに冷や水をあびせる

間髪入れず、朱殷の闘気で形成した怒龍とともに敵陣に切り込み<撹乱>
【完全視界】で土煙も物ともせず、これまで培ってきた武で容赦なく『魏軍硬殻兵』を切り捨てていく

投擲される得物を冷静に見極め、やつらの"墓標"の跡を利用しつつ直撃を避け、ダメージの軽減を図れば
怒涛の攻勢を重ねていく

その決意と共に、ここに沈めてやろう



「野戦築城……流石だな」
 夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)は敵が構える陣地にどこか簡単を抱いた。
 蟲将たちは身分を問わずに作業へ参加し、木々で要塞を作ってしまっていた。
 更に言えば、そこは火の海になる。望んで死地に立ちディアボロスを迎え討つ存在であった。
「やはり最初に立ち塞がるのは『典韋』か」
「予想はしておりましたが、やはり典韋が残りましたか」
 錬晏の言葉にプターハ・カデューシアス(祝福龍・g03560)が頷く。
 いると言われたジェネラル級蟲将の中で、もっとも武人肌の男である。
「リグ・ヴェーダに存在する三将のうち、奴だけが『趙雲の後釜』に興味を示していないようだった。狙いはあくまで我ら復讐者。首級を上げるためなら、どんなことでもやるだろう」
 むうと錬晏は唸りを上げる。
 意図して声に出したわけではないが、自然と気負う存在だ。
 自分たちと同じ復讐に生きる物であり、不退転の戦鬼である。
「猩紅妃や于吉の思う壺という感もありますが、頭に血が上っているようですし当然の成り行きでしょう」
 プターハは溜息を吐いて首を振る。
 軍事ロマンスに染まる事はないが、同時に策士と言う程に冷めてはいない。
 思想家ゆえにその意思は理解できるが、酒のように酔いはしないのだ。
 尊い志とは思いつつ、尊敬できる相手が先に死し、そうでない物が後に残って悪さするというのは何とも苦みを覚えた。
「集うトループスも精鋭揃いのようです気を引き締めて参りましょう、錬晏」
「そう、油断は禁物だ。プターハ」
 蟲将たちは死地に立ち、決死の思いで一歩も引くことなく戦うだろう。
 雑兵ですら脅威なのに精鋭ならば猶更であるとプターハは錬晏に語る。
 その見解に二人の間へ相違はなかった。とはいえ強敵に挑むのは武人の本懐、油断なく戦うのみである。

 やがて二人が木製の陣地に接近すると、どこからともなく火が溢れる。
 おそらくはもっと前から火を点けたが、木々全てに火が回るまで時間が掛かったのだろう。
『来たぞ、ディアボロスだ!』
『我ら魏軍の意地、見せつけてやろうぞ!!』
『『おおお!!!』』
 敵兵は空を飛べるにもかかわらず炎に燃える陣地の中に佇む。
 手にする槍を構え、死地に立つことが誇らしいかのようだ。
「魏……そうか。魏か、それを名乗るに値するかこの眼(まなこ)でしかと見極めてやろう!」
 錬晏は完全視界の残留効果を設置すると偃月刀を構えた。
 闘気を全身にまとい、ソレを刃に集約させると天へと迸らせたのである。
「プターハ!」
「火計……ならば、消火ですね。伊達に水属性の『龍』を名乗ってませんよ」
 錬晏の言葉に応じてプターハも残留効果を設置した。
 周囲から水が滾々と湧き始め、彼の足元から渦を巻くように周囲を覆い始める。
 その一部は天へと駆け上り、錬晏が放った闘気と共に竜が暴れるがごとくに降り注ぎ始めたのだ!
(「火を放つと分かっているのなら、こちらは水で攻めるまで。だが同情などせぬ。……怒りに呑まれろ」)
 錬晏は武将としての冷静さを保ったまま、怒りに身を任せた。
 行く当てのない蟲将たちは、己の血で棲み家を探そうとしている。
 それでもなお足りない心意気、それは『魏軍』であるという確かな誇りである。ソレに縋る事を駄目だという気はないが、かといって不憫だと見逃す気にはなれない。だからこそ、敵を怒りで呑み喰らうだけではなく、自分もまた怒りの刃を振るうことにした。
「ぬおおおお!!」
『うおおおお!!』
 錬晏は闘気を混ぜ合わせた雨を刃に変えて敵地へと降り注がせた。
 斬撃の雨が降りしきる中、敵は上昇しながら槍を投げつけて来る。
 交差する意地と意地の中で、周囲を何度も水龍が津波のように、あるいは竜巻のように蠢いているのが見える。
「青龍よ、全てを喰らえ。この場にある炎を飲み込んでしまいなさい」
 ソレはプターハが先ほどから放っているパラドクスであった。
 複数の青い水龍が水流を操って敵陣を蹂躙している。
「あなた方が『覚悟』を持って集めて作った壁。ですが、消火しながら押し流して差し上げます。拝火の陣とは見事ですが、あなた方の覚悟とはすなわち背水の陣なのです。すなわち、既にこの未来は決まっていた事」
 気の壁を破壊しながら敵陣に水流が荒れ狂う。
 所狭しと濁流が敵を飲み込みこんでいく。
 そんな中で、不意に水流が魚のように飛び跳ね、一瞬の後に雷電が迸ったのである。
『しねええええ!』
「火計の次は雷撃ですか。……彼らの覚悟を考えると、多少申し訳無い気もしますがここは真剣勝負、情けは無用!」
 プターハを貫こうとする雷撃を水流が弾くようにして攻撃に移ったようだ。
 その様子を見ながらプターハはどこか憐憫を感じる。
 相手の行動を邪魔して対策していくのは当然だが、何もかも台無しにすることを誰もが好むわけではない。だが、そんなものは安い同情だと己の感傷ごと切り捨てることにした。
(「私としては覚悟を決めた一途な敵は嫌いじゃありません。最後まで武人らしく振る舞えるよう、正々堂々戦いましょう」)
 墓標代わりの陣地を壊しておいて何だが、プターハは真摯な敵は嫌いに慣れなかった。
 思えば故郷でも多くの兵が真面目に王朝の為に戦っていたものだ。
 神官や戦士として真摯に戦う者に対し、堂々と戦うのは礼儀であろう。
「魏軍よ。認めよう、その決意と共に、ここに沈めてやろう」
『そうだ。魏だ、我ら魏の兵がこの程度でやられるものかよ! 行くぞ』
『おお! 我ら魏のもののふ! 最後の一兵になるとても!』
 錬晏は唇の端がつり上がるのを感じた。
 血と土煙の中で笑っている。敵も、味方も刃を手にして。
 戦場で堂々と渡り合い、魏の兵は勇猛果敢に戦って死んだと……そう伝えようと思った。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【水源】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!

柳・凛風
おおー、相手は音に聞く典韋殿アルカ。
武術家としては、一度お手合わせ願いたい偉丈夫よネ。
こっちにもあっちにも、恨み辛みやらなんやら色々あるケド……まぁ良いのヨ細かい事は。
殴り合いでカタを付けるヨ!

しかし火まで放つとは、中々素敵な戦場を用意して下さったものネ。
ワタシにそんなものをどうこうする魔法みたいな力は無いから、とりあえず正面から攻め入るとするヨ。
邪魔な燃える木にパラドクスで一発かまして、砕くなり脇にどけちゃうなりすれば少しはマシな環境になるカシラ?
まぁ多少は炙られるだろうけど、温熱適応ってのがあればある程度普通に戦える場所が増えるかもネ。
上手い事場所を確保できたら……出来なくても後は戦うだけヨ。
突撃も受けて立つネ。
ここからは我慢比べみたいなものヨ。
アナタ達の大将の所まで行かせてもらうネ。
邪魔するって言うならその炎より熱く燃えるワタシの気、存分に受けるがいいヨ!


エレオノーラ・アーベントロート
うふふ、懐かしいですわね!
許昌を捨てて退いた曹操と、その殿に出てきた魏の六将との決戦を思い出しますわ。
己の死や負けを一切考えていない獣や怪物をブチ殺すのも悪くありませんけれど――今日は、違った愉しみを期待していますわよ?

【水源】をお借りできるならお借りして水を呼びましょう。
一人が呼べる水量には限りがありますから複数人で呼ぶ方がお得ですわ。
相手の士気に文字通り冷や水を浴びせたところで接近、あちらが使用する砦や防壁が邪魔にならないところまで前進しつつ、前に出るこちらを狙ってくる敵の突撃を電磁レールガン「フェアレーター」で受け止めながら「第六十四の魔弾【焦熱】」を投射して焼きましょう。

【温熱適応】も併用して、炎から放たれる熱気や残った熱に対しては気にならないように。
可能なら蟲将と一緒に燃える砦を吹き飛ばし、燃えるものを無くすことで更に消火。

うふふ、あんな生っちょろい炎じゃ満足できませんわよね?わたくしに任せてもらえれば、一瞬で満足させてあげますわよ。



 精鋭が立て籠る陣ゆえ、ディアボロスたちは複数のルートから迫った。
 先行したチームが始めた戦いの音が、もう一チームにも聞こえて来る。
「戦場に薫る死の気配。それを跳ねのける勲し(いさおし)」
「うふふ、懐かしいですわね!」
「許昌を捨てて退いた曹操と、その殿に出てきた魏の六将との決戦を思い出しますわ」
 目の前で広がる戦いを見てエレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)は嫣然と微笑んだ。槍の穂先を並べて命を奪い合う兵士たち、炎をや雷で彩られる閃光、ぶつかり合う打撃音や金属音で構成される戦場音楽。
「己の死や負けを一切考えていない獣や怪物をブチ殺すのも悪くありませんけれど――今日は、違った愉しみを期待していますわよ?」
 そこには努力があり、混乱と錯綜があり、それを塗りつぶす狂騒がある。
 色恋や酒精を上回る酩酊感にエレオノーラは期待した。
「悪来典韋、愉しめる相手だと良いのですけれどね」
「おおー、相手は音に聞く典韋殿アルカ。武術家としては、一度お手合わせ願いたい偉丈夫よネ」
 エレオノーラの言葉に柳・凛風(酔龍・g04711)が振り返った。
 戦場に立つ者として興奮気味であったが、故郷の英雄の名前を聞いたのもあろう。
 既に心は戦いと共に在ったが、作戦前に聞いた今回の情報に漸く脳が追いついてくる。
「こっちにもあっちにも、恨み辛みやらなんやら色々あるケド……まぁ良いのヨ細かい事は。殴り合いでカタを付けるヨ!」
 拳士たるもの戦う事が本懐。
 本来ならば戦士と違って必ずしも命の取り合いをするわけではない。
 だがクロノヴェーダに世界を奪われた以上は、戦いの果てに死ぬことは覚悟している。ディアボロスと成って新宿に流れ着いた時に嫌という程その事は理解していた。だけれども、恨んだり小難しい事を考えるのは性に合わない。血沸き肉躍る戦いで、ケリを付けるのみだと理解していた。
「しかし火まで放つとは、中々素敵な戦場を用意して下さったものネ。ワタシにそんなものをどうこうする魔法みたいな力は無いから、とりあえず正面から攻め入るとするヨ」
 木の壁を燃え上がらせて待ち受ける敵兵に、それに対して水を呼ぶ味方。
 凛風はその手の計略も魔術的要素もサッパリなので、ひとまず突撃しようとした。
「あら食わず嫌いはダメよ? せっかく【水源】をお借りできるのならお借りして水を呼びましょう。一人が呼べる水量には限りがありますから複数人で呼ぶ方がお得ですわ」
「ウェ~」
 エレオノーラは生まれた時からその口調と教養であったわけではない。
 レジスタンスになるまえはスラムに住んでおり、チャンスを無駄にしなかった。
 絶え間ない努力で今に至るのだ。魔術も使いようであるし、まずは残留効果の設置だけでもやってみろと告げた。

 やがて二人は水源を利用し、自分たちが突撃する周囲で燃え上がる壁を鎮火させた。
『炎が!? これは、敵襲だ! 備えろ!』
「一発かまして、砕くなり脇にどけちゃうなりすれば少しはマシな環境になるカシラ? とりあえず、突撃ィ!」
 敵がこちらに気がついたことで、凛風は温熱適応を設置してから飛び込んだ。
 まだ鎮火させたばかりで周囲に熱がこもっているし、それで気が散るのを避けたのだ。
 扇子に闘気を集め勢いよく突っ込んでいく。
『押し返せ! こちらも突撃だ!』
「受けて立つネ。ここからは我慢比べみたいなものヨ
 凛風は体内の熱を闘気と共に吐き出し、扇子で仰いで敵に叩きつけていく。
 槍を構えて反撃で来れば、扇子で受け流し、あるいは仰ぐように弾いて入って行った。
「確保ォ!」
「よくってよ! 【焦熱】解放――」
 その合図を聞いてエレオノーラは鼻歌謡いながら砲撃を始めた。
 槍の攻撃は大型のレールガンで受け止めながら、時間を稼いで灼熱の魔弾をうち放って行く。
 ソレは周囲に満ちた熱を巻き上げ、吸収しながら一点に集約。熱そのものが射線を焼いて行くのである。
「うふふ、あんな生っちょろい炎じゃ満足できませんわよね? わたくしに任せてもらえれば、一瞬で満足させてあげますわよ」
 エレオノーラは熱にうなされるような艶やかな笑みを浮かべた。
 チロリと舌で乾いた唇を舐め、繰り出される槍で己から流れる血の味を味わる。
「アナタ達の大将の所まで行かせてもらうネ。邪魔するって言うならその炎より熱く燃えるワタシの気、存分に受けるがいいヨ!」
 凛風もまた灼熱の砲火の中で、群がる敵兵を次々と討ち果たしていった。
 こうして燃える壁の陣地は、水の中に沈んで自らの炎を打ち消したのであった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【温熱適応】LV2が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!

荒田・誠司
アドリブなど歓迎

【心情】
復讐心のせいとはいえ蛮勇だけで勝てるとは思わないで欲しいんだがな
火にはやっぱり水だ。攻撃しつつ消火する方法があれば問題ないだろう
こっちだって覚悟はあるんだ!火だけで立ち止まってたまるかよ

【行動】
仲間と声を掛け合いながら積極的に連携していく
使える残留効果は全て使用する

まずはパラドクスを使用して敵が触れると接触部が凍る水を広範囲に撒く爆弾を製作
それを投擲して攻撃する

爆弾の中に入った水は味方が触れても凍ることはなく
普通の水として作用するから乱戦でも使えるはずだ
地形に対しても同様だから広範囲の消火をしつつ敵を凍らせてやる

敵からの攻撃は盾のフェイク・プリドゥエンや警棒で受けて防ぐ
そのまま受け止めると衝撃が強く盾の耐久も持たない可能性があるから
受け流すことも選択肢に入れよう

必要なら臨機応変に対処する


阿南・達多
アドリブ連携歓迎。

では、行きましょうか。
私は蟲将にあまり縁はございませぬが、説法なら出来ます。正気に戻す事も可能なはず。
我々復讐道に堕ちた者達を敵視しているというのなら尚更です。
ですが、まずは目の前の貴方がたを悟らせてご覧にいれます。

御仏の御業(パラドクス)で浄化致しましょう。貴方がたの因果応報(反撃)も私は受け入れまする。
連携や残留効果の力で徳を高め、確実に御仏のお言葉を届けましょう。
……聞こえますか?これが師(釈迦)の言葉です。

苛立ちは時に苦へと陥るのです。曹操という方はとても強健だったのでしょう。
……しかし、部下の貴方がたも不退転であるとすれば、やむを得ませんが私はその最期を受け入れましょう。南無三!



「復讐心のせいとはいえ蛮勇だけで勝てるとは思わないで欲しいんだがな」
 燃える陣地は次第に沈下しつつあった。
 荒田・誠司(雑草・g00115)は復讐戦に燃える魏の兵に対し苦笑する。
 ディアボロスは無数の努力を積み上げ、時には方針を転換してでも戦っているのだ。心がけ一つで勝てると思われても困る。
「火にはやっぱり水だ。攻撃しつつ消火する方法があれば問題ないだろう。こっちだって覚悟はあるんだ! 火だけで立ち止まってたまるかよ」
 誠司は動員できる残留効果を全て設置。
 改めて敵陣地の中へ飛び込んでいった。
 まずは敵兵を蹴散らし、悪来典韋との戦いに専念することにした。
「では、行きましょうか」
 その言葉に頷いて阿南・達多(多聞第一・g11464)は躊躇なく敵陣に飛び込んだ。
 その心、既に空。例え炎が残って居ようと、仲間が氷の力を使おうと関係ない。
 すでに一度死した見であり、本来であれば解脱して輪廻の輪から外れているのだが、解脱できずに今に至っている。心にそう思えば全ての苦難は、何処で荷もあるべき存在なのだ。気にすることでもないのだろう。
「私は蟲将にあまり縁はございませぬが、説法なら出来ます。正気に戻す事も可能なはず。我々復讐道に堕ちた者達を敵視しているというのなら尚更です」
 阿南達多は修行者である。僧侶という括りがそれほどない時代の人間ではあった。
 だが、師の教えに従い輪廻からの解脱を計る宗教であったことが大きい。
 御心に抱えた全ての執着は、世界を彩る様相の一つに過ぎない。心を空にしてわだかまりを捨てることを目指しているのだ。他者に悟らせるのは難しくとも、その事を導くための教えは体に刻み込まれている。
「ですが、まずは目の前の貴方がたを悟らせてご覧にいれます」
『来たぞ! 迎え討て!』
 阿南達多たちが陣の奥へと進むと、将の周囲を敵が守っていた。
 兵士たちはディアボロスを活かせまいと、将よりも先に襲い掛かって来る。
「速ると思ってたぜ。これでも喰らえ!」
 同行していた誠司は此処に来るまでに作成していた爆弾を放り投げた。
 相手が格闘スタイルだからといって馬鹿正直に挑む必要は無い。
 幾つか用意してそのうちの一つを狙って投擲したのだ。爆弾がさく裂すると周囲に小型爆弾が散って行ったのである。
「そらよ、凍ってしまえ!」
『か、体が!? 虎衛覇王拳を使わざるを得まい』
 その中には誠司が用意した『敵に触れると凍る水』を内包している。
 これを爆弾から小型爆弾と分散させることで、敵に対して効率的にばらまくのだ。
 その威力を受けて敵は一斉に拳を突き出し、巨大な闘気の拳で攻撃してきたのである。それは衝撃波を伴い強烈な攻撃力を発揮する!
「流石に来るモンがあるな。だが、耐えられんわけじゃない!」
 誠司は小型の盾からジェット気流を吹き出して敵の衝撃波を防いだ。
 更に警棒を地面に突き立て、電撃と共に地面に受け流していったのである。
「……聞こえますか? 重き荷からの解放を。これが師(釈迦)の言葉です。南無三!」
 全ての情念は自らを縛り付ける障害であり、そこから解き放たれるべきである。
 その表と裏の意味を持つ言葉を呪言と印として放つ。
 それはパラドクスゆえに攻撃となるが、同時にクロノヴェーダを生る苦しみから解き放つ言葉でもあった。
『ただではやられんぞ! 受けよ我が怒り、貴様らが打ち壊した大地の怒りを!』
「ええ、ええ。そうでしょうとも。私が勝手に皆さんの業を払う事は傲慢でしかありません。諸行を背負えば現世に還り、因果は応報する。その苦しみは甘んじて受けましょう」
 敵は水流で打ち壊された大木を持ち上げた。
 放り投げれば回転しながら迫るのだが、パラドクスで反撃を受けるのは当然。
 阿南達多は相手を解放するためとはいえ、攻撃という強引な手段で解脱をする気のない人間に迫ったことを恥じて受け入れたのである。
「苛立ちは時に苦へと陥るのです。曹操という方はとても強健だったのでしょう。……しかし、部下の貴方がたも不退転であるとすれば、やむを得ませんが私はその最期を受け入れましょう。南無三!」
 阿南達多は自分たちが師を尊敬していた事に重ね合わせた。
 師はその流れから解き放たれたが、クロノヴェーダ化しているかもしれない(王子名かもしれないが)。いずれにせよ、その慕う心が自分を縛り付け、同様に蟲将たちも曹操を慕うあまりに迷っているのだろうかと心を馳せた。敵将は慕いすぎるがゆえに業に捉われたという。他人の気がせず、余計な干渉を抱くのも自分の愚かさであろうか? 阿南達多は何度でも立ち上がろうとする敵に言葉を繰り返したのである。
「よし。こんなところか。ひとまず苦労するだろうが……相手の体力を削るぞ」
「承知いたしました」
 こうして誠司たちは敵の護衛部隊たちを打倒したのである。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【冷気の支配者】LV1が発生!
【平穏結界】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!

柳・凛風
私の名は柳凛風。
田舎の拳法家たる身ではあるけれど、魏軍と曹操殿の精強ぶりは聞き及んでいます。
もちろん典韋殿、あなたの事も。
そのあなたが私達ディアボロスを滅ぼさんとする戦いにあたって蛮勇を振るう事を選ぶと言うのなら、それが一人の武人として最も力を振るえる戦い方なのでしょう。
私の望みは強者との戦い、是非とも全力のあなたと立ち会いたく存じます。

さて、強者への最大限の敬意を込めてよそ行きモードで挑んだはいいものの、あの棍棒はとんでもない破壊力みたいネ。
かわし切る事も防ぎ切る事も出来ないなら、せめて敵の呼吸法のタイミングを外して威力を和らげるくらいはしたい所ヨ。
正気を失ったような戦い方をしてても相手は歴戦の武人。
中々隙は見つけられないと思うけど、命中アップとダメージアップがあれば多分少しはマシよネ。
気合を込めた蹴りを入れて目を覚まさせてあげたい所ヨ。
今もすっごい魅力的な戦士だけど、クールになった時の彼とも戦ってみたいもんネ。
そうなると彼の後ろに今以上に見えそうヨ、曹操殿の姿が!


荒田・誠司
アドリブなど歓迎

【心情】
冷静ではなく向かってくるって言うならそれ相応に返すのが礼儀ってもんだ
うまく行くかは分からないがやってみるしかないか!

【行動】
仲間と声を掛け合いながら積極的に連携していく
使える残留効果は全て使用する

まずは自分の両腕を両刃の剣に改造する
武器や盾を持つことはできなくなるが真正面から受け続けないようにしよう
完全視界や神速反応も併用すれば攻撃は防御もしやすくなるはず

防御は受け流しや力に逆らわず跳ぶことで威力を殺しながら消耗を出来るだけ防ぐ

攻撃時には能力値アップ、ダメージアップ、先行率アップなどを使用して全力で挑もう

必要なら臨機応変に対処する



『曹操さま。申し訳ありませぬ……』
 ずしんずしんと足を響かせてそいつがやって来た。
 黒光りする外骨格、ギチギチと鳴る口顎。
『おおおおお! ディアボロス。殺す!』
 火炎の中に佇み悔恨と怒りに震える山のような大男だ。
 その名は典韋、悪来の再来と呼ばれた男。
 正確にはその名前を奪ったクロノヴェーダである。
「私の名は柳凛風」
 そこに立ち向かう者が居た。
 吹き荒ぶ風の中で、足元の泥濘が居る中で典韋の元へ集うディアボロスたち。
「田舎の拳法家たる身ではあるけれど、魏軍と曹操殿の精強ぶりは聞き及んでいます」
 柳・凛風(酔龍・g04711)は静かに語り掛けた。
 届くとは思って居ない、だが、その心を届けたいとは思う。
「もちろん典韋殿、あなたの事も」
『おおおおお! ディアボロス。殺す!』
 典韋は同じ言葉を繰り返した。
 凛風の言葉に反応したというよりは、視界にディアボロスが入ったから反応したという風情である。
「やはり現段階では通じて居ないな」
 その様子に荒田・誠司(雑草・g00115)は口元を引き締めた。
 ジェネラル級相手に油断できぬなど当たり前の事、苦笑と苦虫をまとめて嚙み潰す。
「冷静ではなく向かってくるって言うならそれ相応に返すのが礼儀ってもんだ。うまく行くかは分からないがやってみるしかないか!」
 誠司は用意していた武器をしまい、手ぶらになって拳を握り締める。
 そして相手の戦意を受け流すように片手を開き手刀とし、もう片方の手を相手へ抉り込ませるかのように手刀を開いて構える。それは武器による火力とよりも、少しでも精度の高い格闘攻撃に切り替えたかのようだ。
「合わせていくぞ。良いな?」
「はい! 今はこの殺意を受け止めましょう!」
 誠司の要請に凛風は肩を並べることで答えた。
 ディアボロスは連携することで力を高め合い、協力して敵と当るものだからだ。
「殺意と主に溢れ出る闘気。まさしく伝え聞いた猛将のもの。そのあなたが私達ディアボロスを滅ぼさんとする戦いにあたって蛮勇を振るう事を選ぶと言うのなら、それが一人の武人として最も力を振るえる戦い方なのでしょう。私の望みは強者との戦い、是非とも全力のあなたと立ち会いたく存じます」
 そして凛風は改めて声を掛け、宣戦布告をして戦いを挑んだのであった。

 やがて二人は暴風の如き猛威と対することになるのであった。
(「さて、強者への最大限の敬意を込めてよそ行きモードで挑んだはいいものの、あの棍棒はとんでもない破壊力みたいネ」)
 凛風もまた掌を開いているが、誠司と違って腕はガードオンリーだ。
 相手の強烈な攻撃を反らせる為であり、万が一の時は腕を捨てて生き残る為でもある。
「呑四杯 酔龍昇天!」
 凛風は腕を振るってバランスを取りつつ、棍棒の攻撃を反らせて蹴りを浴びせた。
 天に昇る龍が典韋の腹に決まったかのように見える。
『うおおお!』
(「かわし切る事も防ぎ切る事も出来ないなら、せめて敵の呼吸法のタイミングを外して威力を和らげるくらいはしたい所ヨ」)
 繰り出された棍棒を確実に逸らせたはずなのにズキズキと腕が痛む。
 その猛威は触れただけで刃物と化し、旋風の如き猛撃の範囲に居ただけで衝撃波で身がゆすられたのだ。だが、そんなことは予め判っていた事。パラドクスは必中であるがゆえも、相手の攻撃もまた命中していたのだろう。
「流石だな」
(「正気を失ったような戦い方をしてても相手は歴戦の武人。中々隙は見つけられないと思うけど残留効果があれば多少はマシよね。このまま気合を込めた蹴りを入れて目を覚まさせてあげたい所ヨ」)
 誠司の言葉は誰に向けた物か?
 その時には凛風が再び前に出ており、棍棒を押さえつけて蹴りをもう一度、今度は相手の足に放とうとしていた。
「自己改造完了、斬り伏せる!」
 誠司はこの時点で既に攻撃を掛けていた。
 両手で作った手刀を、そのまま刃として変形させている。
 機械の腕は四つでも五つでも欲しいものだが、戦場で取り換えている時間などない。だからこそ、機械の肉体を改造して刃としたのだ。格闘戦による威力の少なさを、刃に変えることで対応していた。
『ふん!』
「ぬおああ!!」
 典韋が放つ大上段からの一撃を誠司は咄嗟の動きでかわした。
 棍棒が地面に叩き付けられ、衝撃波が生じて避け切れない。
 そこで勢いには逆らわず、ふっ飛ばされることでダメージを軽減したのだ。既に二合目、ただやられなどせぬ。
「名にし負う剛力の士とはこのことか。全力を見てみたいような怖い様な」
 誠司は自分が武者震いしている事に気がついた。
 相手は強いが命を捨てて等とは思わない。大切な人とまた会うために。
 この震えは恐怖か? それとも大切な人に笑われたくないからか? いいや、そうではない。
「今もすっごい魅力的な戦士だけど、クールになった時の彼とも戦ってみたいもんネ。そうなると彼の後ろに今以上に見えそうヨ、曹操殿の姿が!」
 凛風が思うように強い敵と戦ってみたいと思う者は多いだろう。
 今の典韋はただ戦うという事に対して、狂乱ゆえの強さなのだ。
 これで冷静に戦う事が出来れば、どれほどの強さだろうかと惜しいと思う。
 武器を持たぬもう二本の腕に、盾を持ったり何かを投げてきたら……そう思うのだ。

 こうして悪来の再来と呼ばれた男との戦いが始まった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【建造物分解】LV1が発生!
【神速反応】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV2になった!

エイレーネ・エピケフィシア
本来の歴史の典韋は、我が身を犠牲に曹操を救った名誉ある将だったと聞き及んでいます
怪物とはいえ、騙った名に宿りし生き様をなぞる意志はあるなら……それを呼び起こして差し上げましょう

≪神護の長槍≫と≪神護の輝盾≫を手に、槍を掲げて堂々と参戦
魏の典韋よ。その忠勇に敬意を表して、此度は術策ではなく純然たる武勇でお相手します

槍を『邪悪を砕く雷霆の槍』と成して、典韋に向けて全力で投擲
戦いの序盤では【命中アップ】があろうと直撃狙いは困難でしょうが、腕で弾かれたり身を躱されたとしても、拡散する雷撃で確実に傷を刻みます
典韋が棍棒を振り上げたら敢えて踏み込み、≪神護の輝盾≫で持ち手を弾いて狙いを逸らすことで防御
巨大な鎚頭の粉砕力を警戒し、盾で打撃を直に受けるのは踏み込みが間に合わない時だけに留めます

ふむ……確かにあなたは強い
ですがそれは将の力ではなく、獣の狂猛に過ぎません
かつて陳留で散った夏侯惇は、血戦の中でも冷静さを保ち、敵手を称える度量を持った勇士でしたよ
あなたも魏の将なら、彼と同じ真の強さを見せなさい!


阿南・達多
アドリブ連携歓迎。

典韋様。貴方様も尊敬するお方の事を思っておられるのですね。
私も尊敬する師を失って途方に暮れる所でございました。しかし今は違います。
復讐道を共に戦ってきた仲間がいるのです。協力し合い、助け合ってきました。
しかし……どうやら我を見失っているご様子。一旦御仏の御業(パラドクス)で落ち着いて頂きましょうか。
勿論これで即座に落ち着くとも思いませんし、因果応報(反撃)も受け入れまする。
私はこの御仏の大いなる一撃で少しでも貴方様が目を覚ませればと思っております。

執着や渇望は煩悩の原因でございます。一旦全てを清算出来れば……良いのですが。

残留効果と連携の力で成功率を高める事を目指しまする。
どうか目を覚まして下さいませ。典韋様。



「本来の歴史の典韋は、我が身を犠牲に曹操を救った名誉ある将だったと聞き及んでいます」
 エイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)は敵に関する知識を言の葉に載せた。
 主の為に命を懸けた忠臣であり、曹操がその後に漢を立て直したことを考えると、史実に置いて中原という世界を救ったのだ(蜀史観は考えない物とする)。
「怪物とはいえ、騙った名に宿りし生き様をなぞる意志はあるなら……それを呼び起こして差し上げましょう」
 エイレーネは輝く槍を持ち、その槍よりも最も見事な盾……幾多の鋼と皮で覆われ怪物の顔を象った大盾を構えて前に出る。
「魏の典韋よ。その忠勇に敬意を表して、此度は術策ではなく純然たる武勇でお相手します」
『おおおおお! ディアボロス。殺す!』
 エイレーネの言葉はまるで一騎打ちを挑むかのようだが、典韋は狂乱している。
 彼女だけではなく仲間と共に挑むことも、あるいは区別ついていないのかもしれない。
「典韋様。貴方様も尊敬するお方の事を思っておられるのですね」
 阿南・達多(多聞第一・g11464)はその心情を理解した。
 かつて彼もまた、茫然自失したことがある。
「私も尊敬する師を失って途方に暮れる所でございました」
 阿南達多の師が入滅した時、彼以外に居なかった。
 正確には何名も居たのだが、志という意味では違った。
 修行者でありより良き道を目指そうと誓った師兄たちはで払ったり先に死んでおり、近くに居たのは『形ある教えは残っていないのか』とか『何か言い残して居ないのか』など聞いてくる始末。真の仲間と言える仲間と手を取り合い、何かをすべきだと自主的に行動できるまで随分と時間が掛かった物だ。
「しかし今は違います。復讐道を共に戦ってきた仲間がいるのです。協力し合い、助け合ってきました。されど……どうやら我を見失っているご様子。一旦御仏の御業(パラドクス)で落ち着いて頂きましょうか」
 今はディアボロスの仲間達と協力し合い、しかも同じ方向へ歩いている。
 戦いだけではない、世界を取り戻そうと痛みも喜びも分かち合っているのだ。
 何と心強く暖かい事か。それなのに、今戦っている典韋という男は、かつての自分と同じように『自分は何をすべきか』を見失い『ああすればこうすれば』という思いに囚われているている。ならば阿南達多がすべきことは一つである。

 やがて二人は先行した仲間たちがするように己の誠を持ってぶつかって行った。
「聖なる槍よ、邪悪を砕く雷光を灯せ!」
 エイレーネは信仰心を集め、輝く槍を投擲した。
 聖なる光を伴い敵に突き刺さると、その内側で弾けていく。
『おおおおおおお!!』
「ふーっ! かーっ!」 
 これにたいして典韋は気にもせずにエイレーネへと棍棒を打ち降ろした。
 体を焼く稲妻などに構わず、相手の頭を粉砕しようとする。
 だがエイレーネはあえてその内側に飛び込み、まだ全力を出せない状態で盾で受けたのである。
「輪廻をやり直しましょう」
 そこへ阿南達多は横入りした。
 印を組んで聖なる言葉を唱え、典韋から業を取り除いて浄化。
 まずは転生の輪へと進めようとした。
『曹操さまを守護らねば! いや、ああ! 守れなかったのだ! なんという失態!』
 だが、その悔恨は深い。
 輪廻の輪に送り込んでも戻って来る。
 まるで現世と言う地獄で、己の罪を裁こうとしているかのようだ。
 もしかしたら、攻撃を避けないのは罰を受けているつもりなのだろうか?
「なんという叫び、何という自傷の心。私はこの御仏の大いなる一撃で少しでも貴方様が目を覚ませればと思っております。ですが、まだまだ足りないのですね? ええ、ええ。判りますとも。因果の応報は受けましょうぞ、その三倍盛られたい」
 阿南達多は胸を掻きむしり、顔をかきむしりたくなる気持ちを覚えた。
 だが、そんな道場など出来ない。まずは相手の痛みを受け止めて、心からの言葉を贈りたいと思った。
「ふむ……確かにあなたは強い。ですがそれは将の力ではなく、獣の狂猛に過ぎません」
 だが、そんな姿を見てエイレーネは投げやりな姿でしかないと断じた。
 罪を償っているつもりで、本質から目から背けているだけだという。
 何故ならば、この敵はクロノヴェーダであり名前を奪った存在に過ぎない。しかも蟲将三国志で戦った亡命者ですらないのだ。その後に生み出された存在に過ぎない。
「かつて陳留で散った夏侯惇は、血戦の中でも冷静さを保ち、敵手を称える度量を持った勇士でしたよ。あなたも魏の将なら、彼と同じ真の強さを見せなさい!」
 エイレーネは怒りと共に正論をぶつけた。
 彼女の中での戦いとは、神々に己の正しさを唱え、その裁定を受け容れるものだ。
 その過程において敵対者側とぶつかりあい、特に憎み特に称え合い、神々に感謝する一環でしかない。翻って目の前の男は『典韋ならば感じる痛み』を背負っているだけの同名存在に過ぎなかった。真に典韋の銘を受け継ぐならば、原罪ではなく志を継ぐべきだと思うのだ。輝く槍を振るいながら何度も言葉をぶつけていく。
「執着や渇望は煩悩の原因でございます。一旦全てを清算出来れば……良いのですが」
 阿南達多もまた何度目かの言葉を贈る。
 涙してその不憫さを憂い、そう思う自分の傲慢さを消していく。
 最後に残るのは目の前の男の闇と蒙昧を払いたいという気持ちに過ぎない。
『曹操さま。不甲斐ないワシを御許しを! おおおお!!』
「どうか目を覚まして下さいませ。典韋様。南無……」
 阿南達多は師の教えを思い出しながら言葉を続けた。
 いかにその心の痛みを共感し様とも、痛みを覚えようとも、言葉を投げ続けたのだ。

 典韋の心に、響くモノはあったのだろうか?
 現時点では、その様相は見えないでいた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV3になった!

エレオノーラ・アーベントロート
ふぅん、聞いてはいましたけれど――退屈ですわね。
『猩紅妃』や『于吉』やらの居所にはちょっとだけ興味はありますけれど――そんなどうでもいいことよりも。
狂った獣と戦うつもりで来たのではありませんの。

電磁レールガン「フェアレーター」から放つ威力重視の弾丸「第二十五の魔弾【惨劇】」で力任せの棍棒の一撃を相殺しながら会話。
さて、思い出話をお望みでしたっけ?
そうですわねぇ……それでは、あのお爺さんの話でもしましょうか。
王佐の才、鈴鳴りの計略家『荀彧』。

計略家なんて触れ込みでしたけれど、そんな言葉ではあれは表せませんわ。
自分の計略が看破されることを予感し、王の言葉に背いてでも死して王を逃がすための駒になる――うふふ、蜀とは最後の最後まであまり交戦しなかったせいで魏軍とはよく戦いましたけれど。
あなたのところは兵も軍師も皆、その意思で命を使い果たして戦いましたわ。おかげでそこらの将なんて目じゃないくらい愉しませてくれましたわよ?

それで、あなたは何なのですの?
魏の将なら、シャンとしなさいな悪来『典韋』。



「ふぅん、聞いてはいましたけれど――退屈ですわね」
 エレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)は退屈そうに戦っている。
 唸る棍棒を避け、無理ならば巨大なレールガンで受け流すように戦う。
「なんというか……『猩紅妃』や『于吉』やらの居所にはちょっとだけ興味はありますけれど――そんなどうでもいいことよりも」
 強烈な一撃を避けられず、叩き付けられて嫣然と微笑む。
 このような痛みなど届かないと笑ったのだ。
「狂った獣と戦うつもりで来たのではありませんの」
 口元から流れる血を拭うと、唇に緋を塗ったように鮮やかであった。
 猛烈な痛みがある筈なのに、それでもなお届かないと口にする。
 それはまるで典韋がディアボロスの言葉を受け流しているかのようだ。

 電磁レールガン『フェアレーター』に装填された魔弾、【惨劇】が解放される。
 棍棒で殴りつけられたお返しであるかのようだ。
 これは何度目だろうか? 既に典韋の外骨格を幾度も貫いていた。
「さて、思い出話をお望みでしたっけ? そうですわねぇ……それでは、あのお爺さんの話でもしましょうか」
 何度目かの攻防の果てに、エレオノーラは少しだけ砲門を反らせて控えた。
 攻撃ではなく、別のモノを放つために。
「王佐の才、鈴鳴りの計略家『荀彧』。計略家なんて触れ込みでしたけれど、そんな言葉ではあれは表せませんわ」
 それは蟲将三国志において、魏陣営を支えた男の名前である。
 そして撤退戦において、重要な役回りを行っていた。
「自分の計略が看破されることを予感し、王の言葉に背いてでも死して王を逃がすための駒になる」
 エレオノーラは楽しそうに笑った。
 典韋の事を見ているようで見て居ない笑みとは違う。
 まさに強敵と相対し、その『意』と『威』を十分に味わった時を反芻するかのようだ。
『……』
 その隙に対して典韋は何もしなかった。
 棍棒を構えてはいたが、そのまま佇んでいる。
「――うふふ、蜀とは最後の最後まであまり交戦しなかったせいで魏軍とはよく戦いましたけれど」」
 楽しい思い出を語っていた。
 楽しくはないが、聞き逃せないことを聴いている。
 エレオノーラは思いを載せ、その言葉を一言一句聞き逃すまいと典韋は思っているかのようだった。
「あなたのところは兵も軍師も皆、その意思で命を使い果たして戦いましたわ。おかげでそこらの将なんて目じゃないくらい愉しませてくれましたわよ?」
 だからエレオノーラは攻撃しない、典韋もまた攻撃しない。
 その戦いぶりこそが、この典韋が望んだ戦いであっただろう。
 主君を窮地に落としたいとは思わないが、もしそうなるならば典韋が担当すべきだと思ったはずだ。
「それで、あなたは何なのですの? 魏の将なら、シャンとしなさいな悪来『典韋』。聞こえてますわよね?」
 エレオノーラはそう言って最後に一つ微笑んだ。
 その言葉があなたの心に届けば良いと思いながら。
🎖️🎖️🎖️🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【建造物分解】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!

プターハ・カデューシアス
【賽】の仲間にDF
アドリブ・連携歓迎

復讐者プターハと申します
貴方と配下の覚悟感心致しました
こちらも誠意を持ってお相手しましょう
と命運の鍵を構えて

先程、折角の覚悟の墓標を壊してしまいましたし
代わりの墓標をご用意致しましょう

悠久の墓標で攻撃
精一杯戦ったトループス達の分も
「持っていた武器」を写し取った墓標を戦場に降らせて攻撃
典韋、貴方には「棍棒」を
視界を物理的に遮り仲間の攻撃の助けになれば幸い

雄叫びは心の叫びなのでしょう
【反撃アップ】【ガードアップ】を駆使しながらも
その心意気は受け取ります

貴方相手に只で済むとは思っておりません
戦いを挑む以上こちらにも覚悟が必要ですから

その忠義、素晴らしいですね
そんな方に巡り会えた幸運も

我らが言えた義理ではありませんが、復讐心に飲まれたままでは
「王」の遺志を感じられぬでしょう
今一度、自分を見つめ直したら如何ですか?

立ち会いながら出来るだけ穏やかに言葉を届け
典韋にも思いの丈を語るように促して傾聴しましょう
己の心を口にして行くうち、心の整理が付くこともありますから


一・百
【賽】

典韋…お前もやりきれないよな主を大切なものを失えば…
だが、俺には現在に失えない者がある…
だから後は想いを全て武に乗せ立ち合おう

周りと攻撃タイミングを合わせ
突出しないよう注意

俺は百一番目の王の子シェトゥア…今はただの一百…
現世のディアボロス…
全ての大地を取り戻すため、この場は譲れない…
道を開けてもらおう
お前は何のために戦う…

名乗り意志を示し、敵にも武人として堂々と振る舞い果たし合いを申し込むよう誘い振る舞う
名のある武将の魂があるならこたえるはず

それが曹操の為であれば、忠義を認め
復讐であれば想いを認める

お前達は強かった。故に倒された…
脅威と思われたから早々に立ち向かったのだ…

紅玉姫を抜き、ジンを宿らせ蒼い炎を刀に纏わせ大きく燃え上がらせ
敵にも構えるよう示し
切り結ぼう
PDの一太刀で典韋を武人に戻す
お前が魏の武人だというのなら、その名に恥じぬ戦いを見せてみろ
曹操の親衛隊長でもあったのだろう、豪傑の名が泣くぞ…
俺は魏の典韋と戦いたい…


夏候・錬晏
【賽】アドリブ歓迎

目の前にして、仲間と戦う気迫を見て、改めて感じる"悪来"の重圧
黒龍偃月刀を握る手にも力が入る

気後れしている場合ではないと、深呼吸で〈精神集中〉

仲間の猛攻を引き継ぎ『典韋』へ畳み掛ける
昂ぶる戦意を朱殷闘刀に込めて怒龍を形成
そこに【水源】から得た莫大な水量を合わせ巨大に〈武器改造〉

それはかつて『曹操』と言葉を交わした際にも背負った龍
貴殿の主も見た景色だ

あの時アヴァタールだった悪来は、我らへの復讐心のあまり、ジェネラル級へと化けた

復讐心を糧にチカラを発揮する、か

『曹操』と交わした"似た者同士"という言葉が脳裏をチラつくも、今は正気を失った目の前の将と渡り合うため全力を
怒龍が四肢を締め上げ【ダメージアップ】【能力値アップ】を付与した曝濫となって襲いかかる

かつて我が主を生き返らせて欲しいと願った時、"故人は還らん"と『曹操』が言っていた
仇討ちは臣下の役目、ならば悪鬼ではなく『曹操』が誇った魏の悪来であれ、『典韋』よ!

反撃は棍棒の軌道を冷静に見極め直撃を回避しダメージ軽減を



 血戦は続く。悪来の再来『典韋』、ジェネラル級クロノヴェーダの猛威が溢れる。
(「感じる。目の前にして、仲間と戦う気迫を見て、改めて感じる"悪来"の重圧」)
 夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)は得物に掛けた指の強さを今更のように感じた。
 ガシリと力強く握っているのは恐怖か、それとも勇戦を期待しての事か?
 かつて戦った典韋との差を身をもって感じ、武者震いにも感じた震えを体の中から感じる。
「復讐者プターハと申します。貴方と配下の覚悟感心致しました。こちらも誠意を持ってお相手しましょう」
 その問、プターハ・カデューシアス(祝福龍・g03560)は名乗りを上げた。
 典韋に対しての挨拶であり、鍵の形をした錫杖を構える。
(「典韋……お前もやりきれないよな主を大切なものを失えば……」)
 同じころ、一・百(気まぐれな狐・g04201)はある種の寂寥感に満たされていた。
 あって当然の者が欠けている、それは欠けた者にしか分からない感覚だ。
 その百をして典韋の真意は判らないし、典韋もまた百の気持ちを理解しないだろう。
(「だが、俺には現世に失えない者がある……だから後は想いを全て武に乗せ立ち合おう」)
 そう思いながら百は歩を進めた。
 鯉口に片手の指を掛け、もう片方の手で鞘を握りながら。
(「そうだな。気後れしている場合では無い。行くか」)
 錬晏は改めて偃月刀を握り直す。
 今度は自分の意思で改めて。
 歩は軽く、そして力強い。
「俺は百一番目の王の子シェトゥア……今はただの一百……。現世のディアボロス……」
 百は決意を載せながら刀を抜いた。
 新宿のフィクション風ならば『寄り添え、紅玉姫』とでも口にしたかもしれない。
 だが今はそんな言葉を添える気はない。不要で無用の長物だ。
『ディアボロオオオス!』
「全ての大地を取り戻すため、この場は譲れない……。道を開けてもらおう。お前は何のために戦う……」
 ギチリと口顎を噛み鳴らす音すら聞こえて来そうな咆哮。
 叩き下ろされる棍棒に百は刃を振るった。
 蒼き炎を灯して聖なる力を発し、宿したジンの妖気が交じり合って拮抗する。
「お前達は強かった。故に倒された……脅威と思われたから早々に立ち向かったのだ……」
 切り返して典韋の外骨格を切裂く。
 堅い手応えと共に猛烈な圧力が百を襲った。
 あまりにも強烈な一撃は、振り下ろしただけで周囲に衝撃波を発生させたのだ。
「お前が魏の武人だというのなら、その名に恥じぬ戦いを見せてみろ。曹操の親衛隊長でもあったのだろう、豪傑の名が泣くぞ……俺は魏の典韋と戦いたい……全てを、断ち斬る……」
 凡百の欲望深きクロノヴェーダと戦いたいのではない。
 忠勇の士として名高き、『魏の悪来』典韋と戦いたいのだと百はなおも剣を振るった。
 閉ざされた門をも開き、未来を拓く刃成れば、凝り固まった心を解せと剣戟で語る!
「先程、折角の覚悟の墓標を壊してしまいましたし、代わりの墓標をご用意致しましょう」
 その時、プターハが鍵の形をした錫杖で空間を開いた。
 そこには以前から用意していたモノもあれば、先ほど写し取ったモノもある。
「安らかなる眠りを」
 亜空間より呼び寄せられた墓標の数々。
 その中には燃え盛る大木もあれば、無数の槍もある。
 それは先ほど倒したトループス級が、己の墓標だと認識していた物だ。精一杯戦った彼らの力をも借りて、恨みつらみではなく武人の心を隙間に埋めようとした。
『我が名は典韋! 曹操さまへの道を塞ぐただ一枚の盾!』
「くっ。何という圧力。しかし、雄叫びは心の叫びなのでしょう、ならば受け取りましょう!」
 ここにきて、今までと違った変化があった。
 先ほどまでは悔恨を口にしていただけであった。
 だが初めて典韋が外を見ているとプターハは感じた。あるいは百の放った一太刀が、あるいはプターハ自身の……いや魏兵たちの思いが届いたのかもしれないと、痛みを覚える程の雄たけびを受け止める。
「行くぞ典韋! 見るが良い!」
 仲間達に続く錬晏は闘気を昂らせて偃月刀に纏いながら相対した。
 朱殷色のオーラが迸り、大いなる水が周囲へ満ち溢れる。
 彼の背中にある加護は玄武、指し示す方位は北、色彩は黒、その行いは守護と死である。
『闘気の……龍……』
「それはかつて『曹操』と言葉を交わした際にも背負った龍。貴殿の主も見た景色だ」
 あの当時、アヴァタールだった悪来はディアボロスへの復讐心のあまり狂乱した。
 その狂乱こそがジェネラル級へと化けた理由の一つではあろう。
 そして戦う内に、曹操と交わした会話が思い出されていく。
『曹操さまの仇、ディアボロス!』
(「復讐心を糧にチカラを発揮する、か。"似た者同士"とは良く言った物だが……いや、今は良い」)
 錬晏は襲い掛かる棍棒とそれを振るう剛力に対し、多くの水を圧縮して瀑布を作り上げた。闘気が齎す気勢を持って龍として、攻撃の為の刃であり、防御のための甲羅としたのである。
「かつて我が主を生き返らせて欲しいと願った時、"故人は還らん"と『曹操』が言っていた。仇討ちは臣下の役目、ならば悪鬼ではなく『曹操』が誇った魏の悪来であれ、『典韋』よ!」
 互いの武器が交錯し、その余波が互いを打ち合う。
 典韋の棍棒が、錬晏の偃月刀が、衝撃波が水流が、輪が敵を打ちのめせと吼え猛る。
「その忠義、素晴らしいですね。そんな方に巡り会えた幸運も。我らが言えた義理ではありませんが、復讐心に飲まれたままでは『王』の遺志を感じられぬでしょう」
 プターハはこのタイミングで声を掛けた。
 既に思いをぶつけ合い、受け流し、消耗を始めている。
 ならば言葉が届くのではないかと考えたのだ。
「今一度、自分を見つめ直したら如何ですか?」
 典韋と相対しながら言葉を、思いを届ける。
 自分だけではない。典韋にも自らの思いの丈を語るように促していく。
 あくまで穏やかに、その意思を引き出すために。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【セルフクラフト】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
【水源】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】LV2が発生!
【ダメージアップ】がLV5になった!


『憎むべき怨敵ディアボロスよ!』
『我が名は典韋、曹操さまを守るべき一枚の盾!!』
『魏兵、最後の戦いを見届けるが良い』
 そこに武人が居た。
 先ほどまでの狂乱が嘘のように統一されていた。
 既に勝利を考えてはいない、任務の遂行もまた考えてはいない。
『これよりの戦いはアーディティヤの戦いにあらず』
『蟲将の意地を示す戦い成り』
『聞け、我ら蟲将の怒りと思いを!』
 ズンと、棍棒を大地に突き立てる。その上に両手を添えて暫し待つ。
 もう一本の棍棒は後ろに構えているが、最低限のガード用か、それとも使う気も無いのか。
 それはディアボロスがその気ならば良い隙だ。もし攻撃するならばそれまで、ただ戦うだけだという意思を感じる。
『……』
 だが……、もしそうではないならば……。
 何か言いたいことを言うが良い、必要ならば応えようという意思を感じた。
夏候・錬晏
"魏の悪来"が戻ったか

『典韋』に倣い、黒龍偃月刀の石突を地面に突き刺し、まっすぐな眼差しを向け、対話の意思を示す
もちろんこちらも、朱殷の怒龍は背負って最低限の警戒を解かないまま

「亡き魏国のつわもの達の矜持、先だっての硬殻兵、虎衛兵らの戦いぶりからも確かに受け取り申した」

彼らは勇猛果敢に戦い、己が命運を全うした
…少し、羨ましいとも思えるほどに
だからこそ、敬意をもって言葉を重ねる

「アヴァタール級であった貴殿が、我らへの復讐心と"山越"の試練でジェネラル級となったと聞いた。
他の2将…『猩紅妃』や『于吉』も、貴殿と同じく主君を喪い、我らに怒りをもって"山越"を生き抜いたのか?」

純粋に『典韋』から見た2匹の印象が聞ければ、今後の攻略の糸口になるだろうが
あくまで他人から見た印象だ。絶対ではないと頭の隅に置いておく

「"山越"で一体何をしていた?」

だが"山越"に関しては体験談があるだろう

中華の地で見た、民が埋められていた、かの森を思い出す
あの時のように、多くの民が巻き込まれていないことを願うばかりだ


エイレーネ・エピケフィシア
槍を下ろして典韋と言葉を交わします
武人の矜持があれど、全てのクロノヴェーダは人々の住まう大地を奪って何とも思わぬ略奪者です
ですが今だけは、情報収集のために最大限の敬意を見せましょう

……おお。我に返ったのですね
多くの復讐者は、消え去った故郷や大切な宝を取り戻すべく戦う身です
奪われたものへの怒りを胸に戦う点では、わたし達は同じであり、だからこそ通じ合えたのでしょう
……魏の勇将、典韋よ。あなたにお聞きしたいことがあります

趙雲が語ったことには、リグ・ヴェーダの蟲将は「山越」なる地で三国の戦を演じているようですね
ですが本来の「山越」は呉の勢力圏に近い地域であり、大戦乱群蟲三国志の中にも含まれていたはず
ならば、蟲将が争う「山越」とは一体何処なのでしょうか?

リグ・ヴェーダが有する土地に三国時代の地名を割り当てただけなのか
或いは、この大地と別に創造された疑似的なディヴィジョンか……
いずれにせよ、あなたにとっては紛い物の王国に過ぎなかったことでしょう
……真の大地と主君を失った怒りは、わたし達が受け止めます



「魏の悪来が戻ったか」
 夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)は僅かに頬を緩めた。
 悪来典韋と言えばその人生の終わりも含めて、魏の武を名乗るに相応しい漢だからだ。
 士として良き主に仕え、策に掛かった上での死ではあるが、武人としてこれ以上は無い存在というイメージが強かった。暴虐のクロノヴェーダをただ倒すのではなく、典韋として倒すことが出来ると安堵したのだ。
「……おお。我に返ったのですね」
 対してエイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)は槍の穂先を下げた。
 典韋は棍棒の一本を地面に突き刺したが、もう一本は後ろ手に回している。
 ディアボロスに備えたことに彼女も警戒したこともあるだろう。だが、それだけではない。
(「武人の矜持があれど、全てのクロノヴェーダは人々の住まう大地を奪って何とも思わぬ略奪者です。ですが今だけは、情報収集のために最大限の敬意を見せましょう」)
 エイレーネにとって話し合える最低限の相手というに過ぎない。
 クロノヴェーダは歴史の略奪者に過ぎず、和気あいあいと歓談する気はない。
 だからこそ武人としての姿に敬意を抱くが、それ以上ではないと線を引いたのだ。
(「む……確かに、そうだな」)
 その姿に錬晏は気を引き締め直した。
 三国志の時代から流れ、そして魏に由来する彼としては親愛の情が強い。
 他のクロノヴェーダより遥かに尊敬できる……いや、心底羨ましかったという相手ではあるが、それは本来『典韋本人』に充てられるべき感情なのだ。無条件に偽物であるクロノヴェーダに向けて良いはずがない。ゆえに彼も偃月刀の石突側を地面に刺し、いざとなれば防戦が出来る態勢を整えたのである。
「亡き魏国のつわもの達の矜持、先だっての硬殻兵、虎衛兵らの戦いぶりからも確かに受け取り申した」
 錬晏は己が溜息を吐くのを自覚した。
 己が目指したかった境地を見たことを端的に語る。
「彼らは勇猛果敢に戦い、己が命運を全うした。……少し、羨ましいとも思えるほどに」
『そうか』
 だからこそ、敬意をもって言葉を重ねる。
 少し甘いのかもしれない。そう思いつつも錬晏は飴となる。
 硬軟を使い分ける事が交渉の基本なのだ。ゆえに彼が少し甘いのは問題ないだろう。
「多くの復讐者は、消え去った故郷や大切な宝を取り戻すべく戦う身です。奪われたものへの怒りを胸に戦う点では、わたし達は同じであり、だからこそ通じ合えたのでしょう」
 逆にエイレーネは少し突き放した。
 クロノヴェーダに奪われたこと、それを取り戻している事。
 その果てに相争うが、それでも理解できる心境があること自体は否定しないとだけ告げる。彼女が鞭役であり、辛味を舌先に載せる役割だ。
「……魏の勇将、典韋よ。あなたにお聞きしたいことがあります」
「趙雲が語った事には、『山越』なる地で三国の戦を演じているようですね」
「ですが本来の『山越』は呉の勢力圏に近い地域であり、大戦乱群蟲三国志の中にも含まれていたはず」
 リグ・ヴェーダの蟲将という存在を一括りにしてエイレーネは尋ねた。
 少しずつ言葉を切り、状況を順序だてて確認する。
 ここまでに典韋の言葉は無い。伝え聞いた内容に対する答え合わせなので当然であろう。
「ならば、蟲将が争う『山越』とは一体何処なのでしょうか?」
『ふむ?』
 エイレーネの質問の確信に典韋は疑問を抱いた。
 山越は山越だが? とでも言いたげな表情に見える。
「リグ・ヴェーダが有する土地に三国時代の地名を割り当てただけなのか、或いは、この大地と別に創造された疑似的なディヴィジョンか……」
 エイレーネは己の言葉を捕捉するが、あんまり通じて居ない様であった。
 そも、疑似ディヴィジョンという言葉を理解していない様に見える。
 だが、驚愕すべきはその答えにあった。
『何を言っているか判らぬが、この地と山越は地続きだ。天空寺院で移動すれば、さほどかからぬが、陸路で向かうならば、かなりの時間を要するだろう』
 ここで重要なのは『かなり』という言葉を蟲将が使っているという事だ。
 人間よりも強靭なクロノヴェーダであり、飛ぼうと思えば飛翔できる種族である。
 ゆえに相当の長距離であり、ディアボロスがパラドクストレインなら簡単に行けるんじゃがのう……とでも居追わんばかりの口ぶりであった。それではまるで、地続きでこの地から歩いてインドに居たり、そのままベトナムなどに移動できるかのようだ。
「そう……ですか。いずれにせよ、あなたにとっては紛い物の王国に過ぎなかったことでしょう」
 単純に結界があって移動できないのか、本当に歩けるのかは分からない。
 だから、この時点では棚上げするしかないとエイレーネの話自体は打ち切った。
「……真の大地と主君を失った怒りは、わたし達が受け止めます」
 だが、エイレーネのこの言葉は嘘ではない。
 山越……南部中国から北部東南アジアでは西王母と九天玄女の信仰が現代まで残る。
 それは同じ大地母神と使い神を原型として枝分かれしたアテナやニケと似たような存在でもあった。オリオンと二郎真君が水に関わる職工集団をモデルにしているのと似たような物であろう。それゆえに、故郷が奪われ第二の故郷である山越で殺し合いをさせられ、そして今また捨て駒にされている事に共感を抱いたのである。
「アヴァタール級であった貴殿が、我らへの復讐心と"山越"の試練でジェネラル級となったと聞いた」
『うむ』
 錬晏はまずその過程を確認した。
 その経歴が真実であるならば、知っている事もあるだろうという確認である。
「他の2将……『猩紅妃』や『于吉』も、貴殿と同じく主君を喪い、我らに怒りをもって"山越"を生き抜いたのか?」
『否』
 純粋に典韋から見た2匹の印象が聞ければ、今後の攻略の糸口になるだろう。
 そう思った錬晏の問いであるが否定が返された。
 怒りではないのであれば、それは何なのだろうか?
「では"山越"で一体何をしていた?」
『猩紅妃は、残忍で一般人を意味も無く苦しめる女だ。病をふりまき故郷を滅ぼすことで、兵士になる事を強制している。于吉の性格はよくわからん。感情があるのかどうかすらわからぬが、その根底には大いなる災いがあるに違いない」
 あくまで他人から見た印象で、絶対ではないと頭の隅に置いていた。
 だが典韋は錬晏の想像以上に要点を抑えて教えてくれた。
 派閥争いをしていて隠す意味がなく、そしてリグ・ヴェーダそのものにも恩義を抱いていないからだろう。
「なるほど。色々な意味で、良くある光景。その悪しき所作の現れか」
 中原の地で見た、民が埋められていた、かの森を思い出す錬晏。
 あの時は無為に人々が殺されて養分とされていた。まったく吐き気を催すとはあの事だろう。そうではない事に一定の安心感を持ちつつ、やはり民がそれなりに犠牲になっている事に怒りを覚えるのであった。
『言えた義理ではないが、一つ頼みがある』
「「む?」」
 ここで典韋は一つだけ自分の都合を語った。
 本来、話し合いや交渉とはお互いの条件をすり合わせる物だ。
 それなのに一言も条件を口にしなかった彼が、頭を下げるかのような物言いをした。
『リグ・ヴェーダに漂着した蟲将は、アーディティヤによって良い様に使われてしまっている』
『山越にいる蟲将達は、自分達が利用されているだけだという事を判っていない』
『これ以上、蟲将の晩節を穢さない為にも、あやつらを滅ぼして欲しい』
 それはまさに武人としての言葉に相違なかった。
 自分の命乞いなど口が裂けてもしないし、仲間を助けてくれとも言わない。
 そんな事をディアボロスが呑まないと理解した上で、ただ立つ鳥濁さずとばかりに頼んだである。
「問題ありません。それこそが我らの思いそのものです」
「その願い、確かに聞き届けた。必ずや叶うであろう」
 二人は顔を見合わせることなく即座に頷いた。
 死にゆく武人の願いであり、同時に否定する余地のない言葉だ。
 小気味よい返事に対し、典韋が初めて笑ったかのような気配が漏れる。
『語るべきことは語った、あとは、最後まで死合うまで』
 そう言って典韋は一息に棍棒を生き抜いた。
 それ以上は余分で余計、そう言わんばかりの姿である。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【士気高揚】LV1が発生!
【防空体制】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
【反撃アップ】がLV2になった!

ハーリス・アルアビド
あれが本来の典韋ですか。武人としても曹操に仕える将としてもひとかどの人物なのでしょう。蟲将の意地と怒り、我が主と誓った使命のために越えさせていただきます。

殺戮をもって秩序もたらす神セクメトよお力添えを。我等の前に立ち塞がるものを乗り越えるため、恐るべき牙の力をお授け下さい。
祈りを捧げ仲間たちへの幸運を願い、この戦に勝利を。

より鋭く、僅かでも速く地を蹴り飛び込むため両足に【肉体改造】を施し獣の足へと変えます。【残像】を生み出す速度で駆けます。
最高速度を維持したまま駆けつつ舞い上がる砂塵を【砂使い】でより巧みに操り砂の幕とし、ここに私がいることを印象づけます。砂の幕の中での【忍び足】の緩急をつけて攻撃のタイミングと間合いを的確に読ませず背後からの不意打ちを狙います。

そのように見せかけ、最高速度で背後に回ると見せ掛けた【残像】を使い私自身は【神速反応】を用いて正面から攻撃を叩き込むため、こちらも捨て身で一撃に全てを懸け【セクメトへの嘆願】を放ちます。



「あれが本来の典韋ですか。武人としても曹操に仕える将としてもひとかどの人物なのでしょう」
 敵将との会話を見ていたハーリス・アルアビド(褪せる事を知らない愛・g04026)はその思いを知った。その無念や今抱く忸怩たる思いも理解が出来る。
『これ以上、蟲将の晩節を穢さない為にも、あやつらを滅ぼして欲しい』
「蟲将の意地と怒り、我が主と誓った使命のために越えさせていただきます」
 ハーリスは先ほど典韋が口にした頼みを反芻する。
 主人が先立ちやるせなさと怒りに満ち、はたと正気になった自分。
 その時に同胞たちがかくも利用され、無様を晒していたらどうだろうか? それはまさにハーリスが辿って来た道筋であった。
『来るか。ディアボロスよ』
「殺戮をもって秩序もたらす神セクメトよお力添えを。我等の前に立ち塞がるものを乗り越えるため、恐るべき牙の力をお授け下さい」
 典韋が棍棒を構えるとは何も語らなかった。
 ただ己が信じる神々に加護を願い、仲間達に……そして典韋にも幸運を願う。
 幸運の方向性が未来であるか、過去であるかは別にして、敵将の思いが届くことを祈ったのだ。
「幸運を、そして……この戦いに勝利を!」
 ハーリスは少しでも速く動く為に肉体を改造して駆けた。
 両足に獣力を宿し、残像を残す速度で飛び込んでいく。
「はあ!」
『効かぬぞ!』
 ハーリスは砂塵を巻き上げながら移動し、そこに己の姿を映し出した。
 分身で方向性を誤魔化し、残像でタイミングを誤らせていく。
「ジェネラル級に残像効かぬは承知! 殺戮の神セクメトに奉る!」
 突撃の最中、ハーリスは不意に足音を消した。
 先ほどまで全速力で移動を繰り返していたが、緩急をつけることでペースを乱したのだ。
『っ回り込むか!』
「否! おおおお!」
 典韋が剛力で棍棒を振り回すとそれだけで衝撃波が発生する。
 巻き込まれるやハーリスの肌が割け、血が流れていくが止まらない。
 ステップを掛けて後ろに回り込むと見せかけて、最後は愚直に突進! コンビが彼を殴りつけるよりも先に牙を突き立てたのである。
「これならば……」
『まだまだ!』
 だが典韋は止まらない。
 打撃武器なのに当たっただけで切裂くほどの猛威を振るう。
 ハーリスが避けてもかわしきれないほどの威力であり、それは攻撃を受けても終わらなかった。
「既に満身創痍でしょうに存外にしぶとい……いえ、命ある限りは止まれないのでしょうか? ならば、この手で終わらせるまで!」
 これは贖罪の旅である。
 ならば生き延びることに意味は非ず。
 既に彼の身は敗走しており、何度攻撃を受けても意地を見せることでしか満足が出来ない。

 攻撃を受けても受けても小動ぎもせず……。
 反撃されてまた攻撃を放つ。そんな攻防が幾度か繰り返された中……。
「まだですか、ならばもう一度……っ!?」
 そんな中でハーリスは何度目かの攻撃を行おうとした。
 だが、その手が不意に止る。
「立ったまま死を……お見事」
 その時、典韋は既に死んでいた。
 ハーリスは拳を止め、牙や足の爪を引っ込める。
 そして軽く祈りを捧げて立ち去ったのだ。
「お別れです」
 流れ出たお互いの血と、戦いの痕跡は砂塵の中に消えていく。
 だがハーリスにはすることがあった。
 インドへの道が拓かれたことを仲間達に告げに戻らねばならないのだから。
 その背中をかつて典韋であった死体が見守っていたという。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【神速反応】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV3になった!

最終結果:成功

完成日2024年11月03日
宿敵 『悪来の再来『典韋』』を撃破!