【個】なにもない海の汀で
竜城・陸 2021年8月22日
珍しく、放課後の農作業が早く終わった。
当番の組み合わせがよかったかもしれない。
余暇にやることといえば、勿論決まっている。
そうだ、釣りに行こう。
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竜城・陸 2021年8月22日
(そういうわけで、のんびりと。新宿断層外縁部、西海岸にて、釣り糸を垂らす少年の姿があるわけだ)
(削ぎ落とされた大地の端、ぎりぎり。遠目から見れば、いつもなら海の青に紛れそうな、藍色があることは)
(落ちる陽の赤が、教えてくれるかもしれない)
鬼叉羅魏・アンジェリカ 2021年8月22日
(ゴツリ、ゴツリと足音をさせて)
(伸びる影の先、海とは違う青に向かって。)
――、陸。
竜城・陸 2021年8月22日
(ん、と。釣竿を一度引き上げて、自身を呼ばわる声に振り返る)
ああ、やあ、アンジェ。
(眼鏡の奥の瞳は、柔和に細められて)
奇遇だね、こんなところで。散歩?
鬼叉羅魏・アンジェリカ 2021年8月22日
(振り向いた顔を見て)(にこやかに笑い返すことはしないものの)
(呼んだ名と一致することを確かめると、近くまでやってきて。)
そんなものです。
土地勘をつけておかないといけませんから。
(そして、釣り竿を手元から先まで見る。)
……。
釣り、ですか?
竜城・陸 2021年8月22日
土地勘。(わずかばかり、目を瞬き。)……君はこの辺りの出身じゃないんだね。命名規則的に、それらしいようには見えるけれど。
(とはいえ、日本国内のディヴィジョンなど他にもある、決めつけるものでもないか――なんて、思いつつ)
(彼女の視線の先にあるもの――自分の手元の釣竿を、見て)
そう、釣り。今日は農作業が早く終わったものだから。
鬼叉羅魏・アンジェリカ 2021年8月22日
日本人ですよ。
ただ、新宿の方にはあまり来なかったもので。
(海を覗き込み)
そうですか。
……この海、魚が居るんですか?
竜城・陸 2021年8月22日
ああ、…………そう、そうだった。
この新宿島が属する、日本……という国も、本来はもっと大きいものなのだったね。
(そんなことを授業で言っていたな、と思い返して、あらためて納得したように頷いた)(自分にとって、1500年余が過ぎた日本という国の認識は、この小さな島ひとつだ)
いるよ? 魚。
むしろ人類がなかったことになった分、元気かもね。
鬼叉羅魏・アンジェリカ 2021年8月22日
今は狭い街だけですけどね。
もっとありましたよ、上も下も。
(釣れたものがもうあるのかと、視線を巡らせ)
そうですか……
竜城・陸 2021年8月22日
下? ……地下にも何かあったんだ?
(掘ったら出てくるかな、と。冗談だか本気だかわからないようなことを言って)
(視線を巡らせれば、食用に耐える、と思われる魚がちらほらと、足元の釣り用バケツの中を泳いでいるのは見えるかもしれない)
そう。たまにすごく大きいのもいる。今日は……風の感じと天気からすると、来なさそうだけれど。
鬼叉羅魏・アンジェリカ 2021年8月22日
?
(何故かこちらが怪訝な顔をして)
……。あぁ。
違います。あれです。地図の。
(指先で上を指して、下を指す)
(北と南のことを言っているのだと、気付けるだろうか……。)
地下にも色々ありはするんでしょうけど。
掘りすぎると海が出てきそうですね。
(無効票)
鬼叉羅魏・アンジェリカ 2021年8月22日
(バケツを見つけると、しゃがみこんで)
……。
本当に居るんですね、魚。
(不思議そうに眺める。)
竜城・陸 2021年8月22日
地図の?
(こちらもつられて怪訝な顔をして)(彼女の一連の動作を見遣る)…………上と下?
(とは? みたいな顔)(気づけなかった)(とりあえず地下のことを言っているわけではないことだけは、察したが)
海かあ……もう少しいいものが出てくるといいんだけどね。
あ、決して海が嫌いというわけではないのだけれど。鉱石とか、そういう。
(無効票)
竜城・陸 2021年8月22日
うん、いる……けれど。
不思議? 君たちの世界では、見慣れたものかと思っていたけれど。
鬼叉羅魏・アンジェリカ 2021年8月22日
はい(頷く)
はい(頷く)
?(傾げる)
……あぁ。もしかしたら学園にあるんじゃないですか、古い日本地図。
(頷いた。)
試してみればいいんじゃないですか。
校庭の隅あたりでも。
(無効票)
鬼叉羅魏・アンジェリカ 2021年8月22日
ついこの間までは街だった場所で魚が釣れるのは不思議です。
アスファルトの味がしそう。
(バケツのふちをつつく)(揺れる)(魚が泳ぐ)(おお)
竜城・陸 2021年8月22日
ああ、いや、形は知っているよ? 日本、という国の。
(地理の教科書に載っていただろう、なんて続けて――はたと気づく)
(特徴的な「島国」というものだという、縦に長い国土を思い出して――添えられていた、矢印みたいな記号が、「方角」というのを示すものだというところまでを、思い返す)
…………もしかして上と下って、北とか南とかそういう、話?
(無効票)
竜城・陸 2021年8月22日
校庭の隅を下手に掘り返すと、うちの後輩に怒られそうなものでね。
……アスファルトの味。食べてみる?
というか学生食堂で出ている魚も、俺が釣ったの、たまにあるよ。
(変な味した? なんて――問いつつ向けた視線の先で、バケツを揺らしている姿が目に入って)
(思わず、小さく笑声が漏れた)
鬼叉羅魏・アンジェリカ 2021年8月22日
そうですけど。
(なんだ、地図をみたことがなかったわけじゃなかったのか)
埋めればいいんじゃないんですか?
出てくるかもしれませんよ。いいもの。
(つんつく)(ぱしゃぱしゃおよぐ)(おお)
(無効票)
鬼叉羅魏・アンジェリカ 2021年8月22日
食堂の魚はアスファルトの味がする……なんて噂は、まだ聞いたことはないですね。
夕飯はまだ決めていないので、焼き魚もいいかもしれませんが。
(む、と顔を上げ、そちらを見る。)
竜城・陸 2021年8月22日
そうだったんだ。……ああ、いや、ごめんね。
俺のいたころだと、今でいう方角、みたいな概念はけっこう大雑把で。
動かない星があるほうへ進むと、寒くなる……とか。そういう程度だったから。
(いわゆる、北極星、のことだ)
掘ったら埋め戻すのってけっこう大変……いや、魔術ですぐか……まあ、そうだね。
いよいよ掘りたくなったら、考えてみるとするよ。
どこもかしこも石の地面ばかりで、掘れそうなところといったらそれくらいだものね。ああ、あとは、露出した断層部の土くらいか……。
(無効票)
竜城・陸 2021年8月22日
なら、きっと大丈夫。
……釣果がよかったら、ミーレに料理してもらうかい?
(なんて、言いつつ)
(視線がこちらを向いたら、首を傾げて)……ああ。そうしていると、普通の女の子だな、と思って。
学校では、色々噂を聞くからさ。もう何人か伸しただとか、そういう。
(ケジメつけるって言うんだったっけ?)(なんて、続けた)
鬼叉羅魏・アンジェリカ 2021年8月22日
星?
(キョトンとして)
昼間はどうするんですか。
(無効票)
鬼叉羅魏・アンジェリカ 2021年8月22日
それも良いかもしれませんね。
近所付き合いになりますし……、は?
……。
(無効票)
鬼叉羅魏・アンジェリカ 2021年8月22日
……。
そうですか。
(バケツから手を離し、)
粋がったチンピラじゃあないんですから、四六時中ケンカを売り歩いたりなんてしませんよ。
売られた喧嘩を買ってるだけで……
とはいえ、思った以上に血の気が多い場所ではありますね、あそこは。
少し驚きました。
竜城・陸 2021年8月22日
昼間は昼間で、太陽の方向と傾きから割り出したり、かな。
まあでも、細かい時間の概念なんかもなかったから、そういうのも割とあいまいでね。今のようにきっちり、北は北、西は西、みたいに定まっているというようなものじゃなかった。
(無効票)
竜城・陸 2021年8月22日
思えば俺、夕食の時間が皆と合わないことも多いしね。
いつも面倒をかけている分、こういうので貢献するのはありかもな。
……?(何か変なことを言ったかな、という顔)
(無効票)
竜城・陸 2021年8月22日
ああ、まあ、君が売り歩いているわけじゃないのももちろん、聞き知っているけれどね。
……そうだね、特に君の周りは、……と言いたいところだけれど、まあ、晴やミーレの周りもあまり差がないような気はするな。
あの二人自身も、昨日は校庭をめちゃくちゃにしていたし……。
鬼叉羅魏・アンジェリカ 2021年8月22日
(沈みかけの太陽を見る)
(間)
そうですか。
(涼しい顔で、なるほど、と頷いて)
それなら早めに連絡を入れないといけませんね
(携帯電話を取り出して、カチカチと操作しつつ)
(不思議そうな顔はスルーした。)
(無効票)
鬼叉羅魏・アンジェリカ 2021年8月22日
意外さで言うならどれもこれも似たようなものでしょう。
それこそミーレ……ああ、あれはあの二人が?
竜城・陸 2021年8月22日
(今の間はなんだったんだろう……という顔)
そう。
あらゆるものが今に比べれば、ひどく曖昧な時代だったろうね。
(彼女の取り出した何かを見て、さっきとは違う意味で不思議そうな顔をした)
…………見ない形だね、その……それも、スマートフォンとかいうものの一種?
(ディアボロスは、特需に近い恩恵を人々から受けている)(かくいう男の持っている通信機器も、それで渡されたものだが――平べったい板のようなものであって)(彼女の持っているのとは、余り似ていない)
(無効票)
竜城・陸 2021年8月22日
そうらしいよ。
見ていた人から聞いたけれど、それはもうすごかった、とか。
真似できそうにないね、ああいうのは。
鬼叉羅魏・アンジェリカ 2021年8月22日
はい?
携帯ですけど……、ああ。
一種というか、先輩ですね。
(二つ折りのケータイをパカパカと。)
(それから、陸の顔をじ、と見て。)
竜城・陸 2021年8月22日
先輩。……なるほど?
(折り曲げてる……)
(機械を折り曲げて大丈夫なんだろうか? ああでもグスタフの腕は折り畳める機構ありそうだったな)
(とか、余計なことを考えていたら、)
…………? どうかした?
(見られていた。こちらも、眼鏡の奥の瞳を彼女へ向けて)
鬼叉羅魏・アンジェリカ 2021年8月22日
古いですけど、電話もメールも出来ますよ。
ラジオも聴けます。
(やたらゴツいアンテナを伸び縮みさせる)(みょーん)
……。
いえ。
(なんでもないです、と首を横に振り。)
竜城・陸 2021年8月22日
ラジオまで?
(自分のスマートフォンを思わず取り出してみた)(聴けたっけ……? なんて、首を傾げている)
(少なくとも、彼女が携帯電話とやらから伸ばしているような棒のようなものは生えていないけれど……)
えっ。
そこでなんでもないって言われるとすごく気になるんだけど!?
鬼叉羅魏・アンジェリカ 2021年8月22日
ラジオです。まだまだ現役らしいですよ。
(スマホを取り出したのを見て)
そっちはもっといろんなことが簡単にできるらしいです。
(みょー)(アンテナをしまう)
(無効票)
鬼叉羅魏・アンジェリカ 2021年8月22日
(それから、立ち上がり)
じゃあ、すごく気にしていればいいんじゃないですか。
さ。夕飯分、まだですか。
竜城・陸 2021年8月22日
うん、放送があるのは知っているよ。釣りの供にしているしね。
(それこそ、そういうものを聴ける機械を譲ってもらったのだが――)
(スマートフォンでも聴けるなら荷物が嵩張らなくなるな、なんて思いつつ)
(伸び縮みする棒のようなものを首を傾げて見ていた)
(無効票)
竜城・陸 2021年8月22日
えっ。
……ミーレといい、君といい、女性は秘密主義なものなのかな。
(参ったな、なんて言いつつ)
(眼鏡の奥の瞳は、相変わらずで)(口元も、柔和な笑みが浮いたまま)
はいはい、すぐにでも。……ちなみに、君、血抜きとかできる?
鬼叉羅魏・アンジェリカ 2021年8月22日
そうですか。
(アンテナはカチリともとの場所に戻った)
(不思議そうな視線に気づき)
アンテナです。
(頷いた。)
(無効票)
鬼叉羅魏・アンジェリカ 2021年8月22日
(それからまた海を見下ろ……そうとして、)血抜き?
(首を傾げる。)
魚、下ろせはしますけど……、やり方は?
(訪ねながら、セーラー服の袖を捲りなおし、ごちゃごちゃとついた指輪を外し始める。)
竜城・陸 2021年8月22日
えっ? ああ、うん。
(アンテナというらしい)(覚えておこう)(……活用の機会がある知識かはわからないが――)
(無効票)
竜城・陸 2021年8月22日
――――え、できるの?
(意外そうな声だった)(いや、別に、侮っていたとかではないのだけれど――)
ええと、まずエラの下にナイフを入れて――(ナイフはそこ、と道具類を視線で示して)……そっちの海水に入れて晒しておけば大丈夫。
(何も入っていないほうのバケツを、指差して)
…………。
(なんか、変な感じだな、なんて思いながら、釣糸を海に放る。)
鬼叉羅魏・アンジェリカ 2021年8月22日
出来ますよ。やり方をしっていればそう難しいものでもないでしょう。
(意外そうな声は、特に気にした様子もなく。説明を聞いて)
(ナイフを手にとり、片手をバケツに――)
――ひゃ
(掴もうと触れた魚が暴れて、目を白黒させ)
(、)
鬼叉羅魏・アンジェリカ 2021年8月22日
……。 なるほど。生きているんですものね。
(顔に跳ねた水を腕で拭うと、頷いて)
(今度は一度で、ぐわしと掴み。)
(釣りをする陸の横で、教えられた通りに血抜きをしていくのであった。)
竜城・陸 2021年8月22日
ああ、いや、ごめん。
……どうも俺の知っている価値観で話をしてしまうんだよな。
(血腥い話は、あまり、女性の仕事ではなかったのだ)
(そういう、今は亡い歴史の中の、話が。どうしても、まだ、考え方の芯に根付いてしまっている)
(かぶりを振って、海の方へ視線を戻そうと――して)
(無効票)
竜城・陸 2021年8月22日
(――小さな悲鳴に、思わず。)
(戻したはずの視線は、彼女の方へ向いて)
(目を白黒させるその表情を、見て)
……ふ、ふふ。
やっぱり普通の女の子だよね、君。
(そういうところ、可愛いと思うよ)(なんて、余計なことも言ったかもしれないけれど)
(、)
竜城・陸 2021年8月22日
(――――そんな、いつもとは違う、誰かが近くにいる、とある夕暮れ。)
(釣果は、きっと、全員の夕食にしたって足りるくらいのものだったろう)