【個】あにおとうと、ほしのした
新堂・亜唯 2022年6月19日
良く晴れた、とある日のかざはな寮。
「ちょっと静かに話せるところ」なんて言って、兄と待ち合わせしたのは屋根の上。
白い半月の浮かんだ、夏を前にした星空の下。
ふつう、くつろぐような場所ではないだろうに
我が物顔でお菓子なんか持ち込んだりして
柔らかな月明かりの下、夜風が頬を撫でて行く。
#新堂・亜唯
#竜城・陸
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新堂・亜唯 2022年6月20日
あむ。
(なんか当然のように指ごといった)
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新堂・亜唯 2022年6月20日
(もぐもぐ)
……道を切り開いていく立場、ってんだから、それは舵取りを含めてってことだよね。
学校の生徒はみんな、多かれ少なかれ自分のポリシーや譲れないものがあるわけで、それが常に一つの束になってるってことはないものね。
……俺は立候補の時に、ある程度方針や運営案みたいのもまとめた。
でも極端に言えば、そういうのだってミーレに提案して検討してもらう、ってやりかたもできたわけじゃん?
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新堂・亜唯 2022年6月20日
それをしないで、自分で矢面に立ったってことは……「俺の責任でやる」って意志のつもり。
竜城・陸 2022年6月20日
趣味だよ。色々なところに行くのも、色々なところが見られて楽しいしね。
……まあ願わくば、正しい形で見たい土地ばかりだけれど。
そうだね、また行こうか。君も十分強くなったし、ディヴィジョンの方とかに行ってもいいな……。
それはそうだね、……こういう時じゃなきゃ聞けない話、なんてのもあるだろうし。
周りの子たちがね。大変そうだよね。
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竜城・陸 2022年6月20日
(おっ)(食べられた指を見る)
……君、最近アンジェに悪影響受けてないかい?
(でも別に焦って離させようとすることもなく)(されるがまま)
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竜城・陸 2022年6月20日
そ。舵取りも含めて。
学園内の皆のやりたいことをうまくまとめていく手腕とかもそうだし、時に専門外の分野を頼まなきゃならないこととかもあるし。
クラスの運営に寄せた外部交渉なんかも、仕事のうちだしね。
ま、その辺りは心配していないよ。
ちゃんと自分で責任を取るつもりだからこそ、卍奪って道を選んだ……なんてことは、わかっている。
…………俺がいまから話すのは、もうちょっと違って、もう少し重い“責任”のほう。
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竜城・陸 2022年6月20日
俺たちはディアボロス。戦って、取り戻す者だ。
どこまでもどこまでも、手を伸ばさなくてはいけない。
“その手が届かなかった”なんて言い訳が、通用しない場面は幾らだってある。
選択したことで失われるものを、赦してはいけない立場だ。
届かなかった結果、失われたものがあったとして。
(“選択”の結果、取りこぼされたものが。そこで途絶えたものがあったとして)
それに報いる術なんてないのだから。
…………零れ落ちるその瞬間に、掬い上げる以外には。
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竜城・陸 2022年6月20日
だから、この“復讐者の学園”において、上に立つ者である以上、責任を負う者である以上。
それを成し得るだけの力を兼ね備えていなければいけない。
それを成し得るだけの力を得るための努力を、決して怠ってはいけない。
……資質の問題ではなく。当然の前提条件としてね。
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竜城・陸 2022年6月20日
だから、俺から君に問いかけるのは、ひとつだけ。
(口の中にある指を軽く振ってあぴーる)(ちょっとだけ離してね、という)
新堂・亜唯 2022年6月20日
なるほどー……。
今の世界だと、海は広いけど、変化は少ないだろうしね。
ディヴィジョン観光なら、俺もちょっとは案内できるかも。
たまーにあるよね、そういうことできる機会。
もしルリアさんに本気で見染められた子とかいたら大変なんだろうねえ。(のんきな声)
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新堂・亜唯 2022年6月20日
(かじかじ)
悪影響? かな?
(くびをかしげる)
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新堂・亜唯 2022年6月20日
(ぱっ、とチョコだけとって指を離しつつ)(口くすぐったかった)
陸にいの言うことは、分かるつもりだよ。
俺自身がまだ自分の力を見誤って、間違った時、陸にいは目の前で俺の命を掬い上げて見せた。
文字通り、零れ落ちるその瞬間に。
……俺は背負わせる側になったのは、一度じゃないからね。
何がその肩にのしかかってくるのか、何を受け止め、何を掴み、何を諦め、何を諦めちゃいけないのか……。
もしその立場になったとき、それはもしかしたら俺の想像を超えているのかもしれない。
それでも、言い訳や弱音なんて吐いている暇はないってことも。
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新堂・亜唯 2022年6月20日
(掌を、自分の胸にあてる。見えない何かを抱えるように)
…………俺は、ここにきて、陸にいの前に立つまでに
既にもう一つ、「選択」させてしまったし。
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新堂・亜唯 2022年6月20日
……なにかな。
竜城・陸 2022年6月20日
そうだね、ちょっと普通の世界とは海流も変わっちゃってるみたいだし。
君も結構あちこち行っているみたいだものね。じゃあ、君の知ってるところも今度案内してもらおうかな。
ああ、うん……そうだね……。
(大変そうだったな……という顔)
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竜城・陸 2022年6月20日
だって、こういうの絶対アンジェの真似でしょ。
(離された指をぴっと鼻先につきつけて)
……俺はいいけど、あんまり家族以外の人にやっちゃだめだよ。
いや家族でも女の子はあんまりよくないかもな……
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竜城・陸 2022年6月20日
……そう。
言い訳も弱音も許されず、ただ強くあらねばならない。
今日届かなかった手を、明日は届かせられるようにならなければいけない。
……あるいは、その手が届かないのなら。
その瞬間に己を超えてみせなければならないことだって、きっとある。
何もかもを背負って立つというのはそういうことだ。
自分の望むものを、誰かの欲しいものを、誰かの願いを、祈りを、全部背負うのなら。
その全てに手が届くようでなければならない。
踏まえて――
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竜城・陸 2022年6月20日
(わずかに目を閉じて、)
(それから、すぐに開く)
“俺”
――僕から君へ、問いかけるのはひとつだけ。
(瞳にさす、淡い菫色)
(わずかに、熱を帯びたように、空気が肌を焼くような感覚)
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竜城・陸 2022年6月20日
(自分の胸に、手を当てて、)
あの日ここに届かなかった手を。
(“僕”が、きみを掬い上げたあの日に、届かなかった手を)
今は、届かせることができるかい?
新堂・亜唯 2022年6月20日
なんせ陸地が全然違うからね、そのぶん潮の流れとかもまったく変わってるだろうし。
うんうん、エジプトとか意外と面白いと思う……。
実感のある声だ……。
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新堂・亜唯 2022年6月20日
やっだなぁ陸にい。
こんなん陸にい以外にやったらセクハラじゃん。
……………あれっ?
今のでアンジェリカの影響って特定できるってのは……。いや……。
やめとこ……。
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新堂・亜唯 2022年6月20日
…………――。
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新堂・亜唯 2022年6月20日
(そして、その問いかけには)
……ああ。
そういうこと……。
(ひりつく空気。今までと同じ相手と話しているようで、何か、向き合っているものが重なり合っているような感覚は)
(スケール感こそ共通でなくとも、他の友にも感じたものかもしれない)
(即ちそれは、相手がその言葉に、〝自分〟すべてを乗せてくれているのだと、解釈する)
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新堂・亜唯 2022年6月20日
……。(息を吐く。息を吸う。夜の風の中に混じる、話し相手の呼吸を体に取り入れるように)
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新堂・亜唯 2022年6月20日
(微かに熱を帯びた風の中で、呼吸が変わる)
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新堂・亜唯 2022年6月20日
必ず。
竜城・陸 2022年6月20日
ね。地理の授業で習いはするけど、実際に見たり感じるのでは全然違うだろうし。
エジプトは……ディアボロスとして行ったところ以外は、銀鉱山の位置くらいしかまだ知らないんだよな。
俺がじゃないからね?
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竜城・陸 2022年6月20日
え? あっうん、わかってるならいいんだけど……
(いい? いいのか……?)(いいか……)
いやだって、よくするし。こういうの。
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竜城・陸 2022年6月20日
……。
――――、
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竜城・陸 2022年6月20日
……そう。
(――ただその一呼吸で)(再び刃を交わすまでもなく理解する)
(きっと、今なら)
(その手は、“ここ”まで届くだろう)
なら、いつかまた、届けにおいで。
――その時までには、僕も、君と約束した通りに強くなる。
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竜城・陸 2022年6月20日
(目を閉じて、)(それから、開く)
――いいよ。
卍薦、確かに承った。
新堂・亜唯 2022年6月20日
学んだ地理や歴史が、正しい物である世界にしないとね。
俺けっこうオアシスとかピラミッドとかいったかもな……むしろそっちは知らないから楽しみかも。
あ、うん分かってるけど。
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新堂・亜唯 2022年6月20日
……むしろ、よくするんだ……?
(いいのかな……普通に言ってるけど……)(いいか……)
じゃあまあ、いいってことで……。
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新堂・亜唯 2022年6月20日
……ん。約束。
それに、俺はあの時から今までずっとずっと、どんなに強い人にだって、包帯を巻きに行ける俺になりたかった。
そのために、手を伸ばしたかったんだ。
だから、必要な時がもしきたら……その時は、頼まれなくたって飛んでいくし。
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新堂・亜唯 2022年6月20日
(ふぅ、と息を吐き切ると、いつもどおりの姿に戻って)
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新堂・亜唯 2022年6月20日
……ありがと。
(自分では、もし認めて貰ったら、はしゃいだり驚いたり、するのかもしれないと思ってた)
(でも今の自分の声も、心も、自分で驚くくらい穏やかで)
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新堂・亜唯 2022年6月20日
でも……それとは別に、お月見はもう少し、続けてもいい?
(アイスもまだあるしね、なんて)
竜城・陸 2022年6月20日
そうだね。
……その為に、もっと遠くまで手を伸ばさないと。
(楽しく世界中見て回る為にも、なんて)(言いつつ――)
え、……しない?
こう、肩からどしっ、とか、指ごといかれたりとか、後ろから急にのしって感じとか……
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竜城・陸 2022年6月20日
……うん、約束ね。
ふふ、包帯の用意はいらないように、強くなりたいところだけど。
そういう日ももしかしたら、あるかもしれない。
……期待しているよ、と言っていいところかな。
(なんて、微かに)(柔い響きの乗った声で、言って)
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竜城・陸 2022年6月20日
(静かに息を吐き切ったその姿が、)
(いつもの色を帯びるまで、待ってから)
礼を言われることではないよ。俺が何かしたわけじゃない。
君が積み重ね、歩いてきた道の結果が、ここに繋がったというだけなんだから。
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竜城・陸 2022年6月20日
でも、どういたしまして。
……こうして弟の背中を押す役目を俺にくれたこと、本当に嬉しかったから。
ん、そうだね、勿論。
卍奪の話じゃなくたって、ゆっくり話したいことはたくさんあるし……
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竜城・陸 2022年6月20日
(もうちょっとこっちおいで、というように、手招きして)
何もなくたって、ふたりでこうやって空を見上げてるのは、なんだかいいな、って思うし。
新堂・亜唯 2022年6月20日
他のディヴィジョンも、どんどん救いに行かなきゃいけないし。
その過程で世界を見て回る楽しみがあるのは、それはそれでだし。
(こくりと頷き)
するけど。めっちゃするけど。
小学生に限らないことを今改めて実感してるとこだけど。
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新堂・亜唯 2022年6月20日
まあ番長としてであれどうであれ、ウチのクラスは忙しくないのが一番なんだろうしね。
でも、それはそれとして、「俺がいるよ」って言えるように在るよ。
期待してるよ、って言ってくれる言葉も、俺の中に積もっていくから。
やっぱりありがとう、ってことで。
(ね、と頷きながら続けて)
(無効票)
新堂・亜唯 2022年6月20日
……陸にいに言いに来たかった、っていう個人的な気持ち。
俺にもあったしね。
(ちょっぴり、照れくさそうにしながら)
うん。毎日過ごすだけで、話したいことはいっぱい。
ピアスも増えたしねー。
(無効票)
新堂・亜唯 2022年6月20日
(手招きされるまま、その傍に寄り添って)
うん。またちょくちょくさ、こうやって見上げに来ようよ。
夏も、秋も、その先も。
(演出継続)
新堂・亜唯 2022年6月20日
(頭を預けるその姿は、たぶん、年相応の子供だった)
竜城・陸 2022年6月20日
(なんだか嬉しいことばかり言われるものだから、つい)
(寄り添ってきた身体をちょっと引き寄せるように、抱き寄せて)
いいよ、また、いつでも誘って。
船に乗って、海から見上げたりしてもきっと綺麗だし。
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竜城・陸 2022年6月20日
(――――ほんとうは)
(個人的なもの以外で、“いいよ”って言える理由を探そうとしてただけかもしれなかった)
(その先、の話を)(未来、というものを)
(こうやって、受け入れられるのだって、彼が伸ばしてくれた手のお陰なのだから)
(演出継続)
竜城・陸 2022年6月20日
(預けられた頭に、少し寄りかかるように体重を預けた)
(がんばってね、)(小さく、そんな風に、言葉を音に乗せて)
(あとはただ、ふたりで夜空を見上げながら)
(きっと、他愛もない話をして――)