理容タソガレ

毎週n曜日は怪文書の日⑤

墨乃・しるし 2021年10月4日
 なぜなにタソガレ―!

 何故も何もないんですよ。
 聞いて得た知識は真に自分の知識にはなりません。何故と思ったら自分で調べる。それができないから人類は衰退するのです。まったく、人の子とは愛しいですねえ。
 しかし、これは聞く側のみに問題があるわけではなく、教える側にも同じく問題があるお話です。なぜなら、片方が片方に何かを教える際、教える側は得も言われぬ優越感を覚えているのです。相手より物を知っているという優越感でもあり、相手に知を授けるという神を模した全能感でもあり、良いことをしたという満足感でもある。この感情はいわば麻薬です。一度覚えたが最後、その関係を維持しようとするがあまりやがて歪んだ意思が介在することになりましょう。互いに支えあう関係とは、互いに意見を出し合って構築されていく関係。片方の教えにただ頷き、片方の無知に自らの優越感を満たす関係は健全な相互作用とは言えないわけです。
 わかりましたか? わかればよいのです。いえいえ、良いんですよ。我も貴様と話していて大変良い気分になりましたからね。わからないことがあるならば、また聞きにくるといいでしょう。

 またのお越しをお待ちしておりますよ、お客様。




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