暮れなずみ風は止み
墨乃・しるし 2021年9月29日
夕焼けは目を焼く。
西日差し込む間取りの不備に目を細めて狐は唸る。
何を燃やせば、かような色に染まるのか。
きっと、日の沈む先には郷愁が眠っているのだろう。
理容師は、そんなことを思った。
※驚きの1:1スレッドです。(20レス程度「目安」)
※散髪でも、ただの世間話でも、どなたでもご自由に(先着1名)
※我の返答後、一週間発言がない場合はトラックが突っ込んできておしまいになります。
※本スレッドでは、旅団説明にある「バリカン刑」は原則執行されません。(要望がある場合を除く)
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墨乃・しるし 2021年9月29日
眩しい。美しいものは大抵眩しいものです。眩しくても美しくないものはありますが。
(マスクをずらして、瞼の上から目を抑える)
(それから、尾の方を振り向いて)
……こんなにも鮮烈なのに、この色はこの夕焼けにも染まらないと。黒とは光を飲み込む、まるで宵闇の色ですねえ。
墨乃・しるし 2021年10月5日
(店を揺らすは秋風か、立て付けの悪さは今に始まったわけではなく)
……何か今日は特別ガタガタとうるさいですね。こっちがしみじみと物思いをしてるというのに。
青砥・夢 2021年10月5日
……わぁっ!!(荷物満載の暴走トラックがすぐ側を掠めて走り去って行く。その風圧は商店街の古い店舗をガタガタと揺らすほど)
びっくり……した。(理容店の中を覗くと、ガラスの向こうで一人なにかに浸っている店主が見えた)
墨乃・しるし 2021年10月6日
騒音過ぎ去ればまた秋のしじま……と思えば夕映に小娘が一人。中々綺麗に染まっていますねえ。
(気づいて視線を合わせる)(手招きもする)
青砥・夢 2021年10月6日
(ドアを開けておずおずと入ってくる)こんにちは……。(いつも賑やかな店内には店主の姿しかない。あとルンバ)
…………。(特に用事があって来たわけでもなく、手持ち無沙汰に立ち尽くして)
墨乃・しるし 2021年10月7日
はいはいいらっしゃいませ。都合が良いことに今日は一人なんですね。
なーに、ついこの間ブーケが来てたので、丁度小娘……という呼び方は良くないんでしたか。ええと、貴様ともお話ししたいと思っていたんですよ。
(ふふふ、と微笑みソファを指し示す)
青砥・夢 2021年10月7日
(いつもと違う色に染まる理容店。どことなく神々しい店主の顔。黄昏時、狐、神隠し……そんな連想を振り払って)
貴様……あ……。あおと、ゆめ……です。(今まで名乗っていなかった気がする。あるいは識別されていなかったのか)
あ……はい。(促されるままソファに座って鞄を降ろす)
墨乃・しるし 2021年10月8日
(ポン、と手を打って)
そうそう、夢と呼ばれていましたね。友人といい父親といい、強い個性に囲まれて。いえ、そのせいで忘れたわけではないのですが急に名前呼びだと京の陰陽師とかは嫌がるらしいじゃないですか。
なーに、取って食おうというわけではありません。少しだけ、ほんの少しだけ聞きたいことがあったんですよ。
(うんうんと頷き)(動き回るルンバを一旦元に戻して)
墨乃・しるし 2021年10月8日
不躾な質問ですが、天使なる者に一度聞いておきたかったのです。
天使とは皆、誰であれ大天使と融合した存在と言うでしょう? その大天使とやらは、今も貴様……ではなくアオトの中に生きているのですか?
青砥・夢 2021年10月8日
(家に戻されるルンバを眺めながら、ちょっとだけ緊張を解く)
大天使……は、たぶん……。(胸に手を当てて中にいるナニカに意識を向ける。いつも通り反応はない)
声が……聴こえた、ので。新宿が、こうなる、ときに……。お母さんの、声。
墨乃・しるし 2021年10月8日
ふぅむ。悪魔とはやはり作りが違うのか、はたまた個体差か。その控えめな様子だと元気よく表層に出てくるなんてことは無さそうですね。
(顎に手を当ててぶつぶつ)
(それから、耳をぴくりと傾けて)
母親の声ですか。我も時々怨嗟のような母の小言を思い出すことはありますが、それとはまた違うような。何と話されていたので?
青砥・夢 2021年10月9日
(悪魔と聞いて身近な友達を連想して。言われてみれば、あんな風にわかりやすい影響は受けていない気がする)
……よく、覚えてない、です。でも、やさしい、声でした……。(記憶にある母はいつも優しげで、病床に伏したあともそれが変わることはなかった)
店長さんの、お母さんは、どうして……?(小言はともかく怨嗟とはいったい)
墨乃・しるし 2021年10月10日
優しい声に聞こえたのならば……そうですね。力を得たことが、何かの苦難と結びついていなければ、我としてはそれで良いと思います。
ん? ああ、我の母親は、そうですね……しっかりした奴で、人は皆平等に扱えと常日頃からお小言を貰ってまして。お揚げをお供えする者の方を贔屓したくなるじゃないですか。そうすると怒るんですよ、滅茶苦茶。
青砥・夢 2021年10月12日
私も、天使になれて、よかったと……思います。みんなのために、戦えるので……。(一般人の、ただの子供であったなら、守られるだけの存在として心苦しい思いをしていたかもしれない)
奴……(なんだか自分の想像する親子関係とは雰囲気が違う気がする)。えこひいきは……良くないと、思います、けど……。厳しい人、だったんですね……。(病気がちな母と仕事人間の父の間で育った自分としては、怒られた思い出すらちょっと羨ましい気もして)
墨乃・しるし 2021年10月13日
……戦うことを恐れるより、戦えぬことを恐れますか。中々どうして、見た目の華奢さに反して芯の強い。我だったら逆にめんどくさいと嘆きそうなもんですけれど……人の子ですねえ。
(理容椅子をくるくる回して)
ハァー、それでいて良い子ですこと。まあ厳しかったですよ、確かに。
(肘掛けに頬杖をついて)
でもね、子供が親の言うことを聞くだけだと思うなよと。親がおかしいと思ったのなら思ったことをきちんと言う。我の思う親子関係とはそういうものです。アオト家の事情はよくわかりませんが……それは違うとか、草食うなとか? 思ったのなら伝えても良いと思いますよ。
青砥・夢 2021年10月14日
(フッと息を吐くように笑って。そういえばこの人と出会ったのは、あのときの御苑だった)
草は、もう食べてない……と、思います。お父さんも、いろいろ考えている、みたいで……。
(主に居間でリングフィットをしている父を思い浮かべて。会社経営をしていた人にとって、貨幣経済の崩壊は想定外すぎたのだと思う)
だから、お母さんの分も、私ががんばらないと……。
墨乃・しるし 2021年10月15日
ふぅん。支えあうのも人の在り方であり、また家族の在り方でしたか。立派なものですよ。我の知っている子供というものは、もっと甘えん坊で、それでいて自分勝手なものですが……それは、我がそうあってほしいと望んでいるだけなのかもしれませんね。
(差し込む夕焼けに顔をしかめながら)
その点、今の我は自分の欲に忠実に過ごしていますからね。年を重ねたとて、何かに甘えたがる気持ちは変わらずと。見習えとは言いませんが、何かを望むことを遠慮することはありません。我が、その証左です。
青砥・夢 2021年10月18日
自分勝手な、子ども……。あ……。
(モルモットを飼いたいと駄々をこねた日のことを思い出す。大人はそういう子供らしい仕草に安心するものなんだろうか?)
今の生活も、好き……ですから。お父さんが、うちに居てくれたら……それで。
(店の前を通り過ぎるママチャリ。夕飯の買い出しのことを思い出す。11新円で何が買えるのかはわからない)
墨乃・しるし 2021年10月20日
成程。望みが叶っているならば良し。それ以上を望む望まぬも各人次第ですからね。ただ、安らぎを覚える居場所ほど、時は早く過ぎ去るもので……って、もうこんな時間じゃないですか。秋も深まれば日は速やかに落ちて、と。
もしかして、おつかいの途中でしたか? 呼び止めて悪いことをしましたね。あー、油揚げでも持っていきます?(何かあげられるものがないかと、冷蔵庫の中身を確認する)
青砥・夢 2021年10月23日
はい、今を……この場所を、大事に……します。(子供の自分にどこまで理解できているかはわからないけど、そんな言葉で返して)
そう、でした。買い出し……えっ! いいんですか? お揚げ……。(店長さんのお揚げ好きを知っていたので心底驚いてしまった。ガムとは重みが違う気がする)
墨乃・しるし 2021年10月25日
あー、いいんですいいんです。我は捧げられる側にして授ける者。こういうこともしておかないと、そのうち忘れてしまいそうで。
(頭を掻きながら、パックに入った油揚げを適当な紙袋に入れて)
一応店の売り上げにはなりますが、これで父親にきつねうどんでも作ってあげるといいでしょう。お揚げを作りすぎたのなら捧げものとして持ってきてください。調理はできますが、あまり好きじゃないんです。
青砥・夢 2021年10月26日
(スーパーびっくり顔が消え、代わりに笑みを浮かべて)
ありがとう……ございます。……神様。(紙袋を受け取ると大事そうに鞄にしまう)
お父さん、喜んでくれると、思います。(狐うどんの残りの材料を考え、次に向かう先を決めるとドアへと向かい)
また……来ます。(最後に振り返って店主に頭下げた)
墨乃・しるし 2021年10月27日
うん。善哉、善哉。
(満足そうに頷けば、そのまま手を振って見送って)
ええ、いつでもお待ちしていますよ。
夢。
(外に出て見送りはしなかった。夕闇に溶けるよう遠ざかる天使は、きっとこの瞳には眩しすぎよう)
墨乃・しるし 2021年10月27日
……山の向こうは無くなりましたが、まだ有る人々は、取り戻したその先にこそ幸い住むとそう願う。
(ぶつぶつ)
でも、足元の幸せにさえ気づいているのなら心配はいりませんでしたか。
(椅子を回し、独り言はやがて空調の音に呑まれ)
(充電を終えた自動掃除機のみが、雄弁に駆動音を鳴らしていた)
墨乃・しるし 2021年10月27日
(了)